(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106994
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 3/72 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
H05B3/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079098
(22)【出願日】2022-05-12
(62)【分割の表示】P 2022513236の分割
【原出願日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】P 2020218024
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021126008
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一平
(57)【要約】
【課題】加熱面の面内での均熱性を向上させること。
【解決手段】加熱装置は、加熱プレートと、複数のヒータとを有する。加熱プレートは、加熱面を有し、加熱面とは反対側の裏面に複数の凹部が形成される。複数のヒータは、複数の凹部にそれぞれ挿入される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱面を有し、前記加熱面とは反対側の裏面に複数の凹部を備える加熱プレートと、
前記複数の凹部のそれぞれに位置する複数のヒータと
を有する、加熱装置。
【請求項2】
前記加熱プレートは、金属製の部材であり、
前記複数のヒータは、セラミック体及び前記セラミック体の内部に位置する発熱抵抗体を有するセラミックヒータである、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記加熱プレートは、
前記加熱面と、前記加熱面の反対に位置する接合面とを有する第1のプレート部材と、
前記接合面に接合される被接合面と、前記被接合面の反対に位置する前記裏面と、前記裏面から前記被接合面まで貫通する複数の貫通孔とを有する第2のプレート部材と
を有し、
前記複数の凹部の各々は、前記複数の貫通孔の各々と前記接合面とからなり、
前記複数のヒータの先端は、それぞれ前記接合面に接触している、請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記加熱プレートは、
前記加熱面と、前記加熱面の反対に位置する接合面と、前記接合面に位置する複数の第1の凹部とを有する第1のプレート部材と、
前記接合面に接合される被接合面と、前記被接合面の反対に位置する前記裏面と、前記複数の第1の凹部に対応して位置し、前記裏面から前記被接合面まで貫通する複数の第1の貫通孔とを有する第2のプレート部材と、
前記第1のプレート部材と前記第2のプレート部材との間に位置し、前記複数の第1の凹部に対応して位置する複数の第2の貫通孔を有する断熱部材と
を有し、
前記複数の凹部の各々は、前記複数の第1の貫通孔の各々と前記複数の第2の貫通孔の各々と前記複数の第1の凹部の各々とからなり、
前記複数のヒータの先端は、それぞれ前記複数の第1の凹部に接している、請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記加熱プレートから離れた位置で、前記複数のヒータを固定する固定プレートをさらに有する、請求項1~4のいずれか一つに記載の加熱装置。
【請求項6】
前記加熱プレートと前記固定プレートとの間にスペーサ部材をさらに有する、請求項5に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記スペーサ部材は、セラミックスからなる、請求項6に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記固定プレートは、前記複数の凹部に対応する位置に、前記複数のヒータがそれぞれ挿通されて固定される複数の固定孔を有し、
前記複数のヒータは、前記固定プレートの前記加熱プレートとは反対側の裏面よりも前記加熱面から離れた位置に基端を有し、
前記基端に、前記複数のヒータに電力を供給する給電端子を備える、請求項5~7のいずれか一つに記載の加熱装置。
【請求項9】
前記第2のプレート部材から離れた位置で、前記複数のヒータを固定する固定プレートと、
前記固定プレートと前記第2のプレート部材とを連結する連結部材とをさらに有し、
前記連結部材は、先端が前記第2のプレート部材が備えるねじ孔に係合され、且つ前記第1のプレート部材の方向へ前記断熱部材を貫通しない長さで延びている、請求項4に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記連結部材は、
