(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106852
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】球状歯車
(51)【国際特許分類】
F16H 55/22 20060101AFI20220712BHJP
B25J 17/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
F16H55/22
B25J17/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072791
(22)【出願日】2022-04-26
(62)【分割の表示】P 2020099681の分割
【原出願日】2020-06-08
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究法人科学技術振興機構、研究成果展開事業 共創の場形成支援(産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム)、「有機材料の極限機能創出と社会システム化をする基盤技術の構築及びソフトマターロボティクスへの展開に関する国立大学法人山形大学による研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】304036754
【氏名又は名称】国立大学法人山形大学
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】多田隈 理一郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 一樹
(57)【要約】
【課題】大きなトルクを伝えることができる回転3自由度の関節装置を構成する球状歯車を提供すること。
【解決手段】関節装置10は、ホルダー20と、平歯車の輪郭を第1地軸まわり及び第2地軸まわりにそれぞれ切った歯を有すると共に出力部材12が接続された球状歯車30と、ホルダー20に設けられ、球状歯車30を駆動する第1駆動ユニット40と、ホルダー20に設けられ、球状歯車30を駆動する第2駆動ユニット60と、を備えている。駆動ユニット40(60)に設けられた鞍状歯車は、力を伝達する歯車回転及び軸回転と、力を伝達しない横スライドという3つの相互作用によって、球状歯車の回転3自由度のうち2つを常に拘束可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球体の全表面に前記球体の中心を通る第1地軸を含む仮想平面に形成された平歯車の輪郭を前記第1地軸まわりに切った歯構造を有する球状歯車。
【請求項2】
球体の全表面に前記球体の中心を通る第1地軸及び第2地軸を含む仮想平面に形成された平歯車の輪郭を前記第1地軸まわり及び前記第2地軸まわりにそれぞれ切った歯構造を有する球状歯車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車セット及びそれを用いた関節装置、特に、支持部材と出力部材との間に設けられる回転3自由度を有する関節装置を構成する球状歯車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボットに対する自動化が推進され、ロボットの関節の自由度は増加する傾向にある。これに伴い、一つの関節装置に多くの自由度を持たせる試みが多数なされてきている。
【0003】
このような一つの関節に回転多自由度を与える関節装置として、ワイヤ、リンク装置が存在する。しかし、ワイヤとリンク機構は、その構造上、球体の回転可能な角度が制限される。この対策として、振動子を利用して球体の回転角度を制限せずに回転させる特許文献1に開示される関節装置が知られている。
【0004】
特許文献1の関節装置は、略円形の開口が形成されたケーシングの空洞内に、球体状のロータが収納され、4つのステータのみによって支持されている。ステータは回転型表面振動子からなり、略皿状の外周部表面には一定ピッチで接触片が突設されると共に環状に配列されている。接触片をロータに接触させるようにしてロータが支持されており、ステータを超音波モータの原理によって振動させることで、ロータの表面がステータの円周方向に沿って移動する。この結果、ロータはステータの軸心まわりに回転し、3自由度を有する関節装置とすることができる。
【0005】
