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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106142
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】調光フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/139 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
G02F1/139
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000931
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀川 喜美雄
【テーマコード(参考)】
2H088
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088GA10
2H088HA05
2H088HA10
2H088MA01
2H088MA20
(57)【要約】
【課題】高い質感を備えた調光フィルムを提供する。
【解決手段】透明フィルム7の表面に透明導電膜8形成した一対の透明導電フィルム10の透明導電膜側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱状態を変化させることが可能な調光層9を挟持した調光フィルム3の少なくとも一方の面に、意匠性を高めることと、光の反射または散乱状態を変化させることの、いずれか一方か、両方を実施可能な表面層11が備えられていることを特徴とする調光フィルム20。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明フィルムの表面に透明導電膜を形成した一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱状態を変化させることが可能な調光層を挟持した調光フィルムの少なくとも一方の面に、意匠性を高めることと、光の反射または散乱状態を変化させることの、いずれか一方か、両方を実施可能な表面層が備えられていることを特徴とする調光フィルム。
【請求項2】
前記表面層が、光学的表面処理層と表面加飾層から選択されたいずれか一方からなる第1表面層、または、両方が同一面上に併存または積層された第2表面層、からなることを特徴とする請求項1に記載の調光フィルム。
【請求項3】
請求項2に記載の前記第1表面層または前記第2表面層、の少なくとも一部に、更にそれらの表面層の機能を抑制する層が形成されていることを特徴とする調光フィルム。
【請求項4】
前記光学的表面処理層がアンチグレアフィルムからなることを特徴とする請求項2または3に記載の調光フィルム。
【請求項5】
請求項4に記載のアンチグレアフィルムの表面の少なくとも一部に、更にアクリル樹脂層が形成されていることを特徴とする調光フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い質感を備えた調光フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
図5に例示したように、調光フィルム3は、透明フィルム7の表面に透明導電膜8を形成した一対の透明導電フィルム10の透明導電膜8側を内側にして、調光層9を挟持することによって得た積層体からなる光学素子である(例えば、特許文献1参照)。調光フィルム3の一対の透明導電膜8間に印加される電圧に対応して調光層9の光の散乱度が変化するため、調光フィルム3の透明、不透明を切り替える事が可能となる。
【0003】
調光フィルムのこのような特性を活かした応用商品として、オフィスの打合せスペースに設置される透明、不透明の切替えが可能な衝立てや、事務所内と通路の間に設けられる窓ガラスに貼り合わせることにより視界制御を可能とした窓、および建物の窓に設け、室内の明るさを調整可能とする採光部材、などへの展開が進められている。
【0004】
そのような中、調光フィルムの応用展開が進められているなかで、調光フィルムの光学素子としての機能に加えて、高い質感が求められるニーズも出てきている。
【0005】
