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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106669
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/26 20190101AFI20220712BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20220712BHJP
【FI】
G07D11/26
G07D11/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211121
(22)【出願日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】P 2021001234
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸助
(72)【発明者】
【氏名】末吉 亜左
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA06
3E141CA07
3E141CA16
3E141DA06
3E141FG01
3E141FJ11
(57)【要約】
【課題】エラー発生時に搬送経路から除去される貨幣の取り扱いを操作者が容易に認識可能な貨幣処理装置を提供する。
【解決手段】紙幣処理機1は、紙幣を入金が確定した機内管理貨幣又は入金が未確定の機外管理貨幣の何れかに計数処理する制御部28と、入金処理中に生じたエラーで機体2内に残留した残留貨幣が機内管理貨幣又は機外管理貨幣の何れであるかを判別可能に、残留貨幣が機内管理貨幣に該当する場合と残留貨幣が機外管理貨幣に該当する場合とで異なる態様の光を残留貨幣の近傍で照射する照明部29と、を備えている。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を投入する入金口と、前記貨幣を識別する識別部と、前記貨幣を収納可能な収納庫と、前記貨幣を機内で搬送する搬送路と、外部からの入力操作を受け付ける入力部と、を備えている貨幣処理装置であって、
前記貨幣を入金が確定した機内管理貨幣又は入金が未確定の機外管理貨幣の何れかに計数処理する制御部と、
入金処理中に生じたエラーで前記機内に残留した貨幣である残留貨幣が前記機内管理貨幣又は前記機外管理貨幣の何れであるかを判別可能に、前記残留貨幣が前記機内管理貨幣に該当する場合と前記残留貨幣が前記機外管理貨幣に該当する場合とで異なる態様の光を前記残留貨幣の近傍で照射する照明部と、
を備えていることを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前記機外管理貨幣を収納し、前記機外管理貨幣を前記収納庫に受け渡す一時収納庫をさらに備え、
前記制御部は、入金処理の際に前記入力部に入力された入金確定操作に基づいて、前記一時収納庫に収容された前記機外管理貨幣を前記収納庫に受け渡させるとともに前記収納庫に受け渡された前記機外管理貨幣を前記機内管理貨幣として計数処理することを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記収納庫に所定枚数まで収容された貨幣を前記機内管理貨幣として計数処理し、前記残留貨幣を前記機外管理貨幣として計数処理することを特徴とする請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
貨幣を収納可能な収納庫と、前記貨幣を識別する識別部と、前記貨幣を排出する出金口と、前記貨幣を機内で搬送する搬送路と、前記出金口を開閉する開閉部と、外部からの入力操作を受け付ける入力部と、を備えている貨幣処理装置であって、
前記貨幣を出金が未確定の機内管理貨幣又は出金が確定した機外管理貨幣の何れかに計数処理し、出金処理の際に前記入力部に入力された出金確定操作に基づいて、前記開閉部を開放するとともに前記出金口に収容された前記機内管理貨幣を前記機外管理貨幣として計数処理する制御部と、
出金処理中に生じたエラーで前記機内に残留した貨幣である残留貨幣が前記機内管理貨幣又は前記機外管理貨幣の何れであるかを判別可能に、前記残留貨幣が前記機内管理貨幣に該当する場合と前記残留貨幣が前記機外管理貨幣に該当する場合とで異なる態様の光を前記残留貨幣の近傍で照射する照明部と、
を備えていることを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項5】
前記収納庫から搬送された前記機内管理貨幣を保留可能な保留部をさらに備え、
前記照明部は、入金処理又は出金処理と並行して前記収納庫に収納された前記機内管理貨幣を前記保留部に搬送させる移動処理中に生じたエラーで前記機内に残留した前記機内管理貨幣を入金処理又は出金処理において前記機内に残留した前記機外管理貨幣と判別可能な光を照射することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記照明部が照射する光の態様は、前記機内管理貨幣又は前記機外管理貨幣に応じて異なる色又は異なる発光時間の何れか一方又はそれらを組み合わせて設定されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
前記照明部が照射する光の色又は発光時間は、任意に変更可能であることを特徴とする請求項6に記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
前記照明部は、前記識別部のCIS光源であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記貨幣を模した媒体を用いて行うメンテナンス処理において、前記媒体を計数処理し、
前記照明部は、前記メンテナンス処理中に生じたエラーで前記機内に前記媒体が残留した際に、前記残留貨幣が前記機内管理貨幣又は前記機外管理貨幣の何れであるかの判別に用いた光と異なる態様の光を照射することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記機内管理貨幣又は前記機外管理貨幣の何れにも属さない前記貨幣を管理不明貨幣と計数処理し、
前記照明部は、前記残留貨幣が前記機内管理貨幣、前記機外管理貨幣又は前記管理不明貨幣の何れであるかを判別可能に、前記残留貨幣が前記機内管理貨幣に該当する場合と前記残留貨幣が前記機外管理貨幣に該当する場合と前記残留貨幣が前記管理不明貨幣に該当する場合とでそれぞれ異なる態様の光を照射することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貨幣処理装置として、搬送路上の硬貨の通過を検出する通過検出手段を備えた硬貨入出金機であって、硬貨の搬送異常の際に、通過検出手段が通過を検知しておらず機外の取り扱いである硬貨を機外へ除去するよう報知を行うとともに、通過検出手段が通過を検知しており機内の取り扱いである硬貨を機内へ収納するよう報知を行う硬貨入出金機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-249840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、貨幣処理装置において、貨幣の搬送異常に起因するエラーは入金時、出金時、精査処理時、バラから束や棒金への整理処理等の貨幣の移動を伴う全ての処理で生じ得るところ、エラーの復旧作業では、搬送元から搬送先までの搬送路等の貨幣の搬送経路に残存する全ての貨幣を取り除く必要がある。
【0005】
貨幣の搬送経路から取り除かれた貨幣の取り扱いは、貨幣処理装置の表示画面に表示されたガイダンス等で確認可能であるが、複数の処理を並行して行う場合に生じたエラーでは、取り除かれた各貨幣の取り扱いは処理によって異なるにもかかわらず、表示画面に表示される貨幣の取り扱いは貨幣の搬送経路上に残留する貨幣の一部の取り扱いを表示するに留まり、貨幣の搬送経路上に残留する貨幣の全ての取り扱いを正確に把握することは困難であるという問題があった。
【0006】
また、表示画面に取り扱いが表示された貨幣であっても、操作者が、貨幣の搬送経路等に残留する貨幣の取り扱いを表示画面で確認しながら該当する貨幣を搬送経路から取り除く作業は煩雑であった。
【0007】
そこで、エラー発生時に搬送経路から除去される貨幣の取り扱いを操作者が容易に認識するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る貨幣処理装置は、貨幣を投入する入金口と、前記貨幣を識別する識別部と、前記貨幣を収納可能な収納庫と、前記貨幣を機内で搬送する搬送路と、外部からの入力操作を受け付ける入力部と、を備えている貨幣処理装置であって、前記貨幣を入金が確定した機内管理貨幣又は入金が未確定の機外管理貨幣の何れかに計数処理する制御部と、入金処理中に生じたエラーで前記機内に残留した貨幣である残留貨幣が前記機内管理貨幣又は前記機外管理貨幣の何れであるかを判別可能に、前記残留貨幣が前記機内管理貨幣に該当する場合と前記残留貨幣が前記機外管理貨幣に該当する場合とで異なる態様の光を前記残留貨幣の近傍で照射する照明部と、を備えている。
【0009】
この構成によれば、照明部が照射する光の態様に応じて機内の残留貨幣が機内管理貨幣又は機外管理貨幣の何れであるかを判別可能なため、貨幣処理装置の表示画面等で残留貨幣の取り扱いを視認することなく、操作者が機内から取り除いた残留貨幣の取り扱いを簡便に把握でき、短時間でエラーを解消することができる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る貨幣処理装置は、貨幣を収納可能な収納庫と、前記貨幣を識別する識別部と、前記貨幣を排出する出金口と、前記貨幣を機内で搬送する搬送路と、前記出金口を開閉する開閉部と、外部からの入力操作を受け付ける入力部と、を備えている貨幣処理装置であって、前記貨幣を出金が未確定の機内管理貨幣又は出金が確定した機外管理貨幣の何れかに計数処理し、出金処理の際に前記入力部に入力された出金確定操作に基づいて、前記開閉部を開放するとともに前記出金口に収容された前記機内管理貨幣を前記機外管理貨幣として計数処理する制御部と、出金処理中に生じたエラーで前記機内に残留した貨幣である残留貨幣が前記機内管理貨幣又は前記機外管理貨幣の何れであるかを判別可能に、前記残留貨幣が前記機内管理貨幣に該当する場合と前記残留貨幣が前記機外管理貨幣に該当する場合とで異なる態様の光を前記残留貨幣の近傍で照射する照明部と、を備えている。
【0011】
この構成によれば、照明部が照射する光の態様に応じて機内の残留貨幣が機内管理貨幣又は機外管理貨幣の何れであるかを判別可能なため、貨幣処理装置の表示画面等で残留貨幣の取り扱いを視認することなく、操作者が機内から取り除いた残留貨幣の取り扱いを簡便に把握でき、短時間でエラーを解消することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、照明部が照射する光の態様に応じて機内の残留貨幣が機内管理貨幣又は機外管理貨幣の何れであるかを判別可能なため、操作者が機内から取り除いた残留貨幣の取り扱いを簡便に把握でき、短時間でエラーを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置の構成を模式的に示す断面図である。
図2】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置の構成を模式的に示す断面図であって、バラ紙幣入金処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図3】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置の構成を模式的に示す断面図であって、収納処理の第1処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図4】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置の構成を模式的に示す断面図であって、収納処理の第2処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図5】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置の構成を模式的に示す断面図であって、返却処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図6】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置の構成を模式的に示す断面図であって、バラ紙幣出金処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図7】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置の構成を模式的に示す断面図であって、束紙幣出金処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図8】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置の構成を模式的に示す断面図であって、ローカル整理処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図9】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置の構成を模式的に示す断面図であって、回収処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図10】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置の構成を模式的に示す断面図であって、回収処理の回収リジェクト紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図11】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置の構成を模式的に示す断面図であって、精査処理の往路ルートを太線で示すものである。
