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特開2022-106788脂質化ペプチドの水溶性塩、その製造方法および用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106788
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】脂質化ペプチドの水溶性塩、その製造方法および用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/078 20060101AFI20220712BHJP
   A61K 38/06 20060101ALI20220712BHJP
   A61K 38/07 20060101ALI20220712BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220712BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220712BHJP
【FI】
C07K5/078
A61K38/06
A61K38/07
A61P1/04
A61K47/54
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067393
(22)【出願日】2022-04-15
(62)【分割の表示】P 2020505847の分割
【原出願日】2019-02-27
(31)【優先権主張番号】62/636,552
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520035975
【氏名又は名称】ブリッジ バイオセラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】カン サン ウク
(57)【要約】      (修正有)
【課題】脂質化ペプチドおよびペプチド模倣薬の薬学的に許容可能な新規な水溶性塩、その製造方法および用途を提供する。
【解決手段】本発明は、化学式Iの水溶性塩の製造方法およびその用途に関する。

MはLi、Na、Kなど、Aはペプチドリンカー、Rは直鎖もしくは分枝鎖C1-36アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルケニルなどである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Iを有する化合物。
【化1】
[化学式I]
前記式において、
MはLi、NaまたはKであるか、または、
MはSrX、MgX、CaXまたはZnXであり、ここで、Xは化学式I-酸の1価アニオンであり;
Aは結合であるか、または、
Aはモノペプチドまたはジペプチドリンカーであり、ここで、前記モノペプチドまたはジペプチドはアラニン(Ala、A)、アルギニン(Arg、R)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)、システイン(Cys、C)、グルタミン酸(Glu、E)、グルタミン(Gln、Q)、グリシン(Gly、G)、ヒスチジン(His、H)、イソロイシン(Ile、I)、ロイシン(Leu、L)、リジン(Lys、K)、メチオニン(Met、M)、フェニルアラニン(Phe、F)、プロリン(Pro、P)、セリン(Ser、S)、トレオニン(Thr、T)、トリプトファン(Trp、W)、チロシン(Tyr、Y)およびバリン(Val、V)からなる群より各々独立して選択される一つまたは二つのアミノ酸単位を含み、ここで、モノペプチドまたはジペプチドのNおよびC末端はアミド結合を通じてR1C(=O)およびピロリジン窒素原子に各々連結され;
1は直鎖もしくは分枝鎖C1-36アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルケニル、または直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルキニルである。
【請求項2】
MがNaである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
AがL-プロリンリンカーである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
下記化合物I-1~I-10から選択される化学式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化2】
【化3】
【請求項5】
前記化合物が化合物I-1の無定形、A型、B型、C型、D型、E型またはF型である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が化合物I-1の無定形である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物I-1の無定形は、図3に示したものと実質的に同一なX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
無定形の形態の下記化合物I-1を含み、40℃で相対湿度75%または25℃で相対湿度60%で6ヶ月間貯蔵時に結晶型の化合物I-1を実質的に含まない薬学組成物。
【化4】
[化合物I-1]
【請求項9】
40℃で相対湿度75%で6ヶ月間貯蔵時、各時点に図12に示したものと実質的に同一なX線粉末回折(XRPD)パターンを有することを特徴とする、請求項8に記載の薬学組成物。
【請求項10】
(a)水中で下記化合物I-C-酸を含む混合物を提供するステップ、
【化5】
[化合物I-C-酸]
(b)ステップ(a)の前記混合物にM2CO3、MHCO3またはMOHを添加するステップ、
(c)ステップ(b)の前記混合物を加熱および攪拌するステップ、
(d)ステップ(c)の前記混合物を冷却させるステップ、および
(e)ステップ(d)の前記混合物を濾過するステップ
を含む、下記化学式I-Cを有する化合物の製造方法。
【化6】
[化合物I-C]
前記式において、
MはLi、NaまたはKであり;
1は直鎖もしくは分枝鎖C1-36アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルケニル、または直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルキニルである。
【請求項11】
MがNaである、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
(a)水を含むかまたは含まないプロトン性有機溶媒中で下記化合物I-C-酸を含む混合物を提供するステップ、
【化7】
[化合物I-C-酸]
(b)ステップ(a)の前記混合物にM2CO3、MHCO3またはMOHを添加するステップ、
(c)ステップ(b)の前記混合物を攪拌するステップ、
(d)減圧下でステップ(c)の前記混合物から溶媒を除去するステップ、および
(e)凍結乾燥によりステップ(d)の前記混合物から水を除去するステップ
を含む、下記化学式I-Cを有する化合物の製造方法。
【化8】
[化合物I-C]
前記式において、
MはLi、NaまたはKであり;
1は直鎖もしくは分枝鎖C1-36アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルケニル、または直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルキニルである。
【請求項13】
MがNaである、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
(a)有機溶媒中で下記化学式I-Cの結晶型を提供するステップ、
(b)ステップ(a)の前記混合物を加熱および攪拌するステップ、および
(c)ステップ(b)の前記混合物から有機溶媒を除去するステップ、
を含む、下記化学式I-Cを有する化合物の無定形の形態の製造方法。
【化9】
[化合物I-C]
前記式において、
MはLi、NaまたはKであり;
1は直鎖もしくは分枝鎖C1-36アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルケニル、または直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルキニルである。
【請求項15】
MがNaである、請求項14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な実施態様において、本発明は、脂質化ペプチドおよびペプチド模倣薬の薬学的に許容可能な新規な水溶性塩、その製造方法および用途に関する。
【背景技術】
【0002】
MyD88および/またはRIP1のようなPellino-1誘導炎症シグナル伝達複合体の形成は、様々な疾病および障害を媒介する。US2017/0008924として公開された米国特許出願第15/205,853号に開示されているように、ピロリジンカルボキサミド誘導体のような幾つかの脂質化ペプチドおよびペプチド模倣薬はPellino-1により誘導された生物学的経路を調節するのに効果的であり、よって、様々な自己免疫および炎症性疾患の治療に効果的であることが明らかになった。しかし、脂質化ペプチドおよびペプチド模倣薬は、水性媒質においてほぼ不溶性であり、よって、生物薬剤学分類システム(Biopharmaceutics Classification System)に応じてクラスIV薬物に属する(BCS IV)。薬物候補物質の水溶解度は薬物開発における重要な考慮事項であるため、改善された水溶性を有する脂質化ペプチドおよびペプチド模倣薬を製造する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
様々な実施態様において、本発明は、化学式I、例えば、実質的に純粋な化学式Iの化合物の新規な水溶性塩に関する。また、一部の実施態様において、本発明は、化学式Iの化合物を含む薬学組成物に関する。なお、一部の実施態様において、本発明は、化学式Iの化合物および/または薬学組成物の製造方法およびその用途に関する。
【化1】
[化学式I]
前記式において、M、A、R1は本願で定義されたとおりである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施態様において、本発明は、実質的に純粋な化学式Iの化合物に関する。一部の実施態様において、実質的に純粋な化学式Iの化合物は、ナトリウム塩、カリウム塩またはリチウム塩である。一部の実施態様において、実質的に純粋な化合物は、化学式Iを基準にして、ナトリウム、カリウムまたはリチウム各々の理論含量の約80%~125%のナトリウム、カリウムまたはリチウムを含有する。一部の実施態様において、実質的に純粋な化学式Iの化合物は、重量基準および/またはHPLC面積(area)に応じて90%以上の純度を有する。一部の実施態様において、実質的に純粋な化合物は、実質的に純粋なパルミトイル-L-プロリル-L-プロリルグリシル-L-チロシネートナトリウム(化合物I-1)である。一部の実施態様において、実質的に純粋な化合物I-1は、重量基準に約2%~5%のナトリウムを含有する。
【0005】
特定の実施態様において、本発明は、化学式Iの化合物(例えば、本願で実質的に純粋な化合物)を含む薬学組成物である。一部の実施態様において、化学式Iの化合物は、例えば、本願に記載された疾病および障害、例えば、炎症性腸疾患を治療するための治療学的有効量として存在する。一部の実施態様において、薬学組成物は、経口、鼻内、肺、直腸、頬側、膣、眼球、局所、非経口または経皮投与用に剤形化できる。一部の実施態様において、薬学組成物は、固体または液体であってもよい。一部の実施態様において、薬学組成物は、カプセルまたは錠剤であってもよい。本願に記載された任意の実施態様において、薬学組成物は、腸溶コーティングされてもよい。
【0006】
一部の実施態様において、本発明の薬学組成物は、例えば、本願に記載された疾病または障害、例えば、炎症性腸疾患を治療するための治療学的有効量の化合物I-1を含むことができる。一部の実施態様において、薬学組成物中の化合物I-1は、無定形、A型、B型、C型、D型、E型およびF型の中から選択される一つ以上である。本願に記載された任意の実施態様において、薬学組成物中の化合物I-1は無定形であってもよい。
一部の実施態様において、本発明の薬学組成物は、貯蔵安定性を有することができる。一部の実施態様において、本発明の薬学組成物は無定形の化合物I-1を含み、この時、40℃、相対湿度75%または25℃、相対湿度60%で1ヶ月以上(例えば、1ヶ月または6ヶ月)貯蔵する時、薬学組成物は結晶型の化合物I-1を実質的に含まない。一部の実施態様において、薬学組成物は、無定形の化合物I-1を含み、化合物I-1のA型、B型、C型、D型、E型およびF型のうちの一つ以上を実質的に含まない。
【0007】
一部の実施態様において、薬学組成物は、化合物I-2~I-10のうちの一つ以上を治療的に有効量で含む。一部の実施態様において、薬学組成物は、化合物I-2を含む。一部の実施態様において、化合物I-2は、結晶型A2型である。一部の実施態様において、薬学組成物の活性成分は、本質的に化合物I-1からなる。一部の実施態様において、薬学組成物の活性成分は、本質的に化合物I-2からなる。一部の実施態様において、薬学組成物の活性成分は、本質的に化合物I-3からなる。
また、薬学組成物は、インビトロ(in vitro)溶出プロファイル、例えば、本願に記述されたもののうち任意のものを特徴とする。
なお、特定の実施態様は、本願に記載された様々な疾病または障害の治療方法に関する。一部の実施態様において、前記方法は、潰瘍性大腸炎、ベーチェット病および/またはクローン病のような炎症性腸疾患の治療を必要とする対象体における、潰瘍性大腸炎、ベーチェット病および/またはクローン病のような炎症性腸疾患を治療するためのものである。一部の実施態様において、前記方法は、本願に記載された実質的に純粋な任意の化合物または本願に記載された任意の薬学組成物の治療的有効量を対象体に投与することを含む。好適な投与量および投与経路は、本願に記述されたもののうち任意のものを含む。
【0008】
一部の実施態様において、前記方法は、MyD88および/またはRIP1のようなPellino-1誘導炎症シグナル伝達複合体の形成により媒介される疾患または障害の治療を必要とする対象体における、MyD88および/またはRIP1のようなPellino-1誘導炎症シグナル伝達複合体の形成により媒介される疾患または障害を治療するためのものである。一部の実施態様において、前記方法は、本願に記載された実質的に純粋な任意の化合物または本願に記載された任意の薬学組成物の治療的有効量を対象体に投与することを含む。一部の実施態様において、疾患または障害は、多発性硬化症、乾癬、敗血症、地図状萎縮、湿性加齢黄斑変性、乾性加齢黄斑変性、糖尿性網膜症、感染性肺疾患、細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ウイルス性感染、自己免疫疾患、肥満、リンパ腫を含む血液癌および内臓器官の腫瘍のうちの一つ以上である。好適な投与量および投与経路は、本願に記述されたもののうち任意のものを含む。
【0009】
一部の実施態様において、前記方法は、脱毛症の治療を必要とする対象体における脱毛症を治療するためのものである。一部の実施態様において、前記方法は、本願に記載された実質的に純粋な任意の化合物または本願に記載された任意の薬学組成物の治療的有効量を対象体に投与することを含む。好適な投与量および投与経路は、本願に記述されたもののうち任意のものを含む。
一部の実施態様において、前記方法は、地図状萎縮、湿性加齢黄斑変性、乾性加齢黄斑変性および/または糖尿性網膜症の治療を必要とする対象体における、地図状萎縮、湿性加齢黄斑変性、乾性加齢黄斑変性および/または糖尿性網膜症を治療するためのものである。一部の実施態様において、前記方法は、本願に記載された実質的に純粋な任意の化合物または本願に記載された任意の薬学組成物の治療的有効量を対象体に投与することを含む。好適な投与量および投与経路は、本願に記述されたもののうち任意のものを含む。
【0010】
また、一部の実施態様において、本発明は、炎症シグナル伝達複合体MyD88の形成、Pellino-1により媒介される炎症シグナル伝達複合体の形成または炎症シグナル伝達複合体RIP1の形成を抑制する方法;G-CSF、IL-2、SCF、VEGF、CX3CL1、IGFBP5、IGFBP6、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-9、MCP-1、MIP-3α、IL12p40/70、MIG、TNF-αおよびVCAM-1からなる群より選択される一つ以上のタンパク質の発現を抑制する方法;および/または細胞でのNF-κBの活性を抑制する方法を提供する。一部の実施態様において、前記方法は、細胞を本願に記載された実質的に純粋な任意の化合物または任意の薬学組成物の有効量と接触させることを含む。好適な投与量および投与経路は、本願に記述されたもののうち任意のものを含む。
【0011】
なお、特定の実施態様は、化学式Iの化合物(例えば、化合物I-1またはI-2)を含む水性組成物に関する。一部の実施態様において、前記水性組成物は、化合物I-1またはI-2を含む。一部の実施態様において、化合物I-1またはI-2の濃度は、組成物の50mg/mL以上(例えば、100mg/mL以上、200mg/mL以上)である。一部の実施態様において、化合物I-1またはI-2の濃度は、組成物の0.1mg/mL~50mg/mLである。一部の実施態様において、低濃度組成物(lower concentrated composition)は、本願に記載された高濃度組成物(higher concentrated composition)を希釈して製造することができる。一部の実施態様において、前記水性組成物は、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート、スクロース、メグルミン、クレモフォール(Cremophor)RH40、ツイン(Tween)80、HPβCDおよびHPMC E3のうちの一つ以上を含む。例えば、一部の実施態様において、前記水性組成物は、メグルミンおよびクレモフォールRH40を含み、この時、メグルミンに対するクレモフォールRH40の重量比は約1:5~約5:1である。一部の実施態様において、前記水性組成物は、例えば、約2%~約5%(重量対体積)濃度のメグルミンを含む。一部の実施態様において、前記水性組成物は、200mg/mL以上の濃度の化合物I-1および約2%~約5%(重量対体積)濃度のメグルミンを含む。一部の実施態様において、前記水性組成物は、化合物I-1(例えば、200mg/mL以上の濃度)およびメグルミン(例えば、約2%~約5%(重量対体積)濃度)を含み、25℃で貯蔵安定性を有する。例えば、一部の実施態様において、このような組成物は、25℃で1週間または2週間貯蔵時に実質的に沈殿物がない。前記水性組成物またはそれより薄められた組成物は、薬学組成物に含まれてもよく、本願に記載された方法のうち任意の方法に用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】化合物I-1-酸の1型(Form 1)の典型的なX線粉末回折(XRPD)スペクトルを提供する。
図1B】化合物I-1-酸の1型の熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)分析を示すグラフである。
図2】化合物I-1-酸の無定形の典型的なXRPDスペクトルを提供する。
図3】化合物I-1の無定形の典型的なXRPDスペクトルを提供する。
図4A】化合物I-1のA型の2個の典型的なXRPDスペクトルを提供し、一つは小規模で得た固体に対するものであり、他の一つは大量生産して得た固体に対するものである。
図4B】化合物I-1のA型のTGAおよびDSC分析を示すグラフである。
図5】化合物I-1のB型のTGAおよびDSC分析を示すグラフである。
図6A】化合物I-1のC型の典型的なXRPDスペクトルを化合物I-1のA型と重ねて提供する。
図6B】化合物I-1のC型のTGAおよびDSC分析を示すグラフである。
図7】溶解度試験から確認された固体形態の化合物I-1のD型の典型的なXRPDスペクトルを化合物I-1のA型と重ねて提供する。また、図7は、乾燥時、D型がA型に転換されることを示す。
図8A】化合物I-1のE型の典型的なXRPDスペクトルを化合物I-1のA型およびC型と重ねて提供する。
図8B】化合物I-1のE型のTGAおよびDSC分析を示すグラフである。
図9A】化合物I-1のF型の典型的なXRPDスペクトルを化合物I-1のA型およびE型と重ねて提供する。
図9B】化合物I-1のF型のTGAおよびDSC分析を示すグラフである。
図10A】小規模または大規模の生産で得た固体に対する化合物I-2のA2型の典型的なXRPDスペクトルを提供する。
図10B】化合物I-2のA2型のTGAおよびDSC分析を示すグラフである。
図11】有機溶媒(例えば、THF)を用いて溶解および蒸発させた後に製造された無定形化合物I-2の典型的なXRPDスペクトル、および4日間および12日間室温で貯蔵した後の無定形化合物I-2のXRPDスペクトルを示す。また、比較のために、図11は、化合物I-2のA2型(パターンA)およびB2型(パターンB)のXRPDスペクトルを示す。
図12】無定形化合物I-1を含有するカプセルから得た粉末のX線回折図を示す。前記回折図は、カプセルを25℃/60% RHまたは40℃/75% RH(相対湿度)の条件下に保管した場合、6ヶ月後にも結晶型変換が観察されなかったことを示す。
図13】エタノールまたはIPAの中で化合物I-1-酸およびCa(OH)2を1:1のモル比で取り、前記溶液を透明になるまで攪拌した後、前記溶液を室温で蒸発させて所望の形態を得るか、または室温でアセトニトリルを反溶媒(antisolvent)として前記溶液に添加して所望の形態を得ることによって製造された無定形化合物I-1-酸カルシウム塩のXRPDスペクトルを示す。
図14】化合物I-1-酸およびMgSO4を1:1のモル比で取り、pH=12溶液を溶解させ、1~2日間スラリー化して目的生成物を得ることによって製造された化合物I-1-酸マグネシウム塩のXRPDスペクトルを示す。
図15】化合物I-1-酸およびZnSO4を1:1のモル比で取り、pH=12溶液を溶解させ、1~2日間スラリー化して目的生成物を得ることによって製造された化合物I-1-酸亜鉛塩のXRPDスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な実施態様において、本発明は、一部の脂質化ペプチドおよびペプチド模倣薬の水溶性塩の発見に関する。適切な塩および添加剤を選択することによって、一部の脂質化ペプチドとペプチド模倣薬の水溶解度を50,000倍以上に画期的に向上させることができる。よって、様々な実施態様において、本発明は、改善された水溶解度を有する脂質化ペプチドおよびペプチド模倣薬の塩、前記塩の製造方法および前記塩の使用方法を提供する。
【0014】

