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特開2022-106602温度検出装置、温度検出システム、表示装置及びヘッドアップディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106602
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】温度検出装置、温度検出システム、表示装置及びヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/25 20060101AFI20220712BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20220712BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20220712BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20220712BHJP
   G01K 7/16 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G01K7/25 D
G02B27/01
B60K35/00 A
G01K1/14 L
G01K7/16 M
G01K7/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001717
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高畑 昌志
【テーマコード(参考)】
2F056
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2F056CL07
2F056RD01
2F056RD05
2F056RD10
2H199DA02
2H199DA13
2H199DA15
2H199DA17
2H199DA48
3D344AA08
3D344AA27
3D344AC25
3D344AD13
(57)【要約】
【課題】温度検出機能を設けることによるコストの上昇を抑制することができる温度検出装置、温度検出システム、表示装置及びヘッドアップディスプレイを提供する。
【解決手段】温度検出装置10は、温度検出領域SAに設けられた温度検出用抵抗素子ERを含む複数の温度センサと、複数の温度検出用抵抗素子ERごとの固有情報が格納された記憶部50と、を備える。温度検出用抵抗素子ERは、温度検出領域SAの複数の部分温度検出領域PAごとに設けられている。外部に設けられた制御装置100が、記憶部50に格納された固有情報を読み出し、当該固有情報と、温度センサから出力される出力電位Voutと、に基づき、温度検出領域SAにおける複数の部分温度検出領域PAごとの温度検出を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度検出領域に設けられた温度検出用抵抗素子を含む複数の温度センサと、
複数の前記温度検出用抵抗素子ごとの固有情報が格納された記憶部と、
を備え、
前記温度検出用抵抗素子は、前記温度検出領域の複数の部分温度検出領域ごとに設けられ、
外部に設けられた制御装置が、前記記憶部に格納された前記固有情報を読み出し、当該固有情報と、前記温度センサから出力される出力電位と、に基づき、前記温度検出領域における複数の前記部分温度検出領域ごとの温度検出を行う、
温度検出装置。
【請求項2】
複数の前記温度センサは、
前記温度検出用抵抗素子と、前記温度検出領域の外側の周辺領域に設けられた基準抵抗素子と、が電気的に直列接続され、
前記基準抵抗素子と前記温度検出用抵抗素子との接続点電位が、前記出力電位として出力される、
請求項1に記載の温度検出装置。
【請求項3】
前記固有情報は、複数の前記温度検出用抵抗素子ごとに異なる所定の係数を含む、
請求項2に記載の温度検出装置。
【請求項4】
複数の前記部分温度検出領域ごとに検出される温度TPAは、前記基準抵抗素子の抵抗値をRref、前記温度センサの入力電位をVin、前記出力電位をVout、前記固有情報に含まれる第1係数をa、前記固有情報に含まれる第2係数をbとしたとき、下記(1)式で表される、
請求項3に記載の温度検出装置。
TPA=[Rref/{(Vin/Vout)-1}]×a+b・・・(1)
【請求項5】
前記第1係数及び前記第2係数は、所定の第1温度TPA1における前記温度センサの出力電位をVout1、前記第1温度TPA1とは異なる第2温度TPA2における前記温度センサの出力電位をVout2としたとき、下記(2)式及び下記(3)式を用いて算出される、
請求項4に記載の温度検出装置。
TPA1=[Rref/{(Vin/Vout1)-1}]×a+b・・・(2)
TPA2=[Rref/{(Vin/Vout2)-1}]×a+b・・・(3)
【請求項6】
複数の前記温度検出用抵抗素子のうち、前記制御装置に電気的に接続される温度検出用抵抗素子を選択するマルチプレクサを備える、
請求項1から5の何れか一項に記載の温度検出装置。
【請求項7】
前記マルチプレクサは、ロジックICで構成されている、
請求項6に記載の温度検出装置。
【請求項8】
前記マルチプレクサは、複数の前記温度検出用抵抗素子が設けられる基材に構成されたTFTスイッチ回路である、
請求項6に記載の温度検出装置。
【請求項9】
温度検出領域に設けられた温度検出用抵抗素子を含む複数の温度センサと、
複数の前記温度検出用抵抗素子ごとの固有情報が格納された記憶部と、
を備え、
前記温度検出用抵抗素子は、前記温度検出領域の複数の部分温度検出領域ごとに設けられた温度検出装置と、
前記記憶部に格納された前記固有情報を読み出し、当該固有情報と、前記温度センサから出力される出力電位と、に基づき、前記温度検出領域における複数の前記部分温度検出領域ごとの温度検出を行う制御回路と、
