(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106651
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 29/12 20060101AFI20220712BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20220712BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20220712BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20220712BHJP
G06K 17/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
B41J29/12
B41J29/00 E
G09F3/00 G
G06K7/10 268
G06K7/10 128
G06K17/00 025
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188716
(22)【出願日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2021001519
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 有二
(72)【発明者】
【氏名】小原 健
(72)【発明者】
【氏名】京井 聡明
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AQ04
2C061AS06
2C061AS11
2C061AS14
2C061BB08
2C061BB35
2C061CD07
2C061CG15
2C061HK11
(57)【要約】
【課題】本発明は、通信対象の無線タグに後続する無線タグへの電磁波の影響を低減可能なプリンタを提供することを目的の一つとしている。
【解決手段】ある態様のプリンタ100は、所定間隔で取り付けられた複数の無線タグが設けられた印字媒体の連続体における印字媒体に印字するプリンタであって、無線タグに印字する印字部20と、印字媒体を印字部20に向けて搬送する搬送部7と、無線タグと無線通信する通信部40と、連続体Mの無線タグが通信部40にて通信している無線タグよりも上流側の無線タグに接触し、当接したまま印字媒体の動きに合わせて継続的に追従する追従部材64と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で取り付けられた複数の無線タグが設けられた印字媒体の連続体における前記印字媒体に印字するプリンタであって、
前記印字媒体に印字する印字部と、
前記印字媒体を前記印字部に向けて搬送する搬送部と、
前記無線タグと無線通信する通信部と、
前記連続体の無線タグが前記通信部にて通信している無線タグよりも上流側の無線タグに接触し、当接したまま印字媒体の動きに合わせて継続的に追従する追従部材と、
を備えるプリンタ。
【請求項2】
前記追従部材は、前記印字媒体の延伸方向に沿って前記印字媒体または前記複数の無線タグの表面に接触して、前記複数の無線タグに沿って連続的に追従している請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記追従部材は、金属体または電波吸収体を有する請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記追従部材は、重力の作用により前記印字媒体に追従する請求項1から3のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記追従部材は、付勢部材に付勢されることにより前記印字媒体に追従する請求項1から3のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項6】
最上流側に、前記印字媒体の連続体をロール状にしたロールを保持する印字媒体供給部を有し、
前記追従部材は、前記印字媒体供給部の前記ロールから引き出された前記印字媒体と、前記印字媒体供給部にセットされた前記連続体のロールの一部とを覆う請求項1から5のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記追従部材は、印字媒体供給部にセットされた前記連続体のロールの外径変化または前記ロールから引き出された前記印字媒体の位置変化に対応して揺動する請求項1から6のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記追従部材は、前記連続体の印字面側に接触する請求項1から7のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記追従部材は、前記連続体の印字面側とは反対の面に接触する請求項1から7のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記印字部は、プラテンローラと印字ヘッド部を有し、挟持搬送して前記印字ヘッド部で印字する請求項1から7のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記追従部材は、前記プラテンローラおよび前記印字ヘッド部よりも前記印字媒体の搬送経路における上流側で前記連続体における前記印字ヘッド部に対向する印字面に接触する請求項10に記載のプリンタ。
【請求項12】
前記追従部材は、前記プラテンローラおよび前記印字ヘッド部よりも前記印字媒体の搬送経路における上流側で前記連続体の印字面とは反対側の面に接触する請求項10に記載のプリンタ。
【請求項13】
前記追従部材は、前記連続体に張力を付与する請求項1から12のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項14】
前記追従部材の幅方向の長さは、前記無線タグの幅方向の長さ以上である請求項1から13のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項15】
前記追従部材の揺動支点は、前記通信部よりも上流側に設けられる請求項1から14のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項16】
前記追従部材の前記揺動支点とは反対側の他端は、前記揺動支点よりも上流側に設けられる請求項15に記載のプリンタ。
【請求項17】
前記追従部材の前記揺動支点とは反対側の他端は、前記揺動支点よりも下流側に設けられる請求項15に記載のプリンタ。
【請求項18】
前記連続体に張力を付与するためのダンパ機構を有し、前記追従部材の揺動支点は、前記ダンパ機構の上側に配置される請求項1から16のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項19】
最上流側に、前記印字媒体の連続体をロール状にしたロールを保持する印字媒体供給部を有し、
前記印字媒体供給部に、前記印字媒体供給部の前記ロールから引き出された前記印字媒体に張力を付与するための張力付与機構が設けられる請求項1から18のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項20】
前記印字部および前記通信部を収容する第1空間と、前記第1空間とは別の第2空間とを仕切る仕切部材を備え、
前記仕切部材は、金属体を有する請求項1から19のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項21】
前記仕切部材は、電波吸収体を有する請求項20に記載のプリンタ。
【請求項22】
