IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サビック・イノヴェイティヴ・プラスティックス・ビイ ブイの特許一覧

特開2022-106972プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法
<>
  • 特開-プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法 図1
  • 特開-プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法 図2
  • 特開-プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法 図3
  • 特開-プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法 図4
  • 特開-プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法 図5
  • 特開-プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法 図6
  • 特開-プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法 図7
  • 特開-プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法 図8
  • 特開-プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法 図9
  • 特開-プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106972
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
B29C45/14
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022078300
(22)【出願日】2022-05-11
(62)【分割の表示】P 2020026076の分割
【原出願日】2015-05-04
(31)【優先権主張番号】102014008815.4
(32)【優先日】2014-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516305846
【氏名又は名称】サビック・イノヴェイティヴ・プラスティックス・ビイ ブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】コーゼ,キム
(72)【発明者】
【氏名】オーニムス,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ミンコウ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】オット,ハーラルト
(72)【発明者】
【氏名】ネック,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ガウグラー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】クリンク,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】エッガース,フレート
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,レオ
(72)【発明者】
【氏名】ドッゲン,ゲラルドゥス・ヨハネス・コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】ファイスト,ブリギット
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体の製造方法を提供する。
【解決手段】金属表面と少なくとも1つのプラスチック成分との付着を改善するために、ランダムな巨視的及び/又は微視的アンダカットを金属表面に作製し、金属表面を均一に粗面化する。これらのアンダカットはそれぞれ、射出成形プロセスにおいて、少なくとも1つのプラスチック成分で少なくとも部分的に充填され、これにより上記プラスチック成分は、巨視的及び/又は微視的アンダカット内に係合する。そして、例えば金属の少なくとも粗面化された表面を、室温から、上記プラスチックの加工温度より100℃高い温度までの範囲内にある温度まで加熱する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックか
らなる材料複合体を製造するための方法であって、
金属表面と少なくとも1つのプラスチック成分との付着を改善するために、短パルスレ
ーザ放射を用いて、ランダムな粗面化形状として微視的アンダカットを有する巨視的アン
ダーカットを前記金属表面に導入して、前記金属表面を均一に粗面化し、
前記アンダカットはそれぞれ、射出成形プロセスにおいて、前記少なくとも1つのプラ
スチック成分で少なくとも部分的に充填され、これにより前記プラスチック成分は、ラン
ダムな前記微視的および巨視的アンダカット内に係合し、
前記金属表面の前記粗面化の後、前記少なくとも1つのプラスチック成分のための前記
射出成形プロセスの前、及び/又は前記少なくとも1つのプラスチック成分のための前記
