(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106641
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】電気車両用充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220712BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20220712BHJP
B60L 53/31 20190101ALI20220712BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
B60L53/14
B60L53/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109704
(22)【出願日】2021-06-30
(62)【分割の表示】P 2021109576の分割
【原出願日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2021001581
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年4月28日 https://www.shindengen.co.jp/products/eco_energy/ev_quick/sdqc2f60/にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平島 光
(72)【発明者】
【氏名】木村 勇作
(72)【発明者】
【氏名】藤井 佐和
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125AC24
5H125DD02
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】設置スペースの確保が容易な電気車両用充電装置を得る。
【解決手段】電気車両用充電装置1は、外部電源から入力される電力を、電気車両を充電するための電力に変換する複数の充電ユニット30を内部に収容する筐体2を備える。この筐体2は、複数の充電ユニット30を左右方向に一列に並んだ状態で収容し、筐体2の左右方向の側面には、ユーザによる操作が可能な操作部15が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から入力される電力を、電気車両を充電するための電力に変換する複数の充電ユニットを内部に収容する筐体を備える電気車両用充電装置であって、
前記筐体は、前記複数の充電ユニットを左右方向に一列に並んだ状態で収容し、
前記筐体の左右方向の側面には、ユーザによる操作が可能な操作部が設けられている電気車両用充電装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記筐体における左右両側の側面にそれぞれ設けられており、
二台の電気車両に対して充電可能に構成されている請求項1に記載の電気車両用充電装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記筐体の左右方向に面して配置された操作面を有している請求項1又は2に記載の電気車両用充電装置。
【請求項4】
前記操作部から延び、先端部に充電コネクタを有する充電ケーブルと、
前記筐体における前記操作部の下方側に設けられたコネクタホルダと、
前記筐体の前後方向の側面に設けられたケーブル保持部と、を備え、
前記コネクタホルダは、前記筐体の左右方向を着脱方向として前記充電コネクタを着脱可能に保持し、
前記ケーブル保持部は、前記筐体の前後方向の側面に沿わせて前記充電ケーブルを保持可能に構成されている請求項1~3のいずれかに記載の電気車両用充電装置。
【請求項5】
前記操作部は、前記筐体の左右方向の側面の上部に固定され、当該側面から突出する第四筐体部を有する請求項1~4のいずれかに記載の電気車両用充電装置。
【請求項6】
前記第四筐体部は、前記筐体から分離可能に構成されている請求項5に記載の電気車両用充電装置。
【請求項7】
前記筐体は、
前記複数の充電ユニットを左右方向に一列に並んだ状態で収容する第一筐体部と、
前記第一筐体部の左右方向の一方側に配置され、前記外部電源から前記複数の充電ユニットに入力される電力のノイズを除去するためのフィルタ装置を収容する第二筐体部と、
前記第一筐体部の左右方向の他方側に配置され、前記複数の充電ユニットから電気車両に出力する電力を制御する出力制御装置を収容する第三筐体部と、を備える請求項1~6のいずれかに記載の電気車両用充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車等の電気車両に充電を行うための充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された自動車用充電装置では、電気自動車の充電に必要な制御装置が筐体の内部に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような自動車用充電装置を駐車場等に設置する場合、設置スペースの確保が課題となる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、設置スペースの確保が容易な電気車両用充電装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気車両用充電装置は、外部電源から入力される電力を、電気車両を充電するための電力に変換する複数の充電ユニットを内部に収容する筐体を備える電気車両用充電装置であって、前記筐体は、前記複数の充電ユニットを左右方向に一列に並んだ状態で収容し、前記筐体の左右方向の側面には、ユーザによる操作が可能な操作部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電気車両用充電装置では、外部電源から入力される電力を、電気車両を充電するための電力に変換する複数の充電ユニットを備え、複数の充電ユニットが、左右方向に一列に並んだ状態で筐体の内部に収容されている。また、筐体の左右方向の側面には、ユーザによる操作が可能な操作部が設けられている。これにより、複数の充電ユニットと操作部とが左右方向に一列に並んで配置されるため、装置全体が前後方向に薄型化、及び低背化され、設置スペースの確保が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る電気車両用充電装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る電気車両用充電装置のブロック図である。
【
図3】実施形態に係る電気車両用充電装置が備える筐体の部分的な構成を示す斜視図である。
【
図4】同筐体の部分的な構成を
図3とは異なる角度から見た状態で示す斜視図である。
【
図5】同筐体の部分的な構成を下方側から見た状態で示す底面図である。
【
図6】同筐体における第二筐体部と架台部との結合部周辺の構成を示す斜視図である。
【
図7】第二筐体部の下側部分と据付部を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示される構成を
図7とは異なる角度から見た状態で示す斜視図である。
【
図10】架台部の右側部分と据付部を示す斜視図である。
【
図13】第二比較例に係る筐体の部分的な構成を模式的に示す斜視図である。
【
図14】第二比較例に係る筐体における第二筐体部と架台部との結合部周辺を筐体の幅方向から見た状態で模式的に示す側面図である。
【
図15】第二比較例に係る筐体における第二筐体部と架台部との結合部周辺を筐体の奥行方向から見た状態で模式的に示す正面図である。
【
図16】実施形態に係る筐体における第二筐体部と架台部との結合部周辺を筐体の奥行方向から見た状態で模式的に示す正面図である。
【
図17】実施形態に係る電気車両用充電装置を左側方から見た側面図である。
【
図18】実施形態に係る電気車両用充電装置の背面図であり、充電コネクタの着脱方向を示す図である。
