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特開2022-106772透明導電層および太陽電池を備えた装飾複合体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106772
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】透明導電層および太陽電池を備えた装飾複合体
(51)【国際特許分類】
   A44C 17/00 20060101AFI20220712BHJP
   H01L 31/054 20140101ALI20220712BHJP
【FI】
A44C17/00
H01L31/04 620
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066418
(22)【出願日】2022-04-13
(62)【分割の表示】P 2018535050の分割
【原出願日】2016-12-19
(31)【優先権主張番号】16150237.2
(32)【優先日】2016-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】511237737
【氏名又は名称】デー.スワロフスキー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】D.Swarovski KG
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガップ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】レーバー,アンネマリー
(72)【発明者】
【氏名】マイア,マティーアス
(72)【発明者】
【氏名】レクサー,フランツ
(72)【発明者】
【氏名】アルテンベルガー,エルンスト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電源として利用することができ、電子デバイスの機能を制御するのに適した宝石を提供することを目的とする。
【解決手段】開示された装飾部品は、
(a)凸状に湾曲した領域を有するファセット面を含む透明な宝石と、
(b)凸状に湾曲した領域を有するファセット面に設けられた透明導電層と、
(c)波長選択層であって、
(c1)ファセット面とは反対側の平坦な表面、および
(c2)光電池に、設けられた波長選択層と、
(d)光電池と、
(e)接触感応式の電気回路と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源および入力インターフェイスとして使用される装飾部品であって、
(a)凸状に湾曲した領域を有するファセット面を含む透明な宝石と、
(b)凸状に湾曲した領域を有する前記ファセット面に設けられた透明導電層と、
(c)波長選択層と、
(d)光電池と、
(e)コンデンサを含む静電容量式センサを有する接触感応式の電気回路と、を備え、
前記波長選択層は、前記宝石と前記光電池との間に設けられ、かつ(c1)前記宝石の前記ファセット面とは反対側の平坦な表面に、または(c2)前記光電池に設けられ、
使用時において、前記透明導電層に触られると前記コンデンサの容量が変化して信号が生成される、装飾部品。
【請求項2】
宝石は、ガラスまたはプラスティックで形成された、請求項1に記載の装飾部品。
【請求項3】
宝石は、平凸形状または平凸凹形状を有する、請求項1に記載の装飾部品。
【請求項4】
(b)透明導電層は、Cr、Ti、Zr、酸化インジウムスズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化ガリウム亜鉛、酸化チタン亜鉛、フッ素ドープ酸化スズ、酸化アンチモンスズ、酸化タンタルスズ、酸化チタンニオブ、またはこれらの化合物の任意の順序による任意の組合せのうちの少なくとも一種の化合物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項5】
(b)透明導電層は、湾曲ファセット面の少なくとも2つの分離した領域に設けられた、請求項1~4のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項6】
(b)透明導電層は、380~1200nmの波長領域において透明である、請求項1~5のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項7】
(b)透明導電層は、少なくとも60%の透過率を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項8】
(c)波長選択層は、波長選択コーティングまたは波長選択フィルムから選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項9】
(c)波長選択層は、少なくとも金属および/または金属化合物を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項10】
(c)波長選択層は、380~850nmの波長光の一部を反射する、請求項1~9のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項11】
(c)波長選択層は、光ビームの入射角が0°であるときに測定された場合、400~1200nmの波長帯域のうち反射間隔の外側にある帯域において、80%を超える平均透過率を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項12】
波長選択層は、Cr、Cr、Ni、NiCr、Fe、Fe、Al、Al、Au、SiO、Mn、Si、Si、TiO、Cu、Ag、Ti、CeF、MgF、Nb、Ta、SnO、ZnO、MgO、CeO、WO、Pr、Y;BaF、CaF、LaF、NdF、YF;ZrO、HfO、ZnS;Alの酸窒化物、Siの酸窒化物、およびSnZnOの酸窒化物、またはこれらの化合物の任意の順序による任意の組合せからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項13】
(d)光電池は、裏面電極型の太陽電池である、請求項1~12のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項14】
(e)接触感応式の電気回路は、静電容量型センサを有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項15】
電子デバイスの機能を制御し、電源を供給するための、請求項1~14のいずれか1項に記載の装飾部品の利用方法であって、
前記透明導電層に触れることで、前記コンデンサの容量を変化させて前記電子デバイスの機能を制御する信号を生成させ、
前記光電池によって、放射エネルギーを、前記電子デバイスに電源供給するための電気エネルギーに変換する、装飾部品の利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凸状に湾曲した領域を含むファセット面を有する透明本体部と、透明導電層と、太陽電池と、を備えた装飾部品(装飾エレメント)に関する。装飾部品は、ウェアラブル電子機器の技術分野において、電子部品を制御するためのエネルギー供給源(電源)として適したものである。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、宝石は、アクセサリおよび織物において、ほとんど専ら純粋に審美的な目的のために利用されてきたが、機能的な効果を備えるものは、あまりなかった。ウェアラブル(装着可能)な電子機器(いわゆる「ウェアラブル技術」)は、ユーザが審美性より機能性を追求するあまり、急速に成長する可能性のある市場を見失いつつある。ボディセンサ、「スマートウォッチ」またはデータメガネ(data glasses)などのウェアラブル技術における最大の課題の1つは、電源の確保であり、突然に電源が切れ、しばしば予想しないタイミングでデバイスが動作しなくなることである。とりわけ電子機器の機能性および審美性が融合した場合、電源確保に加え、機能制御も課題である。タッチスクリーン等として知られている接触感応式(タッチセンサー式)の電子回路は、指またはスタイラスを用いて、電子デバイスの心地よい機能制御性を実現するものである。電子デバイスの入力インターフェイスは、機能を起動させるタッチ(接触感覚)を与えるデバイス部品である。機能制御のための入力インターフェイスとして、デバイスの正確な接触感応式の電子制御性を実現するとともに、審美的な外観を提供する宝石は存在しない。
