(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106295
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】非等方的に銅電気めっきすることによるフォトレジスト解像能力の改善
(51)【国際特許分類】
C25D 5/34 20060101AFI20220711BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20220711BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20220711BHJP
C25D 3/38 20060101ALI20220711BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
C25D5/34
C25D7/00 J
C25D7/12
C25D3/38
H01L21/90 P
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022000874
(22)【出願日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】63/134,348
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アジェロ・エム.・リフシュイッツ アリビオ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ジエリンスキ
(72)【発明者】
【氏名】サメール・ハムーディ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エフ.・ラチョウスキ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ケイ.・ガラゲール
(72)【発明者】
【氏名】カーティス・ウィリアムソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ディー.・プランゲ
【テーマコード(参考)】
4K023
4K024
5F033
【Fターム(参考)】
4K023AA19
4K023BA06
4K023BA08
4K023BA15
4K023BA29
4K023CB03
4K023CB07
4K023CB11
4K023CB28
4K023CB32
4K023DA02
4K023DA06
4K023DA07
4K023DA08
4K024AA09
4K024AB08
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4K024BB12
4K024CA01
4K024CA02
4K024CA03
4K024CA04
4K024CA06
4K024DA04
4K024DA10
4K024FA05
4K024GA16
5F033GG03
5F033HH11
5F033HH18
5F033PP21
5F033PP26
5F033PP27
5F033XX03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】非等方的に銅電気めっきすることによるフォトレジスト解像能力の改善を提供する。
【解決手段】基材の特徴は、選択的に堆積させられたシード層又はフォトレジスト画定特徴のシード層を、異方性めっきを可能にする選ばれたサプレッサー化合物及び選ばれたレベラー化合物を含有する銅電気めっき組成物で銅電気めっきすることを含む方法によって銅電気めっきされる。任意選択的に、シード層は、銅電気めっきの前に硫黄含有促進剤の水溶液で処理することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)シード層を含む基材を提供する工程と;
b)任意選択的に、硫黄含有促進剤を含む水性処理液を前記シード層に選択的に適用する工程であって、前記水性処理液のpHが3未満、又は9超である工程と;
c)銅イオンの供給源、促進剤、酸、塩化物の供給源、作用電極上の銅電気めっき組成物のボルタンモグラムのカソード波におけるα-ピーク曲線を発生させるサプレッサー、及びレベラーを含む銅電気めっき組成物を提供する工程であって、前記レベラーがイミダゾール及びブチルジグリシジルエーテルの反応生成物のコポリマー又はイミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物のコポリマーである工程と;
d)前記シード層を含む前記基材を前記銅電気めっき組成物と接触させる工程と;
e)前記基材の前記シード層上に銅を非等方的に電気めっきする工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記ボルタンモグラムのカソード波におけるα-ピーク曲線を発生させる前記サプレッサーは、1000~6000g/モルの重量平均分子量を有するポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ボルタンモグラムのカソード波におけるα-ピーク曲線を発生させる前記サプレッサーは、1000~5000g/モルの重量平均分子量を有するEO/POブロックコポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ボルタンモグラムのカソード波におけるα-ピーク曲線を発生させる前記サプレッサーは、1000~5000g/モルの重量平均分子量を有するEO/POランダムコポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ボルタンモグラムのカソード波におけるα-ピーク曲線を発生させる前記サプレッサーは、ジアミンコアEO/POブロックコポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ジアミンコアEO/POブロックコポリマーは、式:
【化1】
(ここで、分子量は、1000~10000g/モルの範囲であり、変数x、x’’、x’’、x’’’、y、y’、y’’及びy’’’は、1以上の整数であり、1000~10,000g/モルの分子量範囲を提供する)
を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ジアミンコアEO/POブロックコポリマーは、式:
【化2】
(ここで、分子量は、1000~10000g/モルの範囲であり、変数x、x’’、x’’、x’’’、y、y’、y’’及びy’’’は、1以上の整数であり、1000~10,000g/モルの分子量範囲を提供する)
を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ジアミンコアEO/POブロックコポリマーは、式:
【化3】
(ここで、分子量は、1000~10000g/モルの範囲であり、変数x、x’’、x’’、x’’’、y、y’、y’’及びy’’’は、1以上の整数であり、1000~10,000g/モルの分子量範囲を提供する)
を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
a)シード層を含む基材を提供する工程と;
b)前記シード層をフォトレジストでコートする工程と;
c)前記フォトレジストを画像形成して前記基材上にパターンを形成し、シード層を選択的に露出させる工程と;
d)任意選択的に、硫黄含有促進剤を含む水性処理液を前記露出シード層に適用する工程であって、前記水性処理液が3未満のpH、又は9超のpHを有する工程と;
e)銅イオンの供給源、促進剤、酸、塩化物の供給源、作用電極上の銅電気めっき組成物のボルタンモグラムのカソード波におけるα-ピーク曲線を発生させるサプレッサー、及びレベラーを含む銅電気めっき組成物を提供する工程であって、前記レベラーがイミダゾール及びブチルジグリシジルエーテルの反応生成物のコポリマー又はイミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物のコポリマーである工程と;
f)前記シード層を含む前記基材を異方性銅電気めっき組成物と接触させる工程と;
g)前記基材の前記シード層上に異方性銅を電気めっきする工程と
を含む方法。
【請求項10】
周囲のフォトレジストの高さの少なくとも2μm上方に銅堆積物を含み、基材の平面に対して80~90°で配向した非整合境界を含む、及び前記基材の前記平面に対して40~50°で配向した並行の双晶境界を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジスト画定(photoresist defined)特徴の非等方的銅電気めっきによるフォトレジスト解像能の改善方法を指向する。より具体的には、本発明は、非等方的に銅電気めっきすることを可能にする選ばれたサプレッサー及び選ばれたレベラー化合物を含有する水性銅電気めっき組成物で基材のフォトレジスト画定特徴のシード層を非等方的に銅電気めっきすることによるフォトレジスト画定特徴の非等方的銅電気めっきによってフォトレジスト解像能力を改善する方法であって、フォトレジスト画定特徴のシード層を、シード層の非等方的銅電気めっきの前に硫黄含有加速剤化合物の溶液で任意選択的に処理することができる方法を指向する。
【背景技術】
【0002】
