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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106678
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】おまる型装着便器
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/44 20060101AFI20220712BHJP
   A61F 13/66 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
A61F5/44 H
A61F13/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000579
(22)【出願日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2021001621
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521012164
【氏名又は名称】株式会社スリージョイビジョン
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】菰田 正治
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 英忠
(72)【発明者】
【氏名】藤井 昌彦
【テーマコード(参考)】
3B200
4C098
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA05
3B200CB01
3B200CB11
4C098AA09
4C098CC07
4C098CC15
4C098CC24
4C098CC31
4C098CC39
4C098CD01
4C098CE12
(57)【要約】
【課題】褥瘡の原因となる排泄された便を肌と離間可能なおまる型装着便器を提供する。
【解決手段】人の臀部と着座対象物との間においてクッションの役割をなす外装体100と、前記外装体100の内側に設けられ人から排出された便を受けて保持する内装体200とを具備するおまる型装着便器であって、前記外装体100は、中央部に、人から排出された便に対応する便対応穴を有する弾性ブロック110であって、着座対象物に置いて人が座った状態において圧縮されて、前記便対応穴に位置する仙骨が着座対象物から浮いた状態で圧縮が停止する厚みを有する弾性ブロック110と、前記弾性ブロック110の前記便対応穴の部分において有底穴が形成されるように前記弾性ブロック110を被覆する弾性ブロックカバー150であって、被覆状態の前記弾性ブロック110を、臀部に位置付けた状態で人に装着させる装着バンドが設けられている弾性ブロックカバー150と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の臀部と着座対象物との間においてクッションの役割をなす外装体と、前記外装体の内側に設けられ人から排出された便を受けて保持する内装体とを具備するおまる型装着便器であって、
前記外装体は、
中央部に、人から排出された便に対応する便対応穴を有する弾性ブロックであって、着座対象物に置いて人が座った状態において圧縮されて、前記便対応穴に位置する仙骨が着座対象物から浮いた状態で圧縮が停止する厚みを有する弾性ブロックと、
前記弾性ブロックの前記便対応穴の部分において有底穴が形成されるように前記弾性ブロックを被覆する弾性ブロックカバーであって、被覆状態の前記弾性ブロックを、臀部に位置付けた状態で人に装着させる装着バンドが設けられている弾性ブロックカバーと、を有し、
前記内装体は、
通常のオムツと同様に、人の背中と腰の境界部分から股を介して腹部の臍付近までを覆うことが可能な広さと長さを有する布製のオムツ機能シートであって、前記便対応穴に収納される袋状の便受袋部が取り付けられたオムツ機能シートにより構成され、
前記便受袋部には、水解紙により構成される使い捨て便受が設けられることを特徴とするおまる型装着便器。
【請求項2】
被覆状態の前記弾性ブロックが、臀部に位置付けられた状態で前記装着バンドによって人に装着されたときに、人の左右の腸骨稜を覆う弾性を有する腸骨保護アームパッドを備えることを特徴とする請求項1に記載のおまる型装着便器。
【請求項3】
前記弾性ブロックに、臀部に位置付けた状態で人が座ったときに人から前記弾性ブロックへの圧力が大きくなる前記弾性ブロックのエリアにジェルパッドを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のおまる型装着便器。
【請求項4】
前記弾性ブロックに、抗菌剤が包装された抗菌剤包装袋を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のおまる型装着便器。
【請求項5】
前記弾性ブロックに、吸湿材が包装された吸湿材包装袋を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のおまる型装着便器。
【請求項6】
前記オムツ機能シートの前記便受袋部に、前記便受袋部がフィットする形状であり、前記便受袋部から前記オムツ機能シートのシート面へ向かって広がる養生エリアを有する水解紙により構成される使い捨て便受が設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のおまる型装着便器。