射出成形プロセス中に、前記金属の少なくとも粗面化された前記表面を、室温から、前記
少なくとも1つのプラスチック成分の加工温度より100℃高い温度までの範囲内にある
温度まで加熱する、方法であって、さらに、
前記少なくとも1つのプラスチック成分に添加剤を配合して、粗面化及び加熱された前
記金属表面に対する前記少なくとも1つのプラスチック成分の結合強度を増大させる、こ
とを特徴とする方法。
【請求項2】
前記金属の前記粗面化表面が加熱される温度は、前記少なくとも1つのプラスチック成
分の前記加工温度より100℃低い温度から前記加工温度までの範囲内にあることを特徴
とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属の前記粗面化金属表面の前記加熱は、ガラス転移温度より高い温度、好ましく
は熱可塑性物質の場合は前記ガラス転移温度の範囲内の温度で実施されることを特徴とす
る、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属の少なくとも前記粗面化表面をいずれの温度まで加熱するかは、プロセス期間
、溶融物の粘度、前記金属表面の前記粗面化(構造形成)のきめ細かさ及び深さ等のパラ
メータに応じて選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法
【請求項5】
前記金属の前記加熱は、誘導加熱または可変温度調節または水、油又はガスを用いた高
内圧形成プロセスによって実施されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に
記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプラスチック成分として、熱可塑性物質、熱硬化性プラスチック
またはエラストマーまたはエラストマー状プラスチックを使用することを特徴とする、請
求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプラスチック成分は、前記少なくとも1つのプラスチック成分の
長さ膨張係数を低減するフィラー及び強化材料が配合されることを特徴とする、請求項1
~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維又は亜麻、麻若しくはサイザルの天然繊維あるい
は1mmまたは0.4mm長の繊維を有する繊維、短いガラス繊維または1mm~30m
mの範囲の名側を有する繊維または長いガラス繊維を、前記少なくとも1つのプラスチッ
ク成分を強化するための繊維として使用することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記強化材料として、繊維配向に沿って負の熱膨張係数を有する、アラミド繊維等のポ
リマー系強化系を使用することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
鋼、アルミニウム又はその他の金属を使用し、前記プラスチック成分として高度強化熱
可塑性プラスチックを使用する場合、前記高度強化熱可塑性プラスチックを用いた前記射
出成形プロセスの前に、粗面化された前記鋼の表面を、溶融温度より100℃低い温度か
ら加工中の前記溶融温度までの範囲の温度に加熱することを特徴とする、請求項1~9の
いずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラ
スチックからなる材料複合体を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から公知の1つのこのような方法では、第1の方法ステップにおいて、金属
表面を粗面化して金属表面と少なくとも1つのプラスチック成分との付着を改善するため
に、短パルスレーザ放射を用いて、巨視的及び/又は微視的アンダカットスロットを金属
表面に導入する。平面図及び長手方向断面図におけるアンダカットスロットの凹状開口領
域は、幾何学的に正確に定義された繰り返し形状を有するよう構成される。金属表面に導
入されるスロットの開口部に関して、金属表面の平面図においては、円形、イチョウの葉
形、ブーメラン形、楕円形、正方形、多角形等の定義された連続的に反復する形状が定め
られ、スロットの長手方向断面図に関しては三角形、長方形又は台形が定められる。第2
の方法ステップにおいて、このようにして金属表面に形成されたスロットを、少なくとも
1つのプラスチック成分で少なくとも部分的に充填し、これにより上記少なくとも1つの
プラスチック成分と金属表面のスロットとの間で改善された付着を達成する。
【0003】
また、プレハブ式の少なくとも1つの金属構成部品と、少なくとも1つのプラスチック
成分とからなる複合体を製造するための方法が特許文献2から公知である。この方法では
、金属構成部品の表面はプラスチック成分と接触することになり、金属構成部品の表面に
は、互いから離間して配設された多数の歯付き要素を有する歯付き構成が刻印され、また
金属構成部品の表面からは、各係合部材に関して形成された、金属構成部品の表面からの
屈曲縁部の周囲で、各歯付き要素が外側に屈曲する。この金属構成部品の表面に関して、
まず、歯付き構成の、金属構成部品の表面から外側に屈曲する個々の歯付き要素のプロフ
ァイル、並びに/又は歯付き構成内での歯付き要素の数及び/若しくは分布、並びに/又
は空間(x、y、z座標)における歯付き要素の位置、並びに/又は歯付き要素の面積及
