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特開2022-106501電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106501
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20220712BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001541
(22)【出願日】2021-01-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】516140214
【氏名又は名称】booost technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青井 宏憲
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】電力取引を安定して行うことができる電力取引システムを提供する。
【解決手段】売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムであって、第1ユーザから、第2ユーザに提示する売電の条件である売電条件の入力を受け付ける第1端末2と、第1端末2から、第1端末2が受け付けた売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した売電条件情報を記憶部12に記憶するサーバ装置1と、サーバ装置1から売電条件情報を受信し、受信した売電条件情報を表示部31に表示させ、第2ユーザから、第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付ける第2端末3とを備える。売電条件には、電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムであって、
前記第1ユーザから、前記第2ユーザに提示する前記売電の条件である売電条件の入力を受け付ける第1端末と、
前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した当該売電条件情報を記憶部に記憶するサーバ装置と、
前記サーバ装置から前記売電条件情報を受信し、受信した前記売電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記売電条件の選択を受け付ける第2端末と
を備え、
前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる、電力取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力取引システムにおいて、
前記給電期間には、時間単位または日単位の期間が含まれる、電力取引システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電力取引システムにおいて、
前記記憶部には、前記第2ユーザの商取引における信用度を示す与信情報が記憶されており、
前記サーバ装置は、前記第1端末に前記与信情報を配信する、電力取引システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電力取引システムにおいて、
前記サーバ装置は、電力取引市場における前記電力の取引価格を予測して、前記第2端末に予測結果を配信する、電力取引システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電力取引システムにおいて、
前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合に、前記第2ユーザに対して給電を行う発電設備の温室効果ガスの排出係数と、当該発電設備による活動量とが含まれ、
前記サーバ装置は、前記排出係数と前記活動量とに基づいて、前記発電設備の温室効果ガスの排出量を算出し、算出結果を前記第2端末に配信する、電力取引システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電力取引システムにおいて、
前記売電条件には、前記発電設備の種類が含まれ、
前記サーバ装置は、前記発電設備の種類を前記第2端末に配信する、電力取引システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電力取引システムにおいて、
前記サーバ装置は、前記電力取引が成立した場合、前記第1端末または前記第2端末に、会計処理に関する情報を配信する、電力取引システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電力取引システムにおいて、
前記第1ユーザは、1または複数の第1ユーザを含み、
前記第2ユーザは、1または複数の第2ユーザを含む、電力取引システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電力取引システムにおいて、
前記記憶部は、分散型台帳を構成する複数の記憶装置の1つである、電力取引システム。
【請求項10】
買電する第1ユーザと、売電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムであって、
前記第1ユーザから、第2ユーザに提示する前記買電の条件である買電条件を受け付ける第1端末と、
前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記買電条件を示す買電条件情報を受信し、受信した当該買電条件情報を記憶部に記憶するサーバ装置と、
前記サーバ装置から前記買電条件情報を受信し、受信した前記買電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記買電条件の選択を受け付ける第2端末と、
を備え、
前記買電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる、電力取引システム。
【請求項11】
売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引方法であって、
第1端末が、前記第1ユーザから、前記第2ユーザに提示する前記売電の条件である売電条件の入力を受け付けるステップと、
サーバ装置が、前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した当該売電条件情報を記憶部に記憶するステップと、
第2端末が、前記サーバ装置から前記売電条件情報を受信し、受信した前記売電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記売電条件の選択を受け付けるステップと
を備え、
前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる、電力取引方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力取引システムおよび電力取引方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国では、電力自由化が行われており、2016年には、一般家庭や店舗などの需要者も、複数の小売電気事業者から自由に選択して電気供給契約をすることができるようになった。小売電気事業者は、電力供給の契約を行っているユーザに対して、電力を供給するために、発電事業者などから電力を調達している。
【0003】
特許文献1には、再生可能エネルギーを利用した発電手段により発電する発電事業者と取引したことを証する環境価値証書を需要家に提供するのに好適な電力の取引管理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-119143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、我が国では、小売電気事業者と発電事業者との電力取引(電力調達)の場として、日本卸電力取引所(JEPX)が提供する電力スポット市場が存在する。電力スポット市場では、発電事業者が売電する電力量と販売価格とを入札し、小売電気事業者が買電する電力量と購入価格を入札することで、電力取引(電力の売買)が成立する。
【0006】
この電力スポット市場では、コマ(30分)ごとに電力取引が行われ、電力の取引価格が決定される。すなわち、電力スポット市場では、電力取引により電力の取引価格が決定される期間が短い。このため、電力スポット市場では、電力の取引価格の見通しを立てにくく、小売電気事業者(または発電事業者)の経営が不安定になる可能性がある。
【0007】
特に、この電力スポット市場では、発電事業者などからの入札(売り入札)と、小売電気事業者からの入札(買い入札)との需給がバランスする点で電力価格が決定される。これにより、売買の入札量によって電力の取引価格が大きく変動するため、電力の取引価格の見通しが困難となる。
【0008】
そこで、本発明は、電力取引を安定して行うことができる電力取引システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の一の実施形態に係る電力取引システムは、売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムであって、前記第1ユーザから、前記第2ユーザに提示する前記売電の条件である売電条件の入力を受け付ける第1端末と、前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した当該売電条件情報を記憶部に記憶するサーバ装置と、前記サーバ装置から前記売電条件情報を受信し、受信した前記売電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記売電条件の選択を受け付ける第2端末とを備え、前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。
【0010】
この発明の実施形態によると、第1端末が、第1ユーザから、第2ユーザに提示する売電条件を受け付ける。サーバ装置が、第1端末が受け付けた売電条件を記憶部に記憶する。第2端末が、サーバ装置の記憶部に記憶された売電条件を表示部に表示して、第2ユーザから、第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付ける。これにより、第1ユーザと第2ユーザとの間の電力取引を成立させることができる。
【0011】
また、第1端末が受け付けた売電条件には、電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。これにより、第1ユーザは、第2ユーザに対して、電力の取引価格および給電期間を定めて電力取引を提示することができるため、第1ユーザおよび第2ユーザは、電力の取引価格の見通しを立てやすくなる。
【0012】
したがって、電力取引を安定して行うことができる。
【0013】
また、前記給電期間には、時間単位または日単位の期間が含まれる、としてもよい。
【0014】
我が国では、電力取引の場として、電力スポット市場以外にも、日本卸電力取引所が提供する先渡市場が存在する。先渡市場では、週や月単位で電力取引を行うことができるが、時間単位または日単位の期間を指定して取引を行うことができない。これに対して、この発明の実施形態によると、第1端末が、第1ユーザから、電力の給電期間として、時間単位または日単位の期間の入力を受け付ける。これにより、第1ユーザが日数や時間単位で給電期間を設定できるため、柔軟に給電期間を設定することができる。
【0015】
また、前記記憶部には、前記第2ユーザの商取引における信用度を示す与信情報が記憶されており、前記サーバ装置は、前記第1端末に前記与信情報を配信する、としてもよい。
【0016】
この発明の実施形態によると、サーバ装置から第1端末に第2ユーザの信用度を示す与信情報が配信されるため、第1ユーザは、与信情報を参照しつつ、電力取引を行うことができる。これにより、第1ユーザは、第2ユーザの与信情報を考慮して電力取引を成立させるか否かを判断することができる。
【0017】
また、前記サーバ装置は、電力取引市場における、前記給電期間に相当する電力の取引価格を予測して、前記第2端末に予測結果を配信する、としてもよい。
【0018】
この発明の実施形態によると、サーバ装置から第2端末に電力取引市場における、給電期間に相当する電力の取引価格の予測結果が配信される。これにより、第2ユーザは、電力取引市場における電力の取引価格の予測結果と、売電条件とを比較しつつ、電力取引を行うことができる。
【0019】
また、前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合に前記第2ユーザに対して給電を行う発電設備の温室効果ガスの排出係数と、当該発電設備による活動量とが含まれ、前記サーバ装置は、前記排出係数と前記活動量とに基づいて、前記発電設備の温室効果ガスの排出量を算出し、算出結果を前記第2端末に配信する、としてもよい。