一部の実施態様において、本発明は、下記化学式I-酸を有する化合物、その塩、その光学異性体、その溶媒和物または水和物またはそのプロドラッグを提供する。
【化2】

[化学式I-酸]
前記式において、AおよびR1は本願で定義されたとおりである。
【0015】
一部の実施態様において、前記塩は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、メグルミン、アルギニンまたはリジン塩である。一部の実施態様において、前記塩は、実質的に純粋な、例えば、重量基準に少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも97%)の純度を有する単離した塩である。一部の実施態様において、前記塩は、重量基準に約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%または特定値の間の任意範囲の純度を有する単離した塩である。一部の実施態様において、前記塩の鏡像異性体純度は、鏡像体過剰率(enantiomeric excess)またはeeで表され、約50%ee以上、例えば、約60%ee、約65%ee、約70%ee、約75%ee、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上および最大100%eeである。一部の実施態様において、前記塩のジアステレオマー純度は、ジアステレオマー過剰率(diastereomeric excess)またはdeで表され、約50%de以上、例えば、約60%de、約65%de、約70%de、約75%de、約80%de、約85%de、約90%de、約91%de、約92%de、約93%de、約94%de、約95%de、約96%de、約97%de、約98%de、約99%de、約99.5%deおよび最大100%deである。一部の実施態様において、前記塩は、化学式I-酸に開示された立体異性体以外の立体異性体の塩を実質的に含有しない(例えば、5%未満、2%未満、1%未満または検出不可能)。本願で用いられた実質的に純粋な化合物または塩は、重量基準に少なくとも60%(例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも97%)の純度を有する化合物または塩を称する。文脈上特に明示しない限り、実質的に純粋な化合物または塩中の化合物/塩の重量百分率を計算するための目的で、化合物または塩、またはその溶媒和物または水和物形態以外の他の任意のものは不純物に見なされ、例えば、残留溶媒、水分含有物、鏡像異性体、ジアステレオマーなどを含む。混乱を避けるために、本願で実質的に純粋な化合物または塩および一つ以上の他の成分を含む組成物は、実質的に純粋な化合物または塩を水、薬学的に許容可能な賦形剤などのような一つ以上の他の成分と混合して直接的または間接的に得た組成物として理解しなければならない。
【0016】
一部の実施態様において、本発明は、化学式Iを有する実質的に純粋な化合物を提供する。
【化3】

[化学式I]
前記式において、
Mはアルカリ金属カチオンのような1価カチオン、例えば、Li、NaまたはKであるか、または、
MはSrX、MgX、CaXまたはZnXのように適切な対イオンでバランスが取れた多価カチオンであり、ここで、Xは1価アニオンまたは化学式I-酸の1価アニオンであり;
【0017】
Aは結合であるか、または、
Aはモノペプチドまたはジペプチドリンカーを示し、ここで、前記モノペプチドまたはジペプチドはアラニン(Ala、A)、アルギニン(Arg、R)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)、システイン(Cys、C)、グルタミン酸(Glu、E)、グルタミン(Gln、Q)、グリシン(Gly、G)、ヒスチジン(His、H)、イソロイシン(Ile、I)、ロイシン(Le、L)、リジン(Lys、K)、メチオニン(Met、M)、フェニルアラニン(Phe、F)、プロリン(Pro、P)、セリン(Ser、S)、トレオニン(Thr、T)、トリプトファン(Trp、W)、チロシン(Tyr、Y)およびバリン(Val、V)からなる群より各々独立して選択される一つまたは二つのアミノ酸単位を含み、ここで、モノペプチドまたはジペプチドのNおよびC末端はアミド結合を通じてR1C(=O)およびピロリジン窒素原子に各々連結され;
【0018】
1は直鎖もしくは分枝鎖C1-36アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルケニル、または直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルキニルである。前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖は選択的に置換されてもよい。一部の実施態様において、化学式Iの化合物は、溶媒和物または水和物の形態で存在してもよい。例えば、一部の実施態様において、化学式Iの化合物は、薬学的に許容可能な溶媒和物の形態で存在する。一部の実施態様において、化学式Iの化合物は水和物の形態である。一部の実施態様において、化学式Iの化合物は無水物の形態である。
一部の実施態様において、Mは1価カチオンである。一部の特定の実施態様において、MはNaである。一部の特定の実施態様において、MはKである。また、他の1価カチオンは、例えば、アンモニウムイオンまたは有機アミンから形成されたカチオンを基にするカチオン、例えば、メグルミン、またはリジンのようなアミノ酸である。
【0019】
また、一部の実施態様において、Mは適切な対イオンでバランスが取れた多価カチオンであってもよい。一部の実施態様において、Mは一つの1価アニオンでバランスが取れた2価カチオンである。例えば、MはSrX、MgX、CaXまたはZnXであってもよく、ここで、Xは1価アニオンであり、これは薬学的に許容される1価アニオンであってもよい。一部の実施態様において、Xは
【化4】
であり、ここで、R1およびAは本願で定義されたとおりである。一部の実施態様において、Xは2個の同一なカルボキシレートが化学式Iの2価カチオンに付着するようにするものである。例えば、一部の実施態様において、化学式Iの塩は化学式I-Aを有する:
【化5】
[化学式I-A]
前記式において、M2はSr、Mg、CaまたはZnであり、R1およびAは本願で定義されたとおりである。
【0020】
一部の実施態様において、Aは結合であり、前記化合物は化学式I-Bを有することを特徴とする:
【化6】
[化学式I-B]
前記式において、MおよびR1は本願で定義されたとおりである。
【0021】
一部の実施態様において、Aはモノペプチド(すなわち、単一アミノ酸)またはジペプチドリンカーである。本願で用いられたモノペプチドリンカーはアミノ酸リンカーとして表されてもよい。例えば、一部の実施態様において、AはL-アミノ酸リンカーであってもよい。本願で用いられたモノペプチドまたはジペプチドリンカーは、モノペプチドまたはジペプチドのNおよびC末端においてアミド結合を通じて化学式IのR1C(=O)およびピロリジン窒素原子に各々連結される。例えば、一部の実施態様において、AはL-プロリンリンカー、
【化7】
であってもよく、前記化学式Iの化合物は化学式I-Cを有する。
【化8】
[化学式I-C]
前記式において、MおよびR1は本願で定義されたとおりである。
【0022】
一部の実施態様において、Aはグリシンリンカーであってもよい。一部の実施態様において、AはL-フェニルアラニンリンカーであってもよい。一部の実施態様において、AはL-アラニンリンカーであってもよい。一部の実施態様において、AはL-バリンリンカーであってもよい。Aとして好適な他のグループは本願に記載されている。
様々なR1基が適合である。一部の実施態様において、R1は直鎖もしくは分枝鎖C1-36アルキル、例えば、直鎖C5、C7、C9、C15またはC17アルキルである。一部の実施態様において、R1は例えば1、2、3、4、5または6個の二重結合を有する直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルケニルである。例えば、R1は1個の二重結合を有する直鎖C17アルケニルであってもよい。本願の任意の実施態様において、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルは置換されなくてもよい。しかし、一部の実施態様において、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルはまた選択的に置換されてもよい。
【0023】
一部の実施態様において、化学式Iを有する実質的に純粋な化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C)は、重量基準におよび/またはHPLC面積に応じて70%以上(例えば、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上または97%以上)の純度を有することを特徴とする。一部の実施態様において、化学式Iを有する実質的に純粋な化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C)は、重量基準におよび/またはHPLC面積に応じて約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%または特定値の間の任意範囲の純度を有することを特徴とする。一部の実施態様において、化学式Iを有する実質的に純粋な化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C)は、鏡像異性体純度が約50%ee以上、例えば、約60%ee、約65%ee、約70%ee、約75%ee、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上および最大100%eeである。一部の実施態様において、化学式Iを有する実質的に純粋な化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C)は、約50%de以上、例えば、約60%de、約65%de、約70%de、約75%de、80%de以上、例えば、約85%de、約90%de、約91%de、約92%de、約93%de、約94%de、約95%de、約96%de、約97%de、約98%de、約99%de、約99.5%de以上および最大100%である。一部の実施態様において、前記塩は、化学式Iに見られた立体異性体(例えば、化学式I-BまたはI-C)以外の立体異性体を実質的に含有しない(例えば、5%未満、2%未満、1%未満または検出不可能)。鏡像異性体またはジアステレオマーの純度を測定する方法は当業界で公知のものであり、例えばHPLCを利用する。
【0024】
一部の実施態様において、化学式Iを有する実質的に純粋な化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C)は、化学式Iに基づいた理論的含量と実質的に類似したMの含量を特徴とする。例えば、MがNaまたはKである一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物は、化学式Iに基づいた各々の理論的なナトリウムまたはカリウム含量の約60%~約130%(例えば、約80%~約125%)のナトリウムまたはカリウム含量を有する。NaまたはKの含量を測定する方法は当業界で公知のものであり、例えば、イオンクロマトグラフィーを利用する。
化合物I-1
本発明の特定の実施態様は、化学式Iの特定の化合物、例えば、下記化合物I-1~I-10に関する。
【化9】