び/若しくは表面構造及び/若しくは表面粗度は、複合体に対して作用する、予め計算さ
れた、複合体のぴったり嵌合した接続部それぞれにおける静的及び/又は動的力に従って
、力の流れに適合するように、数値シミュレーションを用いて決定される。続いて、数値
シミュレーションに従って外形が構成され、互いに離間して配設及び整列された、歯付き
構成の多数の歯付き要素が、金属構成部品の表面に刻印され、その後、各歯付き要素は、
金属構成部品の表面からの屈曲縁部の周囲で、数値シミュレーションを用いて事前決定さ
れた空間内の力の流れに適合した位置へと、外側に屈曲する。続いて金属構成部品は、プ
ラスチック成分とぴったりと嵌合するように、複合体へと接続される。金属構成部品(こ
の金属構成部品から歯付き構成の多数の歯付き要素が外側に屈曲する)は続いて、射出成
形ツール内に固定され、この射出成形ツールにおいて、複合体のプラスチック成分は、標
準的な射出成形プロセスで、金属構成部品(この金属構成部品から歯付き構成の多数の歯
付き要素が外側に屈曲する)の表面上に射出される。ここで歯付き構成の各歯付き要素は
、数値シミュレーションを用いて事前決定された空間内の力の流れに適合した位置におい
て、金属構成部品上に射出されたプラスチック成分のプラスチック中に埋め込まれ、プラ
スチック成分のプラスチックが固化するとその中で堅固に固定される。
【0004】
特許文献3は、構成部品、特に金属、プラスチック、セラミックの表面を粗面化するた
めの方法を記載しており、これは上記構成部品の上に熱的に堆積された溶射層の付着を改
善するためのものである。ここで表面は、微視的アンダカットを形成することによって粗
面化され、パルスレーザビームを用いて、20°~80°の傾斜角度を付けて成形された
ポケットが表面に導入される。上記成形されたポケットは、この成形されたポケットの縁
部のうちの少なくとも1つが金属表面に対してアンダカットを形成するように寸法設定さ
れる。ここで表面は、少なくとも複数のセクションにおいてパルスレーザによって繰り返
し処理され、上記レーザビームは、様々な方向角度、傾斜角度及び/又は様々なレーザエ
ネルギを有する。上記成形されたポケットと同一の傾斜で、噴霧されたジェットを上記表
面にわたってガイドすることが、コーティングの品質に関して有利であるとして記載され
ている。この目的のために、複数の成形されたポケットは、該表面に対してただ1つの縁
部アンダカットと平行な同一の方向に形成されることになる。従って、成形されたポケッ
トが深いほど、噴霧されたジェットの適合する好適な角度はより正確でなければならない
。従って、噴霧ジェットを好適に選択しないと成形されたポケットの充填が不完全になる
場合があり、これは噴霧された層の結合強度に負の影響を及ぼすか、又は上記結合強度を
低下させる。
【0005】
更に、特許文献4から公知であるように、金属表面上に溶射された層の付着を改善する
ために、金属表面を粗面化するための方法が登場する。ここで、第1の方法ステップでは
、金属除去処理において陥凹部又は窪みが表面に導入され、これにより、表面の突出した
金属は、隆起した微小構造、特に突起、溝、こぶ又はへこみを形成する。少なくとも第2
の方法ステップでは、これらの微小構造は、形成及び/又は破壊によって再加工され、こ
れにより、かなりの割合の構造が、表面に対してアンダカットを構成する。
【0006】
特許文献5において公知であるように、特に自動車用途のための、第1の接触表面を有
する少なくとも1つの第1の構成部品と、上記第1の接触表面に隣接して配置される第2
の接触表面を有する少なくとも1つの第2の構成部品とを備える構成部品複合体を製造す
るための方法が開示される。表面構造は、ナノ構造が重ねられた微小構造を上記表面構造
が備えるように、第1の構成部品の第1の接触表面上にレーザを用いて生成される。第1
の構成部品の第1の接触表面の表面構造形成後、第1の構成部品は、少なくとも複数のセ
クションにおいてぴったりと嵌合するように、第1の構成部品を第2の構成部品で被包す
ることにより、プラスチック材料、特に熱可塑性材料で構成される第2の構成部品に接続
される。
【0007】
更に、特許文献6から公知であるように、内燃機関のための金属-プラスチックハイブ
リッド複合体から作製された制御ハウジングモジュールが登場する。上記制御ハウジング
モジュールは少なくとも1つの金属インサートを備え、ここでリブ構造は、熱可塑性プラ
スチック製の射出成形された強化リブを備え、これは少なくとも305の体積比を有する
強化材料の短繊維を備える。
【0008】
最後に、複合部品を製造するための方法が特許文献7から公知であり、上記複合部品は
輪郭形成された中空本体によって強化され、ここで以下の方法ステップが実施される:
1.プロファイル本体の準備;
2.射出成形ツールのキャビティ内へのプロファイル本体の導入;
3.プラスチック材料のキャビティ内への射出成形による複合構成部品の形成。ここで
プロファイル中空本体は、射出中、プロファイル中空本体の内容積内の強化媒体によって
支持される;
4.射出されたプラスチック材料の硬化。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014‐51041
【特許文献2】独国特許第102011100449.5A号
【特許文献3】独国特許第102007023418B4号
【特許文献4】独国特許第102006004769A1号
【特許文献5】独国特許第102008040782A1号
【特許文献6】独国特許第102011111745A1号
