(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106580
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】容器、培養キット、核酸分析システム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/28 20060101AFI20220712BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
C12M1/28
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001678
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】三森 裕示
(72)【発明者】
【氏名】桑田 正弘
(72)【発明者】
【氏名】田口 朋之
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029AA09
4B029AA23
4B029BB01
4B029CC01
4B029DF05
4B029DG08
4B029FA15
4B029GA02
(57)【要約】
【課題】作業者のスキルに左右されず、コンタミネーションのリスクや操作ミスを抑制できる容器、培養キット、核酸分析システムの提供。
【解決手段】容器10は、開口部20aを有する容器本体20と、容器本体20に着脱可能に取り付けられ、開口部20aを封止する蓋体30と、蓋体30に設けられ、容器本体20の内部に向かって延びる軸体40と、軸体40に設けられ、捕集フィルターを引っ掛けて軸体40に固定するフィルター固定部50と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器本体と、
前記容器本体に着脱可能に取り付けられ、前記開口部を封止する蓋体と、
前記蓋体に設けられ、前記容器本体の内部に向かって延びる軸体と、
前記軸体に設けられ、フィルターを引っ掛けて前記軸体に固定するフィルター固定部と、を備える、容器。
【請求項2】
前記フィルター固定部は、前記軸体が延びる軸方向以外の方向に延びる尖部を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記フィルター固定部は、スリットが形成されたスリット片を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記軸体の周方向において前記フィルター固定部と異なる位置に設けられた第2のフィルター固定部を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記第2のフィルター固定部は、前記軸体が延びる軸方向以外の方向に延びる尖部を有する、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記尖部は、前記尖部が延びる方向以外の方向に延びる凸部を有する、請求項2または5に記載の容器。
【請求項7】
細胞を捕集するフィルターと、
前記フィルター及び培養液が封入される請求項1~6のいずれか一項に記載の容器と、
を備える、培養キット。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の容器を用いて細胞を捕集し、該容器に培養液を封入して培養した細胞から核酸を抽出し、該抽出した核酸を分析する、核酸分析システム。
【請求項9】
請求項7に記載の培養キットを用いて捕集及び培養した細胞から核酸を抽出し、該抽出した核酸を分析する、核酸分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、培養キット、核酸分析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、メンブレンフィルターを用いて核酸を有する試料を捕集し、捕集した試料から核酸を抽出する核酸抽出方法が開示されている。メンブレンフィルターは、ファンネル及び濾過瓶を含む捕集部にセットされ、捕集部に注がれた試料を含む液体を濾過することで、試料を捕集する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メンブレンフィルターは、試料を捕集した後、ピンセットなどで回収され、細胞培養用のペトリディッシュに移される。しかしながら、メンブレンフィルターをピンセットで摘まむ際、作業者のスキルによっては、メンブレンフィルターを誤って床などに落下させてしまう可能性がある。また、ピンセットを複数回使用すると、ピンセットに付着した試料が、他のメンブレンフィルターに付着し、コンタミネーションを発生させる虞がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、作業者のスキルに左右されず、コンタミネーションのリスクや操作ミスを抑制できる容器、培養キット、核酸分析システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様に係る容器は、開口部を有する容器本体と、前記容器本体に着脱可能に取り付けられ、前記開口部を封止する蓋体と、前記蓋体に設けられ、前記容器本体の内部に向かって延びる軸体と、前記軸体に設けられ、フィルターを引っ掛けて前記軸体に固定するフィルター固定部と、を備える。
