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特開2022-106731所望の結果に基づく冠動脈インターベンションの評価、計画及び処置のためのデバイス、システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106731
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】所望の結果に基づく冠動脈インターベンションの評価、計画及び処置のためのデバイス、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0215 20060101AFI20220712BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
A61B5/0215 B
A61B5/022 500Z
A61B5/022 500L
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022062366
(22)【出願日】2022-04-04
(62)【分割の表示】P 2018515986の分割
【原出願日】2016-09-28
(31)【優先権主張番号】62/234,441
(32)【優先日】2015-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510313603
【氏名又は名称】アイピー2アイピーオー イノベーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IP2IPO INNOVATIONS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス ジャスティン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】包括的には、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)及び冠動脈バイパス移植術(CABG)のためのものを含む、血管の評価及び処置に関する。
【解決手段】ユーザによって選択又は入力された所望の結果を達成するのに適した利用可能なインターベンション技法を特定するのに適している。方法は、患者の血管内に位置決めされた1つ又は複数の血管内圧力検知器具によって得られる圧力測定値を受信することと、患者の血管の所望の圧力値に関する入力をユーザから受信することと、受信した圧力測定値及び所望の圧力値に基づいて、利用可能な処置オプションを特定することと、表示デバイスに、利用可能な処置オプションの視覚表現を含む画面表示を出力することとを含む。関連するデバイス及びシステムについても記載される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血管内に位置決めされた1つ又は複数の血管内圧力検知器具によって得られる圧力測定値を受信するステップと、
前記患者の血管の所望の圧力値に関する入力をユーザから受信するステップと、
受信した前記圧力測定値及び前記所望の圧力値に基づいて、利用可能な処置オプションを特定するステップと、
表示デバイスに、前記利用可能な処置オプションの視覚表現を含む画面表示を出力するステップとを有する、方法。
【請求項2】
前記圧力測定値と同時に得られる血管造影データを受信するステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記利用可能な処置オプションの視覚表現は、前記血管造影データに基づく血管造影画像上へのグラフィックオーバーレイを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記受信した圧力測定値は、近位圧力測定値及び遠位圧力測定値を含み、前記所望の圧力値は、圧力比である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記利用可能な処置オプションについて検討するために、1つ又は複数の処置タイプに関する入力をユーザから受信するステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つ又は複数の処置タイプは、血管形成術、ステント、冠動脈バイパス移植術、又は調剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記利用可能な処置オプションを特定するステップは、血管内のステント配備場所を特定するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記利用可能な処置オプションを特定するステップは、ステント長、ステント直径及びステント材料からなる群から選択された少なくとも1つのステントパラメータを特定するステップを更に有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記利用可能な処置オプションを行った後に、前記患者の血管内に位置決めされた1つ又は複数の血管内圧力検知器具によって得られた更なる圧力測定値を受信するステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記更なる圧力測定値に基づく圧力値が、前記患者の血管のための前記所望の圧力値を満たすか否かを判断するステップと、前記所望の圧力値は、近位圧力測定値に対する遠位圧力測定値の圧力比の閾値である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
患者の血管を評価するための血管内処理システムであって、
1つ又は複数の血管内圧力検知デバイス及び表示デバイスに通信可能に結合された処理システムを備え、前記処理システムは、
患者の血管内に位置決めされた1つ又は複数の血管内圧力検知器具によって得られる圧力測定値を受信し、
患者の血管の所望の圧力値に関する入力をユーザから受信し、
受信した前記圧力測定値及び前記所望の圧力値に基づいて、利用可能な処置オプションを特定し、
前記表示デバイスに、前記利用可能な処置オプションの視覚表現を含む画面表示を出力する、血管内処理システム。
【請求項12】
前記血管内処理システムは、更に、前記圧力測定値と同時に得られる血管造影データを受信する、請求項11に記載の血管内処理システム。
【請求項13】
前記利用可能な処置オプションの視覚表現は、前記血管造影データに基づく血管造影画像上へのグラフィックオーバーレイを含む、請求項12に記載の血管内処理システム。
【請求項14】
前記受信した圧力測定値は、近位圧力測定値及び遠位圧力測定値を含み、前記所望の圧力値は、圧力比である、請求項11に記載の血管内処理システム。
【請求項15】
前記血管内処理システムは、更に、前記利用可能な処置オプションについて検討するために、1つ又は複数の処置タイプに関する入力をユーザから受信する、請求項11に記載の血管内処理システム。
【請求項16】
1つ又は複数の処置タイプは、血管形成術、ステント、冠動脈バイパス移植術、又は調剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の血管内処理システム。
【請求項17】
前記血管内処理システムは、血管内のステント配備場所を特定するステップによって、利用可能な処置オプションを特定する、請求項11に記載の血管内処理システム。
【請求項18】
前記血管内処理システムは、ステント長、ステント直径及びステント材料からなる群から選択された少なくとも1つのステントパラメータを特定するステップによって、前記利用可能な処置オプションを特定する、請求項17に記載の血管内処理システム。
【請求項19】
前記血管内処理システムは、前記利用可能な処置オプションを行った後に、前記患者の血管内に位置決めされた1つ又は複数の血管内圧力検知器具によって得られる更なる圧力測定値を受信する、請求項11に記載の血管内処理システム。
【請求項20】
前記血管内処理システムは、前記更なる圧力測定値に基づく圧力値が、前記患者の血管のための前記所望の圧力値を満たすか否かを判断し、前記所望の圧力値は、近位圧力測定値に対する遠位圧力測定値の圧力比の閾値である、請求項19に記載の血管内処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される、2015年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/234,441号の優先権及び利益を主張する。
【0002】
[0002] 本開示は、包括的には、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)及び冠動脈バイパス移植術(CABG)のためのものを含む、血管の評価及び処置に関する。例えば、本開示のいくつかの実施形態は、所望の結果を達成するのに適した利用可能なインターベンション技法を特定するのに適している。いくつかの例において、ユーザは、所望の結果の1つ又は複数のパラメータを選択又は入力する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 疾患の処置の成功レベルの診断及び検証における革新は、外部のみの撮像プロセスから、内部診断プロセスを含むように進歩した。X線、MRI、CTスキャン、蛍光透視法及び血管造影等の従来の外部撮像技法に加えて、ここでは、小型センサが直接体内に配置される。例えば、カテーテル、又はカテーテル法手技に用いられるガイドワイヤ等の可撓性細長部材の遠位端に配置された超小型センサによって血管系の閉塞及び他の血管系の疾患の診断を行うための診断機器及びプロセスが開発された。例えば、既知の医療検知技法は、血管内超音波(IVUS)、前方視IVUS(FL-IVUS)、部分冠血流予備量比(FER)決定、冠血流予備比(CFR)決定、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、経食道超音波心臓図検査及び画像誘導治療を含む。
【0004】
[0004] 手技の1つの例示的なタイプは、血管内の圧力測定を伴う。病変を引き起こす局所貧血を含む、血管内の狭窄の深刻度を評価するための現在受け入れられている技法は、部分冠血流予備量比(FFR)である。FFRは、(狭窄の近位側で取得された)近位圧力測定値に対する(狭窄の遠位側で取得された)遠位圧力測定値の比の計算である。FFRは、遮蔽が、血管内の血流を、処置が必要な程度まで制限しているか否かに関する判断を可能にする狭窄深刻度の指標を提供する。健康な血管におけるFFRの正常値は1.00である一方、約0.80未満の値は、通常、重大とみなされ、処置が必要とされる。血管を評価するための別の技法は、Instant Wave-Free Ratio(商標)機能(iFR(登録商標)機能)(共にVolcano Corp.の商標)を利用し、これは、抵抗が自然に一定であり、心周期において最小限である、波動なし期間(wave-free period)中の、狭窄にわたる圧力比の決定を含む。iFR様式は、充血性薬剤の投与を必要としない。健康な血管におけるiFRの正常値は1.00である一方、約0.89未満の値は、通常、重大とみなされ、処置が必要とされる。
【0005】
[0005] 処置を必要とする閉塞した血管が特定されるとき、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、血管を処置するのに利用することができる治療手技である。PCIは、血管形成術、及び血管を開くために狭窄にわたってステントを位置決めすることを含む。臨床医は、従来から、治療的介入を計画するために、血管造影、並びに圧力及び/又は流れの生理学的測定に頼っているが、これらは有意に紐づけされていない。治療的介入を計画することは、位置決め、長さ、直径等のステントに関係する様々なパラメータを選択することを含み得る。様々なデータ源を統合することが困難であるため、治療計画を展開するのは困難である。更に、利用可能なデータに基づいて治療的介入の有効性を予測することがほとんどできない。例えば、臨床医は、従来から、収集データによってサポートされる臨床的確実性を有して、ステントの位置決め及び/又は長さの変更がステント配置の有効性に何の影響を与えるかを判断することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] したがって、血管の閉塞の深刻度、特に血管の狭窄を評価するための改善されたデバイス、システム及び方法が依然として必要とされている。臨床医が提案された治療を効率的に計画し評価することを可能にするように血管造影及び生理学的データを紐づけすることによってPCIを計画するための改善されたデバイス、システム及び方法も依然として必要とされている。更に、臨床医が、収集された生理学的データによってサポートされる方式で、提案される治療を計画、評価及び変更することを可能にする、血管、及び血管内のステント等の提案される治療的介入の視覚描写を提供することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007] 本開示の実施形態は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)及び冠動脈バイパス移植術(CABG)のためのものを含む、所望の結果を達成する血管の評価及び処置のためのデバイス、システム及び方法を提供するように構成される。いくつかの例において、ユーザは、所望の結果の1つ又は複数のパラメータを選択又は入力する。
