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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106907
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】スロープ装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/00 20060101AFI20220712BHJP
   E04F 11/18 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
E04F11/00
E04F11/18
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076400
(22)【出願日】2022-05-06
(62)【分割の表示】P 2017016743の分割
【原出願日】2017-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2016021790
(32)【優先日】2016-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016086273
(32)【優先日】2016-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】597144484
【氏名又は名称】ジー・オー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】千田 豊治
(57)【要約】
【課題】様々な段差に対応することができるスロープ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】スロープ装置100は、下段に設置される第1のスロープ部10と、上段に設置される第2のスロープ部20と、第1のスロープ部10と第2のスロープ部20とを下段に設置させた状態で支持する支持部30と、を有し、第2のスロープ部20は、勾配の角度が変更可能であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下段に設置される第1のスロープ部と、
上段に設置される第2のスロープ部と、
前記下段に設置され、前記第1のスロープ部と前記第2のスロープ部とを支持する支持部と、を有し、
前記第2のスロープ部は、勾配の角度が変更可能であることを特徴とするスロープ装置。
【請求項2】
前記第2のスロープ部は、前記支持部に対して回動可能であることを特徴とする請求項1に記載のスロープ装置。
【請求項3】
前記第2のスロープ部および前記第1のスロープ部の少なくとも何れか一方は、前記支持部に対して分離可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のスロープ装置。
【請求項4】
前記第1のスロープ部は、前記支持部に対して回動可能であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のスロープ装置。
【請求項5】
前記第1のスロープ部と前記第2のスロープ部との間に配置される中間スロープ部を更に有し、
前記支持部は、前記第1のスロープ部および前記中間スロープ部と、前記中間スロープ部および前記第2のスロープ部と、を異なる位置で支持することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載のスロープ装置。
【請求項6】
前記第1のスロープ部と前記第2のスロープ部との間に配置される複数の中間スロープ部を更に有し、
前記支持部は、前記第1のスロープ部および前記中間スロープ部と、前記中間スロープ部および前記第2のスロープ部と、前記複数の中間スロープ部間と、を異なる位置で支持することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載のスロープ装置。
【請求項7】
前記第1のスロープ部および前記第2のスロープ部は、それぞれ上面から突出する前後方向に沿った一対の規制部を有することを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載のスロープ装置。
【請求項8】
前記第1のスロープ部および前記第2のスロープ部のうち、少なくとも何れか一つは複数の長尺部材により構成されることを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載のスロープ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設用のスロープ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、段差を容易に乗り越えるために仮設用のスロープ装置が用いられている。特許文献1に開示された携帯用スロープは、一対のスロープ板と、各スロープ板を折畳み自在に連結するヒンジ部材と、各スロープ板の他面において各スリープ板の側端面に沿って相互に離間して配置される複数のストッパ部材と、を備えている。特許文献1の携帯用スロープは、一方のスロープ板に加えられた荷重がストッパ部材を介して他方のスロープ板に伝達されることで各スロープ板の剛性を高める必要がなく、各スロープ板の軽量化を図ることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-342016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような仮設用のスロープ装置では、同一の高さの段差を乗り越える場合に適しているが、様々な高さの段差があるような例えば作業現場で用いる場合には適していないという問題がある。具体的には、作業現場では様々な高さの段差があり、低い段差ではスロープ装置の勾配が小さく容易に段差を乗り越えられるが、高い段差ではスロープ装置の勾配が大きくなってしまい段差を乗り越えることが困難になってしまう。このような場合、段差の高さに応じて、スロープ板の長さを変えた複数種類のスロープ装置を用意することが考えられるが、製造コストが掛かってしまう。
【0005】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、様々な段差に対応することができるスロープ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下段に設置される第1のスロープ部と、上段に設置される第2のスロープ部と、前記下段に設置され、前記第1のスロープ部と前記第2のスロープ部とを支持する支持部と、を有し、前記第2のスロープ部は、勾配の角度が変更可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスロープ装置によれば、様々な段差に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態のスロープ装置の構成を示す分解斜視図である。