を備える、
温度検出システム。
【請求項10】
複数の前記温度センサは、
前記温度検出用抵抗素子と、前記温度検出領域の外側の周辺領域に設けられた基準抵抗素子と、が電気的に直列接続され、
前記基準抵抗素子と前記温度検出用抵抗素子との接続点電位が、前記出力電位として出力される、
請求項9に記載の温度検出システム。
【請求項11】
前記固有情報は、複数の前記温度検出用抵抗素子ごとに異なる所定の係数を含む、
請求項10に記載の温度検出システム。
【請求項12】
複数の前記部分温度検出領域ごとに検出される温度TPAは、前記基準抵抗素子の抵抗値をRref、前記温度センサの入力電位をVin、前記出力電位をVout、前記固有情報に含まれる第1係数をa、前記固有情報に含まれる第2係数をbとしたとき、下記(4)式で表される、
請求項11に記載の温度検出システム。
TPA=[Rref/{(Vin/Vout)-1}]×a+b・・・(4)
【請求項13】
前記第1係数及び前記第2係数は、所定の第1温度TPA1における前記温度センサの出力電位をVout1、前記第1温度TPA1とは異なる第2温度TPA2における前記温度センサの出力電位をVout2としたとき、下記(5)式及び下記(6)式を用いて算出される、
請求項12に記載の温度検出システム。
TPA1=[Rref/{(Vin/Vout1)-1}]×a+b・・・(5)
TPA2=[Rref/{(Vin/Vout2)-1}]×a+b・・・(6)
【請求項14】
複数の前記温度検出用抵抗素子のうち、前記制御回路に電気的に接続される温度検出用抵抗素子を選択するマルチプレクサを備える、
請求項9から13の何れか一項に記載の温度検出システム。
【請求項15】
前記マルチプレクサは、ロジックICで構成されている、
請求項14に記載の温度検出システム。
【請求項16】
前記マルチプレクサは、複数の前記温度検出用抵抗素子が設けられる基材に構成されたTFTスイッチ回路である、
請求項14に記載の温度検出システム。
【請求項17】
画像を表示する表示パネルと、
請求項1から8のいずれか一項に記載の温度検出装置と、を備え、
前記温度検出装置は、前記表示パネルと重なるよう配置される、
表示装置。
【請求項18】
前記温度検出領域は、前記表示パネルで画像が表示される表示領域と重なるよう配置される、
請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの表示面に重ねて配置される温度検出装置と、を備え、
前記温度検出装置は、
温度検出領域に設けられた温度検出用抵抗素子を含む複数の温度センサと、
複数の前記温度検出用抵抗素子ごとの固有情報が格納された記憶部と、
を備え、
前記温度検出用抵抗素子は、前記温度検出領域の複数の部分温度検出領域ごとに設けられ、
外部に設けられた制御装置が、前記記憶部に格納された前記固有情報を読み出し、当該固有情報と、前記温度センサから出力される出力電位と、に基づき、前記温度検出領域における複数の前記部分温度検出領域ごとの温度検出を行う、
ヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度検出装置、温度検出システム、表示装置及びヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス等の透光性を有する部材に対して画像を投影する所謂ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の技術によると、太陽の光が光学系を介して表示装置に入射することがある。光学系により集光された太陽の光が表示装置に当たると、光が当たった場所が高温になって表示装置に悪影響を与えることがある。温度検出素子として設けられた電極の電気抵抗値の変化に基づいて温度を特定する温度情報取得方法が知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-210328号公報
【特許文献2】特開2015-200720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
単に温度検出機能を表示装置に追加した場合、表示出力機能に対応する回路と温度検出機能に対応する回路とが別個で設けられ、それぞれに配線が接続される。さらに、温度上昇に対応した表示制御を行うため、表示出力機能に対応する回路と温度検出機能に対応する回路との間での信号伝送経路も必要になる。従って、このような表示装置には、回路及び配線の増大による複雑化や配線基板の高コスト化が生じる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、温度検出機能を設けることによるコストの上昇を抑制することができる温度検出装置、温度検出システム、表示装置及びヘッドアップディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る温度検出装置は、温度検出領域に設けられた温度検出用抵抗素子を含む複数の温度センサと、複数の前記温度検出用抵抗素子ごとの固有情報が格納された記憶部と、を備え、前記温度検出用抵抗素子は、前記温度検出領域の複数の部分温度検出領域ごとに設けられ、外部に設けられた制御装置が、前記記憶部に格納された前記固有情報を読み出し、当該固有情報と、前記温度センサから出力される出力電位と、に基づき、前記温度検出領域における複数の前記部分温度検出領域ごとの温度検出を行う。
【0008】