前記第1空間には、前記通信部の上流側に配置される上流側金属体が設けられる請求項20または21に記載のプリンタ。
【請求項23】
前記上流側金属体の面に沿って電波吸収体が設けられる請求項22に記載のプリンタ。
【請求項24】
内部空間を覆う筐体を備え、
前記筐体の底面に沿って金属体と電波吸収体との少なくとも1つが設けられる請求項1から23のいずれか1項に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグに記録する機能と印刷をする機能とを有する装置が知られている。例えば、特許文献1には、RF-ID記録機能付き印刷装置が記載されている。この印刷装置は、間隔をあけて取付けた複数のRF-IDタグ付きラベルを有する記録媒体を搬送する搬送手段と、ラベルに画像を印刷する印刷手段と、RF-IDタグに情報を書き込む書き込み手段とを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、無線タグに記録する機能と印字する機能とを有するプリンタについて検討し、以下の認識を得た。特許文献1に記載の印刷装置は、書き込み対象の無線タグだけに情報を書き込むために、書き込み手段の通信可能範囲を調整している。しかし、この構成では、通信可能範囲のばらつきが大きく、書き込み対象でない隣接無線タグとの通信も可能な場合が生じ、隣接無線タグに影響を与えてしまう。つまり、特許文献1に記載の印字装置は、書き込み対象の無線タグに隣接する無線タグに対する通信用電波の影響を十分に低減しているとはいえない。
【0005】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、通信対象の無線タグに後続する無線タグへの電波の影響を低減可能なプリンタの技術を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のプリンタは、所定間隔で取り付けられた複数の無線タグが設けられた印字媒体の連続体における印字媒体に印字するプリンタであって、印字媒体に印字する印字部と、印字媒体を印字部に向けて搬送する搬送部と、無線タグと無線通信する通信部と、連続体の無線タグが通信部にて通信している無線タグよりも上流側の無線タグに接触し、当接したまま印字媒体の動きに合わせて継続的に追従する追従部材と、を備える。
【0007】
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のある態様によれば、通信対象の無線タグに後続する無線タグへの電磁波の影響を低減可能なプリンタの技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るプリンタの斜視図である。
【
図2】
図1のプリンタの開閉カバーを開いた状態を示す側面図である。
【
図4】複数の無線タグが取り付けられた連続体を示す模式図である。
【
図5】
図1のプリンタの通信部と無線タグとを示す模式図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るプリンタの内部を示す側面図である。
【
図7】複数の無線タグが取り付けられた連続体を示す模式図である。
【
図11】仕切部材が開閉カバーに固定された変形例を示す側面図である。
【
図12】印字媒体供給部の変形例を示す斜視図である。
【
図14】印字媒体供給部の変形例を示す別の図である。
【
図15】アンテナの配置姿勢の一例を示す側面図である。
【
図16】アンテナの配置姿勢の変形例を示す側面図である。
【
図17】ガイド部電波吸収プレートを備える変形例を示す側面図である。
【
図18】前面側電波吸収プレートを備える変形例を示す側面図である。
【
図19】上流側電波吸収プレートを備える変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付して区別し、総称するときはこれらを省略する。また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0012】
[第1実施形態]
図1~
図4を参照して、本発明の第1実施形態に係るプリンタ100を説明する。
図1は、プリンタ100を示す斜視図である。
図2は、プリンタ100の開閉カバー11を開いた状態を示す側面図である。開閉カバー11は、180°まで開くことが可能であるが、この図は90°開いた状態を示している。
図3は、開閉カバー11を閉じ、開閉カバー11の側面部を取り外してプリンタ100の内部を示す側面図である。
図4は、複数の無線タグ6が取り付けられた連続体Mを示す模式図である。この図では、理解を容易にするために、無線タグ6等の厚みを実際よりも厚く表現している。
【0013】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX方向と、X方向に直交する水平な方向をY方向と、両者に直交する鉛直方向をZ方向とする。X方向を左右方向と、Y方向を前後方向と、Z方向を上下方向ということがある。正面から見て左側を「左」と、右側を「右」といい、側面から見て左側を「前」と、右側を「後」という。また、前後方向寸法を「長さ」と、左右方向寸法を「幅」ということがある。このような表記はプリンタ100の使用姿勢を制限するものではなく、プリンタ100は、任意の姿勢で使用されうる。
【0014】
図2、
図3に示すように、本実施形態のプリンタ100は、所定間隔で取り付けられた複数の無線タグ6が設けられた印字媒体の連続体Mにおける印字媒体に印字するプリンタであって、無線タグ6に印字する印字部20と、印字媒体を印字部20に向けて搬送する搬送部7と、無線タグ6と無線通信する通信部40と、連続体Mの無線タグ6が通信部40にて通信している無線タグ6よりも上流側の無線タグに接触し、当接したまま印字媒体の動きに合わせて継続的に追従する追従部材64と、を備える。追従部材64については後述する。通信部40は、印字部20の上流側に設けられる。印字部20は、プラテンローラ24と印字ヘッド部22を有する。印字部20は、連続体Mを挟持搬送して印字ヘッド部22で印字する。
【0015】
先に、プリンタ100の全体構成を説明する。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ100は、正面から見て右側の印字ユニット1と、左側の制御ユニット2とを有する。印字ユニット1は、制御ユニット2の制御に基づいてタグ印字機能と、タグ通信機能とを実現する。タグ印字機能は、例えば、印字媒体の連続体に仮着された無線タグ6の上紙に、文字、記号、図形またはバーコード等のような情報をプリントする機能である。タグ通信機能は、無線タグ6に内包された回路部と通信する機能である。搬送部7は、印字媒体の連続体Mを印字部20に向けて搬送する。
【0016】
図1に示すように、筐体10は、印字ユニット1の外殻として機能する。筐体10は、開閉可能な開閉カバー11と、開閉カバー11を開閉可能に支持する筐体本体部12とを含む。筐体本体部12は、前面部121と、底面部123と、内側側面部124と、背面部125とを含む。底面部123は、印字ユニット1の底面に沿って前後に延在する板状の部分である。前面部121は、底面部123の前端から上に向かって印字ユニット1の前面に沿って延在する板状の部分である。前面部121は、印字ユニット1の前面の下側を覆い、上部に印字済みの連続体Mを排出する排出口106が設けられている。
【0017】
背面部125は、底面部123の後端から上に向かって印字ユニット1の背面に沿って延在する板状の部分である。内側側面部124は、底面部123の左端から上に向かって印字ユニット1の左側面に沿って延在する板状の部分である。内側側面部124は、後述する印字部20、印字媒体供給部30、通信部40、インクリボン部34および機能部材50(後述する)が固定され、これらを支持するベースとして機能する。内側側面部124は、開閉カバー11が開かれた状態で露出する。この例では、前面部121、背面部125および内側側面部124は、底面部123に固定されている。