ところで、関節装置をロボットに使用した場合、ロボットには大きな負荷が掛かることがあり、この負荷は関節装置に伝達される。しかし、特許文献1の関節装置では、ロータはステータとの間の摩擦力によって保持されているので、大きな負荷が掛かると、ステータに対してロータが滑り、力の伝達の確度が低くなることがあった。また、この対策として、歯車を使った関節装置が考えられるが、現状では単体で回転1自由度ないしは回転2自由度の歯車による関節装置しか存在せず、複数関節を組み合わせる必要性からロボットの小型化が困難であった。このため、大きなトルクを伝えることができる歯車を用いた、単体で回転3自由度を有する関節装置を構成する球状歯車が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、大きなトルクを伝えることができる回転3自由度の関節装置と、それに用いられる歯車セットを構成する球状歯車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]球体の全表面に前記球体の中心を通る第1地軸を含む仮想平面に形成された平歯車の輪郭を前記第1地軸まわりに切った歯構造を有する。かかる構成によれば、大きなトルクを伝えることができる回転3自由度の関節装置と、それに用いられる歯車セットを構成する球状歯車を提供することができる。
【0009】
[2]球体の全表面に前記球体の中心を通る第1地軸及び第2地軸を含む仮想平面に形成された平歯車の輪郭を前記第1地軸まわり及び前記第2地軸まわりにそれぞれ切った歯構造を有する。かかる構成によれば、大きなトルクを伝えることができる回転3自由度の関節装置と、それに用いられる歯車セットを構成する球状歯車を提供することができる。
【0010】
第1部材と第2部材との間に設けられる3自由度の関節装置であって、
前記第1部材に設けられ、球体を支持可能な球状支持部が形成されたホルダーと、
前記ホルダーの前記球状支持部に回転可能に支持され、前記球体の全表面に前記球体の中心を通る第1地軸及び第2地軸を含む仮想平面に形成された平歯車の輪郭を前記第1地軸まわり及び前記第2地軸まわりにそれぞれ切った歯構造を有すると共に前記第2部材が設けられた球状歯車と、
前記ホルダーに設けられ、前記球状歯車を駆動する第1駆動ユニットと、
前記ホルダーに設けられ、前記球状歯車を駆動する第2駆動ユニットと、を備え、
前記第1駆動ユニットは、前記球状歯車に噛み合う第1鞍状歯車と、前記第1鞍状歯車を歯車回転させると共に前記球状歯車の中心及び前記第1鞍状歯車の中心を通る第1軸まわりに回転駆動させる第1駆動機構と、を備え、
前記第1鞍状歯車は、前記球状歯車の前記第1地軸に対して経線方向に噛み合い部が移動する力を伝達する歯車回転、前記第1軸の力を伝達する軸回転、及び緯線方向に滑って噛み合い部が移動する力を伝達しない横スライドという3つの相互作用によって、前記球状歯車の回転3自由度のうち前記第1地軸まわりの回転自由度以外の2つを常に拘束可能とし、円錐形状、円錐台形状又は円環形状の駆動極点歯と、所定の歯幅を有し、歯面が湾曲形状である湾曲歯と、を備え、
前記第2駆動ユニットは、前記球状歯車に噛み合う第2鞍状歯車と、前記第2鞍状歯車を歯車回転させると共に前記球状歯車の中心及び前記第2鞍状歯車の中心を通る第2軸まわりに回転駆動させる第2駆動機構と、を備え、
前記第2鞍状歯車は、前記球状歯車の前記第2地軸に対して経線方向に噛み合い部が移動する力を伝達する歯車回転、前記第2軸まわりの力を伝達する軸回転、及び緯線方向に滑って噛み合い部が移動する力を伝達しない横スライドという3つの相互作用によって、前記球状歯車の回転3自由度のうち前記第2地軸まわりの回転自由度以外の2つを常に拘束可能とし、円錐形状、円錐台形状又は円環形状の駆動極点歯と、所定の歯幅を有し、歯面が湾曲形状である湾曲歯と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、ホルダーに、球状歯車を駆動する第1駆動ユニット及び第2駆動ユニットが設けられている。第1駆動ユニット及び第2駆動ユニットがホルダーに固定されるので、動力源の大出力化に有利である。加えて、第1駆動ユニット40及び第2駆動ユニット60のそれぞれが球状歯車30に駆動力を伝えるので、力を合成できる、いわゆるパラレル機構とすることができる。また、従来技術では、球体の一部分に歯を設ける技術は見られたが、これでは可動範囲が歯を設けた狭い範囲に制限される。この点、本発明では、球体の全表面に球体の中心を通る第1地軸と第2地軸を含む仮想平面に形成された平歯車の輪郭を第1地軸まわり及び第2地軸まわりにそれぞれ切った、重ね合わさる2つの歯構造を有するので、可動範囲を制限なく大きくすることができる。
【0012】