【0020】
この発明の実施形態によると、サーバ装置から第2端末に、電力取引が成立した場合における発電設備の温室効果ガスの排出量が配信される。これにより、第2ユーザは、発電設備の温室効果ガスの排出量を考慮して、電力取引を行うことができる。
【0021】
また、前記売電条件には、前記発電設備の種類が含まれ、前記サーバ装置は、前記発電設備の種類を前記第2端末に配信する、としてもよい。
【0022】
この発明の実施形態によると、サーバ装置から第2端末に、電力取引が成立した場合における発電設備の種類が配信される。これにより、第2ユーザは、温室効果ガスの排出を低減または削減し得る種類の発電設備から電気が供給されることを特定することができるため、電力の調達にあたって例えばRE100など、温室効果ガスの排出抑制にあたり発電設備の特定が要件となる基準を満たすことができる。
【0023】
また、前記サーバ装置は、前記電力取引が成立した場合、前記第1端末または前記第2端末に、会計処理に関する情報を配信する、としてもよい。
【0024】
この発明の実施形態によると、前記電力取引が成立した場合、サーバ装置から、第1端末または第2端末に、会計処理に関する情報が配信される。これにより、第1ユーザまたは第2ユーザに対して、例えば、ヘッジ会計処理や環境価値の会計処理など、通常の会計処理とは異なる会計処理に関する情報を通知することができる。
【0025】
また、前記第1ユーザは、1または複数の第1ユーザを含み、前記第2ユーザは、1または複数の第2ユーザを含む、としてもよい。
【0026】
この発明の実施形態によると、第1ユーザと第2ユーザとが、1対1、1対複数、複数対1、または複数対複数で電力取引を行うことができる。
【0027】
また、前記記憶部は、分散型台帳を構成する複数の記憶装置の1つである、としてもよい。
【0028】
この発明の実施形態によると、記憶部が分散型台帳を構成する複数の記憶装置の1つとなるため、記憶部に記憶された情報が改ざんされにくくなる。
【0029】
また、本発明の他の実施形態に係る電力取引システムは、買電する第1ユーザと、売電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムであって、前記第1ユーザから、第2ユーザに提示する前記買電の条件である買電条件を受け付ける第1端末と、前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記買電条件を示す買電条件情報を受信し、受信した当該買電条件情報を記憶部に記憶するサーバ装置と、前記サーバ装置から前記買電条件情報を受信し、受信した前記買電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記買電条件の選択を受け付ける第2端末とを備え、前記買電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。
【0030】
この発明の実施形態によると、第1端末が、第1ユーザから、第2ユーザに提示する買電条件を受け付ける。サーバ装置が、第1端末が受け付けた買電条件を記憶部に記憶する。第2端末が、サーバ装置の記憶部に記憶された買電条件を表示部に表示して、第2ユーザから、第1ユーザまたは買電条件の選択を受け付ける。これにより、第1ユーザと第2ユーザとの間の電力取引を成立させることができる。
【0031】
また、第1端末が受け付けた買電条件には、電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。これにより、第1ユーザは、第2ユーザに対して、電力の取引価格および給電期間を定めて電力取引を提示することができるため、第1ユーザおよび第2ユーザは、電力の取引価格の見通しを立てやすくなる。
【0032】
したがって、電力取引を安定して行うことができる。
【0033】
また、本発明の他の実施形態に係る電力取引方法は、売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引方法であって、第1端末が、前記第1ユーザから、前記第2ユーザに提示する前記売電の条件である売電条件の入力を受け付けるステップと、サーバ装置が、前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した当該売電条件情報を記憶部に記憶するステップと、第2端末が、前記サーバ装置から前記売電条件情報を受信し、受信した前記売電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記売電条件の選択を受け付けるステップとを備え、前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。
【0034】
この発明の実施形態によると、第1端末が、第1ユーザから、第2ユーザに提示する売電条件を受け付ける。サーバ装置が、第1端末が受け付けた売電条件を記憶部に記憶する。第2端末が、サーバ装置の記憶部に記憶された売電条件を表示部に表示して、第2ユーザから、第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付ける。これにより、第1ユーザと第2ユーザとの間の電力取引を成立させることができる。
【0035】
また、第1端末が受け付けた売電条件には、電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。これにより、第1ユーザは、第2ユーザに対して、電力の取引価格および給電期間を定めて電力取引を提示することができるため、第1ユーザおよび第2ユーザは、電力の取引価格の見通しを立てやすくなる。
【0036】
したがって、電力取引を安定して行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の実施形態によれば、電力取引を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本実施形態に係る電力取引システムの構成を示すブロック図。
図2】本実施形態に係る売電条件DBの一例を示す概念図。
図3】本実施形態に係る取引成立DBの一例を示す概念図。
図4】本実施形態に係る電力取引システムの動作を示すフローチャート。
図5】本実施形態に係る電力取引システムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0040】
本実施形態に係る電力取引システムは、売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介するために用いられるものである。
【0041】
図1は、本実施形態に係る電力取引システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る電力取引システムは、サーバ装置1、複数の第1端末2および複数の第2端末3を備える。サーバ装置1は、通信ネットワークNを介して、複数の第1端末2および複数の第2端末3と通信可能に構成されている。
【0042】
第1端末2は、例えば、汎用のPCなどであり、第1ユーザによって操作されるものである。第1ユーザには、例えば、発電事業者、トレーダー、需要家のうち太陽光発電などの発電設備を有する者(プロシューマ)など、電力を給電する(売電する)者が含まれる。
【0043】
第1端末2は、例えば、ディスプレイなどの表示部21と、キーボードやマウスなどの操作部22とを備える。第1端末2は、操作部22によって、第1ユーザからの操作入力を受け付ける。第1端末2は、この操作入力を示す情報を、通信ネットワークNを介して、サーバ装置1に送信する。
【0044】
第2端末3は、第1端末2と同様の構成のPCなどであり、第2ユーザによって操作されるものである。第2ユーザには、例えば、小売電気事業者、需要家など、電力の供給を受ける(買電する)者が含まれる。
【0045】
第2端末3は、第1端末と同様に、表示部31と、操作部32とを備える。第2端末3は、操作部32によって、第2ユーザからの操作入力を受け付けて、受け付けた操作入力を示す情報を、通信ネットワークNを介して、サーバ装置1に送信する。
【0046】
(サーバ装置1の構成について)
図1に示すように、サーバ装置1は、通信部11、記憶部12および制御部13を備える。
【0047】
通信部11は、例えば、電気回路などで構成され、通信ネットワークNを介して、第1端末2および第2端末3と通信を行う。
【0048】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)等によって構成される記憶媒体である。記憶部12には、制御部13によって実行される各種プログラムが記憶されている。
【0049】
また、記憶部12には、各種のデータベース(DB)が構成されている。具体的には記憶部12には、売電条件DBおよび取引成立DBが格納されている。売電条件DBには、第1ユーザが第2ユーザに売電を行う際の条件を示す情報が格納されている。取引成立DBには、成立した電力取引に関する情報が格納されている。
【0050】
図2は本実施形態に係る売電条件DBの一例を示す概念図である。売電条件DBには、第1ユーザが売電を行う際に、第2ユーザに提示する売電条件が格納されている。図2に示すように、第1ユーザの識別情報を示すユーザIDごとに、与信情報、給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日などが関連付けられている。なお、図示されていないが、売電条件には買電の申し込みを受け付ける期間または期限を含む他の条件が含まれてもよい。
【0051】
与信情報は、第1ユーザの商取引における信用度を示す情報であり、例えば、第1ユーザの代金の支払能力(所有する資産や担保など)や第1ユーザの電力供給についての信用度に応じて決定されるものである。図2では、A~Cの三段階で表されている。この与信情報は、例えば、所定の与信調査会社の調査結果に基づいて、設定される。
【0052】
給電エリアは、第1ユーザが電力供給を行うエリア(管内)を示す。給電パターンは、第1ユーザが給電する時間帯を示す。給電開始日および給電終了日は、第1ユーザが給電を開始する開始日および終了日をそれぞれ示す。契約電力量は、取引が成立した場合、第1ユーザが第2ユーザに対して供給する電力量を示す。電力料金は、電力取引が成立した場合の電力の取引価格を示す。支払期日は、電力取引が成立した場合における支払期日を示す。なお、本実施形態における給電期間には、給電パターン、給電開始日、給電終了日など、第1ユーザが第2ユーザに売電する際の期間に関する条件を示すものが含まれる。例えば図2において、ユーザIDがU_002の売電条件の給電期間は、給電開始日および給電終了日による「2020/2/1から2020/2/8」でよく、さらに給電パターンを含む「2020/2/1から2020/2/8の12:00~24:00」でもよい。また、本図には示されないが、売電条件の給電期間は、給電開始日および給電終了日によらず例えば「12:00~24:00」など給電パターンのみで特定されてもよい。この場合、取引成立後の実際の給電期間は、第1ユーザが示した売電条件に対して買電の申し込みをした第2ユーザと当該第1ユーザとの間で合意した給電開始日から給電終了日までの、当該特定された給電パターンによる給電の期間であってよい。
【0053】
図3は本実施形態に係る取引成立DBの一例を示す概念図である。取引成立DBには、成立した電力取引を示す情報が格納されている。具体的には、取引成立DBには、第1ユーザIDおよび第2ユーザIDには、電力取引が成立した、第1ユーザおよび第2ユーザのユーザIDがそれぞれ格納されている。そして、取引成立DBには、第1および第2ユーザのユーザIDに、成立した電力取引に関する情報(給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日などの情報)が関連付けられている。なお、後述するように、図3に示した取引成立DBには、図2に示した売電条件DBのうち電力取引が成立した売電条件に関する情報が格納され、図2に示した売電条件DBにおいては当該売電条件が削除される。本願の図2および図3は同じ時点の売電条件DBおよび取引成立DBの例をそれぞれ示すことから、図2に示す売電条件DBに格納された情報と、図3に示す取引成立DBに格納された情報とは関連性がない(すなわち、図3に示した取引成立DBには、既に図2に示した売電条件DBから削除された売電条件に関する情報が格納されており、図2に示した売電条件DBには、新たな売電条件が格納されている)ものとして例示する。
【0054】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)および半導体メモリ等を含むマイクロコンピュータで構成される。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムなどを実行することにより、サーバ装置1の各部を制御する。
