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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106838
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】指紋感知モジュール及びその方法
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/13 20220101AFI20220712BHJP
【FI】
G06V40/13
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071629
(22)【出願日】2022-04-25
(62)【分割の表示】P 2019531057の分割
【原出願日】2017-12-04
(31)【優先権主張番号】1651654-4
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】521564434
【氏名又は名称】フィンガープリント カーズ アナカタム アイピー アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ニルス ルンドバリ
(72)【発明者】
【氏名】チーミン モー
(72)【発明者】
【氏名】マッツ スロットナル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スマートカードへの統合に適した指紋感知モジュール及びそのような指紋感知モジュールを製造する方法並びにそのような指紋感知モジュールを備えるスマートカードを提供する。
【解決手段】指紋感知モジュール2は、指紋感知モジュールを外部回路及び指紋感知モジュールのカバー構造体30に接続する接続パッド24を備える。カバー構造体は、指で触れるように構成され、それによって指紋感知モジュールの感知面を形成する第1の側32と、感知アレイに対面する第2の側34とを有する。カバー構造体はさらに、指紋感知モジュールを外部回路に電気的に接続するために、カバー構造体の第2の側に配置された導電トレース35を備える。カバー構造体の表面積は、指紋感知モジュールの表面積よりも大きい。指紋感知モジュールはまた、接続パッドをカバー構造体の導電トレースに電気的に接続するワイヤボンド40を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋感知装置の第1の側(22)に配置された感知アレイ(21)を有する指紋感知装置(20)であって、前記感知アレイは、指紋感知素子のアレイを備え、前記指紋感知装置は、前記指紋感知装置を外部回路に接続するための接続パッド(24)を備える、指紋感知装置(20)と、
前記指紋感知装置を覆うように構成された指紋感知装置のカバー構造体(30)であって、前記カバー構造体は、指で触れるように構成され、それによって指紋感知モジュールの感知面を形成する第1の側(32)と、前記感知アレイに対面する第2の側(34)とを有し、前記カバー構造体は、前記指紋感知モジュールを外部回路に電気的に接続するために、前記カバー構造体の前記第2の側に配置された導電トレース(35)を備え、前記カバー構造体の表面積は、前記指紋感知装置の表面積よりも大きい、指紋感知装置のカバー構造体(30)と、を備え、
前記指紋感知装置は、前記指紋感知装置の前記接続パッドを前記カバー構造体の前記導電トレースに電気的に接続するワイヤボンド(66)をさらに備え、
前記接続パッドは、前記指紋感知装置の前記第1の側に配置され、前記指紋感知装置は、
前記指紋感知装置の前記第2の側に取り付けられた第1の側を有するキャリア(60)と、
前記指紋感知装置の前記接続パッドと前記キャリアの前記第1の側との間の第1のワイヤボンド(64)と、
前記第1の側の反対側である前記キャリアの第2の側と前記カバー構造体の前記導電トレースとの間に配置された第2のワイヤボンド(66)と、をさらに備え、
前記指紋感知装置と前記導電トレースとの間の電気接続部が前記キャリアを貫通して形成され、前記電気接続部は、前記第1のワイヤボンド(64)及び前記第2のワイヤボンド(66)を備える、
指紋感知モジュール(2)。
【請求項2】
前記接続パッドは、前記第1の側(22)の反対側である前記指紋感知装置の第2の側(23)に配置され、前記指紋感知装置は、前記指紋感知装置の前記第1の側から前記指紋感知装置の前記第2の側の前記接続パッドに達するビア接続部(52)を備える基板(50)をさらに備える、請求項1に記載の指紋感知モジュール。
【請求項3】
前記指紋感知装置と前記カバー構造体との間に配置されたモールド層(68)をさらに備える、請求項1又は2に記載の指紋感知モジュール。
【請求項4】
前記カバー構造体は、導電トレースを備える少なくとも1つの層と少なくとも1つの絶縁層とを含む積層構造体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の指紋感知モジュール。
【請求項5】
前記カバー構造体の前記第2の側(34)に配置され、前記カバー構造体の前記導電トレースに電気的に接続された受動部品(70)をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の指紋感知モジュール。
【請求項6】
前記キャリアの前記第1の側(61)に配置され、前記カバー構造体の導電トレースに電気的に接続された受動部品(70)をさらに備える、請求項1に記載の指紋感知モジュール。
【請求項7】
前記第1の側の反対側である前記指紋感知装置の第2の側に取り付けられた指紋感知制御装置(80)をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の指紋感知モジュール。
【請求項8】
