(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106132
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】エレベータかご装置及びエレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 11/02 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
B66B11/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000904
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大脇 裕之
【テーマコード(参考)】
3F306
【Fターム(参考)】
3F306CA32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来にない荷重検出装置を備えるエレベータかご装置を提供する。
【解決手段】エレベータかご装置2は、床部3に対する荷重を検出する荷重検出装置7を備え、荷重検出装置7は、第1端部8aが床部3又はベース部4に固定される検出ロープ8と、床部3に取り付けられ、検出ロープ8が掛けられる床支持部9と、ベース部4に取り付けられ、検出ロープ8が掛けられるベース支持部10と、検出ロープ8の第2端部8bの変位量を検出する変位検出部11と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が載る床部と、
前記床部よりも下方に配置されるベース部と、
第1横方向に並べられ、前記床部と前記ベース部とを接続する複数の弾性部と、
前記床部に対する荷重を検出する荷重検出装置と、を備え、
前記荷重検出装置は、
第1端部が前記床部又は前記ベース部に固定される検出ロープと、
前記床部に取り付けられ、前記検出ロープが掛けられる床支持部と、
前記ベース部に取り付けられ、前記検出ロープが掛けられるベース支持部と、
前記検出ロープの第2端部の変位量を検出する変位検出部と、を備える、エレベータかご装置。
【請求項2】
前記検出ロープは、一端が前記床支持部に接し且つ他端が前記ベース支持部に接するロープ縦成分を含み、
前記ロープ縦成分は、上下方向に沿って延びる、請求項1に記載のエレベータかご装置。
【請求項3】
前記床支持部は、複数備えられ、且つ、前記第1横方向において、前記複数の弾性部のそれぞれの位置に配置され、
前記ベース支持部は、複数備えられ、且つ、前記第1横方向において、前記複数の弾性部のそれぞれの位置に配置され、
前記ロープ縦成分は、前記第1横方向において、前記複数の弾性部のそれぞれの位置に配置される、請求項2に記載のエレベータかご装置。
【請求項4】
前記検出ロープは、前記第1横方向へ延びるロープ横成分を備え、
複数の前記床支持部は、前記第1横方向において、前記複数の弾性部のそれぞれの位置に一つずつ配置され、
複数の前記ベース支持部は、前記第1横方向において、前記複数の弾性部のそれぞれの位置に二つずつ配置され、
前記検出ロープの前記第1端部は、前記ベース部に固定され、
前記ロープ縦成分は、前記第1横方向において、前記複数の弾性部のそれぞれの位置に二つずつ配置され、
前記ロープ横成分の少なくとも一端は、前記ベース支持部に接し、
前記ロープ横成分の両端は、それぞれ前記床支持部から離れる、請求項3に記載のエレベータかご装置。
【請求項5】
前記床部は、前記床部の前記第1横方向の端部に対する前記複数の弾性部の位置の平均の位置を含む中心部を備え、
前記床支持部は、前記第1横方向において、前記中心部の位置に配置され、
前記ベース支持部は、前記第1横方向において、前記中心部の位置に配置され、
前記ロープ縦成分は、前記第1横方向において、前記中心部の位置に配置される、請求項2に記載のエレベータかご装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のエレベータかご装置を備える、エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータかご装置及びエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータかご装置は、人が載る床部と、床部よりも下方に配置されるベース部と、床部とベース部とを接続する複数の弾性部とを備えている。