【請求項7】
前記オムツ機能シートの前記便受袋部に設けられ、前記使い捨て便受を受容して設けられると共に、所要時に前記使い捨て便受を入れたままで前記便受袋部から取り去り可能である取去パッケージを備えることを特徴とする請求項6に記載のおまる型装着便器。
【請求項8】
前記オムツ機能シートは、
人に直接触れる吸水性のインナーシートと、
前記インナーシートより前記弾性ブロック側に配置され撥水加工された布製アウターシートと
により構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のおまる型装着便器。
【請求項9】
前記布製アウターシートには便受袋部が取り付けられ、排便は、前記インナーシートに形成された通し穴を介して前記便受袋部内の使い捨て便受へ行われるか、または前記インナーシートに取り付けられた袋部が前記布製アウターシートの前記便受袋部に挿入された状態の前記袋部内の使い捨て便受へ行われることを特徴とする請求項8に記載のおまる型装着便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、おまる型装着便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
介護を要する人(便所に行けない人)の排尿・排便は「差し込み型便器」やオムツによって行われている。「差し込み型便器」は、介護者等を呼び出して便意を伝え、「差し込み型便器」を用意してもらい、腰の下に設置してもらって用を足した後に、再び介護者等を呼んで後処理及び片付けをしてもらう必要がある。従って、介護者等を呼び出すことができない人には使用することができない。
【0003】
一方、オムツは上記のような「差し込み型便器」に比べれば便利であり、介護の分野等においては広く用いられている。しかしながら、オムツのうちの布製のものにあっては、洗濯して用いれば複数回の使用が可能で経済的であるものの、洗濯と乾燥の作業が必要であり、手間と時間が必要であるという欠点を有している。この布製オムツのような欠点がない紙製のオムツは使い捨てであり、広く用いられており、販売店における子供用オムツの売り場面積よりも大人用オムツの売り場面積が広く取られるまでになっている。
【0004】
しかしながら、この紙オムツにも欠点が存在する。即ち、紙オムツには排泄された大便を受け止めて貯めておくスペースが設けられておらず、大便が紙オムツ内において広がり装着した尻に附着してしまう場合がある。しかも、大便の中にはタンパク質を溶解させる「腸液」が含まれており、大便が附着した皮膚を溶解する危険性がある。特に、大便が皮膚に付着した状態で長時間経過すると、上記の「腸液」のために皮膚が溶かされて赤くなり、更に湿疹ができることになる。湿疹ができて痒くても、健常者であれば介護者等に告げて処理をしてもらうことが可能であるが、認知症の人の場合はそうは行かないケースが多く、弄便と称される便をいじる行為を起すことがある。この行為は、認知症患者が好き好んで行っている訳ではなく、痒みの発生を原因とすることが殆どである。
【0005】
更に、オムツ内に広がった大便は尿路感染症を発症させる虞もある。尿路感染症は、便に由来する菌が原因であることが多く、問題である。尿路感染症の治療には抗生物質が使用されるが、何度も使用すると菌に耐性が生じ、この耐性菌による介護施設内のクラスター発生につながることに注意しなければならない。
また、在宅介護において、少しの時間の外出ができない理由の一つとしては、上記のような紙オムツ内の便の拡散を心配してのことが挙げられている。オムツ交換に関する問題は在宅介護の場合における大問題であり、親子間で介護する場合においても大きな負担となっていることが各種の調査で判っていることである。
【0006】
更に、上述したように、「腸液」のために皮膚が溶かされて赤くなり、更に湿疹ができ、そして次には、褥瘡(床ずれ)が発生する。老齢化すると、極端に臀部の筋肉量が低下してくる。これは、老人は歩くことが少なくなるので、尻の部分の筋肉が落ちてしまうのが原因であると言われている。これに加えて、骨については、痩せたり太ったりという変化が極めて少ないので、骨が出っ張って見えるようになる。このような事情から、特に仙骨が突出した老人を見かけることが多いのである。この仙骨は、肛門に近い位置にあり、上記のようにオムツ内に拡散された便は仙骨に付着する確率と頻度が高いと言える。
【0007】
また、人が寝ているときには仙骨部分に体重の47%が加わると言われている。従って、老人が寝た状態では、突出した仙骨がオムツを介して寝具に当接し、皮膚組織の薄くなった仙骨の先端部分が鬱血し、皮膚破壊が生じる。このとき鬱血状態であるから血液の流れが殆どなく、細菌と戦うべき白血球が到来しないか到来しても僅かであり、仙骨部に付着した便内の細菌を駆逐することは期待できない。更に、痒さを解消するために仙骨部分を掻くと傷が生じたり、既に出来ている傷を悪化させたりする不具合がある。そして褥瘡が出来てしまうと、オムツ内に拡散された便からの細菌により褥瘡の大きさが拡大したり状態が悪化したりし、治癒が非常に難しいものとなる。
【0008】
以上のようなオムツによる不具合を解決するためには、オムツに排泄された便と肌を離すことが最も肝要である。
【0009】
