(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106405
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】リクライニング角検出装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/22 20060101AFI20220712BHJP
A47C 1/024 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
B60N2/22
A47C1/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001371
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】寺島 光紀
(72)【発明者】
【氏名】家里 直哉
(72)【発明者】
【氏名】奥村 洋輝
【テーマコード(参考)】
3B087
3B099
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BD03
3B087DE08
3B099AA05
3B099BA04
3B099CB02
3B099CB06
(57)【要約】
【課題】リクライニングシートの大型化を招くことなく、角度センサを用いてリクライニング角を正確に検出できるリクライニング角検出装置を構成する。
【解決手段】リクライニング角検出装置Sが、角度センサ20と、角度センサ20のセンサ軸20aに連結された第1アーム21と、第1アーム21の揺動端部21bとシートバックとに連結された第2アーム22とを備えている。揺動軸芯Xとセンサ軸芯T0との軸芯間距離L0、センサ軸芯T0と第1アーム21の第1枢支軸芯T1との間の第1アーム長L1、第1枢支軸芯T1と第2アーム22の第2枢支軸芯T2との間の第2アーム長L2、揺動軸芯Xと、第2枢支軸芯T2との間の揺動半径rの夫々の関係を、(L0+r):(L1+L2)=1:1.1~1:1.5であり、且つ、L1>L2であり、L1:L2=1:0.2~1:0.5に設定した。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションに対し揺動軸芯を中心に揺動自在に連結したシートバックの揺動角を検出するリクライニング角検出装置であって、
前記リクライニング角検出装置は、
前記シートクッションの側方に配置される角度センサと、
前記角度センサのセンサ軸に対し基端部が連結され、前記センサ軸を中心に揺動する第1アームと、
夫々の端部が、前記第1アームの揺動端部と前記シートバックの側部とに揺動自在に連結された第2アームとを備え、
前記揺動軸芯と前記センサ軸のセンサ軸芯との距離を、軸芯間距離L0とし、
前記センサ軸芯と、前記第1アームのうち前記第2アームが連結する第1枢支軸芯との距離を、第1アーム長L1とし、
前記第1枢支軸芯と、前記第2アームのうち前記シートバックの側部に連結する第2枢支軸芯との距離を、第2アーム長L2とし、
前記揺動軸芯と、第2枢支軸芯との距離を、揺動半径rとした場合に、
前記軸芯間距離L0と、前記第1アーム長L1と、前記第2アーム長L2と、前記揺動半径rとの関係が、
(L0+r):(L1+L2)=1:1.1~1:1.5であり、且つ、
L1>L2であり、
L1:L2 =1:0.2~1:0.5であるリクライニング角検出装置。
【請求項2】
前記シートクッションと前記シートバックとを有するリクライニングシートが車両に備えられ、
前記角度センサと、前記第1アームと、前記第2アームとが、前記リクライニングシートのうち、前記車両の幅方向での中央側に配置されている請求項1に記載のリクライニング角検出装置。
【請求項3】
前記シートクッションに連結する支持側フレームと、前記シートバックに連結する揺動側フレームと、前記揺動軸芯を中心にこれらを揺動自在に連結する枢支軸とを有するフレームユニットが構成され、
前記角度センサが前記支持側フレームに支持され、前記第2アームが連結する前記第2枢支軸芯が前記揺動側フレームに備えられている請求項1又は2に記載のリクライニング角検出装置。
【請求項4】
前記角度センサが前記支持側フレームの外側面に支持されている請求項3に記載のリクライニング角検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リクライニング角検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートクッションとシートバックとの揺動角(リクライニング角)の検出が可能なリクライニング角検出装置として、特許文献1,2に記載されるようにリミットスイッチを用いたものや、特許文献3に記載される角度センサを用いたものが提案されている。
