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特開2022-106490調光シート、調光窓、および、調光装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106490
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】調光シート、調光窓、および、調光装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20220712BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20220712BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20220712BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1333
G02F1/1339 505
E06B9/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001526
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】白石 隆司
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088FA04
2H088GA10
2H088HA01
2H088HA02
2H088MA20
2H189AA04
2H189CA12
2H189DA72
2H189DA77
2H189FA81
2H189HA16
2H189LA02
2H189LA04
2H189LA24
2H189MA15
(57)【要約】
【課題】調光シートに対する脱出路および救出路の形成を容易とすることを可能とした調光シート、調光窓、および、調光装置を提供する。
【解決手段】調光シート10は、第1透明電極層を備える第1透明シートと、第2透明電極層を備える第2透明シートと、第1透明電極層と第2透明電極層とに挟まれ、第1透明電極層と第2透明電極層との間に印加される電圧に応じたヘイズを有するように構成された調光層とを備える。調光シート10が広がる平面と対向する平面視において、調光シート10は、第1領域10Aおよび第2領域10Bを備える。第1領域10Aと第2領域10Bとの境界領域10Cの一部には、調光シートを厚さ方向に貫通する孔が位置し、境界領域10Cにおける第1透明電極層および第2透明電極層は、第2領域10Bを第1領域10Aに接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1透明電極層を備える第1透明シートと、
第2透明電極層を備える第2透明シートと、
前記第1透明電極層と前記第2透明電極層とに挟まれ、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に印加される電圧に応じたヘイズを有するように構成された調光層と、を備え、
調光シートが広がる平面と対向する平面視において、前記調光シートは、第1領域、および第2領域を備え、
前記第1領域と前記第2領域との境界領域の一部には、前記調光シートを厚さ方向に貫通する孔が位置し、前記境界領域における前記第1透明電極層および前記第2透明電極層は、前記第2領域を前記第1領域に接続する
調光シート。
【請求項2】
前記境界領域は、第1接続部と第2接続部とを含み、
前記第1接続部において、前記第1透明電極層が前記第2領域を前記第1領域に接続し、かつ、前記第2透明シートは、前記第2透明シートを前記調光シートの厚さ方向において貫通する孔を有し、
前記第2接続部において、前記第2透明電極層が前記第2領域を前記第1領域に接続し、かつ、前記第1透明シートは、前記第1透明シートを前記調光シートの厚さ方向において貫通する孔を有する
請求項1に記載の調光シート。
【請求項3】
前記第1接続部において、前記第1透明シートは、前記調光層と対向する面とは反対側の面に窪みを有する
請求項2に記載の調光シート。
【請求項4】
前記境界領域の前記孔を区画する側面を覆う封止部をさらに備える
請求項1に記載の調光シート。
【請求項5】
前記封止部は、着色剤および蓄光剤の少なくとも一方を含む
請求項4に記載の調光シート。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の調光シートと、
前記調光シートを支持する透明部材と、を備え、
前記第2領域は、鉛直方向における前記調光シートの中央部よりも上方において前記第1領域に接続される
調光窓。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の調光シートと、
