(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106146
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】給電部材および給電部材付き調光フィルム
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1345 20060101AFI20220711BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20220711BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
G02F1/1345
G02F1/13 505
E06B9/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000935
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】辻 真樹
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088FA29
2H088GA10
2H088HA05
2H088MA20
2H092GA41
2H092GA44
2H092GA49
2H092GA55
2H092HA04
2H092NA25
2H092QA15
(57)【要約】
【課題】調光フィルムを分割して駆動しない場合においても、調光フィルム全体における調光可能領域の面積割合を大きくすることができる調光フィルムを提供する。
【解決手段】調光フィルム8の端部において、一方の透明導電フィルム14の透明導電膜12を露出させた部分である給電部材接続部15に、導電部材を介して接続する給電部材であって、給電部材接続部の透明導電膜と接続する給電電極10を備えており、給電電極は、短冊状の金属箔層からなる複数の接続端子3と、給電部材接続部における調光フィルムの端部2と平行に備えられた配線4と、を備えており、複数の接続端子は、短冊状の接続端子の長手方向と直交する方向に、一定のピッチで、平行に、配置されており、前記配線は、調光フィルムの端部の内側に備えられていることを特徴とする給電部材1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の表面に透明導電膜を形成した一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加される電圧によって光の散乱状態が変化する調光層を挟持した積層体からなる調光フィルムの端部において、一方の透明導電フィルムの透明基材を除去し、さらに調光層を除去することにより、もう一方の透明導電フィルムの透明導電膜を露出させた部分である給電部材接続部に、導電部材を介して接続する給電部材であって、
給電部材接続部の透明導電膜と接続する給電電極を備えており、
給電電極は、絶縁フィルム上に、
短冊状の金属箔層からなる複数の接続端子と、
給電部材接続部における調光フィルムの端部と平行に備えられた配線と、を備えており、
複数の接続端子は、短冊状の接続端子の長手方向と直交する方向に、一定のピッチで、平行に、配置されており、
前記配線は、調光フィルムの端部の内側に備えられていることを特徴とする給電部材。
【請求項2】
請求項1に記載の給電部材が前記調光フィルムの前記給電部材接続部に接続されていることを特徴とする給電部材付き調光フィルム。
【請求項3】
前記導電部材が異方性導電フィルムであることを特徴とする請求項2に記載の給電部材付き調光フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は調光フィルムに電圧を供給する給電部材に関する。
【背景技術】
【0002】
調光フィルムは、供給する電圧により光の散乱状態を変化させることが可能な光学的な素子であり、透明/不透明の切り替えや光の透過率を制御することができる。
【0003】
調光フィルムを、ガラス板に貼り合わせたり、合わせガラスの中に設置することにより、例えば、いつもは透明な状態であるが、必要な時には不透明にすることができる部材を作製することができる。このような部材を建物や車両の窓に使用することにより、建物や車両の中の明るさをコントロールすることが可能になる。そこで、視界を制御する部材として調光フィルムの普及が進められている。さらには、公衆トイレを取り囲む隔壁部材として使用し、トイレを使用していない時には内部が見える状態としておくことで、不審者が内部にいないことが確認でき、使用時には不透明となる公衆トイレのような犯罪防止や安全性確保などの分野への展開も検討されている。このように、調光フィルムの特色を活かした新たな用途が拡大しつつある。
【0004】
調光フィルムの構造は、透明樹脂フィルムなどの透明基材の表面にITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜を形成した一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加される電圧によって光の散乱状態が変化する調光層を挟持した積層体である。