【0003】
特許文献1は、モータの駆動により減速機構がシートクッションに対するシートバックの角度を設定するように構成されると共に、シートクッションに対して、シートバックを前倒れ姿勢に操作したことをリミットスイッチが検出するように構成されている。
【0004】
特許文献2は、シートクッションに対するシートバックの姿勢を変更可能なリクライニングシートにおいて、操作部材の位置をリミットスイッチで検出することにより、シートバックが前倒れ姿勢にあることを検出する構成が記載されている。
【0005】
特許文献3は、シートクッションに対するシートバックの傾斜角度を検出するため、ポテンショメータやロータリエンコーダ等の角度センサを備えた構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-229055号公報
【特許文献2】特開2019-137132号公報
【特許文献3】特開2017-190046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に記載されるようにリミットスイッチを用いるものでは、検出可能なリクライニング角が固定されるため、特許文献3に記載されるようにポテンショメータやロータリエンコーダ等の角度センサの利用が考えられている。
【0008】
角度センサは、回動型の軸体(以下、センサ軸と称する)の回転角を電気的に検出するものであることから、シートクッションとシートバックとを揺動自在に連結する枢支軸と同軸芯上にセンサ軸を配置することが理想である。
【0009】
しかしながら、シートクッションとシートバックとを連結する枢支軸の近傍には、特許文献1,2にも示されるように、ロック機構や、スプリング、あるいは、リクライニング角を設定するアクチュエータ等が配置されるため、枢支軸と同軸芯上に角度センサを配置することはスペースの点から困難である。
【0010】
また、角度センサのセンサ軸を、枢支軸と同軸芯上に配置することを想像した場合に、揺動軸芯に沿う方向での外方に角度センサが突出する位置関係となり、リクライニングシートの大型化を招くことも懸念され改善の余地がある。
【0011】
このような不都合を解消するため、枢支軸から離間した位置に角度センサを配置し、例えば、リンク機構を介してリクライニング角を角度センサのセンサ軸に伝える構成も考えられるものの、正確なリクライニング角を検出できないことも想像できる。
【0012】
このような理由から、リクライニングシートの大型化を招くことなく、角度センサを用いてリクライニング角を正確に検出できるリクライニング角検出装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るリクライニング角検出装置の特徴構成は、シートクッションに対し揺動軸芯を中心に揺動自在に連結したシートバックの揺動角を検出するリクライニング角検出装置であって、前記リクライニング角検出装置は、前記シートクッションの側方に配置される角度センサと、前記角度センサのセンサ軸に対し基端部が連結され、前記センサ軸を中心に揺動する第1アームと、夫々の端部が、前記第1アームの揺動端部と前記シートバックの側部とに揺動自在に連結された第2アームとを備え、前記揺動軸芯と前記センサ軸のセンサ軸芯との距離を、軸芯間距離L0とし、前記センサ軸芯と、前記第1アームのうち前記第2アームが連結する第1枢支軸芯との距離を、第1アーム長L1とし、前記第1枢支軸芯と、前記第2アームのうち前記シートバックの側部に連結する第2枢支軸芯との距離を、第2アーム長L2とし、前記揺動軸芯と、第2枢支軸芯との距離を、揺動半径rとした場合に、前記軸芯間距離L0と、前記第1アーム長L1と、前記第2アーム長L2と、前記揺動半径rとの関係が、(L0+r):(L1+L2)=1:1.1~1:1.5であり、且つ、L1>L2であり、L1:L2 =1:0.2~1:0.5である点にある。
【0014】
この特徴構成によると、揺動軸芯の延長上にセンサ軸を配置するものと比較して、シートの幅方向で突出する位置に角度センサを配置しなくて済む。また、例えば、
図4に示す軸芯間距離L0と、第1アーム長L1と、第2アーム長L2と、揺動半径rとの関係を前述のように設定することで、
図6に示すようにリクライニング角θと、センサ検出角θ′との関係が線形性を有する直線となる検出特性ラインFに近似させることが可能となる。
従って、リクライニングシートの大型化を招くことなく、角度センサを用いてリクライニング角を正確に検出できるリクライニング角検出装置が得られた。
【0015】
