(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106343
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】収納構造体への紫外線制御装置及び紫外線照射システム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20220712BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20220712BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20220712BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/24
F25D23/00 302M
B65G1/00 521A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001244
(22)【出願日】2021-01-07
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521011307
【氏名又は名称】エムラインシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【弁理士】
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】梅屋 薫
【テーマコード(参考)】
3F022
3L345
4C058
【Fターム(参考)】
3F022AA01
3F022BB02
3F022BB07
3F022BB10
3F022FF01
3L345AA05
3L345AA25
3L345BB01
3L345BB02
3L345GG17
3L345GG27
3L345KK04
4C058AA01
4C058AA19
4C058AA23
4C058BB06
4C058BB10
4C058DD04
4C058DD20
4C058KK02
(57)【要約】
【課題】物品を収納可能な収納構造体において、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にすることと、収納された物品の品質低下を防ぐこととを両立し得る、収納構造体への紫外線制御装置及び紫外線照射システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る収納構造体への紫外線制御装置4は、収納構造体2の内部に設けられる1以上の紫外線照射装置3による紫外線の照射を制御可能な照射制御部412を備える。照射制御部412は、収納構造体2が空状態である場合、収納構造体2の内部空間へ紫外線の照射を制御可能であり、収納構造体2が収納状態である場合、収納構造体2の内部空間のうち所定の空間に紫外線の照射を制御可能である。照射制御部412は、収納構造体2が生体Lを収納した状態である場合、収納構造体2の内部空間のうち生体Lが位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に紫外線の照射を制御可能であることが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納可能な収納構造体の内部に設けられる1以上の紫外線照射装置による紫外線の照射を制御可能な照射制御部を備え、
前記照射制御部は、
前記収納構造体が空状態である場合、前記収納構造体の内部空間への前記紫外線の照射を制御可能であり、
前記収納構造体が収納状態である場合、前記収納構造体の内部空間のうち所定の空間に前記紫外線の照射を制御可能である、
収納構造体への紫外線制御装置。
【請求項2】
前記収納構造体は、コンテナ、貨物コンテナ、貨物室、倉庫、及びこれらの組み合わせから選択される1以上を含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記照射制御部は、
前記収納構造体が生体を収納した状態である場合、前記収納構造体の内部空間のうち前記生体が位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に前記紫外線の照射を制御可能である、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記所定の空間は、冷凍機内部、加湿器内部、除湿機内部、空気清浄機内部、空気取り込み口付近、ドア付近、天井付近、冷凍機吹き出し口の下流、及び冷凍機吸入口の上流から選択される1ヶ所以上の空間を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記紫外線の波長が200ナノメートル以上240ナノメートル以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記内部空間におけるオゾン濃度を取得可能なオゾン濃度取得部をさらに備え、
少なくとも前記オゾン濃度が0.1ppmを超える場合、前記照射制御部は、前記紫外線の照射を停止する、請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記内部空間の温度が冷蔵温度帯又は冷凍温度帯に制御されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記収納構造体の内部に取り付け可能な1以上の紫外線照射装置と、
請求項1から7のいずれか1項に記載の制御装置と、
を含んで構成される、収納構造体への紫外線照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納構造体への紫外線制御装置及び紫外線照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品及び衣類等によって例示される物品を輸送用コンテナに収納し、輸送するコンテナ輸送が行われている。コンテナ輸送において、輸送用コンテナに収納される物品は、一般に輸送用コンテナ内部の暗所に収納される。暗所に収納された物品及びコンテナ内部の空気は、日光を浴びない。そのため、収納された物品の表面に付着されたり、コンテナ内部に流入したりした微生物やウイルスは、日光に含まれる紫外線によって滅菌されず、コンテナ内部は、これらの微生物が増殖し得る環境にある。
【0003】
微生物の例として、大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、及び緑膿菌等が挙げられる。また、ウイルスの例として、コロナウイルス(例えば、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)等。)、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、及び風疹ウイルスによって例示される脂質エンベロープを有するウイルスのほか、タンパク質エンベロープを有するウイルス、並びにエンベロープを有しないノンエンベロープウイルス等が挙げられる。
【0004】
所定の空間における微生物やウイルスを減少させる例として、特許文献1は、野菜や果物を貯蔵するための容器の上側に紫外線を照射可能な発光ダイオードを設けた冷蔵庫を開示している。特許文献1によれば、容器に貯蔵された野菜や果物に紫外線を照射し、これらの表面を殺菌し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、紫外線の波長は、10ナノメートル以上400ナノメートル以下と可視光線の波長より短い。これにより、紫外線は、可視光線より高いエネルギーを有する。高いエネルギーを有する紫外線が物品に照射されると、物品の表面にエネルギーを与え得る。このエネルギーにより、物品の表面が加熱され得る。物品が冷蔵及び/又は冷凍を要する場合、物品の表面が加熱されることによって物品の品質が低下し得る。そのため、輸送用コンテナをはじめとした収納構造体に収納された物品表面の温度上昇を防ぐという意味で改良の余地がある。
【0007】
また、紫外線は、空気中の酸素分子を分解し、オゾンを発生させ得る。したがって、物品に紫外線を照射することにより、物品近傍の空気中にオゾンが発生し得る。オゾンは、強力な酸化剤であり、殺菌作用を有する。しかしながら、物品が食品等によって例示される酸化によって品質が低下し得る物品である場合、物品近傍の空気中にオゾンが発生すると、空気中に拡散する前の高濃度のオゾンによって物品が酸化され得る。そして、収納構造体に収納された物品の品質が低下し得る。そのため、収納構造体に収納された物品表面の酸化を防ぐという意味でも改良の余地がある。
【0008】
紫外線は、たんぱく質を変性させ得る。したがって、物品がたんぱく質を含む食品等である場合、物品に紫外線を照射することにより、物品の品質が低下し得る。そのため、収納構造体に収納された物品のたんぱく質変性を防ぐという意味でも改良の余地がある。
【0009】
コンテナ輸送に限らず、物品をコンテナ、貨物コンテナ、貨物室、及び倉庫等によって例示される各種の収納構造体に収納する場合においても、収納された物品は、一般に収納構造体内部の暗所に収納される。したがって、これら各種の収納構造体において、同様の改良を行う余地がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、物品を収納可能な収納構造体において、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にすることと、収納された物品の品質低下を防ぐこととを両立し得る、収納構造体への紫外線制御装置及び紫外線照射システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、収納構造体が収納状態である場合、収納構造体の内部空間のうち所定の空間に紫外線の照射を制御することで、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0012】
第1の特徴に係る発明は、物品を収納可能な収納構造体の内部に設けられる1以上の紫外線照射装置による紫外線の照射を制御可能な照射制御部を備え、前記照射制御部は、前記収納構造体が空状態である場合、前記収納構造体の内部空間への前記紫外線の照射を制御可能であり、前記収納構造体が収納状態である場合、前記収納構造体の内部空間のうち所定の空間に前記紫外線の照射を制御可能である、収納構造体への紫外線制御装置を提供する。
【0013】
第1の特徴に係る発明によれば、収納構造体が空状態である場合、収納構造体の内部空間へ紫外線を照射し、収納構造体の内部空間を満たす空気中を漂う微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。また、内部空間へ照射された紫外線は、内部空間を介して収納構造体の内壁に照射され得る。これにより、収納構造体の内壁に付着した微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0014】
