(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106739
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】無垢材を使用した矧ぎ板
(51)【国際特許分類】
B27M 1/00 20060101AFI20220712BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20220712BHJP
B27M 3/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
B27M1/00 C
E04B1/58 509E
B27M3/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063568
(22)【出願日】2022-04-06
(62)【分割の表示】P 2018090070の分割
【原出願日】2018-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(71)【出願人】
【識別番号】518160849
【氏名又は名称】有限会社道免家具店
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】角田 知一
(72)【発明者】
【氏名】徳永 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】道免 尚史
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の無垢の長尺の板材である構成材と、構成材を横切るように配置される補強材を固定し、長期にわたって安定した品質の矧ぎ板を提供する。
【解決手段】複数並べた長尺の構成材11を連接して形成した無垢材を使用した矧ぎ板であって、矧ぎ板の裏面に構成材11の長手方向を横切って一連の溝2が形成され、溝2の長手方向端部から補強材3を挿入できるようになっており、溝2は開口幅が内部空間幅よりも幅狭に形成され、溝2の内部空間の両側面に奥部方向に広がる傾斜面23が形成されており、補強材3は溝2の内部形状とほぼ合致する外面形状を有し、溝2の開口部21から構成材11の裏面まで延びるように屈曲したフランジ部32を有する非矩形状の薄肉状金属板のバーから成り、補強材3の一部が傾斜面23に係止されて溝2からの離脱が阻止され、フランジ部32が構成材11の裏面にネジ固着されて溝から長手方向に外れることが防止される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数並べた長尺の構成材を連接して形成した無垢材を使用した矧ぎ板であって、
前記無垢材を使用した矧ぎ板の少なくとも裏面に、前記長尺の構成材の長手方向を横切って一連の溝が形成され、前記溝の長手方向端部から補強材を挿入できるようになっており、
前記溝は、開口幅が内部空間幅よりも幅狭に形成され、前記溝の内部空間の両側面に奥部方向に広がる一連の傾斜面が形成されており、
前記補強材は、前記溝の内部形状とほぼ合致する外面形状を有し、前記溝の開口から前記構成材の裏面まで延びるように屈曲したフランジ部を有する非矩形状の薄肉状金属板のバーから成り、
前記補強材の少なくとも一部が前記傾斜面に係止されて前記溝からの離脱が阻止されているとともに、前記フランジ部が前記構成材の裏面にネジ固着されて前記溝から長手方向に外れることが防止されていることを特徴とする無垢材を使用した矧ぎ板。
【請求項2】
前記補強材は、鋼鉄の薄板で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の無垢材を使用した矧ぎ板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無垢材を使用した矧ぎ板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、机やテーブルの天板、ラックの棚板等に使用されるボードにおいては、載置物の荷重を受けるため、たわみ変形や経時的変形等が発生する関係上、一定の強度(剛性)が要求される。
【0003】
