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特開2022-106266イメージセンシング装置及び位相シフトホログラフィ法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106266
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】イメージセンシング装置及び位相シフトホログラフィ法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/369 20110101AFI20220711BHJP
   H04N 9/07 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
H04N5/369
H04N9/07 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099960
(22)【出願日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】17/142,826
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】林 國峰
(72)【発明者】
【氏名】謝 錦全
【テーマコード(参考)】
5C024
5C065
【Fターム(参考)】
5C024EX52
5C024GX02
5C024GX14
5C024HX28
5C024HX29
5C024HX30
5C065AA06
5C065BB30
5C065CC01
5C065DD17
5C065EE05
5C065EE06
5C065GG21
5C065GG22
5C065GG23
(57)【要約】

【課題】 レンズのないイメージセンサを提供する。
【解決手段】 複数のユニットセル内に配置され、各前記ユニットセルは、第1の光電素子、第2の光電素子、第3の光電素子、および第4の光電素子を含む複数の光電素子を含み、各前記ユニットセル内の前記第1の光電素子、前記第2の光電素子、前記第3の光電素子、および前記第4の光電素子は、ピラー構造で形成され、異なるサイズを有し、前記第1の光電素子は、第1の位相で第1の画像を撮像し、前記第2の光電素子は、第2の位相で第2の画像を撮像し、前記第3の光電素子は、第3の位相で第3の画像を撮像し、前記第4の光電素子は、第4の位相で第4の画像を撮像し、前記第1の位相、前記第2の位相、前記第3の位相、および前記第4の位相は異なるイメージセンシング装置。
【選択図】 図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユニットセル内に配置され、各前記ユニットセルは、第1の光電素子、第2の光電素子、第3の光電素子、および第4の光電素子を含む複数の光電素子を含み、
各前記ユニットセル内の前記第1の光電素子、前記第2の光電素子、前記第3の光電素子、および前記第4の光電素子は、ピラー構造で形成され、異なるサイズであり、
前記第1の光電素子は、第1の位相で第1の画像を撮像し、前記第2の光電素子は、第2の位相で第2の画像を撮像し、前記第3の光電素子は、第3の位相で第3の画像を撮像し、前記第4の光電素子は、第4の位相で第4の画像を撮像し、
前記第1の位相、前記第2の位相、前記第3の位相、および前記第4の位相は異なるイメージセンシング装置。
【請求項2】
前記ピラー構造、単結晶シリコン、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン、Si3N4、GaP、TiO2、AlSb、AlAs、AlGaAs、AlGaInP、BP、ZnGeP2、のいずれか一つ、またはそれらの組み合わせたものを含むである請求項1に記載のイメージセンシング装置。
【請求項3】
各前記ユニットセルは、2×2アレイとして形成され、2×2アレイ内の前記第1の光電素子、前記第2の光電素子、前記第3の光電素子、および前記第4の光電素子の順序は固定されており、各前記ユニットセルの順序は固定されている請求項1に記載のイメージセンシング装置。
【請求項4】
各前記ユニットセルは、2×2アレイとして形成され、2×2アレイ内の前記第1の光電素子、前記第2の光電素子、前記第3の光電素子、および前記第4の光電素子の順序は可変であり、各前記ユニットセルの順序は可変である請求項1に記載のイメージセンシング装置。
【請求項5】
各前記ユニットセルは、2×2アレイとして形成され、2×2アレイ内の前記第1の光電素子、前記第2の光電素子、前記第3の光電素子、および前記第4の光電素子の順序は固定されており、
各前記ユニットセルは、右に所定の角度回転して繰り返されるか、または各前記ユニットセルは、右に反転して繰り返されるか、または各前記ユニットセルは、右に反転して所定の角度回転して繰り返され、前記所定の角度は、90度、180度、または270度である請求項1に記載のイメージセンシング装置。
【請求項6】
前記第1の位相、前記第2の位相、前記第3の位相、および前記第4の位相は、それぞれ0、π/2、π、および3π/2であり、
前記第1の光電素子、前記第2の光電素子、前記第3の光電素子、および前記第4の光電素子の直径は、120~350nmであり、前記第1の光電素子、前記第2の光電素子、前記第3の光電素子、および前記第4の光電素子の高さは、300nm以上750nm以下の範囲内である請求項1に記載のイメージセンシング装置。
【請求項7】
第1の位相シフトホログラム画像、第2の位相シフトホログラム画像、第3の位相シフトホログラム画像、および第4の位相シフトホログラム画像は、4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムを介して前記ユニットセルで撮影された前記第1の位相の第1の画像、前記第2の位相の第2の画像、前記第3の位相の第3の画像、および前記第4の位相の第4の画像をそれぞれ組み合わせることにより得られ、