【0008】
[0008] 例示的な実施形態において、方法は、患者の血管内に位置決めされた1つ又は複数の血管内圧力検知器具によって得られる圧力測定値を受信することと、患者の血管の所望の圧力値に関する入力をユーザから受信することと、受信した圧力測定値及び所望の圧力値に基づいて、利用可能な処置オプションを特定することと、表示デバイスに、利用可能な処置オプションの視覚表現を含む画面表示を出力することとを有する。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、本方法は、圧力測定値と同時に得られる血管造影データを受信することを更に有する。利用可能な処置オプションの視覚表現は、血管造影画像上へのグラフィックオーバーレイを含むことができる。受信した圧力測定値は、近位圧力測定値及び遠位圧力測定値を含むことができ、所望の圧力値は、FFR、iFR、Pd/Pa、補償Pd/Pa、補償されたiFR、又は他の比等の圧力比とすることができる。これに関して、圧力比は、近位圧力測定値に対する遠位圧力測定値の関数として計算することができる。いくつかの例において、受信した圧力測定値は、充血性薬剤を用いることなく得られる。本方法は、利用可能な処置オプションについて検討するために、1つ又は複数の処置タイプに関する入力をユーザから受信することを更に有することができる。1つ又は複数の処置タイプは、血管形成術、ステント、冠動脈バイパス移植術、又は調剤のうちの少なくとも1つを含むことができる。本方法は、血管内のステント配備場所を特定することを有することができる。本方法は、ステント長、ステント直径及びステント材料からなる群から選択された少なくとも1つのステントパラメータを特定することも有することができる。
【0010】
[00010] いくつかの実施形態において、本方法は、利用可能な処置オプションを実行することを更に有する。本方法は、利用可能な処置オプションを行った後に、患者の血管内に位置決めされた1つ又は複数の血管内圧力検知器具によって得られた更なる圧力測定値を受信することを更に有することができる。これに関して、本方法は、更なる圧力測定値に基づく圧力値が、患者の血管のための所望の圧力値を満たすか否かを判断することができる。例えば、所望の圧力値は、近位圧力測定値に対する遠位圧力測定値の圧力比の閾値とすることができる。本方法は、更なる圧力測定値に基づく圧力値が、患者の血管の所望の圧力値を満たさない場合に、受信した更なる圧力測定値と所望の圧力値とに基づく第2の利用可能な処置オプションを特定することを更に有することができる。
【0011】
[0010] いくつかの実施形態では、システムが、1つ又は複数の血管内圧力検知デバイス及び表示デバイスに通信可能に結合された処理システムを備え、この処理システムは、患者の血管内に位置決めされた1つ又は複数の血管内圧力検知器具によって得られる圧力測定値を受信し、患者の血管の所望の圧力値に関する入力をユーザから受信し、受信した圧力測定値及び所望の圧力値に基づいて、利用可能な処置オプションを特定し、表示デバイスに、利用可能な処置オプションの視覚表現を含む画面表示を出力するように構成される。
【0012】
[0011] いくつかの実施形態では、処理システムは、圧力測定値と同時に得られる血管造影データを受信するように更に構成される。利用可能な処置オプションの視覚表現は、血管造影画像上へのグラフィックオーバーレイを含むことができる。受信した圧力測定値は、近位圧力測定値及び遠位圧力測定値を含むことができ、所望の圧力値は、FFR、iFR、Pd/Pa、補償Pd/Pa、補償されたiFR、又は他の比等の圧力比である。圧力比は、近位圧力測定値に対する遠位圧力測定値の関数として計算することができる。いくつかの例において、受信した圧力測定値は、充血性薬剤を用いることなく得られる。
【0013】
[0012] 処理システムは、利用可能な処置オプションについて検討するために、1つ又は複数の処置タイプに関する入力をユーザから受信するように更に構成することができる。いくつかの実施態様において、1つ又は複数の処置タイプは、血管形成術、ステント、冠動脈バイパス移植術、又は調剤のうちの少なくとも1つを含むことができる。処理システムは、血管内のステント配備場所を特定することによって、利用可能な処置オプションを特定するように構成することができる。処理システムは、ステント長、ステント直径及びステント材料からなる群から選択された少なくとも1つのステントパラメータを特定することによって、利用可能な処置オプションを特定するように構成することもできる。
【0014】
[0013] いくつかの例において、処理システムは、利用可能な処置オプションを行った後に、患者の血管内に位置決めされた1つ又は複数の血管内圧力検知器具によって得られた更なる圧力測定値を受信するように構成することができる。処理システムは、更なる圧力測定値に基づく圧力値が、患者の血管のための所望の圧力値を満たすか否かを判断するように構成することができる。いくつかの例では、所望の圧力値は、近位圧力測定値に対する遠位圧力測定値の圧力比の閾値である。処理システムは、更なる圧力測定値に基づく圧力値が、患者の血管の所望の圧力値を満たさない場合に、受信した更なる圧力測定値と所望の圧力値とに基づく第2の利用可能な処置オプションを特定するように構成することもできる。いくつかの例において、システムは、1つ又は複数の血管内圧力検知デバイスを更に備える。
【0015】
[0014] 本開示の更なる態様、特徴及び利点が、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0016】
[0015] 本開示の例示的な実施形態が、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】[0016] 本開示の実施形態による、狭窄を有する血管の概略斜視図である。
図2】[0017] 図1の切断線2-2に沿って見た図1の血管の一部分の概略部分断面斜視図である。
図3】[0018] 本開示の実施形態による、器具が内部に位置決めされた図1及び図2の血管の概略部分断面斜視図である。
図4】[0019] 本開示の実施形態による、システムの概略構図である。
図5】[0020] 本開示の実施形態による、患者の血管を評価及び処置する方法の流れ図である。
図6】[0021] 本開示の実施形態による画面表示である。
図7】[0022] 本開示の別の実施形態による画面表示である。
図8】[0023] 本開示の別の実施形態による画面表示である。
図9】[0024] 本開示の別の実施形態による画面表示である。
図10】[0025] 本開示の別の実施形態による画面表示である。
図11】[0026] 本開示の別の実施形態による画面表示である。
図12】[0027] 本開示の別の実施形態による画面表示である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0028] 本開示の原理の理解を促進する目的で、ここで、図に示される実施形態を参照し、特定の用語を用いてこれらの実施形態を説明する。しかし、本開示の範囲に対する限定が意図されていないことが理解される。本開示が関係する当該技術分野における当業であれば通常思い浮かぶような、説明されるデバイス、システム及び方法に対する任意の代替及び更なる変更、並びに本発明の原理の任意の更なる応用が完全に企図され、本開示に含まれる。特に、1つの実施形態に関して説明される特徴、コンポーネント及び/又はステップが、本開示の他の実施形態に関して説明される特徴、コンポーネント及び/又はステップと組み合わされてもよいことが完全に企図される。しかし、簡潔にするために、これらの組み合わせの多数の反復は別個に説明されない。
【0019】
[0029] 図1及び図2を参照すると、本開示の実施形態による、狭窄を有する血管100が示されている。これに関して、図1は、血管100の概略斜視図である一方、図2は、図1の切断線2-2に沿って見た血管100の一部分の部分断面斜視図である。図1をより詳細に参照すると、血管100は、近位部分102と、遠位部分104とを含む。内腔106が、近位部102と遠位部104との間の血管100の長さに沿って延在する。これに関して、内腔106は、流体流が血管を通ることを可能にするように構成される。いくつかの例において、血管100は血管である。いくつかの特定の例において、血管100は冠動脈である。そのような例において、内腔106は、血流が血管100を通るのを促進するように構成される。
【0020】
[0030] 示されるように、血管100は、近位部102と遠位部104との間の狭窄108を含む。狭窄108は、通常、結果として血管100の内腔106を通る流体流に制限が生じることとなる任意の閉塞又は他の構造配置を表す。本開示の実施形態は、限定ではないが冠動脈、末梢(限定ではないが、下肢、頸動脈、神経血管を含む)、腎臓及び/又は静脈を含む多岐にわたる血管用途において用いるのに適している。血管100が血管である場合、狭窄108は、限定ではないが、線維性、線維脂質性(線維脂肪性)、壊死性コア、石灰化(高濃度カリウム)、血液、新しい血栓、及び成熟した血栓等のプラーク成分を含む、プラーク形成の結果として生じる。通常、狭窄の組成は、評価されている血管のタイプに依拠する。これに関して、本開示の概念は、結果として流体の流れの減少を生じさせる、血管の実質的に任意のタイプの遮蔽又は他の狭窄に適用可能であることが理解される。
【0021】
[0031] 図2をより詳細に参照すると、血管100の内腔106は、狭窄108の近位の直径110及び狭窄の遠位の直径112を有する。いくつかの例では、直径110及び112は、実質的に互いに等しい。これに関して、直径110及び112は、狭窄108と比較して、内腔106の健康な部分、又は少なくともより健康な部分を表すことが意図されている。したがって、内腔106のこれらのより健康な部分は、実質的に一定の円筒形の外形を有するものとして示され、結果として、内腔の高さ又は幅が直径と称される。しかし、多くの例において、内腔106のこれらの部分も、狭窄108よりも程度は少ないが、プラーク形成、非対称の外形及び/又は他の異常を有し、したがって円筒形の外形を有しないことが理解される。そのような例において、直径110及び112は、内腔の相対的なサイズ又は断面積を表すものとして理解され、円形の断面外形を意味しない。
【0022】
[0032] 図2に示すように、狭窄108は、血管100の内腔106を狭める、プラーク形成114を含む。いくつかの例において、プラーク形成114は、均一な又は対称の外形を有しておらず、そのような狭窄の血管造影による評価が信頼性のないものとなる。示される実施形態において、プラーク形成114は、上部116及び反対側の下部118を含む。これに関して、下部118は、上部116に対して厚みが増しており、この結果、狭窄108の近位及び遠位の内腔の部分に対する非対称かつ不均一な外形が得られる。示されるように、プラーク形成114により、流体が内腔106を流れるために利用可能な空間が減少する。特に、内腔106の断面積は、プラーク形成114により減少する。上部116と下部118との間の最も狭い箇所では、内腔106は高さ120を有し、これは、狭窄108の近位の直径110及び遠位の直径112に対して低減されたサイズ又は断面積を表す。プラーク形成114を含む狭窄108は、本質的に例示であり、いかなる形においても限定とみなされるべきでないことに留意されたい。これに関して、狭窄108は、他の例において流体流が内腔106を通ることを制限する他の形状及び/又は組成を有することが理解される。血管100は、図1及び図2において、単一の狭窄108を有するものとして示され、以下の実施形態の説明は、主に単一の狭窄との関連で行われているが、本明細書に記載のデバイス、システム及び方法は、複数の狭窄領域を有する血管について類似の応用形態を有することが理解される。
【0023】