前記したボードとして使用される板材は、接着剤を用いて加工された集成材、一枚の無垢材、さらには無垢材を使用した矧ぎ板などが用いられており、一枚の無垢材や無垢材を使用した矧ぎ板など、天然木本来の風合いをもち、接着剤を用いて加工された集成材とは異なる魅力がある。近年は一枚の無垢材を使用すると製品が高額となってしまうため、それに代えて無垢材を使用した矧ぎ板が多用され始めており、矧ぎ板の木材として、加工が容易な杉などの針葉樹が使用され、我が国における林野行政に寄与することになる。
【0004】
しかし一方では、無垢材は湿度変化、温度変化、または局部荷重等の要因で変形が起きやすいといった性質を有している。具体的には、柾目材よりも板目材の方が、比重が低い板よりも高い板の方が、そして薄い板よりも厚い板の方が、乾燥収縮が顕著に表れ、木表側が凹状に反ることが分かっている。
【0005】
前述の無垢材を使用した矧ぎ板は、複数の無垢の長尺の板材である構成材の側面である木端面を矧ぎ(構成材の木端面に凹凸を形成して構成材同士を接合、または接着剤によって接着)合わせて平板状に構成される。このような無垢材を使用した矧ぎ板を床として使用している技術が、例えば特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-32026号公報(第2頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示される床においては、捨張り材に対して矧ぎ板がネジや釘などの固定具で固着されることで、捨張り材(補強材)の強度に支持されるように矧ぎ板からなる床板の構造強度が高められている。このような床は、長期にわたる上方からの荷重に対しては耐久性に優れるが、湿度変化、温度変化または局部荷重等の要因で変形が起きやすいといった性質を有する無垢材が使用されていることにより、各構成材である長尺の板材に反りが発生した時、固定具で固着した箇所において上下方向に移動が生じ、局所的に力が加わることになる。このような特許文献1の技術にあっては、捨張り材と矧ぎ板とがネジや釘などの固定具で上下方向から固着されており、局所的に加わる力の方向が同方向となるため、前記した固定具の脱落、または固着した箇所の破壊が起きることになる。また、確実に反りを防止しようとすると、多くのネジや釘などの固定具が必要になり、矧ぎ板の耐用年数が短くなるといった問題があった。
【0008】
本発明は、矧ぎ板を構成する複数の無垢の長尺の板材である構成材と、その構成材を横切るように配置される補強材と、をネジや釘などの方向性を有する固定具を用いずに固定し、長期にわたって安定した品質の、無垢材を使用した矧ぎ板を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の無垢材を使用した矧ぎ板は、
複数並べた長尺の構成材を連接して形成した無垢材を使用した矧ぎ板であって、
前記無垢材を使用した矧ぎ板の少なくとも裏面に、前記長尺の構成材の長手方向を横切って一連の溝が形成され、前記溝の長手方向端部から補強材を挿入できるようになっており、
前記溝は、開口幅が内部空間幅よりも幅狭に形成され、前記溝の内部空間の両側面に奥部方向に広がる一連の傾斜面が形成されており、
前記補強材は、前記溝の内部形状とほぼ合致する外面形状を有し、前記溝の開口から前記構成材の裏面まで延びるように屈曲したフランジ部を有する非矩形状の薄肉状金属板のバーから成り、
前記補強材の少なくとも一部が前記傾斜面に係止されて前記溝からの離脱が阻止されているとともに、前記フランジ部が前記構成材の裏面にネジ固着されて前記溝から長手方向に外れることが防止されていることを特徴としている。
この特徴によれば、補強材が一連の溝の傾斜面に係止されて溝からの離脱が阻止されていることにより、構成材にそれぞれ個別の反り力が発生しても、各構成材の反りをバー状の補強材が裏面で確実に防止することになる。
【0010】
前記補強材は、鋼鉄の薄板で形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、補強材が鋼鉄による強い弾性復帰力を有することになるため、各構成材の反りを裏面で確実に防止できるばかりか、発生した反りに対して強い弾性復帰力を永続的に与え、湿度変化など環境変化による反り復元効果を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1における無垢材を使用した矧ぎ板の表面を示す斜視図である。