【
図19】第一筐体部に対する保守や点検等の作業風景を示す図である。
【
図20】第二及び第三筐体部、並びに第四筐体部に対する保守や点検等の作業風景を示す図である。
【
図21】(A)(B)は、本実施形態に係る電気車両用充電装置の設置レイアウトの一例を示す概略図である。
【
図22】本実施形態に係る電気車両用充電装置の設置レイアウトの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る電気車両用充電装置1(以下、単に「充電装置1」と称する)について説明する。説明の便宜上、各図中に適宜記す前後左右上下の方向を充電装置1の前後左右上下の方向と定義して構成要素の位置や向き等を説明する。また、各図においては説明の都合上、図面の縮尺を適宜変更している。また、各図においては図面を見易くするため、一部の符号を省略している場合がある。
【0010】
図1には、本実施形態に係る充電装置1が斜視図にて示されている。この充電装置1は、電気自動車やプラグインハイブリッド車等の電気車両を充電するための装置である。この充電装置1は、例えば公道沿いの民間施設内や公共施設内等に設置され、利用者によって利用される充電器である。この充電装置1は、一例として2台の電気車両に対して同時に充電を行うことが可能な2台充電タイプとされている。この充電装置1の充電方式としては、急速充電方式が採用されている。なおこの充電装置1が、例えば集合住宅の駐車場等に設置される場合、普通充電方式が採用される構成にしても良い。また、上記の電気車両は、自動車に限らず、自動二輪車であっても良い。
【0011】
この充電装置1では、外部電源である交流電源200から入力される電力を、電気車両を充電するための電力に変換する複数の充電ユニット30を内部に収容する筐体2を備えている。筐体2は、前後方向の寸法が左右方向の寸法及び上下方向の寸法に比して十分に小さく設定された奥行薄型の箱状をなしている。この筐体2では、一例として、左右方向の寸法と上下方向の寸法とが略同等に設定されており、前後方向の寸法が左右方向及び上下方向の各寸法の数分の一(例えば四分の一程度)に設定されている。なお、前後方向と、左右方向と、上下方向とは、互いに直交している。この筐体2の内部には、複数の空間部S1~S4(
図2参照;
図2以外では符号省略)が形成されている。空間部S1~S4には、電気車両の充電に必要な電気機器が所定の機能ごとに分かれて収容されている。
【0012】
筐体2における左右方向の両側面の上部には、それぞれ操作ボックス4R、4Lが取り付けられている。これらの操作ボックス4は、箱状に形成されている。充電装置1の操作に必要な機器を収容している。各操作ボックス4における左右方向の外側の面には、充電装置1の利用状況等を表示する表示パネル41や、充電装置1を操作する手順を説明する操作説明の絵42、充電装置1を操作するための操作ボタン43、支払い用のカードリーダ44等が設けられている。これらは、充電装置1の後述する操作部15を構成している。また、筐体2の上部における左右方向の両側面において、各操作ボックス4R、4Lの下方側には、それぞれ充電コネクタ5を保持するコネクタホルダ50が取り付けられている。左右の充電コネクタ5(
図1では片方の充電コネクタ5のみ図示)には、充電ケーブル6の一端部が接続されており、充電ケーブル6の他端部は、操作ボックス4R、4Lの下面にそれぞれ接続されている。
【0013】
図2には、充電装置1のブロック図が示されている。充電装置1は、一例として、急速充電方式により電気車両の充電を行う充電器であり、商用電源等の交流電源200から入力される交流の電力を高出力、且つ、直流の電力に変換する電力変換部3を有している。充電装置1は、充電コネクタ5を介して、電力変換部3から出力される高出力、且つ、直流の電力を電気車両に搭載されたバッテリ(不図示)に供給する。これにより、充電装置1は、商用電源等と同じ出力で充電を行う普通充電方式と比較して、充電時間を短縮させることができる構成となっている。
【0014】
本実施形態の電力変換部3は、並列に接続された四つの充電ユニット30で構成されている。各充電ユニット30は、整流回路30A、昇圧回路30B、コンバータ回路30Cを有している。整流回路30Aは、交流電源200から供給される交流の電力を整流して出力する。昇圧回路30Bは、整流回路30Aから出力される電力を昇圧して出力する。コンバータ回路30Cは、昇圧回路30Bから出力される電力を充電電圧に変換、制御する。このようにして、各充電ユニットでは、入力側から入力された電力を高出力、且つ、直流の電力に変換する。各充電ユニット30は、作動時に、整流回路30A、昇圧回路30B及びコンバータ回路30Cを構成する半導体素子やコイル等の回路部品が発熱するため、筐体2の内部に設けられた第1空間部S1に配置されている。第1空間部S1は、筐体2の中央に設けられた第一筐体部210の内部に形成されている。
【0015】
充電装置1には、充電ユニット30から出力される電力を制御する出力制御部8と、充電ユニット30から出力される電力の充電を制御する充電制御部9とを備えている。これらの制御部は、少なくとも一つのプロセッサ(CPU)を備える制御装置を有しており、CAN通信等の所定の通信規格を用いて相互に通信可能に構成されている。
【0016】
充電ユニット30の入力側には、広義において、交流電源200から供給(入力)された電力を制御する入力制御装置が接続されている。一例として、交流電源200と充電ユニット30との間には、漏電遮蔽部10Aが設けられている。漏電遮蔽部10Aは、公知の漏電遮蔽器で構成されている。漏電遮蔽部10Aは、通常、一次側回路を開放するON状態とされているが、一次側回路で過電流又は漏電が検知された場合に、OFF状態となって一次側回路を閉じる機能を有する。また、交流電源200と漏電遮蔽部10Aとの間には、図示しないノイズカット用のコンデンサが接続されている。さらに、漏電遮蔽部10Aと充電ユニット30との間には、複数の充電ユニット30に入力される電力のノイズを除去するためのフィルタ装置10Bが接続されている。
【0017】
漏電遮蔽部10Aを含む入力制御装置は、筐体2の内部において、第1空間部S1に対して左右方向に隣接して設けられた第3空間部S3に配置されている。この第3空間部S3は、第一筐体部210に対して左右方向の一方側(ここでは右側)に配置された第二筐体部211Rの内部に形成されている。第3空間部S3には、漏電遮蔽部10A、フィルタ装置10Bの他に、DB部11が配置されている。DB部11は、充電ユニット30の出力側(二次側)において、充電ユニット30と筐体2の右側の操作ボックス4Rの充電コネクタ5との間に接続されている。DB部11は、複数のダイオードを備える逆流防止回路で構成されており、充電ユニット30と電気車両のバッテリ間で電流が逆流することを防止する機能を有する。
【0018】
出力制御部8は、充電ユニット30の出力側に接続され、充電ユニット30から出力される電力を制御する。例えば、出力制御部8は、充電制御部9からの信号に基づいてリレー部12のON/OFFを制御することにより、各充電ユニット30から出力された電力を左右の操作ボックス4R,4Lの充電コネクタ5へ供給する。リレー部12は、ON状態とされることで、対応する充電ユニット30からの電力供給を継電する。リレー部12は、OFF状態とされることで、対応する充電ユニット30による電力供給を遮蔽する。このように、出力制御部8の制御によって左右の充電コネクタ5にそれぞれ供給される電力を制御することができる。これらの出力制御部8及びリレー部12は、複数の充電ユニット30から電気自動車に出力する電力を制御する出力制御装置13を構成している。また、出力制御部8は、充電ユニット30に搭載された各種センサからの信号に基づいて、充電ユニット30の内部温度や、吸気ファンの動作を監視する。この出力制御部8及びリレー部12は、筐体2の内部において、第1空間部S1に対して第3空間部S3の反対側で左右方向に隣接して設けられた第4空間部S4に配置されている。この第4空間部S4は、第一筐体部210に対して左右方向の他方側(ここでは左側)に配置された第三筐体部211Lの内部に形成されている。この第4空間部S4には、出力制御部8の他にDB部11が収容されている。第4空間部S4のDB部11は、充電ユニット30の出力側において、充電ユニット30と筐体2の左側の操作ボックス4Lの充電コネクタ5との間に接続され、充電ユニット30と電気車両のバッテリ間で電流が逆流することを防止する。