特許文献1には、介護用オムツカバーが開示されている。このオムツカバーは、臀部対応弾性部材と仙骨保護用弾性部材と排便筒部とカバーとを具備するものである。上記臀部対応弾性部材は、少なくとも仙骨先端の尾骨を避けて臀部と対向する位置において、仰臥及び座位状態の臀部を床側から押し上げるものである。また、仙骨保護用弾性部材は、前記臀部対応弾性部材よりも人体側に配置され、仙骨及び臀部に対応する位置において生体を押圧から保護する保護手段が設けられているものである。
【0010】
また、排便筒部は、前記仙骨保護用弾性部材と前記臀部対応弾性部材とを貫いて形成されたものである。更に、カバーは、前記臀部対応弾性部材、前記仙骨保護用弾性部材及び前記排便筒部の露出面を被覆し、装着状態において背中側から尻部を介して下腹部を覆うものである。
【0011】
上記のように構成された介護用オムツカバーにおいては、前記臀部対応弾性部材のカバー上に排便に対応するオムツが配置される。
【0012】
また、特許文献2には、便袋を備えたオムツが開示されている。このオムツは、生体に触れる面に吸水性シートを備え、この吸水性シートの外側に防水シートを備えたおむつ本体部と、前記おむつ本体部が生体に装着されたときに、前記おむつ本体部における肛門が位置する部位に形成された穴と、前記穴から外側に便を収納する空間を備える便袋と、前記穴と前記便袋の開口部とを結合する結合部と、前記結合部に設けられ、該結合部における開口を維持させると共に床側からおむつ本体部を離間させる緩衝部材とを具備するものである。
【0013】
上記おむつは、緩衝部材が結合部に設けられ、結合部を厚くして穴の開口を維持させることができる。また、穴を閉じた状態で流通させることができ、流通時にはコンパクトにすることができるというものである。また、閉じられた開口は、容易に広げることができ開口を維持した状態で患者に装着させることができる。また、結合部は緩衝部材によって厚みを生じ、穴の開口部の周囲に沿ってバンクのように便袋を見込むように構成され、床側からおむつ本体部を離間させるので、便と尿とが混じり合い難く、便が腰や背中へ回り込み難く、排泄の後には皮膚と便との接触を防ぎ、排泄物の処理が簡単容易であると共に、構造が簡単で、安価とすることが可能であるという特徴を備えている。
【0014】
更に、特許文献3には、オムツユニットが開示されている。このオムツユニットは、人の臀部を一周するように環状に形成された弾性部材から構成された人工臀筋ブロックと、オムツ外装体と、オムツ内装体とによって構成される。上記オムツ外装体は、前記人工臀筋ブロックを内包し、前記人工臀筋ブロックの環状部分における穴に対応する穴を有するカバーであって、装着時に少なくともこのカバーが人の臀部と対向する部分に面ファスナーが設けられたカバーを具備する。
【0015】
オムツ内装体は、オムツの便対応部に開口部を有し、前記オムツ外装体の面ファスナーにより前記オムツ外装体に接着するオムツ本体部と、前記オムツ本体部の開口部に結合され、内部が吸水性で外部が防水性の便袋であって、オムツ外装体の穴に収容される便袋とを具備する。
【0016】
この特許文献3に係るオムツユニット及びオムツ外装体では、装着時にカバーが人の臀部と対向する部位において、衝撃吸収ジェル片が、カバーと人工臀筋ブロックとの間に設けられている。このため、臀部に加わる応力が分散され、仙骨部分に褥瘡ができ難く、また、褥瘡ができている場合に悪化を抑制する効果がある。
【0017】
上記のような従来の排便対応の場合には、弾性部材によって臀筋などの補完を行うというものがあったが、基本的に紙オムツを使用する構成となっており、紙オムツのコストに弾性部材による構成部分のコストが上乗せされたものとなり、全体としてコスト高であるという問題があった。また、紙オムツを使用することが前提となっていることから、使用済みの紙オムツがゴミとして大量に発生し、その処理にコストが必要であるだけでなく、廃棄物の低減と言う課題からも問題のあるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2012-228320号公報
【特許文献2】特開2014-327号公報
【特許文献3】特開2014-94062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上記のような排便対応技術分野における問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、褥瘡ができる原因となる排泄された便を肌と離すことができるおまる型装着便器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の実施形態に係るおまる型装着便器は、人の臀部と着座対象物との間においてクッションの役割をなす外装体と、前記外装体の内側に設けられ人から排出された便を受けて保持する内装体とを具備するおまる型装着便器であって、前記外装体は、中央部に、人から排出された便に対応する便対応穴を有する弾性ブロックであって、着座対象物に置いて人が座った状態において圧縮されて、前記便対応穴に位置する仙骨が着座対象物から浮いた状態で圧縮が停止する厚みを有する弾性ブロックと、前記弾性ブロックの前記便対応穴の部分において有底穴が形成されるように前記弾性ブロックを被覆する弾性ブロックカバーであって、被覆状態の前記弾性ブロックを、臀部に位置付けた状態で人に装着させる装着バンドが設けられている弾性ブロックカバーと、を有し、前記内装体は、通常のオムツと同様に、人の背中と腰の境界部分から股を介して腹部の臍付近までを覆うことが可能な広さと長さを有する布製のオムツ機能シートであって、前記便対応穴に収納される袋状の便受袋部が取り付けられたオムツ機能シートにより構成され、前記便受袋部には、水解紙により構成される使い捨て便受が設けられることを特徴とする。