【特許文献7】独国特許第102010055824A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、荷重下で高い安定性を有する堅牢なプラスチック‐金属ハイブリッド構成部
品を製造できる、冒頭で述べたタイプの方法を提供するという新規の問題に基づいている
。当該プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品は、加工前の金属の表面の清浄度に関し
て全く問題がなく、温度変化及び腐食による荷重に関して安定である。特に、粗面化した
金属表面上への少なくとも1つのプラスチック成分の射出成形において接合されるプラス
チック‐金属ハイブリッド構成部品の結合強度を最適化するために、プラスチック成分の
早期の硬化を防止し、構造形成された金属表面に対する上記少なくとも1つのプラスチッ
ク成分の付着安定性を保証することを保証する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、上記問題は、請求項1に記載の方法の特徴全体により解決される。本
発明による方法の発展形態を、従属請求項に記載する。
【0012】
本発明によると、金属表面と少なくとも1つのプラスチック成分との付着を改善するた
めに、短パルスレーザ放射を用いて、ランダムな巨視的及び/又は微視的アンダカットを
金属表面に導入して、金属表面を粗面化する。上記アンダカットはそれぞれ、射出成形プ
ロセスにおいて、少なくとも1つのプラスチック成分で少なくとも部分的に充填され、こ
れにより上記プラスチック成分は、巨視的及び/又は微視的アンダカット内に係合する。
ここで金属表面の粗面化の後、かつ少なくとも1つのプラスチック成分のための射出成形
プロセスの前、及び/又は少なくとも1つのプラスチック成分のための射出成形プロセス
中に、金属の少なくとも粗面化された表面を、室温から、少なくとも1つのプラスチック
成分の加工温度より100℃高い温度までの範囲内にある温度まで加熱する。
【0013】
短パルスレーザ放射を用いて金属表面の巨視的アンダカットを生成するために、好まし
くは、スキャナ光学部品の適合された焦点距離及びビームガイドを有するスキャナを使用
する。スキャナ及び粗面化される金属表面は、互いに対して所定の速度で連続的に動かす
ことができる。ここでスキャナの移動は、ロボット又は加工対象の物体のアキシャルシス
テム又は座標系の軸方向移動により重畳され、これにより、スキャナ光学部品は、その作
業野内の金属表面にわたる連続的ループにおいてレーザビームをガイドし、金属表面全体
にわたる連続的相対移動によって、均一な粗面化(構造形成)が生成される。
【0014】
金属の粗面化表面は好ましくは、少なくとも1つのプラスチック成分の加工温度より1
00℃低い温度から上記加工温度までの範囲内にある温度で加熱される。
【0015】
金属の粗面化金属表面の加熱は、ガラス転移温度より高い温度、好ましくは熱可塑性物
質の場合はガラス転移温度の範囲内の温度で実施できる。
【0016】
金属の少なくとも粗面化表面をいずれの温度まで加熱するかは、好ましくは、プロセス
期間、溶融物の粘度、金属表面の粗面化(構造形成)のきめ細かさ及び深さ等のパラメー
タに応じて選択される。
【0017】
本発明による方法のある好ましい実施形態では、金属の加熱は、射出成形ツール内で、
好ましくは誘導加熱によって実施できる。射出成形ツール内での材料複合体の金属側の誘
導加熱の結果として、温度を極めて正確に調節でき、材料複合体の金属側の均一な加熱が
達成でき、これにより最大限の加工性が保証される。
【0018】
しかしながら、材料複合体の金属側の加熱は、射出成形ツールの外側、例えば炉内で実
施してもよく、これにより、本発明による方法において、複数の方法ステップの時間的に
密接したシーケンスが存在する限り、はるかに簡素な射出成形ツールの使用が可能となる
。IHF(高内圧形成)プロセスにおいて、水、油又はガスを用いた制御された温度調節
によって材料複合体の金属側を加熱する場合にも、比較的低コストの射出成形ツールを使
用できる。
【0019】
可変温度調節によって得られる材料複合体の金属側の温度は、選択されるプラスチック
成分の特性に左右される。従って、プラスチック成分として熱硬化性プラスチックを使用
する場合、金属の少なくとも粗面化金属表面の加熱は好ましくは、粗面化金属表面上への
射出成形中のプラスチック成分のガラス転移温度超かつプラスチック‐金属ハイブリッド
構成部品のプラスチック成分の最高加工温度未満の温度まで実施してよく、上記温度は、
射出成形の期間、溶融物の粘度、金属表面の粗面化(構造形成)のきめ細かさ及び深さ等
のパラメータに応じて選択される。決定的な因子は、粗面化金属表面のアンダカットがプ
ラスチック成分で少なくとも部分的に充填されることである。
【0020】
プラスチック成分として、性質及び組成に関して改質して、本発明に従って製造される
プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品の用途の所定の領域における要件に適合させる
ことができる、熱硬化性プラスチック及び多成分系等の、熱可塑処理可能な成形コンパウ
ンド及び後に硬化する成形コンパウンドの両方が使用される。ポリマー成分又は対応する
樹脂系の低い粘度は、構造形成された金属表面のキャビティを充填するのに有利であるこ
とが分かっている。
【0021】
ポリマー成分の組成の可能な改質は、ポリマー分子の化学構造を含む。好ましくは熱可