【0018】
図1に示すように、開閉カバー11は、前面部111と、側面部112と、上面部113とを含む。前面部111は、印字ユニット1の前面に沿って主に上下に延在する板状の部分であり、印字ユニット1の前面の上側を覆う。上面部113は、前面部111の上端から後に向かって印字ユニット1の上面に沿って延在する板状の部分である。側面部112は、上面部113の右端から下に向かって印字ユニット1の右側面に沿って延在する板状の部分である。開閉カバー11は、上面部113の左端に設けられたヒンジ107により開閉可能に設けられている。ヒンジ107の一方側は、上面部113の左端に固定され、他方側は、内側側面部124の上端に固定される。この例では、前面部111および側面部112は、上面部113に固定され、開閉カバー11は一体的に開閉する。
【0019】
図2に示すように、筐体10の側面は、開閉カバー11が開かれた状態で開放される。つまり、筐体10は、開閉カバー11が開かれた状態で、印字部20および通信部40を収容する第1空間14と、後述する連続体MのロールTを保持する印字媒体供給部30を収容する第2空間16とが露出するように構成されている。開閉カバー11を開くことにより、インクリボンや連続体の交換とユニット内部のメンテナンスが可能になる。
【0020】
プリンタ100の内部を説明する。
図2、
図3に示すように、プリンタ100の内部には、その後方に配置された印字媒体供給部30と、前方に配置された印字部20および通信部40と、その上方に配置されたインクリボン部34と、機能部材50とが設けられている。印字媒体供給部30は、連続体Mの搬送経路の最上流側に設けられ、印字媒体をロール状にしたロールTを保持する。
【0021】
本実施形態の印字部20は、印字用インクが塗布されたインクリボンのインクを転写して連続体Mに印字を行う熱転写方式を採用している。印字部20は、感熱発色方式であってもよい。
【0022】
連続体Mは、巻回されてロールTを形成し、印字媒体供給部30に保持され、ロールTから順次繰り出されて搬送方向に搬送される。連続体Mの搬送方向に沿って、印字部20を基準として印字媒体供給部30側を上流側といい、その反対側を下流側という。
【0023】
印字部20は、印字ヘッド部22と、その下方に配置されたプラテンローラ24および下側ガイド部25と、それらの後方に配置されたダンパ機構26とを備えている。ダンパ機構26は、印字ヘッド部22およびプラテンローラ24の上流側に配置されている。
【0024】
印字ヘッド部22は、その前方部が後方の回転軸225を中心に上下方向に揺動可能に支持される。印字ヘッド部22は、揺動することにより、プラテンローラ24に対して開いた開状態(実線で示す)と、プラテンローラ24に対して閉じた閉状態(破線で示す)とを有する。つまり、印字ヘッド部22は、開状態と閉状態との間で切り換え可能に構成されている。開状態では、印字ヘッド部22の前方部が持ち上がってプラテンローラ24から離間する。この状態で、印字媒体の連続体Mとインクリボンのセッティングと交換が可能になる。
【0025】
閉状態では、印字ヘッド部22の前方部が下がり、ヘッド本体221の前方下部に設けられたサーマルヘッド222が、連続体Mと無線タグ6とインクリボンとを挟んでプラテンローラ24と対向する。換言すると、連続体Mは、サーマルヘッド222とプラテンローラ24との間に、インクリボンRとともに挟持される。閉状態の場合に、印字ヘッド部22とプラテンローラ24および下側ガイド部25との間に、連続体Mの搬送路である通紙ルートが形成される。通紙ルートの下流側に排出口106が設けられている。
【0026】
プラテンローラ24は、印字媒体供給部30から繰り出された連続体Mを通紙ルートに沿って排出口106へ搬送する搬送手段である。プラテンローラ24の表面は硬質ゴム等の弾性材料により被覆されている。このプラテンローラ24は、正逆回転可能に、閉状態のサーマルヘッド222と上下に対向するように配設されている。プラテンローラ24は、モータと回転伝達機等で構成される駆動機構(不図示)により回転駆動される。印字ヘッド部22が閉状態で、プラテンローラ24が回転することにより、連続体Mは排出口106に向かって搬送される。
【0027】
連続体Mの通紙ルートにおいてサーマルヘッド222とダンパ機構26との間には、印字媒体位置検出センサ(不図示)が設けられている。印字媒体位置検出センサは、連続体Mに形成された位置検出マーク(不図示)を検出することにより連続体Mの無線タグ6の位置を検出する。印字媒体位置検出センサは、例えば、光反射型または光透過型のセンサにより構成できる。
【0028】
ダンパ機構26は、連続体Mに張力を付与する機構である。本実施形態のダンパ機構26は、第1ダンパローラ261と、第1ダンパローラ261よりも上流側の第2ダンパローラ262とを有する。第1ダンパローラ261および第2ダンパローラ262は、印字ヘッド部22の閉状態時に、連続体Mに張力を付与するように揺動可能に支持されている。
【0029】
インクリボン部34は、印字用インクを塗布したインクリボンRを供給し、巻き取る機構である。インクリボン部34は、リボン供給部341と、その前方に配置されたリボン巻き取り部342とを備える。リボン供給部341は、ロール状に巻回されたインクリボンRを回転可能に支持する機構である。リボン巻き取り部342は、印字済みのインクリボンRを巻き取り回収する機構である。インクリボンRは、リボン供給部341から引き出され、印字ヘッド部22の下に通してリボン巻き取り部342で巻き取る。
【0030】
印字媒体の連続体Mを説明する。
図4に示すように、印字媒体の連続体Mは、無線タグ6を支持する帯状の台紙である。連続体Mには、その長手方向に沿って所定の間隔で複数の無線タグ6が仮着されている。無線タグ6を剥離容易にするため、連続体Mの無線タグ6の粘着面が接触する表面には、シリコーン等の剥離剤がコーティングされている。連続体Mの無線タグ6が貼られていない裏面には、無線タグ6の位置を示す位置検出マーク(不図示)が設けられている。
【0031】
無線タグ6は、電子回路部6Aと電子回路部6Aの表側に積層される上紙6Bとを含み、粘着剤6Cによって連続体M上に貼り付けられている。上紙6Bは、感熱紙であってもよいが、この例では普通紙である。
【0032】
印字媒体供給部30は、連続体MのロールTを保持し、連続体Mを印字部20に供給する。印字媒体供給部30は、支持軸301と、その一端に設置されたロールガイド部302とを備えている。支持軸301は、ロール状に巻き取られた連続体MのロールTを回転自在の状態で支持する構成部である。ロールガイド部302は、連続体MのロールTを固定する構成部であり、連続体Mの幅方向の長さに応じて位置を変えられるように支持軸301の軸方向に沿って移動自在の状態で設置されている。
【0033】
図4の例では、ロールTは、無線タグ6が連続体Mの外側に位置する状態で巻回される(以下、「表巻き」という)。表巻きでは、無線タグ6はロールTの外周表面に露出する。表巻きでは、連続体Mは印字媒体供給部30の中心よりも前方位置から下方に向けて繰り出される。
【0034】
なお、ロールTは、無線タグ6が連続体Mの内側に位置する状態で巻回されてもよい(以下、「裏巻き」という)。裏巻きでは、無線タグ6はロールTの外周表面に露出しない。裏巻きでは、連続体Mは印字媒体供給部30の中心よりも後方位置から下方に向けて繰り出される(
図6、
図7も参照)。なお、表巻きでも裏巻きでも印字部20の連続体Mの通紙ルートは同じである。また、表巻きでも裏巻きでも連続体Mは無線タグ6が仮着された面を上に向けた状態で搬送される。連続体Mの無線タグ6が仮着された面を印字面ということがある。