電子部品のパッケージング及び相互接続は、回路パターンを誘電体マトリックス内に生み出す能力及び当該パターンを、銅などの、電気信号を伝送する金属で満たす能力に依存する。伝統的に、これらの回路は、フォトレジストパターンを通して構築され、ここで、パターン化マスクを通しての露光のプロセス、及び露光された材料のその後の除去は、導電性シード一面に凹んだ、空の特徴のネットワークの形成をもたらす。これらの特徴は、フォトレジストの除去及びシードのエッチバック後に、導体パターンが得られるようにシード一面に電気めっきすることによって銅で満たすことができる。これらの回路における特徴には、典型的には、様々な寸法の線、パッド、ビア、ピラー、及びスルーホールが含まれる。
【0003】
充填一様性及び堆積物品質の制御は、典型的には、電気めっきされる堆積物と、それが成長するにつれて相互作用するめっき槽添加剤を使用して達成される。添加剤は堆積物の微細構造特性の多くを調整するが、めっきされる特徴の形状は、それ自体、フォトレジストによってもっぱら制御される。言い換えれば、フォトレジストは、銅堆積物を、それが成長しているときに包含しており、堆積物が回路パターンの形状以外の任意の形状を取るのを防ぐ。堆積物がフォトレジストの高さの上方に成長することになる場合、形状は、忠実に保持されないであろうことが予期される。ほとんどの場合に、銅は、全ての方向に、等方性めっき成長と言われる挙動でフォトレジスト一面をめっきし続けるであろう。この多方向拡大は、例えば、隣接特徴を接合すること及び回路短絡を生み出すことによって回路の完全性を損ない、それは、全体アーキテクチャを使い物にならなくする。結果として、ほとんどの工業的めっきプロセスにおいて、フォトレジスト又はパターン形成層は、少なくともターゲットめっき堆積物高さと同じ厚さであることを必要とされる。
【0004】
実際の問題として、回路をパッケージするために使用されるフォトレジストは、非常に異なる特徴高さにわたってめっきを同じレベルにすることが試みられるので、回路ブリッジングという問題を回避するために特徴それ自体よりもさらに背が高い必要がある。近代的な回路は、レベリング添加剤に対して異なる拡散抑制を有する小さい及び大きい開口部の両方をフォトレジストにおいて含んでいるので、lサイズ向けターゲット高さの到達は、かなり背が高い他のサイズをめっきする必要があることを意味し得ることが分かった。これは、特に、データ伝送のためのより細かい線が、増加量の電力をより稠密な構成部品に提供するより大きい特徴で統合されている、高周波数及び高電力用途向けに真実である。このように、現在の及び将来の用途は、比較的より厚いフォトレジスト層においてより細かい特徴を画像形成する必要性を増加させる必要性を増幅し続けるであろう。
【0005】
めっき技術の自然の限界から生じる、これらのトレンドは、回路の製造に劇的な技術的及び経済的限界をもたらしている。具体的には、めっきされた特徴を完全に含有する及びレベリング問題を釈明する必要性は、フォトレジストの解像限界、光画像形成可能材料、及び画像形成ツールを強要するであろう。2μmの線及び空間(L/S)次元に関して、従来のフォトレジスト材料は、工業的規模で6μmより深い溝を形成することができない。化学増幅フォトレジストは、溝深さを10μmまで推し進めることができるが、これは、画像形成可能材料のコストの2桁超ほどの増大という犠牲で生じる。
【0006】
したがって、意図される特徴高さよりも薄いフォトレジストを使って動作することを可能にするが、それにもかかわらず特徴高さの全体にわたってパターン形状を持続することができる新しい回路めっきプロトコルを開発することが有利であろう。そうすることは、解像度を増加させる又はより大きい回路設計柔軟性を可能にするのみならず、それはまた、このプロセスに関与するフォトレジストの容積を簡単に低減することによってパターン化層のための材料コストを削減するであろう。
【0007】
そのようなプロセスを可能にするために、金属めっき技術は、めっきされる膜成長が基材に垂直な方向に非等方的に起こるように再設計される必要がある。これは、現在のプロセスとは異なっており、そこでは、パターン化層によって制約されない任意の堆積物が、自然の電界分布のために同時に幾つかの方向に成長する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、フォトレジスト画定特徴を形成するための銅を非等方的に電気メッキする方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
a)シード層を含む基材を提供する工程と;
b)任意選択的に、硫黄含有促進剤を含む水性処理液をシード層に選択的に適用する工程であって、水性処理液のpHが3以下、又は9以上である工程と;
c)銅イオンの供給源、促進剤、酸、塩化物の供給源、作用電極上の銅電気めっき組成物のボルタンモグラムのカソード波におけるα-ピーク曲線を発生させるサプレッサー、及びレベラーを含む銅電気めっき組成物を提供する工程であって、レベラーがイミダゾール及びブチルジグリシジルエーテルの反応生成物のコポリマー又はイミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物のコポリマーである工程と;
d)シード層を含む基材を銅電気めっき組成物と接触させる工程と;
e)基材のシード層上に銅を非等方的に電気めっきする工程と
を含む方法を指向する。
【0010】
本発明はさらに、
a)シード層を含む基材を提供する工程と;
b)シード層をフォトレジストでコートする工程と;
c)フォトレジストを画像形成して基材上にパターンを形成し、シード層を選択的に露出させる工程と;
d)任意選択的に、硫黄含有促進剤を含む水性処理液を露出シード層に適用する工程であって、水性処理液が3以下、又は9以上のpHを有する工程と;
e)銅イオンの供給源、促進剤、酸、塩化物の供給源、作用電極上の銅電気めっき組成物のボルタンモグラムのカソード波におけるα-ピーク曲線を発生させるサプレッサー、及びレベラーを含む銅電気めっき組成物を提供する工程であって、レベラーがイミダゾール及びブチルジグリシジルエーテルの反応生成物のコポリマー又はイミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物のコポリマーである工程と;
f)シード層を含む基材を銅電気めっき組成物と接触させる工程と;
g)基材のシード層上に異方性銅を非等方的に電気めっきする工程と
を含む方法をさらに指向する。
【0011】
本発明は、また、特徴広がりをもたらすことなく、周囲のフォトレジストの高さの少なくとも2μm上方にめっきされている、及び基材の平面に対して80~90°で配向した非整合境界を含み、且つ、基材の平面に対して40~50°で配向した並行の双晶境界を含む銅堆積を含む物品を指向する。
【0012】
本発明の方法は、電気めっきされた層厚さがフォトレジストの厚さよりも実質的に高い場合でさえも維持される、異なる形状及びサイズを有する特徴の非等方的銅電気めっきを可能にする。本発明の方法は、異なるアスペクト比及び形状が単一の層又はめっきステップにおいて組み合わせられる場合でさえも高さを維持することができる同じレベルにされた特徴の形成を可能にする。本発明の追加の利点は、本明細書における開示及び実施例を読めば当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】α-ピーク及びΔVを示す電流(A)対電位(V)のボルタンモグラムである。
【
図2】それぞれ、本発明の等方性銅特徴及び異方性銅特徴の図である。
【
図3】本発明の表面活性化方法及び銅特徴の非等方的めっきの図である。
【
図4】等方性又は異方性電気めっき調合物でめっきされた銅線特徴間の非コヒレント(A)及び(111)-双晶(B)粒子境界の配向の差を示すフーリエ変換マップである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書の全体にわたって用いるところでは、以下の略語は、文脈が別の意味を明確に示さない限り、以下の意味を有するものとする:A=アンペア;A/dm2=1平方デシメートル当たりのアンペア;ASD=A/dm2;V=電圧=電位;℃=摂氏度;g=グラム;mg=ミリグラム;L=リットル;mL=ミリリットル;ppm=百万分率;ppb=十億分率;M=モル/リットル;mol=モル;nm=ナノメートル;μm=ミクロン=マイクロメートル;mm=ミリメートル;cm=センチメートル;EBSD=電子後方散乱分光法;SEM=走査電子顕微鏡写真;DI=脱イオン;Mw=重量平均分子量;MES=2-メルカプト-エタンスルホン酸;NaOH=水酸化ナトリウム;PEG=ポリエチレングリコール;EO=エチレンオキシド;PO=プロピレンオキシド;PR=フォトレジスト;H2SO4=硫酸;Cu=銅;Ti=チタン;Pt=白金;及びPCB=プリント回路基板。
【0015】