前記指紋感知制御装置を前記カバー構造体の導電トレースに電気的に接続するワイヤボンド(82)をさらに含む、請求項7に記載の指紋感知モジュール。
【請求項9】
前記指紋感知制御装置と前記指紋感知モジュールの前記第2の側との間に配置されたシリコンインターポーザ層(84)をさらに備える、請求項7又は8に記載の指紋感知モジュール。
【請求項10】
前記感知面上に置かれた指と前記指紋感知モジュールの駆動信号回路との間に電気的接続を提供するために前記感知アレイに隣接して配置された電気的導電ベゼルをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の指紋感知モジュール。
【請求項11】
前記カバー構造体は、前記指紋感知モジュールがT字形の外形を有するように前記指紋感知装置の外側に延在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の指紋感知モジュール。
【請求項12】
前記カバー構造体が可撓性である、請求項1から11のいずれか一項に記載の指紋感知モジュール。
【請求項13】
セキュアエレメントをさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の指紋感知モジュール。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の指紋感知モジュール(10)を備えるスマートカード(1)であって、
前記スマートカードは、前記指紋感知モジュールが配置される凹部を含み、
前記指紋感知モジュールの前記カバー構造体は、前記スマートカードの導電インレイの対応する接続パッドに前記導電トレースを接続するための接続パッドを備える、スマートカード。
【請求項15】
前記凹部は、前記指紋感知モジュールの形状に対応する形状を有する、請求項14に記載のスマートカード。
【請求項16】
前記凹部がT字形であり、対応するT字形の指紋感知モジュールを受けるように構成される、請求項14又は15に記載のスマートカード。
【請求項17】
指紋感知モジュールを製造する方法であって、
指紋感知装置の第1の側(22)に配置された感知アレイを有する指紋感知装置(20)を提供し、前記感知アレイは、指紋感知素子のアレイを備え、指紋感知装置は、前記指紋感知装置を外部回路に接続するための接続パッド(24)を備え、
前記指紋感知モジュールを前記外部回路に電気的に接続するために、前記指紋感知装置のカバー構造体の第2の側に配置された導電トレースを備える、前記指紋感知装置のカバー構造体を提供し、
前記指紋感知装置を前記カバー構造体に取り付け、
前記接続パッドと前記導電トレースとの間のワイヤボンディングによって前記指紋感知装置を電気的に接続する、
ことを有し、
前記接続パッドは、前記指紋感知装置の前記第1の側に配置され、前記指紋感知装置は、
前記指紋感知装置の前記第2の側に取り付けられた第1の側を有するキャリア(60)と、
前記指紋感知装置の前記接続パッドと前記キャリアの前記第1の側との間の第1のワイヤボンド(64)と、
前記第1の側の反対側である前記キャリアの第2の側と前記カバー構造体の前記導電トレースとの間に配置された第2のワイヤボンド(66)と、をさらに備え、
前記指紋感知装置と前記導電トレースとの間の電気接続部が前記キャリアを貫通して形成され、前記電気接続部は、前記第1のワイヤボンド(64)及び前記第2のワイヤボンド(66)を備える、指紋感知モジュールを製造する方法。
【請求項18】
前記第1の側の反対側である前記指紋感知モジュールの第2の側に指紋感知制御装置を取り付けることをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記指紋感知モジュールを封入することをさらに有する、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から13のいずれか一項に記載の指紋感知モジュールを備えるスマートカードを製造する方法であって、前記方法は、
複数の層を含むスマートカード基板を提供し、
前記スマートカードに凹部を形成し、前記凹部は下部と上部とを含み、前記上部は前記下部の面積より大きい面積を有し、
前記凹部の前記上部と前記スマートカードの導電トレースとの間にビア接続部を形成し、
前記カバー構造体の前記導電トレースが前記ビア接続部と電気的接触を形成するように、前記凹部に感知モジュールを配置する、
ことを有する、スマートカードを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートカードへの統合に適した指紋感知モジュール、及びそのような指紋感知モジュールを製造する方法に関する。本発明はまた、そのような指紋感知モジュールを備えるスマートカードに関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティの向上及び/又はユーザの利便性の向上のために、様々な種類のバイオメトリックシステムがますます使用されている。特に、指紋感知システム(Fingerprint Sensing Systems)は、それらの小さいフォームファクタ、高性能、及びユーザの受け入れのおかげで、例えば、民生用電子機器に採用されてきた。
【0003】
利用可能な様々な指紋感知原理(例えば、容量式、光学式、熱式など)の中で、特にサイズと電力消費が重要な問題である用途では、容量式感知が最も一般的に使用されている。すべての静電容量式指紋センサは、いくつかの感知構造体のそれぞれと、指紋センサの表面上に置かれた、又はその表面を横切って移動した指との間の静電容量を示す尺度を提供する。
【0004】
さらに、スマートカードへの指紋センサの統合は、市場ニーズが高まっている。ただし、スマートカードの指紋センサの要件は、センサがスマートフォンで使用される場合と比較して変わることがある。例えば、スマートカードのコストはスマートフォンのコストよりもかなり低いので、スマートカード用の指紋センサのコストを下げることがさらに望ましい。
