(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106249
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】青果物包装用シート状物
(51)【国際特許分類】
B65D 65/02 20060101AFI20220711BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20220711BHJP
A23B 7/00 20060101ALN20220711BHJP
【FI】
B65D65/02 E
B65D85/50 120
A23B7/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001147
(22)【出願日】2021-01-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】508219715
【氏名又は名称】株式会社ベルグリーンワイズ
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】河井 兼次
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 勉
(72)【発明者】
【氏名】劉 赫琳
【テーマコード(参考)】
3E035
3E086
4B169
【Fターム(参考)】
3E035AA11
3E035BA08
3E035BC01
3E035BC02
3E035BD04
3E035BD10
3E035CA07
3E086AB01
3E086AC07
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA29
3E086BB02
3E086BB22
3E086BB85
3E086BB90
3E086CA17
3E086CA18
3E086DA03
3E086DA08
4B169AA04
4B169AB03
4B169HA02
4B169HA09
4B169HA11
4B169KD04
4B169KD05
(57)【要約】
【課題】鮮度保持効果が高い上、適度な剛性と柔軟性とを兼ね備えており、包装した青果物の品質を低下させない上、包装した青果物からの圧力や衝撃によって損傷したりせず、合成樹脂製の容器や段ボール箱とともに二重包装する場合でも、容器や段ボール箱の変形や損傷等の不具合を生じさせない青果物の鮮度保持包装に適したシート状物を提供する。
【解決手段】所定の突き刺し弾性率を有するポリビニルアルコールからなる所定の厚さのフィルムを用い、溶断シール法によって、所定の大きさを有する三方袋を形成した。そして、所定量のイチゴを、延伸ポリスチレンからなる所定の大きさの上面を開口した透明な容器中に入れて、その容器ごと三方袋内に収納し、三方袋の開口部を折り曲げて粘着テープによって密封することによって、イチゴの鮮度保持包装を行った。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物の包装に用いられるシート状物であって、
突き刺し弾性率が0.4N/mm以上11.0N/mm未満であることを特徴とする青果物包装用シート状物。
【請求項2】
合成樹脂あるいは紙製の容器とともに青果物の包装に用いられるものであることを特徴とする請求項1に記載の青果物包装用シート状物。
【請求項3】
18μm以上120μm未満の厚みを有していることを特徴とする請求項1、または2に記載の青果物包装用シート状物。
【請求項4】
ポリ乳酸あるいはポリブチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、ポリブチレンアジペートテレフタレート、3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート共重合体、ポリヒドロキシアルカン酸、スターチベースドポリマー、セルロース、デンプンの中から選ばれる一種または二種類以上の混合物、あるいは、それらの物質の中から選ばれる二種類以上の複合物によって形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の青果物包装用シート状物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物を包装する際に用いられる合成樹脂フィルムや紙等からなるシート状物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
葉菜類、果菜類、根菜類、フルーツ、菌茸類等の各種の青果物を包装するための包装袋として、合成樹脂製のフィルムによって形成された二方袋、三方袋、合掌袋等の包装袋が知られている。また、そのような合成樹脂製のフィルムからなる青果物の包装袋においては、包装(収納)される青果物の鮮度を長期間に亘って保持するために、合成樹脂製のフィルムにスリットや孔が設けられることもある(特許文献1)。
【0003】