フーリエ領域の物体波は、前記第1の位相シフトホログラム画像、前記第2の位相シフトホログラム画像、前記第3の位相シフトホログラム画像、および前記第4の位相シフトホログラム画像に従って計算され、物体画像は前記物体波に逆フーリエ変換することで再構成される請求項1に記載のイメージセンシング装置。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載のイメージセンシング装置を用いた、位相シフトホログラフィ法であって、
4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムを介して前記ユニットセルで撮影された前記第1の位相の第1の画像、前記第2の位相の第2の画像、前記第3の位相の第3の画像、および前記第4の位相の第4の画像をそれぞれ組み合わせることにより、第1の位相シフトホログラム画像、第2の位相シフトホログラム画像、第3の位相シフトホログラム画像、および第4の位相シフトホログラム画像を取得するステップと、
前記第1の位相シフトホログラム画像、前記第2の位相シフトホログラム画像、前記第3の位相シフトホログラム画像、および前記第4の位相シフトホログラム画像に従ってフーリエ領域の物体波を計算するステップと、
前記物体波に逆フーリエ変換することで物体画像を再構成するステップとを含む位相シフトホログラフィ法。
【請求項9】
前記光電素子上に配置されたフィルタアレイを含み、
前記フィルタアレイは、
入射光から緑色光を抽出する第1の緑色フィルタおよび第2の緑色フィルタ、
前記入射光から赤色光を抽出する赤色フィルタ、および
前記入射光から青色光を抽出する青色フィルタを含み、
前記ユニットセルは複数のマクロユニットセルに配置され、
各前記マクロユニットセルは、2×2アレイに配置された第1のユニットセル、第2のユニットセル、第3のユニットセル、および第4のユニットセルを含み、
各前記マクロユニットセルの前記第1のユニットセル、前記第2のユニットセル、前記第3のユニットセル、および前記第4のユニットセルは、前記第1の緑色フィルタ、前記第2の緑色フィルタ、前記赤色フィルタ、および前記青色フィルタを介して前記緑色光、前記緑色光、前記赤色光、および前記青色光をそれぞれ受光する請求項1に記載のイメージセンシング装置。
【請求項10】
前記第1の光電素子、前記第2の光電素子、前記第3の光電素子、および前記第4の光電素子の高さは、前記第1のユニットセルおよび前記第2のユニットセルの前記第1の光電素子、前記第2の光電素子、前記第3の光電素子、および前記第4の光電素子の高さより高く、
前記第1のユニットセルおよび前記第2のユニットセルの前記第1の光電素子、前記第2の光電素子、前記第3の光電素子、および前記第4の光電素子の高さは、前記第4のユニットセルの前記第1の光電素子、前記第2の光電素子、前記第3の光電素子、および前記第4の光電素子の高さより高い請求項9に記載のイメージセンシング装置。
【請求項11】
第1の緑色位相シフトホログラム画像、第2の緑色位相シフトホログラム画像、第3の緑色位相シフトホログラム画像、および第4の緑色位相シフトホログラム画像は、4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムを介して前記第1のユニットセルで撮影された前記第1の位相の第1の画像、前記第2の位相の第2の画像、前記第3の位相の第3の画像、および前記第4の位相の第4の画像をそれぞれ組み合わせることにより得られ、
第5の緑色位相シフトホログラム画像、第6の緑色位相シフトホログラム画像、第7の緑色位相シフトホログラム画像、および第8の緑色位相シフトホログラム画像は、4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムを介して前記第2のユニットセルで撮影された前記第1の位相の第1の画像、前記第2の位相の第2の画像、前記第3の位相の第3の画像、および前記第4の位相の第4の画像をそれぞれ組み合わせることにより得られ、
第1の赤色位相シフトホログラム画像、第2の赤色位相シフトホログラム画像、第3の赤色位相シフトホログラム画像、および第4の赤色位相シフトホログラム画像は、4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムを介して前記第3のユニットセルで撮影された前記第1の位相の第1の画像、前記第2の位相の第2の画像、前記第3の位相の第3の画像、および前記第4の位相の第4の画像をそれぞれ組み合わせることにより得られ、
第1の緑色位相シフトホログラム画像、第2の緑色位相シフトホログラム画像、第3の緑色位相シフトホログラム画像、および第4の緑色位相シフトホログラム画像は、4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムを介して前記第1のユニットセルで撮影された前記第1の位相の第1の画像、前記第2の位相の第2の画像、前記第3の位相の第3の画像、および前記第4の位相の第4の画像をそれぞれ組み合わせることにより得られ、
第1の青色位相シフトホログラム画像、第2の青色位相シフトホログラム画像、第3の青色位相シフトホログラム画像、および第4の青色位相シフトホログラム画像は、4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムを介して前記第3のユニットセルで撮影された前記第1の位相の第1の画像、前記第2の位相の第2の画像、前記第3の位相の第3の画像、および前記第4の位相の第4の画像をそれぞれ組み合わせることにより得られる請求項9に記載のイメージセンシング装置。
【請求項12】
請求項9に記載のイメージセンシング装置を用いた、位相シフトホログラフィ法であって、
4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムを介して前記第1のユニットセルで撮影された前記第1の位相の第1の画像、前記第2の位相の第2の画像、前記第3の位相の第3の画像、および前記第4の位相の第4の画像をそれぞれ組み合わせることにより、第1の緑色位相シフトホログラム画像、第2の緑色位相シフトホログラム画像、第3の緑色位相シフトホログラム画像、および第4の緑色位相シフトホログラム画像を取得するステップと、
