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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106575
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】蔓植物巻き上がり防止具
(51)【国際特許分類】
   A01M 21/00 20060101AFI20220712BHJP
   E04H 12/00 20060101ALI20220712BHJP
   E04H 12/20 20060101ALI20220712BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20220712BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
A01M21/00 Z
E04H12/00 H
E04H12/20 D
H02G7/00
H02G1/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001670
(22)【出願日】2021-01-07
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】591151808
【氏名又は名称】株式会社KANSOテクノス
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】長野 修
(72)【発明者】
【氏名】小林 優斗
【テーマコード(参考)】
2B121
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121BB30
2B121BB32
2B121BB35
2B121EA30
2B121FA12
5G352AC01
5G367AD09
5G367BB11
(57)【要約】
【課題】索条体、棒状体又は管状体等の蔓植物が巻き上がる物への取り付け作業を、工具を使用することなく、容易に手間を掛けずに行うことができるとともに、製造コストが嵩まない蔓植物巻き上がり防止具を提供する。
【解決手段】二つ折り可能なシート体2と、シート体2を二つ折りした際に向かい合う一対の対向面2B,2Cの少なくとも一方に貼付した両面接着テープ3とを備える。両面接着テープ3の剥離紙3Bを剥がして、シート体2を二つ折りにした際に折り曲げ部2Dとなる箇所の内面Cを蔓植物が巻き上がる物に沿わせるように、シート体2を二つ折りにしてシート体2で蔓植物が巻き上がる物を挟んだ状態で、一対の対向面2B,2Cが両面接着テープ3の接着層3Aにより接着される。蔓植物が巻き上がる物に取り付けた状態でシート体2は保形性を有する。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
索条体、棒状体又は管状体等の蔓植物が巻き上がる物に取り付けた状態で使用する蔓植物巻き上がり防止具であって、
二つ折り可能なシート体と、
前記シート体を二つ折りした際に向かい合う一対の対向面の少なくとも一方に貼付した両面接着テープと、
を備え、
前記両面接着テープの剥離紙を剥がして、前記シート体を二つ折りにした際に折り曲げ部となる箇所の内面を前記蔓植物が巻き上がる物に沿わせるように、前記シート体を二つ折りにして前記シート体で前記蔓植物が巻き上がる物を挟んだ状態で、前記一対の対向面が前記両面接着テープの接着層により接着され、
前記蔓植物が巻き上がる物に取り付けた状態で保形性を有することを特徴とする、
蔓植物巻き上がり防止具。
【請求項2】
前記シート体は矩形である、
請求項1に記載の蔓植物巻き上がり防止具。
【請求項3】
前記シート体を二つ折りにする折り癖を付けてなる、
請求項1又は2に記載の蔓植物巻き上がり防止具。
【請求項4】
前記蔓植物が巻き上がる物に前記シート体を取り付けた状態で、前記シート体を前記蔓植物が巻き上がる物に固定する止め具、又は前記シート体のずり落ちを防止する止め具をさらに備える、
請求項1~3の何れか1項に記載の蔓植物巻き上がり防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蔓植物の巻き上がりを防止する防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
庭、草地、山中等の地面に生い茂っている蔓植物は、自らの剛性で体を支えるのではなく、他の樹木や物体を支えにすることで高いところへ茎を伸ばそうとする。
【0003】
一方、電力会社が送電・配電を目的に地面に設置した電柱には、地面から電柱の上端近くまで斜めに支線を張設しており、それにより電柱の傾倒を防止している。
【0004】