そして、エレベータかご装置は、床部に対する荷重を検出する荷重検出装置を備えている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に係る荷重検出装置は、ベース部に固定される検出部と、床部に固定され、検出部に検出される被検出部とを備えている。そして、検出部は、被検出部の変位量を検出することによって、床部に対する荷重を検出している。ところで、近年、斯かる荷重検出装置とは異なる荷重検出装置が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、従来にない荷重検出装置を備えるエレベータかご装置及びエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレベータかご装置は、人が載る床部と、前記床部よりも下方に配置されるベース部と、第1横方向に並べられ、前記床部と前記ベース部とを接続する複数の弾性部と、前記床部に対する荷重を検出する荷重検出装置と、を備え、前記荷重検出装置は、第1端部が前記床部又は前記ベース部に固定される検出ロープと、前記床部に取り付けられ、前記検出ロープが掛けられる床支持部と、前記ベース部に取り付けられ、前記検出ロープが掛けられるベース支持部と、前記検出ロープの第2端部の変位量を検出する変位検出部と、を備える。
【0007】
また、エレベータかご装置においては、前記検出ロープは、一端が前記床支持部に接し且つ他端が前記ベース支持部に接するロープ縦成分を含み、前記ロープ縦成分は、上下方向に沿って延びる、という構成でもよい。
【0008】
また、エレベータかご装置においては、前記床支持部は、複数備えられ、且つ、前記第1横方向において、前記複数の弾性部のそれぞれの位置に備えられ、前記ベース支持部は、複数備えられ、且つ、前記第1横方向において、前記複数の弾性部のそれぞれの位置に備えられ、前記ロープ縦成分は、前記第1横方向において、前記複数の弾性部のそれぞれの位置に配置される、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータかご装置においては、前記検出ロープは、前記第1横方向へ延びるロープ横成分を備え、複数の前記床支持部は、前記第1横方向において、前記複数の弾性部のそれぞれの位置に一つずつ備えられ、複数の前記ベース支持部は、前記第1横方向において、前記複数の弾性部のそれぞれの位置に二つずつ備えられ、前記検出ロープの前記第1端部は、前記ベース部に固定され、前記ロープ縦成分は、前記第1横方向において、前記複数の弾性部のそれぞれの位置に二つずつ備えられ、前記ロープ横成分の少なくとも一端は、前記ベース支持部に接し、前記ロープ横成分の両端は、それぞれ前記床支持部から離れる、という構成でもよい。
【0010】
また、エレベータかご装置においては、前記床部は、前記床部の前記第1横方向の端部に対する前記複数の弾性部の位置の平均の位置を含む中心部を備え、前記床支持部は、前記第1横方向において、前記中心部の位置に配置され、前記ベース支持部は、前記第1横方向において、前記中心部の位置に配置され、前記ロープ縦成分は、前記第1横方向において、前記中心部の位置に配置される、という構成でもよい。
【0011】
また、エレベータは、前記のエレベータかご装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るエレベータの概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るエレベータかご装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るエレベータかご装置の要部側面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るエレベータかご装置の要部斜視図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係るエレベータかご装置の要部側面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係るエレベータかご装置の要部側面図であって、床部が弾性変形した状態を示す図である。
【
図7】
図7は、他の実施形態に係るエレベータかご装置の要部側面図である。
【
図8】
図8は、
図7のVIII-VIII線拡大断面図である。
【
図9】
図9は、さらに他の実施形態に係るエレベータかご装置の要部側面図である。
【
図10】
