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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106378
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】温度測定回路及び温度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/25 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
G01K7/25 A
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001307
(22)【出願日】2021-01-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】柴田 浩平
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056RA10
(57)【要約】
【課題】広範囲の感温素子定数に対応可能な温度測定回路を提供すること。
【解決手段】感温素子を用いて温度を測定する温度測定回路であって、前記感温素子に制御電圧を印加する電圧制御回路と、前記感温素子に流れる電流に基づいて前記制御電圧の値を切り替える第1切り替え回路と、前記感温素子に流れる電流を、所定の変換利得で、測定温度に応じた電圧値に変換する変換回路と、前記電圧値に基づいて前記変換利得の値を切り替える第2切り替え回路と、を備える、温度測定回路。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感温素子を用いて温度を測定する温度測定回路であって、
前記感温素子に制御電圧を印加する電圧制御回路と、
前記感温素子に流れる電流に基づいて前記制御電圧の値を切り替える第1切り替え回路と、
前記感温素子に流れる電流を、所定の変換利得で、測定温度に応じた電圧値に変換する変換回路と、
前記電圧値に基づいて前記変換利得の値を切り替える第2切り替え回路と、を備える、温度測定回路。
【請求項2】
前記電圧制御回路は、前記感温素子を駆動するトランジスタによって、前記感温素子に前記制御電圧を印加する、請求項1に記載の温度測定回路。
【請求項3】
前記電圧制御回路は、前記制御電圧を基準電圧と比較して前記トランジスタのゲートを制御することで、前記感温素子に前記制御電圧を印加する、請求項2に記載の温度測定回路。
【請求項4】
前記電圧制御回路は、前記制御電圧を前記基準電圧と比較する差動回路の出力に応じて前記ゲートを制御することで、前記感温素子に前記制御電圧を印加する、請求項3に記載の温度測定回路。
【請求項5】
前記第1切り替え回路は、前記基準電圧の値を前記トランジスタに流れる電流に基づいて切り替えることで、前記制御電圧の値を切り替える、請求項3又は4に記載の温度測定回路。
【請求項6】
前記第1切り替え回路は、前記トランジスタに流れる電流の値が第1電流閾値を超えると、前記制御電圧の値を第1電圧値に低下させる値に前記基準電圧の値を切り替え、前記トランジスタに流れる電流の値が前記第1電流閾値よりも低い第2電流閾値を下回ると、前記制御電圧の値を前記第1電圧値よりも高い第2電圧値に上昇させる値に前記基準電圧の値を切り替える、請求項5に記載の温度測定回路。
【請求項7】
前記第1切り替え回路は、前記トランジスタに流れる電流に応じて第1カレントミラー回路から出力される第1ミラー電流に応じて、前記基準電圧の値を切り替える、請求項5又は6に記載の温度測定回路。
【請求項8】
前記第1切り替え回路は、前記トランジスタに流れる電流に基づいて、前記制御電圧の値を切り替える、請求項2に記載の温度測定回路。
【請求項9】
前記第1切り替え回路は、前記トランジスタに流れる電流の値が第1電流閾値を超えると、前記制御電圧の値を第1電圧値に切り替え、前記トランジスタに流れる電流の値が前記第1電流閾値よりも低い第2電流閾値を下回ると、前記制御電圧の値を前記第1電圧値よりも高い第2電圧値に切り替える、請求項8に記載の温度測定回路。
【請求項10】
前記第1切り替え回路は、前記トランジスタに流れる電流に応じて第1カレントミラー回路から出力される第1ミラー電流に応じて、前記制御電圧の値を切り替える、請求項8又は9に記載の温度測定回路。
【請求項11】
前記変換回路は、前記トランジスタに流れる電流を第2カレントミラー回路により変換することで前記電圧値を生成する、請求項2から10のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項12】
前記変換回路は、前記トランジスタに流れる電流を前記第2カレントミラー回路により第2ミラー電流に変換し、前記第2ミラー電流を抵抗体に流すことで前記電圧値を生成する、請求項11に記載の温度測定回路。
【請求項13】
前記変換回路は、前記第2ミラー電流を前記抵抗体に流すことで生成されたアナログの前記電圧値をデジタル値に変換するAD変換器を有する、請求項12に記載の温度測定回路。
【請求項14】
前記第2切り替え回路は、前記電圧値が所定の範囲内で変換されるように、前記電圧値に基づいて前記変換利得の値を切り替える、請求項1から13のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項15】