また、特定の青果物を包装する場合には、そのような合成樹脂製のフィルムからなる鮮度保持用の包装袋のみでなく、合成樹脂製の容器(ケース)や段ボール箱とともに、二重包装が施され、運搬、店頭への陳列に供される。たとえば、イチゴや葡萄等の青果物は、ポリスチレン等によって形成された透明な容器(ケース)に入れられて、その容器ごと、合成樹脂製のフィルムからなる包装袋に収納された状態で、運搬、店頭への陳列に供される。また、ブロッコリー等の青果物は、合成樹脂製のフィルムからなる包装袋に入れられた状態で、段ボール箱の中に収納されて、運搬、店頭への陳列に供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の合成樹脂製のフィルムからなる青果物の鮮度保持用の包装袋は、剛性が高いと、イチゴや葡萄、ブロッコリー等の青果物の包装時の如く合成樹脂製の容器や段ボール箱等とともに青果物を包装する場合には、運搬時に、合成樹脂製の容器や段ボール箱が変形したり、傷付いたりすることがある上、包装される青果物に押し跡が付いたり、青果物が押し潰されたりすることもある。反対に、剛性が低いと、収納する青果物からの圧力や衝撃、合成樹脂製の容器や段ボール箱との摩擦によって、傷付いたり、破れたりすることがある。すなわち、従来の合成樹脂製のフィルムからなる青果物の鮮度保持用の包装袋は、剛性の調整が難しい、という不具合があった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来の青果物の鮮度保持用の包装袋が有する問題点を解消し、鮮度保持効果が高い上、適度な剛性(強度)と柔軟性とを兼ね備えており、包装した青果物の品質を低下させない上、包装した青果物からの圧力や衝撃によって傷付いたり、破れたりせず、合成樹脂製の容器や段ボール箱とともに二重包装する場合でも、容器や段ボール箱の変形や損傷等の不具合を生じさせない青果物の鮮度保持包装に適したシート状物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、青果物の包装に用いられるシート状物であって、突き刺し弾性率が0.4N/mm以上11.0N/mm未満であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、合成樹脂あるいは紙製の容器とともに青果物の包装に用いられるものであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または2に記載された発明において、18μm以上120μm未満の厚みを有していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項1~3のいずれかに記載された発明において、ポリ乳酸あるいはポリブチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、ポリブチレンアジペートテレフタレート、3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート共重合体、ポリヒドロキシアルカン酸、スターチベースドポリマー、セルロース、デンプンの中から選ばれる一種(単体)または二種類以上の混合物、あるいは、それらの物質の中から選ばれる二種類以上の複合物によって形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る青果物包装用シート状物は、適度な強度と柔軟性とを兼ね揃えたものであるため、包装した青果物に押し跡を付けたり、青果物を押し潰したりする事態が生じない一方、包装した青果物からの圧力や衝撃によって傷付いたり、破れたりする事態も生じない。また、合成樹脂製の容器や段ボール箱とともに青果物の二重包装に供する場合でも、容器や段ボール箱を傷付けたり、容器を変形させたリする事態が生じない上、容器や段ボール箱との摩擦によって傷付いたり、破れたりする事態も生じない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】青果物包装用シート状物の突き刺し弾性率を測定する様子を示す説明図である。
【
図2】青果物包装用シート状物によって青果物を包装した状態を示す説明図である。
【
図3】青果物包装用シート状物によって青果物を包装した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る青果物包装用シート状物(以下、単に、シート状物という)は、単独で、各種の青果物の包装(主として、鮮度保持包装)に利用することができる上、合成樹脂の容器や段ボール箱とともに青果物の包装(主として、鮮度保持包装)に利用することもできる。かかるシート状物としては、紙、合成樹脂フィルム、あるいは、紙の片面あるいは両面に合成樹脂フィルムを貼着したものや、紙に合成樹脂フィルムを部分的に貼り合わせたり、合成樹脂フィルムに紙を部分的に貼り合わせたりしたものを好適に用いることができる。
【0014】
シート状物として紙を用いる場合には、グラシン紙、純白ロール紙、上質紙、塗工紙、模造紙、クラフト紙や各種の印刷紙等、一般的に使用される包装紙を好適に用いることができる。また、それらの中でも、グラシン紙やクラフト紙を用いると、適度な剛性と柔軟性とを発現し易くなるので好ましい。
【0015】