【0055】
また、制御部13は、第1画面処理部131、条件登録部132、第2画面処理部133および取引成立処理部134を備える。
【0056】
第1画面処理部131は、第1ユーザからの第1端末2の操作部22への操作に応じて、第1端末2の表示部21に表示される第1画面を制御する。第1画面には、売電条件に含まれる各種項目が表示され、第1ユーザからの各項目に対する入力を受け付ける。ここでは、第1画面により、給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日などの項目に対する入力を受け付ける。
【0057】
条件登録部132は、第1画面処理部131が受け付けた売電条件を、売電条件DBに格納する、登録処理を行う。具体的には、売電条件DBにおいて、第1ユーザに対応するユーザIDに、当該売電条件に関する情報を関連付ける。
【0058】
第2画面処理部133は、第2ユーザからの第2端末3の操作部32への操作に応じて、第2端末3の表示部31に表示される第2画面を制御する。第2画面には、売電条件DBに格納された売電条件の一覧が表示される。ここでは、第2画面には、売電条件DBにおいて、各ユーザIDに売電条件として関連付けられた、与信情報、給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日などの情報が表示される。そして、第2画面処理部133は、第2画面により、第2ユーザから第1ユーザ(または売電条件)の選択を受け付ける。なお、第2画面処理部133は、第2画面に第1ユーザが特定されるような情報(例えば、企業名や個人名)を表示させなくてもよい。
【0059】
取引成立処理部134は、第2画面処理部133が受け付けた選択に基づいて、第1ユーザと第2ユーザとの間の電力取引を成立させる、取引成立処理を行う。具体的には、取引成立処理部134は、売電条件DBから電力取引が成立した売電条件を削除して、取引成立DBに成立した電力取引に関する情報を格納する。そして、取引成立処理部134は、電力取引が成立した場合、第1ユーザおよび第2ユーザに、電力取引が成立した旨を通知する。
【0060】
(電力取引システムの動作について)
図4図5は本実施形態に係る電力取引システムの動作を示すフローチャートである。具体的に、図4は登録処理の一連の流れを示し、図5は取引成立処理の一連の流れを示す。
【0061】
まず、図4を参照して、登録処理の説明を行う。
【0062】
第1ユーザが第1端末2の操作部22に対して、売電条件を設定するための開始操作を行うと、第1端末2は、サーバ装置1に対して、第1画面を表示部21に表示するために必要な第1画面データの要求を行う(ステップS11)。
【0063】
サーバ装置1の第1画面処理部131は、第1画面データの要求を受信すると(ステップS12)、第1画面データを第1端末2に送信する(ステップS13)。
【0064】
第1端末2は、第1画面データを受信すると(ステップS14)、第1画面を表示部21に表示する(ステップS15)。この第1画面には、売電条件における各種項目(例えば、給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日など)が表示される。そして、第1端末2は、第1画面により、第1ユーザからの各項目に対する入力を受け付ける。
【0065】
第1端末2は、第1画面により、第1ユーザからの各項目に対する入力を受け付けると(ステップS16)、当該入力結果を示す第1データを生成する(ステップS17)。そして、第1端末2は、生成した第1データをサーバ装置1に送信する(ステップS18)。
【0066】
サーバ装置1の第1画面処理部131が第1データを受信すると(ステップS19)、条件登録部132は、第1データに含まれる売電条件に関する情報を検出する。そして、条件登録部132は、検出した売電条件に関する情報を売電条件DBに格納する、登録処理を行う(ステップS20)。具体的には、条件登録部132は、売電条件DBにおいて、第1ユーザに対応するユーザIDに当該売電条件に関する情報を関連付ける。
【0067】
次に、図5を参照して、取引成立処理の説明を行う。
【0068】
第2ユーザが第2端末3の操作部32に対して電力取引を行うための開始操作を行うと、第2端末3は、サーバ装置1に対して、第2画面を表示部31に生成するために必要な第2画面データの要求を行う(ステップS31)。
【0069】
サーバ装置1の第2画面処理部133は、第2画面データの要求を受信すると(ステップS32)、記憶部12から売電条件DBに格納された売電条件に関する情報(例えば、与信情報、給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日などの情報)を読み出す(ステップS33)。そして、第2画面処理部133は、売電条件の一覧を含む第2画面データを生成し(ステップS34)、生成した第2画面データを第2端末3に送信する(ステップS35)。
【0070】
第2端末3は、第2画面データを受信すると(ステップS36)、第2画面を表示部31に表示させる(ステップS37)。この第2画面には、売電条件の一覧が表示される。ここでは、第2画面には、売電条件に関する情報として、例えば、与信情報、給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日などの情報が表示される。そして、第2端末3は、第2画面により、第2ユーザから第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付ける。
【0071】
第2端末3は、第2画面により、第2ユーザから買電する第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付けると(ステップS38)、当該選択結果を示す第2データを生成する(ステップS39)。そして、第2端末3は、生成した第2データをサーバ装置1に送信する(ステップS40)。
【0072】
サーバ装置1の第2画面処理部133が第2データを受信すると(ステップS41)、取引成立処理部134が第1ユーザと第2ユーザとの電力取引を成立させる、取引成立処理を行う(ステップS42)。具体的には、取引成立処理部134は、第2データに含まれる、第2ユーザが選択した売電条件を検出し、検出した売電条件を売電条件DBから削除して、取引成立DBに成立した電力取引に関する情報を格納する。そして、取引成立処理部134は、第1ユーザおよび第2ユーザに、電力取引が成立した旨を通知する。ここで、取引成立処理部134は、サーバ装置1の第2画面処理部133が第2データを受信した後に、さらに第1端末2から第1ユーザの承諾を示すデータを第1画面処理部131が受信すると、第1ユーザと第2ユーザとの電力取引を成立させる取引成立処理を行ってもよい。また、サーバ装置1は、取引成立処理の前に、第2ユーザの与信情報を含む第2ユーザ関連情報を記憶部12に格納してよく、当該第2ユーザ関連情報には、第2ユーザの与信情報に基づく第2ユーザの与信リスク情報が含まれてよい。さらに、サーバ装置1は、第2画面処理部133が第2データを受信すると、当該第2データに関する第2ユーザ関連情報を第1端末2に送信し、第1端末2は、当該第2ユーザ関連情報に基づく第1ユーザの承諾を示すデータを、サーバ装置1の第1画面処理部131に送信してよい。これにより、第1ユーザは、第2ユーザの与信リスクを考慮して取引を成立させるか否かの判断をすることができる。
【0073】
以上のように、本実施形態に係る電力取引システムは、売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムである。本実施形態に係る電力取引システムは、第1ユーザから、第2ユーザに提示する売電の条件である売電条件の入力を受け付ける第1端末2と、前記第1端末2から、第1端末2が受け付けた売電条件を示す第1データ(売電条件情報)を受信し、受信した第1データを記憶する記憶部12を有するサーバ装置1と、サーバ装置1から第2画面データ(売電条件情報)を受信し、受信した第2画面データを表示部31に表示させ、第2ユーザから、第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付ける第2端末3とを備える。売電条件には、電力取引が成立した場合における電力料金(電力の取引価格)、給電パターン、給電開始日および給電終了日(給電期間)に関する情報が含まれる。
【0074】
この構成によると、第1端末2が、第1ユーザから、第2ユーザに提示する売電条件を受け付ける。サーバ装置1は、第1端末2が受け付けた売電条件を記憶部12に記憶する。第2端末3が、記憶部12に記憶された売電条件を表示部に表示して、第2ユーザから、第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付ける。これにより、第1ユーザと第2ユーザとの間の電力取引を成立させることができる。
【0075】
また、第1端末2が受け付ける売電条件には、電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。これにより、第1ユーザは、第2ユーザに対して、電力の取引価格および給電期間を定めて電力取引を提示することができるため、第1ユーザおよび第2ユーザは、電力の取引価格の見通しを立てやすくなる。
【0076】
したがって、電力取引を安定して行うことができる。
【0077】
また、給電期間には、給電パターン、給電開始日および給電終了日(時間単位または日単位の期間)が含まれる。我が国では、電力取引の場として、電力スポット市場以外にも、日本卸電力取引所が提供する先渡市場が存在する。先渡市場では、週や月単位で電力取引を行うことができるが、時間単位または日単位の期間を指定して取引を行うことができない。これに対して、本実施形態では、第1端末2が、第1ユーザから、電力の給電期間として、給電パターン、給電開始日および給電終了日などの時間単位または日単位の期間の入力を受け付ける。これにより、第1ユーザが日数や時間単位で給電期間を設定できるため、柔軟に給電期間を設定することができる。
【0078】
また、記憶部12には、第1ユーザの支払能力に応じて定められた、第1ユーザの信用度を示す与信情報が記憶されている。サーバ装置1は、第2端末3に与信情報を送信(配信)する。
【0079】
この構成によると、サーバ装置1から第2端末3に第1ユーザの信用度を示す与信情報が配信されるため、第2ユーザは、与信情報を参照しつつ、電力取引を行うことができる。これにより、第2ユーザは、電力取引を成立させる際に、第1ユーザから安定して電力の供給を受けることができるか否かを判断することができる。
【0080】
(その他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態について説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
【0081】
なお、上記実施形態では、第1ユーザが給電する(売電する)事業者であり、第2ユーザが電力の供給を受ける(買電する)事業者であるが、第1ユーザと第2ユーザが逆であってもよい。すなわち、第1ユーザが買電する事業者であり、第2ユーザが売電する事業者であってもよい。この場合、記憶部12には、売電条件DBに代えて買電条件DBが構成される。買電条件DBには、第1ユーザが買電を行う際に、第2ユーザに提示する買電条件が格納される。すなわち、上記電力取引システムを、第1ユーザが第1端末2を操作して買電条件を入力し、サーバ装置1の記憶部12が入力された買電条件が格納された買電条件DBを管理し、第2ユーザが第2端末3を操作して第1ユーザとの電力取引を成立させてもよい。これにより、買電するユーザから売電するユーザに対して電力取引の条件を提示する場合であっても、電力取引を安定して行うことができる。
【0082】
また、サーバ装置1は、日本卸電力取引所(JEPX)が提供する電力スポット市場、先渡市場、当日の電力取引を行う当日市場など、電力取引市場における電力の取引価格の変動予測機能を備え、第1端末2および第2端末3の少なくとも一方に予測結果を配信してもよい。この機能は、例えば、天気、気温、発電所の停止情報、電源の供給予備率、連系線空容量、フォワードカーブ(電力、石炭、原油およびLNGに関するものを含む)、石炭輸入価格、原油輸入価格、LNG輸入価格、電力スポット市場における電力の取引価格の過去の変動などの情報に基づいて生成された学習モデルや、これらの情報を基にした統計学手法などにより実現できる。この構成により、第2ユーザは、電力取引市場における電力の取引価格の予測結果と、売電条件とを比較しつつ、電力取引を行うことができる。
【0083】