本発明の一態様に係る温度検出システムは、温度検出領域に設けられた温度検出用抵抗素子を含む複数の温度センサと、複数の前記温度検出用抵抗素子ごとの固有情報が格納された記憶部と、を備え、前記温度検出用抵抗素子は、前記温度検出領域の複数の部分温度検出領域ごとに設けられた温度検出装置と、前記記憶部に格納された前記固有情報を読み出し、当該固有情報と、前記温度センサから出力される出力電位と、に基づき、前記温度検出領域における複数の前記部分温度検出領域ごとの温度検出を行う制御回路と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る表示装置は、画像を表示する表示パネルと、上述の温度検出装置と、を備え、前記温度検出装置は、前記表示パネルと重なるよう配置される。
【0010】
本発明の一態様に係るヘッドアップディスプレイは、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルの表示面に重ねて配置される温度検出装置と、を備え、前記温度検出装置は、温度検出領域に設けられた温度検出用抵抗素子を含む複数の温度センサと、複数の前記温度検出用抵抗素子ごとの固有情報が格納された記憶部と、を備え、前記温度検出用抵抗素子は、前記温度検出領域の複数の部分温度検出領域ごとに設けられ、外部に設けられた制御装置が、前記記憶部に格納された前記固有情報を読み出し、当該固有情報と、前記温度センサから出力される出力電位と、に基づき、前記温度検出領域における複数の前記部分温度検出領域ごとの温度検出を行う。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、HUD装置を模式的に説明する説明図である。
図2図2は、実施形態1に係る温度検出装置の主要構成及び制御装置を示す模式図である。
図3図3は、実施形態1に係る温度検出装置の温度センサの構成図である。
図4図4は、実施形態1に係る温度検出装置において、温度検出を行うための制御装置の一構成例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態1に係る温度検出装置における温度検出処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態1に係る温度検出装置の記憶部に格納された固有情報の一例を示す図である。
図7図7は、固有情報の導出処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、表示パネルにおける表示領域と温度検出領域との位置関係を説明する平面視図である。
図9図9は、実施形態2に係る温度検出装置の主要構成及び制御装置を示す模式図である。
図10図10は、実施形態2の変形例に係る温度検出装置の主要構成及び制御装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
(実施形態1)
図1は、HUD装置1を模式的に説明する説明図である。HUD装置1は、光源部6、拡散板9、表示パネル2、表示パネル2からの画像を拡大して投影板WSへ投影する光学系RMと、を備える。
【0014】
筐体4は、光源装置として機能する光源部6、光源部6からの光Lを光源として画像を出力する表示パネル2、表示パネル2と光源部6との間に設けられる拡散板9と、光学系RMと、温度検出装置10と、を収容する。
【0015】
光源部6から発せられた光Lは、拡散板9により拡散されて表示パネル2を経ることで一部又は全部が透過し、画像の光となる。実施形態1のHUD装置1では、ミラー部材RM1と、ミラー部材RM2と、を含む光学系RMは、表示パネル2を通った後の光Lを投影板WSへ導いている。ミラー部材RM1は、平面鏡であり、ミラー部材RM2は、凹面鏡である。ミラー部材RM1は、凹面鏡であってもよい。また、ミラー部材RM2は、平明鏡であってもよい。光学系RMはこれに限られず、光学系RMが、ミラー部材の枚数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0016】
光学系RMを通過した画像の光は、投影板WSにより反射されてユーザHに到達することで、ユーザHの視界内で画像VIとして認識される。すなわち、実施形態1のHUD装置1は、投影板WSへ画像を投影する表示システムとして機能する。投影板WSは、ユーザHの視線上に位置する透光性を有する部材であればよい。投影板WSは、例えば車両のフロントガラス、ウインドシールド、またはフロントガラスとは別体に設けられたコンバイナーと呼ばれる透光性の板部材である。
【0017】
図1に示すように、HUD装置1には、太陽SUNの相対位置によっては、太陽光LLが筐体4の開口4Sに入射することがある。太陽光LLは、光学系RMに導かれ、表示パネル2に向かって集光することがある。集光された太陽の光は、動作中の表示パネル2に異常を生じさせてさせる可能性があるため、表示領域の部分的な温度状態を検出することが望まれている。
【0018】
そこで、実施形態1では、表示パネル2に対してミラー部材RM1側に温度検出装置10が設けられている。図1に示すように、温度検出装置10は、光学系RMに導かれ、表示パネル2に向かって集光した光を表示パネル2のミラー部材RM1側で受けられるよう配置されている。温度検出装置10は、当該温度検出装置10の表面温度を検出可能に設けられている。従って、実施形態では、光学系RMに導かれ、表示パネル2に向かって集光した光により生じる温度変化を温度検出装置10によって検出できる。例えば高温部に光源部6からの光が照射しないようにする、あるいは高温部の表示動作をオフにするなど、温度検出装置10に生じた温度変化に基づいて表示パネル2や光源部6の動作を制御するようにすることで、表示パネル2による表示出力品質の劣化を抑制できる。
【0019】
なお、温度検出装置10は、表示パネル2と離隔していてもよいし、表示パネル2に当接あるいは接着していてもよい。また、温度検出装置10は、表示パネル2と一体的に設けられてもよい。
【0020】
図2は、実施形態1に係る温度検出装置の主要構成及び制御装置を示す模式図である。図2に示すように、温度検出装置10は、センサ基材20と、センサ部40と、記憶部50と、を有する。温度検出装置10は、制御装置100が電気的に接続される。