塑性物質として:ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレ
ート等の熱可塑性ポリマー;ポリプロピレン若しくはポリエチレン若しくはこれらの混合
物等のポリオレフィン;又はポリアミド6若しくはポリアミド6.6若しくはポリフェニ
レンオキシド若しくはポリエーテルイミド等のポリアミドが選択される。部分結晶性ポリ
アミド66は、高い耐熱変形性と流動性との組み合わせにより、有利であることが分かっ
ている。
【0022】
プラスチック成分の組成の可能な組み合わせはまた、特に繊維質材料及び板状晶様強化
材料であるフィラー及び強化材料の領域、並びに特に構造形成された金属表面に対するプ
ラスチック又は少なくともプラスチック成分の付着の修正のための更なる添加剤の領域の
両方を含む。
【0023】
フィラー及び強化材料の領域において、プラスチック成分の長さ膨張係数を低減し、温
度変化によって引き起こされる材料の接合部分領域における応力を低減する成分が特に有
利である。好ましくはガラス繊維、炭素繊維又はアラミド繊維を、少なくとも1つのプラ
スチック成分を強化するための繊維として使用する。繊維の配向に沿って負の熱膨張係数
を有する、アラミド繊維等のポリマー系強化系は、この関連では特に有利であることが分
かっている。
【0024】
本発明による方法では:強化繊維を有しない;射出成形プロセス前に例えば繊維長1m
m未満、好ましくは0.4mm未満の比較的短い強化繊維を有する、若しくは射出成形プ
ロセス前に短い強化繊維を有する;及び/又は射出成形プロセス前に例えば1~30mm
の範囲の繊維長を有する比較的長い強化繊維を有する、プラスチック成分を使用してよい
。ここで熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック、エラストマプラスチックを使用
でき、好ましくは繊維強化されたポリプロピレン又はポリアミド等の特殊プラスチックを
使用できる。
【0025】
射出成形中に、金属表面の構造形成部のキャビティを繊維強化プラスチックで充填する
ことにより、材料複合体の高い荷重支持能力、並びに驚くべきことに、特に粗面化された
金属表面の巨視的及び/又は微視的アンダカット内でのガラス繊維強化プラスチックの非
常に優れた係合が保証される。部分的に真空の射出成形ツールを用いて、金属表面に導入
される構造形成部のキャビティの完全な充填を達成できる。
【0026】
金属として鋼を使用し、プラスチック成分として高度強化プラスチック、即ち部分結晶
性ポリアミド66を使用する場合、高度強化熱可塑性プラスチックを用いた射出成形プロ
セスの前に、粗面化鋼表面を、溶融温度より100℃低い温度から加工中の溶融温度まで
の範囲の温度に加熱する。
【0027】
射出成形の前に、少なくとも1つのプラスチック成分を、好ましくは添加剤と混合して
、粗面化及び加熱された金属表面に対する該少なくとも1つのプラスチック成分の結合強
度を増大させる。
【0028】
プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品の材料複合体の製造は好ましくは、プロセス
パラメータ:金属の粗面化表面の少なくとも1つの、ある温度までの加熱;射出成形のプ
ロセス期間;溶融物の粘度;金属表面の粗面化(構造形成)のきめ細かさ及び深さに応じ
て数値的にシミュレートされる。
【0029】
材料複合体中の金属としてアルミニウムを使用する場合、アルミニウム表面の粗面化の
後、アルミニウム成分は、上記少なくとも1つのプラスチック成分を用いた複合型高内圧
射出成形プロセスにおける高内圧条件下で形成され、アルミニウムの形成熱は、少なくと
も1つのプラスチック成分を用いた射出成形プロセスにおいて粗面化アルミニウム表面を
加熱するために使用できる。
【0030】
本発明によって製造できるプラスチック‐金属ハイブリッド構成部品は好ましくは、自
動車製造における又は他の移送手段の製造における又は電子デバイスのための、比較的高
い程度の軽量構造を有する構造構成部品として使用される。
【0031】
本発明の主な利点は、荷重下で高い安定性を有する、プラスチックと金属との間の堅牢
な接続を生成することにある。これは加工前の金属の表面の清浄度に関して全く問題がな
い。材料複合体は、熱疲労試験及び腐食試験において極めて安定であることが分かってい
る。
【0032】
射出成形ツール内での材料複合体の金属側の誘導加熱の結果として、金属表面の加熱温
度を極めて正確かつ均一に調節でき、その結果高いレベルの加工性が保証される。
【0033】
射出成形ツールの外部での材料複合体の金属側の加熱の結果として、本発明による方法
の複数の方法ステップが時間的に短いシーケンスで実施される限り、射出成形ツールをは
るかに簡素な実施形態で実装できる。
【0034】
更に、100μm~1mmの範囲の巨視的粗面化深さを有する、制御下で適合された構
造は、ランダムな微視的凹凸形状により可能であり、その結果、プラスチックと金属との
最適な係合は後続の射出成形プロセスにおいて保証される。
【0035】
特に、本発明による方法は、少なくとも1つのプラスチック成分を用いた射出成形プロ
セスにおいて接合されるプラスチック‐金属ハイブリッド構成部品の結合強度の最適化の
ために、上記少なくとも1つのプラスチック成分の早期の硬化を防止し、粗面化金属表面
の巨視的及び/又は微視的アンダカットにおける上記少なくとも1つのプラスチック成分