前記ねじ孔において前記裏面から前記被接合面に到達しない位置まで延び、前記ねじ孔から露出する前記断熱部材の表面と離れて位置する、請求項9に記載の加熱装置。
【請求項11】
前記第2のプレート部材を前記第1のプレート部材に接合する接合部材をさらに有し、
前記接合部材は、
前記連結部材と平面視で重ならずに位置する、請求項9又は10に記載の加熱装置。
【請求項12】
前記連結部材と前記接合部材との間に、前記複数の凹部のうち少なくとも一つの凹部を有する、請求項11に記載の加熱装置。
【請求項13】
前記連結部材は、
前記接合部材よりも前記第2のプレート部材の中央の近くに位置する、請求項11又は12に記載の加熱装置。
【請求項14】
前記接合部材は、
前記複数の凹部のうち前記裏面の周縁に最も近い凹部よりも内側に位置する、請求項11~13のいずれか一つに記載の加熱装置。
【請求項15】
前記接合部材は、
第1のスペーサ部材を有し、
前記第1のスペーサ部材は、環状体であり、前記断熱部材に囲まれているとともに前記第1のプレート部材と前記第2のプレート部材とに接している、請求項11~14のいずれか一つに記載の加熱装置。
【請求項16】
前記連結部材は、
第2のスペーサ部材を有し、
前記第2のスペーサ部材は、筒状体であり、前記固定プレートと前記第2のプレート部材とに接している、請求項10~15のいずれか一つに記載の加熱装置。
【請求項17】
前記複数の凹部は、面方向において一部が密であり、前記裏面の他の一部が粗である、請求項1~16のいずれか一つに記載の加熱装置。
【請求項18】
前記第1のプレート部材は、
前記接合面の周縁から中央へ向かって延び、前記断熱部材によって閉塞される溝部を有する、請求項4に記載の加熱装置。
【請求項19】
前記第1のプレート部材は、
前記溝部に測温素子を有する、請求項18に記載の加熱装置。
【請求項20】
金型加熱装置である、請求項1~19のいずれか一つに記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、金型の側面に形成された複数の孔に複数のヒータをそれぞれ挿入することで、複数のヒータを金型の加熱面と平行となるように配置した加熱装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
実施形態の一態様による加熱装置は、加熱プレートと、複数のヒータとを有する。加熱プレートは、加熱面を有し、加熱面とは反対側の裏面に複数の凹部を備える。複数のヒータは、複数の凹部のそれぞれに位置する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る加熱装置の側面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る加熱装置の上面図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線における断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の変形例1に係る加熱装置の断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の変形例2に係る加熱装置の側面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の変形例2に係る加熱装置の断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る加熱装置の側面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る加熱装置の上面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の変形例1に係る加熱装置の断面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態の変形例2に係る加熱装置の断面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態の変形例3に係る加熱装置の断面図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態に係る加熱装置の断面図である。
【
図15】
図15は、第4実施形態に係る加熱装置の断面図である。
【
図16】
図16は、第5実施形態に係る加熱装置の側面図である。
【
図17】
図17は、第5実施形態に係る加熱装置の断面図である。
【
図18】
図18は、第6実施形態に係る加熱装置の側面図である。
【
図19】
図19は、第6実施形態に係る加熱装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する加熱装置の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0007】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、たとえば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0008】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る加熱装置100の側面図である。
