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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106464
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】給水装置用制御装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20220712BHJP
   G06F 8/656 20180101ALI20220712BHJP
   G05D 16/00 20060101ALN20220712BHJP
【FI】
F04D15/00 Z
F04D15/00 D
G06F8/656
G05D16/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001482
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
(72)【発明者】
【氏名】坂野 聖治
【テーマコード(参考)】
3H020
5B376
5H316
【Fターム(参考)】
3H020AA05
3H020AA07
3H020BA18
5B376CA05
5B376CA23
5B376FA11
5H316AA06
5H316BB08
5H316DD02
5H316EE22
5H316FF12
5H316FF22
5H316GG03
5H316HH04
5H316JJ13
(57)【要約】
【課題】 更新作業時の停止時間を短縮することが可能な給水装置用制御装置の一例を開示する。
【解決手段】 制御装置10は、待機状態にある制御部が利用する制御ソフトに対して制御ソフトの更新機能を実行する。これにより、待機していない稼働中の制御部は、現状の制御ソフトにて給水装置1(電動ポンプ)の運転を継続することが可能となり得る。このため、当該制御装置10では、事実上、更新時間が無いに等しい。そして、稼働中の制御部については、当該制御部が待機状態となったときに更新機能が実行され得る。したがって、当該制御装置10では、更新作業時の停止時間が従来に比べて短縮され得る。延いては、当該制御装置を用いた給水装置では、更新作業時の断水時間が従来に比べて短縮され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水装置を制御する制御装置において、
前記給水装置が発揮可能な少なくとも1つの機能を実現するための複数の制御部であって、ソフトウェア(以下、制御ソフトという。)により作動するコンピュータを有して構成された複数の制御部と、
いずれかの前記制御部で利用される制御ソフトが記憶される少なくとも1つの記憶部であって、書換可能な不揮発性の記憶部と、
前記記憶部に記憶されている制御ソフトを、外部機器との通信を介して受信した制御ソフトに更新する更新機能を実行可能な更新実行部とを備え、
複数の前記制御部のうち待機状態にある制御部を待機制御部としたとき、前記更新実行部は、前記待機制御部が利用する制御ソフトに対して前記更新機能を実行する給水装置用制御装置。
【請求項2】
複数の前記制御部のうち少なくとも1つの制御部は、更新機能実行用ソフトウェアが実行されることにより、前記更新実行部として機能することが可能であり、
さらに、複数の前記制御部のうち前記待機制御部以外の制御部が前記更新実行部として機能する請求項1に記載の給水装置用制御装置。
【請求項3】
前記給水装置は、第1電動ポンプ及び第2電動ポンプを有しており、
複数の前記制御部のうち、第1の制御部は前記第1電動ポンプを制御し、第2の制御部は前記第2電動ポンプを制御し、
さらに、前記更新実行部は、停止状態の電動ポンプを制御する前記制御部を前記待機制御部とみなす請求項1又は2に記載の給水装置用制御装置。
【請求項4】
複数の前記制御部のうち、作業者の操作を受け付ける第3の制御部を操作部としたとき、前記操作部が前記更新実行部として機能する請求項2又は3に記載の給水装置用制御装置。
【請求項5】
前記更新実行部は、前記待機制御部に対する前記更新機能が終了した後において、予め決められた要件が満たされたときに、未だ制御ソフトが更新されていない前記制御部に対して前記更新機能を実行することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の給水装置用制御装置。
【請求項6】
前記更新実行部は、前記待機制御部に対する前記更新機能が終了した時から予め決められた時間が経過したとき、又は前記待機制御部に対する前記更新機能が終了後、深夜となったときに前記要件が満たされたと判断することを特徴とする請求項5に記載の給水装置用制御装置。