の優れた係合により、アンダカットの少なくとも部分的な充填を達成し、構造形成された
金属表面に対する上記少なくとも1つのプラスチック成分の最大限の結合強度を保証する
ことを、保証する。
【0036】
本発明による方法は、温度変化の存在下で及び/又は腐食後に接続部の優れた耐久性を
有し続ける、プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラ
スチックからなる材料複合体の製造を保証する。
【0037】
これより図面の図を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、第1の金属‐ポリマー複合体の金属表面の構造形成部の微視的表現である。
図2図2は、第2の金属‐ポリマー複合体の金属表面の構造形成部の微視的表現である。
図3図3は、金属表面の構造形成部のREM画像である。
図4図4は、アルミニウム/ガラス繊維強化ポリマー複合体の金属表面の構造形成部の図表示である。
図5図5は、金属/ガラス繊維強化ポリアミド複合体の金属表面の構造形成部の図表示であり、充填されていない領域は印を付けられている。
図6図6は、鋼/ガラス繊維強化ポリアミド複合体の金属表面の構造形成部の図表示である。
図7図7は、破壊試験後の、プラスチック‐アルミニウムハイブリッド構成部品の試験体の画像である。
図8図8は、移動中のスキャナの光学部品の図表示である。
図9図9は、作業野内でのスキャナの移動の図表示である。
図10図10は、本発明による方法のある実施形態のフローチャートであり、このフローチャートから、プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品の結合強度の最適化が明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
これより図面の図を参照して本発明を説明する。
【0040】
図1、2はそれぞれ、各場合においてレーザ構造形成部の間隔及び深さの変動を有して
製造された、第1及び第2の金属‐ポリマー複合体の金属表面のレーザ構造形成部の微視
的表現を示し、これらは各金属‐ポリマー複合体の接合領域を調製するために生成される
図3によるREM画像が示すように、レーザ構造形成は、金属表面3の粗面化のために
、金属表面3に対して二次元的に延在する様式で適用される。ここで領域のサイズは、製
造される各金属‐ポリマー複合体によって伝達される力に応じて寸法設定される。レーザ
構造形成は短パルスレーザ放射を用いて行われ、図1~3から明白に分かるように、ラン
ダムな巨視的及び/又は微視的アンダカットを金属表面に導入することにより、金属表面
を粗面化する。射出成形プロセスにおける金属‐ポリマー複合体の接合中、巨視的及び/
又は微視的アンダカットはポリマー成分で少なくとも部分的に充填され、これにより巨視
的及び/又は微視的アンダカット内でのポリマー成分の係合が起こり、金属表面とポリマ
ー成分との付着が著しく改善される。
【0041】
アルミニウム/ガラス繊維強化ポリアミド複合体の接合領域のCT断面画像を図4で確
認でき、図4では、レーザ構造形成表面及びアンダカットを有するアルミニウムと、上部
の、上記アンダカットを充填するガラス繊維強化ポリアミド材料とを示す。アルミニウム
表面のレーザ構造形成部は射出成形プロセス中に完全には排気されないため、小さな未充
填残留部分が残る(図では暗色で示す)が、これは部分的に真空の射出成形ツールの使用
により回避できる。
【0042】
図5は、鋼/ガラス繊維強化ポリアミド複合体の接合領域の詳細な画像を示し、ここで
金属は下部に暗色で示され、ポリアミド媒体は上部に灰色で示され、ポリアミド媒体中の
ガラス繊維は明るい灰色で示され、ガラス繊維強化ポリアミドで充填されていない金属/
ガラス繊維強化ポリアミド複合体の領域は白色で示される。ここでも、射出成形プロセス
における金属/ガラス繊維強化ポリアミド複合体の接合の前に、短パルスレーザ放射を用
いて、ランダムな巨視的及び/又は微視的アンダカットを金属表面に導入することにより
、金属表面を粗面化する。ポリアミドを強化するために、射出成形プロセスの前に長さ1
~2mmの短繊維を、及び/又は射出成形プロセスの前に長さ最高30mmの長いガラス
繊維を使用してよい。部分的に真空の射出成形ツールを用いることにより、ガラス繊維強
化ポリアミドを用いた粗面化金属表面のレーザ構造形成部の完全な充填を達成でき、これ
により、金属/ガラス繊維強化ポリアミド複合体の極めて高い負荷支持能力が保証される
【0043】
部分的に真空の射出成形ツールを用いることにより、ガラス繊維強化ポリアミドを用い
た粗面化金属表面のレーザ構造形成部の完全な充填を達成でき、これにより、金属/ガラ
ス繊維強化ポリアミド複合体の極めて高い負荷支持能力が保証される。
【0044】
同様に、図6は、鋼/ガラス繊維強化ポリアミド複合体の接合領域の詳細な画像を示し
、ここで鋼は下部に示され、ガラス繊維強化ポリアミド材料は上部に示され、ガラス繊維
強化ポリアミド材料で充填されたレーザ構造形成鋼表面が表される。射出成形プロセスに
おけるレーザ構造形成鋼表面のアンダカット及びキャビティの充填のために、特に高粘度
プラスチックを使用する場合、プラスチック材料の早期の硬化を防止する必要がある。従
って、例えば誘導により、接合プロセスの前又は接合プロセス中に短パルス放射を用いて
構造形成した鋼表面を加熱する必要がある。
【0045】
例えば、およそ250℃の鋼の温度は、鋼と高度強化ポリアミド66との組み合わせに