図2】スロープ装置の使用状態を示す図である。
図3】第1の実施形態のスロープ装置の断面図である。
図4】第2の実施形態のスロープ装置の構成を示す分解斜視図である。
図5】第2の実施形態のスロープ装置の断面図である。
図6】第4の実施形態の第2のスロープ部材の構成を示す断面図である。
図7】第5の実施形態のスロープ装置の構成を示す分解斜視図である。
図8】第5の実施形態のスロープ装置の断面図である。
図9】第6の実施形態のスロープ装置の構成を示す分解斜視図である。
図10】第6の実施形態のスロープ装置の構成を示す図である。
図11】第6の実施形態のスロープ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係るスロープ装置について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1はスロープ装置100の構成を示す分解斜視図である。図2はスロープ装置100の使用状態を示す図である。図3はスロープ装置100の断面図である。なお、以下では、段差のうち下側を下段といい、上側を上段というのとする。また、以下の図面では便宜上、水平方向のうち、下段から上段に向かう前側をFrとし、後側をRrとし、右側をRとし、左側をLとして図示する。
本実施形態のスロープ装置100は、第1のスロープ部10と、第2のスロープ部20と、支持部30とを備えている。
【0010】
第1のスロープ部10は下段に設置され、下段から連続する勾配面を構成する。
第1のスロープ部10は、第1のスロープ部材11と、第1の回動部材(第1の部材)12と、第1の柵部14とを有する。
第1のスロープ部材11は、例えばアルミニウム合金製であって、左右の長さが前後の長さ寸法に比べて長い平板状に形成される。具体的に、第1のスロープ部材11は左右の長さと前後の長さとの比率が略3:1である。また、第1のスロープ部材11は、表面全体に亘って滑り止め用の複数の突起が一体で施されている。または、表面全体に亘って、ブラスト処理したり、チェッカープレートを固定したりして、滑り止め加工を行なってもよい。
【0011】
第1の回動部材12は、例えばアルミニウム合金製であって、円筒状に形成される。第1の回動部材12は、軸線を左右方向にした状態で、第1のスロープ部材11の裏面の前端に固定される。ここでは、3つの第1の回動部材12が、それぞれ第1のスロープ部材11の左側、中央、右側に離れてボルトなどを介して固定される。
第1の柵部14は、例えばアルミニウム合金製の角柱部材がコ字状に連結して形成される。第1の柵部14は、第1のスロープ部材11の表面のそれぞれ左端部および右端部に固定される。第1の柵部14は、第1のスロープ部材11の左端部および右端部とそれぞれ平行な横架部15を有する。横架部15は、第1のスロープ部10を走行する運搬台車が第1のスロープ部10から脱落しないように規制する。なお、第1の柵部14は、例えば、第1のスロープ部材11との間で、第1のスロープ部材11の表面側に向かって折り畳めるように構成してもよい。また、第1の柵部14は、板状あるいは棒状の巾木のようなものであってもよい。
【0012】
第2のスロープ部20は、上段に設置され、上段から連続する勾配面を構成する。
第2のスロープ部20は、第2のスロープ部材21と、第2の回動部材(第2の部材)22と、第2の柵部24とを有する。
第2のスロープ部材21は、第1のスロープ部材11とほぼ同様の構成であるが、前側に左右方向に沿った屈曲部21aが形成される。屈曲部21aは、下側に向かって僅かな角度で屈曲している。屈曲部21aよりも先端側を上段に接地させることによって、上段と第2のスロープ部材21との間に隙間が生じるのを防止することができる。
【0013】
第2の回動部材22は、第1の回動部材12とほぼ同様の構成であるが、図3に示すように第1の回動部材12の円筒形状に比べて僅かに大径の円筒形状である。第2の回動部材22は、第2のスロープ部材21の裏面の後端に固定される。ここでは、3つの第2の回動部材22が、それぞれ第2のスロープ部材21の左側、中央、右側に離れてボルトなどを介して固定される。第2の回動部材22を第1の回動部材12よりも大径にすることで、第2のスロープ部20の後端を第1のスロープ部10の前端よりも高くして、第1のスロープ部10と第2のスロープ部20とを連続させることができる。
第2の柵部24は、第1の柵部14とほぼ同様の構成であり、横架部25を有する。なお、第2の柵部24は、例えば、第2のスロープ部材21との間で、第2のスロープ部材21の表面側に向かって折り畳めるように構成してもよい。
【0014】
支持部30は、下段に設置され第1のスロープ部10と第2のスロープ部20とを所定の高さで支持する。特に、支持部30は、第1のスロープ部10を勾配の傾斜角度が後述する高さHと距離Lとの比率で略1/6以下になるように支持する。また、支持部30は、回動軸支部(支部)31と、接地部34とを有する。
回動軸支部31は、第1のスロープ部10と第2のスロープ部20とをそれぞれ勾配の角度が変更可能であって、回動可能に支持する。回動軸支部31は、左右に長い長尺状である。具体的に、回動軸支部31は、前板31a、後板31b、中間板31c、底板31d、側板31eを有する。回動軸支部31は、例えばアルミニウム合金製であって、前板31a、後板31b、中間板31cおよび底板31dを一体で押し出し成形し、後加工で側板31eを固定することで製造することができる。回動軸支部31のうち、前板31aと中間板31cとの間が第2のスロープ部20を軸支する前軸支部(前支部)32であり、後板31bと中間板31cとの間が第1のスロープ部10を軸支する後軸支部(後支部)33である。
接地部34は、下段に対して接地する。接地部34は、例えば軟質の合成樹脂製であって、回動軸支部31の底板31dにネジなどを介して固定される。接地部34の下端には、下段との間でズレが生じないようにグリップ力を高めるための凹凸が形成されている。
【0015】
上述したように構成されるスロープ装置100を段差がある作業現場において組み立てる場合について説明する。まず、組立者は第1のスロープ部10、第2のスロープ部20、および、支持部30を分離した状態で作業現場に運び込む。次に、組立者は段差の上段から所定の距離だけ離れた位置の下段に支持部30を設置する。次に、組立者は第2のスロープ部材21の前側を上段に接地させると共に、第2の回動部材22を支持部30の前軸支部32に上側から挿入して回動可能に支持させる。次に、組立者は第1のスロープ部10の後側を下段に接地させると共に、第1の回動部材12を支持部30の後軸支部33に上側から挿入して回動可能に支持させることで、スロープ装置100を組み立てる。
【0016】