【請求項7】
前記更新実行部は、制御ソフトの送信元が受信可能な外部機器であるか否かを判断する発信元判断機能、及び暗号化された状態で受信した制御ソフトを復号する復号機能を実行可能である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の給水装置用制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の給水装置用制御装置を有する給水装置と、
前記給水装置と通信可能な管理サーバであって、更新用の制御ソフトを送信可能な管理サーバとを備える給水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給水装置を制御するための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、給水装置の制御装置は、制御プログラム(以下、制御ソフトという。)により作動するマイクロコンピュータにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-131866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状の制御装置において制御ソフトを更新するには、給水装置を停止させた状態で更新作業を実施する必要がある。そして、更新作業時の停止時間は、少なくとも、以下の時間を要する。
【0005】
すなわち、(a)現状の制御ソフトを新しい制御ソフトに書き換える(更新)するに必要な時間(以下、更新時間という。)、及び(b)当該更新の終了後、マイクロコンピュータである制御装置がシャットダウンされて再起動するに必要な時間(以下、再起動時間という。)の和である。
【0006】
本開示は、上記点に鑑み、更新作業時の停止時間を短縮することが可能な給水装置用制御装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
給水装置を制御する制御装置は、例えば、給水装置(1)が発揮可能な少なくとも1つの機能を実現するための複数の制御部(11~14)であって、ソフトウェア(以下、制御ソフトという。)により作動するコンピュータを有して構成された複数の制御部(11~14)と、いずれかの制御部()で利用される制御ソフトが記憶される少なくとも1つの記憶部(12A)であって、書換可能な不揮発性の記憶部(12A)と、記憶部(12A)に記憶されている制御ソフトを、外部機器()との通信を介して受信した制御ソフトに更新する更新機能を実行可能な更新実行部(13)とを備え、更新実行部(13)は、複数の制御部(11~14)のうち待機状態にある制御部が利用する制御ソフトに対して更新機能を実行することが望ましい。
【0008】
これにより、当該制御装置では、待機状態にある制御部が利用する制御ソフトに対して更新機能を実行するので、待機していない稼働中の制御部は、現状の制御ソフトにて給水装置の運転を継続することが可能となり得る。
【0009】
このため、当該制御装置では、事実上、更新時間が無いに等しい。そして、稼働中の制御部については、例えば、当該制御部が待機状態となったときに更新機能が実行され得る。したがって、当該制御装置では、更新作業時の停止時間が従来に比べて短縮され得る。延いては、当該制御装置を用いた給水装置では、更新作業時の断水時間が従来に比べて短縮され得る。
【0010】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る給水装置及び制御装置を示す図である。
図2】第1実施形態に係る給水システムを示す図である。
図3】第1実施形態に係る第1更新機能を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態に係る第2更新機能を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係る給水装置及び制御装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0013】
少なくとも符号が付されて説明された機器や部材等の構成要素は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該構成要素は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された構成要素等を備える。
