(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106881
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】恒久的なドレナージフィステルを作成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/94 20130101AFI20220712BHJP
A61F 2/86 20130101ALI20220712BHJP
A61B 17/11 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
A61F2/94
A61F2/86
A61B17/11
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074691
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2019566291の分割
【原出願日】2018-06-19
(31)【優先権主張番号】62/522,348
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】グレイ、ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ウェールズ、ライアン ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブレッチビール、スコット イー.
(72)【発明者】
【氏名】クリスタキス、ローラ イー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー、ショーン
(57)【要約】
【課題】体管腔間に開口流路またはアクセス通路を形成する為の装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明は、長尺状本体と、近位部保持部と、遠位保持部とを備えた装置を用いて、第1の体管腔及び第2の体管腔の筋層を接触して配置させて、間に長期間または恒久的な開口流路またはアクセス流路を形成する装置に関する。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーメンを形成し、且つ、近位部と、遠位部と、長さと、直径とを備える管状の長尺状本体であって、搬送時形態と、長手方向に収縮された配備時形態とを備え、前記配備時形態にある時、前記近位部が径方向に拡張されて形成された近位保持部と、前記遠位部が径方向に拡張されて形成された遠位保持部と、前記近位保持部と前記遠位保持部との間に画定された円筒状サドル部とを有する、前記長尺状本体と、
前記円筒状サドル部の外面に沿って前記近位保持部の遠位側に配置されて、前記遠位保持部に向かって延びる自由端を有する複数の近位組織係合要素と、
前記円筒状サドル部の外面に沿って前記遠位保持部の近位側に配置されて、前記近位保持部に向かって延びる自由端を有する複数の遠位組織係合要素と、
を備える医療装置。
【請求項2】
前記近位組織係合要素の第1の端は、前記円筒状サドル部の外面に取り付けられ、前記近位組織係合要素の前記自由端は、前記円筒状サドル部の外面に取り付けられることなく前記遠位保持部に向かって延びている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記遠位組織係合要素の第1の端は、前記円筒状サドル部の外面に取り付けられ、前記遠位組織係合要素の前記自由端は、前記円筒状サドル部の外面に取り付けられることなく前記近位保持部に向かって延びている、請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記近位組織係合要素及び前記遠位組織係合要素の前記自由端は、前記円筒状サドル部の外周面から径方向外方に延びる、請求項3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記近位組織係合要素の前記自由端は、第1の体管腔の組織壁を貫通するように構成され、前記遠位組織係合要素の前記自由端は、第2の体管腔の組織壁を貫通するように構成されている、請求項3又は4に記載の医療装置。
【請求項6】
前記近位保持部の表面は、第1の体管腔の組織壁の内面に接するように構成され、前記遠位保持部の表面は、第2の体管腔の組織壁の内面に接するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項7】
前記複数の近位組織係合要素に係合された前記第1の体管腔の組織壁の一部は、前記円筒状サドル部に沿って前記遠位保持部に向かって湾曲され、前記複数の遠位組織係合要素に係合された前記第2の体管腔の組織壁の一部は、前記円筒状サドル部に沿って前記近位保持部に向かって湾曲され、前記第1の体管腔の組織壁の筋層は、前記第2の体管腔の組織壁の筋層に接触して配置される、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記第1の体管腔及び前記第2の体管腔の組織壁は、前記円筒状サドル部に沿って前記近位保持部及び前記遠位保持部の間に配置される、請求項5~7のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項9】
前記近位保持部及び前記遠位保持部のうちの少なくともいずれか一方は、前記円筒状サドル部の外周面に直交して延びる、請求項1~7のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項10】
第1の磁石は、前記近位保持部内に配置され、第2の磁石は、前記遠位保持部内に配置される、請求項1~7,9のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項11】
コーティングをさらに備える、請求項1~7,9,10のいずれか一項に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置分野に関し、複数の体管腔を連通させることに関する。より詳細には、本発明は、体管腔間に永続性の開口流路またはアクセス通路を形成する為の装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な状況や状態において、複数の体管腔にアクセスを構築して一方と他方とを連通させることが望ましい場合がある。様々な医療装置(例えばドレナージステント)は、体管腔の間に開口流路またはアクセス流路を形成することができる。これらの医療装置は一般に、長期使用には適応せず、配置後数週間または数か月以内に患者の体内から除去されることが多い。医療装置が除去されると、各体管腔の粘膜層の急速な細胞の再生により開口部(たとえば、フィストラや吻合)を本質的に閉鎖したりシールしたりする場合がある。このような自己シール能力は、特定の状況では有利であり得るが、様々な医学的状況では、吻合装置を患者の体内から除去した後、長期または永久的な開口部を体管腔の間に維持する必要がある。
【0003】
例えば、胆嚢から総胆管(CBD)への胆汁の流れが封鎖されると、胆嚢内に胆汁が貯留して、短期的には黄疸が発生し、長期的には生命を脅かす可能性がある。胆嚢から十二指腸に胆汁や胆石をドレナージすることによって急性胆嚢炎の症状を和らげるために、市場で入手可能なドレナージ装置(例えばAxios(登録商標),ボストンサイエンティフィック社)が配置される。そのようなドレナージ装置は、恒久的に埋込むものではないため、慢性的な胆嚢炎の標準的な治療は、胆嚢の除去となる。米国だけで一年間に約80万回の胆嚢除去手術が実施されている。
【0004】