【0005】
現在利用可能なスマートカードでは、指紋感知モジュールをインレイ上にはんだ付けすることができ、カードには、中心層としてインレイと、カード上層に空洞(cavity)とが積層(laminate)され、カード積層の際に指紋感知モジュールを露出したままにさせる。
【0006】
しかしながら、指紋感知モジュールとカード本体との間の隙間はしばしば目に見えるので、信頼性及び外観上の問題を引き起こしている。さらに、記載された方法は、典型的には限定したシリーズにのみ使用され、大量生産には適さない。
【0007】
したがって、指紋感知モジュールを備えるスマートカードを提供するための改良された方法、及びスマートカードに統合するための指紋感知モジュールが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の上記及び他の欠点を考慮して、本発明の目的は、スマートカードとの統合に適した改良された指紋感知モジュール、及びそのようなモジュールを製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、指紋感知モジュールが提供される。指紋感知モジュールは、指紋感知装置の第1の側に配置された感知アレイを有する指紋感知装置を有し、感知アレイは、指紋感知素子のアレイを備える。指紋感知装置は、指紋感知装置を外部回路に接続するための接続パッドもまた備える。指紋感知モジュールは、指紋感知装置を覆うように構成された指紋感知装置のカバー構造体をさらに備え、カバー構造体は、指で触れるように構成され、それによって指紋感知モジュールの感知面を形成する第1の側と、感知アレイに対面する第2の側とを有し、カバー構造体は、指紋感知モジュールを外部回路に電気的に接続するために、カバー構造体の第2の側に配置された導電トレースを備え、カバー構造体の表面積は、指紋感知装置の表面積よりも大きい。指紋感知装置は、指紋感知装置の接続パッドをカバー構造体の導電トレースに電気的に接続するワイヤボンドをさらに備える。
【0010】
本文脈では、指紋感知装置はダイ、チップ、カプセルなどとも呼ばれ、指紋センサは容量式、光学式又は超音波指紋センサとすることができる。
【0011】
記載された指紋モジュールでは、感知アレイは、カバー構造体の表面がカバー構造体の感知面を形成するようにカバー構造体に面している。記載されたカバー構造体は、少なくとも絶縁層と導電トレースを含む層とを備える。しかしながら、カバー構造体は、複数の副層を同様に備えてもよい。
【0012】
本発明は、指紋感知装置を導電トレースを含むカバー層に取り付けるとき、ワイヤボンディングを使用してセンサとカバー層との間に接続を形成することが有利であるという認識に基づいている。これにより、以下でさらに詳細に説明するように、カバー構造体の導電トレースによってスマートカードに容易に一体化される指紋感知モジュールが提供される。
【0013】
しかしながら、記載されたモジュールはまた、カバー構造体によって、例えばモジュールのサイズと形状を簡単に制御できるモジュールが提供することができるので、幅広い用途に統合するのに適している。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、接続パッドは、第1の側の反対側である指紋感知装置の第2の側に配置されてもよく、指紋感知装置は、指紋感知装置の第1の側から指紋感知装置の第2の側の接続パッドに達するビア接続部を含む基板をさらに備える。これにより、センサ装置とカバー構造体との間のワイヤボンディングが、感知アレイの反対側のセンサ装置の裏側から行われる指紋感知装置が提供される。特に、感知アレイを備える指紋センサの側面上にボンドワイヤを必要としない。したがって、記載された配置は、感知アレイとカバー構造体の外面との間の距離を減少させることができ、したがって感知アレイと感知面上に置かれた指との距離を減少させるという利点を有する。これにより、感知装置の性能を改善する。
【0015】
指紋感知装置はまた、ボンディングパッドとして使用される接続パッドを提供するためのウェハレベルのファンアウト技術を含んでもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、接続パッドは、指紋感知装置の第1の側に配置され、指紋感知装置は、指紋感知装置の第2の側に取り付けられた第1の側を有するキャリアと、指紋感知装置の接続パッドとキャリアの第1の側との間のワイヤボンドと、第1の側の反対側であるキャリアの第2の側とカバー構造体の導電トレースとの間に配置されたワイヤボンドと、をさらに備える。
【0017】
したがって、指紋感知装置の接続パッドとキャリアの接続パッドとの間に中間接続がある。キャリアの接続パッドは、カバー構造体の導電トレースに接続するためのボンドパッドとして機能する。用途によっては、たとえボンドワイヤが感知アレイと感知面上に配置された指との間の最小距離を増加させるとしても、感知アレイと同じ側にボンドワイヤを備えるセンサ装置では許容できる。感知アレイとカバー構造体との間の距離は、次に、ボンドワイヤループの高さと、感知アレイとボンドワイヤとを覆うオーバーモールド層の厚さとによって決まる。そのような配置は、例えば、比較的薄いカバー構造体のために、例えば使用され得る。それによって、従来の指紋モジュールは、スマートカード用途に使用されるように容易に適合させることができる。
【0018】