図2は、運搬台車1がスロープ装置100を介して段差を乗り越える状態を示す図である。運搬台車1は、矩形状の台車本体2と、台車本体2の4隅の裏側に取り付けられる複数のキャスター3とを有する。運搬台車1をスロープ装置100に向かって走行させることで、運搬台車1が第1のスロープ部10および第2のスロープ部20を通過して段差を乗り越えることができる。なお、運搬台車1が第1のスロープ部10および第2のスロープ部20を走行しているときに左右にズレたとしても、台車本体2が第1の柵部14および第2の柵部24によって規制され、運搬台車1の脱落が防止される。すなわち、第1の柵部14の横架部15および第2の柵部24の横架部25は、側面から見たときに台車本体2の高さに重なり合う高さに位置する。なお、第1の柵部14および第2の柵部24を巾木にした場合には、巾木の高さを15mm以上にすることが好ましい。巾木の高さを15mm以上にすることで、運搬台車1のキャスター3が巾木を乗り越えてしまうことを防止し、運搬台車1の脱落が防止される。
【0017】
次に、スロープ装置100を様々な段差に対応させる場合について説明する。
まず、一般的に、運搬台車1のキャスター3の車輪外径の6%の段差であればスロープ装置なしでも運搬台車1は段差を乗り越えられる。また、スロープ装置では使用者が運搬台車1を容易に押すことができるようにスロープ装置100の勾配の傾斜角度が、図2に示す高さHと前後の距離Lとの比率で略1/6以下であることが好ましい。
本実施形態のスロープ装置100は、キャスター3の車輪外形の6%の高さの段差G1から、勾配の傾斜角度が高さHと距離Lとの比率で略1/6となる高さの段差G2までの範囲において、任意の高さの段差に用いることができる。
【0018】
図3(a)には、段差G1を二点鎖線で示し、段差G2を実線で示している。
ここで、第2のスロープ部20は、第2の回動部材22を介して支持部30の前軸支部32により軸支されていることから、第2の回動部材22を中心に回動可能である。すなわち、第2のスロープ部20は、支持部30に対して勾配の角度が変更可能である。したがって、第2のスロープ部20の前端が段差G1から段差G2の範囲の何れの高さの段差であっても接地させることができる。
このように、本実施形態のスロープ装置100によれば、第2のスロープ部20が支持部30に対して勾配の角度が変更可能であることから様々な段差に対応することができる。したがって、段差の高さに応じて複数種類のスロープ装置を用意する必要がないことから、製造コストを削減することができる。
【0019】
また、本実施形態のスロープ装置100は、第1のスロープ部10および第2のスロープ部20が支持部30に対して分離可能であることから、第1のスロープ部10および第2のスロープ部20を支持部30から分離させることで容易に搬送したり保管したりすることができる。また、第1のスロープ部10および第2のスロープ部20が支持部30に対して分離可能であることから、後述する第2の実施形態のように高い段差に対応したスロープ装置に変更することができる。
また、本実施形態のスロープ装置100は、第1のスロープ部10が支持部30に対して回動自在である。すなわち、第1のスロープ部10は、支持部30に対して勾配の角度が変更可能である。したがって、支持部30を設置する設置面が水平ではなく傾斜していても設置することができる。すなわち、水平な設置面でない作業現場にもスロープ装置100を容易に設置することができる。
【0020】
また、本実施形態のスロープ装置100は、第1の回動部材12が第1のスロープ部材11の左側、中央、右側に離間した状態で固定され、第2の回動部材22が第2のスロープ部材21の左側、中央、右側に離間した状態で固定される。このように、第1の回動部材12および第2の回動部材22をそれぞれ離間させることでスロープ装置100の軽量化を図ることができる。一方、運搬台車1が通過する場合には、左側の第1の回動部材12および左側の第2の回動部材22が運搬台車1の左側のキャスター3を支持し、右側の第1の回動部材12および右側の回動部材22が運搬台車1の右側のキャスター3を支持する。したがって、第1の回動部材12および第2の回動部材22をそれぞれ離間した場合であっても、運搬台車1の荷重を支持することができる。また、一輪台車が通過する場合には、中央の第1の回動部材12および中央の回動部材22が一輪台車の車輪を支持することができる。
【0021】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、段差G1から段差G2の範囲の何れの高さの段差にも対応できる場合について説明した。一方、勾配の傾斜角度が高さHと距離Lとの比率で略1/6よりも大きくなるような段差、すなわち段差G2よりも高い場合には、第2のスロープ部20の勾配の傾斜角度が大きくなってしまう。そのため、本実施形態では、段差G2よりも高い場合でも対応することができるスロープ装置200について説明する。
【0022】
図4はスロープ装置200の構成を示す分解斜視図である。図5はスロープ装置200の断面図である。本実施形態のスロープ装置200は、第1のスロープ部10と、中間スロープ部40と、第2のスロープ部20と、支持部50とを備えている。
ここで、第1のスロープ部10および第2のスロープ部20は、第1の実施形態と同一の構成である。以下では、第1の実施形態のスロープ装置100と異なる構成を中心に説明し、同一の構成は適宜、その説明を省略する。
【0023】
中間スロープ部40は、第1のスロープ部10と第2のスロープ部20との間に位置する。中間スロープ部40は、中間スロープ部材41と、後側回動部材(後側部材)42と、前側回動部材(前側部材)43と、中間柵部44とを有する。
中間スロープ部材41は、第1のスロープ部材11と同様の構成である。
【0024】
後側回動部材42は、第2の回動部材22と同一の構成、すなわち第1の回動部材12の円筒形状に比べて僅かに大径の円筒形状である。後側回動部材42は、中間スロープ部材41の裏面の後端に固定される。
前側回動部材43は、第1の回動部材12と同一の構成、すなわち第2の回動部材22の円筒形状に比べて僅かに小径の円筒形状である。前側回動部材43は、中間スロープ部材41の裏面の前端に固定される。
中間柵部44は、第1の柵部14とほぼ同様の構成であり、横架部45を有する。なお、中間柵部44は、例えば、中間スロープ部材41との間で、中間スロープ部材41の表面側に向かって折り畳めるように構成してもよい。
【0025】
支持部50は、第1の支持部50aと第2の支持部50bとを有する。第1の支持部50aは、下段に設置され第1のスロープ部10と中間スロープ部40とを所定の高さで支持する。ここで、第1の支持部50aは、第1の実施形態の支持部30と同一の構成であり、回動軸支部31と、接地部34とを有する。一方、第2の支持部50bは、回動軸支部31と、スペーサ部51と、接地部34とを有する。第2の支持部50bは、下段に設置され中間スロープ部40と第2のスロープ部20とを所定の高さで支持する。特に、第2の支持部50bは、中間スロープ部40を勾配の傾斜角度が高さHと距離Lとの比率で略1/6以下になるように支持する。また、第2の支持部50bは、第1の支持部50aにスペーサ部51を追加した構成である。
【0026】
スペーサ部51は、左右に長い長尺状であって、回動軸支部31を保持する。