有利な医学的結果が本願発明に係る装置や方法で実現できる。例えば、第1の体管腔と第2の体管腔の組織の壁を直接的に接して配置して、対面する筋層を融合して、閉鎖やシーリングを防止又は大きく阻害する長期的又は恒久的な開口フロー通路又は開口アクセス通路を形成することができる。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様において、本発明は、ルーメンを形成し、且つ、近位部と、遠位部と、一定の長さと、一定の直径とを備える長尺状本体を備えた医療装置に関する。長尺状本体は、長尺状の管状形態と、近位部が拡張して形成された近位保持部と、遠位部が拡張して形成された遠位保持部と、近位保持部と遠位保持部との間に画定された円筒状サドル部とからなる収縮時形態とを備え得る。複数の近位組織係合要素は、円筒状サドル部の外面に沿って近位保持部の遠位に配置され、複数の遠位組織係合要素は、円筒状サドル部の外面に沿って遠位保持部の近位に配置される。各近位組織係合要素の第1の端部は、円筒状サドル部の外面に取り付けられ、各近位組織係合要素の第2の端部は取り付けられないで遠位保持部に向かって延びる。各遠位組織係合要素の第1の端部は、円筒状サドル部の外面に取り付けられ、各遠位組織係合要素の第2の端部は、取り付けられないで近位保持部に向かって延びる。各近位組織係合要素の取り付けられていない第2の端部は、円筒状サドル部の外面の周囲で昇降され得る。各遠位組織係合要素の取り付けられていない第2の端部は、円筒状サドル部の外面の周囲で昇降され得る。各近位組織係合要素の取り付けられていない第2の端部は、第1の体管腔の組織壁を貫通するように構成される。遠位組織係合要素の取り付けられていない第2の端部は、第2の体管腔の組織壁を貫通するように構成される。複数の近位組織係合要素や遠位組織係合要素は、長尺状本体が長尺状の管状形態にある時には、長尺状本体の外面に対して平坦状に横になり得る。近位保持部の表面は、第1の体管腔の組織壁の内面に接するように構成され、遠位保持部の表面は、第2の体管腔の組織壁の内面に接するように構成される。第1の体管腔及び第2の体管腔の組織壁は、円筒状サドル部に沿って近位保持部と遠位保持部との間に配置される。複数の近位組織係合要素が係合した第1の体管腔の組織壁の一部は、円筒状サドル部に沿って遠位保持部に向かって湾曲し、複数の遠位組織係合要素が係合した第2の体管腔の組織壁の一部は、円筒状サドル部に沿って近位保持部に向かって湾曲し、第1の体管腔の組織壁の組織の層(例えば、筋層)は、第2の組織壁の組織の層(例えば、筋層)に接して配置され得る。
【0006】
別の態様では、本発明は、ルーメンを形成し、且つ、近位部と、遠位部と、一定の長さと、一定の直径とを備える長尺状本体を備えた医療装置に関する。長尺状本体は、長尺状の管状形態と、近位部が拡張して形成された近位保持部と、遠位部が拡張して形成された遠位保持部と、近位保持部と遠位保持部との間に画定された円筒状サドル部とからなる収縮時形態とを備える。第1の磁石は、近位保持部内に配置され、第2の磁石は、遠位保持部内に配置される。第1の磁石と第2の磁石の間の引き合う力により、近位保持部と遠位保持部とは、互いに向かって付勢される。近位保持部の表面は、第1の体管腔の組織壁の内面に接するように構成され、遠位保持部の表面は、第2の体管腔の組織壁の内面に接するように構成される。第1の体管腔及び第2の体管腔の組織壁は、円筒状サドル部に沿って近位保持部と遠位保持部との間に並置される。近位保持部の表面は、第1の体管腔の組織壁内で組織の壊死を引き起こし、遠位保持部の表面は、第2の体管腔の組織壁内で組織の壊死を引き起こし得る。第1の体管腔及び第2の体管腔の組織壁内の組織の壊死により、互いに接する第1の体管腔及び第2の体管腔の健康な組織の層(例えば、筋層)を露出して配置し得る。
【0007】
別の態様では、本発明は、ルーメンを形成し、且つ、近位部と、遠位部と、一定の長さと、一定の直径とを備える長尺状本体を備えた医療装置に関する。長尺状本体は、長尺状の管状形態と、近位部が拡張して形成された近位保持部と、遠位部が拡張して形成された遠位保持部と、近位保持部と遠位保持部との間に画定された円筒状サドル部とからなる収縮時形態とを備える。フィラメントは、長尺状部材の一部を貫通して通され、近位端と遠位端とを互いの方に向かって圧縮し得る。例えば、フィラメントの第1の端部は、第1の部位で医療装置の近位端に取り付けられ、フィラメントの第2の端部は、取り付けられないで第2の部位で医療装置の近位端から延び、第1の端部と第2の端部の間のフィラメントの間のフィラメントの部分は、近位保持部と遠位保持部との間で円筒状サドル部に沿って延びるループを形成し得る。近位方向にフィラメントの第2の端部を引くことにより、近位保持部と遠位保持部とは、互いの方に向かって付勢される。医療装置は、第2の部位に隣接して長尺状本体に取り付けられたロック部材をさらに備え得る。ロック部材は、フィラメントの一部を固定するように構成される。近位保持部の表面は、第1の体管腔の組織壁の内面に接するように構成され、遠位保持部の表面は、第2の体管腔の組織壁の内面に接するように構成される。第1の体管腔及び第2の体管腔の組織壁は、円筒状サドル部に沿って近位保持部と遠位保持部との間に並置され得る。近位保持部の表面は、第1の体管腔の組織壁内で組織の壊死を引き起こし、遠位保持部の表面は、第2の体管腔の組織壁内で組織の壊死を引き起こし得る。第1の体管腔及び第2の体管腔の組織壁内の組織の壊死により、互いに接する第1の体管腔及び第2の体管腔の健康な組織の層(例えば、筋層)を露出して配置し得る。
【0008】
別の態様では、本発明は、ルーメンを形成し、且つ、近位部と、遠位部と、一定の長さと、一定の直径とを備える長尺状の本体を備えた医療装置に関する。長尺状本体は、長尺状の管状形態と、近位部が拡張して形成された近位保持部と、遠位部が拡張して形成された遠位保持部と、近位保持部と遠位保持部との間に画定された円筒状サドル部とからなる収縮時形態と備え得る。医療装置は、MRIエネルギーなどのエネルギーの存在下で加熱されて、第1の体管腔及び第2の体管腔の組織壁の中で組織の壊死を引き起こし得る。第1の体管腔及び第2の体管腔の組織壁内の組織の壊死により、互いに接する第1の体管腔及び第2の体管腔の健康な組織の層(例えば、筋層)を露出して配置し得る。
【0009】
別の態様では、本発明は、内面と、外面と、その間に延びる第1の開口部を含む第1の可撓性部材と、内面と、外面と、その間に第2の開口部とを備える第2の可撓性部材とを備える医療装置に関する。複数のタブは、第2の可撓性部材の表面から延び、複数の凹部は、第1の可撓性部材の内面の内部に形成される。第1の可撓性部材の各凹部は、第2の可撓性部材の対応するタブを受承するように構成され、第1の開口部及び第2の開口部は、整合して組み合わされた開口部を形成し得る。第1の可撓性部材の内面と第2の可撓性部材の内面とは、複数のタブが複数の凹部内に受承された際に一定の間隔を設けて配置される。複数のタブは、第1の体管腔及び第2の体管腔の組織壁を貫通するように構成される。複数のタブは、第1の体管腔及び第2の体管腔の間の開口部を貫通して延びるように構成される。
【0010】
本明細書の非限定的な実施形態は、例示することを目的として添付の図面を参照して記載され、図面は、概略であって縮尺通りに記載することを意図していない。図面では、記載されている同一またはほぼ同一の構成要素は、単一の参照符号で表示されている。明瞭性を目的として、全図面では、必ずしもすべての構成要素にはラベルが付されておらず、図示が当業者が本発明を理解するのに必要でない場合には、各実施形態の必ずしもすべての構成要素は表示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る医療装置を示す斜視図。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に医療装置を配置する例示の工程を示す図。
【
図2B】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に医療装置を配置する例示の工程を示す図。
【
図2C】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に医療装置を配置する例示の工程を示す図。
【
図2D】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に医療装置を配置する例示の工程を示す図。
【
図2E】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に医療装置を配置する例示の工程を示す図。
【
図2F】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に医療装置を配置する例示の工程を示す図。