また、シート状物として紙を用いる場合における当該紙の厚さは、特に限定されないが、20~150μmの範囲であると好ましく、30~120μmの範囲であるとより好ましい。紙の厚さが20μmを下回ると、紙の“腰”がなくなってしまい、青果物を包装した際に皺が入り易くなる上、青果物を包装した際にボリューム感が発現されず扱いにくくなるので好ましくない。反対に、紙の厚さが150μmを上回ると、紙の剛性が高くなりすぎて、青果物を包装した後の密封作業を行いにくくなったり、外装する容器等を損傷させ易くなったりするので好ましくない。
【0016】
一方、シート状物として合成樹脂フィルムを使用する場合には、原料である合成樹脂としては、汎用プラスチックであるポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリテトラフルオロエチレン、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等を、単体で、あるいは、共重合やブレンド等によって変性して好適に用いることができる。また、そのような汎用プラスチックの他に、バイオマスを原料とするポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート(微生物産生ポリエステル)、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、デンプン(変性デンプン)、低置換度多糖誘導体(低置換度セルロースアセテート等)等、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリヒドロキシ酪酸等のポリヒドロキシアルカン酸、ポリブチレンサクシネート、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の生分解性高分子化合物であったり、米、麦、トウモロコシ等の穀物や甲殻類、海藻類等からなる原料を、単体で、あるいは、共重合やブレンド等によって変性して好適に用いることができる。また、それらの中でも、バイオマスを原料とするポリエチレンや、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリブチレンアジペートテレフタレート、デンプン(変性デンプン)、ポリブチレンサクシネート、スターチベースドポリマー、セルロースを単体で、あるいは、共重合やブレンド等によって変性して用いると、シート状物が高い透明性と適度な剛性と柔軟性とを兼ね揃えたものとなり易いので好ましい。
【0017】
また、シート状物として合成樹脂フィルムを使用する場合における当該合成樹脂フィルムの厚みは、特に限定されないが、5~90μmの範囲であると好ましく、20~70μmの範囲であるとより好ましい。合成樹脂フィルムの厚さが5μmを下回ると、合成樹脂フィルムの“腰”がなくなってしまい、青果物を包装した際に皺が入り易くなる上、青果物を包装した後の包装袋にボリューム感が発現されず扱いにくくなるので好ましくない。反対に、合成樹脂フィルムの厚さが90μmを上回ると、合成樹脂フィルムの剛性が高くなりすぎて、青果物を包装した後の密封作業を行いにくくなったり、外装する容器を損傷させ易くなったりするので好ましくない。
【0018】
また、シート状物として合成樹脂フィルムを使用する場合には、合成樹脂フィルムは、単一層からなるもので良いし、基材層の上に熱融着層等を積層した多層構造を有するものでも良い。なお、基材層の上に熱融着層等を積層した多層構造を有する合成樹脂フィルムを用いると、ヒートシール等の方法により、包装袋の製造や青果物の包装(収納)が容易になるので好ましい。また、本発明に係るシート状物としては、紙の片面あるいは両面または部分的に合成樹脂フィルムを積層したもの等も好適に用いることができる。
【0019】
加えて、本発明に係るシート状物は、下記の方法により求められる突き刺し弾性率が0.4N/mm以上11.0N/mm未満に調整されていることが必要である。
<突き刺し弾性率>
JIS Z1707:2019に準拠した方法により、引張り・圧縮試験機を用いて、治具に固定したシート状物(矩形状に切り出したもの)に、所定の形状の針(直径1.0mmの円柱状体の先端を曲率半径0.5mmの半球状とした針)を所定の速度(50±5mm/min.)で突き刺し、針が貫通するまでの応力の変化(N)を測定する。そして、微少な変位(0.05秒間における0.04167mmの変位)毎の応力の変化の最大値を算出し、その数値を突き刺し弾性率とする。
【0020】
そのように、シート状物の突き刺し弾性率を所定の範囲に調整することによって、シート状物により青果物を包装したときに、不必要な皺が形成されたり、青果物の茎等によって穴が開いたりしなくなるとともに、外装される合成樹脂製の容器や段ボール等を損傷さることなく、青果物の輸送や保管の際の包装容器の不備から起こる品質劣化を防止することができる。また、青果物への押し跡、傷跡の形成を防ぐことができ、鮮度を保つことが可能となる。なお、突き刺し弾性率は、0.45N/mm以上10.5N/mm未満であるとより好ましく、0.5N/mm以上10.5N/mm未満であると特に好ましい。
【0021】