図10は、さらに他の実施形態に係るエレベータかご装置の要部側面図である。
【
図11】
図11は、さらに他の実施形態に係るエレベータかご装置の要部側面図である。
【
図12】
図12は、さらに他の実施形態に係るエレベータかご装置の要部図であって、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【
図13】
図13は、さらに他の実施形態に係るエレベータかご装置の要部側面図である。
【
図14】
図14は、同実施形態に係るエレベータかご装置の要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、エレベータ及びエレベータかご装置における一実施形態について、
図1~
図6を参照しながら説明する。なお、各図(
図7~
図14も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0014】
図1に示すように、エレベータ1は、ユーザが乗るためのエレベータかご装置(以下、単に「かご装置」ともいう)2と、かご装置2に接続されるかごロープ1aと、かごロープ1aに接続される釣合錘1bと、かごロープ1aを駆動してかご装置2を走行させる巻上機1cとを備えている。巻上機1cは、例えば、かごロープ1aが巻き掛けられる綱車1dと、綱車1dを回転させる駆動源(図示及び採番していない)とを備えていてもよい。
【0015】
本実施形態に係るエレベータ1は、巻上機1cを、昇降路X1の上部に設けられる機械室X2の内部に配置する、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ1は、巻上機1cを昇降路X1の内部に配置する、という構成でもよい。
【0016】
また、本実施形態においては、かごロープ1aの一端部がかご装置2に固定され、かごロープ1aの他端部が釣合錘1bに固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、かごロープ1aの両端部がそれぞれ昇降路X1の上部又は下部に固定され、かごロープ1aがかご装置2のシーブ及び釣合錘1bのシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、かごロープ1aがかご装置2及び釣合錘1bにそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
【0017】
また、本実施形態に係るエレベータ1は、ロープ式の駆動方式である、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ1は、油圧式の駆動方式である、という構成でもよく、また、リニアモータ式の駆動方式である、という構成でもよい。
【0018】
エレベータ1は、例えば、かご装置2を案内するかごレール1eと、釣合錘1bを案内する錘レール1fと、エレベータ1の各部を制御する制御部1gと、かご2の走行速度を検出する調速機1hとを備えていてもよい。そして、かご装置2は、例えば、かごレール1eを挟むことによってかご装置2を停止させる停止装置2aと、調速機1hの動作を停止装置2aへ伝達する伝達部2bとを備えていてもよい。
【0019】
調速機1hは、例えば、かご装置2に接続される無端環状のガバナロープ1iと、ガバナロープ1iに掛けられるガバナシーブ1j,1jと、ガバナロープ1iを把持する把持部1kとを備えていてもよい。これにより、かご装置2の速度が設定速度を超えた場合に、把持部1kがガバナロープ1iを把持し、ガバナロープ1iの走行が停止されることによって、停止装置2aは、作動する。
【0020】
図2~
図4に示すように、かご装置2は、例えば、かご室2cと、かご室2cを囲むように配置されるかご枠2dとを備えていてもよい。そして、かご装置2は、人が載る床部3と、床部3よりも下方に配置されるベース部4と、第1横方向D1に並べられ、床部3とベース部4とを接続する複数の弾性部5,6とを備えている。
【0021】
床部3は、例えば、剛性を有する床枠部3aと、床枠部3aの上部に固定される床板部3bとを備えていてもよい。なお、床板部3bは、ある程度の剛性を有していれば、特に限定されないが、例えば、板材(例えば、べニア板、金属板等)と、板材を覆う床材(例えば、シート、タイル等)と、から構成されてもよい。
【0022】