また、サーバ装置1は、給電を行う発電設備の温室効果ガスの排出係数と、当該発電設備の活動量とに基づいて、当該発電設備の温室効果ガスの排出量の算出する機能を備えてもよい。この場合、サーバ装置1は、算出結果を第2端末3に配信する。例えば、ステップS16において、第1画面は、発電設備の温室効果ガス(例えば、二酸化炭素やメタンなど)の排出係数と発電設備の活動量との入力を受け付ける。この発電設備の活動量とは、発電設備を稼働させる際の、燃料の使用量や焼却量などである。サーバ装置1は、第1画面に入力された、発電設備の温室効果ガスの排出係数と、発電設備の活動量とを掛け合わせることで、当該発電設備が発電することで排出される温室効果ガスの排出量を算出する。例えば、石炭火力発電所が「一般炭」(燃料種)を使用して発電を行う場合、当該石炭火力発電所の温室効果ガスの排出係数は一般炭の発熱量25.7GJ/tに一般炭の使用に関する排出係数0.0247tC/GJを乗じた0.63478tC/tとなる。この排出計数に、活動量(燃料使用量)と所定の係数(温室効果ガスの種類に応じて設定された係数)とを掛け合わせることにより、サーバ装置1は温室効果ガスの排出量を算出する。これにより、第2ユーザは、発電設備の温室効果ガスの排出量を考慮して、電力取引を行うことができる。
【0084】
さらに、サーバ装置1は、第2ユーザの温室効果ガスの総排出量の算出機能を備え、算出結果を第2ユーザに配信してもよい。例えば、サーバ装置1は、第2ユーザが自ら所有する発電設備の温室効果ガスの総排出量と、本実施形態により電力取引が成立した発電設備の温室効果ガスの総排出量とを加算することにより、第2ユーザの温室効果ガスの総排出量を算出する。これにより、第2ユーザは、自身の温室効果ガスの総排出量を知ることができるため、温室効果ガスの削減目標を考慮した電力取引を行うことができる。
【0085】
また、サーバ装置1は、発電設備の温室効果ガスの排出量の算出機能に加えて、発電設備の種類を管理する機能を備えてもよい。この場合、サーバ装置1は、発電設備の種類を示す情報を第2端末3に配信する。例えば、ステップS16において、第1画面は、発電設備の種類(火力、水力、原子力、太陽光、風力、地熱、バイオマスなど)の入力を受け付ける。ここで、現在、RE100(Renewable Energy 100%)と言われる、自らの事業の使用電力を100%の再生可能エネルギーで賄うことを目標とする取り組みが存在する。この取り組みにおいて、「再生可能エネルギー」は「水力、太陽光、風力、地熱、バイオマス」と定義されている。すなわち、サーバ装置1が発電設備の種類を示す情報を第2端末3に配信することにより、第2ユーザは、第1ユーザの基本情報としての発電設備の所在地等の電源情報とともに、温室効果ガスの排出を低減または削減し得る種類の発電設備から電気が供給されることを特定することができるため、電力の調達にあたって例えばRE100など、温室効果ガスの排出抑制にあたり発電設備の特定が要件となる基準を満たすことができる。
【0086】
また、サーバ装置1は、電力取引が成立した場合、第1端末または前記第2端末に、会計処理に関する情報を配信する機能を備えてもよい。
【0087】
会計処理に関する情報は、例えば、ヘッジ会計処理に関する情報である。電力取引は、将来の受給期間に、電力の供給およびその決済をすることを約定する取引であるため、先物取引となる。特に、本電力取引システムでは、第1ユーザが給電期間を自由に設定することができるため、決算期に損益が確定していない場合がある。この場合、損益の確定まで会計処理の繰り延べを行う、ヘッジ会計と呼ばれる会計処理を行わなければならない。このヘッジ会計処理に関する情報(具体的な会計処理の手順など)を、サーバ装置1は第1端末2および第2端末3に配信する。これにより、第1ユーザおよび第2ユーザは、適切な会計処理を行うことができる。
【0088】
また、会計処理に関する情報は、環境価値の会計処理に関する情報であってもよい。第1ユーザが再生可能エネルギーを売電し、諸条件を満たす場合、第2ユーザは「グリーン電力証書」、「J-クレジット」、「非化石証書」などの環境価値を入手することができる。この環境価値は、商取引の対象となるものであり、金銭的価値を有するものである。このため、第2ユーザは会計処理を行う場合、環境価値を計上する必要がある。この環境価値の会計処理に関する情報(具体的な会計処理の手順など)を、サーバ装置1は第1端末2および第2端末3に配信してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、第1ユーザと第2ユーザとが1対1で電力取引を行う場合を例にして挙げたが、1の第1ユーザと複数の第2ユーザとが電力取引を行えてもよいし、複数の第1ユーザと1の第2ユーザとが電力取引を行えてもよいし、複数の第1ユーザと複数の第2ユーザとが電力取引を行えてもよい。
【0090】
具体的には、1人の第1ユーザと複数の第2ユーザとが電力取引を行う場合、例えば当該1人の第1ユーザが提示した売電条件(または買電条件)のうち契約電力量が10,000kWhであれば、第2ユーザの1人が3,000kWhで申し込みを行い、第2ユーザの他の1人が7,000kWhで申し込みを行うことにより、第2ユーザの当該2人が共同で第1ユーザによる売電条件(または買電条件)の契約電力量を満たしてよい。ここで、本変形例において売電条件または買電条件はさらに契約期限を含んでよい。この場合、例えば1人の第1ユーザが一定の契約期限を付した売電条件(または買電条件)に対し、一部の第2ユーザが当該条件の一部を選択しても、当該契約期限までに他の第2ユーザにより売電条件(または買電条件)のすべてが満たされなければ、当該一部の選択をした第2ユーザによる申し込みは当該契約期限の経過後に無効とされてよい。
【0091】
また、複数の第1ユーザと1人の第2ユーザとが電力取引を行う場合、例えば当該複数の第1ユーザが1の売電条件(または買電条件)を共同で提示し、1人の第2ユーザが当該売電条件に対して申込を行うことで電力取引を成立させてもよい。この場合、売電条件または買電条件はさらに契約期限を含んでよい。
【0092】
また、複数の第1ユーザと複数の第2ユーザとが電力取引を行う場合、例えば当該複数の第1ユーザが売電条件(または買電条件)を共同で提示し、提示した売電条件のうち契約電力量が10,000kWhであれば、第2ユーザの1人が3,000kWhで申し込みを行い、第2ユーザの他の1人が7,000kWhで申し込みを行うことにより、第2ユーザの当該2人が共同で第1ユーザによる売電条件(または買電条件)の契約電力量を満たしてよい。この場合、例えば複数の第1ユーザが一定の契約期限を付した売電条件(または買電条件)に対し、一部の第2ユーザが当該条件の一部を選択しても、当該契約期限までに他の第2ユーザにより売電条件(または買電条件)のすべてが満たされなければ、当該一部の選択をした第2ユーザによる申し込みは当該契約期限の経過後に無効とされてもよい。
【0093】
また、サーバ装置1が、売電条件(または買電条件)や取引成立に関する情報を売電条件DB(または買電条件DB)および取引成立DBによって管理しているが、これに限られない。例えば、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術を用いて、複数の記憶装置によって、売電条件(または買電条件)や取引成立に関する情報を管理してもよい。この場合、複数の記憶装置は、サーバ装置1、第1端末2、第2端末3および他の端末装置のそれぞれに含まれてもよい。例えば、1の端末が、スマートコントラクトに従ってトランザクションを生成した場合、他の端末が、コンセンサスアルゴリズムに従って合意を行うと、当該トランザクションがブロックチェーン(分散型台帳)に記録される。これにより、情報の改ざん防止や、情報のトレーサビリティを確保することができる。
【0094】
また、サーバ装置1は、売電条件DB(または買電条件DB)に格納された売電条件(または買電条件)を第1端末2から受信した情報により変更する機能を備えてもよい。すなわち、第1ユーザは、第1端末2に入力した売電条件を事後的に変更できてもよい。この場合、売電条件に含まれる情報のうち、一部の情報(たとえば、電力料金や給電期間など)を変更できないようにしてもよい。さらに、第2ユーザが、第2端末3を操作して、売電条件のうち変更可能となっている情報について、第1ユーザに変更を希望できるように構成してもよい。これにより、第2ユーザは第1ユーザと交渉することができるため、電力取引を成立させやすくなる。
【0095】
本実施形態に係る電力取引システムを、クレジットカード決済システムや口座振替システムなどと連携させてもよい。この場合、例えば、需要者(小売電気事業者から電力供給を受ける者)の通信端末(携帯電話やPCなど)によって、需要者のクレジットカードの番号や口座番号などの決済情報を受け付けて、クレジットカード決済システムや口座振替システムに決済情報の登録をおこなってもよい。これにより、本電力取引システムによって、ユーザの決済情報の管理を行うことができる。
【0096】
また、本実施形態に係る電力取引システムのサーバ装置1に、クレジットカードを撮影した画像から、クレジットカードに関する情報を検出できる機能を備えてもよい。例えば、サーバ装置1をユーザの通信端末(携帯電話やPCなど)と、クレジットカードの決済システムとに通信可能に構成する。サーバ装置1は、ユーザの通信端末から、ユーザのクレジットカードの画像を受信し、受信した当該画像から、例えば、OCR(Optical character recognition)などの文字読取技術により、ユーザのクレジットカードの番号などの情報を読み取り、クレジットカードの決済システムに当該情報を通知してもよい。これにより、決済情報の入力を行う手間を省くことができる。
【0097】
また、本実施形態に係る電力取引システムを、ユーザの氏名、住所、電話番号および電力使用量など、ユーザの電力料金を請求するために用いられる各種情報を管理する顧客管理システムと連携させてもよい。これにより、例えば、ユーザに対して、電力使用量に応じた電気料金の請求を行うことができる。
【0098】
また、サーバ装置1は、複数の装置であってもよいし、1台であってもよい。サーバ装置1の各機能に対して1つのサーバ装置が設けられてもよい。また、サーバ装置1の各機能を複数の装置が共同して実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本実施形態に係る電力取引システムは、第1端末が第1ユーザから受け付けた売電条件である売電条件の入力と、第2端末が第2ユーザから受け付けた選択とに基づいて電力取引を成立させるため、第1ユーザと第2ユーザとの間の電力取引の仲介を行うことができる。
【符号の説明】
【0100】
1 サーバ装置
12 記憶部
13 制御部
131 第1画面処理部
132 条件登録部
133 第2画面処理部
134 取引成立処理部
2 第1端末
3 第2端末
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力取引システム電力取引方法および電力取引プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国では、電力自由化が行われており、2016年には、一般家庭や店舗などの需要者も、複数の小売電気事業者から自由に選択して電気供給契約をすることができるようになった。小売電気事業者は、電力供給の契約を行っているユーザに対して、電力を供給するために、発電事業者などから電力を調達している。
【0003】
特許文献1には、再生可能エネルギーを利用した発電手段により発電する発電事業者と取引したことを証する環境価値証書を需要家に提供するのに好適な電力の取引管理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-119143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、我が国では、小売電気事業者と発電事業者との電力取引(電力調達)の場として、日本卸電力取引所(JEPX)が提供する電力スポット市場が存在する。電力スポット市場では、発電事業者が売電する電力量と販売価格とを入札し、小売電気事業者が買電する電力量と購入価格を入札することで、電力取引(電力の売買)が成立する。
【0006】
この電力スポット市場では、コマ(30分)ごとに電力取引が行われ、電力の取引価格が決定される。すなわち、電力スポット市場では、電力取引により電力の取引価格が決定される期間が短い。このため、電力スポット市場では、電力の取引価格の見通しを立てにくく、小売電気事業者(または発電事業者)の経営が不安定になる可能性がある。
【0007】
特に、この電力スポット市場では、発電事業者などからの入札(売り入札)と、小売電気事業者からの入札(買い入札)との需給がバランスする点で電力価格が決定される。これにより、売買の入札量によって電力の取引価格が大きく変動するため、電力の取引価格の見通しが困難となる。
【0008】