しかしながら、従来の調光フィルムは、調光フィルムの機能やコスト面が最優先されているため、質感に配慮した調光フィルムを入手することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5359276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の事情に鑑み、本発明は、高い質感を備えた調光フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第1の態様は、透明フィルムの表面に透明導電膜を形成した一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱状態を変化させることが可能な調光層を挟持した調光フィルムの少なくとも一方の面に、意匠性を高めることと、光の反射または散乱状態を変化させることの、いずれか一方か、両方を実施可能な表面層が備えられていることを特徴とする調光フィルムである。
【0009】
また、第2の態様は、前記表面層が、光学的表面処理層と表面加飾層から選択されたいずれか一方からなる第1表面層、または、両方が同一面上に併存または積層された第2表面層、からなることを特徴とする第1の態様に記載の調光フィルムである。
【0010】
また、第3の態様は、第2の態様に記載の前記第1表面層または前記第2表面層、の少なくとも一部に、更にそれらの表面層の機能を抑制する層が形成されていることを特徴とする調光フィルムである。
【0011】
表面層の機能を抑止する層とは、例えば、第1表面層が反射防止層である場合、反射防
止機能を抑制することができる層である。例えば、高反射率層が該当する。そのような層を絵柄的に形成すれば意匠性を高め、質感を向上させることができる。第2表面層においても同様である。
【0012】
また、第4の態様は、前記光学的表面処理層がアンチグレアフィルムからなることを特徴とする第2の態様または第3の態様に記載の調光フィルムである。
【0013】
また、第5の態様は、第4の態様に記載のアンチグレアフィルムの表面の少なくとも一部に、更にアクリル樹脂層が形成されていることを特徴とする調光フィルムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の調光フィルムは、透明フィルムの表面に透明導電膜を形成した一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱状態を変化させることが可能な調光層を挟持した従来の調光フィルムの少なくとも一方の面に、意匠性を高めることと、光の反射または散乱状態を変化させることの、いずれか一方か、両方を実施可能な表面層が形成された構成となっている。この表面層によって、高い質感を備えた調光フィルムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の調光フィルムの層構成を例示した断面説明図。
図2】本発明の調光フィルムの層構成を例示した断面説明図。
図3】本発明の調光フィルムの構成要素である第1表面層と第2表面層の構成を説明する断面説明図。
図4】本発明の調光フィルムと従来の調光フィルムの層構成の違いを例示した断面説明図であって、(a)と(b)は本発明の調光フィルムの、(c)は従来の調光フィルム、を示している。
図5】調光フィルムの層構成を例示した断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の調光フィルムについて説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態における調光フィルムの層構成を図1(a)に例示した。
【0018】
本発明の第1の実施形態における調光フィルム20は、透明フィルム7の表面に透明導電膜8を形成した一対の透明導電フィルム10の透明導電膜8側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱状態を変化させることが可能な調光層9を挟持した調光フィルム3(図5参照)の少なくとも一方の面に、意匠性を高めることと、光の反射または散乱状態を変化させることの、いずれか一方か、両方を実施可能な表面層11が、粘着層4を介して備えられている。
【0019】
意匠性を高めることと、光の反射または散乱状態を変化させることの、いずれか一方か、両方を実施可能な表面層11を調光フィルム3の表面に備えることにより、調光フィルム3だけの場合より高い質感を備えさせることができる。それは、単なる樹脂フィルムの質感であったものが、高級感が漂う意匠性が高い絵柄や、または周囲とは異なる表面の艶消し状態や低反射状態を備えた表面によって演出可能とすることが可能となるからである。
【0020】
表面層11は、図2に例示したように、光学的表面処理層と表面加飾層から選択されたいずれか一方からなる第1表面層11-1、または、両方が同一面上に併存または積層さ
れた第2表面層11-2、から構成することができる。
