(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106928
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】可逆的に修飾されたオリゴヌクレオチドを含む組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07H 21/02 20060101AFI20220712BHJP
C07H 1/00 20060101ALI20220712BHJP
C07H 19/067 20060101ALI20220712BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220712BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220712BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220712BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20220712BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20220712BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20220712BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220712BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20220712BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20220712BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20220712BHJP
【FI】
C07H21/02 CSP
C07H1/00
C07H19/067
A61P43/00 111
A61K48/00
A61K31/7088
A61K31/7105
A61K31/713
A61K47/54
A61K47/68
A61K47/64
C12N15/113 Z
C12N15/09 110
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076983
(22)【出願日】2022-05-09
(62)【分割の表示】P 2019508973の分割
【原出願日】2017-08-23
(31)【優先権主張番号】62/378,635
(32)【優先日】2016-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518329930
【氏名又は名称】ディセルナ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナマーシー ベンカタ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】グルタチオン感受性オリゴヌクレオチド、及び該オリゴヌクレオチドを使用する方法を提供する。
【解決手段】オリゴヌクレオチドであって、該オリゴヌクレオチドが、グルタチオン感受性部分を有する少なくとも1つのヌクレオチドの糖部分の2’-炭素に共有結合される、酸素原子に共有結合されたグルタチオン感受性部分を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含み、前記グルタチオン感受性部分が、例えば下記構造を有する、オリゴヌクレオチドである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチドであって、該オリゴヌクレオチドが、グルタチオン感受性部分を有する少なくとも1つのヌクレオチドの糖部分の2’-炭素に共有結合される、酸素原子に共有結合されたグルタチオン感受性部分を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含み、前記グルタチオン感受性部分が式II、式III又は式IVによって表される、オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
前記グルタチオン感受性部分が、式IIa、式IIIa、式IIIb、式IIIa(i)、式IIIb(i)、式IVa、式IVb、式IVc、式IVd、式IVe、式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)、式IVd(i)、式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)、又は式IVe(xi)によって表される、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
前記グルタチオン感受性部分が式IIによって表される、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
前記グルタチオン感受性部分が式IIIによって表される、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
前記グルタチオン感受性部分が式IVによって表される、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドであって、前記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドが、式I:
【化1】
(式中、
XはO、S、Se又はNR’であり、ここでR’は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の複素環から選択され、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、OH、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキルから選択され、又はR
1、R
2、R
3及びR
4の2つは共に5員環~8員環を形成し、ここで、環は任意にヘテロ原子を含み、
JはO、S、NR’、CR’R’’であり、ここで、R’及びR’’はそれぞれ、独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、又はヘテロアリールから選択され、
Bは、水素、天然核酸塩基、修飾された核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基から選択され、
U
2は存在しない、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しく
は非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、又は置換若しくは非置換のシクロアルキルであり、
Wは、水素、リン酸基、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基、ハロゲン、OR’、SR’、NR’R’’、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換の複素環であり、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環から選択され、又は共に複素環を形成し、
Iは存在しない、又はO、S、NR’、CR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
U
1は存在しない、水素、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、各々独立して、水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、ここで、U
1又はWの少なくとも1つは、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U
1がヌクレオチド間の結合基である限り、Aは存在せず、
IとU
1は組み合わされて、CR’-CR’’アルキル、CR’-CR’’アルケニル、CR’-CR’’アルキニル、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環を形成してもよく、又は共にシクロアルキル若しくは複素環を形成してもよく、
Aは存在しない、水素、リン酸基、ホスフェート模倣物、又はホスホロアミデートであり、
Lは、式II、式III又は式IV:
【化2】
(式中、
YはO、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の複素環から選択され、
Zは、O、S、NR’又はCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はR’とR’’は共に複素環を形成し、
Z
1は、N又はCR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環から選択され、
Vは、C又はSOであり、
X
2及びX
3は、独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アシル、置換若しくは非置換の脂肪族、OR
10、COR
10、CO
2R
10、NQ
1Q
2から選択され、ここで、R
10は、独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、ヒドロキシル若しくはアルコキシ置換脂肪族、アリール脂肪族、ヒドロキシル若しくはアルコキシ置換アリール、又はアルコキシ置換複素環であり、
G及びEは、それぞれ独立して、存在しなくてもよく、又はCH
2、CHR’、CR’R’’、NH、NR’から選択されてもよく、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はR’とR’’は共に複素環を形成し、
PとQは、共にジスルフィド架橋又はスルホニル基を形成し、
P
1とQ
1は、共にジスルフィド架橋若しくはスルホニル基を形成し、又はP
1とQ
1は、それぞれ独立して、ジスルフィド架橋若しくはスルホニル基であり、
P
1とQ
1がジスルフィド架橋を形成する場合、M
1、M
2、P
1及びQ
1は4員環~9員環を形成してもよく、ここで、前記環は、置換又は非置換の芳香族、置換又は非置換のシクロアルキルであってもよく、ここで、前記芳香族又はシクロアルキル環は、任意にヘテロ原子を含んでもよく、
Tは、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTはスペーサーを介してP若しくはQに任意に接続されたリガンドであり、
T
a及びT
bは、それぞれ独立して、存在しない、又はCH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、若しくはスペーサーを介してP
1若しくはQ
1に任意に接続されたリガンドから選択され、
M
1及びM
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換の芳香族、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のシクロアルキルから選択され、
M
3及びM
4は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換の芳香族、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、又はCOORから選択され、ここで、Rは、水素、CH
3、又は置換若しくは非置換の脂肪族から選択され、又はM
3とM
4は共に4員環~9員環を形成してもよく、ここで、前記環は、置換又は非置換の芳香族、置換又は非置換のシクロアルキルであってもよく、ここで、前記芳香族又はシクロアルキル環は、任意にヘテロ原子を含んでもよく、
Kは、C、CH、又は置換若しくは非置換の脂肪族であり、
nは0~5である)
から選択されるグルタチオン感受性部分である)
によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項7】
Lが、式II:
【化3】
(式中、
Yは、O、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、
Zは、O、S、NR’又はCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はR’とR’’が共に複素環を形成し、
Vは、C又はSOであり、
X
2及びX
3は、独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アシル、置換又は非置換の脂肪族、OR
10、COR
10、CO
2R
10、NQ
1Q
2から選択され、ここで、R
10は、独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、ヒドロキシル若しくはアルコキシ置換脂肪族、アリール脂肪族、ヒドロキシル若しくはアルコキシ置換アリール、又はアルコキシ置換複素環であり、
PとQは、共にジスルフィド架橋又はスルホニル基を形成し、
Tは、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTはスペーサーを介してP若しくはQに任意に接続されたリガンドである)によって表される、請求項6に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項8】
Lが、式III:
【化4】
(式中、
YはO、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、
Z
1はN又はCR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、
Vは、C又はSOであり、
M
1及びM
2は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換の芳香族、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のシクロアルキルから選択され、
P
1とQ
1は、共にジスルフィド架橋若しくはスルホニル基を形成し、又はP
1とQ
1は、それぞれ独立して、ジスルフィド架橋若しくはスルホニル基であり、
P
1とQ
1がジスルフィド架橋を形成する場合、M
1、M
2、P
1及びQ
1は4員環~9員環を形成してもよく、ここで、前記環は、置換又は非置換の芳香族、置換又は非置換のシクロアルキルであってもよく、ここで、前記芳香族又はシクロアルキル環が、任意にヘテロ原子を含んでもよく、
T
a及びT
bは、それぞれ独立して、存在しない、又はCH
3、置換若しくは置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、若しくはスペーサーを介してP
1若しくはQ
1に任意に接続されたリガンドから選択される)によって表される、請求項6に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項9】
Lが、式IV:
【化5】
(式中、
YはO、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換又は非置
換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、
Zは、O、S、NR’又はCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はR’とR’’は共に複素環を形成し、
VはC又はSOであり、
G及びEは、それぞれ独立して、存在しなくてもよく、又はCH
2、CHR’、CR’R’’、NH若しくはNR’から選択されてもよく、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はR’とR’’は共に複素環を形成し、
M
3及びM
4は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換の芳香族、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、又はCOORから選択され、ここで、Rは、水素、CH
3、又は置換若しくは非置換の脂肪族から選択され、又はM
3とM
4は共に4員環~9員環を形成してもよく、ここで、前記環は、置換若しくは非置換の芳香族、置換若しくは非置換のシクロアルキルであってもよく、ここで、前記芳香族又はシクロアルキル環は、任意にヘテロ原子を含んでもよく、
KはC、CH、又は置換若しくは非置換の脂肪族であり、
nは0~5であり、
PとQは、共にジスルフィド架橋又はスルホニル基を形成し、
Tは、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換ヘテロアリールであり、又はTはスペーサーを介してP若しくはQに任意に接続されたリガンドである)によって表される、請求項6に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項10】
YがOであり、ZがNR’であり、ここで、R’が水素、又は置換若しくは非置換の脂肪族であり、VがCである、請求項7に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項11】
X2及びX3が、独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、又はアミノから選択される、請求項10に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項12】
Lが、式IIa:
【化6】
によって表される、請求項7に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項13】
YがO、S又はNHであり、Z1がN又はCHであり、VがCである、請求項8に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項14】
M1及びM2が置換若しくは非置換のC2~C6アルキルであり、又はP1及びQ1と共に5員環~8員環を形成し、ここで、前記環が置換又は非置換のシクロアルキルである
、請求項13に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項15】
Lが、式IIIa:
【化7】
(式中、YはO、S又はNHであり、Z
1はN又はCR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択される)によって表される、請求項8に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項16】
Lが、式IIIa(i):
【化8】
によって表される、請求項15に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項17】
Lが、式IIIb:
【化9】
(式中、YはO、S又はNHであり、Z
1はN又はCR’であり、ここで、R’は水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、T
a及びT
bは、それぞれ独立して、存在しない、又はCH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、若しくはスペーサーを介して硫黄原子に任意に接続されたリガンドから選択される)によって表される、請求項8に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項18】
Lが、式IIIb(i):
【化10】
によって表される、請求項17に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項19】
YがO、S又はNHであり、ZがNH又はN-CH3であり、VがCであり、GがCH2であって、かつEが存在しない、又はEがCH2であって、かつGが存在しない、請求項9に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項20】
M3及びM4が、独立して、置換若しくは非置換のC2~C6アルキルであり、又は共に5員環~8員環を形成し、ここで、前記環が置換又は非置換のシクロアルキルである、請求項19に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項21】
Lが、式IVa:
【化11】
(式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNHであり、R
5、R
6及びR
7は、それぞれ独立して、Oアシル、NHR’、NR’、CR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換された脂肪族若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環から選択され、又は共に複素環を形成してもよく、
Tは、分岐鎖若しくは非分岐鎖のC
2~C
6アルキルであり、又はスペーサーを介して任意に硫黄原子に接続されたリガンドである)によって表される、請求項9に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項22】
Lが、式IVa(i):
【化12】
によって表される、請求項21に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項23】
Lが、式IVb:
【化13】
(式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNHであり、VはCであり、M
3及びM
4は水素であり、KはCH、又は置換若しくは非置換の脂肪族であり、EはNH又はNR’であり、ここで、R’は置換又は非置換の脂肪族であり、nは0~5であり、Tは、置換若しくは非置換のC
2~C
6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTはスペーサーを介して硫黄原子に任意に接続されたリガンドである)によって表される、請求項9に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項24】
Lが、式IVb(i)又は式IVb(ii):
【化14】
(式中、Rは、水素、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル若しくは複素環から選択され、又はRはスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである)によって表される、請求項23に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項25】
Lが、式IVc:
【化15】
(式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNR’から選択され、ここで、R’は、水素、ハロゲン、CH
3、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、VはCであり、M
3及びM
4は、共に5員環~8員環を形成し、ここで、前記環は、任意にヘテロ原子で置換された置換又は非置換のシクロアルキルであり、Kは、分岐鎖又は非分岐鎖の置換又は非置換のC
2~C
6アルキルであり、nは0~5であり、Tは、置換若しくは非置換のC
2~C
6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTはスペーサーを介して任意に接続されたリガンドであり、Rは、水素、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はRはスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである)によって表される、請求項9に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項26】
Lが、式IVc(i):
【化16】
(式中、Rは、水素、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はRはスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである)によって表される、請求項25に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項27】
Lが、式IVd:
【化17】
(式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S、NH又はNCH
3から選択され、Tは、置換若しくは非置換のC
2~C
6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTはスペーサーを介して硫黄原子に任意に接続されたリガンドであり、Rは、水素、CH
3、又は置換若しくは非置換のC
2~C
6アルキルから選択される)によって表される、請求項9に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項28】
Lが、式IVd(i):
【化18】
によって表される、請求項27に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項29】
Lが、式IVe:
【化19】
(式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNR’から選択され、ここで、R’は、水素、ハロゲン、CH
3、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、VはC又はSOであり、G及びEは、それぞれ独立して、存在しなくてもよく、又はCH
2、CHR’、CR’R’’、NH、NR’から選択されてもよく、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はR’とR’’は共に複素環を形成し、KはC又はCHであり、nは0~5であり、Tは、置換若しくは非置換のC
2~C
6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTはスペーサーを介して任意に接続されたリガンドであり、Rは、水素、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はRはスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである)によって表される、請求項9に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項30】
ZがNH又はN-CH3であり、G及びEの1つ又は両方が存在しない、CH2、又はCR’R’’であり、ここで、R’及びR’’は、独立して、水素、又は置換若しくは非置換の脂肪族から選択される、請求項29に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項31】
Lが、式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)、又は式IVe(xi):
【化20】
(式中、Rは、水素、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はRはスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである)によって表される、請求項29に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項32】
前記ヌクレオチド間の結合基がリン原子を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項33】
前記オリゴヌクレオチドが、第1の鎖及び第2の鎖を含む二本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項1~32のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項34】
前記二本鎖オリゴヌクレオチドが二本鎖RNAi阻害剤分子であり、第1の鎖がセンス鎖を含み、第2の鎖がアンチセンス鎖を含む、請求項33に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項35】
前記二本鎖RNAi阻害剤分子が、約15個~45個のヌクレオチドのセンス鎖とアン
チセンス鎖との間の相補性領域を含む、請求項34に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項36】
前記センス鎖とアンチセンス鎖との間の相補性領域が、20個~30個、21個~26個、19個~24個又は19個~21個のヌクレオチドである、請求項35に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項37】
前記式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドが前記アンチセンス鎖に位置する、請求項33~36のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項38】
前記式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドが前記センス鎖に位置する、請求項33~36のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項39】
前記式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドが、前記アンチセンス鎖のヌクレオチド位置1にある、請求項38に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項40】
前記式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドが、前記アンチセンス鎖のヌクレオチド位置14にある、請求項38に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項41】
前記式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドが、前記センス鎖のAgo2切断部位の又はそれに近接するヌクレオチド位置にある、請求項33~40のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項42】
前記二本鎖RNAi阻害剤分子がテトラループを含む、請求項34~41のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項43】
前記オリゴヌクレオチドが一本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項1~32のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項44】
前記一本鎖オリゴヌクレオチドが一本鎖RNAi阻害剤分子である、請求項43に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項45】
前記一本鎖オリゴヌクレオチドが、従来のアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、マイクロRNA、アンタゴmir、又はアプタマーである、請求項43に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項46】
前記一本鎖RNAi阻害剤分子が、約14個~50個、16個~30個、18個~22個、又は20個~22個のヌクレオチド長である、請求項44又は45に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項47】
前記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドが、式Iによって表される1個~5個のヌクレオチドを含む、請求項1~46のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項48】
前記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチドが修飾され、前記グルタチオン感受性部分により修飾されていない全てのヌクレオチドが不可逆的修飾によって修飾される、請求項1~47のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項49】
送達物質を更に含み、前記送達物質が、細胞の外膜を越えて前記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの輸送を促進する、請求項1~48のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項50】
前記送達物質が、炭水化物、ペプチド、脂質、ビタミン及び抗体からなる群から選択される、請求項1~49のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項51】
前記送達物質が、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、マンノース-6-リン酸、ガラクトース、オリゴ糖、多糖、コレステロール、ポリエチレングリコール、葉酸塩、ビタミンA、ビタミンE、リトコール酸、及びカチオン性脂質から選択される、請求項1~50のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項52】
前記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドが、ネイキッドグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドである、請求項1~51のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項53】
グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドであって、該グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドが、ヌクレオチドの糖部分の2’-炭素に共有結合されている酸素原子に結合されたグルタチオン感受性部分を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含み、前記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドが、グルタチオン感受性部分を有するヌクレオシドホスホロアミダイトを使用して、ホスホロアミダイト系オリゴヌクレオチド合成法によって作製される、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項54】
前記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドが、細胞における標的配列にハイブリダイズすることができる第1の部分を有するcrRNA配列及び/又は該crRNA配列の第2の部分とハイブリダイズしてガイド配列を形成するtracrRNA配列を有する、「クリスパー(CRISPR;Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)」核酸配列である、請求項1~33のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オ
リゴヌクレオチド。
【請求項55】
前記ガイド配列がキメラガイド配列であり、前記crRNA配列がtracrRNA配列に融合される、請求項54に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項56】
請求項1~55のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドと、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項57】
請求項33~52のいずれか一項に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドと、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項58】
被験体において標的遺伝子の発現を減少させる方法であって、それを必要とする被験体に、前記標的遺伝子の発現を減少させるのに十分な量の請求項57に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項59】
前記投与が全身投与を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
医薬組成物であって、該医薬組成物が、薬学的に許容可能な賦形剤と、少なくとも1つのグルタチオン感受性ヌクレオチドを含む、治療的有効量のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドとを含み、前記少なくとも1つのグルタチオン感受性ヌクレオチドが、リボース又はその類縁体の2’-炭素のヒドロキシル基のグルタチオン感受性部分による置換を
含む、医薬組成物。
【請求項61】
前記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドが、第1のオリゴヌクレオチドセンス鎖及び第2のオリゴヌクレオチドアンチセンス鎖を含む、二本鎖RNAi阻害剤分子であり、
前記第1のオリゴヌクレオチドセンス鎖及び前記第2のオリゴヌクレオチドアンチセンス鎖が、それぞれ、18個~66個のヌクレオチドを含み、
前記第1のオリゴヌクレオチドセンス鎖及び前記第2のオリゴヌクレオチドアンチセンス鎖が二重鎖領域を形成し、前記二重鎖領域が少なくとも18個のヌクレオチド塩基対を含み、
前記二本鎖RNAi阻害剤分子が細胞に導入される場合に、前記第2のオリゴヌクレオチドアンチセンス鎖が、標的遺伝子発現を減少させるために標的RNAに対して十分に相補的である、請求項60に記載の医薬組成物。
【請求項62】
被験体において標的遺伝子の発現を減少させる方法であって、それを必要とする被験体に対して、前記標的遺伝子の発現を減少させるのに十分な量の請求項60又は61に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項63】
ホスホロアミダイトオリゴヌクレオチド合成法と適合する、ホスホロアミダイトとグルタチオン感受性部分とを含むヌクレオシド。
【請求項64】
前記ホスホロアミダイトが前記ヌクレオシドの糖部分の5’-炭素又は3’-炭素に結合され、前記グルタチオン感受性部分が、前記ヌクレオシドの糖部分の2’-炭素に共有結合されている酸素原子に結合される、請求項63に記載のヌクレオシド。
【請求項65】
前記グルタチオン感受性部分が、式II、式III又は式IVによって表される、請求項63又は64に記載のヌクレオシド。
【請求項66】
式IIが式IIaであり、式IIIが、式IIIa、式IIIa(i)、式IIIb若しくは式IIIb(i)から選択され、又は式IVが、式IVa、式IVb、式IVc、式IVd若しくは式IVeから選択される、請求項65に記載のヌクレオシド。
【請求項67】
前記式IVが、式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)、式IVd(i)、式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)、又は式IVe(xi)から選択される、請求項65に記載のヌクレオシド。
【請求項68】
ヌクレオシドホスホロアミダイトであって、該ヌクレオシドホスホロアミダイトが式VIII:
【化21】
(式中、
L
1はグルタチオン感受性部分であり、
A
1は、存在しない、水素、リン酸基、ホスフェート模倣物、ホスホロアミデート、ホ
スホロアミダイト、保護基、又は固体支持体であり、
W
1は、ホスホロアミダイト、保護基、固体支持体、水素、ハロゲン、OR’、SR’、NR’R’’、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換の複素環であり、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環から選択され、又は共に複素環を形成し、
U
3は、水素であり、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
少なくともA
1はホスホロアミダイトであって、かつU
3はOであり、又は少なくともW
1はホスホロアミダイトであって、かつU
2はOであり、
XはO、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の複素環から選択され、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、OH、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキルから選択され、又はR
1、R
2、R
3及びR
4の2つは、共に5員環~8員環を形成し、ここで、前記環は任意にヘテロ原子を含み、
JはO、S、NR’、CR’R’’であり、ここで、R’及びR’’はそれぞれ、独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール又はヘテロアリールから選択され、
Bは、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、天然核酸塩基、修飾された核酸塩基、又はユニバーサル核酸塩基から選択され、
U
2は、存在しない、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、又は置換若しくは非置換のシクロアルキルであり、
Iは、存在しない、又はO、S、NR’、CR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
IとU
3は、組み合わされてCR’-CR’’アルキル、CR’-CR’’アルケニル、CR’-CR’’アルキニル、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環を形成してもよく、又は共にシクロアルキル若しくは複素環を形成してもよい)によって表される、ヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項69】
ヌクレオシドホスホロアミダイトであって、該ヌクレオシドホスホロアミダイトが式IX:
【化22】
(式中、
L
1はグルタチオン感受性部分であり、
R
9はホスホロアミダイトであり、
XはO、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換若しくは
非置換の脂肪族、アリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の複素環から選択され、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、OH、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキルであり、又はR
1、R
2、R
3及びR
4の2つは、共に5員環~8員環を形成し、ここで、前記環は任意にヘテロ原子を含み、
JはO、S、NR’、CR’R’’であり、ここで、R’及びR’’はそれぞれ、独立して、水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、アリール又はヘテロアリールから選択され、
Bは、水素、天然核酸塩基、修飾された核酸塩基、又はユニバーサル核酸塩基であり、
Iは、存在しない、又はO、S、NR’、CR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、及び置換若しくは非置換のシクロアルキルであり、
U
3は、水素であり、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
IとU
3は、組み合わされてCR’-CR’’アルキル、CR’-CR’’アルケニル、CR’-CR’’アルキニル、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環を形成してもよく、又は共にシクロアルキル若しくは複素環を形成してもよく、
A
3は、存在しない、水素、リン酸基、ホスフェート模倣物、ホスホロアミデート、保護基、又は固体支持体である)によって表される、ヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項70】
前記グルタチオン感受性部分(L1)がジスルフィド架橋又はスルホニル基を含む、請求項68又は69に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項71】
前記グルタチオン感受性部分(L1)が、式II、式III又は式IVによって表される、請求項68~70のいずれか一項に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項72】
前記グルタチオン感受性部分(L1)が式IIaによって表される、請求項68~71のいずれか一項に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項73】
