(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106607
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】配管固定台座
(51)【国際特許分類】
F16L 3/04 20060101AFI20220712BHJP
F16B 2/06 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
F16L3/04
F16B2/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001725
(22)【出願日】2021-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】508333228
【氏名又は名称】AWJ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099704
【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 聡
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
【Fターム(参考)】
3H023AC23
3H023AD36
3H023AE07
3J022DA11
3J022DA12
3J022EA15
3J022EC02
3J022FA02
3J022FB07
3J022GA12
3J022GB81
(57)【要約】
【課題】 配管からの荷重をブラケット等の固定側部材に確実に伝達しつつ、配管と固定側部材との間の断熱性を高めることが可能な配管固定台座を提供する。
【解決手段】本発明に係る配管固定台座1は、ブラケット2と配管3との間に設置されるものであって、U字状配管固定具4の各雄ネジ5,5がそれぞれ挿通される本体側ボルト孔14,14が各端に形成された基部15と、該基部の中央近傍から立設された支持部17とで構成されてなる台座本体12を備え、該支持部の先端には、配管3の外周面18に当接される配管側当接面16が設けてある。台座本体12の支持部17には、本体側ボルト孔14,14の孔軸方向と軸線が平行な空隙21を複数形成してあり、該各空隙は、それらの横断面形状が六角形となるように形成してあるとともに、六角形状隔壁22を介して互いに近接するように配置してある。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラケット、門型架台、振れ止め等の固定側部材と配管との間に設置されるとともに、該設置状態で前記配管を跨ぐように配置されたU字状配管固定具の各雄ネジが前記固定側部材に設けられた固定側ボルト孔にそれぞれ挿通できるようになっている配管固定台座において、
前記各雄ネジがそれぞれ挿通される本体側ボルト孔が各端に形成された基部と該基部の中央近傍から立設され先端が前記配管の外周面に当接されるようになっている支持部とで構成されてなる台座本体を備えるとともに、前記支持部に前記本体側ボルト孔の孔軸方向と軸線が平行な空隙を複数形成してなり、該各空隙を、それらの横断面形状が多角形状又は円形状となるように形成するとともに、それらが多角形状隔壁又は円形状隔壁を介して互いに近接するように配置したことを特徴とする配管固定台座。
【請求項2】
前記各空隙における配管側の端部を閉じた請求項1記載の配管固定台座。
【請求項3】
前記固定側部材の載置面に設置されるとともに前記台座本体が積み重ねられる形で該固定側部材と該台座本体との間に介在される単独の又は段重ねされる複数の増設台座を備え、該増設台座に、前記各雄ネジが挿通される増設側ボルト孔を各端近傍に形成するとともに、前記増設側ボルト孔の孔軸方向と軸線が平行な増設側空隙を複数形成し、該各増設側空隙をそれらの横断面形状が多角形状又は円形状となるように形成するとともに、それらが多角形状隔壁又は円形状隔壁を介して互いに近接するように配置した請求項1又は請求項2記載の配管固定台座。
【請求項4】
前記増設台座が単独の増設台座で構成される場合において前記空隙に嵌合される凸部を前記増設台座に設けることにより、該増設台座を前記台座本体に連結可能に構成した請求項3記載の配管固定台座。
【請求項5】
前記増設台座が複数の増設台座で構成される場合において前記空隙に嵌合される凸部を、前記複数の増設台座のうち、前記台座本体に最も近い側の増設台座に設けることで該増設台座を前記台座本体に連結可能に構成するとともに、隣り合う2つの増設台座の一方に形成された増設側空隙に嵌合される凸部を他方に設けることで該2つの増設台座を互いに連結可能に構成した請求項3記載の配管固定台座。
【請求項6】
前記横断面形状を六角形、前記多角形状隔壁を六角形状隔壁とした請求項1乃至請求項5のいずれか一記載の配管固定台座。
【請求項7】
前記台座本体又はそれに加えて前記増設台座を熱可塑性エラストマーで形成した請求項1乃至請求項6のいずれか一記載の配管固定台座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種配管をU字状配管固定具を用いてブラケットや架台あるいは振れ止めに取り付ける際に用いられる配管固定台座に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和設備工事や衛生設備工事においては、用途や目的に応じてさまざまな配管が用いられており、材質で分類すると概ね金属管と樹脂管に大別される。
【0003】
例えば、給水管には、ポリエチレンや硬質ポリ塩化ビニルで内面を被覆したライニング鋼管や、硬質ポリ塩化ビニル管、ポリエチレン管などの樹脂管が用いられており、給湯管には、ステンレス鋼管や耐熱性硬質ポリ塩化ビニルライニング鋼管が用いられている。
【0004】