前記第2切り替え回路は、前記電圧値が第1閾値を超えると、前記変換利得の値を第1変換利得値に切り替え、前記電圧値が前記第1閾値よりも低い第2閾値を下回ると、前記変換利得の値を前記第1変換利得値よりも高い第2変換利得値に切り替える、請求項1から14のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項16】
前記制御電圧の値に基づいて変化する第1情報を温度測定回路外部に出力する第1出力端子と、
前記変換利得の値に基づいて変化する第2情報を温度測定回路外部に出力する第2出力端子と、を備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項17】
感温素子を用いて温度を測定する温度測定回路であって、
前記感温素子を駆動するトランジスタの出力電圧を基準電圧と比較する差動回路の出力に応じて前記トランジスタのゲートを制御することで、前記感温素子に制御電圧を印加する電圧制御回路と、
前記トランジスタの出力電流を、測定温度に応じた電圧値に変換する変換回路と、備え、
前記トランジスタの出力電圧は、前記トランジスタの出力電流を前記感温素子の抵抗値により変換された電圧である、温度測定回路。
【請求項18】
前記トランジスタの出力電流に基づいて、前記基準電圧の値を切り替える、請求項17に記載の温度測定回路。
【請求項19】
前記トランジスタの出力端は、前記感温素子の一方の端部に接続される、請求項2から13,17,18のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項20】
前記トランジスタは、Pチャネル型のMOSFETである、請求項19に記載の温度測定回路。
【請求項21】
前記感温素子は、NTCサーミスタである、請求項1から20のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載の温度測定回路と、前記感温素子と、を備える、温度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温度測定回路及び温度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーミスタと分圧抵抗とが直列に接続され、サーミスタと分圧抵抗との接続点における出力電圧から温度を検出する温度検出装置が知られている。このような温度検出装置では、サーミスタが低抵抗値領域となるとき、サーミスタへの供給電圧を低下させることで、サーミスタに流れる電流の増加を抑制することが図られる場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-145823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、サーミスタが低抵抗値領域となるとき、サーミスタに直列に接続された分圧抵抗の抵抗値も低下させるので、サーミスタに流れる電流が増加する方向になる。サーミスタに流れる電流が増加すると、例えば、消費電力の増大を招いてしまう。また、特許文献1の温度検出装置は、サーミスタと分圧抵抗とで分圧された電圧の変化を読み取る方式なので、使用されるサーミスタ等の感温素子の定数に応じて分圧抵抗の定数を変更する必要がある。そのため、分圧抵抗の定数を変更しなければ、広範囲の感温素子定数(抵抗値の公称値)に対応することが難しい。
【0005】
本開示は、広範囲の感温素子定数に対応可能な温度測定回路及び温度測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
感温素子を用いて温度を測定する温度測定回路であって、
前記感温素子に制御電圧を印加する電圧制御回路と、
前記感温素子に流れる電流に基づいて前記制御電圧の値を切り替える第1切り替え回路と、
前記感温素子に流れる電流を、所定の変換利得で、測定温度に応じた電圧値に変換する変換回路と、
前記電圧値に基づいて前記変換利得の値を切り替える第2切り替え回路と、を備える、温度測定回路が提供される。
【0007】
また、本開示の他の一態様によれば、
感温素子を用いて温度を測定する温度測定回路であって、
前記感温素子を駆動するトランジスタの出力電圧を基準電圧と比較する差動回路の出力に応じて前記トランジスタのゲートを制御することで、前記感温素子に制御電圧を印加する電圧制御回路と、
前記トランジスタの出力電流を、測定温度に応じた電圧値に変換する変換回路と、備え、
前記トランジスタの出力電圧は、前記トランジスタの出力電流を前記感温素子の抵抗値により変換された電圧である、温度測定回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における温度測定回路を備える温度測定装置の構成例を示す図である。
図2】BIT1とBIT2とnとの対応関係の一例を示す図である。
図3】感温素子の抵抗値RNTCに対する電圧値VADCの変化特性の一例を示す図である。
図4】一比較形態における温度測定回路の構成例を示す図である。
図5】雰囲気温度25℃での抵抗値RNTCが10kΩの感温素子を用いて一比較形態における温度測定回路により測定された電圧値VADの変化特性の一例を示す図である。
図6】雰囲気温度25℃での抵抗値RNTCが100kΩの感温素子を用いて一比較形態における温度測定回路により測定された電圧値VADの変化特性の一例を示す図である。
図7】雰囲気温度25℃での抵抗値RNTCが10kΩの感温素子を用いて一実施形態における温度測定回路により測定された電圧値VADCの変化特性の一例を示す図である。