前記グルタチオン感受性部分(L1)が、式IIIa、式IIIa(i)、式IIIb、又は式IIIb(i)によって表される、請求項68~71のいずれか一項に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項74】
前記グルタチオン感受性部分(L1)が、式IVa、式IVb、式IVc、式IVd、又は式IVeによって表される、請求項68~71のいずれか一項に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項75】
前記グルタチオン感受性部分(L1)が、式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)、又は式IVd(i)によって表される、請求項68~71のいずれか一項に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項76】
前記グルタチオン感受性部分(L1)が、式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVf(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)、又は式IVe(xi)によって表される、請求項68~71のいずれか一項に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項77】
JがOであり、Bが天然核酸塩基であり、U2がOであり、IがCH2であり、W1がホスホロアミダイトであり、A1が保護基、水素又は固体支持体であり、U3がOである、請求項68に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項78】
XがOであり、R1、R2、R3及びR4が水素である、請求項77に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項79】
JがOであり、Bが天然核酸塩基であり、U2がOであり、IがCH2であり、W1が保護基、水素又は固体支持体であり、A1がホスホロアミダイトであり、U3がOである、請求項68に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項80】
XがOであり、R1、R2、R3及びR4が水素である、請求項79に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項81】
前記ホスホロアミダイトが、式-P(ORx)-N(Ry)2(式中、Rxは、任意に置換されたメチル、2-シアノエチル及びベンジルからなる群から選択され、Ryは、それぞれ、任意に置換されたエチル及びイソプロピルからなる群から選択される)を有する、請求項63~80のいずれか一項に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項82】
グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドを作製する方法であって、
(a)共有結合を介してヌクレオシドを固体支持体に付着させることと、
(b)請求項63~81のいずれか一項に記載のヌクレオシドホスホロアミダイトを、工程(a)のヌクレオシド上のヒドロキシル基にカップリングして、その間にリンヌクレオシド結合を形成することであって、前記固体支持体上の任意のカップリングされていないヌクレオシドがキャッピング試薬によってキャップされることと、
(c)酸化剤で前記リンヌクレオシド結合を酸化することと、
(d)請求項68~81のいずれか一項に記載の1以上の後のヌクレオシドホスホロアミダイト又はグルタチオン感受性部分を含まない1以上の後のヌクレオシドホスホロアミダイトを用いて、反復して工程(b)~工程(d)を繰り返して前記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドを形成することと、
(f)任意に、前記固体支持体から前記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドを取り除くことと、
を含む、方法。
【請求項83】
前記グルタチオン感受性部分が、ジスルフィド架橋又はスルホニル基を含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
請求項82又は83に記載の方法によって作製されたグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項85】
グルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチドであって、
前記グルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチドがグルタチオン感受性部分を含み、
前記グルタチオン感受性部分が、前記ヌクレオチド又はヌクレオシドの糖部分の2’-炭素に共有結合されている酸素原子に結合され、
前記グルタチオン感受性部分が式II、式III又は式IVによって表される、グルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチド。
【請求項86】
前記グルタチオン感受性部分が、式IIa、式IIIa、式IIIa(i)、式III
b若しくは式IIIb(i)、又は式IVa、式IVb、式IVc、式IVd若しくは式IVeによって表される、請求項85に記載のグルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチド。
【請求項87】
式IVが、式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)、式IVd(i)、式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)、又は式IVe(xi)から選択される、請求項85に記載のグルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチド。
【請求項88】
グルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチドであって、前記グルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチドが式XI:
【化23】
(式中、
L
2は、式II、式III若しくは式IVによって表されるグルタチオン感受性部分であり、又はA
2若しくはW
2の1つが式II、式III若しくは式IVによって表されるグルタチオン感受性部分である場合、存在せず、
L
2がグルタチオン感受性部分である場合、XはO、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はL
2が存在しない場合、Xは、H、OH、SH、NH
2、ハロゲン、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアルキルアミノ若しくはジアルキルアミノであり、ここで、前記アルキル、アルケニル及びアルキニル中の1以上のメチレンは、1以上のO、S、S(O)、SO
2、N(R’)、C(O)、N(R’)C(O)O、OC(O)N(R’)、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換された複素環、若しくは任意に置換されたシクロアルキル、O、S、Se又はNHR’で中断されてもよく、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール又は置換若しくは非置換の複素環から選択され、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、OH、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキルから選択され、又はR
1、R
2、R
3及びR
4のうち2つは、共に5員環~8員環を形成し、ここで前記環は任意にヘテロ原子を含み、
Jは、O、S、NR’、CR’R’’であり、ここで、R’及びR’’はそれぞれ、独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール又はヘテロアリールから選択され、
Bは、水素、天然核酸塩基、修飾された核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基から選択され、
U
2は、存在しない、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、又は置換若しくは非置換のシクロアルキルであり、
W
2は、式II、式III又は式IVによって表されるグルタチオン感受性部分、水素
、ハロゲン、OR’、SR’、NR’R’’、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換の複素環であり、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環から選択され、又は共に複素環を形成し、
Iは、存在しない、又はO、S、NR’、CR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
U
3は水素であり、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
I及びU
3は、組み合わされてCR’-CR’’アルキル、CR’-CR’’アルケニル、CR’-CR’’アルキニル、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環を形成してもよく、又は共にシクロアルキル若しくは複素環を形成してもよく、
A
2は、存在しない、水素、リン酸基、ホスフェート模倣物、ホスホロアミデート、又は式II、式III若しくは式IVによって表されるグルタチオン感受性部分である)
によって表される、グルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチド。
【請求項89】
JがOであり、XがOであり、L2が、式II、式III又は式IVによって表されるグルタチオン感受性部分であり、W2が、水素、ハロゲン、OR’、SR’、NR’R’’、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換の複素環であり、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環から選択され、又は共に複素環を形成し、A2は、存在しない、水素、リン酸基、ホスフェート模倣物、又はホスホロアミデートである、請求項88に記載のグルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチド。
【請求項90】
R1、R2、R3及びR4が水素であり、U2が酸素であり、W2が水素であり、IがCH2であり、U3がOであり、A2が水素又はリン酸基である、請求項89に記載のグルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチド。
【請求項91】
グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドであって、該グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドが、式VIIe(ix):
【化24】
(式中、
Aは、存在しない、水素、リン酸基、又はホスフェート模倣物であり、
U
1は、O、又は式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチド
をヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、
Bが天然核酸塩基であり、
U
2がOであり、
Wが、水素、又は式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U
1又はWの少なくとも1つが、式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U
1がヌクレオチド間の結合基である限り、Aは存在しない)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含み、
センス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖RNAi阻害剤分子である、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項92】
Aが水素であり、Wが式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドが、アンチセンス鎖のヌクレオチド位置1にある、請求項91に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項93】
Aが存在せず、Wが、式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを第1のオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U1が、式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを第2のオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドが、前記アンチセンス鎖のヌクレオチド位置14にある、請求項91に記載のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド。
【請求項94】
グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドであって、該グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、式VIIe(xi):
【化25】
(式中、
Aは、存在しない、水素、リン酸基、又はホスフェート模倣物であり、
U
1は、O、又は式VIIe(xi)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、
Bは、天然核酸塩基であり、
U
2は、Oであり、
Wは、水素又は、式VIIe(xi)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、ここで、U
1又はWの少なくとも1つは、式VIIe(xi)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U
1がヌクレオチド間の結合基である限り、Aは存在しない)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含み、
センス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖RNAi阻害剤分子である、グルタチオン感
受性オリゴヌクレオチド。
【請求項95】
ヌクレオシドホスホロアミダイトであって、該ヌクレオシドホスホロアミダイトが式X:
【化26】
(式中、R
8はH又は保護基であり、R
7はホスホロアミダイトであり、Bは天然核酸塩基であり、XはOであり、
L
1は式IVe(ix):
【化27】
によって表される)によって表される、ヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項96】
ヌクレオシドホスホロアミダイトであって、該ヌクレオシドホスホロアミダイトが式X:
【化28】
(式中、R
8はH又は保護基であり、R
7はホスホロアミダイトであり、Bは天然核酸塩基であり、XはOであり、
L
1は式IVe(xi):
【化29】
によって表される)によって表される、ヌクレオシドホスホロアミダイト。
【請求項97】
前記ホスホロアミダイトが、式-P(ORx)-N(Ry)2(式中、Rxは、任意に置換されたメチル、2-シアノエチル及びベンジルからなる群から選択され、Ryは、それぞれ、任意に置換されたエチル及びイソプロピルからなる群から選択される)を有する、請求項95又は96に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年8月23日付で出願された米国仮特許出願第62/378,635号の利益を主張し、その出願日に依拠し、その開示全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0002】
オリゴヌクレオチドは、分子生物学において、例えばプローブ、プライマー又はリンカーとしての使用を含む様々な用途を有する。また、オリゴヌクレオチドを、例えばゲノムDNA配列(例えば、「クリスパー(CRISPR;Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)」)を編集するため、遺伝子療法技術を使用して欠損遺伝
子又は失われた遺伝子を回復するため、又は様々な機構を通して細胞内RNAレベルを調節するための核酸阻害剤分子として治療的に使用することができる。低分子干渉RNA(「siRNA」)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、マイクロRNA、アンタゴmir(antagomir)及びアプタマーはいずれも、癌、ウイルス感染症及び遺伝性
障害の治療の初期の期待を実証した核酸分子の例である。ヌクレオシド及びヌクレオチド類縁体もまた、治療的に、特に抗ウイルス剤又は抗癌剤として一般的に使用される。
【0003】
他の薬物のように、治療的オリゴヌクレオチドは、とりわけ生体システムにおける安定性及び意図された作用部位における十分な効力を必要とする。身体を通過して標的細胞の細胞基質へと進むにつれてこれらの分子が経験する状況から、in vivo環境には、治療的オリゴヌクレオチドの安定性に対する課題がある。例えば、オリゴヌクレオチドは、血清中での3’-エキソヌクレアーゼを含むヌクレアーゼによる分解に弱い。非特許文献1を参照されたい。特定のカノニカルな(canonical)21-merのsiRNA、及
び当該技術分野で知られ、本明細書に記載される他のsiRNAデザイン等の一本鎖3’-オーバーハングを有する核酸阻害剤分子は、結果的に、かかる3’-エキソヌクレアーゼによる分解に特に弱い可能性がある(非特許文献1)。さらに、リボヌクレアーゼA(RNase A)様活性は、血清中のsiRNAの分解と関連付けられた。
【0004】
さらに、オリゴヌクレオチドが血清の環境を通って目的の標的細胞に入れたとしても、オリゴヌクレオチドの安定性を損なう酵素又は条件(例えばpH)に更に曝され得る。例えば、pH依存性のリボヌクレアーゼ及びデオキシリボヌクレアーゼは、細胞の小胞、例えばリソソーム、エンドソーム、及び融合エンドソーム/リソソームの小胞に存在する。
【0005】
この数年に亘り、いろいろなアプローチが、これらの環境条件から治療的オリゴヌクレオチドを保護しようとする試みを追い求めてきた。核酸阻害剤分子のin vivo投与に関連する課題に取り組むことへの主なアプローチは、核酸分子中の1以上のヌクレオチドに特定の不可逆的な共有結合による化学修飾を導入することであった。多くの種類の不可逆的なヌクレオチド化学修飾がこの数年に亘り報告されている。例えば、非特許文献2を参照されたい。かかる不可逆的化学修飾は、しばしばヌクレオチドの糖部分に対する変化を含む。
【0006】
通常、2’-ヒドロキシル(2’-OH)基がリボヌクレオチドを特定のリボヌクレアーゼに対してより感受性とすることから、ヌクレオチドの糖部分の2’-炭素(C2’)が不可逆的に修飾された。例えば、多くのグループが、糖部分の2’位をヒドロキシル基から2’-フルオロ(2’-F)又は2’-O-メチル(2’-OMe)に修飾し、かかる変化は、RNAオリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ抵抗性を効果的に高めた。非特許文
献1を参照されたい。
【0007】
オリゴヌクレオチドの5’-末端は、一般的には、不可逆的な方法で修飾されたもう一つの位置である。核酸阻害剤分子の5’-末端の典型的な不可逆的な修飾として、ホスホロアミデート又はリン酸基の静電気的及び立体的な特性を模倣する化学部分(「ホスフェート模倣物」)が挙げられる。非特許文献3を参照されたい。典型的には、これらの5’-ホスフェート模倣物はホスファターゼ抵抗性結合を含む。
【0008】
また、オリゴヌクレオチドの骨格を不可逆的に修飾することも可能である。例えば、ホスホロチオエート(PS)骨格の修飾は、非架橋酸素原子を硫黄原子で置き換えて、血漿中のオリゴヌクレオチドの半減期を数分から数日に延ばすことがある。非特許文献4、非特許文献5を参照されたい。
【0009】
多くの場合、同じ核酸阻害剤分子中の1以上のヌクレオチド位置を2以上の種類の不可逆的修飾により不可逆的に修飾することが望ましい。例えば、siRNA分子を複数の2’-F、2’-OMe及びホスホロチオエートの修飾によって修飾することが一般的である。非特許文献6を参照されたい。
【0010】
これらの不可逆的な修飾は、修飾ヌクレオチドの位置及び/又は修飾の数に応じて、核酸の安定性を改善する及び/又は血清若しくは細胞中の酵素から核酸を保護するのを支援し得る一方で、これらの不可逆修飾は、一旦細胞の細胞質基質に達すると、核酸阻害剤分子の効力又は活性を減少させることもある。非特許文献1を参照されたい。さらに、これらの修飾が細胞内条件下で不可逆であることから、それらの修飾は、細胞の細胞質基質においてその生物学的活性を発揮する前には核酸阻害剤分子から取り除かれない。不可逆的修飾が効力又は活性の減少をもたらす場合、不可逆的修飾は、それらを含む核酸阻害剤分子の治療有効性を制限することがある。
【0011】
研究及び薬物開発の努力が核酸阻害剤分子を保護するために不可逆的な修飾に注目する一方で、より小さい規模の、可逆的であって、オリゴヌクレオチドが細胞に入った後に除去され得る化学修飾を含むオリゴヌクレオチドの報告もある。可逆的な修飾は、例えば、細胞内酵素の作用により、又は細胞の内部の化学的状況によって(例えば細胞内グルタチオンによる還元を通して)除去され得る。典型的には、ヌクレオチド間のジホスフェート結合によって生じる負電荷をマスクし、細胞取り込み及びヌクレアーゼ抵抗性を改善するため、環状ジスルフィド部分により核酸分子を化学修飾した。当初はTraversa Therapeutics, Inc.(「Traversa」)に譲渡された特許文献1、Solstice Biologics, Ltd.(「Solstice」)に対する特許文献2、非特許文献7(「Meade」)、Merck Sharp & Dohme Corpに対する特許文献3を参照されたい。ヌクレオチド間のジホスフェート結合のこの可逆的な修飾は、細胞質基質の還元環境(例えばグルタチオン)によって細胞内で切断されるように設計される。先の例は、細胞内部で切断可能であると報告されたリン酸トリエステル修飾を中和することを含む(非特許文献8)。
【0012】
2’-炭素(C2’とも称される)等のヌクレオチドの糖部分の他の位置を可逆的に修飾する努力は、当該技術分野ではほとんどなされていなかった。C2’は、酵素的切断(非特許文献9)及び光刺激切断(非特許文献10)に感受性である修飾を使用して可逆的に修飾された。特に最近では、可逆的なジスルフィド修飾は、2’炭素においてRNA分子に適用された。より詳しくは、特異的な2’-O-メチルジチオメチル(2’-O-MDTM)RNAは、グルタチオンによって細胞内で切断可能なジスルフィド架橋を伴って設計され、単離されたA549細胞において外因的に添加されたルシフェラーゼ遺伝子の発現を阻害し得ることがin vitroで示された。非特許文献11を参照されたい。しかしながら、非特許文献11の著者らは、2’-O-MDTM基を含むヌクレオシドホ
スホロアミダイトは、標準的なオリゴヌクレオチド固相合成と適合性しないことを見出した。非特許文献11と同様に非特許文献12も参照されたい。したがって、Ochiは、彼らの2’-O-MDTM修飾RNA分子を合成するため、合成後アプローチを使用しなければならなかった。非特許文献11と同様に、2’-O-MDTM修飾RNA分子を作製するためのOchiの合成後アプローチを2’-O-MDTM基を含むヌクレオシドホスホロアミダイトにおけるジスルフィド結合の不安定を回避する方法として認識し、様々な2’-アルキルジチオメチル基を含むRNAを作製する代替的な合成後アプローチを提案する非特許文献13も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0294869号
【特許文献2】国際公開第2015/188197号
【特許文献3】国際公開第2014/088920号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Behlke, M.A., Oligonucleotides, 2008,18:305-320
【非特許文献2】Bramsen et al., Nucleic Acids Res., 2009, 37:2867-2881
【非特許文献3】Prakash et al., 2015, 43(6):2993-3011
【非特許文献4】Shen et al. Nucleic Acids Res., 2015, 43:4569-4578
【非特許文献5】Eckstein, F. Nucleic Acid Thera., 2014, 24(6):374-387
【非特許文献6】Podbevsek et al., Nucleic Acid Res., 2010,38(20):7298-7307
【非特許文献7】Meade et al., Nature Biotechnology, 2014,32:1256-1263
【非特許文献8】Dellinger et al., J. Am. Chem. Soc. 2003, 125:940-950
【非特許文献9】Lavergne et al., J. Org. Chem., 2011, 76:5719-5731
【非特許文献10】Johnsson et al., Bioorganic & Med. Chem. Letters, 2011, 21:3721-25
【非特許文献11】Ochi et al., Bioorganic Medicinal Chemistry Letters, 2016,26:845-848
【非特許文献12】Ochi et al., Curr. Protoc. Nucleic Acid Chem., 2015, (62):4.63.1-4.63.20
【非特許文献13】Biscans et al., Org. Biomol. Chem., 2016, 14:7010-17
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
オリゴヌクレオチドの安定性を改善するため及び/又は血清中若しくは細胞中の酵素からオリゴヌクレオチドを保護するために当該技術分野でなされた進歩にもかかわらず、核酸分子の可逆的な修飾、特に、標準的なホスホロアミダイトオリゴヌクレオチド合成と適合する可逆的な修飾に対する改善された方略が当該技術分野において引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本出願は、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、マイクロRNA、リボザイム、アンタゴmir及びアプタマー等の核酸阻害剤分子を含む任意の目的のオリゴヌクレオチドに組み込まれ得る、様々な新しいグルタチオン感受性で可逆的に修飾されたヌクレオチド及びヌクレオシドを開示する。また、上記ヌクレオチド及びヌクレオシドは、クリスパー(CRISPR;Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats
)核酸、遺伝子療法用核酸、DNAエディティング用核酸、プローブ、又はin vivoで投与される他のオリゴヌクレオチドを含む、ヌクレアーゼによる分解及び/又は過酷な環境条件(例えばpH)に弱い任意の他のオリゴヌクレオチド等の他のオリゴヌクレオ
チドにも組み込まれ得る。
【0017】
また、本発明のグルタチオン感受性で可逆的な修飾は、例えば標準的なオリゴヌクレオチド合成法で使用され得るグルタチオン感受性ヌクレオシドホスホロアミダイトを含む、ヌクレオチド及びヌクレオシドのモノマーを可逆的に修飾するために使用され得る。さらに、ホスホロアミダイトを含まないグルタチオン感受性のヌクレオチド及びヌクレオシドのモノマーは、例えば抗ウイルス剤として治療的に使用され得る。
【0018】
典型的には、グルタチオン感受性部分は、ヌクレオチド中の糖部分の2’-炭素を可逆的に修飾するために使用されるが、他の炭素位置もまたグルタチオン感受性部分で修飾され得る。オリゴヌクレオチドがヌクレアーゼ及び他の過酷な環境条件(例えばpH)に曝露されるin vivo投与(例えば、血液、及び/又は細胞のリソソーム/エンドソームのコンパートメントを通る輸送)の間、オリゴヌクレオチドを保護することを支援するため、1以上のグルタチオン感受性のヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに組み込むことができる。可逆的に修飾されたオリゴヌクレオチドが細胞質基質に放出される場合、高レベルのグルタチオンを含む細胞内の状況は、オリゴヌクレオチドからグルタチオン感受性部分を除去させる。或る特定の実施の形態において、グルタチオン感受性部分の除去は、ヒドロキシル基を2’-炭素位置に生じ、この基は、その位置でのリボヌクレオチドに対する天然の置換基である(例えば、実施例3のスキーム7を参照されたい)。
【0019】
本出願の教示に従って可逆的なグルタチオン感受性部分を使用することにより、不可逆的な化学修飾を使用する利用可能な選択肢と比較して、立体的により大きな化学基を目的のオリゴヌクレオチドへ導入することが可能である。これは、これらのより大きな化学基が細胞質基質で除去されるため、細胞の細胞質基質内部のオリゴヌクレオチドの生物学的活性を妨げないからである。その結果、これらのより大きな化学基は、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに対して、ヌクレアーゼ抵抗性、親油性、電荷、熱安定性、特異性及び免疫原性の減少等の様々な利点を与えるために操作され得る。幾つかの実施の形態において、グルタチオン感受性部分の構造は、その放出の動態を変更するために操作され得る。
【0020】
さらに、本発明の可逆的に修飾されたグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、従来の固相合成を使用して合成され得る。したがって、これらの可逆的に修飾されたグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、容易に作製され、治療適用における使用に適している。さらに、従来の固相合成を使用して上記核酸を合成することができることから、グルタチオン感受性ヌクレオチドは、所望の効果に応じてオリゴヌクレオチド中の選択された位置で核酸分子に組み込まれ得る。核酸阻害剤分子等のオリゴヌクレオチドの特定位置でのグルタチオン感受性部分の組み込みは、オリゴヌクレオチドの特性に影響する場合がある。例えば、グルタチオン感受性部分は、核酸阻害剤分子のヌクレオチド位置1(すなわち、5’-末端ヌクレオチド)に組み込まれ得て、それがヌクレオチド位置1に2’-Fを有する分子と比較して分子の安定性を増加させる。
【0021】
この技術によって、今般、1以上の目的のヌクレオチド位置に組み込まれたグルタチオン感受性部分を有する治療的に有用なグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドを容易に合成することができる。したがって、或る1つの態様では、本明細書に記載されるグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、医薬品として使用され得て、薬学的に許容可能な賦形剤と共に医薬組成物として製剤化され得て、例えば、ゲノムDNAを編集する又は標的遺伝子の発現を調節し、それを必要とする患者を治療するため使用され得る。
【0022】
或る特定の態様では、本開示は、1以上の可逆的に修飾されたヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドに関し、ここで、可逆的に修飾されたヌクレオチドは、糖環(又はその類
縁体)の2’-炭素に付着されたグルタチオン感受性部分を含む。或る特定の実施の形態において、グルタチオン感受性部分は、本明細書に記載される、式II、式III若しくは式IV、又は例えば、式IIa、式IIIa、式IIIa(i)、式IIIb及び式IIIb(i);式IVa、式IVb、式IVc、式IVd若しくは式IVe;式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)若しくは式IVd(i);又は式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)又は式IVe(xi)を含むそれらの亜属のいずれかによって表される。オリゴヌクレオチドが2以上の可逆的に修飾されたヌクレオチドを含む実施の形態において、可逆的に修飾されたヌクレオチドはそれぞれ、同じグルタチオン感受性部分を含んでもよく、又は可逆的に修飾されたヌクレオチドの少なくとも1つは、オリゴヌクレオチドの他の可逆的に修飾されたヌクレオチド中の少なくとも1つのグルタチオン感受性部分とは異なるグルタチオン感受性部分を含んでもよい。或る特定の実施の形態において、オリゴヌクレオチドの可逆的に修飾されたヌクレオチドはそれぞれ、異なるグルタチオン感受性部分を含む。
【0023】
或る特定の態様において、本開示は、薬学的に許容可能な担体と、糖部分(又はその類縁体)の2’-炭素に付着されたグルタチオン感受性部分を含む少なくとも1つのヌクレオチドを含む治療的有効量のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドとを含む医薬組成物に関する。
【0024】
或る特定の実施の形態において、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載される式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含み、Lは、本明細書に記載される式II、式III若しくは式IV、又は例えば式IIa、式IIIa、式IIIa(i)、式IIIb及び式IIIb(i);式IVa、式IVb、式IVc、式IVd若しくは式IVe;式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)若しくは式IVd(i);又は式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)若しくは式IVe(xi)を含む本明細書に記載されるそれらの亜属のいずれかから選択されるグルタチオン感受性部分である。
【0025】
グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの或る特定の実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IIによって表され、式中、YはOであり、ZはNR’であり、ここで、R’は水素又は置換若しくは非置換の脂肪族であり、VはCであり、任意に、X2及びX3は独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、又はアミノから選択される。
【0026】
或る特定の実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IIaによって表される。
【0027】
グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの或る特定の実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IIIによって表され、式中、YはO、S又はNHであり、Z1はN又はCHであり、VはCであり、任意にM1及びM2は置換若しくは非置換のC2~C6アルキルであり、又はP1及びQ1と共に5員環~8員環を形成し、ここで、上記環は置換又は非置換のシクロアルキルである。
【0028】
或る特定の実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IIIaによって表され、式中、YはO、S又はNHであり、Z1はN又はCR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択される。或る一つの実施の形態におい
て、YはOであり、Z1はNである(式IIIa(i)を参照されたい)。
【0029】
或る特定の実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IIIbによって表され、式中、YはO、S又はNHであり、Z1はN又はCR’であり、ここで、R’は水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、Ta及びTbは、それぞれ独立して、存在しない、又はCH3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、若しくはスペーサーを介して硫黄原子に任意に接続されたリガンドから選択される。1つの実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IIIb(i)によって表される。
【0030】
グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの或る特定の実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IVによって表され、式中、YはO、S又はNHであり、ZはNH又はNCH3であり、VはCであり、GはCH2であり、かつEは存在しない、又はGは存在せず、かつEはCH2であり、任意に、M3及びM4は、独立して、置換若しくは非置換のC2~C6アルキルであり、又は共に5員環~8員環を形成し、ここで、上記環は置換又は非置換のシクロアルキルである。
【0031】
或る特定の実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IVaによって表され、式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNHであり、R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、Oアシル、NHR’、NR’、CR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、CH2、CH、置換された脂肪族若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環から選択され、又は共に複素環を形成することができ、Tは、分岐鎖若しくは非分岐鎖のC2~C6アルキルであり、又はスペーサーを介して任意に硫黄原子に接続されたリガンドである。1つの実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IVa(i)によって表される。
【0032】
或る特定の実施の形態において、Lは、式IVbによって表され、式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNHであり、VはCであり、M3及びM4は水素であり、KはCHであり、又は置換若しくは非置換の脂肪族であり、EはNH又はNR’であり、ここで、R’は置換又は非置換の脂肪族であり、nは0~5であり、Tは、置換若しくは非置換のC2~C6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTはスペーサーを介して硫黄原子に任意に接続されたリガンドである。或る特定の実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IVb(i)又は式IVb(ii)によって表され、式中、Rは、水素、CH3、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル若しくは複素環から選択され、又はRはスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである。
【0033】
或る特定の実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IVcによって表され、式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNR’から選択され、ここで、R’は、水素、ハロゲン、CH3、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、VはCであり、M3及びM4は、共に5員環~8員環を形成し、ここで、上記環は、任意にヘテロ原子で置換された置換又は非置換のシクロアルキルであり、Kは、分岐鎖又は非分岐鎖の置換又は非置換のC2~C6アルキルであり、nは0~5であり、Tは、置換若しくは非置換のC2~C6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTはスペーサーを介して任意に接続されたリガンドであり、Rは、水素、CH3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はRはスペーサーを介して任意に接続された標的リガンド
である。1つの実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IVc(i)によって表され、式中、Rは、水素、CH3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はRはスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである。
【0034】
或る特定の実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IVdによって表され、式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S、NH又はNCH3から選択され、Tは、置換若しくは非置換のC2~C6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTはスペーサーを介して硫黄原子に任意に接続されたリガンドであり、Rは、水素、CH3、又は置換若しくは非置換のC2~C6アルキルから選択される。1つの実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IVd(i)によって表される。
【0035】
グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの或る特定の実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IVeによって表され、式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNR’から選択され、ここで、R’は、水素、ハロゲン、CH3、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、VはC又はSOであり、G及びEは、それぞれ独立して、存在しなくてもよく、又はCH2、CHR’、CR’R’’、NH、NR’から選択されてもよく、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はR’とR’’は共に複素環を形成し、KはC又はCHであり、nは0~5であり、Tは、置換若しくは非置換のC2~C6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTはスペーサーを介して任意に接続されたリガンドであり、Rは、水素、CH3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、又は置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はRはスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである。或る特定の実施の形態において、ZはNH又はNCH3であり、G及びEの1つ又は両方が存在しない、CH2、又はCR’R’’、NH、NR’であり、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、又は置換若しくは非置換の脂肪族から選択される。或る特定の実施の形態において、Lは、本明細書に記載される式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)、又は式IVe(xi)によって表され、式中、Rは、水素、CH3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はRはスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである。
【0036】
或る特定の実施の形態において、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含み、式中、Aは存在しない、水素、リン酸基又はホスフェート模倣物であり、U1は、O、又は式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、Bは天然核酸塩基であり、U2はOであり、Wが、水素、又は式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、ここで、U1又はWの少なくとも1つが、式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U1がヌクレオチド間の結合基である限り、Aは存在せず、上記グルタチオン感受性