これらの配管を建物内に設置するにあたっては、横走り管であれば、吊りバンドで天井や上階スラブから吊持するほか、壁面に取り付けられたブラケットや床面に設置された門型架台に載せた上、これらのブラケットや架台にUボルトで固定し、立ち上がり管であれば、立てバンドで壁に固定するほか、壁面に取り付けられた振れ止めにUボルトで固定する。
【0005】
Uボルトを用いて配管を固定するには、ブラケットや門型架台あるいは振れ止め(以下、単にブラケットと呼ぶことがある)の上に配管を載せ、かかる状態で該配管を跨ぐようにUボルトを配管に配置した上、該Uボルトの各端に形成された雄ネジをブラケットのボルト孔にそれぞれ挿通し、しかる後、該雄ネジにナットを螺合する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】株式会社昭和コーポレーション、[online]、[令和元年12月8日検索]、インターネット<URL :https://www.showa-cp.jp/products-own/sleeperl/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
配管内を温冷水が流れる場合、特に冷却水が流れる場合には、結露水が金属製品を腐食させたり、下方に滴り落ちて様々な不具合を生じさせたりするおそれがあるため、配管周囲には、熱損失を防止する観点でも保温材の巻付けが必要になるほか、Uボルトが設けられた箇所では、ブラケット等の固定側部材に結露が生じないよう、該Uボルトとの間に断熱材を台座として介在させる必要があり、例えば硬質ウレタンフォームで形成されたドーナツ状の断熱材の周囲をUバンドで取り囲み、該Uバンドをブラケット、門型架台、振れ止め等の固定側部材に固定する構成が知られている(非特許文献1)。
【0008】
しかしながら、かかる断熱材には、配管固定のための荷重を伝達させる機能を併せ持つことが求められるため、断熱性能には限度がある。
【0009】
すなわち、台座として配管を支持するに適した硬質ウレタンフォーム製の断熱材には、熱伝導率を0.057、圧縮強さを50kgf/cm2としたもの(日栄インテック株式会社HPの「断熱配管支持」から抜粋)、あるいは熱伝導率を0.053、圧縮強さを46kgf/cm2(450N/cm2)としたもの(株式会社昭和コーポレーションHPの「スリーパーL」から抜粋)が知られているが、熱伝導率はいずれも0.05程度であるため、断熱構造の厚みを抑えるにも限度があり、狭隘な箇所での施工が困難になるという問題や、配管周囲に巻く保温材をUボルトの上から重ねることは当然ながら難しくなるため、配管周囲の保温材とUボルトの断熱材との間に隙間が生じると、該隙間に結露が生じる懸念があるという問題を生じていた。
【0010】
ちなみに、熱伝導率を空気と同程度にまで小さくした断熱材も知られているが、例えば硬質ウレタンフォーム保温板2種1号が、熱伝導率が0.023以下である反面、圧縮強さは10N/cm2以上(ウレタンフォーム工業会HPの「硬質ウレタンフォーム断熱材 標準施工マニュアル 材料編」から抜粋)となっていることからもわかる通り、断熱性が優れている分、強度は概ね1/50と格段に小さくなるため、台座を兼ねた断熱材として使用することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、配管からの荷重をブラケット等の固定側部材に確実に伝達しつつ、配管と固定側部材との間の断熱性を高めることが可能な配管固定台座を提供することを目的とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る配管固定台座は請求項1に記載したように、ブラケット、門型架台、振れ止め等の固定側部材と配管との間に設置されるとともに、該設置状態で前記管配管を跨ぐように配置されたU字状配管固定具の各雄ネジが前記固定側部材に設けられた固定側ボルト孔にそれぞれ挿通できるようになっている配管固定台座において、
前記各雄ネジがそれぞれ挿通される本体側ボルト孔が各端に形成された基部と該基部の中央近傍から立設され先端が前記配管の外周面に当接されるようになっている支持部とで構成されてなる台座本体を備えるとともに、前記支持部に前記本体側ボルト孔の孔軸方向と軸線が平行な空隙を複数形成してなり、該各空隙を、それらの横断面形状が多角形状又は円形状となるように形成するとともに、それらが多角形状隔壁又は円形状隔壁を介して互いに近接するように配置したものである。
【0013】
また、本発明に係る配管固定台座は、前記各空隙における配管側の端部を閉じたものである。
【0014】
また、本発明に係る配管固定台座は、前記固定側部材の載置面に設置されるとともに前記台座本体が積み重ねられる形で該固定側部材と該台座本体との間に介在される単独の又は段重ねされる複数の増設台座を備え、該増設台座に、前記各雄ネジが挿通される増設側ボルト孔を各端近傍に形成するとともに、前記増設側ボルト孔の孔軸方向と軸線が平行な増設側空隙を複数形成し、該各増設側空隙をそれらの横断面形状が多角形状又は円形状となるように形成するとともに、それらが多角形状隔壁又は円形状隔壁を介して互いに近接するように配置したものである。
【0015】
また、本発明に係る配管固定台座は、前記増設台座が単独の増設台座で構成される場合において前記空隙に嵌合される凸部を前記増設台座に設けることにより、該増設台座を前記台座本体に連結可能に構成したものである。
【0016】
また、本発明に係る配管固定台座は、前記増設台座が複数の増設台座で構成される場合において前記空隙に嵌合される凸部を、前記複数の増設台座のうち、前記台座本体に最も近い側の増設台座に設けることで該増設台座を前記台座本体に連結可能に構成するとともに、隣り合う2つの増設台座の一方に形成された増設側空隙に嵌合される凸部を他方に設けることで該2つの増設台座を互いに連結可能に構成したものである。
【0017】
また、本発明に係る配管固定台座は、前記横断面形状を六角形、前記多角形状隔壁を六角形状隔壁としたものである。