図5(b)に示すように、スペーサ部51は、保持部52、嵌合部(嵩上げ部)53を有する。保持部52は、四方を取り囲む枠状であって、上側から挿入される回動軸支部31を保持する。一方、嵌合部53は、保持部52の下端に一体で構成され、保持部52よりも左右の長さおよび前後の長さがそれぞれ僅かに小さく形成されている。具体的に、嵌合部53は、回動軸支部31の左右の長さおよび前後の長さに略等しい。また、嵌合部53には、接地部34が固定される。なお、スペーサ部51は、例えばアルミニウム合金製であって、長手方向に押し出し成形し、後加工で左右の側方から閉塞することで製造することができる。
【0027】
上述したように構成されるスロープ装置200を段差がある作業現場において組み立てる場合について説明する。まず、組立者は第1のスロープ部10、第2のスロープ部20、中間スロープ部40、および、支持部50を分離した状態で作業現場に運び込む。次に、組立者は段差の上段から所定の距離だけ離れた位置の下段に第1の支持部50aと第2の支持部50bとを離して載置する。次に、組立者は第2のスロープ部材21の前側を上段に接地させると共に、第2の回動部材22を第2の支持部50bの前軸支部32に上側から挿入して回動可能に支持させる。次に、組立者は中間スロープ部40の前側回動部材43を第2の支持部50bの後軸支部33に上側から挿入すると共に、中間スロープ部40の後側回動部材42を第1の支持部50aの前軸支部32に上側から挿入する。次に、組立者は第1のスロープ部10の後側を下段に接地させると共に、第1の回動部材12を第1の支持部50aの後軸支部33に上側から挿入して回動可能に支持させることで、スロープ装置200を組み立てる。
【0028】
図5(a)には、段差G2を二点鎖線で示し、段差G3を実線で示している。
図5(a)に示すように、本実施形態のスロープ装置200によれば、第1のスロープ部10と第2のスロープ部20との間に中間スロープ部40を追加して配置することで段差G2よりも高い段差G3にも対応することができる。このとき、第1のスロープ部10、中間スロープ部40、および、第2のスロープ部20の勾配の傾斜角度は、勾配の傾斜角度が高さHと距離Lとの比率で略1/6以下であることから、使用者は運搬台車1を容易に押すことができる。
また、本実施形態のスロープ装置200は、第2のスロープ部20が支持部50に対して勾配の角度が変更可能であることから、第2のスロープ部20の前端が段差G2から段差G3の範囲の何れの高さの段差であっても接地させることができる。
また、本実施形態のスロープ装置200は、第1のスロープ部10、第2のスロープ部20および中間スロープ部40が支持部50に対して分離可能であることから、後述する第3の実施形態のように更に高い段差に対応したスロープ装置に変更することができる。
【0029】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、段差G3に対応するスロープ装置200について説明した。本実施形態では、段差G3よりも高い段差の場合でも対応することができるスロープ装置について説明する。
段差G3よりも高い段差の場合には、第2の実施形態のスロープ装置200に中間スロープ部40および第3の支持部を追加して構成する。すなわち、スロープ装置200の中間スロープ部40と第2のスロープ部20との間に、追加した中間スロープ部40を配置する。また、追加した中間スロープ部40と第2のスロープ部20とを第3の支持部で支持する。第3の支持部は、第2の実施形態の第2の支持部50bの回動軸支部31とスペーサ部51との間にスペーサ部51を追加した構成である。このとき、追加したスペーサ部51の嵌合部53が下側のスペーサ部51の保持部52内に挿入され、追加したスペーサ部51の保持部52内に回動軸支部31が挿入される。第3の支持部は、追加した中間スロープ部40を勾配の傾斜角度が高さHと距離Lとの比率で略1/6以下になるように支持する。
【0030】
したがって、本実施形態のスロープ装置によれば段差G3よりも高い段差にも対応することができる。以降、中間スロープ部と、スペーサ部51を更に追加した支持部とを、追加してスロープ装置を構成することで、どのような高い段差にも対応することができる。すなわち、本実施形態のスロープ装置は、第1のスロープ部10と第2のスロープ部20との間に配置される複数の中間スロープ部40を有し、支持部が、第1のスロープ部10および第1のスロープ部10側の中間スロープ部40と、第2のスロープ部20および第2のスロープ部20側の中間スロープ部40と、複数の中間スロープ部40間と、を異なる位置で支持するものである。このとき、支持部は複数の中間スロープ部40間を別々に支持する。本実施形態によれば、追加する部品は同一の部品のみであって、新たに金型を製造する必要がないために、スロープ装置の製造コストを削減することができる。
【0031】
(第4の実施形態)
第1~第3の実施形態では、第2のスロープ部材21が前側に屈曲部21aを有する場合について説明した。本実施形態では、第2のスロープ部材21の前側が回動可能に構成される。
図6は、本実施形態の第2のスロープ部材21の構成を示す断面図である。なお、第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付してその説明を省略する。
第2のスロープ部材21の前側には、上段接地部材26がヒンジ部27を介して回動可能に連結されている。上段接地部材26は、例えばアルミニウム合金製であって、左右の長さが第2のスロープ部材21の左右の長さと同一の平板状である。ヒンジ部27は、第2のスロープ部材21の前端に一体で設けられた一方側ヒンジ部28と、上段接地部材26の後端に一体で設けられた他方側ヒンジ部29とにより構成されている。
【0032】
一方側ヒンジ部28は、第2のスロープ部材21の下面から湾曲状に前側に向かって突出する湾曲部28aと、第2のスロープ部材21の前端かつ下端に位置する円状部28bを有する。他方側ヒンジ部29は、上段接地部材26の後端から後側かつ下側に向かって湾曲状に突出する突出部29aを有する。ヒンジ部27では、湾曲部28aおよび円状部28bの曲面に沿って突出部29aが回動することで、一方側ヒンジ部28と他方側ヒンジ部29とが回動する。なお、上段接地部材26の突出部29aの先端が第2のスロープ部材21の下面に当接したり、上段接地部材26の後端かつ上端が第2のスロープ部材21の先端に当接したりすることで、他方側のヒンジ部29の回動角度が一定の範囲(図6に示す角度α)に規制される。
このように、第2のスロープ部材21の前側にヒンジ部27を有することで、図3に示すように第2のスロープ部材21を段差G1に設置するような場合に、第2のスロープ部材21の上面と上段接地部材26の上面とが面一になるようにヒンジ部29が回動する。したがって、第2のスロープ部材21に屈曲部21aを有する場合に比べて、屈曲部21aによる段差を解消することができる。
【0033】
(第5の実施形態)
第1~第4の実施形態では、第1のスロープ部材11、第1の回動部材12、第2のスロープ部材21、第2の回動部材22などが例えばアルミニウム合金製である場合について説明した。本実施形態では、例えば鉄製あるいは鋼製にした強度があるスロープ装置300について説明する。