図4に示すように、ベース部4は、例えば、第1横方向D1に沿って延びる第1及び第2ベース枠4a,4bと、第1横方向D1と直交する第2横方向D2に沿って延び、第1及び第2ベース枠4a,4bを接続する第3及び第4ベース枠4c,4dとを備えていてもよい。なお、ベース部4は、剛性を有していれば、特に限定されないが、例えば、金属(例えば、鉄鋼、ステンレス鋼)で形成されていてもよい。
【0023】
床枠部3aは、例えば、第1横方向D1に沿って延びる第1及び第2床枠3c,3dと、第2横方向D2に沿って延び、第1及び第2床枠3c,3dを接続する第3及び第4床枠3e,3fとを備えていてもよい。なお、第1~第4床枠3c~3fは、例えば、上下方向D3にて、それぞれ第1~第4ベース枠4a~4dと対面していてもよい。
【0024】
また、床枠部3aは、例えば、第3及び第4床枠3e,3fを接続するように、第1横方向D1に沿って延びる複数の補強材3gを備えていてもよい。なお、床枠部3aは、剛性を有していれば、特に限定されないが、例えば、金属(例えば、鉄鋼、ステンレス鋼)で形成されていてもよい。
【0025】
弾性部5,6は、例えば、第2横方向D2の一端で、床部3とベース部4とを接続する第1弾性部5と、第2横方向D2の他端で、床部3とベース部4とを接続する第2弾性部6とを備えていてもよい。具体的には、第1弾性部5は、第1床枠3cと第1ベース枠4aとを接続し、第2弾性部6は、第2床枠3dと第2ベース枠4bとを接続する、という構成でもよい。
【0026】
弾性部5,6は、例えば、本実施形態のように、床部3に下向きの荷重が加えられた際に、上下方向D3に収縮するように弾性変形してもよい。また、弾性部5,6は、床部3及びベース部4が揺れた際に、横方向D1,D2に弾性変形することによって、当該揺れを床部3に伝達することを抑制してもよい。なお、弾性部5,6は、弾性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ゴム(例えば、防振ゴム)で形成されていてもよい。
【0027】
ところで、
図5に示すように、かご装置2は、床部3に対する荷重を検出する荷重検出装置7を備えている。なお、荷重検出装置7は、
図2~
図4において、図示されていない。
【0028】
荷重検出装置7は、例えば、本実施形態のように、二つ(
図5においては、一つのみ図示している)備えられていてもよい。具体的には、荷重検出装置7は、床部3及びベース部4の第2横方向D2の一端に配置されて第1弾性部5に働く荷重を検出する第1荷重検出装置7と、床部3及びベース部4の第2横方向D2の他端に配置されて第2弾性部6に働く荷重を検出する第2荷重検出装置(図示していない)とを備えている、という構成でもよい。
【0029】
特に限定されないが、本実施形態においては、第1及び第2荷重検出装置7の構成は、同じであるため、以下、第2横方向D2の一端に配置される第1荷重検出装置7(以下、単に「荷重検出装置」ともいう)について、
図5を参照しながら説明する。
【0030】
図5に示すように、荷重検出装置7は、第1端部8aがベース部4に固定される検出ロープ8と、床部3に取り付けられ、検出ロープ8が掛けられる床支持部9と、ベース部4に取り付けられ、検出ロープ8が掛けられるベース支持部10と、検出ロープ8の第2端部8bの変位量を検出する変位検出部11とを備えている。また、荷重検出装置7は、例えば、本実施形態のように、変位検出部11に検出される被検出部12と、検出ロープ8に張力を付与する張力付与部13とを備えていてもよい。
【0031】
張力付与部13は、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、弾性材とすることができる。そして、弾性材は、例えば、本実施形態ように、弦巻バネとし、当該弦巻バネは、伸長するように弾性変形した状態を維持されることによって、検出ロープ8に張力を付与する、という構成でもよい。
【0032】
被検出部12は、特に限定されないが、検出ロープ8の第2端部8bに固定されていてもよい。これにより、床部3に下向きの荷重が加えられ、弾性部5が上下方向D3に収縮するように弾性変形することによって、被検出部12は、検出ロープ8の第2端部8bと一体となって移動する。
【0033】
そして、変位検出部11が、被検出部12の変位量、即ち、検出ロープ8の第2端部8bの変位量を検出することによって、床部3に対する荷重を検出することができる。なお、特に限定されないが、変位検出部11は、例えば、本実施形態のように、床部3に対する荷重を検出するために、被検出部12との距離を検出する距離センサ(例えば、静電容量式距離センサ、光電式距離センサ)である、という構成でもよい。
【0034】