【0018】
また、本発明に係る配管固定台座は、前記台座本体又はそれに加えて前記増設台座を熱可塑性エラストマーで形成したものである。
【0019】
本発明に係る配管固定台座は、ブラケット、門型架台、振れ止め等の固定側部材と配管との間に設置されるとともに、該設置状態で配管を跨ぐように配置されたU字状配管固定具の各雄ネジが固定側部材に設けられた固定側ボルト孔にそれぞれ挿通できるようになっていて、各雄ネジがそれぞれ挿通される本体側ボルト孔が各端に形成された基部と該基部の中央近傍から立設され先端が配管の外周面に当接されるようになっている支持部とで構成されてなる台座本体を備えるが、該台座本体の支持部には、本体側ボルト孔の孔軸方向と軸線が平行な空隙を複数形成してあり、該各空隙をそれらの横断面形状が多角形状又は円形状となるように形成するとともに、それらが多角形状隔壁又は円形状隔壁を介して互いに近接するように配置してある。
【0020】
このようにすると、支持部に複数の空隙が形成してあるので、該各空隙を取り囲む多角形状隔壁又は円形状隔壁を適当な樹脂材料で形成しておくことにより、支持部全体の断熱性能を大幅に向上させることが可能となり、かくして配管と固定側部材との間に高い断熱性を確保することができる。
【0021】
また、複数の空隙は、本体側ボルト孔の孔軸方向と軸線が平行になっているので、U字状配管固定具による締付け力が配管を介して支持部に作用するとき、その締付け力は、空隙の孔軸方向に沿って作用し、各空隙を取り囲む多角形状隔壁又は円形状隔壁の面内荷重として該隔壁で支持される。
【0022】
そのため、配管を介して作用する締付け力は、支持部により、高い圧縮剛性及び曲げ剛性をもって固定側部材に伝達される。
【0023】
なお、支持部には、配管に生じる地震時荷重、配管内を流れる流体の振動荷重あるいは温度荷重といった荷重も作用するが(以下、その他の作用荷重とよぶことがある)、これらの作用荷重も、上述した締付け力と同様、支持部により、高い圧縮剛性及び曲げ剛性をもって固定側部材に伝達される。
【0024】
U字状配管固定具は、Uボルトがその典型例となるが、U字状に形成され各端に雄ネジが設けられていて配管を固定するための用に供されるものであればすべて包摂されるものであって、特に、横断面が円形で全体がU字状をなし各端近傍に雄ネジがそれぞれ形成されてなるボルト本体と、該ボルト本体とその内側空間に挿通配置される配管との間で荷重伝達を行うための荷重伝達部とを備えるとともに、該荷重伝達部を、ボルト本体の周面のうち、少なくとも上記内側空間の側に被覆され又は該ボルト本体であって上記内側空間の側に取り付けられる環状基部と、該環状基部から配管の材軸方向に突設するように該環状基部に連続一体に形成されるとともに配管の外周面に当接する帯状当接面が内側空間の側に位置する形で形成されてなる環状延設部とで構成されたものが包摂される。
【0025】
台座本体は、配管と固定側部材との間で十分な荷重伝達が行われる剛性及び強度を有する樹脂材料、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等で形成することができるが、特に熱可塑性エラストマーで形成したならば、配管からの荷重を確実に固定側部材に伝達しつつ、両者の間に高い断熱性を確保することが可能となる。
【0026】
各空隙の端部を開放するかどうかは任意であって、固定側及び配管側のいずれの端部についてもこれらを開放して開口とする、すなわち各空隙を貫通形態とすることも可能であるが、各空隙における配管側の端部を閉じるようにすれば、配管からの締付け力やその他の作用荷重は、多角形状隔壁又は円形状隔壁に直接作用するのではなく、支持部の先端に形成される配管側当接面を介して、多角形状隔壁あるいは円形状隔壁に間接的に伝達されることとなり、かくして多角形状隔壁あるいは円形状隔壁における応力集中が防止され、上述した固定側部材への荷重伝達機能はさらに向上するとともに、配管側当接面によって空隙の配管側端部が塞がれることで、空気の流れを遮断することができるため、より高い断熱性の確保が可能となる。
【0027】
本発明に係る配管固定台座においては、上述の台座本体に加え、固定側部材の載置面に設置されるとともに台座本体が積み重ねられる形で該固定側部材と該台座本体との間に介在される単独の又は段重ねされる複数の増設台座を備えることが可能であり、該増設台座には、各雄ネジが挿通される増設側ボルト孔を各端近傍に形成してあるとともに、増設側ボルト孔の孔軸方向と軸線が平行な増設側空隙を複数形成してあり、該各増設側空隙は、それらの横断面形状が多角形状又は円形状となるように形成してあるとともに、それらが多角形状隔壁又は円形状隔壁を介して互いに近接するように配置してある。
【0028】
このようにすると、増設台座が単独の増設台座で構成される場合においては、さまざまな厚みサイズの増設台座を用意しておき、これらから任意の厚みの増設台座を選択して台座本体と組み合わせることにより、現場の配管敷設高さに合わせた高さ調整が可能となる。
【0029】
また、増設台座が、段重ねされる複数の増設台座で構成される場合においては、さまざまな厚みサイズの増設台座を用意しておき、これらから任意の厚みの増設台座を任意の組み合わせで選択した上、これらを台座本体と組み合わせることにより、現場の配管敷設高さに合わせた全高調整をより細かく行うことが可能となる。
【0030】
増設台座は台座本体と同様、配管と固定側部材との間で十分な荷重伝達が行われる剛性及び強度を有する樹脂材料、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等で形成することができるが、特に熱可塑性エラストマーで形成したならば、配管からの荷重を確実に固定側部材に伝達しつつ、両者の間に高い断熱性を確保することが可能となる。
【0031】