【0035】
プリンタ100の印字動作を説明する。プリンタ100は、印字媒体供給部30からシート状に繰り出された連続体Mがダンパ機構26を介して印字ヘッド部22とプラテンローラ24との間の通紙ルートに搬送される。プリンタ100は、連続体Mが搬送される間に、印字媒体位置検出センサにより検出された情報に基づいたタイミングで、サーマルヘッド222の発熱体を所定パターンで発熱させる。この結果、文字、記号、図形、バーコード等が連続体Mの無線タグ6に印字される。印字後、無線タグ6と連続体Mは排出口106からプリンタ100の外部に排出される。
【0036】
図4を参照して、無線タグ6の電子回路部6Aを説明する。電子回路部6Aは、CPU、メモリおよびタブ側通信回路等を有するICチップ(不図示)と、通信用のタブ側アンテナ(不図示)とを有する。
【0037】
無線タグ6の通信方式に制限はない。無線タグ6の通信方式は、例えば、NFC(登録商標)等の近距離通信無線通信(NFC:Near Field Comunication)であってもよいし、WiFi(登録商標)等の無線LANの通信であってもよいし、Bluetooth(登録商標)等のデジタル機器の近距離間データ通信であってもよいし、これらとは異なる通信方式であってもよい。
【0038】
本実施形態の無線タグ6は、Bluetooth(登録商標)の低消費電力の通信モードであるBLE(BLE: Bluetooth Low Energy(登録商標))の通信方式を採用している。この場合、NFC(登録商標)よりも通信可能距離が長く、WiFi(登録商標)よりも消費電力が小さい点で好ましい。また、本実施形態の無線タグ6では、通信部の通信電波により起電(エナジャイズ:Energize)された電力によって電子回路部6Aが動作するように構成されており、バッテリを使用しない。
【0039】
プリンタ100の通信部40を説明する。通信部40は、電子回路部6Aと通信するためのアンテナ42と、アンテナ42に接続される通信回路44とを含む。
図3の例では、アンテナ42は、下側ガイド部25に内包されている。
【0040】
次に、制御ユニット2を説明する。制御ユニット2は、CPU、メモリ、入出力インターフェース等で構成される。制御ユニット2は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。制御ユニット2には、入出力インターフェースを介して、図示しない外部のコンピュータ等からの印字指示データ、印字媒体位置検出センサの検出信号等が入力される。制御ユニット2は、メモリに格納されているプログラムをCPUによって実行し、サーマルヘッド222、プラテン駆動モータ、通信部40等の動作を制御する。
【0041】
また、制御ユニット2は、通信部40を用いて無線タグ6と通信する。制御ユニット2は、無線タグ6に書き込まれている情報を読み取る読み取り器として機能する。制御ユニット2は、無線タグ6に所定の情報を書き込む書き込み器として機能する。
【0042】
次に、
図3を参照して、追従部材64を説明する。プリンタ100の通信部40が通信対象の無線タグ6と通信するとき、通信部40の電波が、通信対象の無線タグ6に後続する別の無線タグに届く場合がある。この場合、通信部40の電波が、別の無線タグに影響を及ぼし、プリンタ100や別の無線タグが誤動作する可能性がある。このような誤動作を防止する観点から、別の無線タグへの電波の影響を低減できることが望ましい。そこで、本実施形態のプリンタ100は、連続体Mの通信部40よりも上流側の上流側部M2に接触して追従する追従部材64を備える。
【0043】
追従部材64は、連続体Mの無線タグ6が通信部40にて通信している無線タグ6よりも上流側の無線タグ6に接触し、当接したまま印字媒体の動きに合わせて継続的に追従する。特に、追従部材64は、印字媒体の延伸方向に沿って印字媒体または複数の無線タグ6の表面に接触して、複数の無線タグ6に沿って連続的に追従している。また、追従部材64は、電波吸収体であってもよい。追従部材64は、通信部40に対向する無線タグ6の上流側の無線タグ6に当接するように設けられる。特に、追従部材64は、対向する無線タグ6の上流側かつ隣り合う無線タグ6からその更に上流側にある無線タグ6たちに追従させるのが好ましい。また、追従部材64は、印字媒体供給部30にセットされたロールTから解かれてロールTから解き離されて連続体Mとなる部分までに取り付けられる無線タグ6に追従させるのが好ましい。印字媒体供給部30にセットされたロールT自体は、無線タグ6が重なり合っているので実質的には電波には反応しないためである。
【0044】
本実施形態の追従部材64は、所定の幅方向の長さを有し、揺動支点642から揺動端643に向かって概ね上下に延びる帯状の部材である。追従部材64は、上流側部M2に接触する。この場合、上流側部M2までの距離を最小化できるため、影響低減効果を向上できる。追従部材64は、金属体または電波吸収体を有する。追従部材64の幅方向の長さは、無線タグ6の幅方向の長さ以上であってもよい。
【0045】
追従部材64および本明細書に説明する他の電波吸収体は、例えば、導電性繊維の織物等の導電性電波吸収材料、カーボン粉等をゴム、発泡ウレタン、発泡ポリスチロールなどの誘電体に混合した誘電性電波吸収材料、鉄、ニッケル、フェライト等の磁性材料からなる磁性電波吸収材料等で形成される。
【0046】
追従部材64の追従機構に制限はないが、
図3の例では、追従部材64は、揺動支点642を中心に、揺動支点642とは反対側の他端(以下、「揺動端643」という)が揺動することにより上流側部M2に追従する。特に、この例の追従部材64は、重力の作用により上流側部M2に追従する。この場合、自重により追従するため、追従機構をシンプルに構成できる。追従部材64は、スプリング等の付勢部材に付勢されることにより上流側部M2に追従するように構成されてもよい。この場合、姿勢の変化に対して追従動作を安定化できる。
【0047】
図3に示すように、追従部材64の揺動端643は、ロールTから離れる方向(この例では前方)に反っている。この場合、揺動端643によるロールTへの損傷を抑制できる。
【0048】
図3に示すように、本実施形態の追従部材64は、印字媒体供給部30のロールTから引き出された印字媒体と、印字媒体供給部30にセットされた連続体のロールTの一部を覆う形状を有する。この場合、追従部材64に覆われた部分への電波の影響を効果的に低減できる。
【0049】
図3では、外径最大時のロールT1を実線で示し、外径最小時のロールT2を破線で示している。この図に示すように、追従部材64は、印字媒体供給部30にセットされた連続体MのロールTの外径変化またはロールから引き出された印字媒体の位置変化に対応して揺動する。この場合、外径の変化に対して電波の影響低減効果を安定化できる。追従部材64は、前後方向および上下方向の位置の変化に対応可能であってもよい。
【0050】
図3の例では、追従部材64は、連続体Mの印字面側に接触する。追従部材64は、プラテンローラ24および印字ヘッド部22よりも印字媒体の搬送経路における上流側で連続体Mにおける印字ヘッド部22に対向する印字面に接触している。この場合、追従部材64から無線タグ6までの距離を最小化できるため、影響低減効果を向上できる。追従部材64は、連続体Mの印字面とは反対側の面に接触するように構成されてもよい。特に、追従部材64は、プラテンローラ24および印字ヘッド部22よりも印字媒体の搬送経路における上流側で連続体Mの印字面とは反対側の面に接触する構成であってもよい。この場合、追従部材64の印字面への影響を低減できる。
【0051】
追従部材64は、連続体Mに張力を付与するように構成されてもよい。この場合、連続体Mのたるみを低減して、搬送動作を安定化できる。
