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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106525
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】電気車両用充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220712BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20220712BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
B60L53/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001583
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平島 光
(72)【発明者】
【氏名】木村 勇作
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503BA04
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125AC24
5H125FF12
(57)【要約】
【課題】充電コネクタをコネクタホルダに戻した後に二台目の車両を充電するまでの時間が短い場合であっても、二台目の車両の蓄電池に対して高い電力で急速充電することができるようにする。
【解決手段】充電装置は、コネクタピン42を有する充電コネクタ4と、充電コネクタ4が充電に利用されていないときに充電コネクタ4を保持するコネクタホルダ5と、を備え、コネクタホルダ5は、コネクタホルダ5は、コネクタピン42が挿入されるソケット端子522を有するコネクタ受け部52と、コネクタ受け部52が取り付けられるケース51と、ケース51内に設けられるヒートシンク53と、ソケット端子522とヒートシンク53を繋ぐように設けられ、ソケット端子522に挿入されたコネクタピン42の熱をヒートシンク53に伝える伝熱線54と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両の充電に必要な電気機器を収容する筐体と、
前記筐体から延びる充電ケーブルと、
前記充電ケーブルの先端部に設けられる充電コネクタと、
前記充電コネクタが電気車両の充電に利用されていないときに前記充電コネクタを保持するコネクタホルダとを備える電気車両用充電装置であって、
前記コネクタホルダは、
前記充電コネクタのコネクタピンが挿入されるソケットを有するコネクタ受け部と、
前記コネクタ受け部が取り付けられるホルダケースと、
前記ホルダケース内に設けられるヒートシンクと、
前記ソケットと前記ヒートシンクを繋ぐように設けられ、前記ソケットに挿入された前記コネクタピンの熱を前記ヒートシンクに伝える伝熱線とを備える電気車両用充電装置。
【請求項2】
前記ヒートシンクは、複数の放熱フィンを有する第一ヒートシンク及び第二ヒートシンクと、前記第一及び第二ヒートシンクが前記放熱フィンを外側に向けて対向した配置状態で前記第一及び第二ヒートシンクを繋ぐ連結板部とを有し、
前記伝熱線は、前記ヒートシンクの前記連結板部に接続されている請求項1に記載の電気車両用充電装置。
【請求項3】
前記伝熱線は、前記ヒートシンクの前記連結板部に圧着端子を介して接続されている請求項2に記載の電気車両用充電装置。
【請求項4】
前記コネクタ受け部は、二つの前記ソケットを有し、
前記二つのソケットが二つの前記伝熱線を介して二つの前記ヒートシンクと繋がれており、
前記二つのヒートシンクの間には、絶縁板が配置されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載の電気車両用充電装置。
【請求項5】
前記ヒートシンクは、前記ホルダケースに対して非接触の状態で配置されている請求項1~請求項4の何れか1項に記載の電気車両用充電装置。
【請求項6】
前記ホルダケースにおける前記コネクタ受け部の取付箇所には、前記ヒートシンクを挿通可能な挿通孔が形成されており、
前記コネクタ受け部が、前記伝熱線を介して前記ヒートシンクと繋がった一体の状態で、前記ホルダケースに対して着脱交換可能になっている請求項1~請求項5の何れか1項に記載の電気車両用充電装置。
【請求項7】