一方、球体面の第1地軸まわり又は第2地軸まわりに切ったそれぞれの歯構造は、さながら地球儀の緯線と経線のように極点に近いほど歪む性質を持つ。つまり、一般的な平歯車との組み合わせでは、赤道部分でしか伝達が成立しない。この点、本発明では、球状歯車と噛み合い可能な第1鞍状歯車及び第2鞍状歯車によってこの問題を解決した。第1鞍状歯車及び第2鞍状歯車は、球状歯車における歯構造の歪みに対応した、従来技術にない特殊な歯構造を有する。具体的には、第1鞍状歯車及び第2鞍状歯車は、所定の歯幅を有しつつ、球状歯車の第1地軸又は第2地軸上の従動極点と噛み合える円錐形状、円錐台形状又は円環形状の駆動極点歯と、従動極点以外で噛み合える湾曲形状の湾曲歯と、を備えている。これらの歯が、第1地軸又は第2地軸まわりに切られた球状歯車の歯構造と噛み合うことで、その歯構造を形成する軸に対して経線方向に噛み合い部が移動する、力を伝達する歯車回転と、所定の歯幅を有することによる第1軸又は第2軸まわりの、力を伝達する軸回転と、緯線方向に滑って噛み合い部が移動する、力を伝達しない横スライド、という3つの相互作用が得られる。つまり、第1地軸まわりに切られた球状歯車の歯構造と噛み合わさった鞍状歯車は、球状歯車の回転3自由度のうち第1地軸まわりの回転自由度以外の2つを常に拘束することができ、同様にして第2地軸まわりの歯構造と噛み合わさった鞍状歯車は、球状歯車の回転3自由度のうち第2地軸まわりの回転自由度以外の2つを常に拘束することができる。このため、鞍状歯車は、球状歯車の赤道部分だけでなく従動極点においても噛み合いが破綻することなく、通常の平歯車対さながらに回転角無制限の連続的な動力伝達が可能となる。
【0013】
さらに、本発明では、適切な自由度設計方法として、球状歯車が有する2つの歯構造に対して回転2自由度を有する2つの鞍状歯車を適切に配置したことで、球状歯車の回転3自由度の駆動を実現した。具体的には、1つの球状歯車に対して第1鞍状歯車及び第2鞍状歯車を設置し、第1鞍状歯車及び第2鞍状歯車は球状歯車の第1地軸及び第2地軸まわりの2つの歯構造にそれぞれ対応することとした。加えて、第1鞍状歯車及び第2鞍状歯車はそれぞれ、第1駆動ユニットの第1駆動機構又は第2駆動ユニットの第2駆動機構に組み込まれて回転2自由度の駆動能力を与えられることによって、球状歯車が有する回転3自由度のうちそれぞれが拘束している2自由度を駆動する。球状歯車の2つの歯構造は位相差を有することにより、第1鞍状歯車及び第2鞍状歯車による合計4つの駆動される自由度が球状歯車に適切に配置され、球状歯車の回転3自由度を常に全て拘束(駆動)することが可能となる。このように、本発明では、大きなトルクを伝えることができる歯車の噛み合いに基づいた回転3自由度の関節装置とすることができる。
【0014】
好ましくは、前記球状歯車の前記歯構造は、前記第1地軸上の2つの従動極点の間の中間部分で平歯車と噛み合い、前記第1地軸上の前記従動極点に近づくにつれて曲率が大きくなる形状であり、
前記第1鞍状歯車及び前記第2鞍状歯車は、前記駆動極点歯から前記第1鞍状歯車及び前記第2鞍状歯車の周方向へ離れるにつれて前記湾曲歯の歯面の曲率が小さくなる。
【0015】
かかる構成によれば、球状歯車のそれぞれの部分の歯の形状に対応させて、第1鞍状歯車及び第2鞍状歯車の歯の形状を合わせることができ、球状歯車の全周に亘って連続的に噛み合うことができる。
【0016】
好ましくは、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構は、前記第1鞍状歯車又は前記第2鞍状歯車を歯車回転させるための歯車回転用モータと、前記第1軸まわりの回転駆動又は前記第2軸まわりの回転駆動を行うための軸回転用モータと、前記第1鞍状歯車又は第2鞍状歯車と前記歯車回転用モータ及び前記軸回転用モータとの間に設けられた差動機構と、をそれぞれ備えている。
【0017】
かかる構成によれば、鞍状歯車と、歯車回転用モータ及び軸回転用モータとの間に差動機構を設けたので、歯車回転用モータ及び軸回転用モータを全て前記第1部材に固定しつつ球状歯車の回転3自由度を全て拘束又は駆動することができる。
【0018】
好ましくは、前記第1駆動機構の前記歯車回転用モータの回転軸及び前記軸回転用モータの回転軸は、前記第1軸と直交方向に配置され、
前記第2駆動機構の前記歯車回転用モータの回転軸及び前記軸回転用モータの回転軸は、前記第2軸と直交方向に配置されている。
【0019】
かかる構成によれば、第1駆動機構の配置方向を第1軸方向に対して直交方向とし、第2駆動機構の配置方向を第2軸方向に対して直交方向としたので、装置の外方への出っ張りを小さくし、関節装置全体を小型化することができる。
【0020】
好ましくは、前記第1鞍状歯車又は前記第2鞍状歯車と噛み合う前記球状歯車の歯数は、前記第1鞍状歯車及び前記第2鞍状歯車の歯数の1倍又は2倍である。
【0021】
かかる構成によれば、球状歯車の従動極点に第1鞍状歯車及び第2鞍状歯車の駆動極点を一致させることができる。
【0022】
好ましくは、前記関節装置は、汎用ロボットに適用されている。
【0023】
かかる構成によれば、関節装置を汎用ロボットに適用することで、汎用ロボットの一つの関節において3自由度とし、関節の数を減らした上で大きなトルクも伝達することができる。
【0024】
また、本発明は、球体の全表面に前記球体の中心を通る第1地軸を含む仮想平面に形成された平歯車の輪郭を前記第1地軸まわりに切った歯構造を有する球状歯車と、
