(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106245
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
G03G21/16 133
G03G21/16 147
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001133
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春田 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 洋平
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA26
2H171FA28
2H171HA23
2H171KA23
2H171QA04
2H171QC05
2H171SA10
2H171TA02
2H171UA03
2H171UA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トップカバーの開閉動作時に装置本体の凹部に係合されるトップカバーの凸部の、凹部に対する摺動性を向上することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、上部に開口部と第1凹部である係合凹部22を有する装置本体2と、装置本体2に回動可能であり、開口部を開閉するトップカバー4であって、トップカバー4が開口部を閉じる閉位置にあるときに装置本体2の係合凹部22に係合される爪部材50と、爪部材50を支持するカバーフレーム40とを有するトップカバー4と、を備え、爪部材50は、カバーフレーム40とは別部材であり、係合凹部22に対する摩擦係数がカバーフレーム40よりも小さい材料からなる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部と第1凹部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能であり、前記開口部を開閉するトップカバーであって、前記トップカバーが前記開口部を閉じる閉位置にあるときに前記装置本体の第1凹部に係合される爪部材と、前記爪部材を支持するフレームとを有するトップカバーと、を備え、
前記爪部材は、前記フレームとは別部材であり、前記第1凹部に対する摩擦係数が前記フレームよりも小さい材料からなる画像形成装置。
【請求項2】
前記装置本体は、第2凹部を有し、
前記フレームは、前記トップカバーが前記閉位置にあるときに前記第2凹部に収容される収容凸部を有し、
前記トップカバーが前記閉位置にあるときに、
前記爪部材は、前後方向において前記爪部材の後端と前記第1凹部の後側面との間に第1隙間を有する位置にあり、
前記収容凸部は、前後方向において前記収容凸部の後端と前記第2凹部の後側面との間に前記第1隙間よりも小さい第2隙間を有する位置にある
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記収容凸部は、前記フレームの下面から突出する突起である
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記収容凸部は、前記爪部材に隣接して配置されている
請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記爪部材は、前後方向の前端側に前記フレームに対してねじ止めされるねじ止め部を有する
請求項1~請求項4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記爪部材は、前記第1凹部に係合する部分に上下方向に延びる複数のリブを有する
請求項1~請求項5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、本体開口部を有する装置本体と、本体開口部を開閉可能なトップカバーと、トップカバーの左右方向両端部に1つずつ設けられる嵌合凸部と、装置本体に設けられ、嵌合凸部と嵌合してトップカバーを位置決めする嵌合凹部とを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
トップカバーは、トップカバーの開閉動作において閉位置に配置されているときに、トップカバーの嵌合凸部が装置本体の嵌合凹部内に嵌合される構成となっている。当該構成によりトップカバーが閉位置に位置決めされる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の画像形成装置においては、トップカバーの開閉動作時に嵌合凸部が装置本体の嵌合凹部と摺動しながら嵌合するため、トップカバーのスムーズな開閉が阻害されたり、トップカバーが左右方向の一方側が傾いた状態で閉じられる片閉まりが発生したりするおそれがある。