図8】雰囲気温度25℃での抵抗値RNTCが100kΩの感温素子を用いて一実施形態における温度測定回路により測定された電圧値VADCの変化特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、一実施形態における温度測定回路101を備える温度測定装置301の構成例を示す図である。図1に示す温度測定装置301は、感温素子60を用いて測定対象の温度を測定する。測定対象は、固体、液体又は気体でもよく、特に限定されない。測定対象の具体例として、二次電池などが挙げられる。温度測定装置301は、感温素子60と、温度測定回路101とを備える。
【0011】
感温素子60は、その抵抗値が測定対象の温度変化により変化する。感温素子60は、例えば、NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタである。NTCサーミスタは、その抵抗値が負の温度特性で変化する測温抵抗体である。
【0012】
温度測定回路101は、感温素子60を用いて測定対象の温度を測定する半導体集積回路である。この例では、温度測定回路101は、温度測定回路101の外部との接続に使用される端子11~16を有する。なお、温度測定回路101は、温度測定機能を有する単体の半導体集積回路でもよいし、温度測定機能とは異なる機能(例えば、二次電池の保護機能など)を有する半導体集積回路内の一部の回路でもよい。
【0013】
端子11は、電源端子であり、端子12は、接地端子である。端子11は、二次電池などの電源201の正極が電気的に接続され、端子12は、電源201の負極が電気的に接続される。温度測定回路101は、端子11と端子12との間に電源201により印加される電源電圧で動作し、例えば、レギュレータ等の定電圧源29により生成される電圧VBで動作する。定電圧源29は、温度測定回路101の内部にあっても外部にあってもよい。
【0014】
端子13は、感温素子60の一方の端部が接続される温度測定端子である。感温素子60は、一方の端部が端子13に接続され、他方の端部が端子12に接続される。端子14は、感温素子60に印加される制御電圧VTHの値に基づいて変化する第1情報BIT1を温度測定回路101の外部に出力する第1出力端子である。端子15は、後述の変換利得βの値に基づいて変化する第2情報BIT2を温度測定回路101の外部に出力する第2出力端子である。端子16は、感温素子60を用いて温度測定回路101により得られた測定値を温度測定回路101の外部に出力する出力端子である。
【0015】
温度測定回路101は、電圧制御回路20、第1切り替え回路30、変換回路40及び第2切り替え回路50を備える。
【0016】
電圧制御回路20は、感温素子60に制御電圧VTHを印加する回路であり、この例では、感温素子60を駆動するトランジスタ21によって、感温素子60に制御電圧VTHを印加する。電圧制御回路20は、例えば、制御電圧VTHを基準電圧Vrと比較する差動回路23の出力に応じてトランジスタ21のゲートを制御することで、感温素子60の両端に制御電圧VTHを印加する。電圧制御回路20は、端子13と端子12との間に制御電圧VTHを印加することで、端子13と端子12との間にその両端が接続された感温素子60に制御電圧VTHを印加する。この例では、トランジスタ21の出力電圧は、トランジスタ21の出力電流を感温素子60の抵抗値RNTCにより変換された電圧であり、制御電圧VTHに一致する。
【0017】
図1に示す例では、電圧制御回路20は、基準電圧回路22、差動回路23及びトランジスタ21を有する。
【0018】
基準電圧回路22は、電圧値が異なる複数の基準電圧Vrを生成する。基準電圧回路22は、この例では、電源電圧VBを複数の抵抗による分圧回路で分圧することで、電圧値Vrefと電圧値Vref×aとの2種類の基準電圧Vrを生成する。電圧値Vrefは、第1電圧値の一例であり、電圧値Vref×aは、第1電圧値よりも高い第2電圧値の一例である。
【0019】
aは、1よりも大きな正の係数であり、この例では、基準電圧回路22の分圧回路に含まれる複数の抵抗の抵抗値の比によって決められる。係数aの値を調整できるように、基準電圧回路22の分圧回路は、トリミング可能な抵抗を含んでもよい。
【0020】
差動回路23は、制御電圧VTHと基準電圧Vrとの偏差が零になるようにトランジスタ21のゲート電圧を制御する。差動回路23は、例えば、基準電圧Vrが入力される反転入力部と、制御電圧VTHが印加される非反転入力部と、トランジスタ21のゲートが接続される出力部とを有するオペアンプである。
【0021】
トランジスタ21は、感温素子60に電流ITHを流す半導体素子であり、この例では、感温素子60の一方の端部に接続される出力端を有するPチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。トランジスタ21は、例えば、差動回路23の出力部に接続されるゲートと、端子11に接続されるソースと、感温素子60の一方の端部及び差動回路23の非反転入力部に接続されるドレインとを有するPチャネル型のMOSFETである。この場合、Pチャネル型のMOSFETのドレインが、トランジスタ21の出力端に相当する。
【0022】