前記球状歯車に噛み合う第1鞍状歯車であって、前記球状歯車の前記第1地軸に対して経線方向に噛み合い部が移動する力を伝達する歯車回転、前記球状歯車の中心及び前記第1鞍状歯車の中心を通る第1軸まわりの力を伝達する軸回転、及び緯線方向に滑って噛み合い部が移動する力を伝達しない横スライドという3つの相互作用によって、前記球状歯車の回転3自由度のうち前記第1地軸まわりの回転自由度以外の2つを常に拘束可能とし、円錐形状、円錐台形状又は円環形状の駆動極点歯、並びに、所定の歯幅を有し、歯面が湾曲形状である湾曲歯を備えている前記第1鞍状歯車と、から構成される歯車セットを提供する。
【0025】
かかる構成によれば、第1鞍状歯車は、球状歯車の従動極点においても噛み合いが破綻することなく、通常の平歯車対さながらに回転角無制限の連続的な動力伝達が可能となる。
【0026】
また、本発明は、球体の全表面に前記球体の中心を通る第1地軸及び第2地軸を含む仮想平面に形成された平歯車の輪郭を前記第1地軸まわり及び前記第2地軸まわりにそれぞれ切った歯構造を有する球状歯車と、
前記球状歯車に噛み合う第1鞍状歯車であって、前記球状歯車の前記第1地軸に対して経線方向に噛み合い部が移動する力を伝達する歯車回転、前記球状歯車の中心及び前記第1鞍状歯車の中心を通る第1軸まわりの力を伝達する軸回転、及び緯線方向に滑って噛み合い部が移動する力を伝達しない横スライドという3つの相互作用によって、前記球状歯車の回転3自由度のうち前記第1地軸まわりの回転自由度以外の2つを常に拘束可能とし、円錐形状、円錐台形状又は円環形状の駆動極点歯、並びに、所定の歯幅を有し、歯面が湾曲形状である湾曲歯を備えている前記第1鞍状歯車と、
前記球状歯車に噛み合う第2鞍状歯車であって、前記球状歯車の前記第2地軸に対して経線方向に噛み合い部が移動する力を伝達する歯車回転、前記球状歯車の中心及び前記第2鞍状歯車の中心を通る第2軸まわりの力を伝達する軸回転、及び緯線方向に滑って噛み合い部が移動する力を伝達しない横スライドという3つの相互作用によって、前記球状歯車の回転3自由度のうち前記第2地軸まわりの回転自由度以外の2つを常に拘束可能とし、円錐形状、円錐台形状又は円環形状の前記駆動極点歯、並びに、所定の歯幅を有し、歯面が湾曲形状である湾曲歯を備えている前記第2駆動歯車と、から構成される歯車セットを提供する。
【0027】
かかる構成によれば、第1鞍状歯車及び第2鞍状歯車は、球状歯車の従動極点においても噛み合いが破綻することなく、通常の平歯車対さながらに回転角無制限の連続的な動力伝達が可能となる。
【発明の効果】
【0028】
大きなトルクを伝えることができる回転3自由度の歯車セット、及びそれを用いた関節装置を構成する球状歯車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る関節装置の一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明に別態様に係る関節装置を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る球状歯車の基本構成を示す説明図である。
【
図7】本発明に係る鞍状歯車の基本構成を示す説明図である。
【
図8】本発明に係る球状歯車のr軸及びr軸に直交するe軸まわりに歯を形成した場合の基本構成を示す説明図である。
【
図9】本発明に係る球状歯車と第1鞍状歯車及び第2鞍状歯車との噛み合い状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は、関節装置の概略構成を概念的(模式的)に示す図面も含むものとする。本明細書において、球体の中心を貫通する直線を(第1もしくは第2)「地軸」といい、球状歯車の中心及び(第1もしくは第2)鞍状歯車の中心を通る直線を(第1もしくは第2)「軸」という。第1及び第2地軸のうち、一実施形態としての直交する2つの地軸を「r軸」及び「e軸」と呼ぶことがある。また、第1及び第2軸のうち、一実施形態としての直交する2つの軸を「X軸」及び「Y軸」と呼ぶことがある。
【実施例0031】
図1、
図2に示すように、関節装置10は、第1部材(以下、支持部材という)11と第2部材(以下、出力部材という)12との間に設けられている。関節装置10は、支持部材11に設けられ、球体を支持可能な球状支持部21が形成されたホルダー20と、ホルダー20の球状支持部21に回転可能に支持された球状歯車30と、ホルダー20のX軸の基準位置に設けられ、球状歯車30を駆動する第1駆動ユニット40と、ホルダー20のY軸の基準位置に設けられ、球状歯車30を駆動する第2駆動ユニット60と、を備えている。ホルダー20は、正面側から背面の略半分まで開口している。
【0032】
第1駆動ユニット40は、球状歯車30に噛み合う第1鞍状歯車50と、この第1鞍状歯車50を歯車回転させると共に第1軸(以下、X軸という)まわりに回転駆動させる第1駆動機構41と、を備えている。