増設台座が単独の増設台座で構成される場合において、単独の増設台座及び台座本体は、増設側ボルト孔や本体側ボルト孔にU字状配管固定具の各雄ネジが共通に挿通されるため、特段の連結手段を用いて相互に連結される必要はなく、単に積み重ねるようにしてもかまわない、すなわち非連結の状態であってもかまわないが、相互連結するようにすれば、位置ずれを防止できるほか、予め段積みされた増設台座及び台座本体にU字状配管固定具の各雄ネジをまとめて挿通することができるので、固定作業時の作業性が向上する。
【0032】
相互連結する手段は任意であり、例えば両面テープを用いた連結を採用することができるが、台座本体の空隙に嵌合される凸部を単独の増設台座に設けることにより、該増設台座を台座本体に連結可能に構成したならば、相互の位置決めが容易になるのみならず、増設台座と台座本体とを連結したり取り外したりといった操作を簡単に行うことができるため、現場の配管敷設高さに合わせた最適サイズの増設台座を効率よく選定することが可能となる。
【0033】
また、増設台座が、段重ねされる複数の増設台座で構成される場合において、複数の増設台座及び台座本体は、本体側ボルト孔や増設側ボルト孔にU字状配管固定具の各雄ネジが共通に挿通されるため、特段の連結手段を用いて相互に連結される必要はなく、単に積み重ねるようにしてもかまわない、すなわち非連結の状態であってもかまわないが、相互連結するようにすれば、位置ずれを防止できるほか、予め段積みされた複数の増設台座及び台座本体にU字状配管固定具の各雄ネジをまとめて挿通することができるので、固定作業時の作業性が向上する。
【0034】
複数の増設台座を相互連結し、あるいはそれらと台座本体とを相互連結する手段は任意であり、例えば両面テープを用いた連結を採用することができるが、複数の増設台座のうち、台座本体に最も近い側の増設台座に該台座本体の空隙に嵌合される凸部を設けることで該増設台座を台座本体に連結可能に構成するとともに、隣り合う2つの増設台座の一方に形成された増設側空隙に嵌合される凸部を他方に設けることで該2つの増設台座を互いに連結可能に構成したならば、複数の増設台座相互の位置決めや台座本体に最も近い側の増設台座と該台座本体との位置決めが容易になるのみならず、増設台座同士あるいは増設台座と台座本体とを連結したり取り外したりといった操作を簡単に行うことができるため、現場の配管敷設高さに合わせた最適サイズの増設台座を効率よく選定することが可能となる。
【0035】
台座本体に形成された空隙や増設台座に形成された増設側空隙に関し、これらの横断面形状が六角形となるように形成するとともに、それらを六角形状隔壁を介して互いに近接配置したならば、台座本体の支持部や増設台座がハニカム構造で構成されることになるため、十分な荷重伝達機能を確保しつつ、ほぼ最大限に近い断面積で空隙を形成することが可能となり、断熱性能を格段に向上させることができる。
【0036】
そのため、断熱構造の厚みを抑えることが可能となり、狭隘な箇所での施工性が改善されるとともに、配管周囲に巻く保温材をU字状配管固定具の上から重ねることもできるので、配管周囲の保温材とU字状配管固定具の荷重伝達部との間に隙間が生じたとしても、その隙間で結露が生じるおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】第1実施形態に係る配管固定台座1を、U字状配管固定具4及びブラケット2の配置状況とともに示した全体斜視図。
【
図2】第1実施形態に係る配管固定台座1を示した図であり、(a)は正面図、(b)はA-A線方向から見た矢視図(平面図)、(c)はB-B線方向から見た矢視図(底面図)。
【
図3】C-C線に沿う断面図であり、第1実施形態に係る配管固定台座1を、U字状配管固定具4及びブラケット2の配置状況とともに示した図。
【
図5】別の変形例に係る配管固定台座の図であり、(a)は底面図、(b)はD-D線に沿う断面図。
【
図6】第2実施形態に係る配管固定台座61を、U字状配管固定具4の一部(雄ネジ5,5)及びブラケット2の配置状況とともに示した全体斜視図。
【
図7】第2実施形態に係る配管固定台座61の図であり、(a)は段積み前の全体斜視図、(b)は段積み後の全体斜視図。
【
図8】増設台座11aの図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)はE-E線に沿う断面図。
【
図9】第2実施形態に係る配管固定台座61の作用を示した図。
【
図10】変形例に係る配管固定台座を、U字状配管固定具4の一部(雄ネジ5,5)及びブラケット2の配置状況とともに示した全体斜視図。
【
図11】増設台座11b′の図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は、台座本体12と増設台座11b′とともに示したF-F線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る配管固定台座の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0039】
[第1実施形態]
図1乃至
図3は、本実施形態に係る配管固定台座1を示した図であり、
図1及び
図3では、U字状配管固定具4及びブラケット2の配置状況についても併せて示してある。これらの図でわかるように、本実施形態に係る配管固定台座1は、固定側部材としてのブラケット2と配管3との間に設置されるとともに、該設置状態で配管3を跨ぐように配置されたU字状配管固定具4の各雄ネジ5,5がブラケット2に設けられた固定側ボルト孔6,6にそれぞれ挿通できるようになっており、配管3は、雄ネジ5,5に螺合されたナット8,8を締め付けることにより、配管固定台座1が介在された状態でブラケット2に固定される。
【0040】
配管固定台座1は、U字状配管固定具4の各雄ネジ5,5がそれぞれ挿通される本体側ボルト孔14,14が各端に形成された基部15と、該基部の中央近傍から立設された支持部17とで構成されてなる台座本体12を備え、該支持部の先端には、配管3の外周面18に当接される配管側当接面16が設けてある。