【0021】
本発明の実施形態に係るおまる型装着便器では、被覆状態の前記弾性ブロックが、臀部に位置付けられた状態で前記装着バンドによって人に装着されたときに、人の左右の腸骨稜を覆う弾性を有する腸骨保護アームパッドを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明の実施形態に係るおまる型装着便器では、前記弾性ブロックに、臀部に位置付けた状態で人が座ったときに人から前記弾性ブロックへの圧力が大きくなる前記弾性ブロックのエリアにジェルパッドを設けたことを特徴とする。
【0023】
本発明の実施形態に係るおまる型装着便器では、前記弾性ブロックに、抗菌剤が包装された抗菌剤包装袋を設けたことを特徴とする。
【0024】
本発明の実施形態に係るおまる型装着便器では、前記弾性ブロックに、吸湿材が包装された吸湿材包装袋を設けたことを特徴とする。
【0025】
本発明の実施形態に係るおまる型装着便器では、前記オムツ機能シートの前記便受袋部に、前記便受袋部がフィットする形状であり、前記便受袋部から前記オムツ機能シートのシート面へ向かって広がる養生エリアを有する水解紙により構成される使い捨て便受が設けられることを特徴とする。
【0026】
本発明の実施形態に係るおまる型装着便器では、前記オムツ機能シートの前記便受袋部に設けられ、前記使い捨て便受を受容して設けられると共に、所要時に前記使い捨て便受を入れたままで前記便受袋部から取り去り可能である取去パッケージを備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の実施形態に係るおまる型装着便器では、前記オムツ機能シートは、人に直接触れる吸水性のインナーシートと、前記インナーシートより前記弾性ブロック側に配置され撥水加工された布製アウターシートとにより構成されることを特徴とする。
【0028】
本発明の実施形態に係るおまる型装着便器では、前記布製アウターシートには便受袋部が取り付けられ、排便は、前記インナーシートに形成された通し穴を介して前記便受袋部内の使い捨て便受へ行われるか、または前記インナーシートに取り付けられた袋部が前記布製アウターシートの前記便受袋部に挿入された状態の前記袋部内の使い捨て便受へ行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の実施形態に係るおまる型装着便器によれば、前記外装体は、中央部に、人から排出された便に対応する便対応穴を有する弾性ブロックであって、着座対象物に置いて人が座った状態において圧縮されて、前記便対応穴に位置する仙骨が着座対象物から浮いた状態で圧縮が停止する厚みを有する弾性ブロックと、前記弾性ブロックの前記便対応穴の部分において有底穴が形成されるように前記弾性ブロックを被覆する弾性ブロックカバーであって、被覆状態の前記弾性ブロックを、臀部に位置付けた状態で人に装着させる装着バンドが設けられている弾性ブロックカバーと、を有し、前記内装体は、通常のオムツと同様に、人の背中と腰の境界部分から股を介して腹部の臍付近までを覆うことが可能な広さと長さを有する布製のオムツ機能シートであって、前記便対応穴に収納される袋状の便受袋部が取り付けられたオムツ機能シートにより構成され、前記便受袋部には、水解紙により構成される使い捨て便受が設けられるので、オムツシートは布製であり、洗濯により複数回使用でき、ランニングコストを低減できる。また、排便を受ける便受は、水解紙により構成される使い捨て便受であり、処理が簡単でオムツ全体を排便の都度取り換える必要がなく便利である。しかも、弾性ブロックであって、着座対象物に置いて人が座った状態において圧縮されて、前記便対応穴に位置する仙骨が着座対象物から浮いた状態で圧縮が停止する厚みを有する弾性ブロックを有しているために、褥瘡ができる原因となる排泄された便を肌と離すことができ、褥瘡の発生確率を大幅に低下させることができ、特に老人等の排便管理に好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1の実施形態に係るおまる型装着便器の組み立て斜視図。
図2】本発明の実施形態に係るおまる型装着便器に用いられる弾性ブロックの平面図。
図3】本発明の実施形態に係るおまる型装着便器に用いられる弾性ブロックの裏面図。
図4】本発明の実施形態に係るおまる型装着便器に用いられる弾性ブロックを収納する態勢整頓袋の平面図。
図5】本発明の実施形態に係るおまる型装着便器に用いられる弾性ブロックを収納した状態の態勢整頓袋の平面図。
図6】本発明の実施形態に係るおまる型装着便器に用いられる弾性ブロックを被覆する弾性ブロックカバーの平面図。
図7】本発明の実施形態に係るおまる型装着便器に用いられる弾性ブロックを被覆する弾性ブロックカバーの裏面図。
図8】本発明の実施形態に係るおまる型装着便器を対象者に装着した状態の正面図。
図9】本発明の実施形態に係るおまる型装着便器を対象者に装着した状態の右側面図。
図10】本発明の実施形態に係るおまる型装着便器を対象者に装着して車椅子に座った状態の右側面からの一部断面図。
図11】本発明の実施形態に係るおまる型装着便器を対象者に装着して布団に寝た状態の左側面からの一部断面図。
図12】本発明の第2の実施形態に係るおまる型装着便器における要部の組み立て斜視図。