【0052】
図3に示すように、追従部材64の揺動支点642は、通信部40よりも上流側に設けられる。この場合、揺動支点642が通信部40の下流側に設けられる場合に比べて、追従部材64の配置の自由度が高くなり、追従部材64を上流側部M2の近くに配置できる。追従部材64の揺動支点642を、通信部40よりも下流側に設けてもよい。
【0053】
図3に示すように、追従部材64の揺動端643は、揺動支点642よりも上流側に設けられる。この場合、追従部材64を自重で上流側部M2に追従させることができる。
【0054】
図3に示すように、追従部材64の揺動支点642は、連続体Mに張力を付与するためのダンパ機構26の上側に配置される。この場合、揺動支点642とダンパ機構26の干渉を防止できる。追従部材64の揺動支点642は、ダンパ機構26の下側に配置してもよい。この場合、追従部材64を長くして、電波吸収効果を向上できる。
【0055】
図3に示すように、追従部材64の揺動支点642は、連続体Mの幅方向に対応する幅を有する上流側金属体53と対向する。この場合、揺動支点642と上流側金属体53との対向隙間を狭くして、この隙間から漏れる電波を抑制できる。上流側金属体53については後述する。
【0056】
図3の例では、追従部材64の揺動支点642は、筐体10の底面部123に沿って設けられる金属体58と対向する。この場合、揺動支点642と金属体58との対向隙間を狭くして、この隙間から漏れる電波を抑制できる。金属体58については後述する。
【0057】
図5を参照して、通信部40と無線タグとの関係を説明する。
図5は、通信部40と無線タグ6とを示す模式図である。この説明では、通信対象の無線タグ6に「(1)」を付し、通信対象でない別の無線タグ6に「(2)」を付して区分する。例えば、通信部40のアンテナ42を別の無線タグ6(2)に電波が容易に到達できる位置に配置すると、別の無線タグ6(2)への電波の影響が大きくなる。そこで、本実施形態では、通信部40は、複数の無線タグ6のうち当該通信部40と対向する一の無線タグ6(無線タグ6(1))のみと通信するように配置される。具体的には、
図5に示すように、通信部40のアンテナ42は、通信対象の無線タグ6(1)の直下においてこのタグに近接して配置されている。また、アンテナ42の指向性は、通信対象の無線タグ6(1)の方向(図中で上向き)で最も強くなるように構成される。この場合、別の無線タグ6(2)への電波の影響をより低減できる。
【0058】
機能部材50を説明する。機能部材50は、筐体10の所定の内面と内部空間の少なくとも一方に設けられ無線タグ6への電波の影響を低減する機能を有する。本実施形態の機能部材50は、上流側金属体53、電波吸収体54、56、57、59、62、金属体58および下流側金属体61を含む。
図3に示すように、本実施形態では、第1空間14には、通信部40の上流側に配置される上流側金属体53が設けられる。この場合、上流側金属体53によって、上流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる上流側金属体53は、搬送部7の搬送経路上の印字媒体における印字面とは反対側に設けられる。上流側金属体53は、追従部材64よりも下流側において通信部40の上流側に隣接して設けられる。本実施形態の上流側金属体53は、所定の幅方向の長さを有し、通信部40の直ぐ後(上流側)から連続体Mの搬送路に沿って、後方に向かって斜め下向きに延びる帯状の部材である。
【0059】
上流側金属体53および本明細書に説明する他の金属体は、例えば、鉄系金属やアルミニウム等で形成される。
【0060】
図3に示すように、本実施形態では、上流側金属体53の面に沿って電波吸収体54が設けられている。この場合、上流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。電波吸収体54は、上流側金属体53の全長および全幅に亘って積層され一体化されてもよいし、一部に積層され一体化されてもよい。上流側金属体53を含めて金属体と電波吸収体の積層体においては、積層の前後または上下は任意に構成できる。
【0061】
上流側金属体53の幅方向の長さが連続体Mの幅方向の長さよりも小さいとシールド効果が不足する可能性がある。そこで、本実施形態では、上流側金属体53の幅方向の長さは、連続体Mの幅方向の長さに対応する。つまり、上流側金属体53の幅方向の長さと連続体Mの幅方向の長さとは所定の対応関係を有する。例えば、上流側金属体53の幅方向の長さは連続体Mの幅方向の長さ以上であってもよい。例えば、この対応関係は、上流側金属体53の幅方向範囲が、連続体Mの幅方向範囲をすべて含む関係であってもよい。
【0062】
図3に示すように、本実施形態では、第1空間14には、上流側金属体53の上流側に配置される延伸金属体67が設けられる。この場合、延伸金属体67によって、上流側金属体53よりも上流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。延伸金属体67は、搬送部7の搬送経路上で上流側金属体53の上流側に隣接して配置される。延伸金属体67は、上流側金属体53に連続していてもよいし、隙間を挟んで離れていてもよい。延伸金属体67は、搬送部7の搬送経路上の印字媒体における印字面とは反対側に設けられる。
【0063】
実施形態の延伸金属体67は、所定の幅方向の長さを有し、上流側金属体53の直ぐ後(上流側)から連続体Mの搬送路に沿って、後方に向かって斜め下向きに延びる帯状の部材である。延伸金属体67の幅方向の長さは上流側金属体53の幅方向の長さと異なっていてもよい。少なくとも無線タグ6の電子回路部6Aの幅方向の長さを有していればよく、好ましくは印字ヘッド部22の幅方向の長さと同じであればよい。延伸金属体67の上流端は、筐体10の底面部123まで延びていてもよいし、底面部123に接してもよいし、底面部123から隙間を介して離れていてもよい。第2ダンパローラ262の上流側まで延びていてもよい。(不図示)また、筐体10の底面部123に金属体58または電波吸収体59の何れかの底面部材が設けられる場合は、延伸金属体67の上流端は、当該底面部材まで延びていてもよいし、当該底面部材に接してもよいし、当該底面部材から隙間を介して離れていてもよい。
【0064】
実施形態では、延伸金属体67には、その表面に沿って電波吸収体が設けられている。この場合、延伸金属体67近傍の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。延伸金属体67に設けられた電波吸収体は、延伸金属体67の全長および全幅に亘って積層され一体化されてもよいし、一部に積層され一体化されてもよい。
【0065】
延伸金属体67を備えることにより、搬送部7の搬送経路上で上流側金属体53の上流における余計な電波の影響を受けにくくすることができる。特に、無線タグ6のピッチが小さいときには、上流側金属体53の上流側搬送経路上に複数の無線タグ6が位置する場合があり、延伸金属体67は、このような無線タグ6に電波の影響を及ぼさないように電波を吸収させることができる。
【0066】
図3に示すように、本実施形態では、通信部40の下流側に、下流側金属体61が設けられる。この場合、下流側金属体61によって、下流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。本実施形態の下流側金属体61は所定の幅方向の長さを有し、通信部40の直ぐ前(下流側)から連続体Mの搬送路に沿って、前方に向かって延びる帯状の部材である。
【0067】