【0019】
また、第4空間部S4のリレー部12と第3空間部S3に配置されたDB部11は、配線14によって電気的に接続されており、第4空間部S4のリレー部12で出力された電流が配線14を介して第3空間部S3のDB部11に入力される。この配線14は、通電によって発熱することから、第一筐体部210の内部において第1空間部S1の上方側に設けられた第2空間部S2を通って第3空間部S3まで配線されている。
【0020】
筐体2の第3空間部S3及び第4空間部S4から出力された電力は、左右の操作ボックス4R,4Lに接続された充電ケーブル6を介して充電コネクタ5に供給される。これらの操作ボックス4R,4Lには、充電制御部9と操作部15がそれぞれ配置されている。充電制御部9は、CAN通信等の所定の通信手段を用いて電気車両と相互に通信可能に構成されている。充電制御部9は、電気車両の充電プラグと接続された充電コネクタ5を介して、電気車両から制御信号を受信する。電気車両から受信する信号には、充電電流の指令値や、充電を開始又は終了に関する信号が含まれる。充電制御部9は、電気車両から送信された信号を受信し、受信した信号に基づいて充電装置1から出力される電力を決定し、充電の開始及び終了を制御する。この充電制御部9には、操作部15が接続されている。操作部15は、上述した表示パネル41、操作説明の絵42、操作ボタン43、及びカードリーダ44等を含んで構成されている(
図1参照)。充電制御部9及び操作部15は、操作ボックス4R,4L内に配置されることで、DB部11が収容される第3空間部S3及び第4空間部S4と区画される。これにより、DB部11を構成するダイオードで発生する熱が充電制御部9及び操作部15に伝達されることを抑制することができる。
【0021】
図3~
図5に示されるように、上記の筐体2は、前後方向から見て略Uの字状(上方側が開放されたコ字形状)をなす骨格部21を備えている。この骨格部21には、
図1に示されるように、筐体2の意匠面を形成する複数枚の意匠パネル22~28が取り付けられている。これらの意匠パネル22~28は、例えば板金材料がNC加工やベンダ加工を経て成型されたものである。これらの意匠パネル22~28は、例えばビス止めによって骨格部21に固定されている。なお
図1では、筐体2の前面(正面)側が図示されているが、筐体2の背面側には、意匠パネル24~28と同様の意匠パネル24~28が設けられている。
【0022】
上記の骨格部21は、第二及び第三筐体部211R,211Lと、架台部212と、前後一対の上方補強部213と、前後一対のパネル支持部214と、上パネル支持部215と、左右一対の据付部216とを備えている。第二及び第三筐体部211R,211L、架台部212、前後の上方補強部213、前後のパネル支持部214、上パネル支持部215及び左右の据付部216は、何れも例えば板金材料によって構成されている。骨格部21における第二及び第三筐体部211R,211Lの間が意匠パネル22~28で覆われている。これらの意匠パネル22~28と架台部212とによって第一筐体部210が形成されている。第一筐体部210の内部の空間部は、図示しない仕切り部によって上下に区画されており、当該仕切り部の下側の空間部が第1空間部S1とされ、上側の空間部が第2空間部S2とされている。第1空間部S1には、四つの充電ユニット30が配置されている。第2空間部S2は、配線14が収容(配線)され、配線収容部とされている。
【0023】
図3~
図9に示されるように、第二及び第三筐体部211R,211Lは、それぞれ上下方向に延びる中空の角柱状(長尺な箱状)に形成されており、筐体2の幅方向の両側部を構成している。第二及び第三筐体部211R,211Lは、NC加工やベンダ加工を経て成型された複数枚の板金パネルが溶接やボルト締結等の手段で互いに結合されることで構成されている。第二及び第三筐体部211R,211Lは、左右方向において対称の形状に形成される以外は基本的に同様の構成とされている。
【0024】
第二及び第三筐体部211R,211Lは、互いに前後方向に対向して配置された前壁2111及び後壁2112(
図8及び
図9参照)と、互いに左右方向に対向して配置された外壁2113及び内壁2114と、互いに上下方向に対向して配置された上壁2115及び下壁2116(
図9参照)と、を有している。
図9に示されるように、内壁2114は、外壁2113に対して左右方向の内側に配置されており、下壁2116は、内壁2114の下端部から左右方向の外側へ延びている。前壁2111、後壁2112及び外壁2113は、内壁2114及び下壁2116よりも下方側に延長されている。これにより、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部には、段差状の段部2117が形成されている。この段部2117は、内壁2114と下壁2116との間の角部によって構成されており、筐体2の設置面から上方側に離間して配置されている。
【0025】
前壁2111及び後壁2112の各下端部における左右方向の内側の部分には、それぞれ前後方向の外側へ延出された固定片2118が形成されている。各固定片2118には、各固定片2118を上下方向に貫通するボルト挿通孔BH1がそれぞれ形成されている。また、前壁2111及び後壁2112の各下端部における左右方向の中央部付近には、上方側へ向けて切り込まれたスリットSが形成されている。固定片2118及びスリットSは、後述する据付部216に対応している。
【0026】
図3~
図6及び
図10に示されるように、架台部212は、左右方向に延在する長尺な略枠箱状に形成されており、第一筐体部210の底部を構成している。この架台部212の上面には、
図3に示されるように、前述した複数(ここでは4つ)の充電ユニット30が載置される構成になっている。これらの充電ユニット30は、縦長の直方体状をなしており、左右方向に一列に並んだ状態で第一筐体部210内に収容されている。
【0027】
上記の架台部212は、NC加工やベンダ加工を経て成型された複数枚の板金パネルが溶接やボルト締結等の手段で互いに結合されることで構成されている。この架台部212は、前後方向に互いに対向して配置された前壁2121及び後壁2122と、前壁2121及び後壁2122の各上端部を前後方向に繋いだ上壁2123と、前壁2121及び後壁2122の各下端部から前後方向の内側(中央側)へ延びる前後一対の下壁2124とを有している。なお本実施形態では、下壁2124が前後に分割されているが、前後の下壁2124が一体に繋がった構成にしてもよい。
【0028】
前壁2121及び後壁2122には、多数の円形の貫通孔TH1が左右方向に並んで形成されており、上壁2123には、複数の矩形の貫通孔TH2が左右方向に並んで形成されている。上壁2123に形成された複数の貫通孔TH2の数は、複数の充電ユニット30の下方にそれぞれ配置されている。また、前壁2121及び後壁2122には、左右一対の切欠部NTが左右方向に並んで形成されている。左右の切欠部NTは、下方側から切り欠かれており、前後方向から見て矩形状をなしている。左右の切欠部NTは、架台部212の左右方向の中央を介して左右対称に配置されている。これらの切欠部NTは、充電装置1をフォークリフトで運搬する際に、フォークリフトの左右のフォークを挿入するための切欠きである。
【0029】
前壁2121に形成された左右の切欠部NTと、後壁2122に形成された左右の切欠部NTとの間には、上記左右のフォークの当接面となるフォーク当接板2125がそれぞれ架け渡されている。左右のフォーク当接板2125は、板金が断面コ字形状に曲げ加工されたものである。これらのフォーク当接板2125は、前後方向から見て下方側が開放された姿勢で配置されており、溶接等の手段で前壁2121及び後壁2122と結合されている。各フォーク当接板2125には、各フォーク当接板2125を上下方向に貫通する複数(ここでは3つ)の円形の貫通孔TH3が前後方向に並んで形成されている。上記の貫通孔TH1、TH2、TH3は、充電ユニット30に冷却風(外気)を導くための吸気口を構成している。