前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に電圧を印加する駆動部と、
前記調光シートに電気的に接続されて、前記調光シートの破壊を検知する検知部と、を備える
調光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光シート、調光窓、および、調光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶を含む調光層と、調光層を挟む一対の透明電極層とを備える調光シートが知られている。調光シートは、一対の透明電極層間に印加された電圧に応じて、透明状態と不透明状態とを有する。これにより、調光シートが第1空間と第2空間とを区切る場合に、調光シートが透明状態であることによって、第1空間に存在する視認対象が第2空間から視認される一方で、調光シートが不透明状態であることによって、第1空間に存在する視認対象が第2空間から視認されない。こうした調光シートは、車両が備えるサイドウィンドガラスなどへの適用が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/021308号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、調光シートが車両のサイドウィンドガラス、および、建物が備える窓ガラスなどに適用される場合には、安全性の観点から、非常時において調光シートに対する脱出路および救出路の形成が容易な構造であることが望まれる。一方、こうした構造について、未だ十分な検討がなされていない。
【0005】
本発明は、調光シートに対する脱出路および救出路の形成を容易とすることを可能とした調光シート、調光窓、および、調光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための調光シートは、第1透明電極層を備える第1透明シートと、第2透明電極層を備える第2透明シートと、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層とに挟まれ、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に印加される電圧に応じたヘイズを有するように構成された調光層と、を備える。調光シートが広がる平面と対向する平面視において、前記調光シートは、第1領域および第2領域を備える。前記第1領域と前記第2領域との境界領域の一部には、前記調光シートを貫通する孔が位置し、前記境界領域における前記第1透明電極層および前記第2透明電極層は、前記第2領域を前記第1領域に接続する。
【0007】
上記調光シートによれば、第2領域は、境界領域における2つの透明電極層によって第1領域に接続されるから、第1透明電極層と第2透明電極層との間に電圧が印加されることによって、第1領域と第2領域との両方に電圧を印加することが可能である。一方で、境界領域の一部には調光シートを貫通する孔が位置するから、調光シートが孔を有しない場合に比べて、境界領域に沿って調光シートを破壊することが容易である。これにより、調光シートに対する脱出路および救出路の形成を容易とすることができる。
【0008】
上記調光シートにおいて、前記境界領域は、第1接続部と第2接続部を含み、前記第1接続部において、前記第1透明電極層が前記第2領域を前記第1領域に接続し、かつ、前記第2透明シートは、前記第2透明シートを前記調光シートの厚さ方向において貫通する孔を有し、前記第2接続部において、前記第2透明電極層が前記第2領域を前記第1領域に接続し、かつ、前記第1透明シートは、前記第1透明シートを前記調光シートの厚さ方向において貫通する孔を有してもよい。
【0009】
上記調光シートによれば、各接続部には一方の透明シートを貫通する孔が位置するから、調光シートを破断されやすくすることができる。
【0010】
上記調光シートにおいて、前記第1接続部において、前記第1透明シートは、前記調光シートと対向する面とは反対側の面に窪みを有してもよい。この調光シートによれば、第1透明シートが窪みを有することによって、第1領域から第2領域を切断する際に、第1接続部を起点とする調光シートの破断がより容易である。
【0011】
上記調光シートにおいて、前記調光シートは、前記境界領域を区画する側面を覆う封止部をさらに備えてもよい。この調光シートによれば、調光シートの外部に露出する側面が封止部によって覆われるから、側面に対する異物の付着、および、側面から調光シートの内部への異物の侵入を抑えることができる。
【0012】