さらに、指紋感知装置は、LGA(ランドグリッドアレイ)、リードフレームベースのQFNパッケージとして、又は当業者に知られている他のパッケージタイプによって提供されてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、指紋センサは、感知装置とカバー構造体との間に配置されたモールド層をさらに含むことができる。記載されたモールド層は、感知アレイを保護し、感知装置をカバー構造体に取り付けるための平面を提供するのに役立つであろう。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、カバー構造体は、導電トレースを含む少なくとも1つの層と少なくとも1つの絶縁層とを含む積層構造体でもよい。カバー構造体は、望ましい視覚的外観を提供するために、インク層を含む1つ以上のコーティング層を含むことができる。本明細書では、インク層は、所望の視覚的外観を達成するための顔料を含む任意の層として理解されるべきである。カバー構造体は、例えば指が湿気を含んでいる場合に、画像キャプチャを向上させるための層も含むことができる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、指紋感知モジュールは、カバー構造体の第2の側に配置され、カバー構造体の導電トレースに電気的に接続された1つ又は複数の受動部品をさらに備えることができる。
【0022】
さらに、受動部品は、キャリアの第1の側に配置され、カバー構造体の導電トレースに電気的に接続されてもよい。それによって、指紋感知モジュールは、必要な受動部品を含む単一のモジュールとして提供することができる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、指紋感知モジュールは、第1の側の反対側である指紋感知モジュールの第2の側に取り付けられた指紋感知制御装置をさらに備えることができる。指紋感知制御装置は、例えば、感知装置の駆動信号を提供するために必要とされることがあり、又は制御装置は他の機能を備えることがある。制御装置は、ダイ、チップ、カプセルなどとして提供されてもよく、コンパニオンチップと呼ばれることもある。指紋感知制御装置を、ポッサム構成(Possum configuration)とも呼ばれる積層構造体で提供することによって、全ての必要な機能を備える完全な指紋感知モジュールを提供することができる。これにより、指紋感知モジュールはスマートカードなどの様々な用途に統合される準備が整う。さらに、積層構造体は、例えばフレキシブルフィルムを使用して、センサ装置から離れた位置にある制御装置にセンサ装置が接続される既知の構成と比較して、指紋感知モジュールの設置面積を減少させる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、指紋感知モジュールは、指紋感知制御装置をカバー構造体の導電トレースに電気的に接続するワイヤボンドをさらに備えてもよい。それにより、指紋感知装置と制御装置の両方を同じ接続技術を使用して同じカバー構造体に接続することができる。さらに、指紋感知モジュールが提供され、そこでは、モジュールを操作するために必要とされるすべての接続が、アクセスを容易にするためにカバー構造体の第2の側に配置される。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、指紋感知モジュールは、指紋感知制御装置と指紋感知モジュールの第2の側との間に配置されたシリコンインターポーザ層をさらに備えてもよい。インターポーザ層は、ワイヤボンディングによってカバー構造体に電気的に接続することができ、例えば、制御装置とセンサ装置との間に電気的接続を形成するために使用することができる。例えば、インターポーザ層は、2つの装置間で信号をルーティングするために使用されてもよい。インターポーザ層はまた、感知モジュールの動作に必要な受動部品を備えてもよい。
【0026】
さらに、指紋感知モジュールは、指紋感知制御装置と指紋感知モジュールの第2の側との間に配置された機械的支持層を備えてもよい。機械的支持層は、例えば、コンプライアントポリマーベースの材料でもよい。機械的支持層は、感知モジュールの可撓性を高め、モジュールが破損することなくさらに撓むことを可能にする。スマートカードの可撓性のため、これはスマートカードに統合された感知モジュールにとって特に有利である。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、指紋感知モジュールは、感知面に置かれた指と指紋感知モジュールの駆動信号回路との間に電気的接続を提供するために感知アレイに隣接して配置された導電ベゼルをさらに備えてもよい。ベゼルは、例えば、感知面上に置かれた指もベゼルと接触するように、センサ装置を囲むように配置されたフレームでもよい。それによって、駆動信号を指に提供することができ、それは確立された感知技術による容量性指紋測定を容易にする。カバー構造体が複数の導電層を含む積層構造体である場合、積層構造体中の最上金属層はベゼルと電気的接触を形成するために有利に使用されてもよい。しかしながら、感知モジュールはベゼルなしでも同様に動作することができ、その場合、駆動信号は感知アレイの感知素子又は指紋感知装置の基準接地レベルに供給されてもよいことに留意されたい。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、カバー構造体は、指紋感知モジュールがT字形の外形を有するように指紋感知装置の外側に延在する。言い換えれば、カバー構造体は、感知装置の少なくとも2つの対向する側面上で感知装置の表面の外側に延在する。正方形又は長方形の感知モジュールの場合、カバー構造体は、センサ装置の四辺すべてにおいてセンサ装置の外側に延在することができる。したがって、少なくとも2つの側面のセンサ装置上においてカバー構造体の下側に接続を提供することが可能であり、それによって指紋センサモジュールを電子装置、スマートカードなどに接続するための様々の可能な方法が増える。さらに、以下でさらに詳細に説明するように、T字形の外形を有する指紋感知モジュールを対応する凹部又は開口部に容易に配置することができる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、カバー構造体は、フレックスフィルムなどのように可撓性を有してもよく、それによってスマートカードにおける指紋感知モジュールの統合を容易にし、カード自体の可撓性のために可撓性モジュールを有することが特に望ましい。可撓性のカバー層を介して、指紋モジュールは撓むことができ、例えば、センシング装置自体が可撓性を有することなくスマートカードの曲がりに追従することができる。