【
図2】実施例1における無垢材を使用した矧ぎ板の裏面を一方の補強材の一部を省略して示す斜視図である。
【
図3】実施例1における無垢材を使用した矧ぎ板の溝に補強材が挿入される様子を示す図である。
【
図4】(a),(b)は、実施例1における無垢材を使用した矧ぎ板を製作する前の構成材単体が反る状態を説明するための図である。
【
図5】実施例1における無垢材を使用した矧ぎ板を示す正面視の断面図である。
【
図6】(a),(b)は、実施例1において無垢材を使用した矧ぎ板の構成材および補強部材に加わる力を説明するための正面視の断面図である。
【
図7】(a)~(c)は、実施例1の変形例を示す正面視の断面図である。
【
図8】参考例における無垢材を使用した矧ぎ板の裏面を示す斜視図である。
【
図9】参考例における無垢材を使用した矧ぎ板を示す正面視の断面図である。
【
図10】(a),(b)は、参考例において無垢材を使用した矧ぎ板の溝に補強材を設置する様子を示す正面視の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る無垢材を使用した矧ぎ板を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0013】
実施例1に係る無垢材を使用した矧ぎ板につき、
図1から
図7を参照して説明する。以下、
図5の紙面正面側を矧ぎ板の正面側(前方側)とし、これらの前方側から見た時の上下左右方向を基準として説明する。
【0014】
図1に示されるように、本実施例に係る無垢材を使用した矧ぎ板1(以下、単に「矧ぎ板」という)は、複数の天然杉無垢の長尺の板材である構成材11,11,…の側面である木端面同士を矧ぎ(構成材11,11,…の木端面に凹凸を形成して構成材11,11,…同士を接合、または接着剤によって接着)合わせて平板状の一枚の板材として構成されており、矧ぎ板1を構成する構成材11,11,…の木目方向は、矧ぎ板1の連接方向に対して直交している。
【0015】
図2に示されるように、矧ぎ板1は裏面において、一連の2条の溝2が矧ぎ板1の略連接方向、すなわち構成材11,11,…の長手方向を横切って直線状に延び、その両端が矧ぎ板1の側端においてそれぞれ開口するように形成されており、補強材3が溝2の長手方向に沿って嵌挿・固定されている(以下、簡略のため、一方の溝2についてのみ説明する)。
【0016】
図5に示されるように、溝2は、矧ぎ板1の表裏面に略平行な奥面22と、内部空間の両側に開口部21から奥面22に向けて互いの離間幅の広がる一対の傾斜面23,23(側面)と、から成る内部面により区画されている。溝2は、開口部21の幅L1が奥面22の幅(内部空間幅)L2よりも短く(L1<L2)、断面視略等脚台形状に形成されている。また、矧ぎ板1の裏面において、溝2の開口部21の断面視左右両側には、溝2よりも浅く矧ぎ板1の裏面に略平行な浅溝である拡大溝4が連なって形成されている。
【0017】
図5に示されるように、補強材3は、その断面の外面形状が溝2の内部断面に沿った形状に折り曲げ形成され、ハット形に形成された、鋼鉄製の薄肉状金属板のバーである。詳しくは、補強材3は、溝2の奥面22および傾斜面23,23に対して当接し、溝2に内嵌する内嵌部31と、溝2の開口部21から拡大溝4に沿って断面視左右方向に延びるように内嵌部31から屈曲したフランジ部32,32と、を有している。補強材3の内嵌部31は、3面の板部により断面視下向き略コ字状に構成されており、それぞれ溝2の奥面22に当接する奥面板部31Aと、溝2の傾斜面23,23に当接し、開口部21から奥面22に向けて互いの離間幅の広がる一対の傾斜面板部31B,31Bと、から成る。
当該フランジ部32,32には、ネジ孔34,34,…が複数形成されている。補強材3は、溝2への内嵌部31の嵌合によって、補強材3は矧ぎ板1の裏面に固着されるとともにネジ33の締結によって補助的に固着されている(
図2参照)。なお、補強材3は、矧ぎ板1の連接方向の長さと略同一の長さである。さらに、なお、組み付け状態において、補強材3の内嵌部31の奥面板部31Aは、溝2の奥面22に当接することが好ましいが、必ずしも当たっていなくてもよい。
【0018】
ここで、補強材3の取り付け方について説明する。
図2,