オリゴヌクレオチドは、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖RNAi阻害剤分子である。
【0037】
或る特定の実施の形態において、Aは水素であり、Wは、式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖のヌクレオチド位置1にある。
【0038】
或る特定の実施の形態において、Aは存在せず、Wは、式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを第1のオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U1は、式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを第2のオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、式VIIe(ix)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖のヌクレオチド位置14にある。
【0039】
或る特定の実施の形態において、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、式VIIe(xi)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含み、式中、Aは、存在しない、水素、リン酸基又はホスフェート模倣物であり、U1はOであり、又は式VIIe(xi)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、Bは天然核酸塩基であり、U2はOであり、Wは水素であり、又は式VIIe(xi)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、ここで、U1又はWの少なくとも1つは、式VIIe(xi)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U1がヌクレオチド間の結合基である限り、Aは存在せず、上記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖RNAi阻害剤分子である。
【0040】
或る特定の実施の形態において、上記ヌクレオチド間の結合基はリン原子を含む。
【0041】
或る特定の実施の形態において、上記オリゴヌクレオチドは、第1の鎖及び第2の鎖を含む二本鎖オリゴヌクレオチドである。
【0042】
或る特定の実施の形態において、上記二本鎖オリゴヌクレオチドは二本鎖RNAi阻害剤分子であり、第1の鎖はセンス鎖を含み、第2の鎖はアンチセンス鎖を含む。或る特定の実施の形態において、上記二本鎖RNAi阻害剤分子は、約15個~45個、20個~30個、21個~26個、19個~24個又は19個~21個のヌクレオチドのセンス鎖とアンチセンス鎖との間の相補性領域を含む。
【0043】
或る特定の実施の形態において、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドはアンチセンス鎖に位置する。或る特定の実施の形態において、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドはセンス鎖に位置する。
【0044】
或る特定の実施の形態において、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖のヌクレオチド位置1にある。或る特定の実施の形態において、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖のヌクレオチド位置14にある。或る特定の実施の形態において、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドは、センス鎖のAgo2切断部位の又はそれに近接する1つ以上のヌクレオチド位置にある。或る特定の実施の形態において、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドは、Ago2切断部位のすぐ5’又は3’の1個、2個又は3個のヌクレオ
チドにある。或る特定の実施の形態において、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドは、Ago2切断部位の両側に、例えば、Ago2切断部位のすぐ5’の1個以上のヌクレオチド、及びAgo2切断部位のすぐ3’の1個以上のヌクレオチドにある。
【0045】
或る特定の実施の形態において、上記二本鎖RNAi阻害剤分子はテトラループを含む。
【0046】
或る特定の実施の形態において、上記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは一本鎖オリゴヌクレオチドである。或る特定の実施の形態において、上記一本鎖オリゴヌクレオチドは一本鎖RNAi阻害剤分子である。或る特定の実施の形態において、上記一本鎖オリゴヌクレオチドは、従来のアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、マイクロRNA、アンタゴmir、又はアプタマーである。或る特定の実施の形態において、上記一本鎖RNAi阻害剤分子は、約14個~50個、16個~30個、18個~22個、又は20個~22個のヌクレオチド長である。
【0047】
或る特定の実施の形態において、上記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、式Iによって表される1個~5個のヌクレオチドを含む。或る特定の実施の形態において、上記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチドが修飾され、上記グルタチオン感受性部分により修飾されていない全てのヌクレオチドが不可逆的修飾によって修飾される。
【0048】
或る特定の実施の形態において、上記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、送達物質を更に含み、上記送達物質は、細胞の外膜を越えて上記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの輸送を促進する。或る特定の実施の形態において、上記送達物質は、炭水化物、ペプチド、脂質、ビタミン及び抗体からなる群から選択される。或る特定の実施の形態において、上記送達物質は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、マンノース-6-リン酸、ガラクトース、オリゴ糖、多糖、コレステロール、ポリエチレングリコール、葉酸塩、ビタミンA、ビタミンE、リトコール酸、及びカチオン性脂質から選択される。
【0049】
或る特定の実施の形態において、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは脂質ナノ粒子に含まれる。或る特定の実施の形態において、上記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、ネイキッドグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドである。
【0050】
或る特定の実施の形態において、上記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドの糖部分の2’-炭素に共有結合されている酸素原子に結合されたグルタチオン感受性部分を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含み、上記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、グルタチオン感受性部分を有するヌクレオシドホスホロアミダイトを使用して、ホスホロアミダイト系オリゴヌクレオチド合成法によって作製される。
【0051】
或る特定の実施の形態において、上記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、細胞における標的配列にハイブリダイズすることができる第1の部分を有するcrRNA配列及び/又はcrRNA配列の第2の部分とハイブリダイズしてガイド配列を形成するtracrRNA配列を有する、「クリスパー(CRISPR;Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)」核酸配列である。或る特定の実施の形態において
、上記ガイド配列はキメラガイド配列であり、上記crRNA配列はtracrRNA配列に融合される。
【0052】
或る特定の態様では、本開示は、本明細書に記載されるグルタチオン感受性オリゴヌク
レオチドと薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物、及び該医薬組成物を使用する方法に関する。或る特定の実施の形態において、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのグルタチオン感受性ヌクレオチドを含み、少なくとも1つのグルタチオン感受性ヌクレオチドは、リボース又はその類縁体の2’-炭素のヒドロキシル基のグルタチオン感受性部分による置換を含む。或る特定の実施の形態において、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは二本鎖RNAi阻害剤分子である。或る特定の態様では、本開示は、被験体において標的遺伝子の発現を減少させる方法であって、それを必要とする被験体に、標的遺伝子の発現を減少させるのに十分な量でグルタチオン感受性二本鎖RNAi阻害剤分子を含む医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。或る特定の実施の形態において、投与は全身投与を含む。
【0053】
或る特定の態様において、本開示は、ホスホロアミダイト系オリゴヌクレオチド合成法と適合する、ホスホロアミダイトとグルタチオン感受性部分とを含むヌクレオシドに関する。或る特定の実施の形態において、上記ホスホロアミダイトは、上記ヌクレオシドの糖部分の5’-炭素又は3’-炭素に結合され、上記グルタチオン感受性部分は、上記ヌクレオシドの糖部分の2’-炭素に共有結合されている酸素原子に結合される。ヌクレオシドホスホロアミダイトの或る特定の実施の形態において、グルタチオン感受性部分は、本明細書に記載される、式II、式III若しくは式IV、又は式IIa、式IIIa、式IIIb、式IIIa(i)、式IIIb(i)、式IVa、式IVb、式IVc、式IVd、式IVe、式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)、式IVd(i)、式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)若しくは式IVe(xi)を含むそれらの任意の亜属によって表される。
【0054】
或る特定の態様では、本開示はグルタチオン感受性ヌクレオシドホスホロアミダイトに関し、ここで、ヌクレオシドホスホロアミダイトは、本明細書に記載される式VIIIによって表される。或る特定の実施の形態において、ヌクレオシドホスホロアミダイトは式IXによって表される。或る特定の実施の形態において、グルタチオン感受性部分(L1)はジスルフィド架橋又はスルホニル基を含む。
【0055】
或る特定の実施の形態において、ヌクレオシドホスホロアミダイトは、式VIIIによって表され、式中、JはOであり、Bは天然核酸塩基であり、U2はOであり、IはCH2であり、W1はホスホロアミダイトであり、A1は保護基、水素又は固体支持体であり、U3はOであり、任意に、ここでXはOであり、R1、R2、R3及びR4は水素である。
【0056】
或る特定の実施の形態において、ヌクレオシドホスホロアミダイトは、式VIIIによって表され、式中、JはOであり、Bは天然核酸塩基であり、U2はOであり、IはCH2であり、W1は保護基、水素又は固体支持体であり、A1はホスホロアミダイトであり、U3はOであり、任意に、ここでXはOであり、R1、R2、R3及びR4は水素である。
【0057】
或る特定の実施の形態において、ヌクレオシドホスホロアミダイトは、式Xによって表され、式中、R8はH又は保護基であり、R7はホスホロアミダイトであり、Bは天然核酸塩基であり、XはOであり、ここで、L1は式IVe(ix)によって表される。
【0058】
或る特定の実施の形態において、ヌクレオシドホスホロアミダイトは、式Xによって表され、式中、R8はH又は保護基であり、R7はホスホロアミダイトであり、Bは天然核酸塩基であり、XはOであり、ここで、L1は式IVe(xi)によって表される。
【0059】
或る特定の実施の形態において、上記ホスホロアミダイトが、式-P(ORx)-N(Ry)2を有し、式中、Rxは、任意に置換されたメチル、2-シアノエチル及びベンジルからなる群から選択され、Ryは、それぞれ、任意に置換されたエチル及びイソプロピルからなる群から選択される。
【0060】
或る特定の態様では、本開示は、(a)共有結合を介して固体支持体にヌクレオシドを付着させることと、(b)本明細書に記載されるグルタチオン感受性ヌクレオシドホスホロアミダイトを、工程(a)のヌクレオシドのヒドロキシル基にカップリングしてそれらの間にリンヌクレオシド結合を形成することであって、固体支持体上の任意のカップリングされていないヌクレオシドをキャッピング試薬によりキャップすることと、(c)酸化試薬で上記リンヌクレオシド結合を酸化することと、(d)本明細書に記載される1以上の後のグルタチオン感受性ヌクレオシドホスホロアミダイト、又はグルタチオン感受性部分を含まない1以上の後のヌクレオシドホスホロアミダイトを用いて、反復して工程(b)~工程(d)を繰り返してグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドを形成することと、(f)任意に、上記固体支持体から上記グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドを取り除くこととを含む、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドを作製する方法に関する。別の態様では、本開示は、上記方法によって作製されたオリゴヌクレオチドに関する。或る特定の実施の形態において、グルタチオン感受性部分は、例えば、本明細書に記載される式II、式III若しくは式IVによって表されるグルタチオン感受性部分、又は本明細書に記載される式IIa、式IIIa、式IIIb、式IIIa(i)、式IIIb(i)、式IVa、式IVb、式IVc、式IVd、式IVe、式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)、式IVd(i)、式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)若しくは式IVe(xi)を含むそれらの亜属のいずれかを含む、ジスルフィド架橋又はスルホニル基を含む。或る特定の態様では、本開示は、ホスホロアミダイトを含まないグルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチドに関し、ここで、グルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチドは、ヌクレオチド又はヌクレオシドの糖部分の2’-炭素に共有結合されている酸素原子に結合されるグルタチオン感受性部分を含み、グルタチオン感受性部分が、本明細書に記載される式II、式III、若しくは式IV、又はそれらの任意の亜属によって表される。
【0061】
或る特定の実施の形態において、グルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチドは、本明細書に記載される式XIによって表される。或る特定の実施の形態において、JはOであり、XはOであり、L2は、式II、式III又は式IVによって表されるグルタチオン感受性部分であり、W2は、水素、ハロゲン、OR’、SR’、NR’R’’、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換の複素環であり、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環から選択され、又は共に複素環を形成し、A2は、存在しない、水素、リン酸基、ホスフェート模倣物、又はホスホロアミデートであり、また任意に、R1、R2、R3及びR4は水素であり、U2は酸素であり、W2は水素であり、IはCH2であり、U3はOであり、A2は水素又はリン酸基である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、実施例に記載される、4つの代表的な二本鎖RNAi阻害剤分子:対照化合物A及び対照化合物B(
図1A)、並びに試験化合物1及び試験化合物2(
図1B)の例を表す図である。試験化合物1及び試験化合物2は、それぞれ、本開示に従って、二本鎖RNAi阻害剤分子のガイド鎖のヌクレオチド位置1(「ガイド位置1」)及びヌクレオチド位置14(「ガイド位置14」)において2’-炭素に指定のグルタチオン感受性部分を含む。試験化合物1及び試験化合物2のそれぞれのガイド鎖のヌクレオチド位置1及びヌクレオチド位置14のグルタチオン感受性ヌクレオチド以外に、試験化合物1及び試験化合物2における残りのヌクレオチドを、2’-F又は2’-OMeのいずれかで不可逆的に修飾した。対照化合物A及び対照化合物Bは、ガイド鎖の位置1及び位置14のヌクレオチドを除いて試験化合物1及び試験化合物2と同じである。対照化合物A及び対照化合物Bは、ガイド鎖のヌクレオチド位置1(「ガイド位置1」)に2’-Fを含む。対照化合物Aはガイド鎖の5’-末端ヌクレオチドの5’-炭素に天然リン酸塩(5’-PO
4
2-)を含むのに対し、対照化合物Bはガイド鎖の5’-末端ヌクレオチドの5’-炭素に遊離ヒドロキシル基(5’-OH)を含むことから、対照化合物Aは対照化合物Bとは異なる。対照化合物A及び対照化合物Bのガイド鎖は同じヌクレオチド配列を含むことから、試験化合物1及び試験化合物2と同じ標的mRNA配列を認識する。
【
図2】実施例3に記載されるように、グルタチオンとのインキュベーションの後の、本開示による2’-炭素にグルタチオン感受性部分を有する可逆的に修飾されたウリジンからのウリジンの放出速度を表す図である。
【
図3】実施例3に記載されるように、グルタチオンとのインキュベーションの後の試験化合物2の消失の速度を表す図である。
【
図4】実施例4に記載されるように、マウス肝細胞への化合物のトランスフェクションから48時間後に標的mRNAのノックダウンによって測定される、対照化合物(化合物A及び化合物B)と比較した試験化合物1の効力(IC
50を含む)を表す図である。
【
図5】実施例4に記載されるように、トランスフェクションから24時間後に標的mRNAのノックダウンによって測定されるサル肝細胞中の試験化合物1の効力(IC
50を含む)を表す図である。
【
図6】実施例5に記載されるように、標的mRNAのノックダウンによって測定されるマウスにおける効力、及び対照PBS注射と比較した試験化合物1のin vivo投与に続く効果の持続期間を表す図である。
【
図7】実施例5に記載されるように、標的mRNAのノックダウンによって測定されるマウスにおける効力、及び対照PBS注射と比較した試験化合物2のin vivo投与に続く効果の持続期間を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
定義
本開示のより容易な理解のために、幾つかの用語を初めに下記に規定する。以下の用語及び他の用語の付加的な定義は本明細書を通して示され得る。以下に示される用語の定義が、引用することにより本出願の一部をなす出願又は特許における定義と一致していない場合には、本出願に示される定義を使用して、その用語の意味を理解するべきである。
【0064】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合に、文脈上他に明らかに指示されない限り、数量を特定していない単数形(the singular forms "a," "an," and "the")は複数の指示対象を含む。このため、例えば「方法(a method)」への言及には1
つ以上の方法、及び/又は本明細書に記載される及び/又は本開示を読むことで当業者に明らかとなるタイプの工程等が含まれる。
【0065】
アシル:本明細書で使用される「アシル」の用語は、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル及びアリールカルボニルの部分を指す。
【0066】
脂肪族基:本明細書で使用される「脂肪族基」の用語は、1以上の官能基で任意に置換される飽和及び不飽和、直鎖(すなわち、非分岐鎖)又は分岐鎖の両方の炭化水素を指す
。「置換(された)脂肪族」の用語は、置換基を持つ脂肪族の部分を指す。
【0067】
アルコキシ:本明細書で使用される「アルコキシ」の用語は、酸素原子によって分子部分に付着されたアルキル基を指す。
【0068】
アルケニル:本明細書で使用される「アルケニル」の用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、約2個~約20個の範囲の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル基を指す。「置換(された)アルケニル」は、1以上の置換基を更に持つアルケニル基を指す。本明細書で使用される「低級アルケニル」は、2個~約6個の炭素原子を有するアルケニル部分を指す。
【0069】
アルキル:本明細書で使用される「アルキル」の用語は、1個から最大約20個の炭素原子を有する、直線又は分岐鎖のヒドロカルビル基を指す。本明細書に「アルキル」の用語が使用される場合は常に、「C1~C6アルキル」等の数値範囲は、アルキル基が、最大で6個の炭素原子を含み、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子のみを含み得ること等を意味するが、「アルキル」の用語は、炭素原子の数値範囲が明確に示されていない場合も含む。例えば、「アルキル」の用語は、C1~C10(例えば、C1~C6)の部分範囲を指す場合がある。「置換(された)アルキル」は、置換基を持つアルキル部分を指す。本明細書で使用される「低級アルキル」は、1個~約6個の炭素原子を有するアルキル部分を指す。
【0070】
アルキルアミノ:本明細書で使用される「アルキルアミノ」の用語は、アミン官能基を持つアルキルラジカルを指す。アルキルアミノは、置換であってもよく、又は非置換であってもよい。
【0071】
アルキニル:本明細書で使用される「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有し、約2個~約20個の範囲の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル基を指す。「置換(された)アルキニル」は、1以上の置換基を更に持つアルキニル基を指す。本明細書で使用される「低級アルキル」は、約2個~約6個の炭素原子を有するアルキニル部分を指す。
【0072】
およそ:本明細書で使用される、1以上の目的の値に適用される「およそ」又は「約」の用語は、規定の基準値に類似する値を指す。或る特定の実施形態では、「およそ」又は「約」の用語は、(かかる数が可能性のある値の100%を超える場合を除いて)別段の指定がない限り又は文脈から明らかでない限り、規定の基準値のいずれかの方向の(より大きい又はより少ない)25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下に含まれる値の範囲を指す。
【0073】
アプタマー:本明細書で使用される「アプタマー」の用語は、核酸、タンパク質、特定の細胞全体、又は特定の組織を含む特定の標的に対して結合親和性を有するオリゴヌクレオチドを指す。アプタマーは、当該技術分野で知られている方法、例えば核酸の大きなランダム配列プールからのin vitro選択法によって使用して得られてもよい。Lee et al., Nucleic Acid Res., 2004, 32:D95-D100。
【0074】
アンタゴmir:本明細書で使用される「アンタゴmir」の用語は、外因性のRNAi阻害剤分子又は天然miRNAのガイド鎖を含む特定の標的に対して結合親和性を有するオリゴヌクレオチドを指す(Krutzfeldt et al. Nature 2005,438(7068):685-689)。
【0075】
アンチセンス鎖:二本鎖RNAi阻害剤分子は、アンチセンス鎖及びセンス鎖の2つの
オリゴヌクレオチド鎖を含む。アンチセンス鎖又はその領域は、標的核酸の対応する領域に対して、部分的に、実質的に又は完全に相補性である。さらに、二本鎖RNAi阻害剤分子のアンチセンス鎖又はその領域は、二本鎖RNAi阻害剤分子のセンス鎖又はその領域に対して、部分的に、実質的に又は完全に相補性である。また、或る特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、標的核酸配列に対して非相補性のヌクレオチドを含んでいてもよい。非相補性ヌクレオチドは、相補性配列の片側又は相補性配列の両側のいずれにあってもよい。アンチセンス鎖又はその領域がセンス鎖又はその領域に対して部分的に又は実質的に相補性である或る特定の実施形態では、非相補性ヌクレオチドは、相補性の1以上の領域間に位置してもよい(例えば1以上のミスマッチ)。二本鎖RNAi阻害剤分子のアンチセンス鎖はガイド鎖とも呼ばれる。
【0076】
芳香族基:本明細書で使用される「芳香族基」の用語は、4n+2π電子を含み、nが整数である、非局在化されたπ電子系を有する平面環を指す。芳香環は、5個、6個、7個、8個、9個又は10個以上の原子から形成されてもよい。「芳香族」の用語は、炭素環式アリール(例えばフェニル)基と、複素環式アリール(すなわち「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」)基(例えばピリジン)の両方を包含することが意図される。上記用語は、単環式又は縮合環の多環式の環、すなわち、隣接する炭素原子対を共有する環を含む。「置換(された)芳香族」は、1以上の置換基を更に持つ芳香族基を指す。
【0077】
芳香脂肪族(Araliphatic):本明細書で使用される「芳香脂肪族」、「アリール脂肪
族」、又は「芳香族脂肪族(aromatic aliphatic)」の用語は同じ意味で使用され、1以上の芳香族部分及び1以上の脂肪族部分を含む化合物を指す。
【0078】
アリール:本明細書で使用される「アリール」の用語は、5個から最大19個の範囲の炭素原子を有する芳香族の単環式又は多環式の基を指す。「置換(された)アリール」は、1以上の置換基を更に持つアリール基を指す。
【0079】
カルボキシルの(Carboxylic):本明細書で使用される「カルボキシルの」、「カルボキシ」、又は「カルボキシル」は、一般的にはラジカルC(O)OHを指す。
【0080】
カノニカルRNA阻害剤分子:本明細書で使用される「カノニカルRNA阻害剤分子」の用語は、それぞれ21ヌクレオチド長で、二本鎖核酸の形成のための19塩基対の長さの相補性の中心領域と、それぞれの3’-末端に2つのヌクレオチドオーバーハング(overhands)とを有する核酸の2本鎖を指す。
【0081】
相補性(の):本明細書で使用される「相補性(の)」の用語は、2つのヌクレオチドが互いに塩基対を形成することを可能とする、(例えば、2つの対向する核酸に対する、又は1本の核酸鎖の対向する領域に対する)2つのヌクレオチド間の構造上の関係を指す。例えば、対向する核酸のピリミジンヌクレオチドに相補的な1つの核酸のプリンヌクレオチドは、互いに水素結合を形成することによって共に塩基対合され得る。幾つかの実施形態では、相補性ヌクレオチドは、ワトソン-クリック方式で又は安定な二重鎖の形成を可能とする任意の他の方法で塩基対合し得る。「完全に相補性」又は100%相補性は、第1のオリゴヌクレオチド鎖又は第1のオリゴヌクレオチドのセグメントの各ヌクレオチドモノマーが、第2のオリゴヌクレオチド鎖又は第2のオリゴヌクレオチド鎖のセグメントの各ヌクレオチドモノマーと塩基対を形成し得る状況を指す。100%未満の相補性は、2つのオリゴヌクレオチド鎖(又は2つのオリゴヌクレオチド鎖の2つのセグメント)のヌクレオチドモノマーの全部ではなく幾つかが互いに塩基対形成し得る状況を指す。「実質的に相補性」は、互いに90%以上の相補性を示す2つのオリゴヌクレオチド鎖(又は2つのオリゴヌクレオチド鎖のセグメント)を指す。「十分に相補性の」は、標的mRNAによってコードされるタンパク質量が減少するような、標的mRNAと核酸阻害剤分
子間との相補性を指す。
【0082】
相補鎖:本明細書で使用される「相補鎖」の用語は、他の鎖に対して部分的に、実質的に又は完全に相補性の二本鎖核酸阻害剤分子の鎖を指す。
【0083】
従来のアンチセンスオリゴヌクレオチド:本明細書で使用される「従来のアンチセンスオリゴヌクレオチド」の用語は、以下の機構の1つによって標的とされる遺伝子の発現を阻害する一本鎖オリゴヌクレオチドを指す:(1)立体障害、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば遺伝子の転写、pre-mRNAのスプライシング及びmRNAの翻訳を直接妨げることによって、遺伝子発現及び/又はコードされるタンパク質の産生に関与する一連の事象における幾つかの段階を妨げる;(2)標的とされる遺伝子のRNA転写物のRNase Hによる酵素消化の誘導;(3)標的とされる遺伝子のRNA転写物のRNase Lによる酵素消化の誘導;(4)標的とされる遺伝子のRNA転写物のRNase Pによる酵素消化の誘導;(5)標的とされる遺伝子のRNA転写物の二本鎖RNaseによる酵素消化の誘導;並びに(6)立体障害と同じアンチセンスオリゴにおける酵素消化活性の誘導との組み合わせ。従来のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAi阻害剤分子のようなRNAi作用機構を有しない。意図される標的(複数の場合もある)に、またAgo2が標的のサイレンシングに必要とされる所にRNAiアンチセンス鎖がAgo2タンパク質を導くように該アンチセンス鎖と結合するAgo2に対する要件を含む幾つかの方法で、RNAi阻害剤分子を従来のアンチセンスオリゴヌクレオチドと区別することができる。
【0084】
クリスパー(CRISPR)RNA:「クリスパー(CRISPR;Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)」は、侵入するファージ及びプラスミド
に対する防御に関与する微生物ヌクレアーゼ系である。Wright et al., Cell, 2016, 164:29-44。この原核生物のシステムは、真核細胞のゲノム中の目的の標的核酸配列の編集における使用に適合されている。Cong et al., Science, 2013,339:819-23、Mali et al., Science, 2013,339:823-26、Woo Cho et al., Nat. Biotechnology, 2013,31(3):230-232。本明細書で使用される「クリスパーRNA」の用語は、「クリスパー」RNA(crRNA)部分及び/又はcrRNAを活性化するトランス(tracrRNA)部分を含む核酸を指し、ここで、クリスパー部分は、トレーサーメイト(tracer mate)配列とtr
acrRNA部分がハイブリダイズしてガイドRNAを形成するように、標的核酸に部分的に、実質的に又は完全に相補性である第1の配列と、tracrRNA部分に十分に相補性である第2の配列(トレーサーメイト配列とも称される)とを有する。ガイドRNAは、Casエンドヌクレアーゼ(例えばCas9)等のエンドヌクレアーゼと複合体を形成し、ヌクレアーゼを標的核酸の切断を媒介するように指示する。或る特定の実施形態では、crRNA部分は、tracrRNA部分に融合されてキメラガイドRNAを形成する。Jinek et al., Science, 2012, 337:816-21。或る特定の実施形態では、crRNA
部分の第1の配列は、標的核酸にハイブリダイズする、約16個~約24個のヌクレオチド、好ましくは約20個ヌクレオチドを含む。或る特定の実施形態では、ガイドRNAは約10個~500個のヌクレオチドである。他の実施形態では、ガイドRNAは約20個~100個のヌクレオチドである。
【0085】
シクロアルキル:本明細書で使用される「シクロアルキル」の用語は、3個~12個の炭素、例えば3個~8個の炭素、例えば3個~6個の炭素を含む環状(すなわち、環含有)炭化水素基を指す。「置換(された)シクロアルキル」は、1以上の置換基を更に持つシクロアルキル基を指す。
【0086】
送達物質:本明細書で使用される「送達物質」の用語は、オリゴヌクレオチドと複合体化されて又はそれに結合されて細胞への進入を媒介する、トランスフェクション物質又は
リガンドを指す。上記用語は、例えば、オリゴヌクレオチドの負電荷に結合する正味の正電荷を有する、カチオン性リポソームを包含する。この用語は、或る特定の組織への送達を指示するためオリゴヌクレオチドに共有結合的に付着され得る、GalNAc及びコレステロール等の本明細書に記載される接合体も包含する。また、更なる特定の好適な送達物質が本明細書に記載される。
【0087】
デオキシリボヌクレオチド:本明細書で使用される「デオキシリボヌクレオチド」の用語は、糖部分の2’-位に水素基を有する、天然又は修飾されたヌクレオチドを指す。
【0088】
ジスルフィド:本明細書で使用される「ジスルフィド」の用語は、基:
【化1】
を含む化合物を指す。典型的には、硫黄原子はそれぞれ、炭化水素基に共有結合される。或る特定の実施形態では、少なくとも1つの硫黄原子が、炭化水素以外の基に共有結合される。またこの結合は、SS結合又はジスルフィド架橋と称される。
【0089】
二重鎖:本明細書で使用される、核酸(例えばオリゴヌクレオチド)に関する「二重鎖」の用語は、ヌクレオチドの2つの逆平行配列の相補的塩基対合によって形成される二重螺旋構造を指す。
【0090】
賦形剤:本明細書で使用される「賦形剤」の用語は、例えば、所望の粘度又は安定化効果を提供する又はそれに寄与するように組成物に含まれ得る非治療剤を指す。
【0091】
グルタチオン:本明細書で使用される「グルタチオン」(GSH)の用語は、下記式XIIIの構造を有するトリペプチドを指す。GSHは、およそ1mM~10mMの濃度で細胞中に存在する。GSHは、ジスルフィド結合を含むグルタチオン感受性結合を還元する。その過程で、グルタチオンは、その酸化体であるグルタチオンジスルフィド(GSSG)に変換される。一旦酸化すると、グルタチオンは、電子供与体としてNADPHを使用して、グルタチオンレダクターゼによって還元されて元に戻り得る。
【化2】
【0092】
グルタチオン感受性化合物又はグルタチオン感受性部分:本明細書で使用される「グルタチオン感受性化合物」又は「グルタチオン感受性部分」の用語は同じ意味で使用され、任意の化合物(例えばオリゴヌクレオチド、ヌクレオチド又はヌクレオシド)、又はジスルフィド架橋若しくはスルホニル基等の少なくとも1つのグルタチオン感受性結合を含む部分を指す。本明細書で使用される「グルタチオン感受性オリゴヌクレオチド」は、グルタチオン感受性結合を含む少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドである。
【0093】
半減期:本明細書で使用される「血清半減期」、「血漿半減期」及び「小胞半減期」の用語は、可逆的に修飾されたオリゴヌクレオチド等の分子の半量が特定の条件下、例えば、血清、血漿の存在下で、又はエンドソーム若しくはリソソームの小胞中で分解又は除去される時間を指す。
【0094】
ハロ:本明細書で使用される「ハロ」及び「ハロゲン」の用語は同じ意味であり、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される原子を指す。
【0095】
ハロアルキル:本明細書で使用される「ハロアルキル」の用語は、1以上のハロゲン原子が付着されたアルキル基を指し、例としてはクロロメチル、ブロモメチル、トリフルオロメチル等の基が挙げられる。
【0096】
ヘテロアリール:本明細書で使用される「ヘテロアリール」の用語は、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香族環系を指す。ヘテロアリール環は縮合されてもよく、そうでなければ、1以上のヘテロアリール環、芳香族若しくは非芳香族炭化水素環、又はヘテロシクロアルキル環に付着されてもよい。
【0097】
複素環:本明細書で使用される「複素環」又は「複素環式」の用語は、環構造の一部として1以上のヘテロ原子(例えばN、O、S等)を含み、3個から最大14個の範囲の炭素原子を有する非芳香族環状(すなわち、環含有)基を指す。「置換(された)複素環式」又は「置換(された)複素環」は、1以上の置換基を更に持つ複素環基を指す。
【0098】
IC50:本明細書で使用される「IC50」の用語はどのくらいの特定の薬物又は他の物質(阻害剤)が、所与の生物学的プロセス(例えばmRNAの発現)を半分に阻害するのに必要であるかを示す定量的な尺度を指す。
【0099】
ヌクレオチド間の結合基:本明細書で使用される「ヌクレオチド間の結合基」又は「ヌクレオチド間の結合」の用語は、2つのヌクレオシド部分を共有結合することができる化学基を指す。典型的には、化学基は、リン酸基又は亜リン酸基を含むリン含有結合基である。リン酸結合基は、ホスホジエステル結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホロチオエート結合、ホスホトリエステル結合、チオノアルキルホスホネート結合、チオノアルキルホスホトリエステル結合、ホスホロアミダイト結合、ホスホネート結合、及び/又はボラノホスフェート結合を含むことを意味する。例えば、米国特許第3,687,808号、同第4,469,863号、同第4,476,301号、同第5,023,243号、同第5,177,196号、同第5,188,897号、同第5,264,423号、同第5,276,019号、同第5,278,302号、同第5,286,717号、同第5,321,131号、同第5,399,676号、同第5,405,939号、同第5,453,496号、同第5,455,233号、同第5,466,677号、同第5,476,925号、同第5,519,126号、同第5,536,821号、同第5,541,306号、同第5,550,111号、同第5,563,253号、同第5,571,799号、同第5,587,361号、同第5,194,599号、同第5,565,555号、同第5,527,899号、同第5,721,218号、同第5,672,697号、及び同第5,625,050号に開示されるように、多くのリン含有結合が当該技術分野において良く知られている。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、リン原子を含まない1以上のヌクレオチド間の結合基、かかる短鎖アルキル若しくはシクロアルキルのヌクレオチド間の結合、混合ヘテロ原子及びアルキル若しくはシクロアルキルのヌクレオチド間の結合、又は1以上の短鎖ヘテロ原子の若しくは複素環式のヌクレオチド間の結合を含み、限定されないが、シロキサン骨格;スルフィド骨格、スルホキシド骨格及びスルホン骨格;ホルムアセチル(formacetyl)骨格及びチオホルムアセチル(thioformacetyl)骨格;メチレンホルムアセチル骨格及びメチレンチオホルムアセチル骨格;リボアセチル(riboacetyl)骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ骨格及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート骨格及びスルホンアミド骨格;並びにアミド骨格を有するものを含む。リンを含有しない結合は、例えば、米国特許第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、同第5,214
,134号、同第5,216,141号、同第5,235,033号、同第5,264,562号、同第5,264,564号、同第5,405,938号、同第5,434,257号、同第5,466,677号、同第5,470,967号、同第5,489,677号、同第5,541,307号、同第5,561,225号、同第5,596,086号、同第5,602,240号、同第5,610,289号、同第5,602,240号、同第5,608,046号、同第5,610,289号、同第5,618,704号、同第5,623,070号、同第5,663,312号、同第5,633,360号、同第5,677,437号、同第5,792,608号、同第5,646,269号、及び同第5,677,439号に開示されるように、当該技術分野でよく知られている。
【0100】
ループ:本明細書で使用される「ループ」の用語は、核酸の一本鎖によって形成された構造を指し、ここで、相補性領域間の一本鎖ヌクレオチド領域が二重鎖形成又はワトソン-クリック型塩基対合から除外されるように、特定の一本鎖ヌクレオチド領域に隣接する相補性領域がハイブリダイズする。ループは任意の長さの一本鎖ヌクレオチド領域である。ループの例として、ヘアピン及びテトラループ等の構造中に存在する不対ヌクレオチドが挙げられる。
【0101】
マイクロRNA:本明細書で使用される「マイクロRNA」、「成熟マイクロRNA」、「miRNA」及び「miR」の用語は同じ意味であり、植物及び動物のゲノム中にコードされる非コーディングRNA分子を指す。典型的には、成熟マイクロRNAは約18ヌクレオチド長~25ヌクレオチド長である。或る特定の例では、高度に保存された内因性に発現されるマイクロRNAが、特定のmRNAの3’-非翻訳領域(3’-UTR)に結合することによって遺伝子の発現を調節する。或る特定の成熟マイクロRNAは、しばしば数百ヌクレオチド長の長い内因性のマイクロRNA一次転写産物(pre-マイクロRNA、pri-マイクロRNA、pri-mir、pri-miR又はpri-pre-マイクロRNAとしても知られる)に起因するようである(Lee, et al., EMBO J., 2002, 21(17), 4663-4670)。
【0102】
修飾ヌクレオシド:本明細書で使用される「修飾ヌクレオシド」の用語は、1以上の修飾核酸塩基若しくはユニバーサル核酸塩基、又は修飾糖を含むヌクレオシドを指す。修飾核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基(本明細書では塩基類縁体とも称される)は、一般的にはヌクレオシド糖部分の1’-位にあり、1’-位のアデニン、グアニン、シトシン、チミン及びウラシル以外の核酸塩基を指す。或る特定の実施形態では、修飾核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基は窒素塩基である。或る特定の実施形態では、修飾核酸塩基は窒素原子を含まない。例えば、米国特許出願公開第20080274462号を参照されたい。或る特定の実施形態では、修飾ヌクレオチドは核酸塩基を含まない(脱塩基)。修飾糖(本明細書では糖類縁体とも称される)は、例えば、糖の2’-、3’-、4’-、又は5’-の炭素位置で修飾が生じる、修飾されたデオキシリボース又はリボースの部分を含む。また、修飾糖は、ロックド核酸(「LNA」)(例えば、Koshkin et al. (1998), Tetrahedron, 54,3607-3630を参照されたい)、架橋型核酸(「BNA」)(例えば、米国特許第7,427,672号、及びMitsuoka et al. (2009), Nucleic Acids Res., 37(4):1225-38を参照されたい)、及びアンロックド核酸(「UNA」)(例えば、Snead et al. (2013), Molecular Therapy-Nucleic Acids, 2, e103 (doi: 10.1038/mtna.2013.36)を参照されたい)に存在するもの等の非天然の代替的な炭素構造を含んでもよい。本開示に関して、好適な修飾核酸塩基若しくはユニバーサル核酸塩基、又は修飾糖が本明細書に記載される。
【0103】
修飾ヌクレオチド:本明細書で使用される「修飾ヌクレオチド」の用語は、1以上の修飾核酸塩基若しくはユニバーサル核酸塩基、修飾糖、又は修飾リン酸基を含むヌクレオチドを指す。修飾核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基(本明細書では塩基類縁体とも称され
る)は、一般的にはヌクレオシド糖部分の1’-位にあり、1’-位のアデニン、グアニン、シトシン、チミン及びウラシル以外の核酸塩基を指す。或る特定の実施形態では、修飾核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基は窒素塩基である。或る特定の実施形態では、修飾核酸塩基は窒素原子を含まない。例えば、米国特許出願公開第20080274462号を参照されたい。或る特定の実施形態では、修飾ヌクレオチドは核酸塩基を含まない(脱塩基)。修飾糖(本明細書では糖類縁体とも称される)は、例えば、糖の2’-、3’-、4’-又は5’-の炭素位置で修飾が生じる、修飾されたデオキシリボース又はリボース部分を含む。また、修飾糖は、ロックド核酸(「LNA」)(例えば、Koshkin et al.
