(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106541
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】組立装置
(51)【国際特許分類】
H01R 43/042 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
H01R43/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001620
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】592089331
【氏名又は名称】株式会社新東京エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 香一郎
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063CA07
5E063CA10
5E063CB03
5E063CC07
5E063XA05
(57)【要約】
【課題】コネクタの組み立てを容易にすること。
【解決手段】組立装置は、未組立品コネクタを載置する端子載置部と、被圧接部に絶縁被覆電線を圧接して端子に被覆導線を通電させる圧接部と、端子の基端部を支持して先端側に移動させて被圧接部をハウジング内に挿入させる端子挿入部とを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングに先端部が挿入され被覆電線が圧接により通電される被圧接部が露出した圧接端子とを備える未組立品コネクタを載置する載置部と、
前記被圧接部に被覆導線を圧接して前記圧接端子に被覆導線を通電させる圧接部と、
前記圧接端子の基端部を支持して先端側に移動させて前記被圧接部を前記ハウジング内に挿入させる挿入部と、
を有することを特徴とする組立装置。
【請求項2】
前記挿入部は、先端側に移動させる移動量を調整可能な調整機構を有する請求項1に記載の組立装置。
【請求項3】
前記調整機構は、使用者が把持し、回動に応じた移動量を調節可能な棒状体を有する請求項2に記載の組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタに絶縁被覆電線を圧接や圧着によって接続する装置や方法が知られている。例えば、コネクタが配置されるコネクタ配置部と、コネクタ配置部に対して進退動作する押圧部とを備える電線接続工具であって、押圧部は、コネクタ配置部に対して進退動作するパンチ部と、押圧部の進退動作の方向に突没可能で電線の位置決めを行う電線ガイド部と、を具備する電線接続工具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端子とハウジングが一体となったコネクタが知られている。
図1は、実施の形態の未組立品コネクタ(結線加工前)を説明する図である。
以下の説明では紙面上側を「上」、紙面下側を「下」、紙面左側を「左」、紙面右側を「右」と言う。
実施の形態の未組立品コネクタ50は、4つの端子51~54とハウジング55とを備えている。端子の数は図示のものに限定されない。
ハウジング55の左右方向の長さは一例として15mm程度、上下方向の長さは一例として15mm程度、厚さは一例として3mm程度である。
【0005】
図1に示すように、端子51には、被圧接部51aが設けられている。被圧接部51aには、所定の間隙が空けられて対設された一対の刃51a1、51a1が2カ所配置されている。また、端子51には、圧を受けて折れ曲がることにより絶縁被覆電線を支持する支持部51b1、51b1が設けられている。
図2は、実施の形態の組立品コネクタ(結線加工後)を説明する図である。
【0006】
未組立品コネクタ50を組み立てる際には、絶縁被覆電線11~14を、被覆を除去しないまま端子51~54に上方から押し込む。絶縁被覆電線11~14が上方から押し込まれたとき、被圧接部に配置された刃が絶縁被覆電線の被覆を突き破り、芯線に接触することにより絶縁被覆電線11~14が端子51~54に電気的に導通する。また、支持部51b1、51b1が圧を受けて折れ曲がることにより絶縁被覆電線を支持する。
所定の方法で端子51~54をハウジング55に挿入する。
【0007】
この端子51~54をハウジング55に挿入する方法について、例えば、手動により挿入する方法が考えられるが、手動による挿入の場合、手間がかかるという問題がある。
1つの側面では、本発明は、コネクタの組み立てを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、開示の組立装置が提供される。この組立装置は、ハウジングと、ハウジングに先端部が挿入され被覆電線が圧接により通電される被圧接部が露出した圧接端子とを備える未組立品コネクタを載置する載置部と、被圧接部に被覆導線を圧接して圧接端子に被覆導線を通電させる圧接部と、圧接端子の基端部を支持して先端側に移動させて被圧接部を前記ハウジング内に挿入させる挿入部と、を有している。
【発明の効果】
【0009】
1態様では、コネクタの組み立てを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態の未組立品コネクタ(結線加工前)を説明する図である。
【
図2】実施の形態の組立品コネクタ(結線加工後)を説明する図である。
【
図4】組立装置のハンドルの操作方法を説明する図である。
【
図6】実施の形態のインサートプッシャーを説明する図である。
【
図7】手順1の組立装置の動作を説明する図である。
【
図8】手順2の組立装置の動作を説明する図である。