【0041】
台座本体12は、対象となる配管3の径に対応するよう、配管側当接面16の湾曲率や本体側ボルト孔14,14の離間距離を適宜定めればよい。
【0042】
台座本体12は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂材料を用いた射出成形で形成することができるが、特に、熱可塑性エラストマーで成形されるのが望ましい。
【0043】
U字状配管固定具4は、横断面が円形で全体がU字状をなし各端近傍に上述した雄ネジ5,5が形成されてなるボルト本体22と、該ボルト本体と配管3との間で荷重伝達を行うことができるように構成された荷重伝達部23とを備え、該荷重伝達部は、環状基部26及び環状延設部27からなる。
【0044】
環状基部26は、ボルト本体22の周面のうち、雄ネジ5,5の形成部位を除いて、ボルト本体22の全周が被覆されるよう円筒状に形成してある。
【0045】
環状延設部27は、環状基部26から配管3が挿通される内側空間の側にて該配管の材軸方向に沿って互いに反対側に、
図1で言えば左斜め下及び右斜め上方向に延びていて、全体としては配管3の材軸を中心とした半円筒状をなし、環状基部26と連続一体に形成してある。
【0046】
環状延設部27は、環状基部26とともに、ボルト本体22をインサートとして、ポリプロピレン、ポリエチレン、熱可塑性エラストマー等の樹脂材料を用いた射出成形で形成することができる。
【0047】
なお、配管3が金属管であって、荷重伝達部23をポリプロピレン、ポリエチレン、熱可塑性エラストマー等の樹脂材料からなる電気絶縁材料で形成した場合においては、荷重伝達部23は、電気絶縁部材としての機能を発揮し、配管3をブラケット2から電気的に絶縁する。
【0048】
環状延設部27のうち、配管3が挿通される内側空間に面する半円筒状内面が帯状当接面30として形成してあり、該帯状当接面が配管3の外周面に当接するようになっている。
【0049】
環状延設部27は、帯状当接面30の幅(配管3の材軸方向に沿った寸法)が小さすぎると、荷重分散作用が十分に発揮できず、大きすぎると、帯状当接面10の側方縁部近傍で荷重伝達が十分に行われないおそれがあるため、帯状当接面10の幅は例えば、ボルト本体22の外径の1.5倍以上でかつ4倍以下となるように形成されるのが望ましく、2.5倍~3.5倍とするのがさらに望ましい。
【0050】
本実施形態に係る配管固定台座1は、
図2及び
図3でよくわかるように、台座本体12の支持部17に、本体側ボルト孔14,14の孔軸方向と軸線が平行な空隙21を複数形成してあり、該各空隙は、それらの横断面形状が六角形となるように形成してあるとともに、六角形状隔壁22を介して互いに近接するように配置してある。
【0051】
また、各空隙21は
図3でよくわかるように、配管側当接面16の湾曲状況に合わせてそれらの高さを調整してあり、両側で高く、中央に近くなるほど低く設定してある。
【0052】
加えて、配管3の側に配管側当接面16が形成されることにより、各空隙21は、それらの配管側の端部が閉じられた構成となっている。
【0053】
本実施形態に係る配管固定台座1を用いて配管3を横走り管としてブラケット2に固定するには、配管固定台座1をブラケット2の載置面7に載置するとともに、配管3の外周面18が台座本体12を構成する支持部17の配管側当接面16に当接されるようにして、該配管を配管固定台座1を介してブラケット2の上に載せる。
【0054】
次に、配管3を跨ぐようにしてU字状配管固定具4をブラケット2の上方から落とし込み、該U字状配管固定具のボルト本体22に設けられた雄ネジ5,5を、配管固定台座1を構成する台座本体12の本体側ボルト孔14,14とブラケット2に設けられた固定側ボルト孔6,6にそれぞれ挿通するとともに、U字状配管固定具4を構成する環状延設部27の帯状当接面30を配管3の外周面に当接させる。
【0055】
最後に、雄ネジ5,5の各先端にナット8,8をそれぞれ螺合し、これらを締め付けることで、配管3をブラケット2に固定する。
【0056】
本実施形態に係る配管固定台座1においては、複数の空隙21が、本体側ボルト孔14,14の孔軸方向と軸線が平行になるように形成してあるため(
図3では上下方向)、U字状配管固定具4による締付け力が配管3を介して支持部17に作用したとき、その締付け力は、空隙21の孔軸方向に沿って作用し、該各空隙を取り囲む六角形状隔壁22の面内荷重として該隔壁で支持されつつ、ブラケット2に伝達される。
【0057】
また、複数の空隙21は、支持部17の断熱性を高める役割を果たすため、配管3は、十分な断熱性をもってブラケット2に固定される。
【0058】
特に本実施形態では、複数の空隙21は、横断面形状が六角形となるように形成してあるとともに、それらを六角形状隔壁22を介して互いに近接するように配置してある。
【0059】
そのため、台座本体12の支持部7はハニカム構造で構成されることとなり、十分な荷重伝達機能が確保されるとともに、支持部7は、横断面における開口割合(空隙割合)がほぼ最大限に近くなり、断熱性能はさらに向上する。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る配管固定台座1によれば、支持部17に複数の空隙21を形成したので、該各空隙を取り囲む六角形状隔壁22を適当な樹脂材料で形成しておくことにより、支持部17全体の断熱性能を大幅に向上させることが可能となり、配管3とブラケット2との間に十分な断熱性を確保することができる。
【0061】