【0003】
米国特許出願公開第2013/03219402号明細書には、装飾部品のための内蔵式の太陽電池を用いて電源供給することが開示されている。
【0004】
米国特許第4,173,229号明細書には、治療効果のある電流を宝石着用者の体内に通電するために、ブレスレッドおよびネックレスに太陽電池を設けることが記載されている。
【0005】
独国実用新案公開第20303952号明細書には、宝石を固定するための「警報固定具」に太陽電池を利用することが提案されている。
【0006】
米国特許第7,932,893号明細書には、コンピュータのカーソルを制御する機能を有する接触感知式センサを備えた腕時計が開示されている。
【0007】
米国特許第6,868,046号明細書には、静電容量式の鍵を備えた腕時計が開示されている。静電容量式の鍵は、指を用いて手動で操作され、時計の針を制御することが記載されている。
【0008】
米国特許出願公開第2004/065114号明細書には、宝石とその台座との間を電気的に接続するための電気的接続部を備えた宝石台座が開示されている。この接続部は、ワイヤを用いて実現されいる。
【0009】
仏国特許出願公開第1221561号明細書には、リン光性発光材料を用いて照明可能な装飾部品が開示されている。
【0010】
国際特許出願公開第2010/075599号明細書には、透明導電層で被膜された透明材料で構成された本体部が開示されている。透明導電層を用いて、無機半導体チップのLEDに導通させる。
【0011】
米国特許出願公開第2015/0313329号明細書には、近接スイッチを起動させることにより照らすことができる宝石が開示されている。
【0012】
欧州特許出願第14 191 386号明細書は、美的に洗練された太陽電池を含む宝石に関するものである。接触感応式の電子入力インターフェイスとして機能する宝石は知られていない。本発明は、電源として利用することができ、電子デバイスの機能を制御するのに適した宝石を提供することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/03219402号明細書
【特許文献2】米国特許第4,173,229号明細書
【特許文献3】独国実用新案公開第20303952号明細書
【特許文献4】米国特許第7,932,893号明細書
【特許文献5】米国特許第6,868,046号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/065114号明細書
【特許文献7】仏国特許出願公開第1221561号明細書
【特許文献8】国際特許出願公開第2010/075599号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2015/0313329号明細書
【特許文献10】欧州特許出願第14 191 386号明細書
【発明の概要】
【0014】
本発明に係る第1の主題は、装飾部品に関し、この装飾部品は、
(a)凸状に湾曲した領域を有するファセット面(ファセットカットされた表面)を含む透明な宝石と、
(b)凸状に湾曲した領域を有するファセット面に設けられた透明導電層と、
(c)波長選択層であって、
(c1)ファセット面とは反対側の平坦な表面、および
(c2)光電池に、設けられた波長選択層と、
(d)光電池と、
(e)接触感応式の電気回路と、を備える。
【0015】
好適な実施形態では、構成要素(a)~(d)は、接着剤を用いて接合される。
【0016】
さらに本発明は、とりわけウェアラブル電子デバイスの電源供給および/または機能制御するための装飾部品の利用に関する。また本発明は、装飾部品を含む物品に関する。有利なことに、装飾部品は、例えばいわゆる「アクティビティ・トラッカー(活動量計)」に利用することができ、本発明は、こうした装飾部品の利用にも関する。さらなる可能性のある用途については、後述する。
【0017】
驚くべきことに、凸状湾曲領域を有するファセット面を含む透明な宝石、波長選択層、および光電池の組合せは、さまざまな目的のための電源および入力インターフェイスとして適していることが確認されている。本発明において、光電池、光起電力(PV)素子および太陽電池の用語は、置換可能に用いられる。本発明に係る複合体は、改良された電源供給特性を有するとともに、同時に輝き(ブリリアンシー)の高い宝石でもあり、さらに電子デバイスの機能を制御するのに適したものである。
【0018】
本発明による組合せは、電源、機能制御のための入力インターフェイス、および宝石として、デザイン分野および技術分野において、さまざまな利用可能性を提供するものである。以下本願では、凸状に湾曲した領域を有するファセット面(ファセットカットされた表面)を含む透明な宝石を「光学部品」という。装飾部品は強く輝き、電源および入力インターフェイスとしてだけでなく、装飾部品としても利用することができる。「透明性」という用語は、電磁波を透過させる物質の特性を意味する(透過率)。物質が、それなりの広い範囲の波長領域の入射電磁放射線(光子)に対して透明である場合、放射線は材料をほぼ完全に透過することができ、すなわちほとんど反射せず、ほとんど吸収されない。本発明によれば、「透明性」は、入射光の少なくとも60%、好適には70%を超える、より好適には80%を超える透過率を意味する。本発明によれば、「ファセット(ファセットカットすること)」とは、多角形またはいわゆるn角形(n>3)を有するように宝石の表面のデザインすることを意味し、ファセットは、通常、ごつごつとした結晶を研磨することによって成形されるが、プレス方法によっても成形することができる。「凸状」および「凹状」の用語は、ファセット面の上または下の仮想的な包絡線に関連するものであり、その定義は、光学分野のレンズを類推することにより理解される。
【0019】
装飾部品(複合体)の可能性のある構造として、図1(a)および図1(b)に図示され、参照符号(1)~(11)は以下の構成要素を示す。
(1)凸状湾曲領域を有するファセット面を含む透明な宝石
(2)光電池
(3)波長選択層
(4)接着剤
(5)透明導電層
(5.1)~(5.6)透明導電層の部分的領域
(6)導電接続部
(7)評価センサシステム
(8)指またはスタイラスの移動方向
(9)矢印方向の動き
(10)変更された矢印方向の動き
(11)装飾部品の全体
【0020】
本発明によれば、好適には、透明導電層(後述)が宝石の湾曲したファセット面に設けられている(図1a)。透明導電層(5)は、本発明では空間的に分離して積層されるため、図1aでは不連続に図示されている(後述)。本発明に係る1つの実施形態では、波長選択コーティング(後述)は、ファセット面(図1a)とは反対側の平坦な表面の上に直接的に設けることができる。本発明の別の実施形態では、波長選択コーティングは、宝石(1)に接合された太陽電池の上に配置されている(図1b)。個々の部品の接着剤による接合は必須のものではないことに留意されたい。
【0021】