【0021】
センサ基材20は、温度検出領域SAと、周辺領域GAとを有する。温度検出領域SAは、温度検出領域SAは、複数の部分温度検出領域PAを含む。複数の部分温度検出領域PAは、それぞれ、センサ部40が有する複数の温度検出用抵抗素子ERが設けられた領域である。図2では、第1方向Dxに5つの部分温度検出領域PAが並び、第2方向Dyに3つ部分温度検出領域PAが並ぶ計15の部分温度検出領域PAを例示しているが、部分温度検出領域PAの数はこれに限定されない。例えば、第1方向Dxに4つの部分温度検出領域PAが並び、第2方向Dyに3つ部分温度検出領域PAが並ぶ計12の部分温度検出領域PAを形成する構成も採用可能である。
【0022】
なお、第1方向Dxは、センサ基材20と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、センサ基材20と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。また、第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、センサ基材20の法線方向である。
【0023】
温度検出用抵抗素子ERは、合金、金属を含む化合物(金属化合物)又は金属を素材とした電気抵抗である。抵抗素子ERは、金属、合金、金属化合物の少なくとも1つに該当する素材が複数種類積層された積層体であってもよい。実施形態1の説明で合金等と記載した場合、抵抗素子ERの組成として採用され得る素材をさす。図2に示す例では、温度検出用抵抗素子ERは、長辺が第2方向Dyに沿うL字状の配線が第1方向Dxに複数接続された態様である。当該態様では、第1方向Dxに隣接する2つのL字状の配線の各々の短辺が第2方向Dyに互い違いになるよう、複数のL字状の配線が接続されて温度検出用抵抗素子ERの形態が形成されている。
【0024】
周辺領域GAは、温度検出領域SAの外周と、センサ基材20の端部との間の領域であり、温度検出用抵抗素子ERが設けられない領域である。周辺領域GAには、複数の基準抵抗素子41及び記憶部50が設けられている。部分温度検出領域PAに設けられた温度検出用抵抗素子ERと、周辺領域GAに設けられた基準抵抗素子41とで、後述する温度センサが構成される。
【0025】
記憶部50は、例えばフラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリである。記憶部50には、各部分温度検出領域PAに設けられた温度検出用抵抗素子ERごとの固有情報が記憶される。記憶部50に格納される固有情報とは、具体的には、温度検出用抵抗素子ERごとに異なる電気的な特性を示す固有値である。温度検出用抵抗素子ERは、一定の温度環境下における抵抗値がばらつきによりそれぞれ異なることがあり、また、温度変化に対する抵抗値の変化率が異なることがある。従って、本開示の温度検出装置10において、温度検出領域SAの各部分温度検出領域PAの温度検出を行う際には、温度検出用抵抗素子ERごとに異なる電気的な特性ばらつきを補償する必要がある。
【0026】
制御装置100は、センサ部40、及び記憶部50に制御信号を供給して、温度検出装置10の検出動作を制御する。また、制御装置100は、表示パネル2や光源部6に制御信号を供給して、表示パネル2における表示動作や光源部6の点灯又は非点灯を制御する態様であっても良い。
【0027】
図3は、実施形態1に係る温度検出装置の温度センサの構成図である。図3では、部分温度検出領域PAの数M(図2に示す例では、M=15)のうち、m(mは、1からMの整数)の部分温度検出領域PAに対応する温度センサSENS(m)を例示している。
【0028】
図3に示すように、実施形態1に係る温度検出装置10の温度センサSENS(m)は、制御装置100から入力された入力電位Vinと基準電位GNDとの間に、基準抵抗素子41と温度検出用抵抗素子ER(m)とが電気的に直列接続されて構成される。温度センサSENS(m)は、温度検出用抵抗素子ER(m)の体積抵抗率に応じた出力電位Vout(m)を出力する。換言すれば、温度検出用抵抗素子ER(m)と基準抵抗素子41との接続点電位が、温度センサSENS(m)の出力電位Vout(m)として出力される。
【0029】
温度センサSENS(m)において、入力電位Vinに応じて生じた電流が基準電位GNDに流れようとするが、温度検出用抵抗素子ER(m)の体積抵抗率に応じて当該電流の基準電位GNDへの流れが阻まれることで、制御装置100に向かう電流が生じる。この制御装置100に向かった電流が、出力電位Vout(m)を生じさせる。すなわち、温度検出用抵抗素子ER(m)の体積抵抗率が高い程、出力電位Vout(m)が高くなる。
【0030】
基準抵抗素子41の抵抗値をRref、温度検出用抵抗素子ER(m)の抵抗値をRe(m)とすると、温度センサSENS(m)の出力電位Vout(m)は、下記(1)式で表される。
【0031】
Vout(m)=[Re(m)/{Re(m)+Rref}]×Vin・・・(1)
【0032】
このとき、温度センサSENS(m)によって検出される温度TPA(m)は、下記(2)式で表される。
【0033】
TPA(m)=[Rref/{(Vin/Vout(m))-1)}]×a(m)+b(m)・・・(2)
【0034】
上記(2)式において、第1係数a(m)及び第2係数b(m)は、温度検出用抵抗素子ER(m)の電気的な特性ばらつきを補償するための固有値であり、温度検出用抵抗素子ER(m)ごとに異なる値となる。従って、制御装置100は、温度センサSENS(m)によって検出される各部分温度検出領域PAの温度を算出する際、温度センサSENS(m)の温度検出用抵抗素子ER(m)ごとに、換言すれば、各部分温度検出領域PAから出力される出力電位Vout(m)ごとに、それぞれ異なる各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を適用する必要がある。