図3に示されるように、補強材3の内嵌部31を矧ぎ板1の連接方向の一端側の溝2の開口から挿入し、補強材3がすべての構成材11,11,…にわたって嵌入された状態で補強材3のフランジ部32,32に形成されるネジ孔34,34,…にネジ33,33,…をそれぞれ挿通し、補強材3を矧ぎ板1の裏面にて固着する。なお、補強材3は、溝2に嵌入された状態において、内嵌部31の傾斜面板部31B,31Bが溝2の傾斜面23,23にそれぞれ係止されることにより、内嵌部31は溝2に保持され、溝2からの離脱が阻止されている。
【0019】
また、
図2,
図3で示されるように、ネジ孔34,34,…は、補強材3の長手方向に伸びる小判形状であり、矧ぎ板1の伸縮等に追従できるようになっている。なお、補強材3嵌入後、矧ぎ板1の連接方向の両端を図示しないカバー部材で覆設してもよく、このようにすれば補強材3の抜出を防ぎ、美観に優れる。
【0020】
ここで、構成材11の反りについて説明する。通常、
図4(a)に示される無垢の板材は、経年、温度または湿度の変化(以下、「外的要因」という)に伴う伸縮により、
図4(b)に示されるように反りが生じる。木表を表面とした構成材11は、特に乾燥収縮の場合、構成材11の表面の連接方向(木目方向と交差する方向)両端側が反り上がる。
【0021】
図6(a)に示されるように、補強材3は、溝2に嵌入された状態において、内嵌部31の傾斜面板部31B,31Bが傾斜面23,23に沿ってそれぞれ係止され(当接し)、さらに奥面板部31Aが奥面22に当接している。このことより、構成材11に上向きの反り力F1が生じた場合、補強材3には反り力F1に対する反力として下向きの力F2がはたらく。傾斜面板部31B,31Bと傾斜面23,23とが、長手方向にわたって広い範囲で係合していることで局所的にかかった力を分散できるため、外的要因による構成材11の反りを抑制することができる(簡略のため、図面左側についてのみ力F1,F2を図示した)。
【0022】
また、
図6(b)に示されるように、補強材3のフランジ部32がネジ33により矧ぎ板1に固着されているため、構成材11に水平右向き(内向き)の反り力F3が生じた場合、ネジ33の胴部には反り力F3に対する反力として水平左向き(外向き)の力F4がはたらく。このため、補強材3を内向きに変形させる力を抑制して、元の形状を維持することができる(簡略のため、図面左側についてのみ力F3,F4を図示した)。
【0023】
以上説明したように、本発明の矧ぎ板1は、裏面に形成される一連の溝2の傾斜面23,23に沿ってバー状の補強材3の内嵌部31の傾斜面板部31B,31Bが係止されて溝2からの離脱が阻止されていることにより、構成材11,11,…にそれぞれ個別の反り力が発生しても、各構成材11の反りを補強材3が確実に防止することになるため、複数の無垢の長尺の板材である構成材11,11,…と、その構成材11,11,…を横切るように配置される補強材3と、をネジや釘などの方向性(特に上下方向)を有する固定具を用いずに固定し、長期にわたって安定した品質の矧ぎ板1を得ることができる。
【0024】
また、矧ぎ板1の裏面において、矧ぎ板1の略連接方向に両端を貫通するように形成される溝2に対して、補強材3が溝2の長手方向に沿って嵌挿しているため、補強材3がすべての構成材11,11,…に内嵌でき、構成材11,11,…の個別の反りによる上下移動を阻止することができる。
【0025】
また、溝2は開口部21の幅が奥面22の幅よりも短く、断面視略等脚台形状を形成しているため、溝2の形状が簡素で製作コストを抑えられるとともに、補強材3が一連の溝2の傾斜面23,23に係止されることで離脱を防止できる。
【0026】
また、補強材3は、その断面の外面形状が溝2の内部断面形状とほぼ合致する薄肉状金属板のバーであるため、補強材3が溝2の奥面22および傾斜面23,23と接触するため、補強材3と溝2との接触面積が広いばかりか、内嵌部31の両角部が鋭角となり、反りによる曲げ力に対して耐久性を有することになる。そして、補強材3は薄肉状金属板のバーであるため、一時的な変形を許容できる。
【0027】
また、補強材3は鋼鉄の薄板で形成されていることから、補強材3が鋼鉄による強い弾性復帰力を有することになるため、各構成材11,11,…の反りを裏面で確実に防止できるばかりか、発生した反りに対して強い弾性復帰力を永続的に与え、湿度変化など環境変化による反り復元効果を与えることができる。
