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  • 特開-装飾体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106516
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】装飾体
(51)【国際特許分類】
   A41D 25/00 20060101AFI20220712BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20220712BHJP
   A41D 25/16 20060101ALI20220712BHJP
   A41D 31/04 20190101ALN20220712BHJP
【FI】
A41D25/00 Z
A41D31/00 503G
A41D31/00 502C
A41D25/16
A41D31/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001569
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】518372051
【氏名又は名称】千代田ネクタイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】池田 龍介
(57)【要約】
【課題】洗濯時に生地が皺になることを抑制可能な装飾体を提供する。
【解決手段】表生地29と、表生地29の一方の表面に面接触され、かつ、接合される裏張り生地26と、を有し、裏張り生地26は、合成繊維製の経糸と合成繊維製の緯糸とを平織したものであり、かつ、表生地29より強度が高いネクタイ10。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表生地と、
前記表生地の一方の表面に張り付けられる裏張り生地と、
を有し、
前記裏張り生地は、合成繊維製の経糸と合成繊維製の緯糸とを平織したものであり、かつ、前記表生地より強度が高い、装飾体。
【請求項2】
請求項1記載の装飾体において、
前記経糸及び前記緯糸は、ポリエステル糸を含む、装飾体。
【請求項3】
請求項1または2記載の装飾体において、
前記表生地の表面と前記裏張り生地の表面とが面接触され、かつ、接合されている、装飾体。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の装飾体において、前記表生地は、ネクタイの表生地である、装飾体。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1項記載の装飾体において、前記表生地は、リボンの表生地である、装飾体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服、髪、鞄等に取り付け可能な装飾体に関する。
【背景技術】
【0002】
衣服に取り付けられる装飾体の一例であるネクタイが、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された耐洗濯性に優れたネクタイは、合成繊維を含む表地を有するネクタイであって、表地は、一端に形成された大剣部と、他端に形成された小剣部とを有し、大剣部及び小剣部の裏地が共に、合成繊維を含むメッシュ状の繊維で形成されている。また、特許文献1には、ネクタイの表地部分の型崩れを防止し、脱水を迅速に行うことができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-172258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1に記載されている装飾体は、洗濯時に生地が皺になる可能性がある、という課題を認識した。
【0005】
本発明の目的は、洗濯時に生地が皺になることを抑制可能な装飾体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の装飾体は、表生地と、前記表生地の一方の表面に張り付けられる裏張り生地と、を有し、前記裏張り生地は、合成繊維製の経糸と、合成繊維製の緯糸とを平織したものであり、かつ、前記表生地より強度が高い。なお、合成繊維の一例として、ポリエステルを用いることが可能である。
【発明の効果】
【0007】
装飾体の洗濯時に、表生地が皺になることを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】装飾体の一実施例であるネクタイがシャツに装着されている正面図である。