【0014】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る制御装置の一例が適用されたものである。図1に示されるように、本実施形態に係る給水装置1は、ポンプ装置3、蓄圧装置5及び制御装置10等を少なくとも備える。
【0015】
ポンプ装置3は、少なくとも1台(本実施形態では、2台)の電動ポンプ31、32により構成されている。電動ポンプ31と電動ポンプ32とは同一である。具体的には、電動ポンプ31、32それぞれは、ポンプ部31A、32A及びモータ部31B、32Bを有する電動式のポンプである。
【0016】
各電動ポンプ31、32の吐出し側は、連結管(図示せず。)に接続されている。当該連結管は建物の配水管側に接続されている。そして、各電動ポンプ31、32は、例えば受水槽7に貯留された水を配水管に供給する。
【0017】
蓄圧装置5は、ポンプ装置3の吐出し側(本実施形態では、連結管)に接続されて当該ポンプ装置3が停止しているときに給水圧を保持する。蓄圧装置5は、不活性ガスが充填されたガス室5Aの内圧により、電動ポンプが停止しているときの給水圧を保持する。
【0018】
<2.制御装置>
<2.1 制御装置の概要>
制御装置10は、図1に示されるように、複数の制御部11~14等を少なくとも備える。各制御部11~14は、ソフトウェア(以下、制御ソフトという。)により作動するマイクロコンピュータを有して構成されている。
【0019】
各制御ソフトは、いわゆる「組み込みソフトウェア」に相当する。このため、当該制御ソフトは、OS上で作動するアプリケーションソフトウェアと異なり、制御対象となる機器(ハードウェア)を直接的に制御する。
【0020】
各制御部11~14に利用される制御ソフトは、記憶部11A~14Aそれぞれに記憶されている。各記憶部11A~14Aは、書換可能な不揮発性の記憶部装置である。なお、本実施形態では、記憶部11A~14Aはフラッシュメモリ等の半導体メモリである。
【0021】
<2.2 ポンプ制御部>
制御部11(以下、第1ポンプ制御部11という。)は、電動ポンプ31(以下、第1電動ポンプ31という。)の作動を制御する。制御部12(以下、第2ポンプ制御部12という。)は、電動ポンプ32(以下、第2電動ポンプ32という。)の作動を制御する。
【0022】
第1ポンプ制御部11は、駆動回路31Cを介して第1電動ポンプ31の作動を制御する。第2ポンプ制御部12も駆動回路32Cを介して第2電動ポンプ32の作動を制御する。本実施形態に係る駆動回路31C、32Cは、インバータ方式の駆動回路である。
【0023】
各駆動回路31C、32Cは、各ポンプ制御部11、12から出力される指令周波数に応じた周波数(以下、駆動周波数という。)を有する駆動電流をモータ部31B、32Bに供給する。これにより、各電動ポンプ31、32が各ポンプ制御部11、12により可変制御される。
【0024】
なお、第1ポンプ制御部11で利用される制御ソフトは、記憶部11A(以下、第1記憶部11Aという。)に記憶されている。第2ポンプ制御部12で利用される制御ソフトは、記憶部12A(以下、第2記憶部12Aという。)に記憶されている。
【0025】
第1ポンプ制御部11には、第1流量センサFs1の検出値及び圧力センサPd1の検出値が入力されている。第2ポンプ制御部12には、第2流量センサFs2の検出値及び圧力センサPd1の検出値が入力されている。
【0026】
第1流量センサFs1は、第1電動ポンプ31の吐出し流量を検出する。第2流量センサFs2は、第2電動ポンプ32の吐出し流量を検出する。圧力センサPd1は、ポンプ装置3の吐出し側の圧力(以下、給水圧という。)を検出する。
【0027】
そして、第1ポンプ制御部11は、第1流量センサFs1を利用して小水量停止制御を実行する。第2ポンプ制御部12は、第2流量センサFs2を利用して小水量停止制御を実行する。
【0028】
第1ポンプ制御部11及び第2ポンプ制御部12それぞれは、圧力センサPd1を利用して起動制御、及び目標圧力制御を実行する。第1ポンプ制御部11と第2ポンプ制御部12とは、協働して増台制御、及び減台制御を実行する。
【0029】
小水量停止制御は、吐出し流量が予め決められた流量以下となったときに電動ポンプを停止させる制御である。起動制御は、電動ポンプが停止している状態において、給水圧が予め決められた値以下となったときに電動ポンプを起動させる制御である。
【0030】
目標圧力制御は、給水圧が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように電動ポンプの駆動周波数を調整する制御である。なお、目標圧力は、例えば、予め決められた値、又は吐出し流量等の関数として決定される値である。
