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特開2022-106549濃縮機、及び、該濃縮機と晶析装置とからなる濃縮装置
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  • 特開-濃縮機、及び、該濃縮機と晶析装置とからなる濃縮装置 図1
  • 特開-濃縮機、及び、該濃縮機と晶析装置とからなる濃縮装置 図2
  • 特開-濃縮機、及び、該濃縮機と晶析装置とからなる濃縮装置 図3
  • 特開-濃縮機、及び、該濃縮機と晶析装置とからなる濃縮装置 図4
  • 特開-濃縮機、及び、該濃縮機と晶析装置とからなる濃縮装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106549
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】濃縮機、及び、該濃縮機と晶析装置とからなる濃縮装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 9/02 20060101AFI20220712BHJP
   B03B 5/28 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
B01D9/02 615A
B03B5/28 A
B01D9/02 603E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001636
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000171919
【氏名又は名称】佐竹マルチミクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】西岡 光利
【テーマコード(参考)】
4D071
【Fターム(参考)】
4D071AA52
4D071AB62
4D071CA03
(57)【要約】
【課題】従来の濃縮装置は、蒸発濃縮機を用いていたため、必要エネルギーが大きかった。
【解決手段】本発明の濃縮装置は、容れられた原料を結晶として析出させて、成長させる晶析装置と、該晶析装置により排出された、成長された結晶を含む液体が容れられ、該液体を濃縮する濃縮機と、前記濃縮機から排出された微粒を含む液体を、前記晶析装置に導入させる循環手段とよりなり、前記濃縮機は、晶析装置により晶析した結晶を含む液体が容れられるハウジングと、該ハウジング内に設けられた、前記結晶を微粒と粗粒とに分級する分級ローターと、該分級ローターにより分級された微粒を含む液体を前記ハウジング外に排出する微粒排出部と、前記分級ローターにより分級され、濃縮された粗粒を、前記ハウジング外に排出する粗粒排出口とよりなることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体粒子を含む液体や晶析装置により晶析した結晶を含む液体が容れられるハウジングと、
該ハウジング内に設けられた、前記固体粒子や結晶を微粒と粗粒とに分級する分級ローターと、
該分級ローターにより分級された微粒を含む液体を前記ハウジング外に排出する微粒排出部と、
前記分級ローターにより分級され、濃縮された粗粒を、前記ハウジング外に排出する粗粒排出口とよりなることを特徴とする濃縮機。
【請求項2】
容れられた原料を結晶として析出させて、成長させる晶析装置と、
該晶析装置により排出された、成長された結晶を含む液体が容れられ、該液体を濃縮する濃縮機と、
前記濃縮機から排出された微粒を含む液体を、前記晶析装置に導入させる循環手段とよりなり、
前記濃縮機は、晶析装置により晶析した結晶を含む液体が容れられるハウジングと、
該ハウジング内に設けられた、前記結晶を微粒と粗粒とに分級する分級ローターと、
該分級ローターにより分級された微粒を含む液体を前記ハウジング外に排出する微粒排出部と、
前記分級ローターにより分級され、濃縮された粗粒を、前記ハウジング外に排出する粗粒排出口とよりなることを特徴とする濃縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、固体粒子を含む液体や晶析装置から晶析させた結晶を含む液体を濃縮する濃縮機、及びこの濃縮機と晶析装置とからなる濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(1.1.従来の乾燥固体・粉体生成装置の説明)
【0003】
固体粒子や結晶を含む液体(スラリー)を濃縮して乾燥固体や粉体を製造する方法として、例えば、図5に示すように、晶析装置1の原料投入口1aに原料スラリーを投入し、該原料スラリーに含まれている成分を結晶として析出させ、そして、所定の大きさまで成長させた結晶を含む液体(スラリー)を、前記晶析装置1の流出口1bからから流出させて、蒸発濃縮機2内に、導入口2aから導入する。
【0004】