また、本発明に係るシート状物には、鮮度保持効果を高めるために、必要に応じて、気体(水蒸気、CO2等)を透過させるための透過孔を穿設することも可能である。当該透過孔の形状は、特に限定されず、円形、楕円形、矩形等の各種の形状にすることができる。また、透過孔の形成方法も、特に限定されず、パンチャーによる穿孔加工、レーザーによる穿孔加工、針による突き刺し加工等の各種の方法を好適に用いることができる。さらに、透過孔は、貫通した状態のものに限定されず、未貫通の状態のものでも良い。また、透過孔のサイズも、特に限定されないが、直径(φ)が0.01mm以上8.0mm未満であると、包装される青果物の鮮度保持特性が非常に良好なものとなるので好ましい。透過孔の直径は、0.05mm以上6.0mm未満であるとより好ましく、0.07mm以上4.0mm未満であると特に好ましい。加えて、当該透過孔の個数も、特に限定されず、概ね1~50個の範囲内で、必要に応じて適宜調整することができる。
【0022】
加えて、本発明に係るシート状物は、上記の如く、透過孔を穿設する方法等によって、水蒸気透過度を5g/(m2・day.atm)以上3,000g/(m2・day.atm)未満に調整したものであると好ましい。シート状物の水蒸気透過度が5g/(m2・day.atm)未満であったり、3,000g/(m2・day.atm)以上であったりすると、包装袋として青果物を密封収納する際に良好な鮮度保持特性を発現し得なくなるので好ましくない。
【0023】
また、本発明に係るシート状物は、消費者が包装された青果物を視認できるように透明で防曇性を有したものであると好ましい。防曇性を付与する方法は、特に限定されるものではないが、合成樹脂や紙の原料中に予め防曇剤を含有させても良いし、合成樹脂フィルムや紙の包装面に、防曇剤をコーティングしても良い。ここで用いる防曇剤としては、非イオン系の界面活性剤を挙げることができ、防曇性と併せて帯電防止性を発揮するものを用いるのが好ましい。そのような防曇剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル類、高級脂肪酸のアミン類、高級脂肪酸のアマイド類、ショ糖脂肪酸エステル類、高級脂肪酸のアミンやアマイドのエチレンオキサイド付加物等の非イオン系の界面活性剤を挙げることができる。
【0024】
さらに、シート状物として合成樹脂フィルムを使用する場合には、合成樹脂フィルムを形成する原料樹脂中に、必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、核剤、難燃剤、顔料、染料、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、マイカ、タルク、クレー、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、抗菌剤、自然分解性を付与する添加剤等を添加することができる。
【0025】
加えて、本発明に係るシート状物は、そのまま(シート状のまま)、青果物の包装に供することも可能であるし、左右および下部をヒートシールしてなる三方袋や、二つ折りされた合成樹脂フィルムの左右をヒートシールしてなる二方袋、フィルムの左右を折り込んで背面でヒートシールした合掌袋等の各種の形状を有する包装袋として、青果物の包装に供することも可能である。さらに、本発明に係るシート状物を、上記の如く包装袋に加工する際には、そのサイズは、青果物を入れるのに適した大きさであれば特に限定されないが、幅100~1200mm×高さ150~900mmの大きさであると、ハンドリング性が良好となるので好ましい。包装袋のサイズが小さすぎたり、逆に大きすぎたりすると、水蒸気やCO2等の透過度を調整するための加工が困難となるため好ましくない。
【0026】
一方、本発明に係るシート状物ととともに青果物の二重包装に用いられる容器や箱等の包装資材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアクリル、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリエステル等の透明性の高い合成樹脂からなる箱体や筒状体、ダンボール(ダンボールシート)や厚紙等からなる箱体や筒状体等を挙げることができる。本発明に係るシート状物で包装した青果物、あるいは、本発明に係るシート状物や包装袋に収納した青果物を、それらの容器や箱等の内部に収納することによって、外部からの衝撃による青果物の損傷を非常に効果的に防止することが可能となる。
【実施例0027】
以下、実施例・比較例によって本発明に係る包装袋について詳細に説明するが、本発明の包装袋は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することが可能である。また、実施例および比較例における特性の評価方法は以下の通りである。
【0028】
<突き刺し弾性率>
JISZ1707:2019に準拠した方法により、引張り・圧縮試験機((株)島津製作所 小型卓上試験機EZ-S)を用いて、
図1の如く、円筒状の治具Tに固定(円周状に固定)したシート状物Sに、所定の形状の針N(直径1.0mmの円柱状体の先端を曲率半径0.5mmの半球状としたもの)を所定の速度(50±5mm/min.)の速度で突き刺し、針Nがシート状物Sを貫通するまでの応力の変化(N)を測定した(N=5の平均値)。そして、微少な変位(0.05秒間における0.04167mmの変位)毎の応力の変化の最大値を算出し、その数値を突き刺し弾性率として算出した。なお、上記した突き刺し弾性率の測定は、23℃×50%RHの雰囲気下で行った(シート状物Sの測定サンプルについては、同じ雰囲気下で24hr.のシーズニングを行った)。