図7はスロープ装置300の構成を示す分解斜視図である。図8はスロープ装置300の断面図である。なお、以下では、第1~第4の実施形態と異なる構成を中心に説明する。
本実施形態のスロープ装置300は、第1のスロープ部10と、第2のスロープ部20と、中間スロープ部40と、支持部50、結合部材110(110a~110d)とを備えている。
【0034】
第1のスロープ部10は、第1のスロープ部材61と、第1の回動部材62と、規制部64とを有する。
第2のスロープ部20は、第2のスロープ部材71と、第2の回動部材72と、規制部74とを有する。
中間スロープ部40は、中間スロープ部材91と、後側回動部材92と、前側回動部材93と、規制部材94とを有する。
【0035】
第1のスロープ部材61、第2のスロープ部材71および中間スロープ部材91は、例えば鉄製あるいは鋼製であって、平板状に形成される。
第1の回動部材62、第2の回動部材72、後側回動部材92および前側回動部材93は、例えば鉄製あるいは鋼製であって、略同一の直径の円筒状で形成される。第1の回動部材62、第2の回動部材72、後側回動部材92および前側回動部材93は、それぞれ第1のスロープ部材61、第2のスロープ部材71および中間スロープ部材91の左右方向の長さよりも長く、第1のスロープ部材61、第2のスロープ部材71および中間スロープ部材91に対して左右端から延出した状態でボルトや溶接などによって固定される。
【0036】
規制部64、74、94は、例えば鉄製あるいは鋼製であって、それぞれ断面三角形状あるいは断面V字状であって、第1のスロープ部材61、第2のスロープ部材71および中間スロープ部材91の上面から突出した状態に固定される。規制部64、74、94は、前後方向に沿った一対で構成され、運搬台車1の左右のキャスター3の間隔よりも左右方向に離間した位置に固定される。規制部64、74、94は、運搬台車1が第1のスロープ部材61、第2のスロープ部材71および中間スロープ部材91から脱落しないように規制する。なお、規制部64、74、94の高さは、9mm以上が好ましく、更には12mm以上が更に好ましい。
【0037】
支持部50は、第1の支持部80aと第2の支持部80bとを有する。
第1の支持部80aは、回動軸支部81を有する。
第2の支持部80bは、第1の支持部80aの回動軸支部81に、スペーサ部85を追加した構成である。
第2の支持部80bの構成について図8(b)を参照して説明する。
第2の支持部80bは、回動軸支部81と、スペーサ部85とを有する。
回動軸支部81は、例えば鉄製あるいは鋼製であって、中間スロープ部材91の左右方向の長さと略同一の長尺状である。回動軸支部81は、前板81a、後板81b、底板81cを有するコ字状である。すなわち、回動軸支部81は、第1の実施形態の回動軸支部31の中間板31c、側板が省略された形状である。また、回動軸支部81は、底面81cの上面に回動軸支部81の長手方向に沿って平行に前軸支部82、後軸支部83が固定されている。前軸支部82および後軸支部83は、前後方向に離間している。前軸支部82および後軸支部83はそれぞれ略平板状であって、第2の回動部材72および前側回動部材93を支持する。ここで、前軸支部82は、後軸支部83よりも僅かに高い。したがって、第2の回動部材72および前側回動部材93の直径が同一であっても、第2の回動部材72および前側回動部材93を支持したときに前後のスロープ部を連続させることができる。回動軸支部81の底板81cの下面には接地部84を有する。なお、前軸支部82および後軸支部83はそれぞれ第2の回動部材72および前側回動部材93を安定して支持できるように上面が凹状に湾曲していてもよい。
【0038】
スペーサ部85は、例えば鉄製あるいは鋼製であって、回動軸支部81の左右方向の長さと略同一の長尺状である。スペーサ部85は、保持部86、嵌合部87を有する。嵌合部87は回動軸支部81と同様に、前板87a、後板87b、底板87cを有するコ字状である。嵌合部87の底板87cの下面には接地部84を有する。保持部86は、嵌合部87の前板87aの前面および後板87bの後面にそれぞれ溶接などで固定され、上側に向かって突出する。保持部86は上側から挿入される回動軸支部81を保持し、嵌合部87は回動軸支部81を支持する。
なお、第1の支持部80aは、第2の支持部80bの回動軸支部81と同一の構成であり、その説明を省略する。
【0039】
結合部材110(110a~110d)は、第1の回動部材62、第2の回動部材72、後側回動部材92および前側回動部材93同士を結合する。本実施形態では、結合部材110として2つのパイプを平行した状態に結合するパイプクランプを用いることができる。
結合部材110aは、第1の回動部材62と後側回動部材92との左端部同士を結合する。結合部材110bは、第1の回動部材62と後側回動部材92との右端部同士を結合する。結合部材110cは、前側回動部材93と第2の回動部材72との左端部同士を結合する。結合部材110dは、前側回動部材93と第2の回動部材72との右端部同士を結合する。
【0040】
上述したように構成されるスロープ装置300を段差がある作業現場において組み立てる場合について説明する。まず、組立者は第1のスロープ部10、第2のスロープ部20、中間スロープ部40、および、支持部50を分離した状態で作業現場に運び込む。次に、組立者は段差の上段から所定の距離だけ離れた位置の下段に第1の支持部80aと第2の支持部80bとを離して載置する。次に、組立者は第2のスロープ部材71の前側を上段に接地させると共に、第2の回動部材72を第2の支持部80bの前軸支部82に上側から挿入して回動可能に支持させる。次に、組立者は中間スロープ部40の前側回動部材93を第2の支持部80bの後軸支部83に上側から挿入すると共に、中間スロープ部40の後側回動部材92を第1の支持部50aの前軸支部82に上側から挿入する。次に、組立者は第1のスロープ部10の後側を下段に接地させると共に、第1の回動部材62を第1の支持部50aの後軸支部83に上側から挿入して回動可能に支持させる。最後に、結合部材110a、110bにより第1の回動部材62と後側回動部材92とを結合し、結合部材110c、110dにより前側回動部材93と第2の回動部材72とを結合することで、スロープ装置300を組み立てる。
【0041】
このように、本実施形態によれば、第1のスロープ部10、中間スロープ部40、第2のスロープ部20は、それぞれ上面から突出する前後方向に沿った一対の規制部64、94、74を有することから、運搬台車1がスロープ装置300から脱落しないように規制することができる。また、規制部64、74、94は、断面三角形状あるいは断面V字状であることから、運搬台車1のキャスター3と対向する面が傾斜面となる。したがって、キャスター3が規制部64、74、94に当接したとしても、傾斜面によってキャスター3を左右方向における内側に戻そうとする力が働くことで、運搬台車1をより脱落しないようにすることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、結合部材110により第1の回動部材62と後側回動部材92、および、前側回動部材93と第2の回動部材72を結合することで、スロープ装置300全体の剛性を高めることができ、運搬台車1を安定して走行させることができる。