前記ホルダケースの底壁には、前記ホルダケース内に浸入した水を前記ホルダケース外に排出するための水抜孔が形成されると共に、当該水抜孔を少なくとも上方側から覆うカバーが取り付けられている請求項1~請求項6の何れか1項に記載の電気車両用充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気車両用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気自動車などの電気車両の蓄電池に充電するための充電装置が開示されている。充電装置は、内部に充電用の回路部を設けた筐体の外側に引き出される充電ケーブルと、充電ケーブルの先端部に設けられて車両に接続するための充電コネクタと、を備える。充電装置には、短時間で車両の蓄電池に急速充電することが可能な充電装置もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6505351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
急速充電が可能な充電装置では、充電ケーブル及び充電コネクタのコネクタピンに大きな電流が流れるため、充電ケーブル及びコネクタピンの定格容量を超えると、充電ケーブルやコネクタピンの温度が急上昇しやすい。このため、この種の充電装置では、充電ケーブルやコネクタピンの温度が規定温度以下である場合には高い電力で蓄電池に急速充電できるが、充電ケーブルやコネクタピンの温度が規定温度を越えると、充電ケーブルやコネクタピンを保護するために電力を抑えて蓄電池に充電する低速充電モードに切り替えられる。充電時間が決まっている場合に、その充電時間内において、低速充電モードで蓄電池に充電する時間が長くなると、蓄電池の充電量が不十分となることがある。
【0005】
このことから、同一の充電ケーブルを用いて、複数台の車両の蓄電池に対して連続して十分に急速充電できるようにするためには、一台目の車両の蓄電池の充電が完了した後、充電ケーブルやコネクタピンの温度が規定温度よりも十分に下回るまで待った後に、二台目の車両の蓄電池の充電を開始する必要がある。すなわち、複数台の車両の蓄電池に対して連続して急速充電するためには、複数台の車両の蓄電池を充電する間隔を長く確保する必要がある、という問題がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、充電コネクタをコネクタホルダに戻した後に二台目の車両を充電するまでの時間が短い場合であっても、二台目の車両の蓄電池に対して高い電力で急速充電することが可能な充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、電気車両の充電に必要な電気機器を収容する筐体と、前記筐体から延びる充電ケーブルと、前記充電ケーブルの先端部に設けられる充電コネクタと、前記充電コネクタが電気車両の充電に利用されていないときに前記充電コネクタを保持するコネクタホルダとを備える電気車両用充電装置であって、前記コネクタホルダは、前記充電コネクタのコネクタピンが挿入されるソケットを有するコネクタ受け部と、前記コネクタ受け部が取り付けられるホルダケースと、前記ホルダケース内に設けられるヒートシンクと、前記ソケットと前記ヒートシンクを繋ぐように設けられ、前記ソケットに挿入された前記コネクタピンの熱を前記ヒートシンクに伝える伝熱線とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る電気車両用充電装置によれば、コネクタホルダのコネクタ受け部が有するソケットが、ホルダケース内に設けられるヒートシンクと伝熱線を介して繋がれる。充電コネクタがコネクタホルダに保持され、充電コネクタのコネクタピンがソケットに挿入されると、コネクタピン及びこれに接続された充電ケーブルの熱が、ソケット及び伝熱線を介してヒートシンクに伝わり、ヒートシンクによって放散される。これにより、コネクタピン及び充電ケーブルの温度を規定温度以下まで効率よく低下させることができる。従って、充電コネクタをコネクタホルダに戻した後に二台目の車両を充電するまでの時間が短い場合であっても、二台目の車両の蓄電池に対して高い電力で急速充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係る電気車両用充電装置の外観を示す斜視図である。
図2】上記電気車両用充電装置のコネクタホルダを、そのケースの左側の側壁部を透過した状態で示す斜視図である。
図3】上記コネクタホルダを、そのケースの左側及び後側の側壁部と上壁部を透過した状態で示す斜視図である。
図4図2のIV-IVの位置での上記コネクタホルダの断面、及び、充電コネクタの先端部の断面を示す断面図である。
図5図2のV-Vの位置での上記コネクタホルダの断面図である。
図6】上記コネクタホルダの主要部を示す斜視図である。
図7】上記コネクタホルダの主要部を示す分解斜視図である。