上記調光シートにおいて、前記封止部は、着色剤および蓄光剤の少なくとも一方を含んでもよい。この調光シートによれば、調光シートのうちで、境界領域に沿う部分が着色剤および蓄光剤に応じた色を呈するから、境界領域の位置が目視によって特定されやすい。
【0013】
上記課題を解決するための調光窓は、上記調光シートと、前記調光シートを支持する透明部材と、を備え、前記第2領域は、鉛直方向における前記調光シートの中央部よりも上方において前記第1領域に接続される。
【0014】
上記調光窓によれば、第2領域が、鉛直方向における調光シートの中央部よりも下方において第1領域に接続される場合に比べて、透明部材が調光シートとともに境界領域に沿って破壊された場合に、第1領域および第2領域の一方が、当該領域の自重によって倒れることが抑えられる。
【0015】
上記課題を解決するための調光装置は、上記調光シートと、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に電圧を印加する駆動部と、前記調光シートに電気的に接続されて、前記調光シートの破壊を検知する検知部と、を備える。この調光シートによれば、調光シートが破壊されたことを検知部によって検知することが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、調光シートに対する脱出路および救出路の形成を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態における調光シートの構造を示す平面図。
図2図1のII‐II線に沿う構造を示す断面図。
図3図1のIII‐III線に沿う構造を示す断面図。
図4】第1実施形態における調光装置の構造を示す平面図。
図5】第1実施形態の変更例における調光シートの構造を示す断面図。
図6】第1実施形態の変更例における調光シートの構造を示す断面図。
図7】第1実施形態の変更例における調光シートの構造を示す断面図。
図8】第2実施形態における調光シートの構造を示す平面図。
図9図8のIX‐IX線に沿う構造を示す断面図。
図10図8のIX‐IX線に沿う構造における他の例を示す断面図。
図11図8のIX‐IX線に沿う構造における他の例を示す断面図。
図12】第2実施形態における調光シートの構造における他の例を示す平面図。
図13図12のXIII‐XIII線に沿う構造を示す断面図。
図14】第3実施形態における調光装置の構造を模式的に示すブロック図。
図15】第3実施形態における調光装置の構造における他の例を模式的に示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
図1から図4を参照して、調光シート、調光窓、および、調光装置の第1実施形態を説明する。
【0019】
[調光窓]
図1から図3を参照して、調光窓を説明する。調光窓は、調光シートおよび透明部材を備えている。
【0020】
図1が示すように、調光シート10が広がる平面と対向する平面視において、調光シート10は、第1領域10A、第2領域10B、および、境界領域10Cを備えている。境界領域10Cは、第1領域10Aと第2領域10Bとの間に位置する。本実施形態において、調光シート10は四角形状を有している。境界領域10Cは、矩形環状を有している。境界領域10Cは、接続部10C1と分離部10C2とから構成されている。接続部10C1は、矩形環状の一部であり、分離部10C2は、当該矩形環状における残りの部分である。
【0021】
図2は、図1が示すII‐II線に沿う調光窓30の断面構造を示している。
図2が示すように、調光シート10は、第1透明電極層11A、第2透明電極層11B、調光層12、第1透明基材13A、および、第2透明基材13Bを備えている。第1透明電極層11Aと第1透明基材13Aとが、第1透明シートを形成する。第2透明電極層11Bと第2透明基材13Bとが、第2透明シートを形成する。
【0022】
調光層12は、第1透明電極層11Aと第2透明電極層11Bとに挟まれ、第1透明電極層11Aと第2透明電極層11Bとの間に印加される電圧に応じたヘイズを有するように構成されている。本実施形態では、調光層12は液晶を含んでいる。第1透明基材13Aは、第1透明電極層11Aを支持している。第2透明基材13Bは、第2透明電極層11Bを支持している。分離部10C2には、調光シート10の厚さ方向において、調光シート10を貫通する貫通孔C2Hが位置している。図2が示す例では、調光シート10はノーマル型である。
【0023】
調光窓30は、上述した調光シート10と、調光シートを支持する透明部材31とを備えている。調光シート10は、粘着層32をさらに備えている。粘着層32は、各種の粘着剤によって形成される。粘着層32は、透明部材31に調光シート10を貼り付ける。図2が示す例では、粘着層32は、調光シート10の厚さ方向において粘着層32を貫通する貫通孔32Aを備えている。貫通孔32Aは、調光シート10が広がる平面と対向する視点から見て、調光シート10の分離部10C2が位置する部位に位置している。