【0033】
第1駆動機構41は、第1フレーム41aと、X軸まわりの回転駆動を行うための軸回転用モータ42と、この軸回転用モータ42に設けられた第1軸駆動歯車(不図示)と、この第1軸駆動歯車に噛み合い第1鞍状歯車50を軸回転させる第1軸従動歯車42bと、歯車回転させるための歯車回転用モータ43と、この歯車回転用モータ43に設けられた第1駆動歯車(不図示)と、この第1駆動歯車に噛み合い差動機構44を回転させる第1従動歯車43bと、第1鞍状歯車50と軸回転用モータ42及び歯車回転用モータ43との間に設けられた差動機構44と、を備えている。
【0034】
第2駆動ユニット60は、球状歯車30に噛み合う第2鞍状歯車70と、この第2鞍状歯車70を歯車回転させる共に第2軸(以下、Y軸という)まわりに回転駆動させる第2駆動機構61と、を備えている。
【0035】
第2駆動機構61は、第2フレーム61aと、Y軸まわりに回転駆動を行うための軸回転用モータ62と、この軸回転用モータ62に設けられた第2軸駆動歯車62aと、この第2軸駆動歯車に噛み合い第2鞍状歯車70を軸回転させる第2軸従動歯車62bと、歯車回転用モータ63と、この歯車回転用モータ63に設けられた第2駆動歯車63aと、この第2駆動歯車63aに噛み合い差動機構64を回転させる第2従動歯車63bと、第2鞍状歯車70と軸回転用モータ62及び歯車回転用モータ63との間に設けられた差動機構64と、を備えている。
【0036】
第1駆動機構41の軸回転用モータ42の回転軸及び歯車回転用モータ43の回転軸は、X軸と直交方向に配置されている。第2駆動機構61の軸回転用モータ62の回転軸及び歯車回転用モータ63の回転軸は、Y軸と直交方向に配置されている。
【0037】
第1駆動機構41の軸回転用モータ42の回転軸及び歯車回転用モータ43の配置方向をX軸方向に対して直交方向とし、第2駆動機構61の軸回転用モータ62の回転軸及び歯車回転用モータ63の配置方向をY軸方向に対して直交方向としたので、装置の外方への出っ張りを小さくし、関節装置10全体を小型化することができる。
【0038】
なお、本実施例では、関節装置10として説明したが、用途は関節に限定されるものではなく、球状歯車30、第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70を含む歯車セットを関節以外の用途に使用してよい。また、本実施例では、第1軸をX軸とし、第2軸を前記X軸と直交するY軸としたが、これに限定されず、第1軸と第2軸は、なす角度が45度、60度、180度等、直交しない角度の軸としてもよく、XY平面上に配置しなくてもよい。
【0039】
次に、別態様に係る関節装置10及び第1駆動ユニット40、第2駆動ユニット60について説明する。なお、
図1、
図2と基本構成は同じであるので同様の部品については符号を振って説明を省略する。
【0040】
図3、
図4に示すように、第1駆動ユニット40は、第1駆動機構41の配置方向がX軸方向に沿っている。第2駆動ユニット60は、第2駆動機構61の配置方向がY軸方向に沿っている。ホルダー20は、正面側のみが大きく開口している。このように第1駆動機構41及び第2駆動機構61をX軸及びY軸にそれぞれ沿って配置したり、ホルダー20の開口の位置、大きさを変更したりすることで、設計の自由度を広げてロボットの用途に応じた態様にすることができる。
【0041】
次に本発明に係る球状歯車30の基本構成を説明する。
【0042】
図5の(a)に示すように、球体31に中心を通る任意の第1地軸(r軸)が配置されている。球体31の全表面32に、r軸を含む仮想平面に平歯車の輪郭33を形成する。
【0043】
図5の(b)に示すように、平歯車の輪郭33を、r軸まわりに切った歯34を形成する。そうすると、
図5の(c)に示すような歯構造を有する、仮の球状歯車30aが得られる。この球状歯車30aは従動歯車であり、r軸上に従動極点34aが形成されている。この球状歯車30aを地球儀に見立てると、赤道35付近の歯形状は整っており、従動極点34aに近いほど歯形状が歪む。このため、一般的な平歯車36では仮の球状歯車30aに対し全周にわたって噛み合うことができない。
【0044】
次に、第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70について説明する。なお、以降では便宜上第1鞍状歯車50のみを説明し、第2鞍状歯車70の構成は球状歯車30のe軸に対して同様のものとして説明を省略する。
【0045】