本明細書の全体にわたって用いるところでは、用語「槽」及び「組成物」は同じ意味で用いられる。「めっき」及び「電気めっき」は、本明細書の全体にわたって同じ意味で用いられる。表現「(hkl)」は、ミラー指数であり、格子中の特定の結晶面を定義する。用語「ミラー指数:(hkl)」は、面(又は任意の平行平面)が固体の主結晶軸(すなわち、基準座標-結晶内で画定されるようなx、y、及びz軸、ここで、x=h、y=k及びz=lである)と交わるやり方を考えることによって画定される結晶面の表面の配向を意味し、ここで、一組の数(hkl)が、インターセプトを定量化し、面を同定するために用いられる。用語「面」は、面内の任意の2点を接合する直線が全体的に存在するであろう(長さ及び幅を有する)二次元表面を意味する。用語「結晶面(111)配向富化化合物」は、金属が化合物と接触している領域に結晶面(111)配向を有する、銅金属粒などの、金属粒の露出を増加させる化合物を意味する。用語「アスペクト比」は、上にめっきされる特徴の高さ対特徴の表面の幅の比を意味する。本明細書において用いられるような用語「ppm」は、mg/Lに等しい。用語「水性」又は「水系」は、溶媒が水であることを意味する。「サプレッサー」は、電気めっき中に金属のめっき速度を抑制する有機添加剤を指す。用語「促進剤」は、金属のめっき速度を高める有機化合物を意味し、そのような化合物は、しばしば、ブライトナーと称される。用語「レベラー」は、一様な金属堆積を可能にし、且つ、電気めっき槽の均一電着性を改善することができる有機化合物を意味する。用語「異方性」は、本発明の範囲内では、指向的に又は局部的に依存性を意味する-銅堆積物が水平方向と比べて垂直方向に主に成長するように材料の異なる方向又は部分で異なる特性を意味する。用語「等方性」は、本発明の範囲内では、銅成長が垂直及び水平方向に実質的に同じに起こる、材料の異なる方向又は部分で一様な無方向性の又は同じ特性を意味する。用語「モルフォロジ」は、高さ、長さ及び幅などの、物理的寸法、並びに特徴の外観を意味する。用語「組成物」、「溶液」及び「エッチ活性化剤」は、本明細書の全体にわたって同じ意味で用いられる。用語「アパーチャー」は開口部を意味し、ビア、スルーホール、溝及びシリコン貫通ビアを含むが、それらに限定されない。冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、単数及び複数を指す。特に指摘しない限り、パーセント単位の全ての量は、重量による。全ての数値の範囲は、そのような数値の範囲が合計100%となるように制約されることが明らかである場合を除いて、包含的であり、且つ、任意の順で組み合わせ可能である。
【0016】
本発明は、特徴の異方性銅電気めっきが、基材に対して実質的に垂直である、つまり90°である非整合銅粒子境界(0°~15°、好ましくは0°超から、しかし15°未満の隣接粒子間の誤配向の粒子境界)及び基材に対して、65°などの、斜角で選択的に成長する、双晶銅粒子境界(境界における原子が両隣接粒子の格子によって共有されている粒子境界)を形成して異方性銅堆積物を形成できるようにする。対照的に、等方性電気めっき成長を示す典型的な銅堆積物は、基材に対して80°未満で配向している非整合境界、又は選択的配向を全く示さない非整合境界を示す。異方性性能は、電気めっきされた銅堆積物内の非整合境界のこの選択的配向から生じるので、性能は、形状及び間隔にそれほど依存しない。言い換えれば、異方性めっきは、銅の内部構造によって導かれるので、いったん始まると、それは、めっき添加剤との継続する表面相互作用にそれほど依存しない。したがって、等方性めっき槽において典型的に観察される、異なるサイズの特徴間のめっき添加剤活性の差は、異方性めっき槽においては顕著ではない。このような理由で、本発明の方法は、異なるサイズ(すなわち、1~100μmの、1~10μmの好ましいサイズ範囲の線幅)、間隔(すなわち、1~100μmの、1~10μmの好ましい間隔範囲の間隔)及びアスペクト比(すなわち、0.1~5の、1~5の好ましいスペースのアスペクト比)の特徴における同時異方性成長を可能にする。
【0017】
本発明の方法及び組成物は、誘電体ウェハーの電気伝導性を可能にする、銅シード層などの、シード層を持ったプリント回路基板及び誘電体又は半導体ウェハーなどの、しかしそれらに限定されない多くの基材の異方性銅電気めっきに用いることができる。そのような誘電体ウェハーには、単結晶、多結晶及び非晶質シリコンなどのシリコンウェハー、味の素ビルドアップフィルム(ABF)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、エポキシド、ポリイミン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリカ又はアルミナ充填樹脂などのプラスチックが含まれるが、それらに限定されない。
【0018】
本発明の方法及び組成物は、異方性銅層又は、電気回路、ピラー、ボンドパッド及び行間特徴などの、異方性銅特徴を電気めっきすることができる。本発明の組成物及び方法はまた、スルーホール、ビア、溝及びTSVにおいて銅を非等方的に電気めっきするために用いることができる。
【0019】
PCB及び誘電体ウェハーの電気回路、ピラー、ボンドパッド、ビア及び線特徴並びに他の隆起特徴などの銅特徴は、パターン化マスク、画像ツール又は画像形成フォトレジストを使用して又は使用せずにめっきして特徴を画定することができる。一般に、画像形成は、基材上に特徴を画定するためにフォトレジストを使って行われる。ポジ型及びネガ型の両方の従来のフォトレジストを、基材を画像形成するために使用することができる。本発明の銅電気めっき方法及び組成物は、隆起特徴などの、異方性銅堆積物が、画像形成フォトレジスト層の高さの12倍超までめっきされること、及び最小限のからゼロの等方性めっきでそれらのモルフォロジを依然として保持することを可能にする。
【0020】
本発明の銅電気めっき組成物で電気めっきされる基材の領域又は区画には、基材の選択された領域又は区画を銅電気めっきのために導電性にするための、銅シード層などの、シード層が含まれる。好ましくは、シード層は、めっき槽に曝露される表面上に(111)結晶面配向を主に有する。シード層を形成するための当技術分野において周知の従来プロセスを用いることができる。用いることができるそのような従来法には、化学蒸着、物理蒸着及び無電解金属めっきが含まれるが、それらに限定されない。好ましくは、シード層は、銅金属から成る。
【0021】
本発明の銅電気めっき組成物は、
図1に示されるように、作用電極、好ましくは、Pt作用電極に関して収集されためっき槽のボルタンモグラムのカソード波における特有のα-ピーク曲線を示す。α-ピーク曲線のα-ピークが顕著であればあるほど、銅堆積物は一層異方性である。
図1に示されるようなα-ピーク又はα-Peak I
最大は、α-ピーク曲線の頂点にある。異方性成長をもたらす傾向は、
図1に示されるように、ΔVを計算することによって定量化される。ΔV=α-Peak I
maxについてのV
2-α-Peak I
maxのVである、ここで、α-Peak I
maxについてのV
2は、
図1の第2垂直点線によって示されるようなα-ピーク曲線の頂点での電圧又は電位であり、α-Peak I
maxのVは、α-ピーク曲線の頂点からの水平点線が、第1垂直点線によって
図1にまた図示されるようなカソード波と交差する電圧である。
【0022】
異方性銅堆積物のめっきを可能にするための銅電気めっき組成物用のサプレッサーを選択するために、上に記載されたようなボルタンモグラムのカソード波におけるα-ピーク曲線が好ましくは用いられる。それらのサプレッサー活性について公知の様々な化合物をテストして異方性銅堆積物を可能にするそれらの能力を測定することができる。サプレッサーを含有する銅電気めっき組成物が、カソード波におけるα-ピーク曲線を持ったボルタンモグラフ曲線を提供する場合、そのサプレッサーは、異方性銅堆積物を電気めっきするために使用することができる。ΔVが大きければ大きいほど、特定のサプレッサーを使った銅電気めっき組成物からめっきされる銅堆積物は一層異方性である。
【0023】
図2A及び2Bは、従来の銅電気めっき槽の等方性堆積銅線対本発明の異方性銅電気めっき槽から電気めっきされた銅線を図示し、比較している。
図2Aは、銅シード層22でコートされた、シリコンウェハーなどの、誘電体基材20を図示する。画像形成フォトレジスト24がシード層22をコートしている。異方性銅線26は、画像形成フォトレジストにおける凹部28内に堆積して示されている。3つの矢印は、銅ピラーの成長及びその等方性キャラクターを示しており、ここで、線の区画は画像形成フォトレジスト24と重なっており、水平方向の銅堆積を示している。垂直矢印は、水平成長と同時に垂直方向の銅成長を示している。対照的に、
図2Bは、銅シード層32でコートされた、シリコンウェハーなどの、誘電体基材30を図示する。画像形成フォトレジスト34がシード層32をコートしている。異方性銅ピラー36は、画像形成フォトレジストにおける凹部38内に堆積して示されている。垂直矢印は、いったん銅成長が画像形成フォトレジストの高さを越えると、銅堆積が水平方向にのみ起こっている銅ピラー36の異方性キャラクターを示している。画像形成フォトレジスト34一面の水平銅成長は、全くない。
【0024】
本発明の異方性銅電気めっき組成物は、水性系であり、銅イオンの供給源を含む。銅イオン供給源は銅塩であり、硫酸銅;塩化銅などの銅ハロゲン化物;酢酸銅;硝酸銅;フルオロホウ酸銅;銅アルキルスルホネート;銅アリールスルホネート;スルファミン酸銅;及びグルコン酸銅が含まれるが、それらに限定されない。例示的な銅アルキルスルホネートには、銅(C1~C6)アルキルスルホネート及び銅(C1~C3)アルキルスルホネートが含まれる。好ましくは、銅アルキルスルホネートは、銅メタンスルホネート、銅エタンスルホネート及び銅プロパンスルホネートである。例示的な銅アリールスルホネートには、銅フェニルスルホネート、銅フェノールスルホネート及び銅p-トルエンスルホネートが含まれるが、それらに限定されない。銅イオン供給源の混合物を使用することができる。
【0025】
銅塩は、基材上に銅を電気めっきするための十分な銅イオン濃度を提供する量で、水性の異方性銅電気めっき槽に使用することができる。好ましくは、銅塩は、10g/L~180g/Lめっき液、より好ましくは、20g/L~100g/Lの銅イオンの量を提供するのに十分な量で存在する。