図8】上記コネクタホルダの絶縁板を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図8を参照して本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、説明の便宜上、図1等に示す上下、左右及び前後の矢印に示す方向を、上下方向、左右方向及び前後方向と定義して構成要素の位置や向き等を説明する。図1に示すように、電気車両用充電装置1(以下、単に「充電装置1」と称する)は、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの電気車両の蓄電池に充電するものであり、筐体2と、充電ケーブル3と、充電コネクタ4と、コネクタホルダ5とを備える。
【0011】
筐体2は矩形箱状に形成され、筐体2の内部に充電用の回路部(不図示の電気機器)が設けられている。筐体2の前面21には、充電の状態等の各種状態を表示する表示パネル211などが設けられている。充電ケーブル3は、筐体2内部の回路部に電気的に接続され、筐体2の側面22から外側に延びている。充電ケーブル3は可撓性を有する。充電コネクタ4は、充電ケーブル3の先端に設けられている。充電コネクタ4は、樹脂製のコネクタ本体と、コネクタ本体の先端側に形成された円筒状の接続部41(図4参照)と、接続部41の内側に位置して充電ケーブル3と電気的に接続されるコネクタピン42(図4参照)と、コネクタ本体の基端側に形成されたグリップ部と、を有する。充電コネクタ4のグリップ部の基端部側に充電ケーブル3が接続される。接続部41の軸線とコネクタピン42の軸線とは互いに平行している。図4では、コネクタピン42が一つだけ図示されているが、コネクタピン42は左右方向(図4において紙面に直交する方向)に間隔をあけて二つ並んでいる。一方のコネクタピン42はプラス極となり、他方のコネクタピン42はマイナス極となる
【0012】
充電装置1では、充電コネクタ4を電気車両のインレット(不図示)に差し込むことで、電気車両の蓄電池に充電することができる。充電装置1では、充電ケーブル3や充電コネクタ4のコネクタピン42の温度が規定温度以下である場合には高い電力で車両の蓄電池に急速充電するブースト充電制御を行うが、充電ケーブル3やコネクタピン42の温度が規定温度を越えている場合には電力を抑えて電気車両の蓄電池に充電する。具体的には、充電装置1では、1回につき30分の充電時間のうち、最初の15分間を150kW、350Aで充電する一方、後の15分間を90kW、200Aに抑制して充電し、充電完了となる。充電完了後は待機状態を設け、充電コネクタ4及び充電ケーブル3の端子温度が規定温度まで下がれば、次の150kW充電を可能とする。上記の待機状態で充電コネクタ4及び充電ケーブル3の冷却を行う。上記のブースト充電制御では、充電ケーブル3の電線径等を変えずに出力電力を上げることができる。
【0013】
コネクタホルダ5は、筐体2の側面22の前端側に設けられる。充電コネクタ4が電気車両のインレットから取り外されて電気車両の充電に利用されていないときに、当該充電コネクタ4がコネクタホルダ5に保持される。充電コネクタ4をコネクタホルダ5に保持するため充電コネクタ4が挿入されるコネクタホルダ5の後述するケース51の前側開口5111は、筐体2の前方側を向いている。このコネクタホルダ5は、上記の待機時間を極力短くするための放熱構造を備える。
【0014】
図2図5に示すように、コネクタホルダ5は、ホルダケースであるケース51と、コネクタ受け部52と、二つのヒートシンク53と、二つの伝熱線54と、二つの圧着端子544と、絶縁部材55とを備える。ケース51は、例えば平板部材に曲げ加工を施して形成された複数の部材が互いに結合されて構成されている。ケース51は、前壁部511、後壁部512、上壁部513、下壁部514及び左右の側壁部515を有する矩形箱状をなし、内部にコネクタ受け部52の支持部517を有している。前壁部511は、上壁部513の前端部から前方斜め下方に折り曲げられて延び、その前端部から下方に折り曲げられて延びている。前壁部511の下端部と下壁部514の前端部、更に左右の側壁部515の前端部とによって、前後方向に貫通する矩形状の前側開口5111が形成されている。後壁部512は、四角錐台状に後方側へ膨出した形状をなしている。これにより、充電ケーブル3がコネクタホルダ5に不用意に引掛かることを抑制するようにしている。下壁部514の前端部は、前方斜め上方に折り曲げられて延びている。
【0015】
支持部517は、上から順番に並ぶ平板部5171、支持板部5172、延長板部5173及びカバー板部5174を有する。平板部5171の板厚方向は、前後方向に一致している。平板部の上端部は、ケース51の内面である上壁部513の下面に当接した状態で設けられている。支持板部5172は、平板部5171の下端部から前方斜め下方に折り曲げられて延びている。支持板部5172の前面は、ケース51の前側開口5111に対して当該前面の上部が後方側に傾いた傾斜面になっている。支持板部5172には、その板厚方向に貫通する挿通孔5177(図3参照)が形成されている。なお、支持板部5172は、例えば平板部5171に対して折り曲げられず、平板部5171と同様に下方に延びてもよい。