(1998), Tetrahedron, 54,3607-3630を参照されたい)、架橋型核酸(「BNA」)(例えば、米国特許第7,427,672号、及びMitsuoka et al. (2009), Nucleic Acids Res., 37(4):1225-38を参照されたい)、及びアンロックド核酸(「UNA」)(例えば
、Snead et al. (2013), Molecular Therapy-Nucleic Acids, 2, e103 (doi: 10.1038/mtna.2013.36)を参照されたい)に存在するもの等の非天然の代替的な炭素構造を含んでもよい。修飾リン酸基は、天然ヌクレオチドには生じないリン酸基の修飾を指し、リン原子及びホスフェート(例えばアセテート)を含まない陰イオンホスフェート模倣物を含むホスフェート模倣物を含む、本明細書に記載されるような非天然起原のホスフェート模倣物を含む。また、修飾リン酸基は、本明細書に記載されるように、リンを含有するヌクレオチド間の結合基と、リンを含有しない結合基の両方を含む、非天然起原のヌクレオチド間の結合基を含む。本開示に関して好適な修飾核酸塩基若しくはユニバーサル核酸塩基、修飾糖又は修飾ホスフェートが本明細書に記載される。
【0104】
ネイキッドグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド:本明細書で使用される「ネイキッドグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド」の用語は、保護脂質ナノ粒子又は他の保護製剤に製剤化されないため、in vivoで投与された場合に血液及びエンドソーム/リソソームのコンパートメントに曝される、本明細書に記載されるグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドを指す。
【0105】
天然ヌクレオシド:本明細書で使用される「天然ヌクレオシド」の用語は、糖(例えば、デオキシリボース若しくはリボース、又はそれらの類縁体)とのN-グリコシド結合中の複素環式窒素塩基を指す。天然複素環式窒素塩基として、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル及びチミンが挙げられる。
【0106】
天然ヌクレオチド:本明細書で使用される「天然ヌクレオチド」の用語は、リン酸基に連結される糖(例えば、リボース若しくはデオキシリボース、又はそれらの類縁体)とのN-グリコシド結合中の複素環式窒素塩基を指す。天然複素環式窒素塩基として、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル及びチミンが挙げられる。
【0107】
核酸阻害剤分子:本明細書で使用される「核酸阻害剤分子」の用語は、標的遺伝子の発現を減少させる又は排除するオリゴヌクレオチド分子を指し、ここで、オリゴヌクレオチド分子は標的遺伝子mRNA中の配列を特異的に標的とする領域を含む。典型的には、核酸阻害剤分子のターゲッティング領域は、指定の標的遺伝子に対して核酸阻害剤分子の効果を導くため標的遺伝子mRNAの配列に十分に相補的な配列を含む。核酸阻害剤分子は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド及び/又は修飾ヌクレオチドを含んでもよい。
【0108】
ヌクレオシド:本明細書で使用される「ヌクレオシド」の用語は、天然ヌクレオチド又は修飾ヌクレオシドを指す。
【0109】
ヌクレオチド:本明細書で使用される「ヌクレオチド」の用語は、天然ヌクレオチド又は修飾ヌクレオチドを指す。
【0110】
ヌクレオチド位置:本明細書で使用される「ヌクレオチド位置」の用語は、5’-末端のヌクレオチドから数えたオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの位置を指す。
【0111】
オリゴヌクレオチド:本明細書で使用されるように、本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」用語は、2個~2500個のヌクレオチドの範囲のヌクレオチドの重合形態を指す。オリゴヌクレオチドは、一本鎖であってもよく又は二本鎖であってもよい。或る特定の実施形態では、例えば、オリゴヌクレオチドが遺伝子療法で使用される場合、オリゴヌクレオチドは典型的には500個~1500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖であり、7個~100個のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、典型的には、例えば、オリゴヌクレオチドが核酸阻害剤分子である場合、オリゴヌクレオチドは一本鎖又は二本鎖であり、15個~50個のヌクレオチドを有する。更に別の実施形態では、典型的には例えば、オリゴヌクレオチドが二本鎖核酸阻害剤分子であり、少なくとも18塩基対~26塩基対の二重鎖を形成する場合、オリゴヌクレオチドは一本鎖又は二本鎖であり、19個~40個又は19個~25個のヌクレオチドを有する。他の実施形態では、典型的には例えば、オリゴヌクレオチドヌクレオチドが一本鎖RNAi阻害剤分子である場合、オリゴヌクレオチドは一本鎖であり、15個~25個のヌクレオチドを有する。典型的には、本明細書に記載されるように、オリゴヌクレオチドはリンを含有するヌクレオチド間の結合基を1以上含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるように、ヌクレオチド間の結合基はリンを含有しない結合である。
【0112】
オーバーハング:本明細書で使用される「オーバーハング」の用語は、二本鎖核酸阻害剤分子のいずれかの鎖のいずれかの末端にある末端非塩基対ヌクレオチド(複数の場合もある)を指す。或る特定の実施形態では、オーバーハングは、それに対して第1の鎖又は領域が二重鎖を形成する相補鎖の末端を越えて伸びる1本の鎖又は領域から生じる。塩基対の水素結合によって二重鎖を形成することができる2つのオリゴヌクレオチド領域の一方又は両方が、2つのポリヌクレオチド又は領域によって共有される3’-及び/又は5’-末端の相補性を越えて伸びる5’-及び/又は3’-末端を有してもよい。二重鎖の3’-及び/又は5’-末端を越えて伸びる一本鎖領域をオーバーハングと呼ぶ。
【0113】
医薬組成物:本明細書で使用される「医薬組成物」の用語は、薬理学的に有効量の本発明の可逆的に修飾されたオリゴヌクレオチド又は他の生理活性剤と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む。本明細書で使用される「薬理学的有効量」、「治療的有効量」又は「有効量」は、本開示の可逆的に修飾されたオリゴヌクレオチド又は意図される薬理学的、治療的、若しくは予防的な結果を生むのに有効な他の活性剤の量を指す。
【0114】
薬学的に許容可能な賦形剤:本明細書で使用される「薬学的に許容可能な賦形剤」の用語は、その賦形剤が、合理的なベネフィット/リスク比に釣り合うように、過度の有害な副作用(毒性、刺激及びアレルギー反応等)を伴わず、ヒト及び/又は動物による使用に適しているものであることを意味する。
【0115】
ホスフェート模倣物:本明細書で使用される「ホスフェート模倣物」の用語は、リン酸基の静電気及び立体的な特性を模倣する化学部分を指す。典型的には、ホスフェート類縁体は、酵素による除去に弱いことが多い5’-ホスフェートに代わりオリゴヌクレオチドの5’末端のヌクレオチドに位置する。幾つかの実施形態では、これらの5’-ホスフェート模倣物はホスファターゼ抵抗性の結合を含む。好適なホスフェート模倣物として、その全体が引用することすることにより本明細書の一部をなす米国仮特許出願第62/393,401号に記載される、5’-メチレンホスホネート(5’-MP)及び5’-(E)-ビニルホスホネート(5’-VP)等の5’-ホスホネート、並びに4’-オキシメ
チルホスホネート、4’-チオメチルホスホネート、又は4’-アミノメチルホスホネート等のオリゴヌクレオチドの5’-末端ヌクレオチドの糖部分(例えばリボース若しくはデオキシリボース、又はその類縁体)の4’-炭素に結合されている4’-ホスフェート類縁体が挙げられる。他の修飾がオリゴヌクレオチドの5’-末端に対して開発されている(例えば、米国特許第8,927,513号、非特許文献3、国際公開第2011/133871号を参照されたい)。
【0116】
ホスホロアミダイト:本明細書で使用される「ホスホロアミダイト」の用語は、三価リン誘導体を含む窒素を指す。好適なホスホロアミダイトの例が本明細書に記載される。
【0117】
効力:本明細書で使用される「効力」は、細胞中の意図される標的に対して特定の活性水準を得るためにin vivo又はin vitroで投与されなければならないオリゴヌクレオチド又は他の薬物の量を指す。例えば、1mg/kgの投与量で被験体においてその標的の発現を90%抑えるオリゴヌクレオチドは、100mg/kgの投与量で被験体においてその標的の発現を90%抑えるオリゴヌクレオチドよりも大きな効力を有する。
【0118】
保護基:本明細書で使用される「保護基」の用語は、従来の化学的な意味で、所望の反応の或る特定の条件下で官能基を可逆的に非反応性にする基として使用される。所望の反応の後、保護された官能基を脱保護するために保護基を除去してもよい。全ての保護基は、合成されている分子の実質的な割合を低下しない条件下で除去可能でなくてはならない。
【0119】
リボヌクレオチド:本明細書で使用される「リボヌクレオチド」の用語は、糖部分の2’-位置にヒドロキシル基を有する天然又は修飾ヌクレオチドを指す。
【0120】
リボザイム:本明細書で使用される「リボザイム」の用語は、DNA又はRNAのいずれであってもよい別々の標的核酸配列を特異的に認識し切断する触媒核酸分子を指す。リボザイムはそれぞれ、触媒コンポーネント(「触媒ドメイン」とも称される)と、1つが触媒ドメインのいずれかの側にある2つの結合ドメインからなる標的配列結合コンポーネントとを有する。
【0121】
RNAi阻害剤分子:本明細書で使用される「RNAi阻害剤分子」の用語は、(a)アンチセンス鎖又はアンチセンス鎖の一部が標的mRNAの切断においてArgonaute 2(Ago2)エンドヌクレアーゼによって使用される場合の、センス鎖(パッセンジャー)及びアンチセンス鎖(ガイド)を有する二本鎖核酸阻害剤分子(「dsRNAi阻害剤分子」)、又は(b)アンチセンス鎖(又はそのアンチセンス鎖の一部)が標的mRNAの切断においてAgo2エンドヌクレアーゼによって使用される場合の、単一のアンチセンス鎖を有する1本鎖核酸阻害剤分子(「ssRNAi阻害剤分子」)のいずれかを指す。
【0122】
センス鎖:二本鎖RNAi阻害剤分子は、アンチセンス鎖とセンス鎖の2本のオリゴヌクレオチド鎖を含む。センス鎖又はその領域は、二本鎖RNAi阻害剤分子のアンチセンス鎖又はその領域に部分的に、実質的に又は完全に相補性である。或る特定の実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖に非相補性のヌクレオチドも含み得る。非相補性ヌクレオチドは、相補性配列の片側にあってもよく、又は相補性配列の両側にあってもよい。センス鎖又はその領域がアンチセンス鎖又はその領域に部分的に又は実質的に相補性である或る特定の実施形態では、非相補性ヌクレオチドは、1以上の相補性の領域間に位置してもよい(例えば1以上のミスマッチ)。センス鎖はパッセンジャー鎖とも称される。
【0123】
固体支持体:本明細書で使用される「固体支持体」は、オリゴヌクレオチド等の化合物が付着し得る非液体及び非気体の物質を指す。「固体支持体」の用語は、限定されないが、ゲル、樹脂、ビーズ、プラスチック、ガラス、シリコン、金属及びセルロースを含む様々な材料を包含する。
【0124】
スペーサー:本明細書で使用される「スペーサー」の用語は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド又はヌクレオシドにリガンドをカップリングする分子を指す。スペーサーとして、限定されないが、-(CH2)n-、-(CH2)nN-、-(CH2)nO-、-(CH2)nS-、O(CH2CH2O)nCH2CH2OH(例えばn=3又は6)、炭水化物、ペプチド、アミド、カルボキシ、アミン、オキシアミン、オキシイミン、チオエーテル、ジスルフィド、チオウレア、スルホンアミド、モルホリノ又はビオチンが挙げられる。
【0125】
置換基又は置換された:本明細書で使用される「置換基」又は「置換(された)」の用語は、所与の構造中の水素ラジカルの置換基のラジカルによる置き換えを指す。任意の所与の構造中の2以上の位置が2以上の置換基で置換され得る場合、置換基は、別段の指定がない限り、全ての位置で同じであってもよく、又は異なってもよい。本明細書で使用される「置換(された)」の用語は、有機化合物と適合する全ての許容可能な置換基を含むことが意図される。許容可能な置換基として、非環式及び環式、分岐鎖及び非分岐鎖、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族の有機化合物の置換基が挙げられる。本開示は、有機化合物の許容可能な置換基によって何ら制限されることを意図しない。
【0126】
スルホニル基:本明細書で使用される「スルホニル基」の用語は、二価の基-SO2-を含む化合物を指す。或る特定の実施形態では、硫黄原子は2個の炭素原子及び2個の酸素原子に共有結合される。他の実施形態では、硫黄原子は、炭素原子、窒素原子及び2個の酸素原子に共有結合される。
【0127】
全身投与:本明細書で使用される「全身投与」の用語は、血流中の薬物のin vivoでの体内吸収又は蓄積に続く、全身に亘る分布を指す。
【0128】
標的部位:本明細書で使用される「標的部位」、「標的配列」、「標的核酸」、「標的領域」、「標的遺伝子」の用語は同じ意味で使用され、例えば、そのガイド/アンチセンス領域内に、その標的配列に対して部分的に、実質的に、又は完全に若しくは十分に相補性の配列を含むRNAi分子によって媒介される切断に対して「標的化された」RNA又はDNAの配列を指す。
【0129】
テトラループ:本明細書で使用される「テトラループ」の用語は、近接するワトソン-クリックハイブリダイズしたヌクレオチドの安定性に寄与する安定な二次構造を形成する、ループ(一本鎖領域)を指す。理論に限定されるものではないが、テトラループは、スタッキング相互作用によって近接するワトソン-クリック塩基対を安定化し得る。さらに、テトラループにおけるヌクレオチド間の相互作用として、限定されないが、非ワトソン-クリック塩基対合、スタッキング相互作用、水素結合、及び接触相互作用が挙げられる(Cheong et al., Nature, 1990,346(6285):680-2、Heus and Pardi, Science, 1991,253(5016):191-4)。テトラループは、無作為の塩基からなる単純なモデルループ配列から予想されるよりも高い、近接する二重鎖の融解温度(Tm)の上昇を与える。例えば、テトラループは、少なくとも2塩基対の長さの二重鎖を含むヘアピンに対して10mM NaHPO4中で少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも58℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃又は少なくとも75℃の融解温度を与えることができる。テトラループは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド及びそれらの組み合わせを含んでもよい。或る特定の実施形態では、テトラループ
は、4個のヌクレオチドからなる。或る特定の実施形態では、テトラループは5個のヌクレオチドからなる。
【0130】
RNAテトラループの例として、UNCGファミリーのテトラループ(例えばUUCG)、GNRAファミリーのテトラループ(例えばGAAA)及びCUUGテトラループが挙げられる(Woese et al., PNAS, 1990,87(21):8467-71、Antao et al., Nucleic Acids
Res., 1991, 19(21):5901-5)。DNAテトラループの例として、d(GNNA)ファミリーのテトラループ(例えばd(GTTA))、d(GNRA)ファミリーのテトラループ、d(GNAB)ファミリーのテトラループ、d(CNNG)ファミリーのテトラループ、及びd(TNCG)ファミリーのテトラループ(例えばd(TTCG))が挙げられる(Nakano et al. Biochemistry, 2002,41(48):14281-14292、Shinji et al., Nippon Kagakkai Koen Yokoshu, 2000,78(2):731)。
【0131】
I.序論
本出願は、限定されないが、dsRNAi、アンチセンス、miRNA及びssRNAiの薬剤等の核酸阻害剤分子を含む、目的の任意のオリゴヌクレオチドに組み込まれ得る様々な新たなグルタチオン感受性のヌクレオチド及びヌクレオシドと並んで、標的遺伝子の発現を調節し、それを必要とする患者を治療するためにグルタチオン感受性核酸阻害剤分子を使用する方法を提供する。本出願の開示に従って1以上のグルタチオン感受性部分で可逆的に修飾され得る他のオリゴヌクレオチドとして、限定されないが、クリスパー(CRISPR;Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)核酸、
遺伝子療法用核酸、DNAエディティング用核酸及びプローブが挙げられる。
【0132】
可逆的に修飾されたオリゴヌクレオチドは、典型的には糖部分の2’-炭素にグルタチオン感受性部分を有する1以上のヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチド中の1以上のグルタチオン感受性ヌクレオチドは、血液及び細胞のリソソーム/エンドソームのコンパートメントを通る移動の間オリゴヌクレオチドを安定化し、in vivo投与の間に遭遇するヌクレアーゼ及び他の環境条件(例えばpH)からオリゴヌクレオチドを保護することを支援する。治療用オリゴヌクレオチドを保護するために使用される不可逆的なアプローチとは異なり、本明細書に開示される可逆的なグルタチオン感受性の修飾は、細胞の細胞質基質の還元環境に達するとオリゴヌクレオチドから取り除かれる。或る特定の実施形態では、2’-炭素のグルタチオン感受性部分を除去することで、2’-炭素に、その位置でリボヌクレオチドに対する天然の置換基であるヒドロキシル基が脱離する。その結果、上記オリゴヌクレオチドが細胞の細胞質基質に達すると、可逆的に修飾されたグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、細胞質基質で取り除かれる可逆的なグルタチオン感受性部分からのいかなる干渉も受けることなく、それらの意図される生物学的活性を実行することができる。本出願に開示される可逆的なグルタチオン感受性の修飾は、不可逆的な修飾に代えて又はそれと組み合わせて、細胞の細胞質基質内で増強された生物学的活性を有する安定なオリゴヌクレオチドを生成するために使用され得る合成オリゴヌクレオチドに対する強力で新たな手段となる。
【0133】
さらに、本明細書に開示されるグルタチオン感受性ヌクレオシドホスホロアミダイトは、従来の固相合成に適合している。したがって、本発明の可逆的に修飾されたグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、従来のホスホロアミダイトに基づく合成法を使用して合成され得る。この合成アプローチを使用して、グルタチオン感受性ヌクレオチドがオリゴヌクレオチドに組み込まれるヌクレオチドの位置を選択することができる。オリゴヌクレオチド中の特定のヌクレオチド位置を修飾することが好ましい場合があることから、この発見は、目的の特定のヌクレオチド位置に可逆的な修飾を有するオリゴヌクレオチドの合理的な設計を容易にする。
【0134】
また、本出願は、治療剤(例えば、抗ウイルス剤又は抗癌剤)として使用され得るグルタチオン感受性のヌクレオチド及びヌクレオシドを提供する。
【0135】
II.グルタチオン感受性オリゴヌクレオチド
本開示の1つの態様は、少なくとも1つのグルタチオン感受性部分を含むオリゴヌクレオチドに関する。典型的には、グルタチオン感受性部分は、ヌクレオチドの糖部分、例えばデオキシリボース又はリボース(又はそれらの類縁体)に付着される。典型的には、グルタチオン感受性部分は、デオキシリボース又はリボース(又はそれらの類縁体)の2’-炭素に位置する。幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、特に修飾ヌクレオチドがオリゴヌクレオチドの5’-末端ヌクレオチドである場合、リボース又はデオキシリボース(又はそれらの類縁体)の5’-炭素に位置する。他の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、特に修飾ヌクレオチドがオリゴヌクレオチドの3’-末端ヌクレオチドである場合、リボース又はデオキシリボース(又はそれらの類縁体)の3’-炭素に位置する。
【0136】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分はスルホニル基を含む。他の実施形態では、グルタチオン感受性部分はジスルフィド架橋を含む。
【0137】
或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドの糖部分(例えば、リボース)の2’-炭素に共有結合されている酸素原子に共有結合されたグルタチオン感受性部分を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含む。或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、式II、式III又は式IVによって表される。或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、式IIa、式IIIa、式IIIb、式IIIa(i)、式IIIb(i)、式IVa、式IVb、式IVc、式IVd、式IVe、式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)、式IVd(i)、式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)、又は式IVe(xi)によって表される。
【0138】
1.式I
1つの実施形態では、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、式I:
【化3】
(式中、
XはO、S、Se又はNR’であり、ここでR’は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の複素環から選択され、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、OH、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキルから選択され、又はR
1、R
2、R
3及びR
4の2つは共に5員環~8員環を形成し、ここで、環は任意にヘテロ原子を含み、
JはO、S、NR’、CR’R’’であり、ここで、R’及びR’’はそれぞれ、独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、又はヘテロアリールから選択され、
Bは、水素、天然核酸塩基、修飾された核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基から選択さ
れ、
U
2は存在しない、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、又は置換若しくは非置換のシクロアルキルであり、
Wは、水素、リン酸基、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基、ハロゲン、OR’、SR’、NR’R’’、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換の複素環であり、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環から選択され、又は共に複素環を形成し、
Iは存在しない、又はO、S、NR’、CR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
U
1は存在しない、水素、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、各々独立して、水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、ここで、U
1又はWの少なくとも1つは、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U
1がヌクレオチド間の結合基である限り、Aは存在せず、
IとU
1は組み合わされて、CR’-CR’’アルキル、CR’-CR’’アルケニル、CR’-CR’’アルキニル、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環を形成してもよく、又は共にシクロアルキル若しくは複素環を形成してもよく、
Aは存在しない、水素、リン酸基、ホスフェート模倣物、又はホスホロアミデートであり、
Lは、下記式II、式III又は式IVから選択されるグルタチオン感受性の部分である)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0139】
或る特定の実施形態では、XはOである。
【0140】
或る特定の実施形態では、R1、R2、R3及びR4は水素である。
【0141】
或る特定の実施形態では、JはOである。
【0142】
或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。
【0143】
或る特定の実施形態では、U2は、存在しない又はOである。
【0144】
或る特定の実施形態では、Wは水素、リン酸基、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基である。典型的には、Wは、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基である。
【0145】
或る特定の実施形態では、IはCH2である。
【0146】
或る特定の実施形態では、U1は水素、又は式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基である。典型的には、U1は、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、又はAは存在しない。
【0147】
或る特定の実施形態では、Aは存在しない、リン酸基、又はホスフェート模倣物である。幾つかの実施形態では、リン酸基は、モノホスフェート、ジホスフェート又はトリホスフェートである。幾つかの実施形態では、ホスフェート模倣物は、ビニルホスホネート、5’-メチレンホスホネート又は4’-オキシメチルホスホネートである。
【0148】
或る特定の実施形態では、Aは水素であり、U1はOである。
【0149】
或る特定の実施形態では、XはOであり、R1、R2、R3及びR4は水素であり、JはOである。或る特定の実施形態では、XはOであり、R1、R2、R3及びR4は水素であり、JはOであり、Bは天然核酸塩基であり、U2は存在しない又はOであり、Aは存在せず、IはCH2であり、Wは、水素、リン酸基又は、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U1は、水素、又は式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、ここで、U1又はWの少なくとも1つは、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基である。
【0150】
或る特定の実施形態では、式Iの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、2個~2500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式Iのオリゴヌクレオチドは、500個~1500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式Iの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、7個~100個のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、式Iの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、15個~50個のヌクレオチドを有する。更に別の実施形態では、式Iの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、19個~25個のヌクレオチドを有する。
【0151】
或る特定の実施形態では、本出願を通して更に詳細に検討されるように、式Iの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは核酸阻害剤分子である。他の実施形態では、式Iの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、クリスパー核酸、遺伝子療法用核酸、DNAエディティング用核酸、プローブ、又はin vivoで投与される他のオリゴヌクレオチドを含む、ヌクレアーゼによる分解及び/又は過酷な環境条件(例えばpH)に弱い任意の他のオリゴヌクレオチドである。
【0152】
或る特定の実施形態では、核酸阻害剤分子中の少なくとも1つのヌクレオチドの糖部分の環状構造は修飾され、先に検討されるように、例えば、ロックド核酸(「LNA」)構造、架橋型核酸(「BNA」)構造、及びアンロックド核酸(「UNA」)構造を包含する。
【0153】
a.グルタチオン感受性部分-式II
上で検討されるように、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含み、ここで、グルタチオン感受性部分は、式II、式III又は式IVから選択される。幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、以下の通り式II:
【化4】
(式中、
Yは、O、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環が選択され、
Zは、O、S、NR’又はCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はR’とR’’が共に複素環を形成し、
Vは、C又はSOであり、
X
2及びX
3は、独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アシル、置換又は非置換の脂肪族、OR
10、COR
10、CO
2R
10、NQ
1Q
2から選択され、ここで、R
10は、独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、ヒドロキシル若しくはアルコキシ置換脂肪族、アリール脂肪族、ヒドロキシル若しくはアルコキシ置換アリール、又はアルコキシ置換複素環であり、
PとQは、共にジスルフィド架橋又はスルホニル基を形成し、
Tは、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTはスペーサーを介してP若しくはQに任意に接続されたリガンドである)によって表される。
【0154】
或る特定の実施形態では、上記ジスルフィド架橋又は上記スルホニル基は、少なくとも約7.5のpHでグルタチオンによって細胞質基質において切断可能である。
【0155】
幾つかの実施形態では、YはO、S又はNHである。典型的には、YはOである。
【0156】
幾つかの実施形態では、ZはO、S又はNR’である。典型的には、ZはNHである。
【0157】
幾つかの実施形態では、VはSOである。典型的には、VはCである。
【0158】
幾つかの実施形態では、X2及びX3は、独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ若しくはアシル、又はC3~C6の分岐鎖若しくは非分岐鎖のアルキルから選択される。典型的には、X2及びX3は、独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、又はアミノから選択される。
【0159】
典型的には、P及びQは共にジスルフィド結合を形成する。
【0160】
幾つかの実施形態では、TはC3~C6の分岐鎖若しくは非分岐鎖のアルキルであり、又はTは任意にスペーサーを介してP若しくはQに接続されたリガンドである。典型的には、TはC4分岐鎖アルキルである。
【0161】
或る特定の実施形態では、式IIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、2個~2500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式IIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、500個~1500個のヌクレオ
チドを有する。或る特定の実施形態では、式IIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、7個~100個のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、式IIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、15個~50個のヌクレオチドを有する。更に別の実施形態では、式IIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、19個~25個のヌクレオチドを有する。
【0162】
或る特定の実施形態では、本出願を通して更に詳細に検討されるように、式IIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは核酸阻害剤分子である。他の実施形態では、式IIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、クリスパー核酸、遺伝子療法用核酸、DNAエディティング用核酸、プローブ、又はin vivoで投与される他のオリゴヌクレオチドを含む、ヌクレアーゼによる分解及び/又は過酷な環境条件(例えばpH)に弱い任意の他のオリゴヌクレオチドである。
【0163】
i.式IIa
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化5】
によって表される。
【0164】
b.グルタチオン感受性部分-式III
式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含むグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの別の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、以下の通り式III:
【化6】
(式中、
YはO、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の複素環から選択され、
Z
1はN又はCR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、
Vは、C又はSOであり、
M
1及びM
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換の芳香族、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のシクロアルキルから選択され、
P
1とQ
1は、共にジスルフィド架橋若しくはスルホニル基を形成し、又はP
1とQ
1は、それぞれ独立して、ジスルフィド架橋若しくはスルホニル基であり、
P
1とQ
1がジスルフィド架橋を形成する場合、M
1、M
2、P
1及びQ
1は4員環~9員環を形成してもよく、ここで、環は、置換又は非置換の芳香族、置換又は非置換のシクロアルキルであってもよく、ここで、芳香族又はシクロアルキル環が、任意にヘテロ原子を含んでもよく、
T
a及びT
bは、それぞれ独立して、存在しない、又はCH
3、置換若しくは置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、若しくは任意のスペーサーを介してP
1若しくはQ
1に任意に接続されたリガンドから選択される)によって表される。
【0165】
幾つかの実施形態では、M1、M2、P1及びQ1は共に、アルコキシ置換アリール脂肪族、アルコキシ置換ヘテロアリール、又はアルコキシ置換複素環を含む5員環~8員環を形成する。
【0166】
幾つかの実施形態では、YはO、S又はNHである。典型的には、YはOである。
【0167】
幾つかの実施形態では、Z1はN又はCHである。典型的には、Z1はNである。
【0168】
幾つかの実施形態では、VはSOである。典型的には、VはCである。
【0169】
幾つかの実施形態では、M1及びM2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の脂肪族から選択され、又はM1、M2、P1及びQ1は、共に4員環~9員環を形成し、ここで、環は、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換の複素環である。典型的には、M1及びM2は置換若しくは非置換のC2~C6アルキルであるか、又はP1及びQ1と共に5員環~8員環を形成し、ここで、環は置換又は非置換のシクロアルキルである。
【0170】
幾つかの実施形態では、P1及びQ1は、共にジスルフィド架橋又はスルホニル基を形成する。典型的には、P1及びQ1は共にジスルフィド架橋を形成する。幾つかの実施形態では、ジスルフィド架橋又はスルホニル基は、少なくとも約7.5のpHでグルタチオンによって細胞質基質において切断可能である。
【0171】
幾つかの実施形態では、Ta及びTbは存在しない、又はそれぞれ独立して、存在しない、又はCH3、分岐鎖若しくは直鎖のC3~C6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、若しくは任意のスペーサーを介してP1若しくはQ1に任意に接続されたリガンドから選択される。典型的には、Ta及びTbは、存在しない、分岐鎖C3~C6アルキル、又は任意のスペーサーを介してP1若しくはQ1に接続されたリガンドである。
【0172】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、式IIIによって表され、式中、YはO、S又はNHであり、Z1はNであり、VはCであり、M1及びM2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換の芳香族、置換若しくは非置換のヘテロアリールから選択され、又はM1、M2、P1及びQ1は共に4員環~9員環を形成し、ここで、環は、置換若しくは非置換の芳香族、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換の複素環、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、P1及びQ1は共にジスルフィド架橋を形成し、Ta及びTbは、存在しない、又は任意のスペーサーを介してP1若しくはQ1に任意に接続されたリガンドである。
【0173】
典型的には、グルタチオン感受性部分は、式IIIによって表され、式中、YはO、S又はNHであり、Z1はNであり、VはCであり、M1、M2、P1及びQ1は共に5員環~8員環を形成し、ここで、環は、置換若しくは非置換の芳香環又は置換若しくは非置
換のシクロアルキルであり、ここで、任意に芳香環又はシクロアルキルは任意のヘテロ原子も含んでもよく、P1及びQ1は共にジスルフィド架橋を形成し、Ta及びTbは、存在しない、又は任意にP1若しくはQ1に任意のスペーサーを介して接続されたリガンドである。
【0174】
より典型的には、グルタチオン感受性部分は、式IIIによって表され、式中、YはO、S又はNHであり、Z1はNであり、VはCであり、M1、M2、P1及びQ1は共に7員環を形成し、ここで、環は置換又は非置換のシクロアルキルであり、P1及びQ1は共にジスルフィド架橋を形成し、Ta及びTbは存在しない。
【0175】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、式IIIによって表され、式中、YはO、S又はNHであり、Z1はNであり、VはCであり、M1及びM2は、それぞれ独立して、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換の芳香族、置換又は非置換のヘテロアリールから選択され、P1及びQ1は、それぞれ独立して、ジスルフィド架橋であり、Ta及びTbは、CH3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、又は任意のスペーサーを介してP1若しくはQ1に任意に接続されたリガンドから選択される。
【0176】
より典型的には、グルタチオン感受性部分は、式IIIによって表され、式中、YはO、S又はNHであり、Z1はNであり、VはCであり、M1及びM2は置換又は非置換の脂肪族であり、P1及びQ1は、それぞれ独立して、ジスルフィド架橋であり、Ta及びTbは、それぞれ独立して、CH3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、又は任意のスペーサーを介してP1若しくはQ1に任意に接続されたリガンドである。
【0177】
更に典型的には、グルタチオン感受性部分は、式IIIによって表され、式中、YはO、S又はNHであり、Z1はNであり、VはCであり、M1及びM2は置換若しくは非置換の脂肪族であり、P1及びQ1は、それぞれ独立して、ジスルフィド架橋であり、Ta及びTbは、それぞれ独立して、存在しない、又はCH3、分岐鎖若しくは非分岐鎖のC3~C6アルキル、若しくは任意のスペーサーを介してP1若しくはQ1に任意に接続されたリガンドから選択される。
【0178】
或る特定の実施形態では、式IIIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、2個~2500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式IIIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、500個~1500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式IIIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、7個~100個のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、式IIIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、15個~50個のヌクレオチドを有する。更に別の実施形態では、式IIIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、19個~25個のヌクレオチドを有する。
【0179】
或る特定の実施形態では、本出願を通して更に詳細に検討されるように、式IIIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは核酸阻害剤分子である。他の実施形態では、式IIIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、クリスパー核酸、遺伝子療法用核酸、DNAエディティング用核酸、プローブ、又はin vivoで投与される他のオリゴヌクレオチドを含む、ヌクレアーゼによる分解及び/又は過酷な環境条件(例えばpH)に弱い任意の他のオリゴヌクレオチドである。