【0035】
本開示では、各部分温度検出領域PAに設けられた温度検出用抵抗素子ER(m)ごとの固有情報として、各温度センサSENS(m)から出力される出力電位Vout(m)に対応する各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を記憶部50に格納している。制御装置100は、記憶部50にアクセスして、各温度センサSENS(m)から出力される出力電位Vout(m)に対応する各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を読み出し、温度検出領域SAにおける各部分温度検出領域PAの温度を算出する。以下、温度検出領域SAの各部分温度検出領域PAの温度算出処理を行う構成及び温度算出処理について説明する。
【0036】
図4は、実施形態1に係る温度検出装置において、温度検出を行うための制御装置の一構成例を示すブロック図である。図4に示すように、制御装置100は、制御回路110と、電源回路120と、を含む。実施形態1に係る温度検出装置10と、制御回路110と、を組み合わせた構成は、本開示における「温度検出システム」に対応する。
【0037】
制御回路110は、例えば、所謂1チップIC(Integrated Circuit)としてパッケージングされた温度検出制御用ICで構成される。また、制御回路110は、例えば、複数のICで構成される態様であっても良い。
【0038】
制御回路110は、温度検出回路80と、CPU(Central Processing Unit)84と、バス85と、ROM(Read Only Memory)86と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)87と、RAM(Random Access Memory)88と、GPIO(General Purpose Input Output)89と、を有する。温度検出回路80は、フィルタ81と、増幅回路82と、A/D変換回路83と、を含む。
【0039】
フィルタ81は、温度検出装置10の各部分温度検出領域PAから出力される出力電位Vout(m)からノイズを消去するフィルタ回路である。増幅回路82は、フィルタ81によってノイズが処理された出力電位を増幅する。A/D変換回路83は、増幅回路82によって増幅されたアナログの出力電位をデジタル信号に変換する。
【0040】
CPU84は、A/D変換回路83によって生成されたデジタル信号に基づいた処理等、制御回路110が各種の演算処理を行う。
【0041】
バス85は、A/D変換回路83から出力されるデジタル信号をCPU84に伝送する等、制御回路110内における各種のデジタル信号の伝送経路として機能する。A/D変換回路83、CPU84、バス85、ROM86、EEPROM87、RAM88、及びGPIO89は、バス85と接続される。
【0042】
ROM86は、プログラム等を書き換え不能に記憶する。プログラム等とは、CPU84が行う処理に際して読み出されるソフトウェア・プログラム及び当該ソフトウェア・プログラムの実行に伴い参照されるデータを指す。EEPROM87は、プログラム等を書き換え可能に記憶する。RAM88は、CPU84によるプログラム等の実行処理に伴い生じる各種のデータやパラメータを一時的に記憶する。
【0043】
GPIO89は、バス85を介して行われるCPU84等からの出力に対応して外部に信号を伝送する。
【0044】
電源回路120は、温度検出装置10のセンサ部40に入力電位Vinを供給する回路である。これにより、図3に示す温度センサSENS(m)に入力電位Vinと基準電位GNDとの電位差が印加される。また、電源回路120は、温度検出装置10の記憶部50に電源を供給する。
【0045】
上述したような構成において、制御回路110は、温度検出装置10の記憶部50や外部の上位制御装置200との間で通信を行う。温度検出装置10の記憶部50や外部の上位制御装置200との間で行う通信のプロトコルやインタフェース等により本開示が限定されるものではない。
【0046】
以下、実施形態1に係る温度検出装置10を用いた、制御装置100における温度検出処理について説明する。
【0047】
図5は、実施形態1に係る温度検出装置における温度検出処理の一例を示すフローチャートである。図6は、実施形態1に係る温度検出装置の記憶部に格納された固有情報の一例を示す図である。
【0048】
図5に示す温度検出処理の前提条件として、温度検出装置10の記憶部50には、例えば、図6に示す固有情報が格納されている。具体的には、図6に示すように、記憶部50は、上記(2)式において用いる各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)が予め各部分温度検出領域PAに設けられた温度検出用抵抗素子ER(m)ごとの固有情報として格納されている。
【0049】
まず、制御装置100は、温度検出処理が開始されたか否かを判定する(ステップS101)。制御装置100は、温度検出処理が開始されていない場合(ステップS101;No)、温度検出処理が開始されるまで(ステップS101;Yes)、ステップS101の処理を繰り返す。なお、温度検出処理の開始は、例えば、上位制御装置200から温度検出開始指令が入力される態様であっても良いし、例えば、制御装置100が温度検出処理を開始するトリガー(例えば、タイマー)を有する態様であっても良い。また、図5に示す温度検出処理は、制御装置100における各種処理に対して割り込み処理として実施する態様であっても良い。
【0050】