【0030】
前壁2121及び後壁2122から延出された前後の下壁2124は、左右の切欠部NTが形成された箇所で左右方向に分断されている。各下壁2124には、各下壁2124を上下方向に貫通する複数(ここでは3つ)のボルト挿通孔BH2が左右方向に並んで形成されている。これらのボルト挿通孔BH2には、それぞれ図示しないボルトが挿通され、それらのボルトを用いて架台部212が筐体2の設置面に締結固定(ボルト締結)可能な構成になっている。この締結作業の際には、例えば前壁2121及び後壁2122に形成された複数の貫通孔TH1を通して上記各ボルトに工具を係合させる。これらのボルトは、上記設置面への充電装置1の設置が完了した状態では、
図1に示される意匠パネル28等に覆われるため、充電装置1の外側からは視認不能となる。
【0031】
上記架台部212の左右方向の両端部と第二及び第三筐体部211R,211Lの各下端部とは、それぞれ
図3~
図8及び
図10~
図12に示される据付部216を介して互いに固定されている。これにより、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部同士が左右の据付部216及び架台部212を介して左右方向に繋がれている。左右の据付部216は、板金材料がNC加工やベンダ加工を経て成型されたものであり、同一の形状に形成されているが、左右方向において互いに反対向きの姿勢で配置されている。左右の据付部216は、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部に溶接等の手段で固定されている。
【0032】
図7、
図8、
図10~
図12に示されるように、各据付部216はそれぞれ、前後方向に延びる平板状の基部2161と、基部2161の左右方向の両端部からそれぞれ上方に延びる壁部2162,2163とを有し、左右断面形状が上方に開放したコ字形状になっている。各据付部216の基部2161は、筐体2の設置面に接触して配置される。基部2161と壁部2162との間の屈曲部には、複数(ここでは前後一対)の水抜き用孔DHが形成されている。
【0033】
図3~
図8に示されるように、各据付部216は、第二及び第三筐体部211R,211Lの前後方向の両側面からそれぞれ外側に突出しており、突出した部分216Aとされている。各突出部216Aは、各据付部216の基部2161における前後方向の両端部を含んでいる。各基部2161における前後方向の両端部の上面には、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部に形成された前後の固定片2118が重ね合わされている。また、各据付部216の一部である壁部2162が、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部に形成された前後のスリットSに挿入されている。
【0034】
各据付部216の上記突出した部分216Aには、それぞれボルト挿通孔BH3が形成されている。これらのボルト挿通孔BH3は、基部2161における前後方向の両端部を上下方向に貫通している。これらのボルト挿通孔BH3は、前後の固定片2118に形成されたボルト挿通孔BH1と同軸上に配置されている。これらのボルト挿通孔BH1、BH3には、それぞれ図示しないボルトが挿通され、それらのボルトを用いて各据付部216が筐体2の設置面に締結固定(ボルト締結)される構成になっている。
【0035】
図10~
図12に示されるように、壁部2163における前後方向の中間部からは上方へ向けて平板状の第一延在部2165が延出されている。この第一延在部2165における前後方向の寸法は、壁部2163における前後方向の寸法よりも小さく設定されている。各据付部216の第一延在部2165は、第二及び第三筐体部211R,211Lと架台部212との間にそれぞれ介設されている。
【0036】
また、第一延在部2165の中央部には、第一延在部2165を左右方向に貫通した貫通孔TH4が形成されている。この貫通孔TH4は、左右方向から見て前後方向を長手とする長尺矩形状をなしている。この貫通孔TH4は、交流電源200と漏電遮蔽部10Aとを接続する配線が挿通される配線孔として利用される。この貫通孔TH4の下縁部には、左右方向の内側へ屈曲された屈曲部BPが形成されている。この屈曲部BPは、例えば上記の配線を下方側から支持する機能を有している。なお、上記の配線は、貫通孔TH4に挿通されない場合もある。その場合、例えば据付部216の壁部2162に対する左右方向の外側において、上記の配線が上下方向に延在され、図示しない束線バンドを用いて上記の配線が据付部216に結束される。具体的には、
図11に示される複数の束線バンド用孔UHのうちの何れかに挿通された束線バンドを用いて上記の配線が壁部2162に結束される。
【0037】
第一延在部2165の上端部からは、架台部212の上面側(左右方向の内側)へ向けて第二延在部2166が延出されている。この第二延在部2166は、本発明における「上面締結部」に相当する。この第二延在部2166は、前後方向を長手方向とし且つ上下方向を板厚方向とする平板状に形成されている。この第二延在部2166は、架台部212の上壁2123における左右方向の両端部に対して上方側から重ね合わされている。各据付部216の第二延在部2166の上面には、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部に形成された段部2117が載置されている。具体的には、第二延在部2166における左右方向の外側部分の上面に段部2117が当接(係合)しており、当該第二延在部2166を介して段部2117が架台部212の上面に係合している。
【0038】
上記の第二延在部2166における前後方向の両端部には、それぞれ第二延在部2166を上下方向に貫通した前後一対のボルト挿通孔BH4が形成されている。また、図示は省略するが、架台部212の上壁2123には、前後のボルト挿通孔BH4と対向する位置に前後一対のボルト挿通孔が形成されている。第二延在部2166に形成された前後のボルト挿通孔BH4と、上壁2123に形成された前後のボルト挿通孔には、それぞれ上方側から図示しないボルトが挿通されている。これらのボルトは、上壁2123の下面に溶着された前後一対のウェルドナットWN1(
図5参照)に螺合されている。これにより、第二延在部2166が架台部212の上面に締結固定(ボルト締結)されている。
【0039】
また、第二延在部2166における前後方向の両端部からは、それぞれ上方側へ向けて前後一対の上方突出部2167が延出されている。各据付部216の上方突出部2167は、左右方向の外側の端部が第二及び第三筐体部211R,211Lの内壁2114に対して左右方向の内側から接触しており、溶接等の手段で内壁2114に結合されている。これらの上方突出部2167には、意匠パネル24又は意匠パネル25を筐体2にビス止めするための図示しないビスが螺合される雌ねじ部SPが形成されている。
【0040】
図7、
図8、
図10~
図12に示されるように、第一延在部2165における前後方向の両端部からは、架台部212における前後方向の両側へ向けて前後一対の側方締結部2168が延出されている。前後の側方締結部2168は、架台部212の前壁2121及び後壁2122における左右方向の端部に対して前後方向の内側から重ね合わされている。前壁2121及び後壁2122において、前後の側方締結部2168が重ね合わされた箇所には、
図6及び
図10に示されるように、前壁2121及び後壁2122を前後方向に貫通したボルト挿通孔BH5が形成されている。
【0041】
また、
図7、
図8、
図11、
図12に示されるように、前後の側方締結部2168には、前後の側方締結部2168を前後方向に貫通したボルト挿通孔BH6が形成されている。前壁2121及び後壁2122に形成されたボルト挿通孔BH5と、前後の側方締結部2168に形成されたボルト挿通孔BH6とには、それぞれ前後方向の外側から図示しないボルトが挿通されている。これらのボルトは、前後の側方締結部2168における前後方向の内側面に溶着された前後一対のウェルドナットWN2(
