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特開2022-106721混沌波センサを利用した試料特性探知装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106721
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】混沌波センサを利用した試料特性探知装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/49 20060101AFI20220712BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20220712BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G01N21/49 Z
C12M1/34 B
C12Q1/04
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022060460
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2018526645の分割
【原出願日】2016-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2015-0160915
(32)【優先日】2015-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0028966
(32)【優先日】2016-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】15/170,508
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】10-2016-0068563
(32)【優先日】2016-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】16172885.2
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】10-2016-0090961
(32)【優先日】2016-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0092901
(32)【優先日】2016-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0093466
(32)【優先日】2016-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0120764
(32)【優先日】2016-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0132149
(32)【優先日】2016-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0132150
(32)【優先日】2016-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0144640
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0152973
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518174905
【氏名又は名称】韓國科學技術院
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】291, Daehak-ro Yuseong-gu Daejeon 34141 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】518174916
【氏名又は名称】ザ ウェーブ トーク, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】THE WAVE TALK, INC.
【住所又は居所原語表記】T337, Truth Hall, 193, Munji-ro Yuseong-gu Daejeon 34051 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】パーク, ヨンクン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン, ジョンヒー
(72)【発明者】
【氏名】リー, キョーレ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヤング ダグ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ナム キュン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】混沌波センサを利用した微生物などの試料特性探知装置を提供する。
【解決手段】試料に向けて波動を照射する波動源、照射された波動が、試料によって多重散乱されて発生したレーザスペックルを検出するが、レーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出する検出部、及び検出されたレーザスペックルの経時的変化である時間相関関係を獲得し、獲得された時間相関関係に基づいて、試料の特性をリアルタイムで探知する制御部を含み、該検出部は、試料と検出部との間、または検出部内部の一領域において、レーザスペックルを検出する試料特性探知装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に向けて波動を照射する波動源と、
前記照射された波動が、前記試料によって多重散乱されて発生したレーザスペックルを検出するが、前記レーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出する検出部と、
前記検出されたレーザスペックルの経時的変化である時間相関関係を獲得し、前記獲得された時間相関関係に基づいて、前記試料の特性をリアルタイムで探知する制御部と、を含み、
前記検出部は、前記試料と前記検出部との間、または前記検出部内部の一領域において、前記レーザスペックルを検出する試料特性探知装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記試料内部で動きがある細菌や微生物またはウイルスから生成されるスペックルの変化により、前記細菌や微生物またはウイルスの存在いかん、またはその濃度をリアルタイムで推定することを特徴とする請求項1に記載の試料特性探知装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記試料の表面から一定距離離隔された前記第1領域において、前記レーザスペックルを検出することを特徴とする請求項1に記載の試料特性探知装置。
【請求項4】
前記第1領域は、前記試料の表面から第1距離離隔された第1地点を含む第1面と、前記試料の表面から前記第1距離より遠い第2距離離隔された第2地点を含む第2面との間に配置されることを特徴とする請求項3に記載の試料特性探知装置。
【請求項5】
前記時間相関関係は、第1時点で検出された前記レーザスペックルの第1映像情報と、前記第1時点と異なる第2時点で検出された前記レーザスペックルの第2映像情報との差を含むことを特徴とする請求項1に記載の試料特性探知装置。
【請求項6】
前記第1映像情報及び前記第2映像情報は、前記レーザスペックルのパターン情報、及び前記波動の強度情報のうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項5に記載の試料特性探知装置。
【請求項7】
前記試料を収容する試料配置部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の試料特性探知装置。
【請求項8】
前記試料配置部内の前記試料に、所定抗生物質を投与する抗生物質適用部をさらに含み、
前記制御部は、前記レーザスペックルの時間相関関係に基づいて、前記試料に前記抗生物質が投与される前またはその後の前記試料内の微生物の存在いかん、または微生物の濃度を推定し、前記推定された微生物存在いかん、または前記微生物の濃度変化により、前記抗生物質の適合性をリアルタイムで判断することを特徴とする請求項7に記載の試料特性探知装置。
【請求項9】
前記試料が外部環境に露出されないように、少なくとも前記試料配置部をカバーするカバー部材と、
前記試料の一定培養環境を維持するように環境条件を調節する培養環境調節部と、をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の試料特性探知装置。
【請求項10】
前記検出部を2以上含む場合、前記複数の検出部から検出された複数の前記レーザスペックルを利用し、三次元スペックルイメージを生成する三次元イメージ生成部をさらに含み、
前記制御部は、前記三次元スペックルイメージを利用し、前記試料の特性を探知することを特徴とする請求項1に記載の試料特性探知装置。
【請求項11】
前記試料から多重散乱されて出射される前記波動の少なくとも一部を、前記試料に反射させ、前記試料での多重散乱回数を増幅させる多重散乱増幅部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の試料特性探知装置。
【請求項12】
前記多重散乱増幅部は、
前記試料の中心を通る延長線上に配置され、前記試料から多重散乱されて出射される前記波動の少なくとも一部を、前記試料に反射させる第1多重散乱増幅部と、
前記試料を基準に、前記第1多重散乱増幅部と対向するように配置され、前記試料から多重散乱されて出射される前記波動の少なくとも一部を、前記試料に反射させる第2多重散乱増幅部と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の試料特性探知装置。
【請求項13】
試料を収容する試料配置部と、
前記試料配置部と隣接するように配置され、基準試料を収容する基準試料配置部と、
前記試料配置部内の前記試料、及び前記基準試料配置部内の前記基準試料に向けて波動を照射する波動源と、
前記照射された波動が、前記試料及び前記基準試料それぞれによって多重散乱されて発生した第1レーザスペックル及び基準レーザスペックルを検出するが、事前に設定された同一時点ごとに検出する検出部と、
前記検出された第1レーザスペックルを利用し、前記検出された第1レーザスペックルの経時的変化である時間相関関係を獲得し、前記獲得された時間相関関係に基づいて、前記試料の特性をリアルタイムで探知し、
前記検出部は、前記試料と前記検出部との間、または前記検出部内部の一領域において、前記レーザスペックルを検出する試料特性探知装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記試料内部で動きがある細菌や微生物またはウイルスから生成されるスペックルの変化により、前記細菌や微生物またはウイルスの存在いかん、またはその濃度をリアルタイムで推定することを特徴とする請求項13に記載の試料特性探知装置。
【請求項15】
前記試料配置部内の前記試料に、所定抗生物質を投与する抗生物質適用部をさらに含み、
前記制御部は、前記レーザスペックルの時間相関関係に基づいて、前記試料に前記抗生物質が投与される前またはその後の前記試料内の微生物の存在いかん、または微生物の濃度を推定し、前記推定された微生物存在いかん、または前記微生物の濃度変化により、前記抗生物質の適合性をリアルタイムで判断することを特徴とする請求項13に記載の試料特性探知装置。
【請求項16】
前記時間相関関係は、第1時点で検出された前記第1レーザスペックルの第1映像情報と、前記第1時点と異なる第2時点で検出された前記第1レーザスペックルの第2映像情報との差を含むことを特徴とする請求項13に記載の試料特性探知装置。
【請求項17】
前記第1映像情報及び前記第2映像情報は、レーザスペックルのパターン情報、及び波動の強度情報のうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項16に記載の試料特性探知装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記検出された基準レーザスペックルを利用し、前記検出された基準レーザスペックルの基準情報を獲得し、前記基準情報を利用し、前記第1レーザスペックルの時間相関関係に係わるノイズを除去することを特徴とする請求項17に記載の試料特性探知装置。
【請求項19】
前記波動源から入射された波動を分割させ、複数の波動経路に提供する多重ビームリフレクタと、
前記多重ビームリフレクタから提供される前記波動経路上に配置され、前記試料及び前記基準試料で反射されて出射される前記波動の経路を変更し、前記検出部に提供するビームスプリッタと、をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の試料特性探知装置。
【請求項20】
試料に向けて波動を照射する波動源と、
前記照射された波動が、前記試料によって多重散乱されて発生したレーザスペックルを検出するが、前記レーザスペックルが拡散する経路上の一領域において、前記レーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出する検出部と、
前記検出されたレーザスペックルの時間相関関係を獲得し、前記獲得された時間相関関係に基づいて、前記試料の特性をリアルタイムで探知する制御部と、を含む試料特性探知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混沌波センサを利用した試料特性探知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人間は、多様な生物と同じ空間で生活している。可視生物から不可視生物に至るまで、人間の周辺で共に生活しながら、人間に直接間接に影響を与えている。そのうち、人間の健康に影響を与える微生物または小生物は、肉眼には映らないが、人間の周辺に存在し、多様な疾病を誘発している。
【0003】
不可視微生物を測定するために、従来には、微生物培養法、質量分析法(mass spectrometry)、核磁気共鳴(unclear magnetic resonance)技法などを利用した。微生物培養法、質量分析法、核磁気共鳴技法の場合、特定種類の細菌を精密に測定することができるが、細菌を培養させる準備時間が長くかかり、高コストの精密で複雑な装備を必要とする。
【0004】
それら以外に、光学的技法を利用して微生物を測定する技法がある。例えば、光学的技法として、ラマン分光法(Raman spectrometry)、及び多重分光映像(multispectral imaging)が利用されるが、複雑な光学系が必要であり、複雑な光学系を扱うことができる専門的な知識、及び研究室レベルの設備を要求し、長年の測定時間が必要であるので、一般的大衆の使用に問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の問題及び/または限界を解決するために、混沌波センサを利用した試料特性探知装置を提供するところに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、試料に向けて波動を照射する波動源、前記照射された波動が、前記試料によって多重散乱(multiple scattering)されて発生したレーザスペックル(laser speckle)を検出するが、前記レーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出する検出部、及び前記検出されたレーザスペックルの経時的変化である時間相関関係(temporal correlation)を獲得し、前記獲得された時間相関関係に基づいて、前記試料の特性をリアルタイム(real-time)で探知する制御部を含み、前記検出部は、前記試料と前記検出部との間、または前記検出部内部の一領域において、前記レーザスペックルを検出する試料特性探知装置を提供する。
【0007】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記試料内部で動きがある細菌や微生物またはウイルスから生成されるスペックルの変化により、前記細菌や微生物またはウイルスの存在いかん、またはその濃度をリアルタイムで推定することができる。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記検出部は、前記試料の表面から一定距離離隔された前記第1領域において、前記レーザスペックルを検出することができる。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記第1領域は、前記試料の表面から第1距離離隔された第1地点を含む第1面と、前記試料の表面から前記第1距離より遠い第2距離離隔された第2地点を含む第2面との間に配置されてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記時間相関関係は、第1時点で検出された前記レーザスペックルの第1映像情報と、前記第1時点と異なる第2時点で検出された前記レーザスペックルの第2映像情報との差を含んでもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記第1映像情報及び前記第2映像情報は、前記レーザスペックルのパターン情報及び前記波動の強度情報のうち少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記試料を収容する試料配置部をさらに含んでもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記試料配置部内の前記試料に、所定抗生物質を投与する抗生物質適用部をさらに含み、前記制御部は、前記レーザスペックルの時間相関関係に基づいて、前記試料に前記抗生物質が投与される前またはその後の前記試料内の微生物の存在いかん、または微生物の濃度を推定し、前記推定された微生物存在いかん、または前記微生物の濃度変化により、前記抗生物質の適合性をリアルタイムで判断することができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記試料が外部環境に露出されないように、少なくとも前記試料配置部をカバーするカバー部材と、前記試料の一定培養環境を維持するように環境条件を調節する培養環境調節部と、をさらに含んでもよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記検出部を2以上含む場合、前記複数の検出部から検出された複数の前記レーザスペックルを利用し、三次元スペックルイメージを生成する三次元イメージ生成部をさらに含み、前記制御部は、前記三次元スペックルイメージを利用して前記試料の特性を探知することができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記試料から多重散乱されて出射される前記波動の少なくとも一部を前記試料に反射させ、前記試料での多重散乱回数を増幅させる多重散乱増幅部をさらに含んでもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記多重散乱増幅部は、前記試料の中心を通る延長線上に配置され、前記試料から多重散乱されて出射される前記波動の少なくとも一部を、前記試料に反射させる第1多重散乱増幅部と、前記試料を基準に、前記第1多重散乱増幅部と対向するように配置され、前記試料から多重散乱されて出射される前記波動の少なくとも一部を、前記試料に反射させる第2多重散乱増幅部と、を含んでもよい。
本発明の他の実施形態は、試料を収容する試料配置部、前記試料配置部と隣接するように配置され、基準試料を収容する基準試料配置部、前記試料配置部内の前記試料、及び前記基準試料配置部内の前記基準試料に向けて波動を照射する波動源、前記照射された波動が、前記試料及び前記基準試料それぞれによって多重散乱(multiple scattering)されて発生した第1レーザスペックル(laser speckle)及び基準レーザスペックルを検出するが、事前に設定された同一時点ごとに検出する検出部、並びに前記検出された第1レーザスペックルを利用し、前記検出された第1レーザスペックルの経時的変化である時間相関関係(temporal correlation)を獲得し、前記獲得された時間相関関係に基づいて、前記試料の特性をリアルタイム(real-time)で探知し、前記検出部は、前記試料と前記検出部との間、または前記検出部内部の一領域において、前記レーザスペックルを検出する試料特性探知装置を提供する。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記試料内部で動きがある細菌や微生物またはウイルスから生成されるスペックルの変化により、前記細菌や微生物またはウイルスの存在いかん、またはその濃度をリアルタイムで推定することができる。
本発明の一実施形態において、前記試料配置部内の前記試料に、所定抗生物質を投与する抗生物質適用部をさらに含み、前記制御部は、前記レーザスペックルの時間相関関係に基づいて、前記試料に前記抗生物質が投与される前またはその後の前記試料内の微生物の存在いかん、または微生物の濃度を推定し、前記推定された微生物存在いかん、または前記微生物の濃度変化により、前記抗生物質の適合性をリアルタイムで判断することができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記時間相関関係は、第1時点で検出された前記第1レーザスペックルの第1映像情報と、前記第1時点と異なる第2時点で検出された前記第1レーザスペックルの第2映像情報との差を含んでもよい。
本発明の一実施形態において、前記第1映像情報及び前記第2映像情報は、レーザスペックルのパターン情報、及び波動の強度情報のうち少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記検出された基準レーザスペックルを利用し、前記検出された基準レーザスペックルの基準情報を獲得し、前記基準情報を利用し、前記第1レーザスペックルの時間相関関係に係わるノイズを除去することができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記波動源から入射された波動を分割させて複数の波動経路に提供する多重ビームリフレクタと、前記多重ビームリフレクタから提供される前記波動経路上に配置され、前記試料及び前記基準試料で反射されて出射される前記波動の経路を変更し、前記検出部に提供するビームスプリッタと、をさらに含んでもよい。
【0022】
本発明の他の実施形態は、試料に向けて波動を照射する波動源と、前記照射された波動が、前記試料によって多重散乱(multiple scattering)されて発生したレーザスペックル(laser speckle)を検出するが、前記レーザスペックルが拡散する経路上の一領域において、前記レーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出する検出部と、前記検出されたレーザスペックルの時間相関関係(temporal correlation)を獲得し、前記獲得された時間相関関係に基づいて、前記試料の特性をリアルタイム(real-time)で探知する制御部と、を含む試料特性探知装置を提供する。
【0023】