第1の特徴に係る発明によれば、収納構造体が収納状態である場合、収納構造体の内部空間のうち所定の空間に紫外線を照射し得る。これにより、所定の空間に紫外線を照射して紫外線を用いた微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、収納された物品及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得る。
【0015】
収納された物品及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得るため、収納された物品の表面が紫外線を照射されることによって加熱され得るリスクを軽減し得る。これにより、収納された物品が冷蔵及び/又は冷凍を要する場合であっても、収納された物品の品質が低下することを防ぎ得る。
【0016】
収納された物品及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得るため、収納された物品近傍の空気中にオゾンを発生させ得るリスクを軽減し得る。これにより、空気中に拡散する前の高濃度のオゾンが該物品を酸化させ得るリスクを軽減し得る。したがって、収納された物品が食品等によって例示される酸化によって品質が低下し得る物品である場合であっても、収納された物品の品質が低下することを防ぎ得る。
【0017】
収納された物品及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得るため、収納された物品がたんぱく質を含む物品(例えば、食品等。)である場合、該物品のたんぱく質変性を防ぎ得る。したがって、収納された物品がたんぱく質を含む物品である場合であっても、収納された物品のたんぱく質変性を防ぎ得る。
【0018】
したがって、第1の特徴に係る発明によれば、物品を収納可能な収納構造体において、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にすることと、収納された物品の品質低下を防ぐこととを両立し得る紫外線制御装置を提供できる。
【0019】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記収納構造体は、コンテナ、貨物コンテナ、貨物室、倉庫、及びこれらの組み合わせから選択される1以上を含む、制御装置を提供する。
【0020】
コンテナ、貨物コンテナ、貨物室、及び/又は倉庫に物品を収納することが行われている。コンテナ、貨物コンテナ、貨物室、及び/又は倉庫に物品を収納する場合、物品は、一般に内部の暗所に収納される。したがって、コンテナ、貨物コンテナ、貨物室、及び/又は倉庫に物品を収納する場合に、微生物等が増殖する可能性がある。
【0021】
第2の特徴に係る発明によれば、コンテナ、貨物コンテナ、貨物室、及び/又は倉庫の内部空間を満たす空気中を漂う微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。また、コンテナ、貨物コンテナ、貨物室、及び/又は倉庫の内壁に付着した微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0022】
紫外線を照射して微生物やウイルスを滅菌する場合、収納された物品に紫外線が照射されると、該物品の品質が低下し得る。第2の特徴に係る発明によれば、所定の空間に紫外線を照射して紫外線を用いた微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、コンテナ、貨物コンテナ、貨物室、及び/又は倉庫に収納された物品とその近傍とに紫外線を照射することを防ぎ得る。したがって、収納された物品の品質低下を防ぎ得る。
【0023】
したがって、第2の特徴に係る発明によれば、物品を収納可能な収納構造体において、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にすることと、収納された物品の品質低下を防ぐこととを両立し得る紫外線制御装置を提供できる。
【0024】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、前記照射制御部は、前記収納構造体が生体を収納した状態である場合、前記収納構造体の内部空間のうち前記生体が位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に前記紫外線の照射を制御可能である、制御装置を提供する。
【0025】
生体に紫外線を照射すると、生体表面のたんぱく質が変性するリスクがあることが知られている。たんぱく質の変性は、皮膚の加齢、DNAの損傷、及び/又は眼球の損傷等のダメージを招き得る。収納構造体に収納された生体に紫外線を照射すると、生体がこれらのダメージを受けるリスクがあり得る。したがって、収納された生体の品質低下を招くリスクがあり得る。
【0026】
第3の特徴に係る発明によれば、収納構造体の内部空間のうち生体が位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に紫外線を照射し得る。したがって、生体が位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に紫外線を照射して微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、収納された生体に紫外線が照射されることによる品質低下のリスクを軽減し得る。
【0027】
したがって、第3の特徴に係る発明によれば、物品を収納可能な収納構造体において、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にすることと、収納された物品の品質低下を防ぐこととを両立し得る紫外線制御装置を提供できる。
【0028】
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴から第3の特徴のいずれかに係る発明であって、前記所定の空間は、冷凍機内部、加湿器内部、除湿機内部、空気清浄機内部、空気取り込み口付近、ドア付近、天井付近、冷凍機吹き出し口の下流、及び冷凍機吸入口の上流から選択される1ヶ所以上の空間を含む、制御装置を提供する。
【0029】
冷凍機、加湿器、除湿器、及び空気清浄機は、収納構造体内部の空気を移動させ得る。空気取り込み口付近では、空気の取り込みに伴い空気が移動し得る。ドア付近では、ドアの開閉に伴い空気が移動し得る。天井付近では、対流により空気が移動し得る。収納構造体内部において空気が移動する場合、移動する空気を介して微生物やウイルスが拡散し得る。移動する空気に含まれる微生物やウイルスを減少させることができれば、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。したがって、よりいっそう効果的に微生物やウイルスを減少させ得る。
【0030】
第4の特徴に係る発明によれば、収納された物品及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎつつ、収納構造体内部において空気が移動し得る冷凍機内部、加湿器内部、除湿機内部、空気清浄機内部、空気取り込み口付近、ドア付近、天井付近、冷凍機吹き出し口の下流、及び冷凍機吸入口の上流から選択される1ヶ所以上の空間に紫外線を照射し得る。したがって、移動する空気に含まれる微生物やウイルスの滅菌を可能にし、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。これにより、よりいっそう効果的に微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0031】
したがって、第4の特徴に係る発明によれば、物品を収納可能な収納構造体において、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にすることと、収納された物品の品質低下を防ぐこととを両立し得る紫外線制御装置を提供できる。
【0032】
第5の特徴に係る発明は、第1の特徴から第4の特徴のいずれかに係る発明であって、前記紫外線の波長が200ナノメートル以上240ナノメートル以下である制御装置を提供する。
【0033】
紫外線(UltraViolet,UV)は、波長によって近紫外線、遠紫外線及び極紫外線に分けられる。そのうち、近紫外線は、波長が315ナノメートル以上400ナノメートル以下のUVAと、280ナノメートル以上315ナノメートル以下のUVBと、200ナノメートル以上280ナノメートル以下のUVCとに分けられることがある。UVCは、紫外線の中でも微生物やウイルスを滅菌する作用がとりわけ強いことが知られている。しかしながら、UVCは、生体に対する破壊性が強い課題もある。UVCであっても、波長が200ナノメートル以上240ナノメートル以下であれば、波長が240ナノメートルを超える場合より生体に与える影響が小さいことが知られている。
【0034】
第5の特徴に係る発明によれば、紫外線の波長が200ナノメートル以上240ナノメートル以下であるため、微生物やウイルスの滅菌をよりいっそう効果的に行うことを可能にしつつ、紫外線の波長が240ナノメートルを超える場合より紫外線が生体に与える影響を軽減し得る。これにより、収納された物品が生体である場合における、収納された物品の品質低下を防ぎつつ、微生物やウイルスの滅菌をよりいっそう効果的に行うことを可能にし得る。また、作業者等の人間が収納構造体内部に入った場合に、該人間が紫外線から受ける悪影響を防ぎ得る。
【0035】
紫外線により酸素分子からオゾンが生成されるチャップマン機構が知られている。オゾンは、微生物やウイルスを滅菌する作用があることが知られている。UVCは、オゾンの生成に寄与することが知られている。一方、波長が240ナノメートル以上310ナノメートル以下の紫外線は、オゾンの分解に寄与することが知られている。
【0036】
第5の特徴に係る発明によれば、紫外線の波長が200ナノメートル以上240ナノメートル以下であるため、紫外線によってオゾンを分解することなくオゾンを生成し得る。したがって、生成されたオゾンによって、微生物やウイルスの滅菌をよりいっそう効果的に行うことを可能にし得る。
【0037】
したがって、第5の特徴に係る発明によれば、物品を収納可能な収納構造体において、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にすることと、収納された物品の品質低下を防ぐこととを両立し得る紫外線制御装置を提供できる。
【0038】
第6の特徴に係る発明は、第1の特徴から第5の特徴のいずれかに係る発明であって、前記内部空間におけるオゾン濃度を取得可能なオゾン濃度取得部をさらに備え、少なくとも前記オゾン濃度が0.1ppmを超える場合、前記照射制御部は、前記紫外線の照射を停止する制御装置を提供する。
【0039】
オゾンは、微生物やウイルスを滅菌する作用があることが知られている。しかしながら、高濃度のオゾンは、人体に悪影響を与え得る。そのため、オゾン濃度は、作業環境基準において0.1ppm以下と定められている。