【0021】
第1表面層11-1は、図3(a)に例示したように、光学的表面処理層12または表面加飾層13のいずれかのベタ層で構成することができる。そのため、光学的表面処理層12の場合には、例えば、反射率が低いことによる質感の向上はあるが、絵柄的には比較的に単純なものとなる。一方、表面加飾層13は、意匠性を高める印刷絵柄を自由に選択できるため、高い意匠性を得ることが可能である。
【0022】
光学的表面処理層12とは、光の反射防止フィルムのような反射防止機能やアンチグレアフィルム(AGフィルム)のような光散乱機能を備えた層である。また、構造色を備えた層であっても良い。調光フィルム20の表面が、このような反射防止機能や光散乱機能を備えることにより、従来の単なる透明フィルムの表面とは違う質感を作りだすことが可能となり、高級感を演出することに繋げることができる。
【0023】
また、表面加飾層13とは、例えば、各種の幾何学的な柄や、自然物の表面形態や、風景写真などの印刷物を挙げることができる。このような表面加飾層13を形成することで、直接的に意匠性を高め、ひいては質感を高めることが可能である。表面加飾層13は、反射防止層、光散乱層、構造色層などの光学的表面処理層12を用いた柄などとして形成することも可能である。
【0024】
また、第2表面層11-2は、図3(b)に例示したように、光学的表面処理層12と表面加飾層13を、同一面上に併存させた第2表面層11-2-1とすることができる。
【0025】
同一面上に併存させた第2表面層11-2-1としては、例えば、単純な形状により光学的表面処理層を形成し、それに隣接させて表面加飾層を形成することで得ることができる。更には、意匠性が高い形状により形成することも可能となるため、高い意匠性を備えることができる。
【0026】
また、第2表面層11-2は、図3(c)に例示したように、光学的表面処理層12と表面加飾層13を積層させた第2表面層11-2-2とすることができる。
【0027】
積層させた第2表面層11-2-2としては、例えば、表面加飾層を下地に形成し、その上に光学的表面処理層を形成した構成とすることができる。この様な構成では、表面加飾層の高い意匠性と、表面の低反射効果または光散乱による艶消し効果と、を兼ね備えた高い質感を演出することが可能となる。
【0028】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態における調光フィルムの層構成を図1(b)に例示した。
【0029】
本発明の第2の実施形態における調光フィルム30は、第1の実施形態における調光フィルム20における表面層11の少なくとも一部に、更にそれらの表面層11(すなわち第1表面層11-1または第2表面層11-2)の機能を抑制する層14が形成されている。層14は、直接的に表面層11の表面に形成されていても良いし、接着層を介して表面層11の表面に備えられていても良い。
【0030】
表面層の機能を抑制する層14が、表面層11の少なくとも一部に形成した構成とすることにより、更に意匠性を高め、高級感を演出する可能性を増やすことができるようになる。
【0031】
(透明フィルム)
透明導電フィルム10に使用する透明フィルム7としては、電気的に高い絶縁性を備え、可視光領域において80%以上の透過率を備えた材料である事が好ましい。更に、フィルムを容易に形成可能なフレキシブルな材料である事が好ましい。この様な材料としては、各種の透明樹脂を挙げる事ができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムを好適に使用する事ができる。
【0032】
(透明導電膜)
透明導電フィルム10に使用する透明導電膜8の材料としては、高い導電性と、可視光領域において80%以上の透過率を備えた材料である事が好ましい。その様な材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化錫、AZO(アルミニウムをドープした酸化亜鉛)、GZO(ガリウムをドープした酸化亜鉛)などを挙げる事ができる。なお、透明電極とは、透明導電膜をエッチング加工などによりパターニングしたものである。
【0033】
(調光層)
調光層9の材料としては、光の散乱状態や光の透過率を制御可能な材料であれば特に限定する必要は無い。例えば、近年、調光フィルムとして利用がされ始めている高分子液晶材料を使用した液晶調光層を好適に使用する事ができる。この液晶調光層には、電圧を印加した状態で透明になり、電圧を印加していない状態では不透明となるノーマルモードと、その逆に、電圧を印加した状態で不透明になり、電圧を印加していない状態では透明となるリバースモードの液晶調光層を用いたものが市販されている。本発明においては、何れであっても構わない。
