IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浜松ホトニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-光源装置 図1
  • 特開-光源装置 図2
  • 特開-光源装置 図3
  • 特開-光源装置 図4
  • 特開-光源装置 図5
  • 特開-光源装置 図6
  • 特開-光源装置 図7
  • 特開-光源装置 図8
  • 特開-光源装置 図9
  • 特開-光源装置 図10
  • 特開-光源装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106484
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 5/48 20060101AFI20220712BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220712BHJP
   F21V 9/00 20180101ALI20220712BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20220712BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20220712BHJP
   H05F 3/06 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
H01J5/48
F21S2/00 600
F21V9/00 400
H01J37/20 H
H01J37/28 B
H05F3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001513
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【弁理士】
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】森下 桂嗣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真城
(72)【発明者】
【氏名】山崎 弘高
【テーマコード(参考)】
5C001
5C033
5G067
【Fターム(参考)】
5C001CC04
5C033UU10
5G067DA01
5G067DA24
(57)【要約】
【課題】
照射能力を上げることができるとともに、被照射対象に対して高効率に光を照射できる光源装置を提供すること。
【解決手段】
光源装置2は、発光体10と、発光体10を収容する筐体11と、方向Dに延びるとともに、開口14cが設けられた端部14aと開口14dが設けられた端部14bとを有し、かつ、開口14cと開口14dとが連通している筒体14と、発光体10から出射した光が開口14cに入射するように、筐体11と筒体14とを連結する固定部材15と、端部14aが収容室3の外部に位置するとともに、端部14bが収容室3内に位置するように、筒体14を収容室3に取り付けるための接続部材16と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧雰囲気下に維持された収容室に収容されている被照射対象に光を照射するための光源装置であって、
発光体と、
前記発光体を収容する筐体と、
一方向に延びるとともに、第1開口が設けられた第1端と第2開口が設けられた第2端とを有し、かつ、前記第1開口と前記第2開口とが連通している筒体と、
前記発光体から出射した光が前記第1開口に入射するように、前記筐体と前記筒体とを連結する固定部材と、
前記第1端が前記収容室の外部に位置するとともに、前記第2端が前記収容室内に位置するように、前記筒体を前記収容室に取り付けるための接続部材と、
を備える、光源装置。
【請求項2】
前記収容室における前記第2端の位置を前記一方向に調整可能な調整機構を更に備える、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記接続部材は、前記固定部材に固定される第1接続部と、前記収容室に固定される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを連結するとともに前記筒体が挿通する筒状の連結部と、を備え、
前記連結部は、前記一方向における長さが可変である可変部を含み、
前記調整機構は、前記第2接続部に対して前記第1接続部を前記一方向に移動させることによって、前記第2端の位置を調整する、請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記筒体は、前記第1端を有する第1筒状部と、前記第2端を有する第2筒状部とを含み、
前記第2筒状部は、前記第1筒状部に対して前記一方向において進退自在に取り付けられ、
前記調整機構は、前記第1筒状部に対して前記第2筒状部を前記一方向に移動させることによって、前記第2端の位置を調整する、請求項2に記載の光源装置。
【請求項5】
前記接続部材は、前記筒体が前記一方向に移動可能な状態で、前記筒体を前記収容室に取り付け、
前記調整機構は、前記収容室に対して前記筐体を前記一方向に移動させることによって、前記第2端の位置を調整する、請求項2に記載の光源装置。
【請求項6】
前記接続部材は、前記筒体を前記収容室に固定する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
前記固定部材と前記接続部材とは、同一部材である、請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記筒体は、前記第1端を有する第1筒状部と、前記第2端を有する第2筒状部とを含み、
前記第2筒状部は、前記第1筒状部に対して前記一方向において進退自在に取り付けられている、請求項6又は請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記発光体と前記接続部材との間に設けられ、光の通過経路を遮断可能な遮断部を更に備える、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記固定部材と前記接続部材との間に設けられ、前記筒体を通過する光を遮断可能な遮断部を更に備え、
前記筒体は、前記第1端を有する第1筒状部と、前記第2端を有する第2筒状部と、を含み、
前記第1筒状部と前記第2筒状部とは、前記第1筒状部を通過した光が前記第2筒状部に入射可能なように、互いに離間して前記一方向に配列されており、
前記遮断部は、前記第1筒状部と前記第2筒状部との間を光が通過可能な開放状態と、前記第1筒状部と前記第2筒状部との間で光を遮断可能な遮断状態と、の間で切り替えられる、請求項1に記載の光源装置。
【請求項11】
前記筐体と前記発光体との間に設けられ、前記第1開口と連通する第1空間を画定する封止体と、
前記第1空間を大気に開放するための開放部と、を更に備える、請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記遮断部は、前記遮断状態に切り替えられることによって、前記第1筒状部と前記第2筒状部との間で流体の移動を遮断する、請求項11に記載の光源装置。
【請求項13】
前記第1空間を減圧するための減圧装置を更に備える、請求項12に記載の光源装置。
【請求項14】
前記筐体と前記発光体との間に設けられた封止体を更に備え、
前記筐体は、前記第1開口と連通する第1空間を画定する第1筐体部と、前記第1空間と隣り合う第2空間を画定する第2筐体部と、を含み、
前記封止体は、前記第1空間と前記第2空間との間を気密に封止する、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項15】
前記第2筐体部に接続され、前記第2空間において前記発光体を冷却するための冷却部を更に備える、請求項14に記載の光源装置。
【請求項16】
前記光は、真空紫外光である、請求項1~請求項15のいずれか一項に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走査電子顕微鏡(SEM)及び集束イオンビーム装置(FIB)といった各種の観察装置及び加工装置等において、帯電による問題が起こることがある。例えば、走査電子顕微鏡においては、試料を観察する際に、試料が帯電してしまい適切な結果が得られなくなる現象が起こることがある。この現象はチャージアップ(charge up)といわれている。従来、チャージアップを除去(除電)するために、重水素ランプを内蔵した光源装置から真空紫外光(VUV)を試料に照射することが行われている。