本発明によれば、波長選択層は、原理的には、透明導電層とファセット面の間にあるファセット面に設けてもよいが、輝きが小さくなる可能性があるので、これはあまり好ましいものではない。波長選択層が宝石の平坦な面に設けられた場合、宝石内で複数回の反射が生じ、輝き(ブリリアンシー)を増大させることができる。また光電池は、光学部品に直接的に半導体材料を積層または蒸着させることにより形成してもよく、必ずしも接着剤を用いて接合する必要はない。
【0022】
装飾部品は、「ウェアラブル技術」の分野におけるさまざまなデバイスを、電源自給自足式に機能させる可能性、または入射光の関数として実働時間を大幅に増大させる可能性を提供するものである。
【0023】
装飾部品を評価センサシステム(後述)に接続することにより、電子デバイスの機能を制御することができる。導電層を、指または導電性のスタイラスで触ることにより、電子デバイスの機能を制御する信号を生成することができる。特に、ウェアラブル電子デバイスにおいて、電子デバイスの寸法が小さいことから、その機能を制御することは、1つの課題となっている。本発明に係る装飾部品は、輝度を増大させるとともに、併せて明確な入力インターフェイスを提供するものである。
【0024】
装飾部品の1つの用途は、例えばリング(指輪)およびイヤリングであり、これらは宝石として機能すると同時に、通信ユニットを含む一体式の測定センサシステムのための必要な電源を供給するものである。こうしたシステムは、例えば、血液中の乳酸塩、グルコースまたはメラトニンを経皮的に光学測定するように機能させることができる。測定センサシステムの機能を制御するために、装飾部品を利用してもよい。例えばスイッチオン機能、スイッチオフ機能、異なる動作モード間のスイッチング機能等、さまざまな機能制御の可能性を想定することができる。
【0025】
また、数多くの装飾部品を直列または並列に接続することができるので、携帯電話、ラップトップコンピュータ、GPSシステム、またはタブレットコンピュータなどの携帯デバイスを部分的に充電することもできる。本発明に係る装飾部品は、例えば、宝石の色彩変化、いわゆる「スマートウォッチ」のディスプレイ機能等、いわゆる切替可能な効果を実現するための電源を提供することができる。切替可能な効果は、装飾部品および適当な評価センサシステム(後述)を用いて、装飾部品の透明導電層を指等で触ることにより制御することができる。また装飾部品の透明導電層を触ることにより、例えば宝石の色彩を変化させることができる。
【0026】
例えばスマートウォッチまたは活動センサまたは活動量計に電源を供給するために、1つまたは複数の装飾部品をブレスレットと一体化してもよい。装飾部品が特定の設定(接続部)を介して内部結線すると、装飾部品の内部配線の高い信頼性を実現することができる。例えば特定のスプリングバー(主に腕時計の場合)またはポゴピンを介して、装飾部品から電源を必要とする生産部品へ電源を供給することができる。複数の装飾部品を用いる場合、それぞれの装飾部品を用いて機能を制御することができる。機能を制御するために、装飾部品を互いに電気的に接続して、複数の宝石を連続的に触ることによってのみ、例えばディスプレイの明るさや、スピーカの音量を調整するといった機能を(後述)制御することができる。
【0027】
[凸状湾曲領域を有するファセット面を含む透明な宝石]
宝石は、例えば、透明なガラス、プラスティック、透明なセラミックまたは透明な宝石もしくは半貴石等、さまざまな材料で成形することができる。ガラスまたはプラスティックで成形された、ファセットカットされた透明宝石は、最も安価であり、最も容易に加工することができるので、本発明では好ましい。本発明ではガラスを使用することが特に好ましい。宝石は、凸状または凸凹状に湾曲した領域を有する。これは、ファセット面上の凸状湾曲領域に加えて、凹状領域も存在し得るということを意味する。宝石のファセット面とは反対側の表面は、(好適には)平坦であるか、あるいは凹状である。本発明によれば、平凸形状または平凸凹形状を有する宝石は、結晶性の太陽電池を最も安価に適用することができるので好ましい。特に好ましいのは、凸状、特に平凸形状の宝石である。
【0028】
[ガラス]
本発明は、ガラスが透明であるならば(上記参照)、原則的に、ガラスの組成に限定されない。「ガラス」とは、非晶質固体を構成する凍結した過冷却液体を意味する。本発明によれば、酸化物ガラスならびにカルコゲナイドガラス、金属ガラスまたは非金属ガラスの両方を利用することができる。オキシ窒化物ガラスもまた適している。ガラスは、一成分ガラス(例えば、石英ガラス)、二成分ガラス(例えば、ホウ酸アルカリガラス)または多成分(ソーダ石灰ガラス)ガラスであってもよい。ガラスは、溶融法、ゾル-ゲル法、または衝撃波によって作製することができる。これらの方法は当業者に知られている。本発明によれば、無機ガラス、特に酸化物ガラスが好ましい。これらには、ケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラスまたはリン酸塩ガラスが含まれる。鉛フリーガラスが特に好ましい。
【0029】
ファセットカットされた透明な宝石を作製するためには、シリカガラスが好ましい。シリカガラスは、一般に、そのネットワークが主に二酸化ケイ素(SiO)によって形成されている。アルミナまたはさまざまなアルカリ酸化物等のさらなる酸化物を添加することによって、アルモシリケートガラスまたはアルカリシリケートガラスが形成される。五酸化リンまたは三酸化ホウ素が、ガラスの主なネットワーク形成物質であるとき、こうしたガラスは、それぞれリン酸塩ガラスまたはホウ酸塩ガラスと呼ばれ、その特性は酸化物をさらに添加することによって調整することもできる。本発明において、これらのガラスも同様に利用することができる。上述のガラスは主に酸化物からなるため、総称して酸化物ガラスと呼ばれる。
【0030】
本発明に係る好適な実施形態において、ガラス組成物は以下の成分を含む。
(a)約35%~約85重量%のSiO
(b)0~約20重量%のK
(c)0~約20重量%のNa
(d)0~約5重量%のLi
(e)0~約13重量%のZnO
(f)0~約11重量%のCaO
(g)0~約7重量%のMgO
(h)0~約10重量%のBaO
(i)0~約4重量%のAl
(j)0~約5重量%のZrO
(k)0~約6重量%のB
(l)0~約3重量%のF
(m)0~約2.5重量%のCl
【0031】
上述の各重量%は、任意的なさらなる組成物と併せて、合計100重量%となると理解されたい。宝石のファセットカットは、通常、当業者が十分に精通している研磨技術および仕上加工技術によって行われる。
【0032】
例えば、鉛フリーガラス、特にスワロフスキー社がChessboard Flat Backs(カタログ番号2493)に使用しているガラスは、380~1200nmの波長領域で95%を超える透過率を有し、本発明において適したものである。
【0033】
[プラスティック]
(a)ファセットカットされた透明な宝石を作製するための別の原材料として、透明なプラスティックを用いることができる。モノマーの硬化後、透明となるすべてのプラスティックは、本発明において適したものであり、これらは当業者には十分に知られたものである。なかでも、以下の材料が用いられる。
・アクリルガラス(ポリメチルメタクリレート、PMMA)
・ポリカーボネート(PC)
・ポリ塩化ビニル(PVC)
・ポリスチレン(PS)
・ポリフェニレンエーテル(PPO)
・ポリエチレン(PE)
・ポリ-N-メチルメタクリルイミド(PMMI)
【0034】
ガラスに比して透明プラスティックの利点は、とりわけ比重が小さいことであり、ガラスの約半分の比重しかない。他の材料特性も選択的に調節することができる。さらにプラスティックは、ガラスに比べ、加工がより容易である場合が多い。欠点としては、ガラスと比較して、弾性率が低く、表面硬度が低く、さらには約70℃以上の温度で強度が大幅に低下することである。本発明に係る好適なプラスティックは、ポリ-N-メチルメタクリルイミドであり、これは、例えばEvonik社のPleximid(登録商標)TT70として市販されている。Pleximid(登録商標)TT70は、1.54の屈折率、およびD65標準光を用いたISO 13468-2に従って測定したとき91%の透過率を有する。