したがって、電柱の周囲に蔓植物が繁茂していると、蔓植物が電柱の支線に沿って巻き上がり、それにより地絡事故や短絡事故に繋がる場合がある。
【0005】
前記事故を防ぐために電柱の支線に装着する、蔓植物巻き上がり防止具として、前記支線の外方に円筒体を設けるもの(例えば、特許文献1参照)、前記支線に固定したパイプにワイヤ等で巻き上がり防止板を垂れ下げるもの(例えば、特許文献2参照)、前記支線の径よりやや大きく内径を形成した支線装着用筒と一体に板羽を設けるもの(例えば、特許文献3参照)、前記支線にシート本体の一部を巻き付け、前記シート本体は、ロール部と、保形部材が縁辺に配設された旗状部とを有するもの(例えば、特許文献4参照)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭61-15153号公報
【特許文献2】実開平03-80860号公報
【特許文献3】登録実用新案第3123795号公報
【特許文献4】特開2019-37156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の蔓植物巻き上がり防止具は、円筒体1、円筒体1の端部に取り付ける、半円体12,12からなる上部端板10及び下部端板11、半円体12を円筒体1に取り付けるためのボルト18、並びに、それらを位置決めするために電柱の支線に固定される、Uボルト20、座金21及びナット22からなる。
【0008】
したがって、特許文献1の蔓植物巻き上がり防止具は、部品点数が多いため製造コストが嵩む。その上、特許文献1の蔓植物巻き上がり防止具は、Uボルト20、座金21及びナット22を前記支線に固定する作業には工具が必要であり、手間が掛かるとともに、円筒体1の端部に上部端板10及び下部端板11を取り付ける作業にも手間が掛かる。
【0009】
特許文献2の蔓植物巻き上がり防止具は、電柱の支線に固定したパイプ5にワイヤ等で巻き上がり防止板1をワイヤ等で垂れ下げる。
【0010】
したがって、特許文献2の蔓植物巻き上がり防止具は、パイプ5と巻き上がり防止板1との間に間隙があるので、蔓植物がパイプ5を支えにしてパイプ5を巻き上がるおそれがある。
【0011】
特許文献3の蔓植物巻き上がり防止具は、支線装着用筒3及び板羽2a,2b、並びに支線装着用筒9及び板羽8は、合成樹脂で一体に成形され、電柱の支線の径よりやや大きく内径を形成した支線装着用筒3,9の開閉部5,10を拡げて装着し、前記支線に対して揺動可能としている。
【0012】
したがって、特許文献3の蔓植物巻き上がり防止具は、合成樹脂が経年劣化した際、又は強風による風圧力が板羽2a,2b,8に作用した際に、開閉部5,10が拡がって電柱の支線から外れるおそれがある。その上、支線装着用筒3,9は電柱の支線の径よりやや大きく内径を形成する必要があるので、前記支線の径に合わせて支線装着用筒3,9の内径を変えたものを使用する必要がある。
【0013】
特許文献4の蔓植物巻き上がり防止具は、電柱の支線等である索条体2の中間位置に巻き付けられたロール部13と、ロール部13と連なり所定の垂下幅を有し、保形部材である細径棒材20が縁辺に配設された旗状部16とを有するシート本体11等からなる。
【0014】
したがって、特許文献4の蔓植物巻き上がり防止具は、蔓植物の巻き上がりを防止するために、シート本体11の旗状部16を保形するための保形部材である細径棒材20、及び細径棒材20を収容するための袋状ポケット21を旗状部16の縁辺部に設ける必要があるので、その分の製造コストが嵩む。
【0015】
本発明は、電柱の支線等への取り付け作業を、工具を使用することなく、容易に手間を掛けずに行うことができるとともに、製造コストが嵩まない蔓植物巻き上がり防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る蔓植物巻き上がり防止具は、前記課題解決のため、
索条体、棒状体又は管状体等の蔓植物が巻き上がる物に取り付けた状態で使用する蔓植物巻き上がり防止具であって、
二つ折り可能なシート体と、
前記シート体を二つ折りした際に向かい合う一対の対向面の少なくとも一方に貼付した両面接着テープと、
を備え、
前記両面接着テープの剥離紙を剥がして、前記シート体を二つ折りにした際に折り曲げ部となる箇所の内面を前記蔓植物が巻き上がる物に沿わせるように、前記シート体を二つ折りにして前記シート体で前記蔓植物が巻き上がる物を挟んだ状態で、前記一対の対向面が前記両面接着テープの接着層により接着され、
前記蔓植物が巻き上がる物に取り付けた状態で保形性を有することを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、索条体、棒状体又は管状体等の蔓植物が巻き上がる物に対して両面接着テープでシート体を取り付けるので、工具を使用することなく、容易に手間を掛けずに取り付け作業を行うことができる。その上、前記蔓植物が巻き上がる物の外径が変わっても、取り付け部の大きさが異なる蔓植物巻き上がり防止具を準備しておく必要がなく、同じ蔓植物巻き上がり防止具、又は幅のみを変えた蔓植物巻き上がり防止具を使用できる。
