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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106143
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】名札
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/16 20060101AFI20220711BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20220711BHJP
   G09F 7/00 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
G09F13/16 M
H02M7/48 Z
G09F7/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000932
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長井 暁子
【テーマコード(参考)】
5C096
5H770
【Fターム(参考)】
5C096AA14
5C096AA22
5C096AA23
5C096AA27
5C096BA03
5C096CA02
5C096CA34
5C096CB03
5C096CJ01
5C096CJ13
5C096DC19
5C096DC29
5C096DD02
5C096FA14
5C096FA20
5H770DA01
5H770DA11
5H770QA24
(57)【要約】
【課題】低価格に、平常時は個人情報を非表示にする秘匿性を有し、緊急時は個人情報を表示する利便性も持った名札を提供することを目的とする。
【解決手段】情報表示部と、前記情報表示部が格納されるケースと、調光部と、駆動回路部と、前記駆動回路部を動作させるスイッチと、からなり、前記調光部は、多重に折り畳んだ調光フィルムと、前記調光フィルムの折返し領域に挿置される芯棒と、を有することを特徴とする名札。前記芯棒は、前記調光フィルムよりも柔らかい素材であってもいい。前記駆動回路部は、昇圧回路を有し、前記昇圧回路は、複数のトランスからなり、各トランスの1次側を並列に接続し、前記トランスの2次側を直列に接続してもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報表示部と、
前記情報表示部が格納されるケースと、調光部と、駆動回路部と、前記駆動回路部を動作させるスイッチと、からなり、
前記調光部は、多重に折り畳んだ調光フィルムと、前記調光フィルムの折返し領域に挿置される芯棒と、を有することを特徴とする名札。
【請求項2】
前記芯棒は、前記調光フィルムよりも柔らかい素材であることを特徴とする請求項1に記載の名札。
【請求項3】
前記駆動回路部は、昇圧回路を有し、
前記昇圧回路は、複数のトランスからなり、各トランスの1次側を並列に接続し、前記トランスの2次側を直列に接続することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の名札。
【請求項4】
前記スイッチは、前記ケース表面内に形成された凹部内に設けられることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の名札。
【請求項5】
前記スイッチは、前記ケース表面内に、互いに離間して2か所以上設けられており、
前記駆動回路部は、すべての前記スイッチが同時に動作したときのみ、前記調光フィルムを駆動させることを特徴とする、請求項1から請求項4いずれか1項に記載の名札。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
平常時は個人情報を非表示にし、緊急時は個人情報を表示する名札に関する。
【背景技術】
【0002】
子供が身に着ける緊急時用の名札には住所氏名が記載されているが、その個人情報が常時見えていると犯罪に繋がる危険性がある。
【0003】
そこで特許文献1では、緊急時用の名札に個人情報は表示せず、個人情報格納用の無線ICタグを設け、非常時に無線ICタグの個人情報を読み出せるようにした。しかし、無線ICタグの情報を読み出す装置とそれを配備する体制にコストがかかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3170295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
低価格に、平常時は個人情報を非表示にする秘匿性を有し、緊急時は個人情報を表示する利便性も持った名札を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の態様は、情報表示部と、前記情報表示部が格納されるケースと、調光部と、駆動回路部と、前記駆動回路部を動作させるスイッチと、からなり、前記調光部は、多重に折り畳んだ調光フィルムと、前記調光フィルムの折返し領域に挿置される芯棒と、を有することを特徴とする名札である。