4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムを介して前記第2のユニットセルで撮影された前記第1の位相の第1の画像、前記第2の位相の第2の画像、前記第3の位相の第3の画像、および前記第4の位相の第4の画像をそれぞれ組み合わせることにより、第5の緑色位相シフトホログラム画像、第6の緑色位相シフトホログラム画像、第7の緑色位相シフトホログラム画像、および第8の緑色位相シフトホログラム画像を取得するステップと、
4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムを介して前記第3のユニットセルで撮影された前記第1の位相の第1の画像、前記第2の位相の第2の画像、前記第3の位相の第3の画像、および前記第4の位相の第4の画像をそれぞれ組み合わせることにより、第1の赤色位相シフトホログラム画像、第2の赤色位相シフトホログラム画像、第3の赤色位相シフトホログラム画像、および第4の赤色位相シフトホログラム画像を取得するステップと、
4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムを介して前記第1のユニットセルで撮影された前記第1の位相の第1の画像、前記第2の位相の第2の画像、前記第3の位相の第3の画像、および前記第4の位相の第4の画像をそれぞれ組み合わせることにより、第1の緑色位相シフトホログラム画像、第2の緑色位相シフトホログラム画像、第3の緑色位相シフトホログラム画像、および第4の緑色位相シフトホログラム画像を取得するステップと、
4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムを介して前記第3のユニットセルで撮影された前記第1の位相の第1の画像、前記第2の位相の第2の画像、前記第3の位相の第3の画像、および前記第4の位相の第4の画像をそれぞれ組み合わせることにより、第1の青色位相シフトホログラム画像、第2の青色位相シフトホログラム画像、第3の青色位相シフトホログラム画像、および第4の青色位相シフトホログラム画像を取得するステップとを含む位相シフトホログラフィ法。
【請求項13】
フーリエ領域の第1の緑色物体波は、前記第1の緑色位相シフトホログラム画像、前記第2の緑色位相シフトホログラム画像、前記第3の緑色位相シフトホログラム画像、および前記第4の緑色位相シフトホログラム画像に従って計算され、
前記フーリエ領域の第2の緑色物体波は、前記第5の緑色位相シフトホログラム画像、前記第6の緑色位相シフトホログラム画像、前記第7の緑色位相シフトホログラム画像、および前記第8の緑色位相シフトホログラム画像に従って計算され、
前記フーリエ領域の赤色物体波は、前記第1の赤色位相シフトホログラム画像、前記第2の赤色位相シフトホログラム画像、前記第3の赤色位相シフトホログラム画像、および前記第4の赤色位相シフトホログラム画像に従って計算され、
前記フーリエ領域の青色物体波は、前記第1の青色位相シフトホログラム画像、前記第2の青色位相シフトホログラム画像、前記第3の青色位相シフトホログラム画像、および前記第4の青色位相シフトホログラム画像に従って計算され、
第1の緑色物体画像は、前記第1の緑色物体波に逆フーリエ変換を用いることで再構成され、第2の緑色物体画像は、前記第2の緑色物体波に前記逆フーリエ変換を用いることで再構成され、赤色物体画像は、前記赤色物体波に前記逆フーリエ変換を用いることで再構成され、且つ青色物体画像は、前記青色物体波に前記逆フーリエ変換を用いることで再構成され、
カラー画像は、前記第1の緑色物体画像、第2の緑色物体画像、赤色の物体画像、および青色物体画像に従って得られる請求項11に記載のイメージセンシング装置。
【請求項14】
請求項11記載のイメージセンシング装置を用いた、位相シフトホログラフィ法であって、
前記第1の緑色位相シフトホログラム画像、前記第2の緑色位相シフトホログラム画像、前記第3の緑色位相シフトホログラム画像、および前記第4の緑色位相シフトホログラム画像に従ってフーリエ領域の第1の緑色物体波を計算するステップと、
前記第5の緑色位相シフトホログラム画像、前記第6の緑色位相シフトホログラム画像、前記第7の緑色位相シフトホログラム画像、および前記第8の緑色位相シフトホログラム画像に従って、前記フーリエ領域の第2の緑色物体波を演算するステップと、
前記第1の赤色位相シフトホログラム画像、前記第2の赤色位相シフトホログラム画像、前記第3の赤色位相シフトホログラム画像、および前記第4の赤色位相シフトホログラム画像に従って、前記フーリエ領域の赤色物体波を計算するステップと、
前記第1の青色位相シフトホログラム画像、前記第2の青色位相シフトホログラム画像、前記第3の青色位相シフトホログラム画像、および前記第4の青色位相シフトホログラム画像に従って、前記フーリエ領域の青色物体波を計算するステップと、
前記第1の緑色物体波に逆フーリエ変換をすることで、第1の緑色物体画像を再構成するステップと、
前記第2の緑色物体波に前記逆フーリエ変換をすることで、第2の緑色物体画像を再構成するステップと、
前記赤色物体波に前記逆フーリエ変換をすることで、赤色物体画像を再構成するステップと、
前記青色物体波に前記逆フーリエ変換をすることで、青色物体画像を再構成するステップと、
前記第1の緑色物体画像、第2の緑色物体画像、赤色の物体画像、および青色物体画像に従って、カラー画像を取得するステップとを含む位相シフトホログラフィ法。
【請求項15】
前記第1の緑色フィルタおよび前記第2の緑色フィルタは、緑色カラーフィルタ、緑色マルチフィルム、または緑色格子でそれぞれ形成され、前記赤色フィルタは、赤色カラーフィルタ、赤色マルチフィルム、または赤色格子で形成され、前記青色フィルタは、青色カラーフィルタ、青色マルチフィルム、または青色格子で形成される請求項9に記載のイメージセンシング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンシング装置及び位相シフトホログラフィ法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