【0007】
(2)上記(1)に記載された容器であって、前記フィルター固定部は、前記軸体が延びる軸方向以外の方向に延びる尖部を有してもよい。
【0008】
(3)上記(1)に記載された容器であって、前記フィルター固定部は、スリットが形成されたスリット片を有してもよい。
【0009】
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載された容器であって、前記軸体の周方向において前記フィルター固定部と異なる位置に設けられた第2のフィルター固定部を備えてもよい。
【0010】
(5)上記(4)に記載された容器であって、前記第2のフィルター固定部は、前記軸体が延びる軸方向以外の方向に延びる尖部を有してもよい。
【0011】
(6)上記(1)に記載された容器であって、前記尖部は、前記尖部が延びる方向以外の方向に延びる凸部を有してもよい。
【0012】
(7)本発明の一態様に係る培養キットは、細胞を捕集するフィルターと、前記フィルター及び培養液が封入される上記(1)~(6)のいずれかに記載された容器と、を備える。
【0013】
(8)本発明の一態様に係る核酸分析システムは、上記(1)~(6)のいずれかに記載された容器を用いて細胞を捕集し、該容器に培養液を封入して培養した細胞から核酸を抽出し、該抽出した核酸を分析する。
【0014】
(9)本発明の一態様に係る核酸分析システムは、上記(7)に記載された培養キットを用いて捕集及び培養した細胞から核酸を抽出し、該抽出した核酸を分析する。
【発明の効果】
【0015】
上記本発明の一態様によれば、作業者のスキルに左右されず、コンタミネーションのリスクや操作ミスを抑制できる容器、培養キット、核酸分析システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る核酸分析システムの概略図である。
【
図2】第1実施形態に係る菌回収システムで使用する容器の縦断面図である。
【
図3】
図2に示す矢視III-III断面図である。
【
図4】第1実施形態に係るサンプルの捕集から培養までの工程図である。
【
図5】第1実施形態に係る菌回収システムの縦断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る菌回収システムから捕集フィルターを回収する様子を示す説明図である。
【
図7】第1実施形態に係る捕集フィルターを回収した容器の縦断面図である。
【
図8】
図7に示す矢視VIII-VIII断面図である。
【
図10】第2実施形態に係る軸体の縦断面図である。
【
図11】第2実施形態に係る菌回収システムから捕集フィルターを回収する様子を示す説明図である。
【
図13】第3実施形態に係る容器の縦断面図である。
【
図15】第1実施形態の一変形例に係る容器の横断面図である。
【
図16】第1実施形態の一変形例に係る容器の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る容器、培養キット、核酸分析システムについて詳細に説明する。以下では、まず本発明の実施形態の概要について説明し、続いて本発明の実施形態の詳細について説明する。
【0018】
〔概要〕
上述した特許文献1に記載されている核酸抽出方法は、メンブレンフィルター法により核酸を有する試料を捕集する。このメンブレンフィルター法では、フィルターファンネルと吸引システムとを使用し、フィルターファンネルにセットしたメンブレンフィルターに液体を通過させ、液体に含まれる微生物などの試料をメンブレンフィルターの表面に捕集する。
【0019】
次に、ピンセットを使用して試料が捕集されたメンブレンフィルターをペトリディッシュに移し、ペトリディッシュの中で液体培地に浸した吸収パッドの上に載置する。そして、メンブレンフィルターを通して吸収パッドから吸い上げられた栄養分によって、メンブレンフィルターの表面の試料を増殖させる。
【0020】
しかしながら、ピンセットでメンブレンフィルターを回収する際には、以下の課題がある。例えば、メンブレンフィルターをピンセットでつまむ際に、メンブレンフィルターを誤って落としてしまう可能性がある。また、ピンセットを複数回使用すると、ピンセットに付着した試料が、他のメンブレンフィルターに付着し、コンタミネーションを発生させる虞がある。また、メンブレンフィルターをピンセットでつまむ作業自体が煩雑である。
【0021】
さらに、ペトリディッシュで試料を培養する際には、以下の課題がある。例えば、ペトリディッシュにおいて液体培養をする場合、培地の漏れを防ぐため、吸収パッドが必要になる。また、吸収パッドでの培養は、メンブレンフィルターが液体培地を吸い上げることから、試料に少しずつしか栄養分が供給されず、試料の増殖に時間がかかる。