[0033] ここで、図3を参照すると、本開示の一実施形態による、器具130及び132が内部に配置された血管100が示されている。通常、器具130及び132は、血管内に位置決めされるような大きさ及び形状にされた任意の形態のデバイス、器具又はプローブである。示される実施形態では、器具130は、一般的にガイドワイヤを表す一方、器具132は、一般的にカテーテルを表す。これに関して、器具130は、器具132の中心内腔を通って延在する。しかし、他の実施形態では、器具130及び132は、他の形態をとる。これに関して、器具130及び132は、いくつかの実施形態において類似の形態をとる。例えば、いくつかの例において、器具130及び132の双方がガイドワイヤである。他の例において、器具130及び132の双方がカテーテルである。他方で、示される実施形態等のいくつかの実施形態では、器具130及び132は異なる形態をとり、器具のうちの一方はカテーテルであり、他方はガイドワイヤである。更に、いくつかの例において、器具130及び132は、図3の示される実施形態に示されるように、互いに同軸に配置される。他の例において、器具のうちの一方は、他方の器具の中心を外れた内腔を通って延在する。更に他の例において、器具130及び132は、隣り合って延在する。いくつかの特定の実施形態において、器具のうちの少なくとも1つは、迅速交換カテーテル等の迅速交換デバイスである。そのような実施形態において、他の器具は、迅速交換デバイスの導入及び除去を促進するように構成されたバディワイヤ又は他のデバイスである。また更に、他の例では、2つの別個の器具130及び132の代わりに、単一の器具が利用される。いくつかの実施形態では、単一の器具が、器具130及び132双方の機能(例えば、データ取得)の態様を組み込む。
【0024】
[0034] 器具130は、血管100に関する診断情報を得るように構成される。これに関して、器具130は、血管に関する診断情報を得るように構成された、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素を含む。診断情報は、圧力、流れ(速度及び/又はボリューム)、画像(超音波(例えば、IVUS)、OCT、熱及び/又は他の撮像技法を用いて得られる画像を含む)、温度、及び/又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの例において、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素は、器具130の遠位部分に隣接して位置決めされる。これに関して、いくつかの例において、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素は、器具130の遠位先端134から30cm未満、10cm未満、5cm未満、3cm未満、2cm未満及び/又は1cm未満に位置決めされる。いくつかの例において、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素の少なくとも1つが、器具130の遠位先端に位置決めされる。
【0025】
[0035] 器具130は、血管100内の圧力を監視するように構成された少なくとも1つの要素を含む。圧力監視要素は、ピエゾ抵抗圧力センサ、ピエゾ電気圧力センサ、容量圧力センサ、電磁圧力センサ、流体カラム(流体カラムは、器具と別個の、かつ/又は流体カラムの近位の器具の一部分に位置決めされた流体カラムセンサと通信する)、光学圧力センサ、及び/又はこれらの組み合わせの形態をとることができる。いくつかの例において、圧力監視要素の1つ又は複数の特徴は、半導体及び/又は他の適切な製造技法を用いて製造されたソリッドステートコンポーネントとして実施される。適切な圧力監視要素を含む市販のガイドワイヤ製品の例は、限定ではないが、各々がVolcano Corporationから入手可能であるVerrata(登録商標)圧力ガイドワイヤ、PrimeWire Prestige(登録商標)PLUS圧力ガイドワイヤ、並びにComboWire(登録商標)XT圧力・フローガイドワイヤと、各々がSt. Jude Medical, Inc.から入手可能であるPressureWire(商標)Certusガイドワイヤ及びPressureWire(商標)Aerisガイドワイヤとを含む。通常、器具130は、狭窄にわたる流体の流れに大幅に影響を及ぼすことにより遠位の圧力読み取りに影響を及ぼすことなく、狭窄108を通って位置決めすることができるような大きさにされる。したがって、いくつかの例では、器具130は、0.018インチ以下の外径を有する。いくつかの実施形態では、器具130は、0.014インチ以下の外径を有する。いくつかの実施形態では、器具130は、0.035インチ以下の外径を有する。
【0026】
[0036] 器具132も、血管100に関する診断情報を得るように構成される。いくつかの例において、器具132は、器具130と同じ診断情報を得るように構成される。他の例において、器具132は、器具130と異なる診断情報を得るように構成され、これは、追加の診断情報、より少ない診断情報、及び/又は代替的な診断情報を含む。器具132によって得られる診断情報は、圧力、流れ(速度及び/又はボリューム)、画像(超音波(例えば、IVUS)、OCT、熱及び/又は他の撮像技法を用いて得られる画像を含む)、温度、及び/又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数を含む。器具132は、この診断情報を得るように構成された、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素を含む。これに関して、いくつかの例において、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素は、器具132の遠位部分に隣接して位置決めされる。これに関して、いくつかの例において、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素は、器具132の遠位先端136から30cm未満、10cm未満、5cm未満、3cm未満、2cm未満及び/又は1cmに位置決めされる。いくつかの例では、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素のうちの少なくとも1つは、器具132の遠位先端に位置決めされる。
【0027】
[0037] 器具130と同様に、器具132も、血管100内の圧力を監視するように構成された少なくとも1つの要素を備える。圧力監視要素は、ピエゾ抵抗圧力センサ、ピエゾ電気圧力センサ、容量圧力センサ、電磁圧力センサ、流体カラム(流体カラムは、器具と別個の、かつ/又は流体カラムの近位の器具の一部分に位置決めされた流体カラムセンサと通信する)、光学圧力センサ、及び/又はこれらの組み合わせの形態をとることができる。いくつかの例において、圧力監視要素の1つ又は複数の特徴は、半導体及び/又は他の適切な製造技法を用いて製造されたソリッドステートコンポーネントとして実施される。いくつかの例において、Siemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu、及びPhilips Xper IM Physiomonitoring 5のうちの1つ又は複数と共に用いるのに適しており、圧力監視要素を含む現在利用可能なカテーテル製品を、器具132のために利用することができる。
【0028】
[0038] 本開示の態様によれば、器具130及び132のうちの少なくとも1つは、狭窄108の遠位の血管100内の圧力を監視するように構成され、器具130及び132のうちの少なくとも一方は、狭窄の近位の血管内の圧力を監視するように構成される。これに関して、器具130、132は、血管100内の圧力を監視するように構成された少なくとも1つの要素の位置決めを可能にするような大きさ及び形状にされ、デバイスの構成に基づいて、必要に応じて狭窄108の近位及び/又は遠位に位置決めされる。これに関して、図3は、狭窄108の遠位の圧力を測定するのに適した位置138を示す。これに関して、いくつかの例において、位置138は、(図2に示すように)狭窄108の遠位端から、5cm未満、3cm未満、2cm未満、1cm未満、5mm未満、及び/又は2.5mm未満である。図3は、狭窄108の近位の圧力を測定するための複数の適切な位置も示す。これに関して、いくつかの例において、位置140、142、144、146及び148は各々、狭窄の近位の圧力を監視するのに適した位置を表す。これに関して、位置140、142、144、146及び148は、狭窄108の近位端から、20cm超から約5mm以下の範囲で距離を変動させて位置決めされる。通常、近位圧力測定は、狭窄の近位端から離間される。したがって、いくつかの例において、近位圧力測定は、狭窄の近位端から、血管の内腔の内径以上の距離において行われる。冠動脈圧力測定に関して、近位圧力測定は、通常、血管の近位部分内の、狭窄の近位かつ大動脈の遠位にある位置において行われる。しかし、冠動脈圧力測定のいくつかの特定の例において、近位圧力測定は、大動脈内部の場所から行われる。他の例では、近位圧力測定は、冠動脈の根元又は心門において行われる。
【0029】
[0039] いくつかの実施形態では、器具130及び132のうちの少なくとも一方は、内腔106内を動かされている間に血管100内の圧力を監視するように構成される。いくつかの例において、器具130は、内腔106内を通ってかつ狭窄108を横切って動かされるように構成される。これに関して、いくつかの例において、器具130は、狭窄108の遠位に位置決めされ、狭窄を横切って狭窄の近位の位置に近位方向に動かされる(すなわち、プルバックされる)。他の例において、器具130は、狭窄108の近位に位置決めされ、狭窄を横切って、狭窄の遠位の位置に遠位方向に動かされる。いくつかの実施形態において、器具130の移動は、近位方向であれ、遠位方向であれ、医療人員(例えば、外科医の手)によって手作業で制御される。他の実施形態にいて、器具130の移動は、近位方向であれ、遠位方向であれ、移動制御デバイス(例えば、Volcano Corporationから入手可能なTrak Back(登録商標)IIデバイス等のプルバックデバイス)によって自動的に制御される。これに関して、いくつかの例において、移動制御デバイスは、選択可能な既知の速度(例えば、2.0mm/s、1.0mm/s、0.5mm/s、0.2mm/s等)において器具130の移動を制御する。いくつかの例において、血管を通る器具130の移動は、各プルバック又はプッシュスルーについて連続している。他の例において、器具130は、血管を通って段階的に動かされる(すなわち、固定量の距離及び/又は固定量の時間繰り返し動かされる)。以下で論考される視覚的描写のいくつかの態様は、器具130及び132のうちの少なくとも一方が内腔106を通って動かされる実施形態に特に適している。更に、いくつかの特定の例において、以下で論考される視覚的描写の態様は、単一の器具が、第2の器具の存在を伴って又は伴うことなく内腔106を通って動かされる実施形態に特に適している。
【0030】
[0040] 器具130及び/又は132を用いて、Instant Wave-Free Ratio(商標)機能(iFR(登録商標)機能)(共にVolcano Corp.の商標)に関連付けられ、参照によりその全体が本明細書に援用される、「DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL」と題する米国特許出願第13/460,296号に開示されている、医療検知手順を行うことができる。その米国特許出願は、充血性薬剤を投与することなく入手可能な圧力比の使用を開示している。更に、参照によりその全体が本明細書に援用される、2014年7月14日に出願された、「DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR TREATMENT OF VESSELS」と題する米国仮特許出願第62/024,005号に開示されているように、iFR(登録商標)、FFR、及び/又は他の認められている診断的圧力比を推定するのに適した補償Pd/Pa比に関連付けられた医療検知手順を、器具130及び/又は132を用いて行うことができる。
【0031】
[0041] ここで、図4を参照すると、本開示の一実施形態によるシステム150が示されている。これに関して、図4は、システム150の概略構図である。示すように、システム150は、器具152を備える。これに関して、いくつかの例では、器具152は、上記で論考した器具130及び132のうちの少なくとの一方としての使用に適している。したがって、いくつかの例において、器具152は、いくつかの例における器具130及び132に関して上記で論考した特徴に類似した特徴を含む。示される実施形態において、器具152は、遠位部分154と、遠位部分に隣接して位置決めされたハウジング156とを有するガイドワイヤである。これに関して、ハウジング156は、器具152の遠位先端から約3cm離間される。ハウジング156は、血管に関する診断情報を得るように構成された1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素を収容するように構成される。示される実施形態において、ハウジング156は、少なくとも、器具152が位置決めされた内腔内の圧力を監視するように構成された圧力センサを含む。シャフト158は、ハウジング156から近位方向に延在する。トルクデバイス160は、シャフト158の近位部分の上に位置決めされ、この近位部分に結合される。器具152の近位端部分162は、コネクタ164に結合される。ケーブル166が、コネクタ164からコネクタ168まで延在する。いくつかの例において、コネクタ168は、インタフェース170へプラグインされるように構成される。これに関して、いくつかの例において、インタフェース170は、患者インタフェースモジュール(PIM)である。いくつかの例において、ケーブル166は、無線接続と置き換えられる。これに関して、物理的接続(電気接続、光接続及び/又は流体接続を含む)、無線接続及び/又はこれらの組み合わせを含む、器具152とインタフェース170との間の様々な通信経路が利用されることが理解される。