図2は、第1実施形態に係る加熱装置100の上面図である。以下の説明において、加熱装置100を加熱対象物に接触させる際に加熱対象物側に位置する面が「上面」であり、加熱対象物とは反対側に位置する面が「下面」であるものとする。しかしながら、加熱装置100は、例えば上下反転して使用されてもよく、任意の姿勢で使用されてよい。
【0009】
図1に示す加熱装置100は、加熱プレート110、複数のヒータ120、固定プレート130及び支持プレート150を有する。
【0010】
加熱プレート110は、例えば金属製の板状部材であり、加熱対象物と接触可能な上面110aを有する。すなわち、加熱プレート110の上面110aが加熱対象物を加熱する加熱面となる。上面110aは、例えば、加熱対象物の一例としての金型の加熱に用いられる。加熱プレート110の加熱面とは反対側の下面110bには、複数の凹部113(
図3参照)が形成されている。
【0011】
複数のヒータ120は、例えば、セラミック体と、セラミック体の内部に位置する発熱抵抗体とを有するセラミックヒータである。ヒータ120をセラミックヒータとすることにより、金属製である加熱プレート110とヒータ120との間の焼き付きを抑制することができる。
【0012】
ヒータ120の長さ、すなわちセラミック体の長さは、例えば、1mm~200mm程度とすることができる。また、セラミック体の外寸は、例えば、0.5mm~100mm程度とすることができる。ヒータ120の形状、すなわちセラミック体の形状は、円柱状に限らず、例えば楕円柱状または角柱状であってもよい。セラミック体の材料は、例えば、絶縁性を有するセラミックである。セラミック体の材料としては、例えば、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスまたは炭化物セラミックス等を使用することができる。発熱抵抗体は、電流が流れることによって発熱する部材である。発熱抵抗体は、例えば、タングステン、モリブデンなどを含む高抵抗の導体を含んでよい。発熱抵抗体の寸法は、例えば幅を0.1mm~5mmに、厚みを0.05mm~0.3mmに、全長を1mm~500mmにすることができる。また、発熱抵抗体は、例えばタングステンカーバイドを含む導電性セラミックスであってもよい。この場合は、セラミック体と発熱抵抗体との熱膨張差を低減できる。これにより、セラミック体と発熱抵抗体との間の熱応力を低減できる。その結果、ヒータ120の耐久性を高めることができる。
【0013】
複数のヒータ120は、複数の凹部113にそれぞれ挿入されている。すなわち、複数のヒータ120は、複数の凹部113にそれぞれ挿入されることで、加熱面である加熱プレート110の上面110aに対して垂直となるように配置される。
【0014】
このように、複数のヒータ120を加熱プレート110の加熱面に対して垂直に配置することにより、複数のヒータ120と加熱面との間の距離のばらつきを抑制することができる。その結果、加熱面である加熱プレート110の上面110aの面内での均熱性を向上させることができる。
【0015】
複数のヒータ120がそれぞれ挿入される複数の凹部113は、加熱プレート110の加熱面とは反対側の下面110bに、一様ではない密度で形成される。
図2には、加熱面である加熱プレート110の上面110aが矩形板状に示されるとともに、複数の凹部113の形成位置が示されている。すなわち、下面110bの中央部に凹部113が疎に形成され、下面110bの周縁部に凹部113が密に形成されている。換言すれば、下面110bの中央に近いほど凹部113の密度が低く、周縁に近いほど凹部113の密度が高くなるように、複数の凹部113が形成されている。
【0016】
このように、加熱プレート110の加熱面とは反対側の下面110bにおいて複数の凹部113の粗密を調節することにより、複数の凹部113にそれぞれ挿入される複数のヒータ120の粗密を調整することができる。その結果、加熱面である加熱プレート110の上面110aの面内での均熱性をより向上させることができる。すなわち、加熱プレート110の上面110a及び下面110bの周縁部は、中央部と比べて加熱プレート110の周囲の雰囲気に熱が奪われ易い。このため、加熱プレート110の上面110a及び下面110bの周縁部は、中央部と比べて温度が低くなる可能性がある。この場合、下面110bの周縁部において凹部113の密度を高くすることにより、ヒータ120の密度も高くすることができることから、上面110aの周縁部における発熱量を相対的に増やすことができる。これにより、周囲の雰囲気に奪われる分の発熱量が補われるため、均熱性をより向上させることができる。
【0017】