技術の進歩に伴い、カメラを搭載した電子機器が人気を集めている。しかしながら、従来のカメラ、即ちカラーイメージセンシング(Color Image Sensing; CIS)装置では、モジュラーレンズは通常、入射光を取り込み、この取り込んだ光をデジタル画像に変換するために必要な部品である。しかしながら、従来の撮像技術の制限により、画像はレンズを用いて形成され、モジュラーレンズは、カメラ内の利用可能なスペースの大部分を占めている。携帯型の電子機器は小型化が進んでいるため、大型のモジュラーレンズはこれらの機器に適していない。
【0003】
従って、カメラのサイズを小型化するために、レンズのないイメージセンサが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンズのないイメージセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、入射光を受ける複数の光電素子を含むイメージセンシング装置を提供する。光電素子は複数のユニットセル内に配置され、各ユニットセルは、第1の光電素子、第2の光電素子、第3の光電素子、および第4の光電素子を含む。各ユニットセル内の第1の光電素子、第2の光電素子、第3の光電素子、および第4の光電素子は、ピラー構造で形成され、第1の光電素子、第2の光電素子、第3の光電素子、および第4の光電素子は、全て異なるサイズである。各ユニットセルの第1の光電素子は、第1の位相で第1の画像を撮像し、各ユニットセルの第2の光電素子は、第2の位相で第2の画像を撮像し、各ユニットセルの第3の光電素子は、第3の位相で第3の画像を撮像し、各ユニットセルの第4の光電素子は、第4の位相で第4の画像を撮像する。第1の位相、第2の位相、第3の位相、および第4の位相は異なる。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、カメラ全体のサイズを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、位相シフトデジタルホログラフィ装置の概略図である。
図2A図2Aは、本開示の一実施形態によるイメージセンシング装置の上面図である。
図2B図2Bは、本開示のもう1つの実施形態によるイメージセンシング装置の上面図である。
図3図3は、図2Aのイメージセンシング装置の断面図である。
図4図4は、本開示の一実施形態による、光電素子の直径と位相の対応関係の概略図である。
図5図5は、本開示のもう1つの実施形態によるイメージセンシング装置の上面図である。
図6図6は、本開示のもう1つの実施形態によるイメージセンシング装置の上面図である。
図7図7は、本開示のもう1つの実施形態によるイメージセンシング装置の上面図である。
図8図8は、本開示の一実施形態による、イメージセンシング装置で用いる4ステップの位相シフトホログラフィ法のフローチャートである。
図9図9は、本開示のもう1つの実施形態によるイメージセンシング装置の上面図である。
図10図10は、図9のイメージセンシング装置の断面図である。
図11図11は、図9のイメージセンシング装置のもう1つの断面図である。
図12図12は、図9のイメージセンシング装置のもう1つの断面図である。
図13図13は、図9のイメージセンシング装置のもう1つの断面図である。
図14図14は、本開示のもう1つの実施形態による、イメージセンシング装置で用いる4ステップの位相シフトホログラフィ法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の技術用語は、本開示の技術分野における一般的な定義に基づいている。本開示の一部の用語について記載または説明がある場合、用語の定義は、本開示の記載または説明に基づくものとする。開示された各実施形態は、1つ以上の技術的特徴を有する。可能な実施において、当業者は、本開示の任意の実施形態のすべてまたは一部の技術的特徴を選択的に実施するか、または本開示の実施形態のすべてまたは一部の技術的特徴を選択的に組み合わせることができる。
【0009】
以下の各実施形態において、同じ参照番号は、同一または類似の素子または構成要素を表している。
【0010】
図1は、位相シフトデジタルホログラフィ装置の概略図である。位相シフトデジタルホログラフィ装置100は、レーザ光源110、ビームエミッタ120、ビームスプリッタ130と140、圧電変換器(PZT)ミラー150、ミラー160、およびセンサアレイ170を含む。レーザ光源110から出射されたレーザ光は、ビームエミッタ120でさらに増強され、ビームエミッタ120から出射された光は、ビームスプリッタ130によって物体光と参照光に分割される。参照光は、ビームを位相変調するPZTミラー150によって反射される。 一定の位相を参照ビームにシフトすることにより、異なるホログラム画像が得られ、物体波の複素振幅が導出される。
【0011】
例えば、参照波の初期位相はゼロであり、各ステップでπ/2変化する。4ステップの位相シフトデジタルホログラフィアルゴリズムが用いられた場合、0、π/2、π、および3π/2などの異なる位相での干渉パターンの強度は、式(1)~(4)でそれぞれ表される。
【0012】
【数1】
【0013】
【数2】
【0014】
【数3】
【0015】
【数4】
【0016】
位相0、π/2、π、および3π/2での干渉パターンの強度を得た後、物体光の複素振幅は、以下の式(5)で与えられる。
【0017】
【数5】
【0018】
物体光の複素振幅は、デジタル逆伝播を実行することによって、Ψから物体面にある物体光の振幅分布を得ることができるため、複素ホログラム画像と呼ばれることがある。
【0019】
従って、物体波を計算するには、参照光の複素振動を知る必要がある。通常、基準光は平面波または球面波であるため、その位相は測定なしで得られる。異なる位相での物体波を用いて物体画像を再構成する技術は当業者には理解し得るため、ここでは詳細が省略される。
【0020】