【0016】
延長板部5173は、支持板部5172の下端部から前方に折り曲げられて延びている。カバー板部5174は、延長板部5173の前端部から下方に折り曲げられて延び、その下端部から後方斜め下方に折り曲げられて延びている。カバー板部5174の下端部は、下壁部514の前端部に当接した状態で設けられている。支持部517の左右方向の寸法は、ケース51の内部の左右方向の寸法とほぼ等しく、支持部517の左右端部がそれぞれ左右の側壁部515の内側面に当接した状態で設けられる。このように設けられる支持部517により、ケース51の内部の空間は、前壁部511側の第一空間S1と後壁部512側の第二空間S2とに区画されている。
【0017】
コネクタ受け部52は、受け部本体521と、二つのソケット端子522とを備える。コネクタ受け部52としては、例えば電気車両に設けられたインレットが流用される。受け部本体521は、電気的な絶縁材料により円筒状に形成されている。受け部本体521の外周部には、受け部本体521の径方向外側に張り出す平板状の鍔部5212が設けられている。受け部本体521の内径寸法は、充電コネクタ4の接続部41の外径寸法に対して同等あるいは若干大きくなっており、受け部本体521内に充電コネクタ4の接続部41を挿入可能になっている。充電コネクタ4の接続部41が受け部本体521内に挿入されることにより、コネクタ受け部52は充電コネクタ4を保持することが可能になっている。
【0018】
受け部本体521の内部には、二つの円筒状の端子収容部5211が左右方向に並んで設けられている。二つの端子収容部5211はそれぞれ、受け部本体521の底壁部(後壁部)から後方に突出し、ケース51の第二空間S2内に位置するように設けられている。二つの端子収容部5211の後端部には、有底円筒状に形成された伝熱線カバー541が取り付けられている。この伝熱線カバー541の底壁には、後述する伝熱線54が挿通される挿通孔5411(図7参照)が形成されている。二つの端子収容部5211の内部にそれぞれソケットであるソケット端子522が挿入されて設けられる。
【0019】
二つのソケット端子522はそれぞれ、導電性を有する雌型の端子金具である。ソケット端子522は、充電コネクタ4のコネクタピン42を挿入可能な円筒状のピン接続部5221と、後述する伝熱線54を挿入可能な円筒状の伝熱線接続部5222とを有する。ソケット端子522は、ピン接続部5221と伝熱線接続部5222とが同軸方向に繋がった形状になっている。ソケット端子522は、受け部本体521の充電コネクタ4が挿入される開口部側にピン接続部5221が配置される向きで、端子収容部5211内に設けられる。受け部本体521内に充電コネクタ4が挿入されると、コネクタピン42が端子収容部5211内のピン接続部5221に挿入されるようになっている。ピン接続部5221にコネクタピン42が挿入されると、ピン接続部5221の内周面とコネクタピン42の外周面とが接触するように、ピン接続部5221及びコネクタピン42の各寸法が構成されている。伝熱線接続部5222には後述する伝熱線54が挿入され、伝熱線接続部5222をかしめて当該伝熱線54に圧着させるようになっている。
【0020】
コネクタ受け部52は、支持部517の支持板部5172の挿通孔5177に前方側から受け部本体521を挿入し、鍔部5212を支持板部5172の前面に重ねてボルト101及びナット102で固定することで、支持板部5172に取り付けられて支持される。コネクタ受け部52を支持板部5172に取り付けた状態において、受け部本体521の充電コネクタ4が挿入される開口部等が、ケース51の前側開口5111を通してケース51の外側に露出する。コネクタ受け部52を支持板部5172に取り付けた状態において、二つの端子収容部5211の後端部が、ケース51の後壁部512に対向するように位置する。コネクタ受け部52を支持板部5172に取り付けた状態において、ソケット端子522のピン接続部5221と伝熱線接続部5222との軸線が、後方側へ向かって下るように傾斜する。コネクタ受け部52には、二つの端子収容部5211の上側及び下側に複数の貫通孔523が形成されており、複数の貫通孔523を介して第一空間S1と第二空間S2とが連通している。例えば雨天の際には、複数の貫通孔523を通って第二空間S2内に雨水が浸入する場合がある。
【0021】