また、後述するように、液体を分析するシステムを用いて、液体のサンプルに菌(細菌や真菌)が含まれているかを分析する場合には、メンブレンフィルターにより捕集した試料、あるいはその試料を培養により増殖させた培養物が含まれた液体をサンプルとして分析することが望ましい。しかしながら、前述のように培地の漏れを防ぐために吸収パッドなどを用いた場合には、メンブレンフィルター表面、あるいは吸収パッドに吸収された培地に含まれる試料、あるいはその培養物を液体に含まれる状態で回収することが困難であった。そこで、培地の漏れが生じることなく、捕集した試料の培養物が液中で培養されるように培地中にメンブレンフィルターを保持する容器、あるいはそれを用いた培養キットが望まれていた。
【0022】
本発明の実施形態は、容器、培養キット、核酸分析システムにおいて、軸体にフィルター固定部を設け、細胞が付着した捕集フィルターを当該軸体に引っ掛け、軸体に巻き付けて回収する。そして、捕集フィルターが巻き付いた軸体を、培養液が封入された容器に収めて培養する。これにより、作業者のスキルに左右されず、コンタミネーションのリスクや操作ミスを抑制することができる。また、捕集フィルターを用いた液体培地において、効率的な培養が可能となる。さらに、捕集フィルターを含む液体培地を振盪することにより、効率的な培養が可能となる。
【0023】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る核酸分析システム1の概略図である。
図1に示すように、核酸分析システム1は、菌回収システム2と、核酸抽出システム3と、ハイブリダイズ反応システム4と、検出システム5と、を備えている。
【0024】
菌回収システム2は、サンプル100から、サンプル100に含まれている菌(細菌や真菌など)を回収するシステムである。サンプル100は、例えば、飲料を対象とした検査であれば、製造した飲料や、当該飲料を製造するための水、または、当該飲料を製造する過程の液体などである。あるいは、サンプル100は、製造環境の菌の汚染の有無、汚染度合いを検査するために、検査環境をふき取った綿棒などから菌を回収した液体である場合もある。
【0025】
菌は、例えば、回収した液体に加圧あるいは減圧を加えることで、後述する捕集フィルターで濾過して回収することができる。捕集フィルターは、例えば、細菌や真菌を回収する場合には、孔径が0.22μm~0.45μmのメンブレンフィルターであるとよい。捕集フィルターで菌を回収した後は、捕集フィルターを菌が培養される培養液に浸し、菌が培養された培養液を、次工程(核酸抽出システム3)のサンプル100としてもよい。あるいは菌を遠心分離などで集めた液体、あるいは遠心分離などで集めた凝集体を溶解した液体を、次工程のサンプル100としてもよい。あるいは捕集フィルターを入れた液体を振動させ、菌が懸濁した液を次工程のサンプル100としてもよい。
【0026】
核酸抽出システム3は、サンプル100中の細胞の膜構造を破壊(溶解)し、細胞の核酸を抽出するシステムである。なお、核酸を抽出したサンプル100に、抽出した核酸と反応する他の核酸が含まれた液体を混ぜてもよい。また、当該他の核酸は、後述する検出工程(検出システム5)にて検出するために、特定の条件で蛍光や発光や消光作用を有する部位が付与された核酸であってもよい。これらは核酸抽出システム3にて処理をする前のサンプル100に混ぜても良いし、核酸抽出システム3にて処理をした後のサンプル100に対して混ぜても良い。
【0027】
ハイブリダイズ反応システム4は、サンプル100中の核酸にハイブリダイズ反応をさせるシステムである。なお、この工程にて、サンプル100は、例えば60℃に加熱されると共に撹拌されることにより、上述の他の核酸と合致するハイブリダイズ反応を行う。この反応にて、例えば、上述の他の核酸に付与した特定の条件で蛍光や発光や消光作用を有する部位が、サンプル100中の核酸と反応することで、蛍光や発光や消光作用が発現する。
【0028】
なお、上述の他の核酸の構造を、特定の核酸と反応するように設計することにより、例えば、サンプル100中の特定の細菌や真菌などが持つ核酸とのみ反応させることができる。つまり、ハイブリダイズ反応システム4の処理では、当該特定の核酸と反応する他の核酸を用いることにより、サンプル100の中に特定の細菌や真菌などが含まれている時のみ、他の核酸に付与した蛍光や発光や消光作用を発現するようにすることができる。
【0029】
検出システム5は、ハイブリダイズ反応システム4で処理したサンプル100において発現した蛍光や発光や消光作用の有無、その程度などを検出する。検出システム5は、例えば、サンプル100の核酸で発現した蛍光作用を、励起レーザー光にて励起し、励起後の蛍光を高感度カメラにて検出する。
【0030】