第1切り替え回路30は、感温素子60に流れる電流ITHに基づいて制御電圧VTHの値を切り替える。これにより、電圧制御回路20は、電流ITHの大きさに応じて、感温素子60に印加する制御電圧VTHの値を選択的に切り替えできる。図1に示す例では、第1切り替え回路30は、基準電圧Vrの値をトランジスタ21に流れる電流ITHに応じて切り替えることで、制御電圧VTHの値を切り替える。
【0023】
第1切り替え回路30は、トランジスタ21に流れる電流ITHの値が第1電流閾値I1を超えると、制御電圧VTHの値をVref×aからVrefに低下させる値に基準電圧Vrの値を切り替える。これにより、感温素子60の抵抗値RNTCの低下により電流ITHの値が上昇しても、感温素子60に印加される制御電圧VTHの値が低下するので、電流ITHの値の過度な上昇を抑制できる。図1に示す例では、第1切り替え回路30は、基準電圧Vrの値をVref×aからVrefにスイッチ31により切り替えることで、制御電圧VTHの値をVref×aからVrefに低下させる。
【0024】
一方、第1切り替え回路30は、トランジスタ21に流れる電流ITHの値が第1電流閾値I1よりも低い第2電流閾値I2を下回ると、制御電圧VTHの値をVrefからVref×aに上昇させる値に基準電圧Vrの値を切り替える。これにより、感温素子60の抵抗値RNTCの増加により電流ITHの値が減少しても、感温素子60に印加される制御電圧VTHの値が上昇するので、電流ITHの値の過度な減少を抑制できる。図1に示す例では、第1切り替え回路30は、基準電圧Vrの値をVrefからVref×aにスイッチ31により切り替えることで、制御電圧VTHの値をVrefからVref×aに上昇させる。
【0025】
図1に示す例では、第1切り替え回路30は、スイッチ31、トランジスタ32及び電流検出回路33を有する。
【0026】
この例では、第1切り替え回路30は、トランジスタ21に流れる電流ITHに応じて第1カレントミラー回路71から出力される第1ミラー電流Imに応じて、基準電圧Vrの値を切り替えることで、電圧制御回路20から出力される制御電圧VTHの値を切り替える。第1カレントミラー回路71は、トランジスタ21とトランジスタ32とによって形成された回路である。第1ミラー電流Imは、トランジスタ21に流れる電流ITHの大きさに応じてトランジスタ32から出力される。この例では、電流ITHと第1ミラー電流Imとの電流値の比(第1カレントミラー回路71のミラー比)は、1:1であるが、これに限られない。
【0027】
このように、第1切り替え回路30は、トランジスタ21に流れる電流ITHに応じて第1カレントミラー回路71から出力される第1ミラー電流Imに応じて、制御電圧VTHの値を切り替える。第2カレントミラー回路72の使用により、第1切り替え回路30は、感温素子60に流れる電流ITHを直接操作せずに、制御電圧VTHの値を切り替えできるので、制御電圧VTHが印加された感温素子60に流れる電流ITHの精度を確保できる。よって、感温素子60を用いて温度を測定する精度が向上する。
【0028】
図1に示す例では、第1切り替え回路30は、トランジスタ21を、電圧制御回路20と共用する。つまり、トランジスタ21は、感温素子60に電流ITHを流すための駆動用トランジスタとして使用されるとともに、電流ITHの大きさを検出するための検出用トランジスタとして使用される。駆動機能と検出機能とに共通のトランジスタ21が使用されるので、温度測定回路101の小型化が可能とである。
【0029】
トランジスタ32は、この例では、トランジスタ21のゲートに接続されるゲートと、端子11に接続されるソースと、電流検出回路33に接続されるドレインとを有するPチャネル型のMOSFETである。
【0030】
電流検出回路33は、第1ミラー電流Imを監視することによって、電流ITHの大きさを検出する。電流検出回路33は、トランジスタ21に流れる電流ITHの値が第1電流閾値I1よりも上昇することを第1ミラー電流Imにより検出すると、基準電圧Vrの値をVref×aからVrefにスイッチ31により切り替える。一方、電流検出回路33は、トランジスタ21に流れる電流ITHの値が第2電流閾値I2よりも低下することを第1ミラー電流Imにより検出すると、基準電圧Vrの値をVrefからVref×aにスイッチ31により切り替える。
【0031】
電流検出回路33は、シュミットトリガインバータ34と、第1定電流源35、第2定電流源36及びスイッチ37を有する。第1電流閾値I1は、第1定電流源35が流す定電流の値と第2定電流源36が流す定電流の値との合計値によって設定される。
【0032】
第1カレントミラー回路71のミラー比が1:1とする。電流ITH(第1ミラー電流Im)の電流値が上昇すると、シュミットトリガインバータ34の入力部の電圧値が上昇する。電流ITH(第1ミラー電流Im)の電流値が第1電流閾値I1を超えると、シュミットトリガインバータ34の出力部の論理レベルは、ハイレベルからローレベルに切り替わる。これにより、スイッチ37は、オン状態からオフ状態に切り替わるとともに、基準電圧Vrの値は、Vref×aからVrefにスイッチ31により切り替わる。その結果、電流検出回路33の電流閾値は、第1電流閾値I1から第2電流閾値I2に切り替わるとともに、制御電圧VTHの値は、Vref×aからVrefに切り替わる。電流検出回路33は、制御電圧VTHの値がVrefであることを表すローレベルの第1情報BIT1を、端子14から温度測定回路101の外部に出力する。
【0033】