そこで、本発明は、電力取引を安定して行うことができる電力取引システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の一の実施形態に係る電力取引システムは、売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムであって、前記第1ユーザから、前記第2ユーザに提示する前記売電の条件である売電条件の入力を受け付ける第1端末と、前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した当該売電条件情報を記憶部に記憶するサーバ装置と、前記サーバ装置から前記売電条件情報を受信し、受信した前記売電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記売電条件の選択を受け付ける第2端末とを備え、前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。
【0010】
この発明の実施形態によると、第1端末が、第1ユーザから、第2ユーザに提示する売電条件を受け付ける。サーバ装置が、第1端末が受け付けた売電条件を記憶部に記憶する。第2端末が、サーバ装置の記憶部に記憶された売電条件を表示部に表示して、第2ユーザから、第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付ける。これにより、第1ユーザと第2ユーザとの間の電力取引を成立させることができる。
【0011】
また、第1端末が受け付けた売電条件には、電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。これにより、第1ユーザは、第2ユーザに対して、電力の取引価格および給電期間を定めて電力取引を提示することができるため、第1ユーザおよび第2ユーザは、電力の取引価格の見通しを立てやすくなる。
【0012】
したがって、電力取引を安定して行うことができる。
【0013】
また、前記給電期間には、時間単位または日単位の期間が含まれる、としてもよい。
【0014】
我が国では、電力取引の場として、電力スポット市場以外にも、日本卸電力取引所が提供する先渡市場が存在する。先渡市場では、週や月単位で電力取引を行うことができるが、時間単位または日単位の期間を指定して取引を行うことができない。これに対して、この発明の実施形態によると、第1端末が、第1ユーザから、電力の給電期間として、時間単位または日単位の期間の入力を受け付ける。これにより、第1ユーザが日数や時間単位で給電期間を設定できるため、柔軟に給電期間を設定することができる。
【0015】
また、前記記憶部には、前記第2ユーザの商取引における信用度を示す与信情報が記憶されており、前記サーバ装置は、前記第1端末に前記与信情報を配信する、としてもよい。
【0016】
この発明の実施形態によると、サーバ装置から第1端末に第2ユーザの信用度を示す与信情報が配信されるため、第1ユーザは、与信情報を参照しつつ、電力取引を行うことができる。これにより、第1ユーザは、第2ユーザの与信情報を考慮して電力取引を成立させるか否かを判断することができる。
【0017】
また、前記サーバ装置は、電力取引市場における、前記給電期間に相当する電力の取引価格を予測して、前記第2端末に予測結果を配信する、としてもよい。
【0018】
この発明の実施形態によると、サーバ装置から第2端末に電力取引市場における、給電期間に相当する電力の取引価格の予測結果が配信される。これにより、第2ユーザは、電力取引市場における電力の取引価格の予測結果と、売電条件とを比較しつつ、電力取引を行うことができる。
【0019】
また、前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合に前記第2ユーザに対して給電を行う発電設備の温室効果ガスの排出係数と、当該発電設備による活動量とが含まれ、前記サーバ装置は、前記排出係数と前記活動量とに基づいて、前記発電設備の温室効果ガスの排出量を算出し、算出結果を前記第2端末に配信する、としてもよい。
【0020】
この発明の実施形態によると、サーバ装置から第2端末に、電力取引が成立した場合における発電設備の温室効果ガスの排出量が配信される。これにより、第2ユーザは、発電設備の温室効果ガスの排出量を考慮して、電力取引を行うことができる。
【0021】
また、前記売電条件には、前記発電設備の種類が含まれ、前記サーバ装置は、前記発電
設備の種類を前記第2端末に配信する、としてもよい。
【0022】
この発明の実施形態によると、サーバ装置から第2端末に、電力取引が成立した場合における発電設備の種類が配信される。これにより、第2ユーザは、温室効果ガスの排出を低減または削減し得る種類の発電設備から電気が供給されることを特定することができるため、電力の調達にあたって例えばRE100など、温室効果ガスの排出抑制にあたり発電設備の特定が要件となる基準を満たすことができる。
【0023】
また、前記サーバ装置は、前記電力取引が成立した場合、前記第1端末または前記第2端末に、会計処理に関する情報を配信する、としてもよい。
【0024】
この発明の実施形態によると、前記電力取引が成立した場合、サーバ装置から、第1端末または第2端末に、会計処理に関する情報が配信される。これにより、第1ユーザまたは第2ユーザに対して、例えば、ヘッジ会計処理や環境価値の会計処理など、通常の会計処理とは異なる会計処理に関する情報を通知することができる。
【0025】
また、前記第1ユーザは、1または複数の第1ユーザを含み、前記第2ユーザは、1または複数の第2ユーザを含む、としてもよい。
【0026】
この発明の実施形態によると、第1ユーザと第2ユーザとが、1対1、1対複数、複数対1、または複数対複数で電力取引を行うことができる。
【0027】
また、前記記憶部は、分散型台帳を構成する複数の記憶装置の1つである、としてもよい。
【0028】
この発明の実施形態によると、記憶部が分散型台帳を構成する複数の記憶装置の1つとなるため、記憶部に記憶された情報が改ざんされにくくなる。
【0029】
また、本発明の他の実施形態に係る電力取引システムは、買電する第1ユーザと、売電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムであって、前記第1ユーザから、第2ユーザに提示する前記買電の条件である買電条件を受け付ける第1端末と、前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記買電条件を示す買電条件情報を受信し、受信した当該買電条件情報を記憶部に記憶するサーバ装置と、前記サーバ装置から前記買電条件情報を受信し、受信した前記買電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記買電条件の選択を受け付ける第2端末とを備え、前記買電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。
【0030】
この発明の実施形態によると、第1端末が、第1ユーザから、第2ユーザに提示する買電条件を受け付ける。サーバ装置が、第1端末が受け付けた買電条件を記憶部に記憶する。第2端末が、サーバ装置の記憶部に記憶された買電条件を表示部に表示して、第2ユーザから、第1ユーザまたは買電条件の選択を受け付ける。これにより、第1ユーザと第2ユーザとの間の電力取引を成立させることができる。
【0031】
また、第1端末が受け付けた買電条件には、電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。これにより、第1ユーザは、第2ユーザに対して、電力の取引価格および給電期間を定めて電力取引を提示することができるため、第1ユーザおよび第2ユーザは、電力の取引価格の見通しを立てやすくなる。
【0032】
したがって、電力取引を安定して行うことができる。
【0033】
また、本発明の他の実施形態に係る電力取引方法は、売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引方法であって、第1端末が、前記第1ユーザから、前記第2ユーザに提示する前記売電の条件である売電条件の入力を受け付けるステップと、サーバ装置が、前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した当該売電条件情報を記憶部に記憶するステップと、第2端末が、前記サーバ装置から前記売電条件情報を受信し、受信した前記売電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記売電条件の選択を受け付けるステップとを備え、前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。
【0034】
この発明の実施形態によると、第1端末が、第1ユーザから、第2ユーザに提示する売電条件を受け付ける。サーバ装置が、第1端末が受け付けた売電条件を記憶部に記憶する。第2端末が、サーバ装置の記憶部に記憶された売電条件を表示部に表示して、第2ユーザから、第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付ける。これにより、第1ユーザと第2ユーザとの間の電力取引を成立させることができる。
【0035】
また、第1端末が受け付けた売電条件には、電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。これにより、第1ユーザは、第2ユーザに対して、電力の取引価格および給電期間を定めて電力取引を提示することができるため、第1ユーザおよび第2ユーザは、電力の取引価格の見通しを立てやすくなる。
【0036】
したがって、電力取引を安定して行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の実施形態によれば、電力取引を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本実施形態に係る電力取引システムの構成を示すブロック図。
図2】本実施形態に係る売電条件DBの一例を示す概念図。
図3】本実施形態に係る取引成立DBの一例を示す概念図。
図4】本実施形態に係る電力取引システムの動作を示すフローチャート。
図5】本実施形態に係る電力取引システムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0040】
本実施形態に係る電力取引システムは、売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介するために用いられるものである。
【0041】
図1は、本実施形態に係る電力取引システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る電力取引システムは、サーバ装置1、複数の第1端末2および複数の第2端末3を備える。サーバ装置1は、通信ネットワークNを介して、複数の第1端末2および複数の第2端末3と通信可能に構成されている。
【0042】
第1端末2は、例えば、汎用のPCなどであり、第1ユーザによって操作されるものである。第1ユーザには、例えば、発電事業者、トレーダー、需要家のうち太陽光発電などの発電設備を有する者(プロシューマ)など、電力を給電する(売電する)者が含まれる
【0043】
第1端末2は、例えば、ディスプレイなどの表示部21と、キーボードやマウスなどの操作部22とを備える。第1端末2は、操作部22によって、第1ユーザからの操作入力を受け付ける。第1端末2は、この操作入力を示す情報を、通信ネットワークNを介して、サーバ装置1に送信する。
【0044】
第2端末3は、第1端末2と同様の構成のPCなどであり、第2ユーザによって操作されるものである。第2ユーザには、例えば、小売電気事業者、需要家など、電力の供給を受ける(買電する)者が含まれる。
【0045】
第2端末3は、第1端末と同様に、表示部31と、操作部32とを備える。第2端末3は、操作部32によって、第2ユーザからの操作入力を受け付けて、受け付けた操作入力を示す情報を、通信ネットワークNを介して、サーバ装置1に送信する。
【0046】
(サーバ装置1の構成について)
図1に示すように、サーバ装置1は、通信部11、記憶部12および制御部13を備える。
【0047】
通信部11は、例えば、電気回路などで構成され、通信ネットワークNを介して、第1端末2および第2端末3と通信を行う。
【0048】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HD
D(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)等によって構成される記憶媒体である。記憶部12には、制御部13によって実行される各種プログラムが記憶されている。
【0049】
また、記憶部12には、各種のデータベース(DB)が構成されている。具体的には記憶部12には、売電条件DBおよび取引成立DBが格納されている。売電条件DBには、第1ユーザが第2ユーザに売電を行う際の条件を示す情報が格納されている。取引成立DBには、成立した電力取引に関する情報が格納されている。
【0050】