【0040】
第6の特徴に係る発明によれば、紫外線の照射によってオゾン濃度が0.1ppmを超えてさらに上昇することを防ぎ得る。したがって、オゾンによって微生物やウイルスをよりいっそう滅菌しつつ、オゾンが人体に悪影響を与えるリスクを軽減し得る。
【0041】
したがって、第6の特徴に係る発明によれば、物品を収納可能な収納構造体において、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にすることと、収納された物品の品質低下を防ぐこととを両立し得る紫外線制御装置を提供できる。
【0042】
第7の特徴に係る発明は、第1の特徴から第6の特徴のいずれかに係る発明であって、前記内部空間の温度が冷蔵温度帯又は冷凍温度帯に制御されている制御装置を提供する。
【0043】
第7の特徴に係る発明によれば、内部空間の温度が冷蔵温度帯又は冷凍温度帯に制御されているため、冷蔵温度帯又は冷凍温度帯で死滅する微生物を滅菌し得る。
【0044】
第7の特徴に係る発明によれば、内部空間の温度が冷蔵温度帯又は冷凍温度帯に制御されているため、収納された物品が食品等によって例示される常温及び/又は高温によって品質が低下し得る物品である場合であっても、収納された物品の品質が低下することを防ぎ得る。
【0045】
コロナウイルス(例えば、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)等。)、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、及び風疹ウイルスによって例示される脂質エンベロープを有するウイルスが知られている。脂質エンベロープを有するウイルスは、脂質エンベロープが変性及び/又は破壊されると死滅する。この脂質エンベロープは、熱に対して比較的敏感であることが知られている。したがって、脂質エンベロープを有するウイルスは、常温及び/又は高温において滅菌され得る。しかし、冷蔵温度帯及び/又は冷凍温度帯では、熱による脂質エンベロープの変性及び/又は破壊を常温及び/又は高温の場合より期待できない。したがって、脂質エンベロープを有するウイルスが滅菌されることを常温及び/又は高温の場合より期待できない。
【0046】
第7の特徴に係る発明によれば、照射制御部が紫外線照射装置を制御して紫外線を照射するため、紫外線によってウイルス核酸、カプシド、及び/又は脂質エンベロープ等のウイルスを構成する構造を破壊し得る。これにより、内部空間の温度が冷蔵温度帯又は冷凍温度帯に制御されているにもかかわらず、脂質エンベロープを有するウイルスを滅菌し得る。
【0047】
したがって、第7の特徴に係る発明によれば、物品を収納可能な収納構造体において、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にすることと、収納された物品の品質低下を防ぐこととを両立し得る紫外線制御装置を提供できる。
【0048】
第8の特徴に係る発明は、前記収納構造体の内部に取り付け可能な1以上の紫外線照射装置と、第1の特徴から第7の特徴のいずれかの特徴に係る制御装置と、を含んで構成される、収納構造体への紫外線照射システムを提供する。
【0049】
第8の特徴に係る発明によれば、収納構造体の内部に取り付け可能な1以上の紫外線照射装置により、収納構造体内部に紫外線を照射し、微生物やウイルスを滅菌し得る。これにより、収納構造体外部にのみ紫外線照射装置を取り付けて紫外線を照射する場合より、効果的に微生物やウイルスを滅菌し得る。
【0050】
したがって、第8の特徴に係る発明によれば、物品を収納可能な収納構造体において、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にすることと、収納された物品の品質低下を防ぐこととを両立し得る紫外線照射システムを提供できる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、物品を収納可能な収納構造体において、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にすることと、収納された物品の品質低下を防ぐこととを両立し得る収納構造体への紫外線制御装置及び紫外線照射システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る収納構造体への紫外線照射システム1を水平方向からみた場合の概略図である。
【
図2】
図2は、紫外線照射システム1のハードウェア構成とソフトウェア構成とを示すブロック図である。
【
図3】
図3は、紫外線照射システム1の構成要素である紫外線制御装置4で実行される紫外線制御処理の一例を示すメインフローチャートである。
【
図4】
図4は、紫外線照射システム1の構成要素である収納構造体2が生体を収納した状態である場合の紫外線照射を示す概念図である。
【
図5】
図5は、収納構造体2が収納状態である場合の紫外線照射を示す概念図である。
【
図6】
図6は、収納構造体2が空状態である場合の紫外線照射を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明を実施するための好適な形態の一例について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0054】
<収納構造体への紫外線照射システム1>
図1は、本実施形態に係る収納構造体への紫外線照射システム1(以下、単に「システム1」とも称する。)を水平方向からみた場合の概略図である。
図2は、システム1のハードウェア構成とソフトウェア構成とを示すブロック図である。以下、
図1と
図2とを用いて、システム1の好ましいハードウェア構成の一例について説明する。
【0055】
システム1は、少なくとも、物品を収納可能な収納構造体2と、収納構造体2の内部に紫外線を照射可能な紫外線照射装置3と、紫外線照射装置3による紫外線の照射状態を制御可能な紫外線制御装置4とを有する(
図1、
図2)。紫外線照射装置3と紫外線制御装置4とは、ネットワークNを介して接続されることが好ましい(
図2)。これにより、紫外線制御装置4は、ネットワークNを介して紫外線照射装置3を制御し得る。
【0056】
必須の態様ではないが、システム1は、オゾン濃度測定装置5(
図1、
図2)を有することが好ましい。オゾン濃度測定装置5は、収納構造体2の内部空間におけるオゾン濃度を測定可能な装置である。システム1がオゾン濃度測定装置5を有することにより、オゾン濃度に応じて紫外線の照射を制御し得る。
【0057】
〔収納構造体2〕
収納構造体2は、物品を収納可能に構成された収納構造体であれば、特に限定されない。収納構造体2は、コンテナ、貨物コンテナ、貨物室、倉庫、及びこれらの組み合わせから選択される1以上を含むことが好ましい。以下では、収納構造体2は、コンテナであるものとして説明する。また、以下では、収納構造体2に収納する物品を単に「収納対象物」とも称する。収納構造体2は、少なくとも、収納対象物を出し入れ可能なドア21を含んで構成される。収納構造体2は、その内部において、天井2C、床2F、及び側壁(図示せず)等を含んで構成される。
【0058】
必須の態様ではないが、収納構造体2は、冷凍機22、加湿器23、除湿器24、空気清浄機25、及び空気取り込み口26のいずれか1以上を含んで構成されることが好ましい。これにより、収納構造体2の内部空間において、空気の状態を制御し得る。したがって、空気の状態の制御を介して収納対象物の品質低下を防ぎ得る。
【0059】
必須の態様ではないが、収納構造体2は、収納構造体2の内部空間を仕切ることが可能な1以上の仕切り部27を含んで構成されることが好ましい。これにより、収納構造体2の内部空間を複数の空間に仕切ることができる。したがって、例えば、生体が位置しない空間のみに紫外線を照射する等の制御を行い得る。
【0060】
[ドア21]
ドア21は、収納対象物を出し入れ可能なドアであれば特に限定されない。ドア21は、収納構造体2の内部空間と収納構造体2の外部とを隔てることが可能に設置される。ドア21を設置する位置は、特に限定されない。ドア21は、例えば、収納構造体2の側面、収納構造体2の上面、収納構造体2の底面等に設置するドア21等を含んでよい。収納構造体2がドア21を含んで構成されることにより、ドア21を介して収納構造体2に収納対象物を出し入れすることができる。
【0061】
[冷凍機22]
冷凍機22は、収納構造体2の内部空間において空気を冷却可能な冷凍機である。冷凍機22は、特に限定されない。冷凍機22は、例えば、コンプレッサ及びファンを含み、空気を冷却可能な従来技術の冷凍機でよい。以下では、冷凍機22が、空気を吸入可能な冷凍機吸入口221と、冷凍機吸入口221から吸入した空気を冷却可能な冷凍機本体222と、冷却された空気を収納構造体2の内部空間に吹き出し可能な冷凍機吹き出し口223とを含んで構成される冷凍機であるものとして説明する。
【0062】
収納構造体2が冷凍機22を含んで構成されることにより、収納構造体2の内部空間の温度を冷蔵温度帯又は冷凍温度帯に制御し得る。これにより、冷蔵温度帯又は冷凍温度帯で死滅する微生物を滅菌し得る。また、内部空間の温度が冷蔵温度帯又は冷凍温度帯に制御されているため、収納対象物が食品等によって例示される常温及び/又は高温によって品質が低下し得る収納対象物である場合であっても、収納対象物の品質が低下することを防ぎ得る。
【0063】
コロナウイルス(例えば、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)等。)、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、及び風疹ウイルスによって例示される脂質エンベロープを有するウイルスが知られている。脂質エンベロープを有するウイルスは、脂質エンベロープが変性及び/又は破壊されると死滅する。この脂質エンベロープは、熱に対して比較的敏感であることが知られている。したがって、脂質エンベロープを有するウイルスは、常温及び/又は高温において滅菌され得る。しかし、冷蔵温度帯及び/又は冷凍温度帯では、熱による脂質エンベロープの変性及び/又は破壊を常温及び/又は高温の場合より期待できない。したがって、脂質エンベロープを有するウイルスが滅菌されることを常温及び/又は高温の場合より期待できない。
【0064】
本実施形態の紫外線照射システム1では、後に説明する照射制御部412が紫外線照射装置3を制御して紫外線を照射するため、紫外線によってウイルス核酸、カプシド、及び/又は脂質エンベロープ等のウイルスを構成する構造を破壊し得る。これにより、内部空間の温度が冷蔵温度帯又は冷凍温度帯に制御されているにもかかわらず、脂質エンベロープを有するウイルスを滅菌し得る。
【0065】
[加湿器23]
加湿器23は、収納構造体2の内部空間において空気を加湿可能な加湿器である。加湿器23は、特に限定されず、従来技術の加湿器でよい。収納構造体2が加湿器23を含んで構成されることにより、収納構造体2の内部空間の湿度が収納対象物に適した湿度を下回らないよう制御し得る。これにより、収納対象物の品質が低下することを防ぎ得る。