【0034】
(光学的表面処理層)
光学的表面処理層12は、表面処理によってフィルムやシート材の表面の光学的な特性を変化された層である。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの透明樹脂フィルムの表面に多層干渉層を形成することにより反射防止膜を形成する成膜処理が該当する。また、凹版の凹部に紫外線硬化型樹脂を充填した後、その版面にPETフィルムなどを密着させた状態で、フィルム側から紫外線照射することにより紫外線硬化型樹脂を硬化させた状態で、版とフィルムを引き剥がすことにより、凹部に充填された紫外線硬化型樹脂をフィルムに転写する方法や、凸版の凸部をフィルムに押圧した状態でフィルムの軟化温度以上に加熱することで、凸版の凸形状をフィルムに転写する事ができる。このような方法でフィルム表面を艶消しする防眩処理(AG処理、アンチグレア処理)を行うことができる。更には、微細構造を形成することや構造色塗料を塗布することにより、構造色を発現するようにする事も可能である。
以上のように、フィルムなどの表面に薄膜を形成することや、微細な型を用いてその構造をフィルムに転写することや、塗料を塗布することなどの処理によって、表面反射率や、表面の光散乱度、表面の色などの光学的な特性を変化させる処理によって形成した層を指す。
【0035】
(表面加飾層)
表面加飾層13は、調光フィルムの表面に意匠性を付与する層を形成することにより形成された層である。意匠性を付与できる層であれば特に限定する必要は無い。例えば、単なる通常の印刷インキを印刷することにより調光フィルムの表面に形成した意匠性が高い絵柄模様や幾何学的な図形、更には風景などを挙げることができる。また、その様な印刷物に使用するインキとして、透明性が高いインキを用いることで、調光フィルムの調光機能へのダメージを低減することができる。また、蛍光インキや構造色を発現するインキを使用することにより、特殊な意匠的な効果を付与することも可能である。
【0036】
(表面層)
図2に例示したように、本発明の調光フィルム20において、表面層11は、第1表面層11-1または第2表面層11-2とすることができる。調光フィルム30(図1(b))においても同様である。
【0037】
第1表面層11-1は、図3(a)に例示したように、光学的表面処理層12と表面加飾層13から選ばれたいずれか一方から構成された層である。すなわち、光学的表面処理層12だけが形成された層である場合は、反射防止膜、アンチグレア(防眩)膜、構造色層などのいずれかの膜や層が形成された表面層となる。そのため、低反射表面、艶消し表面或いは構造色を呈する表面などが形成され、それぞれ特色のある質感を持った調光フィルムとなる。
【0038】
第2表面層11-2は、光学的表面処理層12と表面加飾層13を組み合わせて構成された層である。
【0039】
図3(b)に例示した第2表面層11-2-1は、調光フィルムの表面上に、光学的表面処理層12と表面加飾層13が併存した構成を備えた表面層である。光学的表面処理層12と表面加飾層13とが毛抜き合わせに備えられ、調光フィルムの表面を完全に両者で被覆した構成としても良いし、光学的表面処理層12と表面加飾層13とが離散的に備えられていても良い。或いは両者の境界領域に隙間が形成された構成としても良い。この様な光学的表面処理層12と表面加飾層13が併存した構成により、独特な意匠性を備えることが可能となり、高い質感を備えた調光フィルムとすることが可能となる。
【0040】
図3(c)に例示した第2表面層11-2-2は、調光フィルムの表面上に、表面加飾層13が形成され、その上に光学的表面処理層12が形成された積層構造からなる表面層である。調光フィルムの表面上に、光学的表面処理層12が形成され、その上に表面加飾層13が形成された積層構造としても良い。この様な光学的表面処理層12と表面加飾層13が積層された構成により、独特な意匠性を備えることが可能となり、高い質感を備えた調光フィルムとすることが可能となる。
【0041】
(表面層の機能を抑制する層)
表面層の機能を抑制する層14は、文字通り、表面層の機能である、反射防止機能、艶消し機能(表面の光散乱機能)、構造色を発現する機能、などを抑制する層である。
【0042】