【0030】
しかしながら、カバー構造体は、例えばガラス又はセラミック構造体などと同様に十分に堅いものであってもよく、それは他のタイプの装置に指紋感知モジュールを統合するためにより適している場合があることに留意すべきである。カバー構造体は、例えば、保護プレート、カバーガラス、又は導電トレースを備えるディスプレイガラスでもよい。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、指紋感知モジュールは、セキュアなメモリ及び実行環境を提供するためにスマートカードにおいてしばしば必要とされるセキュアエレメントを有利に備えることができる。セキュアエレメントは、例えば、指紋感知装置と、任意選択で指紋感知制御装置と、を含むスタックに含まれてもよい。しかしながら、セキュアエレメントは、キャリア上又はカバー構造体上などの他の場所に配置することもできる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、上述の実施形態のいずれか1つによる指紋感知モジュールを備えるスマートカードが提供される。スマートカードは、指紋感知モジュールが配置される凹部を含み、指紋感知モジュールのカバー構造体は、スマートカードの導電インレイの対応する接続パッドに導電トレースを接続するための接続パッドを備える。それによって、指紋感知装置及び任意の関連回路が、カバー層の接続パッドによってスマートカード回路に容易に接続することができるスマートカードが形成される。特に、感知モジュールは、スマートカードの使用に関連して向上したセキュリティを提供するように、認証及び/又はユーザの身元の確認を処理するスマートカードの回路に接続することができる。スマートカードは、例えば、金融取引を承認するため、身元を確認するため、及び/又はアクセスを許可するために使用することができる。スマートカードは、集積回路を内蔵したポケットサイズのカードと考えることができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、スマートカードの凹部は、指紋感知モジュールの形状に対応する形状を有利に有することができる。それによって、指紋感知モジュールは、スマートカードの外層と感知モジュールとの間に最小の隙間をあけて、又は隙間を設けずに、凹部に嵌め込むことができる。凹部は、例えばT字形であり、対応するT字形の指紋感知モジュールを受けるように構成されてもよい。
【0034】
本発明の第2の態様によれば、指紋感知モジュールを製造する方法が提供される。方法は、指紋感知装置の第1の側に配置された感知アレイを有する指紋感知装置を提供し、感知アレイは、指紋感知素子のアレイを備え、指紋感知装置は、指紋感知装置を外部回路に接続するための接続パッドを備え、指紋感知モジュールを外部回路に電気的に接続するために、指紋感知装置のカバー構造体の第2の側に配置された導電トレースを備える指紋感知装置のカバー構造体を提供し、指紋感知装置をカバー構造体に取り付け、接続パッドと導電トレースとの間のワイヤボンディングによって指紋感知装置を電気的に接続する、ことを有する。
【0035】
これによって、マイクロエレクトロニクス製造の分野で周知の従来の処理ステップを使用して実行することができる指紋感知モジュールを製造する方法が提供される。したがって、記載されたモジュールは既存のプロセスを使用して製造することができる。
【0036】
カバー構造体は、ワイヤボンディングを容易にするための接続パッドも備えてもよいことに留意されたい。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、方法は、第1の側の反対側である指紋感知モジュールの第2の側に指紋感知制御装置を取り付けることをさらに含むことができる。それにより、指紋制御回路を感知装置と積層構造体で形成することができ、制御回路機能が感知装置と同じモジュールに統合されている便利なモジュールを提供する。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、方法は、指紋感知モジュールを封入することをさらに含んでもよい。封入(Encapsulating)とは、モジュールの装置を保護し、かつ取り扱いが容易なモジュールを提供するために、モジュールの裏側、すなわち感知面として作用するカバー構造体の側とは反対側をカプセル又はモールド材料を用いて封入することを意味する。カバー構造体の導電トレースの少なくとも一部、特に導電トレースを介してセンサ装置に接続するために使用される接続パッドは、指紋感知モジュールを外部回路に接続することを可能にするため、封入によって覆われない。スマートカード用のセキュアエレメントモジュールの製造では、現在、35mm幅のリールツーリールフォーマットでのワイヤボンド及び封入プロセスが一般的である。
【0039】
本発明の第2の態様のさらなる効果及び特徴は、本発明の第1の態様に関連して上述したものとほぼ類似している。
【0040】
本発明の第3の態様によれば、上述の実施形態のいずれか1つによる指紋感知モジュールを備えるスマートカードを製造する方法が提供される。方法は、複数の層を含むスマートカード基板を提供し、スマートカードに凹部を形成し、凹部は下部と上部とを含み、上部は下部の面積より大きい面積を有し、凹部の上部とスマートカードの導電トレースとの間にビア接続部を形成し、カバー層の導電トレースがビア接続部と電気的接触を形成するように、凹部に感知モジュールを配置する、ことを有する。
【0041】