図1の例に説明された位相シフトデジタルホログラフィ装置100は、各ステップで位相を変更する必要があり、位相を変更し、干渉パターンの強度を計算し、物体画像を再構成するのには時間がかかることに留意されたい。従って、現在市販されているあらゆる携帯型電子機器に本装置100を採用することは実用的ではない。
【0021】
しかしながら、位相シフトデジタルホログラフィアルゴリズムの位相遅延の概念は、本開示のイメージセンシング装置で用いられることができる。図2Aは、本開示の一実施形態によるイメージセンシング装置の上面図である。図3は、図2Aのイメージセンシング装置の断面図である。本実施の形態では、イメージセンシング装置200は、例えば、単色イメージセンサである。図2Aおよび図3に示すように、イメージセンシング200は、センサアレイ210を含み得る。センサアレイ210は、入射光を受光する複数の光電素子を含む。光電素子は、半導体製造プロセスを介して基板250上に実装され得る(図3に示されるように)。イメージセンシング装置200にはレンズが用いられていないことに留意されたい。
【0022】
センサアレイ210では、光電素子は、複数のユニットセル220、230、240、および250に配置される。例えば、各ユニットセル220、230、240、および250は、光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224を含み、光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224は、2×2アレイに配置される。
【0023】
さらに、各ユニットセル220、230、240、および250の光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224は、ピラー構造で形成される。本実施形態では、ピラー構造の材料は、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン、Si、GaP、TiO、AlSb、AlAs、AlGaAs、AlGaInP、BP、ZnGeP、任意の他の適用可能な材料、またはそれらの組み合わせであるが、本開示の実施形態はそれに限定されない。
【0024】
また、光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224は異なるサイズである。例えば、光電素子221のサイズは、光電素子222のサイズより小さい。光電素子222のサイズは、光電素子223のサイズより小さい。光電素子223のサイズは、光電素子224のサイズより小さい。
【0025】
さらに、光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224は、異なる直径であることができ、各光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224の直径は、対応する位相シフトホログラム画像の特定の位相を表している。
【0026】
具体的には、4ステップの位相シフトホログラフィ法が、イメージセンシング装置200のアーキテクチャに採用されている。例えば、光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224の直径は、位相δ0、位相δ1、位相δ2、および位相δ3にそれぞれ対応するd0、d1、d2、およびd3である。位相δ0、位相δ1、位相δ2、および位相δ3の値は、例えば、それぞれ0、π/2、π、および3π/2である。実施形態では、光電素子の直径と位相との対応関係は、図4に示したとおりである。また、光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224の直径は、例えば、120~350nmの範囲内であり、光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224の高さは、例えば、300nm以上750nm以下の範囲内である。
【0027】
ユニットセル220は、センサアレイ210に繰り返し配置され、各ユニットセル220、230、240、および250内の各光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224は、4つの異なる位相での個々の位相の画像を撮像することができる。例えば、各ユニットセル220、230、240、および250内の光電素子221は、第1の位相(例えば、位相δ0)で第1の画像を撮像し、各ユニットセル220、230、240、および250内の光電素子222は、第2の位相(例えば、位相δ1)で第2の画像を撮像し、各ユニットセル220、230、240、および250内の光電素子223は、第3の位相(例えば、位相δ2)で第3の画像を撮像し、各ユニットセル220、230、240、および250内の光電素子224は、第4の位相(例えば、位相δ3)で第4の画像を撮像する。
【0028】
第1の画像、第2の画像、第3の画像、および第4の画像は、各ユニットセル250内の光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224によって撮像されるため、第1の画像、第2の画像、第3の画像、および第4の画像の位置は実質的に同じである。例えば、位相δ0の位相シフトホログラム画像は、各ユニットセル220、230、240、および250内の光電素子221によって撮像された画像から得られることができる。同様に、位相δ0、位相δ1、位相δ2、および位相δ3の位相シフトホログラム画像は、各ユニットセル220、230、240、および250内の各光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224によって撮像された画像からそれぞれ得られることができる。
【0029】
4つの位相の位相シフトホログラム画像を得た後、フーリエ領域の物体波は、式(5)を用いて得ることができる。続いて、逆フーリエ変換が物体波に対して行なわれ、空間領域で物体画像を再構成する。あるいは、フーリエ領域の物体波を空間領域の物体画像に変換するための伝達関数H(x、y)が事前に推定されることもできるため、物体波と伝達関数の間の畳み込み演算が行われて物体画像を得ることができる。