図2】ネクタイの平面図である。
図3図2のネクタイをIII -III 線に沿って破断した断面図である。
図4】裏張り生地の模式的な拡大図である。
図5】装飾体の他の実施例であるリボンの平面図である。
図6図5のリボンをVI-VI線に沿って破断した断面図である。
図7】ネクタイを洗濯する場合に用いるネットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(第1実施例)
図1図2及び図3には、装飾体の一実施例であるネクタイ10が示されている。ネクタイ10を平面視すると、ネクタイ10は、大剣部17、小剣部18及び中継ぎ部19を有する帯状部材である。ネクタイ10の長さ方向において、中継ぎ部19は、大剣部17と小剣部18との間に設けられている。
【0011】
ネクタイ10は、表生地(素材)29が2箇所で折り返されており、ネクタイ10は、1つの第1構成部11と、第1構成部11に対して折り返し部12で接続された第2構成部13と、第1構成部11に対して折り返し部14で接続された第2構成部15と、を有する。第2構成部13と第2構成部15とは、縫合されて互いに固定されている。第1構成部11は、ネクタイ10をシャツ16の首へ装着した場合に、シャツ16を着ている利用者以外の他者から見える箇所である。表生地29としては、例えば、ポリエステルのジャガード織、シルク、ウール、リネン、化学繊維等を用いることが可能である。
【0012】
大剣裏地20が大剣部17で第1構成部11に縫合して固定されている。小剣裏地21が小剣部18で第1構成部11に縫合して固定されている。大剣裏地20及び小剣裏地21は、例えば、キュプラ、ポリエステル素材などを用いることが可能である。
【0013】
2つの第2構成部13,15は、大剣部17において、2箇所のかんぬき止め(タック)22よって、互いに固定され、かつ、大剣裏地20へ固定されている。2つの第2構成部13,15は、小剣部18において、2箇所のかんぬき止め23によって互いに固定されている。全てのかんぬき止め22,23は、ネクタイ10が型崩れすることを防止するためのものである。かんぬき止め22,23は、穴糸、刺繍糸などである。
【0014】
小剣部通し(タグ)24が、大剣部17における第2構成部13,15に対し、縫合して固定されている。小剣部通し24は、ネクタイ10が図1のようにシャツ16へ装着された場合に、小剣部18の一部を差し込むためのものである。さらに、中継ぎ部19に首ステッチ25が設けられている。首ステッチ25は、第1構成部11と2つの第2構成部13,15とを縫合して固定している。首ステッチ25は、ネクタイ10が型崩れすることを防止するためのものである。
【0015】
また、第1構成部11及び第2構成部13,15を構成する表生地29の内面に、裏張り生地26が設けられている。具体的には、表生地29の一方の表面に裏張り生地26が固定されている。裏張り生地26は、ポリエステル製の極薄繊維である。裏張り生地26は、図4のように、経糸26A及び緯糸26Bを用いて平織りしたものである。経糸26A及び緯糸26Bは、共にポリエステル糸で直径が10デニール程度である。この裏張り生地26は、引っ張り強度または曲げ強度のなくとも一方が表生地29よりも高く、かつ、耐摩耗性及び弾性が表生地29よりも優れている。
【0016】
ネクタイ10の製造過程において、第1構成部11及び第2構成部13,15を形成するよりも前の工程で、表生地29と裏張り生地26との間に、合成樹脂系接着剤が介在され、かつ、表生地29と裏張り生地26とが重ね合わされ、かつ、熱及び圧力が加えられて、表生地29の表面に裏張り生地26が接着(接合)されている。このようにして、表生地29と裏張り生地26とが面接触され、かつ、接合された後の工程で、表生地29及び裏張り生地26が共に折り返される。
【0017】
さらに、第1構成部11と第2構成部13,15との間に、芯地27が設けられている。芯地27は、ネクタイ10が型崩れすることを防止するためのものである。芯地27は、大剣部17、中継ぎ部19及び小剣部18に亘って設けられている。芯地27は、一例として、シルク素材を用いることが可能である。
【0018】