本実施形態では、下流側金属体61の面に沿って電波吸収体62が設けられる。この場合、下流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。電波吸収体62は、下流側金属体61の全長および全幅に亘って積層され一体化されてもよいし、一部に積層され一体化されてもよい。
【0068】
筐体10の内面に輻射された電波が反射して無線タグ6に影響を与えることが考えられる。そこで、本実施形態では、筐体10は、閉じた状態で第1空間14を覆う開閉カバー11を有し、開閉カバー11には、電波吸収体56、57が設けられる。この場合、電波吸収体56、57によって電波を吸収して反射電波の影響を減らせる。電波吸収体56、57は、所定の幅方向の長さを有する帯状の部材である。
【0069】
図2に示すように、開閉カバー11の開閉方向は、連続体Mの搬送方向に直交する方向である。この例では、開閉カバー11の開閉方向は上下方向で、連続体Mの搬送方向は前後方向である。
【0070】
開閉カバー11の電波吸収体56、57は、開閉カバー11の内面に設けられ、開閉カバー11を閉じた状態で搬送方向に直交する面に延在する第1電波吸収体56と、開閉カバー11を閉じた状態で連続体Mの幅方向に平行に延在する第2電波吸収体57と、を含む。
【0071】
この例では、第1電波吸収体56は、前面部111の内面に貼り付けられ、第2電波吸収体57は、上面部113の内面に貼り付けられる。例えば、第1電波吸収体56は、前面部111の上端近傍から排出口106の上部近傍に至る上下範囲に設けられる。例えば、第2電波吸収体57は、上面部113の前端近傍から後方に延在し、実質的に第1空間14の前後範囲に設けられる。
【0072】
図3に示すように、本実施形態では、筐体10の側面は、開閉カバー11が開かれた状態で開放される。筐体10は、開閉カバー11が開かれた状態で第1空間14および第2空間16が露出する。この場合、容易に連続体Mを着脱でき、容易にインクリボンを交換できる。インクリボンや連続体の交換とユニット内部のメンテナンスが可能になる。
【0073】
図3に示すように、本実施形態では、筐体10の底面(底面部123)に沿って金属体58と電波吸収体59との少なくとも1つが設けられる。この場合、底面部123に輻射された電波の影響を低減できる。金属体58は、所定の幅方向の長さを有し前後に延在する帯状の部材である。金属体58の前端は、上流側金属体53の後端よりも前方に位置し、金属体58の後端は、追従部材64の前端より後方に位置する。電波吸収体59は、金属体58の全長および全幅に亘って積層され一体化されてもよいし、一部に積層され一体化されてもよい。
【0074】
以上のように構成された本実施形態のプリンタ100の特徴を説明する。プリンタ100は、印字媒体の連続体Mに所定間隔で取り付けられた複数の無線タグ6に印字するプリンタであって、無線タグ6に印字する印字部20と、印字媒体を印字部20に向けて搬送する搬送部7と、無線タグ6と無線通信する通信部40と、連続体Mの無線タグ6が通信部40にて通信している無線タグ6よりも上流側の無線タグに接触し、当接したまま印字媒体の動きに合わせて継続的に追従する追従部材64と、を備える。
【0075】
この構成によれば、追従部材64で電波を吸収することによって、上流側部M2の無線タグ6への電波の影響を低減できる。また、追従部材64は、上流側部M2に接触して追従するため、上流側部M2の位置や形状の変化に追従して移動し、位置や形状の変化に対して電波の影響低減効果を安定化できる。
【0076】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係るプリンタ100を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0077】
図6、
図7を参照する。
図6は、本実施形態のプリンタ100の内部を示す側面図であり、
図3に対応する。
図7は、複数の無線タグ6が取り付けられた連続体Mを示す模式図であり、
図4に対応する。
図6、
図7の例では、無線タグ6が連続体Mの内側に位置する状態で巻回される裏巻きのロールTが用いられている。この例では、連続体Mは印字媒体供給部30の中心よりも後方位置から下方に向けて繰り出される。
【0078】
本実施形態のプリンタ100は、第1実施形態に対して、機能部材50の構成が異なる点で相違し、他の構成は同様である。したがって、重複する説明を省略し、主に相違点を説明する。
【0079】
図6に示すように、本実施形態のプリンタ100は、印字部20および通信部40を収容する第1空間14と、第1空間14とは別の第2空間16とを仕切る仕切部材51を備える点で第1実施形態と相違する。この例では、仕切部材51は、筐体本体部12の内側側面部124に固定される。
【0080】
本実施形態では、第2空間16は、複数の無線タグ6のうち第1空間14に収容される無線タグ6よりも上流側の無線タグ6を囲む空間である。この場合、仕切部材51によって、上流側の無線タグ6を囲む空間への電波の影響を効率的に低減できる。
【0081】
本実施形態の仕切部材51は、金属体52と、電波吸収体55とを有する。この場合、金属体52により電波をシールドすることにより第2空間16の無線タグ6への電波の影響を低減できる。電波吸収体55で電波を吸収することにより、第2空間16の無線タグ6への電波の影響を低減できる。金属体52と電波吸収体55とは積層され一体化されている。
【0082】
図6に示すように、金属体52は、所定の幅方向の長さを有し、概ね上下に延びる帯状の部材である。金属体52は、前向部分521と、下向部分522と、湾曲部分523と、傾斜部分524とを含む。前向部分521は、上面部113に近接する位置で前向きに延びる。下向部分522は、前向部分521の前端で屈曲して下向きに延びる。湾曲部分523は、下向部分522の下端から印字媒体供給部30の外周に対応して湾曲しながら下向きに延びる。傾斜部分524は、湾曲部分523の下端で前方に屈曲して斜め下向きに延びる。金属体52は、前向部分521と傾斜部分524とがスクリュウ等で内側側面部124に固定されてもよい。
【0083】
電波吸収体55は、金属体52の全長および全幅に亘って設けられてもよいし、一部に設けられてもよい。
【0084】
本実施形態のプリンタ100は、第1実施形態と同様の作用と効果を奏しうる。加えて、印字部20および通信部40を収容する第1空間14と、第1空間14とは別の第2空間16とを仕切る仕切部材51と、を備えることにより、第1空間14の通信部40の電波が第2空間16に届きにくくなるため、この電波の第2空間16の無線タグ6への影響を低減できる。
【0085】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容にも設計変更が許容される。また、図面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0086】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0087】
(第1、第2変形例)
図8、
図9を参照して、第1、第2変形例を説明する。
図8は、第1変形例の追従部材64を示す側面視の模式図である。
図9は、第2変形例の追従部材64を示す側面視の模式図である。これらの図は、理解を容易にするため、連続体Mおよび追従部材64を主に示し、説明に重要でない部材の記載を省略している。
【0088】
通信部40のアンテナ42の上流側直後からロールTの下流側の範囲に、追従部材64を配置すると、電波の影響低減効果が高いことが示唆されている。この観点から、
図8、
図9の追従部材64は、アンテナ42の上流側直後に配置される。
【0089】