上記構成に加えた構成として、前記シートクッションと前記シートバックとを有するリクライニングシートが車両に備えられ、前記角度センサと、前記第1アームと、前記第2アームとが、前記リクライニングシートのうち、前記車両の幅方向での中央側に配置されても良い。
【0016】
これによると、例えば、乗用車の運転座席と、助手席とでは、車体の中央側で、一般にコンソールボックスが配置される領域に隣接して角度センサ等が配置されるため、車体の中央側の空間を有効に活用できる。
【0017】
上記構成に加えた構成として、前記シートクッションに連結する支持側フレームと、前記シートバックに連結する揺動側フレームと、前記揺動軸芯を中心にこれらを揺動自在に連結する枢支軸とを有するフレームユニットが構成され、前記角度センサが前記支持側フレームに支持され、前記第2アームが連結する前記第2枢支軸芯が前記揺動側フレームに備えられても良い。
【0018】
これによると、支持側フレームと揺動側フレームとに、例えば、高強度の材料が用いられることにより、支持側フレームに角度センサを支持し、揺動側フレームに形成された第2枢支軸芯に第2アームの端部を枢支することで、例えば、振動により角度センサの位置と、第2枢支軸芯の位置と変動する等の不都合を招くことがなく、リクライニング角を高い精度で検出できる。
【0019】
上記構成に加えた構成として、前記角度センサが前記支持側フレームの外側面に支持されても良い。
【0020】
これによると、角度センサを支持側フレームの外面に支持することが可能となり取付けやメンテナンスを容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】乗用車のリクライニングシートの配置を示す平面図である。
【
図3】リクライニングシートに取り付けられたリクライニング角検出装置の各部の位置関係を示す側面図である。
【
図4】第1アームと第2アームとの関係を示す側面図である。
【
図5】第1アームと第2アームとの関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1、
図2に示すように、シートクッション1と、このシートクッション1に対し揺動軸芯Xを中心に揺動自在に連結したシートバック2とを備えてリクライニングシートRSが構成されている。このリクライニングシートRSには、横向き姿勢の揺動軸芯Xを中心にしたシートクッション1とシートバック2との揺動角(以下、リクライニング角と称する)を検出するリクライニング角検出装置Sを備えている。
【0023】
図1には、車両の具体例として、右ハンドル仕様の乗用車の運転座席に備えられたリクライニングシートRSと、助手席に備えられたリクライニングシートRSとの平面視を示している。同図に示すように、左右のリクライニングシートRSの間(車体中央部)にコンソールボックス3が配置され、何れのリクライニングシートRSも、リクライニング角検出装置Sが車体中央側に配置されている。
【0024】
左右のリクライニングシートRSの外側にドア4が配置され、右側のリクライニングシートRS(運転座席)の前側にステアリングホイール5が配置されている。尚、この車両では、ステアリングホイール5のパッド部にエアバッグ(図示せず)を収容し、左側のリクライニングシートRS(助手席)の前方のパネル部6にエアバッグ(図示せず)を収容している。
【0025】
〔リクライニングシート〕
図2、
図3に示すように、リクライニングシートRSは、左右一対の支持側フレーム11でシートクッション1を支持し、左右一対の揺動側フレーム12でシートバック2を支持している。また、左右の支持側フレーム11の夫々は、ブラケット部11aを有している。夫々のブラケット部11aは、支持側フレーム11の後端に位置すると共に、揺動軸芯Xと同軸芯の枢支軸13により左右の揺動側フレーム12を揺動自在に支持している。本実施形態において、揺動側フレーム12と、枢支軸13は、シートバック2と一体となって揺動する。
【0026】
左右一対の支持側フレーム11と、左右一対の揺動側フレーム12と、枢支軸13とでフレームユニットが構成されている。尚、
図2、
図3は側面視であるため、フレームユニットを構成する一対の支持側フレーム11と、一対の揺動側フレーム12のうち一方のみを示している。左右一対のブラケット部11aを含む支持側フレーム11と、左右一対の揺動側フレーム12とには、鋼材が用いられている。
【0027】
図面には示していないが、リクライニングシートRSは、枢支軸13を揺動側フレーム12にスプライン嵌合等の技術で一体回動できるように連結し、枢支軸13を支持側フレーム11に対して自由に回転できるように遊転支承している。更に、電動モータの駆動力を減速して枢支軸13に伝える揺動駆動部(図示せず)を備えることにより、電動モータの駆動力でシートバック2の揺動姿勢を変更できるように構成されている。