【0003】
特許文献1には、帯電体(被除電物)が収容され、真空環境に維持された筐体内に、先端部に重水素ランプを支持したアーム部(フレキシブルチューブ)を配置して、帯電体に紫外光を近接出射することが可能な除電装置が示されている。特許文献2には、フレキシブル管の先端部に重水素ランプを固定し、重水素ランプを真空又は低圧雰囲気下に配置して、真空又は低圧雰囲気下に設置される試料に対して真空紫外光を近接照射可能な重水素ランプ光源が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4829550号公報
【特許文献2】特許第4964582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される除電装置及び特許文献2に示される重水素ランプ光源においては、いずれも、減圧雰囲気下の室内に重水素ランプが配置されているため、同室内に設置される試料等の被照射対象に対して、重水素ランプを近接させて光を局所的に照射することができて、照射効率が高められるという利点がある。
【0006】
しかし、室内空間において重水素ランプを先端部に支持した装置を作動させるためのスペースには一定の制約があることから、重水素ランプを大型化してさらに照射能力を上げることには限界がある。
【0007】
本開示は、照射能力を上げることができるとともに、被照射対象に対して高効率に光を照射できる光源装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面に係る光源装置は、減圧雰囲気下に維持された収容室に収容されている被照射対象に光を照射するための装置である。この光源装置は、発光体と、発光体を収容する筐体と、一方向に延びるとともに、第1開口が設けられた第1端と第2開口が設けられた第2端とを有し、かつ、第1開口と第2開口とが連通している筒体と、発光体から出射した光が第1開口に入射するように、筐体と筒体とを連結する固定部材と、第1端が収容室の外部に位置するとともに、第2端が収容室内に位置するように、筒体を収容室に取り付けるための接続部材と、を備えている。
【0009】
この光源装置では、発光体から出射された光が、筒体の第1端に設けられた第1開口を通って、第2端に設けられた第2開口から出射される。筒体の第1端は、収容室の外部に位置するので、発光体は収容室の外部に配置される。したがって、発光体を大型化し、発光体の照射能力を上げることができる。そして、収容室の外部に配置された発光体から出射された光は、筒体内で導光されて、収容室内に位置する第2端に設けられた第2開口から出射されるので、発光体から出射される光の拡散を抑制しながら、被照射対象に対して局所的に強い光を照射することができる。結果として、照射能力を上げることができるとともに、被照射対象に対し高効率に光を照射することができる。
【0010】
上記光源装置は、収容室における第2端の位置を一方向に調整可能な調整機構を更に備えていてもよい。
【0011】
この光源装置では、調整機構により、収容室に配置される第2端の位置を一方向に移動させることができる。この構成により、第2開口の位置を収容室内の被照射対象に対して適切な位置に設定することができ、被照射対象に対し高効率に光を照射することが可能となる。
【0012】
接続部材は、固定部材に固定される第1接続部と、収容室に固定される第2接続部と、第1接続部と第2接続部とを連結するとともに筒体が挿通する筒状の連結部と、を備えてもよい。連結部は、一方向における長さが可変である可変部を含んでもよい。調整機構は、第2接続部に対して第1接続部を一方向に移動させることによって、第2端の位置を調整してもよい。
【0013】
この光源装置では、接続部材の筒状の連結部に、一方向における長さが可変である可変部が含まれているので、第2接続部に対して第1接続部を相対移動させることができる。第1接続部は固定部材を介して筒体に連結されており、第2接続部は収容室に固定されているので、第1接続部を第2接続部に対して一方向に移動させることにより、筒体の第2端の位置を調整することができる。したがって、第2開口の位置を収容室内の被照射対象に対して適切な位置に設定することができ、被照射対象に対し高効率に光を照射することが可能となる。
【0014】
筒体は、第1端を有する第1筒状部と、第2端を有する第2筒状部とを含んでもよい。第2筒状部は、第1筒状部に対して一方向において進退自在に取り付けられてもよい。調整機構は、第1筒状部に対して第2筒状部を一方向に移動させることによって、第2端の位置を調整してもよい。
【0015】
この光源装置では、第2筒状部を移動させることによって、筒体の第2端の位置を調整することができる。したがって、第2開口の位置を収容室内の被照射対象に対して適切な位置に設定することができ、被照射対象に対し高効率に光を照射することが可能となる。
【0016】
接続部材は、筒体が一方向に移動可能な状態で、筒体を収容室に取り付けてもよい。調整機構は、収容室に対して筐体を一方向に移動させることによって、第2端の位置を調整してもよい。
【0017】
この光源装置では、筒体が一方向に移動可能な状態で収容室に取り付けられているので、筐体を一方向に移動させることにより、筐体とともに筒体を一方向に移動させることができる。したがって、第2開口の位置を収容室内の被照射対象に対して適切な位置に設定することができ、被照射対象に対し高効率に光を照射することが可能となる。
【0018】
接続部材は、筒体を収容室に固定してもよい。
【0019】
この構成によれば、筒体は接続部材によって収容室に固定されるので、筒体の姿勢が安定し得る。したがって、被照射対象に対して安定した照射を実施することができる。
【0020】
固定部材と接続部材とは、同一部材であってもよい。
【0021】
固定部材と接続部材を同一部材とすることにより、固定部材の機能を接続部材が兼ねることができる。したがって、部品点数を削減でき、光源装置の構成を簡素化することができる。
【0022】
筒体は、第1端を有する第1筒状部と、第2端を有する第2筒状部とを含んでもよい。第2筒状部は、第1筒状部に対して一方向において進退自在に取り付けられていてもよい。
【0023】
この構成によれば、筒体が収容室に固定されているにもかかわらず、第2筒状部を第1筒状部に対して一方向に進退させることによって、収容室内における第2端の位置を調整することが可能になる。したがって、収容室内の被照射対象に対して第2開口を適切な位置に設定することができ、被照射対象に対し高効率に光を照射することが可能となる。
【0024】
光源装置は、発光体と接続部材との間に設けられ、光の通過経路を遮断可能な遮断部を更に備えていてもよい。
【0025】
この光源装置では、遮断部により、光の通過経路を遮断することができる。したがって、光の照射を停止するときに発光体自体を消光する必要がない。その結果、発光体の発光又は消光の頻度を抑えることができるので、発光体の劣化を抑え、発光体の寿命を延ばすことができる。
【0026】
上記光源装置は、固定部材と接続部材との間に設けられ、筒体を通過する光を遮断可能な遮断部を更に備えてもよい。筒体は、第1端を有する第1筒状部と、第2端を有する第2筒状部と、を含んでもよい。第1筒状部と第2筒状部とは、第1筒状部を通過した光が第2筒状部に入射可能なように、互いに離間して一方向に配列されてもよい。遮断部は、第1筒状部と第2筒状部との間を光が通過可能な開放状態と、第1筒状部と第2筒状部との間で光を遮断可能な遮断状態と、の間で切り替えられてもよい。
【0027】
この光源装置では、第1筒状部と第2筒状部との間に遮断部が設けられる。したがって、遮断部の設置スペースを十分に確保することができる。
【0028】
上記光源装置は、筐体と発光体との間に設けられ、第1開口と連通する第1空間を画定する封止体と、第1空間を大気に開放するための開放部と、を更に備えていてもよい。
【0029】
この光源装置では、開放部によって第1空間を大気に開放することができる。この構成により、発光体の交換等を容易に実施することができる。
【0030】
遮断部は、遮断状態に切り替えられることによって、第1筒状部と第2筒状部との間で流体の移動を遮断してもよい。
【0031】
この光源装置では、遮断部が遮断状態に切り替えられた場合には、第1筒状部と第2筒状部との間で流体の移動が遮断されるので、筒体を介して空気が収容室に流入することを回避できる。例えば、発光体の交換等により、第1空間を大気に開放する必要がある場合でも、遮断部を遮断状態とした状態で開放部を開放することによって、収容室内を減圧雰囲気下に維持した状態で、第1空間を大気に開放することができる。よって、発光体の交換等を実施することが可能となる。