【0005】
図4に例示したように、給電部材付き調光フィルム20´の調光フィルム8の端部には、調光フィルム8の透明導電膜(図示省略)に給電する給電部材1´を接続可能とする給電部材接続部15´が備えられている。給電部材接続部15´は調光フィルム8の端部において、一方の透明導電フィルムの透明基材を除去し、さらに調光層を除去することにより、もう一方の透明導電フィルムの透明導電膜を露出させた部分である。
【0006】
この給電部材接続部15´において露出した透明導電膜と、給電部材1´と、がACF(Anisotropic Conductive Film、異方性導電フィルム)などの導電部材(図示省略)を介して、電気的に接続される。給電部材1´は、絶縁フィルム上に金属箔層を備えた部材である。給電部材1´としては、通常は、FPC(Flexible Printed Circuits、フレキシブルプリント基板)が使用されている。すなわち、ポリイミドフィルムなどからなる絶縁フィルム上に形成された金属箔層からなる配線(または電極、以後も同様)パターンが形成された物品が使用されている。
【0007】
図4に例示したように、給電部材1´の金属箔層からなる配線パターンは、接続端子3´と、この接続端子3´と連接し、調光フィルムの端部2と平行な配線4´と、この配線4´と連接したパッド電極へ繋がる配線6と、パッド電極5と、を備えている。なお、
図4において、観察者側に絶縁フィルム17´が配置されており、観察者とは反対側の絶縁フィルム17´上に配線パターンが形成されている。
【0008】
上記の調光フィルムの端部2は、調光フィルム8における給電部材接続部15´が設けられた調光フィルム8の端部である。
【0009】
接続端子3´は、短冊状の金属箔層からなるパターンから構成されており、個々のパタ
ーンの長軸方向と直交する方向、すなわち、パターンが形成された平面において調光フィルムの端部2が延伸する方向、に一定のピッチで、互いに平行に配置されている。さらに個々のパターンは、調光フィルムの端部2と平行な配線(または電極、以後も同様)4´に連接することで電気的に接続されている。すなわち、調光フィルムの端部2と平行な配線4´は、個々の接続端子3´と並列に接続された電極となっている。
【0010】
給電電極10´は、これらの、複数の接続端子3´と、調光フィルムの端部2と平行な配線4´と、から構成されており、調光フィルムの端部2と平行な配線4´は、調光フィルムの端部2の外側に配置されている。
【0011】
さらに、調光フィルムの端部2と平行な配線4´は、パッド電極へ繋がる配線6に連接することで電気的に接続されており、その配線6の端部領域には、電源からの給電配線と接続可能とするパッド電極5が備えられている。
【0012】
以上に説明したように、調光フィルムの端部2と平行な配線4´は、調光フィルムの端部2の外側に配置されているため、調光フィルム8の給電部材接続部15´の面と平行な平面内における、調光フィルムの端部2と直交する方向の給電電極10´の寸法は、調光フィルムの端部2と平行な配線4´の寸法だけ大きくなっていた。このことは、調光フィルムを使用した調光装置における狭額縁化を妨げる要因となっていた。すなわち、調光装置が調光する面に占める調光可能な調光領域の面積の比率を高くすることを制限していた。
【0013】
このような問題点を解決することに関連する先行技術としては、特許文献1に、調光装置が調光する面の配線領域が狭く、従って調光シート全体における調光領域の面積割合を大きくすることができる調光シートを提供することを課題とした技術が開示されている。具体的には、調光シートの少なくとも一対の透明電極の片側の面の透明電極が、第1の方向を長さ方向とする複数の短冊形状に分割された構成とする。また、複数の短冊形状に分割された片側の面の透明電極は、いずれも第2の方向へ屈曲し、屈曲した第2の方向の端部で各々の給電部と接続する構成とすることによって、上記の課題を解決している。
【0014】
しかしながらこの技術は、調光シートを複数の短冊形状の領域に分割して駆動する場合には有効であるが、調光シートを分割して駆動しない、1つの面として駆動する場合には、調光シート全体における調光領域の面積割合を大きくすることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記の事情に鑑み、本発明は、調光フィルムを分割して駆動しない場合においても、調光フィルム全体における調光可能領域の面積割合を大きくすることができる調光フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第1の態様は、透明基材の表面に透明導電膜を形成した一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加される電圧によって光の散乱状態が変化する調光層を挟持した積層体からなる調光フィルムの端部において、一方の透明導電フィルムの透明基材を除去し、さらに調光層を除去することにより、もう一方の透明導電フィルムの透明導電膜を露出させた部分である給電部材接続部に、導