【化10】
【0025】
一部の特定の実施態様において、本発明は、化合物I-1に関する。一部の実施態様において、本発明は、実質的に純粋な化合物I-1を提供する。一部の実施態様において、実質的に純粋な化合物I-1は、重量基準におよび/またはHPLC面積に応じて少なくとも60%(例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも97%)の純度を有する。一部の実施態様において、実質的に純粋な化合物I-1は、重量基準におよび/またはHPLC面積に応じて約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%または特定値の間の任意範囲の純度を有する。実質的に純粋な化合物I-1の鏡像異性体純度は一般に高く、例えば、鏡像体過剰率(ee)として約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、約99.5%以上および最大100%である。実質的に純粋な化合物I-1のジアステレオマー純度もまた一般に高く、例えば、ジアステレオマー過剰率(de)として約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、約99.5%以上および最大100%である。本願の任意の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、化合物I-1に開示された立体異性体以外の立体異性体を実質的に含有しない(例えば、5%未満、2%未満、1%未満または検出不可能)。また、本願の任意の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、重量基準に少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも98%)の純度、HPLC面積に応じて少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも98%)の純度、または前記二つの純度を全て有することを特徴とする。
【0026】
前記実質的に純粋な化合物I-1は、実質的に純粋な化合物I-1-酸から製造できる。化合物I-1-酸は、本願に開示された方法により高純度に製造できる。一般に、本願の工程により製造された化合物I-1-酸は、HPLCで測定する時、総不純物が30%未満である(例えば、20%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満)。一部の実施態様において、化合物I-1-酸は、HPLCで測定した時、単一不純物を5%超過量で含有しない(例えば、4%以下、1%以下、0.5%以下、0.05%以下)。実施例の部分に提示されたように、化合物I-1-酸は、また無定形または結晶型、例えば1型に製造できる。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、無定形化合物I-1-酸から製造される。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、化合物I-1-酸の1型から製造される。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、無定形化合物I-1-酸、化合物I-1-酸の1型またはこれらの組み合わせから製造される。本願で用いられた1型は、図1Aと実質的に同一なXRPDパターンまたは図1Aの主要ピークを有するXRPDスペクトルを特徴とする化合物I-1-酸の結晶型を称する。一部の実施態様において、1型は、さらに、図1Bに示されたものと実質的に同一なDSCプロファイル、図1Bに示されたものと実質的に同一なT G Aプロファイル、またはこれらの組み合わせを特徴とする。本願で用いられたXRPDスペクトルの主要ピークは、4~40度(2θ)の回折角および10%以上の相対強度を有するピークを称する。一部の実施態様において、XRPDスペクトルの主要ピークは、相対強度が20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上または90%以上のピークを称する。
【0027】
前記実質的に純粋な化合物I-1は、一般に化合物I-1の化学式に基づいて計算した、理論的なナトリウム含量に近いナトリウム含量を有する。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、ナトリウムに対する化合物I-1のカルボキシレート部分のモル比が約1:1であることを特徴とする。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、理論的なナトリウム含量の約80%~約125%のナトリウム含量を有する。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、重量基準に約2%~約5%のナトリウム含量を有する。
【0028】
本願の前記実質的に純粋な化合物I-1は、化合物I-1-酸を含有しないかまたは実質的に含有しなくてもよく/しているか、化合物I-1-酸の他の塩を含有しないかまたは実質的に含有しなくてもよい。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、実質的に化合物I-1-酸を含有せず、例えば、重量基準に5%未満の量(例えば、3%未満、1%未満, 0.2%未満, 0.1%未満または0.05%未満)で含有する。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、平衡過程で存在しうる量以外の化合物I-1-酸を含有しない。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、検出可能な量の化合物I-1-酸を有しない。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、化合物I-1-酸の他の塩を実質的に含有せず、例えば、重量基準に20%未満の量(例えば、10%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満または0.05%未満)で含有する。一部の実施態様において、実質的に純粋な化合物I-1は、検出可能な量の化合物I-1-酸の他の塩を含有しない。
【0029】
化合物I-1は、剤形および/または製造工程に有用な種々の固体状態で存在しうる。また、一部の実施態様において、本発明は、化合物I-1の相異した固体状態を提供する。一部の実施態様において、無定形化合物I-1が提供される。一部の実施態様において、無定形化合物I-1を含む組成物(例えば、薬学組成物)が提供される。一部の実施態様において、前記組成物は、化合物I-1の結晶型を実質的に含有しない(例えば、10%未満、またはXRPDによって検出されない)。無定形化合物I-1は吸湿性があってもよい。しかし、実施例の部分で詳細に説明されたように、無定形化合物I-1は、例えば、25℃/60% RHまたは40℃/75% RHで2週以上(例えば、2週、1ヶ月、6ヶ月またはそれ以上)貯蔵時に安定的である。本願に記載された任意の実施態様において、化合物I-1は、無定形化合物I-1であってもよい。本願に記載された任意の実施態様において、無定形化合物I-1は、図3と実質的に同一なXRPDスペクトルを特徴とする。
【0030】
また、化合物I-1は、結晶型で存在しうる。一部の実施態様において、前記結晶型は、化合物I-1のA型、B型、C型、D型、E型またはF型である。本願で用いられたA型は、図4Aと実質的に同一なXRPDパターンまたは図4Aの主要ピークを有するXRPDスペクトルを特徴とする化合物I-1の結晶型を称する。一部の実施態様において、A型は、さらに、図4Bに示されたものと実質的に同一なDSCプロファイル、図4Bに示されたものと実質的に同一なTGAプロファイル、またはこれらの組み合わせを特徴とする。本願で用いられたB型は、図5に示されたものと実質的に同一なDSCプロファイル、図5に示されたものと実質的に同一なTGAプロファイル、またはこれらの組み合わせを特徴とする化合物I-1の結晶型を称する。本願で用いられたC型は、図6Aと実質的に同一なXRPDパターンまたは図6Aの主要ピークを有するXRPDスペクトルを特徴とする化合物I-1の結晶型を称する。一部の実施態様において、C型は、さらに、図6Bに示されたものと実質的に同一なDSCプロファイル、図6Bに示されたものと実質的に同一なTGAプロファイル、またはこれらの組み合わせを特徴とする。本願で用いられたD型は、図7と実質的に同一なXRPDパターンまたはD型として標識された図7の主要ピークを有するXRPDスペクトルを特徴とする化合物I-1の結晶型を称する。本願で用いられたE型は、図8A(パターンEとして標識される)と実質的に同一なXRPDパターンまたは図8A(パターンEとして標識される)の主要ピークを有するXRPDスペクトルを特徴とする化合物I-1の結晶型を称する。一部の実施態様において、E型は、さらに、図8Bに示されたものと実質的に同一なDSCプロファイル、図8Bに示されたものと実質的に同一なTGAプロファイル、またはこれらの組み合わせを特徴とする。本願で用いられたF型は、図9A(パターンF)と実質的に同一なXRPDパターンまたは図9A(パターンF)の主要ピークを有するXRPDスペクトルを特徴とする化学式I-1の結晶型を称する。一部の実施態様において、F型は、さらに、図9Bに示されたものと実質的に同一なDSCプロファイル、図9Bに示されたものと実質的に同一なTGAプロファイル、またはこれらの組み合わせを特徴とする。
【0031】
本願の前記組成物は、化合物I-1の様々な形態のうちの一つ以上を含むことができる。一部の実施態様において、前記組成物(例えば、薬学組成物)は、化合物I-1の無定形、A型、B型、C型、D型、E型またはF型またはこれらの任意の組み合わせを含む。一部の実施態様において、前記組成物(例えば、薬学組成物)は、化合物I-1の無定形、A型、B型、C型、D型、E型およびF型の中から選択される一つまたは二つの形態だけを含み、その他に他の化合物I-1の形態を実質的に含まない(例えば、XRPDによって検出されない)。一部の実施態様において、前記組成物(例えば、薬学組成物)は、無定形化合物I-1を含み、化合物I-1のA型、B型、C型、D型、E型, F型またはこれらの任意の組み合わせを実質的に含まない(例えば、XRPDによって検出されない)。一部の実施態様において、前記組成物は、化合物I-1-酸を実質的に含まない。しかし、一部の実施態様において、前記組成物は、また、化合物I-1-酸、例えば、化合物I-1-酸の無定形または1型を含むことができる。本願に記載された任意の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-1は、無定形、A型、B型、C型、D型、E型、F型またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0032】
また、一部の実施態様において、化合物I-1は、水溶液に含まれることができる。実施例の部分に見られたように、遊離酸化合物I-1-酸は、2μg/ml未満の水溶解度を有する。酸をナトリウム塩に転換させることによって、水溶解度が大幅に向上する。よって、本願に記載されたように、ナトリウム塩を用いる利点のうちの一つは、高濃度の活性成分(例えば、化合物I-1)を有する溶液を製造できるということである。このような高濃度溶液は、そのまま用いるかまたはさらに希釈されてもよい。一部の実施態様において、前記水溶液は、高濃度の化合物I-1、例えば、少なくとも50mg/ml(例えば、少なくとも100mg/ml、少なくとも150mg/ml、少なくとも200mg/ml)であることを特徴とする。一部の実施態様において、前記水溶液は、約50mg/ml、約100mg/ml、約150mg/ml、約200mg/ml、約250mg/ml、約270mg/mlまたは特定値の間の任意範囲の濃度を有する。また、一部の実施態様において、前記水溶液は、50mg/ml未満、例えば、約0.1mg/ml、約1mg/ml、約10mg/ml、約20mg/ml、約30mg/ml、約40mg/ml、約50mg/mlまたは特定値の間の任意範囲の濃度を有する。一部の実施態様において、50mg/ml未満の濃度を有する水溶液は、50mg/mlより高い濃度を有する水溶液を希釈して製造することができる。また、一部の実施態様において、50mg/ml未満の濃度を有する水溶液は、化合物I-1の固体形態、例えば、無定形化合物I-1を水性媒質に溶解させて製造することができる。文脈上特に明らかでない限り、本願で用いられた前記化合物I-1の濃度は、媒質(例えば、水溶液の場合には水)の1ml当たりに化合物I-1のmgで表される。
【0033】
また、本発明の特定の実施態様は、一つ以上の安定化剤を有する化合物I-1の水溶液に関する。実施例の部分に詳細に説明されたように、化合物I-1は、水において高い動的溶解度を有する。しかし、高濃度では、貯蔵時に沈殿物が形成され始める。特定の成分の添加は、高濃度の化合物I-1を有する水溶液を安定化できるということを見出した。例えば、一部の実施態様において、化合物I-1の水溶液は、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート、スクロース、メグルミン、クレモフォールRH40、ツイン80、HPβCDおよびHPMC E3のうちの一つ以上を含む。一部の実施態様において、化合物I-1の水溶液は、メグルミンおよびクレモフォールRH40を含む。一部の実施態様において、メグルミンに対するクレモフォールRH40の重量比は約1:5~約5:1である。
【0034】
メグルミンは、様々な濃度で化合物I-1の水溶液、例えば、高濃度の化合物I-1を有する水溶液を安定化させることができる。一部の実施態様において、前記化合物I-1の水溶液は、約2%~約5%(例えば、約2%、約3%、約4%、約5%または特定値の間の任意範囲)濃度(重量対体積)のメグルミンを含む。また、一部の実施態様において、前記化合物I-1の水溶液は、2%未満の濃度(重量対体積)のメグルミンを含む。また、一部の実施態様において、前記化合物I-1の水溶液は、5%を超過する、例えば10%の濃度(重量対体積)のメグルミンを含む。これらの任意の実施態様において、前記水溶液は、50mg/ml以上(例えば、100mg/ml以上、150mg/ml以上、200mg/ml以上)の化合物I-1の濃度を有する。一部の実施態様において、前記水溶液は、約50mg/ml、約100mg/ml、約150mg/ml、約200mg/ml、約250mg/ml、約270mg/mlまたは特定値の間の任意範囲の濃度を有する。
【0035】
約3%以上の濃度のメグルミンは、高濃度の化合物I-1を有する水溶液を安定化させるのに効果的であることが明らかになった。よって、一部の実施態様において、本発明は、また、少なくとも200mg/mlの濃度の化合物I-1および約3%以上の濃度(重量対体積)のメグルミンを含む水溶液を提供する。一部の実施態様において、前記水溶液は、25℃で、例えば、1週または2週間貯蔵時に沈殿物が実質的にないことを特徴とする。
一部の実施態様において、さらに低い濃度の化合物I-1を有する水溶液が好ましい。前記で議論されたように、このような水溶液は、高濃度の化合物I-1(例えば、200mg/mlの濃度)を有する水溶液のうち任意の一つを希釈して容易に製造するかまたは化合物I-1(例えば、無定形化合物I-1および/または任意の他の固体形態)を直接溶解させて製造することができ、この時、水には安定化剤(例えば、メグルミン)が含まれるかまたは含まれなくてもよい。
【0036】
化合物I-2
一部の特定の実施態様において、本発明は、化合物I-2に関する。一部の実施態様において、本発明は、実質的に純粋な化合物I-2を提供する。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、重量基準におよび/またはHPLCに応じて少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも97%)の純度を有する。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、重量基準におよび/またはHPLCに応じて約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%または特定値の間の任意範囲の純度を有する。前記化合物I-2の鏡像異性体純度は、約50%ee以上、例えば、約60%ee、約65%ee、約70%ee、約75%ee、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上および最大100%eeである。前記化合物I-2のジアステレオマー純度は、約50%de以上、例えば、約60%de、約65%de、約70%de、約75%de、約80%de、約85%de、約90%de、約91%de、約92%de、約93%de、約94%de、約95%de、約96%de、約97%de、約98%de、約99%de、約99.5%de以上および最大100%deである。本願の任意の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、化合物I-2に開示された立体異性体以外の立体異性体を実質的に含有しない(例えば、5%未満、2%未満、1%未満または検出不可能)。また、本願の任意の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、重量基準に少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも98%)の純度、HPLC面積に応じて少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも98%)の純度、または二つの純度を全て有することを特徴とする。
【0037】
また、前記実質的に純粋な化合物I-2は、化合物I-1の製造方法に記載されたものと同様に実質的に純粋な化合物I-1-酸から製造できる。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、無定形化合物I-1-酸から製造される。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、化合物I-1-酸の1型から製造される。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、無定形化合物I-1-酸、化合物I-1-酸の1型またはこれらの組み合わせから製造される。
本願の前記実質的に純粋な化合物I-2は、一般に化合物I-2の化学式を基準に計算された理論的なカリウム含量に近いカリウム含量を有する。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、カリウムに対する化合物I-2のカルボキシレート部分のモル比が約1:1であることを特徴とする。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、理論的なカリウム含量の約80%~約125%のカリウム含量を有する。
【0038】
また、本願の前記実質的に純粋な化合物I-2は、化合物I-1-酸を含有しないかまたは実質的に含有しなくてもよく/しているか、化合物I-1-酸の他の塩を含有しないかまたは実質的に含有しなくてもよい。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、化合物I-1-酸を実質的に含有せず、例えば、重量基準に20%未満の量(例えば、13%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満または0.05%未満)を含有する。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、平衡過程で存在しうる量以外の化合物I-1-酸を含有しない。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、検出可能な量の化合物I-1-酸を有しない。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、化合物I-1-酸の他の塩を実質的に含まず、例えば、20重量%未満の量(例えば、13%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満または0.05%未満)を含む。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2は、検出可能な量の化合物I-1-酸の他の塩を含まない。
【0039】
化合物I-2は、剤形および/または製造工程に有用な無定形を含む種々の固体状態で存在しうる。一部の実施態様において、本発明は、化合物I-2のA2型を提供する。また、一部の実施態様において、本発明は、化合物I-2のA2型を含む組成物(例えば、薬学組成物)を提供する。本願で用いられたA2型は、図10Aと実質的に同一なXRPDパターンまたは図10Aの主要ピークを有するXRPDスペクトルを特徴とする化合物I-2の結晶型を称する。一部の実施態様において、A2型は、さらに、図10Bに示されたものと実質的に同一なDSCプロファイル、図10Bに示されたものと実質的に同一なTGAプロファイル、またはこれらの組み合わせを特徴とする。本願に記載された任意の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-2の化合物I-2は、A2型および/または無定形であってもよい。
【0040】
また、一部の実施態様において、本発明は、化合物I-2を含む水溶液を提供する。また、カリウム塩化合物I-2の水溶解度は、相応する遊離酸と比較して大幅に増加する。一部の実施態様において、前記水溶液は、化合物I-2が高濃度、例えば、少なくとも50mg/ml(例えば、少なくとも100mg/ml、少なくとも150mg/ml、少なくとも200mg/ml)であることを特徴とする。一部の実施態様において、前記水溶液は、約50mg/ml、約100mg/ml、約150mg/ml、約200mg/ml、約250mg/ml、約270mg/mlまたは特定値の間の任意範囲の化合物I-2の濃度を有する。また、一部の実施態様において、前記水溶液は、50mg/ml未満、例えば、約0.1mg/ml、約1mg/ml、約10mg/ml、約20mg/ml、約30mg/ml、約40mg/ml、約50mg/mlまたは特定値の間の任意範囲の化合物I-2の濃度を有する。一部の実施態様において、50mg/ml未満の濃度を有する前記水溶液は、50mg/mlより高い濃度を有する水溶液を希釈して製造される。また、一部の実施態様において、50mg/ml未満の濃度を有する前記水溶液は、化合物I-2の固体形態、例えば、A2型を水性媒質に溶解させて製造することができる。文脈上特に明らかでない限り、本願で用いられた化合物I-2の前記濃度は、媒質(例えば、水溶液の場合には水)の1mL当たりに化合物I-2のmgで表される。
【0041】
また、前記化合物I-2の水溶液は、一つ以上の安定化剤を含むことができる。また、一部の実施態様において、前記化合物I-2の水溶液は、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート、スクロース、メグルミン、クレモフォールRH40、ツイン80、HPβCDおよびHPMC E3のうちの一つ以上を含む。一部の実施態様において、前記化合物I-2の水溶液は、メグルミンおよびクレモフォールRH40を含む。一部の実施態様において、メグルミンに対するクレモフォールRH40の重量比は約1:5~約5:1である。
また、一部の実施態様は、実質的に純粋な化合物I-3に関する。また、前記実質的に純粋な化合物I-3は、化合物I-1の製造方法に記載されたものと同様に実質的に純粋な化合物I-1-酸から製造できる。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-3は、無定形化合物I-1-酸から製造される。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-3は、化合物I-1-酸の1型から製造される。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-3は、無定形化合物I-1-酸、化合物I-1-酸の1型またはこれらの組み合わせから製造される。
【0042】
前記実質的に純粋な化合物I-3は、一般に化合物I-3の化学式に基づいて計算された理論的なリチウム含量に近いリチウム含量を有する。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-3は、リチウムに対する化合物I-3のカルボキシレート部分のモル比が約1:1であることを特徴とする。一部の実施態様において、前記実質的に純粋な化合物I-3は、理論的なリチウム含量の約80%~約125%のリチウム含量を有する。
【0043】
塩の製造方法
一部の実施様態において、本発明は、化学式Iで表される化合物を製造する方法を提供する。一部の実施態様において、前記方法は、下記反応式1または反応式2に示すように、化学式I-酸の化合物を好適な塩基と好適な溶媒で反応させて化学式Iの化合物(ここで、R1、AおよびMは本願で定義されたとおりである。)を提供することを含む。
【化11】
[反応式1]
【0044】
【化12】
[反応式2]
【0045】
製造する塩に基づいて、様々な塩基が使用できる。例えば、無機塩基の非制限的な有用な例として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを含む。
様々な溶媒が前記変換に好適である。溶媒の非制限的な有用な例としては、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチルエーテルおよび1,2-ジメトキシエタン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノール)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン、水、アセトンを含む。前記溶媒は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0046】
各々の脂質化ペプチドおよびペプチド模倣薬から塩を製造するための合成方法の非制限的な例は次のとおりである。(a)水、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、エチルアセテート(EtOAc)または他の溶媒に化合物I-酸および一つ以上の標準当量(例えば、最大10の当量)の塩(例えば、NaOH、KOH、NaHCO3、Na2CO3など)を混合し;前記混合物を溶液になるまで攪拌した後;前記溶媒を室温で除去して目標とした塩を得る。(b)(a)で得られた前記塩は再結晶化を通じてさらに精製される。一例として、前記塩は水または他の溶媒にさらに溶解され、低温で再結晶化されて精製された塩を得ることができる。別の方法として、室温で溶媒を蒸発させるかまたは室温で数日間放置して再結晶化を行うこともできる。(c)得られた前記結晶性塩は、有機溶媒を用いて無定形に転換される。また、非制限的な製造例は、実施例の部分に記載されている。
【0047】
また、一部の実施態様において、前記目標とした塩は、塩交換反応を通じて製造できる。また、一部の実施態様において、前記目標とした塩は、化合物I-1-酸を単離せず、化合物I-1-酸(例えば、反応式3の化合物C)のエステル形態を加水分解して直接製造することもできる。塩交換を行うための一般的な方法は当業界で公知のものである。
一部の実施態様において、本発明は、
(a)水中で化合物I-C-酸を含む混合物を提供するステップ、
【化13】
[化合物I-C-酸]
(b)ステップ(a)の前記混合物にM2CO3、MHCO3またはMOHを添加するステップ、
(c)ステップ(b)の前記混合物を加熱および攪拌するステップ、
(d)ステップ(c)の前記混合物を冷却させるステップ、および
(e)ステップ(d)の前記混合物を濾過するステップ
を含む、下記化学式I-Cを有する化合物の製造方法を提供する。
【0048】
【化14】
[化合物I-C]
前記式において、
MはLi、NaまたはKであり;
1は直鎖もしくは分枝鎖C1-36アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルケニル、または直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルキニルである。一部の特定の実施態様において、MはNaである。
【0049】
一部の実施態様において、本発明は、
(a)水を含むかまたは含まないプロトン性有機溶媒中で下記化合物I-C-酸を含む混合物を提供するステップ、
【化15】
[化合物I-C-酸]
(b)ステップ(a)の前記混合物にM2CO3、MHCO3またはMOHを添加するステップ、
(c)ステップ(b)の前記混合物を攪拌するステップ、
(d)減圧下でステップ(c)の前記混合物から溶媒を除去するステップ、および
(e)凍結乾燥によりステップ(d)の前記混合物から水を除去するステップ
を含む下記化学式I-Cの化合物の製造方法を提供する。
【0050】
【化16】
[化合物I-C]
前記式において、
MはLi、NaまたはKであり;
1は直鎖もしくは分枝鎖C1-36アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルケニル、または直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルキニルである。一部の特定の実施態様において、MはNaである。
【0051】
化合物の無定形の製造方法
一部の実施態様において、本発明は、
(a)有機溶媒中で下記化学式I-Cの結晶型を提供するステップ、
(b)ステップ(a)の前記混合物を加熱および攪拌するステップ、および
(c)ステップ(b)の前記混合物から有機溶媒を除去して下記化合物I-Cの無定形を有する化合物を提供するステップ、
を含む、下記化学式I-Cを有する化合物の無定形の製造方法を提供する。
【化17】
[化合物I-C]
【0052】
前記式において、
MはLi、NaまたはKであり;
1は直鎖もしくは分枝鎖C1-36アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルケニル、または直鎖もしくは分枝鎖C2-36アルキニルである。一部の特定の実施態様において、MはNaである。
【0053】
塩を含む薬学組成物
一部の実施態様において、本発明は、化学式Iの化合物(例えば、化学式I-BまたはI-Cの化合物、または化合物I-1~I-10のいずれか一つ)を含む薬学組成物を提供する。一部の実施態様において、前記化学式Iの化合物は、本願に記載されたように、実質的に純粋な化合物である。
例えば、一部の実施態様において、前記薬学組成物は、化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5および/またはI-6を含む。
【0054】
【化18】
【0055】
一部の特定の実施態様において、薬学組成物は化合物I-1を含む。一部の実施態様において、前記化合物I-1は、本願に記載されたように、実質的に純粋な化合物I-1であってもよい。
一般に、前記化学式Iの化合物は、薬学組成物に治療的に有効な量で含まれる。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、MyD88および/またはRIP1のようなPellino-1誘導炎症シグナル伝達複合体の形成により媒介される疾患または障害を治療するのに有効な量で化学式Iの化合物を含み、前記疾患または障害は、例えば、多発性硬化症、乾癬、敗血症、地図状萎縮、湿性加齢黄斑変性、乾性加齢黄斑変性、糖尿性網膜症、感染性肺疾患、細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ウイルス性感染、自己免疫疾患、肥満、リンパ腫を含む血液癌および内臓器官の腫瘍のうちの一つ以上であってもよい。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、ベーチェット病および/またはクローン病)を治療するのに有効な量で化学式Iの化合物を含むことができる。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、脱毛症を治療するのに有効な量で化学式Iの化合物を含むことができる。一部の実施態様において、前記薬学組成物の活性成分は、本質的に化学式Iの化合物からなる。また、一部の実施態様において、前記薬学組成物は、一つ以上の追加の活性成分を、例えば、本願に記載された一つ以上の疾患または障害を治療するのに有効な量で含むことができる。
【0056】
前記薬学組成物は、口腔、鼻内、肺、直腸、頬側、膣、眼球、局所、非経口または経皮投与を含むが、これらに制限されない種々の投与経路に対して製剤化できる。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、経口投与用として製剤化できる。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、静脈内または硝子体内注射のような注射用として製剤化できる。
前記薬学組成物は、様々な形態で存在しうる。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、固体または液体であってもよい。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、溶液、懸濁液、半液体、半固体、ゲル、エマルション、軟膏、カプセル、錠剤またはクリームであってもよい。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、カプセルまたは錠剤の形態である。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、溶液、例えば、経口用液剤または注射液の形態であってもよい。カプセル、錠剤および溶液のような剤形を製造するための一般的な方法は、当業界で公知のものであり、本願の薬学組成物に適用できる。また、実施例の部分は、本願の開示に応じた典型的な薬学組成物の製造を記述する。
【0057】
本願に記載された前記薬学組成物は一つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤または担体を選択的に含むことができ、これは投与経路に応じて選択することができる。例えば、一部の実施態様において、前記薬学組成物は、抗酸化剤、安定化剤、防腐剤、pH調節剤および/または緩衝剤、等張化剤、増粘剤、懸濁剤、結合剤および粘度上昇剤などから選択される一つ以上(例えば、二つ以上、例えば、2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上)の薬学的に許容可能な賦形剤および担体を含むことができる。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、加工剤(processing agent)、薬物送達調節剤および/またはエンハンサー(enhancer)、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストロース、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)、ポリビニルピロリジノン、低融点ワックス、イオン交換樹脂など、およびこれらの組み合わせを含むことができる。このような賦形剤および担体は、任意の好適な量で使用できる。一部の実施態様において、前記賦形剤および担体は、米国食品医薬局(FDA)または他の相応する管轄機関が、ヒトに用いても安全であると決めた各々の賦形剤または担体の上限以下の量で用いられる。薬学的に許容可能な賦形剤および担体の好適な例は本願に提示されている。更なる好適な例は、文献[「Remington’s Pharmaceutical Sciences、」Mack Pub.Co.、New Jersey(1991)]および[「Remington:The Science and Practice of Pharmacy、」Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、20th edition(2003)および21st edition2005]から探すことができ、その内容は全体が本願に参考文献として含まれる。
【0058】
化合物I-1を含む投与形態
本発明の特定の実施態様は、治療的有効量の化合物I-1および選択的に薬学的に許容可能な賦形剤または担体を含む薬学組成物に関する。一部の実施態様において、前記化合物I-1を含む薬学組成物は、経口、鼻内、肺、直腸、頬側、膣、眼球、局所、非経口または経皮投与のために剤形化できる。例えば、一部の実施態様において、前記薬学組成物は、カプセル、錠剤または水溶液のような経口剤形として化合物I-1を含む。
前記薬学組成物の化合物I-1は、種々の固体状態であってもよい。例えば、本願に記載された任意の実施態様において、化合物I-1は無定形であってもよい。また、一部の実施態様において、前記薬学組成物は、化合物I-1の結晶型のうちの一つ以上を含むことができる。例えば、一部の実施態様において、前記薬学組成物は、化合物I-1のA型、B型、C型、D型、E型および/またはF型を含むことができる。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、化合物I-1のA型を含む。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、化合物I-1のC型を含む。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、化合物I-1のE型を含む。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、化合物I-1の無定形および化合物I-1の一つ以上の結晶型、例えば、A型、B型、C型、D型、E型および/またはF型を含むことができる。
【0059】
一部の実施態様において、前記無定形化合物I-1を含む薬学組成物は、貯蔵安定性がある。例えば、一部の実施態様において、40℃相対湿度75%または25℃相対湿度60%で1ヶ月以上(例えば、1ヶ月、6ヶ月またはそれ以上)貯蔵時、前記無定形化合物I-1を含む薬学組成物は、化合物I-1の結晶型を実質的に含まない(例えば、10%未満またはXRPDによって検出不可能)。一部の実施態様において、40℃相対湿度75%で1ヶ月以上(例えば、1ヶ月、6ヶ月またはそれ以上)貯蔵時、前記薬学組成物は、各々の時点で図12に示されたものと実質的に同一なX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。
したがって、一部の実施態様において、前記無定形化合物I-1を含む薬学組成物は、化合物I-1の結晶型を実質的に含有しなくてもよい(例えば、10%未満、またはXRPDによって検出不可能)。一部の実施態様において、前記無定形化合物I-1を含む薬学組成物は、化合物I-1のA型を実質的に含有しない。一部の実施態様において、前記無定形化合物I-1を含む薬学組成物は、化合物I-1のC型を実質的に含有しない。一部の実施態様において、前記無定形化合物I-1を含む薬学組成物は、化合物I-1のD型を実質的に含有しない。一部の実施態様において、前記無定形化合物I-1を含む薬学組成物は、化合物I-1のE型を実質的に含有しない。一部の実施態様において、前記無定形化合物I-1を含む薬学組成物は、化合物I-1のF型を実質的に含有しない。一部の実施態様において、無定形化合物I-1を含む薬学組成物は、化合物I-1のA型、B型、C型、D型、E型およびF型のうちの一つ以上を実質的に含まない。
【0060】
一部の実施態様において、前記化合物I-1を含む薬学組成物は、固体投与形態に剤形化される。本願に記載された任意の実施態様において、前記薬学組成物は、腸溶コーティングされてもよい。一部の実施態様において、前記固体投与形態は、経口の固体投与形態である。一部の実施態様において、前記固体投与形態は、カプセルまたは錠剤である。一部の実施態様において、前記カプセルまたは錠剤は、腸溶コーティングされる。
様々な腸溶コーティングが好適である。カプセルおよび錠剤を一例として用いて、一部の実施態様において、前記カプセルまたは錠剤は、化合物I-1を含む腸溶コーティングされた粒子を含むことができる。また、腸溶コーティング粒子そのものも本発明の特徴であることに留意しなければならない。一部の実施態様において、前記カプセルまたは錠剤の外部表面は腸溶コーティングされてもよい。それにより、化合物I-1の粒子は、別途に腸溶コーティングされる必要がない。しかし、一部の実施態様において、前記カプセルまたは錠剤は、腸溶コーティングされた外部表面を有する化合物I-1を含有する腸溶コーティングされた粒子を含むことができる。腸溶コーティングのための一般的な方法は、該技術分野で周知のものであり、本願の固体投与形態に適用できる。また、腸溶コーティングに好適な物質も当業界で公知のものである。例えば、一部の実施態様において、前記腸溶コーティングは、一つ以上のメタクリル酸-メチルメタクリレート共重合体を含む。一部の実施態様において、前記腸溶コーティングは、Eudragit(登録商標)L100またはEudragit(登録商標)S100として各々市販中のメタクリル酸-メチルメタクリレート(1:1または1:2の比率)共重合体のうちの一つ以上を含む。
【0061】
また、前記化合物I-1(例えば、無定形化合物I-1)を含む薬学組成物は、インビトロ溶出プロファイルを特徴とする。本願に記述されたように、化合物I-1は、予想外に高い動的溶解度を示す。任意の理論に拘らず、このような高い動的溶解度は、特定の投与形態の好ましいインビトロ溶出プロファイルを付与し、様々な適用分野、例えば、本願に記述された治療方法に有用である。
【0062】
一部の実施態様において、前記インビトロ溶出プロファイルは、下記技術のうちの一つ以上を含む:(1)37℃で、0.1N HCl 500mlに100rpmで第II型パドル法を利用するUSP溶出試験法を含むインビトロ溶出試験に前記組成物を適用する時、試験で約2時間~約4時間(例えば、約2時間)に組成物から化合物I-1またはその遊離酸の形態が実質的に放出されない;(2)37℃で、pH7.4の約1000ml溶媒に100rpmで第II型パドル法を利用するUSP溶出試験法を含むインビトロ溶出試験に前記組成物を適用する時、約20%以上(例えば、約20~65%、約40~65%)の化合物I-1が試験で約1時間に組成物から放出され、約65~100%(例えば、約80~100%)の化合物I-1が試験で約2時間~約4時間に組成物から放出される。一部の実施態様において、前記インビトロ溶出プロファイルは、下記の技術のうちの一つ以上を含む:(1)37℃で、0.1N HCl 500mlに100rpmで第II型パドル法を利用するUSP溶出試験法を含むインビトロ溶出試験に前記組成物を適用する時、試験で約2時間~約4時間(例えば、約2時間)に組成物から化合物I-1または遊離酸の形態が実質的に放出されない;および(2)37℃で、pH7.4の約1000ml溶媒に100rpmで第II型パドル法を利用するUSP溶出試験法を含むインビトロ溶出試験に前記組成物を適用する時、試験で約1時間~約4時間に組成物から少なくとも80%(例えば、本質的に全て)の化合物I-1が放出される。一部の実施態様において、インビトロ溶出プロファイルは、下記の技術のうちの一つ以上を含む:(1)37℃で、0.1N HCl 500mlに100rpmで第II型パドル法を利用するUSP溶出試験法を含むインビトロ溶出試験に前記組成物を適用する時、試験で約2時間~約4時間(例えば、約2時間)に組成物から化合物I-1または遊離酸の形態が実質的に放出されない;および(2)37℃で、pH7.4の約1000ml溶媒に100rpmで第II型パドル法を利用するUSP溶出試験法を含むインビトロ溶出試験に前記組成物を適用する時、試験で約1時間~約4時間に組成物から化合物I-1が実質的に全て放出される。
一部の実施態様において、インビトロ溶出試験は、実質的に下記の溶出試験の手続きA(Dissolution Study Procedure A)に従う。
【0063】
溶出試験手続きA(Dissolution Study Procedure A):
1)溶出槽を設ける。
2)温度が37.0±0.5℃であるかを確認する。
3)各容器に一つの単位を間隔をおいて配置してサンプリング時間に十分な精密度を確保する。
4)各サンプリング時点の約1分前に溶媒2ml以上を取り出してフィルタに満たし(prime)、前記サンプルは再び容器に捨てる。各サンプリング時点の以後にフィルタを取り替える。
5)説明書に列挙された各サンプリング時点にアリコート(aliquot)1mlをバイアルに移す。放出される化合物I-1の量は、HPLCにより測定することができる。
6)溶出システムは以下のとおりである。
【0064】