【0035】
[形状]
ファセットカットされた透明な宝石のデザイン形状は、原則的には制限されず、主にデザインの態様に依存する。宝石は、好ましくは正方形、矩形または円形である。ファセットカットされた透明な宝石は、好ましくは凸形状、特に平凸状(図1aおよび図1b参照)を有する。好適には、宝石は、好ましくは凸状湾曲面上に複数のファセット面(ファセットカットされた面)を含み、エネルギー収量(光量)の最大化に寄与するため、好ましくは矩形ファセット面、特に正方形ファセット面を有する。宝石は、凸状領域および任意的に追加された凹状領域を有し、全体の表面を増大させることによって光量を増大させることができる。透明導電層および波長選択層(後述)は、入射光の一部を反射または吸収するので、光量に悪影響を与えるが、特定の凸状領域および任意的な凹状領域を含む形状をファセット面と組み合わせることにより、光量の損失を補うことができる。特に、宝石の凸形状は、太陽電池のエネルギー収量の角度依存性の実質的な低減に寄与する。とりわけウェアラブル電子機器において、光源に対する方向付けがほとんど不可能である場合、角度依存性の低減は極めて重要である。凸形状とファセット面を組み合わせることにより、光起電力素子の表面に光ビームを集光させ、エネルギー収量を実質的に増大させる。同時に、角度依存性は、太陽電池を密封するために通常用いられる薄いプレートと比較して、劇的に低減する。ファセット面と、これに付随する追加的な領域と組み合わされた凸状湾曲形状により、装飾部品に入射する光ビームが太陽電池の法線に向かって屈折する。ファセット面により光ビームが多重反射するため(光閉じ込め効果)、光収量が増大する。
【0036】
本発明に係る好適な実施形態では、凸状領域の面積比率は、宝石のファセットカットされた表面全体の1/3未満である。この場合、凸凹形状の光収量は、凸形状のみの光収量と同様である。これはシミュレーションによって示すことができる(後述)。
【0037】
ファセット面のタイプは、光学部品の形状と密接な関係がある。原則的には、ファセット面の幾何学的形状は限定されない。本発明によれば、正方形または矩形のファセット面が好ましく、特に、透明な宝石と正方形または矩形で平凸の幾何学的形状とを組み合わせることが好ましい。ただし、ファセットカットされ、丸みを帯びた宝石を用いてもよい。
【0038】
[センサ]
指または導電性スタイラスを用いた電子デバイスの機能の制御は、例えばタッチスクリーン等に用いられる接触感応式の電子回路によって実現することができる。好適には、本発明によれば、電子センサを有する電子回路は、静電容量式センサを備える。いわゆる静電容量式のセンサシステムは、接触感応式の電子回路として適している。静電容量式センサは、コンデンサおよび入力インターフェイスを有する電子部品を備える。装飾部品における入力インターフェイスは、導電層を有する宝石である。指または導電性スタイラスを用いて、入力インターフェイスを触ると、コンデンサの静電容量が変化する。こうした変化を電気的に検出し、別の電子制御部品を用いてさらに処理する。静電容量式センサおよび別の電子制御部品は、「評価センサシステム」と呼ばれる。
【0039】
好適には、電気的な導通により、入力インターフェイスとセンサとの間の接続が実現される。これには、機能制御に悪影響をもたらさないという利点がある。本発明によれば、例えばポゴピンを用いて、電気的に導通させることができる。ポゴピンは、導電層にばねの圧力を加えることにより、電気的な導通を実現する。択一的には、導電性の宝石台座を用いて、導通させてもよい。例えば、宝石台座の導電性部分は、宝石を保持する機能を有する。導電層と宝石台座の導電性部分との間を接続することにより、導通させることができる。
【0040】
択一的には、例えば3M社(登録商標)から市販されている型番5303 R-25μ、型番5303 R-50μの導電性接着剤、3M社(登録商標)から市販されている型番7379の異方性導電フィルム、またはFuji Polymer Industries社から市販されているSilver Zebra(登録商標)コネクタを用いて電気的な導通を実現してもよい。ワイヤ接続を用いて、電気的な導通を実現してもよい。電気的導通のための可能な手段は、当業者に知られている。
【0041】
[プッシュ式およびスライド式の入力]
透明導電層を用いた評価センサシステムの機能制御は、さまざまな方法で実現することができる。1つの実施形態は、プッシュ式の入力手段である。プッシュ式の入力手段は、例えば評価センサシステムの機能である電子デバイスのスイッチオンまたはスイッチオフ(図2a)を、指または導電性スタイラス(8)で導電層に触ることにより作動させることができる。プッシュ式の入力手段では、透明な宝石の湾曲したファセット面の全体を透明導電層で覆う必要はない。透明導電層は、湾曲したファセット面の一部領域のみを覆うものであってもよい。
【0042】
透明導電層が宝石の湾曲したファセット面の少なくとも2つの分離した領域に配置された場合(図2bおよび図2cの破線で図示)、および2つの分離した領域が異なる機能を有する場合、透明導電層の各領域と評価センサシステムとの間を電気的に導通接触させることが必要である。一方の領域は、スイッチオンおよびスイッチオフを機能させ、他方の領域は、例えば動作モード間の切替を可能にするものであってもよい。これは、機能制御に関する数多くの可能性をもたらすものである。装飾部品は台座に備え付けられる場合が多いので、例えば(上述の)台座を介して、導通接触を実現してもよい。
【0043】
スライド式の入力手段は、機能制御の別の可能性である。このタイプの入力手段では、透明導電層を湾曲したファセット面の少なくとも2つの分離した領域に配置する必要がある(図2bの破線で囲った矩形領域5.1および5.2、図2cの破線で囲った矩形領域5.3、5.4および5.5を参照)。複数の分割領域を予め設定された順序で指または導電性スタイラスによって触ることにより機能制御することができる(図2a、図2bおよび図2cの参照符号8)。指または導電性スタイラスは、矢印の方向に動く(図2bおよび図2cの参照符号9および10)。この簡単な入力方法は、スマートフォンでも知られている。
【0044】
したがって、プッシュ式およびスライド式の入力手段の両方において、少なくとも2つの分離した領域に配置された透明導電層は、簡単な機能制御である点で有用である。したがって、透明導電層は、宝石の湾曲したファセット面の少なくとも2つの分離した領域に配置されることが好ましい。また、プッシュ式およびスライド式の入力手段、例えば空間的に分離した領域5.3、5.4および5.5によるスライド式の入力手段と、領域5.5によるプッシュ式の入力手段とを1つの装飾部品に組み込むと、機能制御のさらなる可能性が得られる。プッシュ式およびスライド式の入力手段において、複数の装飾部品を互いに接続しておき、例えば別々の装飾部品を連続的に触ることにより機能させてもよい。
【0045】
本発明に係る装飾部品は、プッシュ式および/またはスライド式の入力手段を備え、例えばブレスレット、リング(指輪)、ネックレス、ブローチ、ポケット、ヘッドセット、または活動量計に採用することができる。ブレスレット、リング、ネックレス、またはブローチ等のジュエル(宝石類)が電子デバイスを含むものであってもよい。こうした電子デバイスは、例えば照明効果等の切替可能な機能を有し、スマートフォン、ヘッドセット、または活動量計などに利用することができる。例えば、装飾部品を触ることにより、スマートフォンのコールを受信し、拒否し、ヘッドセットの音量を調整し、活動量計の複数の動作モード間で切り替えるといった機能制御が実現できる。機能制御の適用分野および可能性について、単なる例示として説明したが、さまざまな制御可能な機能を実現することができる。