前述のところ以外の他の側面、特徴、利点は、以下の図面、特許請求の範囲、及び発明の詳細な説明から明確になるであろう。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施形態による試料特性探知装置は、レーザ光源及びイメージセンサだけで光学系具現が可能であるので、低廉価格で光学系を提供するだけではなく、小型製作が可能であるので、多様な環境で幅広く適用される。そして、微生物探知のために、光学的な測定のみを利用するので、抗原・抗体など標的物質の使用が必要なく、遺伝子増幅技術などのように試片を採取する必要もないので、微生物測定過程で発生するコストを節減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態による混沌波センサの原理について説明するための図面である。
【0026】
図2】本発明の第1実施形態による試料特性探知装置を概略的に図示した概念図である。
【0027】
図3図1の検出部でのレーザスペックルの検出方法を図示した図面である。
【0028】
図4A図1の試料特性探知装置の実施形態を概略的に図示した概念図である。
図4B図1の試料特性探知装置の実施形態を概略的に図示した概念図である。
図4C図1の試料特性探知装置の実施形態を概略的に図示した概念図である。
【0029】
図5】本発明の一実施形態による試料特性探知装置を利用した微生物探知方法を順次に図示したフローチャートである。
【0030】
図6】本発明の一実施形態による制御部において、レーザスペックルの時間相関関係を分析する方法について説明するために提供される図面である。
【0031】
図7】本発明の一実施形態による試料特性探知装置を介して、経時的に測定されたレーザスペックルの光強度の標準偏差分布を図示した図面である。
【0032】
図8A】本発明の他の実施形態による試料特性探知装置を概略的に図示した概念図である。
【0033】
図8B】本発明の他の実施形態による試料特性探知装置を概略的に図示した概念図である。
【0034】
図9】本発明の第2実施形態による試料特性探知装置を概略的に図示した概念図である。
【0035】
図10】本発明の第2実施形態による試料特性探知装置の一実施形態を概略的に図示した斜視図である。
【0036】
図11図10の試料特性探知装置のブロック図である。
【0037】
図12】本発明の第2実施形態による試料特性探知装置の他の実施形態を概略的に図示した図面である。
【0038】
図13】本発明の第2実施形態による試料特性探知装置のさらに他の実施形態を概略的に図示した図面である。
【0039】
図14図9の試料特性探知装置を利用して獲得した抗生物質投与前後の時間相関関係変化を概略的に図示したグラフである。
【0040】
図15】本発明の一実施形態による携帯用生物感知システムを概略的に図示した概念図である。
【0041】
図16図15の携帯用生物感知システムの実施形態を概略的に図示した例示図である。
【0042】
図17A】本発明の他の実施形態による生物感知システムを概略的に図示した概念図である。
図17B】本発明の他の実施形態による生物感知システムを概略的に図示した概念図である。
【0043】
図18A図17の生物感知装置のボディ部のさまざまな実施形態を概略的に図示した例示図である。
【0044】
図18B図17の生物感知装置のボディ部のさまざまな実施形態を概略的に図示した例示図である。
図18C図17の生物感知装置のボディ部のさまざまな実施形態を概略的に図示した例示図である。
図18D図17の生物感知装置のボディ部のさまざまな実施形態を概略的に図示した例示図である。
【0045】
図19A】本発明のさらに他の実施形態による生物感知装置を概略的に図示した概念図である。
図19B】本発明のさらに他の実施形態による生物感知装置を概略的に図示した概念図である。
【0046】
図20図19の生物感知装置を具備した生物感知システムの実施形態を概略的に図示した概念図である。
【0047】
図21A】本発明のさらに他の実施形態による生物感知システムを概略的に図示した概念図である。
図21B図21Aの光学部を概略的に図示したブロック図である。
図21C】本発明のさらに他の実施形態による生物感知システムを概略的に図示した概念図である。
【0048】
図22】本発明の一実施形態による個体識別装置を概略的に図示した概念図である。
【0049】
図23図22の制御部及びデータ保存部の関係を概略的に図示したブロック図である。
【0050】
図24】本発明の他の実施形態による個体識別装置を概略的に図示した図面である。
【0051】
図25A】本発明のさらに他の実施形態による個体識別装置を概略的に図示した概念図である。
【0052】
図25B】本発明のさらに他の実施形態による個体識別装置を概略的に図示した概念図である。
【0053】
図26】本発明の一実施形態による個体識別装置を利用した個体識別方法を順に図示したフローチャートである。
【0054】
図27】本発明の一実施形態によるウイルス検出装置を概略的に図示した概念図である。
【0055】
図28図27のウイルス検出装置を概略的に図示したブロック図である。
【0056】
図29A図27のウイルスマーカー適用部において、ウイルスマーカーが適用される過程について説明するために概略的に図示した図面である。
図29B図27のウイルスマーカー適用部において、ウイルスマーカーが適用される過程について説明するために概略的に図示した図面である。
【0057】
図30】本発明の一実施形態によるウイルス検出方法を順次に図示したフローチャートである。
【0058】
図31】試料内のウイルス種類による時間相関関係係数を図示したグラフである。
【0059】
図32】本発明の実施形態による試料特性探知装置が冷蔵庫に設置される場合を図示した例示図である。
【0060】
図33図32の試料特性探知装置が冷蔵庫の天井部に設けられた形態を概略的に図示した例示図である。
【0061】
図34図32の試料特性探知装置を介して撮影された映像の例示である。
【0062】
図35】本発明の実施形態による試料特性探知装置が洗濯機のふたや、洗濯物投入口の外周部に設けられた状態を図示した例示図である。
【0063】
図36】本発明の実施形態による試料特性探知装置が歯ブラシ殺菌器のふたまたは壁面に設けられた状態を図示した例示図である。
【0064】
図37】本発明の実施形態による試料特性探知装置で測定された微生物の存在いかん、その濃度及び微生物種類を活用するためのネットワークに係わる図面である。
【0065】
図38】本発明の一実施形態において、歯周及び歯牙を含む口腔と係わって測定されたレーザスペックルの形態を図示した図面である。
【0066】
図39】本発明の一実施形態において、手の爪、及び足指の爪と係わって測定されたレーザスペックルの形態を図示した図面である。
【0067】
図40】本発明の一実施形態において、特定身体部位の中またはその表面に微生物が存在するか否かということを測定する方法について説明するために提供されるフローチャートである。
【0068】
図41】2つのスペックル映像を利用し、特定身体部位に微生物が存在するか否かということを測定する方法について説明するために提供される図面である。
【0069】
図42】3以上のスペックル映像を利用し、特定身体部位に微生物が存在するか否かということを測定する方法について説明するために提供される図面である。
【0070】
図43】本発明の一実施形態において、時間逆転鏡を利用して光学系が構成される場合を図示した図面である。
【0071】
図44】本発明の第3実施形態による試料特性探知装置を概略的に図示した概念図である。
【0072】
図45図44の試料採取手段の他の実施形態を図示した概念図である。
【0073】
図46図45の試料採取手段を利用した試料特性探知装置を概略的に図示した概念図である。
【0074】
図47】本発明の第4実施形態による試料特性探知装置を概略的に図示した概念図である。
【0075】
図48図47のI-I線に沿って切り取った断面図である。
【0076】
図49】本発明の第4実施形態による試料特性探知装置の他の実施形態を概略的に図示した図面である。
【0077】
図50】本発明の第4実施形態による試料特性探知装置の他の実施形態を概略的に図示した図面である。
【0078】
図51】本発明の第5実施形態による試料特性探知装置を図示した図面である。
【0079】
図52】本発明の一実施形態による検査方法を図示した図面である。
【0080】
図53】サンプルの例として、半導体素子の多層金属配線構造物を図示した図面である。
【0081】
図54】他の例として、金属配線の線幅変化をレーザスペックル分析で確認する例である。
【0082】
図55】シリコンウェーハ上に複数個のパターン領域が形成されている場合を図示した例示図である。
【0083】
図56図51の試料特性探知装置を利用し、検査領域によって、パターンを検査する例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
以下、添付された図面を参照し、以下の実施形態について詳細に説明するが、図面を参照して説明するとき、同一であるか、あるいは対応する構成要素は、同一図面符号を付し、それに係わる重複説明は省略する。
【0085】
本実施形態は、多様な変換を加えることができるが、特定実施形態を図面に例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。本実施形態の効果、特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に説明する内容を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本実施形態は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、多様な形態にも具現される。
【0086】
以下の実施形態において、第1、第2のような用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的に使用されている。
【0087】
以下の実施形態において、単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0088】
以下の実施形態において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、または構成要素が存在するということを意味するものであり、1以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性をあらかじめ排除するものではない。
【0089】
以下の実施形態において、ユニット、領域、構成要素のような部分が、他部分の上にまたは上部にあるというとき、他部分の真上ににある場合だけではなく、その中間に、他のユニット、領域、構成要素などが介在されている場合も含む。
【0090】
以下の実施形態において、「連結する」または「結合する」というような用語は、文脈上明白に異なって意味しない限り、必ずしも2つの部材の直接的及び/または固定的な連結または結合を意味するものではなく、2つの部材間に他の部材が介在されたものを排除するものではない。
【0091】
明細書上に記載された特徴または構成要素が存在することを意味するところは、1以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性をあらかじめ排除するものではない。
【0092】
図面においては、説明の便宜のために、構成要素がその大きさが誇張されていたり縮小されていたりする。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚みは、説明の便宜のために任意に示されており、以下の実施形態は、必ずしも図示されたところに限定されるものではない。
【0093】
以下では、まず、図1を参照し、本発明の混沌波センサの原理について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による混沌波センサの原理について説明するための図面である。
【0094】
ガラスのように、内部屈折率が均質した物質の場合には、光を照射したとき、一定方向に屈折が起こる。しかし、内部屈折率が不均質である物体に、レーザのような干渉光(coherent light)を照射すれば、物質内部で、非常に複雑な多重散乱(multiple scattering)が発生してしまう。
【0095】
図1を参照すれば、波動源120から照射した光または波動(以下、簡略化のために波動とする)のうち、多重散乱を介して複雑な経路に散乱された波動の一部は、検査対象面を通過することになる。検査対象面のさまざまな地点を通過する波動が、互いに補強干渉(constructive interference)または相殺干渉(destructive interference)を起こし、かような波動の補強/相殺干渉は、粒状のパターン(スペックル)を発生させる。
【0096】
本明細書においては、かような複雑な経路に散乱される波動を「混沌波(chaotic wave)」と命名し、該混沌波は、レーザスペックルを介して検出される。
【0097】
図1に戻り、左側図面は、安定した媒質をレーザで照射したときを示した図面である。内部構成物質の動きがない安定した媒質を干渉光(例えば、レーザ)で照射したときには、変化がない安定したスペックルパターンを観測することができる。
【0098】
しかし、図1の右側図面のように、内部にバクテリアなど、内部構成物質において、動きがある不安定な媒質を含んでいる場合には、スペックルパターンが変化することになる。
【0099】
すなわち、微生物の移動のような微生物の微細な生命活動により、光路が経時的に微細に変化してしまう。該スペックルパターンは、波動の干渉によって発生する現象であるために、微細な光路の変化は、スペックルパターンに変化を発生させる。それにより、スペックルパターンの経時的な変化を測定することにより、微生物の生命活動を迅速に測定することができる。かように、スペックルパターンの経時的変化を測定する場合、微生物の存在いかん及びその濃度を知ることができ、さらには、微生物の種類も知ることができる。
【0100】
本明細書は、かようなスペックルパターンの変化を測定する構成を、混沌波センサ(chaotic wave sensor)と定義する。
【0101】
以下では、前述の混沌波センサの原理を基に、本発明の一実施形態について説明する。図2は、本発明の第1実施形態による試料特性探知装置100を概略的に図示した概念図であり、図3は、図1の検出部130でのレーザスペックルの検出方法を図示した図面である。また、図4Aないし図4Cは、図1の試料特性探知装置100の実施形態を概略的に図示した概念図である。
【0102】
図2を参照すれば、本発明の第1実施形態による試料特性探知装置100は、波動源120、検出部130及び制御部140を含んでもよい。また、試料特性探知装置100は、試料配置部110、多重散乱増幅部150及びディスプレイ部190をさらに含んでもよい。
【0103】
本発明の第1実施形態による試料特性探知装置100を介して測定することができる試料Sは、測定しようとする個体から採取された唾液、血液、組織のような試料でもあり、個体の外部に排出された大便、尿、角質のような試料でもある。または、飲食物のような個体から採取された有機試料などを含んでもよい。一方、試料Sは、測定しようとする個体そのものを意味することもできる。言い換えれば、飲食物が個体であり、飲食物を毀損(damage)せず、微生物の存在いかんを測定しようとする場合には、飲食物それ自体が試料Sにもなる。例えば、販売のために包装された肉(meat)のような個体が、試料Sにもなる。試料Sは、試料全体がサンプルにも利用され、テープ、生体膜(membrane)のように、微生物が移される手段を利用して準備される。一方、試料Sは、個体が口で吹き付けることによって採取されたり皮膚から採取されたりするか、あるいは大便などをフィルタに濾して採取されもする。一実施形態として、採取された試料Sは、試料配置部110に収容されてもよい。試料配置部110は、試料Sを収容することができる容器形態によってなる。試料配置部110は、試料自体の動きを制限しながら、試料Sを支持することができる。言い換えれば、試料S自体は、動きが制限された状態で検出を進めることになる。本発明としては、試料Sが必ずしも試料配置部110に収容される必要はない。ただし、以下では、説明の便宜のために、試料Sが試料配置部110に配置された場合を中心に説明する。一方、試料配置部110は、寒天平板倍地(agar plate)のような培養皿(petri dish)でもある。
【0104】
ここで、微生物は、ブドウ状球菌属(Staphylococcus)、凝固酵素陰性ブドウ状球菌属(staph Coagulase negative)、スタフィロコッカス(Staph.aureus)、連鎖球菌種(Streptococcus spp.)、ストレプトコッカスビリダンス群(Streptococcus viridans group)、腸球菌種(Enterococcus spp.)、コリネバクテリウム菌種(Corynebacterium spp.)、アエロコッカス菌種(Aerococcus spp.)、マイクロコッカス菌種(Micrococcus spp.)、ペプトストレプトコッカス菌種(Peptostreptococcus spp.)、乳酸球菌種(Lactococcus spp.)、リュコノストック菌種(Leuconostoc spp.)、Tothia spp.、双子菌種(Gemella spp.)、アルカリゲネス菌種(Alcaligenes spp.)、アルテルナリア菌種(Alternaria spp.)、フラボバクテリウム菌種(Flavobacterium spp.)、バチルス菌種(Bacillus spp.)、アクロモバクター菌種(Achromobacter spp.)、アシネトバクター菌種(Acinetobacter spp.)、アクチノバチルス菌種(Actinobacillus spp.)、アルカリゲネス菌種(Alcaligenes spp.)、カンピロバクター菌種(Campylobacter spp.)、エドワードシエラ菌種(Edwardsiella spp.)、エーリキア菌種(Ehrlichia spp.)、エンテロバクター菌種(Enterobacter spp.)、エウィンゲラ菌種(Ewingella spp.)、フラボバクテリア属(Flavobacteria)、ハフニア菌種(Hafnia spp.)、クレブシエラ菌種(Klebsiella spp.)、クルイベラ菌種(Kluyvera spp.)、レジオネラ菌種(Legionella spp.)、モラクセラ菌種(Morxella spp.)、モーガネラ菌種(Morganella spp.)、ネイセリア菌種(Neisseria spp.)、パスツレラ菌種(Pasteurella spp.)、プレボテラ菌種(Prevotella spp.)、プロテウス菌種(Proteus spp.)、プロビデンシア菌種(Providencia spp.)、シュードモナス菌種(Pseudomonas spp.)、ラネラ菌種(Rahnella spp.)、サルモネラ菌種(Salmonella spp.)、セラチア菌種(Serratia spp.)、赤痢菌種(Shigella spp.)、スフィンゴバクテリウム菌種(Sphingobacterium spp.)、ビブリオ菌種(Vibrio spp.)、エルシニア菌種(Yersinia spp.)、ネイセリア菌種(Neisseria spp.)、キンゲラ菌種(Kingella spp.)、カルディオバクテリウム属(Cardiobacterium)、非結核性抗酸菌(NTB:non-Tuberculosis mycobacteria)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)及び鳥型結核菌(Mycobacterium avium)によって構成される群のうち選択される細菌を含んでもよい。
【0105】
波動源120は、試料配置部110内の試料Sに向けて波動を照射することができる。波動源120は、波動(wave)を生成することができる全種のソース装置を適用することができ、例えば、特定波長帯域の光を照射することができるレーザでもある。本発明は、波動源種類に制限がないが、ただし、以下では、説明の便宜のためにレーザの場合を中心に説明する。
【0106】
例えば、試料配置部110にスペックルを形成するために、干渉性(coherence)が良好なレーザを、波動源120として利用することができる。このとき、レーザ波動源の干渉性を決定する波動源のスペクトラル帯域幅が短いほど、測定正確度が上昇する。すなわち、干渉長(coherence length)が長いほど、測定正確度が上昇する。それにより、波動源のスペクトラル帯域幅が既定義の基準帯域幅未満のレーザ光が波動源120として利用され、基準帯域幅より短いほど、測定正確度は、上昇する。例えば、下記数式1の条件が維持されるように、波動源のスペクトラル帯域幅が設定されてもよい。
【0107】
【数1】
【0108】
数式1によれば、レーザスペックルのパターン変化を測定するために、基準時間ごとに培養皿内に光を照射するとき、波動源120のスペクトラル帯域幅は、1nm未満を維持する。
【0109】
また、図2を参照すれば、検出部130は、照射された波動が、試料Sによって多重散乱されて発生したレーザスペックル(laser speckle)を、事前に設定された時点(time)ごとに検出することができる。ここで、時点とは、連続的な時間の流れのうちいずれか一瞬間を意味し、該時点は、同一時間間隔に事前に設定されるが、必ずしもそれに制限されるものではなく、任意の時間間隔に事前に設定されもする。検出部130は、波動源120種類に対応した感知手段を含み、例えば、可視光線波長帯域の光源を利用する場合には、映像を撮影する撮影装置であるイメージセンサが利用されてもよい。一実施形態として、検出部130は、イメージセンサ及び所定焦点距離を有する1以上のレンズを含み、レーザスペックルを検出することができる。このとき、焦点距離は試料Sと検出部130との距離より短いてもよいが、それに制限されるものではない。他の実施形態として、検出部130は、レンズを含まないイメージセンサが利用されてもよい。検出部130は、少なくとも第1時点でのレーザスペックルを検出し、第2時点でのレーザスペックルを検出し、制御部140に提供することができる。一方、第1時点及び第2時点は、説明の便宜のために選択された1つの例示であるのみ、検出部130は、第1時点及び第2時点より多くの複数時点でレーザスペックルを検出することができる。
【0110】
具体的には、試料Sに波動が照射されれば、入射された波動は、多重散乱によってレーザスペックルを形成することができる。該レーザスペックルは、光の干渉現象によって発生するので、サンプル内に動きがなければ、経時的に常時一定干渉パターンを示すことができる。それと比較し、試料S内に、バクテリアのような微生物が存在する場合、レーザスペックルは、微生物の動きによって経時的に変化する。検出部130は、かような経時的に変化するレーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出し、制御部140に提供することができる。検出部130は、微生物の動きを感知することができるほどの速度で、レーザスペックルを検出することができ、例えば、秒当たり25フレームないし30フレームの速度で検出することができる。
【0111】
図3を参照すれば、検出部130は、試料Sに照射された波動が、試料Sによって多重散乱されて発生したレーザスペックルを検出することができる。言い換えれば、検出部130は、試料Sから誘発された(caused)レーザスペックルを検出することができる。具体的には、検出部130は、試料Sの表面Fからレーザスペックルを検出することもできるが、試料Sによって多重散乱された波動が移動する経路上の一領域A1において、レーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出することができる。このとき、第1領域A1は、試料Sの表面Fから一定距離離隔された領域でもある。一実施形態として、第1領域A1は、試料Sの表面Fから第1距離d1離隔された第1地点xを含む第1面Bと、試料Sの表面Fから第1距離dより遠い第2距離d離隔された第2地点xを含む第2面Bとの間に配置された領域でもある。すなわち、検出部130と試料との間の第1領域A1において、レーザスペックルを検出することができる。または、レーザスペックルは、検出部130内部、例えば、検出部130がCCDセンサである場合、CCDセンサの表面でも検出される。他の実施形態として、検出部130は、イメージセンサを利用し、レーザスペックルを検出することもできる。該イメージセンサを利用し、レーザスペックルを検出する場合、試料Sの表面でレーザスペックルを観察する場合より、焦点距離を短縮させ、レーザスペックルを検出することができる。