【0065】
また、一部の実施態様において、化合物I-1は、水溶液を含む薬学組成物に含まれる。薬学組成物として好適な化合物I-1の水溶液は、本願に記載されたもののうち任意のものを含む。例えば、前記水溶液は、200mg/ml以上の濃度の化合物I-1を含むことができる。一部の実施態様において、約0.1mg/ml~約200mg/mlの濃度に希釈された化合物I-1の水溶液もまた薬学組成物に使用できる。
【0066】
一部の実施態様において、前記薬学組成物の活性成分は、本質的に化合物I-1からなることができる。例えば、本願の前記薬学組成物は、唯一な活性成分として化合物I-1をその遊離酸の形態と共に含むことができる。化合物I-1はナトリウム塩であるが、通常の技術者であれば、特定の遊離酸の形態が例えば平衡を通じて製薬組成物に存在しうることを理解することができるであろう。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、唯一な活性成分として化合物I-1をその遊離酸の形態と共に含む。一般に、前記薬学組成物は、化合物I-1-酸を実質的に含まず、例えば、重量基準に5%未満の量で(例えば、3%未満、1%未満、0.2%未満、0.1未満%、0.05%未満または検出不可能)含む。また、一部の実施態様において、前記薬学組成物は、化合物I-1-酸の他の塩を実質的に含まず、例えば、重量基準に5%未満の量で(例えば、3%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満または検出不可能)含む。しかし、一部の実施態様において、本願の前記薬学組成物は、また、他の活性成分、例えば、本願に記載された他の化合物または炎症性腸疾患のような本願に記載された疾患または障害の治療に有用な他の活性成分を含むことができる。
本願の前記薬学組成物は、様々な量で、例えば、炎症性腸疾患のような本願に記載された疾患または障害の治療に有効な量で化合物I-1を含むことができる。他の好適な量は、本願に記載されている。
【0067】
他の化合物を含む投与形態
本願に記載された他の化合物、例えば、化合物I-2~I-10のうち任意の一つ以上は、本願に化合物I-1に対して記述されたものと同様に剤形化できる。また、例えば、前記化合物は、固体投与形態(例えば、腸溶コーティングされた錠剤またはカプセル)、または溶液形態(例えば、水溶液)に剤形化できる。
例えば、化合物I-2は、化合物I-1が好適であると認知された任意の薬学組成物に含まれることができる。本願で議論されたように、化合物I-2は、同様に予想外に高い動的溶解度を示す。一部の実施態様において、化合物I-2は、化合物I-1が好適であると認知された任意の薬学組成物(例えば、本願に記載された任意の固体または溶液剤形)において活性成分として化合物I-1を代替できる。一部の実施態様において、化合物I-2のA2型は前記薬学組成物に含まれる。一部の実施態様において、無定形化合物I-2は前記薬学組成物に含まれる。一部の実施態様において、前記薬学組成物中の化合物I-2はA2型であり、実質的に他の固体形態を含有しない。
【0068】
一部の実施態様において、前記薬学組成物中の前記活性成分は、本質的に化合物I-2からなることができる。例えば、本願の薬学組成物は、唯一な活性成分として化合物I-2をその遊離酸の形態と共に含むことができる。化合物I-2がカリウム塩であるが、通常の技術者であれば、特定の遊離酸の形態が例えば平衡を通じて前記薬学組成物に存在しうることを理解することができるであろう。一部の実施態様において、前記薬学組成物は、唯一な活性成分として化合物I-2を遊離酸の形態と共に含む。一般に、前記薬学組成物は、実質的に化合物I-1-酸を含まず、例えば、重量基準に5%未満の量(例えば、3%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満または検出不可能)を含む。また、一部の実施態様において、前記薬学組成物は、実質的に化合物I-1-酸の他の塩を含まず、例えば、重量基準に5%未満の量(例えば、重量基準に3%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満または検出不可能)を含む。しかし、一部の実施態様において、本願の薬学組成物は、また、他の活性成分、例えば、本願に記載された他の化合物または本願に記載された炎症性腸疾患のような疾患または障害の治療に有用な他の活性成分を含むことができる。
本願の前記薬学組成物は、様々な量で、例えば、本願に記載された炎症性腸疾患のような疾患または障害の治療に有効な量で化合物I-2を含むことができる。他の好適な量は、本願に記載されている。
【0069】
一部の特定の剤形
また、一部の実施態様において、本発明は、一部の特定の剤形を提供する。
一部の実施態様において、前記剤形は、腸溶コーティングされたカプセル内に化学式Iの化合物を含む。そのような剤形の一般的な例を以下に示す:

【0070】
一部の実施態様において、前記剤形は化学式Iの化合物を含む腸溶コーティングされた粒子を含み、これはコーティングされるかまたはコーティングされていないカプセル内に選択的にカプセル化できる。そのような剤形の一般的な例を以下に示す:


一部の実施態様において、前記剤形は化学式Iの化合物を含む顆粒化された粒子を含み、これはコーティングされるかまたはコーティングされていないカプセル内に選択的にカプセル化できる。そのような剤形の一般的な例を以下に示す:

【0071】
一部の実施態様において、前記剤形は直接圧縮錠剤のような錠剤内の化学式Iの化合物を含み、これは選択的に腸溶コーティングできる。そのような剤形の一般的な例を以下に示す:

【0072】
治療方法
本願に記述された前記化学式Iの化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C、または化合物I-1~I-10のうち任意の一つ)は、本願で議論された様々な疾病または障害の治療に有用である。US2017/0008924として公開された米国特許出願第15/205,853号において既に証明されたように、前記化合物に相応する酸である化学式I-酸が炎症性サイトカイン(例えば、IL-6)およびケモカインの発現および活性の抑制に効果的であり、血液により少なく露出しても標的の組織および細胞において十分に高い濃度で残留できることを示す。さらに、このような化合物は、Toll-様受容体2/4およびIL-1βを含むシグナル伝達経路のダウンストリームに作用するMyD88(骨髄分化一次応答遺伝子88)および/またはRIP1(受容体共役タンパク質1)のような炎症シグナル伝達複合体の形成を妨害し、I-κBを安定化してNF-κBの活性を抑制することを示す。前記相応する酸は、炎症性腸疾患の治療;Pellino-1により媒介される炎症シグナル伝達複合体の形成抑制、炎症シグナル伝達複合体MyD88の形成抑制、炎症シグナル伝達複合体であるRIP1の形成抑制;G-CSF、IL-2、SCF、VEGF、CX3CL1、IGFBP5、IGFBP6、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-9、MCP-1、MIP-3α、IL12p40/70、MIG、TNF-αおよびVCAM-1からなる群より選択される一つ以上のタンパク質の発現抑制および/またはNF-κBの活性抑制に効果的であることを示した。また、前記酸化合物の効果的な濃度が標的組織(例えば、小腸組織、大腸組織、盲腸組織)に十分な時間の間維持できることを示す。また、様々な実施例において、米国特許出願第15/205,853号は、化合物I-1-酸が炎症性腸疾患、多発性硬化症および敗血症のような様々な疾患の治療に効果的できることを示す。当該分野における通常の知識を有した技術者であれば、化合物I-1のような化合物I-1-酸の塩が同様に効果的であることを予想することができるであろう。一つの実施例において、米国特許出願第15/205,853号に記述されたものと類似したDSS誘導大腸炎動物モデルに化合物I-1を含む組成物を実験した時、総大腸炎点数に統計的に有意な改善効果があることが明らかになった。
【0073】
したがって、一部の実施態様において、本発明は、MyD88および/またはRIP1のようなPellino-1誘導炎症シグナル伝達複合体の形成により媒介された疾病または障害の治療を必要とする対象体における、前記疾病または障害の治療方法を提供する。一部の実施態様において、前記方法は、本願に記載された任意の化学式Iの化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C、または化合物I-1~I-10のうち任意の一つ)、例えば、前記実質的に純粋な化学式Iの化合物、または本願に記載された任意の薬学組成物、例えば、無定形化合物I-1を含む腸溶コーティングされた組成物を治療的有効量で対象体に投与することを含む。一部の実施態様において、本願に記載された前記化学式Iの化合物または前記薬学組成物は、経口、鼻内、肺、直腸、頬側、膣、眼球、局所、非経口または経皮経路を通して対象体に投与される。一部の実施態様において、化学式Iの化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C、または化合物I-1~I-10のうち任意の一つ)または本願に記載された前記薬学組成物が下記技術の実現のために十分な量で対象体に投与される:(1)炎症シグナル伝達複合体MyD88の形成抑制;(2)Pellino-1により媒介される炎症シグナル伝達複合体の形成抑制;(3)炎症シグナル伝達複合体RIP1の形成抑制;(4)G-CSF、IL-2、SCF、VEGF、CX3CL1、IGFBP5、IGFBP6、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-9、MCP-1、MIP-3α、IL12p40/70、MIG、TNF-αおよびVCAM-1からなる群より選択される一つ以上のタンパク質の発現抑制;および/または(5)対象体でのNF-κBの活性抑制。一部の実施態様において、前記疾病または障害は、多発性硬化症、乾癬、敗血症、地図状萎縮、湿性加齢黄斑変性、乾性加齢黄斑変性、糖尿性網膜症、感染性肺疾患、細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ウイルス性感染、自己免疫疾患、肥満、リンパ腫を含む血液癌および内臓器官の腫瘍のうちの一つ以上である。
【0074】
一部の実施態様において、本発明は、炎症性腸疾患の治療を必要とする対象体における炎症性腸疾患の治療方法を提供する。一部の実施態様において、前記方法は、本願に記載された任意の化学式Iの化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C、または化合物I-1~I-10のうち任意の一つ)、例えば、前記実質的に純粋な化学式Iの化合物、または本願に記載された任意の薬学組成物、例えば、無定形化合物I-1を含む腸溶コーティングされた組成物を治療的有効量で対象体に投与することを含む。一部の実施態様において、本願に記載された前記化学式Iの化合物または前記薬学組成物は、経口経路または直腸経路を通して対象に投与される。一部の実施例において、前記化学式Iの化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C、または化合物I-1~I-10のうち任意の一つ)または本願に記載された前記薬学組成物が下記技術の実現のために十分な量で対象体に投与される:(1)炎症シグナル伝達複合体MyD88の形成抑制;(2)Pellino-1により媒介される炎症シグナル伝達複合体の形成抑制;(3)炎症シグナル伝達複合体RIP1の形成抑制;(4)G-CSF、IL-2、SCF、VEGF、CX3CL1、IGFBP5、IGFBP6、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-9、MCP-1、MIP-3α、IL12p40/70、MIG、TNF-αおよびVCAM-1からなる群より選択される一つ以上のタンパク質の発現抑制;および/または(5)対象体でのNF-κBの活性抑制。一部の実施態様において、前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎、ベーチェット病および/またはクローン病である。
【0075】
一部の実施態様において、本発明は、地図状萎縮、湿性加齢黄斑変性、乾性加齢黄斑変性および/または糖尿性網膜症の治療を必要とする対象体における、地図状萎縮、湿性加齢黄斑変性、乾性加齢黄斑変性および/または糖尿性網膜症の治療方法を提供する。一部の実施態様において、前記方法は、本願に記載された任意の化学式Iの化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C、または化合物I-1~I-10のうち任意の一つ)、例えば、前記実質的に純粋な化学式Iの化合物、または本願に記載された無定形化合物I-1を含む任意の薬学組成物を治療的有効量で対象体に投与することを含む。一部の実施態様において、本願に記載された前記化学式Iの化合物または前記薬学組成物は、経口、鼻内、肺、直腸、頬側、膣、眼球、局所、非経口または経皮経路を通して対象体に投与される。一部の実施態様において、前記化学式Iの化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C、または化合物I-1~I-10のうち任意の一つ)または本願に記載された前記薬学組成物が下記技術の実現のために十分な量で対象体に投与される:(1)網膜色素上皮細胞でのNox-4、VEGF、VEGFR1、VEGFR2、Ang2、EPOおよびEPORからなる群より選択される一つ以上のタンパク質の発現抑制;(2)網膜色素上皮細胞でのAng1、Tie2または両方ともの発現増加。
【0076】
一部の実施態様において、本発明は、脱毛症の治療を必要とする対象体における脱毛症の治療方法を提供する。一部の実施態様において、前記方法は、本願に記載された任意の化学式Iの化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C、または化合物I-1~I-10のうち任意の一つ)、例えば、前記実質的に純粋な化学式Iの化合物、または本願に記載された無定形化合物I-1を含む薬学組成物を治療的有効量で対象体に投与することを含む。一部の実施態様において、本願に記載された前記化学式Iの化合物または前記薬学組成物は、経口、鼻内、肺、直腸、頬側、膣、眼球、局所、非経口または経皮経路を通して対象体に投与される。一部の実施態様において、本願に記載された前記化学式Iの化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C、または化合物I-1~I-10のうち任意の一つ)または前記薬学組成物は、頭皮と毛嚢でのIL-6の発現を抑制するのに十分な量で対象体に投与される。
【0077】
また、一部の実施態様において、本願に記載された前記化学式Iの化合物または前記薬学組成物は、MyD88(myddosome複合体)および/またはRIP1により媒介される炎症シグナル伝達経路においてIκBの分解を抑制するのに使用でき、その結果、NF-κBが細胞核に輸送されるのを防いで、サイトカインおよびケモカイン(例えば、G-CSF、IL-2、SCF、VEGF、CX3CL1、IGFBP5、IGFBP6、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-9、MCP-1、MIP-3α、IL12p40/70、MIG、TNF-αおよびVCAM-1)の発現を抑制し、その発現時に引き起こされうる炎症反応を予防する。よって、一部の実施態様において、本発明は、(1)炎症シグナル伝達複合体MyD88の形成を抑制する方法;(2)Pellino-1により媒介される炎症シグナル伝達複合体の形成を抑制する方法;(3)炎症シグナル伝達複合体RIP1の形成を抑制する方法;(4)G-CSF、IL-2、SCF、VEGF、CX3CL1、IGFBP5、IGFBP6、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-9、MCP-1、MIP-3α、IL12p40/70、MIG、TNF-αおよびVCAM-1からなる群より選択される一つ以上のタンパク質の発現を抑制する方法;および/または(5)細胞内でのNF-κBの活性を抑制する方法を提供する。一部の実施態様において、前記方法は、本願に記載された任意の化学式Iの化合物(例えば、化学式I-BまたはI-C、または化合物I-1~I-10のうち任意の一つ)、例えば、前記実質的に純粋な化学式Iの化合物、または本願に記載された任意の前記薬学組成物、例えば、無定形化合物I-1を含む腸溶コーティングされた組成物の有効量を細胞と接触させることを含む。
【0078】
本願に記載された前記化学式Iの化合物または前記薬学組成物は、本願に記載された前記方法に対する唯一な薬物(intervention)として使用できる。しかし、一部の実施態様において、本願に記載された前記化学式Iの化合物または前記薬学組成物は、また、各々の方法に対する他の治療法または薬物と共に使用できる。例えば、本願に記載された前記化学式Iの化合物または前記薬学組成物は、他の薬物と組み合わせて、同時に、順次に、または以外の他の併用投与法により使用できる。
【0079】
定義
特に定義されていない限り、本願で用いられた技術用語および科学用語は、本発明の技術分野における通常の知識を有する者に普遍的に理解される意味に定義される。本発明で用いられた用語の多数が一般にどのような意味を有しているかについては、下記の文献を参考にすることができる:文献[The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.、1988)];[The Glossary of Genetics、5th Ed.、R.Rieger et.al.(eds.)、Springer Verlag(1991)];および[Hale & Marham、The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)]。下記の用語は、特に定義されない限り、以下に説明された意味を有する。
特に記載されているか文脈上明白な場合でなければ、本願で用いられた用語「または」は包含的な意味として用いられる。特に記載されているか文脈上明白な場合でなければ、本願で用いられた用語「1」、「1つ」、「一つ」、「一つの」、「その」は、単数または複数の意味として用いられる。例えば、「一つの化合物(a compound)」は化合物の混合物を含み;「一つの担体(a carrier)」は二つ以上の担体の混合物を含む。
【0080】
特に記載されているか文脈上明白な場合でなければ、本願で用いられた用語「約(about)」は、この技術分野で通常的に許容される誤差範囲、例えば、平均の2標準偏差以内に理解される。一実施態様において、「約」は、言及された値の20%以内に理解できる。本願で用いられたように、特定値の「約」はまた記述された値を含み、例えば、約10%は10%を含む。文脈上明確でない限り、本願で提供される全ての数値は用語「約」に修正される。
本願で用いられた用語「活性成分」、「薬物」および「薬学製剤」は、本願に記載された任意の手段により対象体(例えば、ヒトまたは動物)に投与される時、所望の薬理学的効果(例えば、炎症の減少)を誘導する化学物質または化合物を称するものとして相互交換的に用いられる。
【0081】
本願で用いられた用語「添加剤」は、本願の組成物および剤形に添加できる追加の成分を称するものとして用いられる。例えば、前記添加剤は、賦形剤(例えば、一つ以上の賦形剤)、抗酸化剤(例えば、一つ以上の抗酸化剤)、安定化剤(例えば、一つ以上の安定化剤)、防腐剤(例えば、一つ以上の防腐剤)、pH調節剤および/または緩衝剤(例えば、一つ以上のpH調節剤および/または緩衝剤)、等張化剤(例えば、一つ以上の等張化剤)、増粘剤(例えば、一つ以上の増粘剤)、懸濁剤(例えば、一つ以上の懸濁剤)、結合剤(例えば、一つ以上の結合剤)、粘度上昇剤(例えば、一つ以上の粘度上昇剤)などを含むことができるが、但し、前記添加剤成分は、治療しようとする特定の症状に薬学的に許容可能なものである。また、前記添加剤は、加工剤と薬物送達調節剤およびエンハンサー、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストロース、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリビニルピロリジノン、低融点ワックス、イオン交換樹脂など、およびこれらのうち2以上の組み合わせを含むことができる。その他の薬学的に許容可能な賦形剤は、本願に参考文献として引用された文献[「Remington’s Pharmaceutical Sciences、」 Mack Pub.Co.、New Jersey(1991)]および「Remington:The Science and Practice of Pharmacy、」Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、20th edition(2003)および21st edition(2005)]に記述されている。本願に記述された添加剤は、任意の好適な量で使用できる。
【0082】
本願で用いられたように、用語「投与する」または「投与」は、任意の特定の経路に制限されるものではない。例えば、「投与する」とは、対象体に経口投与、坐剤投与、局所投与、静脈投与、非経口投与、腹腔投与、筋肉投与、病巣内投与、くも膜下投与、鼻内投与、皮下投与、または、例えば、ミニ浸透ポンプのような徐放性装置の挿入を含むことができる。一部の実施態様において、投与は、非経口および経粘膜送達、例えば、経口、鼻内、肺、直腸、頬側、膣、眼球、局所または経皮経路を含む。
本願で用いられた用語「抗酸化剤」は、ある形態の細胞損傷および/または酸化を予防するかまたは遅らせる人工または天然の物質を含む。抗酸化剤は、果物および野菜を含む多くの食品から発見される。また、抗酸化剤は、食餌補充剤として使用可能である。抗酸化剤の例には、β-カロチン、ルテイン、リコペン、セレニウム、ビタミンA、ビタミンCおよびビタミンEが含まれる。当該技術分野における通常の知識を有する者に公知の他の抗酸化剤も使用できる。本願に記述された抗酸化剤は、任意の好適な量で使用できる。
【0083】
本願で用いられた用語「併用投与(co-administer)」とは、本願に記述された化合物または組成物を本願に記述された追加の治療剤または活性剤または添加剤と同時に、これらより以前にまたは以後に投与することを意味する。本発明における化合物または組成物は、患者に単独または併用投与される。併用投与は、前記化合物を個別的にまたは(一つ以上の他の化合物または製剤と)組み合わせて、同時または順次投与を含むことを意味する。好ましくは、本発明の剤形は、他の活性物質と組み合わせてもよい。
本願で用いられた用語「同時投与」は、薬物持続時間が少なくとも一部重複することを含む。例えば、二つの製剤(例えば、生物学的活性を有した本発明の任意の製剤または製剤の群)を同時に投与する場合、これらの投与は一定の好ましい時間内に行われる。前記製剤の投与は、同日に始まり終了することができる。この二つの製剤が少なくとも一度同日に投与される限り、一つの製剤は他の製剤より1日や数日先立って投与されてもよい。同様に、二つの製剤が少なくとも一度同日に投与される限り、一つの製剤が他の製剤より長く投与されてもよい。前記生理活性剤が毎日同じ時間に投与されない場合にも同時投与に含まれると見なされる。
【0084】
本願で用いられた用語「有効量」または「治療的有効量」は、好ましい生物学的効果、例えば、臨床結果を含む有益な結果に十分な量である。「有効量」は、文脈に応じてその意味が決まる。有効量は、当該技術分野で知られた要因、例えば、治療を受ける対象体の疾病状態、年齢、性別および体重に応じて変わる。数個の分割用量が毎日投与されるか、または、前記用量は治療状況の緊急度に示したものに応じて比例的に減少しうる。また、本発明の化合物、組成物/剤形は、治療的有効量を達成するのに必要なだけの頻度で投与できる。
本願で用いられた用語「ゲル(gel)」は、容易に流れ落ちる液体ではなく、固体でもない物質を称する。ゲルは、天然物または合成物から形成することができる。ゲルは、形態性がないか、またはある程度の複屈折性と若干の形態性を有する液晶の特性を有することができる。ゲルは、局所投与することができる。
【0085】
本願で用いられた用語「炎症性腸疾患」は、一般的な医学意味を有し、大腸および/または小腸の炎症状態の一群を称する。炎症性腸疾患の例としてはクローン病、潰瘍性大腸炎、ヨーネ病(Johne’s disease)、ベーチェット病(Behcet’s disease)、膠原性大腸炎、空置大腸炎、分類不能大腸炎、感染性大腸炎、虚血性大腸炎、リンパ球性大腸炎および胃腸管と密接に関連した疾患または障害を含むが、これらに制限されるものではない。
本願で用いられた用語「抑制する」または「防止する」とは、化合物または組成物が特定の生物学的過程の活性を減少、遅延、停止または防止する能力を称する。例えば、生物学的過程の活性を抑制するとは、前記活性を少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%または少なくとも約100%まで減少させることを意味する。
【0086】
本願で用いられた用語「ゼリー(Jelly)」は、ゲルの一群として、液体が浸透した小型無機粒子または大型有機分子で構成された懸濁液からなっており、構造的に一貫性のあるマトリックスが高い含量の液体、一般に水を含有する半固体システムである。
本願の投与形態の文脈で用いられた用語「液体」は、液体状態の組成物からなった投与形態を称する。一実施態様において、「液体」は注ぐことができ;室温で容器に注ぐと容器の形態に沿って維持される。液体は、ニュートンまたは擬塑性(pseudoplastic)流動挙動を示す。ある実施態様において、本願で用いられた用語「半液体(semi-liquid)」は、液体および他の剤形(例えば、懸濁液、エマルション、溶液、クリーム、ゲル、ゼリーなど)の両方ともの性質を有することができる。
【0087】
本願で用いられた用語「骨髄分化一次応答遺伝子88」または「MYD88」は、ヒトにおいてMYD88遺伝子によって暗号化されるタンパク質である。MyD88は、先天的免疫反応および後天的免疫反応において中心となる役割をする。このタンパク質は、インターロイキン-1およびToll-様受容体シグナル伝達経路における必須的なシグナル伝達物質として作用する。前記シグナル伝達経路は、数多くの炎症性遺伝子(proinflammatory gene)の活性化を調節する。暗号化されたタンパク質は、N-末端死ドメイン(death domain)とC-末端Toll-インターロイキン1受容体ドメインとから構成されている。
本願で用いられた用語「軟膏」は、疾病、症状または状態(例えば、炎症性腸疾患)の治療目的として使用できる高粘度の液体または半固体の剤形を称する。
【0088】
本願で用いられた用語「薬学的に許容可能な担体」は、生理学的に両立可能な任意の全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などを含む。担体の種類は、使用しようとする投与経路に応じて選択することができる。例えば、薬学的に許容可能な担体は、滅菌水溶液または分散液、および滅菌局所溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末を含む。薬学的活性成分に対する前記媒質および製剤の使用は、当該技術分野で周知のものである。このような媒質または製剤が本願に記載された化合物、組成物または剤形と両立不可能なものでなければ、例えば、眼科用組成物での任意の通常の媒質または製剤が考えられる。
【0089】
本願で用いられた用語「薬学的担体」または「担体」は、用いられる用量または濃度において、それに露出した細胞または哺乳類に毒性を示さない薬学的に許容可能な担体、賦形剤または安定剤を含むことができる。一部の実施態様において、生理学的に許容可能な担体はpH緩衝水溶液である。生理学的に許容可能な担体の例としては、緩衝液、例えば、ホスフェート、シトレートおよびその他の有機酸;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子ポリペプチド(約10個未満の残基);タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン;親水性重合体、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む単糖類、二糖類およびその他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;および/または非イオン性界面活性剤、例えば、ツイン(Tween)TM、ポリエチレングリコール(PEG)およびプルロニクス(Pluronics)TMが含まれる。また、一部の実施態様において、「薬学的に許容可能な」成分(活性成分または賦形剤または担体)は、米国連邦政府または米国州政府の規制機関または米国以外の他国の該当機関によって承認済みまたは承認可能であるか、または動物、特にヒトでの使用のために米国薬典または一般に認められる他の薬典に記録されている成分を意味する。
【0090】
本願で用いられた用語「pH調節剤」または「緩衝剤」は、pH調節剤として有用な化合物または緩衝液(buffer)を称する。その例にはグリセロール緩衝液、シトレート緩衝液、ボレート緩衝液、アセテート緩衝液、グルコネート緩衝液、ホスフェート緩衝液、クエン酸-ホスフェート緩衝液などが含まれるが、これらに制限されるものではない。前記pH剤または緩衝剤は、好適な量で使用できる。
本願で用いられた用語「防腐剤」は、本発明の化合物、組成物または剤形に好ましくない化学的変化を防止する物質または化学物質を称する。好適な防腐剤は、例えば、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸2ナトリウムソルビン酸、Onamer M Polyquat、セチルブロマイド、セチルピリジニウムクロライド、ベンジルブロマイド、EDTA、フェニル水銀ニトレート、フェニル水銀アセテート、チメロサール、メルチオレート、アセテートおよびフェニル水銀ボレート、ポリミキシンBサルフェート、メチルおよびプロピルパラベン、第四塩化アンモニウム、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムプロピオネート、過ホウ酸ナトリウムおよび当該技術分野における通常の知識を有する者に周知のその他の製剤、またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記防腐剤は、好適な量で使用できる。
【0091】
本願で用いられる範囲は、その範囲内の全ての値に対する省略表現(shorthand)であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50からなる群からの任意の数字、数字の組み合わせ、または下位範囲(sub-range)だけでなく、前記整数の間にある全ての少数値、例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8および1.9も含むものであると理解される。下位範囲の場合、前記範囲のどちらか一方の端点から伸びる「入れ子状下位範囲(nested sub-range)」が特に考えられる。例えば、1~50の例示的範囲の入れ子状下位範囲は、一方向では1~10、1~20、1~30および1~40を含み、他方向では50~40、50~30、50~20および50~10を含むことができる。
【0092】
本願の前記範囲は、第1数値の近似値(about)からおよび/または第2数値の近似値(about)までに表現できる。このような範囲を表現する時、第1数値から第2数値までの範囲を含む。同様に、前記数値が「約(about)」を用いて近似値で表される場合、その特定の数値は、また他の側面を形成するものであると理解される。ある数値範囲の下限値と上限値は各々独立して意味を有したりもし、互いに関連して意味を有したりもする。本願で用いられた多くの数値は、各数値そのものは勿論、その数値の近似値を意味するものであると理解される。また、本願において、データは様々な多くの形態で表されており、これらのデータは最終値を意味したりもし、初期値を意味したりもし、各データ値の組み合わせによる範囲を意味したりもする。例えば、特定のデータ値「10」および「15」が記載された場合であれば、10超過、以上、未満、以下、または10そのもの、15超過、以上、未満、以下、または15そのもの、10および15の間が記載されたものであると理解される。また、二つの特定の単位数値の間にある各々の単位もまた開示されたものであると理解される。例えば、10および15が記載された場合、11、12、13および14もまた記載されたものである。
【0093】
本願で用いられた用語「受容体共役タンパク質」または「RIP1」は、細胞の生存および死滅の決定的調節因子であるプロテインキナーゼを記述する。RIP1およびRIP2も死ドメイン(death domain)スーパーファミリーに属するC-末端ドメインを有しており、様々なシグナル伝達経路を開始する大型タンパク質複合体に対するリクルート(recruitment)を許容する。
本願で用いられた用語「半固体ゲル」は半固体である。半固体剤形の見かけ粘度は、濃度に応じて増加しうる。
本願で用いられた用語「順次投与」は、二つの製剤(例えば、前記化合物または組成物)を同じ日に別途に投与するか、または同じ日に投与しない場合(例えば、数日連続して投与する場合)も含む。
【0094】
本願で用いられた用語「溶液」は、一つの溶媒または相互混和性の溶媒混合物に溶解した一つ以上の化学成分を含有する透明で且つ均一な液相投与形態である。一実施態様において、溶液は、適切な溶媒または相互混和性の溶媒混合物に溶けられた一つ以上の化学成分を含む液相製剤である。溶液中の医薬物質の分子は均一に分散しているため、投与形態として溶液の使用は、一般に溶液を希釈するかまたはそうでなければ混合時に均一な投与用量の保障および投与量の優れた正確度を提供する。
本願で用いられた用語「溶媒」は、水溶性または非水溶性であってもよい。水溶性溶媒は、水のみからなってもよく、水および一つ以上の混和性溶媒からなってもよく、溶解している溶質、例えば、糖、緩衝液、塩または他の賦形剤を含んでもよい。一部の実施態様において、非水溶性溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノールのような短鎖有機アルコール、アセトンのような短鎖ケトン、およびグリセロールのようなポリアルコールを含むことができる。溶媒は、好適な量で存在しうる。
本願で用いられた用語「対象体」または「患者」は、ヒトまたは動物、例えば、哺乳動物を意味する。「対象体」は、馬、犬、猫、豚、ヤギ、ウサギ、ハムスター、猿、ギニアピッグ、ラット、マウス、トカゲ、蛇、羊、家畜、魚および鳥を含む動物を含むことができる。患者は、ヒトである対象体を称する。
【0095】
本願で用いられた用語「懸濁液」は、液体ビヒクルに分散した固体粒子を含む液相投与形態である。
本願で用いられた用語「症状/症候群(syndrome)」は、持続的に共に発生する症状の群または関連した種々の症状を特徴とする状態を称する。症状(例えば、炎症性腸症候群)は、互いに関連しており、特定の疾病と関連した一連の医学的症状および症候群であることが多い。一方、疾病は、基底原因が明確に定義された健康状態である。その反面、症状/症候群(「共に走る」を意味するギリシャ語に由来)は、多数の原因不明症状を示すことがある。これらは、基底に疾病がある可能性または甚だしくは疾病に発展する見込みを暗示する。
【0096】
本願で用いられた用語「治療する(treat)」、「治療する(treating)」または「治療(treatment)」およびこの他に文法的に同等な用語は、疾病、状態(例えば、炎症性腸疾患)または症状の軽減、緩和、改善、または予防、追加的症状の予防、症状の基底代謝原因の改善または予防、疾病または症状の抑制、例えば、疾病または症状の発病中止、疾病または症状の緩和、疾病または症状の退行誘導、疾病または症状から始まった状態の緩和、または疾病または状態の症状の中断を含み、予防を含むものであると意図される。また、前記用語は、治療効果および/または予防効果を達成することを含む。治療効果とは、治療しようとする基底の障害の根絶または改善を意味する。また、治療効果は、基底の障害と関連した生理的症状のうちの一つ以上の根絶または改善によって達成され、患者が未だに基底障害を患う場合にも患者から改善が観察される。
本願で用いられた用語「粘度」は、流体の流動に対する抵抗性を称する。粘度剤は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、その他に当該技術分野における通常の知識を有する者にとって周知の成分またはこれらの組み合わせを含む。
【実施例0097】
下記の実施例は単に本発明を説明するための目的としてのみ提示されるものであって、本発明の範囲が下記の実施例に制限されるものではない。
【0098】
(実施例1.一般的な方法)
特定の出発物質および試薬は、商業的な経路を通して入手可能であり、そのまま使用できる。例えば、クレモフォール(Cremophor)RH40、Tween80、メグルミンは、Sigma(Headquarter、Milwaukee)を通じて購入できる。
本願の実施態様の様々な出発物質、中間体および化合物は、適切な場合、沈殿、濾過、結晶化、蒸発、蒸留およびクロマトグラフィーのような通常の技術を利用して単離および精製できる。これらの化合物の特性の評価は、融点、質量スペクトル、核磁気共鳴および様々な他の分光分析のような通常の方法を利用して行うことができる。
本願の様々な固体形態のX線分析は、BrukerのX線粉末回折、D8 advanceを用いて行うことができる。典型的な方法を以下に示す:管:Cu:K-アルファ(λ=1.54179Å);発電機:電圧:40kV;電流:40mA;スキャン範囲:4~40度;サンプル回転速度:15rpm;スキャニング速度:10°/分。結果は2θ±0.2°で報告される。
【0099】
示差走査熱量測定法(DSC)は、TA InstrumentsのQ2000モデルを用いて行うことができる。一つの典型的な方法として、サンプルは30℃~300℃で10℃/分で加熱する。
熱重量分析(TGA)は、TA InstrumentsのQ5000IRモデルを用いて行うことができる。一つの典型的な方法として、サンプルは室温~300℃で10℃/分で加熱する。
HPLC分析は、AgilentのZorbax SB-C8(250* 4.6mm、5μm)を用いるAgilentシステムを用いて行うことができる。一つの典型的な移動相は、下記表に応じた濃度勾配および約1mL/分の流速を有するアセトニトリル(0.2% TFA)および水(0.2% TFA)を含む。
【0100】
【表1】