【0066】
[除湿器24]
除湿器24は、収納構造体2の内部空間において空気を除湿可能な除湿器である。除湿器24は、特に限定されず、従来技術の除湿器でよい。収納構造体2が除湿器24を含んで構成されることにより、収納構造体2の内部空間の湿度が収納対象物に適した湿度を上回らないよう制御し得る。これにより、収納対象物の品質が低下することを防ぎ得る。
【0067】
[空気清浄機25]
空気清浄機25は、収納構造体2の内部空間においてチリ、ホコリ、微生物、及び/又はウイルス等を取り除くことが可能な空気清浄機である。空気清浄機25は、特に限定されず、従来技術の空気清浄機でよい。収納構造体2が空気清浄機25を含んで構成されることにより、チリ、ホコリ、微生物、及び/又はウイルス等によって収納対象物の品質が低下することを防ぎ得る。
【0068】
[空気取り込み口26]
空気取り込み口26は、収納構造体2の外部から空気を取り込み、収納構造体2の内部空間に提供可能な空気取り込み口である。空気取り込み口26は、特に限定されない。収納構造体2が空気取り込み口26を含んで構成されることにより、収納構造体2の外部から空気を取り込み、収納構造体2の内部空間における酸素濃度の低下等を防ぎ得る。
【0069】
必須の態様ではないが、空気取り込み口26は、外部から取り込む空気に含まれるチリ、ホコリ、微生物、及びウイルス等によって例示される不純物の1以上を取り除くことが可能なフィルタを備えることが好ましい。これにより、不純物によって収納対象物の品質が低下することを防ぎ得る。
【0070】
[仕切り部27]
仕切り部27は、収納構造体2の内部空間を仕切ることが可能な仕切り部である。仕切り部27は、紫外線を通過させない仕切り部であることが好ましい。これにより、仕切り部27によって仕切られた空間の一方に紫外線を照射した場合、仕切られた空間の他方に紫外線が照射されることを防ぎ得る。したがって、例えば、生体が位置する空間に紫外線を照射せず、生体が位置しない空間に紫外線を照射する等の制御を行い得る。
【0071】
図1に示す例では、仕切り部27によって、収納構造体2の内部空間が第1内部空間2Aと第2内部空間2Bとに仕切られている。
【0072】
[収納対象物について]
収納構造体2は、各種の収納対象物を収納可能に構成される。収納構造体2に収納可能な収納対象物は、特に限定されない。
【0073】
収納構造体2に収納可能な収納対象物は、冷蔵及び/又は冷凍を要する収納対象物を含むことが好ましい。後述する紫外線制御処理によれば、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得るため、収納対象物の表面が紫外線を照射されることによって加熱され得るリスクを軽減し得る。収納構造体2に収納可能な収納対象物が冷蔵及び/又は冷凍を要する収納対象物を含むことにより、このような収納対象物の品質が低下することを防ぎ得る。
【0074】
収納構造体2に収納可能な収納対象物は、食品等によって例示される酸化によって品質が低下し得る収納対象物を含むことが好ましい。後述する紫外線制御処理によれば、収納対象物近傍の空気中にオゾンを発生させ得るリスクを軽減し得る。これにより、空気中に拡散する前の高濃度のオゾンが収納対象物を酸化させ得るリスクを軽減し得る。収納構造体2に収納可能な収納対象物が、酸化によって品質が低下し得る収納対象物を含むことにより、このような収納対象物の品質が低下することを防ぎ得る。
【0075】
収納構造体2に収納可能な収納対象物は、たんぱく質を含む物品(例えば、食品等。)を含むことが好ましい。後述する紫外線制御処理によれば、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得るため、たんぱく質を含む物品が収納対象物である場合、収納対象物のたんぱく質変性を防ぎ得る。収納構造体2に収納可能な収納対象物がたんぱく質を含む物品を含むことにより、このような収納対象物のたんぱく質変性を防ぎ得る。
【0076】
収納構造体2に収納可能な収納対象物は、活魚、植物(例えば、鉢植えの花・木等。)、家畜、及びペット等によって例示される生体を含むことが好ましい。後述する制御装置4で実行される紫外線制御処理によれば、収納構造体2の内部空間のうち生体が位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に紫外線を照射し得る。したがって、生体が位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に紫外線を照射して微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、収納対象物である生体に紫外線が照射されることによる品質低下のリスクを軽減し得る。収納構造体2に収納可能な収納対象物が生体を含むことにより、微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、生体に紫外線が照射されることによる品質低下のリスクを軽減し得る。
【0077】
収納構造体2に収納可能な収納対象物は、段ボール等の紙、発泡スチロール、不透明な合成樹脂、金属板、及び金属箔等によって例示される紫外線透過率が相対的に低い包装資材を用いて梱包された収納対象物を含むことが好ましい。後述する制御装置4で実行される紫外線制御処理によれば、紫外線透過率が相対的に低い包装資材を用いて梱包された収納対象物付近の空間に紫外線を照射し得る。当該包装資材を用いて収納対象物が梱包されていることにより、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎつつ、包装資材の表面に付着した微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0078】
〔紫外線照射装置3〕
紫外線照射装置3は、収納構造体2の内部に紫外線を照射可能な装置である。紫外線照射装置3は、微生物及び/又はウイルスを滅菌し得る紫外線を照射可能であれば、特に限定されない。紫外線照射装置3の数は、特に限定されない。
【0079】
紫外線照射装置3は、収納構造体2の内部に取り付け可能な1以上の紫外線照射装置3を含むことが好ましい。収納構造体2の内部に取り付け可能な1以上の紫外線照射装置3により、収納構造体2内部に紫外線を照射し、微生物やウイルスを滅菌し得る。これにより、収納構造体2外部にのみ紫外線照射装置3を取り付けて紫外線を照射する場合より、効果的に微生物やウイルスを滅菌し得る。
【0080】
[紫外線の波長について]
紫外線(UltraViolet,UV)は、波長によって近紫外線、遠紫外線及び極紫外線に分けられる。そのうち、近紫外線は、波長が315ナノメートル以上400ナノメートル以下のUVAと、280ナノメートル以上315ナノメートル以下のUVBと、200ナノメートル以上280ナノメートル以下のUVCとに分けられることがある。
【0081】
紫外線照射装置3は、UVCを照射可能であることが好ましい。UVCは、紫外線の中でも微生物やウイルスを滅菌する作用がとりわけ強いことが知られている。したがって、紫外線照射装置3がUVCを照射可能であることにより、微生物及び/又はウイルスをよりいっそう滅菌し得る。
【0082】
紫外線照射装置3は、波長200ナノメートル以上波長240ナノメートル以下の紫外線を照射可能であることがより好ましい。UVCは、微生物やウイルスを滅菌する作用がとりわけ強い一方で、生体に対する破壊性が強い課題もある。UVCであっても、波長が200ナノメートル以上240ナノメートル以下であれば、波長が240ナノメートルを超える場合より生体に与える影響が小さいことが知られている。
【0083】
紫外線照射装置3が波長200ナノメートル以上波長240ナノメートル以下の紫外線を照射可能であることにより、微生物やウイルスの滅菌をよりいっそう効果的に行うことを可能にしつつ、紫外線の波長が240ナノメートルを超える場合より紫外線が生体に与える影響を軽減し得る。これにより、収納対象物が生体である場合における、収納対象物の品質低下を防ぎつつ、微生物やウイルスの滅菌をよりいっそう効果的に行うことを可能にし得る。また、作業者等の人間が収納構造体2内部に入った場合に、該人間が紫外線から受ける悪影響を防ぎ得る。
【0084】
紫外線により酸素分子からオゾンが生成されるチャップマン機構が知られている。オゾンは、微生物やウイルスを滅菌する作用があることが知られている。UVCは、オゾンの生成に寄与することが知られている。一方、波長が240ナノメートル以上310ナノメートル以下の紫外線は、オゾンの分解に寄与することが知られている。
【0085】
紫外線照射装置3が波長200ナノメートル以上波長240ナノメートル以下の紫外線を照射可能であることにより、紫外線によってオゾンを分解することなくオゾンを生成し得る。したがって、生成されたオゾンによって、微生物やウイルスの滅菌をよりいっそう効果的に行うことを可能にし得る。
【0086】
[ドア付近紫外線照射装置31]
紫外線照射装置3は、ドア21付近に紫外線を照射可能に構成されたドア付近紫外線照射装置31を含むことが好ましい。内部空間のドア21付近は、内部空間の他の空間と比較して開閉の際に外気が入り込みやすい。紫外線照射装置3がドア付近紫外線照射装置31を含むことにより、仮に、外気と共に微生物及び/又はウイルスが入り込んだとしても、紫外線を照射して微生物及び/又はウイルスを滅菌し得る。
【0087】
ドア21付近では、ドア21の開閉に伴い空気が移動し得る。収納構造体2内部において空気が移動する場合、移動する空気を介して微生物やウイルスが拡散し得る。移動する空気に含まれる微生物やウイルスを減少させることができれば、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。したがって、よりいっそう効果的に微生物やウイルスを滅菌し得る。紫外線照射装置3がドア付近紫外線照射装置31を含むことにより、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎつつ、収納構造体2内部において空気が移動し得るドア21付近に紫外線を照射し得る。したがって、移動する空気に含まれる微生物やウイルスの滅菌を可能にし、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。これにより、よりいっそう効果的に微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0088】
[冷凍機付近紫外線照射装置32]