【0031】
増台制御は、例えば、第1電動ポンプ31のみで給水している状態において、第1電動ポンプ31による給水量が不足した場合に、停止している(以下、待機状態ともいう。)第2電動ポンプ32を稼働させる制御である。
【0032】
具体的には、第1電動ポンプ31のみが稼働している状態において、必要な給水量が増加すると、吐出し圧力が低下する。このため、第1ポンプ制御部11は、目標圧力を維持すべく、駆動周波数を大きくする。
【0033】
そして、駆動周波数が予め決められた上限周波数に到達したときに、第1ポンプ制御部11は、待機状態にある第2電動ポンプ32を制御する第2ポンプ制御部12に対して、第2電動ポンプ32の稼働指令を発信する。
【0034】
減台制御は、増台制御の逆である。つまり、複数台の電動ポンプが稼働している状態において、必要な給水量が低下した場合に、稼働中の電動ポンプを1台ずつ順次停止させていく制御である。
【0035】
第1ポンプ制御部11及び第2ポンプ制御部12(以下、総称する場合には、ポンプ制御部という。)は、先発ローテション制御が実行可能である。先発ローテション制御とは、全ての電動ポンプが停止している状態から最初に起動させる電動ポンプ(以下、先発ポンプという。)を予め決められたルールに従って変更する制御である。
【0036】
本実施形態では、第1電動ポンプ31→第2電動ポンプ32→第1電動ポンプ31・・・・の順に先発ポンプが変更される。なお、以下、少なくとも1台の電動ポンプが稼働している状態において、停止している電動ポンプを待機ポンプという。待機ポンプを制御するポンプ制御部を「待機状態にある制御部」、つまり「待機制御部」という。
【0037】
<2.3 操作部>
制御部13は、少なくとも作業者の操作を受け付ける操作部として機能する。このため、制御部13(以下、操作部13という。)は、設定入力部13B及び表示部13C等を少なくとも有する。
【0038】
設定入力部13Bは、作業者の操作を受け付ける入力部の一例である。表示部13Cは、入力値、設定値、及び各制御ソフトのバーション記号(番号)等の給水装置1に関する各種情報を表示する機能を有する。
【0039】
上記のように、本実施形態に係る操作部13は、直接的にポンプ装置3の制御に関与しない。そして、本実施形態に係る操作部13は、更新機能を実行可能な更新実行部として機能する。
【0040】
更新機能は、少なくとも待機制御部で利用されている制御ソフトに更新する機能である。以下、更新機能に着目した場合の操作部13を更新実行部13ともいう。更新実行部13は、操作部13にて更新機能実行用ソフトウェアが実行されることにより実現される。
【0041】
<2.4 通信部>
制御部14は、通信用機器(図示せず。)を有するとともに、通信機能実行用ソフトウェアが実行されることにより通信部として機能する。通信部14は、制御装置10を構成する機器のうち少なくとも1つの機器と外部機器とを有線又は無線による通信を可能とする。
【0042】
なお、制御装置10を構成する機器とは、例えば、第1ポンプ制御部11、第2ポンプ制御部12及び操作部13等である。そして、第1ポンプ制御部11、第2ポンプ制御部12、操作部13及び通信部14は、互いに通信可能に接続されている。
【0043】
因みに、本実施形態では、外部機器との通信方式と各制御部11~14間の通信方式とは、異なる通信方式である。そして、本実形態では、図2に示されるように、通信部14を介して管理サーバ20と給水装置1(制御装置10)とが通信可能である。
【0044】
管理サーバ20は、複数の給水装置1と通信することにより、各給水装置1の運転状況を監視又は把握するととともに、各給水装置1の遠隔制御することが可能である。なお、管理サーバ20は、給水装置1の管理会社又は給水装置1の製造業者が維持・管理するコンピュータである。
【0045】
<2.5 更新実行部(更新機能)>
<更新機能の概要>
更新機能とは、記憶部12A~14Aのうち少なくとも1つの記憶部に記憶されている制御ソフトを、外部機器(例えば、管理サーバ20)との通信を介して受信した制御ソフトに更新する機能である。
【0046】
なお、本実施形態に係る更新機能は、第1ポンプ制御部11が利用する制御ソフト及び第2ポンプ制御部12が利用する制御ソフトのうち少なくとも一方の制御ソフトが更新対象となる。
【0047】
具体的には、更新機能は、第1ポンプ制御部11及び第2ポンプ制御部12のうち待機状態にある制御部、つまり待機ポンプのポンプ制御部で利用されている制御ソフトを更新する。そして、更新機能は、待機制御部以外の制御部(本実施形態では、操作部13)にて実行される。
【0048】