スマートカード基板は、複数の絶縁層の間に挟まれた1つ又は複数の導電層を含む従来の積層スマートカード基板でもよい。上部及び下部は一体に凹部を形成し、T字形の指紋モジュールを受け入れるためのT字形に対応する外形を有利に有する。さらに、指紋感知モジュールをスマートカード回路に電気的に接続するために、モジュールは、カバー構造体の導電トレースとスマートカードの導電インレイとの間に電気的接続を同時に形成するために可撓性導電接着剤を使用してスマートカードに取り付けられてもよい。
【0042】
今日のほとんどのペイメントカードは、カードの中央に導電インレイがラミネートされている。ミリング(milling)及び穴あけ(drilling)と呼ばれるプロセスは通常、スマートカード内にセキュアエレメントを統合するためのキャビティを形成するために使用される。記載された発明の様々な実施形態によれば、そのような「ミル及びドリル」技術は、指紋感知モジュールを受けるための凹部のために使用することができる。それによって、スマートカードのための既存の製造方法を使用して、指紋センサを統合することもでき、それによってスマートカード内の指紋センサ統合のための閾値を下げる。
【0043】
本発明の第3の態様のさらなる効果及び特徴は、本発明の第1及び第2の態様に関連して上述したものとほぼ類似している。
【0044】
本発明のさらなる特徴及びそれによる利点は、添付の特許請求の範囲及び以下の説明を検討するときに明らかになる。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の様々な特徴を組み合わせて、以下に記載されるもの以外の実施形態を作成し得ることを理解する。
【発明の効果】
【0045】
本発明の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照しながら、本発明のこれら及び他の態様をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の一実施形態によるスマートカードを概略的に示す図。
図2】本発明の一実施形態による指紋感知モジュールを概略的に示す図。
図3】本発明の一実施形態による指紋感知モジュールを概略的に示す図。
図4】本発明の一実施形態による指紋感知モジュールを概略的に示す図。
図5】本発明の一実施形態による指紋感知モジュールを概略的に示す図。
図6】本発明の一実施形態による指紋感知モジュールを製造する方法の一般的なステップを概説するフローチャート。
図7a】本発明の一実施形態によるスマートカードを製造する方法を概略的に示す図。
図7b】本発明の一実施形態によるスマートカードを製造する方法を概略的に示す図。
図7c】本発明の一実施形態によるスマートカードを製造する方法を概略的に示す図。
図7d】本発明の一実施形態によるスマートカードを製造する方法を概略的に示す図。
図7e】本発明の一実施形態によるスマートカードを製造する方法を概略的に示す図。
図7f】本発明の一実施形態によるスマートカードを製造する方法を概略的に示す図。
図7g】本発明の一実施形態によるスマートカードを製造する方法を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本詳細な説明では、本発明によるモジュール及び方法の様々な実施形態が、容量性指紋センサを備える指紋感知モジュールを参照して主に説明される。さらに、指紋感知モジュールは、スマートカードへの統合に関して説明されている。しかしながら、記載されたモジュールはまた、家庭用電子機器、モノのインターネット(IoT)、及び自動車用途などの他の用途での使用にもよく適している可能性がある。
【0048】
図1は、本発明の一実施形態による指紋感知モジュール2を備えるスマートカード1を概略的に示す。
【0049】
図2は、指紋感知装置20の第1の側22に配置された感知アレイ21を有する指紋感知装置20を備える指紋感知モジュール2を概略的に示す。感知アレイ21は、各感知素子と感知モジュール2の感知面上に置かれた指との間の容量結合を検出するように構成された指紋感知素子のアレイ、ここでは導電板を備える。指紋感知装置20は、指紋感知装置20を外部回路(図示せず)に接続するための接続パッド24をさらに備える。外部回路は、例えばスマートカード内の集積回路とすることができる。
【0050】
指紋感知モジュール2は、指紋感知装置21を覆うように構成された指紋感知装置カバー構造体30をさらに備える。カバー構造体は、指で触れるように構成され、それによって感知モジュール2の感知面32を形成するように構成された第1の側32と、感知アレイ21に面する第2の側34とを有する。さらに、カバー構造体は、指紋感知モジュール2を外部回路に電気的に接続するために、カバー構造体30の第2の側34に配置された導電トレース35を備える。図2から分かるように、カバー構造体30の表面積はセンサ装置20の表面積よりも大きいので、感知モジュール2の導電トレース35は感知面32と同じ方向に面する表面で対応する接続パッドに接続することができる。最後に、指紋感知モジュール2は、指紋感知装置20の接続パッド24をカバー構造体30の導電トレース35に電気的に接続するワイヤボンド40をさらに備える。ここで、接続パッド24は、センサ基板50を貫通するビア接続部52によって、感知アレイ21と、関連する感知及び読み出し回路とに電気的に接続されたセンサ装置20の第2の側23に配置されている。
【0051】
図示の実施形態では、従来の指紋感知装置を使用することができ、既存の裏面接続を使用してカバー構造体の導電トレース35にワイヤボンディングすることができる。さらに、図2に示す感知モジュール2では、感知アレイ21は感知モジュールの外面32、すなわち感知面に非常に接近しており、これが今度は感知面上に置かれた指と感知アレイ21の感知素子との間の良好な容量結合をもたらす。スマートカードでは、カバー構造体30を薄くすることができるが、ガラスの下の用途、例えば、指紋センサがディスプレイガラスの下に配置されるとき、ガラスの厚さは少なくとも300μmであることが好ましい。それとは対照的に、現在のISO規格によれば、スマートカードの全厚は760μmであるべきである。