図12】搬送路の表面に設けられた照明部の設置位置を模式的に示す平面図である。
図13図12中のA-A線断面図である。
図14】搬送路の側方に設けられた照明部の設置位置を模式的に示す平面図である。
図15図14の縦断面図である。
図16】搬送路の上方に設けられた照明部の設置位置を模式的に示す側面図である。
図17】識別部の照明部の構造を模式的に示す縦断面図である。
図18】機内管理紙幣に関するエラーウィンドウを示す図。
図19】機外管理紙幣に関するエラーウィンドウを示す図。
図20】管理不明紙幣に関するエラーウィンドウを示す図。
図21】本発明に係る貨幣処理装置の変形例である計数機を示す斜視図である。
図22】計数機の内部構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る紙幣処理機1について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0015】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0016】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0017】
本発明に係る一実施形態である紙幣処理機1を図面に基づいて説明する。本実施形態の紙幣処理機1は、紙幣についての入出金処理等を行うものである。以下では、バラ紙幣を単に紙幣と称し、紙幣を所定の結束単位枚数(100枚)で結束した紙幣を束紙幣と称す。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の紙幣処理機1は、その機体2の前面側の上部に入金口3及び出金口4が設けられている。出金口4は、入金口3の上側に設けられている。
【0019】
入金口3は、開閉可能な図示略のシャッタを有しており、シャッタが開状態とされて機外から紙幣が投入され、その後、シャッタが閉じられて紙幣を機内に繰り出す。入金口3には、機体前面側から見て紙幣が左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積されて載置されることになり、下部に、入金口3上に集積された紙幣を下端のものから一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて機内へ繰り出す入金繰出部5が設けられている。紙幣は、紙幣処理機1内で、基本的にその短手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で搬送される。
【0020】
入金口3から紙幣を繰り出す入金繰出部5は、入金口3に集積された紙幣のうちの最も下側の紙幣の短手方向の中間部に当接して、これを機内側に蹴り出す蹴出ローラ5aと、蹴出ローラ5aで蹴り出された紙幣を機内に繰り出す繰出ローラ5bと、繰出ローラ5bに対し停止することで、繰出ローラ5bが機内に繰り出す紙幣を一枚ずつに分離する分離ローラ5cとを備えている。入金繰出部5の直後位置には、入金繰出部5から繰り出された紙幣に、複数枚重なった状態の重送、搬送方向に対し斜めの姿勢となる斜行、あるいは隣り合う紙幣同士の搬送間隔が狭いニアフィード等の搬送異常があるか否かと、半券等の形状異常があるか否かを光学的に検出する入口センサ6が設けられている。
【0021】
出金口4は、開閉可能な図示略のシャッタを有しており、シャッタが閉状態とされて機内から出金用の紙幣が繰り出され、その後、シャッタが開かれることで紙幣が機外に取り出される。換言すれば、出金口4は、紙幣を機外に取り出し可能とする。出金口4は、機内から繰り出された紙幣が、機体前面側から見て左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積されて載置されることになる。出金口4は、シャッタが閉じられた状態で、紙幣を貯留可能であり、貯留している紙幣を機内に繰り出し可能となっている。
【0022】
紙幣処理機1の後部には、入金口3から繰り出された紙幣の真偽と、真紙幣の金種と、重送、斜行あるいはニアフィード等の搬送異常の有無等を識別する識別部7が設けられている。識別部7は、紙幣の表裏、上下(天地)及び左右等も識別する。
【0023】
入金口3及び出金口4の後方には、紙幣を整列させて所定の結束単位枚数ずつ集積させる複数、具体的には2カ所の整列部8、9が設けられている。また、これらの整列部8、9の後方には、整列部8、9で集積された結束単位枚数の紙幣を上方に搬送する昇降搬送部10が設けられている。また、整列部8、9の上方には、整列部8、9で集積され昇降搬送部10で搬送されてきた結束単位枚数の紙幣に結束テープを巻き回して束紙幣とする結束部11が設けられている。この結束部11の前側には結束部11で作成された束紙幣を機外に取り出し可能に繰り出す束出金部12が設けられている。束出金部12も開閉可能な図示略のシャッタを有しており、シャッタが閉状態とされて機内から束紙幣が繰り出され、その後、シャッタが開かれることで束紙幣が機外に取り出される。結束部11の側方には、結束部11で結束された束紙幣を収納する図示略の束収納部が設けられている。
【0024】
紙幣処理機1の下部には、複数、具体的には4個の同様の構造の収納庫13が、上下左右の位置を合わせて前後に並べられている。これら収納庫13は、紙幣を一時貯留可能であって一時貯留している紙幣を繰り出し可能であり、紙幣を収納可能であって収納している紙幣を繰り出し可能である。これら収納庫13は、機体2から取り外し不可であり、機体2から一体に引き出し可能となっている。
【0025】
紙幣処理機1において、最も奥側に配置された収納庫13A、奥から2番目に配置された収納庫13B及び奥から3番目に配置された収納庫13Cは、何れも所定の単一金種の汚損のない紙幣を下から上に集積させた状態で繰り出し可能となるように収納するものである。奥から4番目に配置された収納庫13Dは、所定のその他の紙幣を下から上に集積させた状態で繰り出し可能となるように収納するものである。
【0026】
収納庫13Aは、紙幣処理機1に受け入れ可能な受入可能紙幣のうち、所定の第1種の紙幣(例えば現行万円券の汚損のない正常紙幣)を、収納庫13Bは、所定の第2種の紙幣(例えば現行五千円券の汚損のない正常紙幣)を、収納庫13Cは、所定の第3種の紙幣(例えば現行千円券の汚損のない正常紙幣)を、収納庫13Cは、第1~第3種以外の第4種の紙幣(例えば、すべての二千円券、現行万円券の汚損のある汚損紙幣、すべての旧万円券、現行五千円券の汚損のある汚損紙幣、すべての旧五千円券、現行千円券の汚損のある汚損紙幣、及びすべての旧千円券)を、それぞれ繰り出し可能に収納する。すなわち、紙幣処理機1は、単一金種の現行の汚損のない正常紙幣用の収納庫13A~13Cを複数個、金種別に備えている。なお、収納庫13は、紙幣を分類して収納できるように複数個設けられていれば良く、収納パターンは、上記に限らない。
【0027】
収納庫13A~13Dのそれぞれの上部には、それぞれの内部に紙幣を取り込んで下から上に集積させるとともに内部の紙幣を最上のものから一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出す取込繰出部14が設けられている。収納庫13A~13Dのそれぞれには、紙幣を収容する内部空間を上下に仕切る昇降可能かつ開閉可能なセパレータ15(底部)と、内部空間内を昇降するエレベータ16とが設けられている。
【0028】
取込繰出部14は、セパレータ15上あるいはエレベータ16上に集積された紙幣のうちの最上位置の紙幣の短手方向の中間部に当接して、これを収納庫13外に向け蹴り出す蹴出ローラ14aと、蹴出ローラ14aで蹴り出された紙幣を収納庫13外に繰り出す繰出ローラ14bと、繰出ローラ14bに対し停止することで、繰出ローラ14bが収納庫13外に繰り出す紙幣を一枚ずつに分離する分離ローラ14cとを備えている。繰出ローラ14bは、この繰り出し時とは逆向きに回転することで、連れ回りする分離ローラ14cとで紙幣を挟持して収納庫13内に取り込む。
【0029】
セパレータ15は、同一高さで水平に配置された一対の昇降支軸15aと、一対の板状のセパレータ本体15bとを備えている。一方のセパレータ本体15bは、一方の昇降支軸15aに支持されており、この昇降支軸15aを中心に回転可能となっている。他方のセパレータ本体15bは、他方の昇降支軸15aに支持されており、この昇降支軸15aを中心に回転可能となっている。セパレータ15は、閉状態にあるとき、一方のセパレータ本体15bが、一方の昇降支軸15aから他方の昇降支軸15aに向けて水平に延出し、他方のセパレータ本体15bが、他方の昇降支軸15aから一方の昇降支軸15aに向けて水平に延出する。
【0030】
セパレータ15は、開状態にあるとき、一方のセパレータ本体15bが閉状態に対して90度回転して一方の昇降支軸15aから鉛直下方に延出することになり、他方のセパレータ本体15bが閉状態に対して90度回転して他方の昇降支軸15aから鉛直下方に延出することになる。セパレータ15は、一対の昇降支軸15aが常に高さを合わせて昇降することになり、一対のセパレータ本体15bは同期して開作動し、同期して閉作動する。収納庫13A~13Dのそれぞれのセパレータ15は、個別の駆動機構で駆動されることになり、単独で昇降及び開閉が制御される。
【0031】
セパレータ15は、閉状態にあるとき、これが設けられた収納庫13を、セパレータ15を含むセパレータ15から上側の一時貯留部17と、セパレータ15よりも下側の収納部18とに区画する。換言すれば、収納庫13は、セパレータ15によって、一時貯留エリアである一時貯留部17と、その直下の収納エリアである収納部18とに区分されている。
【0032】
セパレータ15は、閉状態にあるとき、一時貯留部17の底部を構成することになり、取込繰出部14が取り込んだ紙幣を載置させ、下から上へと集積させる。その際に、セパレータ15は、取込繰出部14が取り込んだ紙幣の量に応じて下降する。また、セパレータ15は、載置させた紙幣の最上位置の紙幣を、上昇して取込繰出部14の蹴出ローラ14aに当接させる。この状態で、取込繰出部14が紙幣を一枚ずつ分離して一時貯留部17から繰り出す。その際に、セパレータ15は、取込繰出部14が繰り出した紙幣の量に応じて上昇する。
【0033】
セパレータ15が開状態にあるとき、このセパレータ15が設けられた収納庫13の一時貯留部17と収納部18とが連続する状態になる。この状態で、取込繰出部14が取り込んだ紙幣を、エレベータ16が載置させ、下から上へと集積させる。その際に、エレベータ16は、取込繰出部14が取り込んだ紙幣を、その上あるいはその上の紙幣上に受け入れる受入位置まで一旦上昇し、その後、取込繰出部14が取り込んだ紙幣の量に応じて下降する。
【0034】
よって、収納庫13Aは、セパレータ15が開状態にあるとき、取込繰出部14が取り込んだ紙幣を、連続する一時貯留部17と収納部18とに、一時貯留部17において受け入れてエレベータ16上に集積させる。その後、エレベータ16が下降してエレベータ16上の紙幣が収納部18に至ってからセパレータ15が閉じられると、収納庫13Aは、収納部18が紙幣を収納する状態になる。
【0035】
同様に、収納庫13Bは、セパレータ15が開状態にあるとき、取込繰出部14が取り込んだ紙幣を、連続する一時貯留部17と収納部18とに、一時貯留部17において受け入れてエレベータ16上に集積させる。その後、エレベータ16が下降してエレベータ16上の紙幣が収納部18に至ってからセパレータ15が閉じられると、収納庫13Bは、収納部18が紙幣を収納する状態になる。
【0036】
同様に、収納庫13Cは、セパレータ15が開状態にあるとき、取込繰出部14が取り込んだ紙幣を、連続する一時貯留部17と収納部18とに、一時貯留部17において受け入れてエレベータ16上に集積させる。その後、エレベータ16が下降してエレベータ16上の紙幣が収納部18に至ってからセパレータ15が閉じられると、収納庫13Cは、収納部18が紙幣を収納する状態になる。
【0037】