【0026】
酸を異方性銅電気めっき槽中に含めることができる。酸には、硫酸、フルオロホウ酸、アルカンスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸、アリールスルホン酸、例えばフェニルスルホン酸、フェノールスルホン酸及びトルエンスルホン酸、スルファミン酸、塩酸、並びにリン酸が含まれるが、それらに限定されない。酸の混合物を銅電気めっき槽に使用することができる。好ましくは、酸には、硫酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、及びそれらの混合物が含まれる。
【0027】
酸は、好ましくは、1g/L~300g/L、より好ましくは、5g/L~250g/L、さらに好ましくは、10~150g/Lの量で存在する。酸は、一般に、様々な供給元から市販されており、さらなる精製なしに使用することができる。
【0028】
ハロゲン化物イオンの供給源を異方性銅電気めっき槽中に含めることができる。ハロゲン化物イオンは、好ましくは塩化物イオンである。塩化物イオンの好ましい供給源は、塩化水素である。塩化物イオン濃度は、1ppm~100ppm、より好ましくは、10~100ppm、さらに好ましくは、20~75ppmの量にある。
【0029】
促進剤には、3-メルカプト-プロピルスルホン酸及びそのナトリウム塩、2-メルカプト-エタンスルホン酸及びそのナトリウム塩、及びビススルホプロピルジスルフィド及びそのナトリウム塩、3-(ベンゾチアゾリル-2-チオ)-プロピルスルホン酸ナトリウム塩、3-メルカプトプロパン-1-スルホン酸ナトリウム塩、エチレンジチオジプロピルスルホン酸ナトリウム塩、ビス-(p-スルホフェニル)-ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス-(ω-スルホブチル)-ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス-(ω-スルホヒドロキシプロピル)-ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス-(ω-スルホプロピル)-ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス-(ω-スルホプロピル)-スルフィド二ナトリウム塩、メチル-(ω-スルホプロピル)-ジスルフィドナトリウム塩、メチル-(ω-スルホプロピル)-トリスルフィド二ナトリウム塩、O-エチル-ジチオ炭酸-S-(ω-スルホプロピル)-エステル、カリウム塩チオグリコール酸、チオリン酸-O-エチル-ビス-(ω-スルホプロピル)-エステル二ナトリウム塩、チオリン酸-トリス(ω-スルホプロピル)-エステル三ナトリウム塩、N,N-ジメチルジチオカルバミン酸(3-スルホプロピル)エステル、ナトリウム塩、(O-エチルジチオカルボナト)-S-(3-スルホプロピル)-エステル、カリウム塩、3-[(アミノ-イミノメチル)-チオ]-1-プロパンスルホン酸並びに3-(2-ベンゾチアゾリルチオ)-1-プロパンスルホン酸、ナトリウム塩が含まれるが、それらに限定されない。好ましくは、促進剤は、ビススルホプロピルジスルフィド又はそのナトリウム塩である。好ましくは、促進剤は、1ppb~500ppm、より好ましくは50ppb~50ppm、最も好ましくは、5ppmから40ppmの量で銅電気めっき槽中に含まれる。
【0030】
好ましくは、サプレッサーには、1000~6000g/モルの重量平均分子量を有するポリエチレングリコールポリマー、1000~5000g/モルの重量平均分子量を有するランダム及びブロックエチレンオキシド-プロピレンオキシド(「EO/PO」)コポリマーが含まれるが、それらに限定されない。
【0031】
より好ましくは、サプレッサーは、式中、変数x、x’、x’’、x’’’、y、y’、y’’及びy’’’が、コポリマーの重量平均分子量が1000~10,000g/モルの範囲であるような1以上の整数である、一般式:
【化1】
(1000~10,000g/モルの重量平均分子量の、及びTECTRONIC(登録商標)界面活性剤としてBASF,Mount Olive,NJから市販されている);並びに
【化2】
(1000~10,000g/モルの重量平均分子量の、及びTECTRONIC(登録商標)R界面活性剤としてBASFから市販されている)
を、好ましくは有する、ジアミンコア-EO/PO界面活性剤である。
【0032】
1~4つのスルホン酸基末端のジアミン-コアポリマーが最も好ましい。最も好ましい例は、一般式:
【化3】
(重量平均分子量は、1000~10,000g/モルの範囲であり、変数x、x’、x’’、x’’’、y、y’、y’’及びy’’’は、独立して1以上の整数であり、1000~10,000g/モルの分子量範囲を提供する)
を有するジアミン-コアポリマーである。
【0033】
サプレッサーは、好ましくは、0.5g/L~20g/L、より好ましくは、1g/L~10g/L、さらに好ましくは、1g/L~5g/Lの量で銅電気めっき槽中に含まれる。
【0034】
好ましくは、レベラーには、イミダゾール及びブチルジグリシジルエーテル又はイミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物のコポリマーが含まれる。好ましくは、そのようなレベリング剤は、1000g/モル~50,000g/モルの重量平均分子量を有する。そのようなレベラーは、文献に開示されている方法によって又は当業者に公知の方法によって調製することができる。
【0035】
レベラーは、好ましくは、0.01ppm~100ppm、より好ましくは、0.01ppm~10ppm、さらに好ましくは、0.01ppm~1ppmの量で銅電気めっき槽中に含まれる。
【0036】
任意選択的に、所望のpHを維持するためにpH調整剤を組成物中に含めることができる。組成物のpHを調整するために1種以上の無機酸及び有機酸を含めることができる。無機酸には、硫酸、塩酸、硝酸及びリン酸が含まれるが、それらに限定されない。有機酸には、クエン酸、酢酸、アルカンスルホン酸、例えばメタンスルホン酸が含まれるが、それらに限定されない。組成物中に含めることができる塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム及びそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0037】
銅電気めっき組成物のpHは、0~14、好ましくは、0~6、より好ましくは、0~4の範囲である。
【0038】
銅電気めっき用の導電性基材を提供するために、本発明の基材は、基材を導電性にするために、選択的に堆積させられたシード層、例えば銅シード層を含む。選択的に堆積させられたシード層は、次いで、選択的シード層上に異方性銅堆積物を提供するために銅めっきされる。いったんシード層が銅コートされると、継続的な銅めっきは、水平銅堆積が最小限~なしで垂直の銅成長をもたらす。或いは、基材の全表面は、シード層コーティングを含む。フォトレジスト材料がシード層一面に適用され、フォトレジストは、基材上にパターン又は特徴を形成するために当技術分野において公知の従来法を用いて画像形成される。フォトレジストは、当業者に公知の多くの従来型フォトレジストの1つであることができる。フォトレジストは、ネガ型又はポジ型フォトレジストであることができる。本発明の銅電気めっき組成物の異方性キャラクターのために、基材の表面に適用される任意のフォトレジストの厚さは、電気めっきされた銅層の厚さよりも薄いことができる。
【0039】
基材は、基材をめっき組成物と接触させることによって銅で電気めっきすることができる。基材は、カソードとして機能する。アノードは、可溶性又は不溶性アノードであることができる。十分な電流密度が適用され、めっきは、所望の厚さ及びモルフォロジを有する銅を基材上に堆積させるための時間の間行われる。電流密度は、0.5ASD~30ASD、好ましくは0.5ASD~20ASD、より好ましくは1ASD~10ASD、さらに好ましくは1ASD~5ASDの範囲であることができる。
【0040】
電気めっき中の銅電気めっき槽の温度は、好ましくは、室温~65℃、より好ましくは、室温~35℃、さらに好ましくは、室温~30℃の範囲である。
【0041】
本発明の銅電気めっき組成物及び方法は、幅が1~100μm、又は1~50μmなどの、又は1~5μmなどの及び高さが40μm以下の非等方的に細かい線を銅電気めっきすることができる。
【0042】
任意選択的に、しかし好ましくは、銅電気めっき前に、1種以上の硫黄含有促進剤化合物を含有する水性処理液でシード層を処理することができる。プレ銅電気めっき処理液は、さらに、異方性銅電気めっきを可能にする。処理液は、選択的に堆積させられたシード層に適用され、これに、異方性銅電気めっきが続く。水性処理液は、0~3未満などの、3未満のpH、又は9超~14などの、9超のpHを有する。
【0043】
或いは、基材の全表面にシード層コーティングを含有する基材は、フォトレジストでコートし、画像形成してパターンを形成することができ、処理液がフォトレジストの画像形成区画の底部での露出シードと接触するように処理液を適用することができる。残存フォトレジストを、次いで、従来のフォトレジスト剥離剤で基材から剥離することができる。処理された銅シード層は、次いで、本発明の銅めっき組成物で銅めっきされる。非等方的銅電気めっきは、未処理のシード層ではなく、処理液で処理されたシード層上で起こる。任意選択的に、銅電気めっきは、処理液の適用後に、しかし、基材から画像形成フォトレジストを剥離する前に行うことができる。銅電気めっき後に、フォトレジストは、基材から剥離することができる。