【
図3A】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置された医療装置を示す斜視図。
【
図3B】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置された医療装置を示す斜視図。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る、医療装置の近位保持部と遠位保持部の内部に磁石を配置するための例示の工程を示す図。
【
図4B】本発明の一実施形態に係る、医療装置の近位保持部と遠位保持部の内部に磁石を配置するための例示の工程を示す図。
【
図4C】本発明の一実施形態に係る、医療装置の近位保持部と遠位保持部の内部に磁石を配置するための例示の工程を示す図。
【
図4D】本発明の一実施形態に係る、医療装置の近位保持部と遠位保持部の内部に磁石を配置するための例示の工程を示す図。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る、医療装置の近位保持部と遠位保持部の内部に磁石を配置する為の例示の工程を示す図。
【
図5B】本発明の一実施形態に係る、医療装置の近位保持部と遠位保持部の内部に磁石を配置する為の例示の工程を示す図。
【
図5C】本発明の一実施形態に係る、医療装置の近位保持部と遠位保持部の内部に磁石を配置する為の例示の工程を示す図。
【
図5D】本発明の一実施形態に係る、医療装置の近位保持部と遠位保持部の内部に磁石を配置する為の例示の工程を示す図。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置された医療装置を示す斜視図。
【
図6B】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置された医療装置を示す斜視図。
【
図7A】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置された医療装置を示す斜視図。
【
図7B】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置された医療装置を示す斜視図。
【
図8】本発明の一実施形態に係る、電磁波(radiofrequency)によって誘導された植込み型医療装の加熱に関する計算と方程式とを示す図。
【
図9A】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置された医療装置を示す斜視図。
【
図9B】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置された医療装置を示す斜視図。
【
図9C】本発明の一実施形態に係る、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置された医療装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、説明する具体的な実施形態に限定されない。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明することを目的としており、添付の請求項の範囲を超えて限定することを意図していない。別段に定義されていない限り、本明細で使用する全ての技術用語は、一般に当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が理解する意味と同一の意味を有する。
【0013】
本発明の実施形態は、胆嚢のドレナージの為の医療装置(例えば、ステント)とシステムとに関して説明するが、装置は、様々な体内器官、体管腔、管、血管、瘻、シスト、間隙(例えば真皮、胃、十二指腸、空腸、小腸、胆嚢、腎臓、膵臓、胆嚢/膵臓枝、膀胱、尿道、膿瘍、被包化膵壊死(WOPN)、胆管)からまたはその間に一時的または永久的な開口流路またはドレナージ通路を形成したり維持したりする為に、様々な医学的用途(例えば、外部胆嚢ドレインコンバージョン、小腸-小腸吻合術、胃空腸吻合術、胃十二指腸吻合術、胃回腸吻合術)に使用され得る。装置は、異なるアクセス部位や、経皮的、内視鏡的、腹腔鏡的、またはそれらの組み合わせなど異なるアプローチを用いて挿入できる。本明細書で説明する医療装置は、自己展開型であるが、別の実施形態では、医療装置は、バルーンカテーテル等、別の手段によって拡張し得る。更に、そのような医療装置は、ドレナージに限定されず、ある部位から別の部位に流体物や固体物を搬送したりバイパスする為の通路を形成したり、障害物を除去したり、器官の内部で組織を非侵襲的にまたは低侵襲的に操作したり開口流路を介して薬剤を導入したりする等の治療を行うなど、別の目的のために、器官や、血管や、体管腔へのアクセスを容易にし得る。
【0014】
本明細書で使用するように、単数形の「ひとつ(a)」、「ひとつ(an)」、[その(the)]は、反することが明示されていない限り、複数形も含むことが意図されている。「備える(comprise)」や「備える(comprising)」や「含む(include)」や「含む(including)」は、本明細書で使用される場合には、特定の特徴や、領域や、工程や、要素や、構成要素の存在を特定するが、これは、1つ以上の別の特徴や、領域や、整数や、工程や、操作や、要素や、構成要素や、それらのグループの存在や追加を排除しないことが理解できる。
【0015】
本明細書で使用するように、「遠位」という用語は、装置を患者の体内に導入した際に、医療装置から最も遠い方の端部を指し、「近位」という用語は、装置を患者の体内に挿入した際に医術者に最も近い方の端部を指す。
【0016】
一実施形態では、本発明は、第1の体管腔と第2の体管腔との間に延びて、各体管腔の筋層を整合して、長期間または恒久的な開口流路または開口アクセス通路を形成するように構成された医療装置(例えば、自己拡張性のドレナージステント等)に関する。
図1を参照すると、一実施形態では、本発明の医療装置100は、ルーメンを形成し、近位部と、遠位部と、一定の長さと、一定の直径とを備える長尺状の本体110を含む。長尺状の本体110は、長尺状の管状形態と(図には示していないが、例えば、拘束時形態、非拡張時形態、又は搬送時形態)、近位部112が近位保持部114の中において径方向に拡張し、かつ、遠位部122が遠位保持部124の中において径方向に拡張して、間に円筒状サドル部128が延びて維持された収縮時形態(例えば非拘束時形態、拡張時形態、又は配備時形態)とを備える。円筒状サドル部128の直径は、長尺状の管状形態における長尺状本体110の直径よりも大きくてもよい。近位保持部及び遠位保持部114,124は、長尺状本体110の周方向に直交して延びて、それぞれ平坦面114a,124aを形成する。いくつかの実施形態では、長尺状本体の周方向に対する角度は、別の角度をとってもよいし、または、保持部に湾曲部を形成する保持部に沿って変化してもよい。複数の近位組織係合要素132は、近位保持部114の遠位の部位に円筒状サドル部128の外面に沿って配置され、複数の遠位組織係合要素142は、遠位保持部124の近位の部位に円筒状サドル部128の外面に沿って配置される。各近位組織係合要素132の第1の端部134は、円筒状サドル部128の外面に取り付けられ、各近位組織係合要素134の第2の端部136は、取り付けられないで(自由端である)、遠位保持部124に向かって延びる。各遠位組織係合要素142の第1の端部144は、円筒状サドル部128の外面に取り付けられ、各遠位組織係合要素142の第2の端部146は、取り付けられないで(自由端である)、近位保持部114に向かって延びる。長尺状の管状形態では、近位組織係合要素及び遠位組織係合要素132,142は、長尺状本体の外面に沿って配置される(例えば、外面に沿って平坦状に横になっている)。長尺状本体が収縮時形態に移行すると、近位組織係合要素及び遠位組織係合要素132,142は、外方に偏倚して、円筒状サドル部128の外面に沿ってその上方に延びる(例えば円筒状のサドル部の長軸に対してほぼ平行して、又は鋭角をなして)。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の組織係合要素及び第2の組織係合要素132,142のいずれか一方又は双方の第1の端部134,144は、当該技術分野で周知な好適な糊、接着剤、樹脂、又はその他の連結技術を用いて円筒状サドル部128の外面に固定され得る。追加的にまたは代替的に、近位組織係合要素及び遠位組織係合要素132,142は、長尺状本体110を構成するフィラメント(織成、編成、または編組された)の延長部または突起として形成される。近位組織係合要素及び遠位組織係合要素132,142の第2の端部136,146の任意の1つは、以下に説明するように、尖鋭状の、またはとがった形状に構成され、または、第1の体管腔又は第2の体管腔のそれぞれの組織壁を貫通するように構成される。追加的に、近位組織係合要素及び遠位係合要素132,142の任意の1つは、第1の体管腔又は第2の体管腔それぞれの組織壁内に組織係合要素を固定するように構成された1つ以上のかかり返しや、フックや、フィンガーや、歯などをさらに備え得る。