【0046】
[透明導電層]
透明導電層は、評価センサシステムとの接続により、電子デバイスの機能を制御することができる。本発明によれば、好適にも、指またはスタイラスを用いて透明導電層に軽く触ることができるように宝石の湾曲したファセット面に形成されている。透明導電層の透明性は、輝き特性(ブリリアンシー特性)および太陽電池の性能の両方に影響を与える。したがって透明導電層は、好適には380~1200nmの波長領域で透明であり、より好適には380~850nmの波長領域で透明である。本発明によれば、透明導電層は、好適には少なくとも60%、より好適には少なくとも70%、さらにより好適には少なくとも80%の透過率を有する。
【0047】
その導電率を得るために、導電層として金属層が適している。金属層は、例えばスパッタリング法(後述)等の適当な被膜方法を用いて宝石の上に積層することができる。Cr、Ti、Zr、V、Mo、Ta、W等の金属が適している。Al、Cu、またはAg等の金属は、化学的安定性が低いので、導電層としてはあまり有用ではない。導電性を有する化学化合物、例えばTiN、TiAlN、またはCrN等の窒化化合物を導電層として用いてもよい。導電層の透明性は、積層された層の厚みおよび数により調整することができる。金属層および導電性を有する化学化合物は、当業者に広く知られている。
【0048】
透明な導電性を有する酸化物層を透明導電層として利用するすることができる。こうした酸化物層は、当業者に知られている。透明な導電性酸化物層は、良好な機械的な耐摩耗性、良好な耐薬品性、および良好な温度安定性を有する。透明な導電性酸化物層には、半導体酸化物が含まれる。半導体酸化物には、適当にnドープすることにより得られる。透明な導電性酸化物層は、平坦なスクリーン(フラットスクリーン)または薄膜太陽電池の透明電極において重要な構成要素である。
【0049】
酸化インジウムスズ(ITO)は、技術的に最も容易に入手可能な透明導電層である。約90%のInと約10%のSnOの混合酸化物が市販されている。酸化インジウムスズは、極めて良好な透過性、極めて良好な機械的な耐摩耗性、および極めて良好な耐薬品性を有する。好適には、導電性を得るためには、酸化インジウムスズは、少なくとも4nmの膜厚で積層される。
【0050】
アルミニウムドープ酸化亜鉛は、透明な導電性酸化物層として、良好な透過性および良好な機械的な耐摩耗性を有する。大量生産の規模で、例えば太陽電池の技術分野において採用することができる。さらに適当な透明導電性酸化物層は、酸化ガリウム亜鉛または酸化チタン亜鉛等のドープ酸化亜鉛、またはフッ素ドープ酸化スズ、酸化アンチモンスズ、酸化タンタルスズ、またはドープ酸化チタンニオブ等のドープ酸化スズを含む。
【0051】
本発明によれば、導電層は、好適には、Cr、Ti、Zr、酸化インジウムスズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化ガリウム亜鉛、酸化チタン亜鉛、フッ素ドープ酸化スズ、酸化アンチモンスズ、酸化タンタルスズ、酸化チタンニオブ、またはこれらの化合物の任意の組合せのうちの少なくとも一種の化合物を含む。より好適には、酸化インジウムスズのみが導電層として積層される。
【0052】
導電層の積層方法は、当業者に広く知られている。その積層方法は、これに限定されるものではないが、PVD(物理的気相成長法)およびCVD(化学的気相成長法)を含む。本発明では、PVD(物理的気相成長法)が好ましい。
【0053】
PVD(物理的気相成長法)は、当業者に広く知られた真空蒸着法または薄膜技術であり、特に光学産業およびジュエリー産業においてガラスおよびプラスティックに被膜するために利用されている。PVD(物理的気相成長法)において、被膜材料が気相に相転移する。そして気相材料は、基板に案内されて被膜され、凝結し、目標とする層を形成する。これらのPVD(物理的気相成長法)のいくつか(マグネトロンスパッタリング法、レーザビーム消散法、熱気相成長法等)を用いて、極めて低い処理温度を実現することができる。このように、数多くの金属を極めて純粋な態様で積層することができる。こうした処理を、例えば酸素等の反応ガスの存在下で行うと、例えば金属酸化物が同様に積層される。本発明に係る好適な方法は、例えばEvatecから市販されているRadiance装置を用いたスパッタリングによる被膜方法である。典型的な層システム(層系)は、機能および視覚的様相の要請に応じて、1層だけでなく複数の層で構成されるものであってもよい。
【0054】
湾曲したファセット面に透明導電層の分割領域を形成するために(上記参照)、宝石をマスクで覆う。マスクは、湾曲したファセット面に複数の領域を露出させ、露出させた領域に導電層が積層される。例えばプラスティックまたは金属のカバーが、マスクとして適している。湾曲したファセット面に透明導電層の分割領域を形成するための択一的な実現可能な方法は、例えばNd:YAGレーザまたは超短パルスレーザ等のレーザを用いて、導電層を切断して、分割領域を形成することである。レーザを利用することにより、分割領域を極めて精緻に形成することができる。またエッチングにより、透明導電層を分割してもよい。エッチング工程は、例えばフォトレジストを用いて、導電層上にマスクを形成することを含む。エッチング工程によれば、透明導電層の空間的な分割領域を所望の領域に形成することができる。フォトレジストは、例えば湿式化学法を用いて、実質的に除去される。この方法は当業者に広く知られている。
【0055】
[波長選択層]
波長選択層により、装飾部品に輝き(ブリリアンシー)を与えることができる。波長選択層は、好適には、凸状湾曲領域を含むファセットカットされた透明な宝石と光起電力部品との間に設けられる。本発明によれば、好適には、波長選択層は、PVD法、CVD法、または湿式化学法によって形成された波長選択フィルムまたは波長選択コーティングによる2つの異なる方法で形成される。しかしながら、波長選択層は、同様に微細構造表面により得ることができる。微細構造形成方法は、当業者には広く知られている。
【0056】
所与の範囲の可視スペクトル(可視光)を反射させると(フィルタリング)、光学部品は輝き(ブリリアンシー)を得て、看者に特定の色彩を呈する。輝きは、宝石のファセットカットによってさらに引き出される。本発明に係る好適な実施形態では、波長選択層は、380~850nmの波長光の一部、すなわち主に可視領域の光の一部を反射する。反射される光の一部とは、可能な限り狭い波長帯域にある可視スペクトル(可視光)、典型的にはわずか50~250の波長帯域にある可視スペクトル(可視光)である。この光の一部は、輝き(ブリリアンシー)に関し、装飾部品を宝石として機能させる上で十分なものである。一方、反射された波長領域の光のエネルギー収量の損失は極力抑えられる。したがって本発明によれば、波長選択層は、380~850nmの波長光帯域のうち、入射光の少なくとも50%を50~250nmの幅の反射間隔で反射することが好ましい。反射間隔は、好適には50~200nmであり、より好適には50~150nmである。別の好適な実施形態では、波長選択層は、光ビームの入射角が0°であるときに測定された場合、400~1200nmの波長帯域のうち反射間隔の外側にある帯域において、60%、好適には80%を超える平均透過率を有する。波長選択層は、好適には、宝石のファセット面とは反対側の表面に設けられ、択一的には、光起電力素子に直接的に設けてもよい。
【0057】
光電池(太陽電池)は、太陽スペクトル(太陽光)の一部のみを利用することができる。波長選択層は、フィルタとして作用するが、好適には、赤外領域にあり、太陽電池が利用できないスペクトル(波長光)の一部をさらに反射することにより、太陽電池がさらに加熱されることを防止する。
【0058】