【0006】
そこで、本発明においては、トップカバーの開閉動作時に装置本体の凹部に係合されるトップカバーの凸部の、凹部に対する摺動性を向上することができる画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する画像形成装置は、以下の特徴を有する。
【0008】
即ち、画像形成装置は、上部に開口部と第1凹部を有する装置本体と、前記装置本体に回動可能であり、前記開口部を開閉するトップカバーであって、前記トップカバーが前記開口部を閉じる閉位置にあるときに前記装置本体の第1凹部に係合される爪部材と、前記爪部材を支持するフレームとを有するトップカバーと、を備え、前記爪部材は、前記フレームとは別部材であり、前記第1凹部に対する摩擦係数が前記フレームよりも小さい材料からなる。
【0009】
これにより、爪部材がフレームとは別部材であり、爪部材を支持するフレームよりも摩擦係数が小さい材料からなるので、フレームと一体的に設けられる爪部に比べて、トップカバーの開閉動作時における第1凹部に対する摺動性が向上し、片閉まりなどの不具合もなくスムーズに開閉動作ができる。
【0010】
また、前記装置本体は、第2凹部を有し、前記フレームは、前記トップカバーが前記閉位置にあるときに前記第2凹部に収容される収容凸部を有し、前記トップカバーが前記閉位置にあるときに、前記爪部材は、前後方向において前記爪部材の後端と前記第1凹部の後側面との間に第1隙間を有する位置にあり、前記収容凸部は、前後方向において前記収容凸部の後端と前記第2凹部の後側面との間に前記第1隙間よりも小さい第2隙間を有する位置にある。
【0011】
これにより、例えば、画像形成装置の搬送時や落下時に、トップカバーに対して装置本体が前方に移動した際に、トップカバーの爪部材が装置本体における第1凹部の後側面と当接する前に、装置本体における第2凹部の後側面がトップカバーの収容凸部に係止されるため、爪部材が装置本体に接触して破損することを抑制できる。
【0012】
また、前記収容凸部は、前記フレームの下面から突出する突起である。
【0013】
また、前記収容凸部は、前記爪部材に隣接して配置されている。
【0014】
これにより、爪部材、第1凹部に対して精度よく、収容凸部、第2凹部を配置できるため、爪部材の破損をより確実に防止することができる。
【0015】
また、前記爪部材は、前後方向の前端側に前記フレームに対してねじ止めされるねじ止め部を有する。
【0016】
これにより、爪部材を前端側のねじ止め部によりフレームにねじ止めすることで、トップカバーの開閉時において爪部材が第1凹部に係合する際に掛かる力に対して対応できる強度を確保することができる。
【0017】
また、前記爪部材は、前記第1凹部に係合する部分に上下方向に延びる複数のリブを有する。
【0018】
これにより、爪部材が第1凹部に対して安定して係合することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、爪部材がフレームとは別部材であり、爪部材を支持するフレームよりも摩擦係数が小さい材料からなるので、フレームと一体的に形成される爪部に比べて、トップカバーの開閉動作時における第1凹部に対する摺動性が向上し、片閉まりなどの不具合もなくスムーズに開閉動作ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】画像形成装置のトップカバー(開位置の状態)を左上側から見た斜視図である。
【
図3】
図2の矢印A部分を拡大して示す斜視図である。
【
図4】トップカバーの開閉動作を説明する断面図であり、トップカバーが開位置に配置されている状態を示す図である。
【
図5】トップカバーの開閉動作を説明する断面図であり、トップカバーが閉位置に配置されている状態を示す図である。
【
図6】
図5に示すトップカバーに設けられる爪部材を拡大した拡大断面図である。
【
図9】画像形成装置のトップカバー(開位置の状態)を左下側から見た斜視図である。
【
図10】(a)はヒンジ部材を上方から見た斜視図であり、(b)はヒンジ部材を下方から見た斜視図である。
【
図11】(a)はヒンジ部材を下方から見た平面図であり、(b)はヒンジ部材を側方から見た側面図であり、(c)はヒンジ部材を上方から見た平面図である。
【
図12】トップカバー(ヒンジ部材なし)を下方から見た平面図である。