電部材を介して接続する給電部材であって、
給電部材接続部の透明導電膜と接続する給電電極を備えており、
給電電極は、
短冊状の金属箔層からなる複数の接続端子と、
給電部材接続部における調光フィルムの端部と平行に備えられた配線Aと、を備えており、
複数の接続端子は、短冊状の接続端子の長手方向と直交する方向に、一定のピッチで、平行に、配置されており、
配線Aは、調光フィルムの端部の内側に備えられていることを特徴とする給電部材である。
【0018】
また、第2の態様は、第1の態様に記載の給電部材が前記調光フィルムの前記給電部材接続部に接続されていることを特徴とする給電部材付き調光フィルムである。
【0019】
また、第3の態様は、前記導電部材が異方性導電フィルムであることを特徴とする第2の態様に記載の給電部材付き調光フィルムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の給電部材は、調光フィルムの端部において、一方の透明導電フィルムの透明基材を除去し、さらに調光層を除去することにより、もう一方の透明導電フィルムの透明導電膜を露出させた部分である給電部材接続部に、導電部材を介して接続する給電部材である。その給電部材は、給電部材接続部の透明導電膜と接続する給電電極を備えている。給電電極は、短冊状の金属箔層からなる複数の接続端子と、給電部材接続部における調光フィルムの端部と平行に備えられた配線、を備えている。複数の接続端子は、短冊状の接続端子の長手方向と直交する方向に、一定のピッチで、平行に、配置されており、配線Aは、調光フィルムの端部の内側に備えられている。そのため、給電部材の調光フィルムの端部と直交する方向の幅を狭くすることが可能となる。以上から、調光フィルムを分割して駆動しない場合においても、調光フィルム全体における調光領域の面積割合を大きくすることができる。
【0021】
また、本発明の給電部材付き調光フィルムは、本発明の給電部材を使用しているため、調光フィルムを分割して駆動しない場合においても、調光フィルム全体における調光領域の面積割合を大きくすることができる調光フィルムを提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の給電部材付き調光フィルムを例示する上面説明図。
【
図2】調光フィルムの層構成を例示する断面説明図。
【
図3】調光フィルムと給電部材の接続状態を例示する断面説明図。
【
図4】従来の給電部材付き調光フィルムを例示する上面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<給電部材>
本発明の給電部材1について、
図1~
図3を用いて説明する。
【0024】
本発明の給電部材1は、透明基材11の表面に透明導電膜12を形成した一対の透明導電フィルム14の透明導電膜12側を内側にして、印加される電圧によって光の散乱状態が変化する調光層13を挟持した積層体(
図2参照)からなる調光フィルムの端部2において(
図1参照)、一方の透明導電フィルム14の透明基材11除去し、さらに調光層13を除去することにより、もう一方の透明導電フィルム14の透明導電膜12を露出させた部分である給電部材接続部15に、導電部材(図示省略)を介して接続する給電部材である。導電部材としては、例えばACF(異方性導電フィルム)を好適に使用することができる。
【0025】
また、本発明の給電部材1は、給電部材接続部15の透明導電膜12と接続する給電電極10と、給電電極10と連接するパッド電極へ繋がる配線6と、配線6の端部に備えられ、外部電源と接続するパッド電極5と、を備えている。
【0026】
給電電極10は、短冊状の金属箔層からなる配線パターン18からなる、複数の接続端子3と、給電部材接続部15における調光フィルムの端部2と平行に備えられた配線4と、を備えている(
図1参照)。
【0027】
複数の接続端子3は、短冊状を有している。接続端子3はその短冊状における長手方向と直交する方向に、すなわち、短冊状の接続端子3の短辺方向に、一定のピッチで、平行に、配置されている。
【0028】
さらに、本発明における給電部材1の特徴は、配線4が調光フィルムの端部2の内側に備えられていることである。配線4が調光フィルムの端部2の内側に備えられていることで、給電部材1の接続端子3の長手方向における寸法、すなわち、給電部材1の給電部材接続部15における調光フィルムの端部2と直交する方向における寸法、を小さくすることができる。このことにより、調光フィルムを分割して駆動しない場合においても、調光フィルム全体における調光可能領域の面積割合を大きくすることが可能となる。
【0029】
(調光フィルムの端部)
調光フィルムの端部2は、給電電極10を接続可能とするために形成された給電部材接続部15の調光フィルム8の端部である。例えば、調光フィルム8が長方形である場合、給電部材接続部15は長方形の1つの辺に設けられる。調光フィルムの端部2は、給電部材接続部15が設けられた調光フィルム8の1つの辺を指す。