【0018】
その上さらに、シート体を二つ折りにしてシート体で蔓植物が巻き上がる物を挟んだ状態で、シート体の前記一対の対向面が両面接着テープの接着層により接着され、蔓植物が巻き上がる物に取り付けた状態で保形性を有する。したがって、シート体を保形するための保形部材、及び前記保形部材を収容するための袋状ポケット等をシート体に設ける必要がないので、製造コストが嵩まない。
【0019】
また、前記シート体は矩形であるのが好ましい実施態様である。
【0020】
このような構成によれば、シート体が矩形であることから、シート体の素材となる不織布等の歩留まりが良くなるので、製造コストを低減できる。
【0021】
さらに、前記シート体を二つ折りにする折り癖を付けてなるのが一層好ましい実施態様である。
【0022】
このような構成によれば、索条体、棒状体又は管状体等の蔓植物が巻き上がる物に沿わせるシート体の位置が、シート体に付けた折り癖の位置であるので、前記蔓植物が巻き上がる物にシート体を取り付ける作業の作業性が良くなる。
【0023】
さらに、前記蔓植物が巻き上がる物に前記シート体を取り付けた状態で、前記シート体を前記蔓植物が巻き上がる物に固定する止め具、又は前記シート体のずり落ちを防止する止め具をさらに備えるのがより一層好ましい実施態様である。
【0024】
このような構成によれば、両面接着テープによる接着力に加え、止め具によりシート体を前記蔓植物が巻き上がる物に固定すること、又は止め具によりシート体のずり落ちを防止することにより、前記蔓植物が巻き上がる物に取り付けたシート体の位置を長期間にわたって保持できる。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明の蔓植物巻き上がり防止具によれば、索条体、棒状体又は管状体等の蔓植物が巻き上がる物への取り付け作業を、工具を使用することなく、容易に手間を掛けずに行うことができるとともに、製造コストが嵩まない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】本発明の実施の形態に係る蔓植物巻き上がり防止具の斜視図である。
図1B図1Aの蔓植物巻き上がり防止具を折り曲げ部に沿う方向から見た拡大図である。
図2A図1Aの蔓植物巻き上がり防止具を表側から見た展開斜視図である。
図2B図1Aの蔓植物巻き上がり防止具を裏側から見た展開斜視図である。
図3図1Aの蔓植物巻き上がり防止具を電柱の支線に取り付けた例を示す正面図である。
図4A】蔓植物巻き上がり防止具を電柱の支線に取り付ける手順を示す説明図であり、両面接着テープの剥離紙を剥がしてシート体を前記支線にあてがった状態を示している。
図4B】前記手順を示す説明図であり、シート体を二つ折りにしてシート体で前記支線を挟んで、シート体の対向面を接着した状態を示している。
図4C】前記手順を示す説明図であり、図4Bの状態でさらに止め具で固定した状態を示している。
図5】蔓植物巻き上がり防止具を電柱の支線に取り付けた図4Bに示す状態で前記支線の軸方向から見た横断面拡大図である。
図6A】蔓植物巻き上がり防止具の変形例を示す、表側から見た展開図である。
図6B】蔓植物巻き上がり防止具の変形例を示す、裏側から見た展開図である。
図7図6A及び図6Bの蔓植物巻き上がり防止具を電柱の支線に取り付けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態に係る蔓植物巻き上がり防止具は、様々な蔓植物が巻き上がる物に取り付けることができる。蔓植物が巻き上がる物としては、例えば、地面と構造物とを繋ぐ、電柱の支線及び電柱以外の構造物の補強用ワイヤ等の索条体がある。あるいは、蔓植物が巻き上がる物として、地面に設置した丸棒等の棒状体、並びに、地面に設置した足場の単管パイプ、地面に設置した標識ポール及び看板ポール等の管状体がある。
【0028】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の実施の形態では、主に、蔓植物が巻き上がる物が電柱の支線である場合について説明する。
【0029】
<蔓植物巻き上がり防止具>
図1Aの斜視図、及び図1Bの折り曲げ部に沿う方向から見た拡大図、並びに図2Aの表側から見た展開斜視図、及び図2Bの裏側から見た展開斜視図に示すように、本発明の実施の形態に係る蔓植物巻き上がり防止具1は、シート体2と両面接着テープ3とを備える。
【0030】