【
図13】(a)はヒンジ配置部にヒンジ部材を取り付けていない状態を示す平面図であり、(b)はヒンジ配置部にヒンジ部材を取り付けた状態を示す平面図である。
【
図14】(a)はトップカバーの断面図であり、(b)は(a)におけるヒンジ部材を拡大した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0022】
[画像形成装置の全体構成]
図1に示す画像形成装置1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態であり、略直方体形状に形成される装置本体2と、ダンパ3と、装置本体2の上端部に配置されるトップカバー4とを備えている。ダンパ3は、トップカバー4と装置本体2との間に設けられる緩衝部材の一例である。ダンパ3は、公知の機構を有し、延びる方向に付勢力を発生するとともに、所定範囲で伸縮可能に構成されている。装置本体2の上端部には、装置本体2の内外を連通する開口部5が形成されている。装置本体2は、左右方向に所定の間隔を有して配置される左フレーム21および右フレーム25(
図2参照)を有している。
【0023】
以下の説明においては、画像形成装置1を水平に載置した状態を基準として、
図1における紙面右側を「前側」とし、
図1における紙面左側を「後側」とする。また、画像形成装置1を前側から見たときを左右の基準とし、左右方向それぞれを「左側」および「右側」とする。すなわち、
図1の紙面手前側が左側であり、紙面奥側が右側である。また、画像形成装置1において鉛直下方向を「下側」、鉛直上方向を「上側」とする。
【0024】
トップカバー4は、開口部5を開放する開位置(
図4参照)と、開口部5を閉鎖する閉位置(
図5参照)とに、その後端部を支点として回動可能である。すなわち、トップカバー4が閉位置に配置されたときにおけるトップカバー4の回動端部となる前端部は、トップカバー4が開位置に配置されたときにおけるトップカバー4の前端部よりも下側に位置する。
【0025】
また、画像形成装置1は、装置本体2内において、前後方向に互いに間隔を隔てて並列配置される複数(4つ)のプロセスカートリッジ6と、露光部材の一例としてのLEDユニット12とを備えている。
【0026】
プロセスカートリッジ6は、トップカバー4が開位置に配置された状態で装置本体2に対して着脱できるように、構成されている。また、プロセスカートリッジ6は、感光体の一例としての感光ドラム7と現像ローラ8とを備えている。
【0027】
感光ドラム7は、左右方向が長手方向となる円筒形状に形成されており、その中心軸線を回転中心として回転可能に設けられている。
【0028】
現像ローラ8は、左右方向に延び、感光ドラム7に対して前上側から接触している。
【0029】
また、プロセスカートリッジ6には、現像ローラ8の上側において、現像剤の一例としてのトナーが収容されている。
【0030】
LEDユニット12は、感光ドラム7の上側に対向配置されるように、トップカバー4の下面に支持されている(
図4参照)。
【0031】
プロセスカートリッジ6内のトナーは、正極性に摩擦帯電され、一定厚さの薄層として現像ローラ8の表面に担持される。
【0032】
一方、感光ドラム7の表面は、帯電器(図示せず)によって一様に帯電された後、LEDユニット12によって所定の画像データに基づいて露光される。これにより、感光ドラム7の表面には、画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、現像ローラ8に担持されるトナーが感光ドラム7の表面上の静電潜像に供給されることにより、感光ドラム7の表面上にトナー像(現像剤像)が担持される。
【0033】
用紙Pは、装置本体2の底部に設けられる給紙トレイ13内に収容されており、各種ローラによって、後上側へUターンするように搬送されて、所定のタイミングで1枚ずつ、感光ドラム7と搬送ベルト14との間に給紙される。その後、用紙Pは、搬送ベルト14によって、すべての感光ドラム7に順次対向されるように、前側から後側に向かって搬送される。このとき、感光ドラム7に担持されるトナー像は、搬送ベルト14を挟んで感光ドラム7の下側に対向配置される転写ローラ15の転写バイアスにより、用紙Pに転写される。
【0034】
そして、用紙Pは、加熱ローラ16と加圧ローラ17との間を通過するときに加熱および加圧される。これにより、トナー像は、用紙Pに熱定着される。
【0035】
その後、用紙Pは、前上側へUターンするように搬送されて、装置本体2の上面に設けられる排紙トレイ18に排紙される。
【0036】
[トップカバー]
トップカバー4は、