検出ロープ8は、伸縮しない(又は、伸縮し難い)構成であれば、特に限定されないが、例えば、金属(例えば、鉄鋼、ステンレス鋼)で形成されていてもよい。そして、検出ロープ8は、直線状のロープ縦成分8c及びロープ横成分8dと、曲線状のロープ掛け成分8eとを含んでいる。
【0035】
ロープ縦成分8cの一端は、床支持部9に接し、ロープ縦成分8cの他端は、ベース支持部10に接している。ロープ横成分8dの一端は、ベース支持部10に接し、ロープ横成分8dの他端は、ベース支持部10に接する、又は、検出ロープ8の端部8a,8bである。ロープ掛け成分8eは、支持部9,10に掛けられる部分であって、ロープ縦成分8c及びロープ横成分8d間に配置されている。
【0036】
床支持部9は、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、床部3(具体的には、第1床枠3c)に回転可能に取り付けられるシーブとしてもよい。また、ベース支持部10は、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、ベース部4(具体的には、第1ベース枠4a)に回転可能に取り付けられるシーブとしてもよい。
【0037】
ところで、床部3に対する荷重は、弾性部5の弾性変形に現れる。それに対して、複数の床支持部9及びベース支持部10は、第1横方向D1において、複数の弾性部5のそれぞれの位置に配置されている。具体的には、床支持部9及びベース支持部10の少なくとも一部は、第1横方向D1において、弾性部5が位置する領域に、配置されている。
【0038】
これにより、ロープ縦成分8cは、第1横方向D1において、複数の弾性部5のそれぞれの位置に配置されている。具体的には、ロープ縦成分8cは、少なくとも一部が第2横方向D2視において弾性部5と重なるように、配置されている。したがって、複数の弾性部5の弾性変形量が、検出ロープ8の第2端部8bの変位量に反映されるため、例えば、床部3に対する荷重の検出精度を高めることができる。
【0039】
しかも、ロープ縦成分8cは、上下方向D3に沿って延びている。具体的には、第1及び第2横方向D1,D2視において、ロープ縦成分8cが上下方向D3と交差する角度は、3°以下となっている。これにより、検出ロープ8の第2端部8bの変位量は、ベース部4に対する床部3の変位量、即ち、弾性部5の弾性変形量と、比例関係になる。したがって、例えば、床部3に対する荷重を正確に検出することができる。
【0040】
また、本実施形態においては、複数の床支持部9は、第1横方向D1において、複数の弾性部5のそれぞれの位置に一つずつ配置され、複数のベース支持部10は、第1横方向D1において、複数の弾性部5のそれぞれの位置に二つずつ配置されている。そして、検出ロープ8は、第1端部8aから第2端部8bへ向けて、ベース支持部10、床支持部9、ベース支持部10、ベース支持部10、床支持部9、ベース支持部10、ベース支持部10、床支持部9、ベース支持部10の順に、巻き掛けられている。
【0041】
これにより、ロープ縦成分8cは、第1横方向D1において、複数の弾性部5のそれぞれの位置に二つずつ配置されている。なお、床支持部9及びベース支持部10は、第1横方向D1において、弾性部5の位置のみに配置されており、これにより、ロープ縦成分8cは、第1横方向D1において弾性部5の位置のみに配置されている。
【0042】
また、床部3が剛性を有しているものの、床部3に大きな荷重が働くことによって、
図6に示すように、床部3が撓むように(例えば、
図6の二点鎖線のように)弾性変形する虞がある。それに対して、ロープ横成分8dの両端は、それぞれ床支持部9から離れている。これにより、床部3が弾性変形することによって、第1横方向D1で隣接する床支持部9,9間の距離が変化した(例えば、小さくなった)場合でも、ロープ横成分8dの長さL1が変化すること(例えば、小さくなること)を抑制することができる。
【0043】
したがって、例えば、床部3に対する荷重の検出精度を高めることができる。なお、本実施形態においては、ロープ横成分8dは、第2横方向D2視において、第1横方向D1に沿って(第1横方向D1と3°以下で交差するように)延びているが、例えば、第1横方向D1に対して傾斜して(3°よりも大きく傾斜して)延びていてもよい。
【0044】
このように、変位検出部11が、被検出部12の変位量、即ち、検出ロープ8の第2端部8bの変位量を検出し、例えば、制御部1g(