【0018】
図1の近位組織係合要素及び遠位組織係合要素132,142は、円筒状サドル部128の外周面に等間隔に、近位保持部と遠位保持部114,124それぞれに直接接して配置されるように示されているが、いくつかの実施形態では、近位組織係合要素及び遠位組織係合要素132,142は、円筒状サドル部に沿って、様々な形状や、寸法や、数や、向きや、パターンや、間隔を備え得る。追加的にまたは代替的に、いくつかの実施形態では、組織係合要素は、円筒状サドル部に限定されることなく、平坦な組織に対面する表面等、近位保持部や遠位保持部にまたはそれらに沿って配置されてもよい。
【0019】
一実施形態では、本発明に係る医療装置100は、医療装置が長尺状の管状形態から収縮時形態に移行した際に、近位組織係合要素と遠位組織係合要素132,142が第1の体管腔及び第2の体管腔それぞれの一部を再配向して、第1の体管腔及び第2の体管腔の筋層を円筒状サドル部128の外面に沿って接して配置するように患者の体内に配置される。
図2A~2Fを参照すると、使用時には、例示することを目的として、本願の医療装置100は、組織貫通要素10のルーメン内に長尺状の管状形態で配置される。組織貫通要素10の尖鋭状の遠位端12は、第1の体管腔190(例えば、胃または十二指腸)の組織壁191と第2の体管腔195(例えば、胆嚢)の組織壁196とを貫通して進められ得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、組織貫通要素10は、第1の体管腔及び第2の体管腔の中を貫通して先に前進されたガイドワイヤ16に沿って進められ、ガイドワイヤの遠位端は、第2の体管腔内に配置される。代替的には、上記の方法において、通路を形成するために、尖鋭状の遠位端を備える別体の器具が上記通路に沿って第2の体管腔内に挿入されてもよい。ガイドワイヤが別体の器具をガイドするために使用される場合には、ガイドワイヤはその場に留置され、別体の器具はガイドワイヤに沿って除去される。上記の様々な実施形態に係る医療装置であって、搬送カテーテルに装填される医療装置は、ガイドワイヤに沿って挿入され、上記で概要を説明した工程に従って配置される。
【0021】
図2Aを参照すると、次に、医療装置100の遠位部122は、遠位組織係合要素の遠位部142が配置されるように、例えば組織貫通要素10のルーメン内での拘束から解放されるように、組織貫通要素10のルーメンを超えて遠位方向に進められる。
図2Bを参照すると、次に、組織貫通要素10は、遠位組織係合要素142の少なくともいくつかが尖鋭状の遠位端12によって形成された開口部に隣接する第2の体管腔195の組織壁196の一部に係合する(例えば、穿刺または貫通する)ように近位方向に後退される。組織貫通要素10が更に近位方向に後退されると、第2の体管腔195の組織壁196の一部は、再配向され、例えば、第1の体管腔190の組織壁191に向かって湾曲される。
【0022】
図2Cを参照すると、次に、医療装置100の遠位部122は、遠位保持部124が第2の体管腔195内に全体的に配置され、平坦な表面124aが組織壁196の内面と接触して配置されるように、組織貫通要素10のルーメンを超えて遠位方向に更に進められる。更に
図2Cを参照すると、遠位保持部124と円筒状サドル部128の一部が組織貫通要素10の内部から配備されると、遠位組織係合要素142が係合した第2の体管腔195の組織壁196の一部は、第1の体管腔190の組織壁191に対面する為に更に再配向される。
図2D,2Eを参照すると、次に、組織貫通要素10は、第1の体管腔190の中に近位方向に更に後退され、医療装置100の近位部112は、近位組織係合要素132が配備されるように、例えば組織貫通要素10のルーメン内の拘束から解放されて尖鋭状の遠位端12により形成された開口部に隣接する第1の体管腔190の組織壁の一部に接触して配置されるように、組織貫通要素10のルーメンを超えて遠位方向に進められる。
図2Fを参照すると、次に、医療装置100の近位部112は、近位保持部114が第1の体管腔190内に全体的に配置されて平坦面114aが組織壁191の内面に接触して配置されるように、組織貫通要素10のルーメンを超えて遠位方向にさらに進められる。一実施形態では、近位保持部114と円筒状サドル部128の他の部分は、組織貫通要素10内から配備されて、1つ以上の近位組織係合要素132が係合した第1の体管腔190の組織壁191の一部は、先に再配向された第2の体管腔195の組織壁196に対面するように再配向され、第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の筋層194,199は、円筒状サドル部128に沿って接触して配置される。
【0023】
いくつかの実施形態では、近位組織係合要素及び遠位係合要素132,142は、医療装置100がそれぞれの組織の層に実質的な外傷を生じることなく患者の体内から除去可能にする為に十分な可撓性を備えるか、または変形可能である。追加的にまたは代替的に、近位組織係合要素と遠位組織係合要素の任意の1つ又は全ては、筋層194,199が融合した後に溶けるように構成された生体分解性又は生体内浸食性材料で形成され、医療装置を患者の体内からより容易に除去可能にする。
【0024】
一実施形態では、本発明の医療装置200は、近位保持部と遠位保持部とが第1の体管腔及び第2の体管腔の選択的且つ局所的な組織の壊死を引き起こして、円筒状サドル部の外面に沿って各体管腔の筋層の隣接する部分を露出するために患者の体内に配置される。
図3A~3Bを参照すると、一実施形態では、本発明の医療装置200は、ルーメンを形成し、近位部212と遠位部222と一定の長さと一定の直径とを備える長尺状本体210を含む。長尺状本体210は、長尺状の管状形態を備え(例えば拘束時形態、非拡張時形態、又は、搬送時形態、図示略)と、近位部212が近位保持部214の中に径方向に拡張し、且つ、遠位部222が遠位保持部224の中に径方向に拡張して、間に円筒状サドル部228を残す収縮時形態(例えば非拘束時形態、拡張時形態、又は展開時形態)とを備える。円筒状サドル部228の直径は、長尺状の管状形態における長尺状本体210の直径よりも大きくてもよい。近位保持部及び遠位保持部214,224は、長尺状本体210の周方向に直交して延びて、それぞれ平坦面214a,224aを形成する。第1の磁石150が近位保持部214内に配置され、第2の磁石152が遠位保持部224内に配置され得る。第1の磁石及び第2の磁石150,152は、それぞれ第1の保持部及び第2の保持部214,224内に配置され、各磁石の極性は、円筒状サドル部228の全周に沿って(例えば、360度)、間に引力を提供する。以下で詳しく説明するように、医療装置200は、第1の体管腔及び第2の体管腔190、195の間に配置されて、近位保持部214の平坦面214aは、第1の体管腔190の組織壁191に接触して組織壁191を押し、遠位保持部224の平坦面224aは第2の体管腔195の組織壁196に接して組織壁196を押し、円筒状サドル部228に沿って体管腔を接触して配置する(