図11参照)に螺合されている。これにより、第一延在部2165が架台部212における前後方向の両側部に締結固定(ボルト締結)されている。
【0042】
以上のように、本実施形態では、第二及び第三筐体部211R,211Lと架台部212とが左右の据付部216を介して強固に結合されている。また、本実施形態では、第二及び第三筐体部211R,211Lの上部は、前後一対の上方補強部213によって左右方向に繋がれている。前後の上方補強部213は、板金材料がNC加工やベンダ加工を経て成型された製造されたものであり、左右方向を長手とする長尺状をなしている。前後の上方補強部213は、左右方向から見て前後方向の外側が開放された断面略コ字形状をなしている。各上方補強部213における左右方向の両端部は、第二及び第三筐体部211R,211Lにおける前後方向の外側の端部にボルト締結等の手段で固定されている。
【0043】
これらの上方補強部213によって、第二及び第三筐体部211R,211Lの相対変位が規制されている。これらの上方補強部213は、特に充電装置1をクレーンで吊り上げる際に筐体2を効果的に補強するものである。つまり、第二及び第三筐体部211R,211Lの上端部には、
図1に示される複数のボルト7の代わりに図示しない複数の吊具が取り付けられ、それらの吊具と図示しないワイヤ等を用いて筐体2がクレーンで吊り上げられる。この際には、第二及び第三筐体部211R,211Lに対して互いに左右方向に接近する方向の荷重が加わるが、当該荷重が前後の上方補強部213によって支持される。これにより、簡素な構成で筐体2の変形が防止されるように構成されている。
【0044】
各上方補強部213における左右方向の中央部と、架台部212における左右方向の中央部との間には、前後のパネル支持部214がそれぞれ架け渡されている。前後のパネル支持部214は、板金材料がNC加工やベンダ加工を経て成型されて製造されたものであり、上下方向を長手とする長尺状をなしている。前後のパネル支持部214は、上下方向から見て前後方向の外側が開放された断面略コ字形状をなしている。各パネル支持部214の上端部は、ボルト締結等の手段で前後の上方補強部213にそれぞれ固定されている。各パネル支持部214の下端部は、ボルト締結等の手段で架台部212における前後方向の両端部にそれぞれ固定されている。前後のパネル支持部214と前後の上方補強部213とには、
図1に示される意匠パネル24、25がそれぞれビス止めされている。
【0045】
図3及び
図4に示されるように、第二及び第三筐体部211R,211Lの上端部間には、上パネル支持部215が架け渡されている。上パネル支持部215は、板金材料がNC加工やベンダ加工を経て成型された製造されたものであり、左右方向を長手とする長尺状をなしている。上パネル支持部215は、左右方向から見て上方側が開放された断面略コ字形状をなしている。上パネル支持部215における左右方向の両端部は、ボルト締結等の手段で第二及び第三筐体部211R,211Lの上端面にそれぞれ固定されている。第二及び第三筐体部211R,211Lには、
図1に示される意匠パネル22、23がそれぞれビス止めされている。
【0046】
(操作手順)
次に、電気車両用充電装置1の操作手順について説明する。
図17は、電気車両用充電装置1の筐体2の左側面を示している。この図に示されるように、筐体2の左側面に設けた操作部15は、筐体2の左側面に固定された操作ボックス4Lを有している。上述したように、操作ボックス4Lの下面からは、充電ケーブル6が伸び、充電ケーブル6の先端部に設けられた充電コネクタ5が、コネクタホルダ50に保持されている。コネクタホルダ50は、筐体2の背面において操作部15の下方側に位置する高さに設けられている。
【0047】
ここで、コネクタホルダ50は、筐体2の左右方向外側(
図17では左側)に開口した矩形箱状に形成されており、内側に充電コネクタ5を支持可能な図示しないコネクタ支持部を有している。充電コネクタ5は、コネクタホルダ50の開口部52から先端を挿入することで、コネクタホルダ50に保持される。上述したように、本実施形態では、表示パネル41等を含む操作部15の操作面が筐体2の左右方向(
図17では左方向)に面して配置されている。ユーザが電気車両用充電装置1の操作を行う際は、
図18に示すように、筐体2の左右両側の空間を操作スペースQとして操作部15の操作を行う。更に、ユーザは、操作スペースQの位置から充電コネクタ5を把持し、左右方向を着脱方向としてコネクタホルダ50からの着脱を行うことができる。
【0048】
図1及び
図17に示すように、筐体2は、前後方向の側面にフック状のケーブル保持部54を有している。ケーブル保持部54は、充電ケーブル6の中間部を引っ掛けて保持することにより、充電ケーブル6を筐体2の前後方向の側面に沿わせて保持することができる。即ち、筐体2では、操作部15の操作面を設けた側面(左右両側面)と異なる側面に沿わせて充電ケーブル6を保持することができる。このため、ユーザが電気車両の給電プラグの位置まで充電コネクタ5を移動させる際に、充電ケーブル6を踏むことなく充電ケーブル6の引き回しを行うことができる。本実施形態では、二つのケーブル保持部54が、第一筐体部210の前面(正面)を構成する意匠パネル24,25にそれぞれ固定されている。
【0049】
(保守や点検の際の作業手順)
次に、電気車両用充電装置1の保守や点検の際の作業手順について説明する。電気車両用充電装置1の保守や点検のための作業は、筐体2の側面に設けられた第一~第三開閉手段D1,D2,D3を通じて行われる。
【0050】
図1、
図3及び
図19に示すように、第一開閉手段D1は、第一筐体部210の前後方向の側面に設けられた意匠パネル24,25,28で構成されている。作業者は、第一筐体部210の前面(正面)側又は背面側から、筐体2の骨格部21にビス止めされた意匠パネル24,25,28を取り外すことにより、第一筐体部210の内部にアクセスすることができる(
図19参照)。この第一開閉手段D1からは、充電ユニット30の点検や交換の作業を行うことができる。特に、充電ユニット30の交換作業は、大型の重量物である充電ユニット30の移動を伴うため、充分な作業スペースを確保する必要がある。このため、
図19及び
図21(A)及び
図21(B)に示すように、筐体2の前後方向の側面の少なくとも一方が、電気車両の駐車スペースPに面して配置されることが好ましい。これにより、第一筐体部210の保守等の作業スペースA1として駐車スペースPを利用することができる。なお、上記第一開閉手段は、開閉可能な扉部で構成してもよい。
【0051】
図1、
図3、
図14及び
図17に示すように、第二及び第三筐体部211R,211Lにおける左右方向の側面の下部には、第二開閉手段D2がそれぞれ設けられている。一例として、第二開閉手段D2は扉部で構成されている。作業者は、筐体2の左右外側から第二開閉手段D2の扉部を開き、第二及び第三筐体部211R,211Lの内部にアクセスすることができる。この第二開閉手段D2からは、電気車両用充電装置1の設置時に行われる受電用の入力端子の接続作業や、漏電遮蔽器(10A)への操作に加え、出力制御部8の制御基板に対するソフトの更新作業等を行うことができる。本実施形態では、右側の第二筐体部211Rの第二開閉手段D2を介して入力端子や漏電遮蔽器に対する作業が行われ、左側の第三筐体部211Lの第二開閉手段D2を介して出力制御部8の制御基板に対する作業を行うことができる。第二筐体部211Rの第二開閉手段D2(扉部)は、第二筐体部211Rの後端部側に設けられた蝶番(回転軸)を中心に後方側に開放するように構成されている。第三筐体部211Lの第二開閉手段D2(扉部)は、第三筐体部211Lの後端部側に設けられた蝶番を中心に後方側に開放するように構成されている。このように第二及び第三筐体部211R,211Lの第二開閉手段D2は両方とも後方側に開放するようになっている。そのため、電気車両用充電装置1の後面側を建物等に近づけて配置した場合であっても、第二開閉手段D2を開放して行う作業が行い易く、作業性を高めることができる。