【0032】
上記光源装置は、第1空間を減圧するための減圧装置を更に備えていてもよい。
【0033】
この光源装置では、第1開口と連通する第1空間が、開放部によって一旦大気に開放された場合であっても、減圧装置によって再度減圧雰囲気に戻すことができる。第1空間が減圧雰囲気下に戻された後に、遮断部を遮断状態から開放状態に切り替えることによって、収容室内の圧力の変動が抑制される。結果として、収容室内の圧力を調整するための作業等を軽減することができる。
【0034】
上記光源装置は、筐体と発光体との間に設けられた封止体を更に備えてもよい。筐体は、第1開口と連通する第1空間を画定する第1筐体部と、第1空間と隣り合う第2空間を画定する第2筐体部と、を含んでもよい。封止体は、第1空間と第2空間との間を気密に封止してもよい。
【0035】
減圧雰囲気下に維持された収容室に配置される第2開口と第1開口とは連通しているので、第1開口と連通する第1空間が気密に構成されていない場合には、収容室の圧力が変動し得る。この光源装置では、第1空間と第2空間との間が封止体によって気密に封止されているので、収容室内の圧力の変動を抑制できる。
【0036】
光源装置は、第2筐体部に接続され、第2空間において発光体を冷却するための冷却部を更に備えていてもよい。
【0037】
光源装置が使用される場合、発光体は発熱し得る。この光源装置では、第2空間において発光体が冷却部により冷却されるので、収容室を減圧雰囲気下に維持しながら、発光体の過熱を抑えることができる。
【0038】
発光体から出射する光は、真空紫外光であってもよい。
【0039】
この光源装置では、発光体から照射される真空紫外光により、被照射対象を含む照射範囲にイオンを発生することができる。その結果、被照射対象が帯電している場合、被照射対象を高効率に除電することができる。
【発明の効果】
【0040】
本開示によれば、照射能力を上げることができるとともに、被照射対象に対して高効率に光を照射できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、光源装置の使用態様を示す概略図である。
図2図2は、第1実施形態に係る光源装置の断面図である。
図3図3は、比較例の光源装置の照射状態を示す図である。
図4図4は、図2に示される光源装置及び図3に示される光源装置の光の照度特性を示すグラフである。
図5図5は、第2実施形態に係る光源装置の部分断面図である。
図6図6は、第3実施形態に係る光源装置の部分断面図である。
図7図7は、第4実施形態に係る光源装置の部分断面図である。
図8図8は、第4実施形態に係る光源装置の変形例の部分断面図である。
図9図9は、第5実施形態に係る光源装置におけるゲートバルブの遮断状態を示す部分断面図である。
図10図10は、第5実施形態に係る光源装置におけるゲートバルブの開放状態を示す部分断面図である。
図11図11は、第6実施形態に係る光源装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。
【0043】
図1を参照して、本実施形態に係る光源装置の使用態様の一例を説明する。図1は、光源装置の使用態様を示す概略図である。図1に示されるように、光源装置2は、一例として、除電装置1に用いられる。除電装置1は、例えば、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)の除電装置として用いられる。走査電子顕微鏡は、観察対象の試料4が置かれている収容室3と電子線源(図示せず)とを備えている。電子線源から発生した電子をガス分子と衝突しないように試料4に到達させるために、収容室3内は減圧雰囲気下に維持されている。減圧雰囲気は、大気圧よりも圧力が低い状態であり、実施形態では、減圧雰囲気は真空状態である。
【0044】
試料4に到達した電子は試料4に吸収される。試料4が導電性試料であれば、当該電子は試料4が載置されているステージに流れる。一方、試料4が非導電性試料である場合には、電子は試料4に留まり、試料4が帯電する場合がある。この場合、帯電の影響により試料4の測定画像が乱れるので、試料4から帯電を除去(除電)することが望まれる。
【0045】
光源装置2は、収容室3に収容されている試料4に紫外光5を照射するための装置である。光源装置2は、収容室3の側壁6に取り付けられている。光源装置2は、試料4(被照射対象:帯電体)の近傍に紫外光5を照射して、紫外光5により収容室3内部の残留分子をイオン化させる。これにより、光源装置2は、試料4の除電を行う。紫外光5の波長は一般的には100~400nmである。本実施形態では、紫外光5として、波長100~200nmの真空紫外光(VUV:Vacuum Ultra-Violet Light)が使用されている。光源装置2について、以下詳細に説明する。
【0046】
(第1実施形態)
図2を参照して、第1実施形態に係る光源装置を説明する。図2は、第1実施形態に係る光源装置の断面図である。図2に示されるように、光源装置2は、発光体10と、筐体11と、筒体14と、固定部材15と、接続部材16と、調整機構17と、押圧部材21と、係止部材22と、弾性部材23と、封止体24と、コネクタハウジング25と、ケーブル26と、コネクタ27と、ファン28(冷却部)と、を備えている。
【0047】
発光体10は、紫外光5を発生し、紫外光5を出射する。発光体10としては、例えば、重水素ランプが用いられる。発光体10は、方向D(一方向)に延びるガラス製の容器と、容器の内部に設けられた光発生部と、を備えている。光発生部は、例えば、アーク放電を発生させるための熱陰極及び陽極等から構成されている。容器は、胴部10a、肩部10b、及び首部10cを含む。胴部10a、肩部10b、及び首部10cは、方向Dにおいてその順に配列されている。胴部10aは、例えば、円筒形状を有している。首部10cは、例えば、胴部10aと同軸の円筒形状を有し、胴部10aの外径よりも小さい外径を有している。肩部10bは、胴部10aと首部10cとを連結している。肩部10bは、胴部10aから首部10cに向かうにつれて徐々に外径が小さくなる形状を有している。
【0048】
筐体11は、発光体10を収容する筒状の部材である。筐体11は、例えば、円筒形状を有している。筐体11は、方向Dに延びている。筐体11は、筐体部12(第2筐体部)と筐体部13(第1筐体部)とを備えている。筐体部12と筐体部13とは方向Dに配列されている。
【0049】
筐体部12は、方向Dにおける両端が開放された筒状の部材である。筐体部12は、空間20B(第2空間)を画定している。筐体部12は、発光体10のうちの胴部10a及び肩部10bを収容している。筐体部12は、方向Dにおける両端部である端部12a,12bを有する。端部12aの外周面には、雄ねじが設けられている。端部12bの内周面には、雌ねじが設けられている。端部12bの近傍には、空間20Bと筐体11の外部空間とを連通する通風孔12cが設けられている。
【0050】
筐体部13は、方向Dにおける両端が開放された筒状の部材である。筐体部13は、空間20A(第1空間)を画定している。空間20Aは、空間20Bと方向Dにおいて隣り合う。なお、後述するように、空間20Aと空間20Bとは、封止体24によって気密に分離されている。筐体部13は、発光体10のうちの首部10cを収容している。筐体部13は、方向Dにおける両端部である端部13a,13bを有する。端部13aの外周面には、雄ねじが設けられている。端部12bの雌ねじと端部13aの雄ねじとが螺合することによって、筐体部12に筐体部13が連結されている。筐体部12と筐体部13とは、溶接等によって気密に連結されていてもよい。筐体部13は、端部13aから端部13bに向かうにつれて、段階的に空間20Aが広がるような形状を有している。
【0051】
筒体14は、発光体10から出射された紫外光5を収容室3内に導光するための部材である。筒体14は、方向Dにおける両端が開放された長尺の筒状の部材である。筒体14は、例えば、円筒形状を有している。筒体14は、方向Dに延びており、収容室3の側壁6を貫通している。筒体14の内径は、例えば10~35mm程度であり、筒体14の長さは、例えば50~500mm程度である。筒体14の内面は鏡面である。筒体14の内面を鏡面加工する方法としては、研磨による方法、メッキによる方法、及び鏡面反射シートを貼着する方法などが挙げられる。筒体14の構成材料の例としては、ステンレス材及びアルミ材等の金属材料が挙げられる。
【0052】