【
図9】手順3の組立装置の動作を説明する図である。
【
図10】手順5の組立装置の動作を説明する図である。
【
図11】手順7の組立装置の動作を説明する図である。
【
図12】手順8の組立装置の動作を説明する図である。
【
図13】手順9の組立装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態の組立装置を、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
以下の図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲等に限定されない。
実施の形態において単数形で表される要素は、文面で明らかに示されている場合を除き、複数形を含むものとする。
<実施の形態>
【0013】
実施の形態の組立装置は、未組立品コネクタから組立品コネクタを組み立てる装置である。本組立装置は端子の数に限定されない未組立品(コンタクト部がハウジングにプリインサーションされ、結線部は露出している)コネクタを(1)セット(載置)するロケータ部、(2)コネクタの極数(端子数)に同じピッチ(間隔)数の櫛歯に電線を無作為に配置して、その余長を切断することで、コネクタへの電線突き出し位置が均一となるカッターコム部と、(3)コネクタ極数の一括同時圧接・圧着・余長カット刃を一体とするパンチ部、そして本装置の解決課題である(4)圧着・圧接の結線完了の端子を、ハウジングに一括ワンアクションで挿入させる、挿入部の四つの機能を具備している。
図3は、実施の形態の組立装置を示す正面図である。
【0014】
実施の形態の組立装置1は、前述した未組立品コネクタ50から組立品コネクタを組み立てる装置である。組立装置1は、ハンドプレス(圧着機)2と圧着治具部3とを有している。
圧着治具部3は、ハンドプレス2に対し着脱できるようになっている。
以下、組立装置の動作を簡単に説明する。
図4は、組立装置のハンドルの操作方法を説明する図である。
【0015】
使用者はハンドル21を把持して下死点まで下げる。
図4は、下死点までハンドル21を下げたときの状態を示している。これにより、パンチ部22により絶縁被覆電線が上方から押し込まれ、被圧接部51aに配置された被覆切断部51a1、51a1が絶縁被覆電線の被覆を突き破り、芯線に接触することにより絶縁被覆電線が端子51~54に電気的に導通する。
【0016】
その後、使用者はハンドル21を元の位置に戻し、圧着治具部3に設けられた端子挿入部(後述)を操作することにより、端子挿入部が端子51~54をハウジング55に挿入する。これにより、組立品コネクタが組み上がる。
【0017】
なお、圧着治具部の構造は異なるが、圧着により電極プラグピンとカテーテルのケーブル(ステンレス線)の結線を行う装置としては、株式会社新東京エンジニアリングの「ハンドプレスFX-004&TPC電極プラグ圧着装置ダイセット治具」がある。組立装置1の圧着方法は、この治具の仕組みの一部を流用することができる。
以下、圧着治具部3について説明する。
図5は、圧着治具部を説明する図である。
【0018】
図5に示すように、圧着治具部3は、ベース30と端子載置部31と蓋部32と端子挿入部33と取っ手34とを有している。ベース30は、板状をなしており、ベース30上に端子載置部31と蓋部32が載置されている。
【0019】
ベース30は、スタビライザのスライドガイドに取り付けられることにより、紙面手前側から紙面奥側へのスライドが可能となる。紙面右斜め手前側から紙面左斜め奥側へのスライドは、利用者が取っ手34を把持することにより行うことができる。
また、ベース30を組立装置1の本体から離脱させたくない場合は、手前側にストッパを設けることにより、ベース30の離脱を抑制させることができる。
端子載置部31には、未組立品コネクタ50が載置される。なお、
図5における端子載置部31は、蓋部32に覆われている。
【0020】
蓋部(カッター・コム)32は、組立時に端子載置部31を覆う。蓋部32は、端子載置部31を覆ったときに各端子51~54の上部に側壁を形成し、絶縁被覆電線を配置できる電線配置部321を有している。また、蓋部32は、配置された絶縁被覆電線の余長をカットするカッターを有している。
【0021】
端子挿入部33は、紙面手前側と紙面奥側との間で平行移動する。以下の説明では、端子挿入部33が紙面手前側の位置(
図5に示す位置)を第1の位置という。
【0022】
端子挿入部33は、絶縁被覆電線を端子に圧接した後に奥側に平行移動することにより端子をハウジング55に挿入させる機能を有している。具体的には、端子挿入部33は、インサートプッシャー331と、インサートプッシャー331を支持してインサートプッシャー331の移動量を制御する制御部332と、載置される電線を仮止めする仮止め部333とを有している。仮止め部333には、例えば粘着性の部材が配設されている。
図6は、実施の形態のインサートプッシャーを説明する図である。
【0023】
インサートプッシャー331は、端子の数(本実施の形態では4)に対応する端子押圧部331aと制御部332に係合する係合部(開口部)331bとを有している。
図6に示すように、インサートプッシャー331は、先端側(紙面右側)に向かうにつれて上下幅が小さくなる所謂先細りの形状をなしている。
【0024】
なお、本実施の形態では、4つの端子を備える未組立品コネクタ50の組立方法について説明する。しかし、端子の数はこれに限定されない。端子の数に応じた端子押圧部331aを備えるインサートプッシャー331と蓋部32とを用意することで、任意の数の端子を持つコネクタを組み立てることができる。
再び
図5に戻って説明する。
【0025】