あるいは、検出システム5は、サンプル100の核酸で発現した発光作用を、高感度カメラにて検出する。あるいは、検出システム5は、サンプル100の核酸で発現した消光作用を、消光作用を付与した部位の近傍に付与した蛍光や発光が消光される程度を高感度カメラにて検出する。この検出方法に関しては、例えば、特開2020-74726号公報に記載されているような方法を採用してもよい。
【0031】
核酸分析システム1は、上述のような一連のシステムを用いることにより、サンプル100の中に特定の菌(細菌や真菌など)が含まれているか、またはその濃度を分析する。
【0032】
図2は、第1実施形態に係る菌回収システム2で使用する容器10の縦断面図である。
図3は、
図2に示す矢視III-III断面図である。
これらの図に示すように、容器10は、容器本体20と、蓋体30と、軸体40と、フィルター固定部50と、を備えている。
【0033】
図2に示すように、容器本体20は、有底筒状に形成されている。また、蓋体30は、有頂筒状に形成されている。容器本体20と蓋体30の中心軸Oは、互いに一致している。また、軸体40は、中心軸Oに沿って延びている。以下の説明において、中心軸Oが延びる方向は、軸方向という。また、軸方向から見た平面視において、中心軸Oに交差する方向は、径方向という。また、中心軸O回りに周回する方向は、周方向という。
【0034】
容器本体20は、上端に開口部20aを有する。容器本体20は、胴部21と、底部22と、を備えている。胴部21は、一定の内径及び外径で軸方向に延びている。底部22は、半球状に形成され、胴部21の下端に連設されている。なお、底部22は、例えば、逆さ円錐状に形成されていても構わない。また、底部22は、当該逆さ円錐状の先端が半球状などの曲面となっていても構わない。また、胴部21は、一定の外径ではなく、下端に向かうに従って内径及び外径が僅かに小さくなる傾斜形状を有しても構わない。
【0035】
蓋体30は、容器本体20に着脱可能に取り付けられ、開口部20aを封止する。蓋体30は、頂壁31と、周壁32と、を備えている。周壁32は、円筒状に形成され、容器本体20の上端部の外周面に着脱可能に係合している。なお、周壁32の内壁面には、例えば、容器本体20の上端部の外周面に図示しない雄ねじが形成されていた場合、当該雄ねじに螺合する図示しない雌ねじが形成されていてもよい。あるいは、図示とは逆に、蓋体30の周壁32が、容器本体20の開口部20aの内側に入るような構成であっても構わない。また、その場合、容器本体20の上端部の内周面に、図示しない雌ねじが形成され、当該雌ねじに螺合する図示しない雄ねじが、周壁32の外壁面に形成されていても良い。
【0036】
頂壁31は、円板状に形成されると共に周壁32の上端に連設され、周壁32の上端開口を閉塞する。頂壁31の下面31a(蓋体30の内面)には、軸体40が嵌合する嵌合孔33が形成されている。嵌合孔33は、頂壁31の径方向における中心位置に形成されている。なお、蓋体30と軸体40は、別部品が嵌合により組み合わされるものではなく、一体であっても構わない。
【0037】
軸体40は、蓋体30に設けられ、容器本体20の内部に向かって直線状に延びている。軸体40の上端部41は、蓋体30の嵌合孔33に嵌合している。一方、軸体40の下端部42は、容器本体20の底部22に接触しないが、底部22の近傍まで延びている。軸体40は、例えば、中実のシャフトである。軸体40は、一定の外径の円柱状に形成されている。あるいは、軸体40は、円柱以外の棒状に形成されていても構わない。
【0038】
フィルター固定部50は、軸体40に設けられている。フィルター固定部50は、軸体40の周囲に後述する捕集フィルター101(
図6及び
図7参照)を引っ掛けて固定する尖部51を有する。尖部51は、
図3に示すように、軸体40の周面40aから突出して設けられている。
【0039】
尖部51は、中心軸Oに対し直角に交わる径方向に延びている。尖部51は、径方向外側に向かうに従って先細りになる円錐状に形成されている。なお、尖部51は、先端部だけが尖った針状に形成されていても構わない。また、尖部51は、軸体40が延びる軸方向以外の方向であれば、例えば、中心軸Oに対し鋭角や鈍角で交わる、斜め方向に延びていても構わない。
【0040】
尖部51は、さらに、尖部51が延びる方向以外の方向に延びる凸部52を有している。凸部52は、円錐状の尖部51の斜面の略中腹部から、尖部51が延びる方向と直交する方向に延びる板状に形成されている。なお、凸部52は、尖部51が延びる方向(径方向)以外の方向であれば、尖部51に対しL字状に屈曲したエルボ形状であってもよいし、釣り針のようなフック形状であっても構わない。
図3に示す凸部52は、径方向において一定の厚みを有する板形状である。凸部52は、
図2に示すように、尖部51が延びる方向から視て円板状に形成されている。
【0041】
第1実施形態において、軸体40、尖部51、及び凸部52は、一体成形品であるが、別部品が嵌合などにより組み合わされるものであっても構わない。例えば、凸部52は、尖部51に対し串刺し状に嵌合するリング部材であってもよい。また、尖部51は、軸体40の周面40aに植設された円錐部材、あるいは三角板などの板部材であってもよく、若しくは、三角錐、四面体などの角錐部材であってもよい。