【0030】
(給電部材接続部)
給電部材接続部15は、
図3に示したように、調光フィルム8の一対の透明導電フィルム14にそれぞれ備えられた透明導電膜12に、外部電源(図示省略)から給電配線を介して供給される調光フィルム8の駆動電圧を供給する接続部である。
【0031】
具体的には、
図3に示したように、給電部材接続部15は、調光フィルム8の端部において、一対の透明導電フィルム14の透明導電膜12をそれぞれ露出させた部分である。露出させるため、一対の透明導電フィルム14の一方の透明基材11と、透明導電膜12と、調光層13と、を除去する。透明基材11と透明導電膜12の除去方法は、それらを切断可能な手段であれば特に限定されないが、例えば、カッター刃を用いて、調光層13に到達する深さで切り込みを入れることによって切断することが可能である。切断する形状は、接続する給電電極10の形状や寸法に合わせればよい。例えば、
図1に例示したように、長方形に切断すればよい。調光層13の厚さを超えて切断しなければ、対向するもう一方の透明導電フィルム14にダメージを与えることを避けることができる。
【0032】
一方の透明導電フィルム14の透明基材11と透明導電膜12を切断後、切断した一方の透明導電フィルム14の切片を引きはがし、取り去る。取り去ることにより、調光層13が露出するので、調光層13を溶解可能な溶剤を使用して調光層13を拭き取る。以上のようにして、対向する透明導電フィルム14の透明導電膜12を露出させ、給電部材接続部15を形成することができる。
【0033】
次に、調光フィルム8の別の端部において、同様にして、対向する透明導電フィルム1
4にも給電部材接続部15を形成することができる。
【0034】
(給電電極)
給電電極10(
図1参照)は、絶縁フィルム17上に形成された短冊状やく形状の金属箔層からなる配線パターン18(
図3参照)からなる、複数の接続端子3と、給電部材接続部15における調光フィルムの端部2と平行に備えられた配線4と、を備えている。パターン18の形状は、短冊状や矩形状、すなわち長方形としなくても良く、任意の形状としても構わない。
言い換えれば、給電電極10は、調光フィルムの端部2と平行に備えられた配線4が、配線4と直交する方向に平行に配置された複数の接続端子3の長手方向の中間位置において跨って形成され、複数の接続端子3を電気的に接続する構成となっている。そして、この給電電極10は、後述する、給電電極と配線6の接続部7に連接し、さらに、接続部7はパッド電極へ繋がる配線6に連接し、さらに、配線6の端部に形成されたパッド電極5に連接する給電部材1を構成している。
このような電極構成であることによって、調光フィルム8の透明導電膜12と給電電極10との接触面積を確保可能とすることが可能となる。そのため、給電電極10と透明導電膜12との接続抵抗が増加することがなく、給電部材1の調光フィルムの端部2と直交する方向の給電電極10の長さを小さくすることが可能となる。
給電部材1は、
図3に示したように、絶縁フィルム17上に形成された金属箔層からなる配線パターン18によって一体的に形成することができる。例えば、FPC(Flexible Printed Circuits、フレキシブルプリント基板)によって給電部材1を形成することができる。
【0035】
(調光フィルムの端部と平行な配線)
調光フィルムの端部と平行な配線4は、調光フィルムの端部2と平行な配線または平行に設けられた金属箔層からなる電極である。配線4は、全ての接続端子3と電気的に並列に接続された電極となっている。配線4が、全ての接続端子3と並列に接続されていることによって、調光フィルム8の透明導電膜12と電気的な偏りがなく接続することが容易となる。ここで給電電極10は、熱の集中を回避し、より均一な給電を可能な構成にすることが望まれる。従って、各接続端子3はいずれも同一形状、同一寸法であって、周期的に配設されている。また、配線4は、各接続端子3のほぼ中心部を横断するように形成されている。
【0036】
(給電電極と配線の接続部)
給電電極と配線6の接続部7は、
図1に示したように、給電電極10と、次に説明するパッド電極へ繋がる配線6との間にあって、それらを連接し電気的に接続する金属箔層からなる配線または電極である。
【0037】
(パッド電極へ繋がる配線)
パッド電極へ繋がる配線6は、給電電極と配線6の接続部7と、次に説明するパッド電極5との間になって、それらを連接し電気的に接続する金属箔層からなる配線または電極である。
【0038】
(パッド電極)
パッド電極5は、パッド電極へ繋がる配線6の端部領域上に形成された電極である。パッド電極5は、調光フィルム8を駆動する電圧を給電する電源(図示省略)に接続された給電配線(図示省略)と接続する電極である。パッド電極5は、金属箔層からなる配線6そのものであっても良いし、金属箔像層の上に形成されたはんだめっき層や硬質金めっき層、あるいは配線6の端部領域上に設置されたソケットなどの接続具であっても良い。
【0039】
(透明基材)