なお、規制部64、94、74は、断面三角形状あるいは断面V字状に限られず、例えば断面台形状であってもよい。また、規制部64、74、94は、左右一対すなわち2列で構成する場合に限られず、例えば4列で構成してもよい。
また、第3の実施形態と同様に中間スロープ部40および第3の支持部を追加することで高い段差でも対応することができる。
【0043】
(第6の実施形態)
第1~第5の実施形態では、第1のスロープ部材11、第2のスロープ部材21などが例えば1枚の板状である場合について説明した。本実施形態では、スロープ部材を複数の部材で構成するスロープ装置400について説明する。
図9はスロープ装置400の構成を示す分解斜視図である。図10はスロープ装置400の構成を示す図である。具体的には、図10(a)は平面図であり、図10(b)は側断面図である。図11はスロープ装置400の一部の構成を示す図である。具体的には、図11(a)は第1のスロープ部10周辺の側断面図であり、図11(b)は中間スロープ部40周辺の側断面図である。なお、以下では、第1~第5の実施形態と異なる構成を中心に説明する。
本実施形態のスロープ装置400は、第1のスロープ部10と、第2のスロープ部20と、中間スロープ部40と、支持部50とを備えている。なお、第1のスロープ部10と第2のスロープ部20とは同一の構成であり、適宜、その説明を省略する。
【0044】
第1のスロープ部10は、第1のスロープ部材121と、第1の回動部材122と、規制部124とを有する。
第1のスロープ部材121は、複数の長尺部材121a~121eを連結することで構成される。長尺部材121a~121eは、例えばアルミニウム合金製であって、左右方向に長い略板状である。各長尺部材121a~121eの表面には、左右方向に沿って滑り止め用の凸条あるいは凹条が施されている。なお、凸条あるいは凹条は、各長尺部材121a~121eを押し出し成形するときに施すことができる。
【0045】
長尺部材121a、121bは下段に接地し、下段から連続する勾配面を構成する。長尺部材121aと長尺部材121bとは、円柱状のほぞとほぞ溝とによって左右方向に沿った軸線を中心として軸線回りに僅かな回動範囲で回動可能に連結される。また、長尺部材121a、121bは、下端にゴムなどの滑止部材が結合される。なお、長尺部材121aの左右方向の端部には固定孔170を有する。
長尺部材121c、121d、121eは長尺部材121a、121bから連続する勾配面を構成する。長尺部材121c、121d、121eは、それぞれ下側に向かって開口する略コ字状に形成される。長尺部材121cと長尺部材121d、および、長尺部材121dと長尺部材121eは、それぞれT字状のほぞとほぞ溝とによって連結される。また、長尺部材121c、121d、121eは、それぞれの下端に前後方向に長い略L字状の結合部材125が結合されることで、連結された状態で保持される。結合部材125は左右に間隔を空けて複数(例えば3つ)配置される。
なお、長尺部材121bと長尺部材121cは、円柱状のほぞとほぞ溝とによって左右方向に沿った軸線を中心として軸線回りに一定の回動範囲で回動可能に連結される。ここで、円柱状のほぞとほぞ溝とによってヒンジ部が構成される。なお、本実施形態では、長尺部材121bと長尺部材121cとの回動範囲が、長尺部材121aと長尺部材121bとの回動範囲よりも大きく設定されている。
【0046】
第1の回動部材122は、例えばアルミニウム合金製であって、円筒状で形成される。第1の回動部材122は、第1のスロープ部材121の左右方向の長さよりも短く、長尺部材121eの下端に略L字状のほぞとほぞ溝、ボルト、溶接などによって固定される。
規制部124は、例えばアルミニウム合金製であって、断面略L字状である。規制部124は、第1のスロープ部材121の表面のそれぞれ左端部および右端部に固定される。
【0047】
第2のスロープ部20は、第2のスロープ部材131と、第2の回動部材132と、規制部134とを有する。本実施形態のスロープ装置400は、第2のスロープ部20が第1のスロープ部10と同一の構成である。具体的には、第2のスロープ部20は第1のスロープ部10を鉛直軸回りに180度回転させたものに相当する。したがって、第2のスロープ部材131は第1のスロープ部材121に相当し、第2の回動部材132は第1の回動部材122に相当し、規制部134は規制部124に相当する。第2のスロープ部材131を構成する複数の長尺部材は、第1のスロープ部材121と同様であり、同一符号を付している。
【0048】
中間スロープ部40は、中間スロープ部材151と、後側回動部材152と、前側回動部材153と、規制部154とを有する。
中間スロープ部材151は、複数の長尺部材151a~151eを連結することで構成される。長尺部材151a~151eは、例えばアルミニウム合金製であって、左右方向に長い略板状である。長尺部材151a~151eは、それぞれ下側に向かって開口する略コ字状に形成される。長尺部材151a~151eは、それぞれT字状のほぞとほぞ溝とによって連結される。ここで、長尺部材151a~151eのうち、長尺部材151aと長尺部材151eとは、同一の構成である。更に、長尺部材151a、151eは、第1のスロープ部材121および第2のスロープ部材131の長尺部材121eと同一の構成である。また、長尺部材151a~151eのうち、長尺部材151bと長尺部材151cとは、同一の構成である。また、長尺部材151a~151eのうち、長尺部材151dは、第1のスロープ部材121および第2のスロープ部材131の長尺部材121dと同一の構成である。このように、中間スロープ部材151は、一部の長尺部材を共通化させたり、他のスロープ部材の長尺部材と共通化させたりすることで、コストの低減を図っている。
また、長尺部材151a~151eは、それぞれの下端に前後方向に長い略L字状の結合部材155が結合されることで、連結された状態で保持される。結合部材155は左右に間隔を空けて複数(例えば3つ)配置される。
【0049】
後側回動部材152および前側回動部材153は、例えばアルミニウム合金製であって、円筒状で形成される。後側回動部材152および前側回動部材153は、中間スロープ部材151の左右方向の長さよりも短く、第1の回動部材122および第2の回動部材132と同一の構成である。
また、後側回動部材152は中間スロープ部材151の長尺部材151aの裏面の後端に、前側回動部材153は中間スロープ部材151の長尺部材151eの裏面の前端にそれぞれ略L字状のほぞとほぞ溝、ボルト、溶接などによって固定される。
規制部154は、例えばアルミニウム合金製であって、断面略L字状である。規制部154は、中間スロープ部材151の表面のそれぞれ左端部および右端部に固定される。
【0050】
支持部50は、第1の支持部160aと第2の支持部160bとを有する。
第1の支持部160aは、回動軸支部161を有する。
第2の支持部160bは、回動軸支部161と、スペーサ部165とを有する。