第1変形例では、追従部材64は、通信部40のアンテナ42の上流側直後からロールTの下端よりも低い位置までの範囲で連続体Mの上面に沿って延在している。この例では、追従部材64は、連続体Mの湾曲に追従して湾曲している。追従部材64は、下向きの凸状に湾曲しており、左右逆の略J字形状を呈する。無線タグ6は、ロールTの部分では重なっているので、電波の影響を受けにくい。このため、追従部材64は、ロールTを覆う部分を有していない。
【0090】
第2変形例では、追従部材64は、通信部40のアンテナ42の上流側直後からロールTの上端よりも上流側までの範囲で連続体Mの上面に沿って延在している。この例では、追従部材64は、連続体Mの湾曲に追従して湾曲しており、ロールTを覆う部分を有する。追従部材64は、下向きの凸状の湾曲と上向きの凸状の湾曲とが連続しており、傾斜した略S字形状を呈する。
【0091】
図8、
図9は、連続体Mが表巻である例を示しているが、連続体Mは裏巻であってもよい。
【0092】
(その他の変形例)
追従部材64に、金属体が一体的に設けられてもよい。この場合の金属体は、追従部材64の全長および全幅に亘って積層されてもよいし、一部に積層されてもよい。
【0093】
実施形態の説明では、機能部材50が、上流側金属体53、電波吸収体54、56、57、59、62、金属体58、下流側金属体61および延伸金属体67を全て含む例を示したが、これに限定されない。機能部材50は、これらを含むことは必須ではなく、これらの一部または全部を含まなくてもよい。また、追従部材64の表面側と裏面側のどちら側の面に金属体が設けられてもよい。
【0094】
図10に、仕切部材51の変形例を示す。この図に示すように、仕切部材51には、印字媒体を挿通するための挿入孔516が設けられてもよい。
【0095】
実施形態の説明では、仕切部材51が、筐体本体部12に固定される例を示したが、これに限定されない。例えば、仕切部材51は、開閉カバー11に固定されてもよい。
図11は、仕切部材51が開閉カバー11に固定された変形例を示す側面図である。この図は、開閉カバー11を180°開いた状態を示す側面図である。このように、仕切部材51を開閉カバー11に固定することにより、開閉カバー11を開いた状態で、印字媒体供給部30の周囲が広くなるので、ロールTの交換が容易になる。
【0096】
実施形態の説明では、印字媒体供給部30が連続体Mの張力(テンション)を付与する機能を有しない例を示したが、これに限定されない。連続体Mの張力が弱い場合、連続体Mが過剰に繰り出されて、搬送経路の途中でたるむことが考えられる。連続体Mがたるむと、機能部材50との位置関係が変化して、無線タグ6への電波の影響を低減する効果が低くなる可能性がある。このため、印字媒体供給部30に張力付与機構31を設けてもよい。
【0097】
図12は、印字媒体供給部30の変形例を示す斜視図であり、この例の印字媒体供給部30は張力付与機構31を備える。張力付与機構31は、印字媒体供給部30のロールTから引き出された印字媒体に張力を付与するための機構である。
図13、
図14は、本変形例の印字媒体供給部30を示す図である。
図13は、ロールTが未装着の状態を示し、
図14は、ロールTが装着された状態を示す。張力付与機構31は、支持軸301と、ロールガイド部302と、テンションプレート312と、ばね押さえプレート314と、付勢部材316とを含む。
【0098】
テンションプレート312は、装着されたロールTの中心部に接する中空円板状部材である。テンションプレート312は、中空部に支持軸301が遊嵌されている。ばね押さえプレート314は、テンションプレート312のロールTとは反対側に隣接配置される中空円板状部材である。ばね押さえプレート314は、中空部に支持軸301が遊嵌されており、テンションプレート312に対して相対回転可能に接する。付勢部材316は、ばね押さえプレート314のテンションプレート312とは反対側に配置され、ばね押さえプレート314を介してテンションプレート312にロールTに向かう付勢力を付与する。この例の付勢部材316は、中心に支持軸301が遊嵌されるコイルスプリングである。
【0099】
図13に示すように、ロールTが未装着の状態では、テンションプレート312に付与される付勢力は殆どなく、テンションプレート312は自由に回転できる。
図14に示すように、ロールTが装着された状態では、ロールガイド部302が支持軸301に沿ってロールTをテンションプレート312側に押さえるので、ばね押さえプレート314を介して付勢部材316は強く圧縮される。このため、付勢部材316は、ばね押さえプレート314を介してテンションプレート312に大きな付勢力を付与する。この場合、ばね押さえプレート314はテンションプレート312に強く押し付けられ、これらの間の摩擦力が増大する。
【0100】
この状態で、連続体Mが繰り出されてロールTが回転すると、テンションプレート312とばね押さえプレート314との間の摩擦力により、テンションプレート312およびロールTの回転にブレーキが掛かる。このように、張力付与機構31は、テンションプレート312がロールTの端部に当接してロールTの回転にブレーキをかけることができる。この結果、連続体Mに張力が付与され、連続体Mが過剰に繰り出されてたるむ可能性が低くなる。
【0101】
実施形態の説明では、通信部40のエナジャイズのための通信出力(以下、「エナジャイズ出力」または「起電出力」という)に特別な制御を加えない例を示したが、これに限定されない。例えば、通信対象の無線タグ6からデータを読み取る第1期間には、通信部40のエナジャイズ出力(起電出力)を高くして、データを読み取るとき以外の第2期間には、第1期間よりも通信部40のエナジャイズ出力(起電出力)を低くしてもよい。第2期間には、通信部40のエナジャイズ出力(起電出力)を最小にしてもよいし、エナジャイズ出力(起電出力)を停止してもよい。このように通信部40のエナジャイズ出力(起電出力)を制御することにより、第2期間における、通信対象の無線タグ6よりも上流側の無線タグ6の誤検知を抑制できる。
【0102】
上述の第2期間は、待機状態の期間を含む。待機状態とは、モジュールの電源はON(つまり、プリンタ100はON)であるが、通信部40は実質的に起電出力を含む電波を出していない状態をいう。通信部40は、印字しているときだけ電波を出す構成であってもよい。筐体10の個体差によって、無線タグへの電波の影響度合いが変化して誤差が生じることがある。このため、筐体10の個体差の影響を低減するように、筐体10の個体差に応じて電波の出力を調整してもよい。例えば、電波出力の調整は、プリンタの製造工程に調整工程を設けて行うことができる。また、筐体10の個体差に応じた情報を検知する検知部と、当該検知部の検知結果に応じて電波出力を増減する出力調整部とを備え、出力を自動的に調整する構成であってもよい。
【0103】
図15、
図16を参照して、アンテナ42の配置姿勢の変形例を説明する。
図15は、アンテナ42の配置姿勢の一例を示す側面図である。
図16は、アンテナ42の配置姿勢の変形例を示す側面図である。
【0104】
実施形態の説明では、下側ガイド部25が前後方向に延在し、アンテナ42のタグ面が無線タグ6と平行に対面するように前後方向に沿って配置される例を示したが、これに限定されない。
図15の例では、下側ガイド部25は、前後方向に延在する上側部252と、上側部252の前端から下向きに延在する前側部254とを有する。下側ガイド部25は、側面視でL字状の外形輪郭を有する。
【0105】
図15は、アンテナ42のタグ面が無線タグ6と平行に対面する平行配置を示している。この例では、通信対象の無線タグ6とアンテナ42の間の実効的な距離(以下、「通信距離L1」という)は一例として14mmに設定されている。通信距離L1が短すぎると、無線タグ6を起電できないことがあり、一定以上の通信距離L1を確保することが望ましい。平行配置の場合、無線タグ6の感度が高い条件では、通信距離L1は30mm以上に設定される。この場合、装置の小型化に不利である。