【0032】
[0042] インタフェース170は、接続174を介してコンピューティングデバイス172に通信可能に結合される。コンピューティングデバイス172は、通常、本開示において論考される処理及び分析技法を行うのに適した任意のデバイスを表す。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス172は、プロセッサ、ランダムアクセスメモリ及びストレージ媒体を含む。これに関して、いくつかの特定の例において、コンピューティングデバイス172は、本明細書に記載のデータ取得及び分析に関連付けられたステップを実行するようにプログラムされる。したがって、データ取得、データ処理、器具制御、及び/又は本開示の他の処理若しくは制御態様に関連する任意のステップが、コンピューティングデバイスによってアクセス可能な非一時的コンピュータ可読媒体上に又はこの非一時的コンピュータ可読媒体内に記憶された対応する命令を用いてコンピューティングデバイスによって実施されることが理解される。いくつかの例において、コンピューティングデバイス172はコンソールデバイスである。いくつかの特定の例において、コンピューティングデバイス172は、各々がVolcano Corporationから入手可能な、s5(商標)撮像システム又はs5i(登録商標)撮像システムに類似している。いくつかの例において、コンピューティングデバイス172はポータブル(例えば、ハンドヘルドである、ローリングカート上にある等)である。いくつかの例において、コンピューティングデバイス172の全て又は一部分を、臨床コントローラとして実施することができ、それによって、本明細書に記載の1つ又は複数の処理ステップを、臨床コントローラの処理コンポーネントによって実行することができる。例示的な臨床コントローラは、参照によりその全体が本明細書に援用される、「Bedside Controller for Assessment of Vessels and Associated Devices, Systems, and Methods」と題する、2014年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/049,265号に記載されている。更に、いくつかの例において、コンピューティングデバイス172は、複数のコンピューティングデバイスを備えることが理解される。これに関して、本開示の様々な処理及び/又は制御態様が、複数のコンピューティングデバイスを用いて別個に又は所定のグループ内で実施されてもよいことが特に理解される。複数のコンピューティングデバイスにわたって以下で説明される処理及び/又は制御態様の任意の分割及び/又は組み合わせは、本開示の範囲内にある。
【0033】
[0043] コネクタ164、ケーブル166、コネクタ168、インタフェース170及び接続174は、合わせて、器具152の1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他の監視要素と、コンピューティングデバイス172との間の通信を促進する。しかし、この通信経路は、本質的に例示であり、いかなる形においても限定とみなされるべきでない。これに関して、物理的接続(電気接続、光接続及び/又は流体接続を含む)、無線接続及び/又はこれらの組み合わせを含む、器具152とコンピューティングデバイス172との間の任意の通信経路が利用されることが理解される。これに関して、いくつかの例において、接続174は無線であることが理解される。いくつかの例において、接続174は、ネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、電気通信ネットワーク及び/又は他のネットワーク)を介した通信リンクを含む。これに関して、いくつかの例において、コンピューティングデバイス172は、器具152が用いられている動作エリアから遠隔に位置決めされることが理解される。接続174がネットワークを介した接続を含むようにさせることにより、コンピューティングデバイスが隣接した部屋にあるか、隣接した建物にあるか、又は異なる州/国にあるかにかかわらず、器具152と遠隔のコンピューティングデバイス172との間での通信を促進することができる。更に、いくつかの例において、器具152とコンピューティングデバイス172との間の通信経路は、セキュアな接続であることが理解される。また更に、いくつかの例において、器具152とコンピューティングデバイス172との間の通信経路の1つ又は複数の部分を介して通信されるデータは、暗号化されることが理解される。
【0034】
[0044] システム150は、器具175も含む。これに関して、いくつかの例において、器具175は、上記で論考した器具130及び132のうちの少なくとも一方として用いるのに適している。したがって、いくつかの例において、器具175は、いくつかの例における器具130及び132に関して上記で論考した特徴に類似した特徴を含む。示される実施形態において、器具175は、カテーテルタイプのデバイスである。これに関して、器具175は、血管に関する診断情報を得るように構成された、器具の遠位部分に隣接した1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素を備える。示される実施形態において、器具175は、器具175が位置決めされた内腔内の圧力を監視するように構成された圧力センサを含む。器具175は、接続177を介してインタフェース176と通信する。いくつかの例において、インタフェース176は、Siemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu、及びPhilips Xper IM Physiomonitoring 5等の血流力学監視システム又は他の制御デバイスである。1つの特定の実施形態において、器具175は、その長さに沿って延在する流体カラムを含む圧力検知カテーテルである。そのような実施形態において、インタフェース176は、カテーテルの流体カラムに流体結合された止血弁と、止血弁に流体結合されたマニホールドと、コンポーネントを流体結合することが必要なときにコンポーネント間に延在するチューブとを含む。これに関して、カテーテルの流体カラムは、弁、マニホールド及びチューブを介して圧力センサと流体連通する。いくつかの例では、圧力センサは、インタフェース176の一部である。他の例では、圧力センサは、器具175とインタフェース176との間に位置決めされた別個のコンポーネントである。インタフェース176は、接続178を介してコンピューティングデバイス172に通信可能に結合される。
【0035】
[0045] コンピューティングデバイス172は、接続182を介して表示デバイス180に通信可能に結合される。いくつかの実施形態では、表示デバイス172は、コンピューティングデバイス172のコンポーネントであるのに対し、他の実施形態では、表示デバイス172は、コンピューティングデバイス172と別個である。いくつかの実施形態では、表示デバイス172は、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される、「Bedside Controller for Assessment of Vessels and Associated Devices, Systems, and Methods」と題する、2014年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/049,265号に記載されているようなタッチスクリーンディスプレイを有する臨床コントローラとして実施される。コンピューティングデバイス172は、器具152及び175並びに他の器具によって収集されるデータ、収集されるデータに基づいて計算された量、データが収集される血管の視覚化、並びに収集されたデータ及び計算された量に基づく視覚化を含む画面表示を生成することができる。例示的な画面表示は、図7図28に示される。コンピューティングデバイス172は、画面表示に関連付けられた表示データを表示デバイス180に提供することができる。
【0036】
[0046] コンピューティングデバイス172は、ユーザインタフェースデバイスに更に通信可能に結合することができる。ユーザインタフェースデバイスは、ユーザが表示デバイス180における画面表示とインタラクトすることを可能にする。例えば、ユーザは、ユーザインタフェースデバイスを用いて、画面表示の全て又は一部を変更するようにユーザ入力を提供することができる。例示的なユーザ入力、及び画面表示に対する対応する変更が図7図28に示される。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェースデバイスは、表示デバイス180と別個のコンポーネントである。他の実施形態では、ユーザインタフェースデバイスは、表示デバイス180の一部である。例えば、ユーザインタフェースデバイスは、例えば参照によりその全体が本明細書に援用される、「Bedside Controller for Assessment of Vessels and Associated Devices, Systems, and Methods」と題する、2014年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/049,265号に記載されているようなタッチスクリーンデバイスを有する臨床コントローラとして実施することができる。そのような実施形態において、ユーザ入力は、臨床コントローラのタッチセンサーディスプレイ上で受信されるタッチ入力とすることができる。
【0037】
[0047] 器具152とコンピューティングデバイス172との間の接続と同様に、インタフェース176並びに接続177及び178は、器具175の1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他の監視要素と、コンピューティングデバイス172との間の通信を促進する。しかし、この通信経路は、本質的に例示であり、いかなる形においても限定とみなされるべきでない。これに関して、物理的接続(電気接続、光接続及び/又は流体接続を含む)、無線接続及び/又はこれらの組み合わせを含む、器具175とコンピューティングデバイス172との間の任意の通信経路が利用されることが理解される。これに関して、いくつかの例において、接続178は無線であることが理解される。いくつかの例において、接続178は、ネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、電気通信ネットワーク及び/又は他のネットワーク)を介した通信リンクを含む。これに関して、いくつかの例において、コンピューティングデバイス172は、器具175が用いられている動作エリアから遠隔に配置されることが理解される。接続178がネットワークを介した接続を含むようにさせることにより、コンピューティングデバイスが隣接した部屋にあるか、隣接した建物にあるか、又は異なる州/国にあるかにかかわらず、器具175と遠隔のコンピューティングデバイス172との間での通信を促進することができる。更に、いくつかの例において、器具175とコンピューティングデバイス172との間の通信経路は、セキュアな接続であることが理解される。また更に、いくつかの例において、器具175とコンピューティングデバイス172との間の通信経路の1つ又は複数の部分を介して通信されるデータは、暗号化されることが理解される。
【0038】
[0048] 本開示の他の実施形態において、システム150の1つ又は複数のコンポーネントは、含まれず、異なる構成/順序で実施され、かつ/又は代替的なデバイス/メカニズムと置き換えられることが理解される。例えば、いくつかの例において、システム150はインタフェース170及び/又はインタフェース176を含まない。そのような例では、コネクタ168(又は器具152若しくは器具175と通信する他の類似のコネクタ)は、コンピューティングデバイス172に関連付けられたポートにプラグインされる。代替的に、器具152、175は、コンピューティングデバイス172と無線で通信する。一般的に言えば、器具152、175の一方又は双方と、コンピューティングデバイス172との間の通信経路は、中間ノードを有していない(すなわち、直接接続)か、器具とコンピューティングデバイスとの間に1つの中間ノードを有するか、又は器具とコンピューティングデバイスとの間に複数の中間ノードを有する。