筒体14は、方向Dにおける両端部である端部14a(第1端)と端部14b(第2端)とを有する。端部14aには、開口14c(第1開口)が設けられている。端部14bには、開口14d(第2開口)が設けられている。筒体14は、その内部に紫外光5を導光する導光空間を画定しており、開口14cと開口14dとは導光空間を介して互いに連通している。端部14a(開口14c)は収容室3の外部に位置している。開口14cは、空間20Aに連通している。端部14b(開口14d)は、収容室3内に位置している。
【0053】
固定部材15は、発光体10から出射した紫外光5が開口14cに入射するように、筐体11と筒体14とを連結する部材である。具体的には、固定部材15は、筒体14を筐体部13に固定するために用いられる。固定部材15は、例えば、円板状の形状を有する。固定部材15は、方向Dにおける両端部に端面15a,15bを有する。端面15aは、筐体部13と向かい合う面である。端面15aには、筐体部13の端部13bが嵌り合う窪みが設けられている。当該窪みに端部13bが嵌め合わされた状態で、端部13bが端面15aに溶接等によって気密に接合されている。端面15bは、接続部材16と向かい合う面である。固定部材15の方向Dから見た中心部には、固定部材15を方向Dに貫通する挿通孔15cが設けられている。挿通孔15cは、筒体14を挿通させて取り付けるための孔である。挿通孔15cに筒体14の端部14aが嵌め合わされた状態で、端部14aが挿通孔15cを画定する内周面に溶接等によって気密に接合されている。
【0054】
接続部材16は、端部14aが収容室3の外部に位置するとともに、端部14bが収容室3内に位置するように、筒体14を収容室3に取り付けるための部材である。接続部材16は、方向Dにおける両端が開放された筒状の形状を有する。接続部材16の内部空間には、方向Dに筒体14が挿通されている。筒体14は収容室3の側壁6に設けられた貫通孔6aをさらに挿通し、端部14bが収容室3の内部に位置している。
【0055】
接続部材16は、フランジ16a(第1接続部)、フランジ16b(第2接続部)、及び連結部16cを備えている。フランジ16a、連結部16c、及びフランジ16bは、方向Dにおいてその順に配列されている。フランジ16a,16bは、接続部材16の方向Dにおける両端に配置されている。フランジ16aは、固定部材15の端面15bと向かい合い、端面15bにボルト及びナット等の締結部材によって固定されている。フランジ16bは、収容室3の側壁6と向かい合い、側壁6にボルト等の締結部材によって固定されている。収容室3内の気密性を維持するために、例えば、銅製のメタルガスケット等の封止部材が、側壁6とフランジ16bとの間に設けられ、側壁6とフランジ16bとによって挟持されている。フランジ16aと固定部材15との間にも同様な封止部材が設けられている。したがって、貫通孔6aと筒体14の外周面との間が気密性を有しない場合であっても、接続部材16の内部空間の気密性が維持されるので、収容室3内の減圧雰囲気は維持される。換言すると、接続部材16の内部空間は、収容室3内と同じ減圧雰囲気(真空状態)に維持される。
【0056】
連結部16cは、フランジ16aとフランジ16bとの間を、気密性を保持して連結する部分である。連結部16cは、筒体14が挿通する筒状の形状を有している。連結部16cはベローズ部16d(可変部)を含んでいる。ベローズ部16dは、方向Dにおける連結部16cの長さを可変とするための部分であり、方向Dにおいて伸縮可能に構成されている。ベローズ部16dが方向Dに伸縮可能な伸縮量は、適宜設定されている。当該伸縮量は、例えば、筒体14の開口14dを試料4に対してどの程度近接させるかに応じて予め設定されている。第1実施形態では、ベローズ部16dは、例えば、100~200mm程度伸縮できるように構成されている。ここで、ベローズ部16dの伸縮量にかかわらず、端部14bが収容室3内に配置されるように、筒体14の長さは設定され得る。少なくとも、ベローズ部16dが最も縮んだ状態のときに、端部14bが収容室3内に配置されるように、筒体14の長さが設定される。
【0057】
調整機構17は、収容室3における端部14bの位置を方向Dに調整するための機構である。調整機構17は、フランジ16bに対してフランジ16aを方向Dに移動させることによって、端部14bの位置を調整する。調整機構17は、送りねじ部18とナット部19とを備えている。送りねじ部18及びナット部19は、公知のボールねじ機構を構成している。具体的には、送りねじ部18は、軸部18aと操作部18bとを有している。第1実施形態では、ナット部19は、フランジ16aの延長部16eに設けられている。延長部16eは、フランジ16aの下端部であり、方向Dから見て固定部材15と重なり合わない部分である。
【0058】
軸部18aは、ナット部19と螺合しながら、ナット部19を挿通している。軸部18aの先端は、フランジ16bの延長部16fに軸受等を介して回転自在に支持されている。延長部16fは、フランジ16bの下端部であり、方向Dから見て延長部16eと重なり合う部分である。軸部18aの基端には操作部18bが設けられている。操作部18bを軸部18aの軸回りに正方向又は逆方向に回転させることにより、ベローズ部16dが伸縮して、フランジ16bに対してナット部19とフランジ16aが方向Dに進退する。このとき、フランジ16aと連結されている筒体14も方向Dに進退する。調整機構17として、送りねじ部18及びナット部19に代えて、公知のリニアガイド機構が用いられてもよい。
【0059】
押圧部材21及び係止部材22は、筐体11内に発光体10を収容するために用いられる。押圧部材21は、方向Dから見てリング形状である。押圧部材21は、発光体10の胴部10aの一部を収容可能な窪みと、鍔部21aと、を有している。更に発光体10と向かい合う窪みの底面には、弾性部材23が設けられている。弾性部材23としては、例えば、Oリングが採用され得る。弾性部材23は、発光体10の底面と窪みの底面とによって挟持されている。係止部材22は、方向Dから見てリング形状である。係止部材22は、方向Dから見て中心方向に延びる突起22aと、筐体部12の端部12aに設けられる雄ねじと螺合する雌ねじ22bと、を有している。鍔部21aと突起22aとは、方向Dから見て重なり合うように配置されている。
【0060】
封止体24は、空間20Aと空間20Bとの間を気密に封止するための部材である。封止体24は、筐体11と発光体10との間に設けられている。具体的には、封止体24は、発光体10の肩部10bと首部10cとの境界部分(首部10cの付け根の部分)と筐体部13の端部13aとによって挟持されている。換言すると、筐体部13の内周面と封止体24とによって、空間20Aが画定されている。封止体24としては、例えばOリングが採用され得る。
【0061】
コネクタハウジング25は、コネクタ27を支持するとともに、ケーブル26を収容する部材である。ケーブル26は、発光体10とコネクタ27とを電気的に接続し、ファン28とコネクタ27とを電気的に接続している。コネクタハウジング25は押圧部材21に取り付けられている。
【0062】
ファン28は、空間20Bにおいて発光体10を冷却するために用いられる。ファン28はコネクタハウジング25に取り付けられる。ファン28と発光体10とはコネクタハウジング25を介して方向Dに配列されている。ファン28は、光源装置2の外部から空気を取り込み、コネクタハウジング25内を通して筐体部12内の空間20Bに空気を送り込む。空間20Bに送り込まれた空気は、通風孔12cから光源装置2(筐体11)の外部に排出される。ファン28は、通風孔12cから光源装置2(筐体11)の外部の空気を取り込み、取り込んだ空気を光源装置2(筐体11)の外部に排出してもよい。
【0063】
次に、筐体11内に発光体10を収容する方法の一例を説明する。まず、発光体10の首部10cの付け根の部分に封止体24が装着される。発光体10は、筐体部12の端部12aから、首部10c、肩部10b及び胴部10aの順に、封止体24が筐体部13の端部13aに当接するまで挿入される。続いて、押圧部材21の窪みに発光体10の胴部10aの底部が嵌り込むように押圧部材21が位置決めされ、押圧部材21に係止部材22が装着される。このとき、係止部材22の突起22aは、方向Dから見て押圧部材21の鍔部21aと重なり合うように配置される。そして、係止部材22の雌ねじ22bが筐体部12の端部12aの雄ねじに螺合されることにより、突起22aと鍔部21aとが係合して、押圧部材21が発光体10を方向Dに向けて押圧する。以上により、発光体10は、筐体部13の端部13aと押圧部材21とにより、首部10cの付け根部分と胴部10aの底面との間で挟持されて、筐体11内に収容される。なお、弾性部材23及び封止体24が設けられているので、発光体10は端部13a及び押圧部材21に直接当たらない。その結果、発光体10の容器がガラス製であっても、容器が破損する可能性が低減される。