紫外線照射装置3は、冷凍機22付近及び/又はその内部に紫外線を照射可能に構成された冷凍機付近紫外線照射装置32を含むことが好ましい。冷凍機22は、収納構造体2内部の空気を移動させ得る。紫外線照射装置3が冷凍機付近紫外線照射装置32を含むことにより、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎつつ、収納構造体2内部において空気が移動し得る冷凍機22付近及び/又はその内部に紫外線を照射し得る。したがって、移動する空気に含まれる微生物やウイルスの滅菌を可能にし、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。これにより、よりいっそう効果的に微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0089】
冷凍機付近紫外線照射装置32を設置する位置は、冷凍機22付近であれば特に限定されない。冷凍機付近紫外線照射装置32は、例えば、冷凍機吸入口221の上流に設置された冷凍機吸入口上流紫外線照射装置321、冷凍機本体222の内部に設置された冷凍機内部紫外線照射装置322、冷凍機吹き出し口223の下流に設置された冷凍機吹き出し口下流紫外線照射装置323等の1以上を含んでよい。
【0090】
[加湿器付近紫外線照射装置33]
紫外線照射装置3は、加湿器23付近及び/又はその内部に紫外線を照射可能に構成された加湿器付近紫外線照射装置33を含むことが好ましい。加湿器23は、収納構造体2内部の空気を移動させ得る。紫外線照射装置3が加湿器付近紫外線照射装置33を含むことにより、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎつつ、収納構造体2内部において空気が移動し得る加湿器23付近及び/又はその内部に紫外線を照射し得る。したがって、移動する空気に含まれる微生物やウイルスの滅菌を可能にし、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。これにより、よりいっそう効果的に微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0091】
[除湿器付近紫外線照射装置34]
紫外線照射装置3は、除湿器24付近及び/又はその内部に紫外線を照射可能に構成された除湿器付近紫外線照射装置34を含むことが好ましい。除湿器24は、収納構造体2内部の空気を移動させ得る。紫外線照射装置3が除湿器付近紫外線照射装置34を含むことにより、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎつつ、収納構造体2内部において空気が移動し得る除湿器24付近及び/又はその内部に紫外線を照射し得る。したがって、移動する空気に含まれる微生物やウイルスの滅菌を可能にし、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。これにより、よりいっそう効果的に微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0092】
[空気清浄機付近紫外線照射装置35]
紫外線照射装置3は、空気清浄機25付近及び/又はその内部に紫外線を照射可能に構成された空気清浄機付近紫外線照射装置35を含むことが好ましい。空気清浄機25は、収納構造体2内部の空気を移動させ得る。紫外線照射装置3が空気清浄機付近紫外線照射装置35を含むことにより、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎつつ、収納構造体2内部において空気が移動し得る空気清浄機25付近及び/又はその内部に紫外線を照射し得る。したがって、移動する空気に含まれる微生物やウイルスの滅菌を可能にし、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。これにより、よりいっそう効果的に微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0093】
[空気取り込み口付近紫外線照射装置36]
紫外線照射装置3は、空気取り込み口26付近及び/又はその内部に紫外線を照射可能に構成された空気取り込み口付近紫外線照射装置36を含むことが好ましい。空気取り込み口26は、収納構造体2内部の空気を移動させ得る。紫外線照射装置3が空気取り込み口付近紫外線照射装置36を含むことにより、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎつつ、収納構造体2内部において空気が移動し得る空気取り込み口26付近及び/又はその内部に紫外線を照射し得る。したがって、移動する空気に含まれる微生物やウイルスの滅菌を可能にし、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。これにより、よりいっそう効果的に微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0094】
[天井付近紫外線照射装置37]
紫外線照射装置3は、天井2C付近に紫外線を照射可能に構成された天井付近紫外線照射装置37を含むことが好ましい。天井2C付近では、対流により空気が移動し得る。紫外線照射装置3が天井付近紫外線照射装置37を含むことにより、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎつつ、収納構造体2内部において空気が移動し得る天井2C付近に紫外線を照射し得る。したがって、移動する空気に含まれる微生物やウイルスの滅菌を可能にし、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。これにより、よりいっそう効果的に微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0095】
[内部空間紫外線照射装置38,39]
紫外線照射装置3は、収納構造体2の内部空間に紫外線を照射可能に構成された1以上の内部空間紫外線照射装置(
図1の第1内部空間紫外線照射装置38及び第2内部空間紫外線照射装置39)を含む。これにより、収納構造体2の内部空間に紫外線を照射し得る。そして、収納構造体2の内部空間を満たす空気中を漂う微生物やウイルスを減少させ得る。また、内部空間へ照射された紫外線は、内部空間を介して収納構造体2の内壁に照射され得る。これにより、収納構造体2の内壁に付着した微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0096】
〔紫外線制御装置4〕
紫外線制御装置4(以下、単に「制御装置4」とも称する。)は、制御部41と記憶部42とを含む(
図2)。システム1が制御装置4を有することにより、紫外線照射装置3による紫外線の照射を制御する紫外線制御処理を実行できる。制御装置4において実行される紫外線制御処理は、後に
図3を用いて説明する。
【0097】
必須の態様ではないが、制御装置4は、制御装置4をネットワークNに接続して紫外線照射装置3及び/又はオゾン濃度測定装置5と通信可能にする通信部43を含むことが好ましい。制御装置4が通信部43を含むことにより、ネットワークNを介して紫外線照射装置3を制御し得る。制御装置4が通信部43を含むことにより、オゾン濃度測定装置5が測定したオゾン濃度をネットワークN経由で取得し得る。
【0098】
必須の態様ではないが、制御装置4は、制御装置4を利用する利用者からの入力を取得可能な入力部44を含むことが好ましい。制御装置4が入力部44を含むことにより、利用者の入力に応じて紫外線の照射を制御し得る。
【0099】
[制御部41]
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含んで構成される。制御部41は、特に限定されず、例えば、従来技術のマイクロコンピュータ等でよい。
【0100】
制御部41は、所定のプログラムを読み込み、必要に応じて記憶部42、通信部43、及び/又は入力部44と協働することで、制御装置4におけるソフトウェア構成の要素であるオゾン濃度取得部411及び照射制御部412等を実現する。
【0101】
[記憶部42]
記憶部42には、データやファイルが記憶される。記憶部42は、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によって例示されるデータやファイルを記憶可能な部材を含むデータのストレージ部を有する。記憶部42は、ネットワークを介してNAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)、クラウドストレージ、ファイルサーバ及び/又は分散ファイルシステム等の記憶装置又は記憶システムとの接続を可能にする仕組みを有してもよい。記憶部42には、制御部41で実行される制御プログラム等が記憶されている。
【0102】
[通信部43]
通信部43は、制御装置4をネットワークNに接続して照射装置3及び/又はオゾン濃度測定装置5と通信可能にする通信部であれば特に限定されない。通信部43は、例えば、USB規格に準拠した汎用バス等のバス、RS-232C規格ポートなどのシリアルポート、IEEE 1284準拠のインタフェースなどのパラレルポート、イーサネット規格に対応したネットワークカード、IEEE802.11に準拠したWi-Fi(Wireless Fidelity)対応デバイス、Bluetooth規格に準拠したBluetooth機器、ISO/IEC 18092又はISO/IEC 21481に準拠した近距離無線通信(NFC、Near field communication)装置、及び携帯電話ネットワークに対応した無線装置等のいずれか1以上を有する通信部でよい。
【0103】
[入力部44]
入力部44は、制御装置4を利用する利用者からの入力を取得可能な入力部であれば、特に限定されない。入力部44は、例えば、トグルスイッチ、回転スイッチ、及び電子スイッチ等によって例示される各種のスイッチ、マウス、キーボード、タッチパネル等のいずれか1以上を有する入力部でよい。
【0104】
入力部44は、収納構造体2が収納状態であるか否かに関する入力を取得可能であることが好ましい。これにより、制御装置4は、入力部44を介して取得した情報に基づいて収納構造体2が収納状態であるか否かを判別し得る。
【0105】
入力部44は、収納構造体2が生体を収納した状態であるか否かに関する入力を取得可能であることが好ましい。これにより、制御装置4は、入力部44を介して取得した情報に基づいて収納構造体2が生体を収納した状態であるか否かを判別し得る。
【0106】
入力部44は、収納構造体2の内部空間における収納対象物及び/又は生体が配置された空間に関する入力を取得可能であることが好ましい。これにより、制御装置4は、入力部44を介して取得した情報に基づいて収納対象物及び/又は生体が配置されていない空間に紫外線の照射を制御し得る。
【0107】
[電流制御部]
必須の態様ではないが、制御装置4は、紫外線照射装置3に供給される電流を制御可能な電流制御部(図示せず)を含んでもよい。制御装置4が電流制御部を含むことにより、紫外線照射装置3に供給される電流を介して紫外線照射装置3を制御し得る。これにより、ネットワークを介した通信を用いた制御より簡易な制御である電流を介した制御によって、紫外線照射装置3を制御し得る。電流制御部は、特に限定されず、トランジスタ及び/又はリレー等を有する従来技術の電流を制御可能な電流制御部でよい。