図3A)。一実施形態では、第1の磁石及び第2の磁石150,152の間の引力は、近位保持部及び遠位保持部214,224を互いに引き寄せて、円筒状サドル部228を短縮して平坦面214a,224aと各組織壁191,196それぞれの内面との間に一定かつ一貫した力を及ぼす。加えて、各組織壁の外面は、近位保持部及び遠位保持部214,224の間で互いに対して圧縮され得る。各組織壁191,196の内面と外面に及ぼされる一定かつ一貫した圧力により各組織層の特定の深さにおいて選択的かつ局所的な壊死を引き起こし得る。例えば、第1の組織壁及び第2の組織壁191,196の壊死の深さは、円筒状サドル部228に沿って筋層194,199の自由端を選択的に露出して接触して配置するために粘膜層193,198に制限される。
【0025】
一実施形態では、医療装置200は、第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の組織壁191,196が円筒状サドル部128に沿って接触して配置されることを除いて、上記のように、
図2A~2Fで概要を示した例示の工程に従って第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置され、例えば、各組織壁は近位と遠位の組織係合要素によって再配向されない。
図4A~4Dを参照すると、一実施形態では、第1の磁石及び第2の磁石150,152はそれぞれ、搬送ワイヤ154の上に装填された一連の磁石150a~f,152a~fを備える。医療装置200が第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の間に正しく配置された状態で、搬送装置156(例えば、内視鏡)は、医療装置200のルーメン内を通過して第2の体管腔195の中に進められる。一連の磁石フラグメント152a~fが装填された送達ワイヤ154は、搬送装置156内を通過して第2の体管腔195内に進められる。次に、搬送装置156が、医療装置200内に近位方向に引かれ(
図4A)、搬送ワイヤ154の近位端と遠位端とが近位に引かれて、露出された磁石フラグメント152a~fは、例えば、搬送装置156の外側に配置されて、遠位保持部224の開口した内周面の所定の位置にスナップ又は配置される(
図4B~4C)。磁石フラグメント152a~fが遠位保持部224内に配置された状態で、搬送ワイヤ154の一端が解放され他端が近位方向に引かれることにより、搬送ワイヤ154は医療装置200から除去され得る。この工程を繰り返すことにより、磁石フラグメント150a~fを近位保持部214内に配置することができる(
図4D)。磁石フラグメント150a~f、152a~fが近位保持部及び遠位保持部214、224内に完全に配備された状態で、粘膜層193、198の選択的な組織の壊死及び筋層194、199の融合が上記のように進行し得る。
図5A~5Dを参照すると、一実施形態では、第1の磁石及び第2の磁石150、152はそれぞれ、拘束時形態(たとえば、線形)と非拘束時形態(たとえば、非線形または円形)との間で移行するように構成された可撓性磁石を含み得る。医療器具200が第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の間に適切に配置された状態で、搬送装置156(例えば、内視鏡)は、医療装置200のルーメン内を通過して第2の体管腔195の中に進められる(
図5A)。可撓性を有する磁石152が搬送装置156内を通過して第2の体管腔内に進められると、磁石152は非拘束時形態(
図5B)に移行する。可撓性磁石152を把持して医療機器の中に引き込むために、医療用具158(例えば、把持具など)が内視鏡内に通過され得る。可撓性磁石152は、医療器具の管腔に入るときに変形し、かつ、医療器具が近位に引かれると(
図5C)遠位保持部224の中に拡張(例えば、スナップ)する。この工程を繰り返すことにより、可撓性磁石150を近位保持部214内に配置することができる(
図5D)。可撓性磁石150、152が近位保持部及び遠位保持部214、224内に完全に展開された状態で、粘膜層193、198の選択的な組織の壊死、及び筋層194、199の融合が上記のように進行し得る。
【0026】
様々な実施形態において、粘膜層の選択的な組織の壊死や筋層の融合を促進するために、1つ以上の磁石が、近位保持部や遠位保持部に、または隣接して(例えば、並べて)配置される。他の実施形態では、磁石は、必ずしも壊死や融合を引き起こすことなく、隣接する組織層をドレナージのために並置状態に維持するのを補助する為に、これらの装置及び他の装置の保持部で使用され得る。
【0027】
図6A~6Bを参照すると、一実施形態では、本開示の医療装置300は、ルーメンを形成し、近位部と、遠位部と、一定の長さと、一定の直径とを含む長尺状本体を備える。長尺状本体310は、長尺状の管状形態(例えば、拘束時形態、非拡張時形態、または搬送時形態、図示せず)と、近位部312が近位保持部314の中に径方向に拡張し、遠位保持部322が遠位保持部324の中に径方向に拡張して、間に円筒状サドル部328が延びる収縮時形態(例えば、非拘束時形態、拡張時形態、または展開時形態)とを備え得る。円筒状サドル部328の直径は、長尺状の管状形態における長尺状本体310の直径より大きくてもよい。近位保持部及び遠位保持部314、324は、長尺状本体310の周方向に直交して延びて、それぞれの平坦面314a、324aを形成する。フィラメント160(例えば、縫合糸、糸、ニチノールワイヤー、医療グレードナイロンなど)は、長尺状本体の一部の中を貫通して通され(例えば、長尺状本体を形成する織成、編成、または編組されたフィラメントを貫通して)、フィラメント160の第1の端部162は、第1の部位(例えば、近位保持部314の近位)で医療装置300の近位端に取り付けられ、フィラメント160の第2の端部164は、取り付けられないで、第1の部位とは異なる第2の部位で医療装置300の近位端を越えて近位方向に延びる。例えば、第1の部位及び第2の部位は、医療機器の実質的に反対側にあってもよい(例えば、180度離れている)。第1の端部及び第2の端部162,164の間のフィラメント160の部分は、近位保持部及び遠位保持部314,324の間の円筒状サドル部328に沿って延びるループを形成し得る。様々な実施形態において、フィラメント160の第1の端部162は、当該技術分野で周知の好適な結び目、糊、接着剤、樹脂または他の結合技術を使用して医療装置の近位端に取り付けられ得る。様々な実施形態において、フィラメント160は、長尺状本体を形成する織成、編成、または編組されたフィラメントの中を貫通してスライドするように構成されて、医療装置が収縮時形態で動かないようにされている間(例えば、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置されている間)、フィラメント160の第2の端部164を近位方向に後退することにより近位保持部と遠位保持部314、324とを互いに接近する方向に付勢して円筒状サドル部328を短縮し得る。ロック部材166(例えば、クリート(cleat)、タイオフ(tie-off)など)が第2の部位に隣接して医療機器に取り付けられ得る。追加的にまたは代替的に、ロック部材は、長尺状本体310を形成するフィラメントの一部から一体的に形成されてもよい。ロック部材166は、フィラメント160の第2の端部164が近位に後退された後、フィラメント160の一部(例えば、ループ、巻線など)を確実に受承または係合するように構成され、近位保持部及び遠位保持部314,324を圧縮時(例えば、更に短縮された)形態に維持する。
【0028】
様々な実施形態では、フィラメント160は、近位方向に後退されロック部材166に「タイオフ(tied-off)」されると、以下で説明するように第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の組織壁191,196に所望の量の圧力を形成し得る。近位保持部と遠位保持部314,324(及び、それぞれの組織壁に及ぼされる圧力)は、フィラメント160の異なる部分をロック部材166に固定することにより必要に応じて調節され得る。例えば、フィラメント160をロック部材から解放して(例えばほどく)、第2の端部164をさらに近位方向に引いて、フィラメント160をロック部材166に再び固定することにより、追加の力をそれぞれの組織壁の間に加えることができる。同様に、それぞれの組織壁の間に加えられる力は、フィラメント160をロック部材166から解放して、第2の端部164を遠位方向にスライドして、フィラメント160をロック部材166に再び固定することにより減弱することができる。代替的には、患者の体内から医療装置300を除去する第1工程として、フィラメント160はロック部材166から解放され、自由端164はロック部材166に再び固定されることなく、遠位方向にスライド可能にされる。