【0042】
図3に示すように、軸体40の周面40aには、周方向においてフィルター固定部50と異なる位置に、第2のフィルター固定部60が設けられている。第2のフィルター固定部60は、尖部61及び凸部62を有し、上述したフィルター固定部50と同様の構成となっている。第2のフィルター固定部60は、軸方向から見た平面視において、中心軸Oを中心に、フィルター固定部50と点対称の位置関係を有している。なお、第2のフィルター固定部60は、周方向においてフィルター固定部50と異なる配置であれば、この位置関係に限定されない。
【0043】
次に、上述した容器10を使用した捕集フィルター101の回収方法及び細胞培養方法について説明する。
図4は、第1実施形態に係るサンプル100の捕集から培養までの工程図である。
図5は、第1実施形態に係る菌回収システム2の縦断面図である。
図6は、第1実施形態に係る菌回収システム2から捕集フィルター101を回収する様子を示す説明図である。
【0044】
先ず、
図5を参照して、菌回収システム2の構成について説明する。
図5に示すように、菌回収システム2は、捕集フィルター101を上下で挟み込むフィルター下部70及びフィルター上部80を備えている。捕集フィルター101は、平面視で円形に形成されている。フィルター下部70及びフィルター上部80は、捕集フィルター101の中心を通る中心軸O1を共通軸として、当該中心軸O1が延びる軸方向に、連結部90を介して連結されている。
【0045】
フィルター下部70は、有底筒状の濾過液回収容器71と、濾過液回収容器71の上端開口に装着されたベースプレート72と、を備えている。なお、濾過液回収容器71とベースプレート72は、一体となっていても構わない。濾過液回収容器71の側壁には、吸引ポート71aが設けられている。吸引ポート71aには、減圧吸引チューブ73が接続されている。減圧吸引チューブ73には、図示しない真空ポンプなどの吸引装置本体が接続されている。
【0046】
ベースプレート72には、濾過液回収容器71の内部に連通する複数の貫通孔72aが形成されている。複数の貫通孔72aの一部には、拡径部72bが形成されている。拡径部72bは、貫通孔72aよりも口径が広くなった溝である。拡径部72bは、上述したフィルター固定部50及び第2のフィルター固定部60の尖部51,61及び凸部52,62が挿入可能な口径及び深さを有している。なお、拡径部72bは、貫通孔72aとは連通しない独立した溝として、ベースプレート72の上面に形成されていても構わない。
【0047】
ベースプレート72の上面には、複数の貫通孔72a及び拡径部72bの周囲を取り囲むフィルター位置決め部72cが形成されている。
図5に示すフィルター位置決め部72cは、中心軸O1を中心とする環状に設けられている。また、フィルター位置決め部72cは、捕集フィルター101の外径よりも僅かに大きい内径を有する。
【0048】
フィルター位置決め部72cは、ベースプレート72の上面に対し、捕集フィルター101の厚み以上の高さで設けられた環状突起である。なお、フィルター位置決め部72cは、中心軸O1を中心とする周方向に円環として形成されていても良いし、円環として形成されておらず、周方向に間隔をあけて複数設けられた突起群であってもよい。また、フィルター位置決め部72cは、ベースプレート72の上面に対し、相対的に凹んだ溝であっても構わない。
【0049】
フィルター上部80は、中心軸O1が延びる軸方向に貫通する貫通孔81aが形成されたサポートプレート81と、サポートプレート81に取り付けられ、内部が貫通孔81aに連通する筒状のサンプル注入部82と、を備えている。サポートプレート81の貫通孔81aは、ベースプレート72の複数の貫通孔72aのそれぞれと捕集フィルター101を挟んで対向して配置されている。
【0050】
サポートプレート81の下面には、捕集フィルター101の外周縁をベースプレート72の上面に押え付ける封止部が配置されている。封止部は、例えば、サポートプレート81上に設けられた環状の凸部であっても良いし、サポートプレート81より弾性率の低い管状の凸部であっても良い。あるいは、封止部は、本実施形態のように、サポートプレート81の下面の溝部に配設されたOリング83であっても良い。Oリング83は、ベースプレート72のフィルター位置決め部72cの径方向内側に配置されている。Oリング83は、ベースプレート72とサポートプレート81との間に挟まれ、フィルター下部70とフィルター上部80との連結部分からのサンプル100の漏れが無いように隙間をシールする。なお、Oリング83は、サポートプレート81側ではなく、ベースプレート72側に設けられていても構わない。
【0051】
サンプル注入部82は、円筒状に形成されている。なお、サンプル注入部82は、ファンネル状(漏斗状)に形成されていても構わない。サンプル注入部82の内部は、サポートプレート81の貫通孔81aに連通している。また、サンプル注入部82は、サポートプレート81と一体となっていてもかなわない。