【0044】
硫黄含有促進剤には、本発明の銅電気めっき組成物に含まれる促進剤の多くが含まれる。促進剤には、3-メルカプト-プロピルスルホン酸及びそのナトリウム塩、2-メルカプト-エタンスルホン酸及びそのナトリウム塩、及びビススルホプロピルジスルフィド及びそのナトリウム塩、3-(ベンゾチアゾイル-2-チオ)-プロピルスルホン酸ナトリウム塩、3-メルカプトプロパン-1-スルホン酸ナトリウム塩、エチレンジチオジプロピルスルホン酸ナトリウム塩、ビス-(p-スルホフェニル)-ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス-(ω-スルホブチル)-ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス-(ω-スルホヒドロキシプロピル)-ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス-(ω-スルホプロピル)-ジスルフィド二ナトリウム塩、ビス-(ω-スルホプロピル)-スルフィド二ナトリウム塩、メチル-(ω-スルホプロピル)-ジスルフィドナトリウム塩、メチル-(ω-スルホプロピル)-トリスルフィド二ナトリウム塩、O-エチル-ジチオ炭酸-S-(ω-スルホプロピル)-エステル、カリウム塩チオグリコール酸、チオリン酸-O-エチル-ビス-(ω-スルホプロピル)-エステル二ナトリウム塩、チオリン酸-トリス(ω-スルホプロピル)-エステル三ナトリウム塩、N,N-ジメチルジチオカルバミン酸(3-スルホプロピル)エステル、ナトリウム塩、(O-エチルジチオカルボナト)-S-(3-スルホプロピル)-エステル、カリウム塩、3-[(アミノ-イミノメチル)-チオ]-1-プロパンスルホン酸並びに3-(2-ベンゾチアゾリルチオ)-1-プロパンスルホン酸、ナトリウム塩が含まれるが、それらに限定されない。好ましくは、促進剤は、2-メルカプト-エタンスルホン酸及びそのナトリウム塩である。好ましくは、促進剤は、1ppb~500ppm、より好ましくは50ppb~50ppm、最も好ましくは、5ppm~40ppmの量で銅電気めっき槽中に含まれる。
【0045】
任意選択的に、1種以上の界面活性剤を本発明の処理液中に含めることができる。そのような界面活性剤には、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及び両性界面活性剤が含まれる。例えば、非イオン界面活性剤には、ポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、アルコール、エトキシレート、シリコン化合物、ポリエーテル、グリコシド及びそれらの誘導体が含まれることができ;アニオン界面活性剤には、アニオン性カルボン酸塩又は有機硫酸塩、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)が含まれることができる。
【0046】
界面活性剤は、従来の量で含まれることができる。好ましくは、界面活性剤が本発明の処理液中に含まれるとき、それらは、0.1g/L~10g/Lの量で含まれる。
【0047】
本発明の処理液は、室温~60℃、好ましくは、室温~30℃の温度で適用することができ、より好ましくは、組成物は室温で銅に適用される。
【0048】
本発明の処理液は、シード層を持った基材を溶液中に浸漬することによって、溶液を基材上に噴霧することによって、又は溶液を基材に適用するための他の従来の方法によって適用することができる。本発明の処理液は、また、銅に選択的に適用することができる。選択的な適用は、溶液を基材に選択的に適用するための任意の従来法によって行うことができる。そのような選択的な適用には、インクジェット適用、ライティングペン、アイドロッパー、パターン化表面を有するポリマースタンプ、画像形成フォトレジストによるなどのマスク又はスクリーン印刷が含まれるが、それらに限定されない。
【0049】
図3は、処理液の適用を伴った本発明の方法及び本発明の方法に従って堆積させられた異方性銅線を図示する。基材40は、銅シード層42でコートされ、銅シード層は、開口部46を持った3μmの高さを有する画像形成フォトレジスト44でコートされている。開口部46の底部での露出シード層48の区画は、処理シード層50を提供するためにMESを含有する処理液で処理される。フォトレジストは、次いで、剥離されて処理シード層50を残す。処理シード層は、次いで、本発明の異方性銅電気めっき槽でめっきされ、ここで、銅線成長は、処理液で処理されたシード層上でのみ垂直に起こり、そのとき残りの銅成長は等方性であり、銅線52を形成する。
【0050】
図4A及び4Bは、異方性銅か等方性銅かかのどちらかで電気めっきされた線特徴の横断面の粒界解析の分析による非等方的にめっきされた銅の構造を図示する。
図4Aは、非等方的に成長した線特徴(白線)マイナス等方的に成長した線特徴(黒線)の差フーリエ変換マップであり、基材に対する非コヒレント粒子境界の配向を示す。白い水平線は、非等方的に成長した線のこれらの境界が、基材に対して90°で優先的に配向していることを示し、それは、それらがめっきされた銅の沿面成長を削減し、こうして異方性めっき成長を確実にしていることを示唆している。
図4Bは、非等方的に成長した線特徴マイナス等方的に成長した線特徴の類似の差フーリエ変換マップであり、基材に対する(111)-双晶粒子境界の配向を示す。2つの白い対角線は、非等方的に成長した線の双晶境界が、基材に対して約45°で配向していることを示し、それは、非整合境界の領域内の粒子成長が(111)-双晶平面一面への堆積によって起こることを示唆している。
【0051】
本発明の物品は、特徴広がりをもたらすことなく、周囲のフォトレジストの高さの少なくとも2μm上方にめっきされている、及び基材の平面に対して80~90°で配向した非整合境界を含み、且つ、基材の平面に対して40~50°で配向した並行の双晶境界を含む銅堆積物を含む。
【実施例0052】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するために含まれるが、その範囲を限定することを意図しない。
【0053】
実施例1~2
活性化なし等方性槽1に対して高異方性槽3での3-メルカプト-プロピルスルホン酸ナトリウム塩活性化1~100μm細線パターンに関するめっき高さレベリング
以下の2つの銅電気めっき槽を調製した:
めっき槽1(等方性槽):
50g/LのCu(II)イオン
100g/LのH2SO4
50ppmの塩化物イオン
5ppmのビス-ナトリウム-スルホプロピル-ジスルフィド
2g/Lの平均MW 1,100及びヒドロキシル末端基のEO-POランダムコポリマー
5ppmのエピクロロヒドリン及びイミダゾールの反応生成物
めっき槽2(異方性槽):
50g/LのCu(II)イオン
100g/LのH2SO4
50ppmの塩化物イオン
40ppmのビス-ナトリウム-スルホプロビル-ジスルフィド
2g/Lの平均MW 1,100及びヒドロキシル末端基のEO-POランダムコポリマー
1ppmのブチルジグリシジルエーテル、イミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物
めっき槽3(異方性槽):
50g/LのCu(II)イオン
100g/LのH2SO4
50ppmの塩化物イオン
20ppmのビス-ナトリウム-スルホプロビル-ジスルフィド
2g/Lの及び7,000の平均MWのEO-POブロックコポリマー
0.1ppmのブチルジグリシジルエーテル、イミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物
【0054】
20nmのTi接着層及び200nmの導電性Cuシードでコートされたシリコンウェハーを、3μmの厚さのポジ型Shipley BPRTM 100 PR層と積層した。幅が6~100μmの範囲の一連の溝を含有するために細線パターンをPR層上に構築した。これらの溝を、次いで、めっき槽1かめっき槽3かのどちらかを使用して4.5μmのターゲット高さまでめっきした。めっき槽1でめっきされるサンプルは、めっき前にDI水で濡らした。めっき槽3でめっきされるサンプルは、めっき前に、先ず、水中の4g/LのMESのpH 0.7の溶液中に浸漬し、次いでDI水でリンスした。両方の場合に、電気めっきを、50rpmのカソード回転速度で、2ASDで実施した。めっき後に、80℃で10分間Shipley BPRTM Stripperを使用してPRを除去して細線のパターンをもたらした。次いで、84mL/Lの85%リン酸及び8mL/Lの45.5%過酸化水素を含有するエッチ液にサンプルを曝露して、PRによって保護されていた残存導電性シードを除去した。Keyence Corporation製のレーザー表面形状測定装置を用いて孤立Cu細線の高さを測定した。表1にまとめられた、結果は、特徴サイズの変化にもかかわらず、めっき高さが一様である、高度に同じレベルにされた堆積物を両めっき槽が生成することを示した。これらの結果は、異方性めっきが、めっき槽1によって典型的に提供されるような、広範囲の線サイズにわたって高度に同じレベルにされた堆積物を依然として達成しながら可能であることを示した。
【0055】
【0056】
実施例3~6.