長方形であるシート体2は、図1A及び図1Bのように二つ折り可能である。両面接着テープ3は、シート体2を二つ折りした際に向かい合う、谷側の面(裏面)である一対の対向面2B,2Cの少なくとも一方に貼付する。両面接着テープ3は、接着層3Aと剥離紙3Bからなる。
【0031】
図1A及び図1Bのように、シート体2の短辺を二つ折りにする。それにより、シート体2の表面2Aを山折りにし、折り曲げ部2Dを形成するように折り癖Eを付ける。
【0032】
図3の正面図は、蔓植物巻き上がり防止具1を、蔓植物が巻き上がる物Aである電柱Pの支線Bに取り付けた例を示している。支線Bに取り付けた使用状態で、蔓植物巻き上がり防止具1は保形性を有する。蔓植物巻き上がり防止具1を支線Bに設置する位置は、支線Bの周囲2mの範囲内に高木がある場合は、その樹木よりも高い位置とする。蔓植物巻き上がり防止具1を樹木よりも低い位置に取り付けた場合、樹木を伝って蔓植物が支線Bを巻き上がってしまう場合があるためである。
【0033】
図3に示すような蔓植物巻き上がり防止具1の使用状態におけるシート体2の幅Vは0.15m以上、より好ましくは0.2m以上とする。ただし、シート体2の幅Vが大きくなると製造コストが嵩むとともに作業性が低下するので、0.3m以下にするのが好ましい実施態様である。すなわち、0.15m≦V≦0.3mとする。
【0034】
図2Aに示すシート体2の幅(短辺の長さ)Wは、蔓植物が巻き上がる物Aの径(本実施の形態では支線Bの径)に応じて、前記幅Vが所望の長さになるように設定する。
【0035】
シート体2の長さ(長辺の長さ)Lは、1m以上とする。ただし、シート体2の長さLが大きくなると製造コストが嵩むとともに作業性が低下するので、1.5m以下にするのが好ましい実施態様である。すなわち、1m≦L≦1.5mとする。
【0036】
前記使用状態で保形性を有するとともに前記サイズを有する蔓植物巻き上がり防止具1により、電柱Pの周囲に蔓植物が繁茂している場合において、蔓植物が支線Bに沿って巻き上がっても蔓植物巻き上がり防止具1よりも上方へ伸びることができないので、地絡事故や短絡事故を防止できる。
【0037】
<シート体の例>
シート体2は、前記使用状態で保形性を持たせるため、一定以上の厚みや剛性を有するものを用いる。例えば、合成樹脂と不織布との二層構造である厚みが一定以上のシートを用いるのが、二つ折りを可能にしながら、所要の剛性を確保して軽量化が図るために好ましい実施態様である。
【0038】
本実施の形態では、再生ポリエステル樹脂を表面に使用し、裏面に高強力ポリエステル長繊維不織布を使用した、厚さが2mmの二層構造防草マットである谷口産業株式会社製の「植樹ニューマットHタイプ」を用いた。シート体2において、両面接着テープ3を貼付するシート体2の裏面2B,2Cを、「植樹ニューマットHタイプ」の表面側の再生ポリエステル樹脂とした。
【0039】
<両面接着テープの例>
両面接着テープ3は、接着力及び耐候性が高いものを用いる。本実施の形態では、テープ厚が約0.17mmで接着力が高い株式会社大共製「両面テープEX-117」を用いた。
【0040】
<蔓植物巻き上がり防止具の取り付け手順>
次に、蔓植物巻き上がり防止具1を支線Bに取り付ける手順を説明する。先ず、蔓植物巻き上がり防止具1における両面接着テープ3の剥離紙3B(図1B図2B)を剥がす。
【0041】
次に、図4Aの説明図のように、折り曲げ部2Dの内面C(図1B)を支線Bに沿わせるように、シート体2を支線Bにあてがう。
【0042】
次に、図4Bの説明図のように、シート体2を二つ折りにしてシート体2で支線Bを挟んで、シート体2の対向面2B,2C(図1B)を接着する。
【0043】
図4Bの状態では、支線Bの軸方向から見た横断面拡大図である図5に示すように、両面接着テープ3の接着層3Aが、シート体2の折り曲げ部2Dの内面Cから支線Bの外周の略全周にわたる部分と支線Bとを強固に接着するとともに、シート体2の対向面2B,2C全体を強固に接着する。
【0044】
次に、必要に応じて、図4Cの説明図のように、止め具Fであるステンレスピンチ4でシート体2の折り曲げ部2Dの外面D(図5)を挟む。それにより、シート体2を支線Bに固定する力が大きくなるので、支線Bに取り付けたシート体2の位置を長期間にわたって保持できる。
【0045】
蔓植物が巻き上がる物Aが索条体ではなく棒状体や管状体であり、径が大きくてステンレスピンチ4で挟めない場合は、止め具Fとして、シート体2の下側に、棒状体や管状体に固定するクランプを設ける。それにより、シート体2のずり落ちを防止できる。
【0046】
両面接着テープ3による接着力に加え、止め具Fによりシート体2を蔓植物が巻き上がる物Aに固定すること、又は止め具Fによりシート体2のずり落ちを防止することにより、蔓植物が巻き上がる物Aに取り付けたシート体2の位置を長期間にわたって保持できる。