【0052】
連結部90は、例えば、ベースプレート72及びサポートプレート81のいずれか一方に設けられた図示しない雄ねじ部と、ベースプレート72及びサポートプレート81の他方に設けられた図示しない雌ねじ部と、を含む。この連結部90によれば、ベースプレート72とサポートプレート81とを相対的に回転させることで、フィルター下部70とフィルター上部80とを連結できる。なお、連結部90は、マグネットを有し、ベースプレート72とサポートプレート81とを磁力により連結してもよい。
【0053】
上記構成の菌回収システム2によるサンプル100のフィルタリング(
図4に示すステップS1)は、次のように行う。先ず、サンプル注入部82にサンプル100を入れる。次に、減圧吸引チューブ73によって濾過液回収容器71の内部を減圧する。そうすると、サンプル注入部82に入れられたサンプル100が、濾過液回収容器71の減圧によって、捕集フィルター101を通過し、その液体分が濾過液回収容器71に濾過液102として回収される。その際に、サンプル100中の混濁物(固体分)は、捕集フィルター101の濾過径に応じて捕集フィルター101にトラップ(捕集)される。
【0054】
次に、フィルタリング後の捕集フィルター101の回収方法について説明する。先ず、
図6(a)に示すように、菌回収システム2のフィルター上部80を取り外した状態とする。なお、この際に、必要に応じて連結部90も取り外すとよい。
【0055】
次に、上述した
図2に示す容器10から蓋体30を取り外すと共に当該蓋体30を把持し、
図6(a)に示すように、軸体40に設けられたフィルター固定部50を、捕集フィルター101に押し付け、捕集フィルター101に引っ掛ける(ステップS2)。具体的には、軸体40の尖部51を捕集フィルター101に突き刺すことにより、捕集フィルター101の一端部を軸体40に固定(ホック)する。
【0056】
次に、
図6(b)及び
図6(c)に示すように、軸体40を回転させ、軸体40に捕集フィルター101を巻き付ける(ステップS3)。具体的には、軸体40をベースプレート72に近接させた状態で回転させながら捕集フィルター101を丸めていく。その後、捕集フィルター101の他端部(尖部51を突き刺した端部と反対側の端部)まで丸めたら、上述した尖部51あるいは、別途設けた尖部61によって捕集フィルター101を突き刺すことにより、捕集フィルター101の他端部を軸体40に固定する。なお、捕集フィルター101のサイズによって、軸体40に対する巻き数は異なるため、適時好適な巻き数にて巻けばよい。
【0057】
ここで、尖部51,61には、凸部52,62が設けられているため、突き刺した捕集フィルター101の落下や巻き戻しを抑制できる。また、ベースプレート72には、拡径部72bが設けられているため、尖部51,61及び凸部52,62を含むフィルター固定部50あるいは第2のフィルター固定部60が、捕集フィルター101を貫通し易くなる。また、
図6では、尖部61に捕集フィルター101を刺した例を示したが、尖部61に捕集フィルター101を刺す際に拡径部72bが無い場合、尖部61には必ずしも捕集フィルター101を刺さなくても構わない。
【0058】
図7は、第1実施形態に係る捕集フィルター101を回収した容器10の縦断面図である。
図8は、
図7に示す矢視VIII-VIII断面図である。
図7に示す容器10には、培養液103が入れられている。培養液103は、液体培地であって捕集フィルター101が捕集した細菌や真菌を培養するための栄養源となる。なお、培養液103は、捕集フィルター101と容器10とを含む培養キット11に含まれていても良いし、培養キット11と別に用意する構成であっても構わない。
【0059】
上述したように捕集フィルター101を回収したら、容器本体20に培養液103(液体培地)を添加する(ステップS4)。次に、培養液103を入れた状態の容器本体20に、捕集フィルター101が巻き付いた軸体40を挿入し、蓋体30で開口部20aを封止する(ステップS5)。そして、捕集フィルター101を収容した
図7に示す容器10を振盪培養器にかけ、捕集した細菌や真菌を振盪培養する(ステップS6)。あるいは一定温度に保たれた培養器に入れ、静置培養を行っても良い。以上により、菌回収システム2におけるサンプル100のフィルタリング、及び捕集フィルター101の回収から細胞培養までが終了する。
【0060】
上述したように、第1実施形態の容器10によれば、軸体40にフィルター固定部50を設けられているため、細胞が付着した捕集フィルター101を軸体40に引っ掛け、軸体40に巻き付けて回収することができる。このように、作業者は、簡単な操作で捕集フィルター101を回収することができる。そこで、捕集フィルター101を培養のための容器10に入れる際に、誤って捕集フィルター101を培養のための容器10以外の作業者が意図しない部位に触れさせてしまい、捕集フィルター101に、意図しない部位に付着した菌などを付着させてしまうコンタミネーションの発生を抑制することができる。また、フィルター固定部50があることで、作業者のスキルに左右されずに、捕集フィルター101の落下を抑制できる。また、軸体40を容器本体20に挿入したままで、振盪培養することが可能となり、振盪培養中に培養液が容器本体20からこぼれるリスクや、外部から意図しない菌などが混入するコンタミネーションのリスクが低くなる。