【0024】
なお、粘着層32は貫通孔32Aを有しなくてもよい。ただし、粘着層32が貫通孔32Aを有することによって、分離部10C2が透明部材31に貼り付けられないから、調光シート10が、分離部10C2を起点として破断されやすい。
【0025】
図3は、図1が示すIII‐III線に沿う調光窓30の断面構造を示している。
図3が示すように、接続部10C1は、第2領域10Bを第1領域10Aに接続する。本実施形態では、接続部10C1が、第1透明電極層11Aの一部と、第2透明電極層11Bの一部とを含むことによって、第1透明電極層11Aおよび第2透明電極層11Bとの両方によって、第2領域10Bを第1領域10Aに接続する。
【0026】
そのため、第1透明電極層11Aと第2透明電極層11Bとの間に電圧が印加されていない状態では、第1領域10Aおよび第2領域10Bの両方が不透明状態である。これに対して、第1透明電極層11Aと第2透明電極層11Bとの間に電圧が印加されている状態では、第1領域10Aおよび第2領域10Bの両方が透明状態である。分離部10C2は、各領域10A,10Bが不透明状態である場合に、目視によって視認可能な幅を有してもよいし、目視によって視認不可能な幅を有してもよい。
【0027】
第2領域10Bは、境界領域10Cにおける接続部10C1によって第1領域10Aに接続されるから、第1透明電極層11Aと第2透明電極層11Bとの間に電圧が印加されることによって、第1領域10Aと第2領域10Bとの両方に電圧を印加することが可能である。一方で、境界領域10Cのうち、分離部10C2において調光シート10が貫通されるから、調光シート10が分離部10C2を有しない場合に比べて、分離部10C2に沿って調光シート10を破壊することが容易である。したがって、調光シート10に対する脱出路および救出路の形成を容易とすることができる。
【0028】
なお、調光シート10が調光窓30に適用される場合には、接続部10C1が、鉛直方向において、調光シート10の中央部よりも上方に位置してよい。これにより、鉛直方向において、接続部10C1が調光シート10の中央部よりも下方に位置する場合に比べて、分離部10C2に沿って透明部材31が破壊された場合に、第1領域10Aおよび第2領域10Bの一方が、当該領域10A,10Bの自重によって倒れることが抑えられる。
【0029】
なお、図1が示す例では、境界領域10Cのなかで、鉛直方向において最も上方に接続部10C1が位置している。接続部10C1は、鉛直方向において、調光シート10の中央部よりも調光シート10の上端寄りに位置している。そのため、分離部10C2に沿って調光窓30の透明部材31が破壊された場合にも、接続部10C1によって第2領域10Bが第1領域10Aに吊り下げられた状態が維持されやすい。
【0030】
各透明電極層11A,11Bは、例えば透明導電酸化物によって形成されてもよい。透明導電酸化物は、例えばITOであってよい。なお、各透明電極層11A,11Bは、導電性高分子によって形成されてもよい。調光層12は、例えばポリマーネットワーク型液晶によって形成されてよい。あるいは、調光層12は、分散型液晶によって形成されてもよい。各透明基材13A,13Bは、各種の合成樹脂によって形成された樹脂シートであってよい。調光窓30において、透明部材31は、各種の合成樹脂によって形成されてもよいし、ガラスによって形成されてもよい。なお、透明部材31の厚さは、各透明基材13A,13Bの厚さよりも厚い。
【0031】
[調光装置]
図4は、調光装置の構造を示している。
図4が示すように、調光装置40は、調光シート10と駆動部41とを備えている。調光シート10は、一対の端子10Dを備えている。一対の端子10Dには、駆動部41が接続される。一対の端子10Dは、調光シート10が広がる平面と対向する視点から見て、調光シート10が有する1つの辺に沿って間隔を空けて並んでいる。一対の端子10Dは、調光シート10が広がる平面において、4つの辺のなかで、接続部10C1からの距離が最も短い辺に沿って並んでいる。
【0032】
そのため、一対の端子10Dがそれ以外の辺に沿って並ぶ場合に比べて、接続部10C1を介して第2領域10Bに印加される電圧に降下が生じにくい。これによって、第1透明電極層11Aと第2透明電極層11Bとの間に電圧が印加された状態において、第1領域10Aの透明度合いと、第2領域10Bの透明度合いとに差が生じることが抑えられる。
【0033】