特に、本実施形態に係る配管固定台座1によれば、台座本体12を熱可塑性エラストマーで形成するようにしたので、配管3からの荷重を確実にブラケット2に伝達しつつ、両者の間に高い断熱性を確保することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態に係る配管固定台座1によれば、複数の空隙21を、本体側ボルト孔14,14の孔軸方向と軸線が平行になるように形成したので、配管3を介して作用する締付け力や、配管3に生じる地震時荷重、配管3内を流れる流体の振動荷重あるいは温度荷重といったその他の作用荷重は、支持部17により、高い圧縮剛性及び曲げ剛性をもってブラケット2に伝達される。
【0063】
特に、本実施形態に係る配管固定台座1によれば、複数の空隙21を、それらの横断面形状が六角形となるように形成するとともに、それらが六角形状隔壁22を介して互いに近接するように配置したので、台座本体12の支持部17がハニカム構造で構成されることになるため、十分な荷重伝達機能を確保しつつ、ほぼ最大限に近い断面積で空隙21を形成することが可能となり、断熱性能を格段に向上させることができる。
【0064】
そのため、断熱構造の厚みを抑えることが可能となり、狭隘な箇所での施工性が改善されるとともに、配管3周囲に巻く保温材をU字状配管固定具4の上から重ねることもできるので、配管3周囲の保温材とU字状配管固定具4の荷重伝達部23との間に隙間が生じたとしても、その隙間で結露が生じるおそれもない。
【0065】
なお、複数の空隙21を、本体側ボルト孔14,14の孔軸方向と軸線が平行になるように形成することで、金型製作が容易になるとともに、脱型の作業性も高まる。
【0066】
また、本実施形態に係る配管固定台座1によれば、支持部17の先端に配管側当接面16を設けることで、各空隙21における配管側の端部を閉じるようにしたので、配管3からの締付け力やその他の作用荷重は、六角形状隔壁22に直接作用するのではなく、配管側当接面16を介して六角形状隔壁22に間接的に伝達されることとなり、かくして六角形状隔壁22における応力集中が防止され、上述したブラケット2への荷重伝達機能がさらに向上するとともに、配管側当接面16によって空隙21の配管側端部が塞がれることで、空気の流れを遮断することができるため、より高い断熱性の確保が可能となる。
【0067】
本実施形態では、U字状配管固定具としてボルト本体22と荷重伝達部23とを備えてなるU字状配管固定具4を用いることを前提としたが、これに代えて、一般的なUボルト(ボルト本体22のみで構成されてなるU字状配管固定具)の使用を前提としてもかまわない。
【0068】
また、本実施形態では、台座本体12の本体側ボルト孔14,14を長孔としたが、U字状配管固定具との関係でボルト孔に遊びが不要な場合には、長孔に代えて、丸孔としてもかまわない。
【0069】
また、本実施形態では、本発明に係る複数の空隙を、横断面形状がそれぞれ六角形状で、六角形状隔壁22を介して互いに近接するように配置されてなる複数の空隙21としたが、本発明の空隙は、横断面形状が多角形状又は円形状となるように形成するとともに、それらが多角形状隔壁又は円形状隔壁を介して互いに近接するように配置されていれば足りるものであり、空隙21に代えて、
図4に示すように、横断面が円形の空隙21a、横断面が三角形の空隙21b、横断面が四角形(正方形)の空隙21cとし、それぞれ円形状隔壁22a、三角形状隔壁22b、四角形状隔壁22cを介して互いに近接するように配置した構成としてもかまわない。
【0070】
これらの構成であっても、支持部17における横断面の開口割合が若干小さくなる分、断熱性が若干低下するものの、本実施形態と概ね同様の作用効果を発揮させることが可能である。
【0071】
また、本実施形態では、支持部17の先端に配管側当接面16を設けることで、各空隙21における配管側の端部を閉じるようにしたが、これに代えて、
図5に示すように、先端に配管側当接面16が設けられておらず、各空隙21における配管側の端部が開放されてなる支持部17′としてもかまわない。
【0072】
かかる構成の場合であっても、支持部17′が形成される材料の剛性を調整するなどの工夫により、六角形状隔壁22に応力集中が生じるのを防止することが可能である。
【0073】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】
図6及び
図7は、本実施形態に係る配管固定台座61とその配置状況を示した斜視図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る配管固定台座61は、第1実施形態と同様、ブラケット2と配管3との間に設置されるとともに、該設置状態で配管3を跨ぐように配置されたU字状配管固定具4の各雄ネジ5,5がブラケット2に設けられた固定側ボルト孔6,6にそれぞれ挿通されるようになっているが、本実施形態では、第1実施形態の台座本体12に加えて、2種類の増設台座11a,11bを任意に組み合わせてなる単独又は段重ねされる複数の増設台座としての増設台座群11を備えており、台座本体12は、該増設台座群に積み重ねられる。
【0075】
図6及び
図7には、増設台座11a,11bをそれぞれ一つずつ組み合わせて増設台座群11を構成した例を示してあり、該増設台座群は、最下段の増設台座、
図6及び
図7の例で言えば、増設台座11aがブラケット2の載置面7に当接される形で該載置面に設置されるようになっている。
【0076】
なお、増設台座群11には、後述するように増設台座11aだけを単独で、あるいは増設台座11bだけを単独で用いる場合も含まれるものとする。
【0077】
増設台座11a,11bは、それぞれポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂材料を用いた射出成形で形成することができるが、特に、熱可塑性エラストマーで成形されるのが望ましい。
【0078】
増設台座11a,11bは、いずれも各端が半円状に形成された短冊状をなし、平面形状を同一にすることで段重ねできるようになっているが、増設台座11bの厚みtbは、増設台座11aの厚みtaよりも小さくしてある。