【0047】
<評価試験例>
蔓植物巻き上がり防止具1のシート体2のサイズを、図3の蔓植物巻き上がり防止具1におけるシート体2の幅V及び長さLを以下の(1)ないし(4)の4種類作成し、蔓植物の巻き上がりを防止する効果を評価する試験を行った。
【0048】
(1)V=0.2m、L=0.5m
(2)V=0.3m、L=1.0m
(3)V=0.2m、L=1.0m
(4)V=0.1m、L=1.0m
【0049】
シート体2を谷口産業株式会社製の「植樹ニューマットHタイプ」とし、両面接着テープを株式会社大共製「両面テープEX-117」とし、図3に近い状態を再現した索条体に(1)ないし(4)のサイズの蔓植物巻き上がり防止具1を取り付け、蔓植物が生い茂っている中に6箇月間(5月~10月)放置した。
【0050】
その結果、(1)及び(4)では、蔓植物巻き上がり防止具1を越えて蔓植物が巻き上がっていた。それらに対して、(2)及び(3)では、蔓植物巻き上がり防止具1を越えて蔓植物が巻き上がることがなく、蔓植物の巻き上がり防止効果を確認できた。
【0051】
(1)と(3)のシート体2の幅Vは0.2mで同じである。シート体2の長さLが0.5mである(1)では蔓植物巻き上がり防止具1を越えて蔓植物が巻き上がっていたが、シート体2の長さLが1.0mである(3)では蔓植物巻き上がり防止具1を越えて蔓植物が巻き上がっていなかった。シート体2の長さLについては、蔓植物の一節が長いものでは0.5mほどあり、そこまでは直立することが確認されたので、二節分以上の長さ、すなわち約1m以上にするのが好ましいことが分かる。
【0052】
(3)と(4)のシート体2の長さLは1.0mで同じである。シート体2の幅Vが0.1mである(4)では蔓植物巻き上がり防止具1を越えて蔓植物が巻き上がっていたが、シート体2の幅Vが0.2mである(3)では蔓植物巻き上がり防止具1を越えて蔓植物が巻き上がっていなかった。シート体2の幅Vについては、0.2m以上とするのが好ましいことが分かる。
【0053】
<変形例>
図6A及び図6Bの展開図に示す蔓植物巻き上がり防止具1は、シート体2が正方形であり、対角線に沿って二つ折りにするものである。この蔓植物巻き上がり防止具1は、図7の正面図のように電柱の支線Bに取り付けられ、正面視で三角形状になる。
【0054】
この場合においても、図6Bの剥離紙3Bを剥がし、折り曲げ部2D(図7)の内面C(図6B)を支線Bに沿わせるように、シート体2を支線Bにあてがい、シート体2を二つ折りにしてシート体2で支線Bを挟んで、シート体2の対向面2B,2C(図6B)を接着する。
【0055】
<作用効果>
以上のような本発明の実施の形態に係る蔓植物巻き上がり防止具1によれば、索条体、棒状体又は管状体等の蔓植物が巻き上がる物Aに対して両面接着テープ3でシート体2を取り付けるので、工具を使用することなく、容易に手間を掛けずに取り付け作業を行うことができる。その上、蔓植物が巻き上がる物Aの外径が変わっても、取り付け部の大きさが異なる蔓植物巻き上がり防止具1を準備しておく必要がなく、同じ蔓植物巻き上がり防止具1、又は幅のみを変えた蔓植物巻き上がり防止具1を使用できる。
【0056】
その上さらに、シート体2を二つ折りにしてシート体2で蔓植物が巻き上がる物Aを挟んだ状態で、シート体2の一対の対向面2B,2Cが両面接着テープ3の接着層3Aにより接着され、蔓植物が巻き上がる物Aに取り付けた状態で保形性を有する。したがって、シート体2を保形するための保形部材、及び前記保形部材を収容するための袋状ポケット等をシート体2に設ける必要がないので、製造コストが嵩まない。
【0057】
その上、シート体2が矩形であることから、シート体2の素材となる不織布等の歩留まりが良くなるので、製造コストを低減できる。
【0058】
シート体2を二つ折りにする折り癖Eを付けることにより、蔓植物が巻き上がる物Aに沿わせるシート体2の位置が、シート体2に付けた折り癖Eの位置であるので、蔓植物が巻き上がる物Aにシート体2を取り付ける作業の作業性が良くなる。
【0059】
以上の実施の形態の記載はすべて例示であり、これに制限されるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0060】
1 蔓植物巻き上がり防止具
2 シート体
2A 表面
2B,2C 裏面(対向面)
2D 折り曲げ部
3 両面接着テープ
3A 接着層
3B 剥離紙
4 ステンレスピンチ
A 蔓植物が巻き上がる物
B 支線(索条体)
C 折り曲げ部の内面
D 折り曲げ部の外面
E 折り癖
F 止め具
L シート体の長さ
P 電柱
V 使用状態におけるシート体の幅
W シート体の幅
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7