そして、該蒸発濃縮機2により、前記スラリーから水分を蒸発させ、蒸発させた水分は、復水部3により、復水させて、前記晶析装置1内に循環させ、また、水分が蒸発した結晶は、前記蒸発濃縮機2の取出口2bからウエット固体として取り出し、そして、該ウエット固体を温風等によるドライヤー部(乾燥装置)4により乾燥させることにより、乾燥固体や粉体を製品として生成させていた。
【0005】
(1.2.精密分級装置の説明)
【0006】
また、分級ローターを高速回転させて、液体(スラリー)中の粒子を、粒子の粒径(重さ)に応じて、分級する分級装置がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6713540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記蒸発濃縮機2は、液体を蒸発させるためのエネルギーが大きい。
【0009】
また、蒸発した水分の再利用工程のイニシャルコスト・ランニングコストが大きい。
【0010】
更に、製品回収率を上げるために、所定の大きさまで粒子の粗大化が必要で、そのため、晶析操作を厳格に行う必要があった。
【0011】
本発明は、分級ローターを有する分級装置を応用し、該分級装置を濃縮機として用いることにより、前記欠点を解消する濃縮機を提供し、また、この濃縮機と晶析装置とからなる濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成すべく、本発明の濃縮機は、固体粒子を含む液体や晶析装置により晶析した結晶を含む液体が容れられるハウジングと、該ハウジング内に設けられた、前記固体粒子や結晶を微粒と粗粒とに分級する分級ローターと、該分級ローターにより分級された微粒を含む液体を前記ハウジング外に排出する微粒排出部と、前記分級ローターにより分級され、濃縮された粗粒を、前記ハウジング外に排出する粗粒排出口とよりなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の濃縮装置は、容れられた原料を結晶として析出させて、成長させる晶析装置と、該晶析装置により排出された、成長された結晶を含む液体が容れられ、該液体を濃縮する濃縮機と、前記濃縮機から排出された微粒を含む液体を、前記晶析装置に導入させる循環手段とよりなり、前記濃縮機は、晶析装置により晶析した結晶を含む液体が容れられるハウジングと、該ハウジング内に設けられた、前記結晶を微粒と粗粒とに分級する分級ローターと、該分級ローターにより分級された微粒を含む液体を前記ハウジング外に排出する微粒排出部と、前記分級ローターにより分級され、濃縮された粗粒を、前記ハウジング外に排出する粗粒排出口とよりなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、機器コスト及び電力共に大幅削減ができるようになる。
【0015】
また、比重差による固液分離・濃縮方法を採用するため、晶析装置において、厳密な管理、結晶の粗大化の必要はなくなるようになる。
【0016】
また、微細結晶を、前記晶析装置に再循環させることにより、種晶として再利用することができるようになるし、再加熱・溶融により結晶の無い晶析原料液に戻すことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の濃縮装置の説明図である。
図2】本発明の濃縮機の説明図である。
図3】本発明の濃縮機の分級ローターの斜視図である。
図4】本発明の濃縮機の一例の説明図である。
図5】従来の濃縮装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【0019】
なお、従来と同じ部分には同じ符号を付け、説明を省略する。
【実施例0020】
本発明の実施例1を図1図4によって説明する。
【0021】
(2.本発明の濃縮装置の説明)
【0022】
本発明においては、図1に示すように、晶析装置と濃縮機とよりなる濃縮装置において、従来、蒸発濃縮機2を用いていた代わりに、分級ローターを有する湿式固液分離濃縮機(濃縮機)5を用いる。
【0023】
該湿式固液分離濃縮機5は、図1図3に示すように、例えば、晶析装置1から流出した結晶を含む液体(スラリー)を導入口6aから容れるハウジング6と、該ハウジング6内に設けた、微粒と粗粒とを分級する分級ローター7と、該分級ローター7を回転させる回転手段(図示せず)と、前記分級ローター7により分級され該分級ローター7内に入流した微粒を含む液体(微粒スラリー)を前記ハウジング6外に流出する微粒排出部8と、前記分級ローター7内に流入しなかった、濃縮され、前記ハウジングの底部に貯められた粗粒よりなるウエット状の固体(ウエット固体)をハウジング6外に排出する粗粒排出口9とよりなる。
【0024】
なお、前記回転手段は、例えば、前記分級ローター7に接続された回転軸10と、該回転軸10を回転させるモーター等(図示せず)とよりなる。
【0025】