【0007】
前記芯棒は、前記調光フィルムよりも柔らかい素材であってもいい。
【0008】
前記駆動回路部は、昇圧回路を有し、前記昇圧回路は、複数のトランスからなり、各トランスの1次側を並列に接続し、前記トランスの2次側を直列に接続してもよい。
【0009】
前記スイッチは、前記ケース表面内に形成された凹部内に設けられてもいい。
【0010】
前記スイッチは、前記ケース表面内に、互いに離間して2か所以上設けられていて、
前記駆動回路部は、すべての前記スイッチが同時に動作したときのみ、前記調光フィルムを駆動させてもいい。
【発明の効果】
【0011】
低価格に、平常時は個人情報を非表示にする秘匿性を有し、緊急時は個人情報を表示する利便性も持った名札を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態における名札の構成を説明する模式的斜視図である。 図1(a)は組み立てるときの模式的構成図、 図1(b)は模式的外観斜視図。
図2】本発明の実施形態における名札の調光フィルムの折り畳み構造を示す模式的断面図である。
図3】本発明の実施形態における名札の昇圧回路が4個のトランスで構成された例を説明する回路図である。
図4】本発明の実施形態における名札のスイッチがケースの凹みの中に設けられたことを模式的に説明する図である。図4(a)は模式的外観斜視図、図4(b)はスイッチのボタン位置だけを模式的に説明する図4(a)のAA断面図。
図5】本発明の実施形態における名札のスイッチが複数設けられた例を模式的に説明する図である。
図6】調光フィルムの重ね合わせ方のいくつかの例を模式的に示す図である。図6(a)は複数枚を重ねる場合の模式的斜視図、図6(b)は1枚の調光フィルムを折り曲げ、多重に折り畳んだ場合の模式的斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の名札の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態における名札の構成を説明する模式的斜視図であり、図1(a)は組み立てるときの模式的構成図、図1(b)は模式的外観斜視図である。
【0014】
<調光フィルム折り畳み構造>
図2は本発明の実施形態における名札100の調光フィルム3の折り畳み構造を示す模式的断面図である。
【0015】
図1に示すように、名札100は、ユーザの情報が記載された情報表示部1と、情報表示部1が格納されるケース2と、後述する構造を有する調光部50と、昇圧回路10を含む駆動回路部11と、表示をON/OFFするスイッチ20からなる。
【0016】
前記調光部50は、多重に折り畳んだ調光フィルム3で構成され、その折返し領域30で柔らかい素材の芯棒32を抱き込む構造を有する。ここで、柔らかい素材、とは少なくとも調光フィルムよりも低い硬度を有している素材を意味する。具体的に柔らかい素材としては、発泡オレフィン系樹脂等が例示される。
【0017】
個人情報を有する情報表示部の前に、調光フィルムを設け、平常時は、調光フィルムを不透明状態とし情報表示部の情報を見えないようにし、非常時には調光フィルムが透明になることにより情報表示部の情報を見えるようにすることを発明者は鋭意検討してきた。
【0018】
調光フィルムは、複数の液晶分子と樹脂とを含む調光層と、調光層を挟む2つの電極層とを備え、電極層を通じて調光層に印加される電圧の大きさが変わることによって、調光層における透過率が変わるものである。
【0019】
調光フィルムが1枚であると、平常時であって情報表示部の情報を秘匿にしたい場合でも、調光フィルムの不透明性は完全に不透明とすることができず、少し透けてしまうことにより情報表示部の情報が秘匿できないという不具合があった。
【0020】
そこで、発明者は調光フィルムを複数枚重ね合わせた調光部を形成し、平常時の調光部による不透明性を確保することを検討した。図6に調光部における調光フィルムの重ね合わせ方のいくつかの例を模式的に示す図を示す。図6(a)は、調光フィルムを例として3枚を重ねる場合の模式的斜視図であるが、調光フィルム1枚の両側に接続電極を付けるので、計6組の接続電極を実装されることとなるためコストが嵩み、かつ配線も複雑になる。これに対して図6(b)に示す調光部のように、長尺状の単枚の調光フィルムを折り曲げ、多重に折り畳む構成をとる。これによれば、調光フィルムの不透明性の効果を重畳し、調光部の不透明度、換言すればHaze値を向上させることが可能になり、かつ接続電極が2組だけですむため、配線取り回しが容易になり、コスト減を図れる。
【0021】