【0064】
次に、光源装置2の動作を説明する。調整機構17によって、収容室3内における筒体14の端部14bの位置が合わせられ、試料4の近傍に開口14dが配置される。その後、発光体10から紫外光5が出射される。発光体10から出射された紫外光5は、開口14cに入射し、筒体14内の導光空間を通過して開口14dから出射し、収容室3内の試料4に照射される。
【0065】
次に、比較例の光源装置と比較しながら、光源装置2の作用効果を説明する。図3は、比較例の光源装置の照射状態を示す図である。図4は、図2に示される光源装置及び図3に示される光源装置の光の照度特性を示すグラフである。このグラフの横軸は波長(nm)を示し、縦軸は相対照度(%)を示す。相対照度は基準照度に対する実際の照度の割合である。ここで、基準照度としては、重水素ランプのピーク波長である160nm付近における図3に示される光源装置(筒体なし)の照度が用いられている。なお、図4に示される光源装置2の照度特性は、筒体14として、300mmの長さを有する筒体が用いられた場合の照度特性である。図3に示される光源装置200は、筒体14、固定部材15、及び調整機構17を備えていない点、並びに、接続部材16に代えて接続部材216を備える点において、光源装置2と主に相違する。接続部材216は、筐体11を収容室3の側壁6に取り付けるための部材である。光源装置200では、収容室3の外部に発光体10が配置されている。したがって、発光体10を大型化し、発光体10の照射能力を上げることは可能である。しかしながら、発光体10と試料4とが離れているので、発光体10から出射された紫外光5は、収容室3内において拡散して試料4に照射される。
【0066】
一方、光源装置2では、発光体10から出射された紫外光5が、筒体14の端部14aに設けられた開口14cに入射し、筒体14内の導光空間を通過して、端部14bに設けられた開口14dから出射される。端部14aは、収容室3の外部に位置するので、発光体10は収容室3の外部に配置される。したがって、発光体10を大型化し、発光体10の照射能力を上げることができる。さらに、図1に示されるように、収容室3の外部に配置された発光体10から出射された紫外光5は、筒体14内で導光されて、収容室3内に位置する端部14bに設けられた開口14dから出射される。このように、紫外光5は導光され、試料4の近傍に配置された開口14dから出射されるので、試料4に対して、発光体10から出射された紫外光5が高効率に照射され得る。したがって、発光体10から出射される紫外光5の拡散を抑制しながら、試料4に対して局所的に強い紫外光5を照射することができる。
【0067】
図4に示されるように、115nm付近から400nmまでの波長領域において、光源装置200と比較して、光源装置2では強い紫外光5が照射されていることがわかる。特に波長が160nm付近では、筒体14を採用したことによる効果が顕著に表れている。以上のように、光源装置2によれば、発光体10の照射能力を上げるとともに、試料4に対し高効率に紫外光5を照射することが可能となる。
【0068】
調整機構17により、収容室3に配置される端部14b(開口14d)の位置を方向Dに移動させることができる。したがって、開口14dの位置を収容室3内の試料4に対して適切な位置(より近接した位置)に設定することができ、試料4に対して高効率に紫外光5を照射することが可能となる。また、紫外光5を照射しないときには、筒体14を試料4から遠ざけることができるので、収容室3内で他の作業をする場合などに、筒体14と干渉することを回避できる。
【0069】
発光体10は収容室3の外部に配置されるので、消耗品である発光体10の交換作業等を容易に実施できる。
【0070】
接続部材16の連結部16cに、方向Dにおける長さが可変であるベローズ部16dが含まれているので、フランジ16bに対してフランジ16aを相対移動させることができる。フランジ16aは固定部材15を介して筒体14に連結されており、フランジ16bは収容室3に固定されているので、フランジ16aをフランジ16bに対して方向Dに移動させることにより、筒体14の端部14bの位置を調整することができる。その際に、筒体14が他の部材に摺動案内されて移動することがないので、筒体14又は他の部材の摩耗等を防止することができる。
【0071】
側壁6とフランジ16bとの間、及び固定部材15とフランジ16aとの間は、封止部材等によって気密に封止されている。また、端部14aの外周面と挿通孔15cを画定する内周面とは溶接等により気密に固定されている。さらに、開口14cと連通する空間20Aと空間20Bとの間は、封止体24によって気密に封止されている。したがって、接続部材16内の内部空間、筒体14内の導光空間及び空間20Aは、気密性が維持されているので、収容室3内の減圧雰囲気を維持した状態のまま、収容室3に対して筒体14を進退させて、開口14dの位置を調整することができる。
【0072】
筒体14内の導光空間と空間20Aとは、気密性が維持されているので、収容室3内と同じ減圧雰囲気(真空状態)となっている。そのため、導光空間と空間20Aとは、導光空間及び空間20Aを減圧(排気)するための特別な装置が設けられていなくても、減圧雰囲気(真空状態)に維持される。したがって、発光体10から出射された紫外光5(真空紫外光)を、その光量を低下させることなく、試料4に照射することができる。
【0073】
光源装置2が使用される場合、発光体10は発熱し得る。光源装置2では、空間20Bにおいて発光体10がファン28により冷却されるので、収容室3を減圧雰囲気下に維持しながら、発光体10の過熱を抑えることができる。具体的には、ファン28によって、筐体11の外部からコネクタハウジング25を介して筐体11内の発光体10に向けて直接空気を送り込むことができる。そして、熱交換後の空気は通風孔12cから外部に排出される。これにより、筐体11に収容される発熱源である発光体10を効率的に冷却することができる。
【0074】
発光体10から紫外光5(真空紫外光)が局所的に照射されることにより、試料4を含む照射範囲に確実にイオンを発生することができる。その結果、試料4が帯電している場合、試料4を高効率に除電することができる。
【0075】
(第2実施形態)
図5を参照して、第2実施形態に係る光源装置を説明する。図5は、第2実施形態に係る光源装置の部分断面図である。図5に示されるように、第2実施形態に係る光源装置2Aは、筒体14に代えて筒体14Aを備える点、固定部材15及び接続部材16に代えて接続部材16Aを備える点、並びに、調整機構17に代えて調整機構17Aを備える点において、光源装置2と主に相違する。
【0076】
筒体14Aは、筒状部30(第1筒状部)と筒状部31(第2筒状部)とを有する。筒状部30,31は、方向Dにおける両端が開放された筒状の長尺部材である。筒状部30,31は、例えば、円筒形状を有している。筒状部30は、方向Dにおける両端部である端部14a及び端部30aを有する。筒状部31は、方向Dにおける両端部である端部31a及び端部14bを有する。筒状部31は、筒状部30に対して方向Dにおいて進退自在に取り付けられている。本実施形態においては、筒状部31の内径は、筒状部30の外径よりわずかに大きく、筒状部31は、筒状部30に対して方向Dに摺動可能に嵌め合わされている。具体的には、筒体14Aの軸回りに端部31aが端部30aを囲むように、筒状部31は筒状部30に嵌め合わされている。筒状部31の全体が収容室3内に配置されている。筒状部31の外径は、筒状部30の内径よりわずかに小さくてもよい。この場合、筒体14Aの軸回りに端部30aが端部31aを囲むように、筒状部31は筒状部30に嵌め合わされる。
【0077】
調整機構17Aは、筒状部30に対して筒状部31を方向Dに移動させることによって、端部14bの位置を調整する。調整機構17Aは、筒状部31と連結されるリンク部33と、リンク部33に連結されるロッド部34と、ロッド部34に連結されるアクチュエータ35と、を備えている。アクチュエータ35は、本体36と、筒部37と、を有している。筒部37は、本体36を基端として方向Dに延びており、その先端部にはフランジ37aを有している。アクチュエータ35の出力軸(図示せず)は、筒部37内でロッド部34に連結されている。アクチュエータ35としては、公知の電気式、油圧式、又は空気式アクチュエータが採用され得る。電気式アクチュエータの例としては、リニアソレノイド及びモータが挙げられる。
【0078】