第1の支持部160aの回動軸支部161は、例えばアルミニウム合金製であって、第1のスロープ部材121の左右方向の長さと略同一あるいは短い長尺状である。回動軸支部161は、前板161a、後板161b、底板161c、側板161dを有する。側板161dには、固定部材としての固定ネジ171をそれぞれ挿入できる2つの挿入孔161eが形成される。また、回動軸支部161は、底板161cの上面に、前軸支部162と後軸支部163とを一体で形成した受部材168が固定される。受部材168は、例えばゴム製である。また、前軸支部162および後軸支部163は、第1の回動部材122および後側回動部材152の外周面の曲面に略合致するように上面が凹状に湾曲している。前軸支部162は、後軸支部163よりも僅かに高い。
【0051】
第2の支持部160bの回動軸支部161は、第1の支持部160aの回動軸支部161と同一の構成である。
スペーサ部165は、例えば鉄製あるいは鋼製であって、回動軸支部161の左右方向の長さと略同一の長尺状である。スペーサ部165は、保持部166と、嵩上げ部167とを有する。嵩上げ部167は、例えば2つの矩形状のパイプを前後方向に並列させて、上面に保持部166を固定する。また、嵩上げ部167には第2の支持部160bを下段の設置面に固定するために、複数の固定孔169を有する。スペーサ部165は、アンカーボルト等により固定孔169を通して下段の設置面に固定される。保持部166は、上側に開口する略コ字状であって、上側から挿入される回動軸支部161を保持する。保持部166と嵩上げ部167とは、図示しない固定ボルトを介して結合される。
【0052】
また、本実施形態のスロープ装置400は、勾配の開始位置あるいは勾配の終了位置の視認性を向上させるため、勾配の開始位置および勾配の終了位置の少なくとも何れか一方に他と異なる色が付されている。具体的には、第1のスロープ部材121のうち、スロープ装置400と下段との境界に隣接するあるいは近接する長尺部材121a、121bを、長尺部材121c~121eと異なる色にしている。また、第2のスロープ部材131のうち、スロープ装置400と上段との境界に隣接するあるいは近接する長尺部材121a、121bを、長尺部材121c~121eと異なる色にしている。例えば、長尺部材121c~121eがシルバー等の金属色の場合に、長尺部材121a、121bは金属色とは異なる色、例えば赤、緑、青等、色の三原色であってもよく、オレンジ色等が付されていてもよい。したがって、作業者は、スロープ装置400において勾配の開始位置あるいは勾配の終了位置を容易に認識することができる。なお、長尺部材121a、121bに異なる色が付される場合に限られず、長尺部材121aのみ異なる色が付されていてもよい。
また、本実施形態のスロープ装置400は、左右端の視認性を向上させるため、左右端に他と異なる色が付されている。具体的には、規制部124、134、154を、長尺部材121c~121e、151a~151eと異なる色にしている。例えば、長尺部材121c~121e、151a~151eがシルバー等の金属色の場合に、規制部124、134、154は金属色とは異なる色、例えば赤、緑、青等、色の三原色であってもよく、オレンジ色等が付されていてもよい。
なお、他と異なる色を付すとは、他と異なる材質を用いることで異なる色にしてもよく、同一の材質であっても異なる表面処理(色を付着させる処理を含む)をすることで異なる色にしてもよい。
【0053】
上述したように構成されるスロープ装置400を段差がある作業現場において組み立てる場合について説明する。まず、組立者は第1のスロープ部10、第2のスロープ部20、中間スロープ部40、および、支持部50を分離した状態で作業現場に運び込む。次に、組立者は段差の上段から所定の距離だけ離れた位置の下段に第1の支持部160aと第2の支持部160bとを離して載置する。組立者は固定孔169を通してアンカーボルトを下段の設置面に固定する。
次に、組立者は第2のスロープ部材131の前側を上段に接地させると共に、第2の回動部材132を第2の支持部160bの前軸支部162に上側から挿入して回動可能に支持させる。次に、組立者は中間スロープ部40の前側回動部材153を第2の支持部160bの後軸支部163に上側から挿入すると共に、中間スロープ部40の後側回動部材152を第1の支持部160aの前軸支部162に上側から挿入する。次に、組立者は第1のスロープ部10の後側を下段に接地させると共に、第1の回動部材122を第1の支持部160aの後軸支部163に上側から挿入して回動可能に支持させる。
【0054】
次に、組立者は、第1の支持部160aおよび第2の支持部160bそれぞれの回動軸支部161の側板161dの挿入孔161eに、それぞれ固定ネジ171を挿入する。各固定ネジ171は、第1の回動部材122、後側回動部材152、前側回動部材153、第2の回動部材132の内部に挿入される。したがって、第1のスロープ部10および中間スロープ部40が第1の支持部160aに結合され、中間スロープ部40および第2のスロープ部20が第2の支持部160bに結合される。
なお、必要に応じて、第1のスロープ部材121および第2のスロープ部材131の各長尺部材121aの固定孔170を通してアンカーボルトを用いて、下段の設置面および上段の設置面に固定してもよい。
このように組み立てられたスロープ装置400では、第2のスロープ部材131のうち、長尺部材121bと長尺部材121cとの間が回動して、長尺部材121aおよび長尺部材121bが上段の設置面と略面一になる(図10(b)を参照)。また、スロープ装置400を上側から見たときに第1のスロープ部材121、中間スロープ部材151および第2のスロープ部材131の左右方向の寸法内に支持部50が収まり、左右方向の端部から支持部50が突出していない(図10(a)を参照)。したがって、スロープ装置400周辺で作業者が作業する場合であっても、スロープ装置400と接触してしまうことを抑制することができる。
【0055】
このように、本実施形態によれば、第1のスロープ部材121、中間スロープ部材151、第2のスロープ部材131は、複数の部材、具体的には複数の長尺部材121a~121e、151a~151eから構成される。したがって、第1のスロープ部材121、中間スロープ部材151、第2のスロープ部材131を容易に製造することができる。なお、ここでは、各スロープ部材が5つの部材から構成される場合について説明したが、この場合に限られず、2つ以上、3つ以上の部材から構成されていてもよい。
また、第1のスロープ部材121および第2のスロープ部材131を、複数の部材、具体的には複数の長尺部材121a~121eにより構成することで、勾配の開始位置あるいは勾配の終了位置に相当する長尺部材121a、121bを異なる色にする処理を容易に施すことができる。
また、第3の実施形態と同様に中間スロープ部40および第3の支持部を追加することで高い段差でも対応することができる。
【0056】
以上、本発明を上述した実施形態と共に説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更などが可能であり、上述した実施形態を適宜、組み合わせてもよい。