他の波長、例えば、220nmが検出に使用できる。通常の技術者であれば、適切な場合、HPLC方法を調節することができる。
【0101】
(実施例2A.化合物I-1の製造)
【化19】
化合物I-1を下記反応式3により合成した:
【化20】

[反応式3]
化合物I-1-酸はUS2017/0008924として公開された米国特許出願第15/205,853号に記述された手続きによりSM4およびSM5から始まって製造され、前記特許内容の全てが本願に参考文献として含まれる。
【0102】
中間体の再結晶化
反応式3において、化合物I-1-酸に誘導された幾つかの中間体は、再結晶化を通じて精製された。具体的には、化合物Eをエチルアセテート(EtOAc)およびn-ヘプタン混合物において再結晶化した。化合物-DをNaOHで加水分解した後、酸処理をした。その次に、EtOAcを用いて酸性の化合物-Eを抽出した。その後、前記EtOAc溶液を水で洗浄した後、塩水で洗浄してEtOAc溶液内に粗生成物を生成した。その次に、n-ヘプタンを粗生成物溶液に添加し、ここで、溶媒の量はEtOAc/n-ヘプタンの比率が約1:4~1:2であり、化合物Eの濃度は化合物-E(約1g)/溶媒(4~6ml)になるように調節した。その次に、EtOAc/ヘプタン混合物を65~75℃で約0.5~2時間加熱した後、約20~25℃に冷却させた。形成された固体を収集し乾燥してHPLC面積に応じて97.8%の純度を有する化合物-Eを得た。
【0103】
また、化合物Bは、EtOAcおよびn-ヘプタンを用いて再結晶化された。ここで、前記EtOAc溶液中の粗生成物(化合物-B(約1g)/溶液(4~6ml))を約50~55℃で約0.5~2時間加熱した。その次に、n-ヘプタンを約50~55℃でEtOAc溶液に添加した。EtOAcに対するn-ヘプタンの最終比率は約1:4~1:2に調整された。その次に、前記EtOAc/ヘプタン混合物を50~55℃で約0.5~1時間維持させた後、約15~20℃に冷却させた。前記形成された固体を収集し乾燥してHPLC面積に応じて97.7%の純度を有する結晶型の化合物-Bを得た。
【0104】
化合物I-1-酸の再結晶化および多形体
化合物I-1-酸もまた再結晶化された。NaOHで化合物Cを加水分解した後、酸仕上げ処理過程(acid work-up)を行った。粗化合物I-1-酸を固体として得て、それを水、アセトンおよびメチル tert-ブチルエーテル(MTBE)で洗浄し乾燥した。その次に、前記乾燥された化合物I-1-酸を酢酸(約6~10mlの酢酸中に約1gの化合物I-1-酸)に入れ、混合物を55~65℃で加熱して再結晶化し、前記温度を約30~40分間維持した。前記混合物を約15~25℃に冷却させた後、生成された結晶を濾過し、MTBEで洗浄し乾燥して、HPLC面積に応じて97.8%の純度を有する化合物I-1-酸を得た。
化合物I-1-酸に対する多形体スクリーニング研究を行って1型であることを確認した。1型のXRPD分析を図1Aに示す。図1Bは、1型の化合物I-1-酸のTGAおよびDSC分析を示す。図1Bに示すように、145.4℃および172.2℃を開示温度とする2個の吸熱ピークがあった。25~120℃で質量の約0.25%が減少し、120℃~150℃で質量の約0.42%が減少した。動的蒸気収着(DVS)システムにより、1型は非吸湿性(0~80% RHにおいて重量0.09%が増加)であることが明らかになった。DVSテスト後、XRPDパターンは変更されなかった。
【0105】
また、化合物I-1-酸は無定形に製造できる。具体的には、約2gの化合物I-1-酸をTHF:H2O=1:1の160mLに40℃で溶解して、0.45μmのナイロンシリンジフィルタを通して透明なフラスコに濾過し入れた。その次に、上澄み液を凍結乾燥して白色固体を生成した。前記固体は、XRPD分析(図2)によって無定形であることが明らかになった。
無定形化合物I-1-酸は、容易に結晶1型に転換される。例えば、約20mgの無定形化合物I-1-酸をメタノールまたはエタノールに懸濁し、3日間40℃で続けて振盪した時、濾過および乾燥して得た固体は1型と一致するXRPDパターンを有する。
【0106】
化合物I-1の製造
化合物I-1-酸は、Na2CO3、NaHCO3またはNaOHのようなナトリウム塩基で処理して化合物I-1に転換された。具体的には、化合物I-1-酸(250g、1当量)および水(200mL)を丸底フラスコに添加した。水中にNaHCO3(94g、3当量)が添加された。前記混合物を45~50℃で加熱した後に数時間攪拌した。0~5℃に冷却させた後、生成された固体を濾過した。その次に、前記固体をアセトンで粉末化(triturate)した。混合物を濾過し乾燥した後、化合物I-1の一ナトリウム塩結晶を得ており、これは水または有機溶媒を用いる再結晶を通じてさらに精製できる。
フラスコ内の化合物I-1および水を溶解するまで50℃で加熱した。その次に、前記溶液を0~5℃に冷却させ、数時間攪拌した。混合物を濾過し乾燥した後、さらに精製された化合物I-1の一ナトリウム塩結晶を得ており、これは有機溶媒処理により無定形にさらに加工できる。
【0107】
具体的には、化合物I-1(230.00g)をTHF(1L)に溶解させた。その次に、前記混合物を減圧下で40~50℃で濃縮した;この過程を3回繰り返し行った。この過程をTHFの代わりにMTBE(1L)を用いて3回繰り返し行った。その後、得られた固体を40~50℃で2時間減圧乾燥して無定形化合物I-1(203.00g)を得た。
【0108】
(実施例2B.化合物I-1の他の製造)
別法として、化合物I-1は、固相ペプチド合成および溶液相合成の組み合わせにより製造できる。
第1段階.化合物I-1-酸(Bn)の製造
【化21】
【0109】
1.レジン上でFmoc-Tyr(Bzl)-Gly-Pro-OH(5mmol)、Fmoc-Pro-OH(2.53g、7.50mmol)およびHOBt(1.35g、10.0mmol)を100mLの固相反応器に添加した。前記混合物にDMF(50ml)およびDIC(1.26g、10.0mmol)を添加した。N2ブローを15℃で2時間維持して溶媒を除去した。前記レジンをDMF(20ml×5)で洗浄した。
2.DMF中20%ピペリジン(25ml、v/v)を反応器に添加した。N2ブローを30分間持続して溶媒を除去した。前記レジンをDMF(50ml×5)で洗浄した。
3.パルミチン酸(1.92g、7.49mmol)およびHOBt(1.35g、9.99mmol)を反応器に添加した。前記混合物にDMF(50mL)およびDIC(1.26g、9.99mmol)を添加した。N2ブローを2時間維持した。溶媒を除去した後、前記レジンをDMF(50ml×3)およびEtOH(25ml×2)で洗浄した。
【0110】
4.同量の出発物質および試薬を用いる同様な方法により他のバッチを製造した。二つのバッチを合わせてレジンを100mlのフラスコに移した後、DCM中20% CF3COOH(50ml、V/V)をフラスコに添加した。30分間攪拌した後に混合物を濾過した。この過程を1回以上繰り返し行い、レジンをDCM(20ml×2)で洗浄した。前記合わさった濾過物を減圧下で濃縮して粗生成物(5.50g)を得た。粗生成物の一部(5.00g)を直ちに次のステップに用いた。粗生成物の残り(500mg)は分取用HPLC(添加剤として0.1% TFA)で精製して化合物I-1-酸(Bn)(40mg)を白色固体として得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.92 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.20-1.40 (24H,m), 1.52-1.66 (2H,m), 1.78-2.44 (10H,m), 2.89-3.21 (2H,m), 3.40-4.07 (6H,m), 4.32-4.71 (3H,m), 5.06 (2H,s), 6.94-6.98 (2H,m), 7.10-7.21 (2H,m), 7.27-7.49 (5H,m), 7.99-8.11 (1H,m). LC-MS;計算値: 760.5, 実測値: 761.4 [M+H]+.
【0111】
第2段階.化合物I-1-酸の製造