以上説明したように、調光シート、調光窓、および、調光装置の第1実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)分離部10C2において調光シート10が貫通されるから、分離部10C2に沿って調光シート10の貼付対象を破壊することが容易である。したがって、調光シート10に対する脱出路および救出路の形成を容易とすることができる。
【0034】
(2)分離部10C2に沿って透明部材31が破壊された場合に、第1領域10Aおよび第2領域10Bの一方が、当該領域10A,10Bの自重によって倒れることが抑えられる。
【0035】
[第1実施形態の変更例]
[封止部]
図5から図7が示すように、調光シート10は封止部を備えてもよい。
【0036】
図5が示すように、調光シート10は、境界領域10Cのうち、分離部10C2を区画する側面C2Sを備えている。調光シート10は、側面C2Sを覆う封止部33をさらに備えている。封止部33は、側面C2Sの全体を覆う一方で、分離部10C2の全体には充填されていない。言い換えれば、調光シート10が広がる平面と直交する平面に沿う断面において、封止部33は、分離部10C2を区画する一対の側面C2Sを覆う一方で、各側面C2Sを覆う封止部33は互いから離れている。なお、本変更例では、粘着層32が上述した貫通孔32Aを有するから、封止部33は、貫通孔32Aを区画する側面32ASも覆っている。図5が示す例では、封止部33は、分離部10C2の側面C2Sを覆う一方で、分離部10C2からはみ出していない。
【0037】
封止部33を備える調光シート10によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(3)調光シート10の外部に露出する側面が封止部によって覆われるから、側面に対する異物の付着、および、側面から調光シートの内部への異物の侵入を抑えることができる。
【0038】
図6が示すように、封止部33は、分離部10C2の側面C2Sにおける一部のみを覆ってもよい。図6が示す例では、封止部33は、側面C2Sのうちで、第1透明基材13Aの端面、第1透明電極層11Aの端面、および、調光層12の端面によって形成される部分のみを覆っている。なお、第1透明基材13A、第1透明電極層11A、および、調光層12の各々における端面は、調光シート10が広がる平面に対して略直交する面である。この場合には、封止部33が調光層12の端面を覆っているから、調光層12の端面から調光層12内に水分などの異物が浸入することは抑えられる。
【0039】
図6が示す封止部33の形状は、図7が示す形状に変更されてもよい。
すなわち、図7が示すように、封止部33は、上述した側面C2Sと、第1透明基材13Aの表面13ASの一部であって、側面C2Sに連なる部分を覆ってもよい。この場合には、封止部33が側面C2Sのみを覆う場合に比べて、封止部33と側面C2Sとの境界から、水分などの異物が調光シート10内に浸入することが抑えられる。
【0040】
・封止部33は、着色剤および蓄光剤の少なくとも一方を含んでもよい。封止部33が着色剤および蓄光剤の少なくとも一方を含む場合には、以下に記載の効果を得ることができる。
【0041】
(4)調光シート10のうちで、境界領域10Cに沿う部分が、着色剤および蓄光剤に応じた色を呈するから、境界領域10Cの位置が目視によって特定されやすい。
【0042】
[境界領域]
・境界領域10Cは、上述した矩形環状に限らず、任意の形状を有することが可能である。例えば、境界領域10Cは、第2領域10Bを取り囲んでいなくてもよい。この場合には、境界領域10Cは、調光シート10が広がる平面と対向する視点から見て、調光シート10を横切る帯状を有してもよい。この場合であっても、境界領域10Cは、調光シート10を第1領域10Aと第2領域10Bとに区分することができる。
【0043】
[調光シート]
・調光シート10が広がる平面と対向する平面視において、調光シート10の外形は、上述した四角形状に限らず、任意の形状を有することが可能である。
【0044】
・調光シート10は、リバース型でもよい。この場合には、調光シート10は、第1配向膜と第2配向膜とを備える。第1配向膜は、第1透明電極層11Aと調光層12との間に位置する。第2配向膜は、第2透明電極層11Bと調光層12との間に位置している。第1配向膜および第2配向膜は、垂直配向膜であってよい。
【0045】
[第2実施形態]
図8から図11を参照して、調光シート、調光窓、および、調光装置の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、上述した第1実施形態と比べて、調光シートが2つの接続部を備える点が異なっている。そのため以下では、こうした相違点を詳しく説明する一方で、第2実施形態の構成において第1実施形態と共通する構成には、第1実施形態と同一の符号を付すことによって、当該構成の詳しい説明を省略する。