【0112】
一方、検出部130としてイメージセンサが利用される場合、該イメージセンサ1ピクセル(pixel)の大きさdが、スペックルパターンの粒子サイズ(grain size)より小さいか、あるいはそれと同じになるように、イメージセンサが配置されてもよい。例えば、下記数式2の条件を満足するように、図4Aないし図4Cの光学系において、イメージセンサが配置されてもよい。
【0113】
【数2】
【0114】
数式2のように、イメージセンサの1ピクセルサイズdが、スペックルパターンの粒子サイズ以下でなければならないが、該ピクセルサイズが過度に小さくなるようになればアンダーサンプリング(undersampling)が発生し、ピクセル解像度活用に困難さが存在する。それにより、効果的なSNR(signal to noise ratio)を達成するために、スペックル粒子サイズ(speckle grain size)に最大5個以下のピクセルが位置するようにイメージセンサが配置されてもよい。
【0115】
スペックル信号の動的変化を比較するためには、互いに異なる時間に測定された最小2以上の映像が必要である。例えば、一定間隔で、基準時間ごとに、2以上のレーザスペックル映像が生成されてもよい。例えば、現在時間でレーザ光を照射し、血液検査対象を撮影するによって生成されたレーザスペックル映像1、10秒後に光を照射し、培養皿を撮影することによって生成されたレーザスペックル映像2が存在することができる。それ以外に、さらに10秒後のレーザスペックル映像3、さらに10秒後のレーザスペックル映像4などのように、初めに光を照射した後、一定間隔ごとに光を照射し、結局、10(n-1)秒後に、n個のレーザスペックル映像が生成される。それにより、生成されたレーザスペックル映像間の差を分析し、培養皿内の微生物存在有無が探知される。
【0116】
このとき、2つのスペックル映像を利用し、微生物の存在有無を探知するか、あるいは3以上のスペックル映像を利用し、微生物の存在有無を探知するかということにより、微生物探知方法が異なる。
【0117】
一例として、一定時間間隔で光を照射することにより、それぞれの時間で生成された2つのスペックル映像を利用する場合、血液検査対象内に微生物が存在しなければ、0秒に測定したスペックル映像と、10秒に測定したスペックル映像との差が、既定義の第1基準値以下と非常に微々たるものである。時折小さい信号差が存在することができるが、それは、水分蒸発、振動のように、実験時に存在する全てのノイズ(noise)の影響と解釈される。このとき、培養皿内に微生物が存在する場合(例えば、B.cereus、E.coliなど)、0秒で生成されたスペックル映像と、10秒で生成されたスペックル映像との間で、差が既定義の第2基準値以上でもある。すなわち、0秒と10秒との間で測定したスペックル信号の差が、第2基準値以上に、信号に大きい変化が存在すれば、血液検査対象内に、バクテリアなどの微生物が存在することを探知することができる。
【0118】
制御部140は、検出された前記レーザスペックルを利用し、時間相関関係(temporal correlation)を獲得し、獲得された時間相関関係に基づいて、試料Sに含まれた微生物の存在いかん、または微生物の濃度をリアルタイムで推定することができる。本明細書において、リアルタイムとは、1時間内に、微生物の存在いかん、または微生物の濃度変化を推定し、抗生物質の適合性を判断することを意味し、望ましくは、5分内に、微生物の存在いかん、または微生物の濃度変化を推定することができる。さらに望ましくは、20秒内に、微生物の存在いかん、または微生物の濃度変化を推定することができる。かように、制御部140は、2つのスペックル映像間の差(例えば、ピクセル値差など)が第1基準値以下であるか否かということ、そして、第2基準値以上であるか否かということをチェックし、培養皿内に、微生物が存在するか否かということを探知することができる。このとき、第1基準値及び第2基準値を同一値に定義することもでき、互いに異なる値に定義することもできる。他の例として、一定時間間隔で測定された3以上のスペックル映像を利用する場合、制御部140は、3以上のスペックル映像において、時間相関分析(time correlation analysis)を行い、培養皿内に、微生物が存在するか否かということを探知することができる。すなわち、検出部130は、一定時間間隔で、互いに異なる時点で、血液検査対象に光を照射し、多重散乱させて形成されたレーザスペックル間の時間相関関係に基づいて、培養皿内に、微生物が存在するか否かということを探知することができる。例えば各時間tに対して測定したスペックル映像を平準化したデータを
とすれば、制御部140は、特定遅延時間を
について、各地点で時間相関係数を前述のように演算することができる。制御部140において、微生物の存在いかん、または微生物の濃度変化を推定する方法については、後述する。
【0119】
一方、図4Aないし図4Cを参照すれば、本発明の一実施形態による試料特性探知装置100は、多重散乱増幅部150をさらに含んでもよい。
【0120】
多重散乱増幅部150は、試料Sから多重散乱されて出射される波動の少なくとも一部を、試料Sに反射させ、試料Sでの多重散乱回数を増幅させることができる。多重散乱増幅部150は、多重散乱物質(multiple scattering material)を含んでもよい。例えば、該多重散乱物質は、屈折率が大きいμmサイズ以下の直径を有する粒子、例えば、酸化チタン(TiO)ナノ粒子を含み、多重散乱増幅部150は、前記多重散乱増幅部150に入射される波動の少なくとも一部を反射させることができる。多重散乱増幅部150は、試料Sと隣接するように配置され、試料Sから多重散乱されて出射される波動を、試料Sと前記多重散乱増幅部150と間の空間を、少なくとも1回以上往復させる。試料Sには、微生物が存在することができるが、その微生物の数は、微々たるものでもある。従来には、試料S内の微生物を検出するために、長時間、例えば、何日間か微生物を増殖させた後でこそ、それを検出することができ、該微生物検出のために長時間が必要であった。それと異なり、本発明の一実施形態による試料特性探知装置100は、多重散乱増幅部150を介して、試料S内において、波動多重散乱回数を増幅させることにより、迅速であった精密に微生物を検出することができる。
【0121】
多重散乱増幅部150は、入射される波動の一部を反射させ、残り波動は、透過させることができる。または、多重散乱増幅部150は、入射される波動の一部を透過させ、残り波動は、反射させることができる。または、多重散乱増幅部150は、入射される波動の全部を反射させることもできる。多重散乱増幅部150は、波動源120と検出部130との光学系構造に対応するように、前述の構成のうち少なくとも1以上選択されてもよい。
【0122】
図4Aを参照すれば、試料特性探知装置100-1は、波動源120及び検出部130を含む光学系が反射型で構成されてもよい。試料Sに入射された波動L1は、試料Sの光学的に不均一な特徴のために、多重散乱現象が発生し、一部波動が反射して出るくる。このとき、検出部130は、試料Sの光学的不均一特性により、試料Sに波動が反射して出射されることによって発生するレーザスペックル信号を撮影し、試料Sによって誘発されたレーザスペックルを測定することができる。
【0123】
試料特性探知装置100-1は、第1多重散乱増幅部151及び第2多重散乱増幅部153を含んでもよい。第1多重散乱増幅部151は、試料Sの中心を通る延長線C上に配置され、試料Sから多重散乱されて出射される波動の少なくとも一部を、試料Sに反射させることができる。第2多重散乱増幅部153は、試料Sを基準に、第1多重散乱増幅部151と対向するように配置され、試料Sから多重散乱されて出射される波動の少なくとも一部を、試料Sに反射させることができる。反射型光学系の場合、第1多重散乱増幅部151は、波動の一部を透過させ、一部を反射させる半透過型によってもなる。また、第2多重散乱増幅部153は、入射される波動の全部を反射させる反射型によってもなる。それを介して、試料S内で波動が多重散乱される回数を顕著に増幅させることができる。
【0124】
図4Aにおいて、波動源120の波長、波動の強度など制限を受けずに使用され、検出部130の種類は、ニ次元情報を測定することができるカメラが好まれるが、一次元情報を測定するカメラも使用される。
【0125】
図4Aにおいて、波動源120、試料Sの位置は、制限されるものではなく、反射したレーザスペックル信号を測定する検出部130は、測定された1つのスペックルサイズが、検出部130のピクセルにおいて、2または3ピクセル以上に該当するように位置することができる。例えば、検出部130は、試料Sによる波動の反射によるレーザスペックル信号を測定するために、試料Sに光が入射する面に、一定角度傾いて位置することができる。
【0126】
図4Bを参照すれば、試料特性探知装置100-2は、波動源120及び検出部130を含む光学系が透過型に構成されてもよい。試料Sに入射された波動は、試料Sの光学的に不均一な特徴のために、多重散乱現象が発生し、一部波動が試料Sを透過して出射される。それにより、検出部9130は、波動が試料Sを透過して出射されることによって発生するレーザスペックル信号を撮影することにより、試料Sを透過することによって誘発されたレーザスペックルを測定することができる。試料特性探知装置100-2の光学系が透過型に構成される場合、第1多重散乱増幅部151及び第2多重散乱増幅部153は、波動の一部を透過させ、一部を反射させる半透過型からもまる。
【0127】
図4Cを参照すれば、試料特性探知装置100-3は、波動源120及び検出部130を含む光学系が分光型に構成されてもよい。試料Sに入射された波動L1は、試料Sの光学的に不均一な特徴のために、多重散乱現象が発生し、一部波動が反射して出てきて、それに対して、ビームスプリッタ(beam splitter)181を利用し、一部波動の経路を検出部130に変更することができる。分光型によってなるなる場合、波動の偏光状態を利用するために、位相遅延板または偏光板のような光学部をさらに含んでもよい。このとき、検出部130は、波動源120と試料Sとの間に位置し、試料Sによって反射して出射される波動の経路を変更させることができる。また、検出部130は、試料Sによって反射され、経路が変更されることによって発生するレーザスペックルを測定することができる。
【0128】
一方、試料特性探知装置100-3の光学系が分光型に構成される場合、第1多重散乱増幅部151は、波動の一部を透過させ、一部を反射させる半透過型によってもなる。また、第2多重散乱増幅部153は、入射する波動の全部を反射させる反射型によってもなる。
【0129】
図5は、本発明の一実施形態による試料特性探知装置100を利用した微生物探知方法を順次に図示したフローチャートである。
【0130】
図5を参照すれば、波動源120により、試料Sに波動を照射することができる(S10)。次に、検出部130により、試料Sに入射された波動が多重散乱されることによって発生したレーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出することができる。次に、制御部140は、事前に設定された時点ごとに生成されたレーザスペックル映像を利用し、映像間の時間相関関係係数を計算することができ、時間相関関係係数に基づいて、試料S内に、微生物が存在するか否かということを推定することができる(S30)。また、制御部140は、時間相関関係係数の変化度に基づいて、微生物の濃度を測定することができる。
【0131】
このとき、試料Sによって形成されたレーザスペックルを測定する間、波動源120及び検出部130で構成された光学系の動きが制限される。例えば、波動源120から試料Sに波動を照射し、微生物の濃度を測定するまで、波動源120及び検出部130に動きがなければ、微生物の濃度が正確に測定される。該光学系は、前述のように、反射型、透過型または分光型の形態でも構成される。
【0132】
一方、試料特性探知装置100は、ディスプレイ部190をさらに含んでもよい。ディスプレイ部190は、制御部140から推定された微生物存在いかん、または微生物の濃度結果を外部に表示することができる。
【0133】
以下、図6を参照し、本発明の一実施形態による制御部140の制御方法について説明する。
【0134】
図6は、本発明の一実施形態による制御部140において、レーザスペックルの時間相関関係を分析する方法について説明するために提供される図面である。
【0135】
図6を参照すれば、一実施形態として、制御部140は、第1時点で検出されたレーザスペックルの第1映像情報と、第1時点と異なる第2時点で検出されたレーザスペックルの第2映像情報との差を利用し、微生物存在いかん、または微生物の濃度を推定することができる。ここで、該第1映像情報及び該第2映像情報は、レーザスペックルのパターン情報、及び波動の強度情報のうち少なくともいずれか一つでもある。一方、本発明の一実施形態は、第1時点での第1映像情報と、第2時点での第2映像情報との差のみを利用するものではなく、それを拡張し、複数の時点で検出された複数のレーザスペックルの映像情報を利用することができる。制御部140は、事前に設定された複数の時点ごとに生成されたレーザスペックルの映像情報を利用し、映像間の時間相関係数を計算することができ、時間相関関係係数に基づいて、試料S内での、微生物の存在いかん、または微生物の濃度を推定することができる。
【0136】
検出されたレーザスペックル映像の時間相関関係は、下記数式3を利用して計算される。
【0137】
【数3】
【0138】
数式3で
は、時間相関関係係数、
は、標準化された光強度、(x,y)は、カメラのピクセル座標、tは、測定された時間、Tは、総測定時間、
は、タイムラグ(time lag)を示す。
【0139】
数式3により、時間相関関係係数が計算され、一実施形態として、該時間相関関係係数が事前に設定された基準値以下に小さくなる分析を介して、微生物の存在いかん、または微生物の濃度を推定することができる。具体的には、該時間相関関係係数が、事前に設定された誤差範囲を超え、基準値以下に小さくなることにより、微生物が存在すると推定することができる。また、微生物の濃度が上昇するほど、該時間相関関係係数が基準値以下に小さくなる時間が短くなるので、それを利用し、該時間相関関係係数を示すグラフの勾配値を介して、微生物の濃度を推定することができる。該基準値は、微生物の種類及び温度のような環境要因によっても異なる。図6のグラフにおいて、実線S1は、微生物が存在しない試料の時間相関係数を示し、点線S2は、微生物が存在する場合の試料の時間相関係数を示す。微生物の濃度が異なれば、点線S2の勾配値も、異なる。
【0140】
以下では、図7を参照し、制御部140において、レーザスペックルを利用し、試料の微生物の濃度を判断する方法について具体的に説明する。
【0141】
図7は、本発明の一実施形態による試料特性探知装置を介して、経時的に測定されたレーザスペックルの光強度の標準偏差分布を図示した図面である。
【0142】
図7を参照すれば、制御部140は、基準時間ごとに測定されたレーザスペックル映像を対象に、レーザスペックルの光強度(intensity)の標準偏差を計算することができる。
【0143】
試料内に存在する細菌及び微生物が持続的に動くことにより、補強干渉と相殺干渉とが前記動きに対応して変化する。このとき、該補強干渉と該相殺干渉とが変化することにより、光強度の程度が大きく変化する。それにより、制御部140は、光強度の変化程度を示す標準偏差を求め、試料において、細菌及び微生物の存在いかんを確認することができる。
【0144】
例えば、制御部140は、既定の時間ごとに測定されたレーザスペックル映像を検出し、検出された映像において、レーザスペックルの経時的光強度標準偏差を計算することができる。該レーザスペックルの経時的光強度標準偏差は、下記数式4に基づいて計算される。
【0145】
【数4】
【0146】
数式4で、S:標準偏差、(x,y):カメラピクセル座標、T:総測定時間、t:測定時間、It:t時間で測定された光強度、 :経時的平均光強度を示すことができる。
【0147】
細菌及び微生物の動きにより、補強干渉パターン及び相殺干渉パターンが異なることになり、数式4に基づいて計算された標準偏差値が大きくなるために、それに基づいて、細菌及び微生物の濃度が測定される。
【0148】
そして、制御部140は、レーザスペックルの光強度の標準偏差値の大きさと、細菌及び微生物の濃度との線形的な関係に基づいて、試料に含まれた細菌及び微生物の分布図、すなわち、濃度を測定することができる。
【0149】
図8A及び図8Bは、本発明の他の実施形態による試料特性探知装置100-4を概略的に図示した概念図である。図8A及び図8Bにおいては、説明の便宜のために、光学部135と検出部130との関係を中心に図示した。
【0150】
図8A及び図8Bを参照すれば、試料特性探知装置100-4は、試料で散乱された第1波動信号を、波動源120の波動が試料によって散乱される前の第2光信号に復元する変調する光学部135をさらに含んでもよい。このとき、光学部135は、空間光変調部(SLM:spatial light modulator)1351及び検出部130を含んでもよい。光学部135は、測定対象から散乱された波動が入射されれば、散乱された波動の波面を制御し、さらに散乱される前の波動(光)に復元し、検出部130に提供することができる。
【0151】
空間光変調部1351は、試料で散乱された波動(光)が入射される。空間光変調部1351は、試料で散乱された波動の波面を制御し、レンズ1352に提供することができる。レンズ1352は、制御された光を集約し、さらに検出部130に提供することができる。検出部130は、レンズで集約された波動を感知し、散乱されるその最も最初の波動源から出力された波動に復元して出力することができる。
【0152】
ここで、光学部135は、安定的な媒質、すなわち、測定対象内に生物の動きがない場合、試料から散乱された第1光信号を、散乱される以前の光に復元することができる。しかし、測定対象内にウイルスが存在する場合、検出用複合体の動きによって第1光信号が異なるので、位相制御波面を感知することができず、それにより、位相共役波面を有する第2光信号に変調することができない。前述の光学部135を含む微生物探知装置100-4は、かような第2光信号の差を利用し、さらに微細に微生物の存在いかん、または微生物の濃度を推定することができる。
【0153】
以下では、本発明の第2実施形態による試料特性探知装置200について説明する。
【0154】
図9は、本発明の第2実施形態による試料特性探知装置200を概略的に図示した概念図である。
【0155】
図9を参照すれば、本発明の第2実施形態による試料特性探知装置200は、試料配置部210、抗生物質適用部260、波動源220、検出部230及び制御部240を含んでもよい。本発明の第2実施形態は、波動源220、検出部230及び制御部240の構成、及びそれを利用して微生物を探知する方法が第1実施形態と同一であるので、重複説明は省略する。
【0156】
試料配置部210は、試料Sを収容することができる。このとき、試料Sは、唾液、血液、組織のような試料、または飲食物のような有機試料などを含んでもよい。試料配置部210は、試料Sを収容することができる容器形態からもなる。試料Sは、試料全体がサンプルに利用され、テープ、生体膜のように微生物が移ることができる手段を利用して準備される。
【0157】
抗生物質適用部260は、試料配置部210内の試料に、所定抗生物質Aを投与することができる。抗生物質適用部260は、試料配置部210に隣接するように配置され、例えば、図示されているように、試料配置部210に対向する位置に配置され、試料Sに抗生物質を供給することができる。抗生物質適用部260は、1種類の抗生物質を投与することができ、投与された抗生物質の適合性が合わない場合、他種の抗生物質で交換して投与することができる。他の実施形態として、複数の抗生物質に対応する複数の抗生物質適用部260を含み、必要によっては、抗生物質適用部260を交換して使用することもできる。
【0158】
波動源220は、試料配置部210内の試料Sに向けて波動を照射することができる。波動源220は、波動を生成することができる全種のソース装置を適用することができ、例えば、特定波長帯域の光を照射することができるレーザでもある。
【0159】
検出部230は、照射された波動が試料Sによって多重散乱されて発生したレーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出することができる。ここで、該時点とは、連続的な時間の流れのうちいずれか一瞬間を意味し、該時点は、同一時間間隔に事前に設定されるが、必ずしもそれに制限されるものではなく、任意の時間間隔に事前に設定されもする。検出部230は、波動源220の種類に対応した感知手段を含み、例えば、可視光線波長帯域の光源を利用する場合には、映像を撮影する撮影装置であるCCDカメラが利用される。検出部230は、少なくとも第1時点でのレーザスペックルを検出し、第2時点でのレーザスペックルを検出し、制御部240に提供することができる。ここで、第1時点は、試料Sに抗生物質を投与する前の時点であり、第2時点は、試料Sに抗生物質を投与した後の時点でもある。一方、第1時点及び第2時点は、説明の便宜のために選択された1つの例示であるのみ、検出部230は、第1時点及び第2時点より多くの複数時点において、レーザスペックルを検出することができる。
【0160】
制御部240は、検出された前記レーザスペックルを利用し、時間相関関係を獲得し、獲得された時間相関関係に基づいて、試料Sに抗生物質が投与される前またはその後の微生物存在いかん、または微生物の濃度を推定することができる。制御部240は、推定された微生物存在いかん、または微生物の濃度変化により、適用した抗生物質の適合性をリアルタイムで判断することができる。本明細書においてリアルタイムとは、1時間内に、微生物の存在いかん、または微生物の濃度変化を推定し、抗生物質の適合性を判断することを意味し、望ましくは、5分内に、微生物の存在いかん、または微生物の濃度変化を推定し、抗生物質の適合性を判断することができる。さらに望ましくは、20秒内に抗生物質の濃度変化を推定し、抗生物質の適合性を判断することができる。
【0161】
一方、第2実施形態による試料特性探知装置200は、試料配置部210と連結され、試料配置部210に事前に設定された温度の熱を供給する温度調節部284をさらに含んでもよい。温度調節部284は、制御部240によって制御され、試料S内の微生物の繁殖を促進するように、適正温度を維持させることができる熱を提供することができる。例えば、制御部240は、試料Sが約30℃ないし40℃の温度を維持するように、温度調節部284を制御することができる。しかし、それに制限されるものではなく、制御部240は、推定しようとする微生物の種類により、他の設定温度でもって温度調節部284を制御することができる。
【0162】
図10は、本発明の第2実施形態による試料特性探知装置100の一実施形態を概略的に図示した斜視図であり、図11は、図10の試料特性探知装置200のブロック図である。
【0163】
図10及び図11を参照すれば、試料特性探知装置200は、カバー部材200A及び試料伝達部200Bをさらに含んでもよい。
【0164】