図1参照)は、第1及び第2荷重検出装置7の各変位検出部11の検出に基づいて、床部3に対する荷重を演算してもよい。そして、制御部1gは、演算した荷重に基づいて、例えば、かご装置2の走行(例えば、巻上機1cの駆動源)を制御してもよい。
【0045】
以上より、本実施形態に係るエレベータ1は、前記のエレベータかご装置2を備える。
【0046】
そして、本実施形態のように、エレベータかご装置2は、人が載る床部3と、前記床部3よりも下方に配置されるベース部4と、第1横方向D1に並べられ、前記床部3と前記ベース部4とを接続する複数の弾性部5,6と、前記床部3に対する荷重を検出する荷重検出装置7と、を備え、前記荷重検出装置7は、第1端部8aが前記床部3又は前記ベース部4(本実施形態においては、ベース部4)に固定される検出ロープ8と、前記床部3に取り付けられ、前記検出ロープ8が掛けられる床支持部9と、前記ベース部4に取り付けられ、前記検出ロープ8が掛けられるベース支持部10と、前記検出ロープ8の第2端部8bの変位量を検出する変位検出部11と、を備える、という構成が好ましい。
【0047】
斯かる構成によれば、検出ロープ8の第1端部8aは、床部3又はベース部4に固定され、検出ロープ8は、床部3に取り付けられる床支持部9と、ベース部4に取り付けられるベース支持部10とに掛けられている。そして、変位検出部11が、検出ロープ8の第2端部8bの変位量を検出するため、検出ロープ8の第2端部8bの変位量に基づいて、床部3に対する荷重を検出することができる。
【0048】
また、本実施形態のように、エレベータかご装置2においては、前記検出ロープ8は、一端が前記床支持部9に接し且つ他端が前記ベース支持部10に接するロープ縦成分8cを含み、前記ロープ縦成分8cは、上下方向D3に沿って延びる、という構成が好ましい。
【0049】
斯かる構成によれば、ロープ縦成分8cが上下方向D3に沿って延びているため、検出ロープ8の第2端部8bの変位量は、ベース部4に対する床部3の変位量と比例関係になる。これにより、ベース部4に対する床部3の変位に基づいて、床部3に対する荷重を正確に検出することができる。
【0050】
また、本実施形態のように、エレベータかご装置2においては、前記床支持部9は、複数備えられ、且つ、前記第1横方向D1において、前記複数の弾性部5のそれぞれの位置に配置され、前記ベース支持部10は、複数備えられ、且つ、前記第1横方向D1において、前記複数の弾性部5のそれぞれの位置に配置され、前記ロープ縦成分8cは、前記第1横方向D1において、前記複数の弾性部5のそれぞれの位置に配置される、という構成が好ましい。
【0051】
斯かる構成によれば、床部3に対する荷重が弾性部5の弾性変形に現れることに対して、ロープ縦成分8cは、第1横方向D1において、複数の弾性部5のそれぞれの位置に配置されている。これにより、複数の弾性部5の弾性変形量は、検出ロープ8の第2端部8bの変位量に反映される。
【0052】
また、エレベータかご装置2においては、前記検出ロープ8は、前記第1横方向D1へ延びるロープ横成分8dを備え、複数の前記床支持部9は、前記第1横方向D1において、前記複数の弾性部5のそれぞれの位置に一つずつ配置され、複数の前記ベース支持部10は、前記第1横方向D1において、前記複数の弾性部5のそれぞれの位置に二つずつ配置され、前記検出ロープ8の前記第1端部8aは、前記ベース部4に固定され、前記ロープ縦成分8cは、前記第1横方向D1において、前記複数の弾性部5のそれぞれの位置に二つずつ配置され、前記ロープ横成分8dの少なくとも一端は、前記ベース支持部10に接し、前記ロープ横成分8dの両端は、それぞれ前記床支持部9から離れる、という構成が好ましい。
【0053】
斯かる構成によれば、検出ロープ8の第1端部8aは、ベース部4に固定され、ロープ横成分8dの少なくとも一端は、ベース支持部10に接し、ロープ横成分8dの両端は、それぞれ床支持部9から離れている。これにより、例えば、床部3が弾性変形し、第1横方向D1で隣接する床支持部9,9間の距離が変化した場合に、ロープ横成分8dの長さが変化することを抑制することができる。
【0054】
なお、エレベータ1及びエレベータかご装置2は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1及びエレベータかご装置2は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0055】