【0052】
図3は、本発明の一実施形態による指紋感知モジュール2を概略的に示している。図2を参照して上述した構成要素に加えて、図3の指紋感知モジュール2は、カバー構造体30の第2の側34に配置され、カバー構造体30の導電トレース35に電気的に接続された受動部品70をさらに備える。1つ又は複数の受動部品70は、個々の部品として、カプセルとして、又は一体型受動装置(Integrated Passive Devices)としてカバー構造体30上に直接配置することができる。
【0053】
さらに、図3は、指紋感知装置20の第2の側23に取り付けられた指紋感知制御装置80も示しており、第2の側23は第1の側22の反対側にある。指紋感知制御装置80は、ボンドワイヤ82によってカバー構造体30の導電トレース35に接続されている。本明細書には示されていない追加の選択肢は、受動部品を制御装置の裏側に配置し、ワイヤボンディングによってカバー構造体30の導電トレース35まで受動部品を外部回路に接続することである。
【0054】
図4は、指紋感知装置20の接続パッド24が指紋感知装置20の第1の側22に配置されている、本発明の一実施形態による指紋感知モジュール2を概略的に示している。図示の実施形態では、指紋感知装置20は、指紋感知装置20の第2の側23に取り付けられた第1の側61を有するキャリア60上に配置されている。キャリア60は、例えばフレキシブル基板又はPCBとすることができる。指紋感知装置20は、ワイヤボンド64を介して指紋感知装置20の接続パッド24からキャリア60の第1の側に接続されている。次に、電気接続部65がキャリア60を貫通して形成され、さらにキャリア60の第1の側61とは反対側の第2の側と導電トレース35との間に接続されたワイヤボンド66によってカバー構造体30の導電トレース35に電気接続が形成される。
【0055】
図5の指紋感知モジュールは、図4に示すモジュールと大体類似している。相違点は、追加の層84がキャリア60と指紋制御装置80との間に配置されていることである。一実施形態では、層84は、2つの装置20、80間で信号を経路指定するために使用することができるシリコンインターポーザ層84であり、それも集積受動部品を備えることができる。インターポーザ層84は、インターポーザをカバー構造体30に接続するワイヤボンド85を備えるように示されている。別の実施形態では、層84はモジュールの装置を保護する機械的支持層であってもよく、その場合ワイヤボンディングの必要はない。指紋感知装置20及び指紋感知制御装置80の回路は、シリコンが十分に薄い層において柔軟であり得るとしても、一般的に剛性の材料であるシリコンで通常作られる。しかしながら、機械的支持層によって、シリコンデバイスは破損することなくさらなる可撓性を達成することができる。
【0056】
図6は、本発明の一実施形態による指紋感知モジュールを製造する方法の一般的なステップを概説するフローチャートである。方法は、指紋感知モジュール2の一実施形態を示す図2を参照しながら説明される。方法は、指紋感知装置20を提供するステップ102と、指紋感知モジュール2を外部回路に電気的に接続するための導電トレースを備える指紋感知装置カバー構造体30を提供するステップ104とを含む。次に、指紋感知装置20の接続パッド24とカバー構造体30の導電トレース35との間にワイヤボンディングするステップ108によって、指紋感知装置20をカバー構造体30に取り付け、指紋感知装置20を電気的に接続する。最後のステップ110では、ボンドワイヤ及び装置を保護するために、ワイヤボンド82、85を備えるモジュール2の側面を封止する。
【0057】
図7a-gは、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる指紋感知モジュールを備えるスマートカードを製造する方法を概略的に示す図である。
【0058】
図7aは、複数の層を含む積層スマートカード基板90を示す。スマートカードを形成することは、凹部91を形成するためにスマートカード基板90の最上層をミリング及び穴あけすることを含む。凹部91は、上部92と下部93とを含み、上部92は下部93の面積よりも大きい面積を有し、それによってT字形の凹部が形成される。
【0059】
図7cは、凹部の上部92からスマートカード基板の導電層95まで穿孔された開口部94を示す。スマートカードは実際には複数の層を含むことができる。しかしながら、簡単にするために、1つの導電層だけが示されている。スマートカードの導電層は、指紋感知モジュール2をスマートカードの集積回路に接続するための導電トレースを含む。
【0060】
図7dでは、導電材料が開口部94内に配置されて、導電層95への導電ビア接続部96を形成する。
【0061】
図7eは、凹部91のT字形に対応するT字形を有する感知モジュール2を提供することを示し、図7fでは、感知モジュールは凹部内に配置される。特に、カバー構造体30の導電トレース35は、それらがスマートカードのビア接続部96と電気的接続を形成するように配置されている。指紋感知モジュール2は、ビア接続部96の位置で導電接着剤97を使用してスマートカード基板90に有利に取り付けられる。
【0062】
図7gに示す最終ステップでは、接着剤97を加熱ツール98を用いて加熱して接着剤を硬化させる。導電接着剤を使用する代わりに、低温はんだ材料を使用することも可能であり、その場合、はんだ付け温度はスマートカード基板の溶融を防ぐのに十分に低い。
【0063】