通常、太陽電池は、温度が1度上昇するごとに0.47%のエネルギー損失が生じるため、コーティングの適正な選択が極めて重要となる。入射光の波長が短いほど、光子のエネルギーは高くなる(E=h・ν[eV])。シリコン太陽電池の場合、p/n接合から電子-正孔対を生成するために、1.1eVのエネルギーが、必要とされ、余剰エネルギーは熱に変換される。例えば、400nmの光エネルギーに相当する3.1eVを有する光子が太陽電池セルに衝突すると、2eVが熱エネルギーに変換され、エネルギー収率が低減する。したがって、本発明によれば、短波長の青色領域または緑色領域の光(波長:380~490nm)により生じる熱が最も大きくなるため、こうした短波長光を反射することが特に有利である。波長選択層は、原理的には、さまざまな色で輝く装飾部品を実現することができる。しかしながら、エネルギー収率を最適化するためには、波長選択層は、可視スペクトルの短波長領域にある光の一部を反射することが好ましい。
【0059】
波長選択層は、反射光の角度依存性を有する。反射間隔は、ファセット面に入射する光の角度の関数として変化する。ファセット面の位置に依存するが、ファセット面からファセット面へ色彩が徐々に変化して、虹色のような効果が実現され、これはファセット面を含まない平凸レンズでは実現できないものである。
【0060】
UV硬化性接着剤を用いて、装飾部品の個々の構成要素の接合を可能にするために、波長選択層は、紫外光(UV光)に対して少なくともある程度透明であることが好ましい。
【0061】
[波長選択フィルム]
波長選択フィルムは、「Radiant Light Film」の名称で市販されている。これらは、他の材料に貼付可能な多層ポリマーフィルムである。これらの光学フィルムは、ブラッグミラーであり、可視光を高い反射率で反射し、鮮やかな色彩効果を生じる。数百ナノメートルの範囲内のレリーフ状の微細構造体は、異なる波長光を反射し、干渉現象が生じ、視野角の関数として色彩を変化させる。
【0062】
本発明に係る特に好適なフィルムは、その最も外側にある層(最外層)がポリエステルである多層ポリマーフィルムからなる。このようなフィルムは、例えば3M社からRadiant Color Filmの型番CM 500および型番CM 590として市販されている。フィルムの反射間隔は、590~740nmまたは500~700nmである。
【0063】
波長選択性フィルムは、好適には接着剤を用いて、光電池およびファセットカットされた透明な宝石に接合される。接着剤も同様に透明である必要がある。好適な実施形態では、接着剤の屈折率と、凸形状を有するファセットカットされた透明本体部の屈折率との差異は、±20%未満である。特に好適な実施形態では、この差異は10%未満であり、より好適には5%未満である。これは、異なる屈折率に起因した反射損失を最小限に抑えることができる唯一の方法である。それぞれの境界層を粗面化することにより、互いの屈折率を適合させることができる(モスアイ効果)。いわゆる「モスアイ表面」は、理想的な場合、光の屈折率を急激に変化させるのではなく、緩やかに変化させる微細な突起状構造物で構成される。こうして、屈折率が急激に変化する急峻な境界が除去されるので、屈折率変化はほとんど滑らかとなり、光は妨げられることなく、透過することができる。そのために必要な構造物の大きさは、300nmより小さくなければならない。モスアイ効果は、確実に、境界層での反射を最小限に抑え、境界層でより多くの光を透過させることができる。
【0064】
本発明によれば、UV照射により硬化可能な接着剤が好ましい。UV硬化性接着剤および屈折率を特定する方法は、当業者に広く知られている。とりわけ本発明によれば、アクリレート接着剤、特に変性ウレタンアクリレート接着剤を用いることが好ましい。これらの接着剤は、数多くの企業、例えばDelo-Photobond(登録商標)の型番PB 437という名称でDelo社によって販売されており、320~42nmの波長帯域のUV光で硬化できる接着剤である。
【0065】
[波長選択コーティング]
コーティング材料は、当業者に広く知られている。本発明に係る好適な実施形態において、波長選択コーティングは、任意の順序で、金属および/または金属化合物の少なくとも一種を含み、金属化合物は、金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物、金属炭化物またはこれらの化合物の任意の順序による任意の組み合わせであって、既知の1つのコーティング方法によりファセットカットされた宝石に形成されるものである。さまざまな金属または金属化合物の連続した複数の層を積層することができる。コーティングを形成する方法およびコーティングそのものは、当業者に広く知られている。これらの方法には、中でも、従来技術に係るPVD(物理的気相成長法)、CVD(化学的気相成長法)、塗装コーティング法、および湿式化学法が含まれる。本発明では、PVD(物理的気相成長法)が好ましい(上記参照)。
【0066】
本発明によれば、適当なコーティング材料としては、中でも、Cr、Cr、Ni、NiCr、Fe、Fe、Al、Al、Au、SiOx、Mn、Si、Si、TiOx、Cu、Ag、Ti、CeF、MgF、Nb、Ta、SnO、ZnO、MgO、CeO、WO、Pr、Y;BaF、CaF、LaF、NdF、YF;ZrO、HfO、ZnS;Alの酸窒化物、Siの酸窒化物、およびSnZnOの酸窒化物が挙げられる。
【0067】
波長選択コーティングが導電性を有する場合、例えばCr、Ni、Al、Au、Mn、Si、Cu、またはAg等の金属コーティングである場合、導電層と導電性の波長選択コーティングとが直接的に接合されたとき、干渉電流が生じることがある。干渉電流は故障電流であって、導電層と導電性の波長選択コーティングとを接続することにより生じるものである。例えばスライド式の入力手段において、故障電流が流れる場合がある。プッシュ式の入力手段では、導電層の複数の部分領域が異なる機能を有する場合(上記参照)、故障電流が流れ得る。したがって、導電層が導電性の波長選択コーティングに接続された場合、導電性の波長選択コーティングは、これを複数の部分領域に分割することにより電気的に絶縁されることが好ましい。導電性の波長選択コーティングの複数の部分領域を形成する方法は、当業者に広く知られている(上記参照)。
【0068】
波長選択コーティングを形成するために、吸収材料を用いて、その吸収特性に起因して、可視光全体のうちの一部のみの波長光を選択的に透過または吸収することにより色彩を呈する。本発明によれば、好適には層システムが適しており、層システムは、例えばTiO層およびSiO層の多層構造体等の誘電材料で構成され、その干渉現象に起因して、可視光全体のうちの一部のみの波長光を透過または吸収することにより色彩を呈する。本発明の特に好適な波長選択コーティングは、TiO層およびSiO層を交互に12層に積層した多層構造体であり、その膜厚は約20~約145nmの範囲で変化する。本発明によれば、好適には、380nmおよび480nmに遷移域を有するいわゆるバンドストップフィルタであり、380~480nmの波長領域(すなわち反射間隔)で、光の大部分が透過する。積層数と厚みを調整することにより、別の遷移域を有するバンドストップフィルタを作製することができる。例えばEvatec社の型番BAK1101等、市販されているさまざまな装置を用いて、PVD積層体を作製することができる。
【0069】
[光起電力素子]
光起電力素子(太陽電池)は、短波長放射エネルギー(通常、太陽光である)を直接電気エネルギーに変換する電子部品である。採用できる太陽電池の種類は、要求されるエネルギー供給量および特定の用途に依存する。本発明の用途において、無機太陽電池が特に適している。無機太陽電池は、半導体材料、最も一般的にはシリコンから製造される。さらに、特に、テルル化カドミウム、銅インジウムガリウムジセレニドおよびガリウムヒ素が用いられる。いわゆるタンデム太陽電池では、異なる半導体層、例えばインジウムガリウム砒素とインジウムガリウムリンとを組み合わせたものが用いられる。
【0070】