透明基材11は、調光フィルムとしての自立性や容易に破損しない、などの機械的な強度を備え、且つ透明なフィルム状やシート状の基材であり、化学的に安定な材料であれば特に限定する必要はない。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの透明樹脂フィルムや各種のガラス板を挙げることができる。また、それら透明樹脂フィルムとガラス板とを貼り合わせた材料であっても良い。
【0040】
(透明導電膜)
透明導電膜12は、光透過率が可視光領域で80%以上であり、体積抵抗率が1×10-3Ω・cm以下の薄膜であれば好適に使用することができる。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)をはじめ、酸化錫系の透明導電膜でありATO(酸化錫にアンチモンをドープした薄膜)、FTO(酸化錫にフッ素をドープした薄膜)、AZO(酸化亜鉛にアルミニウムをドープした薄膜)、GZO(酸化亜鉛にガリウムをドープした薄膜)などが知られている。
【0041】
透明導電膜12の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法などを使用して形成することができるが、より低抵抗な薄膜や面内の抵抗値ばらつきの低減が可能な成膜方法として、イオンプレーティング法や、アークプラズマ蒸着法などが知られている。
【0042】
(調光層)
調光層13は、印加する電圧によって光の散乱状態が変化する材料が使用される。そのような材料として、高分子分散型液晶(PDLC)やポリマーネットワーク型液晶などの液晶材料などが用いられている。
【0043】
また、調光層の駆動モードとして、ノーマルモードとリバースモードが知られている。
ノーマルモードは、調光層13に電圧が印加されている状態で、光の散乱状態が最小(透明)になり、電圧が印加されていない状態で、光の散乱状態が最大(不透明)になるモードである。従来はこのモードの調光層が使用されてきた。
【0044】
リバースモードは、調光層13に電圧が印加されている状態で、光の散乱状態が最大(不透明)になり、電圧が印加されていない状態で、光の散乱状態が最小(透明)になるモードである。近年、このリバースモードが実用化されるようになった。リバースモードでは、落雷や大災害などで電源が喪失した場合に透明になる。そのため、車両用の窓やエレベータなどに使用する調光機能を備えた窓においては、安全性が高いリバースモードの調光フィルムが検討されている。
【0045】
(絶縁フィルム)
絶縁フィルム17は、給電部材1の基材となる材料であり、その表面に金属箔層からなる配線パターン18を形成するため、電気的な絶縁材料が使用される。絶縁フィルム17の材料としては、電気的絶縁材料であり、フィルム状に加工可能な材料であれば特に限定する必要はない。例えば、FPCの絶縁フィルムとして知られているポリイミドフィルムを好適に使用することができる。ポリイミドフィルムは耐熱性が非常に高く、機械的な強度も十分に高いフィルムであり、電子機器に使用されるFPCに多用されているが、これに限定する必要はない。
【0046】
(金属箔層)
金属箔層の材料としては、導電性が銀の次に高く、銀よりはるかに低価格な銅箔を好適に使用することができるが、これに限定する必要はない。
【0047】
<調光フィルム>
本発明の給電部材付き調光フィルムについて、
図1と
図2を用いて説明する。
【0048】
本発明の給電部材付き調光フィルム20は、調光フィルム8に本発明の給電部材1を備えた調光フィルムである。
【0049】
図1に示したように、本発明の給電歩合付き調光フィルム20は、調光フィルム8の端部2に給電部材接続部15を備えている。
【0050】
給電部材接続部15は、
図3に示したように、調光フィルム8の一対の透明導電フィルム14にそれぞれ備えられた透明導電膜12に、外部電源(図示省略)から給電配線(図示省略)を介して供給される調光フィルム8の駆動電圧を供給する接続部である。
【0051】
給電部材接続部15には、給電部材1の金属箔層からなる配線パターン18が、ACFなどの導電部材(図示省略)を介して接続される。
【0052】
以上に説明したように、本発明の給電部材付き調光フィルム20は、本発明の給電部材1を介して電源に接続される。そのため、調光フィルム8を分割して駆動しない場合においても、調光フィルム8全体における調光領域の面積割合を大きくすることができる調光フィルムを提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
1、1´・・・給電部材
2・・・調光フィルムの端部
3、3´・・・接続端子
4、4´・・・(調光フィルムの端部と平行な)配線
5・・・パッド電極
6、6´・・・(パッド電極へ繋がる)配線
7・・・給電電極と(パッド電極へ繋がる)配線6の接続部
8・・・調光フィルム
10、10´・・・給電電極
11・・・透明基材
12・・・透明導電膜
13・・・調光層
14・・・透明導電フィルム
15、15´・・・給電部材接続部
17、17´・・・絶縁フィルム
18・・・(金属箔層からなる)配線パターン
20、20´・・・給電部材付き調光フィルム