なお、金型側面の複数の孔にそれぞれ複数のヒータ(例えば、カートリッジヒータ)を挿入した従来の加熱装置では、加熱中に1本のカートリッジヒータの断線等の不具合が生じた場合に、該カートリッジヒータに沿って直線状に温度が低い領域ができる場合がある。このため、従来の加熱装置では、被加熱物の温度が不均一になるおそれがある。これに対し、本実施形態に係る加熱装置100は、加熱中に1本のヒータ120の断線等の不具合が生じた場合でも、温度が低い領域を狭くすることができる。また、本実施形態に係る加熱装置100は、不具合が生じたヒータ120に近接するヒータ120の出力を制御することで、被加熱物の温度を均一にすることができる。さらに、本実施形態に係る加熱装置100は、個別のヒータの出力を任意の領域ごとに制御することで、加熱装置100の全域だけでなく、局所的な領域を加熱することができる。これにより、被加熱物の任意の領域だけをより加熱することや、複数の被加熱物を、異なる温度で加熱することもでき、結果として、同時に複数の製品を熱処理することも可能となる。
【0018】
なお、凹部113の配置は、
図2に示すものに限定されない。例えば、加熱面である加熱プレート110の上面110aにおいて他の領域よりも温度が高いヒートスポットが発生する場合、下面110bのヒートスポットに対応する領域において凹部113の密度が低くなるように、複数の凹部113を形成してもよい。
【0019】
固定プレート130は、例えば金属製の板状部材である。固定プレート130には、複数のヒータ120が固定されている。
【0020】
支持プレート150は、固定プレート130から離れた状態で、複数の柱状部材151によって固定プレート130に固定されている。支持プレート150が固定プレート130から離れて位置することにより、複数のヒータ120における後述の給電端子122、123を配置するための空間を支持プレート150と固定プレート130との間に確保することが可能となる。なお、支持プレート150及び複数の柱状部材151は、必要に応じて省略されてもよい。
【0021】
図3は、
図2のIII-III線における断面図である。
図4は、
図2のIV-IV線における断面図である。なお、
図3及び
図4では、支持プレート150及び複数の柱状部材151の図示が省略されている。
【0022】
図3及び
図4に示すように、加熱装置100は、複数のヒータ120が固定プレート130に固定されるとともに加熱プレート110の複数の凹部113にそれぞれ挿入されて構成される。
【0023】
加熱プレート110は、第1のプレート部材111及び第2のプレート部材112を有する。
【0024】
第1のプレート部材111は、加熱面である加熱プレート110の上面110aを有する板状部材である。第1のプレート部材111は、例えばボルト等の接合部材114によって第2のプレート部材112に接合されている。すなわち、第1のプレート部材111の上面110aとは反対側の下面111aは、第2のプレート部材112に接合される接合面である。
【0025】
第2のプレート部材112は、第1のプレート部材111の接合面に接合される被接合面となる上面112aと、上面112aの反対側に位置する下面110bとを有する板状部材である。下面110bには、複数の貫通孔112bが形成されており、複数の貫通孔112bの各々から第1のプレート部材111の下面111aが露出する。
【0026】
複数の凹部113の各々は、複数の貫通孔112bの各々と複数の貫通孔112bの各々から露出する第1のプレート部材111の下面111aとによって形成されている。すなわち、各貫通孔112bの内壁面が各凹部113の内側面を形成し、第1のプレート部材111の下面111aが各凹部113の底面を形成している。そして、複数のヒータ120の先端120aは、複数のヒータ120が複数の凹部113にそれぞれ挿入された状態で、第1のプレート部材111の下面111aに接触する。このように複数のヒータ120の先端120aを下面111aに接触させることにより、先端120aの位置を下面111aと同一平面上に揃えることができる。このため、複数のヒータ120と加熱面との間の距離を第1のプレート部材111の厚さに相当する距離に揃えることができ、結果として、加熱面である加熱プレート110の上面110aの面内での均熱性を向上させることができる。
【0027】
なお、ヒータ120の先端120aと第1のプレート部材111の下面111aとの接触に関して、例えばヒータ120の先端120aが半球状に丸まった形状である場合は、半球の更に先端のみが第1のプレート部材111の下面111aに接触していてもよい。また、例えばヒータ120が円柱状で、ヒータ120が先端120aに端面を有している形状である場合は、ヒータ120の先端120aの端面と第1のプレート部材111の下面111aとが面接触していてもよい。この場合は、昇温速度を高めることができる。また、端面のうち側部(エッジの部分)が第1のプレート部材111の下面111aに接触していてもよい。この場合は、昇温速度を高めつつ、応力を低減することができる。また、ヒータ120の先端120aと第1のプレート部材111の下面111aとは、室温の環境下での不使用時に離隔しており、使用時(加熱時)にヒータ120の熱膨張により接触するように位置していてもよい。