一方、電流ITH(第1ミラー電流Im)の電流値が減少すると、シュミットトリガインバータ34の入力部の電圧値が低下する。電流ITH(第1ミラー電流Im)の電流値が第2電流閾値I2未満になると、シュミットトリガインバータ34の出力部の論理レベルは、ローレベルからハイレベルに切り替わる。これにより、スイッチ37は、オフ状態からオン状態に切り替わるとともに、基準電圧Vrの値は、VrefからVref×aにスイッチ31により切り替わる。その結果、電流検出回路33の電流閾値は、第2電流閾値I2から第1電流閾値I1に切り替わるとともに、制御電圧VTHの値は、VrefからVref×aに切り替わる。電流検出回路33は、制御電圧VTHの値がVref×aであることを表すハイレベルの第1情報BIT1を、端子14から温度測定回路101の外部に出力する。
【0034】
変換回路40は、感温素子60に流れる電流ITHを、所定の変換利得βで、測定温度に応じた電圧値VADCに変換し、この例では、トランジスタ21に流れる電流ITHを第2カレントミラー回路72により変換することで電圧値VADCを生成する。第2カレントミラー回路72は、トランジスタ21とトランジスタ41とトランジスタ42とによって形成された回路である。
【0035】
変換回路40は、トランジスタ21に流れる電流ITHを第2カレントミラー回路72により第2ミラー電流Irefに変換し、第2ミラー電流Irefを抵抗体43に流すことで生成されたアナログ電圧を電圧値VADCとして出力する。変換回路40は、測定値(電圧値VADC又は電圧値VADCに応じた値)を温度測定回路101の外部に端子16から出力する。これにより、温度測定回路101は、感温素子60を用いて得られた温度に応じた測定値を温度測定回路101の外部装置に提供できる。第2ミラー電流Irefは、抵抗体43に流す基準電流である。
【0036】
変換回路40は、第2ミラー電流Irefを抵抗体43に流すことで生成されたアナログの電圧値VADCをデジタルの測定値にAD(Analog to Digital)変換するAD変換器44を有してもよい。この場合、変換回路40は、デジタルの測定値を温度測定回路101の外部に端子16から出力する。デジタルの測定値は、電圧値VADCに応じた値の一例である。
【0037】
変換回路40は、AD変換器44に代えて、アナログの電圧値VADCを所定の判定値と比較するコンパレータを有してもよい。変換回路40は、端子14,15から出力される第1情報BIT1及び第2情報BIT2と合わせて、このコンパレータの出力を温度測定回路101の外部に端子16から出力することで、所定の判定値(温度)を超えているか否かを外部装置に提供できる。コンパレータの出力は、電圧値VADCに応じた値の一例である。
【0038】
外部装置は、温度測定回路101から提供された測定値を所定の制御に使用する。所定の制御の内容は特に限定されないが、例えば、外部装置は、二次電池の残容量の検出値を測定値に応じて補正してもよいし、二次電池の温度保護に測定値を使用してもよい。
【0039】
図1に示す例では、変換回路40は、トランジスタ41、トランジスタ42、抵抗体43及びAD変換器44を有する。
【0040】
変換回路40は、トランジスタ21を、電圧制御回路20と共用する。つまり、トランジスタ21は、感温素子60に電流ITHを流すための駆動用トランジスタとして使用されるとともに、電流ITHを電圧値VADCに変換するための変換用トランジスタとして使用される。駆動機能と変換機能とに共通のトランジスタ21が使用されるので、温度測定回路101の小型化が可能とである。
【0041】
トランジスタ41は、この例では、トランジスタ21のゲートに接続されるゲートと、端子11に接続されるソースと、抵抗体43の端部に接続されるドレインとを有するPチャネル型のMOSFETである。トランジスタ42は、この例では、トランジスタ21のゲートに接続されるゲートと、端子11に接続されるソースと、抵抗体43の端部にスイッチ54を介して接続されるドレインとを有するPチャネル型のMOSFETである。
【0042】
第2切り替え回路50は、電圧値VADCに基づいて変換回路40の変換利得βの値を切り替える。これにより、変換回路40は、電圧値VADCの大きさに応じて、変換利得βを選択的に切り替えできる。第2切り替え回路50は、電圧値VADCが所定の範囲内で変換されるように、電圧値VADCに基づいて変換利得βの値を切り替える。これにより、電圧値VADCを所定の範囲内で変化させることができる。
【0043】
第2切り替え回路50は、電圧値VADCが第1閾値Vd1を超えると、変換利得βの値を第1変換利得値β1(この例では、1)に切り替える。一方、第2切り替え回路50は、電圧値VADCが第1閾値Vd1よりも低い第2閾値Vd2を下回ると、変換利得βの値を第2変換利得値β2(この例では、b)に切り替える。bは、1よりも大きい正の係数である。この例では、変換利得β及び係数bは、第2カレントミラー回路72のミラー比によって決められる。
【0044】
この例では、第2切り替え回路50は、トランジスタ21に流れる電流ITHを第2カレントミラー回路72により変換することで生成された電圧値VADCに基づいて、変換利得βの値を切り替える。第2カレントミラー回路72の使用により、第2切り替え回路50は、感温素子60に流れる電流ITHを直接操作せずに、変換利得βの値を切り替えできるので、制御電圧VTHに印加された感温素子60に流れる電流ITHの精度を確保できる。よって、感温素子60を用いて温度を測定する精度が向上する。
【0045】