【0061】
このように、上述した第1実施形態の容器10は、開口部20aを有する容器本体20と、容器本体20に着脱可能に取り付けられ、開口部20aを封止する蓋体30と、蓋体30に設けられ、容器本体20の内部に向かって延びる軸体40と、軸体40に設けられ、捕集フィルター101を引っ掛けて軸体40に固定するフィルター固定部50と、を備える。この構成によれば、作業者のスキルに左右されず、コンタミネーションのリスクや操作ミスを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態では、フィルター固定部50は、軸体40が延びる軸方向以外の方向に延びる尖部51を有する。この構成によれば、軸体40の尖部51を捕集フィルター101に突き刺すことにより、捕集フィルター101を容易に固定(ホック)できる。
【0063】
また、本実施形態では、軸体40の周方向においてフィルター固定部50と異なる位置に設けられた第2のフィルター固定部60を備える。この構成によれば、捕集フィルター101の巻き始めと巻き終えの位置に、フィルター固定部50が位置していなくても、第2のフィルター固定部60によって捕集フィルター101を突き刺し、捕集フィルター101の巻き戻しを抑制できる。
【0064】
また、本実施形態では、第2のフィルター固定部60は、軸体40が延びる軸方向以外の方向に延びる尖部61を有する。この構成によれば、軸体40の尖部61を捕集フィルター101に突き刺すことにより、捕集フィルター101の巻き戻しをより確実に抑制できる。
【0065】
また、本実施形態では、尖部51,61は、尖部51,61が延びる方向以外の方向に延びる凸部52,62を有する。この構成によれば、尖部51,61に突き刺された捕集フィルター101が凸部52,62に引っ掛かるため、捕集フィルター101の落下のリスクが低くなる。また、
図8に示すように、例えば凸部62が、捕集フィルター101の巻きによる重なる部分に隙間を形成するスペーサ的な役割を果たすことで、巻き取られた捕集フィルター101の隙間にも培養液103の流れを形成できるようになり、細胞培養を効果的に行えるようになる。
このような目的に鑑み、前述の例では凸部52,62は、それぞれ尖部51,61に1つ形成された例を示したが、凸部52,62はそれぞれに1つである必要は無く、尖部51,61に複数の凸部52,62を形成する構成としても良い。
【0066】
また、本実施形態の培養キット11は、細胞を捕集する捕集フィルター101と、捕集フィルター101及び培養液103が封入される容器10と、を備える。この構成によれば、容器10に捕集フィルター101を収容し、細胞培養が可能となる。
【0067】
また、本実施形態の核酸分析システム1は、上記容器10を用いて細胞を捕集し、該容器10に培養液を封入し培養した細胞、若しくは、上記培養キット11を用いて捕集及び培養した細胞から核酸を抽出し、該抽出した核酸を分析する。この構成によれば、コンタミネーションのリスクが低くなっているため、核酸の分析精度が向上する。
【0068】
また、本実施形態の捕集フィルター回収方法は、細胞が付着した捕集フィルター101を、軸体40に引っ掛け、軸体40に巻き付けて回収する。この構成によれば、作業者のスキルに左右されず、コンタミネーションのリスクや操作ミスを抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態の細胞培養方法は、細胞が付着した捕集フィルター101を、軸体40に引っ掛け、軸体40に巻き付けて回収し、捕集フィルター101が巻き付いた軸体40を培養液103に漬け、細胞を振盪培養する。作業者のスキルに左右されず、コンタミネーションのリスクや操作ミスを抑制することができる。また、捕集フィルター101に付着した細胞の効率的な振盪培養が可能となる。
【0070】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0071】
図9は、第2実施形態に係る容器10の縦断面図である。
図10は、第2実施形態に係る軸体40の縦断面図である。
図9に示すように、第2実施形態のフィルター固定部50は、スリット53aが形成されたスリット片53を有している。
【0072】
スリット片53は、例えば、弾性変形可能なフィルム部材であって、軸体40の周面40aに取り付けられている。軸体40の周面40aには、
図10に示すように、スリット片53の径方向の厚みに応じた深さを有する取付溝40bが形成されている。取付溝40bには、底面から径方向に立ち上がった複数の圧入ピン43が、軸方向に間隔をあけて複数形成されている。圧入ピン43は、
図9に示すように、スリット片53に設けられた取付孔53bに圧入され、スリット片53を軸体40に固定する。