カバー部材200Aは、試料Sが外部環境に露出されないように、少なくとも試料配置部210をカバーすることができる。一実施形態として、カバー部材200Aは、前述の構成要素である試料配置部210、抗生物質適用部260、波動源220、検出部230及び制御部240を内部に配置させることができる。試料Sは、抗生物質適合性検査が進められる間、外部環境に露出されてノイズが発生することにより、正確な検査が進められないこともある。従って、カバー部材200Aは、試料Sを、外部環境、特に、外部空気から分離させて汚染を最小化させ、正確性を高めることができる。
【0165】
試料伝達部200Bは、一端が、試料配置部210と連結され、他端が、カバー部材200Aの外部に突出し、一端と他端との間で、長手方向に延長された連通孔が形成され、他端を介して試料Sを、試料配置部210に伝達することができる。試料Sは、注射器などに採取された後、外部の空気に露出されずに、試料伝達部200Bを介して、すぐに試料配置部210に伝達される。他の実施形態として、被検者は、試料伝達部200Bの他端に口に吹き入れ、試料Sを試料配置部210に伝達することができる。
【0166】
このとき、抗生物質適用部260は、カバー部材200Bの外部と連通された抗生物質投入口211を含み、外部から抗生物質適用部260に抗生物質を供給することができる。
【0167】
一方、試料特性探知装置200は、ディスプレイ部290をさらに含んでもよい。ディスプレイ部290は、制御部240から推定された微生物存在いかん、または微生物の濃度結果を外部に表示することができ、図示されているように、カバー部材200Bの外側に配置されてもよい。
【0168】
一方、図12は、本発明の第2実施形態による試料特性探知装置200-1の他の実施形態を概略的に図示した図面である。
【0169】
他の実施形態において、試料特性探知装置200-1は、2以上の検出部230A,230B,230C,230Dを含んでもよい。このとき、試料特性探知装置200-1は、複数の検出部230A,230B,230C,230Dから検出された複数のレーザスペックルを利用し、三次元スペックルイメージを生成する三次元イメージ生成部245をさらに含んでもよい。三次元イメージを生成するために、理論的に必要な検出部230の台数は2台であるが、2台である場合には、相対的なイメージを把握するものであるので、絶対的な三次元イメージを生成するために、少なくとも3台の検出部230を含む。図面においては、正確度向上のために、4個の検出部230A,230B,230C,230Dを図示した。
【0170】
図13は、本発明の第2実施形態による試料特性探知装置200-2のさらに他の実施形態を概略的に図示した図面である。
【0171】
図13を参照すれば、さらに他の実施形態による試料特性探知装置200-2は、試料配置部210、基準試料配置部215、抗生物質適用部(図示せず)、波動源220、検出部230、制御部240、ビームスプリッタ281及び多重ビームリフレクタ283を含んでもよい。他の実施形態は、基準試料配置部215をさらに含み、それによる波動経路を異にするという点を除き、前述の第2実施形態の構成要素と同一であるので、重複説明は省略する。
【0172】
試料配置部210は、試料を収容することができる。
【0173】
基準試料配置部215は、試料配置部210と隣接するように配置され、基準試料を収容することができる。このとき、該基準試料は、試料が露出される外部環境条件を含む試料でもあり、例えば、該基準試料は、試料が置かれる空気でもある。言い換えれば、該基準試料は、外部環境要因によって発生しうるノイズを最小化させるための試料の対照群にもなる。
【0174】
抗生物質適用部(図示せず)は、図示されていないが、試料配置部210内の試料に、事前に知っている抗生物質を投与することができる。
【0175】
波動源220は、試料配置部210内の試料、及び基準試料配置部215内の基準試料に向けて波動を照射することができる。ここで、波動源220と、試料配置部210及び基準試料配置部215との間には、多重ビームリフレクタ283及びビームスプリッタ281が位置することができる。また、波動源220から提供された波動経路を変更するためのミラー285をさらに含んでもよい。
【0176】
多重ビームリフレクタ283は、波動源220から入射された波動を分割させ、複数の波動経路に提供することができる。多重ビームリフレクタ283は、前面及び背面でそれぞれ波動を反射させ、平行であって分割された第1波動L2及び第2波動L3を提供することができる。
【0177】
ビームスプリッタ281は、多重ビームリフレクタ283から提供される複数の波動経路上に配置され、前記第1波動L2及び第2波動L3を、それぞれ試料及び基準試料に提供することができる。その後、該試料及び該基準試料で反射されて出射される波動の経路を変更し、検出部230に提供することができる。
【0178】
検出部230は、試料及び基準試料それぞれから、照射された波動の多重散乱によって発生した第1レーザスペックル及び基準レーザスペックルを、事前に設定された同一時点ごとに検出することができる。検出部230は、試料から反射された第1波動の経路に対応して配置された第1検出部231、及び基準試料から反射された第2波動の経路に対応して配置された第2検出部233を含んでもよい。
【0179】
制御部240は、検出された第1レーザスペックルを利用して検出された第1レーザスペックルの時間相関関係を獲得し、獲得された時間相関関係に基づいて、試料に抗生物質が投与される前またはその後の試料内の微生物存在いかん、または微生物の濃度を推定することができる。制御部240は、推定された微生物存在いかん、または微生物の濃度変化により、抗生物質の適合性を判断することができる。このとき、制御部140は、検出された基準レーザスペックルを利用して検出された基準レーザスペックルの基準情報を共に獲得することができる。制御部240は、獲得された基準情報を利用し、第1レーザスペックルの時間相関関係に係わるノイズを除去することができる。
【0180】
言い換えれば、前述の試料特性探知装置200-2は、基準試料配置部215を追加することにより、外部環境による時間相関関係係数に係わる変化を同時に検出することができる。それを介して、実際試料の時間相関関係係数からノイズを排除させることができ、確な検査を可能にする。
【0181】
図14は、図9の試料特性探知装置200を利用して獲得した抗生物質投与前後の時間相関関係変化を概略的に図示したグラフである。
【0182】
制御部240は、試料の時間相関関係係数が抗生物質の投与前後で異なるならば、投与された抗生物質に適合性があると判断することができる。図14のグラフにおいて、実線S1は、微生物が存在しない試料の時間相関係数を示し、点線S2は、微生物が存在する場合の試料の時間相関係数を示し、一点鎖線S3は、抗生物質を投与した場合の時間相関係数を示す。図14でのように、一点鎖線S3は、抗生物質投与時点tを基準に、抗生物質投与前には、点線S2の勾配と同一であり、抗生物質投与後には、実線S1の勾配と同一であるということが分かる。図14は、抗生物質投与前後の一例を示したものであり、実際には、それと異なり、抗生物質投与後、実線S1と点線S2との間の勾配値を示すこともある。ただし、かような変化を介して、試料に抗生物質が適するか否かということを判断することができる。
【0183】
前述のように、本発明の第2実施形態による試料特性探知装置200は、微生物によるレーザスペックルの時間相関関係の変化を利用することにより、低廉コストで迅速に微生物存在いかん、または微生物の濃度を推定することができ、それにより、試料に対する抗生物質適合性を迅速であって正確に検査することができる。
【0184】
以下では、本発明の実施形態による微生物探知方法を利用した携帯用生物感知システム1について説明する。
【0185】
図15は、本発明の一実施形態による携帯用生物感知システム1を概略的に図示した概念図であり、図16は、図15の携帯用生物感知システム1の実施形態を概略的に図示した例示図である。
【0186】
図15を参照すれば、本発明の一実施形態による生物感知システム1は、電子装置10、生物感知装置20、検出部30及び制御部40を含んでもよい。このとき、制御部40のレーザスペックルを利用した微生物探知方法は、前述のところと同一であるので、重複説明は省略する。
【0187】
電子装置10は、一面に配置される光源部11及びカメラ部12を含む電子装置であり、移動が可能な携帯用装置でもある。電子装置10は、ディスプレイ部(図示せず)を含み、前述の一面は、ディスプレイ部(図示せず)が配置される面と対向する面でもあり(図15参照)、他の実施形態として、ディスプレイ部(図示せず)が配置される面と同一でもある。さらに他の実施形態として、電子装置10は、光源部11及び/またはカメラ部12を2以上含み、ディスプレイ部(図示せず)が配置される面と対向する面のいずれにも配置される。電子装置10は、移動が容易な多種携帯用装置でもあり、例えば、携帯電話、タブレット(tablet)、ノート型パソコン、グラフ計算機(graphing calculator)、携帯用ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルカムコーダ、携帯用メディアプレイヤなどでもある。
【0188】
光源部12は、一般的な携帯電話のような電子装置に使用される光源であり、広い波長帯域を有する光源でもあり、例えば、可視光線の全波長帯域の光を照射する光源でもある。しかし、それに制限されるものではなく、赤外線波長帯域の光を照射する光源でもあり、それと異なる波長帯域を有する光源でもある。
【0189】
カメラ部11は、図示されていないが、少なくとも1つのレンズを含むレンズモジュールと、前述のレンズモジュールに提供される光イメージを感知するイメージセンサと、を含み、測定対象の光イメージを撮影し、撮像情報を生成することができる。
【0190】
一方、生物感知装置20は、前述の電子装置10に付着された状態で、生物の存在いかん、またはその濃度を感知するか、あるいは電子装置10と分離されて脱着された状態で、生物の存在いかん、またはその濃度を感知することができる。生物感知装置20は、ボディ部20A、変換部22を含んでもよい。
【0191】
生物感知装置20のボディ部20Aは、電子装置10に付着・脱着が可能になるように形成されてもよい。ボディ部20Aには、変換部22が配置され、変換部22を、電子装置10の光源部12に対応する位置に固定するための多様な形態にも形成される。ボディ部20Aの多様な実施形態については、後述する。一方、ボディ部20Aは、電子装置10のカメラ部11を露出させる開口21を含んでもよい。カメラ部11に対応する位置に、ボディ部20Aを貫通する開口21が形成されることにより、カメラ部11を露出させることができる。
【0192】
生物感知装置20の変換部22は、波動源120に対応する位置のボディ部20Aに配置され、光源部12から照射される光を、一定波長帯域の第1波動に変換させ、外部の測定対象に向けて照射することができる。変換部22は、光源部12から光が照射される位置に配置され、提供される光を、一定波長帯域の第1波動に変換させ、外部の測定対象に向けて照射する。例えば、変換部22は、バンド通過フィルタ(band pass filter)でもある。すなわち、生物感知システム1は、変換部22を介して、レーザスペックル(laser specle)検出に容易な特定波長帯域の第1波動を照射することにより、測定対象内の生物の存在いかん、またはその濃度を感知することができる。
【0193】
例えば、変換部22は、測定対象にスペックルを形成するために、干渉性が良好なスペクトラル帯域幅に変換することができるのに、このとき、照射される光のスペクトラル帯域幅が短いほど、測定正確度が上昇する。すなわち、干渉長が長いほど測定正確度が上昇する。
【0194】
一方、検出部30は、前記変換部22によって照射された第1波動が、測定対象によって多重散乱されて発生した第1レーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出することができる。ここで、該時点とは、連続的な時間の流れのうちいずれか一瞬間を意味し、該時点は、同一時間間隔に事前に設定されるが、必ずしもそれに制限されるものではなく、任意の時間間隔に事前に設定されもする。検出部30は、照射される第1波動に対応した感知手段を含んでもよいが、別途に感知手段を含まず、電子装置10のカメラ部11を感知手段として利用することもできる。言い換えれば、検出部30は、カメラ部11を介して生成された撮像情報を伝達され、前述の撮像情報を利用し、第1レーザスペックルを検出することができる。検出部30は、少なくとも、第1時点での第1レーザスペックルを検出し、第1時点と異なる第2時点での第1レーザスペックルを検出し、制御部40に提供することができる。一方、第1時点及び第2時点は、説明の便宜のために選択された1つの例示であるのみ、検出部30は、第1時点及び第2時点より多くの複数時点において、レーザスペックルを検出することができる。
【0195】
具体的には、図16を参照し、検出部30での第1レーザスペックル検出方法について説明する。
【0196】
図16を参照すれば、測定対象Mに第1波動が照射されれば、入射された第1波動は、多重散乱によって第1レーザスペックルを形成することができる。ここで、測定対象Mは、前述の混沌波(chaotic wave)形成が可能な媒質を含むいかなる種類でも可能である。例えば、図2に図示されているように、ベッドマットレスや、ソファー、まな板、机、トイレ取っ手、キーボードのように、人が接触することができる物体のうち、金属(metal)のように、規則的な反射性を有する媒質でなけさえすれば、いかなる種類でも測定対象もなる。また、歯牙または爪のように、人の身体も測定対象になる。レーザスペックルは、光の干渉現象によって発生するので、測定対象内に動きがなければ、経時的に常時一定干渉パターンを示すことができる。それと比較し、測定対象M内に、バクテリア、細菌、だにのような生物が存在する場合、レーザスペックルは、生物の動きによって経時的に変化する。検出部30は、かような経時的に変化するレーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出し、制御部40に提供することができる。検出部30は、生物の動きを感知することができるほどの速度で、レーザスペックルを検出することができ、例えば、秒当たり25フレームないし30フレームの速度で検出することができる。
【0197】
一方、媒質が牛乳または浄水器水のように液体である場合、媒質の流動性により、レーザスペックルが検出されないこともある。このとき、本発明の一実施形態による生物感知システムは、液体である媒質を濾過させる媒質フィルタ部(図示せず)をさらに含み、媒質が濾過されて残った残余物が含まれた媒質フィルタ部(図示せず)を測定対象にし、レーザスペックルを検出することができる。それを介して、レーザスペックル検出が困難な液体のような測定対象M内の生物の存在いかんを感知したり、生物の濃度を推定したりすることができる。
【0198】
一方、制御部40は、検出された前記第1レーザスペックルを利用して時間相関関係を獲得して、獲得された時間相関関係に基づいて、測定対象Mの生物存在いかん、または生物の濃度をリアルタイムで推定することができる。本明細書においてリアルタイムとは、1時間内に生物の存在いかん、または生物の濃度変化を推定することを意味し、望ましくは、5分内に生物の存在いかん、または生物の濃度変化を推定することができるということである。さらに望ましくは、20秒内に生物の存在いかん、または生物の濃度変化を推定することができるということである。制御部40は、生物の存在いかんに係わる結果、及び生物の濃度変化推定に係わる結果を、電子装置10のディスプレイ部(図示せず)を介してユーザに提供するように動作することができる。制御部40において、生物の存在いかん、または生物の濃度変化を推定する方法については、後述する。
【0199】
ここで、制御部は、プロセッサ(processor)のように、データを処理することができる全種の装置を含んでもよい。ここで、「プロセッサ」は、例えば、プログラム内に含まれたコードまたは命令によって表現された機能を遂行するために、物理的に構造化された回路を有する、ハードウェアに内蔵されたデータ処理装置を意味することができる。このように、ハードウェアに内蔵されしたデータ処理装置の一例として、マイクロプロセッサ(microprocessor)、中央処理装置(CPU:central processing unit)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(application-specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)などの処理装置を網羅することができるが、本発明の範囲は、それらに限定されるのではない。
【0200】
図15及び図16においては、制御部40が電子装置10内に配置されるように図示されているが、本発明は、それに限定されるものではない。制御部40は、生物感知装置20に配置されもし、電子装置10及び生物感知装置20と通信が可能な外部サーバ(図示せず)に配置されてもよい。ただし、説明の便宜のために、制御部40が、電子装置10内に配置されるところを中心に説明する。このとき、制御部40は、電子装置10のメモリ部(図示せず)に保存された応用プログラム(application program)またはアプリケーション(application)を駆動することにより、前述の動作を具現することができる。
【0201】
一方、一実施形態による生物感知システム1は、第1レーザスペックルの時間相関関係を利用し、生物の存在いかん、または生物の濃度変化を推定するが、時間相関関係によるレーザスペックルの変化を除いた他の要因による変化は、ノイズとして作用する。かようなノイズを除去するために、生物感知システム1は、検出部30が配置される装置、すなわち、一実施形態における電子装置10に、手震え補正機能を追加し、ユーザの手震えによるノイズを最小化させることができる。
【0202】
また、生物感知システム1は、正確な第1レーザスペックルを検出するために、測定対象Mと生物感知装置20との基準焦点距離を、ユーザに提供することができる。他の実施形態として、生物感知システム1は、測定対象Mと生物感知装置20との距離を測定する距離センサ25をさらに含み、前述の距離センサ25は、生物感知装置20のボディ部20Aに配置されてもよい。距離センサ25は、生物感知装置20と測定対象Mとの距離を測定し、距離に係わる情報を制御部40に伝達することができる。制御部40は、距離センサ25から測定された距離が、事前に設定された範囲内に含まれるか否かということを判断し、該距離が事前に設定された範囲内に含まれる場合、第1信号を生成することができる。このとき、検出部30は、制御部40から、前述の第1信号が受信されれば、動作するようにすることにより、焦点が合った場合、自動的に第1レーザスペックルを検出する。
【0203】
図17A及び図17Bは、本発明の他の実施形態による生物感知システム1-1を概略的に図示した概念図であり、図18Aないし図18Dは、図17の生物感知装置20のボディ部20Aのさまざまな実施形態を概略的に図示した例示図である。
【0204】
図17Aを参照すれば、本発明の他の実施形態による生物感知システム1-1は、電子装置10、生物感知装置20、検出部30及び制御部40を含んでもよい。図17を参照して説明するとき、図1及び図2の生物感知システム1と同一であるか、あるいは対応する構成要素は、同一図面符号を付し、それについての重複説明は省略する。
【0205】
電子装置10は、一面に配置される光源部12及びカメラ部11を含み、移動が可能な携帯用装置でもある。
【0206】
他の実施形態による生物感知装置20は、ボディ部20A及び変換部22を含み、電子装置10に付着された状態だけではなく、分離された状態でも生物を感知するように、独立した波動源部23をさらに含んでもよい。
【0207】
ボディ部20Aは、電子装置10に付着・脱着が可能になるように形成されてもよい。図18Aを参照すれば、ボディ部20Aは、電子装置10の一側に装着が可能なクリップ状に形成されてもよい。ボディ部20Aは、開口部21・変換部22及び波動源部23が配置される本体201、本体201と連結される取っ手部202、及び本体201と取っ手部202とが、弾性力を有するヒンジに結合され、取っ手部202に加えられる圧力を介して、電子装置10に脱着が可能である。一方、図17Bを参照すれば、ボディ部20Aは、電子装置10のカメラ部11が対応する位置である開口21と重畳されるように、メクロレンズ(macro lens)29をさらに含んでもよい。ボディ部20Aは、メクロレンズ29をさらに含み、焦点距離を短くすることにより、電子装置10のカメラ部11が、試料Sの表面から離隔された一領域A1(図3)において、レーザスペックルを検出する。また、ボディ部20Aは、メクロレンズ29の焦点距離に対応する位置に、試料Sから多重散乱されて進行する波動が結像されるスクリーン部(図示せず)をさらに含んでもよい。このとき、スクリーン部(図示せず)は、試料Sから多重散乱された波動が透過される半透過性材質からもなる。
【0208】
他の実施形態として、ボディ部20Aは、電子装置10の少なくとも一部に装着可能なケース(case)状にも形成される。具体的には、ボディ部20Aは、光源部12及びカメラ部11が配置される電子装置10の一面の少なくとも一部領域に装着されるケース形態でもある。図18Bに図示されているように、ボディ部20Aは、電子装置10の一面全体に装着されるケース形態にも形成され、図18Cのように、光源部12及びカメラ部11が位置する一面の一部領域にのみ覆われる形態でもある。また、図18Dのように、ボディ部20Aは、開口部21及び変換部22が配置された面に平行になるように、ボディ部20Aの中心を貫通する挿入口204が形成され、ボディ部20Aは、挿入口204に電子装置10を挿入することにより、付着・脱着が可能である。本発明のボディ部20Aは、前述の実施形態に限定されるものではなく、電子装置10に付着・脱着される多様な実施形態が可能である。他の実施形態として、ボディ部20Aは、電子装置10に接触する接触面に接着剤を付与し、電子装置10に付着・脱着されもする。
【0209】
再び図17を参照すれば、波動源部23は、測定対象Mに向け、第2波動を照射することができる。波動源部23は、波動を生成することができる全種のソース装置を適用することができ、例えば、特定波長帯域の光を照射することができるレーザでもある。本発明は、波動源種類に制限がないが、ただし、以下では、説明の便宜のために、レーザである場合を中心に説明する。
【0210】
例えば、測定対象Mにスペックルを形成するために、干渉性が良好なレーザを波動源で利用することができる。このとき、レーザ波動源の干渉性を決定する波動源のスペクトラル帯域幅が短いほど、測定正確度が上昇する。すなわち、干渉長が長いほど、測定正確度が上昇する。それにより、波動源部23のスペクトラル帯域幅が、既定義の基準帯域幅未満であるレーザ光が波動源部23に利用され、基準帯域幅より短いほど、測定正確度が上昇する。例えば、前記数式1の条件が維持されるように、波動源部23のスペクトラル帯域幅が設定されてもよい。
【0211】
数式1によれば、レーザスペックルのパターン変化を測定するための基準時間ごとに、測定対象内に光を照射するとき、波動源部23のスペクトラル帯域幅は、1nm未満を維持することができる。
【0212】
他の実施形態による生物感知装置20が電子装置10から分離されて動作するために、検出部30は、少なくとも生物感知装置20に配置されてもよい。
【0213】