図1に示す例では、第2切り替え回路50は、閾値生成回路51、スイッチ52、比較器53及びスイッチ54を有する。
【0046】
閾値生成回路51は、電圧値が異なる複数の閾値Vdを生成する。閾値生成回路51は、この例では、電源電圧VBを複数の抵抗による分圧回路で分圧することで、第1閾値Vd1と第2閾値Vd2との2種類の閾値Vdを生成する。第2閾値Vd2は、第1閾値Vd1よりも電圧値が低い。
【0047】
比較器53は、閾値Vdを電圧値VADCと比較し、その比較結果に応じて、スイッチ54のオン又はオフにするとともに、スイッチ52の切り替えを行う。
【0048】
比較器53は、第1閾値Vd1を超える電圧値VADCを検出すると、変換利得βの値をβ2(この例では、b)からβ1(この例では、1)にスイッチ54のオフにより切り替えるとともに、閾値VdをVd1からVd2にスイッチ52により切り替える。比較器53は、変換利得βの値がβ1であることを表すローレベルの第2情報BIT2を、端子15から温度測定回路101の外部に出力する。
【0049】
一方、比較器53は、第2閾値Vd2未満の電圧値VADCを検出すると、変換利得βの値をβ1(この例では、1)からβ2(この例では、b)にスイッチ54のオンにより切り替えるとともに、閾値VdをVd2からVd1にスイッチ52により切り替える。比較器53は、変換利得βの値がβ2であることを表すハイレベルの第2情報BIT2を、端子15から温度測定回路101の外部に出力する。
【0050】
ここで、感温素子60の抵抗値をRNTC、感温素子60の両端に印加される制御電圧VTHをVref×α、感温素子60に流れる電流をITH、抵抗体43に流れる第2ミラー電流Irefをβ×ITH、抵抗体43の抵抗値をRrefとする。このとき、
RNTC=VTH/ITH
=(Vref×α)/ITH
=(Vref×α)×(β/Iref)
=(Vref×α)×(β×Rref/VADC)
=Rref×Vref×n/VADC
という演算式が成立する。ただし、係数nは、α×βである。また、この例では、αは、1又はaであり、βは、1又はbである。
【0051】
図2は、第1情報BIT1と第2情報BIT2と係数nとの対応関係の一例を示す図である。Lは、ローレベル、Hは、ハイレベルを表す。外部装置は、温度測定回路101から取得した第1情報BIT1と第2情報BIT2の各々の論理レベルを、図2に示す対応関係と照合することで、上記の演算式の係数nを決定する。温度測定回路101は、係数nを表す情報を外部装置に提供してもよい。
【0052】
外部装置は、温度測定回路101から測定値(電圧値VADC又は電圧値VADCに応じた値)を取得し、当該測定値と係数nを上記の演算式に代入することによって、感温素子60の抵抗値RNTCを算出する。外部装置は、抵抗値RNTCの算出値から、測定対象の温度を算出する。例えば、外部装置は、抵抗値RNTCの算出値を以下の関係式に代入することによって、測定対象の温度(周囲温度T)を算出する。
【0053】
R=R×exp(B×(1/T-1/T)) ・・・式1a
1/T=1/B×ln(R/R)+1/T ・・・式1b
T:周囲温度(K)
:基準温度(K)
R:周囲温度Tでの感温素子60の抵抗値(=RNTC)
:基準温度Tでの感温素子60の抵抗値
B:定数
なお、式1bは、式1aを変形した式であり、T,R,Bは、感温素子60のパラメータである。
【0054】
図3は、感温素子60の抵抗値RNTCに対する電圧値VADCの変化特性の一例を示す図である。上述の温度測定回路101によれば、電圧値VADCは、第1情報BIT1と第2情報BIT2の各々の論理レベルごとに、抵抗値RNTCの変化に対して、図3に示すような変化特性を有する。温度測定回路101は、感温素子60に流れる電流の変化を読み取る方式なので、感温素子60の定数に依存せずに、温度測定回路101の電圧制御回路20等の回路定数を設定できる。よって、電圧制御回路20等の回路定数を変更せずに、広範囲の感温素子定数に対応できる。つまり、温度測定回路101は、広範囲の抵抗値RNTCを高精度に測定できる。その結果、例えば、温度測定回路101は、抵抗値の温度特性が異なる複数の種類の感温素子60に対応できる。また、外部装置は、測定値(電圧値VADC又は電圧値VADCに応じた値)、第1情報BIT1及び第2情報BITに基づいて、温度を高精度に算出できる。また、温度測定回路101は、特許文献1のような回路構成(感温素子60が低抵抗値領域となるとき、感温素子60に直列に接続される抵抗体の抵抗値を低下させる構成)ではないので、感温素子60に流れる電流の増加を抑制できる。
【0055】
図4は、一比較形態における温度測定回路の構成例を示す図である。図4に示す温度測定回路100は、感温素子60を用いて測定対象の温度を測定する。温度測定回路100は、感温素子60に直列に接続される抵抗体124を有し、抵抗体124と感温素子60との接続点から電圧値VADを出力する点で、本開示に係る第1実施形態と異なる。
【0056】
端子111は、電源端子であり、端子112は、接地端子である。端子111は、二次電池などの電源201の正極が電気的に接続され、端子112は、電源201の負極が電気的に接続される。温度測定回路101は、端子111と端子112との間に電源201により印加される電源電圧で動作し、例えば、レギュレータ等の定電圧源129により生成される電圧VBで動作する。端子113は、感温素子60の一方の端部が接続される温度測定端子である。感温素子60は、一方の端部が端子113に接続され、他方の端部が端子112に接続される。