【0028】
また、補強材3のフランジ部32,32は、左右で対に複数形成されるネジ孔34,34,…に対し、複数のネジ33,33,…によって挿通されてネジ止めされているため、矧ぎ補強材3が溝2の長手方向に外れることを確実に防止することができる。そして、溝2内に嵌合された補強材3の一部から屈曲するようにフランジ部32,32が延びているため、補強材3と構成材11,11,…との接触面積が広いばかりか、フランジ部32,32の付根となる金属板に角部が形成されるため、反りによる曲げ力に対して優れた耐久性を有することになる。
【0029】
また、溝2の断面視左右には拡大溝4が浅く形成されていることから、補強材3のフランジ部32,32および複数のネジ33,33,…のネジ頭が、矧ぎ板1の裏面よりも下方に突出して目立たないため、美観に優れる。
【0030】
また、矧ぎ板1は、針葉樹である杉の構成材を矧ぎ合わせていることから、杉独自の柔らかい肌触りや爽やかな香りを有する矧ぎ板に仕上げることができ、さらに安価で製作することができる。
【0031】
実施例1の変形例について説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一のものについては、同一符号を付して重複する説明を省略する。
図7(a),(b)で示されるように、矧ぎ板1の溝2の断面視の形状は略等脚台形に限らず、開口幅が内部空間幅よりも小径であり、溝2a内に部分的に傾斜面23a,23aが形成されるものでもよく、例えば、開口部21aから矧ぎ板1の厚さ方向に上向きに所定の長さ延伸し、奥面22aに向かって幅が広がるような形状や、溝2bの略円形の内部面であってもよい。なお、補強材3a,3bが上記の形状の溝2a,2bの内部面に沿って当接する形状であることは言うまでもない。
【0032】
また、
図7(c)で示されるように、2条の溝2c,2cがハの字状に形成され、当該2条の溝2c,2cに対してハの字状に立設された2つの板状の内嵌部31c,31cを有する補強材3cが嵌入されていてもよい。
[参考例]
【0033】
参考例に係る矧ぎ板につき、
図8~
図10を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一のものについては、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0034】
図8に示されるように、矧ぎ板100は裏面において、断面視等脚台形状の溝200が矧ぎ板100の略連接方向に直線状に延び、その両端が閉塞するように形成されており、補強材300が溝200の長手方向に沿って嵌挿されている。
【0035】
図9に示されるように、補強材300は、断面L字状を成す一対の鋼材製の薄肉状金属板のL型アングル301,301と、これらの間に配置される無垢材のスペーサ302と、これらを左右方向に圧着するボルト303およびナット304と、によって構成され、略T字形のバー形状を成す。
【0036】
補強材300の取り付け方について説明する。
図10(a)に示されるように、まず2つのL型アングル301,301の左右方向に延びる延出片301a,301aを溝200の奥面202および傾斜面203,203にそれぞれ当接させた状態(傾斜面203,203は延出片301a,301aの端部の角が当接した状態)とし、L型アングル301,301の間にスペーサ302を挿入した後、ボルト303の胴部を左右方向に貫通するL型アングル301,301の貫通孔301b,301bおよびスペーサ302の貫通孔302aに挿通し、ボルト303の頭部の裏面とナット304との間でL型アングル301,301およびスペーサ302を挟圧するようにボルト止めする(
図10(b)参照)。このように、補強材300の取り付け作業は、溝200の連接方向の一端側から補強材300を挿入することを必要としないで、補強材300を構成するパーツを組み立てることにより着脱可能となる。そのため、矧ぎ板100の側端面に溝200が形成されず、美観に優れる。
【0037】
また、補強材300の取り付け作業は構成材11自体へのネジ止めを使用しないため、ネジ止めに頼らずに、各構成材11,11,…で生じる反り力を確実に防ぐような矧ぎ板100を実現できる。
【0038】