図2に示すように、前後左右に延び、上下方向に厚みを有する平面視略矩形の平板形状に形成されている。トップカバー4は、閉位置にあるときに開口部5に対向して配置され、トップカバー4の下側面(裏側面)を構成するカバーフレーム40を有している。カバーフレーム40は、本発明のフレームの一例である。また、トップカバー4は、後端部に配置される左右1対の回動部49(
図4参照)と、左端部近傍に配置される爪部材50とを備えている。カバーフレーム40は、その下側面に爪部材50を支持している。
【0037】
なお、本実施形態の画像形成装置1では、一つの爪部材50及び当該爪部材50に対応する係合凹部22及び収容凹部23(
図4参照)を備える構成であるが、カバーフレーム40の右端部近傍にも同様の爪部材50を備え、当該爪部材50に対応する係合凹部22及び収容凹部23等を備える構成であってもよい。また、例えば、カバーフレーム40の左端部近傍に爪部材50を備え、カバーフレーム40の右端部近傍には当該爪部材50とは、機能、形状、または材質が異なる別の爪部材を備えるように構成してもよい。
【0038】
カバーフレーム40は、カバーフレーム40と一体的に形成されるとともに、前後方向に並んで配置される、収容凸部41と、嵌合凸部42と、ねじ取付部43とを有している。
【0039】
収容凸部41は、トップカバー4が閉位置にあるときに収容凹部23に収容される。収容凸部41は、カバーフレーム40の下面から下側に向かって突出する略角柱形状の突起である。収容凸部41は、カバーフレーム40と一体的に形成されている。収容凸部41は、爪部材50の係合凸部51に隣接して配置されている。嵌合凸部42は、爪部材50の嵌合孔51eに嵌合される、カバーフレーム40の下面から下側に向かって突出する突起である。ねじ取付部43は、ねじ部材30が螺合される部分であり、爪部材50のねじ止め部52(
図6参照)が取り付けられる部分である。
【0040】
回動部49は、トップカバー4の後端部の左右方向両端部に1つずつ設けられている。回動部49は、後側が開放された側面視略C字形状に形成されている。回動部は、装置本体2の後端部に設けられる回動軸(図示せず)に回動可能に嵌合される。これにより、トップカバー4は、装置本体2に対して回動可能であるとともに、開口部5を開閉することができる。
【0041】
爪部材50は、トップカバー4が開口部5を閉じる閉位置にあるときに装置本体2の係合凹部22に係合される部材である。爪部材50は、カバーフレーム40とは別部材からなる。カバーフレーム40は、本実施形態ではABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)樹脂にて形成されている。爪部材50は、例えばPOM(ポリオキシメチレン)等の樹脂で形成されている。爪部材50は、係合凹部22に対する摩擦係数がカバーフレーム40よりも小さい材料から構成されている。
【0042】
なお、爪部材50は、例えば、ABS樹脂よりも摺動性の良い樹脂から形成されていることが好ましく、POM以外の他の樹脂で形成してもよい。
【0043】
図7及び
図8示すように、爪部材50は、下側へ向かって突出する爪状の突起である係合凸部51と、係合凸部51から前上方へ向かって延出するねじ止め部52とを有している。ねじ止め部52は、ねじ部材30によりカバーフレーム40のねじ取付部43にねじ止めされる。ねじ止め部52がねじ取付部43にねじ止めされることで、爪部材50がカバーフレーム40に取り付けられる。ねじ止め部52は、係合凸部51の上端部よりも高い位置に配置されている。
【0044】
係合凸部51は、側面視略T字状の基部51aと、基部51aの前面側において上下方向に延びる複数(本実施形態では3つ)のリブ51bと、基部51aの左右方向中央部に形成される略円柱状のボス部51cを有している。複数のリブ51bは、下端部にテーパ部51dを有している。基部51aは、前面側が係合凹部22の前端部に係合する部分であり、リブ51bは、係合凸部51が係合凹部22に係合する際に係合凹部22の前端部に摺動する部分である。
【0045】
ボス部51cは、上方から穿設された嵌合孔51eを有している。嵌合孔51eには、カバーフレーム40が有する下方に向けて突出する嵌合凸部42が嵌合される。これにより、爪部材50は、カバーフレーム40の所定位置に位置決めされる。爪部材50は、嵌合凸部42によりカバーフレーム40の前端部における左右方向の左端部に位置決めされた状態で、ねじ部材30によりねじ止め部52がねじ止めされることで、カバーフレーム40に取り付けられている。
【0046】
[装置本体]
装置本体2が備える左フレーム21および右フレーム25は、左右方向に互いに間隔を隔てて対向配置されている。