構成材料に加えて、太陽電池の構造が重要である。例えば、構成材料を組み合わせる積層技術を用いて、太陽電池全体の作製効率を高めることができる。入射太陽光が最大限に利用されるように、構成材料が選択される。理論的に実現可能な変換効率は、約43%であるが、実際の標準的な太陽電池では、約15~20%しか達成されていない。エネルギー損失は、熱生成を伴う電荷キャリアの再結合や、光の反射、および直列抵抗に起因して生じる。最大電力(最大電力点、電力調整)での電圧は、最も一般的なセル(結晶質シリコン太陽電池セル)で約0.5Vである。
【0071】
近年において、できるだけ多くの光が吸収され、できるだけ多くの自由電荷キャリアが活性層で生成されるように、太陽電池の構造が最適化されている。すなわち、反射防止層が太陽電池の上面に設けられ、その下面には鏡面化されている。反射防止層は、太陽電池の典型的な青色から黒色を呈する。反射防止層は、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、および二酸化チタンで作製される場合が多い。反射防止コーティングの膜厚も同様に彩色(干渉色)を決定付ける。ナノメートルスケールのばらつきが反射率を増加させるので、膜厚を均一にすることが重要である。反射光が青いのは、シリコンの好適な吸収波長であるスペクトルの赤色領域に、反射防止コーティングを調整しているためである。窒化ケイ素および二酸化ケイ素等の構成材料で構成された反射防止層は、パッシベーション層としての機能をさらに有し、より多くの電荷キャリアが発電に利用できるように、表面での電荷キャリアの再結合を低減するものである。前面接触フィンガが太陽電池の裏面に取り付けられている場合、発電効率はさらに改善される。こうして、10%未満の表面が金属コンタクトにより覆われるため、活性領域がより小さくなって、光の収量がより少なくなるので、表面に影を作ることを回避できる。さらに後面接触フィンガは、前面接触フィンガに比して、より容易に導通させ、エネルギー損失をより少なくすることができる。本発明では、裏面で接触させた太陽電池が好ましい。こうした、いわゆる裏面電極型(IBC:interdigitated back contact)の太陽電池が市販されている。IBC太陽電池は、例えばSunPower社から市販されている。本発明では、とりわけ単結晶シリコンの太陽電池および窒化シリコンの反射防止膜が適しており、好適には、20%を超える発電効率を有する太陽電池が好ましい。本発明において、発電効率が約22.5%であるという特徴を有するSunPower社の型番C60の単結晶シリコン製の太陽電池が特に適している。窒化ケイ素(Si)の反射防止コーティングは、典型的には1.9~2.5の屈折率を有する。とりわけ、裏面接触、裏面鏡面加工、二酸化ケイ素からなる保護層、およびnドープシリコンの使用は、太陽電池の効率の向上に寄与する。
【0072】
本発明に係る太陽電池および装飾部品の利用可能な寸法/面積は、用途および放射照度に依存する。1cmの面積および約20%の変換効率に対して、理論的には、放射照度が100mW/cmであるとき、直射日光下、1時間で20mWh程度のエネルギーを収集することができる。実際には、透明導電層による光吸収損失、波長選択層による光反射損失、エネルギー蓄電時の充電の電気的損失、および中央ヨーロッパでは約100mW/cmすなわち1000W/mの平均放射照度が得られにくいという事実に起因して、上記値はいくらか小さくなる。1日の平均放電量が約3mWhである市販の「活動量計」を動作させるためには、直射日光で週1時間の照射時間があれば、面積が1cmの太陽電池で十分である。理想的でない光の照度条件下であっても、IBC太陽電池は良好な性能を有するため、屋内で使用しても、ウェアラブル電子デバイスの放電に十分に対応できる。屋外の直射日光下の条件と比較したとき、室内の放射照度は1/100~1/200倍に低減する。身体機能を監視するための上述のセンサは、1日の平均放電量が約1~5mWhである。同様に、本発明に係る装飾部品による電源供給は、例えば装飾部品または装飾的デザインを有する複数の構成部品を一体化することによって実現可能である。
【0073】
本発明に係る好適な実施形態では、光起電力素子は、生成された電荷キャリアを電流として導通させる電気的接点を備えている。太陽電池の裏面側の電気的接点は、回路基板を介して接続され、1つの正極接点と1つの負極接点に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
本発明はこれらに限定されるものではないが、実施例および図面を参照して本発明について以下説明する。図面は以下の主題を示すものである。
図1a】宝石の一部領域に設けた導電層、およびファセット面とは反対側の平坦な表面上に設けた波長選択膜(波長選択コーティング)を備えた、装飾部品(装飾エレメント)の構造を示す。
図1b】宝石の一部領域に設けた導電層、および太陽電池の上に設けた膜(波長選択コーティング)を備えた、装飾部品の構造を示す。
図2a】装飾部品の機能制御であって、装飾部品および指またはスタイラスを用いた入力による機能制御を示す。
図2b】透明の導電層の2つの分割された領域を含む装飾部品の制御機能であって、プッシュ式とスライド式の入力手段を示す。
図2c】透明の導電層の4つの分割された領域を含む装飾部品の制御機能であって、プッシュ式とスライド式の入力手段を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
予備的実験は、欧州特許出願第14 191 386号明細書ですでに報告されており、その開示内容は本願の一部であることを意図している。
【0076】
[材料]
さまざまな材料および形状を有する装飾部品(装飾エレメント)について調査を行った。さまざまな太陽電池および光学素子を用いて、複数の装飾部品を作製した。本発明に係る実施例には、さらに波長選択層を設けた。
【0077】
[太陽電池セル]
SunPower社の型番C60(10mm×10mm)の太陽電池セルを用いた。
【0078】
[宝石]
D.スワロフスキー,カーゲー社から市販されているChessboard Flat Back 型番2493の部品(30mm×30mm)を用いて、ガラス製の宝石として、当業者に知られた方法で作製した。
【0079】
この目的のために予め成形された金型内にプラスティック射出成形することにより、Pleximid(登録商標)TT70の光学素子を作製した。このとき、バレル温度は210℃から280℃に上昇し、ノズルの温度は280℃に上昇し、金型の温度は、ノズル側で180℃、エジェクタ側で140℃に上昇した。また金型の射出圧力限界は1200barで、射出速度は約15cm/sであり、型押圧力は約800barであり、溶媒は使用しなかった。
【0080】
[形状]
C2~C5の光学部品は、12mmのエッジ長さおよび多少湾曲した角部を有する正方形のベース領域を有するファセットカットされた本体部である。ベース領域上に45°の角度の面取りを設けたので、実際に残っているベース領域は10mm×10mmである。正方形状に配置された25個のファセット面を有するファセットカットされた上側部分は、球状部品を構成する。本体部全体の高さは5.56mmであり、角端部の高さは1.93mmである。
【0081】
[本発明に係る実施例]
太陽電池、光学部品、波長選択層、透明電電層、および評価センサシステムを用いて、本発明に係る実施例を準備した。
【0082】
[太陽電池]
太陽電池は、Sunpower(登録商標)の型番C60を用いた。Sunpower(登録商標)型番C60の太陽電池は、29.3mm×29.3mmの寸法に切断された。寸法切断の方法は、当業者に広く知られている。
【0083】
[宝石]
D.スワロフスキー,カーゲー社の非反射型のChessboard Flat Back 型番2493をガラス製の光学部品として用いた。
【0084】
[形状]