【0028】
固定プレート130は、複数の凹部113に対応する位置に複数の固定孔130aを有する。複数の固定孔130aには、複数のヒータ120がそれぞれ挿通されて固定されている。具体的には、各固定孔130aの内壁の一部には、めねじが形成されている。一方で、各ヒータ120の外周面には、筒状の取付部材121が取り付けられており、取付部材121の外周面の一部には、おねじ121aが形成されている。おねじ121aが、各ヒータ120が各固定孔130aに挿通されるときに、各固定孔130aのめねじに嵌合されることにより、複数のヒータ120が固定プレート130に固定される。
【0029】
固定プレート130は、加熱プレート110から離隔して配置されている。固定プレート130は、
図4に示すように、固定プレート130と加熱プレート110との間に隙間が形成された状態で、例えばボルト等の連結部材131によって加熱プレート110(第2のプレート部材112)に連結されている。このように固定プレート130を加熱プレート110から離隔させることにより、固定プレート130に対する複数のヒータ120の固定部分(例えば、取付部材121が取り付けられている部分)の昇温を抑制することができる。一方で、固定プレート130によって加熱プレート110から奪われる熱が低減するため、加熱プレート110の昇温を促進することができる。
【0030】
また、加熱プレート110と固定プレート130との間には、スペーサ部材140が配置されている。スペーサ部材140は、筒状をなし、連結部材131を挿通させている。加熱プレート110と固定プレート130との間にスペーサ部材140を設けることにより、固定プレート130と加熱プレート110との衝突可能性を低減することができる。
【0031】
スペーサ部材140の材料は、例えば、耐熱性を有するセラミックであることが好ましい。スペーサ部材140の材料としては、例えば、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスまたは炭化物セラミックス等を使用することができる。これにより、スペーサ部材140の熱膨張及び熱収縮を低減することができることから、スペーサ部材140の消耗を低減することができる。
【0032】
複数のヒータ120は、固定プレート130の加熱プレート110とは反対側の下面よりも加熱面である加熱プレート110の上面110aから離れた位置に基端120bを有する。基端120bには、複数のヒータ120に電力を供給する給電端子122、123が設けられている。換言すると、複数のヒータ120の基端120bは、固定プレート130の下面よりも加熱面である加熱プレート110の上面110aから離れる方向に突出し、かかる基端120bに、給電端子122、123が設けられている。加熱面である加熱プレート110の上面110aから離れる方向に突出する基端120bに給電端子122、123を設けることにより、加熱面から給電端子122、123を遠ざけることができる。その結果、給電端子122、123を加熱面の熱から保護することができる。
【0033】
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の種々の変形例について、
図5を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、上述の第1実施形態と共通の構成については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0034】
図5は、第1実施形態の変形例1に係る加熱装置100の断面図である。
図5に示す加熱装置100は、主として、加熱プレートの構造、並びに複数のヒータの挿入態様が、
図1~
図4に示す加熱装置100とは相違する。具体的には、
図5に示すように、加熱プレート110は、第1のプレート部材111、第2のプレート部材112及び断熱部材115を有する。
【0035】
第1のプレート部材111は、加熱面である加熱プレート110の上面110aを有する板状部材である。第1のプレート部材111は、第1のプレート部材111と第2のプレート部材112との間に断熱部材115が配置された状態で、例えばボルト等の接合部材114によって第2のプレート部材112に接合されている。すなわち、第1のプレート部材111の上面110aとは反対側の下面111aは、第2のプレート部材112に接合される接合面である。第1のプレート部材111の加熱面とは反対側の下面111aには、複数の凹部111bが形成されている。
【0036】