図13】本発明の第2の実施形態に係るおまる型装着便器における要部の正面図。
図14】本発明の第3の実施形態に係るおまる型装着便器の斜視図。
図15】本発明の第3の実施形態に係るおまる型装着便器における要部の一部を示す斜視図。
図16】本発明の第3の実施形態に係るおまる型装着便器における要部の縫製前の平面図。
図17】本発明の第3の実施形態に係るおまる型装着便器における要部の縫製後で、完成した状態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して本発明の第1の実施形態に係るおまる型装着便器を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明の実施形態に係るおまる型装着便器の組み立て斜視図を示す。実施形態に係るおまる型装着便器は、人の臀部と着座対象物との間においてクッションの役割をなす外装体100と、上記外装体100の内側に設けられ、人から排出された便を受けて保持する内装体200とを具備する。
【0032】
上記外装体100は、図2図3などに示される弾性ブロック110と、この弾性ブロック110を被覆する弾性ブロックカバー150とを有する。弾性ブロック110は、例えば20mm~30mm程度の厚みを有する平面形状がU字状の中央ブロック151を備える。中央ブロック151の平面形状は、U字状に限定されるものではなく、円形、矩形、多角形など臀部に対向して臀部を包み込む形状であれば、どのような形状であっても良い。中央ブロック151を平面に置いた状態で中央から左右に分けた中央ブロック151の左サイドと右サイドには、左右対称な形状の左サイドブロック152Lと右サイドブロック152Rが載置され中央ブロック151に接着されている。
【0033】
左サイドブロック152Lと右サイドブロック152Rは、中央ブロック151を平面に置いた状態で中央から左右に分けた左サイドと右サイドに沿って中央ブロック151と同じ形状を有し、中央ブロック151の中央付近から真横よりやや上方へ100mm~150mm程度の幅の腸骨保護アームパッド153L、153Rが伸びて形成されている。左サイドブロック152Lと右サイドブロック152Rは、その厚みは、中央ブロック151と同じ20mm~30mm程度である。中央ブロック151、左サイドブロック152Lと右サイドブロック152R、腸骨保護アームパッド153L、153Rは、スポンジなどと称される例えば軟質ウレタンフォームにより構成される。
【0034】
図2は、弾性ブロック110の表面側を示す図であり、人に装着されるときに臀部に対向する面である。これに対し、図3は、弾性ブロック110の裏面側であり、図2の弾性ブロック110の裏側の面を示す図である。中央ブロック151を裏面における中央から左右に分けた左サイド領域と右サイド領域には、厚みが50mm~60mm程度の例えばチップウレタンフォーム(硬さは、普通乃至硬質)により作成された「ソラマメ」形状の高さ保持ブロック154L、154Rが接着されている。上記左サイド領域と右サイド領域の用語における左右は、図2の状態のときにおける右と左を指すものとする。
【0035】
上記のような弾性ブロック110は、人から排出された便に対応する便対応穴155を有する。本実施形態では、中央ブロック151の平面形状が、U字状であるから、便対応穴155は、壁の一部に開口部156を備えているが、中央ブロック151の平面形状が円形、矩形、多角形などの形状であれば、便対応穴155は壁が連続したものとなることは言うまでもない。
【0036】
高さ保持ブロック154L、154Rの中央部から、中央ブロック151におけるU字の折返し部分の方向へ向かって、高さ保持ブロック154L、154Rの形状を縮小した平面形状が「ソラマメ」形状の穴158L、158Rが形成されている。この穴158L、158Rは、高さ保持ブロック154L、154Rを通過し、中央ブロック151を穿つ深さを有するものであっても良く、また、その形状は「ソラマメ」形状に限定されるものではない。高さ保持ブロック154L、154Rにそれぞれ1つの穴158L、158Rを形成したが複数であって良い。
【0037】
上記の穴158L、158Rには、カテキンによる除菌効果を有する緑茶葉などの抗菌材が包装された抗菌剤包装袋と、吸湿材が包装された吸湿材包装袋が装填される。図3では、抗菌剤包装袋と吸湿材包装袋を一つにした抗菌剤・吸湿材包装袋159、159を示し、抗菌剤・吸湿材包装袋159、159には、抗菌剤と吸湿材が充填されている。高さ保持ブロック154L、154Rにそれぞれ複数の穴158L、158Rを形成した場合には、抗菌剤包装袋、吸湿材包装袋、抗菌剤・吸湿材包装袋を適宜充填させる。抗菌剤包装袋、吸湿材包装袋、抗菌剤・吸湿材包装袋は、その性能が発揮される状態で弾性ブロック110に設けられていれば良く、設けられる位置(或いは場所)に制限はない。
【0038】
上記のような弾性ブロック110は、椅子や寝具などの着座対象物に置いて人が座った状態において圧縮されて、上記便対応穴155に位置する仙骨が着座対象物から浮いた状態で圧縮が停止する厚みを有する。上記のような弾性ブロック110は、その外観に一致する形態の態勢整頓袋160(図4)に入れられて形態が整えられ、各構成要素の形状が浮き出てくるような1つの塊に纏められる(図5)。態勢整頓袋160は、弾性ブロック110の形態を整える機能の他に、図7に示すように弾性ブロックカバー150内に出入口部170から収容し易くなっており、また、弾性ブロックカバー150内から態勢整頓袋160に入れられた弾性ブロック110を一体として出入口部170から取り出し易くしている。出入口部170は、外装体100を人に取り付けたときの外側に弾性ブロックカバー150の周縁に沿って設けられており、出入口部170はファスナー171により開閉される。また、態勢整頓袋160は、内部の弾性ブロック110が、抗菌剤包装袋、吸湿材包装袋、抗菌剤・吸湿材包装袋を備えるために、通気性が求められる。従って、態勢整頓袋160は、滑りが良い生地であって、メッシュ生地などの通気性の良い布の生地とすることができる。