【0039】
[0049] いくつかの実施形態では、システム150は、参照によりその全体が本明細書に援用される、「Bedside Controller for Assessment of Vessels and Associated Devices, Systems, and Methods」と題する、2014年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/049,265号に記載されている臨床コントローラ等の臨床コントローラを更に備えることができる。臨床コントローラは、臨床医によって、器具152及び175を制御して、手技中の圧力データを取得し、リアルタイム医療圧力測定値(例えば、圧力波形、数値等の圧力データの視覚表現)を観察し、収集された圧力データに基づいて圧力比を計算し、得られた医療検知データ、得られた検知データ及び/又は計算された圧力比の視覚表現、得られた医療検知データ及び/又は計算された圧力比に基づく視覚化、及び/又は血管100の視覚表現とインタラクトするために利用される。これに関して、臨床コントローラは、コンピューティングデバイス172、インタフェース170及び176、及び/又は器具152及び175に通信可能に結合することができる。
【0040】
[0050] いくつかの実施形態では、システム150は、患者に対し処置が行われる病院又は他のヘルスケア施設等の臨床環境に関連付けられた在庫データベース190を含むことができる。在庫データベースは、医療機器、在庫、手術室及び/又はカテーテル処置室の空き、スタッフの空き等に基づいて、ヘルスケア施設において用いるために臨床医に利用可能な処置オプションに関する様々なデータを記憶することができる。例えば、いくつかの例では、データは、製造者名、長さ、直径、材料、利用可能な量、即時使用に利用可能な量、補給頻度、次の出荷日、様々な患者タイプについての処置結果及び他の適切な情報等の情報を含む、臨床医に利用可能な冠動脈ステントに関する情報を含むことができる。以下で説明するように、コンピューティングデバイス172は、在庫データベース190と、ユーザインタフェースを介して臨床医によって入力/選択される所望の結果に基づいて、複数の利用可能な処置オプションを編集することができる。いくつかの例において、所望の結果は、圧力比(FFR、iFR、Pd/Pa等)又は圧力測定(例えば、Pd等)の圧力測定のための閾値及び/又は目標値である。コンピューティングデバイス172は、患者に関する圧力測定値、フロー測定値、血管造影画像、及び/又は他の診断情報を用いて処置計画を行うことによって、特定の処置(例えば、血管内の特定の場所における特定の長さ、直径及び/又は材料を用いて、血管形成術を行い、特定の製造者からのステントを配備する等)を自動的に推奨することができる。コンピューティングデバイス172は、臨床医の選好又は他の要因に基づく、検討するための(又は検討から外すための)特定の処置オプションを選択するユーザ入力も受信することができる。コンピューティングデバイス172は、接続192を介して在庫データベース190に通信可能に結合される。接続192は、コンピューティングデバイス172をヘルスケア施設のコンピューティングシステムと通信可能に結合する1つ又は複数のネットワーク接続を表すことができる。
【0041】
[0051] 対象の血管系における診断情報は、器具130、132、152及び175のうちの1つ又は複数を用いて得ることができる。例えば、診断情報は、1つ又は複数の冠動脈、末梢動脈、脳血管等について得られる。診断情報は、圧力関連値、流れ関連値等を含むことができる。圧力関連値は、FFR(例えば、第1の器具が第2の器具に対し、血管の少なくとも1つの狭窄を横切ることを含めて血管を通って動かされるときに計算される圧力比値)、Pd/Pa(例えば、病変の近位の圧力に対する病変の遠位の圧力の比)、iFR(例えば、第1の器具が第2の器具に対し、血管の少なくとも1つの狭窄を横切ることを含めて血管を通って動かされるときに、距離に対し診断窓を用いて計算される圧力比値)等を含むことができる。流れ関連値は、冠血流予備比、すなわちCFR(例えば、通常の静止ボリュームを超える冠動脈を通る血流の最大増加)、基本狭窄耐性指数(BSR)等を含むことができる。
【0042】
[0052] 器具130、132、152及び/又は175によって得られる診断情報及び/又はデータは、外部撮像システムによって得られる患者の血管系の血管造影法画像及び/又は他の2次元若しくは3次元描写に相関又はコレジストレーションされる。様々な実施形態において、外部撮像システムによって得られる診断情報は、外部から得られた患者の血管系の血管造影画像、x線画像、CT画像、PET画像、MRI画像、SPECT画像及び/又は他の2次元若しくは3次元管腔外描写を含むことができる。空間コレジストレーションは、既知のプルバック速度/距離に基づいて、既知の開始点に基づいて、既知の終了点に基づいて、及び/又はそれらの組み合わせに基づいて、参照によりその全体が本明細書に援用される、「VASCULAR IMAGE CO-REGISTRATION」と題する米国特許第7,930,014号に開示されている技法を用いて達成することができる。例えば、機械的プルバックデバイスを用いて、圧力検知手順を行うことができる。機械的プルバックデバイスは、固定の既知の速度を用いて血管を通して圧力検知デバイスを動かすことができる。圧力測定及び/又は圧力比の場所は、圧力検知デバイスのプルバックの速度及び既知の場所(例えば、血管造影データから入手可能な開始位置、中間点位置及び終了位置)に基づいて求めることができる。いくつかの実施形態では、診断情報及び/又はデータは、参照によりその全体が本明細書に援用される、「SPATIAL CORRELATION OF INTRAVASCULAR IMAGES AND PHYSIOLOGICAL FEATURES」と題する、2012年12月31日に出願された米国仮特許出願第61/747,480号に記載されている技法に類似の技法を用いて、血管画像に相関付けられる。いくつかの実施形態では、コレジストレーション及び/又は相関は、参照によりその全体が本明細書に援用される、「DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSMENT OF VESSELS」と題する、2013年7月19日に出願された米国仮特許出願第61/856,509号に記載されているように達成することができる。
【0043】
[0053] いくつかの実施形態では、診断情報及び/又はデータは、参照によりその全体が本明細書に援用される、「DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSMENT OF VESSELS」と題する、2012年12月31日に出願された米国特許出願第14/144,280号に記載されている技法に類似の技法を用いて、血管画像に相関付けられる。いくつかの実施形態では、コレジストレーション及び/又は相関は、参照によりその全体が本明細書に援用される、「DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSMENT OF VESSELS」と題する、2013年7月19日に出願された米国仮特許出願第61/856,509号に記載されているように達成することができる。他の実施形態では、コレジストレーション及び/又は相関は、参照によりその全体が本明細書に援用される、「CO-USE OF ENDOLUMINAL DATA AND EXTRALUMINAL IMAGING」と題する、2011年7月28日に出願された国際特許出願PCT/IL2011/000612に記載されているように達成することができる。更に、いくつかの実施形態では、コレジストレーション及び/又は相関は、参照によりその全体が本明細書に援用される、「IMAGE PROCESSING AND TOOL ACTUATION FOR MEDICAL PROCEDURES」と題する、2009年11月18日に出願された国際特許出願PCT/IL2009/001089に記載されているように達成することができる。それに加えて、他の実施形態では、コレジストレーション及び/又は相関は、参照によりその全体が本明細書に援用される、「IMAGING FOR USE WITH MOVING ORGANS」と題する、2008年3月10日に出願された米国特許出願第12/075,244号に記載されているように達成することができる。
【0044】
[0054] 図5は、患者の血管を評価する方法500を示すフローチャートである。方法500は、iFR、Pd/Pa又はFFR手順等の圧力検知手順との関連で説明される。方法500は、CFR手順等の流れ検知手順との関連で行われ得ることが理解される。方法500は、図6図12を参照してより良好に理解することができる。これに関して、図6図12のユーザインタフェースディスプレイは、コンピューティングデバイス172(図4)に関連付けられた表示デバイス180等の、患者の血管系を評価するシステムの表示デバイス上に表示することができる。すなわち、システム(例えば、コンピューティングデバイス172)の1つ又は複数のコンポーネント(例えば、プロセッサ及び/又は処理回路)が、図6図12のインタフェースが表示デバイス(例えば、表示デバイス180)上に示されるようにする表示データを提供することができる。図6図12の態様は、単独で、又は関心対象の患者/血管に関する他のデータ、画像及び/若しくは他の情報と共に示されることが理解される。
【0045】
[0055] ブロック510において、方法500は、圧力及び/又は流れ測定等の血管内測定を得ることを含む。ブロック520において、方法500は、血管造影データを得ることを含む。いくつかの実施形態では、圧力測定値は、血管造影データが取得されるのと同時に得られる。上記で説明したように、圧力測定値及び血管造影データを同時に収集することにより、コレジストレーションを促進することができる。例えば、収集された圧力データは、血管内の血管内デバイスの圧力検知コンポーネントの場所がわかるようにコレジストレーションすることができる。処理システムは、場所を、その場所における圧力測定値及び/又は圧力比と関連付けることができる。図6図8を参照して以下で説明されるように、処理システムは、関連付けられた場所における圧力測定値及び/又は圧力比を含む画面表示も生成することができる。
【0046】
[0056] 圧力測定値を得るのを促進するために、臨床医は、カテーテル又はガイドワイヤ等の圧力検知血管内デバイスを患者に挿入することができる。いくつかの実施形態では、臨床医は、血管造影データを用いて、血管内デバイスを患者内で所望の位置まで誘導する。圧力検知血管内デバイスが患者内に適切に位置決めされた後、臨床医は、圧力測定値の収集を開始することができる。圧力測定値は、以下の手順、すなわち、充血が生じている間、圧力センサが1つの場所に留まるFFR「スポット」測定、長い充血期間が生じ、センサが心門にプルバックされるFFRプルバック、FFRスポット測定と類似であるが充血のないiFR「スポット」測定、及びFFRプルバックと類似であるが充血のないiFRプルバック、のうちの1つ又は複数の間に収集することができる。様々な実施形態において、生理学的測定収集は、上記で説明した手順のうちの1つ又は複数の組み合わせを通じて行うことができる。生理学的測定は、プルバック手順中等に連続して行うことができる。生理学的測定は、血管内デバイスが1つの方向に動かされる間に行うことができる。測定収集は、血管内デバイスが血管を通って選択的に動かされるとき(例えば、血管内デバイスの移動が開始及び停止するとき、血管内デバイスが、他の血管よりも長い血管に沿った様々な箇所において保持されるとき等)等の不連続手順とすることができる。生理学的測定は、血管内デバイスが、双方の方向(例えば、血管内の近位方向及び遠位方向)に動かされる間に行うことができる。コレジストレーションを用いて、生理学的測定値がどのように収集されたかと無関係に、測定の場所を血管の血管造影画像において確実に特定できるようにすることができる。例えば、収集された生理学的測定値の複合物を、コレジストレーションされたデータに基づいて生成することができる。
【0047】