つまり、本実施形態では、先発ローテション制御が実行されるので、待機ポンプ、つまり待機状態にあるポンプ制御部が常に変化する。これに対して、操作部13は、先発ローテション制御、増台制御及び減台制御によらず、常に待機制御部以外の制御に相当する。
【0049】
<更新機能の実行タイミング>
例えば、第1電動ポンプ31が先発ポンプとして稼働している状態においては、第2電動ポンプ32が待機ポンプであるので、第2ポンプ制御部12が待機制御部となる。したがって、当該状態において更新機能が実行される場合には、更新実行部13は、第2記憶部12Aに記憶されている制御ソフトを更新する。
【0050】
次に、更新実行部13は、待機制御部に対する更新機能が終了した後において、予め決められた要件が満たされたときに、未だ制御ソフトが更新されていない制御部(この場合は、第1ポンプ制御部11)に対して更新機能を実行する。
【0051】
「上記要件が満たされたとき」とは、少なくとも以下の2つの要件のうちいずれか一方の要件が満たされたときである。
【0052】
「第1要件」とは、未だ制御ソフトが更新されていない制御部(この場合は、第1ポンプ制御部11)が待機制御部となったとき、つまり第1電動ポンプ31が停止したときをいう。
【0053】
「第2要件」とは、待機制御部に対する更新機能が終了した時から予め決められた時間(例えば、24時間)が経過したとき、又は待機制御部に対する更新機能が終了したときの深夜となったときをいう。深夜とは、例えば、午後11時から翌朝の午前6時までの時間帯の少なくとも一部を含む時間帯である。
【0054】
具体的には、例えば、(a)午後10時から午前0時までの時間帯、(b)午前0時から午前3時までの時間帯、又は(c)午前5時から午前7時までの時間帯等が深夜に該当する。なお、本実施形態では、上記(b)の時間帯が採用されている。
【0055】
因みに、午後9時から午後10時までの時間帯や午前7時から午前8時までの時間帯等は、午後11時から翌朝の午前6時までの時間帯の少なくとも一部を含まないので、深夜に該当しない。
【0056】
以下、最初に実行される更新機能(上記例では、第2ポンプ制御部12に対して実行される更新機能)を第1更新機能という。第1更新機能の終了後に実行される更新機能(上記例では、第1ポンプ制御部11に対して実行される更新機能)を第2更新機能という。
【0057】
更新実行部13は、管理サーバ20から発信された更新指令を受信したときに、当該管理サーバ20が送信する制御ソフトを受信して更新機能を実行する。なお、本実施形態に係る更新実行部13は、当該制御ソフトを受信する際に、発信元判断機能及び復号機能を実行する。
【0058】
発信元判断機能とは、制御ソフトの送信元が受信可能な外部機器であるか否かを判断する機能である。具体的には、更新実行部13は、当該送信元が給水装置1の管理会社又は給水装置1の製造業者が維持・管理する正規の管理サーバ等であるか否かを認証キー(パスコード)を用いて判断する。
【0059】
なお、本実施形態では、例えば、予め上記の不揮発性記憶部に記憶されている認証キーと外部機器から送信された認証キーとを照合し、それら認証キーが一致したときに、受信可能な外部機器であると判断する。
【0060】
復号機能は、暗号化された状態で受信した制御ソフトを復号する機能である。具体的には、更新実行部13は、復号キー(パスコード)を用いて当該制御ソフトを復号する。なお、本実施形態に係る復号キーは、送信元である管理サーバ20から送信される。
【0061】
<第1更新機能の詳細>
図3は、第1更新機能の詳細を示す一例である。当該第1更新制御は、給水装置1の主電源スイッチ(図示せず。)が投入されたときに起動し、遮断されたときに停止する。なお、管理サーバ20は、原則として、停止することはない。
【0062】
第1更新制御が起動されると、更新実行部13は、管理サーバ20から発信された更新指令を受信したか否かを判断する(S1)。更新指令を受信したと判断された場合には(S1:YES)、更新実行部13は、認証キー及び復号キーを受信した後(S2)、制御ソフトの送信元が受信可能な外部機器であるか否かを判断する(S3)。
【0063】
制御ソフトの送信元が受信不可な外部機器であると判断された場合には(S3:NO)、更新実行部13は、再び、S1を実行する。制御ソフトの送信元が受信可能な外部機器であると判断された場合には(S3:YES)、更新実行部13は、制御ソフトの受信を開始する(S4)。
【0064】