【0079】
増設台座11a,11bには、U字状配管固定具4の各雄ネジ5,5が挿通される増設側ボルト孔13a,13a、増設側ボルト孔13b,13bを、平面位置が同一となるように各端近傍にそれぞれ設けてある。
【0080】
増設台座11aには
図8に示すように、増設側ボルト孔13a,13aの孔軸方向と軸線が平行な増設側空隙81を複数形成し、該各増設側空隙をそれらの横断面形状が六角形状となるように形成するとともに、それらが六角形状隔壁82を介して互いに近接するように配置してある。
【0081】
増設台座11bにも、増設台座11aと同様、増設側ボルト孔13b,13bの孔軸方向と軸線が平行な増設側空隙81を複数形成し、該各増設側空隙をそれらの横断面形状が六角形状となるように形成するとともに、それらが六角形状隔壁82を介して互いに近接するように配置してある。
【0082】
なお、増設台座11bは、平面図及び底面図が
図8(a),(b)と同一であり、断面図が
図8(c)と高さが異なるのみであるため、増設台座11bについては平面図、底面図及び断面図を省略する。
【0083】
増設台座11aや増設台座11bは、台座本体12と同様、対象となる配管3の径に対応するよう、増設側ボルト孔13a,13aや増設側ボルト孔13b,13bの離間距離を適宜定めればよい。
【0084】
本実施形態に係る配管固定台座61を用いて配管3を横走り管としてブラケット2に固定するには、配管固定台座61をその増設台座群11がブラケット2の載置面7に当接される形で該載置面に載置するとともに、配管3の外周面18が台座本体12を構成する支持部17の配管側当接面16に当接されるようにして、該配管を配管固定台座61を介してブラケット2の上に載せる。
【0085】
ここで、本実施形態では、2種類の増設台座11a,11bを任意に組み合わせてなる増設台座群11で単独又は複数の増設台座を構成してあり、段積みした状態での全高が小さい順に増設台座群11の組み合わせを列挙すると、t
aがt
bの2倍である場合には、
図9に示すように、
(1) 増設台座11bのみ(
図9(a))
(2) 増設台座11b×2枚(
図9(b)、増設台座11aのみと同一高さ)
(3) 増設台座11b+増設台座11a(
図9(c)、増設台座11b×3枚と同一高さ)
(4) 増設台座11a×2枚(
図9(d)、増設台座11b×4枚と同一高さ)
となる。
【0086】
したがって、配管3の材軸がブラケット2の載置面7からH1の高さとなるように該配管を保持したい場合には(1)の構成を、同じくH2の高さとなるように該配管を保持したい場合には(2)の構成を、H3の高さとなるように該配管を保持したい場合には(3)の構成を、H4の高さとなるように該配管を保持したい場合には(4)の構成をそれぞれ採用すればよい。
【0087】
以下の説明では、(3)の構成(
図6、
図9(c))を用いるものとする。
【0088】
図6に示したように、配管固定台座61をその増設台座11aの下面(台座本体12が配置された側とは逆の面)がブラケット2の載置面7に当接されるように該ブラケットに載置する形で、配管3とブラケット2との間に配管固定台座61を挟み込んだならば、次に、配管3を跨ぐようにしてU字状管材固定具4をブラケット2の上方から落とし込み、該U字状配管固定具のボルト本体22に設けられた雄ネジ5,5を、配管固定台座61を構成する台座本体12の本体側ボルト孔14,14、増設台座11bの増設側ボルト孔13b,13b、増設台座11aの増設側ボルト孔13a,13aとブラケット2に設けられた固定側ボルト孔6,6にそれぞれ挿通するとともに、U字状配管固定具4を構成する環状延設部27の帯状当接面30を配管3の外周面に当接させる。
【0089】
最後に、雄ネジ5,5の各先端にナット8,8をそれぞれ螺合し、これらを締め付けることで、配管3をブラケット2に固定する。
【0090】
以上説明したように、本実施形態に係る配管固定台座61によれば、台座本体12の支持部17に複数の空隙21を形成するとともに、増設台座11a,11bに複数の増設側空隙81をそれぞれ形成したので、各空隙21を取り囲む六角形状隔壁22及び各増設側空隙81を取り囲む六角形状隔壁82をそれぞれ適当な樹脂材料で形成しておくことにより、台座本体12を構成する支持部17の断熱性能や増設台座11a,11bの断熱性能を大幅に向上させることが可能となり、配管3とブラケット2との間に十分な断熱性を確保することができる。
【0091】
特に、本実施形態に係る配管固定台座61によれば、台座本体12及び増設台座11a,11bを熱可塑性エラストマーで形成するようにしたので、配管3からの荷重を確実にブラケット2に伝達しつつ、両者の間に高い断熱性を確保することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態に係る配管固定台座61によれば、台座本体12においては複数の空隙21を、本体側ボルト孔14,14の孔軸方向と軸線が平行になるように形成するとともに、増設台座11a,11bにおいては複数の増設側空隙81を、増設側ボルト孔13a,13aの孔軸方向と軸線が平行になるように形成したので、配管3を介して作用する締付け力や、配管3に生じる地震時荷重、配管3内を流れる流体の振動荷重あるいは温度荷重といったその他の作用荷重は、台座本体12の支持部17及び増設台座11a,11bにより、高い圧縮剛性及び曲げ剛性をもってブラケット2に伝達される。
【0093】
特に、本実施形態に係る配管固定台座61によれば、台座本体12においては複数の空隙21をそれらの横断面形状が六角形となるように形成し、それらが六角形状隔壁22を介して互いに近接するように配置するとともに、増設台座11a,11bにおいては複数の増設側空隙81をそれらの横断面形状が六角形状となるように形成し、それらが六角形状隔壁82を介して互いに近接するように配置したので、台座本体12の支持部17や増設台座11a,11bがそれぞれハニカム構造で構成されることになり、十分な荷重伝達機能を確保しつつ、ほぼ最大限に近い断面積で空隙21や増設側空隙81を形成することが可能となり、断熱性能を格段に向上させることができる。