活性化なし非界面反応性槽1に対して、高界面反応性槽2でのMES活性化1~100μm細線パターンに関する線広がり
20nmのTi接着層及び200nmの導電性Cuシードでコートされたシリコンウェハーを、3μmの厚さのPR層と積層した。幅が1~100μmの範囲の一連の溝を含有するために細線パターンをPR層上に構築した。これらの溝を、次いで、めっき槽1かめっき槽2かのどちらかを使用して4.5μmのターゲット高さまでめっきした。各場合に、サンプルを、めっき前にDI水で濡らすか、それともそれらを先ず、めっき前に水中の4g/LのMESのpH 0.7の溶液中に浸漬し、次いでDI水でリンスした。全ての場合に、電気めっきを、50rpmのカソード回転速度で、2ASDで実施した。めっき後に、PRを、PR剥離剤浴中で除去して細線のパターンをもたらした。サンプルを、次いで、シードエッチ液に曝露して、PRによって保護されていた残存導電性シードを除去した。レーザー表面形状測定装置を用いて孤立Cu細線の幅を測定した。表2にまとめられた、結果は、ターゲットめっき高さがPR層の高さのかなり上方であるけれども、めっき槽3が著しい線広がりを防ぐことを示した。その一方で、めっき槽1で調製されたサンプルは、いかなる前処理にもかかわらず、著しい線広がりを示した。線ピッチが小さいサンプルのエリアにおいて、この広がりは、隣接Cu線の融合をもたらした。
【0057】
【0058】
実施例7~10
活性化なし非界面反応性槽1に対して、高界面反応性槽3でのMES活性化1~100μm細線パターンに関する線広がり
20nmのTi接着層及び200nmの導電性Cuシードでコートされたシリコンウェハーを、3μmの厚さのPR層と積層した。一連の100μ幅の溝を包含するために細線パターンをPR層上に構築した。基材を、次いで、めっき槽1かめっき槽3かのどちらかを使用して36μmのターゲット高さまでめっきした。めっき槽1でめっきされるサンプルは、めっき前にDI水で濡らした。めっき槽3でめっきされるサンプルは、先ず、めっき前に水中の4g/LのMESのpH 0.7の溶液中に浸漬し、次いでDI水でリンスした。両方の場合に、電気めっきを、50rpmのカソード回転速度で、2ASDで実施した。めっき後に、PRを、PR剥離剤浴中で除去して細線のパターンをもたらした。サンプルを次いでSEMによって画像化した。表3は、めっき槽1でめっきされたサンプルが完全な線融合をもたらし、一方、めっき槽3でめっきされたサンプルが、いかなる有意の線広がりをも示さず、めっきされた堆積物がより薄いPRパターンの形状に従って非等方的に成長していることを示す。
【0059】
細線パターンを、次いで、1~5μmの範囲の幅の一連の溝を含有するために類似の基材の3μmのPR層上に構築した。この基材を、次いで、ただ一つの違いが6μmのより低いめっきターゲットである状態で、上記と同じプロセスフローを用いて同様にめっきした。表3は、めっき槽1でめっきされたサンプルが完全な線融合をもたらし、一方、めっき槽3でめっきされたサンプルが、いかなる有意の線広がりをも示さず、めっきされた堆積物がより薄いPRパターンの形状に従って非等方的に成長したことを示す。
【0060】
【0061】
実施例11~18.
100μm幅の線に対する異なるめっき槽での界面活性化対無界面活性化の影響
20nmのTi接着層及び200nmの導電性Cuシードでコートされたシリコンウェハーを、3μmの厚さのPR層と積層した。一連の100μ幅の溝を含有するために細線パターンをPR層上に構築した。基材を、次いで、4つの異なるめっき槽調合物を使用して6μmのターゲット高さまでめっきした。各場合に、サンプルを、めっき前にDI水で濡らすか、それともそれらを先ず、めっき前に水中の4g/LのMESのpH 0.7の溶液中に浸漬し、次いでDI水でリンスした。全ての場合に、電気めっきを、50rpmのカソード回転速度で、10ASDで実施した。めっき後に、PRを、PR剥離剤浴中で除去して細線のパターンをもたらした。サンプルを、次いで、樹脂成形し、アルゴンプラズマを使用して横断面切断した。これに、線形状及び一様性に対するめっき調合物の影響を観察するためのSEM撮像が続いた。結果のまとめは下記である。
【0062】
実施例11及び12は、めっき槽3でめっきした。実施例11は、MES溶液で前処理し、一方、実施例12は、DI水でプレ湿潤したのみであった。実施例11は、均一な線形状及び線のエッジに沿った異方性成長を示した。実施例12は、ひどく不均一な線形状及び線のエッジに沿った異方性成長をもたらす。
【0063】
実施例13及び14は、めっき槽2でめっきした。実施例13は、MES溶液で前処理し、一方、実施例14は、DI水でプレ湿潤したのみであった。実施例13は、均一な線形状及び線のエッジに沿った穏やかに異方性の成長を示した。本明細書において、穏やかに異方性の槽は、めっき槽1よりも少ない線広がりを生み出す、及びPRの高さの上方にめっきする場合に基材に対して75~89°のめっき堆積物成長方向をもたらす調合物である。実施例14は、不均一な線形状及び線のエッジに沿った穏やかに異方性の成長を示した。
【0064】
実施例15及び16は、
50g/LのCu(II)イオン
100g/LのH2SO4
50ppmの塩化物イオン
40ppmのビス-ナトリウム-スルホプロピル-ジスルフィド
2g/Lの、平均MW 1,100及びヒドロキシル末端基のEO-POブロックコポリマー
1ppmの、ブチルジグリシジルエーテル、イミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物
を含有する、めっき槽4でめっきした。
【0065】
実施例15は、MES溶液で前処理し、一方、実施例16は、DI水でプレ湿潤したのみであった。実施例15は、均一な線形状及び線のエッジに沿って穏やかに等方性の成長を示した。穏やかに等方性の槽は、めっき槽1よりも少ない線広がりを生み出す、及びPRの高さの上方にめっきする場合に基材に対して40~74°のめっき堆積物成長方向をもたらす調合物である。実施例14は、不均一線形状及び線のエッジに沿った等方性の成長を示した。
【0066】
実施例17及び18は、めっき槽1でめっきした。実施例17は、MES溶液で前処理したが、一方。実施例18は、DI水でプレ湿潤したのみであった。実施例17は、均一な線形状及び線のエッジに沿った強く等方性の成長を示した。実施例18は、均一な線形状及び線のエッジに沿った強く等方性の成長を示した。
【0067】
実施例11~18を、横断面切断し、次いでEBSDによって分析して、増加した異方性めっき挙動と一緒にもたらされる微細構造の差を測定した。この目的に向かって、各横断面における全ての境界の長さを分析し、相当する横断面表面積で割って境界密度を得た。こうして、めっき槽調合物の異方性成長挙動が目立てば目立つほど、双晶境界密度は、MES溶液でのシード活性化時に一層増加することが分かった。このトレンドを表4に示す。加えて、全てのサンプルがめっきの直後に小さい粒子のCu堆積物を含有するが、Cu粒子サイズが、めっき調合物に依存して室温において異なる速度で増加することが観察される。サンプルが横断面切断され、分析される時までに、高等方性成長実施例17~18の粒子サイズは、高異方性実施例11~12の粒子サイズよりも大きい。粒子成長は、双晶境界などの、安定した粒子境界が形成されるまで続き得る。これは、実施例17~18における比較的高い双晶密度が、高い双晶境界密度を生成するめっき槽1の固有の性向よりもむしろ、その後の粒子成長の結果として生じ得ることを示唆している。したがって、データは、めっき中に双晶境界を形成するより高い性向が、異方性成長に同伴することを示唆している。
【0068】
【0069】
EBSDデータをフーリエ解析によってさらに処理して異方性成長に、基材に対する境界配向の変化が同伴するかどうかについて研究した。実施例11についてのフーリエ変換マップを、(111)-双晶境界に対して全ての非整合境界のいずれかに関して実施例18について4のマップで差し引いた。結果として生じる差マップを、