図3に示すように、装置本体2の左フレーム21は、上部に、第1凹部の一例としての係合凹部22と、第2凹部の一例としての収容凹部23とを備えている。また、
図4に示すように、装置本体2の左フレーム21は、上部にダンパ3の基端側を回動可能に軸支するための支持部24を備えている。ダンパ3の先端側は、トップカバー4が有するヒンジ部材60により回動可能に軸支されている(
図9参照)。
【0047】
係合凹部22は、左フレーム21の前端部に位置している。係合凹部22は、左フレーム21の上面から下側へ凹んだ平面視略矩形状に形成されており、爪部材50の係合凸部51を受け入れ可能に構成されている。係合凹部22は、爪部材50の係合凸部51を受け入れることでトップカバー4を閉位置に位置決めする部分である。
【0048】
収容凹部23は、係合凹部22の後端側に連続して形成されており、トップカバー4が閉位置にあるときにカバーフレーム40が有する収容凸部41が収容可能な平面視略矩形状に形成されている。
図6に示すように、収容凹部23は、係合凹部22よりも深さ寸法が小さくなるように形成されている。係合凹部22と収容凹部23は、断面視段差状に形成されている。
【0049】
なお、本実施形態では、係合凹部22と収容凹部23が前後方向に連通する構成であるが、例えば、係合凹部と収容凹部とを前後方向に所定間隔を有するようにして、それぞれを独立した凹部として左フレーム21に設ける構成であってもよい。
【0050】
図6に示すように、トップカバー4が閉位置にあるときに、爪部材50は、前後方向において爪部材50の係合凸部51の後端と係合凹部22の後側面22aとの間に第1隙間G1を有する位置にあり、収容凸部41は前後方向において収容凸部41の後端と収容凹部23の後側面23aとの間に第1隙間G1よりも小さい第2隙間G2を有する位置にある。収容凹部23の後側面23aは、画像形成装置1の搬送時や落下時に、トップカバー4に対して装置本体2が前方に移動した際に、収容凸部41の後端を突き当てる当て面である。これにより、装置本体2がトップカバー4よりも前方に移動することを規制することができる。
【0051】
[ヒンジ部材]
図9に示すように、ヒンジ部材60は、トップカバー4のカバーフレーム40に取り付けられて、ダンパ3の先端側のヒンジ軸部3aを回動可能に軸支するための部材である。ヒンジ部材60は、カバーフレーム40の左端部近傍においてトップカバー4の前後方向の略中央部に位置するヒンジ取付部45に取り付けられる。
【0052】
図10、
図11に示すように、ヒンジ部材60は、カバー部61と、ヒンジ取付部62と、ねじ止め部65と、係合片66と、係合孔67とを備えている。ヒンジ部材60は、例えばABS樹脂で形成されている。カバー部61は、ヒンジ取付部45のヒンジ取付孔46を覆う平板状の部分である。
【0053】
ヒンジ取付部62は、カバー部61から下方に向けて突出する左右一対の側壁部63と、当該側壁部63の後部に形成され、ヒンジ軸部3aを軸支する軸支部64とを備えている。ねじ止め部65は、ヒンジ取付部62の前方に配置される。ねじ止め部65は、ヒンジ取付部45のねじ取付部47にねじ部材30によりねじ止めされる。係合片66は、カバー部61から上方に向けて突出しており、左右に一対形成されている。係合片66は、ヒンジ取付部45の被係合部46bに係合される。係合孔67は、一対の側壁部63の間に位置しており、ヒンジ取付部45のフック部46cの先端が係合される貫通孔である。
【0054】
図12、
図13に示すように、ヒンジ取付部45は、ヒンジ取付孔46と、ヒンジ取付孔46の前側に配置されるボス状のねじ取付部47とを有している。ヒンジ取付孔46は、前後方向に亘って形成されるカバーフレーム40を貫通する貫通孔である。ヒンジ取付孔46の後端側には、係合片66を挿通する挿通部46aが設けられている。ヒンジ取付孔46の前端側には、挿通部46aよりも左右方向の幅寸法が小さい被係合部46bと、ヒンジ取付孔46の前端から後方に延びるフック部46cとが設けられている。被係合部46bには、ヒンジ部材60がカバーフレーム40に装着されたときに、ヒンジ部材60の係合片66が係合される。
【0055】
ヒンジ部材60をカバーフレーム40に装着する際には、まずヒンジ部材60の係合片66をヒンジ取付孔46の挿通部46aに挿通する。ヒンジ部材60は、ヒンジ取付孔46の挿通部46aに係合片66が挿通されることで位置決めされる。それから、ヒンジ部材60をカバーフレーム40に対して前方にスライドさせることで係合片66がヒンジ取付部45の被係合部46bに係合される。
【0056】