検出部30は、波動源部23の種類に対応した感知手段を含み、例えば、可視光線波長帯域の光源を利用する場合には、映像を撮影する撮影装置であるCCDカメラが利用される。検出部30は、少なくとも、第1時点でのレーザスペックルを検出し、第2時点でのレーザスペックルを検出し、制御部40に提供することができる。このとき、制御部40は、生物感知装置20に配置され、前述の動作を遂行することができる。他の実施形態として、制御部40は、一実施形態のように、電子装置10に配置されてもよい。本発明は、制御部40の位置に限定されるものではなく、ただし、以下では、説明の便宜のために、制御部40が電子装置10に配置される場合を中心に説明する。制御部40が電子装置10に配置される場合、生物感知装置20は、電子装置10と有無線で通信可能な通信部24をさらに含み、前記検出されたレーザスペックルを制御部40に伝送することができる。通信部24は、電子装置と有無線連結を介して、信号またはデータ信号のような信号を送受信するために必要なハードウェア及びソフトウェアを含んでもよい。
【0214】
一方、検出部30としてイメージセンサが利用される場合、イメージセンサの1ピクセルサイズdが、スペックルパターンの粒子サイズより小さいか、あるいはそれと同じになるように、イメージセンサが配置されてもよい。例えば、検出部30は、前記数式2の条件を満足するイメージセンサを含んでもよい。
【0215】
数式2のように、イメージセンサの1ピクセルサイズdがスペックルパターンの粒子サイズ以下でなければならないが、ピクセルサイズが過度に小さくなれば、アンダーサンプリング(undersampling)が発生し、ピクセル解像度活用に困難さが存在してしまう。それにより、効果的なSNR(signal to noise ratio)を達成するために、スペックル粒子サイズ(speckle grain size)に、最大5個以下のピクセルが位置するように、イメージセンサが配置されてもよい。
【0216】
検出部30は、生物感知装置20が、電子装置10から分離された状態で、波動源部23から照射された第2波動が、測定対象によって多重散乱されて発生した第2レーザスペックルを検出することができる。また、検出部30は、生物感知装置20が、電子装置10に付着された状態で、電子装置10の光源部12から照射されて変換された第1波動が、測定対象によって多重散乱されて発生した第1レーザスペックルを検出することができるが、このとき、第2波動による第2レーザスペックルも、検出することができるということは言うまでもない。言い換えれば、検出部30は、第1レーザスペックル及び第2レーザスペックルのうち少なくとも一つを選択し、検出することができる。
【0217】
一方、制御部40は、検出された第1レーザスペックルまたは第2レーザスペックルを利用し、第1レーザスペックルまたは第2レーザスペックルの時間相関関係を獲得し、獲得された時間相関関係に基づいて、測定対象内の生物存在いかん、または生物の濃度をリアルタイムで推定することができる。
【0218】
図19A及び図19Bは、本発明のさらに他の実施形態による生物感知装置20を概略的に図示した概念図であり、図20は、図19の生物感知装置20を具備した生物感知システム1-2の実施形態を概略的に図示した概念図である。図19及び図20を参照して説明するとき、図15及び図16の生物感知システム1と同一であるか、あるいは対応する構成要素は、同一図面符号を付し、それについての重複説明は省略する。
【0219】
図19A及び図20を参照すれば、生物感知装置20は、変換部22から測定対象Mに向けて、事前に設定された長さLほど突出するように、ボディ部20Aから延長される支持部205をさらに含んでもよい。前述のように、生物感知システム1-2は、第1レーザスペックルの時間相関関係を利用し、生物の存在いかん、または生物の濃度変化を推定するが、時間相関関係によるレーザスペックルの変化を除いた他の要因による変化は、ノイズとしても作用する。支持部205は、生物感知装置20を、測定対象に安定して位置させるように支持するだけではなく、検出部30の焦点距離であるLほど維持させることにより、レーザスペックルを正確に検出することができる。また、図20においては、生物感知装置20を電子装置10から分離された状態に図示したが、生物感知装置20が、電子装置10に付着された状態でも測定可能であるということは、言うまでもない。
【0220】
図19Bを参照すれば、生物感知装置20は、測定対象Mから多重散乱された第1レーザスペックルまたは第2レーザスペックルの基準値を提供するための基準測定部209をさらに含んでもよい。基準測定部209は、開口部21及び変換部22に対応する位置に配置され、測定対象Mと、生物感知装置20の検出部30とが離隔された長さLほど開口部21及び変換部22から離隔される。基準測定部209は、図示されているように、前述の支持部205から延長されて形成されるが、それに制限されるのではない。また、基準測定部209は、開口部21及び変換部22に対応して配置されもし、波動源部23及び検出部30に対応して配置されてもよい。すなわち、基準測定部209は、測定されるレーザスペックルの基準値を提供するために、安定した媒質を測定するものであり、生物感知装置20を、波動を照射して検出する2つの単位ユニットに区分したとき、1つの単位ユニットは、測定対象のレーザスペックルを測定し、残り1つの単位ユニットは、基準測定部209の基準レーザスペックルを測定するようにする。それを介して、生物感知装置20は、動きや、外部環境によるノイズを排除させることができ、正確な測定を可能にする。
【0221】
図21A図21Cは、本発明のさらに他の実施形態による生物感知システム1-3を概略的に図示した概念図であり、図21Bは、図21Aの光学部35を概略的に図示したブロック図である。
【0222】
図21Aないし図21Cを参照すれば、さらに他の実施形態として、生物感知システム1-3は、測定対象Mで散乱された第1光信号を、散乱される前の第2光信号に復元して感知する光学部135をさらに含んでもよい。このとき、光学部135は、空間光変調部(SLM:spatial light modulator)1351、レンズ1352を含んでもよい。光学部135は、測定対象から散乱された光が入射されれば、散乱された光を、散乱される前の光に復元し、検出部30に提供することができる。
【0223】
空間光変調部1351は、測定対象で散乱された第1光信号が入射されてもよい。空間光変調部1351は、散乱された波動を制御し、レンズ1352に提供することができる。レンズ1352は、空間光変調部1351から提供された第1光信号を集約し、散乱される前の原信号である第2光信号に復元して出力することができる。
【0224】
ここで、光学部135は、安定した媒質、すなわち、測定対象内に生物の動きがない場合、測定対象Mから散乱された第1光信号を、散乱される以前の光に復元することができる。しかし、測定対象内に生物が存在する場合、生物の動きによって第1光信号が異なるので、位相制御波面を感知することができなくなり、それによって、位相共役波面を有する第2光信号に復元することができない。前述の光学部135を含む生物感知システム1は、かような第2光信号の差を利用し、さらに正確に生物の存在いかん、または生物の濃度を推定することができる。
【0225】
一方、他の実施形態として、光学部135は、第1光信号及び第2光信号の経路を変更することができるミラー(mirror)、ビームスプリッタ(beam splitter)のような光学手段をさらに含んでもよいということは、言うまでもない。
【0226】
前述のように、本発明の実施形態による生物感知装置、及びそれを具備した生物感知システムは、測定対象内の生物によるレーザスペックルの時間相関関係の変化を利用することにより、低廉コストで迅速に、生物存在いかん、または生物の濃度を推定し、ユーザに提供することができる。それを介してユーザは、不可視周辺環境の汚染状態を直接に確認することができる。また、該生物感知システムは、携帯性を有する電子装置に付着・脱着が可能な形態の生物感知装置を介して、測定対象の位置に制限なしに、どこでも測定が可能であり、ユーザに便利性を提供することができる。
【0227】
以下では、前述の本発明の実施形態による微生物探知方法を利用した客体識別装置2について説明する。
【0228】
図22は、本発明の一実施形態による個体識別装置2を概略的に図示した概念図であり、図23は、図22の制御部140及びデータ保存部145の関係を概略的に図示したブロック図である。
【0229】
図22を参照すれば、本発明の一実施形態による個体識別装置2は、試料配置部110、環境チャンバ180、波動源120、1以上の検出部130、及び制御部140を含んでもよい。また、個体識別装置2は、データ保存部145及びディスプレイ部190をさらに含んでもよい。
【0230】
試料配置部110は、標的個体から採取された試料Sを収容することができる。このとき、試料Sは、標的個体の唾液、血液、組織のような試料でもあり、標的個体から身体外部に排出された大便、尿、角質のような試料でもある。試料Sは、標的個体が口から吹き出すことによって採取されたり、皮膚から採取されたりするか、あるいは大便などをフィルタに濾して採取される。体内に存在する微生物は、かような試料にも存在することになる。それは、人がいびきをかいたり、げっぷをしたり、おならをしたりするとき、体内にいる微生物に外部で排出されるので、標的個体を識別するための試料Sは、多様な方法でも採取される。試料Sを採取する他の実施形態として、標的個体を、一定時間クリーンルームで活動させた後、クリーンルームに配置されたエアフィルタから、活動する間の微生物を含む試料Sを採取することもできる。試料Sは、試料全体がサンプルに利用されもし、テープ、生体膜のように、微生物が移ることができる手段を利用しても準備される。
【0231】
環境チャンバ180は、前述の試料配置部110を内部に収容し、試料Sの環境条件を変化させることができる。環境チャンバ180は、温度、湿度、圧力、磁場、抗生物質投与いかん、抗生物質種類のうち少なくともいずれか1つの環境条件を変化させることができる。具体的には、環境チャンバ180は、温度調節装置、湿度調節装置、圧力調節装置、磁場調節装置などを具備し、前述の環境条件を変化させることができる。しかし、前述の環境条件は、1つの例示であるのみ、本発明は、それらに制限されるものではない。他の実施形態として、環境チャンバ180は、一種類以上の抗生物質を投与することができる抗生物質投与装置をさらに含んでもよい。また、前述の環境条件だけではなく、試料S内の微生物に影響を与えることができる多様な環境条件が適用されるということは、言うまでもない。環境チャンバ180は、制御部140によっても制御される。
【0232】
環境チャンバ180は、形態に制限がないが、環境チャンバ180の外部環境に影響を受けない材質または構造によってもなる。例えば、環境チャンバ180内部に、一定温度を維持するために、環境チャンバ180は、断熱材質からもなる。また、環境チャンバ180は、一定圧力をにえることができる耐圧構造によってもなる。
【0233】
一方、環境チャンバ180は、波動源120から波動が照射される経路に配置される一面181が透明な材質からもなる。環境チャンバ180は、波動源120が環境チャンバ180の外部に配置される場合、波動源120から照射された波動を試料Sに伝達するために、少なくとも一面181が透明な材質からもなる。他の実施形態として、環境チャンバ180は、波動源120から波動が照射される経路に配置される他面183が波動を拡散させる拡散材質からもなる。前述の混沌波センサは、試料S内の微生物の動きによって多重散乱されて発生したレーザスペックルを検出することができる。このとき、環境チャンバ180の他面183を拡散材質から形成し、微生物の動きによる多重散乱効果をさらに極大化させることができる。他の実施形態として、環境チャンバ180の他面183は、多重散乱物質を含み、試料S内において、波動の多重散乱回数を増幅させることもできる。
【0234】
波動源120は、試料配置部110内の試料Sに向けて波動を照射することができる。波動源120は、波動を生成することができる全種のソース装置を適用することができ、例えば、特定波長帯域の光を照射することができるレーザでもある。本発明は、波動源種類に制限がないが、ただし、以下では、説明の便宜のために、レーザである場合を中心に説明する。例えば、試料配置部110にスペックルを形成させるために、干渉性が良好なレーザを波動源120として利用することができる。
【0235】
再び図22を参照すれば、検出部130は、照射された波動が、試料Sによって多重散乱されて発生したレーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出することができる。
【0236】
制御部140は、検出されたレーザスペックルを利用し、環境条件が変化する前後の試料内の微生物の濃度を推定することができる。制御部140は、環境条件が変化する前後について推定された微生物の濃度差を利用し、複数の個体から標的個体を識別することができる。該微生物は、個体の内部及び外部のどこにも存在することができ、各個体ごとに有している微生物の種類は、異なる。言い換えれば、個体と共存している微生物の種類は、個体の遺伝子または指紋のように、個体を識別することができる1つの識別情報にもなる。しかし、バクテリアのような微生物は、不可視であるために、個体から採取された試料に、いかなる種類の微生物が含まれているかということを分析し難い。個体から採取された試料に含まれた微生物の遺伝子を分析することもできるが、個体の遺伝子を分析する場合のように、複雑な分析過程を経なければならないという問題点がある。
【0237】
本発明の一実施形態は、試料S内の微生物から多重散乱されて発生したレーザスペックルを利用し、簡単でありながらも、迅速な分析が可能である。個体から採取された試料Sには、一種類以上の微生物が存在することができる。微生物は、種類によって、環境条件によって、異なる濃度変化を示すことができる。本発明においては、微生物種類による濃度を区分せず、一種類以上の微生物が、環境条件が変化することによって異なる平均的な濃度を利用することにより、複数の個体から標的個体を識別することができる。
【0238】
図23を参照すれば、制御部140は、平均濃度推定部141、識別部143及びデータ補正部147を含んでもよい。
【0239】
平均濃度推定部141は、検出部130から検出されたレーザスペックルを提供され、検出されたレーザスペックルの時間相関関係を獲得し、獲得された時間相関関係に基づいて、試料Sに含まれた一種類以上の微生物の平均濃度を推定することができる。平均濃度推定部141は、試料Sにおける環境条件が変化する前、言い換えれば、第1環境条件を適用した場合の微生物の第1平均濃度を推定することができる。また、平均濃度推定部141は、試料Sにおける環境条件が変化した後、言い換えれば、第1環境条件と異なる第2環境条件を適用した場合の微生物の第2平均濃度を推定することができる。ここで、第1環境条件及び第2環境条件は、前述のように、温度、圧力、磁場、湿度のうち少なくとも1つの条件を含んでもよい。このとき、環境条件のうち一種類のみを変化させる場合、他の環境条件は、定数で固定させてころ、第1環境条件及び第2環境条件の差による平均濃度変化を正確に確認することができる。他の実施形態として、二種類以上の環境条件を変化させる場合には、1つの採取された試料Sに、各種類の環境条件を順次に変化させるか、あるいは2以上の試料Sを利用し、各種類の環境条件ごとに個別的に変化させて濃度を推定することができる。
【0240】
識別部143は、環境条件の変化による微生物の平均濃度の変化率を演算し、標的個体の識別データを生成し、識別データを利用し、複数の個体から標的個体を識別することができる。識別部143は、第1環境条件による第1平均濃度と、第2環境条件による第2平均濃度との差を演算し、識別データを生成することができる。例えば、第1環境条件である温図30℃である場合、試料S内の微生物の第1平均濃度が40%に推定されたが、第2環境条件である温図60℃に変化した場合、試料S内の微生物の第2平均濃度が20%に変化することができる。このとき、標的個体は、温度変化により、平均して20%が死滅する特性を有する微生物の種類を有しているのである。かような特性は、標的個体だけが有することができる識別情報にもなる。
【0241】
一実施形態による個体識別装置2は、複数の個体それぞれに対応し、環境条件の変化による微生物の平均濃度変化率に係わる基準データが事前に保存されたデータ保存部145をさらに含んでもよい。識別部143は、前記識別データと基準データとを比較し、複数の個体から標的個体を識別することができる。
【0242】
他の実施形態として、識別部143は、互いに異なる2つの試料から、それぞれ識別データを生成し、識別データ同士比較し、2つの試料が同一個体から、採取または排出されたものであるかということを判別することもできる。
【0243】
さらに他の実施形態として、識別部143は、標的個体を事前に知っている場合、標的個体の識別データと、データ保存部145に保存された基準データとを比較し、標的個体の健康状態を判断することができる。具体的には、データ保存部145には、各個体に係わる基準データが保存されるが、基準データには、環境条件の変化による微生物の平均濃度変化率だけではなく、一定環境条件での微生物の平均濃度値も含んでもよい。標的個体を事前に知っている場合、試料Sから採取された識別データが、一定環境条件での平均濃度値に対して事前に設定された誤差範囲に含まれる場合、標的個体が健康な状態であると判断することができる。反対に、試料Sから採取された識別データが、平均濃度値の事前に設定された誤差範囲を外れる場合、標的個体は、健康ではない状態であると判断することができる。本発明の一実施形態による個体識別装置2は、標的個体から周期的に採取された試料Sの識別データを利用し、標的個体の健康をモニタリング(monitoring)することができる。
【0244】
一方、データ補正部147は、データ保存部145に、比較することができる基準データが存在しない場合、識別部143から生成された標的個体Sの識別データを基準データに変換し、データ保存部145に保存させることができる。個体識別装置2は、データ補正部147を介して、複数の個体に係わる基準データのデータベースを構築することができる。また、データ補正部147は、データ保存部145に保存された基準データにエラーがある場合、識別データを利用し、基準データを補正することもできる。
【0245】
再び図22を参照すれば、制御部140は、推定された微生物の平均濃度の変化率を利用し、複数の個体から、標的個体をリアルタイムで判断することができる。本明細書においてリアルタイムとは、1時間内に、微生物の平均濃度変化率を利用して標的個体を識別することを意味し、望ましくは、5分内に、微生物の平均濃度変化率を利用して標的個体を識別することができるのである。さらに望ましくは、20秒内に標的個体を識別することができるのである。
【0246】
一方、個体識別装置2は、ディスプレイ部190をさらに含んでもよい。ディスプレイ部190は、制御部140から推定された微生物の平均濃度変化率、及び標的個体の識別結果を外部に表示することができる。
【0247】
図24は、本発明の他の実施形態による個体識別装置2-2を概略的に図示した図面である。
【0248】
図24を参照すれば、他の実施形態による個体識別装置2-2は、試料配置部210、基準試料配置部215、環境チャンバ280A、基準チャンバ280B、波動源220、検出部230、制御部240を含んでもよい。また、個体識別装置2-2は、ビームスプリッタ281及び多重ビームリフレクタ283のような光学手段をさらに含んでもよい。他の実施形態は、基準試料配置部215及び基準チャンバ280Bをさらに含むという点を除いては、一実施形態の構成要素と同一であるので、重複説明は省略する。
【0249】
試料配置部210は、標的個体から採取された試料を収容することができる。
【0250】
基準試料配置部215は、基準試料を収容することができる。試料配置部210は、環境条件が変化する環境チャンバ280Aの内部に収容され、基準試料配置部215は、環境条件を変化させない基準チャンバ280Bの内部に収容されてもよい。このとき、基準試料は、前記標的個体から採取された試料と同一試料であり、微生物の平均濃度推定に発生しうるノイズを最小化させるための試料の対照群にもなる。
【0251】
環境チャンバ280Aは、試料の環境条件を変化させることができ、第1環境条件から、第1環境条件と異なる条件を有する第2環境条件に変化させることができる。例えば、第1環境条件は、試料の温度が30℃であり、第2環境条件は、試料の温度が60℃である場合でもある。
【0252】
基準チャンバ280Bは、基準試料配置部215を内部に配置させ、環境チャンバ280Aにおいて、環境条件が変化する前の条件で、基準試料の環境条件を一定に維持させることができる。例えば、前記第1環境条件である30℃に、基準試料の環境条件を維持させることができる。
【0253】
波動源220は、試料配置部210内の試料、及び基準試料配置部215内の基準試料に向けて波動を照射することができる。ここで、波動源220と、試料配置部210及び基準試料配置部215との間には、多重ビームリフレクタ283及びビームスプリッタ281が位置することができる。また、波動源220から提供された波動経路を変更するためのミラー285をさらに含んでもよい。
【0254】
多重ビームリフレクタ283は、波動源220から入射された波動を分割させ、複数の波動経路に提供することができる。多重ビームリフレクタ283は、前面及び背面でそれぞれ波動を反射させ、平行であって分割された第1波動L4及び第2波動L5を提供することができる。
【0255】
ビームスプリッタ281は、多重ビームリフレクタ283から提供される複数の波動経路上に配置され、前記第1波動L4及び第2波動L5を、それぞれ試料及び基準試料に提供することができる。その後、試料及び基準試料で反射されて出射される波動の経路を変更し、検出部230に提供することができる。
【0256】
検出部230は、試料及び基準試料それぞれから、照射された波動の多重散乱によって発生したレーザスペックル及び基準レーザスペックルを、事前に設定された同一時点ごとに検出することができる。検出部230は、試料から反射された第1波動の経路に対応して配置された第1検出部231、及び基準試料から反射された第2波動の経路に対応して配置された第2検出部233を含んでもよい。
【0257】
制御部240は、検出されたレーザスペックルを利用して検出されたレーザスペックルの時間相関関係を獲得し、獲得された時間相関関係に基づいて、試料に含まれた一種類以上の微生物の平均濃度を推定することができる。このとき、制御部240は、検出された基準レーザスペックルを利用して検出された基準レーザスペックルの基準情報を共に獲得することができる。制御部240は、環境条件の変化による微生物の平均濃度差を利用するが、このとき、基準レーザスペックルの基準情報を利用し、微生物の平均濃度差から時間要素を排除させることができる。
【0258】
言い換えれば、他の実施形態による個体識別装置200は、基準チャンバ280Bを追加することにより、環境条件の変化に係わる微生物の平均濃度差を獲得することができる。それを介して、経時的ノイズを除去することができ、測定時間を限定する必要がなく、個体識別分析がさらに簡便にもなる。
【0259】
図25A及び図25Bは、本発明のさらに他の実施形態による個体識別装置2-3を概略的に図示した概念図である。
【0260】
図25A及び図25Bを参照すれば、個体識別装置2-3は、試料で散乱された第1波動信号を、波動源220の波動が、試料によって散乱される前の第2光信号に復元する変調する光学部235をさらに含んでもよい。このとき、光学部235は、空間光変調部(SLM:spatial light modulator)2351及び検出部230を含んでもよい。光学部235は、測定対象から散乱された波動が入射されれば、散乱された波動の波面を制御し、また散乱される前の波動(光)に復元し、検出部230に提供することができる。
【0261】
空間光変調部2351は、試料で散乱された波動(光)が入射される。空間光変調部2351は、試料で散乱された波動の波面を制御し、レンズ2352に提供することができる。レンズ2352は、制御された光を集約し、さらに検出部240に提供することができる。検出部240は、レンズで集約された波動を感知し、散乱される前に始めに波動源から出力された波動に復元して出力することができる。