[0057] これに関して、いくつかの例において、圧力測定値は、器具が血管を通って動かされるときの、血管内の固定の場所と器具の移動位置との間の圧力比を表す。例えば、いくつかの例において、近位圧力測定値が得られる位置の遠位の第1の位置から第1の位置よりも近位の(すなわち、近位圧力測定の固定位置により近い)第2の位置まで血管を通して器具がプルバックされる間に、血管内の固定の場所において近位圧力測定値が得られる。本開示の概念を明確に理解するために、この構成を利用して、本開示の実施形態の多くを説明する。しかし、これらの概念は、他の構成に等しく適用可能であることが理解される。例えば、いくつかの例において、器具は、近位圧力測定場所の遠位の第1の位置から更に遠位の(すなわち、近位圧力測定の固定位置から更に離れた)第2の位置まで血管をプッシュスルーされる。他の例において、遠位圧力測定は、血管内の固定の場所において得られ、器具は、遠位圧力測定の固定の場所の近位の第1の位置から、第1の位置よりも近位の(すなわち、遠位圧力測定の固定位置から更に離れた)第2の位置まで血管を通してプルバックされる。更に他の例では、遠位圧力測定は、血管内の固定の場所において得られ、器具は、遠位圧力測定の固定の場所の近位の第1の位置から、第1の位置よりも近位でない(すなわち、遠位圧力測定の固定位置により近い)第2の位置まで血管をプッシュスルーされる。
【0048】
[0058] 通常の実施形態において、処理システムは、血管内デバイスからの未加工圧力データを収集し、このデータを処理して、圧力差又は比を計算することができる。いくつかの例では、血管内の2つの圧力測定値(例えば、固定場所圧力測定値及び移動圧力測定値)間の圧力差は、2つの圧力測定値の比(例えば、移動圧力測定値を固定場所圧力測定値で除算したもの)として計算される。いくつかの例において、圧力差は、患者の各心拍周期について計算される。これに関して、いくつかの実施形態において、計算される圧力差は、心拍周期にわたる平均圧力差である。例えば、充血性薬剤が患者に投与されるいくつかの例において、心拍周期にわたる平均圧力差を利用して、圧力差が計算される。他の実施形態では、心拍周期の一部分のみを利用して圧力差が計算される。いくつかの例において、圧力差は、心拍周期の一部分又は診断窓にわたる平均である。
【0049】
[0059] いくつかの実施形態において、参照によりその全体が本明細書に援用される、2012年4月30日に出願された、「DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL」と題する米国特許出願第13/460,296号に記載されている技法のうちの1つ又は複数を用いて診断窓が選択される。その米国特許出願において論じられているように、診断窓及び関連する技法は、患者に充血性薬剤を投与することなく用いるのに特に適している。通常、充血性薬剤を用いることなく狭窄にわたって差圧を評価するための診断窓は、近位圧力測定値、遠位圧力測定値、近位速度測定値、遠位速度測定値、ECG波形、並びに/又は血管性能の他の特定可能及び/若しくは測定可能な態様のうちの1つ又は複数の特性及び/又は成分に基づいて特定される。これに関して、近位圧力測定値、遠位圧力測定値、近位速度測定値、遠位速度測定値、ECG波形、並びに/又は血管性能の他の特定可能及び/若しくは測定可能な態様のうちの1つ又は複数の特性及び/又は成分に様々な信号処理及び/又は計算技法を適用して、適切な診断窓を特定することができる。
【0050】
[0060] ここで、図6図8を参照すると、処理システムは、ブロック510及び520の間に得られたデータに基づいてそれぞれの関連場所における圧力測定値及び/又は圧力比を含む画面表示を生成することができる。例えば、図6は、血管の視覚表現を含む画面表示700(又は部分画面表示)を示す。画面表示は、圧力検知コンポーネントを有する血管内デバイスが誘導される血管702の視覚表現を含む。血管造影及び圧力データは、血管702内の血管内デバイスを用いて収集することができる。例えば、圧力データは、プルバック手順中に収集することができ、これは、図6の実施形態において、血管702の右から左に行われる。収集された血管造影データを用いて、血管702及び他の分岐管704を含む血管造影画像を生成することができる。本明細書に記載の1つ又は複数の視覚化は、血管造影画像上へのグラフィックオーバーレイとすることができる。画面表示700は、特定の血管を特定するラベルフィールド706を含む。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス(例えば、図4のコンピューティングデバイス172)は、血管の輪郭、場所、分岐及び他の特徴等の血管造影データを用いて、血管を自動的に特定する。外部撮像システム(例えば、血管造影又はx線システム)の位置及び/又は視野角を用いて、血管を特定することもできる。コンピューティングデバイスは、アルファベット、数字、英数字、及び/又はシンボル文字を含む、ラベル706に関連付けられた表示データを生成することができる。図7の実施形態において、ラベル706は、「右冠動脈」を表す「RCA」、及び後外側の動脈を表す「PLA」等の、特定された血管の略記を含む。図7では、略記及び特定の血管が用いられているが、任意の適切なラベルを用いることができることが理解される。いくつかの実施形態では、ユーザは、画面表示700にラベル706の一部分が含まれるか、全てが含まれるか、又はいずれも含まれないように、ラベル706のうちの1つ又は複数を選択的に活性化又は非活性化することができる。
【0051】
[0061] 画面表示700は、収集された圧力測定値又は計算された圧力比に関連付けられた血管702内の場所を示すマーカ708も含む。例えば、マーカ708は、圧力測定値が収集されるときの圧力センサの場所とすることができる。図6の実施形態において、マーカ708は、血管702を横断する線分である。場所を示すマーカの他の例は、参照によりその全体が本明細書に援用される、「Devices, Systems, and Methods for Vessel Assessment」と題する、2013年10月25日に出願された米国仮特許出願第61/895,909号に記載されている。1つの実施形態において、iFR手順中等に、心拍周期あたり1つの圧力比が計算される。このため、各マーカ708は、心拍周期中の収集されたデータ及び/又は計算された圧力比を示す。いくつかの実施形態では、ユーザは、画面表示700にマーカ708の一部分が含まれるか、全てが含まれるか、又はいずれも含まれないように、マーカ708のうちの1つ又は複数を選択的に活性化又は非活性化することができる。マーカ708は、距離710及び712によって示されるように、血管702内で距離を変動させて分離することができる。そして、距離710及び712は、圧力検知デバイスが血管702を通して誘導される速度に対応することができる。圧力検知デバイスが一定の速度で血管702を通して誘導される実施形態では、マーカ708間の距離は、等しいか又は概ね等しく、それによって、連続するマーカ708は、等しいか又は概ね等しい間隔で位置決めされる。圧力検知デバイスが一定でない速度で血管702を通して誘導される実施形態では、マーカ708間の距離は、より大きな範囲まで変動し、それによって、連続するマーカ708は、等しくない間隔で位置決めされる。例えば、圧力検知デバイスは、障害物付近で、比較的多数の心拍周期からのデータが収集されるように速度を下げることができる。図6に示されるように、血管702内の障害物に起因する圧力変化の周りで、連続するマーカ708の距離がより小さい。コレジストレーションは、血管702内の圧力検知血管内デバイスの場所が、各心拍周期中に既知であるように実施することができる。結果として、圧力検知血管内デバイスは、血管702におけるデータ収集のペースを臨床医によって制御することができるように、一定でない速度で血管702を通して(例えば、プルバック手順中に)誘導することができる。例えば、臨床医は、病変等の、血管702の臨床的に重大な部分の付近の更なる情報を得るために速度を下げることができる。例えば、臨床医は、血管702の臨床的に重要でない部分を通して速度を上げることができる。
【0052】
[0062] 血管702における圧力変化は、圧力比フィールド714によって示される。圧力比フィールドは、マーカ708に隣接して設けられる。図6の実施形態では、圧力比フィールド714の一部分のみが示される。様々な実施形態において、圧力比フィールド714の一部分若しくは全てが所与の場所に関連付けられた計算圧力比を提供することができるか、又は圧力比フィールド714のいずれもこれを提供することができない。例えば、ユーザは、圧力比フィールド714のうちの1つ又は複数を選択的に活性化又は非活性化することができる。様々な実施形態において、圧力比フィールド714は、アルファベット、数値、英数字及び/又はシンボル文字を含む。図6において、フィールド714は、iFR計算に関連付けられた数値を含む。他の実施形態では、フィールド714は、表示されている量のタイプを特定するためのFFR、iFR、Pd/Pa、補償Pd/Pa又は他のラベルを含むことができる。そのような実施形態は、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される、「Devices, Systems, and Methods for Vessel Assessment」と題する、2013年10月25日に出願された米国仮特許出願第61/895,909号に記載されている。圧力変化は、フィールド714における値によって示され、例えば、図6において、血管702における障害物は、値0.93と0.81との間に存在する可能性が高い。
【0053】
[0063] 図7及び図8は、圧力比の視覚表現を含む画面表示800及び850(又は部分画面表示)を示す。図7の画面表示800及び図8の画面表示850に示されるデータは、図6の画面表示700に示されるデータに対応する。画面表示800及び850は、それぞれ血管702内の圧力比の曲線802、852を含む。曲線802、852は、x軸が異なることを除いて、同じデータを表す。画面表示800(図7)は、x軸上の時間又は距離、及びy軸上の圧力比量(iFR、FFR、Pd/Pa等)を含む。例えば、図6に示す実施形態において、移動圧力検知デバイスは、プルバック手順中、血管702内で右から左に誘導することができる一方で、固定圧力検知デバイスは、血管702の左側又は近位部分に固定されたままである。画面表示800のx軸に沿った値は、プルバック手順の持続時間及び/又はプルバック手順中の移動圧力検知デバイスが進んだ距離に対応することができる。画面表示850は、x軸に沿った血管702の物理的向き、及びy軸上の圧力比量(iFR、FFR、Pd/Pa等)に対応する位置を含む。すなわち、画面表示850は、曲線852の左側の血管702の左側に関連付けられた圧力比、及び曲線852の右側の血管702の右側に関連付けられた圧力比を示す。いくつかの例において、血管に沿った物理的場所に対応する圧力比プロットを提供することにより、ユーザにとってより容易なPCI計画を促進することができる。以下の論考は、概ね画面表示850を参照するが、画面表示800を等しく利用することができることが理解される。
【0054】
[0064] 画面表示800及び850は、理想圧力比線806を含む。理想線806は、障害物のない血管を示す、1に等しい圧力比を表す。生理学的に、1に等しい圧力比は、可能な最大圧力比であり、近位圧力測定値及び遠位圧力測定値が等しいときに生じる。PCI計画中、臨床医は、患者の圧力比が可能な限り理想線806の近くに戻るように処置パラメータを決定しようとする。
【0055】
[0065] 画面表示800及び850は、閾値圧力比804を含む。閾値804は、健康な血管を表す圧力比と、重大な障害物を有する血管を表す圧力比との間の遷移を示す値に設定することができる。閾値804を超える圧力比は、処置が推奨されない血管を表すことができ、閾値804未満の圧力比は、処置が推奨される血管を表すことができる。閾値804は、画面表示800及び850において用いられる圧力比スケール(例えば、iFR、FFR、Pd/Pa等)に依拠して変動することができる。例えば、FFRのための閾値804は、0.80とすることができ、iFRのための閾値804は、0.89とすることができる。例えば、血管が0.80を超えるFFR値を有する場合、臨床医は、血管を処置しないことを決定することができる。血管が0.80未満のFFR値を有する場合、臨床医は、PCIを用いて血管を処置することを決定することができる。いくつかの例において、閾値は、経験的に設定される。他の例において、閾値は、少なくとも部分的に、ユーザ選好/選択に基づいて設定される。
【0056】