【0180】
i.式IIIa
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化7】
(式中、YはO、S又はNHであり、Z
1はN又はCR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択される)によって表される。
【0181】
より典型的には、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化8】
によって表される。
【0182】
ii.式IIIb
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化9】
(式中、YはO、S又はNHであり、Z
1はN又はCR’であり、ここで、R’は水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、T
a及びT
bは、それぞれ独立して、存在しない、又はCH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、若しくはスペーサーを介して硫黄原子に任意に接続されたリガンドから選択される)によって表される。
【0183】
より典型的には、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化10】
によって表される。
【0184】
c.グルタチオン感受性部分-式IV
式Iによって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含むグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの更に他の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、以下の通り式IV:
【化11】
(式中、YはO、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、
Zは、O、S、NR’又はCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はR’及びR’’は共に複素環を形成し、
VはC又はSOであり、
G及びEは、それぞれ独立して、存在しない、又はCH
2、CHR’、CR’R’’、NH若しくはNR’から選択することができ、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はR’及びR’’は共に複素環を形成し、
M
3及びM
4は、共に4員環~9員環を形成してもよく、ここで、環は、置換又は非置換の芳香族、置換又は非置換のシクロアルキルであってもよく、芳香族若しくはシクロアルキル環は、任意にヘテロ原子を含んでもよく、又はM
3及びM
4は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換の芳香族、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、又はCOORから選択され、ここで、Rは、水素、CH
3、又は置換若しくは非置換の脂肪族から選択され、
Kは、C、CH、又は置換若しくは非置換の脂肪族であり、
nは0~5であり、
P及びQは、共にジスルフィド架橋又はスルホニル基を形成し、
Tは、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTは任意のスペーサーを介してP若しくはQに任意に接続されたリガンドであってもよい)によって表される。
【0185】
幾つかの実施形態では、YはO、S又はNHである。典型的には、YはOである。
【0186】
幾つかの実施形態では、ZはO、S、NH、NR’又はCR’R’’であり、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、CH3、又は置換若しくは非置換の脂肪族から選択される。或る特定の実施形態では、ZはNH又はN-CH3である。
【0187】
幾つかの実施形態では、VはSOである。典型的には、VはCである。
【0188】
幾つかの実施形態では、M3及びM4は、それぞれ独立して、水素、若しくはC2~C6アルキル等の置換若しくは非置換の脂肪族から選択され、又はM3及びM4は、共に4員環~9員環を形成し、ここで、環は、置換若しくは非置換のシクロアルキル、又は置換若しくは非置換の複素環である。典型的には、M3及びM4は、独立して、置換若しくは非置換のC2~C6アルキルあり、又は共に5員環~8員環を形成し、ここで、環は置換又は非置換のシクロアルキルである。
【0189】
幾つかの実施形態では、Gは、存在しない、CH2、又はCHR’であり、ここで、R’は置換又は非置換の脂肪族である。典型的には、Gは、存在しない又はCH2である。
【0190】
幾つかの実施形態では、Eは、存在しない、NH、NR’、CH2又はCHR’であり、ここで、R’は置換又は非置換の脂肪族である。典型的には、Eは存在しない、NH、又はCH2である。
【0191】
幾つかの実施形態では、G及びEは存在しない。
【0192】
幾つかの実施形態では、KはC又はCHである。典型的には、KはCHである。
【0193】
幾つかの実施形態では、nは0である。
【0194】
幾つかの実施形態では、P及びQは共にジスルフィド架橋又はスルホニル基を形成する。典型的には、P及びQは共にジスルフィド架橋を形成する。幾つかの実施形態では、ジスルフィド架橋又はスルホニル基は、少なくとも約7.5のpHでグルタチオンによって細胞質基質において切断可能である。
【0195】
幾つかの実施形態では、Tは、置換若しくは非置換のC2~C6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTは任意のスペーサーを介してP若しくはQに任意に接続されたリガンドである。典型的には、Tは、置換若しくは非置換のC2~C6アルキル、又は任意のスペーサーを介してP若しくはQに任意に接続されたリガンドである。
【0196】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、式IVで表され、式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S、NH又はNCH3であり、VはCであり、GはCH2であり、かつEは存在せず、又はGは存在せず、かつEはCH2であり、M3及びM4は共に5員環~8員環を形成し、ここで、環はヘテロ原子によって置換されたシクロアルキル若しくは非置換のシクロアルキルであり、又はM3及びM4は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC2~C6アルキルであり、KはCHであり、nは0であり、P及びQは共にジスルフィド架橋を形成し、Tは、CH3、置換若しくは非置換のC2~C6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTは任意のスペーサーを介してP若しくはQに任意に接続されたリガンドである。
【0197】
或る特定の実施形態では、式IVのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチ
ドは、2個~2500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式IVのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、500個~1500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式IVのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、7個~100個のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、式IVのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、15個~50個のヌクレオチドを有する。更に別の実施形態では、式IVのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、19個~25個のヌクレオチドを有する。
【0198】
或る特定の実施形態では、本出願を通して更に詳細に検討されるように、式IVのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは核酸阻害剤分子である。他の実施形態では、式IVのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチドは、クリスパー核酸、遺伝子療法用核酸、DNAエディティング用核酸、プローブ、又はin vivoで投与される他のオリゴヌクレオチドを含む、ヌクレアーゼによる分解及び/又は過酷な環境条件(例えばpH)に弱い任意の他のオリゴヌクレオチドである。
【0199】
i.式IVa
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化12】
(式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNHであり、R
5、R
6及びR
7は、それぞれ独立して、Oアシル、NHR’、NR’、又はCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換された脂肪族若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環から選択され、又は共に複素環を形成し、
Tは、分岐鎖若しくは非分岐鎖のC
2~C
6アルキルであり、又は任意のスペーサーを介して任意に硫黄原子に接続されたリガンドである)によって表すことができる。
【0200】
例えば、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化13】
によって表すことができる。
【0201】
ii.式IVb
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化14】
(式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNHであり、VはCであり、M
3及びM
4は水素であり、KはCH、又は置換若しくは非置換の脂肪族であり、EはNH又はNR’であり、ここで、R’は置換又は非置換の脂肪族であり、nは0~5であり、Tは、置換若しくは非置換のC
2~C
6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTは任意のスペーサーを介して任意に接続されたリガンドである)によって表すことができる。
【0202】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、式IVbによって表され、式中、YはOであり、ZはNHであり、VはCであり、M3及びM4は水素であり、KはCHであり、EはNHであり、nは1であり、P及びQは共にスルホニル基を形成し、Tは置換アリールである。
【0203】
例えば、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化15】
(式中、Rは、水素、CH
3、NO
2、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル若しくは複素環から選択され、又はRは任意のスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである)によって表すことができる。
【0204】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、式IVbによって表され、式中、YはOであり、ZはNHであり、VはCであり、M3及びM4は水素であり、KはCHであり、EはNHであり、nは0であり、P及びQは共にスルホニル基を形成し、Tは置換アリールである。
【0205】
例えば、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化16】
(式中、Rは、水素、CH
3、NO
2、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル若しくは複素環から選択され、又はRは任意のスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである)によって表すことができる。或る特定の実施形態では、Rは水素である。
【0206】
iii.式IVc
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、式IVによって表され、式中、YはO、S、NHであり、Zは、O、S又はNR’から選択され、ここで、R’は、水素、ハロゲン、CH3、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、G及びEは存在せず、VはCであり、M3及びM4は共に5員環~8員環を形成し、ここで、環は、任意にヘテロ原子で置換された置換又は非置換のシクロアルキルであり、KはCHであり、nは0~5であり、P及びQは共にジスルフィド架橋を形成し、Tは、置換若しくは非置換のC2~C6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTは任意のスペーサーを介して任意に接続されたリガンドである。典型的には、YはOであり、ZはNH又はNCH3である。
【0207】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化17】
(式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNR’から選択され、ここで、R’は、水素、ハロゲン、CH
3、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、VはCであり、M
3及びM
4は、共に5員環~8員環を形成し、ここで、環は、任意にヘテロ原子で置換された置換又は非置換のシクロアルキルであり、Kは、分岐鎖又は直鎖の置換又は非置換のC
2~C
6アルキルであり、nは0又は1であり、Tは、置換若しくは非置換のC
2~C
6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTは任意のスペーサーを介して任意に接続されたリガンドであり、Rは、水素、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はRは任意のスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである)によって表される。典型的には、YはOであり、ZはNH又はNCH
3である。
【0208】
例えば、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化18】
(式中、Rは、水素、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリ
ール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はRは任意のスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである)によって表すことができる。
【0209】
iv.式IVd
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、式IVで表され、式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNR’から選択され、ここで、R’は、水素、ハロゲン、CH3、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、VはCであり、G及びEは存在せず、M3はCOORであり、ここで、Rは、水素、CH3、又は置換若しくは非置換のC2~C6アルキルから選択され、M4は水素であり、KはCHであり、nは0であり、P及びQは共にジスルフィド架橋を形成し、Tは、置換若しくは非置換C2~C6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTは任意のスペーサーを介してP若しくはQに任意に接続されたリガンドである。典型的には、YはOであり、ZはNH又はNCH3である。
【0210】
1つの実施形態では、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化19】
(式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S、NH又はNCH
3であり、Tは、置換若しくは非置換のC
2~C
6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTは任意のスペーサーを介して任意に接続されたリガンドであり、Rは、水素、CH
3、又は置換若しくは非置換のC
2~C
6アルキルから選択される)によって表される。
【0211】
例えば、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化20】
によって表すことができる。
【0212】
v.式IVe
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、式IVによって表され、式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNR’から選択され、ここで、R’は、水素、ハロゲン、CH3、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、VはC又はSOであり、nは0であり、M3及びM4は共に4員環~9員環を形成し、ここで、環は置換又は非置換のアリールであり、Kは、C、CH、N、NH、又は分岐鎖若しくは非分岐鎖の置換若しくは非置換のC2~C6アルキルであり、Tは、置換若しくは非置換のC2~C6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はT
は任意のスペーサーを介して任意に接続されたリガンドである。典型的には、YはOであり、ZはNH又はNCH3である。
【0213】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化21】
(式中、YはO、S、NHであり、ZはO、S又はNR’から選択され、ここで、R’は、水素、ハロゲン、CH
3、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され、VはC又はSOであり、G及びEは、それぞれ独立して、存在しなくてもよく、又はCH
2、CHR’、CR’R’’、NH、NR’から選択されてもよく、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はR’とR’’は共に複素環を形成し、KはC又はCHであり、nは0~5であり、Tは、置換若しくは非置換のC
2~C
6アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、又はTは任意のスペーサーを介して任意に接続されたリガンドであり、Rは、水素、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はRは任意のスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである)によって表される。
【0214】
或る特定の実施形態では、ZはNR’であり、ここで、R’は水素、CH3、又は置換若しくは非置換の脂肪族である。典型的には、ZはNH又はNCH3である。或る特定の実施形態では、ZはSである。
【0215】
或る特定の実施形態では、YはO、S又はNHであり、VはCである。或る一つの実施形態では、VはSOであり、YはOである。
【0216】
或る特定の実施形態では、G及びEの一方又は両方は、存在しない、CH2、又はCR’R’’であり、ここで、R’及びR’’は、独立して、水素、又は置換若しくは非置換の脂肪族から選択される。或る特定の実施形態では、G及びEはいずれも存在しない、又はGはCH2であり、かつEは存在しない、又はGは存在せず、かつEはCH2若しくは分岐鎖アルキルである。
【0217】
例えば、グルタチオン感受性部分は下記式:
【化22】
(式中、Rは、水素、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はRは任意のスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである)の1つによって表すことができる。
【0218】
2.式V(式IIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチド)
他の実施形態では、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式V:
【化23】
(式中、
A、U
1、I、B、W及びU
2は式Iに記載される通りであり、
Y、V、Z、X
2、X
3、P、Q及びTは、式IIに記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0219】
或る特定の実施形態では、U1は、存在しない、酸素、又は式Vによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基、又は水素であり、U2は、存在しない又はOであり、Wは、水素、リン酸基、又は式Vによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U1又はWの少なくとも1つが、式Vによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基である限り、またU1がヌクレオチド間の結合基である限り、Aは存在しない。
【0220】
或る特定の実施形態では、IはCH2である。或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。或る特定の実施形態では、IはCH2であり、Bは天然核酸塩基である。
【0221】
或る特定の実施形態では、Aは水素、リン酸基又はホスフェート模倣物である。或る特定の実施形態では、Aは水素であり、U1は酸素である。或る特定の実施形態では、Aは水素であり、U1は酸素であり、IはCH2である。
【0222】
a.式Va
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化24】
(式中、A、U
1、U
2、I、W及びBは上記で式Vに記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0223】
或る特定の実施形態では、式Vの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、2個~2500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式Vの少
なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、500個~1500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式Vの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、7個~100個のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、式Vの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、15個~50個のヌクレオチドを有する。更に別の実施形態では、式Vの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、19個~25個のヌクレオチドを有する。
【0224】
或る特定の実施形態では、本出願を通して更に詳細に検討されるように、式Vの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは核酸阻害剤分子である。他の実施形態では、式Vの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、クリスパー核酸、遺伝子療法用核酸、DNAエディティング用核酸、プローブ、又はin vivoで投与される他のオリゴヌクレオチドを含む、ヌクレアーゼによる分解及び/又は過酷な環境条件(例えばpH)に弱い任意の他のオリゴヌクレオチドである。
【0225】
3.式VI(式IIIのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチド)
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式VI:
【化25】
(式中、
A、U
1、I、B、W及びU
2は式Iに記載される通りであり、
Y、V、Z
1、M
1、M
2、P
1、Q
1、T
a及びT
bは、式IIIに記載される通りである)によって以下の通り表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0226】
或る特定の実施形態では、U1は、存在しない、酸素、又は式VIによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基、又は水素であり、U2は、存在しない又はOであり、Wは、水素、リン酸基、又は式VIによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U1又はWの少なくとも1つが、式VIによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基である限り、またU1がヌクレオチド間の結合基である限り、Aは存在しない。
【0227】
或る特定の実施形態では、IはCH2である。或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。或る特定の実施形態では、IはCH2であり、Bは天然核酸塩基である。
【0228】
或る特定の実施形態では、Aは水素、リン酸基又はホスフェート模倣物である。或る特定の実施形態では、Aは水素であり、U1は酸素である。或る特定の実施形態では、Aは水素であり、U1は酸素であり、IはCH2である。
【0229】
或る特定の実施形態では、式VIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレ
オチドは、2個~2500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式VIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、500個~1500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式VIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、7個~100個のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、式VIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、15個~50個のヌクレオチドを有する。更に別の実施形態では、式VIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、19個~25個のヌクレオチドを有する。
【0230】
或る特定の実施形態では、本出願を通して更に詳細に検討されるように、式VIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは核酸阻害剤分子である。他の実施形態では、式VIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、クリスパー核酸、遺伝子療法用核酸、DNAエディティング用核酸、プローブ、又はin vivoで投与される他のオリゴヌクレオチドを含む、ヌクレアーゼによる分解及び/又は過酷な環境条件(例えばpH)に弱い任意の他のオリゴヌクレオチドである。
【0231】
a.式VIa
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化26】
(式中、A、U
1、U
2、W、I及びBは式VIについて上に記載される通りであり、Y及びZ
1は式IIIaについて上に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0232】
より典型的には、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化27】
(式中、A、U
1、U
2、W及びBは、式VIについて上に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0233】
b.式VIb
幾つかの実施形態では、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化28】
(式中、A、U
1、U
2、W、I及びBは式VIについて上に記載される通りであり、Y、Z
1及びT
a及びT
bは式IIIbについて上に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0234】
より典型的には、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化29】
(式中、A、U
1、U
2、W及びBは、式VIについて上に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0235】
4.式VII(式IVのグルタチオン感受性部分を有するオリゴヌクレオチド)
幾つかの実施形態では、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式VII:
【化30】
(式中、
A、U
1、I、B、W及びU
2は式Iに記載される通りであり、
Y、Z、V、K、G、E、n、M
3、M
4、P、Q、及びTは、上記で式IVに記載さ
れる通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0236】
或る特定の実施形態では、U1は、存在しない、酸素、又は式VIIによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基、又は水素であり、U2は、存在しない又はOであり、Wは、水素、リン酸基、又は式VIIによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基であり、U1又はWの少なくとも1つが、式VIIによって表される少なくとも1つのヌクレオチドをヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに付着するヌクレオチド間の結合基である限り、またU1がヌクレオチド間の結合基である限り、Aは存在しない。
【0237】
或る特定の実施形態では、IはCH2である。或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。或る特定の実施形態では、IはCH2であり、Bは天然核酸塩基である。
【0238】
或る特定の実施形態では、Aは水素、リン酸基又はホスフェート模倣物である。或る特定の実施形態では、Aは水素であり、U1は酸素である。或る特定の実施形態では、Aは水素であり、U1は酸素であり、IはCH2である。
【0239】
或る特定の実施形態では、式VIIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、2個~2500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式VIIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、500個~1500個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、式VIIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、7個~100個のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、式VIIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、15個~50個のヌクレオチドを有する。更に別の実施形態では、式VIIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、19個~25個のヌクレオチドを有する。
【0240】
或る特定の実施形態では、本出願を通して更に詳細に検討されるように、式VIIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは核酸阻害剤分子である。他の実施形態では、式VIIの少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、クリスパー核酸、遺伝子療法用核酸、DNAエディティング用核酸、プローブ、又はin vivoで投与される他のオリゴヌクレオチドを含む、ヌクレアーゼによる分解及び/又は過酷な環境条件(例えばpH)に弱い任意の他のオリゴヌクレオチドである。
【0241】
a.式VIIa
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性修飾オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化31】
(式中、A、U
1、U
2、W、I及びBは、式VIIについて上に記載される通りであり、Y、Z、R
5、R
6、及びR
7、及びTは、式IVaにおいて上に記載される通りであ
る)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。
【0242】
より典型的には、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化32】
(式中、A、U
1、U
2、W及びBは、式VIIについて上に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0243】
b.式VIIb
幾つかの実施形態では、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化33】
(式中、A、U
1、U
2、W、I及びBは、式VIIについて上に記載される通りであり、Y、V、Z、K、E、M
3、M
4、n、及びTは、式IVbについて上に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。
【0244】
幾つかの実施形態では、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化34】
(式中、A、U
1、U
2、W及びBは、式VIIについて上に記載される通りであり、Rは式IVb(i)に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0245】
幾つかの実施形態では、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化35】
(式中、A、U
1、U
2、W、及びBは、式VIIについて上に記載される通りであり、Rは、式IVb(ii)に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0246】
c.式VIIc
幾つかの実施形態では、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化36】
(式中、A、U
1、U
2、W、I及びBは、式VIIについて上に記載される通りであり、Y、Z、V、K、n、T、及びRは、式IVcについて上に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。
【0247】
より典型的には、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化37】
(式中、A、U
1、U
2、W及びBは、式VIIについて上に記載される通りであり、Rは式IVc(i)に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0248】
d.式VIId
幾つかの実施形態では、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化38】
(式中、A、U
1、U
2、W、I及びBは、式VIIについて上に記載される通りであり、Y、Z、R、及びTは、式IVdについて上に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。
【0249】
より典型的には、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化39】
(式中、A、U
1、U
2、W及びBは、式VIIについて上に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0250】
e.式VIIe
幾つかの実施形態では、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化40】
(式中、A、U
1、U
2、W、I及びBは、式VIIについて上に記載される通りであり、V、Y、Z、G、E、T、K、n、R、及びTは、式IVeについて上に記載される通りである)によって表される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。
【0251】
より典型的には、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、下記式:
【化41】
(式中、A、U
1、U
2、W、及びBは、式VIIについて上に記載される通りであり、Rは、水素、CH
3、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、若しくは複素環から選択され、又はRは任意のスペーサーを介して任意に接続された標的リガンドである)の1つから選択される少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0252】
A.グルタチオン感受性核酸阻害剤分子
或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性部分は核酸阻害剤分子に組み込まれる。一本鎖及び二本鎖のオリゴヌクレオチドを含む核酸阻害剤分子として様々なオリゴヌクレオチド構造が使用されており、これらの様々なオリゴヌクレオチドのいずれかは本明細書に記載される1以上のグルタチオン感受性ヌクレオチドを含めるように修飾され得る。
【0253】
或る特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は、センス(すなわちパッセンジャー)鎖及びアンチセンス(すなわちガイド鎖)を含む二本鎖RNAi阻害剤分子である。様々な二本鎖RNAi阻害剤分子の構造が当該技術分野で知られている。例えば、RNAi阻害剤分子の初期の研究は、各鎖が少なくとも1つの1個~5個のヌクレオチドの3’-オーバーハングを含む19個~25個のヌクレオチドのサイズを有する二本鎖核酸分子に注目した(例えば、米国特許第8,372,968号を参照されたい)。後に、Dicer酵素によってin vivoで処理されてRNAi阻害剤分子を活性化する、より長い二本鎖RNAi阻害剤分子が開発された(例えば、米国特許第8,883,996号を参照されたい)。後の研究は、少なくとも1つの鎖の少なくとも1つの末端が分子の二本鎖標的領域を越えて伸長されている伸長された二本鎖核酸阻害剤分子であって、鎖の一本が熱力学的に安定化するテトラループ構造を含む構造を含む二本鎖核酸阻害剤分子を開発した(例えば、これらの二本鎖核酸阻害剤分子のそれらの開示を引用することにより本明細書の一部をなす、米国特許第8,513,207号、米国特許第8,927,705号、国際公開第2010/033225号及び国際公開第2016/100401号を参照されたい)。それらの構造は、一本鎖伸長(分子の片側又は両側)及び二本鎖伸長を含む。
【0254】
dsRNAi阻害剤分子の幾つかの実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は15
個~66個、25個~40個又は19個~25個のヌクレオチドの範囲である。幾つかの実施形態では、センス鎖は18ヌクレオチド長~66ヌクレオチド長である。或る特定の実施形態では、センス鎖は18ヌクレオチド長~25ヌクレオチド長である。或る特定の実施形態では、センス鎖は、18個、19個、20個、21個、22個、23個又は24個のヌクレオチド長である。それらの実施形態の幾つかでは、センス鎖は25ヌクレオチド長~45ヌクレオチド長である。或る特定の実施形態では、センス鎖は30ヌクレオチド長~40ヌクレオチド長である。或る特定の実施形態では、センス鎖は、36個、37個、38個、39個又は40個のヌクレオチド長である。或る特定の実施形態では、センス鎖は25ヌクレオチド長~30ヌクレオチド長である。それらの実施形態の幾つかでは、センス鎖は25個、26個又は27個のヌクレオチド長である。
【0255】
dsRNAi阻害剤分子の幾つかの実施形態では、アンチセンス鎖は18ヌクレオチド長~66ヌクレオチド長である。典型的には、アンチセンス鎖は、標的遺伝子に対して核酸阻害剤分子の効果を導くように、標的遺伝子mRNA中の配列に十分に相補的な配列を含む。或る特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、標的遺伝子mRNAに含まれる配列と完全に相補性の配列を含み、ここで完全に相補性の配列は18ヌクレオチド長~40ヌクレオチド長である。それらの実施形態の幾つかでは、アンチセンス鎖は20ヌクレオチド長~50ヌクレオチド長である。或る特定の実施形態では、アンチセンス鎖は20ヌクレオチド長~30ヌクレオチド長である。或る特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個又は28個のヌクレオチド長である。或る特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、35ヌクレオチド長~40ヌクレオチド長である。或る特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、36個、37個、38個又は39個のヌクレオチド長である。
【0256】
dsRNAi阻害剤分子の幾つかの実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は15塩基対~50塩基対の二重鎖構造を形成する。或る特定の実施形態では、二重鎖領域は、15塩基対~30塩基対の長さ、例えば19塩基対~30塩基対、より典型的には18塩基対~26塩基対、例えば19塩基対~23塩基対の長さであり、或る特定の例では19塩基対~21塩基対の長さである。或る特定の実施形態では、二本鎖領域は、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個又は26個の長さの塩基対である。
【0257】