【0029】
<水蒸気透過度>
各実施例および比較例のシート状物を用いて、40℃、90%RHの条件下で、JIS Z0208に準拠し、アルミニウム材の透湿カップを用いて、単位面積(1m2)の24時間当たりの水蒸気の透過量(g)を測定した。
【0030】
<包装状態・鮮度保持特性(イチゴ)>
延伸ポリスチレンからなる所定の大きさ(縦×横×高さ=167mm×115mm×43mm)の上面を開口した透明な容器中に、所定量(250g)のイチゴを入れ、そのイチゴ入りの容器を、各実施例・各比較例のシート状物によって形成した所定の大きさ(幅×高さ=210mm×295mm)の包装袋(三方袋)中に収納し、当該包装袋の開口部を折り曲げて、粘着テープによって密封した(
図2参照)。そして、当該包装袋、収納された容器および内容物(イチゴ)の状態を、下記の4段階で官能評価した。
[容器の状態の評価基準]
◎:容器に変形(外装したシート状物による押圧変形)や擦過傷(外装したシート状物との摩擦による引っ掻き傷等)がまったく認められない
○:容器にごくわずかな変形や擦過傷が認められる
△:容器に明確な変形や複数(2~3ヶ所程度)の擦過傷が認められる
×:容器に大きな変形や多数(5ヶ所以上)の擦過傷が認められる
[包装袋の状態の評価基準]
◎:包装袋に変形(収納された容器による伸び変形等)、亀裂(破袋)や擦過傷(収納された容器との摩擦による引っ掻き傷等)がまったく認められない
○:包装袋にごくわずかな変形、亀裂や擦過傷が認められる
△:包装袋に明確な変形、亀裂や複数(2~3ヶ所程度)の擦過傷が認められる
×:包装袋に大きな変形、亀裂や多数(5ヶ所以上)の擦過傷が認められる
[内容物の状態の評価基準]
◎:内容物(イチゴ)に押し跡(容器の変形による押圧痕)や潰れがまったく認められない
○:内容物にごくわずかな押し跡や潰れが認められる
△:内容物に明確な押し跡や潰れが認められる
×:内容物に広範囲の押し跡や大きな潰れが認められる
【0031】
また、上記の如く得られたイチゴ入りの容器を収納した包装袋を、20℃×65%RHの環境下にて、3日間に亘って保管した後に、包装されたイチゴの状態を、萎び、腐敗およびカビの発生状況の観点から、下記の4段階で官能評価した。
[萎びの評価基準]
◎:萎びがまったく認められない(包装前のものとの差がない)
○:ごくわずかな萎びが認められる
△:萎びが明確に認められる
×:全体的な萎びが認められ、商品価値を喪失している
[腐敗の評価基準]
◎:色・臭気において包装前のものとの違いがまったく認められない
○:若干乾燥した様子であるものの、変色・異臭が認められない
△:わずかな変色、微かな異臭が認められる
×:全体的な乾燥、変色、明確な異臭、カビの発生、腐敗が認められ、商品価値を喪失している
[カビの発生状況の評価基準]
◎:カビがまったく認められない
○:ごくわずかなカビの発生が認められる
△:カビの発生が明確に認められる
×:全体的にカビが発生しており、商品価値を喪失している
【0032】
<包装状態・鮮度保持特性(ブロッコリー)>
所定の大きさ(幅150mm×高さ215mm)の段ボール箱を開口し、その開口した段ボール箱に、各実施例・各比較例のシート状物によって形成した所定の大きさ(幅×高さ=760mm×630mm)の包装袋を、開口部を段ボール箱の開口部に合わせるようにセットし、その中に所定量(5,000g)のブロッコリーを収納した後、包装袋を上方へ引っ張り包装袋の底部の皺を伸ばしてから、包装袋の開口部を折り畳み(表裏2枚のシート状物を重ねて2~3cm幅で同一方向に2~3回折り込み)、ガムテープによって、段ボール箱の蓋を閉じた(
図3参照)。しかる後、段ボール箱を開口して、当該段ボール箱、包装袋の状態を、下記の4段階で官能評価した。また、収納された内容物(ブロッコリー)の状態を、イチゴの包装状態と同じ基準で官能評価した。
[段ボール箱の状態の評価基準]
◎:段ボール箱に変形(収納したシート状物による押圧変形)や擦過傷(収納したシート状物との摩擦による引っ掻き傷等)がまったく認められない
○:段ボール箱にごくわずかな変形や擦過傷が認められる
△:段ボール箱に明確な変形や複数(2~3ヶ所程度)の擦過傷が認められる
×:段ボール箱に大きな変形や多数(5ヶ所以上)の擦過傷が認められる
[包装袋の状態の評価基準]
◎:包装袋に変形(内容物(ブロッコリー)に起因した伸び変形等)、亀裂(破袋)や擦過傷(外装された段ボール箱との摩擦による引っ掻き傷等)がまったく認められない
○:包装袋にごくわずかな変形、亀裂や擦過傷が認められる
△:包装袋に明確な変形、亀裂や複数(2~3ヶ所程度)の擦過傷が認められる
×:包装袋に大きな変形、亀裂や多数(5ヶ所以上)の擦過傷が認められる
【0033】
また、上記の如く得られたブロッコリー入りの包装袋を収納した段ボール箱を、20℃×65%RHの環境下にて、3日間に亘って保管した後に、包装されたブロッコリーの状態を、萎び、変色および腐敗の発生状況の観点から4段階で官能評価した。なお、包装されたブロッコリーの萎び、および腐敗の発生状況については、上記したイチゴの鮮度保持特性と同じ基準により4段階で官能評価し、包装されたブロッコリーの変色については、下記の4段階で官能評価した。