[0066] 画面表示800及び850は、目標線820を含む。目標線820は、患者のために臨床的に有利な結果に関連付けられた圧力比値に対応することができる。いくつかの実施形態では、目標線820は、閾値804よりも高い圧力比値に対応することができる。すなわち、閾値804は、健康であるとみなすことができる最小圧力比値を表すことができる一方、目標線820は、有効な処置に関連付けられたより高い圧力比値を表すことができる。目標線820は、画面表示800及び850において用いられる圧力比スケール(例えば、iFR、FFR、Pd/Pa等)に依拠して変動することができる。例えば、FFRのための目標線820は、0.93とすることができる。PCI計画のためのグラフィックユーザインタフェースは、臨床医が、閾値804及び/又は目標線820のための圧力比値を設定することを可能にすることができる。例えば、臨床医は、閾値804及び/又は目標線820の変更を可能にする設定オプションにアクセスすることができる。曲線802及び852の実際の圧力比値を、理想線806によって示される値に戻すことが望ましい。しかし、多岐にわたる理由で、狭窄した血管内で完全な流れを再生することは医学的に可能でない。そのような状況において、目標線820は、有効な処置を示す医学的に受容可能な圧力比値を表す。いくつかの例において、目標線820は、ユーザによって設定される所望の結果であり、ここからシステムは、目標線820を満たす圧力比値を達成するための利用可能な処置オプションを特定する。このため、PCI計画中、システムは、患者の圧力比値を、可能な限り理想線806の近くに、かつ少なくとも目標線820を超えるように戻すための処置パラメータを決定することができる。閾値804、目標線820及び/又は理想線806は、可視化を示す/隠すユーザ入力に応答して、画面表示800及び850上に選択的に提供することができる。これに関して、閾値804、目標線820及び/又は理想線806のうちのいずれも画面表示上に提供しないか、又はそれらのうちの任意1つ若しくは複数を画面表示上に提供することができることが理解される。
【0057】
[0067] いくつかの実施形態では、様々な色及び/又は他の視覚インジケータが、閾値804と実際の圧力比との差を示すために画面表示800及び850上に提供される。例えば、第1の色(例えば、緑色、白色、又はその他)を利用して、閾値をはるかに超える値(例えば、閾値が0.00~1.00のスケールにおいて0.80である場合、0.90を超える値)を表すことができ、第2の色(例えば、黄色、灰色、又はその他)を利用して、閾値付近であるが閾値を超える値(例えば、閾値が0.00~1.00のスケールにおいて0.80である場合、0.81~0.90の値)を表すことができ、第3の色(例えば、赤色、黒色、又はその他)を利用して、閾値以下である値(例えば、閾値が0.00~1.00のスケールにおいて0.80である場合、0.80以下の値)を表すことができる。任意の数の色の組み合わせ、スケーリング、カテゴリ、及び/又は他の特性を利用して、閾値に対する圧力差の相対値を視覚的に表すことができることが理解される。しかし、簡潔にするために、出願人らは、本明細書において多数の変形形態を明示的に説明しない。
【0058】
[0068] 画面表示800及び850は、マーカ808及び圧力比フィールド814を更に含む。マーカ808及び圧力比フィールド814は、図6との関連で説明したものに類似している。曲線802及び852は、図7及び図8において連続して示されているが、マーカ808は、曲線802及び852上の実際のデータ点を表すことができる。マーカ808間の曲線802及び852の値は、マーカ808に関連付けられた圧力比に基づいて補間することができる。コンピューティングデバイス(例えば、図4のコンピューティングデバイス172)は、データ処理、データ補間、平滑化を提供し、圧力比曲線802及び852を生成する他の計算を行うことができる。理想圧力比線806、閾値804、マーカ808及び圧力比フィールド814を選択的に活性化及び非活性化し、一部分若しくは全てが画面表示800及び850上に現れるようにするか、又はいずれも現れないようにすることができる。
【0059】
[0069] ブロック530において、方法500は、所望の結果に関するユーザ入力(又は複数のユーザ入力)を受信することを含む。これに関して、所望の結果は、血管の長さに沿った1つ又は複数の位置における所望の及び/又は最小の圧力比(例えば、iFR、FFR、Pd/Pa等)とすることができる。例えば、いくつかの例において、ユーザは、血管のための所望の全体圧力比(例えば、iFR≧0.93)を入力する。更に、いくつかの例において、ユーザは、血管の長さに沿って複数の場所のための所望の圧力比(例えば、場所1:iFR≧0.96、場所2:iFR≧0.95、場所3:iFR≧0.93等)を入力する。このために、ユーザインタフェースは、ユーザが血管の現在の状態に対する所望の結果の場所を視覚化することを可能にするように、血管、及び/又は圧力測定/比のグラフィック表現を表示する。更に、ユーザインタフェースは、ユーザが、所望の結果(例えば、目標及び/又は最小圧力比)及び/又は所望の結果のそれぞれの場所を入力することを可能にするためのボタン、入力フィールド、トグル、スライダ及び/又は他のインタフェースメカニズムを含むことができる。また、ユーザインタフェースは、ユーザが、患者のために何の処置オプションが検討されるべきかを選択することも可能にする。例えば、いくつかの例では、ユーザは、ステント挿入、血管形成術、バイパス、アブレーション、調剤、他の処置オプション、及び/又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数を選択する。例えば、図9図12の各々は、ユーザ入力ボックス880が各ディスプレイの右上側の角に提供される例示的な手法を示す。示すように、図示されるユーザ入力ボックス880は、ユーザが所望のiFR/FFR値を指定し、最小のiFR/FFR値を指定し、処置計画目的でシステムによる検討のための利用可能な処置オプションを選択することを可能にする。
【0060】
[0070] ここで再び図5を参照すると、ブロック540において、方法500は、ブロック530の所望の結果を達成するのに適した1つ又は複数の処置オプションを特定するための治療計画を行うことを含む。例えば、処置計画は、利用可能な処置オプションのうちのいずれが所望の結果を達成するのに最も適しているかを判断することを含むことができる。処理システムは、この判断を、前回の患者の処置の経験データを、類似の症状及び処置、(例えば、処置の製造者/供給者によって宣言されるような、ユーザによって定義されるような、経験的処置データによって確立されるような、及び/又はそれらの組み合わせによる)予期される処置の効果、及び/又はそれらの組み合わせと共に利用することによって行うことができる。いくつかの実施形態では、処置計画は、システムのコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス172)に、ステント、血管形成術バルーン、アブレーションエリア、及び/又は血管702内で配備される他の処置オプションの1つ又は複数の推奨される特性を決定させることを含む。例えば、ステント配備の場合、コンピューティングデバイスは、1つ又は複数のステント場所について、適切な/所望の位置、直径、長さ、材料等を決定することができる。血管形成術の場合、コンピューティングデバイスは、1つ又は複数の血管形成術場所について、適切な/所望の位置、バルーンサイズ(長さ、膨張した直径)、バルーン材料等を決定する。アブレーションの場合、コンピューティングデバイスは、1つ又は複数のアブレーション場所について、適切な/所望のアブレーションタイプ(例えば、レーザ、超音波、低温(cryo)等)、位置、除去される材料の量等を決定することができる。異なる処置タイプの1つ又は複数の特性の決定は、収集される圧力データ、計算される圧力比、血管造影データ、閾値圧力比、目標圧力比、理想圧力比等に基づくことができる。例えば、処置の特性は、障害物にわたる圧力比の降下を矯正するように選択することができる。コンピューティングデバイスは、処置オプションの適切な/所望の特性を決定し、利用可能な及び/又は推奨される治療オプションを特定することができる。
【0061】
[0071] ブロック550において、方法500は、ブロック540における処置計画中に特定される1つ又は複数の適切な処置の視覚表現を含む画面表示を出力することを含む。例えば、図9図12に示すように、画面表示は、圧力測定に基づく視覚化及び/又は血管の視覚表現を、推奨される処置オプションと共に含むことができる。いくつかの実施形態では、血管の視覚表現は、ブロック520において収集される血管造影データに基づいて生成される血管造影画像等の、血管の2次元又は3次元血管造影画像である。いくつかの実施形態では、血管の視覚表現は、血管の定型化された画像又は再構成等の、血管の2次元又は3次元グラフィック表現である。圧力測定に基づく視覚化は、ブロック510において収集される圧力データに基づく、数値、グラフィック、テキスト、及び/又は他の適切な視覚化を含むことができる。まとめると、視覚化は、数ある中でも、血管の視覚表現上に重ね合わされた処置、計算された圧力比、得られた圧力測定値又は計算された圧力比の血管内の場所を示すマーカ、血管を識別するラベルのうちの1つ又は複数を含むことができる。いくつかの実施形態では、圧力測定値に基づく視覚化は、得られた圧力測定値又は計算された圧力比の変化を示すように、血管の視覚表現が色分けされるか又は他の形でグラデーションを付けられたヒートマップを含むことができる。ヒートマップ、計算された圧力比、得られた圧力測定値又は計算された圧力比に関連付けられた場所を示すマーカ、及び他の視覚化を含む画面表示の例は、参照によりその全体が本明細書に援用される、「Devices, Systems, and Methods for Vessel Assessment」と題する、2013年10月25日に出願された米国仮特許出願第61/895,909号に記載されている。様々な実施形態において、ECG波形、数値等の他の収集データ、計算量等を、参照によりその全体が本明細書に援用される、「Bedside Controller for Assessment of Vessels and Associated Devices, Systems, and Methods」と題する、2014年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/049,265号に記載されているような画面表示に提供することができる。
【0062】
[0072] 図9及び図10をより詳細に参照すると、ブロック540において識別される処置オプションを示す画面表示の例が示される。これに関して、画面表示900(図9)に描写されるデータ及び処置オプションは、画面表示1000(図10)に示すデータに対応する。特に、ステント902のグラフィック表現は、血管702の視覚表現内に位置決めされる。明確にするために、以下の論考は、ステント処置に焦点を当てる。しかし、同じ概念が、血管形成術、アブレーション、バイパス等の他の処置オプションに適用されることが理解される。ステント902は、システムが、ブロック540における解析に基づいてステント902を最良の処置オプションとして特定するのに応じて、血管の画像に挿入するか又はこの画像上にオーバーレイすることができる。上記で説明したように、ステント902の場所、長さ、直径、材料及び/又は他の特性は、コンピューティングデバイスによって自動的に決定することができ、それに応じて、配備場所において画面表示900上に表示することができる。例えば、ステントの直径は、血管造影画像における血管の直径に合致するように自動的に大きさを定めることができる。画像表示900においてステント902がどのように見えるかを決定するステント902の画像特性は、ステント902が血管702内で視覚的に区別可能であるように選択することができる。画像特性は、色、影、パターン、透明性、ボーダ、及び他の関連特性を含むことができる。いくつかの実施形態では、ステント902の画像特性は、実際のステントの物理的概観に合致するように選択される。いくつかの実施形態では、ステント902の画像特性は、ステントが挿入される血管702内の領域を強調するように選択される。更に、血管702内のステントの配備に関連付けられた、推定される生理学的値(例えば、iFR、FFR、Pd/Pa等)を、ステント902の場所、長さ、直径、材料、及び/又は他の仮想的な/シミュレートされた特性に基づいてシステムによって決定することができる。推定される生理学的値は、ステントの配備(又は他の処置)によって生じる生理学的変化を示すように画面表示上に表示することができる。例えば、いくつかの例では、図9は、血管内のステント902の位置、及び処置に関連付けられた推定圧力比値を示す図6の更新されたバージョンとみなすことができる。いくつかの例において、元の圧力比値は、ユーザが処置の推定効果を見ることができるように、推定圧力比値と共に表示される。
【0063】