第1実施例におけるネクタイ10の裏張り生地26は、合成繊維製、一例としてポリエステル製の経糸26Aと緯糸26Bを平織したものであり、かつ、裏張り生地26の強度が表生地29の強度より高い。そして、表生地29と裏張り生地26とが面接触され、かつ、接合されている。つまり、裏張り生地26は、表生地29を補強する要素としての役割を果たす。このため、ネクタイ10の洗濯過程、または、ネクタイ10の脱水過程で、ネクタイ10に外力、例えば、引っ張り荷重、ねじり荷重、曲げ荷重のうち、少なくとも1つの荷重が加わった場合に、ネクタイ10が皺になることを抑制できる。具体的には、ネクタイ10の収縮、曲がり等を抑制可能である。
【0019】
(第2実施例)
装飾体の一例である衣服用のリボンが、図5及び図6に示されている。リボン30は、製造過程において、表生地40を折り返して重ね合わせ、重ね合わされた表生地40の周囲を縫合したものである。リボン30は、2つの羽根部31,32と、2つの羽根部31,32を接続した箇所に設けられた帯部33と、帯部33に固定されたバンド34と、バンド34に接続された紐部35と、を有する。
【0020】
2つの羽根部31,32は、留め部36によって接続されている。留め部36は、リボン30の型崩れを抑制するためのものである。紐部35は、一例としてゴム紐である。バンド34と紐部35とは、接続具37によって接続されている。接続具37は、プラスチック製である。2つの羽根部31,32、帯部33及びバンド34は、同じ生地が用いられている。
【0021】
リボン30に用いられている表生地40の構成を説明する。図6は、羽根部31の断面図であり、羽根部31は、表生地40を折り返して重ねられた第1構成部41及び第2構成部42を有する。表生地40は、合成繊維製、一例としてポリエステル製である。そして、リボン30の製造過程で、表生地40の片面に裏張り生地26が張り付けられる。表生地40と裏張り生地26とを張り合わせる方法は、表生地29と裏張り生地26とを張り合わせる方法と同じである。このようにして、表生地29と裏張り生地26とを張り合わせられた後の工程で、表生地40を折り返して重ねられ、第1構成部41及び第2構成部42が形成され、かつ、周囲が縫合される。
【0022】
第2実施例におけるリボン30の裏張り生地26は、共にポリエステルの経糸26Aと緯糸26Bを平織したものであり、かつ、裏張り生地26の強度が表生地40の強度より高い。そして、表生地40と裏張り生地26とが合成樹脂系接着剤で接着(面接合)されている。つまり、裏張り生地26は、表生地40を補強する要素としての役割を果たす。このため、リボン30の洗濯過程、または、リボン30の脱水過程で、リボン30に外力、例えば、引っ張り荷重、ねじり荷重、曲げ荷重のうち、少なくとも1つの荷重が加わった場合に、リボン30が皺になることを抑制できる。具体的には、リボン30の収縮、曲がり等を抑制可能である。
【0023】
(その他)
装飾体の一例であるネクタイ10を洗濯及び脱水する場合に用いるネットの一例が、図7に示されている。ネット50の組成は、合成繊維(例えば、ポリエステル100%)であり、メッシュの袋形状としたものである。ネット50は、前側片51及び差し込み片52を有し、前側片51の一部と、差し込み片52の一部とが重なっている。前側片51と差し込み片52とが重なっている箇所が開口部53である。利用者は、ネクタイ10を折りたたんだ状態で開口部53からネット50の内部へ入れる。利用者は、ネット50に入れた状態でネクタイ10を洗濯可能である。
【0024】
また、利用者は、ネクタイ10をネット50の内部から開口部53を介してネット50の外部へ取り出すことができる。なお、リボン30をネット50に入れて洗濯及び脱水することも可能である。この場合、ネット50の形状および構造は、リボン30の形状及び大きさに合わせたものが用いられる。
【0025】
本実施形態で説明された事項の技術的意味の一例は、次の通りである。ネクタイ10及びリボン30は、それぞれ装飾体の一例である。表生地29,41は、それぞれ表生地の一例であり、裏張り生地26は、裏張り生地の一例である。経糸26Aは、経糸の一例である。緯糸26Bは、緯糸の一例である。装飾体は、実施形態に開示された構成に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。装飾体は、衣服に取り付けられるものの他、髪、鞄等に取り付けられるものを含む。また、装飾体は、ネクタイ、リボンの他、スカーフ、バンダナであってもよい。本実施形態において、合成繊維は、ポリエステル系、ポリアミド系(ナイロン)、ポリウレタン系等を含む。
【符号の説明】
【0026】
10…ネクタイ、26…裏張り生地、26A…経糸、26B…緯糸、29,41…表生地、30…リボン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7