【0030】
本実施形態では、図2Aに示されるように、各ユニットセル220、230、240、および250は、2×2アレイとして形成され、2×2アレイ内の第1の光電素子221、第2の光電素子222、第3の光電素子223、および第4の光電素子224の順序は固定されており、各ユニットセル220、230、240、および250の順序は固定されている。従って、ユニットセル220、230、240、および250によって形成されたパターンは同じであることができる。しかしながら、本開示の実施形態はそれに限定されない。
【0031】
本実施形態では、図2Bに示されるように、各ユニットセル220、230、240、および250は、2×2アレイとして形成され、2×2アレイ内の第1の光電素子221、第2の光電素子222、第3の光電素子223、および第4の光電素子224の順序は可変であり、各ユニットセル220、230、240、および250の順序は可変である。従って、ユニットセル220、230、240、および250によって形成されたパターンは異なってもよい。
【0032】
あるいは、いくつかの実施形態では、図5図6、または図7に示されるように、各ユニットセル220、230、240、および250は、2×2アレイとして形成され、2×2アレイ内の第1の光電素子221、第2の光電素子222、第3の光電素子223、および第4の光電素子224の順序は固定されており、各ユニットセル220、230、240、および250は、右に所定の角度回転して繰り返されるか、または各ユニットセル220、230、240、および250は、右に反転して繰り返されるか、または各ユニットセル220、230、240、および250は、右に反転して所定の角度回転して繰り返される。所定の角度は、例えば、90度、180度、または270度であり得る。
【0033】
なお、2×2アレイ内の第1の光電素子221、第2の光電素子222、第3の光電素子223、および第4の光電素子224は、2×2アレイの中心点を中心して、時計方向又は反時計方向に、所定の順序で並んでいてもよい。そして、ユニットセル220を、2×2アレイの中心点を中心として所定の角度回転させた光電素子の配列を、各ユニットセル230、240、および250としてよい。このとき所定の角度は、例えば、90度、180度、または270度とすればよい。また、ユニットセル220を反転させた光電素子の配列を、各ユニットセル230、240、および250としてよい。さらに、ユニットセル220の回転と反転を組み合わせた配列を、各ユニットセル230、240、および2500としてよい。
【0034】
図5に見られるように、各ユニットセル220、230、240、および250の2×2アレイ内の光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224の順序は固定されることができ、ユニットセル220は、ユニットセル250から右に所定の角度(例えば、90度)回転して繰り返され、ユニットセル250は、ユニットセル240から右に所定の角度(例えば、180度)回転して繰り返され、ユニットセル240は、ユニットセル230から右に(垂直)反転して所定の角度(例えば、90度)回転して繰り返され、且つユニットセル230は、ユニットセル220から右に(垂直)反転して繰り返される。従って、ユニットセル220、230、240、および250によって形成されるパターンは異なる。
【0035】
図6に見られるように、各ユニットセル220、230、240、および250の2×2アレイ内の光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224の順序は固定されることができ、ユニットセル220は、ユニットセル250から右に所定の角度(例えば、90度)回転して繰り返され、ユニットセル250は、ユニットセル240から右に所定の角度(例えば、180度)回転して繰り返され、ユニットセル240は、ユニットセル230から右に(水平)反転して所定の角度(例えば、90度)回転して繰り返され、且つユニットセル230は、ユニットセル220から右に(水平)反転して繰り返される。従って、ユニットセル220、230、240、および250によって形成されるパターンは異なる。
【0036】
図7に見られるように、各ユニットセル220、230、240、および250の2×2アレイ内の光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224の順序は固定されることができ、ユニットセル220は、ユニットセル250から右に所定の角度(例えば、270度)回転して繰り返され、ユニットセル250は、ユニットセル240から右に所定の角度(例えば、180度)回転して繰り返され、ユニットセル240は、ユニットセル230から右に(垂直)反転して所定の角度(例えば、90度)回転して繰り返され、且つユニットセル230は、ユニットセル220から右に(垂直)反転して繰り返される。従って、ユニットセル220、230、240、および250によって形成されるパターンは異なる。各ユニットセル220、230、240、および250の2×2アレイ内の光電素子221、光電素子222、光電素子223、および光電素子224のもう1つの配置方式は、図5図6、または図7の実施形態を参照することができ、その説明はここでは繰り返されない。
【0037】
従って、図2B図5図6、および図7のイメージセンシング装置200も、図2Aのイメージセンシング装置と同様の効果を得ることができる。
【0038】
図8は、本開示の一実施形態による、イメージセンシング装置で用いる4ステップの位相シフトホログラフィ法のフローチャートである。図8のフローチャートは、イメージセンシング装置200(単色イメージセンサなど)で用いるためのものである。本方法は、ステップS810において、異なる位相での4つの位相シフトホログラム画像を得るステップを含む。例えば、図2A図2B図5図6、または図7に示されたイメージセンシング装置200が以下の実施形態に用いられることができる。具体的には、4つの位相シフトホログラム画像は、位相0、π/2、π、および3π/2に対応する。