第2のプレート部材112は、第1のプレート部材111の接合面に接合される被接合面となる上面112aと、上面112aの反対側に位置する下面110bとを有する板状部材である。第2のプレート部材112の複数の凹部111bに対応する位置には、複数の貫通孔112bが形成されている。
【0037】
断熱部材115は、第1のプレート部材111と第2のプレート部材112との間に介挿されている。断熱部材115は、例えば、断熱性を有する繊維からなるシート状部材であり、第1のプレート部材111側から第2のプレート部材112側への熱の伝達を制限する機能を有する。断熱部材115の複数の凹部111bに対応する位置には、複数の貫通孔115aが形成されている。
【0038】
断熱部材115の材料は、例えば、断熱性を有するセラミックスであることが好ましい。断熱部材115の材料としては、例えば、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスまたは炭化物セラミックス等を使用することができる。
【0039】
複数の凹部113の各々は、複数の貫通孔112bの各々と複数の貫通孔115aの各々と複数の凹部111bとによって形成されている。すなわち、各貫通孔112bの内側面、各貫通孔115aの内側面及び各凹部111bの内側面が各凹部113の内側面を形成し、各凹部111bの底面が各凹部113の底面を形成している。そして、複数のヒータ120の先端120aは、複数のヒータ120が複数の凹部113にそれぞれ挿入された状態で、複数の凹部111b内に位置する。
【0040】
複数のヒータ120の先端120aが複数の凹部111b内に位置することにより、例えば、複数のヒータ120の各先端120aに温度が最大となる最大発熱点がある場合に、最大発熱点を加熱面である加熱プレート110の上面110aに近接させることができる。結果として、変形例1に係る加熱装置100によれば、加熱面である加熱プレート110の上面110aを効率よく加熱することができる。また、複数のヒータ120の先端120aが複数の凹部111b内に位置することにより、最大発熱点を複数のヒータ120の基端120bから遠ざけることができる。その結果、変形例1に係る加熱装置100によれば、複数のヒータ120の基端120bに設けられる給電端子122、123に最大発熱点からの熱が伝わり難くなることから、給電端子122、123の劣化を抑制することができる。
【0041】
なお、複数のヒータ120の各先端120aは、各凹部111bの底面に接触していてもよく、接触していなくてもよい。
【0042】
また、固定プレート130は、所定長を有する柱状の連結金具160を介して加熱プレート110に連結されることにより、加熱プレート110から離隔して配置されている。連結金具160の長さは、例えば、
図4に示したスペーサ部材140の厚さよりも長くすることができる。
【0043】
図6は、第1実施形態の変形例2に係る加熱装置100の側面図である。
図7は、第1実施形態の変形例2に係る加熱装置100の断面図である。
図6及び
図7に示す加熱装置100は、基本的には
図1~
図4に示す加熱装置100と同様の構造を有する。しかし、
図6及び
図7に示す加熱装置100は、加熱プレート110が第1のプレート部材111及び第2のプレート部材112の2つの部材に分かれていない点で、
図1~
図4に示す加熱装置100と相違する。具体的には、
図6及び
図7に示すように、加熱プレート110は、第1のプレート部材111及び第2のプレート部材112に相当する部分が、金属製の板状部材で一体的に形成されている。その結果、変形例2に係る加熱装置100によれば、加熱装置100の製造工程を簡素化することができる。
【0044】
以上のように、第1実施形態に係る加熱装置(例えば、加熱装置100)は、加熱プレート(例えば、加熱プレート110)と、複数のヒータ(例えば、ヒータ120)とを有する。加熱プレートは、加熱面(例えば、上面110a)を有し、加熱面とは反対側の裏面(例えば、下面110b)に複数の凹部(例えば、凹部113)を備える。複数のヒータは、複数の凹部のそれぞれに位置する。これにより、加熱面の面内での均熱性を向上させることができる。
【0045】
また、第1実施形態に係る加熱プレートは、金属製の部材である。複数のヒータは、セラミック体及び前記セラミック体の内部に位置する発熱抵抗体を有するセラミックヒータである。これにより、金属製である加熱プレートとヒータとの間の焼き付きを抑制することができる。
【0046】
また、第1実施形態に係る加熱プレートは、第1のプレート部材(例えば、第1のプレート部材111)と、第2のプレート部材(例えば、第2のプレート部材112)とを有する。第1のプレート部材は、加熱面と、加熱面の反対に位置する接合面(例えば、下面111a)とを有する。第2のプレート部材は、接合面に接合される被接合面と、被接合面の反対に位置する裏面と、裏面から被接合面まで貫通する複数の貫通孔(例えば、貫通孔112b)とを有する。複数の凹部の各々は、複数の貫通孔の各々と接合面とからなる。複数のヒータの先端(例えば、先端120a)は、それぞれ接合面に接触している。これにより、複数のヒータと加熱面との間の距離を第1のプレート部材の厚さに相当する距離に揃えることができ、結果として、加熱面の面内での均熱性を向上させることができる。