このとき、更新実行部13は、受信した制御ソフトを逐次復号しながら、当該復号済みの制御ソフトを更新実行部13のRAM、記憶部13A又は記憶部14Aに記憶させる。次に、更新実行部13は、待機制御部があるか否か、つまり停止中の電動ポンプがあるか否かを判断する(S5)。なお、上記の例では、第2ポンプ制御部12が待機制御に相当する。
【0065】
待機制御部があると判断された場合には(S5:YES)、更新実行部13は、その待機制御部に対して第1更新機能を実行した後(S6)、当該待機制御部をシャットダウンさせて再起動させる(S7)。
【0066】
<第2更新機能の詳細>
図4は、第2更新機能の詳細を示す一例である。当該第2更新制御は、第1更新機能の終了後に実行される。以下、未だ制御ソフトが更新されていない制御部(上記の例では、第1ポンプ制御部11)を未更新制御部という。未更新制御部が制御する機器(上記の例では、第1電動ポンプ31)を未更新機器という。
【0067】
第2更新機能が起動されると、更新実行部13は、未更新制御部があるか否かを判断する(S10)。未更新制御部があると判断された場合には(S10:YES)、更新実行部13は、その未更新制御部が非待機状態であるか否か、つまり未更新機器が待機(停止)状態であるか否かを判断する(S11)。
【0068】
当該未更新制御部が非待機状態でない、つまり未更新制御部が待機状態であると判断された場合には(S11:NO)、更新実行部13は、その未更新制御部に対して更新機能(上記のS6及びS7相当)を実行する(S12)。
【0069】
当該未更新制御部が非待機状態である、つまり未更新機器が稼働中であると判断された場合には(S11:YES)、更新実行部13は、現時が深夜(午前0時~午前3時)であるか否かを判断する(S13)。
【0070】
現時が深夜でないと判断された場合には(S13:NO)、更新実行部13は、待機制御部に対する更新機能が終了した時から予め決められた時間(例えば、24時間)が経過したかを判断する(S14)。
【0071】
そして、現時が深夜であると判断された場合(S13:YES)、又は更新機能終了後、24時間経過したと判断された場合には(S14:YES)、更新実行部13は、未更新機器を強制的に停止させた後(S15)、その未更新制御部に対して第2更新機能を実行し(S16)、当該未更新制御部をシャットダウンさせて再起動させる(S17)。
【0072】
<3.本実施形態に係る給水装置(制御装置)の特徴>
本実施形態に係る制御装置10では、待機状態にある制御部が利用する制御ソフトに対して第1更新機能を実行するので、待機していない稼働中の制御部は、現状の制御ソフトにて給水装置1(電動ポンプ)の運転を継続することが可能となり得る。
【0073】
このため、当該制御装置10では、事実上、更新時間が無いに等しい。そして、稼働中の制御部については、例えば、当該制御部が待機状態となったときに更新機能が実行され得る。したがって、当該制御装置10では、更新作業時の停止時間が従来に比べて短縮され得る。延いては、当該制御装置を用いた給水装置では、更新作業時の断水時間が従来に比べて短縮され得る。
【0074】
当該制御装置10では、複数の制御部11~14のうち待機制御部以外の制御部が更新実行部として機能する。これにより、既存の制御に更新機能実行用ソフトウェアを組み込むことにより、容易に更新実行部を実現することができ得る。
【0075】
更新実行部13は、待機制御部に対する第1更新機能が終了した後において、予め決められた要件が満たされたときに、未更新制御部に対して第2更新機能を実行する。これにより、電動ポンプの制御に拘わる全ての制御部の制御ソフトを更新でき得る。
【0076】
更新実行部13は、待機制御部に対する第1更新機能が終了後、深夜となったときに未更新制御部に対して更新機能を実行する。これにより、給水装置1が停止(断水)状態となる時間、つまり、給水装置1の利用者の利便性を損なう時間を短縮することが可能となる。
【0077】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る制御装置10では、第1ポンプ制御部11が第1電動ポンプ31を制御し、第2ポンプ制御部12が第2電動ポンプ32を制御する構成であった。これに対して、本実施形態に係る制御装置10は、図5に示されるように、第1の制御部(例えば、第1ポンプ制御部11)にて全ての電動ポンプを制御する。
【0078】
そして、第2の制御部(例えば、第2ポンプ制御部12)は、第1の制御部に異常が発生した場合に、当該第1の制御部に代わって全ての電動ポンプを制御する。つまり、第2の制御部は、第1の制御部のバックアップ制御部である。
【0079】
換言すれば、第2の制御部は、第1の制御部が正常作動している間は、待機状態にある制御部、つまり待機制御部に相当する。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0080】