【0028】
尚、電動モータの駆動力によりシートバック2の姿勢を決める構成を説明したが、リクライニング角を任意に設定できるように、例えば、支持側フレーム11と、揺動側フレーム12とを複数のリクライニング角の何れかでロックできるように、支持側フレーム11と、揺動側フレーム12との間にロック機構を備え、人為的な操作でロック機構を解除した状態で揺動姿勢を任意に設定できるように構成しても良い。
【0029】
〔リクライニング角検出装置〕
リクライニング角検出装置Sは、
図3に示すように支持側フレーム11のブラケット部11aに支持されたポテンショメータで成る角度センサ20と、角度センサ20のセンサ軸20aに対し基端部21aが連結された第1アーム21と、第1アーム21の揺動端部21bと揺動側フレーム12との間に配置された第2アーム22とを備えている。
【0030】
このような構成において、第1アーム21の揺動端部21bと第2アーム22の基端側とは、揺動軸芯Xと平行姿勢の第1枢支軸23で互いに揺動自在に連結され、第2アーム22の揺動端側と揺動側フレーム12とは、揺動軸芯Xと平行姿勢の第2枢支軸24によって互いに揺動自在に連結されている。
【0031】
図3~
図5に示すように、リクライニング角検出装置Sは、揺動軸芯Xと、センサ軸20aのセンサ軸芯T0との距離を軸芯間距離L0とし、センサ軸芯T0と第1枢支軸23の中心の第1枢支軸芯T1との距離を第1アーム長L1とし、第1枢支軸芯T1と第2枢支軸24の中心の第2枢支軸芯T2との距離を第2アーム長L2としている。また、揺動軸芯Xと第2枢支軸芯T2との距離を揺動半径rとしている。
【0032】
このように、軸芯間距離L0と、第1アーム長L1と、第2アーム長L2と、揺動半径rとを設定した場合に、
(L0+r):(L1+L2)=1:(1.11~1.5)・・・・・A1式
L1>L2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・A2式
L1:L2 = 1:0.2~1:0.5・・・・・・・・・・・・・A3式
との関係が設定されている。
【0033】
つまり、A1式は、軸芯間距離L0と揺動半径rとの加算値を「1」とした場合に、第1アーム長L1と第2アーム長L2との加算値が、「1.11~1.5」の範囲に含まれる比率にあることを示している。
【0034】
また、A2式は、第1アーム長L1の値が、第2アーム長L2の値より大きいことを示している。
【0035】
更に、A3式は、第1アーム長L1の値を「1」とした場合に、第2アーム長L2の値が、「0.2~0.5」の範囲に含まれる比率の関係にあることを示している。
【0036】
これら、A1式とA2式と、A3式の関係を満たすように、軸芯間距離L0と、第1アーム長L1と、第2アーム長L2と、揺動半径rとを設定した状態でのセンサ検出角θ′と、リクライニング角θとの関係を
図6のグラフに示している。
【0037】
リクライニング角θは、
図3において揺動軸芯Xを通過する揺動姿勢ラインYで示されるものであり、この揺動姿勢ラインYは揺動側フレーム12が、揺動軸芯Xを中心に揺動した場合の揺動姿勢を表している。また、
図3に示す揺動姿勢ラインYは、リクライニング角θが「0」度である場合の姿勢を示しており、同図に示す「+」の方向(後傾方向)がリクライニング角θの増大方向であり、「-」の方向(前傾方向)がリクライニング角θの減少方向である。
【0038】
図6では、リクライニング角θを連続的に変化させた場合の複数の計測ポイントでの角度センサ20の計測値をセンサ検出角θ′としてドットとして表し、複数のドットの座標を最小二乗法で近似した検出特性ラインFを示している。このように近似した検出特性ラインFは、ドットとの誤差が±2.8%未満となる。
【0039】
〔リクライニング角とセンサ検出角との関係〕
図3、
図4には、リクライニング角θが0度にある状態における第1アーム21と、第2アーム22との姿勢を示している。また、
図5には、
図3、
図4よりシートバック2が後傾した状態における第1アーム21と、第2アーム22との姿勢を示している。上述したように、揺動側フレーム12と枢支軸13は、シートバック2と一体となって揺動するので、枢支軸13に対する第2アーム22の姿勢は、シートクッション1に対するシートバック2の姿勢と連動している。
【0040】
以下の説明では、リクライニング角に拘わらず、センサ軸芯T0と第1枢支軸芯T1とを結ぶラインをアームラインと称し、揺動軸芯Xと第2枢支軸芯T2とを結ぶラインを揺動角ラインと称している。