【0057】
温度測定回路100は、基準電圧回路122、差動回路123、トランジスタ121、抵抗体124及びAD変換器144を備える。
【0058】
基準電圧回路122は、一の基準電圧Vr(この例では、3.0ボルト)を生成する。差動回路123は、"感温素子60と抵抗体124との直列回路の両端に印加される定電圧"と"基準電圧回路122により生成された基準電圧Vr"との偏差が零になるようにトランジスタ121のゲート電圧を制御する。
【0059】
図5は、雰囲気温度25℃での抵抗値RNTCが10kΩの感温素子を用いて一比較形態における温度測定回路100により測定された電圧値VADの変化特性の一例を示す図である。図6は、雰囲気温度25℃での抵抗値RNTCが100kΩの感温素子を用いて一比較形態における温度測定回路100により測定された電圧値VADの変化特性の一例を示す図である。
【0060】
図5,6において、温度(抵抗値RNTC)の変化に対する電圧値VADの変化が小さいことは、温度の測定感度(測定精度)が良くないことを表す。図5の場合、25℃付近の測定精度は比較的良いものの、高温領域及び低温領域の測定精度は低下している。図6の場合、低温領域では、電圧値VADの変化がほとんどなく、測定精度は低下している。一比較形態における温度測定回路100は、感温素子60と抵抗体124とで分圧された電圧の変化を読み取る方式なので、感温素子60の定数と抵抗体124の定数とが1対1で対応する必要があり、感温素子60の定数を任意に変えることはできない。したがって、一比較形態における温度測定回路100では、感温素子60の特性や温度範囲に応じて、比較用の抵抗体124の抵抗値を変更する必要がある。
【0061】
これに対し、図7は、雰囲気温度25℃での抵抗値RNTCが10kΩの感温素子を用いて一実施形態における温度測定回路101により測定された電圧値VADCの変化特性の一例を示す図である。図8は、雰囲気温度25℃での抵抗値RNTCが100kΩの感温素子を用いて一実施形態における温度測定回路101により測定された電圧値VADCの変化特性の一例を示す図である。
【0062】
図7,8に示すように、温度測定回路101によれば、温度(抵抗値RNTC)の変化に対する電圧値VADCの変化が大きいので、温度の測定感度(測定精度)が向上している。一実施形態における温度測定回路101は、感温素子60に流れる電流の変化を読み取る方式なので、感温素子60の定数に依存せずに、温度測定回路101の電圧制御回路20等の回路定数を設定できる。よって、電圧制御回路20等の回路定数を変更せずに、広範囲の感温素子定数に対応できる。また、一実施形態における温度測定回路101では、抵抗値RNTCの変化を広範囲に測定できるので、抵抗値の温度特性が異なる複数の種類の感温素子にも対応できる。
【0063】
以上、実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が可能である。
【0064】
例えば、温度測定回路は、集積回路に限られず、複数のディスクリート部品により形成されたディスクリート回路でもよい。また、温度の測定対象は、固体、液体又は気体でもよい。感温素子は、NTCサーミスタ以外の素子でもよい。
【符号の説明】
【0065】
11,12,13,14,15,16 端子
20 電圧制御回路
21 トランジスタ
22 基準電圧回路
23 差動回路
29 定電圧源
30 第1切り替え回路
31 スイッチ
32 トランジスタ
33 電流検出回路
34 シュミットトリガインバータ
35 第1定電流源
36 第2定電流源
37 スイッチ
40 変換回路
41,42 トランジスタ
43 抵抗体
44 AD変換器
50 第2切り替え回路
51 閾値生成回路
52 スイッチ
53 比較器
54 スイッチ
60 感温素子
71 第1カレントミラー回路
72 第2カレントミラー回路
101 温度測定回路
201 電源
301 温度測定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感温素子を用いて温度を測定する温度測定回路であって、
前記感温素子に制御電圧を印加する電圧制御回路と、
前記感温素子に流れる電流に基づいて前記制御電圧の値を切り替える第1切り替え回路と、を備え、
前記電圧制御回路は、前記感温素子を駆動するトランジスタを有し、前記制御電圧を基準電圧と比較して前記トランジスタのゲートを制御することで、前記感温素子に前記制御電圧を印加し、
前記第1切り替え回路は、前記基準電圧の値を前記トランジスタに流れる電流に基づいて切り替えることで、前記制御電圧の値を切り替える、温度測定回路。
【請求項2】
前記電圧制御回路は、前記制御電圧を前記基準電圧と比較する差動回路の出力に応じて前記ゲートを制御することで、前記感温素子に前記制御電圧を印加する、請求項に記載の温度測定回路。
【請求項3】
前記第1切り替え回路は、前記トランジスタに流れる電流の値が第1電流閾値を超えると、前記制御電圧の値を第1電圧値に低下させる値に前記基準電圧の値を切り替え、前記トランジスタに流れる電流の値が前記第1電流閾値よりも低い第2電流閾値を下回ると、前記制御電圧の値を前記第1電圧値よりも高い第2電圧値に上昇させる値に前記基準電圧の値を切り替える、請求項1又は2に記載の温度測定回路。
【請求項4】