温度検出処理が開始されると(ステップS101;Yes)、温度検出装置10の記憶部50から、例えば図6に示す固有情報を読み出して取得する(ステップS102)。記憶部50から読み出した固有情報は、例えば制御回路110のRAM88に一時記憶される。
【0051】
制御装置100の電源回路120は、温度検出装置10のセンサ部40に入力電位Vinを供給する(ステップS103)。
【0052】
制御装置100は、温度検出装置10のセンサ部40から出力された出力電位Vout(m)を検出し(ステップS104)、当該出力電位Vout(m)に対し、温度検出装置10の記憶部50から取得した固有情報を用いて、上記(2)式により温度センサSENS(m)によって検出される温度TPA(m)を算出し(ステップS105)、算出した温度TPA(m)を、例えば制御回路110のRAM88に一時記憶する(ステップS106)。
【0053】
制御装置100は、温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する温度TPA(m)を記憶したか否かを判定する(ステップS107)。温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する温度TPA(m)を記憶していない場合(ステップS107;No)、制御装置100は、温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する温度TPA(m)を記憶するまで(ステップS107;Yes)、ステップS104からステップS107の処理を繰り返す。
【0054】
温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する温度TPA(m)を記憶すると(ステップS107;Yes)、制御装置100は、各部分温度検出領域PAに対応する温度TPA(m)を用いて、表示パネル2及び光源部6に対する所定の制御を行い(ステップS108)、ステップS101の処理に戻る。表示パネル2に対する所定の制御としては、例えば、各部分温度検出領域PAに対応する温度TPA(m)に応じて、複数の表示制御パターンの何れかを適用する態様であっても良い。また、光源部6に対する所定の制御としては、例えば、各部分温度検出領域PAに対応する温度TPA(m)に応じて、複数の光源制御パターンの何れかを適用する態様であっても良い。各部分温度検出領域PAに対応する温度TPA(m)に応じた表示パネル2及び光源部6の制御の態様により本開示が限定されるものではない。
【0055】
次に、図6に示す各部分温度検出領域PAに設けられた温度検出用抵抗素子ER(m)ごとの固有情報の導出方法について説明する。各部分温度検出領域PAに設けられた温度検出用抵抗素子ER(m)ごとの固有情報、すなわち、上記(2)式において用いる各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)は、例えば、実施形態1に係る温度検出装置10の出荷前工程において設定され、記憶部50に記憶される。
【0056】
図7は、固有情報の導出処理の一例を示すフローチャートである。
【0057】
図7に示す固有情報である温度検出用抵抗素子ER(m)ごとの各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)の導出処理の前提条件として、実施形態1に係る温度検出装置10に設定治具装置が接続される。設定治具装置の構成は、図4に示す制御装置100の構成と同様であるので、以下の説明では、設定治具装置を制御装置100に置き換えて、制御装置100が図6に示す固有情報の導出処理を行う態様について説明する。
【0058】
図7に示す固有情報の導出処理は、上記(2)式における各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を変数として扱い、第1温度TPA1環境下(具体的には、例えば20℃環境下)において温度検出装置10の各部分温度検出領域PAから出力される出力電位Vout1(m)、及び、第1温度TPA1とは異なる第2温度TPA2環境下(具体的には、例えば60℃環境下)において温度検出装置10の各部分温度検出領域PAから出力される出力電位Vout2(m)をそれぞれ上記(2)式に適用した下記(3)式及び下記(4)式を用いて各温度検出用抵抗素子ER(m)に対応する各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を算出し、当該算出した各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を、図6に示す固有情報として、記憶部50に格納する。
【0059】
TPA1(m)=[Rref/{(Vin/Vout1(m))-1}]×a(m)+b(m)・・・(3)
【0060】
TPA2(m)=[Rref/{(Vin/Vout2(m))-1}]×a(m)+b(m)・・・(4)
【0061】
まず、制御装置100は、第1温度TPA1環境下において、温度検出装置10の各部分温度検出領域PAから出力される出力電位Vout1(m)の検出処理を開始する(ステップS1)。
【0062】
制御装置100の電源回路120は、温度検出装置10のセンサ部40に入力電位Vinを供給する(ステップS201)。
【0063】
制御装置100は、温度検出装置10のセンサ部40から出力された出力電位Vout1(m)を検出し(ステップS202)、当該出力電位Vout1(m)を、例えば制御回路110のRAM88に一時記憶する(ステップS203)。
【0064】