二つのヒートシンク53は、ケース51の第二空間S2内において、左右方向に間隔をあけて並び、且つ左右方向において互いに反対向きの姿勢で配置されている。図2図7に示すように、二つのヒートシンク53は、例えばアルミニウム等の熱伝導率の高い材料からなり、第一ヒートシンク531及び第二ヒートシンク532と、第一ヒートシンク531及び第二ヒートシンク532を繋ぐ連結板部533とを有する。第一ヒートシンク531及び第二ヒートシンク532は、連結板部533から左右方向の外側へ突出している。
【0022】
第一ヒートシンク531と第二ヒートシンク532とは、略上下方向において反対向きの形状に形成されている。図7に示すように、第一ヒートシンク531は、略上下方向を板厚方向とする板状のベース部5311と、ベース部5311の上面に左右方向に並んで並設された複数の放熱フィン5312とを有する。第二ヒートシンク532は、略上下方向を板厚方向とする板状のベース部5321と、ベース部5321の下面に左右方向に並んで並設された複数の放熱フィン5322とを有する。連結板部533は、左右方向を板厚方向とする板状をなしている。第一ヒートシンク531及び第二ヒートシンク532は、放熱フィン5312、5322を上下方向の外側に向けて対向した配置状態で連結板部533により繋がれている。
【0023】
二つの伝熱線54はそれぞれ、複数本の金属細線(例えば銅製の細線)をより合わせた断面円形状のリッツ線である。二つの伝熱線54の一端部側はそれぞれ、ソケット端子522の伝熱線接続部5222に挿入されて圧着固定されている。二つの伝熱線54の他端部側はそれぞれ、ソケット端子522から端子収容部5211の外側に出て後方に延びている。二つの伝熱線54は、ソケット端子522と同軸上に配置されている。左側の伝熱線54の他端部側は、左側のヒートシンク53の連結板部533に対して左側(左右方向の外側)に位置している。右側の伝熱線54の他端部側は、右側のヒートシンク53の連結板部533に対して右側(左右方向の外側)に位置している。左右の伝熱線54はそれぞれ、左右のヒートシンク53の連結板部533に圧着端子544を介して接続されている。二つの伝熱線54の長さは極力短く設定されており、伝熱線54からヒートシンク53までの熱抵抗を低減している。
【0024】
圧着端子544は、導電性を有する材料からなり、連結板部533に対して左右方向の外側に配置されている。圧着端子544は、圧着筒部5441と、接続板部5442とを備える。圧着筒部5441は、伝熱線54の他端部側が通る筒状に形成されている。圧着筒部5441の内側に伝熱線54の他端部側を通した状態で圧着筒部5441をその径方向から潰すことで、圧着筒部5441を伝熱線54に固定することができる。接続板部5442は、圧着筒部5441の軸方向の端部から該軸方向に延びる平板状に形成されている。
【0025】
圧着端子544の接続板部5442は、左右方向を板厚方向とする板状をなし、ヒートシンク53の連結板部533に対して左右方向の外側から重ね合わされている。接続板部5442には、ビス孔5443(図7参照)が形成されており、連結板部533には、二つの雌ねじ孔5331が形成されている。二つの雌ねじ孔5331は、略前後方向に間隔をあけて並んでいる。接続板部5442は、ビス孔5443に挿通されたビス103が、二つの雌ねじ孔5331のうちの一方に螺合することで連結板部533に締結固定されている。これにより、伝熱線54が圧着端子544を介して連結板部533に繋がれており、ソケット端子522が伝熱線54及び圧着端子544を介してヒートシンク53と繋がれている。伝熱線54及び圧着端子544は、ソケット端子522に挿入されたコネクタピン42の熱をヒートシンク53に伝える機能を有している。
【0026】
二つのヒートシンク53はそれぞれ、圧着端子544、伝熱線54及びソケット端子522を介してコネクタ受け部52に支持されており、ケース51に対して非接触の状態(すなわち第二空間S2内で宙に浮いた状態)で配置されている。二つのヒートシンク53の間には、二つのヒートシンク53を絶縁するための絶縁部材55が配置されている。絶縁部材55は、絶縁板551と、四つのビス552と、四つのスペーサ553とを備える。絶縁板551は、電気的な絶縁材料により長尺板状に形成されている。絶縁板551は、ソケット端子522の軸線方向(略前後方向)を長手方向とし且つ左右方向を板厚方向として、二つのヒートシンク53の間の中央に配置されている。
【0027】
絶縁板551の長手方向の両端部にはそれぞれ、ビス552が挿通される二つのビス孔5511(図7参照)とスリット5512(図8参照)とが形成されている。スリット5512は、絶縁板551の上下方向の中央に位置しており、二つのビス孔5511は、スリット5512を介して互いに反対側(上下方向の両側)に位置している。スリット5512は、絶縁板551の長手方向に延びており、絶縁板551の長手方向の端部で開放されている。
【0028】