【0046】
[調光窓]
図8から図11を参照して、調光窓を説明する。
図8が示すように、境界領域10Cは、第1接続部C1Aと第2接続部C1Bとを備えている。第2接続部C1Bは、境界領域10Cの中で、第1接続部C1Aが位置する部分とは異なる部分に位置している。図8が示す例では、第1接続部C1Aは境界領域10Cが有する第1辺上に位置し、かつ、第2接続部C1Bは第1辺と平行な第2辺上に位置している。なお、第1接続部C1Aおよび第2接続部C1Bは、図8が示す例のように、境界領域10Cが有する辺のなかで互いに異なる辺上に位置してもよいし、同一の辺上に位置してもよい。
【0047】
境界領域10Cは、第1分離部C2Aと第2分離部C2Bとを含んでいる。各分離部C2A,C2Bは、第1接続部C1Aおよび第2接続部C1Bによって、互いから分離されている。
【0048】
図9は、図8が示すIX‐IX線に沿う断面構造を示している。
図9が示すように、第1接続部C1Aにおいて、第1透明電極層11Aが第2領域10Bを第1領域10Aに接続している。また、第1接続部C1Aにおいて、第2透明シートは、第2透明シートを調光シート10の厚さ方向において貫通する貫通孔C1AHを有している。これに対して、第2接続部C1Bにおいて、第2透明電極層11Bが第2領域10Bを第1領域10Aに接続する。また、第2接続部C1Bにおいて、第1透明シートは、第1透明シートを調光シート10の厚さ方向において貫通する貫通孔C1BHを有している。
【0049】
2つの接続部C1A,C1Bには一方の透明シートを貫通する貫通孔C1AH,C1BHが位置するから、調光シート10を破断されやすくすることができる。
【0050】
図9が示す例では、第1接続部C1Aは、第1透明基材13Aの一部、第1透明電極層11Aの一部、および、調光層12の一部を含んでいる。一方で、第2接続部C1Bは、第2透明基材13Bの一部、第2透明電極層11Bの一部、および、調光層12の一部を含んでいる。
【0051】
図10は、図8が示すIX‐IX線に沿う断面構造における第1変更例を示している。
図10が示すように、第1変更例では、第1接続部C1Aは、第1透明基材13Aの一部、および、第1透明電極層11Aの一部を含んでいる。これに対して、貫通孔C1AHは、第2透明基材13B、第2透明電極層11B、および、調光層12の各々に形成された貫通孔を含んでいる。
【0052】
一方で、第2接続部C1Bは、第2透明基材13Bの一部、および、第2透明電極層11Bの一部を含んでいる。これに対して、貫通孔C1BHは、第1透明基材13A、第1透明電極層11A、および、調光層12の各々に形成された貫通孔を含んでいる。
【0053】
図11は、図8が示すIX‐IX線に沿う断面構造における第2変更例を示している。なお、第2変更例では、第1変更例と比べて、各透明基材が有する厚さが厚い。ただし、第2変更例の透明基材が有する厚さは、第1変更例の透明基材が有する厚さ以下であってもよい。
【0054】
図11が示すように、第2変更例では、第1接続部C1Aは、第1透明基材13Aの一部、および、第1透明電極層11Aの一部を含んでいる。第1接続部C1Aにおいて、第1透明基材13Aは、第1透明電極層11Aを支持する面とは反対側の面に窪み13A1を有する。第1透明基材13Aが窪み13A1を有することによって、第1領域10Aから第2領域10Bを破断する際に、第1接続部C1Aを起点とする調光シート10の破断がより容易である。
【0055】
第2接続部C1Bは、第2透明基材13Bの一部、および、第2透明電極層11Bの一部を含んでいる。第2接続部C1Bにおいて、第2透明基材13Bは、第2透明電極層11Bを支持する面とは反対側の面に窪み13B1を有する。第2透明基材13Bが窪み13B1を有することによって、第1領域10Aから第2領域10Bを破断する際に、第2接続部C1Bを起点とする調光シート10の破断がより容易である。
【0056】
図11が示す例では、調光シート10が広がる平面に直交し、かつ、窪み13A1,13B1が延びる方向と調光する平面に沿う断面において、窪み13A1,13B1を区画する側面は、矩形状の領域を区画している。なお、窪み13A1,13B1を区画する側面は、例えば、三角形状の領域を区画してもよいし、半円状の領域を区画してもよい。
【0057】
以上説明したように、調光シート、調光窓、および、調光装置の第2実施形態によれば、上述した(1)に加えて、以下に記載の効果を得ることができる。
(5)2つの接続部C1A,C1Bには一方の透明シートを貫通する孔が位置するから、調光シート10を破断されやすくすることができる。
【0058】