【0029】
一実施形態では、医療装置300は、第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の組織壁191,196が円筒状サドル部328に沿って接触して配置されることを除いて、上記の
図2A~2Fで概略を示した例示の工程に従って第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置され、例えばそれぞれの組織壁が近位組織係合要素と遠位組織係合要素によって再配向されない。医療装置が第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の間に適切に配置された状態で、近位保持部314の平坦面314aは、第1の体管腔190の組織壁191に接して組織壁191を押し、遠位保持部324の平坦面324aは、第2の体管腔195の組織壁196に接して組織壁196を押して、円筒状サドル部328に沿って体管腔を接触して配置し得る(
図6A)。次に、フィラメント160の第2の端部164は、近位保持部及び遠位保持部314,324を互いに接近する方向に付勢するために、近位方向に引かれて(例えば、好適な把持部材を用いて)、ロック部材166に固定され、平坦面314a,324aと各組織壁191,196それぞれの内面との間に一定かつ一貫した圧力を付与し得る。加えて、各組織壁の外面は、近位保持部及び遠位保持部314,324の間で互いに対して圧縮され得る。各組織壁191,196の外面と内面とに加えられる一定かつ一貫した圧力は、各組織層の特定の深さで選択的かつ局所的な壊死を引き起こし得る。例えば、第1の組織壁191及び第2の組織壁196の壊死の深さは、円筒状サドル部328に沿って筋層194,199の自由端を選択的に露出して接触して配置する為に、粘膜層193,198に制限され得る(
図6B)。
【0030】
一実施形態では、本発明の医療装置400は、円筒状サドル部に沿って第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の組織壁191,196を再配向したり(例えば
図1~2F)、又は圧縮したり(例えば
図3A~6B)することなく、長期間または恒久的な開口流路またはアクセス流路を構築し得る。
図7A~7Bを参照すると、一実施形態では、本明細書の医療装置400は、ルーメンを形成し、近位部と、遠位部と、一定の長さと、一定の直径とを有する長尺状本体を備える。長尺状本体410は、長尺状の管状形態を備え(例えば、拘束時形態、非拡張時形態、または搬送時形態、図示略)と、近位部412が近位保持部414の中に径方向に拡張し、かつ、遠位部422が遠位保持部424の中に拡張して、間に延びる円筒状サドル部428を残す収縮時形態(例えば、非拘束時形態、拡張時形態、または展開時形態)とを備え得る。円筒状サドル部428の直径は、長尺状の管状形態における長尺状本体410の直径よりも大きくてもよい。近位保持部及び遠位保持部414,424は、長尺状本体410の周方向に対して直交して延びて、それぞれ平坦面414a、424aを形成する。医療装置400は、第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の組織壁191,196が円筒状サドル部428に沿って接して配置されることを除いて、上記のように
図2A~2Fに概要を説明した工程に従って第1の体管腔及び第2の体管腔の間に配置され、例えば、各組織壁は近位組織係合要素と遠位組織係合要素によって再配向されない。医療装置が第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の間に適切に配置された状態で、近位保持部414の平坦面414aは、第1の体管腔190の組織壁191に接して組織壁191を押し、遠位保持部424の平坦面424aは、第2の体管腔195の組織壁196に接して組織壁196を押して、円筒状サドル部428に沿って体管腔を接触して配置し得る(
図7A)。
【0031】
一実施形態において、医療装置400は、適切な量の磁場に患者を暴露することにより、医療装置400の局所的な振動を引き起こすべく、一定の量の鉄材料(例えば、膜、又はコーティングや、長尺状本体の織成、編成、または編組されたフィラメント内に形成される)を含んでもよい。医療装置内で適切な周波数の振動を形成すること、例えば、医療装置を標準的なMRI装置によって生成される磁場に暴露することにより、医療装置は適切な温度に加熱されて、第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の粘膜層193,198の細胞を選択的に殺し得る。粘膜層193,198の細胞を選択的に殺してその下にある第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の筋層194,199を直接的に接触して配置することに加えて、医療装置400から放射される熱は暴露されている組織表面を焼灼して筋層の融合を促進することもできる(
図7B)。
【0032】
図8の43℃におけるCEM43(Cumulative Effective Minutes at 43℃)の計算結果を参照すると、埋め込まれた医療装置の電磁波による誘導加熱は、周辺組織が高い温度(例えば、体温である37℃以上)に長時間暴露されると細胞死を引き起こし得る。例えば、一実施形態では、45.7℃(例えば、体温より8.7℃高い)に加熱した医療装置に1分間暴露した後に、または42.0℃(例えば、体温より5.0℃高い)に加熱した医療装置に160分間暴露した後に細胞死が生じ得る。
図7A~7Bは、組織係合要素や磁石や摺動可能なフィラメントを含まない医療装置400を使用することによって達成できる熱誘導型の開口流路またはアクセス流路を示すが、様々な実施形態では、本明細書の医療装置100,200,300のいずれか1つまたは全ては、粘膜層を構成する細胞の死滅をさらに促進して、第1の体管腔及び第2の体管腔の隣接する筋層を接触して配置するために、MRIで誘導される加熱工程を備えてもよい。同様に、様々な実施形態では、本明細書の医療装置100,200,300,400の任意の1つは、本明細書に開示されている要素(例えば、組織係合要素、磁石、又は摺動可能なフィラメント、鉄材料)の任意の組み合わせを備えてよい。
【0033】
図1~7Bに示す任意の医療装置100,200,300,400に係る長尺状本体は、織成、編成、または編組されたフィラメント(例えば、ニチノールワイヤ)で形成され得る。近位保持部や、遠位保持部や、円筒状サドル部は、内部を貫通して流したり(例えば、体液、物質など)アクセスするために構成された連続する開口内側通路を形成するために、内面や外面に膜やコーティングをさらに備えうる。コーティングは、長尺状の管状形態と収縮時形態の医療装置に適合し得るように様々な非分解性かつ生体適合性のポリマー材料、例えば、シリコーン、ゴム、ポリエチレン、PVDF,クロノフレックス(Chronoflex(登録商標))、及び熱可塑性エラストマーを含み得る。追加的にまたは代替的に、様々な実施形態のいずれか1つの織成、編成、または編組されたフィラメントは、金属性、又は、ポリマー性のフィラメントであり、自身の上に織られる単一のフィラメントまたはともに織られるマルチフィラメントをさらに含みうる。追加的にまたは代替的に、一実施形態では、開口内側通路は、患者または医療従事者が弁を開くべきである(例えば、ドレナージチューブを挿入することによって)と判断するまで内部を通過する流体の流れを阻止または防止するために、閉時形態と開時形態との間で移行可能な1つ以上の弁(例えば、ダックビル弁、スリット弁)をさらに備え得る。これらの弁は、長尺状本体の開口内側通路に沿っていずれの部位に配置されてもよい。そのような弁の例は、米国特許出願第2012/0226243号明細書に開示されており、その内容は、ここで引用することによりその全てを本明細書に援用する。そのような弁は、本明細書で説明した任意のポリマーなどの様々な好適な生体適合性、かつ、非分解性材料からなり、本発明の範囲内であると説明され、または範囲内であると考えられる様々な実施形態の任意の1つとともに使用され得る。