同様に、収納庫13Dは、セパレータ15が開状態にあるとき、取込繰出部14が取り込んだ紙幣を、連続する一時貯留部17と収納部18とに、一時貯留部17において受け入れてエレベータ16上に集積させる。その後、エレベータ16が下降してエレベータ16上の紙幣が収納部18に至ってからセパレータ15が閉じられると、収納庫13Dは、収納部18が紙幣を収納する状態になる。
【0038】
セパレータ15が開状態にあって、このセパレータ15が設けられた収納庫13の一時貯留部17と収納部18とが連続する状態で、この収納部18のエレベータ16が上昇すると、このエレベータ16は、載置させた紙幣のうちの最上位置の紙幣を取込繰出部14の蹴出ローラ14aに当接させる。この状態で、取込繰出部14が、紙幣を一枚ずつ分離して、連続する一時貯留部17及び収納部18から、一時貯留部17において繰り出す。その際に、エレベータ16は、取込繰出部14から繰り出された紙幣の量に応じて上昇する。収納庫13A~13Dのそれぞれのエレベータ16は、個別の駆動機構で駆動されることになり、単独で昇降が制御される。
【0039】
収納庫13A~13Dは、それぞれ、エレベータ16を最下の待機位置に位置させ、エレベータ16上の紙幣をセパレータ15よりも下側に位置させて、セパレータ15を閉じ、セパレータ15を上部の所定の待機位置に位置させて、取込繰出部14が取り込んだ紙幣をセパレータ15上に集積開始可能な状態が、待機状態となっている。よって、収納庫13A~13Dは、それぞれ、待機状態にあるとき、一時貯留部17が空となっている。収納庫13A~13Dの待機状態は、貯留紙幣を一時貯留部17に受け入れる貯留受入状態である。
【0040】
また、複数の収納庫13A~13Dは、それぞれ、エレベータ16を最下の待機位置に位置させ、セパレータ15を閉じ、セパレータ15上の最上位置の紙幣を取込繰出部14の蹴出ローラ14aに当接させる状態が、一時貯留部17のセパレータ15上に載置されている紙幣を繰り出す貯留紙幣繰出状態となっている。
【0041】
また、複数の収納庫13A~13Dは、それぞれ、セパレータ15を開き、エレベータ16上、あるいはエレベータ16上の最上位置の紙幣の上に、取込繰出部14が取り込んだ紙幣を集積させる状態が、連続する一時貯留部17及び収納部18に紙幣を受け入れる直収納受入状態となっている。複数の収納庫13A~13Dは、それぞれ、セパレータ15を開状態としてエレベータ16上に紙幣を受け入れた後、エレベータ16を下降させて、エレベータ16上の紙幣がすべて、開状態のセパレータ15よりも下側に位置すると、セパレータ15を閉じる。この状態で、紙幣が収納部18に収納される。複数の収納庫13A~13Dのそれぞれの収納部18は、上方の、セパレータ15が開かれた状態の一時貯留部17を介して紙幣を受け入れて収納する。
【0042】
また、複数の収納庫13A~13Dは、それぞれ、それまで一時貯留部17のセパレータ15上に貯留されていてセパレータ15の開作動で落下させられる紙幣を、エレベータ16上、あるいはエレベータ16上の最上位置の紙幣の上に集積可能な状態が、一時貯留部17のセパレータ15上に載置されている紙幣を収納部18のエレベータ16上に受け入れる貯留収納受入状態となっている。
【0043】
また、複数の収納庫13A~13Dは、それぞれ、セパレータ15を開き、エレベータ16上の最上位置の紙幣を取込繰出部14の蹴出ローラ14aに当接させる状態が、収納部18に収納していた紙幣を一時貯留部17を介して繰り出す収納紙幣繰出状態となっている。
【0044】
以上により、複数の収納庫13A~13Dのそれぞれの収納部18の上方には、底部であるセパレータ15が開閉可能であって紙幣を繰り出し可能に一時貯留する一時貯留部17が設けられている。また、複数の収納庫13A~13Dのそれぞれの収納部18は、それぞれ、セパレータ15が開状態の上方の一時貯留部17を介して紙幣を受け入れて収納することになる。換言すれば、複数の収納庫13A~13Dのそれぞれの収納部18は、上方の、底部であるセパレータ15が開かれた状態の一時貯留部17を介して紙幣を受け入れて収納することになる。
【0045】
収納庫13A~13Dは、一体で機体2から側方に引き出し可能であり、機体2から一体に引き出された状態で、一時貯留部17が開閉可能となっている。収納庫13A~13Dは、それぞれ、一時貯留部17が開かれることで、一時貯留部17に一時貯留している紙幣が外部に取り出し可能となる。なお、収納庫13A~13Dは、一時貯留部17が開かれても、そのセパレータ15が閉じられた状態にあれば、このセパレータ15よりも下方の収納部18に収納されている紙幣は、一時貯留部17側からは、取り出し不可となっている。
【0046】
紙幣処理機1の下部には、収納庫13Dの前側に、入金処理時に紙幣処理機1に受け入れ可能な受入可能紙幣を金種混合で一時貯留する一括一時貯留部としてのカセット19が設けられている。カセット19は、機体2から取り外し可能であって回収処理時に金種別の収納部18から繰り出された紙幣を取り込んで収納するとともに、補充処理時に補充用の紙幣が機外で装填され、装填された紙幣を繰り出す。カセット19は、金種別の収納庫13A~13Dと上下左右の位置を合わせて前後に並んでいる。カセット19は、紙幣の収納容量が、収納庫13A~13Dのそれぞれの収納容量よりも大きくなっている。
【0047】
カセット19は、紙幣を金種混合で下から上に集積させた状態で一時貯留するとともに、一時貯留している紙幣を後に繰り出し可能となるように収納するものであり、その上部には、内部に紙幣を取り込むとともに内部の紙幣を最上位置のものから一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出す取込繰出部20が設けられている。カセット19には、紙幣を収容する内部空間を上下に仕切る昇降可能かつ開閉可能なセパレータ21(底部)と、内部空間内を昇降するエレベータ22とが設けられている。
【0048】
取込繰出部20は、セパレータ21上あるいはエレベータ22上に集積された紙幣のうちの最上位置の紙幣の短手方向の中間部に当接して、これをカセット19外に向けて蹴り出す蹴出ローラ20aと、蹴出ローラ20aで蹴り出された紙幣をカセット19外に繰り出す繰出ローラ20bと、繰出ローラ20bに対し停止することで、繰出ローラ20bがカセット19外に繰り出す紙幣を一枚ずつに分離する分離ローラ20cとを備えている。繰出ローラ20bは、この繰り出し時とは逆向きに回転することで、連れ回りする分離ローラ20cとで紙幣を挟持してカセット19内に取り込む。
【0049】
セパレータ21は、同一高さで水平に配置された一対の昇降支軸21aと、一対の板状のセパレータ本体21bとを備えている。一方のセパレータ本体21bは、一方の昇降支軸21aに支持されており、この昇降支軸21aを中心に回転可能となっている。他方のセパレータ本体21bは、他方の昇降支軸21aに支持されており、この昇降支軸21aを中心に回転可能となっている。セパレータ21は、閉状態にあるとき、一方のセパレータ本体21bが一方の昇降支軸21aから他方の昇降支軸21aに向けて水平に延出し、他方のセパレータ本体21bが他方の昇降支軸21aから一方の昇降支軸21aに向けて水平に延出する。
【0050】
セパレータ21は、開状態にあるとき、一方のセパレータ本体21bが閉状態に対して90度回転して一方の昇降支軸21aから鉛直下方に延出することになり、他方のセパレータ本体21bが閉状態に対して90度回転して他方の昇降支軸21aから鉛直下方に延出することになる。セパレータ21は、一対の昇降支軸21aが常に高さを合わせて昇降することになり、一対のセパレータ本体21bは同期して開作動し、同期して閉作動する。カセット19のセパレータ21は、収納庫13A~13Dのそれぞれのセパレータ15とは別の駆動機構で駆動されることになり、単独で昇降及び開閉が制御される。
【0051】
セパレータ21は、閉状態にあるとき、カセット19を、セパレータ21を含むセパレータ21から上側の一時貯留部23と、セパレータ21よりも下側の収納部24とに区画する。換言すれば、カセット19は、セパレータ21によって、一時貯留エリアである一時貯留部23と、その直下の収納エリアである収納部24とに区分されている。
【0052】
セパレータ21は、閉状態にあるとき、一時貯留部23の底部を構成することになり、取込繰出部20が取り込んだ紙幣を載置させ、下から上へと集積させる。その際に、セパレータ21は、取込繰出部20が取り込んだ紙幣の量に応じて下降する。また、セパレータ21は、載置させた紙幣の最上位置の紙幣を、上昇して取込繰出部20の蹴出ローラ20aに当接させる。この状態で、取込繰出部20が紙幣を一枚ずつ分離して一時貯留部23から繰り出す。その際に、セパレータ21は、取込繰出部20が繰り出した紙幣の量に応じて上昇する。
【0053】
セパレータ21が開状態にあるとき、カセット19の一時貯留部23と収納部24とが連続する状態になる。この状態で、エレベータ22が、取込繰出部20が取り込んだ紙幣を載置させ、下から上へと集積させる。その際に、エレベータ22は、取込繰出部20が取り込んだ紙幣を、その上あるいはその上の紙幣上に受け入れる受入位置まで一旦上昇し、取込繰出部20が取り込んだ紙幣の量に応じて下降する。
【0054】
カセット19は、セパレータ21が開状態にあるとき、取込繰出部20が取り込んだ紙幣を、連続する一時貯留部23と収納部24とに、一時貯留部23において受け入れてエレベータ22上に集積させる。その後、エレベータ22が下降してエレベータ22上の紙幣が収納部24に至ってからセパレータ21が閉じられると、カセット19は収納部24が紙幣を収納する状態になる。
【0055】
セパレータ21が開状態にあって、カセット19の一時貯留部23と収納部24とが連続する状態で、収納部24のエレベータ22が上昇すると、このエレベータ22は、載置させた紙幣のうちの最上位置の紙幣を取込繰出部20の蹴出ローラ20aに当接させる。この状態で、取込繰出部20が紙幣を一枚ずつ分離して、連続する一時貯留部23及び収納部24から、一時貯留部23において繰り出す。その際に、エレベータ22は、取込繰出部20から繰り出された紙幣の量に応じて上昇する。カセット19のエレベータ22は、収納庫13A~13Dのそれぞれのエレベータ16とは別の駆動機構で駆動されることになり、単独で昇降が制御される。
【0056】
カセット19は、エレベータ22を最下の待機位置に位置させ、エレベータ22上の紙幣をセパレータ21よりも下側に位置させて、セパレータ21を閉じ、セパレータ21を上部の所定の待機位置に位置させて、取込繰出部20が取り込んだ紙幣を、セパレータ21上に集積開始可能な状態が、待機状態となっている。よって、カセット19は、待機状態にあるとき、一時貯留部23が空となっている。カセット19の待機状態は、貯留紙幣を一時貯留部23に受け入れる貯留受入状態である。
【0057】
また、カセット19は、エレベータ22を最下の待機位置に位置させ、セパレータ21を閉じ、セパレータ21上の最上位置の紙幣を取込繰出部20の蹴出ローラ20aに当接させる状態が、一時貯留部23のセパレータ21上に載置されている紙幣を繰り出す貯留紙幣繰出状態となっている。
【0058】
また、カセット19は、セパレータ21を開き、エレベータ22上、あるいはエレベータ22上の最上位置の紙幣の上に、取込繰出部20が取り込んだ紙幣を集積させる状態が、連続する一時貯留部23及び収納部24に、一時貯留部23において紙幣を受け入れる直収納受入状態となっている。カセット19は、セパレータ21を開状態としてエレベータ22上に紙幣を受け入れた後、エレベータ22を下降させて、エレベータ22上の紙幣がすべて、開状態のセパレータ21よりも下側に位置すると、セパレータ21を閉じる。この状態で、紙幣が収納部24に収納される。よって、収納部24は、上方の、底部であるセパレータ21が開かれた状態の一時貯留部23を介して紙幣を受け入れて収納することになる。
【0059】
また、カセット19は、セパレータ21を開き、エレベータ22上の最上位置の紙幣を取込繰出部20の蹴出ローラ20aに当接させる状態が、収納部24に収納していた紙幣を一時貯留部23を介して繰り出す収納紙幣繰出状態となっている。
【0060】
以上により、カセット19の収納部24の上方には、底部であるセパレータ21が開閉可能であって紙幣を繰り出し可能に一時貯留する一時貯留部23が設けられている。また、カセット19は、セパレータ21を開状態として、取込繰出部20が取り込んだ紙幣を、一時貯留部23を介して、セパレータ21の下方の収納部24に収納する。換言すれば、一時貯留部23の底部であるセパレータ21の下方には、セパレータ21が開かれた状態の一時貯留部23を介して紙幣を受け入れて収納する収納部24が設けられている。
【0061】
紙幣処理機1の内部には、入金口3から入金繰出部5で繰り出された紙幣を含んで紙幣を搬送する搬送部25が各部を適宜繋ぐように設けられている。搬送部25は、紙幣を、基本的にその短手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で移動させる。
【0062】
搬送部25は、機体2の前部に設けられた入金口3の紙幣を機体2の後部に設けられた識別部7に向けて搬送し、さらに、機体2の前部に設けられたカセット19に向けて搬送する搬送路25Aを備えている。搬送路25Aは、入金口3の入金繰出部5から後方に、後述する搬送路25Jと搬送路25Mとの間まで延出した後、下方に延出し、その後、後方に延出して識別部7を通り、下側にて前向きに折り返して前方に延出して紙幣処理機1の前端から下方に延出してカセット19の取込繰出部20に繋がっている。