極めて良好に適合することが示されており、ここで温度は、例えば高い温度に適したもの
、耐衝突性のもの等、使用するポリアミドのタイプに応じて、およそ50℃低くする、又
は30℃高くすることができる。
【0046】
図7は、破壊試験後の試験体としてのプラスチック‐金属ハイブリッド構成部品の写真
画像であり、ここで40mm×70mmと測定された金属プレート上で、ベース幅5mm
のプラスチック成分を見ることができる。例えば高い内圧により形成されたアルミニウム
構成部品をプラスチック成分に接続する場合、アルミニウムの形成熱を統合型接合プロセ
スにおいて使用でき、従って接合前の追加の加熱は不要となる。
【0047】
試験体に関連して、使用するプラスチック成分のフィラー及び強化材料(これらはこれ
らの性質によりレーザ構造形成金属表面のキャビティを貫通できる)が、複合体の接合部
分の近接における改善された力の伝達に寄与できることが分かった。
【0048】
プラスチック金属ハイブリッド構成部品の接合領域の腐食を防止するために、2成分射
出成形プロセスを使用する場合、接合領域を包囲するエラストマ材料のフレームが最初に
射出され、その後、熱可塑性又は熱硬化性プラスチック成分が、接合領域のレーザ構造形
成金属表面上に直接堆積され、これにより荷重下で安定な複合体が生成される。あるいは
、エラストマフレームを、複合体の生成後に、例えば封止を目的とした射出成形等の好適
なプロセスを用いて、複合体の周りに堆積させることもできる。
【0049】
スキャナの移行中のスキャナの光学部品の図表示は図8に見られ、上記スキャナは、短
パルスレーザ放射を用いて金属表面を粗面化するために、スキャナの光学部品の適合され
た焦点距離、及び金属表面内の巨視的及び/又は微視的アンダカットをランダムに導入す
るためのビームガイドと共に使用される。
【0050】
上述のようなスキャナ光学部品1の機械的構造は公知である。本発明による方法による
と、スキャナ2は、粗面化されることになる金属表面3に対して所定の速度(矢印v)で
連続的に移動し、このスキャナ2の運動は同時に、ロボット(図示せず)の軸方向移動に
より重畳される。スキャナ光学部品1は、その作業野(x,y)5内の金属表面にわたる
連続的ループにおいてレーザビーム4をガイドし、構造形成される金属表面全体にわたる
連続的相対移動によって、均一な粗面化(構造形成)が生成される。
【0051】
図8から分かるように、スキャナの光学部品1のレーザ光ケーブル6から放出されるレ
ーザビーム4は、コリメータ7、レーザ光学部品、及びビーム方向において上記レーザ光
学部品の下流に配置された偏向ミラー8を介して、X軸スキャナ9及びy軸スキャナ10
を備えるガルバノメータスキャナシステムへとガイドされ、上記ガルバノメータスキャナ
システムから、ビームガイドの下流に配置された平面視野レンズ11を介して、構造形成
される金属表面の作業野上へと偏向される。スキャナの光学部品1をロボットのアーム上
に設置する場合、粗面化される接合領域は間隔制御の補助により、離れるように移動でき
る。
【0052】
図9は、スキャナの光学部品が構造形成されるワークピース表面に対して所定の相対移
動を実施することを示し、図9から分かるように、スキャナの光学部品は、その作業野(
x,y)内のワークピース表面の閉鎖構造にわたる連続的ループにおいてレーザビームを
ガイドする。2つの移動の重畳により、後続の荷重方向に適合する、構造形成される金属
表面の制御されたランダムな構造形状を、異なる深さで生成できる。生成されるレーザ構
造形成部の形状及び深さは、ビームの移動のガイダンス(形状)及び/又は速度、並びに
例えば出力及び/又は反復率等のレーザのパラメータの同時適合を変更することにより、
画定できる。数100μm~最高1mmの構造形成部の深さが可能である。従って、接合
相手の性質及び指定された荷重プロファイルに対する射出成形プロセスの適合が可能であ
る。
【0053】
図10は、プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、本発明に従っ
て製造される金属及びプラスチックからなる材料複合体の結合強度の最適化の可能性を示
す。製造される材料複合体の試験ステーション(ブロックA)の試験仕様によると、金属
構造形成の変更(ブロックB)及び各対応する接合相手、金属又はプラスチック成分の使
用されるプラスチック粒の修正(ブロックC)は、いわゆる外部最適化(方向性矢印I及
びII)それぞれを用いて可能である。更に、製造される材料複合体の試験仕様(ブロック
A)によると、射出成形ツール内で金属成分を加熱する(ブロックE)ためにレーザ構造
形成表面(ブロックB)を有する金属成分を射出成形ツール(ブロックD)に導入(方向
性矢印III)した後、及び射出成形プロセス(ブロックG)において2つの接合相手を接
合する前にプラスチック粒の溶融物を生成する(ブロックF)目的で射出成形ツール(ブ
ロックD)にプラスチック粒(ブロックC)を導入(方向性矢印IV)した後、各内部対応
最適化により、金属の温度の変更(方向性矢印V)又は溶融温度に対する変更(方向性矢
印VI)が可能であり、これにより、金属成分の加熱(方向性矢印VII)からの最適化され
た値を入力した後に射出成形プロセス(ブロックG)が開始され、材料複合体が最適化さ
れた結合強度を有して製造され、上記材料複合体は、射出成形ツール(ブロックD)から
取り外され、試験ステーション(ブロックA)に再び供給される(方向性矢印IX)。