【0039】
態勢整頓袋160に収納された弾性ブロック110を被覆する弾性ブロックカバー150は、図6図7に示すように、中央部に円環状の空間を有する弾性ブロック収納袋157を備え、弾性ブロック収納袋157は、円環の外周を一周するファスナー171を有する円形の底部シート172と、弾性ブロックカバー150の内側において底部シート172に重なるメインシート176の円環シート部173により、形成される。底部シート172の中央部の円形領域174は、弾性ブロック110の便対応穴155に位置する領域である。円環シート部173は、底部シート172のファスナー171へ結合する外周縁を有し、円環シート部173の内周縁173Hは上記円形領域174の周縁に結合されている。
【0040】
メインシート176は、底部シート172の反対側において、底部シート172の周辺では一点鎖線により示される概ね台形形状領域177を有する。台形形状領域177の上底に近い半分の領域における左右の両サイドからは、第1装着バンド178、178が伸びている。また、台形形状領域177の下底に近い半分の領域における左右の両サイドからは、第2装着バンド179、179が伸びている。上記の第1装着バンド178、178と第2装着バンド179、179とは、本実施形態に係るおまる型装着便器を被覆状態で上記弾性ブロック110を、臀部に位置付けた状態で人に装着させる機能をなすものである。装着のために、第1装着バンド178、178と第2装着バンド179、179の先端部分には、面状ファスナーのループ側とフック側のシートM1、M2がそれぞれ1対設けられている。第1装着バンド178のシートM1、M2の裏面は、面ファスナーのループ面となっており、第1装着バンド178、178同士が結合可能である。第2装着バンド179のシートM1、M2の裏面は、面ファスナーのループ面となっており、第2装着バンド179、179同士が結合可能である。
【0041】
第1装着バンド178、178と円環シート部173との境界部分には、弾性ブロック収納袋157に通じる切欠穴181、181が形成されている。この切欠穴181、181からは、弾性ブロック収納袋157に収納されている弾性ブロック110の腸骨保護アームパッド153L、153Rが突出して配置される。
【0042】
メインシート176の台形形状領域177の下底側は、平面形状がヘラ型の前立部182へ繋がっている。前立部182において、装着時の表面側(図1では、裏面)は、面状ファスナーのフックが係合可能な立毛加工などが施されたループ面となっている。このため、第1装着バンド178のフック面と前立部182のループ面が結合可能であり、第2装着バンド179のフック面と前立部182のループ面が結合可能である。弾性ブロック110には、ジェルパッド183が設けられる。本実施形態では、弾性ブロック110が弾性ブロック収納袋157に入れられた状態の円環シート部173における、左サイドブロック152Lと右サイドブロック152Rに重なる位置に、例えば厚みが3mm~8mm程度のジェルパッド183が設けられる。ジェルパッド183は、振動防止用などとして市販されているものを用いることができる。このように本実施形態では、臀部に上記弾性ブロック110を位置付けた状態で人が座ったときに人から上記弾性ブロック110への圧力が大きくなる上記弾性ブロック110のエリアにジェルパッド183を設けたものとなっている。
【0043】
前述の通り、本実施形態に係るおまる型装着便器は、内装体200を具備する(図1)。本実施形態の内装体200は、布製のオムツ機能シートであり、通常のオムツと同様に、人の背中と腰の境界部分から股を介して腹部の臍付近までを覆うことが可能な広さと長さを有し、弾性ブロック110の円環シート部173から前立部182に重なる。即ち、内装体200は、布製の、平面形状が細長い瓢箪形状のオムツ機能シート200である。オムツ機能シート200は、上記弾性ブロック110の便対応穴155に収納される袋状の便受袋部251が取り付けられたものである。
【0044】
本実施形態では、オムツ機能シート200は、人に直接触れる吸水性のインナーシート210と、上記インナーシート210より上記弾性ブロック110側に配置され、撥水加工された布製アウターシート250とにより構成される。オムツ機能シート200は、上記弾性ブロック110の便対応穴155に収納される袋状の便受袋部251が取り付けられたものである。本実施形態では、便受袋部251は、布製アウターシート250に設けられている。上記便受袋部251には、水解紙により構成される使い捨て便受260が設けられる。使い捨て便受260は、上記便受袋部251にフィットする形状の有底筒型形状である本体部261を有し、上記便受袋部251の開口部252から上記オムツ機能シート200のシート面へ向かって広がる養生エリア262を本体部261の開口部に有する水解紙により構成されることができる。
【0045】