【0063】
また、搬送部25は、搬送路25Aにおけるカセット19への接続位置と識別部7との間から下方に分岐して収納庫13Aの取込繰出部14に繋がる搬送路25Cと、搬送路25Aにおけるカセット19への接続位置と搬送路25Cの分岐位置との間から下方に分岐して収納庫13Bの取込繰出部14に繋がる搬送路25Dと、搬送路25Aにおけるカセット19への接続位置と搬送路25Dの分岐位置との間から下方に分岐して収納庫13Cの取込繰出部14に繋がる搬送路25Eと、搬送路25Aにおけるカセット19への接続位置と搬送路25Eの分岐位置との間から下方に分岐して収納庫13Dの取込繰出部14に繋がる搬送路25Fとを備えている。
【0064】
また、搬送部25は、搬送路25Aにおける最もカセット19側から上方に分岐した後に後方に延出して搬送路25Aの入金口3から識別部7に向かいつつ下方に延出する部分の下部に繋がる搬送路25Gと、搬送路25Aにおける搬送路25Fの分岐位置と搬送路25Gの分岐位置との間位置から上方に分岐して搬送路25Gの途中位置に繋がる搬送路25Hと、搬送路25Gにおける搬送路25Hの接続位置と後部の搬送路25Aへの接続位置との間位置から上方に分岐して搬送路25Aにおける搬送路25Gの後部の接続位置と入口センサ6との間に繋がる搬送路25Jとを備えている。
【0065】
また、搬送部25は、搬送路25Aにおける搬送路25Jの接続位置と搬送路25Gの後部の接続位置との間から後方に分岐した後、上方に延出し、その後、前方に延出して出金口4に繋がる搬送路25Lを備えている。
【0066】
また、搬送部25は、搬送路25Aにおける搬送路25Gの後部の接続位置と識別部7との間から上方に分岐して搬送路25Lの中間位置に接続される搬送路25Mと、搬送路25Aにおける搬送路25Mの分岐位置と識別部7との間から分岐して搬送路25Mの中間位置に繋がる搬送路25Nとを備えている。搬送路25Nには、紙幣の表裏を反転させる表裏反転部26が設けられている。
【0067】
また、搬送部25は、搬送路25Lにおける出金口4と搬送路25Mの合流位置との間から後方に分岐して整列部8に繋がる搬送路25Pと、搬送路25Lにおける搬送路25Pの分岐位置と搬送路25Mの合流位置との間から後方に分岐して整列部9に繋がる搬送路25Qとを備えている。
【0068】
識別部7は、搬送部25によって搬送される紙幣を識別することになり、収納庫13A~13D及びカセット19は、識別部7によって識別した紙幣を、識別部7の識別結果に基づいて、繰り出し可能に収納する。
【0069】
紙幣処理機1は、操作者によって操作入力がなされるとともに操作者に対して表示を行う操作表示部27と、紙幣処理機1の全体を制御する制御部28とを備えている。
【0070】
紙幣処理機1は、紙幣を搬送する経路上に設けられた照明部29を備えている。照明部29は、例えば、LEDライトやLEDシール等であるが、これらに限定されるものではない。照明部29の設置箇所は、機体2内の紙幣の搬送経路上又はその近傍に設定される。なお、紙幣の搬送経路とは、紙幣が搬送され得る機体2内の各種装置及び搬送部25を総称するものであり、例えば、入金口3、出金口4、識別部7、収納庫13A~13D、カセット19又は搬送部25等であるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
照明部29は、制御部28によって、照射する光の態様を任意に変更可能である。なお、「光の態様」とは、例えば、照明部29が照射する光の色又は照明部29が光を点灯又は点滅させる場合の発光時間等である。照明部29に関する詳しい説明は後述する。
【0072】
次に、本実施形態の紙幣処理機1の各処理について説明する。
【0073】
待機状態にあるとき、収納庫13A~13Dは、すべての一時貯留部17を空の状態としており、収納部18には通常は紙幣を収納している。また、収納庫13A~13Dのセパレータ15は、閉状態で紙幣を受け入れて集積開始可能な待機位置に位置しており、エレベータ16は最下の待機位置に位置している。また、カセット19は、一時貯留部23を空の状態としており、収納部24には場合により紙幣を収納している。また、カセット19のセパレータ21は、閉状態で紙幣を受け入れて集積開始可能な上部の待機位置に位置しており、エレベータ22は最下の待機位置に位置している。
【0074】
[入金処理]
図2の太線は、機外から入金口3に投入された紙幣を搬送しつつ識別及び計数して一時貯留する入金処理の紙幣搬送ルートを示している。つまり、入金口3に紙幣が投入されて、操作表示部27に入金処理の選択操作がなされると、制御部28は、入金処理を開始して、入金繰出部5と、搬送部25と、待機状態にあるカセット19の取込繰出部20とを駆動する。すると、入金繰出部5は、入金口3に投入された紙幣を最下のものから順に、蹴出ローラ5aで繰出ローラ5b及び分離ローラ5cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路25Aが搬送することになる。入金繰出部5から繰り出された紙幣は、繰り出し直後に入口センサ6で、搬送異常の有無と形状異常の有無とが検出される。
【0075】
制御部28は、入口センサ6で搬送異常あるいは形状異常があることが検出された入金リジェクト紙幣については、図2に太実線から太一点鎖線に示すように、搬送路25Aの入金口3側の部分と搬送路25M、25Lとで出金口4に搬送する。すなわち、入口センサ6で搬送異常あるいは形状異常があることが検出された入金リジェクト紙幣については、入金口3から識別部7に向かう搬送路25Aから分岐し、分岐後はこの搬送路25Aに交わることがない搬送路25M、25Lで、識別部7に搬送することなく出金口4に搬送する。
【0076】
他方、入口センサ6で搬送異常及び形状異常のいずれも検出されなかった紙幣については、図2に太実線で示すように、搬送路25Aで識別部7に搬送する。そして、この搬送中に識別部7が紙幣を識別及び計数することになり、制御部28は、識別部7で受け入れ可能と識別した紙幣、すなわち取り扱い可能な金種の真券で正常搬送の入金正常紙幣を、図2に太実線で示すように、搬送路25Aで待機状態のカセット19に搬送する。これにより、カセット19が、その取込繰出部20によって、一時貯留部23の閉状態で待機位置にあるセパレータ21上に紙幣を金種混合で集積させることになる。すなわち、受け入れ可能と識別した入金正常紙幣をカセット19の一時貯留部23に一時貯留する。その際に、制御部28は、カセット19の一時貯留部23の紙幣の貯留量を監視しており、セパレータ21を閉状態のまま紙幣の貯留量に応じた量ずつ下降させることになる。
【0077】
他方、制御部28は、入金口3から入金繰出部5で繰り出された紙幣のうち、識別部7で受け入れ不可と識別した紙幣、すなわち金種識別できない金種識別不良の紙幣と、重送、斜行あるいはニアフィード等の搬送異常の紙幣とを入金リジェクト紙幣として、図2に太実線、太破線及び太一点鎖線で示すように、搬送路25Aのカセット19側から搬送路25Hに分流させ、搬送路25H、搬送路25G、搬送路25A、搬送路25M及び搬送路25Lで出金口4に搬送する。
【0078】
なお、このとき、入金口3から出て搬送路25A上を識別部7に向かう紙幣と、搬送路25H、25Gから搬送路25Aを通って搬送路25Mに向かう紙幣とが、搬送路25Aの一部を共通使用することになるため、この部分で交差する可能性がある。このため、識別部7で紙幣を受け入れ不可と判定すると、制御部28は、この紙幣との交差のタイミングを見計らって、入金繰出部5を停止させて、入金口3からの紙幣の繰り出しを中断する。すなわち、識別部7で受け入れ不可と判定された入金リジェクト紙幣が、遅くとも搬送路25Gから搬送路25Aに入る時点では、搬送路25Aの搬送路25Mの分岐位置よりも入金口3側に紙幣が存在しないように、入金繰出部5を停止させる。識別部7で受け入れ不可と判定された入金リジェクト紙幣が、その後、搬送路25Aから搬送路25Mに入ると、制御部28は、入金繰出部5の駆動を再開させる。
【0079】
以上の入金処理の作動を行うことによって、入金口3の紙幣がなくなり、入金口3から繰り出されたすべての紙幣が、カセット19の一時貯留部23及び出金口4のいずれかに搬送されると、制御部28は、出金口4のシャッタを開いて出金口4から紙幣を取り出し可能にするとともに、識別部7で受け入れ可能と判定してカセット19の一時貯留部23に一時貯留した紙幣の金種別の枚数及び総額等を操作表示部27に表示させる。そして、制御部28は、操作表示部27への入金確定操作及び入金キャンセル操作のいずれかの入力を待機する状態となって入金処理を終了する。なお、入金処理を終了した時点では、カセット19の一時貯留部23及び出金口4のいずれかに搬送された紙幣は、紙幣処理機1の管理外である機外管理貨幣として取り扱われる。
【0080】
以上により、カセット19の一時貯留部23は、入金処理時に入金口3から繰り出され識別部7で受け入れ可能と識別された紙幣を金種混合で繰り出し可能に一時貯留する。
【0081】
[収納処理]
収納処理は、入金処理後、操作表示部27への入金確定操作が入力された入金確定時に行う処理であり、直前に行われた入金処理と一連の処理である。入金処理後、操作表示部27への入金確定操作が入力されると、制御部28は、カセット19の一時貯留部23に一時貯留されている紙幣を紙幣処理機1で管理する機内管理貨幣として取り扱う。入金確定操作が入力されると、制御部28は、入金処理でカセット19の一時貯留部23に一時貯留した入金紙幣の各種別の枚数と、収納庫13A~13Dのそれぞれの収納部18に既に収納されている紙幣の枚数とから、入金紙幣を収納した場合に、収納庫13A~13Dの収納部18の中に満杯状態が発生するものがあるか否かを判定する。収納庫13A~13Dの収納部18の中に満杯状態が発生するものがある場合、収納処理を行う前に後述する束収納処理を行って、満杯状態が発生する収納庫13の収納部18の紙幣の収納枚数を、収納処理を行っても満杯状態が発生しない量に予め減らしてから、収納処理を行うことになる。
【0082】
図3図7の太線は、収納処理の紙幣搬送ルートを示している。入金処理後、操作表示部27への入金確定操作が入力されると、制御部28は、入金を確定してカセット19の一時貯留部23に一時貯留した入金紙幣を管理下におくとともに、収納処理を行う。収納処理では、まず、一時貯留部23の入金紙幣を、再度の識別部7の識別結果に基づいて、図3に太線で示すように、収納庫13A~13Dに分配する第1処理を行う。
【0083】
この第1処理の開始にあたって、制御部28は、カセット19の一時貯留部23に一時貯留した紙幣の収納先である収納庫13A~13Dのそれぞれの収納部18のうちの所定の一つの収納部18を含む収納庫13の一時貯留部17を、金種識別不良の紙幣及び搬送異常の紙幣からなる収納リジェクト紙幣の一時貯留先として設定する。
【0084】
具体的には、この収納処理の直前に実行された、この収納処理と一連の入金処理での識別部7の識別結果から割り出される一時貯留部23に一時貯留されている紙幣の内訳から、この収納処理において収納のため搬送される紙幣量が最も少ない収納部18を含む収納庫13の一時貯留部17を、収納リジェクト紙幣の一時貯留先として設定する。収納リジェクト紙幣は、紙幣処理機1の管理下での移動時に発生した金種識別不良あるいは搬送異常の管理下リジェクト紙幣である。ここでは、一例として、第1~第3種以外の第4種の紙幣を収納する収納庫13Dの収納部18が、この収納処理時において収納のため搬送される紙幣量が最も少ない収納部18である場合を例にとり説明する。この場合、この収納部18と同じ収納庫13Dの一時貯留部17を収納リジェクト紙幣の一時貯留先として設定することになる。
【0085】
そして、制御部28は、カセット19について、一時貯留部23の底部であるセパレータ21を上昇させてセパレータ21上の最上位置の紙幣を取込繰出部20の蹴出ローラ20aに当接させる貯留紙幣繰出状態とする。また、制御部28は、収納庫13A~13Dのうち、一時貯留部17が収納リジェクト紙幣の一時貯留先として設定された収納庫13Dについては、待機状態のままとし、収納庫13A~13Dのうち、残りの収納庫13A~13Cのすべてについて、セパレータ15を開状態とし、エレベータ16を、エレベータ16上の紙幣の収納量に応じて、取込繰出部14が取り込んだ紙幣を受け入れて集積可能な位置まで上昇させて、直収納受入状態とする。それとともに、制御部28は、取込繰出部20、搬送部25及び収納庫13A~13Dの取込繰出部14を駆動する。
【0086】
すると、カセット19の一時貯留部23のセパレータ21上に載置されている紙幣を最上位置のものから蹴出ローラ20aが繰出ローラ20b及び分離ローラ20cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図3に太実線で示すように、搬送路25A、25G、25Aで識別部7に搬送し、識別部7で識別する。そして、制御部28は、識別部7で、収納リジェクト紙幣以外の収納正常紙幣と識別された紙幣を、識別結果に基づいて、搬送路25Aと、搬送路25C~25Fの対応するものとによって、収納庫13A~13Dの対応するものに搬送する。収納正常紙幣は、金種識別不良及び搬送異常のいずれもない紙幣からなる。