制御部332は、インサートプッシャー331の下部(紙面奥側)に配置され反時計回りに回動する回動部を有している。制御部332は、回動部の回動に応じて係合部(開口部)331bを紙面上側に押し出す。
また、制御部332は、使用者が把持して回動部の回動量を決定できる把持部(端子押し込みレバー)332aを有している。
把持部332aの先端部は、回動部に接続されている。把持部332aは、中心軸aを中心に所定角度(本実施の形態では90度)回動可能である。
【0026】
端子載置部31に未組立品コネクタ50が載置されているときに
図5に示す把持部332aの位置から、90度回動した位置まで把持部332aを回動させることにより、端子押圧部331aをハウジング55の開口部に近接または当接させることができる。
以下、組立装置1の動作を説明する。
図7~
図13は、組立装置の動作を説明する図である。
以下の手順は一例である。手順と手順の間に他の手順があってもよい。一部の手順が省略されていてもよい。他の手順が追加されてもよい。
(手順1)ロケータにワークをセット
図7に示すように、端子載置部31に未組立品コネクタ50を載置する。
(手順2)蓋部を閉じる
【0027】
図8に示すように、蓋部32を紙面手前に倒すことにより蓋部32が端子載置部31に載置された未組立品コネクタ50を覆う。蓋部32が端子載置部31を覆うことにより、端子51~54の両側部に電線配置部321が配置される。端子51~54および電線配置部321により溝部が形成される。
(手順3)無作為に電線を配置する
【0028】
図9に示すように、手順2により形成される溝部に絶縁被覆電線11~14を配置する。溝部の奥側に配置される絶縁被覆電線11~14の余長は後述する手順5によりカットされる。仮止め部333に絶縁被覆電線11~14が位置することにより、絶縁被覆電線11~14が仮止めされ絶縁被覆電線11~14のずれや落下等を抑制することができる。
(手順4)
【0029】
溝部が絶縁被覆電線11~14が配置された状態で取っ手34を把持してスライド部をスライドさせ、ハンドプレス2のパンチ部22と対向する位置に溝部を移動させる。
(手順5)プレス下死点、圧着・圧接・余長カット、一括完了
利用者はハンドル21を把持して下げる。これにより
図10に示すように、パンチ部22が溝部に挿入され、端子51~54への圧接、圧着が行われる。
(手順6)
利用者はハンドル21を把持して持ち上げる。これによりパンチ部22が上昇する。
(手順7)プレスハンドル戻し、ロケータ・テーブルを手前に引きだす
図11に示すように、利用者は取っ手34を把持してベース30を手前に引き出す。
(手順8)端子をハウジングへの挿入レバーの操作
【0030】
図12に示すように、利用者は把持部332aが90度回動した位置(
図12(b)に示す位置、以下「第2の位置」と言う)まで把持部332aを時計回りに回動させる。これにより、端子押圧部331aが端子51~54の基端部を押圧し、ハウジング55の開口部に近接または当接させる。
再び
図6に戻って説明する。
図6は、端子挿入部の動作を説明する図である。
【0031】
図6(a)は、把持部332aが第1の位置にあるときのインサートプッシャー331と端子51~54との位置関係を示している。インサートプッシャー331と端子51~54(
図6に表されているのは端子54)との間に間隙H2が存在する。
【0032】
図6(b)は、把持部332aを時計回りに回動させたときのインサートプッシャー331と端子51~54との位置関係を示している。インサートプッシャー331の端子押圧部331aが端子51~54の基端部(
図6に表されているのは基端部54a)に当接して
図6中、右方向への押圧が開始される。
図6(c)は、把持部332aが第2の位置にあるときのインサートプッシャー331と端子51~54との位置関係を示している。
インサートプッシャー331により端子51~54の基端部が押圧され、端子51~54の被圧接部がハウジング55内に挿入される。
(手順9)挿入工程も完了して、蓋部を開いた状態
【0033】
図13に示すように、利用者は再度蓋部32を開ける。利用者は端子51~54の被圧接部がハウジング55内に挿入されたことを目視により確認する。そして、利用者は組立品コネクタ60を取り出す。
【0034】
以上述べたように、組立装置1によれば、未組立品コネクタ50を載置する端子載置部31と、被圧接部に絶縁被覆電線11~14を圧接して端子51~54に被覆導線11~14を通電させる圧接部と、端子51~54の基端部を支持して先端側に移動させて被圧接部をハウジング55内に挿入させる端子挿入部33とを有する。本実施の形態では、パンチ部22および溝部が圧接部の一部を形成する。
【0035】
これにより、簡易な操作で端子51~54の被圧接部をハウジング55に挿入することができる。従って、組立品コネクタ60の組み立てを容易にすることができる。また、端子51~54のハウジング55への挿入をより確実なものとすることができる。
【0036】
以上、本発明の組立装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。例えば圧接部分の一部が圧着であってもよいし、圧着部分の一部が圧接であってもよい。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 組立装置
2 ハンドプレス
21 ハンドル
3 圧着治具部
31 端子載置部
32 蓋部
33 端子挿入部
34 取っ手
331 インサートプッシャー
332 制御部
332a 把持部
11~14 絶縁被覆電線
50 未組立品コネクタ
51~54 端子
51a 被圧接部
55 ハウジング
51a1 被覆切断部(刃)
60 組立品コネクタ