(1)上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、床支持部9及びベース支持部10は、回転可能なシーブである、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。
【0056】
例えば、
図7及び
図8に示すように、床支持部9は、床部3に不動に固定される環状部材であり、ベース支持部10は、ベース部4に不動に固定される環状部材である、という構成でもよい。
図7及び
図8に係る荷重検出装置7においては、検出ロープ8が床支持部9及びベース支持部10の表面をスライドすることによって、検出ロープ8の第2端部8bは、変位する。
【0057】
(2)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、張力付与部13は、弾性材である、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、
図9に示すように、張力付与部13は、検出ロープ8の第2端部8bに固定される錘である、という構成でもよい。
【0058】
斯かる構成においては、特に限定されないが、
図9に示すように、変位検出部11が錘との距離を検出することによって、検出ロープ8の第2端部8bの変位量を検出する、という構成でもよい。即ち、変位検出部11に検出される被検出部12は、錘13である、という構成でもよい。
【0059】
(3)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、検出ロープ8の第1端部8aは、ベース部4に固定される、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、
図10及び
図11に示すように、検出ロープ8の第1端部8aは、床部3に固定される、という構成でもよい。
【0060】
(4)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、全てのロープ横成分8dの少なくとも一端は、ベース支持部10に接し、全てのロープ横成分8dの両端は、それぞれ床支持部9から離れる、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。
【0061】
例えば、
図10に示すように、全てのロープ横成分8dの少なくとも一端は、床支持部9に接し、全てのロープ横成分8dの両端は、それぞれベース支持部10から離れる、という構成でもよい。また、例えば、
図11に示すように、一部のロープ横成分8dの少なくとも一端は、床支持部9に接し、当該一部のロープ横成分8dの両端は、それぞれベース支持部10から離れ、そして、他のロープ横成分8dの少なくとも一端は、ベース支持部10に接し、当該他のロープ横成分8dの両端は、それぞれ床支持部9から離れる、という構成でもよい。
【0062】
(5)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、ロープ縦成分8cは、第1横方向D1において、複数の弾性部5のそれぞれの位置に二つずつ配置される、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、
図11に示すように、ロープ縦成分8cは、第1横方向D1において、複数の弾性部5のそれぞれの位置に一つずつ配置される、という構成でもよい。
【0063】
(6)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、荷重検出装置7は、二つ備えられている、即ち、エレベータかご装置2は、第1弾性部5に働く荷重を検出する第1荷重検出装置7と、第2弾性部6に働く荷重を検出する第2荷重検出装置7とを備える、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。
【0064】
例えば、
図12に示すように、エレベータかご装置2は、荷重検出装置7を一つ備えており、当該荷重検出装置7は、第1弾性部5に働く荷重と第2弾性部6に働く荷重とを検出する、という構成でもよい。例えば、
図12に示すように、検出ロープ8は、第1端部8aを含み且つ第2弾性部6に働く荷重を検出する第1ロープ部8fと、第2端部8bを含み且つ第1弾性部5に働く荷重を検出する第2ロープ部8gと、第1ロープ部8fと第2ロープ部8gとを接続する接続ロープ部8hとを備えていてもよい。
【0065】