【0262】
ここで、光学部235は、安定した媒質、すなわち、測定対象内に生物の動きがない場合、試料から散乱された第1光信号を、散乱される以前の光に復元することができる。しかし、測定対象内に生物が存在する場合、生物の動きによって第1光信号が異なるので、位相制御波面を感知することができなくなり、それにより、位相共役波面を有する第2光信号に変調することができない。前述の光学部235を含む個体識別装置200は、かような第2光信号の差を利用し、さらに微細に生物の存在いかん、または生物の濃度を推定することができる。
【0263】
図26は、本発明の一実施形態による個体識別装置2を利用した個体識別方法を順に図示したフローチャートである。
【0264】
図26を参照すれば、複数の個体それぞれに対応する基準データを事前に保存し、データベースを構築する(S100)。該基準データは、複数の個体それぞれに対応し、環境条件の変化による微生物の平均濃度変化率を含んでもよい。微生物の平均濃度変化率は、環境条件の種類によって、個別的に保存されてもよい。例えば、Aという個体における基準データは、温度が30℃から60℃に変化する場合、微生物が平均30%減る第1基準データ、B種類の抗生物質投与により、微生物が平均45%減る第2基準データのように、複数の環境条件に対応した複数のデータが含まれる。
【0265】
次に、検出部130により、第1環境条件において、標的個体から採取された試料に向けて波動を照射し、多重散乱されて発生した第1レーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出することができる(S200)。その後、制御部140は、検出された第1レーザスペックルを利用し、第1環境条件での試料内の微生物の第1濃度を推定することができる(S300)。制御部140において、第1濃度を推定する段階は、検出された第1レーザスペックルを利用し、第1レーザスペックルの時間相関関係を獲得し、獲得された時間相関関係に基づいて、試料に含まれた一種類以上の微生物の第1平均濃度を推定することができる。
【0266】
次に、環境チャンバ180は、第1環境条件から第2環境条件に、試料の環境条件を変化させることができる。第2環境条件に環境条件が変化した後、検出部130により、第2環境条件において、試料に向けて波動を照射し、多重散乱されて発生した第2レーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出することができる(S400)。その後、制御部140は、検出された第2レーザスペックルを利用し、第2環境条件での試料内の微生物の第2濃度を推定することができる(S500)。制御部140において、第2濃度を推定する段階は、検出された第2レーザスペックルを利用し、第2レーザスペックルの時間相関関係を獲得し、獲得された時間相関関係に基づいて、試料に含まれた一種類以上の微生物の第2濃度を推定することができる。
【0267】
次に、制御部140は、第1濃度と第2濃度との差を利用し、複数の個体から標的個体を識別(discrimination)することができる(S600)。具体的には、第1環境条件での微生物の第1平均濃度と、第2環境条件での微生物の第2平均濃度との変化率を演算し、識別データを生成することができる(S610)。識別データは、標的個体の固有識別情報でもある。制御部140は、識別データと、事前に保存された基準データとを比較し、複数の個体から標的個体を識別することができる。
【0268】
もし識別データとマッチングされる基準データが存在する場合(A1)、制御部140は、マッチングされる基準データに対応する個体が、標的個体と同一個体であると判断し、標的個体を識別することになる(S620)。しかし、データ保存部145に、マッチングされる基準データが存在しない場合(A2)、データ補正部157は、標的個体の識別データを1つの基準データに変換し、データ保存部145で保存することにより、データベースを構築することができる。
【0269】
前述のように、本発明の実施形態による個体識別装置は、微生物によるレーザスペックルの時間相関関係の変化を利用することにより、低廉コストで迅速に個体ごとに有している固有の微生物情報を分析することができ、それにより、複数の個体から標的個体を、迅速であって正確に識別することができる。
【0270】
以下では、前述の本発明の実施形態による微生物探知方法を利用したウイルス検出装置3について説明する。
【0271】
図27は、本発明の一実施形態によるウイルス検出装置3を概略的に図示した概念図であり、図28は、図27のウイルス検出装置3を概略的に図示したブロック図である。図29A及び図29Bは、図27のウイルスマーカー適用部165において、ウイルスマーカーが適用される過程について説明するために概略的に図示した図面である。
【0272】
図27及び図28を参照すれば、本発明の一実施形態によるウイルス検出装置3は、試料配置部110、ウイルスマーカー適用部165、磁界形成部170、波動源120、検出部130及び制御部140を含んでもよい。
【0273】
試料配置部110は、試料Sを収容することができる。このとき、試料Sは、個体の唾液、血液、組織のような試料でもあり、個体から身体外部で排出された大便、尿、角質のような試料でもある。また、該試料は、飲食物のような有機試料でもあり、物体の表面から、綿棒またはテープなどを利用して採取した試料でもある。試料Sは、試料全体がサンプルとしても利用され、テープ、生体膜のように、ウイルスが移る手段を利用しても準備される。試料配置部110は、試料Sを収容することができる容器形態によってもなる。試料配置部110は、試料自体の動きを制限しながら、試料Sを支持することができる。言い換えれば、試料S自体は、動きが制限された状態で検出を進めることになる。
【0274】
ウイルスマーカー適用部165は、試料Sに、磁性粒子(magnetic particle)を含むウイルスマーカー(virus marker)を適用し、ウイルスマーカーと、試料内のウイルスとが結合された検出用複合体を形成することができる。ウイルスマーカー適用部165は、試料配置部110と隣接するように配置されてもよい。他の実施形態として、ウイルス検出装置3は、試料配置部110をウイルスマーカー適用部165に移動し、ウイルスマーカーを適用する段階を遂行することができる。さらに他の実施形態として、ウイルス検出装置3は、採取された試料Sを、まずウイルスマーカー適用部165に移動してウイルスマーカーを適用した後、試料配置部110に配置することもできる。かように、本発明では、ウイルスマーカー適用部165の位置を制限するものではない。
【0275】
図3Aを参照すれば、ウイルスマーカーB1は、特定ウイルスと遺伝子対をなす物質に、磁性粒子B13を結合させても形成される。具体的には、ウイルスマーカーB1は、試料S内のウイルスV1とコンジュゲーション(conjugation)される抗体B11、及び抗体B11に結合された磁性粒子B13を含んでもよい。ウイルスマーカーB1の抗体B11は、抗原抗体反応を介して、試料S内のウイルスV1と結合することができ、それを介して、ウイルスV1は、ウイルスマーカーB1の磁性粒子B13と結合した検出用複合体C1を形成することができる。
【0276】
該磁性粒子は、粒子径がnm範囲である粒子でもある。該磁性粒子は、波動源から照射される波動の散乱が強いので、レーザスペックルの検出が容易である。一方、該磁性粒子は、具体的には、超常磁性ナノ粒子でもある。ここで、該超常磁性ナノ粒子は、外部から磁場を加える場合、強い磁性を帯びる物質を意味する。例えば、鉄(Fe(III))、マンガン(Mg)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及びコバルト(Co)からなる群から1種以上を含むものでもある。一実施形態による超常磁性ナノ粒子は、平均粒径が3ないし100nmでもあり、4ないし30nmを有する粒子でもある。また、該超常磁性ナノ粒子は、平均磁化力が60emu/gないし150emu/gでもあり、80emu/gないし130emu/gでもある。
【0277】
図29Bを参照すれば、採取された試料Sは、複数種類のウイルスを含んでもよい。かような複数種類のウイルスを検出するために、ウイルスマーカー適用部165は、複数種類のウイルスのうちいずれか一つとコンジュゲーションされる抗体、及び該抗体に結合された磁性粒子を含む複数種類のウイルスマーカーを、試料Sに適用することができる。図面では、説明の便宜のために、試料Sに2種類のウイルスが含まれた場合を例として挙げて図示した。実際に採取された試料Sには、いかなるウイルスが含まれているのか不可視であるために、ウイルス検出のために、複数種類のウイルスマーカーを試料Sに適用することができる。
【0278】
このとき、ウイルスマーカーの種類数は、試料S内のウイルス種類数と同一である必要はない。例えば、図29Bのように、ウイルスマーカー適用部165は、3種類のウイルスマーカーである第1ウイルスマーカーB1、第2ウイルスマーカーB2、第3ウイルスマーカーB3を試料Sに適用することができる。試料Sが第1ウイルスマーカーB1と対をなす第1ウイルスV1と、第2ウイルスマーカーB2と対をなす第2ウイルスV2と、を含む場合、第1ウイルスV1と第1ウイルスマーカーB1とが結合した第1検出用複合体C1と、第2ウイルスV2と第2ウイルスマーカーB2とが結合した第2検出用複合体C2と、が形成されてもよい。ウイルス検出装置3は、第1検出用複合体C1と、第2検出用複合体C2とを介して、試料S内ウイルスの存在だけではなく、種類まで検出することができる。
【0279】
一方、ウイルスマーカー適用部165は、ウイルスと結合することができなかったウイルスマーカーを、前記試料Sから除去することができる。例えば、ウイルスマーカー適用部165は、多孔性フィルタ(porous filter)を利用して、ウイルスと結合することができなかった磁性粒子を、試料Sから除去することができる。ここで、該多孔性フィルタとは、ウイルスマーカーは通過させるが、ウイルスとウイルスマーカーとが結合した検出用複合体は、フィルタリング(filtering)する物体でもある。具体的には、一実施形態として、ウイルスマーカー適用部165は、多孔性フィルタ(図示せず)を利用し、対をなすことができなかった第3ウイルスマーカーB3を、試料Sから除去することができる。それを介して、試料Sには、磁性粒子を含むウイルスマーカーと結合された第1検出用複合体C1及び第2検出用複合体C2だけ残り、正確なウイルス検出が可能にもなる。
【0280】
再び図27及び図28を参照すれば、磁界形成部170は、試料配置部110に隣接するように配置され、試料配置部110周囲に磁界(magnetic field)を形成し、検出用複合体に動きを付与することができる。磁界形成部170は、検出用複合体に含まれた磁性粒子を、磁気力を利用して移動させることができる。このとき、該磁性粒子と結合されたウイルスも共に移動する。ウイルスは、細菌のような微生物と異なり、動きがないために、ウイルスマーカーを適用しない試料Sに波動を照射しても、レーザスペックルが発生せず、ウイルスを検出することができない。従って、試料S内にウイルスが存在する場合、ウイルスマーカー適用部165を介して、磁性粒子がウイルスと結合された検出用複合体を形成することができ、該検出用複合体に、磁気力を利用してウイルスに動きを付与することができる。このとき、磁界形成部170は、図面に図示されているように、試料配置部110を取り囲むRFコイル175を利用して磁界を形成することができる。しかし、1つの実施形態であるのみ、本発明は、それに制限されるものではない。単に、永久磁石を利用し、試料配置部110の試料Sに磁界を形成することもできる。磁界形成部170は、マイクロ核磁気功名装置(micro-NMR:micro nuclear magnetic resonance)を利用することもできる。
【0281】
磁界形成部170は、一定第1時間ごとに、磁界の方向または強度を変更し、検出用複合体に動きを付与することができる。磁界形成部170が、試料Sに一定方向と強度とを有する磁界を付与する場合、検出用複合体C1は、一方向に動き、さらに動きを止めることができ、正確なウイルス検出が困難になる。従って、磁界形成部170は、一定第1時間ごとに、磁界の方向または強度を変更し、ウイルス検出装置3がウイルスを検出する間、持続的に動きを付与することができる。
【0282】
波動源120は、試料配置部110内の試料Sに向けて波動を照射することができる。波動源120は、波動を生成することができる全種のソース装置を適用することができ、例えば、特定波長帯域の光を照射することができるレーザでもある。本発明は、波動源種類に制限がないが、ただし、以下では、説明の便宜のために、レーザである場合を中心に説明する。
【0283】
例えば、試料配置部110にスペックルを形成するために、干渉性が良好なレーザを波動源120として利用することができる。このとき、レーザ波動源の干渉性を決定する波動源のスペクトラル帯域幅が短いほど、測定正確度が上昇する。すなわち、干渉長が長いほど、測定正確度が上昇する。それにより、波動源のスペクトラル帯域幅が、既定義の基準帯域幅未満のレーザ光が波動源120として利用され、基準帯域幅より短いほど、測定正確度が上昇する。
【0284】
検出部130は、照射された波動が、試料S内の検出用複合体C1の動きによって多重散乱されて発生したレーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出することができる。検出部130は、波動源120種類に対応した感知手段を含み、例えば、可視光線波長帯域の光源を利用する場合には、映像を撮影する撮影装置であるCCDカメラが利用される。検出部130は、レーザスペックルが発生する試料の表面を測定することができるが、試料の表面と検出部130との一領域において、レーザスペックルを検出することができる。また、検出部130は、一定焦点距離を有するレンズ部なしに、レーザスペックルを検出することができる。検出部130は、少なくとも、第1時点でのレーザスペックルを検出し、第2時点でのレーザスペックルを検出し、制御部140に提供することができる。一方、第1時点及び第2時点は、説明の便宜のために選択された1つの例示であるのみ、検出部130は、第1時点及び第2時点より多くの複数時点において、レーザスペックルを検出することができる。
【0285】
一方、検出部130が検出する事前に設定された時点の時間間隔は、磁界形成部170において、検出用複合体に動きを付与する第1時間より短いことがある。言い換えれば、検出用複合体の動きが測定する時点の間隔より短い場合、検出用複合体の迅速な動きは、ノイズとしても作用する。従って、検出部130は、正確な検出のために、磁界形成部170において、磁界の方向または強度を変更する第1時間より短い間隔で、レーザスペックルを検出することができる。
【0286】
一方、検出部130としてイメージセンサが利用される場合、イメージセンサ1のピクセルサイズdがスペックルパターンの粒子サイズより小さいか、あるいはそれと同じになるように、イメージセンサが配置されてもよい。
【0287】
制御部140は、検出されたレーザスペックルを利用して検出されたレーザスペックルの時間相関関係を獲得することができる。制御部140は、獲得された時間相関関係に基づいて、試料S内のウイルスの存在いかん、またはウイルスの濃度をリアルタイムで推定することができる。このとき、制御部140は、磁界形成部170の変更される磁界の方向または強度に係わる磁界情報を提供され、磁界情報を利用して検出されたレーザスペックルの時間相関関係を獲得することができる。本明細書においてリアルタイムとは、1時間内にウイルスの存在いかん、またはウイルスの濃度変化を推定することを意味し、望ましくは、5分内にウイルスの存在いかん、またはウイルスの濃度変化を推定することができるということである。さらに望ましくは、20秒内にウイルスを検出することができるということである。制御部140において、レーザスペックルの時間相関関係を獲得する方法は、後述する。
【0288】
一方、ウイルス検出装置3は、ディスプレイ部190をさらに含んでもよい。ディスプレイ部190は、制御部140から推定されたウイルスの存在いかん、濃度及び種類に係わる結果を外部に表示することができる。
【0289】
図30は、本発明の一実施形態によるウイルス検出方法を順次に図示したフローチャートである。
【0290】
図30を参照すれば、まず、試料に、磁性粒子(magnetic particle)を含むウイルスマーカー(virus marker)を適用し、ウイルスマーカーと、試料S内のウイルスとが結合された検出用複合体を形成する(A10)。試料S内のウイルス種類が複数個でもあるので、ウイルスマーカーの種類も、複数個でもあるが、ウイルス種類の個数と、ウイルスマーカー種類の個数とが同一である必要はない。このとき、該ウイルスマーカーは、ウイルスに対応する抗体の種類を異なるようにし、抗体に結合された磁性粒子は、同一磁性粒子を利用することができる。それを介して、試料Sに磁界を形成させ、検出用複合体に動きを付与する場合、ウイルス種類によってだけでも、動きの差が発生し、ウイルスを種類によって区分することができる。
【0291】
その後、試料S周囲に磁界を形成させ、検出用複合体に動きを付与する(A20)。前述の磁界形成部170は、磁界の方向または強度を、一定第1時間ごとに変更することができ、それを介して、検出用複合体の持続的な動きを誘導することができる。
【0292】
その後、試料Sに向けて波動を照射し、照射された波動が、検出用複合体の動きによって多重散乱されて発生したレーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出する(A30)。このとき、事前に設定された時点の間隔は、磁界形成部170において、磁界の方向または強度を変更する第1時間より短いことがある。
【0293】
その後、制御部140により、検出されたレーザスペックルを利用して検出されたレーザスペックルの時間相関関係を獲得し、獲得された時間相関関係に基づいて、試料S内のウイルスの存在いかん、またはその濃度をリアルタイムで推定することができる(A40)。
【0294】
図31は、試料内のウイルス種類による時間相関関係係数を図示したグラフである。図31のグラフにおいて、実線S1は、ウイルスが存在しない試料の時間相関係数を示し、第1点線C1は、第1ウイルスV1だけ存在する試料の時間相関係数を示す。第3点線C2は、第2ウイルスV2だけ存在する試料の時間相関係数を示し、第2点線(C1+C2)は、第1ウイルスV1と第2ウイルスV2とがいずれも存在する試料の時間相関係数を示す。このとき、第1ウイルスV1と第2ウイルスV2とが共存する場合、その濃度は、第1ウイルスだけ存在するか、あるいは第2ウイルスだけ存在する場合と同一であると仮定することができる。図3Bにおいては、、第1ウイルスV1と第2ウイルスV2とを同一円状に図示したが、実際に、第1ウイルスV1と第2ウイルスV2は、異なる形態及び異なる重さを有することができる。従って、第1ウイルスV1を含む第1検出用複合体C1と、第2ウイルスV2を含む第2検出用複合体C2は、同一磁界に置かれても、異なる動きを示すことができる。かような異なる動きから、レーザスペックルの時間相関関係も異なる。かような差異を利用し、試料S内のウイルスの種類を区分することができる。
【0295】
前述のように、本発明の実施形態によるウイルス検出装置は、ウイルスと磁性粒子とを含む検出用複合体によるレーザスペックルの時間相関関係の変化を利用することにより、低廉コストで迅速にウイルスの存在いかん、濃度及びウイルスの種類を推定することができる。
【0296】
以下では、図32ないし図37を参照し、本発明の実施形態による試料特性探知装置100の多様な形態の設置位置及び動作について説明する。
【0297】
図32は、本発明の実施形態による試料特性探知装置100が冷蔵庫P1に設けられる場合を図示した例示図であり、図33は、図32の試料特性探知装置100が、冷蔵庫P1の天井部1050に設けられた形態を概略的に図示した例示図である。
【0298】
図32及び図33を参照すれば、冷蔵庫P1は、本体1010及びドア1020を含み、冷蔵庫P1の側面1053、棚1051、天井1050など、多様な位置に試料特性探知装置100が設けられてもよい。本実施形態において、冷蔵庫P1は、1以上の陥没部1040をさらに含み、試料特性探知装置100は、陥没部1040に位置することができる。試料特性探知装置100は、冷蔵庫P1に食品が満たされる場合、混沌波測定のための適切な距離を確保するために、陥没部1040に位置することができる。
【0299】
波動源120は、望ましくは、レーザ光源である。波動源120は、レーザの方向を転換するように、駆動部125を具備することができる。駆動部125は、冷蔵庫P1の多様な部分の細菌を測定するように、波動源120の照射方向を変更することができる。
【0300】
検出部130は、望ましくは、イメージセンサを含むカメラであり、やはり別途の駆動部を含んでもよい。また、レーザスペックル一つが2ピクセル以上に対応するように、焦点を調整することができる。他の実施形態として、検出部130は、イメージセンサでもある。
【0301】
図34は、図32の試料特性探知装置100を介して撮影された映像の例示である。
【0302】
図34を参照すれば、検出部130は、冷蔵庫内部を撮影することができる。その場合、冷蔵庫撮影映像には、食品Sが保存された領域Iと、食品のない領域とがありうるが、検出部130は、食品が保存された領域を検出し、その部分に波動源120が光を照射するように、駆動部125を制御することができる。また、波動源120が照射された部分のスペックルを正確に撮影するために、検出部130は、撮影位置を、駆動部を介して変更することができ、焦点を調整することができる。
【0303】
また、適切な制御のために、検出部130は、波動源120を撮影し、測定前、距離を測定することができる。例えば、波動源120は、変調されたレーザ光、例えば、レーザ光の振幅や周波数を変調した信号を含め、変調された光を、検出部130、または別途の受光部(図示せず)を介して受信した後、距離を測定することができる。
【0304】
検出部130は、測定された距離により、焦点を調整することができる。
【0305】
図35及び図36は、本発明の実施形態による試料特性探知装置が、洗濯機のふたや、洗濯物投入口の外周部に設けられるか、あるいは歯ブラシ殺菌器のふたまたは壁面に設けられた状態を図示した例示図である。洗濯機P2のふたや、洗濯物投入口の外周部に設けられる試料特性探知装置100は、図32及び図33を介して説明したような構造を有して動作する。
【0306】
図37は、本発明の実施形態による試料特性探知装置100で測定された微生物の存在いかん、その濃度及び微生物種類を活用するためのネットワークに係わる図面である。
【0307】
図37を参照すれば、試料特性探知装置100を含む装置1510,1020から、ホームサーバ1530が、濃度、微生物存在いかん及び微生物種類に係わるデータを収集する。
【0308】
試料特性探知装置100を含む装置1510,1520が直接インターネットが可能な場合には、外部サーバ1560から、ホームサーバ1530が行う機能を遂行することができる。
【0309】
ホームサーバ1530または外部サーバ1560は、収集した濃度、微生物存在いかん及び微生物種類に基づいて危険度を測定し、危険度が一定レベル以上であると判断すれば、ユーザ端末1570または1580にお知らせ(notification)を送る。
【0310】
ユーザは、お知らせを受けた後、お知らせに含まれたリンクを押し、外部業社1550に、当該装置1510の掃除または防疫を要請することができる。
【0311】
または、新種の微生物が発見された場合、外部業社1550に分析を依頼することができ、分析結果に基づいて、ホームサーバ1530または外部サーバ1560は、新種の微生物種類をアップデートすることができる。
【0312】