上下に並ぶ二つのビス孔5511のうちの一方には左側からビス552のねじ部5522が挿入され、上下に並ぶ二つのビス孔5511のうちの他方には右側からビス552のねじ部5522が挿入されている。詳細には、絶縁板551の長手方向一端側(ここでは前側)では、上側のビス孔5511に対して左側からビス552のねじ部5522が挿入され、下側のビス孔5511に対して右側からビス552のねじ部5522が挿入されている。絶縁板551の長手方向他端側(ここでは後側)では、上側のビス孔5511に対して右側からビス552のねじ部5522が挿入され、下側のビス孔5511に対して左側からビス552のねじ部5522が挿入されている。つまり、絶縁板551の長手方向一端側と長手方向他端側とでは、上下のビス孔5511に対するビス552のねじ部5522の挿入方向が互い違いになっている。
【0029】
各スペーサ553はそれぞれ、電気的な絶縁材料により円筒状に形成されている。各スペーサ553は、絶縁板551を介して各ビス552の頭部5521とは反対側に配置されている。各スペーサ553の内側には、各ビス552のねじ部5522が挿通されている。絶縁板551のビス孔5511に対して左側から挿入されたビス552のねじ部5522は、右側のヒートシンク53の連結板部533に形成された雌ねじ孔5332(図7参照)に先端部が螺合している。絶縁板551のビス孔5511に対して右側から挿入されたビス552のねじ部5522は、左側のヒートシンク53の連結板部533に形成された雌ねじ孔5332に先端部が螺合している。これにより、左右のヒートシンク53が絶縁板551及びビス552(すなわち絶縁部材55)を介して連結されている。
【0030】
ソケット端子522、伝熱線54、圧着端子544及びヒートシンク53は、コネクタ受け部52に対してソケット端子522の軸線回りに相対回転可能とされているが、当該相対回転は絶縁部材55によって規制されている。また、各ヒートシンク53の連結板部533には、ビス552の頭部5521と対向する箇所に貫通孔5333(図7参照)が形成されており、図示しないドライバを貫通孔5333に挿入することでビス552を回転可能とされている。
【0031】
二つヒートシンク53が絶縁部材55を介して連結されて構成される放熱部は、ケース51の支持部517に形成された挿通孔5177を挿通可能な大きさとされている。これにより、コネクタ受け部52が二つの伝熱線54を介して二つのヒートシンク53と繋がった一体の状態で、ケース51に対して着脱交換可能になっている。
【0032】
左右のヒートシンク53は、前述したようにケース51に対して非接触の状態で配置されている。左右のヒートシンク53と絶縁板551との間にはそれぞれスペーサ553が挟まれており、絶縁板551と左右のヒートシンク53とが絶縁されている。各ビス552の頭部5521は、各ヒートシンク53に対して離間して配置されており、各ビス552と左右のヒートシンク53との絶縁距離が確保されている。また、絶縁板551において、上下に並んだビス552の間にスリット5512が形成されることにより、上下に並んだビス552の間の沿面距離が拡大されている。さらに、ヒートシンク53、伝熱線54、圧着端子544及び絶縁部材55には、防湿コーティングが施されている。以上により、ケース51の第二空間S2内に浸入する雨水等の液体に対する絶縁性能が強化されている。
【0033】
ケース51の底壁である下壁部514には、ケース51の第二空間S2内に浸入した雨水等の液体をケース51外に排出するための複数の水抜孔5141(図4参照)が形成されている。複数の水抜孔5141の上方で第二空間S2内の下部には、カバー516が配置されている。カバー516は、例えば樹脂からなり、下方側が開放された扁平な矩形箱状をなしている。カバー516の内側には、図示しない二つのボスが左右方向に並んで形成されている。二つのボスには、雌ねじが形成されており、下壁部514を下方側から貫通した二つのビス104が各ボスの雌ねじに螺合している。これらのビス104により、カバー516が下壁部514に固定されている。
【0034】
カバー516は、複数の水抜孔5141を上方側、前方側、後方側、左方側及び右方側から覆っている。これにより、針金等の異物が水抜孔5141から第二空間S2内に挿入され、異極のヒートシンク53同士が短絡されることが防止される。また、ケース51の内部が外部から視認されることや、水抜孔5141から塵や埃等がケース51内に侵入することが防止又は抑制される。但し、カバー516と下壁部514との間には僅かな隙間が形成されており、第二空間S2内に浸入した雨水等の液体は、上記の隙間を通って水抜孔5141からケース51外に排出される構成になっている。
【0035】