【0106】
通信距離を確保するために、アンテナ42は、無線タグ6のタグ面に対して傾斜して配置されてもよい。
図16の例では、アンテナ42は、上下方向に沿って配置されている。アンテナ42は、下側ガイド部25の後方近傍に垂直に配置されており、アンテナ42のタグ面が前方の排出口に向くように配置されている。この場合、通信距離L1を長くし易い。
【0107】
図17を参照して、ガイド部電波吸収プレート66を備える変形例を説明する。
図17は、ガイド部電波吸収プレートを備える変形例を示す側面図である。実効的な通信距離を確保するために、下側ガイド部25にガイド部電波吸収プレート66を備えることができる。ガイド部電波吸収プレート66は、電波吸収体と金属体の一方または両方を含んでもよい。
図17の例では、ガイド部電波吸収プレート66は、前側部254の内面に貼り付けられる。ガイド部電波吸収プレート66は、前側部254の上端近傍から下端近傍までの上下範囲に設けられる。前側部254の上端位置および下端位置は、電波の影響に関する所望の低減レベルに応じて実験により設定できる。ガイド部電波吸収プレート66により、アンテナ42からの電波の一部が吸収され、無線タグ6とアンテナ42の実効的な通信距離を確保できる。アンテナ42の位置及び傾斜角度は、所望の通信距離を実現するように実験により設定できる。
【0108】
このように、アンテナ42は、通信対象の無線タグ6との適切な通信距離を確保可能であれば、どのような位置関係で配置されてもよい。言い換えると、適切な通信距離を確保できる範囲であれば、無線タグ6が高感度であるか低感度であるかにかかわらず、アンテナ42は、無線タグ6に対して平行な平行配置、無線タグ6に接近させる対向配置、無線タグ6に対して傾斜する傾斜配置、無線タグ6に対して垂直な垂直配置など種々の姿勢で配置できるのであって、アンテナ42は自由な位置や姿勢で配置されても構わない。つまり、アンテナ42は、アンテナ42が発する電波出力と、無線タグ6が受信可能な電波強度(感度)とに応じて通信可能に配置される設計がなされてもよい。
【0109】
図18を参照して、前面側電波吸収プレート69を備える変形例を説明する。
図18は、前面側電波吸収プレートを備える変形例を示す側面図である。
【0110】
実施形態の説明では、筐体本体部12の前面部121に電波吸収プレートが設けられない例を示したが、これに限定されない。
図18に示すように、プリンタ100には、筐体本体部12の前面部121に前面側電波吸収プレート69が設けられてもよい。この場合、前面側電波吸収プレート69によって、筐体10の前側への電波漏れの影響を減らすことができる。前面側電波吸収プレート69は、電波吸収体と金属体の一方または両方を含んでもよい。
【0111】
図18の例では、前面側電波吸収プレート69は、前面部121の内面に貼り付けられる。この例では、前面側電波吸収プレート69は、第1部分692および第2部分694を有する。第1部分692は、前面部121の上端近傍から排出口106の上部近傍に至る上下範囲の部分である。第2部分694は、排出口106の下部近傍から前面部121の下端近傍に至る上下範囲の部分である。前面側電波吸収プレート69が、第1部分692および第2部分694を有することは必須ではなく、一方を有しなくてもよい。前面側電波吸収プレート69の各部分の上端位置および下端位置は、電波の影響に関する所望の低減レベルに応じて実験により設定できる。
【0112】
図19を参照して、延伸金属体67の上流側に配置された上流側電波吸収プレート68を備える変形例を説明する。
図19は、上流側電波吸収プレートを備える変形例を示す側面図である。
【0113】
実施形態の説明では、延伸金属体67よりも上流側には、電波吸収体や金属体が設けられていない例を示したが、これに限定されない。無線タグ6の感度が高い場合、微弱な電波でもその影響を受ける可能性がある。そこで、
図19に示すように、プリンタ100には、搬送部7の搬送経路上での延伸金属体67の上流側に上流側電波吸収プレート68が設けられてもよい。この場合、上流側電波吸収プレート68によって、延伸金属体67よりも上流側の無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0114】
上流側電波吸収プレート68は、電波吸収体と金属体の一方または両方を含んでもよい。上流側電波吸収プレート68を連続体M(以下、「ラベル」ということがある)に沿わせることで、電波を受けて欲しくない無線タグ6に対して電波の影響を減らすことができる。上流側電波吸収プレート68は、ラベルに接していなくてもよいし、ラベルに接していてもよい。
【0115】
電波の影響を低減する観点では、上流側電波吸収プレート68は、ラベルの印字面側に設けてもよいし、ラベルの印字面とは反対側に設けてもよい。
図19の例では、上流側電波吸収プレート68は、ラベルの印字面とは反対側に設けられている。この場合、印字面への傷つきを減らせる。
【0116】
上流側電波吸収プレート68は、延伸金属体67とは別ピースの部材として形成されてもよいし、延伸金属体67と一体の部材として形成されてもよい。
【0117】
図19の例では、上流側電波吸収プレート68は、延伸金属体67の上流端からプリンタ100の後方に向かって延在し、ダンパ機構26を越えて印字媒体供給部30の近傍まで前後に延在している。上流側電波吸収プレート68の上流端の位置は、電波の影響に関する所望の低減レベルに応じて実験により設定できる。上流側電波吸収プレート68の幅方向の長さは、延伸金属体67の幅方向の長さと同じであってもよい。
【0118】
実施形態の説明では、無線タグ6の起電と、無線タグ6に対する情報の書き込みとを別々に示したが、これらは一体の書き込みサイクルとして繰り返し実行される。書き込みサイクルにおける起電時間の割合と読込み時間の割合は、一定であってもよい。例えば、書き込みサイクルの周期を100%とするとき、起電時間の割合は20%で、読込み時間の割合は80%のように設定されてもよい。
【0119】
起電時間が一定である場合、無線タグの個体差や筐体10の個体差等に起因して、1サイクルでは十分に起電できずに、リトライを数サイクル繰り返してトータルの時間が長くなることがある。そこで、書き込みサイクルにおける起電時間の割合は変更可能にされてもよい。例えば、書き込みサイクルにおける起電時間の割合を20%から60%に変更し、読込み時間の割合を80%から40%に変更してもよい。この場合、リトライ回数が減りトータルの時間を短縮できる。
【0120】
また、起電時間の割合を変更するために、起電時間の割合を設定する工程を設けてもよい。当該設定工程は、プリンタの製造工程に設けてもよいし、プリンタを設置する工程に設けてもよいし、プリンタをメンテナンスする工程に設けてもよい。
【0121】
実施形態の説明では、印字部20が、熱を用いて印字を行なう構成である例を示したが、これに限定されない。印字部20は、インクジェット方式等の公知の印字方式を採用できる。
【0122】
上述の各変形例は実施形態と同様の作用、効果を奏する。
【0123】
上述した実施形態の構成要素と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0124】
6 無線タグ、 10 筐体、 11 開閉カバー、 12 筐体本体部、 14 第1空間、 16 第2空間、 20 印字部、 26 ダンパ機構、 30 印字媒体供給部、 40 通信部、 42 アンテナ、 44 通信回路、 50 機能部材、 64 追従部材、 67 延伸金属体、 100 プリンタ、 106 排出口、 111 前面部、 112 側面部、 113 上面部、 121 前面部、 123 底面部、 302 ロールガイド部、 341 リボン供給部。