【0039】
本方法は、ステップS820において、異なる位相での4つの位相シフトホログラム画像に従って、フーリエ領域にある物体波を計算するステップを含む。例えば、異なる位相(0、π/2、π、および3π/2など)での位相シフトホログラム画像の強度は、式(1)~(4)を用いて計算されることができ、物体波は、式(5)を用いて計算されることができる。しかしながら、物体波の計算を簡略化するために、物体波φ0は以下の式(6)を用いて近似的に計算されることができる。
【0040】
【数6】
【0041】
本方法は、ステップS830にて、物体波に従って物体画像を再構成するステップを含む。例えば、物体波φ0はフーリエ領域にあり、物体画像は空間領域にあるため、逆フーリエ変換が物体波φ0に適用されて、物体画像を再構成することができる。あるいは、フーリエ領域の物体波を空間領域の物体画像に変換するための伝達関数H(x、y)が事前に推定されることもできるため、物体波と伝達関数の間の畳み込み演算が行われて物体画像を得ることができる。
【0042】
図9は、本開示のもう1つの実施形態によるイメージセンシング装置の上面図である。図10は、図9のイメージセンシング装置の断面図である。本実施の形態では、イメージセンシング装置900は、例えば、カラーイメージセンサである。図9および図10に示すように、イメージセンシング装置900は、センサアレイ910およびフィルタアレイ970を含み得る。
【0043】
センサアレイ910は、入射光を受光する複数の光電素子を含む。センサアレイ910では、光電素子は、複数のユニットセル930、940、950、および960に配置される。例えば、ユニットセル930(例えば、第1のユニットセル)は、光電素子931、光電素子932、光電素子933、および光電素子934を含む。ユニットセル940(例えば、第2のユニットセル)は、光電要素941、光電要素942、光電要素943、および光電要素944を含む。ユニットセル950(第3のユニットセルなど)は、光電素子951、光電素子952、光電素子953、および光電素子954を含む。ユニットセル960(例えば、第4のユニットセル)は、光電素子961、光電素子962、光電素子963、および光電素子964を含む。
【0044】
本実施形態では、光電素子931~934、光電素子941~944、光電素子951~954、および光電素子961~964は2×2アレイにそれぞれ配置されることができる。光電素子931~934、光電素子941~944、光電素子951~954、および光電素子961~964は、図2Aの光電素子221~224と同等または類似している。従って、光電素子931~934、光電素子941~944、光電素子951~954、および光電素子961~964は、図2A図6の実施形態を参照することができ、本明細書では説明を省略する。
【0045】
また、ユニットセル930、940、950、および960は、複数のマクロユニットセル920に配置される。例えば、各マクロユニットセル920は、ユニットセル930、ユニットセル940、ユニットセル950、およびユニットセル960を含み得る。実施形態では、ユニットセル930、ユニットセル940、ユニットセル950、およびユニットセル960は2×2アレイに配置されることができる。
【0046】
フィルタアレイ970は、光電素子上に配置され、即ち、フィルタアレイ970は、センサアレイ910上に配置される。さらに、フィルタアレイ970は、赤色フィルタ972、緑色フィルタ974と976、および青色フィルタ978などの複数のカラーフィルタを含み得る。例えば、2つの緑色フィルタ974および976、1つの赤色フィルタ972、および1つの青色フィルタ978は2×2アレイに配置される。一実施形態では、緑色フィルタ974と976は、入射光から緑色光を抽出することができ、赤色フィルタ972は、入射光から赤色光を抽出することができ、青色フィルタ978は、入射光から青色光を抽出することができる。
【0047】
センサアレイ910は、フィルタアレイ970を介して入射光を受光することができる。ユニットセル930は、フィルタアレイ970内の緑色フィルタ974に対応することができ、ユニットセル940は、フィルタアレイ970内の緑色フィルタ976に対応することができ、ユニットセル950は、フィルタアレイ970内の赤色フィルタ972に対応することができ、且つユニットセル960は、フィルタアレイ970内の青色フィルタ978に対応することができる。従って、各マクロユニットセル920のユニットセル930、940、950、および960は、フィルタアレイ910の緑色フィルタ974、緑色フィルタ976、赤色フィルタ972、および青色フィルタ978を介して、緑色光、緑色光、赤色光、および青色光を受光することができる。具体的には、各マクロユニットセル920の4つのユニットセル930、940、950、および960は、0、π/2、π、および3π/2などの4つの異なる位相での緑色、青色、赤色、および緑色の画像を撮像するように構成される。
【0048】
Hζr、Hζg、およびHζbが赤色光、緑色光、および青色光の波長をそれぞれ表すとすると、赤色光、緑色光、青色光の中で赤色光が最も波長が長く、青色光が最も波長が短いことから、波長の関係はHζr>Hζg>Hζbとなることがわかる。従って、センサアレイ910内の光電素子が同じ材料でできていると仮定すると、赤色光を受けるユニットセル950内の光電素子951~954は、マクロユニットセル920内の他のユニットセル内の光電素子より比較的高い高さを有する。言い換えれば、各ユニットセルの光電素子の高さは、受光した光の波長に比例する。
【0049】
例えば、図10に示されるように、ユニットセル950(赤色フィルタ972に対応する)内の光電素子951~954の高さは、ユニットセル930とユニットセル940(緑色フィルタ941と976に対応する)内の光電素子931~934と941~944の高さより高く、ユニットセル930とユニットセル940(緑色フィルタ941と976に対応する)内の光電素子931~934と941~944の高さは、ユニットセル960の光電素子961~964の高さより高い。