【0052】
上述のように、第二開閉手段D2は、筐体2の左右方向の側面の下部に配置されているため、作業者は、屈み込んだ姿勢で作業を行う必要がある。このため、
図20に示すように、第二開閉手段D2の扉部が電気車両の駐車スペースP側に開閉する構成とすることが好ましい。これにより、第二及び第三筐体部211R,211Lの保守等の作業スペースとして、筐体2の左右両側の作業スペースA2に加え、駐車スペースPも利用し易くなるため、作業性を高めることができる。なお、上記第二開閉手段D2は、第二及び第三筐体部211R,211Lの側面にビス止めされたパネル部材で構成してもよい。
【0053】
図1、
図3、
図17及び
図19に示すように、第四筐体部としての左右の操作ボックス4R,4Lにおける左右方向の側面には、第三開閉手段D3がそれぞれ設けられている。一例として、第三開閉手段D3は扉部で構成されている。作業者は、筐体2の左右外側から第三開閉手段D3の扉部を開き、操作ボックス4R,4Lの内部にアクセスすることができる。この第二開閉手段D2からは、操作部15や充電制御部9の点検作業や、充電ケーブル6の交換時に出力端子から充電ケーブル脱着させる作業を行うことができる。なお、上記第三開閉手段D3は、第二及び第三筐体部211R,211Lの側面にビス止めされたパネル部材で構成してもよい。
【0054】
以上説明したように、電気車両用充電装置1を長期的に運用するためには、筐体2の占有面積に加え、ユーザのための操作スペース、保守等の作業スペースを考慮して設置スペースを確保する必要がある。
【0055】
図21(A)及び
図21(B)に示すように、本実施形態では、筐体2の前後両側の空間を第一筐体部210に対する保守等の作業スペースA1とし、筐体2の左右両側の空間を第二及び第三筐体部211R,211L並びに操作ボックス4R,4Lに対する保守等の作業スペースA2としている。また、筐体2の左右両側の空間は、ユーザによる操作部15の操作スペースQとしても共用されている。
【0056】
このように、本実施形態の電気車両用充電装置1では、従来一般的とされた筐体の前後方向に保守等の作業スペースとユーザによる操作スペースとを集約して設ける構造と比較して、各種用途に応じた作業スペース及び操作スペースを筐体の左右方向にも分散して設ける構成とした。このため、必要とされる設置スペースを前後方向に縮小させることができ、筐体2の背面側の建物の壁60との距離が近いレイアウトや、筐体2の前後両側に二台分の駐車スペースPを配備するレイアウトであっても設置スペースを確保することができる。
【0057】
ところで、筐体2の前後方向の側面が駐車スペースに面して配置される場合、筐体2と駐車スペースPの間に、保護用のバリカー62(
図21(A)参照)を配置する必要がある。ここで、筐体の前後方向の側面に操作部を設ける場合、筐体2とバリカー62との間にユーザのための操作スペースを確保する必要があるため、設置スペースが前後方向に大きくなる。これに対して、本実施形態では、筐体2の左右両側のスペースが操作スペースQとなるため、筐体2の前後方向の側面とバリカー62(ひいては駐車スペースP)との距離を小さく設定することができる。また、ユーザを保護するためのバリカー64(
図21(B)参照)も筐体2の左右両側に配置されるレイアウトとなる。従って、筐体2の設置スペースが前後方向に拡大しない。
【0058】
(設置レイアウトのバリエーション)
次に、
図22を参照して、本実施形態に係る電気車両用充電装置1の設置レイアウトのバリエーションについて説明する。この図に示すように、操作部15の有する箱状の操作ボックス4R,4Lは、第二及び第三筐体部211R,211Lの左右方向の側面の上部に固定されている。しかし、本実施形態では、
図2に示すように、中空箱状の複数の筐体を連結して筐体2を構成しており、各筐体の内部には電気車両の充電に必要な電気機器が所定の機能ごとに分かれて収容されている。第四筐体部としての操作ボックス4R,4Lには、ユーザによる操作が行われる操作部15と充電制御部9の機能が集約して設けられている。このため、設置場所の条件に応じて、充電ユニット30を備える筐体2から、操作ボックス4R,4Lを分離して配置することが可能となっている。
【0059】
図22には、筐体2の左右両側に固定されていた操作ボックス4R,4Lを筐体2と分離して設ける一例が示されている。この図に示されるように、操作ボックス4R,4Lは、コネクタホルダ50とケーブル保持部54を備える柱状の長尺なスタンド70にそれぞれ固定されている。この場合、充電ケーブル6の一端は、第二及び第三筐体部211R,211Lの内部において、図示しない出力端子に接続され、筐体2の設置面の地下を通りスタンド70の内部から操作ボックス4R,4Lに接続される。
【0060】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0061】
上記構成の電気車両用充電装置1では、筐体2が、第一筐体部210と、その第一筐体部210の左右両側にそれぞれ配置された第二及び第三筐体部211R,211Lとを備えている。第一筐体部210には、複数の充電ユニット30が左右方向に一列に並んで収容されている。第二筐体部211Rにはフィルタ装置10Bが収容されており、第三筐体部211Lには出力制御装置13が収容されている。このように左右方向に並んだ第一~第三筐体部210,211R,211L内に、複数の充電ユニット30、当該充電ユニット30に入力される電力に関する装置、当該充電ユニット30から出力される電力に関する装置をそれぞれ纏めて収容することができるため、筐体2を小型化することができる。また、第一筐体部210において複数の充電ユニット30が左右方向に一列に並んで収容されるため、筐体2を前後方向に薄型化することができる。その結果、本充電装置1の設置スペースの確保が容易になる。
【0062】
また、上記の筐体2の左右方向の両側部は、第二及び第三筐体部211R,211Lによって構成されている。第二及び第三筐体部211R,211Lは、各々が筐体2の上下方向に延びる中空柱状に形成されている。第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部にはそれぞれ据付部216が固定されている。各据付部216は第二及び第三筐体部211R,211Lの前後方向の両側面からそれぞれ外側に突出しており、当該突出した部分216Aが筐体2の設置面にボルト締結される。これにより、筐体2が前後方向に薄型でも耐震性能を確保し易くなる。
【0063】
言い換えると、上記のように耐震性能を確保し易くなることで、筐体2を前後方向に一層薄型化し易くなるため、駐車場等での充電装置1の設置スペースの確保が一層容易になる。これにより例えば、駐車場の駐車スペースと建物等との間の狭幅なスペースに、本充電装置1を最適に設置することが可能となる。
【0064】
また、上記各据付部216は、前後方向に延びる平板状の基部2161と、基部2161の左右方向の両端部からそれぞれ上方に延びる壁部2162,2163とを有し、左右断面形状が上方に開放したコ字形状になっているコ字形状になっている。これらの据付部216は、地震の際などに筐体2に加わる前後方向の荷重に対して、高い強度を発揮するので、耐震性能の確保が一層容易になる。
【0065】
また、上記実施形態において、第一筐体部210は、底部を構成する架台部212を有し、当該架台部212の上に複数の充電ユニット30が載置されている。ここで、第一筐体部210の左右に配置された第二及び第三筐体部211R,211Lは、据付部216を介して架台部212に固定されている。また、上述したように、据付部216は、筐体2を設置面に固定する突出部分216Aを有する。このように、電気車両用充電装置1では、第一~第三筐体部210,211R,211Lを連結する連結部と、これらを連結した筐体2を設置面に固定する固定部とを据付部216に一体に設ける構成とした。その結果、部品点数を抑えることができ、更に、第一~第三筐体部210,211R,211Lの位置決めを容易に行うことができる。