[変色の評価基準]
◎:変色がまったく認められない(包装前のものとの差がない)
○:ごくわずかな変色が認められる
△:変色が明確に認められる
×:全体的に変色しており、商品価値を喪失している
【0034】
<包装状態・鮮度保持特性(スイスチャード)>
各実施例・各比較例のシート状物によって形成した所定の大きさ(幅×高さ=185mm×440mm)の包装袋(三方袋)中に、所定量(100g)のスイスチャードを収納し、当該包装袋の開口部を折り曲げて、粘着テープによって密封した。そして、その包装袋、および、包装された内容物(スイスチャード)の状態を、下記の4段階で官能評価した。
[包装袋の状態の評価基準]
◎:包装袋に伸び変形、穴開き、亀裂、破袋等の発生(内容物(スイスチャード)に起因したもの)がまったく認められない
○:包装袋にごくわずかな伸び変形、穴開き、亀裂、破袋等の発生が認められる
△:包装袋に伸び変形、穴開き、亀裂、破袋等の発生が明確に認められる
×:包装袋に大きな伸び変形、穴開き、亀裂、破袋等の発生が認められる
[内容物の状態の評価基準]
◎:内容物(スイスチャード)に押し跡(包装袋の変形による押圧痕)、潰れや軸折れがまったく認められない
○:内容物にごくわずかな押し跡や潰れや軸折れが認められる
△:内容物に明確な押し跡や潰れや軸折れが認められる
×:内容物に広範囲の押し跡や大きな潰れや軸折れが認められる
【0035】
また、上記の如く得られたスイスチャード入りの包装袋を、20℃×65%RHの環境下にて、3日間に亘って保管した後に、包装されたスイスチャードの状態を、萎び、変色および腐敗の発生状況の観点から4段階で官能評価した。なお、包装されたスイスチャードの萎び、および腐敗の発生状況については、上記したイチゴの鮮度保持特性と同じ基準により4段階で官能評価し、包装されたスイスチャードの変色については、ブロッコリーの鮮度保持特性と同じ基準により4段階で官能評価した。
【0036】
<包装状態・鮮度保持特性(青首大根)>
各実施例・各比較例のシート状物によって形成した所定の大きさ(幅×高さ=150mm×520mm)の包装袋(三方袋)中に、所定量(750g)の青首大根を収納し、当該包装袋の開口部を折り曲げて、粘着テープによって密封した。そして、当該包装袋の状態を、上記したスイスチャードの包装状態と同じ基準により4段階で官能評価した。また、包装された内容物(青首大根)の状態を、下記の4段階で官能評価した。
[内容物の状態の評価基準]
◎:内容物(青首大根)に押し跡(包装袋の変形による押圧痕)、潰れや根先の折れがまったく認められない
○:内容物にごくわずかな押し跡や潰れや根先の折れが認められる
△:内容物に明確な押し跡や潰れや根先の折れが認められる
×:内容物に広範囲の押し跡や大きな潰れや根先の折れが認められる
【0037】
また、上記の如く得られた青首大根入りの包装袋を、20℃×65%RHの環境下にて、3日間に亘って保管した後に、包装された青首大根の状態を、萎び、変色および腐敗の発生状況の観点から4段階で官能評価した。なお、包装された青首大根の萎び、および腐敗の発生状況については、上記したイチゴの鮮度保持特性と同じ基準で官能評価し、包装された青首大根の変色については、上記したブロッコリーの鮮度保持特性と同じ基準により4段階で官能評価した。
【0038】
[実施例1]
シート状物として、PVA(ポリビニルアルコール)からなる厚さ40μmのフィルム(三菱ケミカル(株)製 ニチゴーGポリマーOKS-8042Pを用いてインフレーション法にて製膜)を用い、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための4種類の包装袋を形成した。なお、各青果物用の包装袋の大きさは、以下の通りである。
・イチゴ:幅×高さ=210mm×295mmであり、
・ブロッコリー:幅×高さ=760mm×630mm
・スイスチャード:幅×高さ=185mm×440mm
・青首大根:幅×高さ=150mm×520mm
【0039】
そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。実施例1のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0040】
[実施例2]
シート状物として、PLA(ポリ乳酸)とPBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)との混合樹脂からなる厚さ40μmのフィルム((Shanghai Huiang Industrial Co.,Ltd製 Bio-201を用いてインフレーション法にて製膜)を用い、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1の包装袋と同じ大きさを有する4種類の包装袋を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。実施例2のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0041】
[実施例3]