なお、L型アングル301,301の延出片301a,301aまたはスペーサ302の左右幅を大きくし、延出片301a,301aとスペーサ302との合計の幅を奥面202の幅と同一にすることで、補強材300取り付け時にL型アングル301,301の間にスペーサ302を挿入する際、L型アングル301,301の延出片301a,301aの角部を傾斜面203,203に食い込ませるようにして装着してもよい。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0040】
例えば、前記実施例では、構成材11は長尺の板材とし、木目方向が長手方向と一致すると説明したが、一致ないし沿っていることが好ましいが、これに限らず、構成材の寸法は任意であり、木目方向も任意の方向であってもよい。
【0041】
また、杉を用いた矧ぎ板1,100であると説明したが、これに限らず、用途に合わせて杉以外の針葉樹や広葉樹でもよく、さらに、例えば合板などの無垢材でない材木でもよい。
【0042】
また、溝は、矧ぎ板1,100の裏面に形成すると説明したが、これに限らず、矧ぎ板の表面に溝を形成してもよい。
【0043】
また、溝は、矧ぎ板1,100の裏面において、2条形成されていると説明したが、これに限らず、矧ぎ板の用途に合わせて溝の数を1または3以上にし、嵌入する補強材の数もそれに合わせてもよい。
【0044】
また、溝は連接方向に直線状に延びていると説明したが、これに限らず、例えば曲線状に延びていてもよい。
【0045】
また、溝2,2a~cはその両端が矧ぎ板1の側端においてそれぞれ開口するように形成されていると説明したが、これに限らず、側端の一方のみ開口するように形成されていてもよい。
【0046】
また、溝は、矧ぎ板1,100の裏面を削って形成する以外にも、これに限らず、矧ぎ板の裏面において左右に所定間隔設けた一対の一連の凸部を備えることで、溝を形成してもよい。
【0047】
また、溝2,2a~cを図示しないカバー部材により覆い塞ぎ、内嵌されている補強材3,3a~cを目立なくさせ、美観に優れるようにしてもよい。
【0048】
また、拡大溝4は、補強材3のフランジ部32,32および複数のネジ33,33,…のネジ頭が、矧ぎ板1の裏面よりも下方に突出して目立たないため、美観に優れると説明したが、これに限らず、不要な場合は拡大溝4の形成を省いてもよい。
【0049】
また、補強材、矧ぎ板1,100の連接方向の長さと略同一の長さであると説明したが、これに限らず、補強材の方が矧ぎ板よりも短くてもよく、例えば矧ぎ板の連接方向の長さの半分以下の長さの補強材を2本嵌入してもよい。
【0050】
また、補強材3,3a~cは、その断面の外面形状が溝2の内部断面形状とほぼ合致するように折り曲げ形成された、鋼鉄製の薄肉状金属板のバーであると説明したが、これに限らず、補強材の強度を高めるためにバーの厚みを増やしたり、中空でない構造の補強材にしたりしてもよい。
【0051】
また、補強材3,3a,3bは、フランジ部32,32が構成材11,11,…の裏面に対してネジ固着されていると説明したが、これに限らず、内嵌部31が構成材11,11,…の裏面に対してネジ固着されていてもよい。さらには、ネジの替わりに釘で固着してもよい。
【0052】
また、補強材3,3a~cは、
図2に示すように、1つの補強材3に3箇所、対でネジ止めしているが、これに限らず3以外の任意の箇所でよく、また一切ネジ止めしなくてもよい。
【0053】
また、補強材300は、
図8に示すように、1つの補強材300に3箇所でボルト止めしているが、これに限らず3以外の任意の箇所でよい。
【0054】
また、補強材300は、一対の鋼材製の薄肉状金属板のL型アングル301,301と、これらの間に挿入される無垢材のスペーサ302と、をボルト止めした略T字状のものを例に説明したが、これに限らず、L型アングル301,301やスペーサ302の材質は任意であり、補強材300を一体に固着する手段はボルト止め以外であってもよく、さらにスペーサ302を省いてもよい。
【0055】
また、
図7(c)において、2条の溝2がハの字状に形成されている変形例を説明したが、これに限らず、溝が逆ハの字状であったり、曲線状であったりしてもよい。
【0056】
また、参考例において、
図7(a)~(c)に示すような溝や補強材の形状であってもよい。