【0087】
これにより、カセット19の一時貯留部23に一時貯留した紙幣のうち、一時貯留部23からの繰り出し後、識別部7で正常と識別された収納正常紙幣を、収納庫13A~13Cの収納部18が収納先となるものについては、収納庫13A~13Cの対応するもののエレベータ16上に集積させる。
【0088】
他方、カセット19の一時貯留部23に一時貯留した紙幣のうち、一時貯留部23からの繰り出し後の識別部7の識別結果から、収納庫13Dの収納部18が収納先となる第4種の収納正常紙幣については、収納庫13Dのセパレータ15が閉状態の一時貯留部17に一時貯留する。また、カセット19に一時貯留した紙幣のうち、一時貯留部23からの繰り出し後、識別部7で、搬送異常あるいは金種識別不良と識別された収納リジェクト紙幣を、収納庫13Dのセパレータ15が閉状態の一時貯留部17に一時貯留する。すなわち、第1処理では、収納庫13Dの一時貯留部17には、収納庫13Dの収納部18が収納先となる収納正常紙幣と、収納庫13A~13Dの収納部18には収納できない収納リジェクト紙幣とが混在することになる。
【0089】
換言すれば、収納リジェクト紙幣は、収納処理時にカセット19から繰り出された紙幣のうち、複数の収納庫13A~13Dの収納部18には収納不可であると識別部7で識別された紙幣となる。よって、収納処理時に、収納リジェクト紙幣を、まずは第1処理において、複数の収納庫13A~13Dの収納部18のうちの所定の一つである収納庫13Dの収納部18の上方の、セパレータ15が閉状態の一時貯留部17に、当該所定の収納庫13Dの収納部18に収納すべき紙幣とともに一時貯留する。
【0090】
具体的に、制御部28は、カセット19の一時貯留部23から繰り出された紙幣が第1種(例えば現行万円券の汚損のない紙幣)の収納正常紙幣である場合、この紙幣を収納庫13Aのエレベータ16上に集積させることになり、一時貯留部23から繰り出された紙幣が第2種(例えば現行五千円券の汚損のない紙幣)の収納正常紙幣である場合、この紙幣を収納庫13Bのエレベータ16上に集積させることになる。また、制御部28は、一時貯留部23から繰り出された紙幣が第3種(例えば現行千円券の汚損のない紙幣)の収納正常紙幣である場合、この紙幣を収納庫13Cのエレベータ16上に集積させることになる。
【0091】
また、制御部28は、一時貯留部23から繰り出された紙幣が、第4種(例えば、すべての二千円券、現行万円券の汚損のある紙幣、すべての旧万円券、現行五千円券の汚損のある紙幣、すべての旧五千円券、現行千円券の汚損のある紙幣、及びすべての旧千円券)の収納正常紙幣である場合、この収納正常紙幣を収納庫13Dの一時貯留部17に一時貯留させることになる。また、制御部28は、一時貯留部23から繰り出された紙幣が、収納正常紙幣以外の、収納庫13A~13Dに収納不可と識別された、搬送異常あるいは金種選別不良と識別された収納リジェクト紙幣の場合、この紙幣を収納庫13Dの一時貯留部17に一時貯留させることになる。
【0092】
このとき、制御部28は、収納庫13A~13Cのそれぞれに搬送される紙幣の量に応じてそれぞれのエレベータ16を下降させることになり、収納庫13Dに搬送される紙幣の量に応じて収納庫13Dのセパレータ15を下降させることになる。
【0093】
このようにして、カセット19の一時貯留部23の紙幣がなくなり、一時貯留部23に一時貯留していたすべての紙幣を、収納庫13A~13Cのいずれかの収納部18のエレベータ16上に集積させ、あるいは収納庫13Dの一時貯留部17に一時貯留させると、制御部28は、カセット19を待機状態に戻して第1処理を終了する。それとともに、制御部28は、この第1処理での識別部7の識別結果から、収納リジェクト紙幣の一時貯留場所としての収納庫13Dの一時貯留部17に搬送された紙幣がなければ、収納庫13A~13Cのすべてのエレベータ16を最下の待機位置まで下降させた後、収納庫13A~13Cのすべてのセパレータ15を待機位置に戻し閉状態として、収納庫13A~13Cを待機状態にする。これにより、収納庫13A~13Cのそれぞれのエレベータ16上の紙幣を、それぞれの収納部18に収納する。
【0094】
よって、収納処理時に、複数の収納庫13A~13Cの収納部18は、カセット19の一時貯留部23から繰り出された紙幣を識別部7の識別結果に基づいて収納することになる。その際に、複数の収納庫13A~13Cの収納部18は、それぞれ、同じ収納庫13を構成する上方のセパレータ15が開かれた状態の一時貯留部17を介して紙幣を受け入れて収納することになる。
【0095】
他方、第1処理の終了後、制御部28は、この第1処理において識別部7で識別した紙幣の内訳から、収納庫13Dの一時貯留部17に搬送された紙幣があれば、上記と同様、収納庫13A~13Cのそれぞれのエレベータ16上の紙幣を、それぞれの収納部18に収納して、収納庫13A~13Cを待機状態にするのと並行して、第2処理を行う。第2処理では、制御部28は、収納庫13Dについて、エレベータ16を、収納庫13Dの一時貯留部17から紙幣を受け入れて集積可能な位置まで上昇させて、貯留収納受入状態とし、セパレータ15を開状態として、このセパレータ15上にあった紙幣、すなわち収納庫13Dの一時貯留部17に一時貯留していた、第4種の収納正常紙幣を、図4に太実線で示すように、収納庫13Dのエレベータ16上に集積させる。その後、収納庫13Dを待機状態に戻すことで、収納庫13Dのエレベータ16上の紙幣を収納庫13Dの収納部18に収納して、第1,第2処理を含む収納処理を終了する。
【0096】
[返却処理]
入金処理後、操作表示部27への入金キャンセル操作が入力された入金キャンセル時に、制御部28は、入金を確定せず、すなわち、入金処理にてカセット19の一時貯留部23に一時貯留した紙幣を管理外のままとし、すなわち、機外管理貨幣として取り扱い、一時貯留部23に一時貯留した紙幣をすべて、出金口4に繰り出す返却処理を行う。図5の太線は、この返却処理の紙幣搬送ルートを示している。
【0097】
返却処理において、制御部28は、カセット19を、一時貯留部23の底部のセパレータ21を上昇させて、このセパレータ21上の最上位置の紙幣を取込繰出部20の蹴出ローラ20aに当接させて、貯留紙幣繰出状態とする。それとともに、制御部28は、搬送部25を駆動し、カセット19の取込繰出部20を駆動する。
【0098】
すると、カセット19の取込繰出部20が、このカセット19の一時貯留部23のセパレータ21上に載置されている紙幣を最上位置のものから一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図5に太実線で示すように、搬送路25A、25Lで出金口4に搬送する。返却処理の最後に、制御部28は、出金口4のシャッタを開いて出金口4から紙幣を取り出し可能にする。これにより、この返却処理と一連の入金処理において入金口3に投入された紙幣のうち、入金処理において出金口4に繰り出された紙幣以外のすべての紙幣が、返却処理において、出金口4に繰り出される。
【0099】
[バラ紙幣出金処理]
図6の太線は、操作表示部27へ入力されたバラ紙幣出金操作に基づいて、収納庫13A~13Dの指定された金種のものから紙幣を出金するバラ紙幣出金処理の紙幣搬送ルートを示している。なお、制御部28は、出金するバラ紙幣が出金口4から排出されるまではそのバラ紙幣を機内管理貨幣として取り扱い、バラ紙幣が出金口4から排出されるとそのバラ紙幣を機外管理貨幣として取り扱う。
【0100】
バラ紙幣出金処理において、制御部28は、カセット19のセパレータ21を開状態とした後、カセット19のエレベータ22を、取込繰出部20からの紙幣を受け入れて集積可能な位置まで上昇させて直収納受入状態とする。そして、制御部28は、取込繰出部20を駆動し、搬送部25を駆動する。それとともに、入力された金種別の出金枚数に基づき、収納庫13Aの収納部18に収納している第1種の紙幣を繰り出す場合、収納庫13Aについて、セパレータ15を開作動させた後、収納庫13Aのエレベータ16を上昇させて、このエレベータ16上の最上位置の紙幣を収納庫13Aの取込繰出部14の蹴出ローラ14aに当接させて収納紙幣繰出状態とする。それとともに、この取込繰出部14を駆動して、収納庫13Aのエレベータ16に載置された紙幣を最上位置のものから一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出す。
【0101】
これにより、収納庫13Aから繰り出した紙幣を、図6に太実線で示すように、搬送路25C、25Aで識別部7に、入金処理とは逆向きに搬送し、その際の識別部7の識別結果に基づいて、金種識別不良のない第1種の紙幣で搬送異常のない出金正常紙幣のうち、表裏反転が必要でない出金正常紙幣を、搬送路25A、25Lでそのまま出金口4に、表裏反転が必要な出金正常紙幣を、搬送路25Aから搬送路25Nを介して表裏反転部26で表裏反転させた後、搬送路25M、25Lで出金口4に、それぞれ搬送する。これにより、バラ紙幣出金操作に基づく第1種の出金正常紙幣を出金口4に表裏を取り揃えながら繰り出す。
【0102】
なお、出金正常紙幣以外の、搬送異常の紙幣と、金種識別不良を含む第1種以外の紙幣とからなる出金リジェクト紙幣については、図6に太実線から太破線で示すように、搬送路25A、25G、25Aによってカセット19に搬送する。これにより、カセット19が、その取込繰出部20によって、出金リジェクト紙幣を、エレベータ22上に集積させることになる。その際に、制御部28は、カセット19の紙幣の収納量を監視しており、エレベータ22を紙幣の収納量に応じた量下降させることになる。出金リジェクト紙幣も、紙幣処理機1の管理下での移動時に発生した管理下リジェクト紙幣(機内管理貨幣)である。
【0103】
また、バラ出金処理において、収納庫13Bの収納部18に収納している第2種の紙幣を繰り出す場合、制御部28は、同様にして、収納庫13Bについて、セパレータ15を開作動させた後、エレベータ16を上昇させて収納紙幣繰出状態とし、このエレベータ16に載置された紙幣を最上位置のものから順に取込繰出部14で繰り出させて搬送路25D、25Aで識別部7に搬送することになり、識別部7の識別結果に基づいて、第2種の出金正常紙幣は搬送路25A、25Lあるいは搬送路25A、25N、25M、25Lで、表裏を取り揃えながら出金口4に搬送し、出金リジェクト紙幣は搬送路25A、25G、25Aによってカセット19のエレベータ22上に集積させる。
【0104】
また、バラ出金処理において、収納庫13Cの収納部18に収納している第3種の紙幣を繰り出す場合、制御部28は、同様にして、収納庫13Cについて、セパレータ15を開作動させた後、エレベータ16を上昇させて収納紙幣繰出状態とし、このエレベータ16に載置された紙幣を最上位置のものから順に取込繰出部14で繰り出させて搬送路25E、25Aで識別部7に搬送することになり、識別部7の識別結果に基づいて、第3種の出金正常紙幣は搬送路25A、25Lあるいは搬送路25A、25N、25M、25Lで、表裏を取り揃えながら出金口4に搬送し、出金リジェクト紙幣は搬送路25A、25G、25Aによってカセット19のエレベータ22上に集積させる。
【0105】
なお、バラ出金処理では、収納庫13Dの収納部18に収納している紙幣を出金口4に繰り出すことはない。
【0106】
以上のようにして、入力された金種別の出金枚数の出金正常紙幣を、金種別に、表裏を取り揃えながら出金口4に繰り出す。バラ紙幣出金処理の最後に、制御部28は、収納庫13A~13D及びカセット19を待機状態に戻して、収納庫13A~13Dの紙幣を、それぞれの収納部18に収納し、カセット19の紙幣を、その収納部24に収納する。すなわち、この場合も、カセット19の収納部24は、上方の、セパレータ21が開かれた状態の一時貯留部23を介して紙幣を受け入れて収納する。その後、制御部28は、出金口4のシャッタを開いて出金口4から出金正常紙幣を取り出し可能にする。このとき、制御部28は、出金口4に繰り出した紙幣を機外管理貨幣として取り扱う。
【0107】
紙幣処理機1は、バラ出金処理時に出金口4に出金不可と識別された出金リジェクト紙幣を収納する部位が、カセット19の下部の収納部24以外には設けられていない。
【0108】
[束紙幣出金処理]
図7の太線は、操作表示部27へ入力された束紙幣出金操作に基づいて、収納庫13A~13Cの指定された金種のものから紙幣を結束して出金する束紙幣出金処理の紙幣搬送ルートを示している。なお、制御部28は、束紙幣出金処理において、収納庫13A~13Cに当初収納されている紙幣を機内管理貨幣として取り扱う。
【0109】
つまり、束紙幣出金処理において、制御部28は、カセット19について、セパレータ21を開作動させた後、カセット19のエレベータ22を上昇させて、直収納受入状態とし、エレベータ22上に、取込繰出部20からの紙幣を受け入れ可能な状態とする。それとともに、取込繰出部20及び搬送部25を駆動する。そして、入力された金種別の出金束数に基づき、収納庫13Aの収納部18に収納している第1種の紙幣を結束して出金する場合、収納庫13Aについて、セパレータ15を開作動させた後、収納庫13Aのエレベータ16を上昇させて、収納紙幣繰出状態とし、このエレベータ16に載置された紙幣のうち、最上位置の紙幣を収納庫13Aの取込繰出部14の蹴出ローラ14aに当接させる。それとともに、この取込繰出部14を駆動して、収納庫13Aのエレベータ16に載置された紙幣を最上位置のものから一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになる。