そして、更新実行部13は、待機制御部である第2の制御部(例えば、第2ポンプ制御部12)に対して第1更新機能を実行し、未更新制御部である第1の制御部(例えば、第1ポンプ制御部11)に対して第2更新機能を実行する。
【0081】
これにより、本実施形態においても第1実施形態と同様に、更新作業時の停止時間が従来に比べて短縮され得るので、更新作業時の断水時間が従来に比べて短縮され得る。なお、第1の制御部に異常が発生したか否かの判断は、第1の制御部以外の制御部が行う。
【0082】
因みに、本実施形態は、全ての電動ポンプが停止している場合に、第1の制御部と第2の制御部とが交替する構成であってもよい。具体的には、更新実行部13は、第1更新機能が終了した後、全ての電動ポンプが停止しているときに、待機制御部であったポンプ制御部を第1の制御部とし、未更新制御部であったポンプ制御部を第2の制御部とする。
【0083】
(第3実施形態)
本実施形態に係る制御装置10は、操作部13で利用される制御ソフトを更新する機能を備える。このため、通信部14には、当該更新を実行するためのソフトウェアが組み込まれている。
【0084】
そして、通信部14は、管理サーバ20から操作部13で利用される制御ソフトを更新する旨の更新指令を受信した場合において、操作部13が待機状態にあるときに、操作部13で利用される制御ソフトを更新後、当該操作部13をリセットする。
【0085】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る給水装置1は、受水槽7に貯留された水を配水管に供給する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、受水槽が無く、電動ポンプの吸入側が水道に接続された構成であってもよい。
【0086】
上述の実施形態では、2台の電動ポンプを備える給水装置であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第2実施形態にあっては、1台の電動ポンプ、第1実施形態にあっては、3台以上の電動ポンプを備える構成であってもよい。
【0087】
上述の実施形態では、管理サーバ20より送信された制御ソフトを用いて更新機能を実行する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、作業員が現場に赴き、携帯型コンピュータと制御装置10とを通信部14を介して有線通信又は無線通信にて接続して更新機能を実行する構成であってもよい。
【0088】
上述の実施形態では、管理サーバ20が変更指令を発信した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、作業員が現場に赴いて制御装置10を操作することにより、手動操作にて変更指令を発信する構成であってもよい。
【0089】
上述の実施形態では、変更指令を受信したときに更新機能が実行される構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、制御装置10が自ら定期的に管理サーバ20にアクセスし、管理サーバ20に新しい制御ソフトが準備されているときに更新機能を実行する構成であってもよい。
【0090】
上述の実施形態では、複数の記憶部11A~14Aを有する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、複数の記憶部11A~14Aが1つに集約された構成であってもよい。なお、当該1つの記憶部、又は複数の記憶部11A~14Aの配置箇所は、不問である。
【0091】
上述の実施形態に係る記憶部11A~14Aは、フラッシュメモリ等の半導体メモリにて構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、記憶部は、(a)制御ソフトが記憶され、(b)書換可能であり、かつ(c)不揮発性(制御装置10がシャットダウンしても記憶内容が保持可能)であればよい。
【0092】
したがって、当該開示に係る記憶部12は、上記(a)~(c)の要件を満たすもの、例えば、HDD、書換可能な媒体(CD-R、DVD-R等)、又はバッテリ等の蓄電機能が有する半導体メモリ装置等であってもよい。
【0093】
上述の実施形態に係る制御ソフトは、ハードウェアを直接的に制御するソフトウェアであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、ハードウェアの直接的な制御を実行するOS(ドライバーも含む。)、及び当該OSを上で作動するアプリケーションソフトウェアにて制御装置10のソフトウェアが構成されていてもよい。