また、前記微粒排出部8と前記晶析装置1とは循環管11により連結され、前記微粒排出部8からの微粒を含む液体が、前記晶析装置1に導入され、晶析装置1内の液体が循環されるように形成される。
【0026】
また、前記粗粒排出口9は、ドライヤー部4に連結され、前記粗粒排出口9から排出された濃縮された結晶(ウエット固体)は、ドライヤー部4内に導入され、該ドライヤー部4で乾燥されて、乾燥固体・粉体が製造されるようになる。
【0027】
(2.1.分級ローターの説明)
【0028】
前記分級ローター7は、例えば、図2及び図3に示すように、上下に離間し同軸に配置した2枚の同形の円板状の板12a、12bと、該上側の板12aの中心部に設けた排出口13とよりなる枠体と、前記2枚の板12a、12bの互いに対向する面の外周側部分間に、周方向に等間隔で回転中心より放射状に設けるか、或いは、回転中心から若干偏心させて設けた(半径方向から若干傾斜させて設けた)複数の分級羽根14とよりなる。
【0029】
そして、前記上側の板12aに、前記回転手段の管状に形成された回転軸10が、該回転軸10の開口部が前記排出口13に連通するようにして、連結され、前記開口部13と前記管状の回転軸10とにより、前記微粒排出部9が形成される。
【0030】
なお、各互いに隣接する前記分級羽根14、14間に分級室15が形成されるようになる。
【0031】
(3.本発明の作用の説明)
【0032】
本発明においては、例えば、晶析装置1にスラリー等の原料液体を投入し、該液体に含まれている成分を結晶として析出させ、ある程度成長した結晶を、前記晶析装置1から排出して、前記湿式固液分離濃縮機5内に導入する。
【0033】
なお、後述するように、分級ローター7により、所定の大きさまで成長しない結晶は、前記晶析装置1内に再循環され、所定の大きさに成長した結晶のみドライヤー部4に導入されるため、前記晶析装置1においては、前記湿式固液分離濃縮機5内に導入する結晶の大きさを厳密に管理・制御する必要はない。
【0034】
そして、前記湿式固液分離濃縮機5の分級ローター7の回転数は、所定の大きさの径(所定の重さ)の結晶を分級できる速度に調整され、図4に示すように、前記ハウジング6内に容れられた原料スラリーは、高速回転する分級ローター7により、前記所定の大きさの粒径(重さ)より小さい微粒及び液体は、前記分級ローター7の外周部から分級ローター7内に流入し、前記分級ローター7の中心部に形成された排出口13から、前記回転軸10の貫通孔10a、前記循環管11を通って、前記晶析装置1に導入され、前記微粒結晶が再循環されるようになる。
【0035】
また、前記所定の大きさの径より大きい粗粒は、前記分級ローター7外に排出され、そして、前記ハウジング6内で濃縮されていき、ウエット状の結晶(ウエット固体)として、前記ハウジング底部に貯まり、そして、例えば、前記ハウジング6の底部に設けられた排出口9から排出されて、前記ドライヤー部4に導入され、該ドライヤー部4で乾燥されて、乾燥固体や粉体が製造されるようになる。
【0036】
(4.本発明の効果の説明)
【0037】
本発明によれば、蒸発した水分を復水することなく、湿式分離・濃縮により液体をそのまま再循環するので、蒸発エネルギーを完全ゼロにできる。
【0038】
また、蒸発した水分の再利用工程がないので、イニシャルコスト・ランニングコストにおいて、機器コスト及び電力共に大幅削減ができる。
【0039】
また、エネルギー的にも、高速で回転させるモーター駆動のみ消費され、極めて低動力での湿式連続濃縮が可能である。
【0040】
また、比重差による固液分離・濃縮方法を採用するため、晶析装置において、厳密な管理、結晶の粗大化の必要はなくなり、これにより、オペレーションの負担が大幅に低減されコストダウン・エネルギー削減を実現することができる。
【0041】
また、敢えて、微細結晶を、前記晶析装置に再循環させることにより、種晶として再利用することができるようになるし、再加熱・溶融により結晶の無い晶析原料液に戻すことも可能となる。
【0042】
また、ある程度の分級作用を持たせることで、より効率化を実現することができる。
【0043】
また、分級ローターにおいては、一般の分級装置に求められる程の高度な分級精度は求められないので、装置を比較的大容量化も可能となる。
【0044】
また、本発明の濃縮機は、物理的な分離ではなく流体中で分離を行うため、結晶に与えるせん断作用も少ない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の濃縮機、及び濃縮装置は、例えば、医療品関係、食品関係等における中間製品や最終製品を得るために利用される。
【符号の説明】
【0046】
1 晶析装置
1a 原料投入口
1b 流出口
2 蒸発濃縮機
2a 導入口
2b 排出口
3 復水部
4 ドライヤー部
5 湿式固液分離濃縮機
6 ハウジング
6a 導入口
7 分級ローター
8 微粒排出部
9 粗粒排出口
10 回転軸
10a 貫通孔
11 循環管
12a 上側の板
12b 下側の板
13 排出口
14 分級羽根
15 分級室
図1
図2
図3
図4
図5