【0110】
そして、繰り出した紙幣を、図7に太実線で示すように、搬送路25C、25Aで識別部7に搬送し、識別部7の識別結果に基づいて、金種識別不良のない第1種の紙幣で搬送異常のない結束正常紙幣を、表裏反転が必要でないものは、搬送路25A、25L、25Pで整列部8に、表裏反転が必要なものは、搬送路25Aから搬送路25Nを介して表裏反転部26で表裏反転させた後、搬送路25M、25L、25Pで整列部8に、それぞれ搬送する。これにより、指定された第1種の結束正常紙幣を結束単位枚数だけ整列部8に繰り出す。
【0111】
なお、結束正常紙幣以外の、搬送異常の紙幣と、金種識別不良を含む結束対象種以外の紙幣とからなる結束リジェクト紙幣については、図7に太実線から太破線で示すように、搬送路25A、25G、25Aによってカセット19に搬送する。これにより、カセット19が、その取込繰出部20によって、結束リジェクト紙幣を、エレベータ22上に集積させることになる。その際に、制御部28は、カセット19の紙幣の収納量を監視しており、エレベータ22を紙幣の収納量に応じた量下降させることになる。そして、指定された第1種の結束単位枚数の紙幣を整列部8から、昇降搬送部10で搬送して、結束部11で結束を行い、束出金部12に繰り出す。このとき、制御部28は、束出金部12に束紙幣として繰り出した紙幣を機外管理貨幣として取り扱う。結束リジェクト紙幣も、紙幣処理機1の管理下での移動時に発生した管理下リジェクト紙幣(機内管理貨幣)である。
【0112】
ここで、指定された第1種の出金正常紙幣を結束単位枚数だけ整列部8に繰り出すと、この金種の出金束数が複数である場合、引き続き、収納庫13Aの収納部18から紙幣を繰り出すことになり、反転が必要でない結束正常紙幣を、搬送路25A、25L、25Qで整列部9に、表裏反転が必要な結束正常紙幣を、搬送路25Aから搬送路25Nを介して表裏反転部26で表裏反転させた後、搬送路25M、25L、25Qで整列部9に、結束リジェクト紙幣を、搬送路25A、25G、25Aによって収納部24に、それぞれ搬送する。これにより、指定された第1種の結束正常紙幣を結束単位枚数だけ整列部9に繰り出して、上記と同様に、結束部11で結束を行い、束出金部12に繰り出す。このように束紙幣出金処理では、単一金種を複数束出金する場合、整列部8、9に結束単位枚数ずつ交互に紙幣を集積させる。
【0113】
束紙幣出金処理では、以上のような処理を、指定された金種毎に指定された束数分行うことになり、指定された全金種のそれぞれについて、指定された全束数の束紙幣を束出金部12に繰り出すことになる。そして、制御部28は、収納庫13A~13C及びカセット19を待機状態に戻す。すなわち、この場合も、カセット19の収納部24は、上方の、セパレータ21が開かれた状態の一時貯留部23を介して紙幣を受け入れて収納する。その後、束出金部12のシャッタを開いて束出金部12から束紙幣を取り出し可能にする。
【0114】
紙幣処理機1は、バラ出金処理時に整列部8、9に集積不可と識別された結束リジェクト紙幣を収納する部位が、カセット19の下部の収納部24以外には設けられていない。
【0115】
[束収納処理]
上記した束紙幣出金処理と同様にして、結束部11で結束を行うことになるが、結束した束紙幣を束出金部12に繰り出さずに図示略の束収納部に収納する。
【0116】
[ローカル整理処理]
図8の太線は、機外から入金口3に投入された紙幣を搬送しつつ識別及び計数して結束するローカル整理処理の紙幣搬送ルートを示している。なお、制御部28は、ローカル整理処理では紙幣を機外管理貨幣として取り扱う。
【0117】
つまり、ローカル整理処理において、操作表示部27にローカル整理処理の選択操作がなされると、制御部28は、ローカル整理処理を開始して入金繰出部5、搬送部25を駆動する。すると、入金繰出部5は、入金口3に投入された紙幣を最下のものから順に、一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路25A、25J、25G、25H、25Aで識別部7に搬送し、識別部7で識別する。
【0118】
そして、識別部7の識別結果から、結束対象種の、搬送異常及び金種識別不良のない結束正常紙幣を、表裏反転が必要でないものについては搬送路25A、25L、25Pで整列部8に、表裏反転が必要なものについては搬送路25Aから搬送路25Nを介して表裏反転部26で表裏反転させた後、搬送路25M、25L、25Pで整列部8に、それぞれ搬送する。これにより、指定された単一金種の結束正常紙幣を結束単位枚数だけ整列部8に繰り出す。なお、識別部7の識別結果から、搬送異常の紙幣と、金種識別不良を含む結束対象種以外の紙幣とについては、結束リジェクト紙幣として、図8に太実線から太破線で示すように、搬送路25A、25Lによって出金口4に繰り出す。指定された単一金種の結束単位枚数の結束正常紙幣を整列部8から、昇降搬送部10で搬送して、結束部11で結束を行い、束出金部12に繰り出す。なお、結束対象として指定される金種は、ローカル整理処理の選択操作時に手動入力される場合と、ローカル整理処理の実行で最初に識別部7が識別した金種に自動設定される場合とがある。
【0119】
指定された単一金種の結束正常紙幣を結束単位枚数だけ整列部8に繰り出すと、指定された出金束数が複数である場合、引き続き、入金口3から紙幣を繰り出すことになり、反転が必要でない結束正常紙幣を、搬送路25A、25L、25Qで整列部9に、表裏反転が必要な結束正常紙幣を、搬送路25Aから搬送路25Nを介して表裏反転部26で表裏反転させた後、搬送路25M、25L、25Qで整列部9に、それぞれ搬送する。これにより、指定された単一金種の結束正常紙幣を結束単位枚数だけ整列部9に繰り出して、上記と同様に、結束部11で結束を行い、束出金部12に繰り出す。このようにローカル整理処理でも、単一金種を複数束出金する場合、整列部8、9に結束単位枚数ずつ交互に結束正常紙幣を集積させる。ローカル整理処理の最後に、制御部28は、束出金部12及び出金口4のシャッタを開いて束出金部12及び出金口4から束紙幣及び結束リジェクト紙幣を取り出し可能にする。
【0120】
[回収処理]
図9の太線は、操作表示部27へ入力された回収操作に基づいて、収納庫13A~13Dの指定されたものから紙幣を回収する回収処理の紙幣搬送ルートを示している。なお、制御部28は、回収処理では紙幣を機内管理貨幣として取り扱う。
【0121】
つまり、回収処理において、制御部28は、収納庫13Aの収納部18に収納している第1種の紙幣を回収する場合、空のカセット19への交換を確認したことを条件に、収納庫13Aについて、待機位置のセパレータ15を開作動させた後、収納庫13Aのエレベータ16を上昇させて、このエレベータ16に載置された紙幣のうち、最上位置の紙幣を収納庫13Aの取込繰出部14の蹴出ローラ14aに当接させる収納紙幣繰出状態とする。また、カセット19について、セパレータ21を開作動させた後、エレベータ22を上昇させて、このエレベータ22に紙幣を受け入れ可能な直収納受入状態とする。
【0122】
それとともに、搬送部25と、取込繰出部14と、取込繰出部20とを駆動して、収納庫13Aのエレベータ16に載置された紙幣を最上位置のものから一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出し、図9に太実線で示すように、搬送路25C、25Aで識別部7に搬送し、識別部7の識別結果に基づいて、搬送異常及び金種識別不良のない回収正常紙幣は搬送路25A、25G、25Aでカセット19に搬送する。なお、回収正常紙幣以外の、識別部7で搬送異常と識別したり金種識別不良と識別した回収リジェクト紙幣については、図9に太実線から太破線で示すように、搬送路25A、25Lによって出金口4に搬送し、出金口4に一時貯留する。回収リジェクト紙幣も、紙幣処理機1の管理下での移動時に発生した管理下リジェクト紙幣(機内管理貨幣)である。
【0123】
また、回収処理において、収納庫13Bの収納部18に収納している第2種の紙幣を回収する場合、制御部28は、同様にして、収納庫13Bを収納紙幣繰出状態として、収納庫13Bのエレベータ16に載置された紙幣を最上位置の紙幣から順に取込繰出部14で繰り出させることになり、そのうちの回収正常紙幣を搬送路25D、25A、25G、25Aで、直収納受入状態のカセット19に搬送する。
【0124】
また、回収処理において、収納庫13Cの収納部18に収納している第3種の紙幣を回収する場合、制御部28は、同様にして、収納庫13Cを収納紙幣繰出状態として、収納庫13Cのエレベータ16に載置された紙幣を最上位置の紙幣から順に取込繰出部14で繰り出させることになり、そのうちの回収正常紙幣を搬送路25E、25A、25G、25Aで、直収納受入状態のカセット19に搬送する。
【0125】
また、回収処理において、収納庫13Dの収納部18に収納している第4種の紙幣を回収する場合、制御部28は、同様にして、収納庫13Dを収納紙幣繰出状態として、収納庫13Dのエレベータ16に載置された紙幣を最上位置の紙幣から順に取込繰出部14で繰り出させることになり、そのうちの回収正常紙幣を搬送路25F、25A、25G、25Aで、直収納受入状態のカセット19に搬送する。
【0126】
回収処理では、以上のような処理を指定された一または複数種について行うことになり、これにより、識別部7で識別及び計数済みの紙幣のみをカセット19に収納する。回収対象の紙幣を在り高を把握した状態で収納したカセット19が、機体2から取り外されて運搬される。なお、制御部28は、カセット19が取り出されると、カセット19内の回収対象紙幣を機外管理貨幣として取り扱う。また、出金口4に一時貯留された回収リジェクト紙幣は、例えば、許可された管理者がシャッタを開いて取り出すことになる。なお、制御部28は、シャッタが開くと、出金口4に一時貯留された回収リジェクト紙幣を機外管理貨幣として取り扱う。回収リジェクト紙幣を機外に取り出さずに、紙幣処理機1の使用を継続したい場合には、紙幣処理機1での管理下での移動時に発生した管理下リジェクト紙幣を収納部24に収納するカセット19への交換を確認したことを条件に、このカセット19について、セパレータ21を開状態とし、エレベータ22を上昇させて、直収納受入状態とし、図10に太実線で示すように、出金口4に一時貯留された回収リジェクト紙幣を、搬送路25L、25Aで、エレベータ22上に集積させる。その後、カセット19を待機状態にする。
【0127】
[精査処理]
精査処理は、収納庫13A~13Dに収納されている紙幣の在り高を確定する処理である。精査処理は、収納庫13A~13Dのそれぞれについて個別に行われる。ここでは、一例として、精査対象を第1種の収納庫13Aとし、収納庫13Aの紙幣の在り高を確定する精査処理について説明する。図11の太線は、操作表示部27へ入力された精査操作に基づいて、収納庫13Aの紙幣在り高を確定する精査処理の往路ルートを示している。なお、制御部28は、精査処理では紙幣を機内管理貨幣として取り扱う。
【0128】
精査処理において、制御部28は、まず、カセット19のセパレータ21を待機状態としたまま、精査対象の収納庫13Aについて、セパレータ21を開状態とし、エレベータ16を上昇させ、このエレベータ16上の最上位置の紙幣を取込繰出部14の蹴出ローラ14aに当接させて収納紙幣繰出状態とする。それとともに、制御部28は、搬送部25を駆動し、収納庫13Aの収納部24とカセット19の取込繰出部20とを駆動する。
【0129】
すると、収納庫13Aの取込繰出部14が、収納庫13Aのエレベータ16上の紙幣を最上位置のものから一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図11に太実線で示すように、搬送路25C、25A、25G、25Aで、カセット19の一時貯留部23に搬送する。これにより、カセット19が、その取込繰出部20によって、一時貯留部23の閉状態で待機位置にあるセパレータ21上に紙幣を集積させることになる。その際に、制御部28は、カセット19の一時貯留部23の紙幣の貯留量を監視しており、セパレータ21を閉状態のまま紙幣の貯留量に応じた量下降させることになる。
【0130】
このようにして、収納庫13Aの紙幣がなくなり、収納庫13Aの収納部18に収納していたすべての紙幣を、カセット19の一時貯留部23に一時貯留させると、制御部28は、収納処理と同様に、第1処理として、収納庫13A~13Dのうち、精査対象である収納庫13A以外の、収納庫13B~13Dのいずれか一つの収納庫13を、搬送異常あるいは金種識別不良と識別された精査リジェクト紙幣の一時貯留先として設定する。精査リジェクト紙幣も、紙幣処理機1の管理下での移動時に発生した管理下リジェクト紙幣(機内管理貨幣)である。ここでは、上記と同様に、収納庫13Dの一時貯留部17を精査リジェクト紙幣の一時貯留先として設定する。この精査リジェクト紙幣の一時貯留先として設定された収納庫13Dについては、取込繰出部14から繰り出される紙幣を閉状態のセパレータ15上に受け入れ可能な待機状態のままとし、残りの収納庫13A~13Cについては、セパレータ15を開状態とし、エレベータ16を、このエレベータ16上に、取込繰出部14から繰り出される紙幣を受け入れて集積可能な位置に位置させる。