(7)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、ロープ縦成分8cは、上下方向D3に沿って延びる、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、ロープ縦成分8cは、上下方向D3に対して傾斜して(3°よりも大きく傾斜して)延びる、という構成でもよい。
【0066】
(8)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、一つの荷重検出装置7に対して、床支持部9、ベース支持部10、及びロープ縦成分8cは、複数備えられる、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、
図13及び
図14に示すように、一つの荷重検出装置7に対して、床支持部9、ベース支持部10、及びロープ縦成分8cの少なくとも一つ(
図13においては、床支持部9)は、一つだけ備えられる、という構成でもよい。
【0067】
(8)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、床支持部9、ベース支持部10、及びロープ縦成分8cは、第1横方向D1において、複数の弾性部5のそれぞれの位置に配置される、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。
【0068】
例えば、
図13に示すように、床支持部9、ベース支持部10、及びロープ縦成分8cの少なくとも一つ(
図13においては、床支持部9、一方のベース支持部10、及びロープ縦成分8c)は、第1横方向D1において、弾性部5から離れた位置に配置される、という構成でもよい。
【0069】
(9)また、エレベータかご装置2においては、
図13に示すように、前記床部3は、前記床部3の前記第1横方向D1の端部に対する前記複数の弾性部5の位置の平均の位置(以下、「中心位置」ともいう)P1を含む中心部3hを備え、前記床支持部9は、前記第1横方向D1において、前記中心部3hの位置に配置され、前記ベース支持部10は、前記第1横方向D1において、前記中心部3hの位置に配置され、前記ロープ縦成分8cは、前記第1横方向D1において、前記中心部3hの位置に配置される、という構成でもよい。
【0070】
斯かる構成によれば、床部3に対する荷重が、ベース部4に対する床部3の中心部3hの変位に現れることに対して、ロープ縦成分8cは、第1横方向D1において、中心部3hの位置に配置されている。これにより、例えば、床部3に対する荷重の検出精度を高めることができる。
【0071】
なお、床部3の中心部3hとは、中心位置P1から第1横方向D1の距離が床部3の第1横方向D1の長さ(全長)の10%以下となる部分である。また、ロープ縦成分8cは、第1横方向D1において、床部3の中心部3hの位置のみに配置されている。
【0072】
ここで、中心位置P1について、
図14を参照しながら説明する。
【0073】
床部3aの第1横方向D1の端部(具体的には、第1床枠3cの端部)に対する中心位置P1の距離L2と、床部3の第1横方向D1の端部に対する各弾性部5の中心位置の距離L2a~L2nとは、以下のような関係式となる。
L2=(L2a+L2b+・・・+L2n)/n
【0074】
例えば、
図13及び
図14においては、一つの荷重検出装置7に対して、弾性部5が三つ備えられているため、以下のような関係式となる。
L2=(L2a+L2b+L2c)/3
【符号の説明】
【0075】
1…エレベータ、1a…かごロープ、1b…釣合錘、1c…巻上機、1d…綱車、1e…かごレール、1f…錘レール、1g…制御部、1h…調速機、1i…ガバナロープ、1j…ガバナシーブ、1k…把持部、2…エレベータかご装置、2a…停止装置、2b…伝達部、2c…かご室、2d…かご枠、3…床部、3a…床枠部、3b…床板部、3c…第1床枠、3d…第2床枠、3e…第3床枠、3f…第4床枠、3g…補強材、3h…中心部、4…ベース部、4a…第1ベース枠、4b…第2ベース枠、4c…第3ベース枠、4d…第4ベース枠、5…第1弾性部、6…第2弾性部、7…荷重検出装置、8…検出ロープ、8a…第1端部、8b…第2端部、8c…ロープ縦成分、8d…ロープ横成分、8e…ロープ掛け成分、8f…第1ロープ部、8g…第2ロープ部、8h…接続ロープ部、9…床支持部、10…ベース支持部、11…変位検出部、12…被検出部、13…張力付与部、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向、X1…昇降路、X2…機械室