【0066】
また、上記各据付部216は、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部と架台部212との間に介設された平板状の第一延在部2165と、第一延在部2165の上端部から架台部212の上面側に延び、架台部212の上面にボルト締結された第二延在部2166を有している。これにより、第二及び第三筐体部211R,211Lと架台部212とが左右の据付部216を介して強固に結合される。その結果、地震の際などに第二及び第三筐体部211R,211Lに加わる左右方向の荷重に対して、第二及び第三筐体部211R,211Lと架台部212との結合強度を確保し易くなる。
【0067】
また、上記各据付部216は、架台部212の前後方向の両側へ延出され、架台部212の前後方向の両側部にボルト締結された前後一対の側方締結部2168を有している。これにより、第二及び第三筐体部211R,211Lと架台部212とが左右の据付部216を介して一層強固に結合される。その結果、地震の際などに第二及び第三筐体部211R,211Lに加わる左右方向の荷重に対して、第二及び第三筐体部211R,211Lと架台部212との結合強度を一層確保し易くなる。
【0068】
また、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部には、第二延在部2166を介して架台部212の上面に係合する段差状の段部2117が形成されている。この段部2117が第二延在部2166を介して架台部212により下方側から支持される。これにより、第二及び第三筐体部211R,211Lに対して左右方向の荷重が加わった場合でも、第二及び第三筐体部211R,211Lが左右方向の内側に傾き難くなる。つまり、第二及び第三筐体部211R,211Lが左右方向の内側に傾こうとすると、上記の段部2117が第二延在部2166を介して架台部212から上方向きの反力を受けることにより、上記の傾きが抑制される。これにより、地震の際などに第二及び第三筐体部211R,211Lに加わる左右方向の荷重に対する筐体2の強度を一層確保し易くなる。
【0069】
また、架台部212は、前後方向に対向して配置された前壁2121及び後壁2122と、前壁2121及び後壁2122の各下端部から前後方向の内側へ延びる前後の下壁2124とを有している。そして、これらの下壁2124が筐体2の設置面にボルト締結される構成になっている。これらの下壁2124のボルト締結部は、上記設置面への充電装置1の設置が完了した状態では、
図1に示される意匠パネル28等に覆われるため、充電装置1の外側からは視認不能となる。このため、例えば充電装置1の盗難を防止し易くなる。
【0070】
即ち、上記実施形態は、架台部212の前後方向の側面を覆う目隠し用パネル部材として意匠パネル28を配置した構成である。ところで、大型の充電装置では、装置の筐体と設置面との固定部は、このような目隠し用パネル部材の内側に配置されることが多い。このような場合、固定部の寸法が筐体の外形の大きさや、装置の設置スペースに影響を与えるため、装置の耐震性能を優先すると、装置の小型化や設置スペースの確保に対応できない場合が生じる。これに対し、本実施形態によれば、据付部216は、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部にそれぞれ固定されており、第一筐体部210の意匠パネル28の両側からそれぞれ外側に突出している。従って、据付部216の突出部分の寸法によって、筐体2の外形が前後方向に大型化することを抑制し、設置スペースの確保が容易になる。
【0071】
また、第二及び第三筐体部211R,211Lの上部は、前後の上方補強部213によって左右方向に繋がれている。これにより、例えば充電装置1をクレーンで吊り上げる際に第二及び第三筐体部211R,211Lに加わる左右方向の内側への荷重を、各上方補強部213によって支持することができる。これにより、簡素な構成で筐体2の変形を効果的に防止することができる。
【0072】
以下、上述の効果について、
図13~
図18を用いて補足説明する。
図13~
図15には、第1比較例が模式的に示されている。この第1比較例では、第二及び第三筐体部211R,211Lと架台部212とがそれぞれ前後一対のボルトB及びナットN(
図13では図示省略)を用いて直接締結されており、左右の据付部216が省略されている。前後のボルトB及びナットNは、左右方向を軸方向として配置されている。
【0073】
この第1比較例では、第二及び第三筐体部211R,211Lに加わる前後方向の荷重FXに対しては、前後のボルトB及びナットNの締付強度とボルトBのせん断強度とによって、第二及び第三筐体部211R,211Lと架台部212との結合強度が確保される。また、第二及び第三筐体部211R,211Lに加わる左右方向の荷重FYに対しては、前後のボルトBの引張強度によって、第二及び第三筐体部211R,211Lと架台部212との結合強度が確保される。なお、
図14に示される矢印SFは、ボルトBに加わるせん断力を示しており、
図15に示される矢印TFは、ボルトBに加わる引張力を示している。
【0074】
しかしながら、この第1比較例において、ボルトBとナットNとの締付強度を高めたとしても、第二及び第三筐体部211R,211L及び架台部212におけるボルトBの挿通孔とボルトBとのクリアランスの分だけは、第二及び第三筐体部211R,211Lが架台部212に対して前後方向に可動する虞がある。第二及び第三筐体部211R,211Lが架台部212に対して可動した後は、筐体2の強度(筐体2の固有振動数)が低下することとなる。
【0075】
これに対し、本実施形態では、
図16に模式的に示すように、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部に固定された据付部216の補強部2162と架台部212の上面とが、上下方向を軸方向とするボルトB2及びウェルドナットWNとによって締結されている。この構成では、ボルトB2の引張強度によって上記の可動を防止することができる。なお、
図16に示されるB1は、据付部216を設置面に締結するボルトである。
【0076】
しかも、本実施形態では、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部に形成された段部2117が据付部216の第二延在部2166を介して架台部212の上面に支持されるので、左右方向の荷重FYよる第二及び第三筐体部211R,211Lの可動をも効果的に抑制することができる。すなわち、本実施形態では、上記ボルトの強度に加えて、段部2117が架台部212の上面から受ける上方側への反力により、第二及び第三筐体部211R,211Lの左右方向の振れを抑えることができる。これにより、左右方向の荷重FYよる第二及び第三筐体部211R,211Lの可動を効果的に抑制可能となる。
【0077】
なお、上記実施形態において、発明が解決しようとする課題を「設置スペースの確保を容易にすること」として捉えると、「外部電源から入力される電力を、電気車両を充電するための電力に変換する複数の充電ユニットを内部に収容する筐体を備える電気車両用充電装置であって、前記筐体は、前記複数の充電ユニットを左右方向に一列に並んだ状態で収容し、前記筐体の左右方向の側面には、ユーザによる操作が可能な操作部が設けられている電気車両用充電装置」という構成でも課題を解決することができる。
【0078】
即ち、電気車両用充電装置1の設置スペースは、充電ユニットを収容する筐体の設置面積やユーザの操作スペース、保守点検用の作業スペースを考慮する必要がある。上記構成によれば、複数の充電ユニット30が、左右方向に一列に並んだ状態で筐体2の内部に収容されている。また、筐体2の左右方向の側面には、ユーザによる操作が可能な操作部15が設けられている。これにより、複数の充電ユニット30と操作部15とが左右方向に一列に並んで配置されるため、装置全体が前後方向に薄型化、及び低背化され、設置スペースの確保が容易になる。
【0079】