【0131】
そして、制御部28は、カセット19について、セパレータ21を上昇させて、このセパレータ21上の最上位置の紙幣を取込繰出部20の蹴出ローラ20aに当接させる貯留紙幣繰出状態とする。それとともに、制御部28は、搬送部25を駆動し、カセット19の取込繰出部20と収納庫13A~13Dの取込繰出部14とを駆動する。
【0132】
すると、カセット19の取込繰出部20が、カセット19のセパレータ21上に載置されている紙幣を最上位置のものから一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出して、図3に太実線で示すように、搬送路25A、25G、25Aで識別部7に搬送することになり、識別部7の識別結果に基づいて、精査リジェクト紙幣以外の、搬送異常及び金種識別不良のない精査正常紙幣のうち、第1種の精査正常紙幣を、搬送路25A、25Cで、収納庫13Aに搬送する。これにより、収納庫13Aが、その取込繰出部14によって、紙幣を、そのエレベータ16上に集積させることになる。
【0133】
また、第2種の精査正常紙幣は、搬送路25A、25G、25A、25Dで、収納庫13Bに搬送し、そのエレベータ16上に集積させることになる。また、第3種の精査正常紙幣は、搬送路25A、25G、25A、25Eで、収納庫13Cに搬送し、そのエレベータ16上に集積させることになる。また、第1~第3種以外の第4種の精査正常紙幣は、搬送路25A、25G、25A、25Fで、収納庫13Dに搬送し、その一時貯留部17の閉状態のセパレータ15上に集積させることになる。また、第1~第4種の精査正常紙幣以外の精査リジェクト紙幣は、搬送路25A、25G、25A、25Fで、収納庫13Dに搬送し、その一時貯留部17の閉状態のセパレータ15上に、第4種の精査正常紙幣と混合で集積させることになる。
【0134】
以上の際に、制御部28は、収納庫13A~13Cのそれぞれの紙幣の収納量を監視しており、それぞれのエレベータ16を紙幣の収納量に応じた量下降させることになる。また、収納庫13Dの一時貯留部17の紙幣の貯留量を監視しており、そのセパレータ15を紙幣の貯留量に応じた量下降させることになる。
【0135】
このようにして、カセット19の一時貯留部23の紙幣がなくなり、一時貯留部23に一時貯留していたすべての紙幣を、収納庫13A~13Cの収納部18あるいは収納庫13Dの一時貯留部17に搬送すると、制御部28は、カセット19を待機状態に戻す。それとともに、制御部28は、識別部7で識別した紙幣の内訳から、収納庫13Dの一時貯留部17に搬送された紙幣がなければ、収納庫13A~13Cを待機状態として、収納庫13Aに対する精査処理を終了する。
【0136】
他方、識別部7で識別した紙幣の内訳から、収納庫13Dの一時貯留部17に搬送された紙幣があれば、制御部28は、上記と同様に収納庫13A~13Cを待機状態に戻すのと並行して、収納庫13Dの一時貯留部17に一時貯留されている紙幣の内訳に応じて、精査リジェクト紙幣がなければ収納処理と同様の第2処理を行って第4種の精査正常紙幣を収納庫13Dのエレベータ16上に集積させ、精査リジェクト紙幣があれば収納処理と同様の第3処理を行って、第4種の精査正常紙幣を収納庫13Dの収納部18のエレベータ16上に集積させ、精査リジェクト紙幣を、例えば収納庫13Bの一時貯留部17に一時貯留させて、その後、収納庫13Bの一時貯留部17の精査リジェクト紙幣を、カセット19の収納部24のエレベータ22上に集積させることになる。この場合も、収納庫13Dの一時貯留部17に一時貯留されている紙幣が、カセット19の収納部24に収納すべき精査リジェクト紙幣のみである場合、収納処理と同様の第4処理を行って、収納庫13Dの一時貯留部17の精査リジェクト紙幣をカセット19の収納部24のエレベータ22上に集積させることが可能である。
【0137】
ここで、精査処理前に、精査対象の第1種収納用の収納庫13Aに他の第2~第4種の紙幣が混入している可能性は低く、よって、収納庫13B~13Dに、精査対象以外の精査正常紙幣が搬送されることは非常に少ない。このため、精査対象の第1種の精査正常紙幣以外の紙幣については、すべて、精査対象の収納庫13A以外の、例えばカセット19への搬送距離が最も短い収納庫13Bの一時貯留部17の閉状態のセパレータ15上に貯留するようにしても良い。この場合、このように収納庫13Bのセパレータ15上に載置された、第1種の精査正常紙幣以外の紙幣については、収納処理と同様の第4処理を行って、カセット19のエレベータ22上に集積させて収納部24に収納することになる。
【0138】
[ガイダンスモード]
紙幣処理機1は、上述した各種処理(入金処理、収納処理、バラ紙幣返却処理、精査処理等)において、照明部29が所定の態様で光を照射するガイダンスモードを備えている。
【0139】
制御部28は、各種装置において機体2内を搬送される紙幣を入金確定操作によって入金が確定した機内管理貨幣又は入金未確定の機外管理紙幣の何れかとして取り扱うが、複数の処理を並行して行う場合に、紙幣は同一の搬送部25及び識別部7等を経由して、機内管理貨幣と機外管理貨幣とが機体2内で混在することになる。
【0140】
例えば、1万円の入金に対して1千円の出金(釣り)が生じる場合、制御部28は、操作表示部27への1万円の入金確定操作が入力されると、入金処理でカセット19の一時貯留部23に一時貯留された1万円の紙幣(機外管理貨幣)を機外管理貨幣として取り扱う一方、釣りの紙幣(1千円)が出金口4に搬送されるまではその紙幣を機内管理貨幣として取り扱い、開閉部が開いて紙幣が出金口4から排出されるとその紙幣を機外管理貨幣として取り扱う。
【0141】
また、例えば、入金処理でカセット19の一時貯留部23に一時貯留された1千円の紙幣が収納庫13に収納されると収納庫13が満杯状態になることから、入金処理に続いて行われる収納処理に先行して束収納処理を行う場合、制御部28は、入金処理に伴って入金口3からカセット19までに位置する紙幣を機外管理貨幣として取り扱う一方、束収納処置で機体2内を収納庫13から整列部9等の保留部まで搬送される紙幣を機内管理貨幣として取り扱う。なお、束収納処理や精査処理等のように機内管理貨幣を機体2内で移動させる処理(移動処理)における紙幣の搬送先を保留部と称す。
【0142】
このように機内管理貨幣と機外管理貨幣とが機体2内で混在した状態で、紙幣が搬送中に機体2内で詰まる等のエラーが生じた場合、操作者は、搬送部25等に残留する紙幣(残留紙幣)を取り除いてエラーを解消した上で、残留紙幣が機内管理貨幣である場合には残留紙幣を収納庫13に戻し、残留紙幣が機外管理貨幣である場合には残留紙幣を機体2の外部に取り出す必要があるが、取り除かれた残留紙幣が機内管理貨幣又は機外管理貨幣の何れとして取り扱われているかは残留紙幣の残留位置からでは判別不能である。
【0143】
そこで、照明部29が近傍に位置する残留紙幣が機内管理貨幣又は機外管理貨幣の何れであるかを判別可能に、すなわち、照明部29は、残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合と紙幣が機外管理貨幣に該当する場合とで異なる態様の光を照射する。
【0144】
このようして、照明部29が照射する光の態様に応じて、操作者は、機内の残留貨幣が機内管理貨幣又は機外管理貨幣の何れであるかを判別可能なため、短時間でエラーを解消することができる。
【0145】
照明部29が照射する光は、例えば、残留紙幣が機外管理貨幣に該当する場合には青色の光を照射し、残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合には赤色の光を照射する等して、残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合と紙幣が機外管理貨幣に該当する場合とで異なる色の光を照射するように設定してもよい。
【0146】
または、照明部29が照射する光は、例えば、残留紙幣が機外管理貨幣に該当する場合には光を点灯し、残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合には光を点滅させる等して、残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合と紙幣が機外管理貨幣に該当する場合とで照射させる光の発光時間を変化させるように設定してもよい。
【0147】
また、照明部29が照射する光の色及び発光時間は、任意に変更可能である。これにより、例えば別の装置と合わせて一体としてガイダンスを行ったり、操作者の好みに対応できる等、機体2内の残留貨幣の取り扱いを操作者が判別し易いように照明部29が照射する光の態様を変更することができる。また、制御部28は、エラーが生じた旨を操作表示部27に表示するとともに、操作表示部27の背景色や発光時間を照明部29が照射する光の色や発光時間と同様に設定しても構わない。これにより、操作者が、操作表示部27と照明部29とを関連付けて認識することができる。
【0148】
照明部29の具体的な設置箇所は、機体2内で紙幣が搬送される搬送経路上または搬送経路の近傍に設定される。
【0149】
図12~13に示すように、照明部29は、搬送部25の幅方向の中央及び両端にそれぞれ1つずつ設けられている。具体的には、搬送部25上には幅方向に亘って10本のリブ25aが略等間隔に隙間を空けて形成されており、照明部29は、隣り合うリブ25aの間の凹部25b内にリブ25aの表面より低く設けられている。また、照明部29は、紙幣の搬送方向に沿って延伸している。なお、図12中の符号25cは、紙幣を搬送方向に搬送する搬送ローラである。なお、搬送ローラに代えて、紙幣を搬送方向に搬送する搬送ベルト等を用いても構わない。
【0150】
そして、エラー発生時に、搬送部25上に設けられた照明部29が、搬送部25上の残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合と機外管理貨幣に該当する場合とで異なる態様の光を照射することにより、操作者は、搬送部25内の残留紙幣が機内管理貨幣又は機外管理貨幣の何れとして取り扱うかを照明部29の光の態様に応じて直感的に判別することができる。さらに、照明部29が、搬送部25を光で照らすことにより、操作者の手元が明るくなって復旧作業が行い易くなる。
【0151】
また、照明部29の長さ寸法は、紙幣の短手寸法より長く延伸されているのが好ましい。これにより、照明部29の光の照射範囲が、紙幣に比べて広範囲に亘って設定されるため、搬送部25上の残留紙幣の判別を容易に行うことができる。また、照明部29には、埃が積もることが想定されるため、照明部29に防塵対策を施すことが好ましい。さらに、照明部29の長手方向の端部は、平面から視て凹部25bとの隙間が中央から端部に向かって徐々に狭くなるようにテーパー状に形成されていても構わない。これにより、搬送中の紙幣がひっかかりにくくなり、スムーズに紙幣を搬送することができる。
【0152】
また、図14~15に示すように、照明部29を搬送部25の側方の側面25dに設けてもよい。また、図16に示すように、照明部29をエラー発生時に開放される搬送部25の上方の天面25eに設けても構わない。このように、照明部29を搬送部25の側方又は上方に設けることにより、照明部29に埃が積もりにくいため好適である。
【0153】
また、識別部7に照明部29を設置すれば、エラー発生時に、識別部7に設けられた照明部29が、識別部7内の残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合と機外管理貨幣に該当する場合とで異なる態様の光を照射するため、操作者は、識別部7内の残留紙幣が機内管理貨幣又は機外管理貨幣の何れとして取り扱うかを照明部29の光の態様に応じて直感的に判別することができる。
【0154】
また、識別部7に設けられる照明部29は、識別部7のCISの光源で兼用することが好ましい。具体的には、図17に示すように、識別部7は、搬送部25で搬送される紙幣に対向するように配置されて、それぞれ対向する紙幣の面の2次元画像データを取得するイメージセンサ7a、7bを備えている。イメージセンサ7a、7bは、例えば、複数の波長に対応するLED等の光源と、受光レンズと、CMOSイメージセンサ等のイメージセンサ本体との組みを、紙幣の搬送方向に対して直交する方向であって搬送部25で搬送される紙幣に平行な方向に一列状に多数並べて構成されるコンタクトイメージセンサ(CIS)である。そこで、照明部29として識別部7のCISの光源を用いることにより、照明部29の設置数を減らして装置コストを低減することができる。
【0155】
上述した構成の他に、出金口4の側面又は底面に照明部29を設ければ、出金口4内の残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合と機外管理貨幣に該当する場合とで異なる態様の光を照射することにより、操作者が、エラー発生時に出金口4内の残留紙幣が機内管理貨幣又は機外管理貨幣の何れとして取り扱うかを照明部29の光の態様に応じて直感的に判別することができる。