充電装置1では、充電コネクタ4をケース51の前側開口5111から挿入してコネクタ受け部52に差し込むと、充電コネクタ4の接続部41が受け部本体521内に挿入される。充電コネクタ4の接続部41が受け部本体521内に挿入されることで、充電コネクタ4がコネクタホルダ5に保持され、充電コネクタ4の二つのコネクタピン42がそれぞれ、コネクタホルダ5の二つのソケット端子522のピン接続部5221に挿入される。コネクタピン42がピン接続部5221に挿入されると、コネクタピン42の外周面がピン接続部5221の内周面に接触した状態となる。
【0036】
充電装置1においては、電気車両の充電を行った後に、充電ケーブル3や充電コネクタ4の二つのコネクタピン42の温度が高くなった状態で、当該充電コネクタ4をコネクタホルダ5のコネクタ受け部52に差し込むと上記のような状態になるため、充電ケーブル3や二つのコネクタピン42の熱はそれぞれ、ソケット端子522のピン接続部5221から伝熱線接続部5222へと伝わり、伝熱線接続部5222から伝熱線54へと伝わる。伝熱線54へと伝わった熱は、圧着端子544を経由してヒートシンク53に伝わり、ヒートシンク53によって放散される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の充電装置1によれば、コネクタホルダ5は、コネクタピン42が挿入されるソケット端子522を有するコネクタ受け部52と、ソケット端子522に接続されて設けられ、ソケット端子522に挿入されたコネクタピン42の熱をヒートシンク53に伝える伝熱線54とを備える。これにより、コネクタピン42がソケット端子522に挿入された状態では、コネクタピン42及びこれにつながる充電ケーブル3の熱を、ソケット端子522及び伝熱線54を介してヒートシンク53に伝えることができる。このため、コネクタピン42及び充電ケーブル3の熱を効率よく逃がして、コネクタピン42及び充電ケーブル3の温度を効率よく低下させることができる。すなわち、コネクタピン42及び充電ケーブル3の温度をより短い時間で規定温度よりも十分に下回らせることができる。例えばブースト充電完了直後のコネクタピン42の温度を短い時間(例えば十数分)で規定温度まで下げることができる。従って、充電コネクタ4をコネクタホルダ5に戻した後に二台目の電気車両を充電するまでの時間が短い場合であっても、二台目の電気車両の蓄電池に対して高い電力で急速充電することができる。
【0038】
充電装置1では、ヒートシンク53がケース51内に収容されている。これにより、充電装置1のユーザが高温のヒートシンク53に触れることを防止できるので、ユーザの安全性を確保するための特別な構成が不要になる。その結果、例えば製造コストの低減に寄与する。
【0039】
充電装置1では、ヒートシンク53は、複数の放熱フィン5312、5322を有する第一ヒートシンク531及び第二ヒートシンク532と、第一ヒートシンク531及び第二ヒートシンク532が放熱フィン5321、5322を外側に向けて対向した配置状態で第一ヒートシンク531及び第二ヒートシンク532を繋ぐ連結板部533とを有する。連結板部533には、伝熱線54が接続されている。これにより、ソケット端子522から伝熱線54に伝わる熱を、連結板部533を介して第一ヒートシンク531及び第二ヒートシンク532に効率良く伝達することができる。その結果、伝熱線54に伝わる熱を第一ヒートシンク531及び第二ヒートシンク532から効率良く放熱することができる。
【0040】
充電装置1では、伝熱線54が圧着端子544を介してヒートシンク53の連結板部533に接続されている。この圧着端子544としては、既存の圧着端子を適用することができるので、例えば専用設計の接続部材を用いて伝熱線54をヒートシンク53に接続する構成と比較して、製造コストの低減に寄与する。
【0041】
充電装置1では、コネクタ受け部52は、充電コネクタ4に設けられた二つのコネクタピン42が挿入される二つのソケット端子522を有する。二つのソケット端子522には、プラス極とマイナス極のコネクタピン42がそれぞれ挿入される。二つのソケット522は、二つの伝熱線54を介して二つのヒートシンク53と繋がれている。二つのヒートシンク52の間には、絶縁板551を有する絶縁部材55が配置されている。これにより、プラス極のヒートシンク53とマイナス極のヒートシンク53とが短絡することを簡素な構成で防止できる。
【0042】
充電装置1では、ケース51内に雨水等の液体が浸入するが、ケース51内に設けられたプラス極とマイナス極のヒートシンク53は、ケース53に対して非接触の状態で配置されている。これにより、プラス極とマイナス極のヒートシンク53を、簡素な構成でケース51に対して絶縁することができる。また、ケース51内に浸入した液体及びケース51を介してプラス極とマイナス極のヒートシンク53が短絡することを防止し易くなる。
【0043】