接続部材16Aは、端部14aが収容室3の外部に位置するとともに、端部14bが収容室3内に位置するように、筒体14Aを収容室3に取り付けるための部材である。接続部材16Aは、調整機構17Aを取り付けるためにも用いられる。接続部材16Aは、本体部38と、筒部39とを備えている。筒部39は、本体部38を基端として、アクチュエータ35に向かって延びており、先端部にフランジ39aを有している。
【0079】
本体部38は、側壁6に沿って延びる板状の部分である。本体部38は、側壁6と向かい合う端面38aと、端面38aと反対側の端面38bと、を有する。本体部38は、端面38aを側壁6に接触させた状態で、側壁6にボルト等の締結部材によって固定されている。収容室3内の気密性を維持するために、例えば、銅製のメタルガスケット等の封止部材が、側壁6と本体部38との間に設けられ、側壁6と本体部38とによって挟持されている。本体部38には、貫通孔38cと、窪み38dと、貫通孔38eと、が設けられている。貫通孔38cは、方向Dに本体部38を貫通している。窪み38dは、端面38bに設けられ、方向Dに窪んでいる。窪み38dには、筐体部13が溶接等によって気密に固定される。貫通孔38eは、窪み38dの底面から方向Dに本体部38を貫通している。貫通孔38eには筒状部30が気密に固定される。
【0080】
フランジ39aは、フランジ37aにボルト及びナット等の締結部材によって固定されている。フランジ39aとフランジ37aとの間にも銅製のメタルガスケット等の封止部材が設けられている。筒部39の内部空間は、貫通孔38cを介して収容室3の内部と連通している。筒部39及び貫通孔38cには、ロッド部34が挿通されている。本体部38が側壁6に気密に固定され、フランジ39aがフランジ37aに気密に固定されるので、収容室3内の減圧雰囲気は維持される。
【0081】
光源装置2Aによっても、上述した光源装置2と共通の構成については、光源装置2と同様の効果が奏される。さらに、光源装置2Aでは、アクチュエータ35を作動させることによって、出力軸の駆動力がロッド部34及びリンク部33に伝達され、筒状部31が方向Dに進退する。この構成により、筒状部31を移動させることによって、筒体14Aの端部14bの位置を調整することができる。したがって、筒状部30と収容室3との位置関係を変えずに、筒状部31のみを進退させることによって、開口14dの位置を収容室3内の試料4に対して適切な位置に簡易に調整することができる。その結果、試料4に対し高効率に紫外光5を照射することが可能となる。
【0082】
収容室3と連通する、空間20A、筒部39の内部空間、及び貫通孔38c内の空間は気密空間とされているので、収容室3内の減圧雰囲気を維持したまま、筒状部30に対して筒状部31が進退自在に移動されて、開口14dの位置が調整され得る。
【0083】
(第3実施形態)
図6を参照して、第3実施形態に係る光源装置を説明する。図6は、第3実施形態に係る光源装置の部分断面図である。図6に示されるように、第3実施形態に係る光源装置2Bは、接続部材16に代えて接続部材16Bを備える点、及び調整機構17に代えて調整機構17Bを備える点において光源装置2と主に相違する。
【0084】
接続部材16Bは、端部14aが収容室3の外部に位置するとともに、端部14bが収容室3内に位置するように、筒体14を収容室3に取り付けるための部材である。接続部材16Bは、筒体14が方向Dに移動可能な状態で、筒体14を収容室3(側壁6)に取り付ける。接続部材16Bは、本体部40と、封止体41と、を備えている。本体部40は、側壁6に沿って延びる板状の部分である。本体部40は、側壁6と向かい合う端面40aと、端面40aと反対側の端面40bと、を有する。本体部40は、端面40aを側壁6に接触させた状態で、側壁6にボルト等の締結部材によって固定されている。収容室3内の気密性を維持するために、例えば、銅製のメタルガスケット等の封止部材が、側壁6と本体部40との間に設けられ、側壁6と本体部40とによって挟持されている。本体部40には、貫通孔40cが設けられている。貫通孔40cは、方向Dに本体部40を貫通している。
【0085】
封止体41は、貫通孔40cを画定する内周面に設けられている。封止体41としては、例えばOリングが用いられる。貫通孔40cには、筒体14が挿通されており、筒体14は、封止体41に対して摺動自在に当接している。封止体41は、筒体14の外周面と貫通孔40cを画定する内周面との間を気密に封止する。筒体14の外周面に対する封止体41の当接の程度は、筒体14の方向Dにおける往復移動が妨げられずに、かつ、収容室3内の気密を維持できる程度に設定されている。
【0086】
調整機構17Bは、ナット部19が設けられている位置において、調整機構17と主に相違している。具体的には、ナット部19は、筐体部12(筐体11)の外周面に固定されている。操作部18bを軸部18aの軸回りに正方向又は逆方向に回転させることにより、本体部40(収容室3)に対してナット部19が方向Dに進退する。このとき、ナット部19に固定されている筐体11も、筒体14とともに方向Dに進退する。つまり、調整機構17Bは、収容室3に対して筐体11を方向Dに移動させることによって、端部14bの位置を調整する。なお、調整機構17Bとして、送りねじ部18及びナット部19に代えて、公知のリニアガイド機構が用いられてもよい。
【0087】
光源装置2Bによっても、上述した光源装置2と共通の構成については、光源装置2と同様の効果が奏される。さらに、光源装置2Bでは、筒体14が方向Dに移動可能な状態で収容室3に取り付けられているので、筐体11を方向Dに移動させることにより、筐体11とともに筒体14を方向Dに移動させることができる。この構成により、筒体14の端部14bの位置を調整することができる。したがって、開口14dの位置を収容室3内の試料4に対して適切な位置に設定することができる。その結果、試料4に対し高効率に紫外光5を照射することが可能となる。封止体41が筒体14の外周面と貫通孔40cを画定する内周面との間を気密に封止しているので、収容室3内の減圧雰囲気を維持したまま、筒体14が方向Dに移動されて、開口14dの位置が調整され得る。
【0088】
(第4実施形態)
図7を参照して、第4実施形態に係る光源装置を説明する。図7は、第4実施形態に係る光源装置の部分断面図である。図7に示されるように、第4実施形態に係る光源装置2Cは、固定部材15、接続部材16、及び調整機構17に代えて、接続部材16Cを備える点において、光源装置2と主に相違する。
【0089】
接続部材16Cは、端部14aが収容室3の外部に位置するとともに、端部14bが収容室3内に位置するように、筒体14を収容室3に取り付けるための部材である。接続部材16Cは、筒体14を収容室3(側壁6)に固定する。具体的に説明すると、接続部材16Cは、側壁6に沿って延びる板状の部材である。接続部材16Cは、側壁6と向かい合う端面16gと、端面16gと反対側の端面16hと、を有する。接続部材16Cは、端面16gを側壁6に接触させた状態で、側壁6にボルト等の締結部材によって固定されている。収容室3内の気密性を維持するために、例えば、銅製のメタルガスケット等の封止部材が、側壁6と接続部材16Cとの間に設けられ、側壁6と接続部材16Cとによって挟持されている。
【0090】
端面16hには、筐体部13の端部13bが嵌り合う窪みが設けられている。当該窪みに端部13bが嵌め合わされた状態で、端部13bが端面16hに溶接等によって気密に接合されている。接続部材16Cの方向Dから見た中心部には、接続部材16Cを方向Dに貫通する挿通孔16iが設けられている。挿通孔16iは、筒体14を挿通させて取り付けるための孔である。挿通孔16iに筒体14の端部14aが嵌め合わされた状態で、端部14aが挿通孔16iを画定する内周面に溶接等によって気密に接合されている。すなわち、接続部材16Cは、固定部材15の機能を更に有している。換言すると、接続部材16Cは、固定部材15と同一部材である。
【0091】
光源装置2Cによっても、上述した光源装置2と共通の構成については、光源装置2と同様の効果が奏される。さらに、光源装置2Cでは、筒体14は接続部材16Cによって収容室3に固定されるので、筒体14の姿勢が安定し得る。したがって、試料4に対して安定した照射を実施することができる。
【0092】
光源装置2Cでは、接続部材16Cが固定部材15と同一部材であり、固定部材15の機能を接続部材16Cが兼ねている。したがって、部品点数を削減することができるとともに、光源装置2Cの構成を簡素化することができる。
【0093】