ユーザ端末1570または1580は、コンピュータ、携帯電話、タブレットコンピュータなど多様な形態の端末機を含む。ユーザ端末1570または1580は、試料特性探知装置100を含む装置に要請し、現在微生物の濃度を見ることができる。また、ユーザ端末1570または1580は、試料特性探知装置100の波動源120及び検出部130を、適切な位置を測定するように制御することもできる。特に、ユーザ端末1570または1580は、検出部130で撮影された映像を、ネットワークを介して受信することができ、受信された映像に基づいて、波動源120及び検出部130を制御することができる。
【0313】
以上で説明したように、スペックルパターンの経時的な変化を測定し、微生物の存在有無を探知することにより、微生物を何日にもかけて培養せずとも、数秒内に迅速に探知することができるだけではなく、抗生物質に対する反応性を、非接触で精密に測定することができる。例えば、既存の1日から4日までかかる培養過程を省略し(すなわち、培養過程なし)、培養皿などの血液検査対象にレーザ光を照射し、レーザスペックルを測定することだけで、即座に微生物の存在いかんを探知することができる。それにより、微生物が存在すると探知されれば、探知された微生物に対する反応性をすぐにその場で測定することができ、微生物を扱う生命科学と医学との分野においては、相当な時間を短縮させることができる。
【0314】
そして、前述のように、レーザ光源及びイメージセンサだけで光学系具現が可能であるので、低廉価格で光学系を提供することではなく、小型製作が可能であるので、多様な環境で幅広く適用される。そして、微生物探知のために、光学的な測定のみを利用するので、抗原・抗体など標的物質の使用が必要なく、遺伝子増幅技術のように、試片を採取する必要もないので、微生物測定過程で発生するコストを節減させることができる。
【0315】
以下では、図38ないし図43を参照し、本発明の実施形態による試料特性探知装置100の他の実施形態について説明する。
【0316】
図38は、本発明の一実施形態において、歯周及び歯牙を含む口腔と係わって測定されたレーザスペックルの形態を図示した図面であり、図39は、本発明の一実施形態において、手の爪、及び足指の爪と係わって測定されたレーザスペックルの形態を図示した図面である。
【0317】
図38及び図39を参照すれば、測定対象になる歯牙や歯周などを含む口腔810、または手の爪901/足指の爪902の中または表面に、干渉性(coherency)が良好な光源(例えば、レーザ光など)を利用して光が照射される。このとき、光源120から放射された光は、歯牙801、歯周802、爪901、足指の爪902などを構成している物質によって、何回が散乱される。すなわち、多重散乱が発生しうる。かように、光が多重散乱を経ながら、光は、非常に長い光路を形成することができ、光路を形成する過程において、歯牙801及び歯周802などを含む口腔810、爪901、または足指の爪902の中または表面に、細菌、微生物が存在する場合、光は、微生物を数えきれないほど多く通過する。
【0318】
以上で説明したように、多重散乱された光の空間的な強度分布は、非常に複雑な形態を有するが、それをレーザスペックルパターン(pattern)という。すなわち、図38及び図39を参照すれば、複雑な多重散乱により、測定面の各地点において、光が補強干渉(constructive interference)または相殺干渉(destructive interference)を起こす程度が互いに異なり、レーザスペックルが発生しうる。このとき、散乱を起こす物質である歯牙801、歯周802、爪901、足指の爪902などが動かなければ、スペックルの形態が変わらない。言い換えれば、該散乱現象は、波動方程式で決定される現象であるために、歯牙、歯周、爪、足指の爪などの表面が動かなかなければ、レーザスペックルの形態は、変わらない。
【0319】
このとき、特定身体部位(歯牙、歯周、爪、足指の爪など)の表面に微生物が存在する場合、微生物の微細な生命活動(例えば、細胞内動き、微生物の移動など)により、光路が経時的に微細に変更される。レーザスペックルパターンは、光の干渉によって発生する現象であるために、微細な光路の変化は、レーザスペックルパターンに変化を発生させる。それにより、レーザスペックルパターンの経時的な変化を測定することにより、微生物の生命活動、すなわち、特定身体部位の中またはその表面に、微生物の存在有無が迅速に測定される。すなわち、前述のように、多重散乱を介して、基準時間ごとに測定された複数のレーザスペックルパターンの時間変化を測定すれば、微生物の存在有無が即座に測定される。
【0320】
図40は、本発明の一実施形態において、特定身体部位の中またはその表面に、微生物が存在するか否かということを測定する方法について説明するために提供されるフローチャートである。
【0321】
図40の各段階(1001ないし1003段階)は、一実施形態による試料特性探知装置100の各構成要素(例えば、光源及び測定部)によっても遂行される。そして、特定身体部位が、爪、及び足指の爪である場合、波動源120及び検出部130、並びにサンプルである爪または足指の爪は、図4Aないし図4Cの構造に配置され、特定身体部位が口腔である場合、波動源120及び検出部130、並びにサンプルである口腔は、図4A及び図4Cの構造に配置される。
【0322】
1001段階において、波動源120は、口腔、爪、足指の爪などの特定身体部位の中またはその表面に光を照射することができる。波動源120であるレーザが、サンプルである特定身体部位(爪、足指の爪、口腔など)に反射する形態、または波動源120であるレーザがサンプルである特定身体部位(爪、足指の爪)を透過する形態に光が照射される。
【0323】
1002段階において、検出部130は、一定間隔で基準時間ごとに、特定身体部位から誘発されたレーザスペックルを測定することができる。例えば、一定間隔で基準時間ごとに、特定身体部位に光が照射されるにより、特定身体部位の中またはその表面に、レーザスペックルが形成され、カメラなどを利用し、多重散乱が発生する特定身体部位の中またはその表面が撮影されることにより、レーザスペックルが形成されたレーザスペックル映像が生成される。このとき、生成された複数の映像のスペックルパターンを測定するために、ニ次元イメージセンサまたは一次元光センサを含むカメラが、検出部130に利用されてもよい。例えば、CCDなどの撮像素子を搭載したカメラが、検出部130に利用されてもよい。
【0324】
このとき、図4Aないし図4Cのように、特定身体部位に入射する光や、カメラなどのセンサの位置は、自由に構成されてもよい。例えば、カメラピクセルサイズとスペックル粒子サイズ(speckle grain size)との間に、既定義の条件が合えば、前記入射する光や、カメラなどのセンサの位置は、いかなる位置にも配置可能になるように具現される。このとき、レーザ光源からカメラまでの距離は、レーザ光源の干渉長によっても制限される。例えば、該干渉長は、光が干渉を起こす距離を示すものであり、干渉長が長い光源を利用するほど、レーザ及びカメラ位置(すなわち、レーザ光源とカメラとの距離)を遠く置いて光学系が構成される。
【0325】
1003段階において、検出部130は、測定された複数のレーザスペックルの経時的変化程度を示すレーザスペックルのパターン変化に基づいて、特定身体部位の中またはその表面に、微生物が存在するか否かということを測定することができる。すなわち、複数のレーザスペックルパターン間の動的変化に基づいて、特定身体部位の中またはその表面に、微生物が存在するか否かということが測定される。
【0326】
ここで、レーザスペックルパターンの動的変化を比較するためには、互いに異なる時間で測定された最小2以上の映像が必要である。例えば、1002段階において、第1時間でレーザ光を照射し、特定身体部位を撮影することによって生成されたレーザスペックル映像1、第1時間から基準時間(1秒、10秒など)後、すなわち、第2時間で光を照射し、特定身体部位を撮影することによって生成されたレーザスペックル映像2のように、一定間隔で基準時間ごとに、2以上のレーザスペックル映像が生成されてもよい。それ以外に、さらに10秒後に、レーザスペックル映像3、さらに10秒後にレーザスペックル映像4のように、始めに光を照射した後、一定間隔ごとに(例えば、10秒ごと)光を照射し、結局、n-1秒後、n個のレーザスペックル映像が生成される。それにより、生成されたレーザスペックル映像間の差を分析することにより、特定身体部位の中またはその表面に、微生物の存在するか否かということが測定される。
【0327】
このとき、2つのスペックル映像を利用し、微生物の存在有無を測定するか、あるいは3以上のスペックル映像を利用し、微生物の存在有無を測定するかということにより、微生物測定方法が異なる。ここで、2または3以上のレーザスペックル映像を利用し、特定身体部位の中またはその表面に、微生物が存在するか否かということを測定する詳細な動作は、図41及び図42を参照して説明する。
【0328】
図41は、2つのスペックル映像を利用し、特定身体部位に、微生物が存在するか否かということを測定する方法について説明するために提供される図面である。
【0329】
図41を参照すれば、一定時間間隔で光を照射することにより、それぞれの時間で生成された2つのスペックル映像を利用する場合、特定身体部位の中またはその表面に、微生物が存在しなければ(static speckle)、0秒で測定したスペックル映像と、10秒で測定したスペックル映像との差が、既定義の第1基準値以下と非常に微々たるものである。時折小差が存在するが、それは、水分蒸発、振動のように、実験時に存在する全てのノイズの影響とも解釈される。このとき、特定身体部位の中またはその表面に、微生物(例えば、B.Cereus bacteriaなど)が存在する場合(dynamic speckle)、0秒で生成されたスペックル映像と、10秒で生成されたスペックル映像との差が、既定義の第2基準値以上でもある。すなわち、0秒と10秒との間で測定したスペックルパターンの差が、第2基準値以上、レーザスペックルパターンに大きい変化が存在すれば、特定身体部位の中またはその表面に、バクテリアなどの微生物が存在すると決定される。
【0330】
かように、検出部130は、2つのスペックル映像間の差(例えば、ピクセル値差など)が、第1基準値以下であるか否かということ、及び第2基準値以上であるか否かということをチェックし、特定身体部位の中またはその表面に、微生物が存在するか否かということを決定することができる。このとき、第1基準値及び第2基準値を、同一値に前もって定義することもでき、互いに異なる値に前もって定義することもできる。
【0331】
図42は、3以上のスペックル映像を利用し、特定身体部位に微生物が存在するか否かということを測定する方法について説明するために提供される図面である。
【0332】
図42を参照すれば、一定時間間隔で測定された3以上のスペックル映像を利用する場合、検出部130は、3以上のスペックル映像において、時間相関分析(time correlation analysis)を行うことにより、特定身体部位に微生物が存在するか否かということを測定することができる。すなわち、検出部130は、一定時間間隔で互いに異なる時点において、特定身体部位の中または表面に光が照射され、多重散乱が発生することによって形成されたレーザスペックル間の時間相関関係に基づいて、特定身体部位に、微生物が存在するか否かということを測定することができる。例えば、各時間tについて測定したスペックル映像を平準化したデータを
とすれば、検出部130は、特定遅延時間を
について、各地点で時間相関関係係数を、前述の数式3に基づいて計算することができる。そして、検出部130は、計算された時間相関関係係数の変化度に基づいて、特定身体部位の中またはその表面に、微生物が存在するか否かということを測定することができ、測定された試験結果は、図42のようなものがある。ここで、数式3に基づいて、時間相関関係係数を計算する構成、及び計算された時間相関関係係数に基づいて、特定身体部位に微生物が存在するか否かということを測定することは、すでに数式3で説明したので、重複説明は省略する。
【0333】
以上で説明したように、スペックルパターンの経時的な変化を測定し、微生物の存在有無を測定することにより、微生物を何日にもかけて培養せずとも、数秒内に迅速に測定することができる。例えば、既存の1日から4日までかかる培養過程を省略し(すなわち、培養過程なし)、サンプルにレーザ光を照射し、レーザスペックルを測定することだけで、即座に微生物の存在いかんを探知することができる。それにより、サンプル(爪、足指の爪、口腔、食品など)が準備されれば、その場で即座に微生物、細菌の存在いかんと、その活動性を測定することができるので、歯科、皮膚科、家庭、食料品店などにおいて、迅速で簡便に微生物、細菌の存在有無を測定することができる。
【0334】
図43は、本発明の一実施形態において、時間逆転鏡を利用して光学系が構成される場合を図示した図面である。
【0335】
図43の1310は、時間逆転鏡を利用し、散乱体で光の経路が逆転された場合を示し、1320は、散乱体内に動く物体がある場合、光路の変化によって経路逆転が発生しない場合を示すことができる。すなわち、1310は、時間逆転反射現象が起きた場合であり、1320は、時間逆転反射現象が起きていない場合を示すことができる。
【0336】
時間逆転鏡とは、光が鏡面に反射した後に戻るとき、鏡面まで到逹するときに移動した経路をそのまま逆に戻る現象(すなわち、時間逆転反射現象)を発生させる鏡を示す。一般的な鏡においては、時間逆転反射現象が起きないが、特殊な条件においては、前記時間逆転反射現象が発生しうる。
【0337】
前述の韓国登録特許第10-1599147号においては、、時間逆転鏡を利用したデジタル光単一チャンネル位相共役装置について説明しており、時間逆転鏡を利用して光学系を構成する場合、非常に敏感に、散乱体(例えば、歯牙、歯周、爪、足指の爪、食品などのサンプル)内部で動く物体の存在いかんが測定される。複雑な散乱体内において、時間逆転反射が起きることは、非常に精巧な制御が必要な物理現象であるために、図43の1320のように、散乱体内の小さい変化によって、時間逆転反射現象がなされないこともあるからである。それにより、時間逆転鏡を利用し、散乱体内で発生する時間逆転反射現象に基づいて、散乱体(すなわち、サンプル)内に、細菌、微生物などの物体が存在するか否かということが測定される。
【0338】
図43の1310を参照すれば、散乱体の前に任意のパターンの光が入射される。すなわち、散乱体に任意パターンを有する光が入射される。ここで、前記パターンは、固定された絞り(aperture)またはマスク(mask)などを利用して生成され、それ以外に、ディスプレイ(display)パターンによっても具現される。それにより、散乱体に入射された光が、散乱体によって散乱される。それにより、波面制御器(SLM:spatial light modulator)1302は、散乱体によって散乱された光1301を、平面波1303に変換させることができる。それにより、波面制御器1302を介して変換された平面波1303は、鏡1304面に反射され、自動的に時間逆転反射現象が起こり、始めに出発したその形態の光で出射される。
【0339】
このとき、図43の1320のように、散乱体内部に動く物質(例えば、細菌、微生物のように探知しようとする物質)が存在する場合、光の経路が、それ以上時間逆転反射現象によらなくなる。すなわち、散乱体に始めに入射した光とは係わりのない他パターンの光が発生しうる。それにより、ユーザまたは測定部は、前記鏡1304で反射して戻ってきた光のパターンを観察したり測定したりし、散乱体内部の動きを測定することができる。すなわち、戻った光のパターンが、散乱体に始めに入射された光が有する任意パターンと比較し、比較結果であるパターン差に基づいて、散乱体内部に動く物質(すなわち、微生物、細菌など)が存在するか否かということが探知される。図43の1320を参照すれば、戻った光のパターンが、始めに入射された光のパターンと異なっているので、散乱体内部に動く物質が存在すると探知される。
【0340】
そして、図43の1310のように、戻った光のパターンが、散乱体に始めに入射された光が有する任意のパターンと同一であるか、あるいは既定義の基準範囲内で類似している場合、すなわち、戻った光のパターンが、時間逆転反射現象が発生した場合に該当すれば、散乱体内部に動く物質が存在しないと探知されるすなわち、散乱体内部に微生物または細菌が存在しないと探知される。
【0341】
図44は、本発明の第3実施形態による試料特性探知装置300を概略的に図示した概念図であり、図45は、図44の試料採取手段311の他の実施形態を図示した概念図である。また、図46は、図44の試料採取手段311を利用した試料特性探知装置300を概略的に図示した概念図である。
【0342】
図44を参照すれば、第3実施形態による試料特性探知装置300は、波動源320、検出部330、制御部340、試料配置部310及び試料採取手段311を含んでもよい。本発明の第3実施形態は、波動源320、検出部330及び制御部340の構成、及びそれを利用して微生物を探知する方法が、第1実施形態と同一であるので、重複説明は省略する。
【0343】
波動源320は、試料配置部310内の試料Sに向けて波動を照射することができる。波動源320は、波動を生成することができる全種のソース装置を適用することができ、例えば、特定波長帯域の光を照射することができるレーザでもある。
【0344】
検出部330は、照射された波動が、試料Sによって多重散乱されて発生したレーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出することができる。ここで、該時点とは、連続的な時間の流れのうちいずれか一瞬間を意味し、該時点は、同一時間間隔に事前に設定されるが、必ずしもそれに制限されるものではなく、任意の時間間隔に事前に設定されもする。検出部230は、波動源320種類に対応した感知手段を含み、例えば、可視光線波長帯域の光源を利用する場合には、映像を撮影する撮影装置であるCCDカメラが利用される。検出部330は、少なくとも、第1時点でのレーザスペックルを検出し、第2時点でのレーザスペックルを検出し、制御部340に提供することができる。
【0345】
制御部340は、検出された前記レーザスペックルを利用して時間相関関係を獲得し、獲得された時間相関関係に基づいて、試料S内の微生物存在いかん、または微生物の濃度を推定することができる。
【0346】
試料採取手段311は、対象体から微生物を含む試料Sを採取することができる。一実施形態として、図44の試料採取手段311は、平面状の接着部材を含んでもよい。図44の試料採取手段311は、前述の接着部材を利用し、人の皮膚に接着させた引き離した後、試料配置部310に収容されてもよい。ヒト皮膚には、多くの微生物が存在し、毛嚢虫のような寄生虫も存在する。不可視微生物、または毛嚢虫のような寄生虫を、前記試料採取手段311を利用して採取した後、それを、試料特性探知装置300を利用して分析することにより、対象体であるヒト皮膚に存在する微生物または寄生虫の存在いかんを確認することができる。他の実施形態として、試料採取手段311は、人間活動が多い品物に接着した後で引き離し、前記品物に存在する微生物の存在を確認することができる。例えば、カーペットのような対象体は、体積が大きいだけではなく、カーペット纎維の動きにより、直接試料として使用するには不適である。かような対象体に、前記試料採取手段311を利用して接着させていて引き離した後、試料特性探知装置300を利用して分析することにより、対象体に存在する微生物の存在を確認することができる。
【0347】
図45及び図46を参照すれば、他の実施形態として、試料採取手段311は、液体である試料を採取することができる。このとき、試料Sは、尿、血液のような流動性を有する液体でもある。または、試料Sは、大便のような非流動性を有する試料を、水のような溶媒と混合した試料でもある。ここで、該混合溶媒は、試料S内の微生物の生長に影響を与えない溶媒でもある。かような、流動性を有する試料Sは、試料採取手段311によって採取された後、フィルタ313によっても濾過される。流動性を有する試料Sに直接微生物を探知する場合、流動的な動きと、微生物の動きとを区分し難いために、微生物を正確に探知することができない。従って、第3実施形態による試料特性探知装置300は、バクテリアのような微生物は、濾過され、残り液体315は、抜け出るフィルタ313、例えば、多孔性フィルタを利用することにより、試料Sから、試料Sに含まれた微生物を濾し出す。
【0348】
試料Sが尿である場合、尿に微生物が存在するならば、フィルタ313に微生物が濾過され、ほとんどの水315は、フィルタ313を通過する。または、試料Sが血液である場合、赤血球、白血球またはバクテリアのような大きさを有する微生物が、フィルタ313に濾過され、血漿315は、フィルタ313を通過する。かように、微生物が濾過されたフィルタ313に波動を照射し、微生物によって誘発されたレーザスペックルを検出することにより、試料S内の微生物存在いかん、またはその濃度を確認することができる。
【0349】
図47は、本発明の第4実施形態による試料特性探知装置400を概略的に図示した概念図であり、図48は、図41のI-I線に沿って切り取った断面図である。
【0350】
図47を参照すれば、第4実施形態による試料特性探知装置400は、波動源420、波動経路変更部421、検出部430、制御部440、試料配置部410、試料アレイ部410A及び多重散乱増幅部450を含んでもよい。本発明の第4実施形態は、波動源420、検出部430及び制御部440の構成、及びそれを利用して微生物を探知する方法が第1実施形態と同一であるので、重複説明は省略する。
【0351】
第4実施形態による試料特性探知装置400は、複数の試料配置部410を含んでもよい。複数の試料配置部410は、互いに所定離隔距離を有して配列され、図面に図示されているように、1つの試料アレイ部410Aに、複数の試料配置部410が形成される。以下では、説明の便宜のために、1つの試料アレイ部410Aに、複数の試料配置部410が配置される場合を中心に説明する。
【0352】
複数の試料配置部410それぞれには、複数の試料が収容されてもよい。該複数の試料は、同一試料でもあるが、互いに異なる試料でもある。例えば、第1試料配置部410-1には、第1試料S-1が収容され、第2試料配置部410-2には、第2試料S-2が収容されてもよい。第1試料S-1と第2試料S-2は、互いに異なる対象体から採取された試料でもあり、同じ対象体の異なる領域から採取された試料でもある。
【0353】
波動源420は、試料配置部410内の試料Sに向けて波動を照射することができる。波動源320は、波動を生成することができる全種のソース装置を適用することができ、例えば、特定波長帯域の光を照射することができるレーザでもある。波動源420を利用し、複数の試料に波動を照射するために、第4実施形態による試料特性探知装置400は、波動経路変更部421を含んでもよい。言い換えれば、波動源420から直接試料Sに波動が照射されるものではなく、波動経路変更部421を利用し、試料Sに波動が照射される。
【0354】
波動経路変更部421は、波動源420から波動が入射される。波動経路変更部421は、マイクロミラーによってもなる。波動経路変更部421は、反射面を具備し、入射された波動を複数の試料Sに向けて反射させることができる。該反射面は、屈折力がないフラット面に図示されているが、本発明は、それに制限されるものではない。波動経路変更部421は、駆動制御部(図示せず)によって微細駆動されてもよい。他の実施形態として、波動経路変更部421は、制御部440によって微細駆動され、それにより、複数の試料Sそれぞれに波動を照射することができる。波動経路変更部421を構成するマイクロミラーは、電気的制御により、反射面の力学的変位が起こる多様な構成が採用され、例えば、一般的に知られたMEMS(micro electro mechanical system)ミラー、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD:digital micromirror device)素子などが採用されてもよい。波動経路変更部421は、1つのマイクロミラーと図示されているが、それは例示的なものであり、複数個のマイクロミラーがニ次元的にアレイされた構成でもある。