【0034】
図1~7Bに示す医療装置100,200,300、400の任意の1つの第1の保持部及び第2の保持部は、様々な構成を備え、保持部の1つ以上は、長尺状本体や必ずしも平坦ではない表面に対して必ずしも直交する角度ではない角度で径方向に延びる。例えば、近位保持部と遠位保持部の一方または双方は、長尺状本体の端部に向かって外方に、長尺状の中心部の方に向かって後方に延び、又は、双方のいくつかの組み合わせで方向を変更し得る。追加的にまたは代替的に、近位保持部と遠位保持部の一方または双方は、円筒状サドル部の外径d
2よりも大きな外径d
1を備え得る。例えば、外径d
1は、円筒状サドル部の外形d
2よりも75%~100%程度大きくてよい。非限定的な例を示すことを目的として、外径d
1は、約7.0mm~約30mmであり、外径d
2は、約3.0mm~約15.0mmであり得る。様々な実施形態では、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に形成される開口部の寸法(例えば直径)は、近位保持部と遠位保持部の寸法(例えば、幅)を拡大または縮小することにより、増大又は縮小され得る(例えば、近位保持部と遠位保持部との間で圧縮された組織層の表面積を増大、または収縮する)。追加的にまたは代替的に、収縮時形態の長尺状本体の長さは、長尺状の管状形態の長尺状本体の長さよりも少なくとも40%短くてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、本願の医療装置100,200,300,400のいずれか1つは、筋層194,199を結合または融合する為に(例えば、共に成長する)、十分な時間、患者の体内の所定の部位に留まることができ、その時点において医療装置は患者の体内から除去されて、第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の間に長期間または恒久的な開口流路、ドレナージ通路、又はアクセス通路を残すことができる。例えば、医療装置100,200,300,400は、近位保持部と遠位保持部との間で必要なレベルの組織の壊死を形成するために数日から数週間体内に維持され得る。壊死した組織はやがて脱落し、融合した筋層によって形成された恒久的な開口部を残し得る。
【0036】
様々な実施形態において、本願の医療装置100、200、300、400の任意の1つは、第1の体管腔及び第2の体管腔の粘膜層の細胞の選択的な死を更に促進するために、医療装置、例えば、円筒状サドル部や近位保持部と遠位保持部の平坦面などのコーティングに、または、コーティングの内部に埋め込まれた少なくとも1つの化学薬品(例えば、硝酸銀)、または抗増殖剤をさらに含み得る。追加的にまたは代替的に、本願の医療装置は、患者の体内から除去されると、融合した筋層をシールして、粘膜細胞が内部成長することを防止するために、外科用の糊や、凍結手術や、凍結アブレーション治療が第1の体管腔及び第2の体管腔間の開口部の直径の内側に対して実施され得る。
【0037】
一実施形態では、本明細書で説明したように、第1の体管腔及び第2の体管腔の間に形成される開口部は、閉鎖したり再度シールしたりすることを物理的に防止するために構成された恒久的なインプラント(例えば、グロメット)で開口部を形成するために、使用された医療装置を置き換えることによって維持され得る。
図9A~9Bを参照すると、本願の医療装置500は、インターロック可能な第1の可撓性部材及び第2の可撓性部材172,182を備える。例えば、第1の可撓性部材及び第2の可撓性部材172,182は、第1の体管腔又は第2の体管腔の中に搬送するために変形され、湾曲され、折り畳まれ、巻かれ、圧縮され、又はその他変形され(例えば、搬送シース内で)、各体管腔内の拘束から解放された際に元の非変形時形態に復帰するように構成された好適なポリマー材料(例えば、シリコーン、ゴム)で形成され得る。第1の可撓性部材172は、外面174と、ほぼ平坦または平面状の内面176と、第1の周面を備える外側縁175と、第1の周面より小さな第2の周面を備える内側縁177とを備え、内側縁177は、外面と内面174,176の間に延びる第1の開口部178を形成する。複数の凹部189a,189b(例えば、2つ以上)が第1の可撓性部材172の外側縁175に沿って内面176内に形成され得る。第2の可撓性部材182は、外面184と、ほぼ平坦または平面状の内面186と、第1の周面を備える外側縁185と、第1の周面より小さな第2の周面を備える内側縁187とを備え、内側縁187は、外面と内面184,186の間に延びる第2の開口部188を形成する。複数のタブ199a、199b(例えば、2つ以上)は、第2の可撓性部材182の外側縁185に沿って内面186から延びうる。第2の開口部188と同一の広がりを持つシリンダー181も、第2の可撓性部材182の内面186から延びうる。第1の可撓性部材172の各凹部189a,189bは、第2の可撓性部材182の対応するタブ199a、199bを確実に受承するように、例えば、インターロックまたはスナップフィットの方法で受承するように構成され、第1の開口部及び第2の開口部178,188は、シリンダー181で形成された連続した開口ルーメンを形成するように整合され、第1の可撓性部材及び第2の可撓性部材172,182の内面176,186は、予め定められた距離だけ離間される。
【0038】
図9Bを参照すると、使用時であり、例示の方法で示すことを目的として、本発明の医療装置500は、折り畳まれたまたは圧縮された形態で(図示略)搬送チューブのルーメン内を第1の可撓性部材172及び第2の可撓性部材182を装填することによって第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の間において先に形成された開口部内に配置され得る。搬送チューブは、第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の間において開口部の中を通過して進められ、搬送チューブの遠位端は、第2の体管腔195内に配置される。次に、第2の可撓性部材182は、搬送チューブのルーメンを超えて遠位方向に進められて、第2の可撓性部材182は、第2の体管腔195内で非拘束時形態に移行する。別体の医療装置(図示略)が搬送チューブのルーメン内を通過して、または、搬送チューブの外面に沿って進められて、第2の可撓性部材182を把持し、複数のタブ199a,199bを第2の体管腔195の組織壁196に接触して配置するため、第2の開口部188は、第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の間で開口部に整合する。次に、医療装置は十分な力で近位方向に引き寄せられ、第2の可撓性部材182のタブ199a,199bは第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の組織壁191,196を貫通して延びて、シリンダー181は第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の間の開口部を貫通して延びる。次に、搬送チューブが近位方向に引き寄せられて、搬送チューブの遠位端は、第1の体管腔190内に配置される。次に、第1の可撓性部材172が搬送チューブのルーメンを超えて遠位方向に進められて、第1の可撓性部材172は、第1の体管腔190内で非拘束時形態に移行する。医療装置で第2の可撓性部材182に圧力を維持する間、第1の可撓性部材172は、第1の体管腔190の組織壁191に接触して配置され、第1の開口部178は第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の間の開口部と整合して、第1の可撓性部材172の内面174の凹部189a、189bは第1の体管腔190の中に延びる第2の可撓性部材182のタブ199a,199bに整合して、シリンダー181は、第1の体管腔及び第2の体管腔190,195の間の開口部の中を貫通して延びる。一実施形態では、搬送チューブの遠位端は、第1の可撓性部材172を第1の体管腔190の組織壁191と接触して配置するために使用され得る。代替的には、第2の医療装置(図示略)は、第1の可撓性部材172を把持して、凹部189a、189bをタブ199a、199bのそれぞれの端部と整合する為に、第1の体管腔190内に配置されてもよい。次に、第1の可撓性部材172及び第2の可撓性部材182は、互いに接近する方向に進められ、第2の可撓性部材182の内面186から延びるタブ199a、199bは、第2の可撓性部材182の内面176の対応する凹部189a,189bに係合して、第1の可撓性部材及び第2の可撓性部材172、176の第1の開口部178及び第2の開口部188を第1の体管腔及び第2の体管腔の間の開口部に整合し得る。第1の可撓性部材及び第2の可撓性部材172,182の内面176,186の間の予め定められた距離は、医療装置が患者の体内に埋め込まれている間において、第1の体管腔及び第2の体管腔の組織壁191,196を非圧縮状態(例えば、組織壊死を引き起こさない)で維持可能にする。