本明細書に示す指紋感知モジュールの様々な実施形態は、1つの制御装置、1つの受動部品などを備える。しかしながら、当業者は、記載されたモジュールが、記載された様々な装置及び構成要素のうちの2つ以上を同様に十分に備えてもよいことを容易に理解する。
【0064】
さらに、本発明をその特定の例示的な実施形態を参照して説明してきたが、多くの異なる変更、修正などが当業者には明らかになるであろう。また、モジュール、スマートカード、及び方法の一部を省略し、交換し、又は様々な方法で配置することができ、モジュール、スマートカード及び方法は本発明の機能を実行することができる。
【0065】
さらに、開示された実施形態に対する変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求された発明を実施する際に当業者によって理解され達成され得る。請求項において、単語「備える、含む、有する(comprising)」は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除するものではない。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図7g
【手続補正書】
【提出日】2022-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋感知装置の第1の側(22)に配置された感知アレイ(21)を有する指紋感知装置(20)であって、前記感知アレイは、指紋感知素子のアレイを備え、前記指紋感知装置は、前記指紋感知装置を外部回路に接続するための接続パッド(24)を備え、前記接続パッド(24)は、前記指紋感知装置の前記第1の側の反対側である前記指紋感知装置の第2の側(23)に配置され、前記指紋感知装置は、前記指紋感知装置の前記第1の側から前記指紋感知装置の前記第2の側の前記接続パッドに達するビア接続部(52)を備える基板(50)をさらに備える、指紋感知装置(20)と、
前記指紋感知装置を覆うように構成された指紋感知装置のカバー構造体(30)であって、前記カバー構造体は、指で触れるように構成され、それによって指紋感知モジュールの感知面を形成する第1の側(32)と、前記感知アレイに対面する第2の側(34)とを有し、前記カバー構造体は、前記指紋感知モジュールを外部回路に電気的に接続するために、前記カバー構造体の前記第2の側に配置された導電トレース(35)を備え、前記カバー構造体の表面積は、前記指紋感知装置の表面積よりも大きい、指紋感知装置のカバー構造体(30)と、を備え、
前記指紋感知装置は、前記指紋感知装置の前記接続パッドを前記カバー構造体の前記導電トレースに電気的に接続するワイヤボンド(66)をさらに備える、
指紋感知モジュール(2)。
【請求項2】
前記カバー構造体は、導電トレースを備える少なくとも1つの層と少なくとも1つの絶縁層とを含む積層構造体である、請求項に記載の指紋感知モジュール。
【請求項3】
前記カバー構造体の前記第2の側(34)に配置され、前記カバー構造体の前記導電トレースに電気的に接続された受動部品(70)をさらに備える、請求項1又は2に記載の指紋感知モジュール。
【請求項4】
前記指紋感知装置の前記第1の側の反対側である前記指紋感知装置の第2の側(23)に取り付けられた第1の側(61)を有するキャリア(60)と、前記キャリアの前記第1の側(61)に配置され、前記カバー構造体の導電トレースに電気的に接続された受動部品(70)をさらに備える、請求項1に記載の指紋感知モジュール。
【請求項5】
前記指紋感知装置の前記第1の側の反対側である前記指紋感知装置の第2の側に取り付けられた指紋感知制御装置(80)をさらに備える、請求項1からのいずれか一項に記載の指紋感知モジュール。
【請求項6】
前記指紋感知制御装置を前記カバー構造体の導電トレースに電気的に接続するワイヤボンド(82)をさらに含む、請求項に記載の指紋感知モジュール。
【請求項7】
前記指紋感知制御装置と前記指紋感知モジュールの前記第2の側との間に配置されたシリコンインターポーザ層(84)をさらに備える、請求項又はに記載の指紋感知モジュール。
【請求項8】
前記カバー構造体は、前記指紋感知モジュールがT字形の外形を有するように前記指紋感知装置の外側に延在する、請求項1からのいずれか一項に記載の指紋感知モジュール。
【請求項9】
前記カバー構造体が可撓性である、請求項1からのいずれか一項に記載の指紋感知モジュール。
【請求項10】
前記指紋感知装置が可撓性装置である、請求項1から9のいずれか一項に記載の指紋感知モジュール
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の指紋感知モジュール(10)を備えるスマートカード(1)であって、
前記スマートカードは、前記指紋感知モジュールが配置される凹部(91)を含み、
前記指紋感知モジュールの前記カバー構造体は、前記スマートカードの導電層(95)に接続された対応するビア接続部(96)に前記導電トレースを接続するための接続パッド(35)を備える、スマートカード。
【請求項12】
前記凹部がT字形であり、対応するT字形の指紋感知モジュールを受けるように構成される、請求項11に記載のスマートカード。
【請求項13】
前記指紋感知モジュールは、前記スマートカードの集積回路に接続された、請求項11又は12に記載のスマートカード
【請求項14】
請求項に記載の指紋感知モジュールを備えるスマートカード(1)を製造する方法であって、前記方法は、
複数の層を含むスマートカード基板(90)を提供し、
前記スマートカードに凹部(91)を形成し、前記凹部は下部(93)と上部(92)とを含み、前記上部は前記下部の面積より大きい面積を有し、
前記凹部の前記上部と前記スマートカードの導電層(95)との間にビア接続部(96)を形成し、
前記カバー構造体(30)の前記導電トレース(35)が前記ビア接続部と電気的接触を形成するように、前記凹部に指紋感知モジュール(2)を配置する、
ことを有する、スマートカード(1)を製造する方法。