【0355】
一方、波動経路変更部421は、波動経路上に配置されるミラー422をさらに含み、試料配置部410に照射される波動の角度が一定であるように調節することができる。言い換えれば、波動経路変更部421は、マイクロミラーを利用し、複数の試料配置部410に波動を照射する場合、試料配置部410の位置により、波動の入射角度が異なる。それにより、試料S内で多重散乱される程度が、複数の試料配置部410の位置によって異なり、正確な比較評価が困難であるので、ミラー422をさらに配置させ、試料配置部410に入射する波動の角度が均一になるように調節することができる。図面においては、第1試料配置部410-1上に配置されたミラー422だけ図示されているが、それは、説明の便宜のために概略的に図示したものであり、試料配置部410それぞれの上端にミラーが配置され、試料配置部410に照射される波動の角度を調節することができる。
【0356】
図47及び図48を参照すれば、多重散乱増幅部450は、試料Sから多重散乱されて出射される波動の少なくとも一部を、試料Sに反射させ、試料Sでの多重散乱回数を増幅させることができる。多重散乱増幅部450は、多重散乱物質を含んでもよい。例えば、多重散乱物質は、酸化チタン(TiO)を含み、多重散乱増幅部450は、前記多重散乱増幅部450に入射する波動の少なくとも一部を反射させることができる。多重散乱増幅部450は、試料Sと隣接するように配置され、試料Sから多重散乱されて出射される波動が、試料Sと前記多重散乱増幅部450との間の空間を少なくとも1回以上往復するようにする。
【0357】
多重散乱増幅部450は、第1多重散乱増幅部451及び第2多重散乱増幅部453を含んでもよい。第1多重散乱増幅部451は、試料配置部410と波動経路変更部421との間に配置され、試料配置部410に重畳されるように配置されてもよい。図面に図示されているように、複数の試料配置部410を含む第4実施形態は、それぞれの試料配置部410に、複数の第1多重散乱増幅部451が配置され、試料Sを試料配置部410に配置させるために脱着が可能な構造に形成されてもよい。他の実施形態として、第1多重散乱増幅部451は、試料アレイ部410A全体面を覆う構造に形成され、それぞれの試料配置部410に対応する位置に、多重散乱物質が含まれる領域に区分されもする。同様に、試料配置部410に試料Sを投入するために、他の実施形態による第1多重散乱増幅部451も、ふたのような形態に構成されてもよい。
【0358】
第2多重散乱増幅部453は、試料配置部410と検出部430との間に配置されてもよい。第2多重散乱増幅部453は、複数の試料配置部410それぞれに重畳されるように配置されてもよい。第2多重散乱増幅部453は、別途に具備され、試料配置部410と検出部430との間にも配置されるが、他の実施形態として、試料配置部410に重畳される領域の試料アレイ部410Aに、多重散乱物質を含め、試料アレイ部410Aと一体に形成される。または、試料アレイ部410A全体面に配置される1つの板状にも形成される。その場合、第2多重散乱増幅部453は、試料配置部410に対応する位置にだけ多重散乱物質を含み、他の部分は、波動を透過させない材質からなり、隣接した試料配置部410から散乱された波動による干渉を最小化させることができる。
【0359】
検出部430は、照射された波動が、試料Sによって多重散乱されて発生したレーザスペックルを、事前に設定された時点ごとに検出することができる。ここで、該時点とは、連続的な時間の流れのうちいずれか一瞬間を意味し、該時点は、同一時間間隔に事前に設定されるが、必ずしもそれに制限されるものではなく、任意の時間間隔に事前に設定されもする。検出部430は、波動源420種類に対応した感知手段を含み、例えば、可視光線波長帯域の光源を利用する場合には、映像を撮影する撮影装置であるCCDカメラが利用される。検出部430は、少なくとも、第1時点でのレーザスペックルを検出し、第2時点でのレーザスペックルを検出し、制御部440に提供することができる。
【0360】
制御部440は、検出された前記レーザスペックルを利用して時間相関関係を獲得し、獲得された時間相関関係に基づいて、試料S内の微生物存在いかん、または微生物の濃度を推定することができる。制御部440は、複数の試料配置部410に収容された複数の試料Sそれぞれの微生物存在いかん、または微生物の濃度を推定することができる。このとき、制御部440は、一定時間ごとに、複数の試料配置部410に、波動経路を変更して照射するように、波動経路変更部421の反射面を電気的に制御することができる。制御部440は、波動経路変更部421を制御するタイミングと連動し、検出部430で検出されたレーザスペックル映像を分類し、時間相関関係を獲得することができる。従って、制御部440は、1つの検出部430を利用しても、複数の試料配置部410それぞれに収容された複数の試料Sの微生物存在いかん、または微生物の濃度を推定することができる。
【0361】
前述のように、第4実施形態による試料特性探知装置は、波動経路変更部を利用し、複数の試料配置部に収容された複数の試料の微生物存在いかん、または微生物の濃度を迅速に探知することができる。
【0362】
図49及び図50は、本発明の第4実施形態による試料特性探知装置の他の実施形態を概略的に図示した図面である。
【0363】
図49を参照すれば、試料特性探知装置400-1は、波動源420、波動経路変更部421、検出部430及び制御部440を含んでもよい。他の実施形態の試料特性探知装置400-1は、試料Sを領域別に分割し、各領域での微生物存在いかん、または微生物の濃度を推定して比較することができる。例えば、包装された牛肉のような食品は、包装された状態そのまま、細菌のような微生物の存在いかんを確認する必要がある。このとき、波動経路変更部421を具備した試料特性探知装置400-1は、試料の各分割領域T,T,Tに沿って、波動源420から照射される波動を順次に照射することにより、試料の各領域での微生物の存在いかん、または微生物の濃度を探知することができる。
【0364】
試料特性探知装置400-1は、食品のような試料の微生物を探知するために、反射型光学系によっても具備される。このとき、波動源420から照射された波動を、波動経路変更部421に入射させるためのミラー423をさらに含んでもよい。図面においては、1枚のミラー423を図示しているが、波動経路変更のためのさらなるレンズまたはミラーをさらに具備することもできる。他の実施形態として、試料特性探知装置400-1は、透過型光学系によっても具備される。このとき、試料Sは、透明な包装材に収容された食品でもある。
【0365】
一方、試料特性探知装置400-1は、試料の媒質種類により、多重散乱増幅部(図示せず)をさらに具備することができる。例えば、牛肉のように、組織が緻密な媒質の試料である場合、多重散乱増幅部を具備せずとも、多重散乱が十分に起こるために、微生物を探知することが可能である。しかし、それと異なる媒質の場合には、多重散乱増幅部(図示せず)をさらに具備し、試料内の微生物存在いかんを探知することにより、さらに精密な分析が可能である。
【0366】
制御部440は、波動経路変更部421を制御するタイミングと連動し、検出部430で検出されたレーザスペックル映像を分類し、時間相関関係を獲得することができる。それを介して、制御部440は、検出されたレーザスペックルを利用し、各領域での微生物存在いかんを探知することができる。また、制御部440は、波動経路変更部421のスキャン経路(一点鎖線)を制御することができ、それを介して、レーザスペックルの空間相関関係を獲得することができる。すなわち、他の実施形態の試料特性探知装置400-1は、レーザスペックルの時間相関関係だけではなく、空間相関関係を獲得することにより、試料内の微生物存在いかん、またはその濃度に係わるマッピング(mapping)が可能である。
【0367】
図50を参照すれば、さらに他の実施形態の試料特性探知装置400-2は、複数の試料配置部410らを含む回転アレイ部410Bを具備し、波動源420、検出部430、制御部440及び多重散乱増幅部451,453を含んでもよい。ここで、波動源420、検出部430及び多重散乱増幅部451,453からなる光学系は、固定された状態で、回転アレイ部410Bが回転しながら、複数の試料配置部410に収容された複数の試料を測定することができる。
【0368】
回転アレイ部410Bは、事前に設定された回転速度で、回転アレイ部410Bを駆動する駆動部415を含んでもよい。回転アレイ部410Bには、複数の試料配置部410が円周方向に沿って、所定間隔で離隔されて配置される。回転アレイ部410Bに配置された複数の試料配置部410は、一定間隔で離隔され、一定回転速度で回転させることにより、固定された波動源420及び検出部430を利用し、試料配置部410内の試料の微生物存在いかん、またはその濃度を探知することができる。回転アレイ部410Bは、中心Oを過ぎる中心軸Axis1に沿って回転することができ、回転する間、中心軸Axis1を基準に、チルト(tilt)されないように精密に駆動される。回転アレイ部410Bのチルトは、レーザスペックル検出に、ノイズとして作用するからである。制御部440は、前述の駆動部415を制御し、回転アレイ部410Bを一定回転速度で回転させることができ、このとき、試料配置部410から検出されたレーザスペックルを、それぞれの試料に対するレーザスペックルに分類して分析することができる。
【0369】
一方、回転アレイ部410Bは、試料配置部410間に、基準試料配置部Rを含んでもよい。基準試料配置部Rは、試料配置部410と同一であるが、試料Sが収容されないこともある。基準試料配置部Rでの基準レーザスペックルを測定することにより、回転アレイ部410Bが回転する間に発生しうるノイズを除去し、正確なレーザスペックル検出が可能である。
【0370】
多重散乱増幅部は、第1多重散乱増幅部451と第2多重散乱増幅部452とを含んでもよい。第1多重散乱増幅部451は、波動源420と試料配置部410との間に配置されてもよい。第1多重散乱増幅部451は、波動源420が照射される試料配置部410上に配置され、他の試料配置部410に波動が照射されないようにし、ノイズを低減させることができる。また、第2多重散乱増幅部453は、試料配置部410と検出部430との間に配置され、同様に測定される試料配置部410で多重散乱される波動のみを検出するように測定される試料配置部410に対応する領域上に位置することができる。図面においては、第1多重散乱増幅部451と第2多重散乱増幅部453とが試料配置部410から離隔されて配置されているように図示されているが、それに制限されるものではない。他の実施形態として、それぞれ試料配置部410の上部及び下部に、第1多重散乱増幅部451及び第2多重散乱増幅部453が固定されて位置することもできる。
【0371】
以下では、図51ないし図56を参照し、第5実施形態による試料特性探知装置の実施形態について説明する。
【0372】
干渉性を有する光を散乱体に照射したとき、反射する情報の干渉現象によって生ずる不規則なパターンをレーザスペックルという。本発明の技術思想によれば、かようなレーザスペックルの分析を介して、基板上に形成された構造物のパターン異常いかんを確認することができる。
【0373】
図51には、本発明の第5実施形態による試料特性探知装置が図示されている。それを参照すれば、試料特性探知装置500は、レーザを照射する光源、サンプルを支持するサンプルホルダ、サンプルに入射された光が多重散乱されることによって形成されたレーザスペックル情報を収集する情報収集部、及び収集された情報を分析し、分析された結果をユーザに出力する情報分析部から構成される。ここで、該光源は、他の実施形態の波動源、情報収集部は、他の実施形態の検出部、情報分析部は、他の実施形態の制御部に対応してもよい。
【0374】
前記光源は、レーザを発生させ、サンプルに照射し、一つ、または互いに異なる波長を照射する2以上の複数個によっても構成される。
【0375】
図52には、本発明の一実施形態による検査方法が示されている。図52を参照すれば、サンプルホルダによって支持されるサンプルに、レーザを照射する(S01)。次に、照射されたレーザとサンプルとの相互作用によって形成されたレーザスペックルを、情報収集部が収集する(S02)。情報収集部で収集されたレーザスペックル情報は、情報分析部によって分析された後、分析結果をユーザに出力することになる(S03)。
【0376】
前記情報収集部は、例示的にカメラでもあり、光源とカメラとで構成される光学系は、図4Aないし図4Cのように、反射型、透過型のように、多様な形態で構成可能である。図53には、サンプルの例として、半導体素子の多層金属配線構造物が図示されている。第1金属配線61と第2金属配線62との間には、第1絶縁層64が形成されており、第2金属配線62上部には、第2絶縁層65が形成されている。
【0377】
絶縁層64,65の材料は、代表的なものとして、シリコン酸化物(SiO)でもあるが、それ以外にも、光が透過される透明度がある絶縁物は、いかなる材料によっても利用される。金属配線61,62の材料は、例示的には、アルミニウム、タングステン、銅などが利用されてもよい。
【0378】
従って、かようなサンプルにレーザが照射される場合、光の透過が可能な第2絶縁層を65を透過したレーザのうち一部は、第2金属配線62によって反射するが、一部は、第1絶縁層64を透過し、またその一部は、ビア63や第1金属配線61が形成された構造物内で反射したり散乱されたりした後、さらに第1絶縁層64及び第2絶縁層65を透過して抜け、レーザスペックルを形成することになる。従って、サンプルが構成する構造物(金属配線、ビア、絶縁層など)の形態により、レーザスペックルのパターンが決定され、かような構造物の変化に連動し、レーザスペックルのパターンも変化することになる。以下、図53を参照し、かようなサンプル構造物の変化を利用するスペックルパターン分析方法について説明する。
【0379】
図53(a)は、正常に工程が進められたものであり、図53(b)は、ビア部分に空孔610が形成されたものであり、図53(c)は、絶縁体を貫通するコンタクトが形成されていないものである。
【0380】
前述のサンプルをサンプルホルダに装着した後、サンプルにレーザを照射し、サンプルから散乱されるレーザスペックル情報を収集する。収集された情報は、情報分析部によって分析される。該情報分析部は、標準サンプル、すなわち、図53(a)のように進められた場合のレーザスペックル情報が保存されたDBと連結されている。該情報分析部は、収集されたレーザスペックル情報と、DBに既保存の標準サンプルのレーザスペックル情報とを相互比較し、スペックルパターンの差値を導出する。かような差値が、既設定基準以下であるならば、分析サンプルは、標準サンプルと同一構造を有していると解釈され、従って、工程は正常に進められたと判定される。
【0381】
一方、図53(b)または図53(c)のように、非正常的に工程が進められ、パターン上の異常領域が存在する場合には、収集されたスペックル情報と、標準サンプルのスペックル情報との差が顕著であり、その差値は、既設定基準を超えるものであり、従って、工程が非正常に進められたということを判断することができる。
【0382】
図54は、他の例として、金属配線の線幅変化を、レーザスペックル分析で確認する例である。図54(a)のように、正常な線幅を有した場合には、標準サンプルとの差が既設定基準以下である。しかし、図54(c)のように、非正常的に線幅が形成された領域71がある場合には、標準サンプルとの差が顕著になり、それにより、工程が非正常的に進められたということを判断することができる。
【0383】
他の例として、シリコン基板に、イオン注入によって形成された活性領域の異常いかんについても、同一方式で検査可能である。
【0384】
本発明の一実施形態による他の試料特性探知装置によれば、シリコンウェーハの複数に形成されたパターン領域を順次に検査し、シリコンウェーハ内に形成された複数個のパターン領域全体に対して、それぞれパターン形状の有無を判定する機能を遂行することができる。図55には、例示的に、シリコンウェーハ上に、複数個のパターン領域が形成されている場合が図示されている。その場合、該パターン領域は、最終的に工程が完了する場合、ソーイング(sawing)によって分離され、最終的に1つの素子になるように区画された領域である。
【0385】
図56は、図51の試料特性探知装置を利用し、検査領域により、パターンを検査する例示図である。本発明の一実施形態による試料特性探知装置を利用する場合、複数のパターン領域、例えば、図56の矢印のように、左側最上端パターン領域から出発し、順次にレーザを照射し、情報収集部は、それぞれのパターン領域から、当該レーザスペックル情報を収集し、DB上に保存する。情報分析部は、DBに保存された各パターン領域のレーザスペックル情報を分析し、全体パターン領域での平均値や標準偏差のような統計的分析を行う。その場合、レーザスペックル情報が平均値から顕著に外れたパターン領域は、他のパターン領域と異なる構造を有すると解釈することができ、工程が非正常的に進められた領域と見なすことができる。従って、かようなに非正常的に進められたパターン領域に係わる情報を出力することにより、ユーザがシリコンウェーハを局所的に切断して照射せずとも、非正常的なパターン領域に係わる情報を取得することができる。
【0386】
レーザスペックルを利用した非浸襲血流測定、Laser Speckle Contrast Imaging、非浸襲血管検査、血流測定を利用した個人認証など、レーザスペックルを活用した多様な分野に本発明適用が可能である。また、鏡面加工検査、多層構造フィルムの剥離検査などの製造検査分野においても、本発明の活用が可能である。また、バイナリイメージング(binary imaging)を利用した移動体の位置追跡、光学エンコーダを活用したローテーションセンサなどの分野においても、本発明の活用が可能である。
【0387】
以上、本発明について、望ましい実施形態を中心に説明した。本発明が属する技術分野で当業者であるならば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態で、本発明を具現することができるということを理解するであろう。従って、前述の開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異は、本発明に含まれたものであると解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
図21C
図22
図23
図24
図25A
図25B
図26
図27
図28
図29A
図29B
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
【手続補正書】
【提出日】2022-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を収容する試料配置部と、
前記試料に磁性粒子(magnetic particle)を含むウイルスマーカー(virus marker)を適用して前記ウイルスマーカーと前記試料内のウイルスが結合した検出用複合体を形成するウイルスマーカー適用部と、
前記試料配置部に隣接して配置され、前記試料配置部の周囲に磁界(magnetic field)を形成し、前記検出用複合体に動きを付与する磁界形成部と、
前記試料配置部内の前記試料にむけて波動を照射する波動源と、
前記照射された波動が前記検出用複合体の動きによって多重散乱(multiple scattering)されて発生したレーザスペックル(laser speckle)を、事前に設定された時点毎に検出する1以上の検出部と、及び
前記検出されたレーザスペックルを利用して、前記検出されたレーザスペックルの時間相関関係(temporal correlation)を獲得し、前記獲得された時間相関関係に基づいて、前記試料内のウイルスの存在の有無又は前記ウイルスの濃度をリアルタイム(real-time)で推定する制御部を含む、ウイルス検出装置。
【請求項2】
前記ウイルスマーカーは、前記試料内の前記ウイルスとコンジュゲーション(conjugation)される抗体及び前記抗体に結合された前記磁性粒子を含む、請求項1に記載のウイルス検出装置。
【請求項3】
前記試料は、複数種類のウイルスを含み、
前記ウイルスマーカー適用部は、前記複数種類のウイルスのいずれかとコンジュゲーションされる前記抗体及び前記抗体に結合された前記磁性粒子を含む複数種類のウイルスマーカーを前記試料に適用する、請求項2に記載のウイルス検出装置。
【請求項4】
前記試料配置部は、前記試料自体の動きを制限しながら前記試料を支持する、請求項1に記載のウイルス検出装置。
【請求項5】
前記磁界形成部は、一定の第1時間毎に前記磁界の方向又は強度を変更して前記検出用複合体に動きを付与する、請求項1に記載のウイルス検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記磁界形成部の変更される前記磁界の方向又は強度に関する磁界情報を提供され、前記磁界情報を利用して前記検出されたレーザスペックルの時間相関関係を取得する、請求項5に記載のウイルス検出装置。
【請求項7】
前記検出部が検出する前記事前に設定された時点の時間間隔は、前記第1時間より短い、請求項5に記載のウイルス検出装置。
【請求項8】
前記磁界形成部は、マイクロ核磁気共鳴装置(micro-NMR)を利用する、請求項1に記載のウイルス検出装置。
【請求項9】
試料に磁性粒子(magnetic particle)を含むウイルスマーカー(virus marker)を適用して、前記ウイルスマーカーと前記試料内のウイルスが結合した検出用複合体を形成するステップと、
前記試料の周囲に磁界(magnetic field)を形成して前記検出用複合体に動きを付与するステップと、
前記試料に向けて波動を照射し、前記照射された波動が前記検出用複合体の動きによって多重散乱(multiple scattering)されて発生したレーザスペックル(laser speckle)を、事前に設定された時点毎に検出するステップと、
前記検出されたレーザスペックルを利用して前記検出されたレーザスペックルの時間相関関係(temporal correlation)を獲得するステップと、及び
前記獲得された時間相関関係に基づいて、前記試料内のウイルスの存在の有無又は前記ウイルスの濃度をリアルタイムで推定するステップを含む、ウイルス検出方法。
【請求項10】
前記ウイルスマーカーは、前記試料内の前記ウイルスとコンジュゲーション(conjugation)される抗体及び前記抗体に結合された前記磁性粒子を含む、請求項9に記載のウイルス検出方法。
【請求項11】
前記検出用複合体を形成するステップは、
複数種類のウイルスを含む前記試料に、前記複数種類のウイルスのいずれかとコンジュゲーションされる前記抗体及び前記抗体に結合された前記磁性粒子を含む複数種類のウイルスマーカーを適用する、請求項10に記載のウイルス検出方法。
【請求項12】
前記試料は、試料配置部によって前記試料自体の動きが制限される、請求項9に記載のウイルス検出方法。
【請求項13】
前記検出用複合体に動きを付与するステップは、一定の第1時間毎に前記磁界の方向又は強度を変更する、請求項9に記載のウイルス検出方法。
【請求項14】
前記時間相関関係を獲得するステップは、前記磁界の方向又は強度に関する磁界情報を提供され、前記磁界情報を利用して前記検出されたレーザスペックルの時間相関関係を獲得する、請求項13に記載のウイルス検出方法。
【請求項15】
前記レーザスペックルを検出するステップにおいて、前記事前に設定された時点の時間間隔は前記第1時間より短い、請求項13に記載のウイルス検出方法。
【外国語明細書】