シート状物として、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)と澱粉との混合物からなる厚さ70μmのフィルム((Anhui Ecopoly Co.,Ltd製 ECO-BMF-1521を用いてインフレーション法にて製膜)を用い、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1の包装袋と同じ大きさを有する4種類の包装袋を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。実施例3のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0042】
[実施例4]
シート状物として、PE(ポリエチレン BraskemS.A.製 SEB853) 30質量%と澱粉(合同会社バイオプラ・セレクション製 Eco Starch Resin(登録商標)) 70質量%との混合物からなる厚さ70μmのフィルムを用い、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1の包装袋と同じ大きさを有する4種類の包装袋を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。実施例4のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0043】
[実施例5]
シート状物として、PBS(ポリブチレンサクシネート)からなる厚さ60μmのフィルム(三菱ケミカル(株)製 FORZEAS DA9005を用いてインフレーション法にて製膜)を用い、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1の包装袋と同じ大きさを有する4種類の包装袋を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。実施例5のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0044】
[実施例6]
シート状物として、PLA(ポリ乳酸)からなる厚さ25μmのフィルム(Total Carbion PLA製 Luminy LX175を用いてインフレーション法にて製膜)を用い、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1の包装袋と同じ大きさを有する4種類の包装袋を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。実施例6のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0045】
[実施例7]
シート状物として、PLA(ポリ乳酸)からなる厚さ40μmのフィルム(Total Carbion PLA製 Luminy LX175を用いてインフレーション法にて製膜)を用い、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1の包装袋と同じ大きさを有する4種類の包装袋を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。実施例7のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0046】
[実施例8]
シート状物として、重さ(メートル坪量)35g/m2で厚さ32μmのグラシン紙((株)美津山製)を用い、矩形に裁断した2枚のグラシン紙の左右および下部の端縁を糊(ポリビニルピロリドン)によって貼り合わせることによって、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1と同じ大きさを有する4種類の包装袋(三方袋)を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。実施例8のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0047】
[実施例9]
シート状物として、重さ(メートル坪量)35g/m2で厚さ32μmのグラフト紙((株)美津山製)を用い、矩形に裁断した2枚のグラフト紙の左右および下部の端縁を糊(ポリビニルピロリドン)によって貼り合わせることによって、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1と同じ大きさを有する4種類の包装袋(三方袋)を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。実施例9のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0048】
[実施例10]