図4A及び4Bに示す。水平線がめっき中の基材に垂直の境界配列を示すのに対して、垂直線は、平行の境界配列を示す。白線は、異方性成長実施例11における優先的配列に相当し、黒線は、等方性成長実施例18における優先的配列に相当する。データは、異方性成長に、基材に垂直の非整合境界の優先的配列が同伴し、一方、異方性成長が、不十分に画定された優先傾向と関連していることを示した。(111)-双晶境界の場合に、等方性成長サンプルは、垂直及び平行配向を示したのに対して、異方性サンプルは、基材に対して約45°で(111)-双晶境界の配向のほどほどの優先傾向を示した。
【0070】
総合すれば、双晶境界密度及びフーリエ解析データは、異方性成長が、堆積を受ける又は双晶境界一面に新しい粒子の核となる優先傾向に由来することを示唆する。非整合境界一面への成長のより低い優先傾向は、これらの境界が堆積物を堆積物の厚さに沿って固定する傾向をもたらし、それが外側に伸びるのを防ぎ、こうして異方性成長をもたらす。その一方で、等方性サンプルにおける堆積物の厚さに沿って横方向に伸びる全ての境界の能力は、Cuが優先的な方向なしに成長する経路を提供する。
【0071】
実施例19~25
界面活性化に応答する及びめっき成長角を高めるめっき槽の設計
めっき堆積物の成長角は、めっき組成物を変えることによって調整することができる。調合物における一つの重要な変数は、サプレッサー添加剤の選択である。したがって、線広がりに対するサプレッサーの影響を研究するために、
50g/LのCu(II)イオン
100g/LのH
2SO
4
50ppmの塩化物イオン
40ppmのビス-ナトリウム-スルホプロピル-ジスルフィド
0.1ppmのブチルジグリシジルエーテル、イミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物
2g/Lのサプレッサー添加剤
を含有する槽中へ異なるサプレッサー
実施例19:PEG MW 1,000
実施例20:ブロックEO-PO MW 1,100
実施例21:ブロックEO-PO MW 1,950
実施例22:ランダムEO/PO MW 1,100
実施例23:リバースTetronic MW 3,750
実施例24:リバースTetronic MW 5,300
実施例25:スルホン化末端基のリバースTetronic、MW 4,800
を組み入れた。
Pt回転作用電極(10rpm、10mV/sスキャン速度、25℃)、Cu電気めっき槽用の一般的な分析ツールを使用して
図1に示されるような、サイクリック・ボルタンメトリーによって調合物を分析した。所与の調合物によって生成する異方性成長が目立てば目立つほど、CVSのカソード波におけるα-ピーク特徴が一層目立ったものになるであろうことが観察された。このようにして、異方性成長をもたらす傾向を、
図1に示されるように、ΔVを計算することによって定量化した。実施例19からのめっき槽は、0.003VのΔVをもたらし;実施例20は、0.049VのΔVをもたらし;実施例21は、0.076VのΔVをもたらし;実施例22は、0.093VのΔVをもたらし;実施例23は、0.094VのΔVをもたらし;実施例24は、0.095VのΔVをもたらし;実施例25は、0.101VのΔVをもたらした。
【0072】
実施例26~35
異なるサプレッサー添加剤での1~60μm幅特徴パターンにおける特徴広がりの制御
20nmのTi接着層及び200nmの導電性Cuシードでコートされたシリコンウェハーを、3μmの厚さのPR層と積層した。幅が1~60μmの範囲の一連の溝を含有するために細線パターンをPR層上に構築した。これらの溝を、次いで、サプレッサー添加剤のアイデンティティが異なる10個の異なるめっき槽調合物を使用して6μmのターゲット高さまでめっきした:
50g/LのCu(II)イオン
100g/LのH2SO4
50ppmの塩化物イオン
40ppmのビス-ナトリウム-スルホプロピル-ジスルフィド
0.1ppmのブチルジグリシジルエーテル、イミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物
2g/Lのサプレッサー添加剤
実施例26:ブロックEO-PO MW 1,100
実施例27:ブロックEO-PO MW 1,950
実施例28:ブロックEO-PO MW 4,950
実施例29:ランダムEO/PO MW 1,100
実施例30:PEG MW 1,000
実施例31:PEG MW 6,000
実施例32:リバースTetronic MW 3,750
実施例33:リバースTetronic MW 5,300
実施例34:リバースTetronic MW 7,250
実施例35:スルホン化末端基のリバースTetronic、MW 4,800
各サンプルを、めっき前にDI水でリンスした。全ての場合に、電気めっきを、50rpmのカソード回転速度で、2ASDで実施した。めっき後に、PRを、PR剥離剤浴中で除去して細線のパターンをもたらした。サンプルを、次いで、Cu及びTiエッチ液に曝露して、PRによって保護されていた残存導電性シードを除去した。最後に、レーザー表面形状測定装置によってめっき線の幅を測定した。
【0073】
結果を表6に要約する。結果は、リバースドTetronic-型サプレッサーが線広がりを最小限にするのに最も有効である;一方、Tetronic末端基のスルホン化が、PRの上方にめっきする場合に最も目立った異方性めっき及びほとんどなしの線広がりをもたらすことを示した。
【0074】
【0075】
実施例35~39
異なるレベラー濃度での1~60μm幅特徴パターンにおける特徴広がりの制御
20nmのTi接着層及び200nmの導電性Cuシードでコートされたシリコンウェハーを、3μmの厚さのPR層と積層した。幅が1~60μmの範囲の一連の溝を含有するために細線パターンをPR層上に構築した。これらの溝を、次いで、レベラー添加剤の濃度が異なる5つの異なるめっき槽調合物を使用して6μmのターゲット高さまでめっきした:
50g/LのCu(II)イオン
100g/LのH2SO4
50ppmの塩化物イオン
40ppmのビス-ナトリウム-スルホプロピル-ジスルフィド
2g/Lのスルホン化末端基のリバースTetronic、MW 4,800
実施例35:0.1ppmのブチルジグリシジルエーテル、イミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物
実施例36:1ppmのブチルジグリシジルエーテル、イミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物
実施例37:2ppmのブチルジグリシジルエーテル、イミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物
実施例38:5ppmのブチルジグリシジルエーテル、イミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物
実施例39:10ppmのブチルジグリシジルエーテル、イミダゾール及びフェニルイミダゾールの反応生成物
各サンプルを、めっき前にDI水でリンスした。全ての場合に、定電流めっきを、50rpmのカソード回転速度で、2ASDで実施した。めっき後に、PRを、PR剥離剤浴中で除去して細線のパターンをもたらした。サンプルを、次いで、シードエッチ液に曝露して、PRによって保護されていた残存導電性シードを除去した。最後に、レーザー表面形状測定装置によってめっき線の幅を測定した。
【0076】
レベラー添加剤の濃度が低下したときに異方性めっきが最も目立ったことを示す結果を表7に開示する。めっき線広がりを最小限にするという観点からの最良の結果は、レベラー濃度が1ppm以下である場合に得られた。
【0077】
【0078】
実施例40~実施例45.界面前処理及び異なるサプレッサー添加剤での1~60μm幅特徴パターンにおける特徴広がりの制御
20nmのTi接着層及び200nmの導電性Cuシードでコートされたシリコンウェハーを、3μmの厚さのPR層と積層した。幅が1~100μmの範囲の一連の溝を包含するために細線パターンをPR層上に構築した。これらの溝を、次いで、サプレッサー添加剤が異なる6つの異なるめっき槽調合物を使用して4.5μmのターゲット高さまでめっきした。
50g/LのCu(II)イオン
100g/LのH2SO4
50ppmの塩化物イオン