制御装置100は、温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する出力電位Vout1(m)を記憶したか否かを判定する(ステップS204)。温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する出力電位Vout1(m)を記憶していない場合(ステップS204;No)、制御装置100は、温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する出力電位Vout1(m)を記憶するまで(ステップS204;Yes)、ステップS202からステップS204の処理を繰り返す。
【0065】
温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する出力電位Vout1(m)を記憶すると、続いて、制御装置100は、第2温度TPA2環境下において、温度検出装置10の各部分温度検出領域PAから出力される出力電位Vout2(m)の検出処理を開始する(ステップS2)。
【0066】
制御装置100の電源回路120は、温度検出装置10のセンサ部40に入力電位Vinを供給する(ステップS301)。
【0067】
制御装置100は、温度検出装置10のセンサ部40から出力された出力電位Vout2(m)を検出し(ステップS302)、当該出力電位Vout2(m)を、例えば制御回路110のRAM88に一時記憶する(ステップS303)。
【0068】
制御装置100は、温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する出力電位Vout2(m)を記憶したか否かを判定する(ステップS304)。温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する出力電位Vout2(m)を記憶していない場合(ステップS304;No)、制御装置100は、温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する出力電位Vout2(m)を記憶するまで(ステップS304;Yes)、ステップS302からステップS304の処理を繰り返す。
【0069】
温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する出力電位Vout2(m)を記憶すると、続いて、制御装置100は、各温度検出用抵抗素子ER(m)に対応する各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)の算出処理を開始する(ステップS3)。
【0070】
制御装置100は、出力電位Vout1(m)及び出力電位Vout2(m)を読み出し(ステップS401)、上記(3)式及び上記(4)式を用いて、温度検出用抵抗素子ER(m)に対応する各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を算出し(ステップS402)、これらの各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を、例えば制御回路110のRAM88に一時記憶する(ステップS403)。
【0071】
制御装置100は、温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を記憶したか否かを判定する(ステップS404)。温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を記憶していない場合(ステップS404;No)、制御装置100は、温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を記憶するまで(ステップS404;Yes)、ステップS401からステップS404の処理を繰り返す。
【0072】
温度検出領域SAの全ての部分温度検出領域PAに対応する各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を記憶すると、制御装置100は、温度検出装置10の記憶部50に各部分温度検出領域PAに対応する各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を、図6に示す固有情報として、記憶部50に格納する(ステップS405)。
【0073】
続いて、制御装置100は、固有情報の整合性確認処理を開始する(ステップS4)。
【0074】
制御装置100は、記憶部50に格納した固有情報を読み出し(ステップS501)、読み出した固有情報が正常であるか否かを判定する(ステップS502)。読み出した固有情報が正常である場合(ステップS502;Yes)、固有情報の導出処理を終了する。読み出した固有情報が正常でない場合(ステップS502;No)、制御装置100は、ステップS1に戻り、上述した固有情報の導出処理を繰り返す。なお、ステップS4以降の固有情報の整合性確認処理では、例えば、制御回路110のRAM88に一時記憶された各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)のデータと、記憶部50に格納した固有情報の各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)のデータとが一致しているか否かを判定する態様であっても良い。記憶部50に格納した固有情報の整合性確認手法により本開示が限定されるものではない。
【0075】
上述したように、本開示において、実施形態1に係る温度検出装置10は、各部分温度検出領域PAに設けられた温度検出用抵抗素子ER(m)ごとの固有情報として、各温度センサSENS(m)から出力される出力電位Vout(m)に対応する各第1係数a(m)及び各第2係数b(m)を格納する記憶部50を有し、外部の制御装置100が記憶部50に格納された固有情報を読み出して、温度検出装置10の温度検出領域SAにおける各部分温度検出領域PAごとの温度検出処理を行う構成としている。これにより、HUD装置1に温度検出機能を設けることによるコストの上昇を抑制することができる。