図2は本実施形態に係る売電条件DBの一例を示す概念図である。売電条件DBには、第1ユーザが売電を行う際に、第2ユーザに提示する売電条件が格納されている。図2に示すように、第1ユーザの識別情報を示すユーザIDごとに、与信情報、給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日などが関連付けられている。なお、図示されていないが、売電条件には買電の申し込みを受け付ける期間または期限を含む他の条件が含まれてもよい。
【0051】
与信情報は、第1ユーザの商取引における信用度を示す情報であり、例えば、第1ユーザの代金の支払能力(所有する資産や担保など)や第1ユーザの電力供給についての信用度に応じて決定されるものである。図2では、A~Cの三段階で表されている。この与信情報は、例えば、所定の与信調査会社の調査結果に基づいて、設定される。
【0052】
給電エリアは、第1ユーザが電力供給を行うエリア(管内)を示す。給電パターンは、第1ユーザが給電する時間帯を示す。給電開始日および給電終了日は、第1ユーザが給電を開始する開始日および終了日をそれぞれ示す。契約電力量は、取引が成立した場合、第1ユーザが第2ユーザに対して供給する電力量を示す。電力料金は、電力取引が成立した場合の電力の取引価格を示す。支払期日は、電力取引が成立した場合における支払期日を示す。なお、本実施形態における給電期間には、給電パターン、給電開始日、給電終了日
など、第1ユーザが第2ユーザに売電する際の期間に関する条件を示すものが含まれる。例えば図2において、ユーザIDがU_002の売電条件の給電期間は、給電開始日および給電終了日による「2020/2/1から2020/2/8」でよく、さらに給電パターンを含む「2020/2/1から2020/2/8の12:00~24:00」でもよい。また、本図には示されないが、売電条件の給電期間は、給電開始日および給電終了日によらず例えば「12:00~24:00」など給電パターンのみで特定されてもよい。この場合、取引成立後の実際の給電期間は、第1ユーザが示した売電条件に対して買電の申し込みをした第2ユーザと当該第1ユーザとの間で合意した給電開始日から給電終了日までの、当該特定された給電パターンによる給電の期間であってよい。
【0053】
図3は本実施形態に係る取引成立DBの一例を示す概念図である。取引成立DBには、成立した電力取引を示す情報が格納されている。具体的には、取引成立DBには、第1ユーザIDおよび第2ユーザIDには、電力取引が成立した、第1ユーザおよび第2ユーザのユーザIDがそれぞれ格納されている。そして、取引成立DBには、第1および第2ユーザのユーザIDに、成立した電力取引に関する情報(給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日などの情報)が関連付けられている。なお、後述するように、図3に示した取引成立DBには、図2に示した売電条件DBのうち電力取引が成立した売電条件に関する情報が格納され、図2に示した売電条件DBにおいては当該売電条件が削除される。本願の図2および図3は同じ時点の売電条件DBおよび取引成立DBの例をそれぞれ示すことから、図2に示す売電条件DBに格納された情報と、図3に示す取引成立DBに格納された情報とは関連性がない(すなわち、図3に示した取引成立DBには、既に図2に示した売電条件DBから削除された売電条件に関する情報が格納されており、図2に示した売電条件DBには、新たな売電条件が格納されている)ものとして例示する。
【0054】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)および半導体メモリ等を
含むマイクロコンピュータで構成される。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムなどを実行することにより、サーバ装置1の各部を制御する。
【0055】
また、制御部13は、第1画面処理部131、条件登録部132、第2画面処理部133および取引成立処理部134を備える。
【0056】
第1画面処理部131は、第1ユーザからの第1端末2の操作部22への操作に応じて、第1端末2の表示部21に表示される第1画面を制御する。第1画面には、売電条件に含まれる各種項目が表示され、第1ユーザからの各項目に対する入力を受け付ける。ここでは、第1画面により、給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日などの項目に対する入力を受け付ける。
【0057】
条件登録部132は、第1画面処理部131が受け付けた売電条件を、売電条件DBに格納する、登録処理を行う。具体的には、売電条件DBにおいて、第1ユーザに対応するユーザIDに、当該売電条件に関する情報を関連付ける。
【0058】
第2画面処理部133は、第2ユーザからの第2端末3の操作部32への操作に応じて、第2端末3の表示部31に表示される第2画面を制御する。第2画面には、売電条件DBに格納された売電条件の一覧が表示される。ここでは、第2画面には、売電条件DBにおいて、各ユーザIDに売電条件として関連付けられた、与信情報、給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日などの情報が表示される。そして、第2画面処理部133は、第2画面により、第2ユーザから第1ユーザ(または売電条件)の選択を受け付ける。なお、第2画面処理部133は、第2画面に第1ユーザが特定されるような情報(例えば、企業名や個人名)を表示させなくてもよい。
【0059】
取引成立処理部134は、第2画面処理部133が受け付けた選択に基づいて、第1ユーザと第2ユーザとの間の電力取引を成立させる、取引成立処理を行う。具体的には、取引成立処理部134は、売電条件DBから電力取引が成立した売電条件を削除して、取引成立DBに成立した電力取引に関する情報を格納する。そして、取引成立処理部134は、電力取引が成立した場合、第1ユーザおよび第2ユーザに、電力取引が成立した旨を通知する。
【0060】
(電力取引システムの動作について)
図4図5は本実施形態に係る電力取引システムの動作を示すフローチャートである。具体的に、図4は登録処理の一連の流れを示し、図5は取引成立処理の一連の流れを示す。
【0061】
まず、図4を参照して、登録処理の説明を行う。
【0062】
第1ユーザが第1端末2の操作部22に対して、売電条件を設定するための開始操作を行うと、第1端末2は、サーバ装置1に対して、第1画面を表示部21に表示するために必要な第1画面データの要求を行う(ステップS11)。
【0063】
サーバ装置1の第1画面処理部131は、第1画面データの要求を受信すると(ステップS12)、第1画面データを第1端末2に送信する(ステップS13)。
【0064】
第1端末2は、第1画面データを受信すると(ステップS14)、第1画面を表示部21に表示する(ステップS15)。この第1画面には、売電条件における各種項目(例えば、給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日など)が表示される。そして、第1端末2は、第1画面により、第1ユーザからの各項目に対する入力を受け付ける。
【0065】
第1端末2は、第1画面により、第1ユーザからの各項目に対する入力を受け付けると(ステップS16)、当該入力結果を示す第1データを生成する(ステップS17)。そして、第1端末2は、生成した第1データをサーバ装置1に送信する(ステップS18)。
【0066】
サーバ装置1の第1画面処理部131が第1データを受信すると(ステップS19)、条件登録部132は、第1データに含まれる売電条件に関する情報を検出する。そして、条件登録部132は、検出した売電条件に関する情報を売電条件DBに格納する、登録処理を行う(ステップS20)。具体的には、条件登録部132は、売電条件DBにおいて、第1ユーザに対応するユーザIDに当該売電条件に関する情報を関連付ける。
【0067】
次に、図5を参照して、取引成立処理の説明を行う。
【0068】
第2ユーザが第2端末3の操作部32に対して電力取引を行うための開始操作を行うと、第2端末3は、サーバ装置1に対して、第2画面を表示部31に生成するために必要な第2画面データの要求を行う(ステップS31)。
【0069】
サーバ装置1の第2画面処理部133は、第2画面データの要求を受信すると(ステップS32)、記憶部12から売電条件DBに格納された売電条件に関する情報(例えば、与信情報、給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日などの情報)を読み出す(ステップS33)。そして、第2画面処理部133は、売電条件の一覧を含む第2画面データを生成し(ステップS34)、生成した第2画
面データを第2端末3に送信する(ステップS35)。
【0070】
第2端末3は、第2画面データを受信すると(ステップS36)、第2画面を表示部31に表示させる(ステップS37)。この第2画面には、売電条件の一覧が表示される。ここでは、第2画面には、売電条件に関する情報として、例えば、与信情報、給電エリア、給電パターン、給電開始日、給電終了日、契約電力量、電力料金、支払期日などの情報が表示される。そして、第2端末3は、第2画面により、第2ユーザから第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付ける。
【0071】
第2端末3は、第2画面により、第2ユーザから買電する第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付けると(ステップS38)、当該選択結果を示す第2データを生成する(ステップS39)。そして、第2端末3は、生成した第2データをサーバ装置1に送信する(ステップS40)。
【0072】
サーバ装置1の第2画面処理部133が第2データを受信すると(ステップS41)、取引成立処理部134が第1ユーザと第2ユーザとの電力取引を成立させる、取引成立処理を行う(ステップS42)。具体的には、取引成立処理部134は、第2データに含まれる、第2ユーザが選択した売電条件を検出し、検出した売電条件を売電条件DBから削除して、取引成立DBに成立した電力取引に関する情報を格納する。そして、取引成立処理部134は、第1ユーザおよび第2ユーザに、電力取引が成立した旨を通知する。ここで、取引成立処理部134は、サーバ装置1の第2画面処理部133が第2データを受信した後に、さらに第1端末2から第1ユーザの承諾を示すデータを第1画面処理部131が受信すると、第1ユーザと第2ユーザとの電力取引を成立させる取引成立処理を行ってもよい。また、サーバ装置1は、取引成立処理の前に、第2ユーザの与信情報を含む第2ユーザ関連情報を記憶部12に格納してよく、当該第2ユーザ関連情報には、第2ユーザの与信情報に基づく第2ユーザの与信リスク情報が含まれてよい。さらに、サーバ装置1は、第2画面処理部133が第2データを受信すると、当該第2データに関する第2ユーザ関連情報を第1端末2に送信し、第1端末2は、当該第2ユーザ関連情報に基づく第1ユーザの承諾を示すデータを、サーバ装置1の第1画面処理部131に送信してよい。これにより、第1ユーザは、第2ユーザの与信リスクを考慮して取引を成立させるか否かの判断をすることができる。
【0073】
以上のように、本実施形態に係る電力取引システムは、売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムである。本実施形態に係る電力取引システムは、第1ユーザから、第2ユーザに提示する売電の条件である売電条件の入力を受け付ける第1端末2と、前記第1端末2から、第1端末2が受け付けた売電条件を示す第1データ(売電条件情報)を受信し、受信した第1データを記憶する記憶部12を有するサーバ装置1と、サーバ装置1から第2画面データ(売電条件情報)を受信し、受信した第2画面データを表示部31に表示させ、第2ユーザから、第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付ける第2端末3とを備える。売電条件には、電力取引が成立した場合における電力料金(電力の取引価格)、給電パターン、給電開始日および給電終了日(給電期間)に関する情報が含まれる。
【0074】
この構成によると、第1端末2が、第1ユーザから、第2ユーザに提示する売電条件を受け付ける。サーバ装置1は、第1端末2が受け付けた売電条件を記憶部12に記憶する。第2端末3が、記憶部12に記憶された売電条件を表示部に表示して、第2ユーザから、第1ユーザまたは売電条件の選択を受け付ける。これにより、第1ユーザと第2ユーザとの間の電力取引を成立させることができる。
【0075】
また、第1端末2が受け付ける売電条件には、電力取引が成立した場合における電力の
取引価格および給電期間に関する情報が含まれる。これにより、第1ユーザは、第2ユーザに対して、電力の取引価格および給電期間を定めて電力取引を提示することができるため、第1ユーザおよび第2ユーザは、電力の取引価格の見通しを立てやすくなる。
【0076】
したがって、電力取引を安定して行うことができる。
【0077】