【0094】
そして、各制御を実行するソフトウェアがアプリケーションソフトウェアにて構成され、かつ、当該アプリケーションソフトウェアを制御ソフトとした構成であってもよい。なお、当該構成であれば、制御ソフトが更新された場合であっても、制御装置10の再起動が不必要となり得る。
【0095】
上述の実施形態に係る更新実行部13は、受信した制御ソフトを記憶する際には、制御ソフトを逐次復号しながら、復号後の制御ソフトを記憶した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、制御ソフトの全てを記憶した後に、全てを復号させてもよい。
【0096】
上述の実施形に係る更新実行部13は、当該制御ソフトを受信する際に、発信元判断機能及び復号機能を実行した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、発信元判断機能及び復号機能のうち少なくとも一方の機能が廃止された構成であってもよい。
【0097】
なお、復号機能が廃止された構成においては、受信した制御ソフトを更新実行部13のRAM、記憶部13A又は記憶部14Aに記憶させること無く、待機制御部の記憶部に直接的に記憶させる構成としてもよい。
【0098】
上述の実施形態に係る第2更新機能では、更新実行部13のRAM、記憶部13A又は記憶部14Aに記憶されている制御ソフトを未更新制御部の記憶部に記憶させた。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0099】
すなわち、当該開示は、例えば、第2更新機能を実行する際に、管理サーバ20又は携帯型コンピュータから制御ソフトを新たに受信し、その受信した制御ソフトを未更新制御部の記憶部に記憶させる構成であってもよい。
【0100】
上述の実施形態に係る更新実行部13は、操作部13に設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、外部機器の一例である携帯型コンピュータ又は管理サーバ20に更新実行部が設けられ、当該外部機器が遠隔操作により更新機能を実行する構成であってもよい。
【0101】
上述の実施形態では、電動ポンプが停止している深夜に第2更新機能を開始する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1更新機能が完了した後、即時に未更新制御部に対して更新機能を実行する構成であってもよい。
【0102】
上述の実施形態では、未更新制御部については、電動ポンプが停止しているときに更新機能を実行する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、運転情報履歴を利用して電動ポンプが待機状態なる時間帯を予測する予測機能を備え、当該予測機能が予測した時間帯に転送制御を実行する構成であってよい。
【0103】
運転情報履歴は、通信部14を介して管理サーバ20に定期的に送信されている給水装置の運転情報を利用することが望ましい。給水装置1の運転情報とは、例えば、電動ポンプの吐出し圧力、吐出し流量、及び稼働・停止時刻、並びに駆動部の駆動周波数、駆動電流の電圧及び電流等の給水装置1の稼働・停止・運転状況を把握するために必要な情報である。
【0104】
なお、上記予測機能を備える給水装置又は制御装置おいては、例えば、全ての電動ポンプが待機状態にあるときに、全てのポンプ制御部に対して更新機能を実行してもよい。これにより、第2更新機能を実行することなく、全ての制御ソフトを更新でき得る。
【0105】
上述の実施形態における「待機制御部」とは、制御ソフトを更新可能な状態にある制御部をいう。このため、上述の実施形態では、電動ポンプが停止しているときのポンプ制御部、事実上停止状態にある操作部を待機制御部としている。つまり、待機制御部は、上述の実施形態に限定されない。
【0106】
上述の実施形態に制御装置10は、先発ローテション制御及び第2更新機能を実行可能であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、先発ローテション制御及び第2更新機能のうち少なくとも一方の制御を実行しない構成であってもよい。
【0107】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0108】
1… 給水装置
3… ポンプ装置
10… 制御装置
11~14… 制御部
図1
図2
図3
図4
図5