幾つかの実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、1以上の一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを更に含み得る。典型的には、dsRNAi阻害剤分子は、1個~10個、1個~4個又は1個~2個のヌクレオチドの一本鎖オーバーハングを有する。一本鎖オーバーハングは、典型的には、センス鎖の3’-末端及び/又はアンチセンス鎖の3’-末端に位置する。或る特定の実施形態では、1個~10個、1個~4個又は1個~2個のヌクレオチドの一本鎖オーバーハングは、アンチセンス鎖の5’-末端に位置する。或る特定の実施形態では、1個~10個、1個~4個又は1個~2個のヌクレオチドの一本鎖オーバーハングは、センス鎖の5’-末端に位置する。或る特定の実施形態では、1個~2個のヌクレオチドの一本鎖オーバーハングは、アンチセンス鎖の3’-末端に位置する。或る特定の実施形態では、10個のヌクレオチドの一本鎖オーバーハングは、アンチセンス鎖の5’-末端に位置する。或る特定の実施形態では、dsRNA阻害剤分子は、典型的にはアンチセンス鎖の5’-末端に平滑末端を有する。
【0258】
或る特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子はセンス鎖及びアンチセンス鎖、並びに19ヌクレオチド~21ヌクレオチドの二重鎖領域を含み、ここで、センス鎖は19ヌクレオチド長~21ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は21ヌクレオチド長~23ヌクレオチド長であり、その3’末端に1ヌクレオチド~2ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングを含む。
【0259】
或る特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、21ヌクレオチド長のアンチセンス鎖及び21ヌクレオチド長のセンス鎖を有し、ここで、分子の右側(センス鎖の3’-末端/アンチセンス鎖の5’-末端)に2つのヌクレオチド3’-パッセンジャー鎖オーバーハング、及び分子の左側(センス鎖の5’-末端/アンチセンス鎖の3’-末端)に2つのヌクレオチド3’-ガイド鎖オーバーハングが存在する。かかる分子には、19塩基対の二重鎖領域がある。
【0260】
或る特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、23ヌクレオチド長のアンチセンス鎖及び21ヌクレオチド長のセンス鎖を有し、ここで、分子の右側(センス鎖の3’-末端/アンチセンス鎖の5’-末端)に平滑末端、及び分子の左側(センス鎖の5’-末端/アンチセンス鎖の3’-末端)に2つのヌクレオチド3’-ガイド鎖オーバーハングが存在する。かかる分子には、21塩基対の二重鎖領域がある。
【0261】
或る特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、センス鎖及びアンチセンス鎖、並びに18ヌクレオチド~34ヌクレオチドの二重鎖領域を含み、ここで、センス鎖は25ヌクレオチド長~34ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は26ヌクレオチド長~38ヌクレオチド長であり、その3’末端に1個~5個の一本鎖ヌクレオチドを含む。或る特定の実施形態では、センス鎖は26ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖は38ヌクレオチドであり、その3’末端に2ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングを有し、その5’末端に10ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングを有し、センス鎖及びアンチセンス鎖は26ヌクレオチドの二重鎖領域を形成する。或る特定の実施形態では、センス鎖は25ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖は27ヌクレオチドであり、その3’末端に2ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングを有し、センス鎖及びアンチセンス鎖は25ヌクレオチドの二重鎖領域を形成する。
【0262】
幾つかの実施形態では、dsRNAi阻害剤分子はステム及びループを含む。典型的には、dsRNAi阻害剤分子のパッセンジャー鎖の3’-末端領域又は5’-末端領域は、一本鎖のステム及びループの構造を形成する。
【0263】
幾つかの実施形態では、dsRNAi阻害剤分子はステム及びテトラループを含む。dsRNAi阻害剤分子がステム及びテトラループを含む実施形態では、パッセンジャー鎖は、ステム及びテトラループを含み、20ヌクレオチド長~66ヌクレオチド長の範囲である。典型的には、ガイド鎖及びパッセンジャー鎖は別々の鎖であり、それぞれ連続するオリゴヌクレオチドを形成しない5’末端及び3’末端を有する(「ニックド(nicked)」構造と称される時がある)。
【0264】
それらの実施形態の幾つかでは、ガイド鎖は15ヌクレオチド長~40ヌクレオチド長である。或る特定の実施形態では、ステム及びテトラループを含むパッセンジャー鎖の伸長部分は、鎖の3’-末端にある。或る特定の他の実施形態では、ステム及びテトラループを含むパッセンジャー鎖の伸長部分は、鎖の5’-末端にある。
【0265】
或る特定の実施形態では、ステム及びテトラループを含むdsRNAi阻害剤分子のパッセンジャー鎖は、34ヌクレオチド長~40ヌクレオチド長であり、dsRNAi阻害剤分子のガイド鎖は20ヌクレオチド~24ヌクレオチドを含み、ここで、パッセンジャー鎖及びガイド鎖は18ヌクレオチド~24ヌクレオチドの二重鎖領域を形成する。
【0266】
或る特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、(a)ステム及びテトラループを含み、36ヌクレオチド長のパッセンジャー鎖であって、ここで、5’-末端から最初の20個のヌクレオチドはガイド鎖に相補的であり、続く16個のヌクレオチドはステム及びテトラループを形成する、パッセンジャー鎖と、(b)22ヌクレオチド長であり、
その3’-末端に2つのヌクレオチドの一本鎖オーバーハングを有するガイド鎖とを含み、ここで、ガイド鎖及びパッセンジャー鎖は、連続するオリゴヌクレオチドを形成しない別々の鎖である(例えば、
図1A及び
図1Bを参照されたい)。
【0267】
或る特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は1個以上のデオキシリボヌクレオチドを含む。典型的には、核酸阻害剤分子は5個より少ないデオキシリボヌクレオチドを含む。或る特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は1個以上のリボヌクレオチドを含む。或る特定の実施形態では、核酸阻害剤分子のヌクレオチドはいずれもリボヌクレオチドである。
【0268】
幾つかの実施形態では、二本鎖核酸阻害剤分子、例えばdsRNAi阻害剤分子の少なくとも1つのグルタチオン感受性ヌクレオチドは、パッセンジャー鎖上にある。別の実施形態では、少なくとも1つのグルタチオン感受性ヌクレオチドはガイド鎖上にある。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのグルタチオン感受性ヌクレオチドは二重鎖領域にある。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのグルタチオン感受性ヌクレオチドは、オーバーハング領域にある。
【0269】
或る特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は、本明細書に記載されるように、グルタチオン感受性部分を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含む一本鎖核酸阻害剤分子である。一本鎖核酸阻害剤分子は、当該技術分野で知られている。例えば、最近の努力の成果は、ssRNAi阻害剤分子の活性を実証した(例えば、Matsui et al., Molecular Therapy, 2016,24(5):946-55を参照されたい)。さらに、特定の標的遺伝子の発現を減少さ
せるため、アンチセンス分子が数十年に亘って使用されている。Pelechano and Steinmetz, Nature Review Genetics, 2013,14:880-93。これらの構造に共通するテーマに関する
多くの変種が、一定範囲の標的に対して開発されている。一本鎖核酸阻害剤分子として、例えば、従来のアンチセンスオリゴヌクレオチド、マイクロRNA、リボザイム、アプタマー、アンタゴmir及びssRNAi阻害剤分子が挙げられ、いずれも当該技術分野で知られている。
【0270】
或る特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は、14個~50個、16個~30個又は15個~25個のヌクレオチドを有するssRNAi阻害剤分子である。他の実施形態では、ssRNAi阻害剤分子は18個~22個又は20個~22個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、ssRNAi阻害剤分子は20個のヌクレオチドを有する。他の実施形態では、ssRNAi阻害剤分子は22個のヌクレオチドを有する。或る特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は、外因性RNAi阻害剤分子又は天然miRNAを阻害する一本鎖オリゴヌクレオチドである。
【0271】
或る特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は、8個~80個、14個~50個、16個~30個、12個~25個、12個~22個、14個~20個、18個~22個又は20個~22個のヌクレオチドを有する一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである。或る特定の実施形態では、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは18個~22個、例えば18個~20個のヌクレオチドを有する。
【0272】
或る特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその部分は、標的核酸又はその特定の部分に完全に相補的である。或る特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその部分は、標的核酸の少なくとも12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個以上の連続するヌクレオチドに相補的である。或る特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸又はその部分に関して、5個、4個、3個、2個又は1個以下の非相補性ヌクレオチドを含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さを減少させること及び/又は活性を除外することなくミスマッチ塩基を導入することができる。
【0273】
本明細書に記載されるように、1以上のヌクレオチドの糖部分が、典型的には糖部分の2’-炭素でグルタチオン感受性部分によって修飾され得る。典型的には、核酸阻害剤分子の1個又は2個のヌクレオチドが、グルタチオン感受性部分によって可逆的に修飾される。或る特定の実施形態では、核酸阻害剤分子の2個よりも多いヌクレオチド、例えば3個、4個、5個以上のヌクレオチドがグルタチオン感受性部分によって可逆的に修飾される。或る特定の実施形態では、ほとんどのヌクレオチドが、グルタチオン感受性部分で可逆的に修飾される。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの全て又は実質的に全てのヌクレオチドがグルタチオン感受性部分を含む。
【0274】
或る特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子のパッセンジャー鎖は、グルタチオン感受性部分で可逆的に修飾されている1以上のヌクレオチドを含む。或る特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子のガイド鎖は、グルタチオン感受性部分で可逆的に修飾されている1以上のヌクレオチドを含む。或る特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子のガイド鎖及びパッセンジャー鎖は、それぞれ、グルタチオン感受性部分で可逆的に修飾されている1以上のヌクレオチドを含む。
【0275】
幾つかの実施形態では、核酸阻害剤分子中の少なくとも1つのグルタチオン感受性部分の存在は、例えば血清中のヌクレアーゼ及び/又は細胞内、例えばエンドソーム小胞、リソソーム小胞及び/又は融合エンドソーム/リソソーム小胞等の小胞内のヌクレアーゼに起因するオリゴヌクレオチドの分解を減少する。例えば、核酸阻害剤分子の5’-末端又は3’-末端のいずれかのヌクレオチドにグルタチオン感受性部分を置くことで、ヌクレアーゼによる分解から保護することができる。さらに、或る特定の二本鎖核酸阻害剤分子は、ヌクレアーゼ分解により弱い、パッセンジャー鎖若しくはガイド鎖のいずれか、又はそれらの両方の一本鎖オーバーハング領域を含む。この一本鎖オーバーハング領域を修飾することにより、ヌクレアーゼによる分解からかかる二本鎖核酸阻害剤分子を保護することができる。
【0276】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのグルタチオン感受性部分は、一本鎖核酸阻害剤分子の5’-末端ヌクレオチド、又は二本鎖核酸阻害剤分子のパッセンジャー鎖若しくはガイド鎖の5’-末端ヌクレオチドに位置する。或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、5’-末端ヌクレオチドの5’-炭素に位置する。他の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、5’-末端ヌクレオチドの2’-炭素に位置する。二本鎖核酸阻害剤分子の或る特定の実施形態では、パッセンジャー鎖又はガイド鎖の5’-末端ヌクレオチドに位置するグルタチオン感受性部分は、オーバーハング領域内にある。
【0277】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのグルタチオン感受性部分は、一本鎖核酸阻害剤分子の3’-末端ヌクレオチド、又は二本鎖核酸阻害剤分子のパッセンジャー鎖若しくはガイド鎖の3’-末端ヌクレオチドに位置する。或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、3’-末端ヌクレオチドの3’-炭素に位置する。他の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、3’-末端ヌクレオチドの2’-炭素に位置する。二本鎖核酸阻害剤分子の或る特定の実施形態では、パッセンジャー鎖又はガイド鎖の3’-末端ヌクレオチドに位置するグルタチオン感受性部分は、オーバーハング領域内にある。
【0278】
糖の2’-炭素における修飾等のRNAi阻害剤分子のヌクレオチド位置2及び位置14における不可逆的な化学修飾は、一般的には、十分に許容されない。いかなる理論にも拘束されることを意図するものではないが、これらのヌクレオチド位置は立体的な嵩に対して感受性である可能性がある。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのグルタチオン感受性部分は一本鎖核酸阻害剤分子のヌクレオチド位置2、又は二本鎖核酸阻害剤分子のガイド鎖のヌクレオチド位置2にある。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのグルタ
チオン感受性部分は、一本鎖核酸阻害剤分子のヌクレオチド位置14、又は二本鎖核酸阻害剤分子のガイド鎖のヌクレオチド位置14にある。
【0279】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのグルタチオン感受性部分は、dsRNAi阻害剤分子のパッセンジャー鎖のAgo2切断部位に位置する又はそれに隣接する1以上のヌクレオチド上にある。典型的には、Ago2は、ガイド鎖の5’-末端から計測してガイド鎖のヌクレオチド位置10及びヌクレオチド位置11に対向する2つのヌクレオチド間のホスホジエステル結合においてパッセンジャー鎖を切断する。したがって、例えば、ガイド鎖は22個のヌクレオチド及び二塩基対オーバーハングを有する(又は20個のヌクレオチド及びオーバーハングなし)場合、Ago2はパッセンジャー鎖のヌクレオチド位置10とヌクレオチド位置11との間を切断するはずである。ガイド鎖が21個のヌクレオチド及び二塩基対オーバーハングを有する(又は19個のヌクレオチド及びオーバーハングなし)場合、Ago2はパッセンジャー鎖のヌクレオチド位置9とヌクレオチド位置10との間を切断するはずである。或る特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、Ago2切断部位のすぐ5’にある1個、2個又は3個のヌクレオチド上にグルタチオン感受性部分を含む。或る特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、Ago2切断部位のすぐ3’にある1個、2個又は3個のヌクレオチド上にグルタチオン感受性部分を含む。或る特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、例えば、Ago2切断部位のすぐ5’にある1個、2個又は3個のヌクレオチド上、及びAgo2切断部位のすぐ3’にある1個、2個又は3個のヌクレオチド上を含む、Ago2切断部位の両側にグルタチオン感受性部分を含む。
【0280】
B.グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの他の修飾
本明細書に記載される可逆的なグルタチオン感受性部分で修飾されているオリゴヌクレオチドは、例えば、本明細書に記載される不可逆的な修飾を含む当該技術分野で知られている他のヌクレオチド修飾を使用して、1以上のヌクレオチドに対して更に修飾され得る。典型的には、ヌクレアーゼに対する抵抗性又は免疫原性の低下等の分子の様々な特徴を改善するため、目的のオリゴヌクレオチドの複数のヌクレオチドサブユニットが修飾される。例えば、非特許文献2を参照されたい。オリゴヌクレオチドの分野において、特に核酸阻害剤分子に対して多くのヌクレオチドの修飾が使用されてきた。かかる不可逆的な修飾は、糖部分、ホスホジエステル結合及び核酸塩基を含む、ヌクレオチドの任意の部分に対して行われ得る。ヌクレオチド修飾の典型例として、限定されないが、2’-F、2-O-メチル(「2’-OMe」又は「2’-OCH3」)、2’-O-メトキシエチル(「2’-MOE」又は「2’-OCH2CH2OCH3」)、及び5’-メチルシトシンが挙げられる。不可逆的な修飾は、本明細書に記載されるように、5’-炭素等のヌクレオチドの他の部分で生じてもよい。
【0281】
或る特定の実施形態では、先に検討されるように、糖部分の環構造は、限定されないが、ロックド核酸(「LNA」)構造、架橋型核酸(「BNA」)構造及びアンロックド核酸(「UNA」)構造を含めて、修飾される。
【0282】
修飾核酸塩基は、当該技術分野で知られ、また本明細書に記載されるように、1’-位にアデニン、グアニン、シトシン、チミン及びウラシル以外の核酸塩基を含む。修飾核酸塩基の典型例は5’-メチルシトシンである。
【0283】
RNA及びDNAの天然起源のヌクレオチド間の結合は、3’から5’のホスホジエステル結合である。修飾ホスホジエステル結合として、当該技術分野で知られ、また本明細書に記載されるように、リン原子を含むヌクレオチド間の結合及びリン原子を含まないヌクレオチド間の結合を含む、非天然起原のヌクレオチド間の結合基が挙げられる。典型的には、本明細書に記載されるように、オリゴヌクレオチドはリンを含有する1以上のヌク
レオチド間の結合基を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるように、核酸阻害剤分子の1以上のヌクレオチド間の結合基は、リンを含有しない結合である。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、リンを含有する1以上のヌクレオチド間の結合基、及びリンを含有しない1以上のヌクレオチド間の結合基を含む。
【0284】
グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの5’-末端は、ヒドロキシル基又はリン酸基等の天然置換基を含んでもよい。或る特定の実施形態では、ヒドロキシル基は、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの5’-末端に付着される。或る特定の実施形態では、リン酸基は、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの5’-末端に付着される。典型的には、ホスフェートは、オリゴヌクレオチドの合成に先立ってモノマーに付加される。他の実施形態では、本開示のオリゴヌクレオチドが、例えば細胞質基質Clp1キナーゼによって、細胞質基質に導入された後、5’-リン酸化が自然に達成される。幾つかの実施形態では、5’-末端のホスフェートは、5’-モノホスフェート[(HO)2(O)P-O-5’]、5’-ジホスフェート[(HO)2(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’]又は5’-トリホスフェート[(HO)2(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’]等のリン酸基である。
【0285】
また、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの5’-末端も修飾され得る。例えば、幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの5’-末端は、ホスホロアミデート[(ΗΟ)2(O)Ρ-ΝΗ-5’,(ΗΟ)(NΗ2)(O)P-O-5’]に付着される。或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの5’-末端はホスフェート模倣物に付着される。好適なホスフェート模倣物として、5’-メチレンホスホネート(5’-MP)及び5’-(E)-ビニルホスホネート(5’-VP)等の5’-ホスホネートが挙げられる。Lima et al., Cell, 2012, 150-883-94、
国際公開第2014/130607号。他の好適なホスフェート模倣物として、その全体が引用することにより本明細書の一部をなす米国特許仮出願第62/393,401号に記載される、オリゴヌクレオチドの5’-末端ヌクレオチドの糖部分(例えば、リボース若しくはデオキシリボース、又はそれらの類縁体)の4’-炭素に結合される4’-ホスフェート類縁体が挙げられる。例えば、幾つかの実施形態では、核酸阻害剤分子の5’-末端は、オキシメチルホスホネートに付着され、ここで、オキシメチル基の酸素原子は、糖部分又はその類縁体の4’-炭素に結合される。或る特定の実施形態では、4’-オキシメチルホスホネートは、式-O-CH2-PO(OH)2又は-O-CH2-PO(OR)2(式中、Rは、独立して、H、CH3、アルキル基、又は保護基から選択される)によって表される。或る特定の実施形態では、アルキル基はCH2CH3である。より典型的には、Rは、独立して、H、CH3又はCH2CH3から選択される。他の実施形態では、ホスフェート類縁体は、チオメチルホスホネート又はアミノメチルホスホネートであり、ここで、チオメチル基の硫黄原子又はアミノメチル基の窒素原子は、糖部分又はその類縁体の4’-炭素に結合される。
【0286】
或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは完全に修飾され、ここで、完全に修飾されたオリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチドは、本明細書に記載されるように、不可逆的修飾又は可逆的なグルタチオン感受性部分のいずれかで修飾される。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチドが修飾され、ここで、グルタチオン感受性部分で修飾されていない全てのヌクレオチドは不可逆的修飾によって修飾される。或る特定の実施形態では、本明細書に記載されるように、オリゴヌクレオチドはリボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドを含み、オリゴヌクレオチド中の全てのリボヌクレオチドは、不可逆的修飾又は可逆的なグルタチオン感受性部分のいずれかによって修飾される。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの実質的に全てのヌクレオチドが修飾される。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの半分より多くが修飾される。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの半分よ
り多くが不可逆的修飾を含む。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの半分未満が修飾される。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの半分未満が不可逆的修飾を含む。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1以上のグルタチオン感受性ヌクレオチド以外のいかなる修飾も含まない。修飾がオリゴヌクレオチド鎖上の基に生じてもよく、又は異なる修飾ヌクレオチドが点在してもよい。
【0287】
幾つかの実施形態では、不可逆化学修飾は、グルタチオン感受性部分を含むものと同じヌクレオチドに位置する。他の実施形態では、不可逆化学修飾は、グルタチオン感受性部分を含まない1以上のヌクレオチドに位置する。
【0288】
幾つかの実施形態では、一本鎖核酸阻害剤分子、又は二本鎖核酸阻害剤分子のガイド鎖若しくはパッセンジャー鎖の全てのヌクレオチドは、本明細書に記載されるように、グルタチオン感受性部分によって可逆的に修飾される1個のヌクレオチドを除いて、不可逆的な化学修飾によって修飾される。他の実施形態では、一本鎖核酸阻害剤分子、又は二本鎖核酸阻害剤分子のガイド鎖若しくはパッセンジャー鎖の少なくとも1個、例えば少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又は10個のヌクレオチドは、グルタチオン感受性部分で可逆的に修飾され、一本鎖核酸阻害剤分子、又は二本鎖核酸阻害剤分子のガイド鎖若しくはパッセンジャー鎖の少なくとも1個、例えば少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又は10個のヌクレオチドは、不可逆的な化学修飾によって化学修飾される。幾つかの実施形態では、一本鎖核酸阻害剤分子、又は二本鎖核酸阻害剤分子のガイド鎖若しくはパッセンジャー鎖の全てのヌクレオチドは、本明細書に記載される少なくとも1つのグルタチオン感受性部分、又は少なくとも1つの不可逆的修飾を含む。
【0289】
核酸阻害剤分子の或る特定の実施形態では、全てのヌクレオチドは2’-炭素で修飾される。核酸阻害剤分子(又はそのセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖)の或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性部分で修飾されていない全てのヌクレオチドが、2’-F、2’-O-Me及び/又は2’-MOEで修飾される。核酸阻害剤分子の或る特定の実施形態では、1個から全てのリン原子が修飾され、1個から全てのリボヌクレオチドが2’-炭素で修飾される。
【0290】
III.グルタチオン感受性モノマー(ヌクレオシド及びヌクレオチド)
本開示の一態様は、標準的なオリゴヌクレオチド合成法に使用され得るグルタチオン感受性ヌクレオシドホスホロアミダイト、及び例えば抗ウイルス剤として治療的有用性を有し、ホスホロアミダイト基を伴わないグルタチオン感受性ヌクレオシド又はヌクレオチドを含む、グルタチオン感受性部分を含む可逆的に修飾されたヌクレオシド又はヌクレオチドに関する。典型的には、可逆的修飾は、ヌクレオシド又はヌクレオチドの糖部分、例えば、デオキシリボース又はリボース(又はそれらの類縁体)にグルタチオン感受性部分を含む。典型的には、ヌクレオシド又はヌクレオチド中のグルタチオン感受性部分は、デオキシリボース又はリボース(又はその類縁体)の2’-炭素に位置する。他の実施形態では、ヌクレオシド又はヌクレオチド中のグルタチオン感受性部分は、リボース又はデオキシリボース(又はそれらの類縁体)の5’-炭素に位置する。更に他の実施形態では、ヌクレオシド又はヌクレオチド中のグルタチオン感受性部分は、リボース又はデオキシリボース(又はそれらの類縁体)の3’-炭素に位置する。
【0291】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分はスルホニル基を含む。他の実施形態では、グルタチオン感受性部分はジスルフィド架橋を含む。
【0292】
A.グルタチオン感受性ヌクレオシドホスホロアミダイト
本出願は、グルタチオン感受性部分によって可逆的に修飾され、ホスホロアミダイトオリゴヌクレオチド合成法と適合するヌクレオシドを開示する。したがって、別の態様では、本開示は、グルタチオン感受性部分を含む可逆的に修飾されたヌクレオシドホスホロアミダイト、及びこれらのグルタチオン感受性ヌクレオシドホスホロアミダイトを使用してオリゴヌクレオチドを合成する方法に関する。
【0293】
或る特定の実施形態では、ヌクレオシドは、ホスホロアミダイト及びグルタチオン感受性部分を含み、ここで、ヌクレオシドはホスホロアミダイトオリゴヌクレオチド合成法に適合する。典型的には、ホスホロアミダイトは、ヌクレオシドの糖部分の5’-炭素又は3’-炭素に結合され、グルタチオン感受性部分は、ヌクレオシドの糖部分(例えばリボース)の2’-炭素に共有結合されている酸素原子に結合される。幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、先に記載される式IIによって表される。或る特定の実施形態では、本明細書に記載されるように、式IIは式IIaである。他の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、先に記載される式IIIによって表される。幾つかの実施形態では、式IIIは、先に記載される式IIIa又は式IIIbから選択される。幾つかの実施形態では、式IIIは、先に記載される式IIIa(i)又は式IIIb(i)から選択される。更に他の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、先に記載される式IVによって表される。幾つかの実施形態では、式IVは、先に記載される式IVa、式IVb、式IVc、式IVd、又は式IVeから選択される。幾つかの実施形態では、式IVは先に記載される式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)、又は式IVd(i)から選択される。幾つかの実施形態では、式IVeは、先に記載される式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)、又は式IVe(xi)から選択される。
【0294】
1.式VIII
幾つかの実施形態では、ヌクレオシドホスホロアミダイトは下記式:
【化42】
(式中、
L
1はグルタチオン感受性部分であり、
A
1は、存在しない、水素、リン酸基、ホスフェート模倣物、ホスホロアミデート、ホスホロアミダイト、保護基又は固体支持体であり、
W
1は、ホスホロアミダイト、保護基、固体支持体、水素、ハロゲン、OR’、SR’、NR’R’’、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換の複素環であり、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環から選択され、又は共に複素環を形成し、
U
3は、水素であり、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
少なくともA
1はホスホロアミダイトであり、かつU
3はOであり、又は少なくともW
1はホスホロアミダイトであり、かつU
2はOであり、
XはO、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の複素環から選択され、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、OH、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキルから選択され、又はR
1、R
2、R
3及びR
4のうち2つは共に5員環~8員環を形成し、ここで、環は任意にヘテロ原子を含み、
Jは、O、S、NR’、CR’R’’であり、ここで、R’及びR’’はそれぞれ、独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール又はヘテロアリールから選択され、
Bは、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、天然核酸塩基、修飾核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基から選択され、
U
2は、存在しない、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、又は置換若しくは非置換のシクロアルキルであり、
Iは、存在しない、又はO、S、NR’、CR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
I及びU
3は、組み合わされてCR’-CR’’アルキル、CR’-CR’’アルケニル、CR’-CR’’アルキニル、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環を形成し、又は共にシクロアルキル若しくは複素環を形成する)によって表される。
【0295】
典型的には、グルタチオン感受性部分(L1)は、ジスルフィド架橋又はスルホニル基を含む。或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性部分はジスルフィド架橋を含む。他の実施形態では、グルタチオン感受性部分はスルホニル基を含む。
【0296】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分(L1)は、先に記載される式II、式III又は式IVによって表される。
【0297】
或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性部分(L1)は、先に記載される式IIaによって表される。
【0298】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分(L1)は、先に記載される式IIIa又は式IIIbによって表される。
【0299】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分(L1)は、先に記載される式IIIa(i)又は式IIIb(i)によって表される。
【0300】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分(L1)は、先に記載される式IVa、式IVb、式IVc、式IVd、又は式IVeによって表される。
【0301】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分(L1)は、先に記載される式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)、又は式IVd(i)によって表される。
【0302】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分(L1)は、先に記載される式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式
IVe(x)、又は式IVe(xi)によって表される。
【0303】
或る特定の実施形態では、XはOである。
【0304】
或る特定の実施形態では、R1、R2、R3及びR4は水素である。
【0305】
或る特定の実施形態では、JはOである。
【0306】
或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。
【0307】
或る特定の実施形態では、U2はOである。
【0308】
或る特定の実施形態では、W1はホスホロアミダイト、保護基又は水素である。
【0309】
或る特定の実施形態では、A1はホスホロアミダイト、保護基又は水素である。
【0310】
或る特定の実施形態では、W1はホスホロアミダイトであり、A1は保護基である。
【0311】
或る特定の実施形態では、W1は保護基であり、A1はホスホロアミダイトである。
【0312】
或る特定の実施形態では、IはCH2である。
【0313】
或る特定の実施形態では、U3はOである。
【0314】
或る特定の実施形態では、XはOであり、R1、R2、R3及びR4は水素であり、JはOである。
【0315】
或る特定の実施形態では、XはOであり、R1、R2、R3及びR4は水素であり、JはOであり、Bは天然核酸塩基であり、U2はOであり、IはCH2であり、W1はホスホロアミダイトであり、A1は保護基であり、U3はOである。
【0316】
或る特定の実施形態では、XはOであり、R1、R2、R3及びR4は水素であり、JはOであり、Bは天然核酸塩基であり、U2はOであり、IはCH2であり、W1は保護基であり、A1はホスホロアミダイトであり、U3はOである。
【0317】
或る特定の実施形態では、ホスホロアミダイトは、式-P(ORX)-N(Ry)2(式中、RXは任意に置換されたメチル、2-シアノエチル及びベンジルからなる群から選択され、Ryはそれぞれ、任意に置換されたエチル及びイソプロピルからなる群から選択される)を有する。或る特定の実施形態では、RXは2-シアノエチルであり、Ryはイソプロピルである。
【0318】
2.式IX
或る特定の実施形態では、ヌクレオシドホスホロアミダイトは下記式:
【化43】
(式中、
L
1はグルタチオン感受性部分であり、
R
9はホスホロアミダイトであり、
XはO、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の複素環から選択され、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、OH、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキルから選択され、又はR
1、R
2、R
3及びR
4のうち2つは共に5員環~8員環を形成し、ここで、環は任意にヘテロ原子を含み、
Jは、O、S、NR’、CR’R’’であり、ここで、R’及びR’’はそれぞれ、独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール又はヘテロアリールから選択され、
Bは、水素、天然核酸塩基、修飾核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基であり、
Iは、存在しない、又はO、S、NR’、CR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
U
3は、水素、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
I及びU
3は、組み合わされてCR’-CR’’アルキル、CR’-CR’’アルケニル、CR’-CR’’アルキニル、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環を形成し、又は共にシクロアルキル若しくは複素環を形成してもよく、
A
3は、存在しない、水素、リン酸基、ホスフェート模倣物、ホスホロアミデート、保護基、又は固体支持体である)によって表される。
【0319】
典型的には、L1はジスルフィド架橋又はスルホニル基を含む。或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性部分はジスルフィド架橋を含む。他の実施形態では、グルタチオン感受性部分はスルホニル基を含む。
【0320】
幾つかの実施形態では、L1は、先に記載される式IIによって表される。幾つかの実施形態では、L1は、先に記載される式IIaによって表される。
【0321】
他の実施形態では、L1は、先に記載される式IIIによって表される。幾つかの実施形態では、式IIIは、先に記載される式IIIa、式IIIa(i)、式IIIb又は式IIIb(i)から選択される。
【0322】
更に他の実施形態では、L1は、先に記載される式IVによって表される。幾つかの実施形態では、式IVは、先に記載される式IVa、式IVb、式IVc、式IVd又は式IVeから選択される。幾つかの実施形態では、式IVは、先に記載される式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)又は式IVd(i)から選択さ
れる。幾つかの実施形態では、式IVeは、先に記載される式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)又は式IVe(xi)から選択される。
【0323】
或る特定の実施形態では、XはOである。
【0324】
或る特定の実施形態では、R1、R2、R3及びR4は水素である。
【0325】
或る特定の実施形態では、JはOである。
【0326】
或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。
【0327】
或る特定の実施形態では、A3は保護基又は水素である。
【0328】
或る特定の実施形態では、IはCH2である。
【0329】
或る特定の実施形態では、U3はOである。
【0330】
或る特定の実施形態では、XはOであり、R1、R2、R3及びR4は水素であり、JはOである。
【0331】
或る特定の実施形態では、XはOであり、R1、R2、R3及びR4は水素であり、JはOであり、Bは天然核酸塩基であり、IはCH2であり、A3は保護基であり、U3はOである。
【0332】
或る特定の実施形態では、ホスホロアミダイトは、式-P(ORX)-N(Ry)2(式中、RXは任意に置換されたメチル、2-シアノエチル及びベンジルからなる群から選択され、Ryはそれぞれ、任意に置換されたエチル及びイソプロピルからなる群から選択される)を有する。或る特定の実施形態では、RXは2-シアノエチルであり、Ryはイソプロピルである。
【0333】
3.式X
或る特定の実施形態では、ヌクレオシドホスホロアミダイトは下記式:
【化44】
(L
1はグルタチオン感受性部分であり、
R
8は、H、保護基、固体支持体又はホスホロアミダイトであり、
R
7は、H、保護基、固体支持体又はホスホロアミダイトであり、
R
8がホスホロアミダイトである場合、R
7はH、固体支持体若しくは保護基であり、又はR
8がH、固体支持体若しくは保護基である場合、R
7はホスホロアミダイトであり、
Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基であり、
Xは、O、S、Se、NR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、脂肪族又は置
換された脂肪族、アリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環から選択され得る)によって表される。
【0334】
典型的には、L1はジスルフィド架橋又はスルホニル基を含む。或る特定の実施形態では、L1はジスルフィド架橋を含む。他の実施形態では、L1はスルホニル基を含む。
【0335】