【0073】
スリット片53は、軸体40から周面40aの接線方向に沿って延びている。スリット片53の接線方向に延びた先端部には、軸方向に間隔をあけて複数のスリット53aが形成されている。複数のスリット53aは、スリット片53の先端部からスリット片53の固定位置に向かって平行に延びている。第2実施形態のスリット53aは、2本平行に形成され、スリット片53の先端部を弾性変形可能な3つの舌部に分離している。以下、2本のスリット53aの軸方向外側に配置された一対の舌部を、第1の舌部53Aという。また、2本のスリット53aに挟まれた舌部を、第2の舌部53Bという。
【0074】
図11は、第2実施形態に係る菌回収システム2から捕集フィルター101を回収する様子を示す説明図である。
図12は、
図11(a)に示す矢視A図である。
図11(a)及び
図12に示すように、第2実施形態では、スリット片53のスリット53aに、捕集フィルター101の端部を引っ掛けて、捕集フィルター101を回収する。
【0075】
具体的には、
図12に示すように、スリット片53の2本のスリット53aに捕集フィルター101の端部を差し込む。そして、2本のスリット53aで分離した第1の舌部53Aと第2の舌部53Bとで、捕集フィルター101の端部を挟み込む。なお、第2の舌部53Bを捕集フィルター101の下に差し込み易くするために、第2の舌部53Bの長さを第1の舌部53Aよりも長くしてもよい。また、第2の舌部53Bを捕集フィルター101の下に差し込み易くするために、第1の舌部53Aは予め上向きに曲がって(例えばカールして)いてもよい。
【0076】
次に、
図11(b)に示すように、軸体40に固定(ホック)した捕集フィルター101を持ち上げて、上述した第1実施形態と同様に、軸体40を回転させ、軸体40に捕集フィルター101を巻き付ける。その後、捕集フィルター101の他端部(スリット53aに差し込んだ端部と反対側の端部)まで丸めたら、上述した尖部61によって捕集フィルター101を突き刺すことにより、捕集フィルター101の他端部を軸体40に固定する。
【0077】
このように第2実施形態のフィルター固定部50は、スリット53aが形成されたスリット片53を有する。この構成によれば、スリット53aに捕集フィルター101の端部を挟んで固定することにより、上述した第1実施形態と同様に捕集フィルター101を丸めながら回収することが可能となる。よって、上述した第1実施形態に記載した同様の効果を得ることができる。
【0078】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0079】
図13は、第3実施形態に係る容器10の縦断面図である。
図14は、
図13に示す矢視XIV-XIV断面図である。
図13に示すように、第3実施形態では、フィルター固定部50及び第2のフィルター固定部60が、軸体40の周面40aに軸方向に間隔をあけて複数形成されている。なお、
図13,14に図示した第3実施形態の尖部51,61は、上述した凸部52,62を有していないが、上述した凸部52,62を有していても構わない。
【0080】
また、第3実施形態の軸体40は、中空軸である。軸体40には、上端部41から下端部42まで貫通する中空空間44が形成されている。また、軸体40の周面40aには、複数の貫通孔45が形成されている。貫通孔45は、軸体40の中空空間44と連通している。貫通孔45は、軸体40の軸方向に間隔をあけて複数形成されている。また、貫通孔45は、
図14に示すように、軸体40の周方向において異なる二カ所に形成されている。
【0081】
上記構成の第3実施形態によれば、軸体40の下端部42から中空空間44に入った培養液103を、軸体40の貫通孔45から流出させることができる。これにより、軸体40に巻き付けた捕集フィルター101に対して径方向内側からも培養液103を供給でき、捕集フィルター101に付着した細胞の効率的な振盪培養が可能となる。
【0082】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0083】
例えば、
図15及び
図16に示すような変形例を採用してもよい。
【0084】
図15は、第1実施形態の一変形例に係る容器10の横断面図である。
図15に示すように、尖部51,61は、軸体40の中心軸Oに対し直角に交わる径方向ではない斜め方向(例えば、軸体40の接線方向)に伸びていても構わない。
【0085】
図16は、第1実施形態の一変形例に係る容器10の横断面図である。
図16に示すように、尖部51,61は、軸体40の中心軸Oに対し直角に交わる径方向に直線状に延びておらず、軸体40の周方向に湾曲して伸びていても構わない。
【0086】
1 核酸分析システム
10 容器
11 培養キット
20 容器本体
20a 開口部
30 蓋体
40 軸体
50 フィルター固定部
51 尖部
52 凸部
61 尖部
62 凸部
100 サンプル
101 捕集フィルター(フィルター)
103 培養液