上述した第1の実施形態などでは、第1のスロープ部10および第2のスロープ部20が支持部30から分離可能である場合について説明したが、第1のスロープ部10および第2のスロープ部20のうち少なくとも何れか一方が支持部30に対して分離可能であってもよく、紛失を防止するために何れもが分離できなくてもよい。
また、上述した第2の実施形態などでは、中間スロープ部40が支持部50から分離可能である場合について説明したが、紛失を防止するために分離できなくてもよい。
また、上述した各実施形態では、第1の回動部材、前側回動部材、後側回動部材または第2の回動部材が、円筒状である場合について説明したが、この場合に限られない。支持部50によって第1のスロープ部10、中間スロープ部40または第2のスロープ部20の勾配の角度が変更可能であれば、どのような形状であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10:第1のスロープ部 11:第1のスロープ部材 12:第1の回動部材 20:第2のスロープ部 21:第2のスロープ部材 22:第2の回動部材 30:支持部 31:回動軸支部 34:接地部 40:中間スロープ部 50:支持部 50a:第1の支持部 50b:第2の支持部 51:スペーサ部 61:第1のスロープ部材 62:第1の回動部材 64:規制部 71:第2のスロープ部材 72:第2の回動部材 74:規制部 80a:第1の支持部 80b:第2の支持部 94:規制部 121:第1のスロープ部材 121a~121e:長尺部材 122:第1の回動部材 124:規制部 131:第2のスロープ部材 132:第2の回動部材 134:規制部 151:中間スロープ部材 151a~151e:長尺部材 154:規制部 100、200、300、400:スロープ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下段に設置される第1のスロープ部と、
上段に設置される第2のスロープ部と、
前記第1のスロープ部と前記第2のスロープ部との間に配置される中間スロープ部と、
前記第1のスロープ部と前記中間スロープ部との境界の位置で前記中間スロープ部を回動可能に支持する第1の支持部と、
前記中間スロープ部と前記第2のスロープ部との境界の位置で前記中間スロープ部を回動可能に支持する第2の支持部と、を有し、
前記第1のスロープ部の側を後側とし、前記第2のスロープ部の側を前側とすると、
前記第1の支持部は、前記中間スロープ部の後側に一体化され、左右方向に沿って長く左右方向から見て外形が円形の部位の外周面を支持し、
前記第2の支持部は、前記中間スロープ部の前側に一体化され、左右方向に沿って長く左右方向から見て外形が円形の部位の外周面を支持することを特徴とするスロープ装置。
【請求項2】
下段に設置される第1のスロープ部と、
上段に設置される第2のスロープ部と、
前記第1のスロープ部と前記第2のスロープ部との間に配置される中間スロープ部と、
前記第1のスロープ部と前記中間スロープ部との境界の位置で前記第1のスロープ部を回動可能に支持する第1の支持部と、
前記中間スロープ部と前記第2のスロープ部との境界の位置で前記第2のスロープ部を回動可能に支持する第2の支持部と、を有し、
前記第1のスロープ部の側を後側とし、前記第2のスロープ部の側を前側とすると、
前記第1の支持部は、前記第1のスロープ部の前側に一体化され、左右方向に沿って長く左右方向から見て外形が円形の部位の外周面を支持し、
前記第2の支持部は、前記第2のスロープ部の後側に一体化され、左右方向に沿って長く左右方向から見て外形が円形の部位の外周面を支持することを特徴とするスロープ装置。
【請求項3】
前記第1のスロープ部は、後側スロープ部材と、前記後側スロープ部材に連続する前側スロープ部材とが左右方向に沿った軸線を中心として所定の回動範囲で回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスロープ装置。
【請求項4】
前記後側スロープ部材と前記前側スロープ部材とは、円柱状のほぞとほぞ溝とによって左右方向に沿った軸線を中心として所定の回動範囲で回動可能に連結されていることを特徴とする請求項3に記載のスロープ装置。
【請求項5】
前記第2のスロープ部は、前側スロープ部材と、前記前側スロープ部材に連続する後側スロープ部材とが左右方向に沿った軸線を中心として所定の回動範囲で回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスロープ装置。
【請求項6】
前記前側スロープ部材と前記後側スロープ部材とは、円柱状のほぞとほぞ溝とによって左右方向に沿った軸線を中心として所定の回動範囲で回動可能に連結されていることを特徴とする請求項5に記載のスロープ装置。
【請求項7】
前記第1のスロープ部は、第1の後側スロープ部材と、前記第1の後側スロープ部材に連続する第1の前側スロープ部材とが左右方向に沿った軸線を中心として所定の回動範囲で回動可能に連結され、
前記第2のスロープ部は、第2の前側スロープ部材と、前記第2の前側スロープ部材に連続する第2の後側スロープ部材とが左右方向に沿った軸線を中心として所定の回動範囲で回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスロープ装置。
【請求項8】
前記第1のスロープ部と前記第2のスロープ部とは、互いに鉛直軸回りに180度回転させた構成であることを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載のスロープ装置。
【請求項9】
前記中間スロープ部は、左右方向に長い複数の長尺部材が並列に配置され、前後方向に長い複数の結合部材により結合されていることを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載のスロープ装置。
【請求項10】
前記複数の長尺部材のうち前記中間スロープ部の前端に位置する前側の長尺部材と、前記中間スロープ部の後端に位置する後側の長尺部材とは同一の構成であり、前記前側の長尺部材は左右方向から見て前後非対称な形状であることを特徴とする請求項9に記載のスロープ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、下段に設置される第1のスロープ部と、上段に設置される第2のスロープ部と、前記第1のスロープ部と前記第2のスロープ部との間に配置される中間スロープ部と、前記第1のスロープ部と前記中間スロープ部との境界の位置で前記中間スロープ部を回動可能に支持する第1の支持部と、前記中間スロープ部と前記第2のスロープ部との境界の位置で前記中間スロープ部を回動可能に支持する第2の支持部と、を有し、前記第1のスロープ部の側を後側とし、前記第2のスロープ部の側を前側とすると、前記第1の支持部は、前記中間スロープ部の後側に一体化され、左右方向に沿って長く左右方向から見て外形が円形の部位の外周面を支持し、前記第2の支持部は、前記中間スロープ部の前側に一体化され、左右方向に沿って長く左右方向から見て外形が円形の部位の外周面を支持することを特徴とする。