前記第1切り替え回路は、前記トランジスタに流れる電流に応じて第1カレントミラー回路から出力される第1ミラー電流に応じて、前記基準電圧の値を切り替える、請求項1から3のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項5】
前記第1切り替え回路は、前記トランジスタに流れる電流の値が第1電流閾値を超えると、前記制御電圧の値を第1電圧値に切り替え、前記トランジスタに流れる電流の値が前記第1電流閾値よりも低い第2電流閾値を下回ると、前記制御電圧の値を前記第1電圧値よりも高い第2電圧値に切り替える、請求項1又は2に記載の温度測定回路。
【請求項6】
前記第1切り替え回路は、前記トランジスタに流れる電流に応じて第1カレントミラー回路から出力される第1ミラー電流に応じて、前記制御電圧の値を切り替える、請求項に記載の温度測定回路。
【請求項7】
前記制御電圧の値に基づいて変化する第1情報を温度測定回路外部に出力する第1出力端子を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項8】
前記感温素子に流れる電流を、所定の変換利得で、測定温度に応じた電圧値に変換する変換回路を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項9】
前記変換回路は、前記トランジスタに流れる電流を第2カレントミラー回路により変換することで前記電圧値を生成する、請求項に記載の温度測定回路。
【請求項10】
前記変換回路は、前記トランジスタに流れる電流を前記第2カレントミラー回路により第2ミラー電流に変換し、前記第2ミラー電流を抵抗体に流すことで前記電圧値を生成する、請求項に記載の温度測定回路。
【請求項11】
前記変換回路は、前記第2ミラー電流を前記抵抗体に流すことで生成されたアナログの前記電圧値をデジタル値に変換するAD変換器を有する、請求項10に記載の温度測定回路。
【請求項12】
前記電圧値に基づいて前記変換利得の値を切り替える第2切り替え回路を備える、請求項8から11のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項13】
前記第2切り替え回路は、前記電圧値が所定の範囲内で変換されるように、前記電圧値に基づいて前記変換利得の値を切り替える、請求項12に記載の温度測定回路。
【請求項14】
前記第2切り替え回路は、前記電圧値が第1閾値を超えると、前記変換利得の値を第1変換利得値に切り替え、前記電圧値が前記第1閾値よりも低い第2閾値を下回ると、前記変換利得の値を前記第1変換利得値よりも高い第2変換利得値に切り替える、請求項12又は13に記載の温度測定回路。
【請求項15】
前記変換利得の値に基づいて変化する第2情報を温度測定回路外部に出力する第2出力端子を備える、請求項8から14のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項16】
感温素子を用いて温度を測定する温度測定回路であって、
前記感温素子を駆動するトランジスタの出力電圧を基準電圧と比較する差動回路の出力に応じて前記トランジスタのゲートを制御することで、前記感温素子に制御電圧を印加する電圧制御回路と、を備え、
前記トランジスタの出力電流に基づいて、前記基準電圧の値を切り替える、温度測定回路。
【請求項17】
前記トランジスタの出力電流を、測定温度に応じた電圧値に変換する変換回路を備える、請求項16に記載の温度測定回路。
【請求項18】
前記トランジスタの出力電圧は、前記トランジスタの出力電流を前記感温素子の抵抗値により変換された電圧である、請求項16又は17に記載の温度測定回路。
【請求項19】
前記トランジスタの出力端は、前記感温素子の一方の端部に接続される、請求項1から18のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項20】
前記トランジスタは、Pチャネル型のMOSFETである、請求項19に記載の温度測定回路。
【請求項21】
前記感温素子は、NTCサーミスタである、請求項1から20のいずれか一項に記載の温度測定回路。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載の温度測定回路と、前記感温素子と、を備える、温度測定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の一態様によれば、
感温素子を用いて温度を測定する温度測定回路であって、
前記感温素子に制御電圧を印加する電圧制御回路と、
前記感温素子に流れる電流に基づいて前記制御電圧の値を切り替える第1切り替え回路と、を備え、
前記電圧制御回路は、前記感温素子を駆動するトランジスタを有し、前記制御電圧を基準電圧と比較して前記トランジスタのゲートを制御することで、前記感温素子に前記制御電圧を印加し、
前記第1切り替え回路は、前記基準電圧の値を前記トランジスタに流れる電流に基づいて切り替えることで、前記制御電圧の値を切り替える、温度測定回路が提供される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また、本開示の他の一態様によれば、
感温素子を用いて温度を測定する温度測定回路であって、
前記感温素子を駆動するトランジスタの出力電圧を基準電圧と比較する差動回路の出力に応じて前記トランジスタのゲートを制御することで、前記感温素子に制御電圧を印加する電圧制御回路と、を備え、
前記トランジスタの出力電流に基づいて、前記基準電圧の値を切り替える、温度測定回路が提供される。