また、給電期間には、給電パターン、給電開始日および給電終了日(時間単位または日単位の期間)が含まれる。我が国では、電力取引の場として、電力スポット市場以外にも、日本卸電力取引所が提供する先渡市場が存在する。先渡市場では、週や月単位で電力取引を行うことができるが、時間単位または日単位の期間を指定して取引を行うことができない。これに対して、本実施形態では、第1端末2が、第1ユーザから、電力の給電期間として、給電パターン、給電開始日および給電終了日などの時間単位または日単位の期間の入力を受け付ける。これにより、第1ユーザが日数や時間単位で給電期間を設定できるため、柔軟に給電期間を設定することができる。
【0078】
また、記憶部12には、第1ユーザの支払能力に応じて定められた、第1ユーザの信用度を示す与信情報が記憶されている。サーバ装置1は、第2端末3に与信情報を送信(配信)する。
【0079】
この構成によると、サーバ装置1から第2端末3に第1ユーザの信用度を示す与信情報が配信されるため、第2ユーザは、与信情報を参照しつつ、電力取引を行うことができる。これにより、第2ユーザは、電力取引を成立させる際に、第1ユーザから安定して電力の供給を受けることができるか否かを判断することができる。
【0080】
(その他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態について説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
【0081】
なお、上記実施形態では、第1ユーザが給電する(売電する)事業者であり、第2ユーザが電力の供給を受ける(買電する)事業者であるが、第1ユーザと第2ユーザが逆であってもよい。すなわち、第1ユーザが買電する事業者であり、第2ユーザが売電する事業者であってもよい。この場合、記憶部12には、売電条件DBに代えて買電条件DBが構成される。買電条件DBには、第1ユーザが買電を行う際に、第2ユーザに提示する買電条件が格納される。すなわち、上記電力取引システムを、第1ユーザが第1端末2を操作して買電条件を入力し、サーバ装置1の記憶部12が入力された買電条件が格納された買電条件DBを管理し、第2ユーザが第2端末3を操作して第1ユーザとの電力取引を成立させてもよい。これにより、買電するユーザから売電するユーザに対して電力取引の条件を提示する場合であっても、電力取引を安定して行うことができる。
【0082】
また、サーバ装置1は、日本卸電力取引所(JEPX)が提供する電力スポット市場、先渡市場、当日の電力取引を行う当日市場など、電力取引市場における電力の取引価格の変動予測機能を備え、第1端末2および第2端末3の少なくとも一方に予測結果を配信してもよい。この機能は、例えば、天気、気温、発電所の停止情報、電源の供給予備率、連系線空容量、フォワードカーブ(電力、石炭、原油およびLNGに関するものを含む)、石炭輸入価格、原油輸入価格、LNG輸入価格、電力スポット市場における電力の取引価格の過去の変動などの情報に基づいて生成された学習モデルや、これらの情報を基にした統計学手法などにより実現できる。この構成により、第2ユーザは、電力取引市場における電力の取引価格の予測結果と、売電条件とを比較しつつ、電力取引を行うことができる。
【0083】
また、サーバ装置1は、給電を行う発電設備の温室効果ガスの排出係数と、当該発電設備の活動量とに基づいて、当該発電設備の温室効果ガスの排出量の算出する機能を備えてもよい。この場合、サーバ装置1は、算出結果を第2端末3に配信する。例えば、ステップS16において、第1画面は、発電設備の温室効果ガス(例えば、二酸化炭素やメタンなど)の排出係数と発電設備の活動量との入力を受け付ける。この発電設備の活動量とは、発電設備を稼働させる際の、燃料の使用量や焼却量などである。サーバ装置1は、第1画面に入力された、発電設備の温室効果ガスの排出係数と、発電設備の活動量とを掛け合わせることで、当該発電設備が発電することで排出される温室効果ガスの排出量を算出する。例えば、石炭火力発電所が「一般炭」(燃料種)を使用して発電を行う場合、当該石炭火力発電所の温室効果ガスの排出係数は一般炭の発熱量25.7GJ/tに一般炭の使用に関する排出係数0.0247tC/GJを乗じた0.63478tC/tとなる。この排出計数に、活動量(燃料使用量)と所定の係数(温室効果ガスの種類に応じて設定された係数)とを掛け合わせることにより、サーバ装置1は温室効果ガスの排出量を算出する。これにより、第2ユーザは、発電設備の温室効果ガスの排出量を考慮して、電力取引を行うことができる。
【0084】
さらに、サーバ装置1は、第2ユーザの温室効果ガスの総排出量の算出機能を備え、算出結果を第2ユーザに配信してもよい。例えば、サーバ装置1は、第2ユーザが自ら所有する発電設備の温室効果ガスの総排出量と、本実施形態により電力取引が成立した発電設備の温室効果ガスの総排出量とを加算することにより、第2ユーザの温室効果ガスの総排出量を算出する。これにより、第2ユーザは、自身の温室効果ガスの総排出量を知ることができるため、温室効果ガスの削減目標を考慮した電力取引を行うことができる。
【0085】
また、サーバ装置1は、発電設備の温室効果ガスの排出量の算出機能に加えて、発電設備の種類を管理する機能を備えてもよい。この場合、サーバ装置1は、発電設備の種類を示す情報を第2端末3に配信する。例えば、ステップS16において、第1画面は、発電設備の種類(火力、水力、原子力、太陽光、風力、地熱、バイオマスなど)の入力を受け付ける。ここで、現在、RE100(RenewableEnergy100%)と言われる、自らの事業
の使用電力を100%の再生可能エネルギーで賄うことを目標とする取り組みが存在する。この取り組みにおいて、「再生可能エネルギー」は「水力、太陽光、風力、地熱、バイオマス」と定義されている。すなわち、サーバ装置1が発電設備の種類を示す情報を第2端末3に配信することにより、第2ユーザは、第1ユーザの基本情報としての発電設備の所在地等の電源情報とともに、温室効果ガスの排出を低減または削減し得る種類の発電設備から電気が供給されることを特定することができるため、電力の調達にあたって例えばRE100など、温室効果ガスの排出抑制にあたり発電設備の特定が要件となる基準を満たすことができる。
【0086】
また、サーバ装置1は、電力取引が成立した場合、第1端末または前記第2端末に、会計処理に関する情報を配信する機能を備えてもよい。
【0087】
会計処理に関する情報は、例えば、ヘッジ会計処理に関する情報である。電力取引は、将来の受給期間に、電力の供給およびその決済をすることを約定する取引であるため、先物取引となる。特に、本電力取引システムでは、第1ユーザが給電期間を自由に設定することができるため、決算期に損益が確定していない場合がある。この場合、損益の確定まで会計処理の繰り延べを行う、ヘッジ会計と呼ばれる会計処理を行わなければならない。このヘッジ会計処理に関する情報(具体的な会計処理の手順など)を、サーバ装置1は第1端末2および第2端末3に配信する。これにより、第1ユーザおよび第2ユーザは、適切な会計処理を行うことができる。
【0088】
また、会計処理に関する情報は、環境価値の会計処理に関する情報であってもよい。第
1ユーザが再生可能エネルギーを売電し、諸条件を満たす場合、第2ユーザは「グリーン電力証書」、「J-クレジット」、「非化石証書」などの環境価値を入手することができる。この環境価値は、商取引の対象となるものであり、金銭的価値を有するものである。このため、第2ユーザは会計処理を行う場合、環境価値を計上する必要がある。この環境価値の会計処理に関する情報(具体的な会計処理の手順など)を、サーバ装置1は第1端末2および第2端末3に配信してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、第1ユーザと第2ユーザとが1対1で電力取引を行う場合を例にして挙げたが、1の第1ユーザと複数の第2ユーザとが電力取引を行えてもよいし、複数の第1ユーザと1の第2ユーザとが電力取引を行えてもよいし、複数の第1ユーザと複数の第2ユーザとが電力取引を行えてもよい。
【0090】
具体的には、1人の第1ユーザと複数の第2ユーザとが電力取引を行う場合、例えば当該1人の第1ユーザが提示した売電条件(または買電条件)のうち契約電力量が10,000kWhであれば、第2ユーザの1人が3,000kWhで申し込みを行い、第2ユーザの他の1人が7,000kWhで申し込みを行うことにより、第2ユーザの当該2人が共同で第1ユーザによる売電条件(または買電条件)の契約電力量を満たしてよい。ここで、本変形例において売電条件または買電条件はさらに契約期限を含んでよい。この場合、例えば1人の第1ユーザが一定の契約期限を付した売電条件(または買電条件)に対し、一部の第2ユーザが当該条件の一部を選択しても、当該契約期限までに他の第2ユーザにより売電条件(または買電条件)のすべてが満たされなければ、当該一部の選択をした第2ユーザによる申し込みは当該契約期限の経過後に無効とされてよい。
【0091】
また、複数の第1ユーザと1人の第2ユーザとが電力取引を行う場合、例えば当該複数の第1ユーザが1の売電条件(または買電条件)を共同で提示し、1人の第2ユーザが当該売電条件に対して申込を行うことで電力取引を成立させてもよい。この場合、売電条件または買電条件はさらに契約期限を含んでよい。
【0092】
また、複数の第1ユーザと複数の第2ユーザとが電力取引を行う場合、例えば当該複数の第1ユーザが売電条件(または買電条件)を共同で提示し、提示した売電条件のうち契約電力量が10,000kWhであれば、第2ユーザの1人が3,000kWhで申し込みを行い、第2ユーザの他の1人が7,000kWhで申し込みを行うことにより、第2ユーザの当該2人が共同で第1ユーザによる売電条件(または買電条件)の契約電力量を満たしてよい。この場合、例えば複数の第1ユーザが一定の契約期限を付した売電条件(または買電条件)に対し、一部の第2ユーザが当該条件の一部を選択しても、当該契約期限までに他の第2ユーザにより売電条件(または買電条件)のすべてが満たされなければ、当該一部の選択をした第2ユーザによる申し込みは当該契約期限の経過後に無効とされてもよい。
【0093】
また、サーバ装置1が、売電条件(または買電条件)や取引成立に関する情報を売電条件DB(または買電条件DB)および取引成立DBによって管理しているが、これに限られない。例えば、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術を用いて、複数の記憶装置によって、売電条件(または買電条件)や取引成立に関する情報を管理してもよい。この場合、複数の記憶装置は、サーバ装置1、第1端末2、第2端末3および他の端末装置のそれぞれに含まれてもよい。例えば、1の端末が、スマートコントラクトに従ってトランザクションを生成した場合、他の端末が、コンセンサスアルゴリズムに従って合意を行うと、当該トランザクションがブロックチェーン(分散型台帳)に記録される。これにより、情報の改ざん防止や、情報のトレーサビリティを確保することができる。
【0094】
また、サーバ装置1は、売電条件DB(または買電条件DB)に格納された売電条件(
または買電条件)を第1端末2から受信した情報により変更する機能を備えてもよい。すなわち、第1ユーザは、第1端末2に入力した売電条件を事後的に変更できてもよい。この場合、売電条件に含まれる情報のうち、一部の情報(たとえば、電力料金や給電期間など)を変更できないようにしてもよい。さらに、第2ユーザが、第2端末3を操作して、売電条件のうち変更可能となっている情報について、第1ユーザに変更を希望できるように構成してもよい。これにより、第2ユーザは第1ユーザと交渉することができるため、電力取引を成立させやすくなる。
【0095】
本実施形態に係る電力取引システムを、クレジットカード決済システムや口座振替システムなどと連携させてもよい。この場合、例えば、需要者(小売電気事業者から電力供給を受ける者)の通信端末(携帯電話やPCなど)によって、需要者のクレジットカードの番号や口座番号などの決済情報を受け付けて、クレジットカード決済システムや口座振替システムに決済情報の登録をおこなってもよい。これにより、本電力取引システムによって、ユーザの決済情報の管理を行うことができる。
【0096】
また、本実施形態に係る電力取引システムのサーバ装置1に、クレジットカードを撮影した画像から、クレジットカードに関する情報を検出できる機能を備えてもよい。例えば、サーバ装置1をユーザの通信端末(携帯電話やPCなど)と、クレジットカードの決済システムとに通信可能に構成する。サーバ装置1は、ユーザの通信端末から、ユーザのクレジットカードの画像を受信し、受信した当該画像から、例えば、OCR(Optical character recognition)などの文字読取技術により、ユーザのクレジットカードの番号など
の情報を読み取り、クレジットカードの決済システムに当該情報を通知してもよい。これにより、決済情報の入力を行う手間を省くことができる。
【0097】