図9A~9Bは、2つのタブ199a,199bと2つの対応する凹部189a、189bとが、可撓性部材172,182それぞれの端部の対向する側に配置されている様子を示すが、様々な実施形態において、任意の数のタブや凹部が多様なパターンや向きや構成で配置されてよい。
【0039】
図9Cを参照すると、第1の体管腔及び第2の体管腔の組織層に対する外傷を最小限にする為に、一実施形態では、本発明の医療装置500は、上記のように、インターロック可能な第1の可撓性部材及び第2の可撓性部材172,182をさらに備える。第2の開口部188と同一の広がりを持つシリンダー181は、第2の可撓性部材182の内面186から延び得る。シリンダーの自由端は、第1の体管腔及び第2の体管腔の間の開口部を貫通して延びて、第1の可撓性部材172の第1の開口部178を囲む対応凹部173(例えば、環状の溝)にインターロック又はスナップフィットの様式で係合するように構成された一連のタブ(または、単一の連続タブ、又は環状タブ)を備えるため、第1の開口部及び第2の開口部178,188は整合して、シリンダー181によって形成された連続した開口ルーメンを形成し、第1の可撓性部材及び第2の可撓性部材172,182の内面176,186は、予め定められた距離だけ離間されている。
【0040】
追加的に、様々な実施形態では、第1の可撓性部材及び第2の可撓性部材172,182は、第1の体管腔及び第2の体管腔内に配置されることに限定されない。例えば、第1の可撓性部材は、第1の体管腔内に配置された第2の可撓性部材のタブを受承するために、第2の体管腔内に配置され得る。
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲に記載された全ての装置や方法は、本発明に照らして過剰な実験をすることなく達成しかつ実施できる。本発明に係る装置及び方法は、好適な実施形態について説明されているが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく本明細書で説明した装置や方法や工程や工程の順序において変更可能であることが理解できる。当業者にとって明白なそのような代替形態や変更形態は、添付の請求項によって定義される本発明の趣旨、範囲、及び概念から逸脱することがないと見なされる。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーメンを形成し、かつ、近位部分と遠位部分とを備える長尺状本体であって、
前記長尺状本体は、非拡張姿勢と拡張姿勢とを有しており、前記近位部分が拡張して近位保持部を形成するとともに、前記遠位部分が拡張して遠位保持部を形成して前記近位部分及び前記遠位部分の間にサドル部を形成する、前記長尺状本体と、
前記長尺状本体の一部を通過するフィラメントであって、前記長尺状本体に固定された一端と、自由端である他端とを含んでおり、前記近位保持部および前記遠位保持部を互いに押圧するように構成された、前記フィラメントと、
を備える、医療装置。
【請求項2】
前記フィラメントの前記自由端を近位方向に引くことにより、前記近位保持部および遠位保持部は互いに向かって付勢される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記近位保持部の表面は、第1の体管腔の組織壁の内面に接触するように構成されており、前記遠位保持部の表面は、第2の体管腔の組織壁の内面に接触するように構成されている、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記近位保持部および前記遠位保持部の両表面は、前記サドル部に沿って前記近位保持部および前記遠位保持部の間で、前記第1の体管腔の前記組織壁および前記第2の体管腔の前記組織壁を並置するように構成されている、請求項3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記近位保持部は、前記近位保持部の平坦面で前記第1の体管腔の前記組織壁の内面に接触しており、前記遠位保持部は前記遠位保持部の平坦面で前記第2の体管腔の前記組織壁の内面に接触しており、または前記近位保持部および前記遠位保持部の双方は、前記近位部の前記平坦面及び前記遠位部の前記平坦面で、それぞれ前記第1の体管腔の前記組織壁の内面および前記第2の体管腔の前記組織壁の内面に接触するように構成されている、請求項3または4に記載の医療装置。
【請求項6】
前記近位保持部および前記遠位保持部は、前記近位保持部および前記遠位保持部の間に並置された前記第1の体管腔の前記組織壁および前記第2の体管腔の前記組織壁に対して均一の圧力を付与するように構成されている、請求項4に記載の医療装置。
【請求項7】
前記均一の圧力は、前記近位保持部および前記遠位保持部によって前記サドル部の全周にわたって付与される、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記フィラメントは、前記フィラメントの前記固定された一端において前記長尺状本体の遠位部分に取り付けられて、前記固定された一端から前記サドル部に沿って前記長尺状本体の前記近位部分まで通過するとともに、前記サドル部に沿って戻って前記フィラメントの前記自由端において前記長尺状本体の前記遠位部分で終端する、請求項1~7のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項9】
前記フィラメントの前記自由端に隣接して前記長尺状本体に取り付けられたロック部材をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項10】
前記ロック部材は、前記フィラメントの前記自由端の第1の部分を着脱自在に固定、または係合するように構成されている、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
前記ロック部材は、前記フィラメントの前記自由端の第2の部分を着脱自在に固定または係合するように構成されており、前記近位保持部および前記遠位保持部の間の距離および前記近位保持部および前記遠位保持部の間に作用する力のうちの少なくともいずれか一方は調節可能である、請求項10に記載の医療装置。
【請求項12】
前記フィラメントの固定された前記一端は、結び目、糊、接着剤、樹脂の結合技術を用いて前記長尺状本体に取り付けられている、請求項1~11のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項13】
前記長尺状本体は、織成、編成、または、編組された材料で形成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項14】
前記フィラメントは、織成、編成、または、編組された材料の中を摺動するように構成されている、請求項13に記載の医療装置。
【請求項15】
前記近位保持部および前記遠位保持部は、前記長尺状本体の周方向に前記サドル部に沿って長手方向軸から直交する方向に延びる、請求項1~14のいずれか一項に記載の医療装置。