(6)第1透明基材13Aが窪み13A1を有することによって、第1領域10Aから第2領域10Bを破断する際に、第1接続部C1Aを起点とする調光シート10の破断がより容易である。
【0059】
[第2実施形態の変更例]
[合わせガラス]
図12は、一対の透明部材、例えば合わせガラスによって挟まれた調光シート10を示している。
【0060】
図12が示すように、調光シート10は、第2透明基材13Bにおいて粘着層32によって透明部材31に貼り付けられることに加えて、第1透明基材13Aにおいて透明部材34によって覆われてもよい。透明部材34は、例えば、各種の合成樹脂によって形成されてもよいし、ガラスによって形成されてもよい。
【0061】
図13は、図12が示すXIII‐XIII線に沿う断面構造を示している。
図13が示すように、透明部材34は、粘着層35によって第1透明基材13Aに貼り付けられている。図13が示す例では、図10を参照して先に説明した構造と同様に、第1接続部C1Aが、第1透明基材13Aの一部、および、第1透明電極層11Aの一部を含んでいる。一方で、第2接続部C1Bが、第2透明基材13Bの一部、および、第2透明電極層11Bの一部を含んでいる。
【0062】
[接続部]
・境界領域10Cは、2つの接続部C1A,C1Bに加えて、1つ以上の接続部をさらに備えてもよい。すなわち、境界領域10Cは3つ以上の接続部を備えてもよい。
【0063】
[第3実施形態]
図14および図15を参照して、調光装置の第3実施形態を説明する。第3実施形態の調光装置は、上述した第1実施形態の調光シート10、または、第2実施形態の調光シート10を備えることが可能である。
【0064】
[調光装置]
図14および図15を参照して、調光装置を説明する。なお、図14は調光装置の第1例における構造を模式的に示す一方で、図15は調光装置の第2例における構造を模式的に示している。
【0065】
図14が示す調光装置40は、調光シート10、駆動部41、スイッチ42、および、振動検知センサー43を備えている。振動検知センサー43は、検知部の一例である。振動検知センサー43は、調光シート10に加えられた振動を検知することによって、調光シート10の破壊を検知する。調光装置40において、スイッチ42と振動検知センサー43とが調光シート10に対して並列に接続され、かつ、スイッチ42と振動検知センサー43とは、互いに電気的に接続されている。駆動部41は、スイッチ42を介して調光シート10に接続されている。
【0066】
こうした調光装置40によれば、例えば、調光シート10が適用された透明部材が破壊されることによって、調光シート10に振動が加えられた場合に、調光シート10に接続された振動検知センサー43が振動を検知する。振動検知センサー43は、振動を検知したときに、スイッチ42をオフにするための制御信号を生成して、スイッチ42に向けて出力する。スイッチ42は、振動検知センサー43が生成した制御信号を入力して、駆動部41から調光シート10への電圧の印加を停止する。これにより、破壊された透明部材を介して脱出する場合に、調光シート10への通電に起因した感電を抑えることが可能である。
【0067】
図15が示す調光装置40は、調光シート10、および、駆動部44を備えている。駆動部44は、電流検知部44Aを備えている。電流検知部44Aは調光シート10に対して供給される電流量を検知する。電流検知部44Aは、上述した検知部の一例である。調光シート10の破壊によって、第1領域10Aから第2領域10Bが切り離された場合に、第1領域10Aから第2領域10Bが切り離される前に調光シート10に供給されていた電流量に対して、切り離し後において調光シート10に供給される電流量が小さくなる。
【0068】
電流検知部44Aは、調光シート10に供給される電流量が所定値以下であること、あるいは、調光シート10に供給される電流量が減少したことを検知することによって、駆動部41が、調光シート10に対する電圧の印加を停止する。これにより、破壊された調光シート10への通電に起因した感電を抑えることが可能である。
【0069】
以上説明したように、調光装置の第3実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(7)調光シート10が破壊されたことを検知部によって検知することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10…調光シート
11A…第1透明電極層
11B…第2透明電極層
12…調光層
13A…第1透明基材
13B…第2透明基材
30…調光窓
31…透明部材
40…調光装置
41…駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15