ガラス製の光学部品は、30mmのエッジ長さおよび多少湾曲した角部を有する正方形のベース領域を有するファセットカットされた本体部である。ファセットカット上側部分は、凸状に湾曲する領域を有していた。本体部の全体の高さは8mmであり、角部の高さは2.7mmであった。
【0085】
[波長選択層]
Evatec社の型番BAK1101のPVD(物理的気相成長法)装置内で、ファセット面とは反対側の表面上のガラス製の光学部品に、波長選択層を形成(被膜)した。層構造は、表1に示すものと同じであった。ファセット面領域は、被膜されるべきではないが、被膜工程中、カバーが設けられていた。
【0086】
【表1】
【0087】
[透明導電層]
酸化インジウムスズ(ITO)を透明導電層として、宝石の湾曲したファセット面に被膜した。FHR社の型番FHRline 400のPVDプラントを用いてスパッタリング法により被膜工程が行われた。平坦な表面は、被膜されるべきではなく、カバーされた。
【0088】
電気的特性ならびに化学的特性、および機械的な耐摩耗性を改善するために、光学部品は、まずFHRline 400プラントでイオンエッチングにより処理された。その後、サンプルは、このFHRline 400プラントにおいて約550℃で約30分間、加熱された。これに引き続き、このFHRline 400プラント内で酸化インジウムスズを光学部品の上に被膜した。このとき混合酸化物は、約90%のInと約10%のSnOの通常の比率を有するものであった。圧力は、約3.3×10-3mbarであり、放電出力は約1kWであった。膜厚は、表面形状の関数として、約140nmから約190nmまで変化した。被膜工程は、アルゴンおよび5ccmの酸素の保護ガスを用いて実行された。続けて、被膜された光学部品は、このFHRline 400プラント内において約550℃で約20分間、加熱された。
【0089】
[評価センサシステムおよび装飾部品の構造体]
被膜されたガラス製の光学部品は、市販されている透明UV硬化樹脂を用いて、ファセット面とは反対の平坦な面上にある太陽電池に接続された。底面に電極端子が設けられた太陽電池は、Kingboard社の回路基板KB-6160 FR-4Y KB 1.55に接触させ、正極端子および負極端子に接続された。波長選択層に隣接し、透明導電層が被膜された横向きのファセット面は、Z-Axis社から市販されている導電ゴムZ-Wrapを用いて回路基板に電気的に接続された。Azoteq社から市販されているタッチコントローラIQS228ASは、回路基板の裏面を介して、導電線を用いて電気的に接続された。タッチコントローラは、回路基板に半田付けされた。導電線を介してタッチコントローラIQS228ASに電源を供給し、タッチコントローラIQS228ASからの信号を別の導電線を介して送信し、タッチコントローラIQS228ASからの電流をさらに別の導電線を介して供給するために、多極ケーブルが、回路基板の裏面に接続された。この構造体は、ポリカーボネート製のプラスティックハウジングによって包囲された。多極ケーブルは、ハウジングに設けた開口部を介してハウジングの外側に引き出された。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、さらに、とりわけウェアラブル電子デバイス、および本発明に係る少なくとも1つの装飾部品を含む特に宝石、リング、ネックレス、ブレスレット等の物品に電源を供給し、機能を制御するために、本発明の装飾部品の利用に関するものである。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
【手続補正書】
【提出日】2022-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源および入力インターフェイスとして使用される装飾部品であって、
(a)凸状に湾曲した領域を有するファセット面を含む透明な宝石と、
(b)凸状に湾曲した領域を有する前記ファセット面に設けられた透明導電層と、
(c)波長選択層と、
(d)光電池と、
(e)コンデンサを含む静電容量式センサを有する接触感応式の電気回路と、を備え、
前記波長選択層は、前記宝石と前記光電池との間に設けられ、
前記波長選択層は、(c1)前記宝石の前記ファセット面とは反対側の平坦な表面に、または(c2)前記光電池に設けられ、
前記波長選択層は、380~850nmの波長光の一部を反射し、
使用時において、前記透明導電層に触られると前記コンデンサの容量が変化して信号が生成される、装飾部品。
【請求項2】
宝石は、ガラスまたはプラスティックで形成された、請求項1に記載の装飾部品。
【請求項3】
宝石は、平凸形状または平凸凹形状を有する、請求項1に記載の装飾部品。
【請求項4】
(b)透明導電層は、Cr、Ti、Zr、酸化インジウムスズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化ガリウム亜鉛、酸化チタン亜鉛、フッ素ドープ酸化スズ、酸化アンチモンスズ、酸化タンタルスズ、酸化チタンニオブ、またはこれらの化合物の任意の順序による任意の組合せのうちの少なくとも一種の化合物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項5】
(b)透明導電層は、湾曲ファセット面の少なくとも2つの分離した領域に設けられた、請求項1~4のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項6】
(b)透明導電層は、380~1200nmの波長領域において透明である、請求項1~5のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項7】
(b)透明導電層は、少なくとも60%の透過率を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項8】
(c)波長選択層は、波長選択コーティングまたは波長選択フィルムから選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項9】
(c)波長選択層は、少なくとも金属および/または金属化合物を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項10】
(c)波長選択層は、光ビームの入射角が0°であるときに測定された場合、400~1200nmの波長帯域のうち反射間隔の外側にある帯域において、80%を超える平均透過率を有する、請求項1に記載の装飾部品。
【請求項11】
波長選択層は、Cr、Cr、Ni、NiCr、Fe、Fe、Al、Al、Au、SiO、Mn、Si、Si、TiO、Cu、Ag、Ti、CeF、MgF、Nb、Ta、SnO、ZnO、MgO、CeO、WO、Pr、Y;BaF、CaF、LaF、NdF、YF;ZrO、HfO、ZnS;Alの酸窒化物、Siの酸窒化物、およびSnZnOの酸窒化物、またはこれらの化合物の任意の順序による任意の組合せからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項12】
(d)光電池は、裏面電極型の太陽電池である、請求項1~11のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項13】
(e)接触感応式の電気回路は、静電容量型センサを有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の装飾部品。
【請求項14】
電子デバイスの機能を制御し、電源を供給するための、請求項1~13のいずれか1項に記載の装飾部品の利用方法であって、
前記透明導電層に触れることで、前記コンデンサの容量を変化させて前記電子デバイスの機能を制御する信号を生成させ、
前記光電池によって、放射エネルギーを、前記電子デバイスに電源供給するための電気エネルギーに変換する、装飾部品の利用方法。