【化22】
MeOH(20ml)中化合物I-1-酸(Bn)(2.50g、3.29mmol)の溶液にPd/C(250mg、10%湿潤、10%mol)を窒素下で添加した。前記懸濁液を数回H2パージしてH2(15psi)下で15℃で2時間攪拌した。前記混合物を濾過し、減圧下で濃縮させ、分取用HPLCで精製して浅い赤色固体の化合物I-1-酸(400mg)を得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.92 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.20-1.40 (24H, m), 1.51-1.69 (2H, m), 1.79-2.47 (10H, m), 2.82-3.51 (2H, m), 3.38-4.11 (6H, m), 4.33-4.73 (3H, m), 6.63-6.76 (2H, m), 6.98-7.10 (2H, m), 7.83-8.16 (1H, m), 8.30-8.72 (1H, m).
【0112】
第3段階.化合物I-1の製造
【化23】

EtOH(1ml)およびH2O(1ml)中化合物I-1-酸(100mg、0.149mmol)の溶液にNaOH(水中で0.1M、1.49ml)を添加した。前記混合物を15℃で2時間攪拌した。EtOHは減圧下で除去された。残った水を凍結乾燥し除去して白色固体の化合物I-1(60mg)を得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.85 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.13-1.30 (24H, m), 1.34-1.52 (2H, m), 1.58-2.31 (10H, m), 2.70-2.83 (1H, m), 2.84-2.96 (1H, m), 3.43-3.54 (3H, m), 3.55-3.77 (3H, m, 水信号と重なる), 3.87-4.75 (3H, m), 6.54-6.58 (2H, m), 6.86-6.93 (2H, m), 7.33-7.58 (1H, m), 8.06-8.24 (1H, m), 9.21 (1H, brs). LC-MS;計算値: 692.4, 実測値 671.4 (遊離酸の[MH]+).
【0113】
(実施例2C.化合物I-2の製造)
【化24】

実施例2Bに提示された化合物I-1に対して用いられたものとほぼ同様な手続きに従って化合物I-2を合成した。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.86 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.13-1.54 (26H, m), 1.58-2.31 (10H, m), 2.70-3.00 (2H, m), 3.21-3.62 (6H, m), 3.80-4.75 (3H, m), 6.53-6.59 (2H, m), 6.85-6.91 (2H, m), 7.26-7.47 (1H, m), 8.05-8.25 (1H, m), 9.36 (1H, brs). LC-MS;計算値: 708.4, 実測値: 671.4 (遊離酸の[MH]+).
【0114】
(実施例2D.化合物I-3の製造)
【化25】

実施例2Bに提示された化合物I-1に対して用いられたものとほぼ同様な手続きに従って化合物I-3を合成した。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.86 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.09-1.51 (26H, m), 1.58-2.31 (10H, m), 2.70-3.04 (2H, m), 3.19-3.58 (6H, m), 3.87-4.75 (3H, m), 6.55-6.60 (2H, m), 6.86-6.94 (2H, m), 7.29-7.58 (1H, m), 7.90-8.25 (1H, m), 9.26 (1H, brs). LC-MS;計算値: 676.4, 実測値: 671.4 (遊離酸の[MH]+).
【0115】
(実施例2E.化合物I-4の製造)
【化26】

実施例2Bに提示された化合物I-1に対して用いられたものとほぼ同様な手続きに従って化合物I-4を合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ0.79-0.90 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.15-1.33 (24H, m), 1.36-1.53 (2H, m), 1.74-2.05 (4H, m), 2.08-3.30 (2H, m), 2.73-2.85 (1H, m), 2.87-2.95 (1H, m), 3.41-3.71 (4H, m, 水信号と重なる), 3.84-3.95 (1H, m), 4.20-4.37 (1H, m), 6.50-6.67 (2H, m), 6.81-7.02 (2H, m), 7.22-7.37 (1H, m), 8.13-8.38 (1H, m), 9.00-9.20 (1H, brs). LC-MS;計算値: 579.4, 実測値: 574.3 (遊離酸の[MH]+).
【0116】
(実施例2F.化合物I-5の製造)
【化27】

実施例2Bに提示された化合物I-1に対して用いられたものとほぼ同様な手続きに従って化合物I-5を合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ0.79-0.90 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.15-1.33 (24H, m), 1.36-1.53 (2H, m), 1.74-2.05 (4H, m), 2.08-3.30 (2H, m), 2.73-2.85 (1H, m), 2.87-2.95 (1H, m), 3.41-3.71 (4H, m), 3.84-3.95 (1H, m), 4.20-4.37 (1H, m), 6.50-6.67 (2H, m), 6.81-7.02 (2H, m), 7.22-7.37 (1H, m), 8.13-8.38 (1H, m), 9.00-9.20 (1H, brs). LC-MS;計算値: 579.4, 実測値: 574.3 (遊離酸の[MH]+).
【0117】
(実施例2G.化合物I-6の製造)
【化28】
実施例2Bに提示された化合物I-1に対して用いられたものとほぼ同様な手続きに従って化合物I-6を合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ0.79-0.90 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.15-1.33 (24H, m), 1.36-1.53 (2H, m), 1.74-2.05 (4H, m), 2.08-3.30 (2H, m), 2.73-2.85 (1H, m), 2.87-2.95 (1H, m), 3.41-3.71 (4H, m, 水信号と重なる), 3.84-3.95 (1H, m), 4.20-4.37 (1H, m), 6.50-6.67 (2H, m), 6.81-7.02 (2H, m), 7.22-7.37 (1H, m), 8.13-8.38 (1H, m), 9.00-9.20 (1H, brs). LC-MS;計算値: 579.4, 実測値: 574.3 (遊離酸の[MH]+).
【0118】
(実施例2H.化合物I-7の製造)
【化29】

実施例2Bに提示された化合物I-1に対して用いられたものとほぼ同様な手続きに従って化合物I-7を合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ0.80-0.98 (3H, m), 1.22-1.38 (4H, m), 1.46-1.54 (2H, m), 1.67-1.86 (1H, m), 1.92-2.30 (5H, m), 2.77-2.82 (1H, m), 2.86-2.94 (1H, m), 3.35-3.67 (4H, m), 3.85-3.94 (1H, m), 4.23-4.39 (1H, m), 6.41-6.49 (2H, m), 6.79-6.88 (2H, m), 6.93-7.23 (1H, brs), 8.18-8.45 (1H, m). LC-MS;計算値: 455.2, 実測値: 434.2 (遊離酸の[MH]+).
【0119】
(実施例2I.化合物I-8の製造)
【化30】

実施例2Bに提示された化合物I-1に対して用いられたものとほぼ同様な手続きに従って化合物I-8を合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ0.84-0.86 (3H, m), 1.21-1.26 (4H, m), 1.43-1.47 (2H, m), 1.68-2.23 (10H, m), 2.74-2.94 (2H, m), 3.45-3.63 (6H, m), 4.01-4.70 (3H, m), 6.54-6.58 (2H, m), 6.86-6.91 (2H, m), 7.49 (1H, brs), 8.14 (1H, brs), 9.19 (1H, brs). LC-MS;計算値: 530.2, 実測値: 531.2 (遊離酸の[MH]+).
【0120】
(実施例2J.化合物I-9の製造)
【化31】
実施例2Bに提示された化合物I-1に対して用いられたものとほぼ同様な手続きに従って化合物I-9を合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ0.81-0.86 (3H, m), 1.21-1.25 (4H, m), 1.43-1.48 (2H, m), 1.84-2.23 (10H, m), 2.75-2.93 (2H, m), 3.43-3.68 (6H, m), 4.02-4.70 (3H, m), 6.54-6.58 (2H, m), 6.87-6.92 (2H, m), 7.57 (1H, brs), 8.14 (1H, brs), 9.14 (1H, brs). LC-MS;計算値: 530.2, 実測値: 531.3 (遊離酸の[MH]+).
【0121】
(実施例2K.化合物I-10の製造)
【化32】

実施例2Bに提示された化合物I-1に対して用いられたものとほぼ同様な手続きに従って化合物I-10を合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ0.85 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.24-1.28 (20H, m), 1.42-1.46 (2H, m), 1.83-2.22 (12H, m), 2.78-2.92 (4H, m), 3.45-3.83 (7H, m), 4.27-4.67 (2H, m), 5.30-5.33 (2H, m), 6.52-6.54 (2H, m), 6.85-6.87 (2H, m), 7.29 (1H, brs), 8.09 (1H, brs), 9.05 (1H, brs). LC-MS;計算値: 696.4, 実測値: 697.4 (遊離酸の[MH]+)
【0122】
(実施例3.化合物I-1に対する多形体スクリーニング研究)
下記に詳細に説明されたように、無定形および6個の結晶多形体、A型~F型が本研究から確認された。
無定形化合物I-1
約5gの化合物I-1-酸を40℃で250mlのガラス瓶にMeOH 170mlで完全に溶解させた後、予め溶解しておいたMeOH中適切なNaOH溶液を遊離酸水溶液に1:1のモル比で添加した。その次に、前記混合物を室温で攪拌した。前記混合物を一晩攪拌して透明な水溶液になった時、溶液を回転蒸発により乾燥させて白色固体を得た。前記固体を30℃で真空下で1時間乾燥して無定形化合物I-1を得た。XRPD分析して前記固体が無定形であることを確認し、図3に示す。
【0123】
化合物I-1のA型
A型は様々な方法により得ることができる。一例として、約1gの化合物I-1を水:アセトン(1:6、v/v)10mlに60℃で溶解させた。前記透明な溶液を冷蔵庫に5℃で一時間貯蔵して沈殿物を生成した。その次に、アセトン5mlを添加して室温で4日間500rpmで攪拌した。その次に、前記沈殿した固体を収集して真空オーブンで30℃で一晩乾燥して分析した。図4Aは、A型のXRPD分析を示す。TGA-MSおよびDSCを通じた熱分析(図4B)は、A型が、初期には吸収した水の損失により小さい範囲の吸熱をし、以後には約3.1%の結合した水の損失により107℃でより大きい吸熱をすることを示す。また、これは加熱実験を通じても裏付けられ、この時、A型が120℃で加熱後に脱水されて無定形に転換されることが確認された。その結果は、A型が水和物形態であることを示唆する。
【0124】
化合物I-1のB型
また、B型は様々な方法により得ることができる。一例として、化合物I-1を40℃でIPA-アセトン(1:2)に溶解させた後に形成された溶液を0.45μmナイロンシリンジフィルタを通して透明な容器に濾過し入れた。その次に、前記溶媒をfumeフードで一晩蒸発させて沈殿物を生成した。前記沈殿した固体を収集して30℃の真空オーブンで一晩乾燥して分析した。B型は偏光顕微鏡(PLM)において部分的に複屈折を示し、これは無定形と結晶型の混合形態であることを意味する。図5に示すように、TGAおよびDSC分析は、残留溶媒または水により約0.87%の重量損失があり、110℃では吸熱ピークに応じて1.1%の重量損失があったことを示す。
【0125】
化合物I-1のC型
C型はA型を70℃で加熱して得た。図6AはC型のXRD分析を示す。C型はPLM下で複屈折および一部塊りを有する不規則な形状を示す。DSCおよびTGAを用いた熱分析(図6B)は、2.9%の水損失により101℃で単一吸熱を有することを示す。その上、C型は数日間25℃で貯蔵した後にA型に転換され、これは準安定形態でありうることを示す。
【0126】
化合物I-1のD型
D型は基本USPバッファでの無定形化合物I-1のpH-溶解度の観察から初めて発見され、25℃で一晩真空乾燥した後に容易にA型に転換された。図7は、A型およびD型を比較するXRPD分析を示す。また、図7は、乾燥時、D型がA型に再び転換されることを示す。
【0127】
化合物I-1のE型
E型はA型または無定形を2週間60℃および40℃/75% RHで保管して得ることができる。A型およびC型と類似したDSC/TGAデータ(図8B)を有しているが、異なるXRPDパターンを示した(図8Aを参照)。
【0128】
化合物I-1のF型
F型は、水分活性度が40℃で0.3である時、A型およびE型の比較研究を通じて得た。A型10mgおよびE型10mgを各々測量して、水分活性度0.3のアセトニトリル/水(98:2)飽和溶液に投入した。その次に、前記懸濁液を2日または6日間40℃でスラリー化した。前記得られた固体を真空オーブンで30℃で一晩乾燥してXRPDにより確認した(図9A)。TGAおよびDSCを用いた熱分析(図9B)は、初期に約5.6%の質量減少で大きい範囲の吸熱を示し、110℃では小さい吸熱を示したことを示す。
【0129】
無定形化合物I-1の安定性
また、無定形化合物I-1の安定性試験もICHガイドラインに応じて行われた。化合物I-1は、25±2℃/60±5% RHおよび40±2℃/75±5% RH下で6ヶ月以上安定的であることが明らかになった。
XRPD分析に基づくと、無定形化合物I-1が1週間高温湿式条件でA型に転換されることを除いては、全てのテスト条件で無定形化合物I-1のいかなる形態転換も観察されなかった。これは、無定形化合物I-1が40℃/75% RHで貯蔵安定性を有し、多形体変移なしに湿度、60℃および周辺環境に対して優れた抵抗性があることを示す。
【0130】
(実施例4.化合物I-1-酸の溶解度)
本実施例は、研究所で常温で様々な溶媒をもって行われた化合物I-1-酸の概略的な溶解度試験を示す。前記溶解度試験は、肉眼観察と共に手動希釈により施された。下記に示すように、化合物I-1-酸は、大部分の有機溶媒および水に溶解度が低い(<1mg/mL)(表2)。
【0131】
【表2】