【0108】
〔オゾン濃度測定装置5〕
オゾン濃度測定装置5は、収納構造体2の内部空間におけるオゾン濃度を測定可能な装置であれば、特に限定されない。オゾン濃度測定装置5は、従来技術のオゾン濃度を測定可能な装置でよい。オゾン濃度測定装置5の数は、特に限定されない。
【0109】
オゾンは、微生物やウイルスを滅菌する作用があることが知られている。しかしながら、高濃度のオゾンは、人体に悪影響を与え得る。そのため、オゾン濃度は、作業環境基準において0.1ppm以下と定められている。システム1がオゾン濃度測定装置5を有することにより、紫外線の照射によってオゾン濃度が0.1ppmを超えてさらに上昇することを防ぐよう制御し得る。したがって、オゾンによって微生物やウイルスをよりいっそう減少させつつ、オゾンが人体に悪影響を与えるリスクを軽減し得る。
【0110】
オゾン濃度測定装置5は、ネットワークNを介して制御装置4と接続可能に構成されることが好ましい。これにより、測定したオゾン濃度をネットワークN経由で制御装置4に提供し得る。
【0111】
〔センサ〕
必須の態様ではないが、システム1は、収納構造体2の内部空間に収納された収納対象物を検知可能に構成されたセンサ(図示せず)を有することが好ましい。これにより、制御装置4は、収納構造体2の内部空間に収納された収納対象物を検知する処理を実行し得る。
【0112】
センサは、特に限定されず、従来技術のセンサでよい。センサは、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、及び/又はカメラ等を有する。センサは、ネットワークNを介して制御装置4と接続可能に構成されていることが好ましい。これにより、センサが検知した情報をネットワークN経由で制御装置4に提供し得る。
【0113】
センサは、収納構造体2の内部空間に収納された生体を検知可能であることが好ましい。これにより、制御装置4は、収納構造体2の内部空間に収納された生体を検知する処理を実行し得る。
【0114】
紫外線照射装置3が複数の内部空間紫外線照射装置(例えば、
図1の第1内部空間紫外線照射装置38及び第2内部空間紫外線照射装置39)を含み、収納構造体2がこれらの内部空間紫外線照射装置の間を仕切る仕切り部27を含む場合、センサは、仕切られた内部空間のそれぞれについて、収納対象物及び/又は生体が収納されているか否かを判別可能なセンサであることが好ましい。これにより、収納対象物及び/又は生体が位置する空間と異なる空間に紫外線の照射を制御し得る。
【0115】
〔ネットワークN〕
ネットワークNは、制御装置4と、紫外線照射装置3、オゾン濃度測定装置5、及び/又はセンサとを通信可能に接続するネットワークであれば特に限定されない。ネットワークNとして、例えば、USB規格に準拠した汎用バス、RS-232C規格に準拠したシリアルケーブルを含むネットワーク、IEEE 1284に準拠したパラレルケーブルを含むネットワーク、パーソナルエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、イントラネット、エクストラネット、インターネット、携帯電話ネットワーク、Wi-Fiネットワーク、あるいはこれらを含むネットワークを複数組み合わせたネットワーク等が挙げられる。
【0116】
システム1がネットワークNを有することにより、制御装置4と紫外線照射装置3、オゾン濃度測定装置5、及び/又はセンサとを通信可能に接続し得る(
図2)。
【0117】
〔紫外線制御処理のメインフローチャート〕
図3は、本実施形態の紫外線制御装置4で実行される紫外線制御処理の一例を示すメインフローチャートである。以下、
図3を用いて、紫外線制御装置4で実行される紫外線制御処理の好ましい態様の一例を説明する。
【0118】
[ステップS1:オゾン濃度が所定の濃度を超えているか否かを判別]
制御部41は、記憶部42及び通信部43と協働してオゾン濃度取得部411を実行し、収納構造体2の内部空間において、オゾン濃度が所定の濃度を超えているか否かを判別する(ステップS1)。オゾン濃度が所定の濃度を超えているならば、制御部41は、処理をステップS2に移す。オゾン濃度が所定の濃度を超えていないならば、制御部41は、処理をステップS3に移す。
【0119】
ステップS1で実行される処理により、紫外線の照射によってオゾン濃度が所定の濃度を超えてさらに上昇することを防ぐよう紫外線の照射を制御し得る。
【0120】
所定の濃度は、特に限定されない。所定の濃度の上限は、0.1ppm以下であることが好ましい。これにより、作業環境基準におけるオゾン濃度の上限である0.1ppmを超えてオゾン濃度がさらに上昇することを防ぐよう紫外線の照射を制御し得る。所定の濃度の上限は、0.07ppm以下であることがより好ましい。これにより、アメリカの環境保護庁(Environment Protection Agency、EPA)が環境大気質基準(National Ambient. Air Quality Standards、NAAQS)において定める8時間における平均濃度基準である0.07ppmを超えてオゾン濃度がさらに上昇することを防ぐよう紫外線の照射を制御し得る。
【0121】
[ステップS2:紫外線の照射を停止]
制御部41は、記憶部42と協働して照射制御部412を実行し、紫外線の照射を停止するよう紫外線照射装置3を制御する(ステップS2)。制御部41は、処理をステップS1に移し、ステップS1からステップS7の処理を繰り返す。ステップS2で実行される処理により、紫外線の照射によってオゾン濃度が所定の濃度を超えてさらに上昇することを防ぎ得る。
【0122】
必須の態様ではないが、ステップS2で実行される処理は、通信部43及びネットワークNを介して紫外線照射装置3を制御する処理を含むことが好ましい。これにより、ネットワークNを介して紫外線制御装置4と接続された紫外線照射装置3を制御し得る。
【0123】
必須の態様ではないが、ステップS2で実行される処理は、電流制御部を介して紫外線照射装置3を制御する処理を含むことが好ましい。これにより、紫外線照射装置3に供給される電流を介して紫外線照射装置3を制御し得る。
【0124】
[ステップS3:収納構造体が収納状態であるか否かを判別]
制御部41は、記憶部42と協働して照射制御部412を実行し、収納構造体2が収納状態であるか否かを判別する(ステップS3)。収納構造体2が収納状態であるならば、制御部41は、処理をステップS4に移す。収納構造体2が収納状態でないならば、制御部41は、処理をステップS7に移す。
【0125】
ステップS3で実行される処理により、収納構造体2が収納状態でない場合、すなわち収納構造体2が空状態である場合、収納構造体2の内部空間へ紫外線を照射するよう制御し得る。
【0126】
収納構造体2が収納状態であるか否かを判別する手段は、特に限定されない。収納構造体2が収納状態であるか否かを判別する手段は、センサを用いて収納構造体2の内部空間に収納された収納対象物を検知する処理を含むことが好ましい。これにより、センサが収納対象物を検知した場合に収納構造体2が収納状態であると判別し得る。
【0127】
収納構造体2が収納状態であるか否かを判別する手段は、入力部44を介して取得した情報に基づいて収納構造体2が収納状態であるか否かを判別する手段を含むことが好ましい。これにより、制御装置4を利用する利用者からの入力に応じて収納構造体2が収納状態であるか否かを判別できる。
【0128】
紫外線照射装置3が複数の内部空間紫外線照射装置38,39を含み、収納構造体2がこれらの内部空間紫外線照射装置の間を仕切る仕切り部27を含む場合、収納構造体2が収納状態であるか否かを判別する手段は、仕切られた内部空間のそれぞれについて、収納対象物が収納されているかを判別する処理を含むことが好ましい。これにより、収納対象物が収納された内部空間への紫外線の照射を制御し得る。
【0129】
必須の態様ではないが、制御部41は、収納構造体2が生体を収納した状態であるか否かを判別し、収納構造体2が生体を収納した状態である場合に、生体が位置する空間と異なる空間への紫外線の照射を制御する一連の処理(ステップS4、ステップS5)を実行することが好ましい。
【0130】
生体に紫外線を照射すると、生体表面のたんぱく質が変性するリスクがあることが知られている。たんぱく質の変性は、皮膚の加齢、DNAの損傷、及び/又は眼球の損傷等のダメージを招き得る。収納構造体2に収納された生体に紫外線を照射すると、生体がこれらのダメージを受けるリスクがあり得る。したがって、収納対象物である生体の品質低下を招くリスクがあり得る。
【0131】
ステップS4及びステップS5で実行される一連の処理により、収納構造体2の内部空間のうち生体が位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に紫外線を照射し得る。したがって、生体が位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に紫外線を照射して微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、収納対象物である生体に紫外線が照射されることによる品質低下のリスクを軽減し得る。
【0132】
[ステップS4:収納構造体が生体を収納した状態であるか否かを判別]
制御部41は、記憶部42と協働して照射制御部412を実行し、収納構造体2が生体を収納した状態であるか否かを判別する(ステップS4)。収納構造体2が生体を収納した状態であるならば、制御部41は、処理をステップS5に移す。収納構造体2が生体を収納した状態でないならば、制御部41は、処理をステップS6に移す。ステップS4で実行される処理により、収納構造体2が生体を収納した状態である場合、生体が位置する空間と異なる空間への紫外線の照射を制御し得る。
【0133】
収納構造体2が生体を収納した状態であるか否かを判別する手段は、特に限定されない。収納構造体2が生体を収納した状態であるか否かを判別する手段は、センサを用いて収納構造体2の内部空間に収納された生体を検知する処理を含むことが好ましい。これにより、センサが生体を検知した場合に収納構造体2が生体を収納した状態であると判別し得る。
【0134】
収納構造体2が生体を収納した状態であるか否かを判別する手段は、入力部44を介して取得した情報に基づいて収納構造体2が生体を収納した状態であるか否かを判別する手段を含むことが好ましい。これにより、制御装置4を利用する利用者からの入力に応じて収納構造体2が生体を収納した状態であるか否かを判別できる。
【0135】
紫外線照射装置3が複数の内部空間紫外線照射装置38,39を含み、収納構造体2がこれらの内部空間紫外線照射装置の間を仕切る仕切り部27を含む場合、収納構造体2が生体を収納した状態であるか否かを判別する手段は、仕切られた内部空間のそれぞれについて、生体が収納されているかを判別する処理を含むことが好ましい。これにより、生体が位置する空間と異なる空間に紫外線の照射を制御し得る。
【0136】
[ステップS5:生体が位置する空間と異なる空間への紫外線の照射を制御]