また、本実施形態に係る電力取引システムを、ユーザの氏名、住所、電話番号および電力使用量など、ユーザの電力料金を請求するために用いられる各種情報を管理する顧客管理システムと連携させてもよい。これにより、例えば、ユーザに対して、電力使用量に応じた電気料金の請求を行うことができる。
【0098】
また、サーバ装置1は、複数の装置であってもよいし、1台であってもよい。サーバ装置1の各機能に対して1つのサーバ装置が設けられてもよい。また、サーバ装置1の各機能を複数の装置が共同して実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本実施形態に係る電力取引システムは、第1端末が第1ユーザから受け付けた売電条件である売電条件の入力と、第2端末が第2ユーザから受け付けた選択とに基づいて電力取引を成立させるため、第1ユーザと第2ユーザとの間の電力取引の仲介を行うことができる。
【符号の説明】
【0100】
1 サーバ装置
12 記憶部
13 制御部
131 第1画面処理部
132 条件登録部
133 第2画面処理部
134 取引成立処理部
2 第1端末
3 第2端末
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムであって、
前記第1ユーザから、前記第2ユーザに提示する前記売電の条件である売電条件の入力を受け付ける第1端末と、
前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した当該売電条件情報を記憶部に記憶するサーバ装置と、
前記サーバ装置から前記売電条件情報を受信し、受信した前記売電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記売電条件の選択を受け付ける第2端末と
を備え、
前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれ
前記サーバ装置は、電力取引市場における前記電力の取引価格を予測して、前記第2端末に予測結果を配信する、電力取引システム。
【請求項2】
売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムであって、
前記第1ユーザから、前記第2ユーザに提示する前記売電の条件である売電条件の入力を受け付ける第1端末と、
前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した当該売電条件情報を記憶部に記憶するサーバ装置と、
前記サーバ装置から前記売電条件情報を受信し、受信した前記売電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記売電条件の選択を受け付ける第2端末と
を備え、
前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれ、
前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合に、前記第2ユーザに対して給電を行う発電設備の温室効果ガスの排出係数と、当該発電設備による活動量とが含まれ、
前記サーバ装置は、前記排出係数と前記活動量とに基づいて、前記発電設備の温室効果ガスの排出量を算出し、算出結果を前記第2端末に配信する、電力取引システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電力取引システムにおいて、
前記売電条件には、前記発電設備の種類が含まれ、
前記サーバ装置は、前記発電設備の種類を前記第2端末に配信する、電力取引システム。
【請求項4】
売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムであって、
前記第1ユーザから、前記第2ユーザに提示する前記売電の条件である売電条件の入力を受け付ける第1端末と、
前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した当該売電条件情報を記憶部に記憶するサーバ装置と、
前記サーバ装置から前記売電条件情報を受信し、受信した前記売電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記売電条件の選択を受け付ける第2端末と
を備え、
前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれ、
前記記憶部は、分散型台帳を構成する複数の記憶装置の1つである、電力取引システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電力取引システムにおいて、
前記給電期間には、時間単位または日単位の期間が含まれる、電力取引システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電力取引システムにおいて、
前記記憶部には、前記第2ユーザの商取引における信用度を示す与信情報が記憶されており、
前記サーバ装置は、前記第1端末に前記与信情報を配信する、電力取引システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電力取引システムにおいて、
前記サーバ装置は、前記電力取引が成立した場合、前記第1端末または前記第2端末に、会計処理に関する情報を配信する、電力取引システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電力取引システムにおいて、
前記第1ユーザは、1または複数の第1ユーザを含み、
前記第2ユーザは、1または複数の第2ユーザを含む、電力取引システム。
【請求項9】
買電する第1ユーザと、売電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムであって、
前記第1ユーザから、第2ユーザに提示する前記買電の条件である買電条件を受け付ける第1端末と、
前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記買電条件を示す買電条件情報を受信し、受信した当該買電条件情報を記憶部に記憶するサーバ装置と、
前記サーバ装置から前記買電条件情報を受信し、受信した前記買電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記買電条件の選択を受け付ける第2端末と、
を備え、
前記買電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれ、
前記サーバ装置は、電力取引市場における前記電力の取引価格を予測して、前記第2端末に予測結果を配信する、電力取引システム。
【請求項10】
買電する第1ユーザと、売電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引システムであって、
前記第1ユーザから、第2ユーザに提示する前記買電の条件である買電条件を受け付ける第1端末と、
前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記買電条件を示す買電条件情報を受信し、受信した当該買電条件情報を記憶部に記憶するサーバ装置と、
前記サーバ装置から前記買電条件情報を受信し、受信した前記買電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記買電条件の選択を受け付ける第2端末と、
を備え、
前記買電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれ、
前記記憶部は、分散型台帳を構成する複数の記憶装置の1つである、電力取引システム。
【請求項11】
売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引方法であって、
第1端末が、前記第1ユーザから、前記第2ユーザに提示する前記売電の条件である売電条件の入力を受け付けるステップと、
サーバ装置が、前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した当該売電条件情報を記憶部に記憶するステップと、
第2端末が、前記サーバ装置から前記売電条件情報を受信し、受信した前記売電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記売電条件の選択を受け付けるステップと
を備え、
前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれ、
前記サーバ装置は、電力取引市場における前記電力の取引価格を予測して、前記第2端末に予測結果を配信する、電力取引方法。
【請求項12】
売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引方法であって、
第1端末が、前記第1ユーザから、前記第2ユーザに提示する前記売電の条件である売電条件の入力を受け付けるステップと、
サーバ装置が、前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した当該売電条件情報を記憶部に記憶するステップと、
第2端末が、前記サーバ装置から前記売電条件情報を受信し、受信した前記売電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記売電条件の選択を受け付けるステップと
を備え、
前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれ、
前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合に、前記第2ユーザに対して給電を行う発電設備の温室効果ガスの排出係数と、当該発電設備による活動量とが含まれ、
前記サーバ装置は、前記排出係数と前記活動量とに基づいて、前記発電設備の温室効果ガスの排出量を算出し、算出結果を前記第2端末に配信する、電力取引方法。
【請求項13】
売電する第1ユーザと、買電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引方法であって、
第1端末が、前記第1ユーザから、前記第2ユーザに提示する前記売電の条件である売電条件の入力を受け付けるステップと、
サーバ装置が、前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記売電条件を示す売電条件情報を受信し、受信した当該売電条件情報を記憶部に記憶するステップと、
第2端末が、前記サーバ装置から前記売電条件情報を受信し、受信した前記売電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記売電条件の選択を受け付けるステップと
を備え、
前記売電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれ、
前記記憶部は、分散型台帳を構成する複数の記憶装置の1つである、電力取引方法。
【請求項14】
買電する第1ユーザと、売電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引方法であって、
第1端末が、前記第1ユーザから、第2ユーザに提示する前記買電の条件である買電条件を受け付けるステップと、
サーバ装置が、前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記買電条件を示す買電条件情報を受信し、受信した当該買電条件情報を記憶部に記憶するステップと、
第2端末が、前記サーバ装置から前記買電条件情報を受信し、受信した前記買電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記買電条件の選択を受け付けるステップと、
を備え、
前記買電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれ、
前記サーバ装置が、電力取引市場における前記電力の取引価格を予測して、前記第2端末に予測結果を配信するステップをさらに備える、電力取引方法。
【請求項15】
買電する第1ユーザと、売電する第2ユーザとの間の電力取引を仲介する電力取引方法であって、
第1端末が、前記第1ユーザから、第2ユーザに提示する前記買電の条件である買電条件を受け付けるステップと、
サーバ装置が、前記第1端末から、前記第1端末が受け付けた前記買電条件を示す買電条件情報を受信し、受信した当該買電条件情報を記憶部に記憶するステップと、
第2端末が、前記サーバ装置から前記買電条件情報を受信し、受信した前記買電条件情報を表示部に表示させ、前記第2ユーザから、前記第1ユーザまたは前記買電条件の選択を受け付けるステップと、
を備え、
前記買電条件には、前記電力取引が成立した場合における電力の取引価格および給電期間に関する情報が含まれ、
前記記憶部は、分散型台帳を構成する複数の記憶装置の1つである、電力取引方法。
【請求項16】
コンピュータに、
請求項11~15のいずれか1項に記載の電力取引方法を実行させるための電力取引プログラム。