更に、操作部15は、筐体2による左右両側の側面に設けられており、二台の電気車両に対して充電可能に構成されている。即ち、筐体2では、車両二台分の充電装置の構成が左右方向に並んだ状態で一体に設けられている。これにより、二台の電気車両に対応できる充電設備を一箇所に纏めて配備することが可能となり、設置スペースの確保が容易になる。更に、操作部15の位置を左右方向に離間して配置することにより、充電時における二台の電気車両の車間距離の確保が容易になる。
【0080】
また、操作部15では、操作部15の操作面が筐体の左右方向に配置されているため、筐体2に対して左方側又は右方側のスペースが、ユーザの操作スペースとなる。これにより、充電ユニット30が収容される筐体2とユーザの操作スペースとが左右方向に並んで配備されるため、前後方向の設置スペースを最小限にすることができ、設置スペースの確保が容易になる。
【0081】
また、上記実施形態において、電気車両用充電装置1は、操作部15(操作ボックス4R,4L)から延びる充電ケーブル6と、操作部15の下方側に設けられたコネクタホルダ50と、筐体2における前後方向の側面に設けられたケーブル保持部54を有している。ここで、コネクタホルダ50は、筐体2の左右方向を着脱方向として充電ケーブル6の先端部に設けた充電コネクタ5を保持している。また、ケーブル保持部54は、筐体2の前後方向の側面に沿わせて充電ケーブル6を保持可能に構成されている。従って、充電ケーブル6は、操作部15の操作スペースから回避した位置で筐体2に保持される。
【0082】
図18に示すように、ユーザは、操作スペースに位置したまま充電コネクタ5をコネクタホルダ50から取り外し、充電ケーブル6を踏まずに充電コネクタを車両の給電プラグまで移動させることができる。これにより、充電作業時に充電ケーブルがユーザに踏まれることを抑制して、充電ケーブルの消耗を低減させることができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、操作部15は、筐体2の左右方向の側面の上部に固定され、当該側面から突出する操作ボックス4R,4Lを有している。従って、電気車両用充電装置1では、操作部15が、筐体2の側面から張り出した位置に配置されるため、操作部15の下方側に空間が形成さる。その結果、車椅子に座った状態のユーザであっても、操作部15に身体を近づけて操作することが可能になり、車椅子のユーザの利便性を高めることができる。
【0084】
また、本実施形態では、筐体2とは別体に構成した操作ボックス4R,4Lに操作部15を収容したため、
図22に一例として示すように、操作ボックス4R,4Lを筐体2から分離して、充電ユニット30を備える筐体2とユーザの操作部15とを分離して配置することができる。これにより、設置場所の条件に応じて、操作部の設置の際のレイアウトを適宜変更することができ、設置スペースの確保が容易になる。
【0085】
なお、上記実施形態において、発明が解決しようとする課題を「設置スペースの確保を容易にすること」として捉えると、「外部電源から入力される電力を、電気車両を充電するための電力に変換する複数の充電ユニットを内部に収容する筐体を備える電気車両用充電装置であって、前記筐体は、前記複数の充電ユニットを左右方向に一列に並んだ状態で収容し、 前記筐体は、前後方向の側面に設けられた第一開閉手段と、左右方向の側面に設けられた第二開閉手段とを有し、前記第一及び第二開閉手段から前記筐体の内部にアクセス可能に構成されている電気車両用充電装置」という構成でも課題を解決することができる。
【0086】
即ち、電気車両用充電装置1の設置スペースは、充電ユニットを収容する筐体の設置面積やユーザの操作スペース、保守点検用の作業スペースを考慮する必要がある。上記構成によれば、筐体2は、前後方向の側面に設けられた第一開閉手段D1と、左右方向の側面に設けられた第二開閉手段D2とを有し、第一及び第二開閉手段D1,D2から筐体2の内部にアクセス可能に構成されている。従って、筐体2の内部の保守や点検のための作業を第一及び第二開閉手段D1,D2から行うことにより、必要な作業スペースを筐体2の前後方向及び左右方向に分散して設けることができる。これにより、保守や点検のための作業スペースが一箇所に集中せず、設置スペースの確保が容易になる。
【0087】
また、本実施形態では、筐体2の左右方向の側面には、操作部15が設けられているため、操作部15の操作スペースと第二開閉手段D2を介した保守や点検のための作業スペースとが同一のスペースを共有して設けられている。このように、筐体2の周囲に操作スペースと保守点検用の作業スペースを効率的に配置することができるため、設置スペースの確保が容易になる。
【0088】
更に、操作部15は、筐体2の左右方向の側面に固定された操作ボックス4R,4Lを有しており、操作ボックス4R,4Lには、内部にアクセス可能な第三開閉手段D3が設けられている。従って、操作部15の保守や点検のための作業スペースも、操作部15の操作スペースと第二開閉手段D2を介した保守等の作業スペースと同一のスペースを共用して設けられている。これにより、設置スペースの確保を一層容易にすることができる。
【0089】
また、本実施形態の電気車両用充電装置1では、
図21(A)及び
図21(B)に示すように、筐体2の前後方向の側面を駐車スペースPに面して配置することで設置スペースの確保及び保守等の作業性を考慮して、設置レイアウトを最適化することができる。即ち、筐体2の前後方向の側面が駐車スペースPに面して配置されているため、第一開閉手段D1を介した保守等の作業スペースと電気車両の駐車スペースとを同一のスペースで共用して設けることができるため、設置スペースの確保を容易にする。更に、筐体2の下部に設けた第二開閉手段D2は、扉部で構成することで、開閉を容易にし、駐車スペースP側まで保守等の作業スペースとして拡張することができる。これにより、屈み込んだ低姿勢で行われる作業に対して作業者の負担を軽減することができ、保守等の作業性を良好にすることができる。
【0090】
[補足説明]
なお、上記実施形態では、第二及び第三筐体部211R,211Lの上部を左右方向に繋ぐ前後の上方補強部213を備えた構成にしたが、これに限るものではない。例えば
図1に示される意匠パネル22、23が、上方補強部の機能を兼用する構成にしてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、架台部212は、前壁2121及び後壁2122の各下端部から前記前後方向の内側へ延びる前後の下壁2124を備え、これらの下壁2124が筐体2の設置面にボルト締結される構成にしたが、これに限るものではない。例えば、前壁2121及び後壁2122の各下端部から前記前後方向の外側へ延びる前後の下壁が筐体2の設置面にボルト締結される構成にしてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、左右の据付部216の左右断面形状が上方に開放したコ字形状となった構成にしたが、これに限るものではない。例えば左右の据付部216の左右断面形状がL字形状となった構成にしてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、電気車両用充電装置1の筐体2が、第一~第三筐体部210,211R,211Lを備える構成としたが、これに限らない。複数の充電ユニットを左右方向に並べて配置可能であればよく、筐体部の数は、必要に応じて適宜変更可能である。
【0094】
上記実施形態では、操作部15の操作面が操作ボックス4R,4Lにおける左右外側の側面に設けられたが、これに限らず、操作面は、操作ボックス4R,4Lにおける前後方向の側面に設けてもよい。
【0095】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0096】
1 電気車両用充電装置
2 筐体
3 充電ユニット
4R 操作ボックス(第四筐体部)
4L 操作ボックス(第四筐体部)
5 充電コネクタ
6 充電ケーブル
10B フィルタ装置
13 出力制御装置
15 操作部
50 コネクタホルダ
54 ケーブル保持部
210 第一筐体部
211R 第二筐体部
211L 第三筐体部