図6の(a)、(b)に示すように、第1鞍状歯車50は、球状歯車30a(30)のr軸に対して経線方向に噛み合い部が移動する力を伝達する歯車回転、X軸まわりの力を伝達する軸回転、及び緯線方向に滑って噛み合い部が移動する力を伝達しない横スライドという3つの相互作用によって、球状歯車30a(30)の回転3自由度のうちr軸まわりの回転自由度以外の2つを常に拘束可能とし、円錐形状、円錐台形状又は円環形状の駆動極点歯51と、歯面が湾曲形状(第1鞍状歯車50の周方向に沿って、駆動極点歯51に向かって凹になるような湾曲形状)の湾曲歯52と、所定の歯幅Wと、を備えている。これら複数の湾曲歯52の湾曲形状の曲率は、駆動極点歯51から180°回転した位置(駆動極点歯51とは反対側の極)で最も小さく、駆動極点歯51に近い位置の湾曲歯であるほど大きくなっている。なお、歯車回転の方向と横スライドの方向は、従動極点34aを地球の北極として見たとき、歯車回転の方向が経線方向となり、横スライドの方向が緯線方向となる。
【0046】
第1鞍状歯車50は、球状歯車30a(30)と噛み合うことのできる独特な歯車構造を有している。第1鞍状歯車50の1つだけで、球状歯車30a(30)が有する回転3自由度のうち2自由度を拘束することができる。
【0047】
次に、第1鞍状歯車50の歯面の形状を説明する。
【0048】
図7の(a)に示すように、仮想的に粘土状の球体53を考え、この粘土状の球体53に歯を形成する過程を説明することで第1鞍状歯車50の歯面の形状を以下明らかにする。球状歯車30a(30)の半分程度の直径である粘土状の球体53を用意し、(b)に示すように、球状歯車30aに押し付け、球状歯車30aの中心を中心とする円の円周に沿って、球面上を転がしながら移動させる。すると、(c)に示すように、球状歯車30aの歯34の形状が転写され、(d)に示すように、第1鞍状歯車50における駆動極点歯51及び湾曲歯52の歯構造が得られる。
【0049】
次に、球状歯車30のr軸及び前記r軸に直交するe軸まわりに歯を形成した場合の基本構成を説明する。
【0050】
図8の(a)に示すように、球体31の第1地軸(r軸)及び第2地軸(e軸)を含む仮想平面に平歯車の輪郭33を形成し、平歯車の輪郭33をr軸まわりに回して切ることで、(b)に示すような歯構造を得る。さらに、平歯車の輪郭33をe軸まわりに回して切る。このようにして、位相差を有して交差する第1地軸と第2地軸(本実施例では直交するr軸とe軸)を含む仮想平面に形成された平歯車の輪郭33をr軸まわり及びe軸まわりにそれぞれ切ると、(c)に示すように、r軸まわり及びe軸まわりにそれぞれ切られた歯34を有する球状歯車30が得られる。
【0051】
図8の(d)に示すように、第1の鞍状歯車50の周方向に沿った輪郭54は、平歯車の輪郭33の1/2周に対応し、上記に説明した球状歯車30の歯34と噛み合う。
【0052】
図9の(a)に示すように、直交して90度だけ位相のずれを持つ歯34を重ね合わせた球状歯車30が得られ、(b)に示すように、90度だけずれた各位相に対して、第1鞍状歯車50と第2鞍状歯車70をそれぞれ噛み合わせる。なお、本実施例では、第1地軸及び第2地軸を、位相が90度ずれたr軸及びe軸としているが、第1地軸及び第2地軸の位相差は90度に限定されず、例えば、30度、45度、60度等の任意の位相差を有していても良い。これらの位相差を有する第1地軸及び第2地軸を含む仮想平面に形成された平歯車の輪郭を前記第1地軸まわり及び前記第2地軸まわりにそれぞれ切った歯構造を形成することができる。球状歯車30に対し第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70を噛み合わせることで、球状歯車30が有する回転3自由度を全て拘束又は駆動することができる。また、球状歯車30の、第1鞍状歯車50と噛み合う歯数は、第1鞍状歯車50の歯数の1倍又は2倍である。これにより、球状歯車30の従動極点34aに第1鞍状歯車50の駆動極点(駆動極点歯51)を一致させることができる。
【0053】
次に差動機構44、64について説明する。なお、代表して差動機構44について説明する。
【0054】
図10に示すように、差動機構44は、ホルダー20と一体になった部分に固定された軸回転用モータ42と、この軸回転用モータ42に回転可能に設けられた回転フレーム44bと、この回転フレーム44bに回転可能に設けられた第1鞍状歯車50及びこの第1鞍状歯車50と噛み合う小歯車44cと、ホルダー20に固定された歯車回転用モータ43と、この歯車回転用モータ43に第1駆動歯車43aを介して回転可能に設けられ内側に小歯車44cと噛み合うようにウォーム溝が切られた円筒状の回転内ウォーム44aと、ホルダー20に回転可能に支持され第1鞍状歯車50に噛み合う球状歯車30と、を備えている。
【0055】
差動機構44は、鞍状歯車50によって球状歯車30を歯車回転、軸回転又は停止させ、軸回転用モータ42によって、回転フレーム44b、小歯車44c、第1鞍状歯車50及び球状歯車30を一体的に矢印(1)のように軸回転させ、歯車回転用モータ43によって、第1駆動歯車43a及び回転内ウォーム44aを矢印(2)のように回転させつつ、小歯車44c、第1鞍状歯車50及び球状歯車30を一般的な平歯車列のように歯車回転させる。球状歯車30の回転3自由度のうち拘束されている回転2自由度を駆動するためには、第1鞍状歯車50に回転2自由度が必要になる。