【0050】
マクロユニットセル920がセンサアレイ910内に繰り返し配置されるため、4つの位相シフトホログラム画像は、センサアレイ910内のマクロユニットセル920の各ユニットセル930、940、950、960によって撮像された画像を組み合わせることにより得られるため、合計16個の位相シフトホログラム画像が得られることができる。ユニットセル930によって撮像された緑色の位相シフトホログラム画像は、ユニットセル940によって撮像されたものと同じであることに留意されたい。例えば、合計16個の位相シフトホログラム画像は、(Rδ0、Rδ1、Rδ2、Rδ3)、(G1δ0、G1δ1、G1δ2、G1δ3)、(G2δ0、G2δ1、G2δ2、G2δ3)、および(Bδ0、Bδ1、Bδ2、Bδ3)であることができ、緑色の位相シフトホログラム画像(G1δ0、G1δ1、G1δ2、G1δ3)は、ユニットセル930によって撮像され、緑色の位相シフトホログラム画像(G2δ0、G2δ1、G2δ2、G2δ3)は、ユニットセル940によって撮像される。
【0051】
一実施形態では、緑色フィルタ974および緑色フィルタ976は、図11に示されるように、それぞれ、緑色カラーフィルタ(例えば、図11の「GCF」)で形成され、赤色フィルタ972は、赤色カラーフィルタ( 例えば、図11の「RCF」)で形成され、青色フィルタ978は、青色カラーフィルタで形成される。
【0052】
一実施形態では、図12に示されるように、緑色フィルタ974および緑色フィルタ976は、それぞれ、緑色マルチフィルム(例えば、図12の「MFG」)で形成され、赤色フィルタ972は、赤色マルチフィルム(例えば、図12の「MFR」)で形成され、青色フィルタ978は、青色マルチフィルムで形成される。
【0053】
一実施形態では、図13に示されるように、緑色フィルタ974および緑色フィルタ976は、それぞれ、緑色格子で形成され、赤色フィルタ972は、赤色格子で形成され、青色フィルタ978は、青色格子で形成される。
【0054】
図14は、本開示の一実施形態による、イメージセンシング装置で用いる4ステップの位相シフトホログラフィ法のフローチャートである。図14のフローチャートは、イメージセンシング装置900(カラーイメージセンサなど)で用いるためのものである。本方法は、ステップS1410にて、異なるカラーチャネルおよび異なる位相での16個の位相シフトホログラム画像を取得するステップを含む。例えば、図9のイメージセンシング装置900は、以下の実施形態で用いることができる。16個の位相シフトホログラム画像は、上述のように(Rδ0、Rδ1、Rδ2、Rδ3)、(G1δ0、G1δ1、G1δ2、G1δ3)、(Bδ0、Bδ1、Bδ2、Bδ3)、および(G2δ0、G2δ1、G2δ2、G2δ3)である。上記のカラーチャネルは、ユニットセル930、940、950、および960にそれぞれ対応し得る。
【0055】
本方法は、ステップS1420にて、異なるカラーチャネルおよび異なる位相での16個の位相シフトホログラム画像に従って、フーリエドメイン内の各カラーチャネルの物体波を計算するステップを含む。
【0056】
本方法は、ステップS1430にて、各カラーチャネルの物体波に従って各カラーチャネルの物体画像を再構成するステップを含む。具体的には、イメージセンシング装置900(カラーイメージセンサなど)には、1つの赤色チャネル、1つの青色チャネル、および2つの緑色チャネルなどの4つのカラーチャネルがあり、単一のカラーチャネルの物体波を計算し、物体画像を再構成する操作は、図8の実施形態で参照されることができ、ここではその説明を繰り返さない。
【0057】
従って、ステップS1430の後、1つの赤色チャネル、1つの青色チャネル、および2つの緑色チャネルを表す4つの物体画像が得られ、イメージセンシング装置900に結合されたイメージ信号プロセッサ(図示せず)は、4つの物体画像を用いて元のカラー画像を再構築することができる。
【0058】
要約すると、本開示の実施形態で開示されたイメージセンシング装置によれば、各ユニットセル内の光電素子はピラー構造で形成され、光電素子は異なるサイズである。4ステップの位相シフトホログラフィアルゴリズムの異なる位相用に設計された、異なるサイズを有する光電素子を、イメージセンシング装置のセンサアレイに配置することにより、物体画像は光電素子で撮影された位相シフトホログラム画像を用いて再構成されることができる。従ってレンズのないイメージセンサを用いたカメラモジュールにはモジュラーレンズが不要であるため、カメラモジュール全体のコストを削減し、カメラモジュールの厚さを薄型化することができる。
【0059】
本発明は、例として及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。逆に、当業者には自明の種々の変更及び同様の配置をカバーするものである。よって、添付の特許請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。
【符号の説明】
【0060】
100 位相シフトデジタルホログラフィ装置
110 レーザ光源
120 ビームエミッタ
130、140 ビームスプリッタ
150 圧電変換器(PZT)ミラー
160 ミラー
170 センサアレイ
200、900 イメージセンシング装置
210、910 センサアレイ
220、230、240、250、930、940、950、960 ユニットセル
221、222、223、224、931、932、933、934、941、942、943、944、951、952、953、954、961、962、963、964 光電素子
250 基板
920 マクロユニットセル
970 フィルタアレイ
972 赤色フィルタ
974、976 緑色フィルタ
978 青色フィルタ
RCF 赤色カラーフィルタ
GCF 緑色カラーフィルタ
MFR 赤色マルチフィルム
MFG 緑色マルチフィルム
x、y 伝達関数
S810、S820、S830、S1410、S1420、S1439 ステップ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14