【0041】
図3、
図4では、シートバック2のリクライニング角θが0度のときのアームライン(センサ軸芯T0と第1枢支軸芯T1とを結ぶライン)を、基準アームラインW0とし、揺動角ライン(揺動軸芯Xと第2枢支軸芯T2とを結ぶライン)を基準揺動角ラインZ0としている。
図6のグラフを参照すると、リクライニング角θが0度のときの基準アームラインW0が示すセンサ角θ′は、検出特性ラインFの切片の値となる角度Pだけ既に回転した値である。センサ角θ′が0度になるのは、
図6に示すように、シートバック2のリクライニング角θが-11度のときである。そして、センサ角θ′が0度になるときのアームラインを初期アームラインWPとする。これにより、角度Pは、シートバック2が前傾姿勢(-11度)となる初期アームラインWPと、基準アームラインW0との間の角度と捉えることが可能である。これに対し、基準揺動角ラインZ0は、0度にあるリクライニング角θに対応した姿勢にある。
【0042】
従って、シートバック2が後傾して
図4に示すリクライニング角θが0度から
図5に示す状態に達した場合のアームラインを作動アームラインW1とし、揺動角ラインを作動揺動角ラインZ1とすると、基準揺動角ラインZ0と作動揺動角ラインZ1との間の角度がリクライニング角θとなり、初期アームラインWPと作動アームラインW1との間の角度がセンサ検出角θ′となる。
【0043】
〔実施形態の作用効果〕
このように、前述したA1式とA2式とA3式との関係を満たすように、軸芯間距離L0と、第1アーム長L1と、第2アーム長L2と、揺動半径rとを設定することで求められる検出特性ラインFは、センサ検出角θ′と、リクライニング角θをとの関係誤差を±2.8%未満にすることが可能である。また、検出特性ラインFは、例えば、勾配と切片との値を制御装置に記憶するだけで、センサ検出角θ′に基づく簡単な演算を行うことでリクライニング角θを求める処理を可能にするものであり、演算によって求めたリクライニング角θは、誤差が±2.8%未満であり、高い精度に維持できる。
【0044】
また、リクライニング角検出装置Sが、複数のリンク部材(第1アーム21と第2アーム22)を用いることで、側面視において揺動軸芯Xから外れた位置に角度センサ20を配置できるため、角度センサ20の配置の自由度が増し、リクライニング角検出装置Sの設計を容易にしている。
【0045】
図1に示すように、車両のリクライニングシートRSの幅方向での中央側にリクライニング角検出装置Sが配置されるため、車体の中央側の空間を有効に用いることが可能となり、また、ドア4を開放した状態でリクライニング角検出装置Sに外部から衝撃を作用させる不都合を招くこともない。鋼材で成る支持側フレーム11に角度センサ20を支持し、鋼材で成る揺動側フレーム12に第2枢支軸24を支持するため、これらの位置関係を高い精度で維持できる。また、支持側フレーム11の外側面に角度センサ20を支持するため、取り付けが可能で、メンテナンスも容易に行える。
【0046】
例えば、ボタン操作によってリクライニング角を、記憶した角度に設定する制御も行う場合にも、記憶した角度(リクライニング角θ)を目標値として、リクライニング角検出装置Sのセンサ検出角θ′に基づく簡単な演算を行うことによりリクライニング角θを求めてフィードバックする制御を高い精度で行える。
【0047】
先に説明した特許文献3では、エアーバックの膨張展開を禁止する制御をリクライニング角に基づいて判断しており、このような判断を行う場合でも、リクライニング角検出装置Sの検出値を用いることで高精度での制御を実現する。
【0048】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0049】
(a)リクライニング角を手動操作で設定できるように構成されたリクライニングシートRSにリクライニング角検出装置Sを備えることも可能である。
【0050】
(b)本発明のリクライニング角検出装置Sでは、角度センサ20としてロータリエンコーダを用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、リクライニング角検出装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 シートクッション
2 シートバック
11 支持側フレーム
12 揺動側フレーム
20 角度センサ
20a センサ軸
21 第1アーム
21a 基端部
21b 揺動端部
22 第2アーム
L0 軸芯間距離
L1 第1アーム長
L2 第2アーム長
T0 センサ軸芯
T1 第1枢支軸芯
T2 第2枢支軸芯
r 揺動半径
S リクライニング角検出装置
X 揺動軸芯