布製アウターシート250は、ポリエステル素材などの生地により構成されるもので、サラサラ感があり、洗濯が可能で、比較的乾燥が早い生地で作成することができる。布製アウターシート250は、平面形状が細長い瓢箪形状であり、全体として凹形状に湾曲しており、縁部257、257は10mm程度の壁状に形成されている。布製アウターシート250の縁部257、257の中でも、装着時に股部分に当接する領域の縁部には、最大で50mm程度の障壁部253、253が形成されており、尿などが布製アウターシート250から漏れることを防止する構造となっている。
【0046】
インナーシート210は、布製アウターシート250の壁部より内側に丁度収まる形状と大きさを有し、布製アウターシート250の開口部252と一致する穴211を有する。インナーシート210は、例えば、吸水吸着性のシートを中央とし、このシートの上下を吸水性の布で包み込んだ三層構造の布シートで、洗濯して何度も再利用可能な布シートとすることができる。
【0047】
以上のように構成された本実施形態のおまる型装着便器は、次のようにして使用される。図1の状態の外装体100に、布製アウターシート250を積層する。このとき、弾性ブロックカバー150の円形領域174へ布製アウターシート250の便受袋部251を納める。次に、使い捨て便受260の本体部261を上記便受袋部251へ納め、養生エリア262を上記便受袋部251の開口部252の周囲に広げて配置する。使い捨て便受260を複数枚重ねて使用しても良い。このように外装体100に、布製アウターシート250を積層し、使い捨て便受260をセットした後に、インナーシート210を、布製アウターシート250の壁部より内側に収める。
【0048】
上記インナーシート210が一番上に重ねられたおまる型装着便器に対し、対象者の臀部が弾性ブロックカバー150の円形領域174に位置付けられるような状態で対象者を仰向けで寝せる。次に、布製アウターシート250とインナーシート210が重なった弾性ブロックカバー150の前立部182を対象者の股間から下腹部へ引き出し、腹部の臍付近までを覆う状態とする。
【0049】
上記の状態では、弾性ブロック110の腸骨保護アームパッド153L、153Rが対象者の腸骨の側方に位置した状態で突出している。この腸骨保護アームパッド153L、153Rを腸骨のある位置から対象者の正面側に回し、腸骨保護アームパッド153L、153Rの上から第1装着バンド178、178を対象者の体に巻き付け、先端部分に設けられている面状ファスナーのフック側のシートM2を前立部182のループ面に係合させる。更に、第2装着バンド179、179についても、対象者の体に巻き付け、先端部分に設けられている面状ファスナーのフック側のシートM2を前立部182のループ面に係合させる。以上により、図8図9に示すように、本実施形態に係るおまる型装着便器が対象者Pの臀部に適切に位置付けられて装着される。
【0050】
図10図11に示される本実施形態に係るおまる型装着便器500を装着した対象者Pが生活をする場合に、対象者Pが立っている状態では当初において若干の違和感がある可能性があれば、慣れによってほぼ問題なく行動可能である。更に、車椅子601で生活をする場合には、車椅子601の座席シート600が例えば軟質ウレタンフォームにより構成され、図10に示すように、おまる型装着便器500が体重により高さが圧縮されると共に、座席シート600も圧縮されることから、おまる型装着便器500が座席シート600に沈み込み、通常の座っている状態を呈する。このとき、従来では、長い時間座っていると背中が車椅子601の背凭れ602を下降し、臀部が車椅子601における座席シート600の座席先端部604へ進むか更には、座席先端部604からズレ落ちてしまう。本実施形態のおまる型装着便器500は、対象者Pに適切に装着されて一体となっており、しかも、弾性を有する座席シート600に沈み込むので、おまる型装着便器500が車椅子601における座席シート600の座席先端部604へ進み難くなり、適切な姿勢の維持に寄与することができる。そして、おまる型装着便器500を構成する弾性ブロック110は、車椅子601や図11に示すような寝具700などの着座対象物におまる型装着便器500を置いて人が座った状態において圧縮されて、上記便対応穴155に位置する仙骨が着座対象物から浮いた状態で圧縮が停止する厚みを有する。このため、褥瘡ができる原因となる排泄された便を肌と離すことができ、褥瘡の発生確率を大幅に低下させることができ、特に老人等の排便管理に好適なものである。
【0051】
また、対象者が睡眠する場合には、寝具700としてマットレスなどの80mm程度の軟質ウレタンフォームを使ったものを用いることによって、図11に示すようにおまる型装着便器500が寝具700に沈み込むので、おまる型装着便器500を気にすることなく睡眠することが期待できる。
【0052】
そして、睡眠に手すり枠の無いベッドを使う場合や、通常の椅子に座らせる場合には、従来は対象者Pが落下して腸骨を痛めたり骨折したりする可能性があった。これに対し、本実施形態に係るおまる型装着便器500を用いていれば、人の左右の腸骨稜を覆う弾性を有する腸骨保護アームパッド153L、153Rを備えるので、落下しても腸骨を痛めたり骨折したりする危険性を著しく低下させることが可能である。
【0053】