それから、さらにヒンジ部材60を上方にスライドさせることでヒンジ部材60の係合孔67にフック部46cの先端が係合される。最後に、ヒンジ部材60のねじ止め部65をヒンジ取付部45のねじ取付部47にねじ部材30によりねじ止めすることで、ヒンジ部材60がヒンジ取付部45に固定される。
【0057】
カバーフレーム40の上面側(背面側)には、FFC(フラットフレキシブルケーブル)などの電気ケーブルCが配線されているが(
図14参照)、本実施形態の画像形成装置1では、ヒンジ部材60のカバー部61によりヒンジ取付孔46を塞ぐともに、ヒンジ部材60の側壁部63によりユーザーが電気ケーブルCに触れないように構成している。
【0058】
すなわち、ヒンジ部材60は、電気ケーブルCとユーザーとの空間距離を確保するための部材である。画像形成装置1はヒンジ部材60を備えることで、ユーザーが不用意に電気ケーブルCに接触することを抑えるとともに、当該接触による静電気の発生を防ぎ、画像形成装置1が備える電源基板の静電気による故障を抑制することができる。
【0059】
なお、本実施形態の画像形成装置1においては、いわゆる電子写真方式の画像形成装置を例として説明しているが、これに限定されるものではなく、いわゆるインクジェット方式の画像形成装置に本発明を適用してもよい。
【0060】
[本実施形態における効果]
本実施形態においては、画像形成装置1は上述のように構成されている。
つまり、画像形成装置1は、上部に開口部5と第1凹部である係合凹部22を有する装置本体2と、装置本体2に回動可能であり、開口部5を開閉するトップカバー4であって、トップカバー4が開口部5を閉じる閉位置にあるときに装置本体2の係合凹部22に係合される爪部材50と、爪部材50を支持するカバーフレーム40とを有するトップカバー4と、を備えている。爪部材50は、カバーフレーム40とは別部材であり、係合凹部22に対する摩擦係数がカバーフレーム40よりも小さい材料からなる。
【0061】
これにより、爪部材50がカバーフレーム40とは別部材であり、爪部材50を支持するカバーフレーム40よりも摩擦係数が小さい材料からなるので、カバーフレーム40と一体的に設けられる爪部に比べて、トップカバー4の開閉動作時における係合凹部22に対する摺動性が向上し、片閉まりなどの不具合もなくスムーズに開閉動作ができる。
また、爪部材50をカバーフレーム40と別部材で構成することにより、係合凹部22の材料または形状に応じて爪部材のみを適宜変更可能であり、爪部材の設計の自由度が向上する。
【0062】
また、装置本体2は、第2凹部である収容凹部23を有し、カバーフレーム40は、トップカバー4が閉位置にあるときに収容凹部23に収容される収容凸部41を有し、トップカバー4が閉位置にあるときに、爪部材50は、前後方向において爪部材50の後端と係合凹部22の後側面22aとの間に第1隙間G1を有する位置にあり、収容凸部41は前後方向において収容凸部41の後端と収容凹部23の後側面23aとの間に第1隙間G1よりも小さい第2隙間G2を有する位置にある。
【0063】
これにより、例えば、画像形成装置1の搬送時や落下時に、トップカバー4に対して装置本体2が前方に移動した際に、トップカバー4の爪部材50が装置本体2における係合凹部22の後側面22aと当接する前に、装置本体2における収容凹部23の後側面23aがトップカバー4の収容凸部23に係止されるため、爪部材50が装置本体2に接触して破損することを抑制できる。
【0064】
また、収容凸部41は、爪部材50の係合凸部51に隣接して配置されている。
【0065】
これにより、爪部材50、係合凹部22に対して精度よく、収容凸部41、収容凹部23を配置できるため、爪部材50の破損をより確実に防止することができる。
【0066】
また、爪部材50は、前後方向の前端側にカバーフレーム40に対してねじ止めされるねじ止め部52を有する。
【0067】
これにより、爪部材50を前端側のねじ止め部52によりカバーフレーム40にねじ止めすることで、トップカバー4の開閉時において爪部材50が係合凹部22に係合する際に掛かる力に対して対応できる強度を確保することができる。
【0068】
また、爪部材50は、係合凹部22に係合する部分に上下方向に延びる複数のリブ51bを有する。
【0069】
これにより、爪部材50が係合凹部22に対して安定して係合することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 画像形成装置
2 装置本体
4 トップカバー
5 開口部
22 係合凹部(第1凹部)
23 収容凹部(第2凹部)
40 カバーフレーム(フレーム)
50 爪部材
51 係合凸部