2g/Lのサプレッサー添加剤
実施例40:ブロックEO-PO MW 1,100
実施例41:ブロックEO-PO MW 1,950
実施例42:リバースTetronic MW 5,300
実施例43:スルホン化末端基のリバースTetronic、MW 4,800
実施例44:ランダムEO/PO MW 1,100
実施例45:リバースTetronic MW 7,250
各サンプルを、めっき前に先ずpH 0.7かpH 5.5かのどちらかの水中の4g/LのMESの溶液に浸漬し、次いでDI水でリンスした。全ての場合に、電気めっきを、50rpmのカソード回転速度で、2ASDで実施した。めっき後に、PRを、PR剥離剤浴中で除去して細線のパターンをもたらした。サンプルを、次いで、Cu及びTiエッチ液に曝露して、PRによって保護されていた残存導電性シードを除去した。最後に、レーザー表面形状測定装置によってめっき線の幅を測定した。
【0079】
各サンプルを、めっき前に先ずpH 0.7かpH 5.5かのどちらかの水中の4g/LのMESの溶液に浸漬し、次いでDI水でリンスした。全ての場合に、電気めっきを、50rpmのカソード回転速度で、2ASDで実施した。めっき後に、PRを、PR剥離剤浴中で除去して細線のパターンをもたらした。サンプルを、次いで、Cu及びTiエッチ液に曝露して、PRによって保護されていた残存導電性シードを除去した。最後に、レーザー表面形状測定装置によってめっき線の幅を測定した。
【0080】
結果を、全てのサプレッサーの異方性めっきキャラクターをシード活性化が改善したことを示す表8~9に概要を示す。しかしながら、同じパターンは、シード活性化を含まない、実施例35~39において見いだされた。リバースTetronic型サプレッサーが線広がりを最小限にするのに最も有効であり、且つ、リバースTetronic末端鎖のスルホン化が最も目立った異方性めっき挙動をもたらした。
【0081】
各サンプルを、めっき前に先ずpH 0.7かpH 5.5かのどちらかの水中の4g/LのMESの溶液に浸漬し、次いでDI水でリンスした。全ての場合に、電気めっきを、50rpmのカソード回転速度で、2ASDで実施した。めっき後に、PRを、PR剥離剤浴中で除去して細線のパターンをもたらした。サンプルを、次いで、Cu及びTiエッチ液に曝露して、PRによって保護されていた残存導電性シードを除去した。最後に、レーザー表面形状測定装置によってめっき線の幅を測定した。
【0082】
結果を、全てのサプレッサーの異方性めっきキャラクターをシード活性化が改善することを示す表8~9に示す。しかしながら、シード活性化を含まない、実施例35~39において見いだされた同じパターンが、ここでもまた見いだされた。すなわち、リバースTetronic型サプレッサーが線広がりを最小限にするのに最も有効であり、且つ、リバースTetronic末端鎖のスルホン化が最も目立った異方性めっき挙動をもたらした。
【0083】
【0084】
【0085】
実施例46~48
促進剤及び湿潤剤を含んだシード活性化溶液
同じレベルにされた異方性めっき成長を促進するために湿潤剤を活性化溶液中に含める影響を、線幅が変わる3つの異なる細線パターンに関してテストした。20nmのTi接着層及び200nmの導電性Cuシードでコートされたシリコンウェハーを、3μmの厚さのPR層と積層した。幅が7、20又は100μmの溝を包含するために細線パターンをPR層上に構築した。各パターン中の溝を、次いで、めっき槽1、めっき槽2又はめっき槽3を使用して銅電気めっきによって満たした。サンプルを、めっき前に先ず、水中の4g/LのMES及び1g/LのTN-747湿潤剤のpH 0.7の溶液中に浸漬し、次いでDI水でリンスした。7μmの細線パターンを、9μm(3×PR高さ)の線高さまでめっきし;20μmの細線パターンを、9μm(3×PR高さ)の線高さまでめっきし;100μmの細線パターンを、36μm(12×PR高さ)の線高さまでめっきした。電気めっきを、50rpmのカソード回転速度で、2ASDで実施した。めっき後に、PRを、PR剥離剤浴中で除去して細線のパターンをもたらした。サンプルを、次いで、Cu及びTiエッチ液に曝露して、PRによって保護されていた残存導電性シードを除去した。レーザー表面形状測定装置を用いて孤立Cu細線の幅を測定した。表10にまとめられた、結果は、より短いPR溝の幅を越えて線厚さが増加するのを異方性めっき槽3が防ぐことを示した。等方性めっき槽1は、PR溝の高さの上方にめっきされる場合にめっき線が融合するのを防止せず、したがって細線パターンを破壊した。中間の異方性挙動を有する、めっき槽2は、細線幅の小さい増加を示した。線融合が起こった。前処理液中の湿潤剤は、露出シードの全ての部分が促進剤成分と相互作用するのを可能にすることによって同じレベルにされためっきを確実にした。全体として、データは、めっき異方性の程度を制御するためにめっき槽調合物を調整できることを示した。
【0086】
【0087】
実施例49~56.
めっき特徴形状に対する活性化剤pHの影響
細線フィル形状の制御を、前処理液のpHを調整することによって研究した。上記の実施例1~2において使用された同じ細線パターンを、電気めっき前に0.7、3、4、5.5、8、9、13又は14のpHの4g/LのMES水溶液で処理し、DI水でリンスした。サンプルを、次いで、5μm(1.66×PR高さ)のターゲット高さまでめっき槽3で電気めっきした。全ての場合に、電気めっきを、50rpmのカソード回転速度で、2ASDで実施した。めっき後に、PRを、PR剥離剤浴中で除去して細線のパターンをもたらした。サンプルを、次いで、Cu及びTiエッチ液に曝露して、PRによって保護されていた残存導電性シードを除去した。レーザー表面形状測定装置を用いて孤立Cu細線の幅を測定した。表11にまとめられた、結果は、前処理液のpHにかかわらず同じレベルにされためっきが可能であることを示した。しかしながら、細線のフィル形状は、著しく変化する;すなわち、高いpHは、皿形めっき形状を促進し、一方、低いpHは、ややドーム形形状を促進した。より中間のpH(pH=4~8)は、一層目立ったドーム形形状をもたらす。下記のデータが示すように、中間pH範囲は、異方性めっき槽調合物で所望のフィル形状にアクセスするために有利ではない。代わりに、中間範囲外のpH範囲を維持することによって、異方性めっきは、ドーミングプロファイルを減らす又は皿形プロファイルを誘導するためにさらに調整することができる。
【0088】
【0089】
実施例57~59
活性化後に及び電解めっき前にPR層を除去する場合の異方性めっき
めっき中にパターン化層の不在下でさえも特徴解像度を持続する本明細書で記載される異方性めっき方法論の能力を研究した。そうするために、PR層なしの対照等方性ランに対してPR層あり及びなしのめっき異方性性能をテストし比較するための3つのめっきシナリオを検討した。実施例3~6からの同じパターン化基材を使用した。実施例57サンプルは、4g/LのMES水溶液で前処理し、DI水でリンスし、めっき前に1:1のジメチルスルホキシド-γ-ブチロラクトン混合物を使用してPR層を除去した。実施例58サンプルは、4g/LのMES水溶液で前処理し、DI水でリンスするのみであった。実施例59サンプルは、DI水で前処理したのみであった。実施例57~58サンプルをめっき槽3でめっきし、実施例59サンプルをめっき槽1でめっきした。全ての3つのサンプルを、50rpmのカソード回転速度及び5μmのめっきターゲット高さで、2ASDでめっきした。めっき後に、PRを、Shipley BPRTM PR剥離剤浴中で除去して細線のパターンをもたらした。サンプルを、次いで、シードエッチ液に曝露して、PRによって保護されていた残存導電性シードを除去した。レーザー表面形状測定装置を用いて孤立Cu細線の幅及び高さを測定した。表12にまとめられた、結果は、実施例57~58サンプルでは著しい線融合が防がれ、ここで、めっき中にパターン化PR層の不在下でさえも異方性めっきが起こることを示した。その一方で、実施例59サンプルは、全ての細線幅で著しい線融合を示した。表13に示されるように全てのサンプルは、特徴幅範囲にわたってめっき高さの良好なレベリングを示した。
【0090】
【0091】