図8に示されるように、光源装置2Cは、筒体14に代えて、筒体14Cを備えてもよい。筒体14Cは、ホルダ32を更に備える点において、筒体14Aと主に相違する。ホルダ32は、筒状部31を筒状部30に固定するための部材である。ホルダ32は、筒状部31の内径と略同一の内径を有する円環状の形状を有する。ホルダ32は、筒状部31を方向Dにおいて延長するように、端部31aに溶接等によって接合されている。ホルダ32は、ねじ等の締結部材を用いることによって、筒状部30に固定される。筒状部31は、筒状部30の方向Dにおける任意の位置に固定され得る。
【0094】
この変形例では、筒体14Cが収容室3に固定されているにもかかわらず、筒状部31を筒状部30に対して方向Dに進退させることによって、収容室3内における端部14bの位置を調整することが可能になる。したがって、収容室3内の試料4に対して開口14dを適切な位置に設定することができ、試料4に対し高効率に紫外光5を照射することが可能となる。例えば、図7に示される光源装置2Cでは、筒体14を異なる長さの筒体14に交換することによって、開口14dの位置が調整され得る。これに対し、図8に示される光源装置2Cでは、筒体14Cを交換することなく、簡易な構成で開口14dの位置を調整することができる。
【0095】
(第5実施形態)
図9及び図10を参照して、第5実施形態に係る光源装置を説明する。図9は、第5実施形態に係る光源装置におけるゲートバルブの遮断状態を示す部分断面図である。図10は、第5実施形態に係る光源装置におけるゲートバルブの開放状態を示す部分断面図である。図9及び図10に示されるように、第5実施形態に係る光源装置2Dは、筐体11に代えて筐体11Dを備える点、筒体14に代えて筒体14Dを備える点、接続部材16に代えて接続部材16Dを備える点、調整機構17を備えていない点、及びゲートバルブ50(遮断部)を更に備える点において、光源装置2と主に相違する。
【0096】
筐体11Dは、筐体部13に代えて筐体部13Dを備える点において、筐体11と主に相違する。筐体部13Dは、外径が略同径の筒体である。筐体部13Dの方向Dにおける長さは、筐体部13の方向Dにおける長さよりも長い。換言すると、発光体10の先端から筐体部13Dの端部13bまでの距離が、発光体10の先端から筐体部13の端部13bまでの距離よりも長い。
【0097】
筒体14Dは、筒状部55(第1筒状部)と筒状部56(第2筒状部)とを有する。筒状部55,56は、方向Dにおける両端が開放された筒状の長尺部材である。筒状部55,56は、例えば、円筒形状を有している。筒状部55の全体が収容室3の外部に配置されている。筒状部55は、方向Dにおける両端部である端部55a,55bを有する。端部55aには、開口55cが設けられている。端部55bには、開口55dが設けられている。筒状部55は、その内部に紫外光5を導光する導光空間を画定しており、開口55cと開口55dとは導光空間を介して互いに連通している。開口55cは、空間20Aに連通している。
【0098】
筒状部56は、方向Dにおける両端部である端部56a,56bを有する。端部56aには、開口56cが設けられている。端部56bには、開口56dが設けられている。筒状部56は、その内部に紫外光5を導光する導光空間を画定しており、開口56cと開口56dとは導光空間を介して互いに連通している。端部56a(開口56c)は収容室3の外部に位置している。開口56cは、ゲートバルブ50を介して開口55dに連通している。端部56b(開口56d)は、収容室3内に位置している。筒状部55と筒状部56とは、開口55dと開口56cとが互いに向かい合うように、互いに離間して方向Dに同軸に配列されている。つまり、筒状部55の導光空間を通過した紫外光5が、筒状部56に入射可能なように、筒状部55及び筒状部56は配置されている。
【0099】
本実施形態では、固定部材15は、発光体10から出射した紫外光5が筒状部55の開口55cに入射するように筐体11と筒状部55とを連結する。具体的には、固定部材15は、筒状部55を筐体部13Dに固定するために用いられる。端面15bは、ゲートバルブ50と向かい合っている。
【0100】
接続部材16Dは、フランジ16a、フランジ16b、及び連結部16cに代えて、固定部58a、固定部58b、及び連結部58cを備えている点において、接続部材16と主に相違する。固定部58aは、筒体14D(筒状部56)と固定される点及び延長部16eを有しない点において、フランジ16aと主に相違する。固定部58bは、筒体14D(筒状部56)と固定される点及び延長部16fを有しない点において、フランジ16bと主に相違する。各固定部58a,58bの方向Dから見た中心部にはそれぞれ貫通孔58d,58eが設けられている。連結部58cは、ベローズ部16dを含まない点において連結部16cと主に相違する。連結部58cは、方向Dにおいて外径が略同径の筒体である。貫通孔58d,58e及び連結部58cの内部空間が互いに連通するように、連結部58cの方向Dにおける両端に固定部58a,58bが溶接等により接合されている。筒状部56が、貫通孔58d、連結部58cの内部空間、貫通孔58e、及び貫通孔6aの順に挿通しており、開口56dが収容室3の内部に位置している。筒状部56の外周面と貫通孔58d,58eを画定する内周面とは溶接等によって気密に接合されている。
【0101】
ゲートバルブ50は、筒体14Dを通過する紫外光5を遮断可能な装置である。ゲートバルブ50は、固定部材15と接続部材16Dとの間に設けられている。つまり、ゲートバルブ50は、筒状部55と筒状部56との間に設けられている。ゲートバルブ50は、開放状態と遮断状態との間で切り替えられる。開放状態は、筒状部55と筒状部56との間を紫外光5が通過可能な状態である(図10参照)。遮断状態は、筒状部55と筒状部56との間で紫外光5を遮断可能な状態である(図9参照)。ゲートバルブ50は、遮断状態に切り替えられることによって、筒状部55と筒状部56との間で流体の移動を更に遮断する。つまり、ゲートバルブ50は、遮断状態に切り替えられることによって、筒状部55の開口55dと連通する空間と筒状部56の開口56cと連通する空間との間を気密に封止することができる。
【0102】
ゲートバルブ50は、ハウジング51とゲート52とを有している。ハウジング51は、方向Dにおける一方の端部51aと他方の端部51bとを有している。ゲート52は、方向Dと交差する方向(直交方向)に摺動(スライド)できるように、ハウジング51に取り付けられている。ハウジング51とゲート52との摺動面には、ハウジング51内の気密を維持できるように、封止部材によって封止されている。
【0103】
ハウジング51の端部51aは、固定部材15にボルト及びナット等の締結部材によって固定されている。ハウジング51の端部51bは、接続部材16Dの固定部58aにボルト及びナット等の締結部材によって固定されている。端部51aと固定部材15との間、及び端部51bと固定部58aとの間には、例えば、銅製のメタルガスケット等の封止部材が配置されており、ハウジング51内の気密が維持できるように構成されている。筒状部55の端部55b及び筒状部56の端部56aはハウジング51内に位置し、ゲート52を介して互いに向かい合っている。
【0104】
光源装置2Dでは、発光体10から出射される紫外光5は、端部55aの開口55cに入射し、筒状部55内の導光空間を通過して、端部55bの開口55dから出射する。ゲートバルブ50(ゲート52)が開放状態である場合には、開口55dから出射した紫外光5は、開口56cに入射し、筒状部56内の導光空間を通過して、開口56dから出射し、収容室3内の試料4に照射される。一方、ゲートバルブ50(ゲート52)が遮断状態である場合は、開口55dから出射した紫外光5は、ゲート52に遮断されて、開口56cに入射することはできない。よって、収容室3内の試料4に紫外光5は照射されない。
【0105】
光源装置2Dにおいて、紫外光5を遮断するための機構として、ゲートバルブ50が用いられているが、ゲートバルブ50に限られず、紫外光5を遮ることが可能な別の機構が用いられてもよい。例えば、紫外光5を遮ることが可能な別の機構として、カメラのシャッター機構が挙げられる。また、ゲートバルブ50の使用目的が、紫外光5の通過及び遮断に限られる場合は、ゲートバルブ50が、流体移動を遮断することが可能な構造(封止構造)を有していなくてもよい。
【0106】
光源装置2Dによっても、上述した光源装置2と共通の構成については、光源装置2と同様の効果が奏される。さらに、光源装置2Dでは、導光空間を画定する筒体14Dは、筒状部55と筒状部56とに分割されており、筒状部55と筒状部56との間にゲートバルブ50が配置されている。ゲートバルブ50により機械的に光の通過経路を遮断することができる。つまり、ゲート52の開閉により機械的に紫外光5の通過及び遮断を制御することができる。したがって、紫外光5の照射を停止するときに発光体10自体を消光する必要がない。その結果、発光体10自体の発光又は消光の頻度を抑えることができるので、発光体10の劣化を抑え、発光体10の寿命を延ばすことができる。