調光フィルム3を、図6(b)で示されるように折返し領域30における折り曲げ角が鋭角になるように折り曲げると、調光フィルム3に与えるストレスが大きくなり、調光フィルム3を壊し、所望時に調光部の不透明性を発現することができないという機能不全に陥るおそれがある。そこで、図2で示されるように折返し領域30では、調光フィルム3を柔らかい素材の芯棒32を抱き込む調光部50の構造にすると、芯棒の長手方向に垂直な断面形状は、円に近くなり、折返し領域30における折り曲げ角が、鋭角ではなくなり、調光フィルム3に与えるストレスが弱く、調光フィルム3を壊さないので所望時に調光部の不透明性を発現することができることを見出し本発明に至った。
【0022】
図2は、調光フィルム3を3重に折り畳み、透明プラスチック31で挟み込み押さえる調光部50の例である。1枚の調光フィルム3を3重に折り畳み、折返し領域30では調光フィルム3を柔らかい素材の芯棒32を抱き込むことにより、正面視に於いてあたかも調光フィルムを3層重ねた構造の調光部50を有する。また調光フィルム3の両端は、駆動回路11の昇圧回路10の電線が接続するされる一対の接続電極33を有している。
【0023】
平常時は、調光部50が不透明で情報表示部1を見えないようにし、非常時にはスイッチ20をONにし、駆動回路部11の昇圧回路10からの電気を接続電極33を通じて調光フィルム3に印加することにより、調光部50を透明にし情報表示部1を見えるようにすることが可能となった。
【0024】
<昇圧回路>
図3は本発明の実施形態における名札100の昇圧回路10が4個のトランスで構成された例を説明する回路図である。
【0025】
名札100の昇圧回路10は複数のトランスからなり、各トランスの一次側を並列に接続し、前記トランスの二次側を直列に接続する回路である。
【0026】
名札100は軽量である必要がある。
【0027】
調光フィルム3は、小さいサイズであれば、最低でも20VACが必要なので、小型かつ軽量な駆動回路部が求められる。必要である。この駆動回路部は、ケース2内に一体形成されるか、例えばユーザが持参する鞄等に収納されるケース2と離間する構成であってもよい。
【0028】
小型電池から、駆動回路部11の昇圧回路10で電圧を増かし、調光フィルム3を駆動する。本発明では以下の説明の通り、昇圧回路の小型化を実現している。
【0029】
例として変圧比が12であるトランスを考える。変圧比が12(巻線比1:12)であるトランスでは、通常1つのトランスの巻線量がかさばり、小型化を実現できない。
【0030】
そこで変圧比nのフェライトコアを使用した軽量なものを複数個用意し、一次側を並列に、二次側を直列に接続することにより、変圧比が12(12倍の昇圧)には、12/
n個のトランスを用意することによって軽量化を図る。図3では、変圧比が3(巻線比1:3)のトランス4個を使用する例を示す。単体辺りの変圧比が3(巻線比1:3)の小型のトランスを4個使用することにより小型化軽量化が図られる。
【0031】
<スイッチの位置>
図4は本発明の実施形態における名札100のスイッチ20がケース2の凹みの中に設けられたことを模式的に説明する図である。図4(a)は模式的外観斜視図であり、図4(b)はスイッチのボタン位置だけを模式的に説明する図4(a)のAA断面図である。
【0032】
名札100のスイッチ20は、ケース2表面内の凹みの中に設けられる。
【0033】
名札100は非常時の必要な時のみに、情報表示する名札であらねばならない。平常時に、名札を落とした時や、不用意に名札が押し付けられた時に、情報が表出することを避けなければならない。
【0034】
そこでスイッチ20は、図4で示されるように、ケース2の凹みの中に設けられ、スイッチ20のボタン表面はできる限り平坦であることが望ましい。
【0035】
図5は本発明の実施形態における名札100のスイッチ20が複数設けられた例を模式的に説明する図である。
【0036】
図5に示す例では、不用意にスイッチ20が押されないようにするために、スイッチ20は、ケース2に、離れて2か所以上ある。そして、各スイッチをすべて同時に押さないと、表示をON/OFFする動作が実行されない構造をとる。
【0037】
図5では、名札100の両側に、スイッチ20が設けられており、片側のスイッチ20を押しただけでは、名札表示の動作がされず、両側のスイッチ20を同時押しして始めて名札表示の動作がされるようにする。
【0038】
調光フィルムを用いて、平常時は個人情報を非表示にし、緊急時は個人情報を表示する名札であり、さらに小型な昇圧回路を有することにより軽量で、不用意には表示されない名札を提供することが可能となった。
【符号の説明】
【0039】
1・・・情報表示部
2・・・ケース
3・・・調光フィルム
10・・・昇圧回路
11・・・駆動回路部
20・・・スイッチ
30・・・折返し領域
31・・・透明プラスチック
32・・・芯棒
33・・・接続電極
50・・・調光部
100・・・名札
図1
図2
図3
図4
図5
図6