反射防止機能を抑制する層としては、反射防止機能がどのような原理で発現しているかによって異なる層が必要となる。例えば、反射防止機能が透明な薄膜の多層干渉層からなる場合は、複数の透明、且つ異なる屈折率を備えた層の膜厚を正確に設定して反射防止機能を設計している。そのため、反射防止機能を抑制する層としては、その低反射を実現している多層干渉層の特性を劣化させる層となる。例えば、反射防止膜が、低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の3層構成である場合、最表面に反射防止膜の低反射性を劣化させることができる屈折率と膜厚の層を付加することにより、低反射率ではない部分を形成する事が可能である。
【0043】
同様に、艶消し機能(表面の光散乱機能)を抑制する層としては、表面の光散乱機能は通常、表面に形成する微細な凹凸構造によって発現しているため、微細な凹凸構造を削除することにより艶消し機能を抑制することができる。微細な凹凸構造を削除する方法としては、例えば凹凸構造を形成している材料の屈折率と同等の屈折率を持った材料を用いて凹凸構造を埋め込む方法がある。例えば、調光フィルムに使用されている透明フィルムと同等の屈折率を持つ材料を使用して凹凸構造の上から塗布すれば良い。
【0044】
また、構造色を抑制する層としては、遮光性の層とすれば良い。
【実施例0045】
次に、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
図4(a)に示した構成の調光フィルムを作製した。従来の調光フィルム3の一方の面に、接着層4を介してAG(アンチグレア、防眩性)フィルム5の基材フィルム側を、厚さ30μmの粘着層4を介して接着することにより、実施例1における調光フィルムを得た。なお、調光フィルム3の厚さは120μm、AGフィルムの厚さは65μm、ヘイズは30%、のものを使用した。
【0046】
この様にして得た調光フィルムの不透明時と透明時の全光線透過率とヘイズを測定した。測定には、ヘーズメーター NDH 7000SP II(日本電色工業株式会社製)を使用した。
【0047】
不透明時の全光線透過率は79%、ヘイズは99%だった。透明時の全光線透過率は89%、ヘイズは5%だった。
【0048】
<実施例2>
図4(b)に示した構成の調光フィルムを作製した。実施例1の構成に加えて、更にAGフィルム5の表面にアクリル樹脂層6を形成した構成とした。
【0049】
この様にして得た調光フィルムの不透明時と透明時の全光線透過率とヘイズを測定した。
【0050】
不透明時の全光線透過率は79%、ヘイズは98%だった。透明時の全光線透過率は86%、ヘイズは41%だった。
【0051】
<比較例1>
図4(c)に示した従来の調光フィルム3を比較例1の調光フィルムとした。
【0052】
調光フィルム3の不透明時の全光線透過率は77%、ヘイズは98%だった。透明時の全光線透過率は84%、ヘイズは20%だった。
【0053】
以上の測定結果をまとめて表1に示した。
【0054】
【表1】
【0055】
<測定結果に関する検討>
表1に得られた全光線透過率とヘイズの測定結果を用いて、不透明時と透明時の実施例1と比較例1および実施例2と実施例1の差を算出し、表2に示した。
【0056】
【表2】
【0057】
実施例1と比較例1の差は、全光線透過率については、不透明時は0、透明時は-3、であった。ヘイズについては、不透明時は-1、透明時は-36、であった。
実施例2と実施例1の差は、全光線透過率については、不透明時は-2、透明時は-2、であった。ヘイズについては、不透明時は0、透明時は-21、であった。
【0058】
実施例1と比較例1の差から分かるように、調光フィルムにAGフィルムを貼合することで、調光フィルムのへイズは上昇した。
また、実施例2と実施例1の差から分かるように、AGフィルムの表面を平坦化処理することにより、平坦化された箇所のへイズが下がり、そのヘイズ変化量は透明時に顕著に表れることが確認された。
【0059】
以上から、従来の調光フィルムに、光学的表面処理層の1種であるAGフィルムを貼付することにより調光フィルムのヘイズを上昇させる効果があり、更に、貼付したAGフィルムの表面にアクリル樹脂層を塗布することにより、調光フィルムのヘイズを低下させる効果がある事が分かった。これらを利用することにより、調光フィルムに意匠性を付与することが可能となり、意匠性を付与することにより、より高い質感を得られる可能性が広がることが分かった。
【符号の説明】
【0060】
3・・・(従来の)調光フィルム
4・・・粘着層
5・・・AGフィルム
6・・・アクリル樹脂
7・・・透明フィルム
8・・・透明導電膜
9・・・調光層
10・・・透明導電フィルム
11・・・表面層
11-1・・・第1表面層
11-2・・・第2表面層
12・・・光学的表面処理層
13・・・表面加飾層
14・・・表面層の機能を抑制する層
20、30・・・(質感を高めた)調光フィルム
図1
図2
図3
図4
図5