制御部41は、記憶部42と協働して照射制御部412を実行し、生体が位置する空間と異なる空間への紫外線の照射を制御する(ステップS5)。制御部41は、処理をステップS1に移し、ステップS1からステップS7の処理を繰り返す。
【0137】
生体に紫外線を照射すると、生体表面のたんぱく質が変性するリスクがあることが知られている。たんぱく質の変性は、皮膚の加齢、DNAの損傷、及び/又は眼球の損傷等のダメージを招き得る。収納構造体2に収納された生体に紫外線を照射すると、生体がこれらのダメージを受けるリスクがあり得る。したがって、収納対象物である生体の品質低下を招くリスクがあり得る。
【0138】
ステップS5で実行される処理により、収納構造体2の内部空間のうち生体が位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に紫外線を照射し得る。したがって、生体が位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に紫外線を照射して微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、収納対象物である生体に紫外線が照射されることによる品質低下のリスクを軽減し得る。
【0139】
紫外線照射装置3が複数の内部空間紫外線照射装置38,39を含み、収納構造体2がこれらの内部空間紫外線照射装置の間を仕切る仕切り部27を含む場合、ステップS5で実行される処理は、仕切り部27によって仕切られた内部空間のうち、生体が収納されていない内部空間に紫外線の照射を制御する処理を含むことが好ましい。これにより、収納構造体2の内部空間のうち生体が位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に紫外線を照射し得る。したがって、生体が位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に紫外線を照射して微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、収納対象物である生体に紫外線が照射されることによる品質低下のリスクを軽減し得る。
【0140】
ステップS5で実行される処理は、冷凍機本体222内部、加湿器23内部、除湿機34内部、空気清浄機25内部、空気取り込み36口付近、冷凍機吹き出し口223の下流、及び冷凍機吸入口221の上流から選択される1ヶ所以上の空間を含む特定の空間に紫外線を照射する処理を含むことが好ましい。冷凍機22、加湿器23、除湿器24、及び空気清浄機25は、収納構造体2内部の空気を移動させ得る。空気取り込み口26付近では、空気の取り込みに伴い空気が移動し得る。
【0141】
ステップS5で実行される処理が特定の空間に紫外線を照射する処理を含むことにより、生体及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎつつ、収納構造体2内部において空気が移動し得る冷凍機本体222内部、加湿器23内部、除湿機34内部、空気清浄機25内部、空気取り込み36口付近、冷凍機吹き出し口223の下流、及び冷凍機吸入口221の上流から選択される1ヶ所以上の空間に紫外線を照射し得る。したがって、移動する空気に含まれる微生物やウイルスの滅菌を可能にし、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。これにより、よりいっそう効果的に微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0142】
必須の態様ではないが、ステップS5で実行される処理は、通信部43及びネットワークNを介して紫外線照射装置3を制御する処理を含むことが好ましい。これにより、ネットワークNを介して紫外線照射装置3を制御し得る。
【0143】
必須の態様ではないが、ステップS5で実行される処理は、電流制御部を介して紫外線照射装置3を制御する処理を含むことが好ましい。これにより、紫外線照射装置3に供給される電流を介して紫外線照射装置3を制御し得る。
【0144】
[ステップS6:所定の空間に紫外線の照射を制御]
制御部41は、記憶部42と協働して照射制御部412を実行し、所定の空間に紫外線の照射を制御する(ステップS6)。制御部41は、処理をステップS1に移し、ステップS1からステップS7の処理を繰り返す。
【0145】
ステップS6で実行される処理により、収納構造体2が収納状態である場合、収納構造体2の内部空間のうち、所定の空間に紫外線を照射し得る。これにより、所定の空間に紫外線を照射して紫外線を用いた微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得る。
【0146】
収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得るため、収納対象物の表面が紫外線を照射されることによって加熱され得るリスクを軽減し得る。これにより、収納対象物が冷蔵及び/又は冷凍を要する場合であっても、収納対象物の品質が低下することを防ぎ得る。
【0147】
収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得るため、収納対象物近傍の空気中にオゾンを発生させ得るリスクを軽減し得る。これにより、空気中に拡散する前の高濃度のオゾンが収納対象物を酸化させ得るリスクを軽減し得る。したがって、収納対象物が食品等によって例示される酸化によって品質が低下し得る収納対象物である場合であっても、収納対象物の品質が低下することを防ぎ得る。
【0148】
収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得るため、たんぱく質を含む物品(例えば、食品等。)が収納対象物である場合、収納対象物のたんぱく質変性を防ぎ得る。したがって、たんぱく質を含む物品が収納対象物である場合であっても、収納対象物のたんぱく質変性を防ぎ得る。
【0149】
所定の空間は、特に限定されない。所定の空間は、冷凍機本体222内部、加湿器23内部、除湿機34内部、空気清浄機25内部、空気取り込み36口付近、ドア21付近、天井2C付近、冷凍機吹き出し口223の下流、及び冷凍機吸入口221の上流から選択される1ヶ所以上の空間を含むことが好ましい。
【0150】
冷凍機22、加湿器23、除湿器24、及び空気清浄機25は、収納構造体2内部の空気を移動させ得る。空気取り込み口26付近では、空気の取り込みに伴い空気が移動し得る。ドア21付近では、ドア21の開閉に伴い空気が移動し得る。天井2C付近では、対流により空気が移動し得る。収納構造体2内部において空気が移動する場合、移動する空気を介して微生物やウイルスが拡散し得る。移動する空気に含まれる微生物やウイルスを減少させることができれば、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。したがって、よりいっそう効果的に微生物やウイルスを減少させ得る。
【0151】
所定の空間が冷凍機本体222内部、加湿器23内部、除湿機34内部、空気清浄機25内部、空気取り込み36口付近、ドア21付近、天井2C付近、冷凍機吹き出し口223の下流、及び冷凍機吸入口221の上流から選択される1ヶ所以上の空間を含むことにより、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎつつ、収納構造体2内部において空気が移動し得る冷凍機本体222内部、加湿器23内部、除湿機34内部、空気清浄機25内部、空気取り込み36口付近、ドア21付近、天井2C付近、冷凍機吹き出し口223の下流、及び冷凍機吸入口221の上流から選択される1ヶ所以上の空間に紫外線を照射し得る。したがって、移動する空気に含まれる微生物やウイルスの滅菌を可能にし、移動する空気を介した微生物やウイルスの拡散を防ぎ得る。これにより、よりいっそう効果的に微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0152】
所定の空間は、段ボール等によって例示される紫外線を通過させない物体を用いて梱包された収納対象物付近の空間を含んでもよい。これにより、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎつつ、収納対象物を梱包する物体表面に付着した微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0153】
紫外線照射装置3が複数の内部空間紫外線照射装置38,39を含み、収納構造体2がこれらの内部空間紫外線照射装置の間を仕切る仕切り部27を含む場合、ステップS6で実行される処理は、仕切り部27によって仕切られた内部空間のうち、収納対象物が収納されていない内部空間に紫外線の照射を制御する処理を含むことが好ましい。これにより、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することをよりいっそう防ぎ得る。
【0154】
必須の態様ではないが、ステップS6で実行される処理は、通信部43及びネットワークNを介して紫外線照射装置3を制御する処理を含むことが好ましい。これにより、ネットワークNを介して紫外線照射装置3を制御し得る。
【0155】
必須の態様ではないが、ステップS6で実行される処理は、電流制御部を介して紫外線照射装置3を制御する処理を含むことが好ましい。これにより、紫外線照射装置3に供給される電流を介して紫外線照射装置3を制御し得る。
【0156】
[ステップS7:内部空間への紫外線の照射を制御]
制御部41は、記憶部42と協働して照射制御部412を実行し、内部空間への紫外線の照射を制御する(ステップS7)。制御部41は、処理をステップS1に移し、ステップS1からステップS7の処理を繰り返す。
【0157】
ステップS7で実行される処理により、収納構造体2が空状態である場合、収納構造体2の内部空間へ紫外線を照射し、収納構造体2の内部空間を満たす空気中を漂う微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。また、内部空間へ照射された紫外線は、内部空間を介して収納構造体2の内壁(例えば、天井2C、床2F、側壁等。)に照射され得る。これにより、収納構造体2の内壁に付着した微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0158】
必須の態様ではないが、ステップS7で実行される処理は、通信部43及びネットワークNを介して紫外線照射装置3を制御する処理を含むことが好ましい。これにより、ネットワークNを介して紫外線照射装置3を制御し得る。
【0159】
必須の態様ではないが、ステップS7で実行される処理は、電流制御部を介して紫外線照射装置3を制御する処理を含むことが好ましい。これにより、紫外線照射装置3に供給される電流を介して紫外線照射装置3を制御し得る。
【0160】