[0073] 図10は、圧力比の視覚表現を含む画面表示1000(又は部分画面表示)を示す。画面表示1000(図10)に示すデータは、画面表示900(図9)に示すデータに対応する。ステント902のグラフィック表現は、圧力比曲線852の視覚表現に沿って配置される。数ある中でも、位置及び長さ等の、ステント902のグラフィック表現の特性は、血管702(図9)内に位置決めされたステント902のグラフィック表現の特性に対応する。画面表示1000(図10)は、補正圧力曲線1004を含む。補正圧力曲線1004は、ステント902の配備の結果として、圧力曲線852に対し予期される変化を表す。補正圧力曲線1004に示されるように、ステント902の長さにわたって圧力の変化は予期されない。すなわち、ステント902の配置は、理想的には、血管702のその部分にわたって完全な又はほぼ完全な流れを生成する。ステント902の端部は、ステント端部表記1006によって示すことができる。異なる実施形態では、ステント端部の様々な他のグラフィカル表現を利用することができる。ステント端部表記1006は、例えば、可視化を示す/隠すユーザ入力に基づいて、画面表示1000上に選択的に提供することができる。ステント端部表記1006は、これを超えると、補正圧力曲線1004が圧力曲線852のように挙動することが予期されるポイントを表す。示されるように、補正圧力曲線1004は、ステント端部表記1006を越えると、圧力曲線852に類似の形状にされる。しかし、補正圧力曲線1004によって示される圧力値は、ステント902が血管の病変にわたる圧力降下の少なくとも一部分を補正した結果として、より高い。類似の表示手法を用いて、血管形成術、アブレーション、バイパス等を含む、ブロック540において特定される他の処置オプションの効果を視覚化することができる。
【0064】
[0074] 画面表示1000は、補正圧力比値1010を更に含む。補正圧力比値1010は、補正圧力比曲線1004の数値に対応することができる。補正圧力比値1010及び補正圧力比曲線1004のうちの一方又は双方が、選択された処置が、患者のための所望の結果としてユーザによって設定される目標及び/又は最小圧力比値を達成するという妥当性確認を臨床医にもたらすことができる。例えば、閾値804は、0.89のiFR値に対応することができ、これを超えると、血管は健康であると特徴付けることができる。補正された圧力比値1010が、(図10の実施形態におけるように)0.89を超えるiFR値をもたらす場合、臨床医は、所与のパラメータ(例えば、長さ、直径、位置等)を用いたステントの配置により、血管の処置において何らかの利点がもたらされることを理解することができる。補正圧力比値1010は、補正圧力比曲線1004の遠位部分(例えば、最も遠位の値、補正圧力比曲線の値の平均値等)に関連付けることができる。補正圧力比値1010は、補正圧力比曲線1004に隣接して提供することができる。補正圧力比値1010は、視覚化を示す/隠すユーザ入力に応答して選択的に提供することができる。
【0065】
[0075] コンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス172)は、得られた圧力測定値、計算された圧力比、目標圧力比、理想圧力比等に基づいて、補正圧力曲線1004の値を計算することができる。補正圧力曲線1004を計算し、ユーザに提供することができ、それによって、曲線1004は、ブロック540において特定された処置に基づいて調整される。これに関して、システムは、補正圧力曲線の値が、理想圧力比(図8の理想圧力比線806等)と可能な限り等しくなり、かつ/又は少なくとも目標圧力比(図8の目標線820等)よりも大きくなるように、処置の特性を変更することができる。
【0066】
[0076] 図11及び図12は、多くの点で図9及び図10に類似しているが、各々が、2つの特定された処置オプション、及び圧力比に対する対応する効果を示す。例えば、図11及び図12は、各々が、第1の処置オプション(ステント902)及び第2の処置オプション(1102)、並びに圧力比に対する対応する推定効果を示す。示されるように、処置オプション(ステント902及び1102)の各々が、閾値線804を満たすが、第2の処置オプション(ステント1102)のみが目標線820を満たす。しかし、第2の処置オプション(ステント1102)が、いずれかの理由(例えば、ステント1102が在庫にない、ステント1102が別の患者特性に起因して望ましくない等)で利用可能でないかつ/又は望ましくなく、それによって、第1の処置オプション(ステント902)が最良の利用可能な処置オプションである状況が存在する。
【0067】
[0077] ブロック560において、処置計画中に特定される1つ又は複数の適切な処置から、実施のための処置オプションが選択される。これに関して、ユーザは、(例えば、図9図12に示されるような)処置オプション、ユーザ体験及び/又は他の要因の視覚化に基づいて、特定された処置オプションから最良の利用可能な処置を選択することができる。更に、いくつかの例では、ブロック560において、方法500は、実施のための処置オプションを選択するためにブロック540においてシステムによって特定された処置オプションの1つ又は複数の特徴を変更するユーザ入力を受信することを含む。ユーザ入力は、血管の視覚表現にステントを挿入し、かつ/又は血管内でステントを動かすことであり得る。ユーザ入力は、長さ、直径、材料等のステントの1つ又は複数の特性を変更することであり得る。例えば、ユーザ入力は、血管内でステントの長さを増減することであり得る。ユーザ入力は、ユーザインタフェースデバイスにおいて受信することができる。いくつかの実施形態では、ユーザ入力は、臨床コントローラのタッチセンサー式ディスプレイにおいて受信されるタッチ入力である。ユーザ入力に基づいて、処置オプションに対する変更を反映するように画面表示を更新することができる。例えば、ユーザ入力に応答して、ステントを血管の視覚表現に挿入することができ、血管内のステントの場所を変更することができ、ステントの1つ又は複数の特性(例えば、長さ、直径、材料等)を変更することができる。提案される処置オプションに対する変更に基づいて、推定圧力比値も更新することができる。
【0068】
[0078] いくつかの例では、臨床医は、特定された処置オプションのいずれも実施に適していないと判定する可能性がある。例えば、システムによって特定された最良の処置オプションであっても、結果として補正圧力比曲線1004又は補正圧力値比1004を、目標線820以上にすることができず、この場合、臨床的有益性は治療的介入の結果として生じる可能性が高い。そのような例において、ブロック560において処置オプションは選択されず、方法500は、線565によって示すように、ブロック530に戻ることができる。次にブロック530において、臨床医は、適切な処置オプションを特定する目的で、システムが、利用可能な処置オプションを広げるためにそこから選択する所望の結果及び/又は利用可能な処置オプションを変動させることができる。次に本方法は、ブロック540に進み、適切な処置オプションが特定されるまで継続することができる。
【0069】
[0079] ブロック570において、方法500は、ブロック560において選択された処置オプションを行うことを含む。
【0070】
[0080] ブロック580において、方法500は、選択された処置オプションを行うことによって、所望の結果が達成されたことを検証することを含む。例えば、所望の結果が、最小圧力比を達成することであった場合、選択された処置を行った後に、最小圧力比が達成されたか否かを判断するために圧力測定値を得ることができる。最小圧力比が達成された場合、処置は成功とみなされ、臨床医は処置を終わらせることができる。最小圧力比が達成されていない場合、臨床医は、処置が適切に行われたことを検証し(例えば、ステントが完全に配備されたことを確認し)、かつ/又はいずれのステップが次に行われるべきかを評価することができる。これは、追加の診断/処置を含むか、又は現在の結果で処置を終了することを含むことができる。いくつかの例において、方法500は、ブロック570において行われた処置オプションを用いて所望の結果が達成されていない場合、更なる処置オプションを特定するために繰り返される。
【0071】
[0081] 当業者であれば、上記で説明した装置、システム及び方法を様々な形で変更することができることも認識するであろう。したがって、当業者であれば、本開示によって包含される実施形態が、上記で説明した特定の例示的な上記に限定されないことを理解するであろう。これに関して、例示的な実施形態が示され、説明されてきたが、上記の開示において、多岐にわたる変更、変形及び置換が企図される。そのような変形形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、上記に対し行うことができることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、広義で、かつ本開示と一致する方式で解釈されることが適切である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管内圧力検知ガイドワイヤ及び表示デバイスに通信可能に結合されたプロセッサを備え、前記プロセッサは、
患者の血管内に位置決めされた前記血管内圧力検知ガイドワイヤによって得られる圧力測定値を受信し、
複数の利用可能な処置オプションを表示する複数の処置オプションフィールドを含む画面表示を前記表示デバイスに出力し、
前記血管の処置のために検討されている、前記複数の利用可能な処置オプションの一又は二以上の処置オプションの選択を含むユーザ入力を前記複数の処置オプションフィールドを介して受信し、前記ユーザ入力を受信した後、前記検討されている前記一又は二以上の処置オプションを前記複数の利用可能な処置オプションの他の処置オプションと区別して表示し、
記圧力測定値に基づいて、前記検討されている前記一又は二以上の処置オプションが圧力値に関連する処置計画を満たすかどうかを判定し、
前記画面表示は、前記検討されている前記一又は二以上の処置オプションが圧力値に関連する前記処置計画を満たすかどうかの前記判定に関する視覚表現を含む、システム。
【請求項2】
圧力値に関連する前記処置計画は、少なくとも1つの所望の圧力値又は最小圧力値を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記画面表示は、処置計画に関連する圧力フィールドを含み、
前記プロセッサは、前記処置計画に関連する圧力フィールドを介して、前記処置計画に関連する圧力値を含むさらなるユーザ入力を受信し、前記さらなるユーザ入力を受信した後、前記処置計画に関連する圧力値を前記処置計画に関連する圧力フィールド内に表示する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記検討されている前記一又は二以上の処置オプションは、第1の処置オプションを含み、
前記検討されている前記一又は二以上の処置オプションが圧力値に関連する前記処置計画を満たすかどうかを判定するために、前記プロセッサは、前記圧力測定値に基づいて、前記第1の処置オプションから予期される第1補正圧力値を決定し、
前記視覚表現は、前記第1補正圧力値の第1視覚表現を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記検討されている前記一又は二以上の処置オプションは、前記第1の処置オプションと異なる第2の処置オプションを含み、
前記検討されている前記一又は二以上の処置オプションが圧力値に関連する前記処置計画を満たすかどうかを判定するために、前記プロセッサは、前記圧力測定値に基づいて、前記第2の処置オプションから予期される第2補正圧力値を決定し、
前記視覚表現は、前記第2補正圧力値の第2視覚表現を含み、前記第1視覚表現及び前記第2視覚表現が同時に表示される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記視覚表現は、圧力値に関連する前記処置計画の第3視覚表現を含み、
前記第3視覚表現は、前記第1視覚表現及び前記第2視覚表現と同時に表示される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記画面表示は、前記第1補正圧力値、前記第2補正圧力値、及び圧力値に関連する前記処置計画の視覚的比較に基づいて、前記第1の処置オプション及び前記第2の処置オプションの評価を同時に提供する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の処置オプション及び前記第2の処置オプションは、異なるパラメータ値の同じ処置タイプを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記同じ処置タイプは、ステント挿入を含み、
前記異なるパラメータ値は、ステントの長さ、ステントの直径又はステントの材料の少なくとも1つに対応する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記血管のX線画像を受信し、
前記視覚表現は、前記X線画像を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記視覚表現は、前記X線画像内の前記血管にオーバレイされる、圧力値に関連する前記処置計画の視覚表現を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記処置計画の視覚表現は、前記X線画像内の前記血管の配置場所のステントを含む、請求項11に記載のシステム。
【外国語明細書】