【0056】
次に、以上に述べた基本構成に係る関節装置10の作用を説明する。
【0057】
図1、
図2に示すように、第1駆動ユニット40の軸回転用モータ42及び歯車回転用モータ43を駆動させて第1鞍状歯車50を回動させることで、球状歯車30を回転させる。第1駆動ユニット40の可動を停止させることで第1鞍状歯車50により球状歯車30の回転2自由度を拘束し、この状態で第2駆動ユニット60を駆動させると、球状歯車30の残りの1自由度を駆動することができる。さらに、第1駆動ユニット40及び第2駆動ユニット60の可動を停止させることで、球状歯車30の回転3自由度全てを拘束し、固定した状態にすることができる。
【0058】
次に、以上に述べた関節装置10の作用、効果について説明する。
【0059】
本発明の実施例の構成において、関節装置10は、ホルダー20に、球状歯車30を駆動する第1駆動ユニット40及び第2駆動ユニット60が設けられている。第1駆動ユニット40及び第2駆動ユニット60がホルダー20に固定されるので、動力源の大出力化に有利である。加えて、第1駆動ユニット40及び第2駆動ユニット60のそれぞれが球状歯車30に駆動力を伝えるので、力を合成できる、いわゆるパラレル機構とすることができる。また、従来技術では、球体の一部分に歯を設ける技術は見られたが、これでは可動範囲が歯を設けた狭い範囲に制限される。この点、本発明では、球体31の全表面32に球体31の中心を通る第1地軸及び第2地軸を含む仮想平面に形成された平歯車の輪郭33を第1地軸まわり及び第2地軸まわりにそれぞれ切った2つの歯構造を有するので、可動範囲を制限なく大きくすることができる。
【0060】
さらに、本発明の実施例では、球状歯車30と噛み合い可能な第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70を備える。第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70は、球状歯車30における歯構造の不可避の歪みに対応した、従来技術にない特殊な歯構造を有する。具体的には、第1鞍状歯車50は、球状歯車30a(30)の第1地軸に対して経線方向に噛み合い部が移動する力を伝達する歯車回転、第1軸まわりの力を伝達する軸回転、及び緯線方向に滑って噛み合い部が移動する力を伝達しない横スライドという3つの相互作用によって、球状歯車30a(30)の回転3自由度のうち第1地軸まわりの回転自由度以外の2つを常に拘束可能とし、円錐形状、円錐台形状又は円環形状の駆動極点歯51と、歯面が湾曲形状(第1鞍状歯車50の周方向に沿って、駆動極点歯51に向かって凹になるような湾曲形状)の湾曲歯52と、所定の歯幅Wと、を備えている。第2鞍状歯車70も同様である。このため、第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70は、球状歯車の赤道部分だけでなく従動極点34aにおいても噛み合いが破綻することなく、通常の平歯車対さながらに回転角無制限の連続的な動力伝達が可能となる。
【0061】
さらに、本発明の実施例では、適切な自由度設計方法として、球状歯車30が有する2つの歯構造に対して回転2自由度を有する2つの鞍状歯車を適切に配置したことで、球状歯車の回転3自由度の駆動を実現した。具体的には、1つの球状歯車30に対して第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70を設置し、第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70は球状歯車30の第1地軸及び第2地軸まわりの2つの歯構造にそれぞれ対応することとした。加えて、第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70はそれぞれ、第1駆動ユニット40の第1駆動機構41又は第2駆動ユニット60の第2駆動機構61に組み込まれて回転2自由度の駆動能力を与えられることによって、球状歯車30が有する回転3自由度のうち、それぞれが拘束している2自由度を駆動する。球状歯車30の2つの歯構造は位相差を有しているために、第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70による合計4つの駆動される自由度が球状歯車30に適切に配置され、球状歯車30の回転3自由度を常に全て拘束(駆動)することが可能となる。このように、本発明では、大きなトルクを伝えることができる歯車の噛み合いに基づいた回転3自由度の関節装置10とすることができる。
【0062】