また、試験を通じて化合物I-1-酸の水溶解度が2μg/mL未満であることが確認された。
【0132】
(実施例5.化合物I-1に対する溶解度研究)
本実施例では、化合物I-1(無定形)の概略的な溶解度実験を研究所で常温で様々な溶媒をもって行われた。また、前記溶解度も肉眼観察と共に手動希釈により施された。具体的には、公知の量の化合物I-1の重さを測ってバイアルに添加した。公知の量の溶媒を持続的に攪拌しつつバイアルに少しずつ添加した。溶媒を非常に低い速度を維持しながら添加して、固体を完全に溶解させるのに必要な溶媒より超過する溶媒を最小化した。前記溶解度を交差確認するために、少量の化合物I-1をバイアルに添加して溶液が濁るのを確認した。その結果を表3に示す。
【表3】
【0133】
化合物I-1の無定形、A型およびE型の溶解度比較
化合物I-1の無定形、A型またはE型の水溶解度をさらに研究した。具体的には、化合物I-1の無定形、A型およびE型を約250mgを各々0.9mLの水と共に2mL HPLCバイアルに懸濁させた。その後、各懸濁液を25℃で1000rpm下で振盪した。前記懸濁液を1時間および24時間に分析した。具体的には、1時間または24時間の時点で、スラリーを遠心分離しHPLCで分析した。母液のpH値を測定し、残留物をXRPDにより特性化した。
本研究は25℃で1時間に水中での無定形の溶解度(>200mg/mL)がA型およびE型(約180mg/mL)より高いことを示すが、無定形の溶解度はその後に約24時間に約180mg/mLに落ちた。下記表4を参照。
【0134】
【表4】

前記表は化合物I-1(ナトリウム塩)の動的溶解度が25℃で驚くべきことに非常に高いことを示す(約200mg/mL)。また、本研究では、カリウム塩、化合物I-2は、25℃で約166~200mg/mLの動的溶解度を有しており、ナトリウム塩と類似した溶解度を有することを確認した。
【0135】
(実施例6.化合物I-1の溶解度の増進)
化合物I-1は、薬学的に許容可能な様々な賦形剤と共に剤形化できる。本実施例では、様々な賦形剤の存在下で化合物I-1の水溶解度を検討した。
具体的には、約50mgの化合物I-1を測って1.5mL HPLCバイアルに入れ、各々のバイアルに様々な媒質0.2mLを添加した。前記混合物を700rpm下で25℃で振盪した。24時間振盪した後、スラリーを2回遠心分離して分析した。上澄み液をHPLCにより分析した。その溶解度の結果を表5に示す。
【0136】
【表5】

*本データは、肉眼観察による概略的な溶解度に基づいたものであり、HPLC分析によるものではない。
【0137】
メグルミン溶液での化合物I-1の安定性
メグルミンが化合物I-1の溶解度を向上させることが明らかになることによって、メグルミン溶液での化合物I-1の物理的安定性を試験した。この研究は、3%、4%または5%またはそれ以上のメグルミンを含み、水での濃度が200mg/mLの化合物I-1の剤形が、25℃で甚だしくは13日間貯蔵後にも優れた物理的安定性を示す(表6)。この結果は、3%のメグルミンを追加すれば、溶液剤形に、特に化合物I-1の濃度が高い場合に有用であるということを示す。これに対し、メグルミンが含まれておらず、濃度が200mg/mLの化合物I-1の水性剤形は、25℃で1日間貯蔵後に沈殿物を生成し始めた。化合物I-1の溶液の安定性は、温度に敏感であることが明らかになった。5℃で貯蔵される時、化合物I-1の溶液は、メグルミンを様々な濃度(2~5%)で含む5mg/mL溶液剤形でも物理的に安定的ではなかった。
【0138】
【表6】
【0139】
(実施例7.化合物I-2:製造および溶解度研究)
【化33】
本実施例は、化合物I-1-酸のカリウム塩の非制限的な製造方法を示す。
具体的には、化合物I-1-酸5gを40℃で500mLフラスコに200mLのメタノールで完全に溶解させた。その次に、メタノールに事前溶解した(38.46mg/mL)KOH溶液14mLを化合物I-1-酸の溶液に添加した。前記混合物を3時間室温で攪拌して透明な溶液を製造した。その次に、前記溶媒を回転蒸発器により除去して白色固体の一カリウム塩(化合物I-2)を得た。
50℃で無水THFを処理して溶解および蒸発過程を経て無定形化合物I-2を得た。
【0140】
化合物I-2の多形体
化合物I-2は様々な結晶型を有することができる。2個の互いに異なる多形体、A2型およびB2型が確認された。A2型は次のとおりに製造される。具体的には、前記で得られた白色固体の化合物I-2を30mL THF:水(95:5、v/v)に溶解させた。その次に、MTBE(200mL)を徐々に添加して多くの白色固体を沈殿させた。前記懸濁液を一晩室温で攪拌した。その後、固体を濾過し、THF:水:MTBE=7.5:1:53(25mL*3)で洗浄して過量のKOHを除去した後、25℃で真空下で一晩乾燥してA2型を製造した。A2型のXRPD分析を図10Aに示す。TGA-MSおよびDSCを用いた熱分析(図10B)は、A2型が約6.0%の水損失により82℃および92℃で二つの吸熱ピークを有することを示す。DVS等温曲線に基づいて、A2型は吸湿性(約8%の水分吸収)を示したが、DVS研究後に形態変化は観察されなかった。
また、本研究は、A2型が優れた結晶安定性を有し、三つの他の条件で保管した時、甚だしくは25日間安定的であることを示す(25℃/92.5% RH、40℃/75% RH、60℃)。
化合物I-2のB2型は次のとおりに製造される。約300mgの化合物I-2を50℃で8mLのガラスバイアルに3mLのアセトン:水(1:1)で溶解させた。そして前記溶液を透明なバイアルに濾過して、fumeフードで蒸発させて固体を沈殿させた。XRPDは、A2型とは互いに異なる結晶型を示す。B2型は、準安定型を示し、不良な結晶型(poor crystalline form)である。
【0141】
化合物I-2の溶解度研究
化合物I-2(無定形)の溶解度を実施例4および5に記載されたものと同様の方法を用いて室温で試験した。前記溶解度の試験結果は表7に記載されている。
【0142】
【表7】
【0143】
(実施例8.化合物I-1-酸の塩選択試験)
水に特異的な溶解度を示す塩または共結晶を探すために、エタノール、IPA、90% IPA、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)およびpH12溶液(NaOHを用いて製造)での塩スクリーニングが行われた。蒸発およびスラリー化のような通常の技術をスクリーニング過程に使用し、共結晶/塩に対する非制限的な試薬は酢酸、4-アミノサリチル酸、塩化アンモニウム、ベンゼンスルホン酸、カフェイン、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、1R-(-)-10-カンファースルホン酸、1S-(+)-10-カンファースルホン酸、クエン酸、硫酸銅、1,2-エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、塩酸、4-ヒドロキシ安息香酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、硫酸マグネシウム、メタンスルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチンアミド、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、リン酸、p-トルエンスルホン酸、硝酸銀、硫酸ナトリウム、スクロース、硫酸、トリフルオロ酢酸、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アジピン酸、アスパラギン酸、フマル酸、没食子酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリシン、グリコール酸、乳酸、ロイシン、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、粘液酸、シュウ酸、ピバル酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、硫酸カルシウム、メグルミン、アルギニン、リジン、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭化水素カリウムを含む。幾つかの例が表8に示されている。
【0144】
【表8】
【0145】
(剤形例1.剤形A、化合物I-1の腸溶コーティングされたカプセル)
無定形化合物I-1は、本実施例において様々な剤形に用いられた。
剤形Aにおいて、無定形化合物I-1をステアリン酸マグネシウムと約99:1(化合物I-1に対するステアリン酸ステアレート)の重量比で混合した。前記混合物を腸溶コーティングされたHPMCカプセルにカプセル化した。前記腸溶コーティングは、Eudragit L/S100、トリエチルシトレート、タルクおよびエタノールの混合物を含んだ。
この腸溶コーティングされたカプセル剤形の安定性および溶解度を試験した。40℃で75% RHで1ヶ月間貯蔵した結果、たとえ剤形内の水含量が若干増加したものの、剤形中の化合物I-1の量が減少せず、化合物I-1関連の不純物の量が増加せず、無定形化合物I-1が結晶型に変わらなかった(図12参照)。よって、この剤形は貯蔵安定性を有する。
【0146】
剤形Aに対するインビトロ溶出試験を下記の溶出試験手続きAに従って行った。その結果、0.1N HCl溶液において2時間後に全てのカプセルが損傷していないことを示した。そしてNa3PO4バッファでpH7.4に調整した溶媒に前記カプセルを配置した時、試験した全てのカプセルにおいて、本質的に全ての化合物I-1が2時間内に放出され、幾つかのカプセルでは、本質的に全ての化合物I-1が1時間内に放出された。製造した当時頃または40℃で75% RHで1ヶ月貯蔵した後に剤形Aを試験した時、実質的に類似した結果を得た。よって、剤形Aは非酸性環境に達するまで化合物I-1の放出を遅らせることができ、その後、実質的に全ての化合物I-1を速かに放出することができる。このような特性は、化合物I-1のような活性成分が下部胃腸管または結腸に伝達されることが好ましい、本願に記載された炎症性腸疾患のような疾病を治療するのに有益である。
【0147】
(剤形例2.剤形B、カプセル内のコーティングされたAPI)
無定形化合物I-1は、本実施例において様々な剤形に用いられた。
剤形Bにおいて、無定形化合物I-1は、Eudragit L/S100、トリエチルシトレート、タルクおよびエタノールの混合物を含む腸溶コーティングで腸溶コーティングされた。腸溶コーティングに対する化合物I-1の重量比は約60:40である。前記腸溶コーティングされた化合物I-1をHPMCカプセルにカプセル化した。
このカプセル剤形の安定性および溶解度を試験した。40℃で75% RHで1ヶ月間貯蔵した結果、たとえ剤形内の水含量が若干増加したものの、剤形中の化合物I-1の量が減少せず、化合物I-1関連の不純物の量が増加せず、無定形化合物I-1が結晶型に変わらなかった。よって、剤形Bは貯蔵安定性を有する。
【0148】
剤形Bのインビトロ溶出試験が下記の溶出試験手続きAに従って行われた。その結果、0.1N HCl溶液において2時間後に全てのカプセルが部分的に崩壊したかまたは膨張したことを示した。Na3PO4バッファでpH7.4に調整した溶媒に前記カプセルを配置した時、試験した全てのカプセルにおいて、全ての化合物I-1が本質的に2時間内に放出され、幾つかのカプセルでは、本質的に全ての化合物I-1が1時間内に放出された。製造した当時頃または40℃で75% RHで1ヶ月間貯蔵した後に剤形Bを試験した時、実質的に類似した結果を得た。よって、剤形Bもまた非酸性環境に達するまで化合物I-1の放出を遅らせることができ、その後、実質的に全ての化合物I-1を速かに放出することができる。それにより、剤形Bも化合物I-1のような活性成分が下部胃腸管または結腸に伝達されることが好ましい、本願に記載された炎症性腸疾患のような疾病を治療するのに特に好適である。
【0149】
(剤形例3.剤形C、カプセル内に顆粒化されたAPI)
無定形化合物I-1は、本実施例において様々な剤形に用いられた。
剤形Cにおいて、無定形化合物I-1をEudragit S100(メタクリル酸共重合体)およびPharmacoat Hypromellose 606(HPMC)と先に混合した。その次に、エタノールを顆粒化液体として用いるトップスプレーノズルを用いた流動層顆粒化過程に適用した。一例として、前記流動層顆粒化のパラメータは次のように設定された:流入空気温度60~72℃;約38~42℃の出口温度;約38~42℃の生成物の温度;約10~20℃の露点;約50~150m3/hの空気体積;噴霧圧力1.8~2.2bar;約10秒振盪/60秒非振盪のフィルタバック振盪、GPCGモード。全てのエタノールを噴霧した後に、空気体積を50m3/hに下げ、湿式顆粒を生成物の温度(約38~42℃)で乾燥した。一例として、前記乾燥顆粒は、円形インペラ、格子型ラウンド1016マイクロメータスクリーン、0.05インチ+0.1インチスペーサが取り付けられたQuadro Comil Model 197 Unitを用いて、合計0.15インチ、速度450rpm間スクリーニングされた。その後、前記顆粒をステアリン酸マグネシウムと混合し、一部の例では、また、600ミクロンのふるいで手動スクリーニングした後、HPMCカプセルにカプセル化した。重量パーセント(HPMCカプセル除外)は次のとおりである:化合物1、約75%;Eudragit S100、約20%;Pharmacoat Hypromellose 606(約4%);およびステアリン酸マグネシウム(約1%)。
【0150】
このカプセル剤形の安定性および溶解度を試験した。40℃で75% RHで6ヶ月間貯蔵した結果、前記剤形は、貯蔵安定性があるため、たとえ剤形内の水含量が若干増加したものの、化合物I-1の量が減少せず、化合物I-1関連の不純物の量が増加せず、無定形化合物I-1が結晶型に変わらなかった。
剤形Cのインビトロ溶出試験が下記の溶出試験手続きAに従って行われた。その結果、0.1N HCl溶液において2時間後に一つを除いた全てのカプセルが部分的に崩壊されたことを示した。Na3PO4バッファでpH7.4に調整した溶媒に前記カプセルを配置した時、試験した全てのカプセルにおいて、本質的に全ての化合物I-1が1時間内に放出された。製造した当時頃または40℃で75% RHで1ヶ月間貯蔵した後に剤形Cを試験した時、実質的に類似した結果を得た。よって、剤形Cは、非酸性環境に達するまで化合物I-1の放出を遅らせることができ、その後、実質的に全ての化合物I-1を速かに放出することができる。よって、剤形Cもまた化合物I-1のような活性成分が下部胃腸管または結腸に伝達されることが好ましい、本願に記載された炎症性腸疾患のような疾病を治療するのに特に好適である。
【0151】
(剤形例4.剤形D、腸溶コーティングされた直接圧縮錠剤)
無定形化合物I-1は、本実施例において様々な剤形に用いられた。
剤形Dにおいて、無定形化合物I-1、Eudragit S100(メタクリル酸-メチルメタクリレート1:2共重合体)、ケイ化微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムの混合物を用いて腸溶コーティングされた直接圧縮錠剤を製造した。前記錠剤の重量パーセントは次のとおりである:化合物1、約40%;Eudragit S100、約20%;ケイ化微結晶セルロース、約39%;およびステアリン酸マグネシウム、約1%。
前記錠剤剤形の安定性および溶解度を試験した。40℃で75% RHで1ヶ月間貯蔵した結果、前記剤形は、安定的であり、たとえ剤形内の水含量が若干増加したものの、化合物I-1の量が減少せず、化合物I-1関連の不純物の量が増加せず、無定形化合物I-1が結晶型に変わらなかった。
【0152】
同様に、剤形Dのインビトロ溶出試験が下記の溶出試験手続きAに従って行われた。その結果、0.1N HCl溶液で2時間後に全てのカプセルが部分的に崩壊したことを示した。Na3PO4バッファでpH7.4に調整した溶媒に前記錠剤を配置した時、化合物I-1の約40~65%が1時間内に放出され;化合物I-1の約80~100%が2時間内に放出され、本質的に全ての化合物I-1が4時間内に放出された。製造した当時頃または40℃で75% RHで1ヶ月間貯蔵した後に剤形Dを試験した時、実質的に類似した結果を得た。よって、剤形Dは、剤形A~Cと類似した放出遅延特性を共有する。よって、剤形Dもまた化合物I-1のような活性成分が下部胃腸管または結腸に伝達されることが好ましい、本願に記載された炎症性腸疾患のような疾病を治療するのに好適である。
【0153】
要約および概要(Summary and Abstract)の部分を除いた詳細な説明の部分は、請求範囲を解釈するために用いられるものに意図されるのが適切である。要約および概要の部分は、発明者らによって考えられるような本発明の一つの全ての典型的な実施態様ではない一つ以上の実施態様を表すことができ、よって、本発明および添付された請求範囲を制限しようとするものではない。
本発明は、特定の機能の実現およびその関係を図示する機能的な構成要素を介して前記で説明された。このような機能的な構成要素の境界は、説明の便宜のために本願で任意に定義された。特定の機能とその関係が適切に行われる限り、大まかな境界を定義することができる。
【0154】
特定の実施態様で議論された前記技術は、過度な実験なしに、本発明の普遍的な概念から逸脱しない限り、該当分野の知識を適用することによって、前記特定の実施態様を様々な応用のために容易に変形および/または適用できる。よって、そのような変形および適用は、本願に開示された教示および指針に基づいて開示された実施態様と等価物の意味および範囲内にあると意図される。本願の語句および用語は本発明の記述のためのものであり、これに制限されるものではなく、前記教示および指針に照らして通常の技術者によって解釈できるものである。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15