ステップS1~ステップS7において実行される紫外線制御処理によれば、収納構造体2が空状態である場合、収納構造体2の内部空間へ紫外線を照射し、収納構造体2の内部空間を満たす空気中を漂う微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。また、内部空間へ照射された紫外線は、内部空間を介して収納構造体2の内壁に照射され得る。これにより、収納構造体2の内壁に付着した微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0161】
ステップS1~ステップS7において実行される紫外線制御処理によれば、収納構造体2が収納状態である場合、収納構造体2の内部空間のうち所定の空間に紫外線を照射し得る。これにより、所定の空間に紫外線を照射して紫外線を用いた微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得る。
【0162】
収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得るため、収納対象物の表面が紫外線を照射されることによって加熱され得るリスクを軽減し得る。これにより、収納対象物が冷蔵及び/又は冷凍を要する場合であっても、収納対象物の品質が低下することを防ぎ得る。
【0163】
収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得るため、収納対象物近傍の空気中にオゾンを発生させ得るリスクを軽減し得る。これにより、空気中に拡散する前の高濃度のオゾンが収納対象物を酸化させ得るリスクを軽減し得る。したがって、収納対象物が食品等によって例示される酸化によって品質が低下し得る収納対象物である場合であっても、収納対象物の品質が低下することを防ぎ得る。
【0164】
収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得るため、たんぱく質を含む物品(例えば、食品等。)が収納対象物である場合、収納対象物のたんぱく質変性を防ぎ得る。したがって、たんぱく質を含む物品が収納対象物である場合であっても、収納対象物のたんぱく質変性を防ぎ得る。
【0165】
したがって、ステップS1~ステップS7において実行される紫外線制御処理によれば、物品を収納可能な収納構造体において、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、同時に収納対象物の品質低下を防ぎ得る紫外線制御装置4及び紫外線照射システム1を提供できる。
【0166】
<紫外線照射システム1の使用例>
図4は、収納構造体2が生体を収納した状態である場合の紫外線照射を示す概念図である。
図5は、収納構造体2が収納状態である場合の紫外線照射を示す概念図である。
図6は、収納構造体2が空状態である場合の紫外線照射を示す概念図である。以下、必要に応じて
図4~
図6を参照しつつ、本実施形態におけるシステム1の使用例を説明する。
【0167】
〔収納対象物の収納〕
紫外線照射システム1を利用する利用者は、ドア21を開く。利用者は、開かれたドア21を介して収納構造体2に収納対象物を収納する。利用者は、ドア21を閉じる。
【0168】
〔オゾン濃度の測定〕
紫外線制御装置4は、オゾン濃度取得部411を実行し、オゾン濃度測定装置5を介して収納構造体2の内部空間におけるオゾン濃度を取得する。オゾン濃度が所定の濃度を超えている場合、紫外線制御装置4は、紫外線の照射を停止する。
【0169】
〔収納状態であるか否かを判別〕
紫外線制御装置4は、照射制御部412を実行し、収納構造体2が収納状態であるか否かを判別する。収納構造体2が収納状態であると判別された場合、紫外線制御装置4は、さらに、収納構造体2が生体を収納した状態であるか否かを判別する。
【0170】
〔生体が位置する空間と異なる空間への紫外線の照射を制御〕
収納構造体2が生体を収納した状態である場合、紫外線制御装置4は、照射制御部412を実行し、生体が位置する空間と異なる空間への紫外線の照射を制御する。
【0171】
図4に示す例では、収納構造体2の内部空間のうち、第1内部空間2Aに生体L(活魚)を収納した水槽Tが収納されている。紫外線制御装置4は、ドア21付近に第1紫外線UV1を照射するよう制御する。また、紫外線制御装置4は、第2内部空間2Bに第2紫外線UV2を照射するよう制御する。また、紫外線制御装置4は、冷凍機22の内部に第3紫外線UV3を照射するよう制御する。
【0172】
これらの紫外線は、いずれも、生体Lが位置する空間と異なる空間に照射される。したがって、生体Lが位置する空間とは異なる空間の少なくとも一部に紫外線を照射して微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、収納対象物である生体Lに紫外線が照射されることによる品質低下のリスクを軽減し得る。
【0173】
〔所定の空間に紫外線の照射を制御〕
収納構造体2が収納状態である場合、紫外線制御装置4は、照射制御部412を実行し、所定の空間に紫外線の照射を制御する。
【0174】
図5に示す例では、収納構造体2の内部空間のうち、第1内部空間2Aに収納対象物S1が収納され、第2内部空間2Bに収納対象物S2が収納されている。紫外線制御装置4は、冷凍機22の内部に第3紫外線UV3を照射するよう制御する。紫外線制御装置4は、冷凍機吸入口221の上流に第4紫外線UV4を照射するよう制御する。紫外線制御装置4は、冷凍機吹き出し口223の下流に第5紫外線UV5を照射するよう制御する。紫外線制御装置4は、加湿器23、除湿器24、空気清浄機25、及び空気取り込み口26の内部にそれぞれ第6紫外線UV6、第7紫外線UV7、第8紫外線UV8、第9紫外線UV9を照射するよう制御する。紫外線制御装置4は、天井2C付近に第10紫外線UV10を照射するよう制御する。
【0175】
これらの紫外線は、いずれも、収納対象物S1及びS2が位置する空間と異なる空間に照射される。これにより、所定の空間に紫外線を照射して紫外線を用いた微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、収納対象物及びその近傍に紫外線を照射することを防ぎ得る。
【0176】
〔収納対象物の取り出し〕
紫外線照射システム1を利用する利用者は、ドア21を開く。利用者は、開かれたドア21を介して収納構造体2から収納対象物を取り出す。収納構造体2は、空状態になる。利用者は、ドア21を閉じる。制御装置4は、上述のオゾン濃度を測定する処理及び収納状態であるか否かを判別する処理を実行する。
【0177】
〔内部空間への紫外線の照射を制御〕
収納構造体2が空状態である場合、紫外線制御装置4は、照射制御部412を実行し、内部空間への紫外線の照射を制御する。
【0178】
図6に示す例では、収納構造体2の内部空間に、第1紫外線UV1~第11紫外線UV11が照射されている。これにより、収納構造体2の内部空間を満たす空気中を漂う微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。また、内部空間へ照射された紫外線は、内部空間を介して収納構造体2の内壁(例えば、天井2C、床2F、側壁等。)に照射され得る。これにより、収納構造体2の内壁に付着した微生物やウイルスの滅菌を可能にし得る。
【0179】
〔自動車・鉄道車両に搭載しての利用〕
紫外線照射システム1は、トレーラ等によって例示される自動車に搭載するコンテナに搭載して利用できる。また、紫外線照射システム1は、貨物車等によって例示される鉄道車両に搭載するコンテナに搭載して利用できる。自動車及び/又は鉄道車両に輸送用コンテナを搭載し、収納対象物を輸送することが行われている。このような輸送では、収納対象物が遠くまで輸送され得る。また、このような輸送では、船舶等によって例示される他の輸送手段との間で、輸送用コンテナごと収納対象物を積み替えて輸送することが行われ得る。このような事情により、自動車及び/又は鉄道車両に輸送用コンテナを搭載して収納対象物を輸送する場合、収納対象物が比較的長期間に渡って輸送される場合がある。
【0180】
紫外線照射システム1を自動車及び/又は鉄道車両に搭載するコンテナに搭載して利用することにより、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、同時に収納対象物の品質低下を防ぎ得る。そして、収納対象物を遠くまで輸送し得る。したがって、収納対象物が遠くまで輸送される場合等の比較的長期間に渡って輸送される場合であっても、微生物やウイルスを滅菌し、収納対象物の品質低下を防ぎ得る。
【0181】
〔貨物自動車での利用〕
紫外線照射システム1は、収納構造体2を用いて貨物自動車が有する貨物室を構成する態様で利用できる。貨物自動車を用いて収納対象物を輸送することが行われている。このような輸送を用いて食肉等の食品を輸送することが行われている。また、このような輸送を用いて活魚、家畜等の生体を輸送することが行われている。食品及び/又は生体の輸送においては、微生物やウイルスの滅菌が他の収納対象物よりいっそう求められる。
【0182】
収納構造体2を用いて貨物自動車が有する貨物室を構成する態様で紫外線照射システム1を利用することにより、紫外線を用いて微生物やウイルスの滅菌を可能にしつつ、同時に収納対象物の品質低下を防ぎ得る。したがって、収納対象物が食品及び/又は生体であっても、微生物やウイルスを滅菌し、収納対象物の品質低下を防ぎ得る。
【0183】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したものに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0184】
また、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0185】
1 紫外線照射システム
2 収納構造体
21 ドア
22 冷凍機
221 冷凍機吸入口
222 冷凍機本体
223 冷凍機吹き出し口
23 加湿器
24 除湿器
25 空気清浄機
26 空気取り込み口
27 仕切り部
2A 第1内部空間
2B 第2内部空間
2C 天井
2F 床
3 紫外線照射装置
31 ドア付近紫外線照射装置
32 冷凍機付近紫外線照射装置
321 冷凍機吸入口上流紫外線照射装置
322 冷凍機内部紫外線照射装置
323 冷凍機吹き出し口下流紫外線照射装置
33 加湿器内部紫外線照射装置
34 除湿器内部紫外線照射装置
35 空気清浄機内部紫外線照射装置
36 空気取り込み口付近紫外線照射装置
37 天井付近紫外線照射装置
38 第1内部空間紫外線照射装置
39 第2内部空間紫外線照射装置
4 紫外線制御装置
41 制御部
411 オゾン濃度取得部
412 照射制御部
42 記憶部
43 通信部
44 入力部
5 オゾン濃度測定装置
N ネットワーク
UV1 第1紫外線
UV2 第2紫外線
UV3 第3紫外線
UV4 第4紫外線
UV5 第5紫外線
UV6 第6紫外線
UV7 第7紫外線
UV8 第8紫外線
UV9 第9紫外線
UV10 第10紫外線
UV11 第11紫外線