【符号の説明】
【0054】
1 スキャナの光学部品
2 スキャナ、ガルバノメータスキャナ
3 粗面化される金属表面
4 レーザビーム
5 スキャナの光学部品の作業野
6 レーザ光ケーブル
7 コリメータ
8 偏向ミラー
9 X-軸スキャナ
10 Y-軸スキャナ
11 平面視野レンズ
v スキャナの速度に関する矢印
ブロックA 製造されるワークピース複合体の試験ステーション
ブロックB 金属構造形成の変更
ブロックC プラスチック粒の変更
ブロックD 射出成形ツール
ブロックE 加熱
ブロックF 溶融物
ブロックG 射出成形プロセス
矢印I 金属構造形成の変更の外部最適化
矢印II プラスチック粒の変更の外部最適化
矢印III レーザ構造形成表面を有する金属成分を射出成形ツールに導入
矢印IV プラスチック粒を射出成形ツールに導入
矢印V 金属の温度の変更
矢印VI 溶融温度の変更
矢印VII 金属成分の加熱の内部最適化
矢印VIII 溶融温度の変更の内部最適化
矢印IX 材料複合体を試験ステーションAに供給
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック‐金属ハイブリッド構成部品を形成するための、金属及びプラスチックからなる材料複合体を製造するための方法であって、
金属表面と少なくとも1つのプラスチック成分との付着を改善するために、短パルスレーザ放射を用いて、ランダムな粗面化形状を異なる深さで生成し、その形状及び深さは、ビーム移動のガイダンス(形状)及び/又は速度、並びに出力及び/又は反復率のレーザパラメータの同時適合を変更することにより微視的アンダカットを有する巨視的アンダーカットを前記金属表面に導入して、前記金属表面を均一に粗面化し、
前記アンダカットはそれぞれ、射出成形プロセスにおいて、前記少なくとも1つのプラスチック成分で少なくとも部分的に充填され、これにより前記プラスチック成分は、ランダムな前記微視的および巨視的アンダカット内に係合し、
前記金属表面の前記粗面化の後、前記少なくとも1つのプラスチック成分のための前記射出成形プロセスの前、及び/又は前記少なくとも1つのプラスチック成分のための前記射出成形プロセス中に、前記金属の少なくとも粗面化された前記表面を、室温から、前記少なくとも1つのプラスチック成分の加工温度より100℃高い温度までの範囲内にある温度まで加熱する、方法であって、さらに、
前記少なくとも1つのプラスチック成分に添加剤を配合して、粗面化及び加熱された前記金属表面に対する前記少なくとも1つのプラスチック成分の結合強度を増大させるとともに真空の射出成形ツールを使用して、前記微視的および巨視的アンダカット内に前記少なくとも1つのプラスチック成分を充填する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記金属の前記粗面化表面が加熱される温度は、前記少なくとも1つのプラスチック成分の前記加工温度より100℃低い温度から前記加工温度までの範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属の前記粗面化金属表面の前記加熱は、ガラス転移温度より高い温度、または熱可塑性物質の場合は前記ガラス転移温度の範囲内の温度で実施されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属の少なくとも前記粗面化表面をいずれの温度まで加熱するかは、プロセス期間、溶融物の粘度、前記金属表面の前記粗面化(構造形成)のきめ細かさ及び深さ等のパラメータに応じて選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記金属の前記加熱は、誘導加熱または可変温度調節または水、油又はガスを用いた高内圧形成プロセスによって実施されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプラスチック成分として、熱可塑性物質、熱硬化性プラスチックまたはエラストマーまたはエラストマー状プラスチックを使用することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプラスチック成分は、前記少なくとも1つのプラスチック成分の長さ膨張係数を低減するフィラー及び強化材料が配合されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維又は亜麻、麻若しくはサイザルの天然繊維あるいは1mmまたは0.4mm長の繊維を有する繊維、短いガラス繊維または1mm~30mmの範囲の長さを有する繊維または長いガラス繊維を、前記少なくとも1つのプラスチック成分を強化するための繊維として使用することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記強化材料として、繊維配向に沿って負の熱膨張係数を有する、ポリマー系強化系を使用することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
鋼、アルミニウム又はその他の金属を使用し、前記プラスチック成分として高度強化熱可塑性プラスチックを使用する場合、前記高度強化熱可塑性プラスチックを用いた前記射出成形プロセスの前に、粗面化された前記鋼の表面を、溶融温度より100℃低い温度から加工中の前記溶融温度までの範囲の温度に加熱することを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【外国語明細書】