次に第2の実施形態に係るおまる型装着便器を説明する。第2の実施形態に係るおまる型装着便器では、図12に記載の使い捨て便受270を用いる。図1に記載の使い捨て便受260は、上記便受袋部251にフィットする形状の有底筒型形状であり、使い捨て便受260を便受袋部251に直接設けた。これに対し、第2の実施形態では、使い捨て便受260を便受袋部251に直接設けることなく、図12に記載の如き取去パッケージ800を便受袋部251に設け、この取去パッケージ800の中に使い捨て便受270を入れて用いる。使い捨て便受270は、水解紙により構成される長方形の紙とすることができ、この使い捨て便受270である紙をU字状にして一枚或いは複数枚重ねて籠状にしたものとすることができる。
【0054】
取去パッケージ800は、4角が面取りされた矩形の発泡スチロールシートを2枚重ね、周縁部の半分程度を溶着などにより接合したものとすることができる。接合していない側に穴810、810を設け、この穴810、810に指を入れて両側へ引っ張って使い捨て便受270を受容する孔820を生じさせて用いる。取去パッケージ800の孔820に使い捨て便受270を入れた状態の取去パッケージ800の平面図を図13に示す。
【0055】
以上のように第2の実施形態に係るおまる型装着便器は、オムツ機能シート200の上記便受袋部251に設けられ、上記使い捨て便受270を受容して設けられると共に、所要時に上記使い捨て便受270を入れたままで上記便受袋部251から取り去り可能である取去パッケージ800を備える。これによって、第2の実施形態に係るおまる型装着便器を用いて使い捨て便受270に排便を行った場合には、穴810、810に指を入れて取去パッケージ800をオムツ機能シート200の上記便受袋部251から取り去り、取去パッケージ800内の使い捨て便受270と大便をトイレに捨てて、取去パッケージ800を汚物廃棄容器等に廃棄することができる。これにより介護者は衛生的に便の廃棄を行うことができ、オムツを便と共に廃棄していた従来に比べて廃棄物の低減を図り、その処理コストを抑制することが可能である。
【0056】
第3の実施形態では、第1の実施形態と第2の実施形態におけるインナーシート210に変えて、図14に示すインナーシート210Aを用いる。このインナーシート210Aは、インナーシート210の穴211が、所謂「ばか穴」或いは「通し穴」と称される穴であったのに対し、有底穴280を有している。
【0057】
有底穴280には、穴の側壁及び底部がインナーシート210Aと同じ吸水性の布で作られた袋部281となっている。図15に示すように袋部281がお椀形状である場合には、お椀の底部の円形の底布281Bと、壁面を底布281Bの中心から有底穴280の円周をいくつかに分割した分割点まで延びる線分282Lにより分割した側壁パーツ282Pを縫い合わせて作ることができる。側壁パーツ282Pの開口側には縫代片282Gが設けられている。縫代片282Gは、インナーシート210Aの有底穴280の開口周縁部に縫うなどして結合される。
【0058】
袋部281を有するインナーシート210Aは、図16に示すように、やや長めの長方形形状の基部284を有する2枚の布285であって、中央部が他方の布285へ向かって突出した四角形や舌片形状の突出部287を有するものを用いて作成することができる。このインナーシート210Aは、縫い目286により縫い合わせて作成することができ、完成したインナーシート210Aは、平面に置いてシートを開いた状態が図17のようになる。即ち、基部284が通常の長方形形状のオムツのように構成され、2枚の布の状態において、他方の布285へ向かって突出した四角形や舌片形状の部分が縫い合わされて袋部281となっている。2枚の布285は、図16に示すように突出部287において結合した1枚の布であっても良い。また、袋部281を作成する原型となる突出部287の形状は、袋部281の形状によって適宜な大きさや形状とすることができる。
【0059】
このインナーシート210Aは、袋部281内に図1に示した使い捨て便受260を設けずに用いて、使い捨てとすることができる。また、使い捨て便受260をインナーシート210Aの袋部281の内側に設けて、用便後に使い捨て便受260のみを捨て、インナーシート210Aを洗濯して再利用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
100 外装体 110 弾性ブロック
150 弾性ブロックカバー 151 中央ブロック
153L、153R 腸骨保護アームパッド 154L、154R 高さ保持ブロック
155 便対応穴 156 開口部
157 弾性ブロック収納袋 158L、158R 穴
159 抗菌剤・吸湿材包装袋 160 態勢整頓袋
170 出入口部 171 ファスナー
172 底部シート 173 円環シート部
176 メインシート 177 台形形状領域
178 装着バンド 179 装着バンド
181 切欠穴 182 前立部
183 ジェルパッド
200 内装体(オムツ機能シート) 210、210A インナーシート
250 布製アウターシート 251 便受袋部
252 開口部 253 障壁部
260 便受 261 本体部
262 養生エリア 270 便受
280 有底穴 281 袋部
500 おまる型装着便器 600 座席シート
601 車椅子 604 座席先端部
700 寝具 800 取去パッケージ
810 穴 820 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
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