【0156】
また、紙幣処理機1は、機体2内の残留紙幣を機内管理紙幣又は機外管理紙幣の何れかに計数処理するものに限定されず、機体2内の残留紙幣を機内管理紙幣、機外管理紙幣又は管理不明紙幣の何れかに区別するものであっても構わない。
【0157】
ここで、「管理不明紙幣」とは、機内管理紙幣又は機外管理紙幣の何れにも属さない機体2内の残留紙幣を意味し、例えば、異常を復旧することなく異常対象となる装置を切り離したときに当該装置内に残留した紙幣、手形や商品券等の現金以外の券類又は破れ等で計数不能な損券を投入する収納ポストにロック開閉異常が生じたときに収納ポスト内に残留した紙幣、紙幣処理機1が動作していないタイミングで異常が生じたときに機体2内に残留した紙幣、又はメンテナンス処理中に異常が生じたときに機体2内に残留した紙幣等である。以下、紙幣処理機1が動作していないタイミングで異常が生じたときに機体2内に残留した管理不明紙幣について説明する。
【0158】
例えば、紙幣処理機1に紙幣を入金する場合、操作者の操作表示部27を介した入力に応じて、制御部28が、「占有コマンド」、「入金計数開始コマンド」、「収納動作コマンド」及び「占有解除コマンド」を実行する。
【0159】
そして、「占有コマンド」が実行された場合に、センサ遮光等のエラーが機体2内に生じると、制御部28は、紙幣処理機1の停止中に異常が生じたときに機体2内に残留した紙幣を管理不明紙幣として処理する。また、「占有解除コマンド」が実行されて機体2に異常が生じた場合、制御部28は、紙幣処理機1の停止中に異常が生じたときに機体2内に残留した紙幣を管理不明紙幣と処理する。
【0160】
なお、「入金計数開始コマンド」」が実行されて計数中に機体2に異常が生じた場合、制御部28は、紙幣処理機1の計数中に異常が生じたときに機体2内に残留した紙幣を機外管理明紙幣として処理する。また、「収納動作コマンド」が実行されて収納庫13への収納中に機体2に異常が生じた場合、制御部28は、紙幣処理機1の収納中に異常が生じたときに機体2内に残留した紙幣を機内管理明紙幣として処理する。
【0161】
このように残留紙幣を機内管理紙幣、機外管理紙幣又は管理不明紙幣の何れかに計数処理する場合には、照明部29は、残留紙幣が機内管理紙幣に該当する場合と、残留紙幣が機外管理貨幣に該当する場合と、残留紙幣が管理不明紙幣に該当する場合とで、それぞれ異なる態様の光を照射することにより、操作者が、残留紙幣を機内管理紙幣、機外管理紙幣又は管理不明紙幣の何れに該当するかを直感的に認識することができる。
【0162】
また、制御部28は、エラーが生じた旨を操作表示部27に表示するとともに、操作表示部27に表示されたエラーメッセージのウインドウ枠の色を照明部29が照射する光の色と同様に設定しても構わない。これにより、操作者が、操作表示部27と照明部29とを関連付けて認識することができる。
【0163】
具体的には、残留紙幣が機内管理紙幣に該当する場合には、図18に示すように、制御部28は、残留紙幣が残留している装置の種別(図中では「出金口」)及びエラーが生じた処理(図中では「紙幣出金処理」)を説明するメッセージM1と、残留紙幣が機内管理紙幣に該当する旨のメッセージM2と、残留紙幣の取り扱いを示すメッセージM3と、を含むエラーウィンドウW1を操作表示部27に表示するとともに、エラーウィンドウW1のフレームF1の色及びメッセージM2のハイライト部分を照明部29が照射する光の色と同色(例えば、赤色)に表示する。
【0164】
また、残留紙幣が機外管理紙幣に該当する場合には、図19に示すように、制御部28は、残留紙幣が残留している装置の種別(図中では「入金口」)及びエラーが生じた処理(図中では「紙幣入金処理」)を説明するメッセージM4と、残留紙幣が機外管理紙幣に該当する旨のメッセージM5と、残留紙幣の取り扱いを示すメッセージM6と、を含むエラーウィンドウW2を操作表示部27に表示するとともに、エラーウィンドウW2のフレームF2の色及びメッセージM5のハイライト部分を照明部29が照射する光の色と同色(例えば、青色)に表示する。
【0165】
さらに、残留紙幣が管理不明紙幣に該当する場合には、図20に示すように、制御部28は、残留紙幣が残留している装置の種別(図中では「結束部」)及びエラーが生じた処理(図中では「待機」)を説明するメッセージM7と、残留紙幣が管理不明紙幣に該当する旨のメッセージM8と、残留紙幣の取り扱いを示すメッセージM9と、を含むエラーウィンドウW3を操作表示部27に表示するとともに、エラーウィンドウW3のフレームF3の色及びメッセージM8のハイライト部分を照明部29が照射する光の色と同色(例えば、白色や灰色等)に表示する。なお、残留紙幣が管理不明紙幣に該当する場合における照明部29の照射光の態様と、後述するメンテナンス処理における照明部29の照射光の態様とは、同じであっても異なっても構わないが、例えば、残留紙幣が管理不明紙幣に該当する場合における照明部29の照射光を灰色とし、メンテナンス処理における照明部29の照射光を白色とする等、互いに異なる態様に設定されるのが好ましい。
【0166】
また、紙幣処理機1では、上述した各種処理の他に、紙幣を模した媒体(模擬紙幣)を用いて行う動作確認(デバッグ又はトレーニング)や識別調整等のメンテナンス処理を行うことがある。
【0167】
このようなメンテナンス処理において媒体の詰まり等が生じて機体2内に媒体が残留した場合には、照明部29が、上述した機外管理貨幣又は機内管理貨幣の判別に用いた光と同じ態様の光であっても構わないが、異なる態様の光(例えば、白色光等)を照射することにより、操作者が、メンテナンス処理中のエラーであることを直感的に認識することができる。
【0168】
なお、実施形態では、紙幣処理機1が束出金部12を有する構成について述べたが、束出金部12に替えて、紙幣処理機1の側方に並接して設置される図示略の束紙幣入出金機へ水平に搬送する横搬送部が設けられている構成であっても良い。この場合、紙幣処理機1の結束部11で作成された束紙幣は、紙幣処理機1の横搬送部によって図示略の束紙幣入出金機へ搬送された後、束紙幣入出金機側に設けられた図示略の束出金部を介して束紙幣入出金機の機外へ取り出しが可能となり、また束紙幣入出金機側に設けられた図示略の束収納部へ収納可能となる。
【0169】
また、本実施形態では、貨幣処理装置として紙幣を処理する紙幣処理装置を例に説明したが、本発明は、硬貨を処理する硬貨処理装置等にも適用可能である。また、紙幣入金を行いつつ、硬貨の出金を行う等の紙幣及び貨幣をそれぞれ処理可能な貨幣処理装置であっても構わない。
【0170】
また、上述した実施形態では、入金処理された紙幣をカセット19に一時貯留した後に、操作表示部27を介して入力される入金確定操作を受けて紙幣の収納処理を行う場合を例に説明したが、例えば、入金処理された紙幣を一時貯留部17に一時貯留した後に操作表示部27を介して入力される入金確定操作を受けて紙幣の収納処理を行うような構成であっても構わないし、後述する計数機のように紙幣の一時貯留を行うことなく収納処理に移行するような構成であっても構わない。
【0171】
以下、本発明を図21~22に示すような一括集積された紙幣を金種ごとに分類して計数する計数機30に適用した場合について説明する。
【0172】
計数機30は、ホッパ31と、識別部32と、ポケット33と、リジェクトポケット34と、を備えている。
【0173】
識別部32は、ホッパ31に一括して集積されて取込部31aで一枚ずつ繰り出された紙幣の真偽と、真紙幣の金種等を識別する。
【0174】
ポケット33は、計数機30の後方に上下に4個並べられている。ポケット33A~33Dは、単一金種の現行の汚損のない正常紙幣及びその他の紙幣をそれぞれ収容するものであり、具体的には、ポケット33Aは、計数機30に受け入れ可能な受入可能紙幣のうち、所定の第1種の紙幣(例えば現行万円券の汚損のない正常紙幣)を、ポケット33Bは、所定の第2種の紙幣(例えば現行五千円券の汚損のない正常紙幣)を、ポケット33Cは、所定の第3種の紙幣(例えば現行千円券の汚損のない正常紙幣)を、ポケット33Dは、第1~第3種以外の第4種の紙幣(例えば、すべての二千円券、現行万円券の汚損のある汚損紙幣、すべての旧万円券、現行五千円券の汚損のある汚損紙幣、すべての旧五千円券、現行千円券の汚損のある汚損紙幣、及びすべての旧千円券)を収納する。なお、ポケット33は、紙幣を分類して収納できるように複数個設けられていれば良く、収納パターンは、上記に限らない。また、ポケット33A~33Dに収容される媒体は貨幣に限定されず、例えば偽券であっても構わない。
【0175】
計数機30の内部には、紙幣を搬送する搬送部35が各部を適宜繋ぐように設けられている。また、計数機30の動作は、制御部36により制御されている。
【0176】
そして、計数機30は、ホッパ31、ポケット33及び搬送部35から成る紙幣の搬送経路上またはその近傍に設けられた図示しない照明部を備えている。照明部は、例えば、LEDライトやLEDシール等であるが、これらに限定されるものではない。なお、紙幣の搬送経路とは、紙幣が搬送され得る計数機30内の各種装置及び搬送部35を総称するものである。
【0177】
照明部は、制御部36によって、照射する光の態様を任意に変更可能である。なお、「光の態様」とは、例えば、照明部が照射する光の色又は照明部が光を点灯又は点滅させる場合の発光時間等である。
【0178】
このような計数機30では、操作者によりスタート/ストップボタン37が押下させると、識別部7が紙幣を識別及び計数を行い、制御部36が、識別部32で受け入れ可能と識別した紙幣、すなわち取り扱い可能な金種の真券を搬送部35を介してポケット33に搬送する。
【0179】
一方、制御部36は、識別部32で受け入れ不可と識別した紙幣、すなわち金種識別できない金種識別不良の紙幣等を入金リジェクト紙幣として、リジェクトポケット34に搬送する。
【0180】
制御部36は、識別部32による識別及び計数により所定枚数(例えば、100枚)だけ収容されたポケット33内の紙幣は、機内管理貨幣として取り扱い、その他の紙幣(例えば、ポケット33内で所定枚数に満たない紙幣や搬送部35で搬送中の紙幣等)は、機外管理貨幣として取り扱う。
【0181】
このような計数機30において、紙幣が搬送中に計数機30内で詰まる等のエラーが生じた場合、操作者は、搬送部35等に残留する紙幣(残留紙幣)を取り除いてエラーを解消した上で、残留紙幣が機外管理貨幣である場合には残留紙幣を計数機30の外部に取り出す必要がある。
【0182】
そこで、照明部が近傍に位置する残留紙幣が機内管理貨幣又は機外管理貨幣の何れであるかを判別可能に、照明部は、残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合と紙幣が機外管理貨幣に該当する場合とで異なる態様の光を照射する。
【0183】
照明部が照射する光は、例えば、残留紙幣が機外管理貨幣に該当する場合には青色の光を照射し、残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合には赤色の光を照射する等して、残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合と紙幣が機外管理貨幣に該当する場合とで異なる色の光を照射するように設定してもよい。
【0184】
または、照明部が照射する光は、例えば、残留紙幣が機外管理貨幣に該当する場合には光を点灯し、残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合には光を点滅させる等して、残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合と紙幣が機外管理貨幣に該当する場合とで照射させる光の点灯時間を変化させるように設定してもよい。
【0185】
また、照明部が照射する光の色及び発光時間は、任意に変更可能である。これにより、例えば、複数の計数機30に対して同じ態様の光を照射するように設定でき、操作者が簡便に操作することができる。
【0186】
このようにして、計数機30内に設けられた照明部が、搬送部35等の残留紙幣が機内管理貨幣に該当する場合と機外管理貨幣に該当する場合とで異なる態様の光を照射することにより、操作者は、照明部の光の態様に応じて、残留紙幣が機内管理貨幣又は機外管理貨幣の何れとして取り扱うかを直感的に判別することができる。
【符号の説明】
【0187】
1 :紙幣処理機
2 :機体
3 :入金口
4 :出金口
7 :識別部
7a :第1の反射光源
7b :第1のレンズ
7c :透過光源
7d :第2の反射光源
7e :第2のレンズ
13、13A、13B、13C、13D :収納庫
19 :カセット(一時貯留庫)
25 :搬送部
27 :操作表示部(入力部)
28 :制御部
29 :照明部
30 :計数機
31 :ホッパ
32 :識別部
33、33A、33B、33C、33D :ポケット
34 :リジェクトポケット
35 :搬送部
36 :制御部
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