幾つかの実施形態では、L1は、先に記載される式IIによって表される。幾つかの実施形態では、L1は、先に記載される式IIaによって表される。
【0336】
他の実施形態では、L1は、先に記載される式IIIによって表される。幾つかの実施形態では、式IIIは、先に記載される式IIIa、式IIIa(i)、式IIIb又は式IIIb(i)から選択される。
【0337】
更に他の実施形態では、L1は、先に記載される式IVによって表される。幾つかの実施形態では、式IVは、先に記載される式IVa、式IVb、式IVc、式IVd又は式IVeから選択される。幾つかの実施形態では、式IVは、先に記載される式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)又は式IVd(i)から選択される。幾つかの実施形態では、式IVeは、先に記載される式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)又は式IVe(xi)から選択される。
【0338】
或る特定の実施形態では、XはOである。
【0339】
或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。
【0340】
或る特定の実施形態では、ホスホロアミダイトは、式-P(ORX)-N(Ry)2(式中、RXは、任意に置換されたメチル、2-シアノエチル及びベンジルからなる群から選択され、Ryはそれぞれ、任意に置換されたエチル及びイソプロピルからなる群から選択される)を有する。或る特定の実施形態では、RXは2-シアノエチルであり、Ryはイソプロピルである。
【0341】
或る特定の実施形態では、R8は式-P(ORX)-N(Ry)2を有するホスホロアミダイトであり、R9はH又は保護基である。
【0342】
或る特定の実施形態では、R9は式-P(ORX)-N(Ry)2を有するホスホロアミダイトであり、R8はH又は保護基である。
【0343】
或る特定の実施形態では、XはOであり、Bは天然核酸塩基であり、R8は保護基であり、R9は式-P(ORX)-N(Ry)2を有するホスホロアミダイトである。
【0344】
或る特定の実施形態では、XはOであり、Bは天然核酸塩基であり、R8は式-P(ORX)-N(Ry)2を有するホスホロアミダイトであり、R9は保護基である。或る特定の実施形態では、RXは2-シアノエチルであり、Ryはイソプロピルである。
【0345】
B.ホスホロアミダイトを有しないグルタチオン感受性のヌクレオシド及びヌクレオチド
幾つかの実施形態では、可逆的に修飾されたグルタチオン感受性モノマー(ヌクレオシド若しくはヌクレオチド、又はそれらの類縁体)は、糖部分の3’-炭素又は5’-炭素にホスホロアミダイト基を含まない。かかるグルタチオン感受性モノマーは、治療薬として、例えば、抗ウイルス活性を有するヌクレオシド又はヌクレオチドの類縁体として使用
され得る。典型的には、可逆的修飾は、ヌクレオチド又はヌクレオシド(又はそれらの類縁体)の糖部分、例えばデオキシリボース又はリボース(又はそれらの類縁体)にグルタチオン感受性部分を含む。典型的には、グルタチオン感受性部分は、デオキシリボース又はリボース(又はそれらの類縁体)の2’-炭素に位置する。幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、リボース又はデオキシリボース(又はそれらの類縁体)の5’-炭素に位置する。他の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、リボース又はデオキシリボース(又はそれらの類縁体)の3’-炭素に位置する。
【0346】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分はスルホニル基を含む。他の実施形態では、グルタチオン感受性部分はジスルフィド架橋を含む。
【0347】
或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性モノマーは、モノマーの糖部分(例えば、リボース)の2’-炭素に共有結合されている酸素原子に結合されたグルタチオン感受性部分を含む。幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、先に記載される式IIによって表される。或る特定の実施形態では、式IIは、本明細書に記載される式IIaである。他の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、先に記載される式IIIによって表される。幾つかの実施形態では、式IIIは、先に記載される式IIIa、式IIIa(i)、式IIIb又は式IIIb(i)から選択される。更に他の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、先に記載される式IVによって表される。幾つかの実施形態では、式IVは、先に記載される式IVa、式IVb、式IVc、式IVd又は式IVeから選択される。幾つかの実施形態では、式IVは、先に記載される式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)又は式IVd(i)から選択される。幾つかの実施形態では、式IVeは、先に記載される式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)又は式IVe(xi)から選択される。
【0348】
或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性モノマー(ヌクレオシド若しくはヌクレオチド、又はそれらの類縁体)は、以下に更に詳述される、治療的有効量のグルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチド(又はそれらの類縁体)と薬学的担体とを含む医薬組成物に製剤化される。
【0349】
1.式XI
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチドは下記式:
【化45】
(式中、
L
2は、式II、式III若しくは式IVによって表されるグルタチオン感受性部分であり、又はA
2若しくはW
2の1つがグルタチオン感受性部分である場合、存在せず、
L
2がグルタチオン感受性部分である場合、XはO、S、Se又はNR’であり、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、若しくは置換若しくは非置換の複素環から選択され、又はL
2が存在しない場合、Xは、H、OH、SH、NH
2、ハロゲン、任意に置換されたアルコキ
シ、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアルキルアミノ若しくはジアルキルアミノであり、ここで、アルキル、アルケニル及びアルキニル中の1以上のメチレンは、1以上のO、S、S(O)、SO
2、N(R’)、C(O)、N(R’)C(O)O、OC(O)N(R’)、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換された複素環、若しくは任意に置換されたシクロアルキル、O、S、Se又はNHR’で中断されてもよく、ここで、R’は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール又は置換若しくは非置換の複素環から選択され、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、OH、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキルから選択され、又はR
1、R
2、R
3及びR
4のうち2つは、共に5員環~8員環を形成し、ここで環は任意にヘテロ原子を含み、
Jは、O、S、NR’、CR’R’’であり、ここで、R’及びR’’はそれぞれ、独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール又はヘテロアリールから選択され、
Bは、水素、天然核酸塩基、修飾された核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基から選択され、
U
2は、存在しない、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換の脂肪族、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、又は置換若しくは非置換のシクロアルキルであり、
W
2は、式II、式III又は式IVによって表されるグルタチオン感受性部分、水素、ハロゲン、OR’、SR’、NR’R’’、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換の複素環であり、ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環から選択され、又は共に複素環を形成し、
Iは、存在しない、又はO、S、NR’、CR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
U
3は水素であり、又はO、S、NR’若しくはCR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換の脂肪族、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換の複素環、及び置換又は非置換のシクロアルキルであり、
I及びU
3は、組み合わされてCR’-CR’’アルキル、CR’-CR’’アルケニル、CR’-CR’’アルキニル、置換若しくは非置換の脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環を形成してもよく、又は共にシクロアルキル若しくは複素環を形成してもよく、
A
2は、存在しない、水素、リン酸基、ホスフェート模倣物、ホスホロアミデート、又は式II、式III若しくは式IVによって表されるグルタチオン感受性部分である)によって表される。
【0350】
幾つかの実施形態では、A2は、式II、式III又は式IVによって表されるグルタチオン感受性部分である。幾つかの実施形態では、W2は、式II、式III又は式IVによって表されるグルタチオン感受性部分である。幾つかの実施形態では、L2は、式II、式III又は式IVによって表されるグルタチオン感受性部分であり、かつA2とW2のいずれも式II、式III又は式IVによって表されるグルタチオン感受性部分ではない。
【0351】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、先に記載される式IIによって表される。幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性部分は、先に記載される式IIaによって表される。
【0352】
他の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、先に記載される式IIIによって表される。幾つかの実施形態では、式IIIは、先に記載される式IIIa、式IIIa(i)、式IIIb又は式IIIb(i)から選択される。更に他の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、先に記載される式IVによって表される。幾つかの実施形態では、式IVは、先に記載される式IVa、式IVb、式IVc、式IVd又は式IVeから選択される。幾つかの実施形態では、式IVは、先に記載される式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)又は式IVd(i)から選択される。幾つかの実施形態では、式IVeは、先に記載される式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)又は式IV(xi)から選択される。
【0353】
或る特定の実施形態では、XはOである。
【0354】
或る特定の実施形態では、R1、R2、R3及びR4は水素である。
【0355】
或る特定の実施形態では、JはOである。
【0356】
或る特定の実施形態では、Bは天然核酸塩基である。
【0357】
或る特定の実施形態では、U2はOである。
【0358】
或る特定の実施形態では、W2は水素である。
【0359】
或る特定の実施形態では、U3はOである。
【0360】
或る特定の実施形態では、IはCH2である。
【0361】
或る特定の実施形態では、A2は水素又はリン酸基である。
【0362】
或る特定の実施形態では、XはOであり、R1、R2、R3及びR4は水素であり、JはOである。
【0363】
或る特定の実施形態では、XはOであり、R1、R2、R3及びR4は水素であり、JはOであり、Bは天然核酸塩基であり、U2はOであり、IはCH2であり、W2は水素であり、U3はOであり、A2は水素又はリン酸基である。
【0364】
2.式XII
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチドのモノマーは下記式:
【化46】
(式中、
R
10はヒドロキシル、ホスフェート模倣物又はリン酸基であり、
Lは、上に記載される式II、式III又は式IVから選択され、
Bは、水素、天然核酸塩基、修飾核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基である)によって表される。
【0365】
幾つかの実施形態では、Lは、先に記載される式IIによって表される。幾つかの実施形態では、Lは、先に記載される式IIaによって表される。
【0366】
他の実施形態では、Lは、先に記載される式IIIによって表される。幾つかの実施形態では、式IIIは、先に記載される式IIIa、式IIIa(i)、式IIIb又は式IIIb(i)から選択される。
【0367】
更に他の実施形態では、Lは、先に記載される式IVによって表される。幾つかの実施形態では、式IVは、先に記載される式IVa、式IVb、式IVc、式IVd、又は式IVeから選択される。幾つかの実施形態では、式IVは、先に記載される式IVa(i)、式IVb(i)、式IVb(ii)、式IVc(i)、又は式IVd(i)から選択される。幾つかの実施形態では、式IVeは、先に記載される式IVe(i)、式IVe(ii)、式IVe(iii)、式IVe(iv)、式IVe(v)、式IVe(vi)、式IVe(vii)、式IVe(viii)、式IVe(ix)、式IVe(x)、又は式IVe(xi)から選択される。
【0368】
C.保護基
グルタチオン感受性のヌクレオチド又はヌクレオシドの幾つかの実施形態では、保護基は、B、すなわち天然核酸塩基、修飾核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基に付着される。Bに対する好適な保護基として、アセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、イソブチリル、ベンゾイル、9-フルオレニルメチトキシカルボニル、フェノキシアセチル、ジメチルホルムアミジン、ジブチルホルムアミジン及びN,Nジフェニルカルバメートが挙げられる。
【0369】
幾つかの実施形態では、保護基は、特にヌクレオシドホスホロアミダイトに対して、上に記載されるヌクレオシド中のヒドロキシル基に付着される。上に記載されるヌクレオシドのヒドロキシル基に対する好適な保護基として、限定されないが、ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基及び/又はトリチル基を含む固相オリゴヌクレオチド合成に適合する任意の保護基が挙げられる。典型例は、酸性条件下(例えば、ジクロロ酢酸(DCA)、トリクロロ酢酸(TCA)、トリフルオロ酢酸(TFA)又は酢酸の存在下)で容易に切断され得る4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル(DMTr)基である。
【0370】
他の典型的なヒドロキシル保護基として、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)等のトリアルキルシリル基が挙げられる。TBDMS基は、合成サイクル中にDMT基を除去するために使用される酸性条件下で安定であるが、例えばテトラヒドロフラン(THF)中のテトラブチルアンモニウムフッ化物(TBAF)の溶液による又はトリエチルアミンヒドロフルオリドによる、RNAオリゴマーの切断及び脱保護の後に様々な方法
によって除去され得る。他の典型的なヒドロキシル保護基として、例えばフッ化アンモニウムで除去され得るtert-ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS)が挙げられる。
【0371】
IV.核酸塩基
上に記載されるグルタチオン感受性のオリゴヌクレオチド、ヌクレオチド及びヌクレオシドでは、Bは天然核酸塩基、修飾核酸塩基又はユニバーサル核酸塩基を表す。
【0372】
好適な天然核酸塩基として、プリン塩基及びピリミジン塩基、例えばアデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)、又はウラシル(U)が挙げられる。
【0373】
好適な修飾核酸塩基として、ジアミノプリン及びその誘導体、アルキル化されたプリン又はピリミジン、アシル化されたプリン又はピリミジン、チオール化されたプリン又はピリミジン等が挙げられる。
【0374】
他の好適な修飾された核酸塩基として、プリン及びピリミジンの類縁体が挙げられる。好適な類縁体として、限定されないが、1-メチルアデニン、2-メチルアデニン、N6-メチルアデニン、N6-イソペンチルアデニン、2-メチルチオ-N6-イソペンチルアデニン、N,N-ジメチルアデニン、8-ブロモアデニン、2-チオシトシン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、5-エチルシトシン、4-アセチルシトシン、1-メチルグアニン、2-メチルグアニン、7-メチルグアニン、2,2-ジメチルグアニン、8-ブロモグアニン、8-クロログアニン、8-アミノグアニン、8-メチルグアニン、8-チオグアニン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、5-エチルウラシル、5-プロピルウラシル、5-メトキシウラシル、5-ヒドロキシメチルウラシル、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-(メチルアミノメチル)ウラシル、5-(カルボキシメチルアミノメチル)-ウラシル、2-チオウラシル、5-メチル-2-チオウラシル、5-(2-ブロモビニル)ウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、偽ウラシル(pseudouracil)、1-メチル偽ウラシル、クエオシン(queosine)、ヒポキサンチン、キサンチン、2-アミノプリン、6-ヒドロキシアミノプリン、ニトロピロリル、ニトロインドリル及びジフルオロトリル、6-チオプリン、並びに2,6-ジアミノプリンニトロピロリル、ニトロインドリル及びジフルオロトリルが挙げられる。
【0375】
典型的には、核酸塩基は窒素塩基を含む。或る特定の実施形態では、核酸塩基は窒素原子を含まない。例えば、米国特許出願公開第20080274462号を参照されたい。
【0376】
ユニバーサル核酸塩基は、天然起原の核酸に典型的に見られる2個以上の塩基と対合することができる塩基を指し、したがって、二重鎖中のかかる天然起源の塩基を置換することができる。塩基は、それぞれの天然起源の塩基と必ずしも対合可能でなくてもよい。例えば、或る特定の塩基は、プリンのみ若しくはそれと選択的に対合する、又はピリミジンのみ若しくはそれと選択的に対合する。ユニバーサル核酸塩基は、ワトソン-クリック又は非ワトソン-クリックの相互作用(例えばフーグスティーン相互作用)を介して水素結合を形成することによって塩基対合し得る。代表的なユニバーサル核酸塩基として、イノシン及びその誘導体が挙げられる。
【0377】
V.式I~式XIIにおける他の置換基
式I~式XIIでは、適切な場合、好適な脂肪族基は、典型的には、約2個~約10個の炭素原子、より典型的には約2個~約6個の炭素原子、例えば約2個~約5個の炭素原子を含む。
【0378】
式I~式XIIでは、適切な場合、好適なアルキル基は、典型的には、約1個~約10個の炭素原子、より典型的には約2個~約6個の炭素原子、例えば約2個~約5個の炭素原子を含む。
【0379】
式I~式XIIでは、適切な場合、好適なアルコキシ基として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、ネオペントキシ及びn-ヘキソキシ等が挙げられる。
【0380】
式I~式XIIでは、適切な場合、好適なシクロアルキルとして、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。
【0381】
式I~式XIIでは、適切な場合、好適なヘテロ原子として、酸素、硫黄及び窒素が挙げられる。代表的な複素環として、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル及びテトラヒドロフリルが挙げられる。代表的なヘテロアリールとして、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N-低級アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリルが挙げられる。
【0382】
式I~式XIIでは、適切な場合、好適なアルケニル基として、ビニル、アリル、及び2-メチル-3-ヘプテンが挙げられ、好適なアルキニル基としてプロピン及び3-ヘキシンが挙げられる。
【0383】
式I~式XIIでは、適切な場合、好適なアリール基として、フェニル、ナフチル等が挙げられるのに対し、好適なヘテロアリール基として、ピリジル、フラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニル又はチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリル等が挙げられる。
【0384】
式I~式XIIでは、適切な場合、好適なアルキルアミノとして、-CH2CH2CH2NH-又はCH2CH2NH-が挙げられる。
【0385】
VI.オリゴヌクレオチドを合成する方法
上で検討されるように、本出願は、標準的なホスホロアミダイトに基づくオリゴヌクレオチド合成法に適合するグルタチオン感受性部分を含むヌクレオシドを開示する。
【0386】
本出願に記載されるグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドは、標準的なホスホロアミダイト法を含む、当該技術分野で知られている様々な合成法を使用して作製され得る。任意のホスホロアミダイト合成法を使用して、本発明のグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドを合成することができる。或る特定の実施形態では、ホスホロアミダイトを固相合成法において使用し、反応性中間体であるホスファイト化合物を得て、該中間体をその後既知の方法を使用して酸化し、典型的にはホスホジエステル又はホスホロチオエートのヌクレオチド間の結合を有するグルタチオン感受性オリゴヌクレオチドを産生する。本開示のオリゴヌクレオチド合成は、当該技術分野で知られている方法を使用して、いずれの方向でも、すなわち、5’から3’、又は3’から5’で行われ得る。
【0387】
したがって、別の態様では、本開示は、上で検討され、例えば式VIII、式IX又は式Xによって表されるもの等のグルタチオン感受性ヌクレオシドホスホロアミダイトを使用してオリゴヌクレオチドを合成する方法に関する。典型的には、グルタチオン感受性部分は、リボース又はデオキシリボース(又はそれらの類縁体)の2’-炭素に位置し、スルホニル基又はジスルフィド架橋を含み、このグルタチオン感受性部分としては、例えば
、式II、式III及び式IVによって表されるグルタチオン感受性部分が挙げられる。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドを合成する方法は、(a)共有結合を介してヌクレオシドを固体支持体に付着させることと、(b)ヌクレオシドホスホロアミダイトを、工程(a)のヌクレオシド上の反応性ヒドロキシル基にカップリングして、その間にヌクレオチド間の結合を形成することであって、上記固体支持体上の任意のカップリングされていないヌクレオシドがキャッピング試薬によってキャップされることと、(c)酸化剤で上記ヌクレオチド間の結合を酸化することと、(d)後のヌクレオシドホスホロアミダイトを用いて、反復して工程(b)~工程(c)を繰り返してオリゴヌクレオチドを形成することとを含み、ここで、少なくとも工程(a)のヌクレオシド、工程(b)のヌクレオシドホスホロアミダイト、又は少なくとも1つの工程(d)の後のヌクレオシドホスホロアミダイトが、本明細書に記載されるグルタチオン感受性部分を含む。典型的にはカップリング、キャッピング/酸化の工程、及び任意に脱保護工程は、オリゴヌクレオチドが所望の長さ及び/又は配列に達するまで繰り返され、その後、該オリゴヌクレオチドを固体支持体から切断する。
【0388】
或る特定の態様では、オリゴヌクレオチドは、グルタチオン感受性部分を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含み、少なくとも1つのグルタチオン感受性部分を含むヌクレオシドホスホロアミダイトを使用してホスホロアミダイトに基づくオリゴヌクレオチド合成法によって作製される。或る特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、(a)共有結合を介してヌクレオシドを固体支持体に付着させることと、(b)ヌクレオシドホスホロアミダイトを、工程(a)のヌクレオシド上の反応性ヒドロキシル基にカップリングして、その間にヌクレオチド間の結合を形成することであって、上記固体支持体上の任意のカップリングされていないヌクレオシドがキャッピング試薬によってキャップされることと、(c)酸化剤で上記ヌクレオチド間の結合を酸化することと、(d)後のヌクレオシドホスホロアミダイトを用いて、反復して工程(b)~工程(c)を繰り返してオリゴヌクレオチドを形成することと、(e)任意に、固体支持体からオリゴヌクレオチドを切断することとを含み、ここで、少なくとも工程(a)のヌクレオシド、工程(b)のヌクレオシドホスホロアミダイト、又は少なくとも1つの工程(d)の後のヌクレオシドホスホロアミダイトが、グルタチオン感受性部分を含む、方法によって作製される。
【0389】
VII.医薬組成物
本開示は、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチド、又はグルタチオン感受性のヌクレオシド若しくはヌクレオチドと、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0390】
幾つかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤と、治療的有効量の核酸阻害剤分子とを含み、ここで、本明細書に記載されるように、核酸阻害剤分子はグルタチオン感受性部分を含む少なくとも1つのヌクレオチドを含む。別記されるように、グルタチオン感受性部分は、典型的には、ヌクレオチドの糖部分の2’-炭素に位置し、典型的には、先に記載される式II、式III又は式IVによって表されるグルタチオン感受性部分等を含む、スルホニル基又はジスルフィド架橋を含む。
【0391】
幾つかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤と、治療的有効量の核酸阻害剤分子とを含み、ここで、核酸阻害剤分子は、先に記載される式I、式V、式VI又は式VIIによって表される少なくとも1つのグルタチオン感受性ヌクレオチドを含む。
【0392】
他の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤と、先に記載されるように、例えば式XI及び式XIIによって表される、治療的有効量のグルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチドとを含む。
【0393】
A.薬学的に許容可能な賦形剤
本開示において有用な薬学的に許容可能な賦形剤は、従来の賦形剤である。Remington
’s Pharmaceutical Sciences, by E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, PA, 15th Edition (1975)は、1以上の治療用組成物の薬学的送達に適した組成物及び製剤を記載する。薬学的に許容可能な賦形剤としてはたらくことができる材料の幾つかの例として、ラクトース、グルコース及びスクロース等の糖;コーンスターチ及びジャガイモデンプン等のデンプン;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース等のセルロース及びその誘導体;麦芽;ゼラチン;カカオバター及び坐剤ワックス等の賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油等の油;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤;(等張生理食塩水;リンガー溶液);エチルアルコール;pH緩衝液;グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;並びに医薬製剤で利用される他の無毒な適合性の物質が挙げられる。
【0394】
B.剤形
医薬組成物は、通常の慣行に従って選択され得る、任意の意図される投与経路に対する従来の賦形剤と共に製剤化され得る。
【0395】
一実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されるグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド、又はグルタチオン感受性のヌクレオチド若しくはヌクレオシドを含み、非経口投与に適している。典型的には、オリゴヌクレオチドを含む本開示の医薬組成物は、例えば、皮下、筋肉内、静脈内又は硬膜外の注射による非経口投与用の液状形態に製剤化される。非経口投与に適した剤形として、典型的には、例として、無菌水溶液、生理食塩水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の低分子量アルコール、植物油、ゼラチン、オレイン酸エチル等の脂肪酸エステル等を含む、非経口投与に適した1以上のビヒクルが挙げられる。非経口的製剤は、糖、アルコール、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質、又は懸濁剤若しくは増粘剤を含んでもよい。適切な流動性は、例えば界面活性剤の使用によって維持され得る。液体製剤を凍結乾燥し、無菌注射用溶液を用いた再構成による後の使用に対して保存することができる。
【0396】
別の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されるグルタチオン感受性オリゴヌクレオチド、又はグルタチオン感受性のヌクレオチド若しくはヌクレオシドを含み、経口投与に適している。典型的には、ヌクレオチド又はヌクレオシドを含む本開示の医薬組成物は、経口投与に対して製剤化される。経口投与に適した医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、口内錠、カシェ剤、糖衣錠、粉体、顆粒等の形態であってもよい。
【0397】
また、医薬組成物は、良く知られている技術を使用して、局所若しくは経皮の投与、直腸若しくは経腟の投与、点眼投与、点鼻投与、頬側投与又は舌下投与を含む他の投与経路に対して製剤化されてもよい。
【0398】
C.送達物質
上記グルタチオン感受性核酸阻害剤分子、ヌクレオチド又はヌクレオシドは、例えばリポソーム及び脂質、例えば米国特許第6,815,432号、同第6,586,410号、同第6,858,225号、同第7,811,602号、同第7,244,448号、及び同第8,158,601号に開示されるもの、ポリマー材料、例えば米国特許第6,835,393号、同第7,374,778号、同第7,737,108号、同第7,718,193号、同第8,137,695号、及び米国特許出願公開第2011/0143434号、同第2011/0129921号、同第2011/0123636号、同第
2011/0143435号、同第2011/0142951号、同第2012/0021514号、同第2011/0281934号、同第2011/0286957号、及び同第2008/0152661号に開示されるもの、カプシド、カプソイド、又は摂取、分配若しくは吸収を補助するための受容体を標的とする分子を含む、その他の分子、分子構造物、又は化合物の混合物と混合され、それらでカプセル化され、それらと接合され、さもなければそれらと会合され得る。
【0399】
或る特定の実施形態においては、上記グルタチオン感受性核酸阻害剤分子、ヌクレオチド又はヌクレオシドは、脂質ナノ粒子(LNP)中で製剤化される。脂質-核酸ナノ粒子は一般的に、脂質と核酸とを混合して複合体が形成されることで自然形成する。所望の粒径分布に依存して、得られたナノ粒子混合物は、任意にポリカーボネート膜(例えば、100nmのカットオフ)を通じて、例えばサーモバレル押出機、例えばLIPEX(商標)押出機(Northern Lipids, Inc社)を使用して押し出され得る。治療用途の脂質ナノ粒子を調製するためには、ナノ粒子の形成に使用される溶剤(例えば、エタノール)及び/又は交換バッファーを除去することが望ましい場合があり、それは、例えば透析若しくはタンジェンシャルフロー濾過により達成することができる。核酸干渉分子を含む脂質ナノ粒子の製造方法は、例えば米国特許出願公開第2015/0374842号及び同第2014/0107178号に開示されているように、当該技術分野で知られている。
【0400】
或る特定の実施形態においては、LNPは、カチオン性脂質及びペグ化脂質を含む脂質コアを含む。LNPは、1種以上のエンベロープ脂質、例えばカチオン性脂質、構造脂質若しくは中性脂質、ステロール、ペグ化脂質、又はそれらの混合物を更に含み得る。
【0401】
或る特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、目的の組織へのオリゴヌクレオチドの送達を指示するリガンドに共有結合によって接合される。多くのかかるリガンドが探索されてきた。例えば、Winkler, Ther. Deliv., 4(7): 791-809 (2013)を参照さ
れたい。例えば、本発明のオリゴヌクレオチドは、肝臓へのオリゴヌクレオチドの取り込みを指示するように、複数の糖リガンド部分(例えば、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc))に接合され得る。例えば、国際公開第2016/100401号を参照されたい。使用可能な他のリガンドとして、限定されないが、マンノース-6-リン酸、コレステロール、葉酸塩、トランスフェリン及びガラクトースが挙げられる(その他のリガンドの具体例は、例えば国際公開第2012/089352号を参照されたい)。典型的には、オリゴヌクレオチドがリガンドに接合される場合、オリゴヌクレオチドはネイキッドオリゴヌクレオチドとして投与され、オリゴヌクレオチドはLNP又は他の保護コーティングのいずれにも製剤化されていない。或る特定の実施形態では、ネイキッドオリゴヌクレオチドは、グルタチオン感受性部分を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含み、ネイキッドオリゴヌクレオチドの残りのヌクレオチドの糖部分の2’-位は、典型的には2’-F又は2’-OMeによって修飾される。
【0402】
これらの医薬組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌されてもよく、又は濾過滅菌されてもよい。得られる水溶液は、そのままの使用に対して又は凍結乾燥して包装され得て、凍結乾燥調製物は、投与に先立って無菌の水性担体と合わせられる。調製物のpHは、典型的には3~11、より好ましくは5~9、又は6~8、最も好ましくは7~8、例えば7~7.5となる。固形の医薬組成物は、それぞれ、一定量の上に言及される薬剤(複数の場合もある)を含む、錠剤又はカプセル剤の密閉包装等に複数の単回単位用量で包装され得る。また、固形の医薬組成物は、局所塗布用のクリーム又は軟膏用に設計された絞り出しチューブ等のフレキシブルな量に対する容器に包装され得る。
【0403】
本開示の医薬組成物は、治療用途に適用される。したがって、本開示の一態様は、限定されないが、被験体に有効量の本開示の医薬組成物を投与することによって、疾患又は病
状に苦しむヒトを含む上記被験体を治療するために使用され得る、医薬組成物を提供する。
【0404】
或る特定の実施形態では、本開示は、治療を必要とする患者の治療のための医薬の製造への、本明細書に記載される治療的有効量の医薬組成物の使用を特徴とする。
【0405】
VIII.投与/治療の方法
本明細書に記載される医薬組成物は、典型的には経口的に又は非経口的に投与される。本発明のグルタチオン感受性核酸阻害剤分子を含む医薬組成物は、典型的には、静脈内又は皮下で投与される。本発明のグルタチオン感受性のヌクレオチド又はヌクレオシドを含む医薬組成物は、典型的には経口投与される。しかしながら、本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、頬側、舌下、直腸、膣、尿道内、局所、眼内、鼻腔内及び/又は耳介内を含む当該技術分野で知られている任意の方法によって投与され得て、該投与は、錠剤、カプセル剤、顆粒、水性懸濁液、ゲル、スプレー、坐剤、膏薬、軟膏等を含み得る。
【0406】
或る特定の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、それを必要とする患者において、ウイルス感染症に関連する症状の治療又は予防に有用となり得る。一実施形態は、本明細書に記載される、治療的有効量のグルタチオン感受性の核酸阻害剤分子、ヌクレオチド又はヌクレオシドを含む医薬組成物を被験体に投与することを含む、ウイルス感染症を治療する方法に関する。或る特定の実施形態では、医薬組成物は、先に記載されるように、例えば式XI及び式XIIによって表されるグルタチオン感受性のヌクレオシド又はヌクレオチドを含む。かかるウイルス感染症の非限定的な例として、HCV、HBV、HPV、HSV又はHIVの感染症が挙げられる。
【0407】
或る特定の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、それを必要とする患者において、癌に関連する症状の治療又は予防に有用となり得る。一実施形態は、本明細書に記載される、治療的有効量のグルタチオン感受性核酸阻害剤分子を含む医薬組成物を被験体に投与することを含む、癌を治療する方法に関する。かかる癌の非限定的な例として、胆道癌、膀胱癌、移行上皮癌、尿路上皮癌、脳腫瘍、神経膠腫、星状細胞腫、乳癌、化生性癌、子宮頸癌、子宮頸部扁平上皮癌、直腸癌、結腸直腸癌、結腸癌、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、結腸直腸腺癌、胃腸間質性腫瘍(GIST)、子宮内膜癌、子宮内膜間質肉腫、食道癌、食道扁平上皮癌、食道腺癌、眼内黒色腫、ブドウ膜黒色腫、胆嚢癌、胆嚢腺癌、腎細胞癌、腎明細胞癌、移行上皮癌、尿路上皮癌、ウィルムス腫瘍、白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、肝臓癌(liver cancer)、肝癌(liver carcinoma)、ヘパトーマ(hepatoma)、肝細胞癌、胆管細胞癌
、肝芽腫、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、中皮腫、B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、前駆T細胞リンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢T細胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、上咽頭癌(NPC)、神経芽細胞腫、中咽頭癌、口腔扁平上皮癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、膵管腺癌、偽乳頭状腫瘍(pseudopapillary neoplasms)、膵腺房
細胞癌、前立腺癌、前立腺腺癌、皮膚癌、黒色腫、悪性黒色腫、皮膚黒色腫、小腸癌、胃癌(stomach cancer)、胃癌(gastric carcinoma)、消化管間質性腫瘍(GIST)、
子宮癌、又は子宮肉腫が挙げられる。典型的には、本開示は、本明細書に記載される、治療的有効量の医薬組成物を投与することによって、肝臓癌、肝癌、ヘパトーマ、肝細胞癌、胆管細胞癌及び肝芽腫を治療する方法を特徴とする。
【0408】
或る特定の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、神経疾患、眼疾患、呼吸器疾患、代謝性疾患、皮膚疾患、聴覚疾患、肝疾患、腎疾患又は感染性疾患に関連する症状の治療又は予防に有用となり得る。一実施
形態は、本明細書に記載される、治療的有効量のグルタチオン感受性核酸阻害剤分子を含む医薬組成物を被験体に投与することを含む、増殖性疾患、炎症性疾患、自己免疫性疾患、神経疾患、眼疾患、呼吸器疾患、代謝性疾患、皮膚疾患、聴覚疾患、肝疾患、腎疾患又は感染性疾患を治療する方法に関する。典型的には、疾患又は病状は肝臓の疾患である。
【0409】
幾つかの実施形態では、本開示は、標的遺伝子の発現を減少するのに十分な量で医薬組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含み、ここで、医薬組成物が本明細書に記載されるグルタチオン感受性核酸阻害剤分子と、これもまた本明細書に記載される薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、被験体において標的遺伝子の発現を減少する方法を提供する。
【0410】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性核酸阻害剤分子は、ssRNAi阻害剤分子又はdsRNAi阻害剤分子を含む、本明細書に記載されるRNAi阻害剤分子である。
【0411】
標的遺伝子は、ヒト標的遺伝子等の任意の哺乳動物に由来する標的遺伝子であってもよい。任意の遺伝子が、本方法によってサイレンシングされ得る。例示的な標的遺伝子として、限定されないが、第VII因子、Eg5、PCSK9、TPX2、apoB、SAA、TTR、HBV、HCV、RSV、PDGFベータ遺伝子、Erb-B遺伝子、Src遺伝子、CRK遺伝子、GRB2遺伝子、RAS遺伝子、MEKK遺伝子、JNK遺伝子、RAF遺伝子、Erk1/2遺伝子、PCNA(p21)遺伝子、MYB遺伝子、JUN遺伝子、FOS遺伝子、BCL-2遺伝子、サイクリンD遺伝子、VEGF遺伝子、EGFR遺伝子、サイクリンA遺伝子、サイクリンE遺伝子、WNT-1遺伝子、ベータ-カテニン遺伝子、c-MET遺伝子、PKC遺伝子、NFKB遺伝子、STAT3遺伝子、サバイビン遺伝子、Her2/Neu遺伝子、トポイソメラーゼI遺伝子、トポイソメラーゼIIアルファ遺伝子、p73遺伝子、p21(WAF1/CIP1)遺伝子、p27(KIP1)遺伝子、PPM1D遺伝子、RAS遺伝子、カベオリンI遺伝子、MIBI遺伝子、MTAI遺伝子、M68遺伝子、腫瘍抑制遺伝子中の突然変異、p53腫瘍抑制遺伝子、LDHA、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0412】