【0076】
また、実施形態1に係る温度検出装置10は、例えば不揮発性メモリで構成された記憶部50の書き換えが可能であるので、適宜、記憶部50に記憶された固有情報の変更や更新が可能である。これにより、温度検出装置10の出荷後に固有情報の変更や更新が必要となった場合に、例えば、上述したように、制御装置100によって固有情報を書き換える等、柔軟な対応が可能である。
【0077】
また、実施形態1に係る温度検出装置10は、温度検出処理を行うときに、制御装置100から入力電位Vinや記憶部50を構成する不揮発性メモリ等に電源を供給すれば良く、温度検出装置に制御回路110に相当する回路を搭載する場合よりも消費電力を削減することができる。また、制御回路110は、電源回路120から供給する入力電位Vinを把握することで、温度検出処理において必要な出力電位Vout(m)の精度を高めることができる。
【0078】
また、実施形態1に係る温度検出装置10は、温度検出処理を行う制御回路110に相当する回路を搭載していないので、温度検出処理プログラムの変更や更新の際に必ずしも温度検出装置10は必要ではなく、制御装置100側のみで対応可能である。
【0079】
図8は、表示パネルにおける表示領域と温度検出領域との位置関係を説明する平面視図である。図8に示すように、例えば、温度検出領域SAが表示パネル2による画像の表示領域AAをカバーするよう温度検出装置10と表示パネル2とが第3方向Dzに重なることで、光学系RMに導かれ、表示パネル2の表示領域AAに向かって集光した光が生じさせる可能性のある温度変化を温度検出装置10によって検出できる。これによって、当該温度変化に対応した表示パネル2の動作制御を行える。例えば、表示パネル2の表示出力品質を確保できない程の高温が温度検出装置10によって検出された場合、表示パネル2の動作を停止させるようにしてもよい。また、この場合、当該高温が検出された温度検出装置10の一部分(部分温度検出領域PA)に対応する範囲のみ表示パネル2による画像の表示出力を停止するようにしてもよい。
【0080】
なお、温度検出装置10は、HUD装置1に設けられなくてもよい。例えば、他の形態の表示装置に重なるよう温度検出装置10が設けられてもよいし、温度検出装置10が表示装置以外の装置と組み合わせられてもよいし、温度検出装置10単体であってもよい。
【0081】
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係る温度検出装置の主要構成及び制御装置を示す模式図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略し、実施形態1とは異なる点について説明する。
【0082】
図9に示す実施形態2に係る温度検出装置10aにおいて、センサ部40aは、マルチプレクサ42を含む。
【0083】
マルチプレクサ42は、複数の温度検出用抵抗素子ER(m)にうちの何れか1つと、制御装置100と、を接続するスイッチ回路である。マルチプレクサ42は、複数の温度検出用抵抗素子ER(m)のうち、制御装置100に電気的に接続される温度検出用抵抗素子ER(m)を選択する。本実施形態において、マルチプレクサ42は、センサ基材20aの周辺領域GAに設けられたロジックICで構成されている。マルチプレクサ42は、例えば、制御装置100に設けられた制御回路110のGPIO89から出力される制御信号によって、制御装置100に接続される温度検出用抵抗素子ER(m)を選択する。マルチプレクサ42により選択された温度検出用抵抗素子ER(m)と基準抵抗素子41aとが電気的に直列接続されることにより、図3に示す温度センサSENS(m)が構成される。これにより、温度検出装置10aと制御装置100との間の配線数を大幅に削減することができる。
【0084】
(変形例)
図10は、実施形態2の変形例に係る温度検出装置の主要構成及び制御装置を示す模式図である。図10に示す変形例に係る温度検出装置10bにおいて、センサ部40bのマルチプレクサ42aは、実施形態2のロジックICで構成されたマルチプレクサ42とは異なり、センサ基材20bの周辺領域GAに設けられたTFT(Thin Film Transistor)スイッチ回路で構成されている。これにより、実施形態2の構成よりも低コスト化に寄与することができる。
【0085】
なお、上述した実施形態は、各構成要素を適宜組み合わせることが可能である。また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0086】
1 HUD装置
2 表示パネル
4 筐体
4S 開口(筐体)
6 光源部
9 拡散板
10,10a,10b 温度検出装置
20,20a,20b センサ基材
40,40a,40b センサ部
41,41a 基準抵抗素子
42,42a マルチプレクサ
50 記憶部
80 温度検出回路
81 フィルタ
82 増幅回路
83 A/D変換回路
84 CPU
85 バス
86 ROM
87 EEPROM
88 RAM
89 GPIO
100 制御装置
110 制御回路
120 電源回路
200 上位制御装置
AA 表示領域
a,a(m) 第1係数
b,b(m) 第2係数
ER,ER(m) 温度検出用抵抗素子
GA 周辺領域
GND 基準電位
PA 部分温度検出領域
Re(m) 抵抗値(温度検出用抵抗素子)
Rref 抵抗値(基準抵抗素子)
RM1,RM2 ミラー部材
SA 温度検出領域
SENS(m) 温度センサ
TPA,TPA(m) 温度
TPA1,TPA1(m) 第1温度
TPA2,TPA2(m) 第2温度
VI 画像
Vin 入力電位
Vout,Vout(m),Vout1,Vout1(m),Vout2,Vout2(m) 出力電位
WS 投影板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10