さらに、球状歯車30のそれぞれの部分の歯の形状に対応させて、第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70の歯の形状を合わせることができ、球状歯車30の全周に亘って連続的に噛み合うことができる。
【0063】
さらに、第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70と、軸回転用モータ42、62及び歯車回転用モータ43、63との間に差動機構44、64を設けたので、歯車回転用モータ42、62及び軸回転用モータ43、63を全て第1部材11に固定しつつ球状歯車30の回転3自由度を全て拘束又は駆動することができる。
【0064】
このとき、制御アルゴリズムとして、球状歯車30の3自由度を実現させるためのモータ制御アルゴリズムを採用する。本発明の実施例では入力アクチュエータとして4つのモータを使用するが、それらの回転角度は簡潔な逆運動学的計算で得ることが可能である。また、従来技術の球面モータのように多数の電磁石を駆動することもないため、従来技術と同様のモータ制御システムを使用可能である。
【0065】
さらに、関節装置10は、汎用ロボットに適している。関節装置10を汎用ロボットに適用することで、汎用ロボットの一つの関節で3自由度として関節の数を減らした上で大きなトルクも伝達することができる。従来技術においては、モータを全て固定しつつ回転3自由度を有する、滑りがなく大出力を伝達可能、そして回転角度の範囲が広い、という特徴を全て満たす技術は存在しない。従って、本発明に特有の効果のひとつに、ロボットアームのような大出力・多自由度・大作業域システムの関節部の小型軽量化、それに伴う剛性の低減によるコスト削減や運用時のエネルギー効率の向上が挙げられる。加えて、人形ロボットのような審美性を重視するロボットや、ソフトロボットのように剛体部分を極力減らしたいロボットであれば、従来の3関節のシリアルリンク機構を1関節にできるという点で、本発明はより効果的である。
【0066】
さらに、球状歯車30、第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車から構成される歯車セットは、組み合わせた際に、従動極点34aにおいても第1鞍状歯車50と球状歯車30との噛み合いが破綻することなく、通常の平歯車対さながらに回転角無制限の連続的な動力伝達が可能となる。
【0067】
さらに、歯車セットでは、1つの球状歯車30に対して第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70を設置し、第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70は球状歯車30の第1地軸及び第2地軸まわりに形成した2つの歯構造にそれぞれ対応することとした。加えて、第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70はそれぞれ、第1駆動ユニット40の第1駆動機構41又は第2駆動ユニット60の第2駆動機構61に組み込まれて回転2自由度の駆動能力を与えられることによって、球状歯車30が有する回転3自由度のうち、それぞれが拘束している2自由度を駆動する。球状歯車30の2つの歯構造は位相差を有するために、第1鞍状歯車50及び第2鞍状歯車70による合計4つの駆動される自由度が球状歯車30に適切に配置され、球状歯車30の回転3自由度を常に全て拘束(駆動)することが可能となる。このように、本発明では、大きなトルクを伝えることができる歯車の噛み合いに基づいた回転3自由度の歯車セットとすることができる。
【0068】
尚、本発明は、実施例の図に示した歯車の歯数に限定されない。球状歯車30の歯数と第1鞍状歯車50、第2鞍状歯車70の歯数を同一にしても差し支えない。また、実施例では、第1部材11を支持部材としたが、これに限定されず、第1部材11を壁や天井等としてもよい。また、実施例では、第2部材12を軸状の出力部材としたが、これに限定されず、出力部材に代えてカメラやセンサー等を備えてもよい。例えば、
図1及び2における第2部材12に代えてカメラを取り付け、これらのカメラを含む歯車セットを監視カメラやドローンに搭載することにより、撮影角度を全方向に制御可能な撮影装置を得ることができる。
【0069】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
10…関節装置、11…第1部材(支持部材)、12…第2部材(出力部材)、20…ホルダー、21…球状支持部、30…球状歯車、32…全表面、33…平歯車の輪郭、34…歯、34a…従動極点、40…第1駆動ユニット、41…第1駆動機構、42…軸回転用モータ、43…歯車回転用モータ、44…差動機構、50…第1鞍状歯車、51…駆動極点歯(駆動極点)、52…湾曲面、60…第2駆動ユニット、61…第2駆動機構、62…軸回転用モータ、63…歯車回転用モータ、64…差動機構、70…第2鞍状歯車、W…所定の歯幅。