幾つかの実施形態では、グルタチオン感受性核酸阻害剤分子は標的遺伝子をサイレンシングするため、標的遺伝子の望ましくない発現を特徴とする障害を有する又はそのリスクがある被験体を治療するために使用され得る。例えば、幾つかの実施形態では、本発明のグルタチオン感受性核酸阻害剤分子は、ベータ-カテニン遺伝子をサイレンシングするため、望ましくないベータ-カテニン発現を特徴とする障害、例えば腺癌又は肝細胞癌を有する又はそのリスクがある被験体を治療するために使用され得る。
【0413】
或る特定の実施形態では、医薬組成物は、全身投与(静脈内又は皮下の投与等)によって、肝臓等の被験体又は生体の関連する組織又は細胞へと送達される。他の実施形態では、医薬組成物は、局所投与又は全身投与によって送達される。或る特定の実施形態では、医薬組成物は、肺送達等の肺の細胞及び組織等の関連する組織又は細胞への局所投与によって送達される。
【0414】
本明細書に開示される化合物の治療的有効量は、投与経路、並びに被験体の大きさ及び体重、疾患の進行又は浸潤の程度、被験体の年齢、健康状態及び性別等の患者の身体的特徴に依存し得る。本明細書で使用される治療的有効量は、治療されている被験体の疾患又は病状の症状を予防、緩和又は改善するのに有効な化合物(複数の場合もある)の量を意味する。
【0415】
或る特定の実施形態では、グルタチオン感受性のオリゴヌクレオチド、ヌクレオチド又
はヌクレオシドは、1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり20マイクログラム~10ミリグラム、体重1キログラム当たり100マイクログラム~5ミリグラム、体重1キログラム当たり0.25ミリグラム~2.0ミリグラム、又は体重1キログラム当たり0.5ミリグラム~2.0ミリグラムの投薬量で投与される。
【0416】
本開示の医薬組成物は、毎日又は間欠的に投与されてもよい。例えば、本開示の化合物の間欠投与は、1週間当たり1日~6日、1カ月当たり1日~6日、1週間に1回、1週間おきに1回、1カ月に1回、1カ月おきに1回、又は1年に1回若しくは2回投与されてもよく、又は複数の毎年、毎月、毎週若しくは毎日の投薬に分けられてもよい。幾つかの実施形態では、間欠投薬は、周期的な投与を意味する場合があり(例えば、1日間、1週間、又は連続して2週間~8週間に亘る毎日の投与の後、残りの期間は最長1週間、最長1カ月、最長2カ月、最長3カ月又は最長6カ月以上に亘って投与を行わない)、又は間欠投薬は隔日、隔週、隔月若しくは隔年の投与を意味する場合がある。
【0417】
本発明の治療方法のいずれかにおいて、上記化合物は、単剤療法として単独で、又は当該技術分野で知られている追加の治療法と組み合わせて被験体に投与され得る。
【実施例0418】
実施例1.グルタチオン感受性化合物の合成
別段の指示がない限り、非加水分解の反応はいずれも、Sigma-Aldrich Corporation(
ミズーリ州セントルイス)から購入したドライソルベント(dry solvents)で行われた。アミダイトを除き、同一の条件下で、改質剤としてギ酸アンモニウム(3ミリモル)を用いて、Agilent ZORBAX(商標)Eclipse Plus(カリフォルニア州サンタクララのAgilent Technologies Company)C18、21×50ミリメートル(mm)、1.8ミクロンのカラム、100×4.6mm、2.7ミクロンのカラムを使用し、60℃で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行った。UVトレースを220ナノメートル(nm)で記録し、陽イオンと陰イオンの両方のモードでAgilent Technologies 6140 Quadrapole LC/MS質量分析計を使用して質量スペクトルを得た。プレ充填カラム(ネブラスカ州リンカーンのTeledyne Isco, Inc.)を使用して、Teledyne Isco COMBIFLASH(商標)
Rfで勾配クロマトグラフィーにより予備精製を行った。Varian, Inc.(カリフォルニア州パロアルト)のVarian UNITY(商標)600、500又は400のスペクトロメータでNMRスペクトルを記録した。
【0419】
化合物8b
下記スキーム1は、ジスルフィド架橋を含むグルタチオン感受性化合物:(2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(((2シアノエチル)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)-2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-3-イル(2-(tert-ブチルジスルファニル)フェニル)カルバメート(化合物8b)の合成を表す。化合物8bのグルタチオン感受性部分は、式IVeによって包含され、より具体的には式IVe(ix)によって表される。この化合物の作製の実施可能性を実証するため、8個のヌクレオチドを含む単純なモデルオリゴマーを合成した。下記スキームに示される手順に従って、重要中間体であるホスホロアミダイト8bを合成した。要約すると、商業的に入手可能なtertブチルチオールを活性化チオスルホネート2bに変換し、その後2-アミノチオフェノールと反応させてジスルフィド化合物4bを得た。次に、4b化合物をトリホスゲンで処理して、イソシアネート中間体5bを生成した。予め単離せずに、イソシアネート5b化合物を「in-situ」で5’-ジメトキシトリチル(DMtr)保護ウリジンと反応させて、2’,3’-保護カルバメートの混合物を得た。本発明者らは、クロマトグラフィー精製の間、2’-位から3’-位へのカ
ルバメートの移動を観察した。この望ましくない移動を回避するため、シリカゲル精製中に1%ピリジン溶液を使用した。望ましくない異性体の分離の後、化合物7bを、合成されたホスホロアミダイトによって典型的に使用されるホスフィチル化条件に供した。次いで、標準的なシアノエチル基含有ホスホロアミダイトの精製中に通常使用されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって化合物8bを精製した。化合物8bは、安定性を含めて、標準的なホスホロアミダイト化合物に類似する生理化学的な挙動を示した。
【化47】
【0420】
S-tert-ブチルメタンスルホノチオエート(2b)の合成
乾燥ピリジン(100mL、Ald.無水)中のtert-ブチルチオール(1b)(20グラム(g)、0.22モル(mol)、1当量のアルデヒド(Ald.))の溶液に、メタンスルホニルクロリド(17.1ミリリットル(mL)、0.22mol、Ald.)を滴加した。反応物を室温で撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)(ヘキサン:EtOAc=6:1;リンモリブデン酸(PMA)で可視化、遅延係数(Rf)=0.44)によってモニターした。一晩の後、上記反応は完了し、反応物をEt2Oで希釈し、次いで、4N HClで酸性化した。水相をEt2Oで抽出し、分離して、無水Na2SO4上で乾燥した。ロータリーエバポレータ(ロタバップ)で濃縮した後、粗生成物をISCOクロマトグラフィー(ISCO REDISEP(商標)(Teledyne Isco, Inc)、330g)によって精製し、ヘキサン中0%→100%のEtOAcで溶出した(UV:254nm、280nmによってモニターした)。所望の画分を合わせ、蒸発させて2b(20g、53%)の無色の油を得た。陽子核磁気共鳴(1H NMR)(300メガヘルツ(MHz)、クロロホルム-d(CDCl3)スペクトルは次の通りである:3.33(s,3H)、1.58(s、9H)。
【0421】
2-(tert-ブチルジスルファニル)アニリン(4b)の合成
MeOH(200mL、Ald.無水)中のオルト-アミノベンゼンチオール(3)(12.8mL、0.12モル、1当量、Acros)の溶液にS-tert-ブチルメタンス
ルホノチオエート2b(20g、0.12mol、1当量)を添加し、反応物をN2のもと室温で撹拌した。反応物をTLC及び質量分析(MS)(ヘキサン:EtOAc=6:1;PMAで可視化、Rf=0.68;MS大気圧化学イオン化(APCI)[M+1]:214.0(100%))によってモニターした。2時間後、反応は完了し、ロタバップによって濃縮した。粗生成物をISCOクロマトグラフィー(ISCO REDISEP(商標)、330g)によって精製し、ヘキサン中0%→100%のEtOAcで溶出した(UV:254nm、280nmによってモニターした)。所望の画分を合わせ、蒸発させて4b(25g、98%)の無色の油を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)スペクトルは次の通りである:7.50(dd,J=7.68,1.38Hz,1H)、7.09(td,J=7.41,1.38Hz,1H)、6.67(m,2H)、1.34(s,9H)。MS:(APCI+)M+1=214.0。
【0422】
1-(tert-ブチル)-2-(2-イソシアナトフェニル)ジスルファン(5b)の合成
0℃の氷水浴のもと、CH2Cl2(500mL、Ald.無水)中の2-(tert-ブチルジスルファニル)アニリン(4b)(10g、46.8mmol、1当量)の溶液にトリホスゲン(13.9g、46.8mmol、1当量、Acros)を添加し、続いて
Et3N(65.3mL、0.46mol、10当量、Ald.無水)を添加して、その反応物を0℃で1時間撹拌した。反応物をロタバップ(水浴:室温)によって濃縮し、得られた粗製固体を、次の工程で直接使用した。
【0423】
(2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-3-イル(2-(tert-ブチルジスルファニル)フェニル)カルバメート(7b)の合成
0℃の氷水浴のもと、CH2Cl2(500mL、Ald.無水)中の粗製1-(tert-ブチル)-2-(2-イソシアナトフェニル)ジスルファン(5b)(粗製、2当量)の溶液に1-((2R,3R,4S,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン6(13g、23.78mmol、1当量、carbosynth)を添加し、反応物を1.5時間撹拌して0℃から室温にした。反応物をTLC(ヘキサン:EtOAc=1:2;PMAで可視化)によってモニターした。TLCは、生成物7b(Rf=0.38)と並んで、7b’(位置異性体、Rf=0.19)及び7b’’(ジカルバメート、Rf=0.61)を示した。1.5時間後、反応物を濃縮し、EtOAc(100mL)と混合して不溶性の塩を濾過した。濾液をEtOAc(500mL)で希釈し、飽和NaHCO3、H2O、塩水で洗浄して、無水Na2SO4の上で乾燥した。ロタバップによる濃縮の後、粗生成物を予め平衡化したシリカゲルカラムに充填し、ISCOクロマトグラフィー(ISCO REDISEP(商標)、120g、0.5%ピリジン/ヘキサンで予め平衡化した)1によって精製し、ヘキサン中0%→100%のEtOAcで溶出した(UV:254nm、280nmによってモニターした)。所望の画分を合わせ、蒸発させて94%(HPLC)の純度の無色で泡状の2.6gの7b(14%)を得た。1H NMR(300 MHz,DMSO-d6)スペクトルは次の通りである:11.42(s,1H)、9.38(s,1H)、7.72(m,2H)、7.24~7.38(m,13H)、6.88~6.91(m,4H)、6.01(d,J=4.95Hz,1H)、5.70(d,J=5.79Hz,1H)、5.37(dd,J=7.95,2.19Hz,1H)、5.30(t,J=3.09Hz,1H)、4.41(dd,J=11.01,5.49Hz,1H)、3.73(s,6H)
、3.21~3.30(m,2H)、1.21(s,9H)。MS:(APCI-)M-1=784.2。
【0424】
(工程5):(2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(((2-シアノエチル)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)-2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-3-イル(2-(tert-ブチルジスルファニル)フェニル)カルバメート(8b)の合成
CH2Cl2(40mL、Ald.無水)中の(2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-3-イル(2-(tert-ブチルジスルファニル)フェニル)カルバメート(7b)(1.6g、2.03mmol、1当量)の溶液に、N2のもと室温で、ピリジン(0.16mL、2.03mmol、1当量、Ald.無水)及び5-(エチルチオ)-1H-テトラゾール(265mg、2.03mmol、1当量、Ald.)を添加した。次いで、O-シアノエチル-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(674.9mg、2.23mmol、1.1当量、マサチューセッツ州ウィルミントンのChemGenes Corporation)を添加した。反応物を室温で撹拌し、TLC(ヘキサン:
EtOAc=1:2;PMAで可視化、Rf=0.51)でモニターした。2時間後、反応は完了し、反応物をCH2Cl2(400mL)で希釈し、飽和NaHCO3、H2O、塩水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した。ロタバップによる濃縮の後、粗生成物を予め平衡化したシリカゲルカラムに充填し、ISCOクロマトグラフィー(ISCO REDISEP(商標)、40g、ヘキサン中1.0%Et3Nで予め平衡化した)によって精製し、ヘキサン中0%→100%のEtOAc(1%Et3N)で溶出した(UV:254nm、280nmによってモニターした)。所望の画分を合わせて、蒸発させて97%(HPLC)の純度の無色で泡状の1.6gの8b(77%)を得た。1H NMR(300MHz,DMSO-d6)スペクトルは次の通りである:11.47(s,1H)、9.45(m,1H)、7.74(m,2H)、7.25~7.38(m,13H)、6.87~6.90(m,4H)、6.02(m,1H)、5.40~5.49(m,2H)、4.62(m,1H)、4.21(m,1H)、3.73(s,6H)、3.48~3.65(m,4H)、3.32(m,1H)、2.73(m,1H)、2.62(t,J=6.3Hz,1H)、1.19(s,9H)、0.94~1.12(m,12H)。31P NMR(161MHz,DMSO-d6)150.44,150.08。MS:(APCI-)M-1=984.4。
【0425】
化合物8d
下記スキーム3は、ジスルフィド架橋を含むグルタチオン感受性化合物:(2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(((2-シアノエトキシ)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)-2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-3-イル(2-((tert-ブチルジスルファニル)メチル)フェニル)カルバメート(化合物8d)の合成を表す。化合物8dのグルタチオン感受性部分は式IVeによって包含され、より具体的には式IVe(ii)によって表される。8bの合成について記載されるのと同様の手順に従って、ヌクレオシドホスホロアミダイト8dを合成した。簡潔には、商業的に入手可能な2-アミノベンジルアルコールをBoc基で一過性に保護して1d-2を得た。チオ酢酸の存在下での1d-2の光延反応により、チオエステル中間体1d-2を生じた。NaOMe/MeOHによるチオエステルの選択的な加水分解に続いて、S-tert-ブチルメタンスルホノチオエートで処理し、化合物3dを得た。トリフルオロ酢酸(TFA)によるBoc脱保護の後、4dをイソシアネート中間体5dに変換し、5’-ジメトキシトリフェニルメチル(DMTr)-保護ウリジンと「
in-situ」で反応させて、2’-及び3’-保護カルバメート7d及び7d’の混合物を得た。カラムクロマトグラフイー分離の後、7dのホスフィチル化は50%の収率で無色の泡として、求められるホスホロアミダイト8dを生じた。
【化48】
【0426】
(工程1):tert-ブチル(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)カルバメート(1d-1)の合成
テトラヒドロフラン(THF)(200mL、Ald.無水)中の(2-アミノフェニル)メタノール(1d)(10g、81.2mmol、1当量、Ald.)の溶液にBoc2O(18.6g、85.2mmol、1.1当量、AK scientific)を添加した。反
応物を室温で撹拌し、TLC(ヘキサン:EtOAc=6:1、PMAで可視化、Rf=0.2)によってモニターした。一晩の後、反応は完了し、反応物をEtOAc(500mL)で希釈し、飽和NaHCO3、H2O、塩水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した。ロタバップによる濃縮の後、粗生成物をISCOクロマトグラフィー(ISCO REDISEP(商標)、220g)によって精製し、ヘキサン中0%→100%のEtOAcで溶出した(UV:254nm、280nmによってモニターした)。所望の画分を合わせ、蒸発させて1d-1の無色の泡15g(82%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)スペクトルは次の通りである:7.90(d,J=7.98Hz,1H)、7.61(s,1H)、7.30(t,J=7.68Hz,1H)、7.16(d,J=7.41Hz,1H)、7.00(t,J=7.41Hz,1H)、4.68(s,2H)、1.51(s,9H)。
【0427】
(工程2):S-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ベンジルエタンチオエート(1d-2)の合成
THF(300mL)中のPh3P(23.6g、90.3mmol、2.1当量、Ald.)の溶液に、0℃でジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(17.7mL、90.3mmol、2.1当量、Ald.)を添加し、混合物を30分間撹拌し
た。THF(100mL)中のtert-ブチル(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)カルバメート(1d-1)(9.6g、43mmol、1当量)及びチオ酢酸(6.3mL、90.3mmol、2.1当量、Ald.)の混合物を、上の反応混合物に滴加した。反応物を撹拌して室温まで温め、TLC(ヘキサン:EtOAc=6:1、PMAで可視化、Rf=0.47)によってモニターした。一晩の後、混合物をEtOAc(500mL)で希釈して、飽和NaHCO3、H2O、塩水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した。ロタバップによる濃縮の後、粗生成物をISCOクロマトグラフィー(ISCO
REDISEP(商標)、220g)によって精製し、ヘキサン中0%→100%のEtOAcで溶出した(UV:254nm、280nmによってモニターした)。所望の画分を合わせ、蒸発させて1d-2の無色の泡10g(88%)を得た。1H NMR(300MHz,DMSO-d6)スペクトルは次の通りである:8.64(s,1H)、7.19~7.30(m,3H)、7.05(t,J=7.41Hz,1H)、4.10(s,2H)、2.28(s,3H)、1.41(s,9H)。
【0428】
(工程3):tert-ブチル(2-(メルカプトメチル)フェニル)カルバメート(1d-3)の合成
MeOH(200mL)中のS-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ベンジルエタンチオエート(1d-2)(11.8g、41.9mmol、1当量)の溶液にNaOMe(2.2g、41.9mmol、1当量、Ald.)を添加し、反応物を室温で撹拌し、TLC(ヘキサン:EtOAc=6:1、PMAで可視化、Rf=0.5)によってモニターした。2時間後、反応は完了し、1N HClでpHを約6に酸性化し、次いで、ロタバップによって濃縮した。粗生成物をEtOAc(500mL)に溶解し、H2O、塩水で洗浄して、無水Na2SO4上で乾燥した。濃縮後、粗生成物1d-3を次の工程で直接使用した。
【0429】
(工程4):2-((tert-ブチルジスルファニル)メチル)アニリン(3d)の合成
MeOH(200mL、Ald.無水)中のtert-ブチル(2-(メルカプトメチル)フェニル)カルバメート(1d-3)(10g、41.9mmol、1当量)の溶液にS-tert-ブチルメタンスルホノチオエート2b(9.2g、54.5mmol、1.3当量)を添加し、続いてEt3N(17.5mL、125.8mmol、3当量、Ald.無水)を添加した。反応物をN2のもと室温で撹拌し、TLC(ヘキサン:EtOAc=6:1、PMAで可視化、Rf=0.6)によってモニターした。2時間後、反応は完了し、ロタバップによって濃縮した。粗生成物をISCOクロマトグラフィー(ISCO REDISEP(商標)、80g)によって精製し、ヘキサン中0%→100%のEtOAcで溶出した(UV:254nm、280nmによってモニターした)。所望の画分を合わせ、蒸発させて3dの白色固体(5.8g、42%)を得た。1H NMR(300MHz,DMSO-d6)スペクトルは次の通りである:8.62(s,1H)、7.19~7.30(m,3H)、7.05(t,J=7.41Hz,1H)、4.02(s,2H)、1.41(s,9H)、1.21(s,9H)。
【0430】
(工程5):2-((tert-ブチルジスルファニル)メチル)アニリン(4d)の合成
2-((tert-ブチルジスルファニル)メチル)アニリン(3d)(3g、9.16mmol、1当量)をTFA/CH2Cl2(15mL/45mL)の混合溶液に添加し、反応物を室温で2時間撹拌した。反応物をロタバップ(水浴:室温)によって濃縮し、得られた粗生成物4dを次の工程で直接使用した。
【0431】
(工程6):1-(tert-ブチル)-2-(2-イソシアナトベンジル)ジスルファン(5d)の合成
0℃の氷水浴のもと、CH2Cl2(100mL、Ald.無水)中の2-((tert-ブチルジスルファニル)メチル)アニリン(4d)(粗製物、2g、8.8mmol、1当量)の溶液にトリホスゲン(2.6g、8.8mmol、1当量、Acros)を添加
し、続いてEt3N(12.3mL、0.09mol、10当量、Ald.無水)を添加し、反応物を0℃で1時間撹拌した。反応物をロタバップ(水浴:室温)によって濃縮し、得られた粗製の固体5dを次の工程で直接使用した。
【0432】
(工程7):(2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-3-イル(2-((tert-ブチルジスルファニル)メチル)フェニル)カルバメート(7d)の合成
0℃の氷水浴のもと、CH2Cl2(100mL、Ald.無水)中の粗製1-(tert-ブチル)-2-(2-イソシアナトベンジル)ジスルファン(5d)(粗製物、2当量)の溶液に1-((2R,3R,4S,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン6(2.4g、4.39mmol、1当量、carbosynth)を添加し、反応物を撹拌して0℃から室温にした。反応物をTLC(ヘキサン:EtOAc=1:4、PMAで可視化)によってモニターした。TLCは7d’(位置異性体、Rf=0.18)及び7d’’(ジカルバメート、Rf=0.71)と並んで、生成物7d(Rf=0.35)を示した。一晩の後、反応物を濃縮し、EtOAc(100mL)と混合して、不溶性塩を濾過した。濾液をEtOAc(500mL)で希釈し、飽和NaHCO3、H2O、塩水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した。ロタバップによる濃縮の後、粗生成物を予め平衡化したシリカゲルカラムに充填し、ISCOクロマトグラフィー(0.5%ピリジン/ヘキサンで予め平衡化したISCO REDISEP(商標)、80g)1によって精製し、ヘキサン中0%→100%のEtOAcで溶出した(UV:254nm、280nmによってモニターした)。所望の画分を合わせ、蒸発させて79.3%(HPLC)2、3の純度で7dの無色の泡339mg(10%)を得た。1H NMR(300MHz,DMSO-d6)スペクトルは次の通りである:11.45(s,1H)、9.27(s,1H)、7.73(d,J=8.25Hz,1H)、7.23~7.40(m,13H)、6.88~6.96(m,4H)、6.04(d,J=4.65Hz,1H)、5.72(d,J=5.49Hz,1H)、5.38(d,J=7.98Hz,1H)、5.26(t,J=5.22Hz,1H)、4.45(dd,J=10.44,5.22Hz,1H)、4.05(m,1H)、3.72(s,6H)、3.32(m,1H)、3.26(m,1H)、1.21(s,9H)。
【0433】
(工程8):(2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(((2-シアノエトキシ)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)-2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-3-イル(2-((tert-ブチルジスルファニル)メチル)フェニル)カルバメート(8d)の合成
CH2Cl2(10mL、Ald.無水)中の(2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-3-イル(2-((tert-ブチルジスルファニル)メチル)フェニル)カルバメート(7d)の溶液(239mg、0.30mmol、1当量)に、N2
1のもと室温でピリジン(0.02mL、0.30mmol、1当量、Ald.無水)及び5-(エチルチオ)-1H-テトラゾール(38.9mg、0.30mmol、1当量、Combi-Blocks)を添加した。次いで、O-シアノエチル-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(99.1mg、0.33mmol、1.1当量、ChemGenes Corporation)を添加した。反応物を室温で撹拌し、TLC(ヘキサン:EtOAc=1:4
、PMAで可視化、Rf=0.69)によってモニターした。6時間後、反応物は目立ったスポットとして予想された生成物を示し、反応物をCH2Cl2(200mL)で希釈し、飽和NaHCO3、H2O、塩水で洗浄して、無水Na2SO4上で乾燥した。ロタバップによる濃縮の後、粗生成物を予め平衡化したシリカゲルカラムに充填し、ISCOクロマトグラフィー(ISCO REDISEP(商標)、24g、ヘキサン中1.0%Et3Nで予め平衡化した)によって精製して、ヘキサン中0%→100%のEtOAc(1%Et3N)で溶出した(UV:254nm、280nmによってモニターした)。所望の画分を合わせ、蒸発させて94.4%(HPLC)2の純度で8dの無色の泡151mg(50%)を得た。1H NMR(300MHz,DMSO-d6)スペクトルは次の通りである:11.49(s,1H)、9.41(m,1H)、7.71(m,1H)、7.13~7.40(m,14H)、6.87~6.90(m,4H)、6.05(m,1H)、5.41~5.45(m,2H)、4.68(m,1H)、4.25(m,1H)、4.08(m,1H)、3.98(m,1H)、3.72(s,6H)、3.52~3.65(m,4H)、3.34(m,1H)、2.63(m,1H)、2.53(m,1H)、1.21(s,9H)、0.96~1.12(m,12H)。31P NMR(161MHz,DMSO-d6)150.45,150.34。MS:(APCI-)M-1=999.4。
【0434】
化合物8h
下記スキーム4は、ジスルフィドを含むグルタチオン感受性化合物(化合物8h):エチルN-((((2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(((2-シアノエトキシ)(ジイソプロピルアミノ)ホスファニル)オキシ)-2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)カルボニル)-S-(tert-ブチルチオ)-L-システイネートの合成を表す。化合物8hのグルタチオン感受性部分は式IVdによって包含され、より具体的には式IVd(i)によって表される。
【化49】
【0435】
下記スキーム5は、スルホンを含むグルタチオン感受性化合物(化合物8i):(2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)
メチル)-4-(((2-シアノエトキシ)(ジイソプロピルアミノ)ホスファニル)オキシ)-2-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)テトラヒドロフラン-3-イル(2-(フェニルスルホンアミド)エチル)カルバメートの合成を表す。化合物8iのグルタチオン感受性部分は、式IVbによって包含され、より具体的には、式IVb(ii)によって表され、式中、Rは水素である。
【化50】
【0436】
実施例2.グルタチオン感受性オリゴヌクレオチドの合成
オリゴヌクレオチドを市販のオリゴ合成装置で合成した。2’-修飾ヌクレオシドホスホロアミダイト、すなわち、2’-F及び2’-OMe修飾ヌクレオシドホスホロアミダイト及び2’-グルタチオン感受性ヌクレオシドホスホロアミダイトを使用して、試験化合物1及び試験化合物2(
図1B)を合成した。試験化合物1及び試験化合物2は、2’-炭素に可逆的なグルタチオン感受性修飾を有する1個のヌクレオチドを含むのに対し、残りのヌクレオチドは不可逆2’-F又は2’-OMe修飾を含んだ。
【0437】
オリゴヌクレオチド合成を、3’から5’の方向に固体支持体上で行った。標準的なオリゴヌクレオチド合成プロトコルを利用した。カップリング時間は、活性化因子として5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT)を用いて300秒であった。ヨウ素溶液を、亜リン酸トリエステル酸化に使用した。合成されたオリゴヌクレオチドを55℃で10時間に亘り、濃縮した水性アンモニウムで処理した。懸濁液中のアンモニアの除去の後、CPGを濾過によって除去した。酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA)の添加後に、粗製オリゴヌクレオチドを分析し、強アニオン交換高速液体クロマトグラフィー(SAX-HPLC)によって精製した。得られたオリゴヌクレオチド溶液をプールし、濃縮して、水で脱塩した。最後に、オリゴヌクレオチドを凍結乾燥して粉末にした。
【0438】
2つの試験化合物の各々に対してオリゴヌクレオチドガイド鎖を合成した。一方のガイド鎖は、ヌクレオチド位置1(すなわち、5’-末端のヌクレオチド)に単一の2’-グルタチオン感受性ヌクレオシドを有した。他方のガイド鎖は、ヌクレオチド位置14に単一の2’-グルタチオン感受性ヌクレオシドを有した。2つのガイド鎖は、標的mRNA
配列に相補的であった同じヌクレオチド配列を含んだ。したがって、試験化合物1及び試験化合物2に対する2本のオリゴヌクレオチドガイド鎖は、2’-グルタチオン感受性ヌクレオシド部分のヌクレオチド位置を除いて同一であった。
【0439】
次いで、上記プロセスを繰り返して、グルタチオン感受性部分を含まない相補的なオリゴヌクレオチドのパッセンジャー鎖を作製した。パッセンジャー鎖は、スペーサーを介してポリエチレングリコール-GalNAcリガンドにホスホロアミダイトを接合することによって更に修飾された。GalNAc末端ポリエチレングリコールは、当該技術分野で知られている方法を使用して、クリック化学を介してパッセンジャー鎖中のテトラループ構造の4個のヌクレオチドの2’-炭素に接合された(例えば、国際公開第2016/100401号を参照されたい)。
【0440】
2つのdsRNAi阻害剤分子である試験化合物1及び試験化合物2を得るため、1:1のモル比で2本の相補鎖(ガイド及びパッセンジャー)の各々を混合することにより、二重鎖を形成した。
図1Bを参照されたい。試験化合物1は、ヌクレオチド位置1に2’-グルタチオン感受性部分を有する22塩基対のガイド鎖及びグルタチオン感受性部分を全く含まない36塩基対のパッセンジャー鎖を含み、ここで、パッセンジャー鎖は、ポリエチレングリコール-GalNAcリガンドにそれぞれ接合される、テトラループの4個のヌクレオチドを含む(
図1Bを参照されたい)。また、試験化合物1は、ガイド鎖の5’-末端の5’-炭素の遊離ヒドロキシル基(5’-OH)を有した。ガイド鎖のヌクレオチド位置1のグルタチオン感受性ヌクレオチドを除いて、試験化合物1の残りのヌクレオチドを2’-F又は2’-OMeのいずれかによって不可逆的に修飾した。
【0441】
試験化合物2は、ヌクレオチド位置14に2’-グルタチオン感受性部分を有する22塩基対のガイド鎖、及びグルタチオン感受性部分を全く有しない36塩基対のパッセンジャー鎖を含み、ここで、パッセンジャー鎖は、ポリエチレングリコール-GalNAcリガンドにそれぞれ接合される、テトラループの4個のヌクレオチドを含む(
図1Bを参照されたい)。ガイド鎖のヌクレオチド位置14のグルタチオン感受性ヌクレオチドを除いて、試験化合物2中の残りのヌクレオチドを2’-F又は2’-OMeのいずれかで不可逆的に修飾した。
【0442】
大きな2’-修飾ヌクレオシドは、一般的には、二本鎖RNAi阻害剤分子のヌクレオチド位置14において十分耐容性ではなく(Zheng et al., FASEB Journal, 2013, 27(2):1-10)、2’-F又は2’-OMe等の小さな機能的部分は位置14のヌクレオシドを
修飾するために好ましく使用されると報告されている。試験化合物2では、位置14の大きな2’-グルタチオン感受性部分は細胞質基質においてグルタチオンによって切断されて、2’-炭素にはるかに小さなヒドロキシル基を生じ、これはその炭素位置のリボヌクレオチドに対する天然の置換基にもなる。したがって、グルタチオン感受性部分が試験化合物2から放出されない限り、試験化合物2にはRNA阻害活性がほとんどない又は全くないと予想された。そのため、試験化合物2はグルタチオン感受性部分のin vivo除去に対する試験を提供する。
【0443】
また、対照化合物中のどのヌクレオチドもグルタチオン感受性部分を含まないことを除いては、上に記載される通り、2つの対照二本鎖RNAi阻害剤分子(対照化合物A及び対照化合物B)を作製した。
図1Aを参照されたい。対照化合物中のヌクレオチドをいずれも、(グルタチオン感受性部分で修飾された位置以外は)試験化合物と同じパターンで2’-F又は2’-OMeで不可逆的に修飾した。対照化合物Aは、ガイド鎖の5’-末端ヌクレオチドの5’-炭素の天然ホスフェート(5’-PO
4
2-)で合成されたのに対し、対照化合物Bは、ガイド鎖の5’-末端ヌクレオチドの5’-炭素の遊離ヒドロキシル基(5’-OH)を含んだ。対照化合物A及び対照化合物Bのガイド鎖は、同じヌク
レオチド配列を含み、したがって、試験化合物1及び試験化合物2と同じ標的mRNA配列を認識した。
【0444】
実施例3.2’-可逆的修飾ヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドの放出動態
下記のスキーム7で示されるように、2’-炭素の可逆的に修飾されたヌクレオシド(ウリジン)を含むグルタチオン感受性部分を作製した。pH7.5で500倍過剰なグルタチオン(5mMグルタチオン)を含むPBSバッファー中に修飾ヌクレオシドを溶解することにより、2’-グルタチオン感受性ウリジンに関する放出研究を行った。ジスルフィド放出研究の進行をRP-HPLCによってモニターした。RP-HPLCは、下記スキーム7に表される、中間体種である「中間体A」及び「中間体B」に対応する2つの新たなピークを示した。下記スキーム7に示されるように、上記中間体種を、所望のウリジン及びベンゾチアゾロン放出生成物へと徐々に変換した。
【0445】
下記スキーム7に示されるように、2’-グルタチオン感受性ウリジンに関する放出機構は2段階反応によって進行する。第1段階は、グルタチオンに対する曝露後のジスルフィド交換反応であり、その反応は急速であり、30分以内~60分以内のグルタチオン付加物への完全な変換をもたらす。初期のジスルフィド切断は、2つの中間体である「中間体A」及び「中間体B」をもたらす。第2の工程は、ヌクレオシドからベンゾチアゾロンを放出してヌクレオシドの2’-位にヒドロキシル基を脱離する、O→Sアシル転位反応による急速な分子内環化である。ベンゾチアゾロンの形成に対する反応動態データは、ウリジン形成の二相性プロファイルを支持した。ベンゾチアゾロンの環化及び放出(遊離ウリジンをもたらす)に対する半減期(t1/2)は、およそ4時間であった。
図2を参照されたい。
【化51】
【0446】
また、放出速度は、
図3に示されるように、グルタチオン感受性オリゴヌクレオチド(すなわち、試験化合物2)に対して決定され、残存する試験化合物2のパーセンテージの経時変化を示す。500当量のグルタチオン(21mg)を、10mMリン酸バッファー(体積10mL)中pH7.5で試験化合物2(1mg)に添加した。試験化合物2の消失速度をRP-HPLCによってモニターした。
図3より明らかなように、反応は二相性である。グルタチオン感受性部分の環化及び試験化合物2からの放出に対する半減期(t1/2)は、およそ6.5時間(約400分)であった。
図3を参照されたい。
【0447】
実施例4.試験化合物1のin vitroの効力
マウス肝細胞
試験化合物1の標的mRNAの発現をノックダウンする能力をin vitroで試験した。上に示されるように、試験オリゴヌクレオチド及び対照オリゴヌクレオチドは同じ標的配列を認識する。製造業者のプロトコルの通り96ウェルプレートにおいてLIPOFECTAMINE(商標) RNAiMax(メリーランド州ロックビルのThermo Fisher Scientific Inc.)を使用して、試験化合物1、並びに対照化合物A及び対照化合物
Bをマウス肝細胞にリバーストランスフェクトした。試験及び対照のオリゴヌクレオチドの最終濃度は1000pM~0.06pMの範囲であった。12000個の細胞/ウェルをプレートに添加した。プレートを37℃で48時間インキュベートした。48時間の終了時、細胞を1ウェル当たり30μlのISCRIPT(商標)溶解バッファーを添加することにより溶解した。22μlの溶解物を新たなプレートに移し、これを使用して、製造業者のプロトコルの通りcDNAを作製した。定量的PCRは、55℃でヒトSFR69遺伝子(hSFRS9-F569(HEX))に正規化された標的配列を用いて行った。GraphPad Prism(カリフォルニア州ラホヤのGraphPad Software Inc.)を使用してグラフをプロットし、IC50値を計算した。
【0448】
図4は、48時間後の脂質トランスフェクションアッセイにおける種々の濃度の試験化合物1の効力を表す。対照化合物A(ガイド鎖の5’-末端ヌクレオチドに5’-天然ホスフェートを有する)は約8.7pMのIC
50を有したのに対し、対照化合物B(ガイド鎖の5’-末端ヌクレオチドに5’-ヒドロキシルを有する)は、標的mRNAの発現減少にほとんど効果がなく、約24.5pMのIC
50を有した。試験化合物1について、IC
50は約13.5pMであった。試験化合物1のこのIC
50値は、より対照化合物Aに匹敵して、試験化合物1のガイド鎖の5’-末端ヌクレオチドの5’-ヒドロキシルが、細胞質基質中のキナーゼによってリン酸化されたことを示唆する。細胞質基質中の試験化合物1のガイド鎖のヌクレオシド位置1における2’-炭素のグルタチオン感受性部分の放出が、5’-ヒドロキシルをキナーゼリン酸化により適用可能とし、そして標的mRNAのノックダウンに対するガイド鎖のAgo2媒介RISCローディングを促進するはずであることが予想される。
【0449】
サル肝細胞
初代サル肝細胞をLife Technologies Corporation(カリフォルニア州カールスバード
)から得て、解凍し、製造業者のプロトコルの通り、CORNING(商標) BIOCOAT(商標)96ウェルプレートに蒔いた。蒔いてから4時間後~6時間後、1ウェル当たり90μlのウィリアムスEインキュベーション培地で培地を置き換えた。試験化合物を1μMの濃度で開始して12.8pM(5倍の減少)まで段階希釈した。10μlの試験化合物1をLIPOFECTAMINE(商標)(Thermo Fisher Scientfic, Inc.
)の不在下で各ウェルに添加した。プレートを37℃でインキュベートし、RNA標的のノックダウンを24時間に試験した。24時間の終わりに、標的RNAを抽出し、製造業者のプロトコルの通りSV96 Total RNA Isolation System(ウィスコンシン州マディソンのPromega)を使用して精製した。高容量cDNA逆転
写キット(Applied Biosystems Corporation)を使用してcDNAを作製した。ヒトペプチジルプロリルイソメラーゼB PPIBに正規化された標的配列を用いて60℃で定量的PCRを行った。GraphPadプリズムソフトウェア(GraphPad Software Inc.)を使用してグラフをプロットし、IC
50値を計算した。
図5は、脂質トランスフェクション剤が全く存在しない場合の初代サル肝細胞に送達された種々の濃度の試験化合物1の24時間における効力を示す。試験化合物1は、24時間に1.6nMのIC
50を有した。
【0450】
実施例5.試験化合物1及び試験化合物2に関するin vivo効力及び効果の持続期
間
試験化合物1及び試験化合物2を、PBSで1mg/kgの希釈標準溶液に希釈した。PBS希釈と同じ日に、CD-1雌性マウスに1mg/kgの用量の試験化合物1、試験化合物2、又は対照PBS溶液を単回で皮下注射した。投薬後(3日目、10日目、21日目及び28日目)の動物をCO2で安楽死させた後、心臓穿刺によって放血させた。肝臓の左中葉を摘除して1mm~4mmのパンチを摘除し、ドライアイス上の96ウェルプレートに入れた。全ての試料を収集した後、RNA及びcDNAを定量的PCR(qPCR)のために作製した。全ての試料を3通り作製し、CFX384 TOUCH(商標)リアルタイムPCR検出システム(カリフォルニア州ヘラクレスのBioRad Laboratories,
Inc.)を使用してqPCRを行った。次いで、全ての試料をPBSで処理した対照動物
に対して正規化し、GraphPadプリズムソフトウェアを使用してブロットした。
【0451】
図6は、試験化合物1のin vivo持続期間の研究を表す。1mg/kgの試験化合物1の皮下注射は、3日目に標的RNAの50%を超えるノックダウンをもたらした。10日目に標的RNAノックダウンのレベルの増加が観察され、キナーゼリン酸化及び標的遺伝子ノックダウンのための後のAgo-2媒介RISCローディングにより適用可能であるオリゴヌクレオチド基質を生成する、グルタチオン感受性部分の持続放出を示唆した。これらの結果は、dsRNAi阻害剤分子のガイド鎖のヌクレオシド位置1の2’-炭素に対してグルタチオン感受性部分を接合させることにより、細胞の細胞質基質への移動の間dsRNAi阻害剤分子を安定化するとともに、細胞質基質中の標的RNAの有効なノックダウンを促進することができることを示し、細胞質基質ではオリゴヌクレオチドのグルタチオン感受性部分がグルタチオンの存在下で除去される。
【0452】
図7は、試験化合物2のin vivo持続期間の研究を表す。上に示されるように、試験化合物2は、2’-炭素の大きな修飾を通常許容しないヌクレオチド位置である、ガイド鎖のヌクレオチド位置14の2’-炭素においてグルタチオン感受性部分で修飾される(
図1Bを参照)。したがって、大きなグルタチオン感受性部分が試験化合物2から放出されない限り、試験化合物2はRNAノックダウン効果がほとんどない又は全くないと予想された。
図7に示されるように、1mg/kgの試験化合物2の皮下注射は、10日目までの標的RNAの約50%のノックダウンをもたらし、細胞質基質におけるグルタチオン感受性部分のin vivo持続放出が、ガイド鎖のヌクレオチド位置14での可逆的なグルタチオン感受性部分に代えて天然2’-OHを生成することを示唆した。