シート状物として、PLA(ポリ乳酸)からなる厚さ40μmのフィルム(Total Carbion PLA製 Luminy LX175を用いてインフレーション法にて製膜)と重さ(メートル坪量)35g/m2で厚さ32μmのグラフト紙((株)美津山製)との積層体(グラフト紙上にPLAフィルムを溶着させたもの)を用い、溶断シール法によって、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1の包装袋と同じ大きさを有する4種類の包装袋(三方袋)を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。実施例10のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0049】
[実施例11]
シート状物として、LDPE(低密度ポリエチレン)からなる厚さ20μmのフィルム(BraskemS.A.製 SEB853を用いてインフレーション法にて製膜)を用い、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1の包装袋と同じ大きさを有する4種類の包装袋を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。実施例11のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0050】
[実施例12]
シート状物として、インフレーション法によって形成されたポリプロピレンからなる厚さ20μmのフィルム(株式会社プライムポリマー製 F219DA)を用い、溶断シール法によって、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1の包装袋と同じ大きさを有する4種類の包装袋(三方袋)を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。実施例12のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0051】
[比較例1]
シート状物として、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)からなる厚さ15μmのフィルム(Anhui Ecopoly Co.,Ltd製 ECO-BMF-1523を用いてインフレーション法にて製膜)を用い、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1の包装袋と同じ大きさを有する4種類の包装袋を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。比較例1のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0052】
[比較例2]
シート状物として、PLA(ポリ乳酸)からなる厚さ100μmのフィルム(Total Carbion PLA製 Luminy LX175を用いてインフレーション法にて製膜)を用い、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1の包装袋と同じ大きさを有する4種類の包装袋を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。比較例2のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0053】
[比較例3]
シート状物として、重さ(メートル坪量)120g/m2で厚さ180μmのグラフト紙((株)美津山製)を用い、矩形に裁断した2枚のグラフト紙の左右および下部の端縁を糊(ポリビニルピロリドン)によって貼り合わせることによって、4種類の青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)を包装するための実施例1と同じ大きさを有する4種類の包装袋(三方袋)を形成した。そして、それらの4種類の包装袋を用いて、上記した方法によって、各青果物(イチゴ、ブロッコリー、スイスチャード、青首大根)の包装状態・鮮度保持特性を評価した。また、上記した方法によって、シート状物の突き刺し弾性率、水蒸気透過度を測定した。比較例3のシート状物の評価結果をシート状物の特性とともに表1,2に示す。
【0054】
【0055】
【0056】
表1,2から、突き刺し弾性率が本発明の要件を満たしたシート状物からなる包装袋によって各青果物を包装した場合(実施例1~12)には、包装された各青果物の損傷(押し跡、軸折れ、根先折れ)が見られず、かつ、包装された各青果物による包装袋の損傷(青果物の軸や茎が刺さることによる穴開きや破袋)も見られなかったことが分かる。さらに、実施例1~12においては、二重包装した場合でも合成樹脂の容器や段ボール箱の変形、損傷が見られず、かつ、包装袋の変形、損傷も見られなかったことが分かる。さらに、実施例1~12のシート状物からなる包装袋は、良好な鮮度保持特性を有していることが分かる。
【0057】
これに対して、突き刺し弾性率が本発明の要件を外れて低い場合(比較例1)には、包装された各青果物による包装袋の損傷(青果物の軸や茎が刺さることによる穴開きや破袋)が発生して、その結果、良好な鮮度保持効果が得られないことが分かる。また、反対に、突き刺し弾性率が本発明の要件を外れて高い場合(比較例2,3)には、包装された各青果物の損傷(押し跡、軸折れ、根先折れ)が発生したり、二重包装した場合に容器や段ボール箱の変形が発生したりすることが分かる。