【0094】
そのため、断熱構造の厚みを抑えることが可能となり、狭隘な箇所での施工性が改善されるとともに、配管3周囲に巻く保温材をU字状配管固定具4の上から重ねることもできるので、配管3周囲の保温材とU字状配管固定具4の荷重伝達部23との間に隙間が生じたとしても、その隙間で結露が生じるおそれもない。
【0095】
また、本実施形態に係る配管固定台座61によれば、台座本体12の支持部17の先端に配管側当接面16を設けることで、各空隙21における配管側の端部を閉じるようにしたので、配管3からの締付け力やその他の作用荷重は、六角形状隔壁22に直接作用するのではなく、配管側当接面16を介して六角形状隔壁22に間接的に伝達されることとなり、かくして六角形状隔壁22における応力集中が防止され、上述したブラケット2への荷重伝達機能がさらに向上するとともに、配管側当接面16によって空隙21の配管側端部が塞がれることで、空気の流れを遮断することができるため、より高い断熱性の確保が可能となる。
【0096】
また、本実施形態に係る配管固定台座61によれば、厚みが相異なる2種類の増設台座11a,11bを任意に組み合わせてなる増設台座群11を台座本体12と組み合わせるようにしたので、現場の配管敷設高さに合わせた高さ調整をきめ細かく行うことが可能となる。
【0097】
また、本実施形態に係る配管固定台座61によれば、増設台座群11及び台座本体12を熱可塑性エラストマーで形成したので、優れた断熱性を発揮しつつ、配管3からの荷重を確実にブラケット2で支持することが可能となる。
【0098】
本実施形態では、U字状配管固定具としてボルト本体22と荷重伝達部23とを備えてなるU字状配管固定具4を用いることを前提としたが、これに代えて、一般的なUボルト(ボルト本体22のみで構成されてなるU字状配管固定具)の使用を前提としてもかまわない。
【0099】
また、本実施形態では、台座本体12の本体側ボルト孔14,14を長孔としたが、U字状配管固定具との関係でボルト孔に遊びが不要な場合には、長孔に代えて、丸孔としてもかまわない。同様に、増設台座11a,11bの増設側ボルト孔13a,13a、増設側ボルト孔13b,13bを長孔としたが、U字状配管固定具との関係でボルト孔に遊びが不要な場合には、長孔に代えて、それぞれ丸孔とすることが可能である。
【0100】
また、本実施形態では、本発明に係る複数の増設側空隙を、横断面形状がそれぞれ六角形状で、六角形状隔壁82を介して互いに近接するように配置されてなる複数の増設側空隙81としたが、本発明の増設側空隙は、第1実施形態で述べた台座本体の空隙と同様、横断面形状が多角形状又は円形状となるように形成するとともに、それらが多角形状隔壁又は円形状隔壁を介して互いに近接するように配置されていれば足りるものであり、増設側空隙81に代えて、
図4と同様、横断面が円形の空隙、横断面が三角形の空隙、横断面が四角形(正方形)の空隙とし、それぞれ円形状隔壁、三角形状隔壁、四角形状隔壁を介して互いに近接するように配置した構成としてもかまわない。
【0101】
これらの構成であっても、横断面の開口割合が若干小さくなる分、断熱性が若干低下するものの、本実施形態と概ね同様の作用効果を発揮させることが可能である。
【0102】
また、本実施形態では、2種類の増設台座11a,11bを任意に組み合わせることで、単独の又は段重ねされる複数の増設台座を構成したが、これに代えて、厚みがそれぞれ異なる3種類以上の増設台座を任意に組み合わせることで、単独の又は段重ねされる複数の増設台座を構成するようにしてもかまわないし、逆に、増設台座11a又は増設台座11bのみで増設台座を構成してもかまわない。
【0103】
また、本実施形態では、増設台座11a,11b及び台座本体12を相互に連結する構成とはせず単に積み重ねるだけの構成としたが、これに代えて、複数の増設台座のうち、台座本体に最も近い側の増設台座に該台座本体の空隙に嵌合される凸部を設けることで該増設台座を台座本体に連結可能に構成するとともに、隣り合う2つの増設台座の一方に形成された増設側空隙に嵌合される凸部を他方に設けることで該2つの増設台座を互いに連結可能に構成してもかまわない。
【0104】
図10及び
図11は、かかる連結構成を
図6に示した実施形態に適用した例であって、台座本体12の空隙21に嵌合する凸部101bを上面に設けてなる増設台座11b′と、該増設台座の増設側空隙81に嵌合する凸部101aを上面に設けてなる増設台座11a′とで、本発明の複数の増設台座としての増設台座群11′を構成してある。
【0105】
かかる変形例によれば、複数の増設台座及び台座本体を予め相互連結しておくことができるため、配管固定作業がスムーズになるとともに、それらが互いに位置ずれを起こすことによって増設台座や台座本体に不測の変形が生じ、それに起因してU字状配管固定具による締付けに緩みが生じて配管3にガタツキが生じる等の不具合が生じる懸念をなくすことも可能となる。
【符号の説明】
【0106】
1,61 配管固定台座
2 ブラケット(固定側部材)
3 配管
4 U字状配管固定具
5 雄ネジ
6 固定側ボルト孔
7 載置面
11,11′ 増設台座群(複数の増設台座)
11a,11b 増設台座
11a′,11b′ 増設台座
12 台座本体
13a,13a 増設側ボルト孔
13b,13b 増設側ボルト孔
14 本体側ボルト孔
15 基部
16 配管側当接面16
17,17′ 支持部
18 配管3の外周面
21,21a,21b,21c
空隙
22,22a,22b,22c
六角形状隔壁(多角形状隔壁)
81 増設側空隙
82 六角形状隔壁(多角形状隔壁)
101a,101b 凸部