【0107】
筒状部55と筒状部56との間にゲートバルブ50が設けられる。したがって、ゲートバルブ50の設置スペースを十分に確保することができる。
【0108】
(第6実施形態)
図11を参照して、第6実施形態に係る光源装置を説明する。図11は、第6実施形態に係る光源装置の部分断面図である。図11に示されるように、第6実施形態に係る光源装置2Eは、リークバルブ70(開放部)と、減圧装置71と、配管72と、を更に備えている点において光源装置2Dと主に相違する。
【0109】
リークバルブ70は、空間20Aを大気に開放するための部材である。リークバルブ70は、筐体部13Dに設けられる。減圧装置71は、空間20Aの圧力を減圧するために用いられる。減圧装置71は、配管72を通じて空間20Aと連通している。減圧装置71としては、単独の減圧装置が使用されてもよいが、空間20Aを高真空状態とする場合は、荒引用の減圧装置と高真空用の減圧装置とを併用する態様が採用され得る。荒引用及び高真空用の減圧装置としては、それぞれ、ロータリーポンプ及びターボ分子ポンプが採用され得る。
【0110】
ここで、一例として、発光体10の交換作業の一連の手順について説明する。
【0111】
まず、ゲートバルブ50が遮断状態に切り替えられることによって、筒状部55と筒状部56との間で空気の移動が遮断される。そして、リークバルブ70を開くことにより、空間20Aが大気に開放される。そして、押圧部材21、係止部材22及びコネクタハウジング25が筐体部12から取り外された後、発光体10が交換される。その後、空間20Aの気密が確認された上で、減圧装置71によって、空間20Aが徐々に減圧される。空間20Aの圧力が収容室3内の圧力と略同程度になると、減圧装置71が停止され、ゲートバルブ50が開放状態に切り替えられる。
【0112】
光源装置2Eによっても、上述した光源装置2Dと同様の効果が奏される。さらに、光源装置2Eは、空間20Aを大気に開放するためのリークバルブ70を備えている。リークバルブ70によって空間20Aを大気に開放することができる。この構成により、発光体10の交換等を容易に実施することができる。具体的に説明すると、ゲートバルブ50が開放状態である場合には、減圧雰囲気下に維持された収容室3に配置される開口56dと開口55cとは連通しているので、開口55cと連通する空間20Aも減圧雰囲気下に維持されている。この状態では、空間20Aと空間20Aの外部との間に圧力差が生じているので、発光体10の交換等のために、筐体部12を筐体部13Dから容易に取り外すことはできない。これに対して、リークバルブ70によって、空間20Aを大気に開放することができるので、筐体部13Dから筐体部12を容易に取り外すことができ、発光体10の交換等を実施することが可能となる。
【0113】
光源装置2Eは、遮断状態に切り替えられることによって、筒状部55と筒状部56との間で流体の移動を遮断するゲートバルブ50を備えている。ゲートバルブ50(ゲート52)が開放状態である場合には、収容室3に配置される開口56dと開口55cとは連通している。したがって、収容室3内が減圧雰囲気下に維持されているときには、開口55cと連通する空間20Aも減圧雰囲気下に維持されている。他方、ゲートバルブ50(ゲート52)が遮断状態に切り替えられた場合には、筒状部55と筒状部56との間で流体(空気)の移動が遮断される(図11参照)。その状態で、発光体10の交換等のために、リークバルブ70によって、空間20Aが大気に開放されたとしても、空間20Aから収容室3内へ空気は流れないので、筒体14Dを介して空気が収容室3に流入することが回避され得る。したがって、ゲートバルブ50を遮断状態とすることによって、収容室3内を減圧雰囲気下に維持した状態で、発光体10の交換等を実施することが可能となる。
【0114】
さらに、光源装置2Eは、減圧装置71を備えている。したがって、開口55cと連通する空間20Aが、リークバルブ70によって一旦大気に開放された場合であっても、減圧装置71によって再度減圧雰囲気に戻すことができる。空間20Aが減圧雰囲気下に戻された後に、ゲートバルブ50を遮断状態から開放状態に切り替えることによって、収容室3内の圧力の変動が抑制される。その結果、収容室3内の圧力を調整するための作業等を軽減することができる。
【0115】
なお、本開示に係る光源装置は上記実施形態に限定されない。
【0116】
例えば、上記各実施形態及び変形例は、単独で用いられてもよいし、組み合わせられてもよい。
【0117】
光源装置2において、接続部材16は、固定部材15に接続部材16を接続するための接続部として、フランジ16aを備えているが、フランジ16aに代えて、固定部材15に接続部材16を接続するための別の接続部を備えてもよい。同様に、接続部材16は、フランジ16bに代えて、収容室3に接続部材16を接続するための別の接続部を備えてもよい。
【0118】
光源装置2において、接続部材16は、方向Dに長さが可変である可変部として、ベローズ部16dを備えているが、ベローズ部16dに代えて、方向Dに長さが可変である別の可変部を備えてもよい。別の可変部の例として、方向Dに力が加わることによって方向Dに対して屈曲変形するような筒状部材が挙げられる。
【0119】
光源装置2,2A,2B,2C,2D,2Eにおいて、発光体10を冷却するための冷却部として、空冷式の冷却部であるファン28が用いられているが、別の冷却部が用いられてもよい。別の冷却部の例として、水冷式の冷却部及びペルチェ素子等の電子冷却素子を用いた冷却部が挙げられる。
【0120】
光源装置2,2A,2B,2C,2D,2Eにおいて、空間20Aは、空間20Bと方向Dにおいて隣り合うように構成されているが、空間20Aは、空間20Bと方向Dにおいて隣り合うように構成されてなくてもよい。例えば、空間20Aは、空間20Bと方向Dと交差する方向において隣り合うように構成されてもよい。その場合には、発光体10から出射した紫外光5を方向Dに偏向させるための反射鏡等の部材が配置され得る。
【0121】
光源装置2,2A,2B,2C,2D,2Eにおいて、発光体10として、紫外光5以外の光を照射可能な発光体10が用いられてもよい。
【0122】
光源装置2,2A,2B,2Cは、光の通過経路を遮断するために、遮断部、例えば、ゲートバルブ50を更に備えてもよい。この場合、ゲートバルブ50は、発光体10と接続部材16,16A,16B,16Cとの間に設けられる。この構成においても、発光体10自体の発光又は消光の頻度を抑えることができるので、発光体10の劣化を抑え、発光体10の寿命を延ばすことができる。
【0123】
光源装置2D,2Eは、筒状部56の開口56dの方向Dにおける位置を調整可能に構成されていてもよい。例えば、光源装置2D,2Eは、調整機構17,17Bのいずれかを備えてもよく、接続部材16Dの連結部58cは、方向Dにおける長さが可変である可変部、例えば、ベローズ部16dを含んでもよい。光源装置2D,2Eは、筒状部56に代えて、筒体14Aと同様の構成を有する筒状部を備えてもよく、進退自在の筒状部を方向Dに移動させる調整機構17Aを更に備えてもよい。光源装置2D,2Eにおいて、筒体14Dは、筒状部56に代えて、筒体14Cと同様の構成を有する筒状部を備えてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1…除電装置、2,2A,2B,2C,2D,2E…光源装置、3…収容室、4…試料(被照射対象)、5…紫外光、10…発光体、11…筐体、12…筐体部(第2筐体部)、13,13D…筐体部(第1筐体部)、14,14A,14C,14D…筒体、14a…端部(第1端)、14b…端部(第2端)、14c…開口(第1開口)、14d…開口(第2開口)、15…固定部材、16,16A,16B,16C,16D…接続部材、16a…フランジ(第1接続部)、16b…フランジ(第2接続部)、16c…連結部、16d…ベローズ部(可変部)、17,17A,17B…調整機構、20A…空間(第1空間)、20B…空間(第2空間)、24…封止体、28…ファン(冷却部)、30…筒状部(第1筒状部)、31…筒状部(第2筒状部)、50…ゲートバルブ(遮断部)、55…筒状部(第1筒状部)、55a…端部(第1端)、55b…端部、55c…開口(第1開口)、55d…開口、56…筒状部(第2筒状部)、56a…端部、56b…端部(第2端)、56c…開口、56d…開口(第2開口)、70…リークバルブ(開放部)、71…減圧装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11