充電装置1では、ケースに51おけるコネクタ受け部52の取付箇所には、挿通孔5177が形成されており、二つヒートシンク53が絶縁部材55を介して連結されて構成された放熱部が挿通孔5177を挿通可能とされている。これにより、コネクタ受け部52が伝熱線54を介してヒートシンク53と繋がった一体の状態で、ケース51に対して着脱交換可能になっている。コネクタ受け部52は、ソケット端子522へのコネクタピン42の挿抜回数が例えば1万回で交換が必要となることから、上記のように構成することにより、コネクタ受け部52、伝熱線54、ヒートシンク53等を一体の状態で交換可能としている。これにより、上記交換の作業が極めて容易になる。
【0044】
充電装置1では、ケース51の底壁である下壁部514には、ケース51内に浸入した雨水等の液体をケース51外に排出するための複数の水抜孔5141(図4参照)が形成されている。また、下壁部514には、複数の水抜孔5141を上方側、前方側、後方側、左方側及び右方側から覆うカバー516が取り付けられている。カバー516と下壁部514との間には僅かな隙間が形成されており、第二空間S2内に浸入した雨水等の液体は、上記の隙間を通って水抜孔5141からケース51外に排出される。カバー516は、複数の水抜孔5141を上記のように覆っているため、針金等の異物が水抜孔5141を通して第二空間S2内に挿入され、異極のヒートシンク53同士が短絡されることを防止できる。また、ケース51の内部が外部から視認されることや、水抜孔5141から塵や埃等がケース51内に侵入することを防止又は抑制できる。なお、例えば水抜孔5141に網目が細かいメッシュを取り付けて防塵性能を確保することも考えられるが、メッシュにゴミが溜り別の不具合(例えば、充電コネクタ4がコネクタ受け部52から外れない等)を発生させる恐れもある。充電装置1では、そのような不具合を防止できる。
【0045】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、伝熱線54は、複数本の金属細線5421をより合わせたリッツ線であるが、これに限らず、例えば一本の金属線(例えば銅線)であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、伝熱線54が圧着端子544を介してヒートシンク53の連結板部533に接続される構成にしたが、これに限らず、専用設計の接続部材を介して伝熱線54がヒートシンク53の連結板部533に接続される構成にしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、ヒートシンク53は、複数の放熱フィン5312、5322を有する第一ヒートシンク531及び第二ヒートシンク532と、第一ヒートシンク531及び第二ヒートシンク532を繋ぐ連結板部533とを有し、連結板部533に伝熱線54が接続される構成にしたが、これに限られるものではない。例えば複数の放熱フィンを有する単一のヒートシンクに伝熱線が接続される構成にしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、絶縁板551を有する絶縁部材55が二つのヒートシンク53の間に配置された構成にしたが、これに限らず、二つのヒートシンク53の絶縁構造は適宜変更可能である。例えば、二つのヒートシンク53にそれぞれ取り付けたピン状の絶縁部材が互いに相手側のヒートシンク53に係合することで二つのヒートシンク53の沿面距離が確保される構成にしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、ケース51の下壁部514には、ケース51内に浸入した水をケース51外に排出するための複数の水抜孔5141が形成されると共に、複数の水抜孔5141を上方側、前方側、後方側、左方側及び右方側から覆うカバー516が取り付けられた構成にしたが、これに限られるものではない。例えば複数の水抜孔5141を下方側から覆うカバーが下壁部514に取り付けられる構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 充電装置
2 筐体
3 充電ケーブル
4 充電コネクタ
42 コネクタピン
5 コネクタホルダ
51 ケース(ホルダケース)
514 下壁部(底壁)
5141 水抜孔
516 カバー
5177 挿通孔
52 コネクタ受け部
522 ソケット端子(ソケット)
53 ヒートシンク
531 第一ヒートシンク
5312 放熱フィン
532 第二ヒートシンク
5322 放熱フィン
533 連結板部
54 伝熱線
544 圧着端子
551 絶縁板
図1
図2
図3
図4
図5
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図8