【0047】
また、第1実施形態に係る加熱装置は、固定プレート(例えば、固定プレート130)をさらに有する。固定プレート130は、加熱プレートから離れた位置で、複数のヒータを固定する。これにより、固定プレートに対する複数のヒータの固定部分の昇温を抑制し、且つ加熱プレートの昇温を促進することができる。
【0048】
また、第1実施形態に係る加熱装置は、加熱プレートと固定プレートとの間にスペーサ部材(例えば、スペーサ部材140)をさらに有する。これにより、固定プレートと加熱プレートとの衝突可能性を低減することができる。
【0049】
また、第1実施形態に係るスペーサ部材は、セラミックスからなる。これにより、スペーサ部材の消耗を低減することができる。
【0050】
また、第1実施形態に係る固定プレートは、複数の凹部に対応する位置に、複数のヒータがそれぞれ挿通されて固定される複数の固定孔(例えば、固定孔130a)を有する。複数のヒータは、固定プレートの加熱プレートとは反対側の裏面よりも加熱面から離れた位置に基端(例えば、基端120b)を有する。基端に、複数のヒータに電力を供給する給電端子(例えば、給電端子122、123)を備える。これにより、給電端子を加熱面の熱から保護することができる。
【0051】
また、第1実施形態に係る加熱装置は、支持プレート(例えば、支持プレート150)をさらに有する。支持プレートは、固定プレートから離れた状態で、複数の柱状部材(例えば、柱状部材151)によって固定プレートに固定される。これにより、複数のヒータにおける給電端子を配置するための空間を支持プレートと固定プレートとの間に確保することが可能となる。
【0052】
また、第1実施形態に係る複数の凹部は、面方向において一部が密であり、裏面の他の一部が粗である。これにより、加熱面の面内での均熱性をより向上させることができる。
【0053】
また、第1実施形態に係る加熱装置は、金型加熱装置である。これにより、金型の加熱に用いられる加熱面の面内での均熱性を向上させることができる。
【0054】
また、第1実施形態に係る加熱プレートは、第1のプレート部材と、第2のプレート部材と、断熱部材(例えば、断熱部材115)とを有する。第1のプレート部材は、加熱面と、加熱面の反対に位置する接合面(例えば、下面111a)と、接合面に位置する複数の第1の凹部(111b)とを有する。第2のプレート部材は、接合面に接合される被接合面と、被接合面の反対に位置する裏面と、複数の第1の凹部に対応して位置し、裏面から被接合面まで貫通する複数の第1の貫通孔(例えば、貫通孔112b)とを有する。断熱部材は、第1のプレート部材と第2のプレート部材との間に位置し、複数の第1の凹部に対応して位置する複数の第2の貫通孔(例えば、貫通孔115a)を有する。複数の凹部の各々は、複数の第1の貫通孔の各々と複数の第2の貫通孔の各々と複数の第1の凹部の各々とからなる。複数のヒータの先端は、それぞれ複数の第1の凹部に接している。これにより、加熱面を効率よく加熱することができ、且つ、複数のヒータの基端に設けられる給電端子の劣化を抑制することができる。
【0055】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る加熱装置100Aの側面図である。
図9は、第2実施形態に係る加熱装置100Aの上面図である。
図10は、
図9のX-X線における断面図である。なお、以下の説明においては、上述の第1実施形態の変形例1と共通の構成については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0056】
図8~
図10に示す加熱装置100Aは、主として、連結部材の構造、並びに連結部材と接合部材の位置関係等が、
図5に示す第1実施形態の変形例1に係る加熱装置100とは相違する。
図8~
図10に示す加熱装置100Aの加熱プレート110は、
図5に示す加熱装置100の加熱プレート110と同様に、第1のプレート部材111、第2のプレート部材112及び断熱部材115を有する。
【0057】
第2のプレート部材112は、第1のプレート部材111の接合面に接合される被接合面となる上面112aと、上面112aの反対側に位置する下面110bとを有する板状部材である。第2のプレート部材112には、上面112aと下面110bとを貫通するねじ孔112cが形成されている。例えば、第2のプレート部材112には、複数(ここでは、4つ)のねじ孔112cが形成されている。各ねじ孔112cの内壁面には、めねじが形成されている。
【0058】
固定プレート130Aは、複数のヒータ120が固定され、第2のプレート部材112から離隔して配置されている。固定プレート130Aは、
図9及び
図10に示すように、固定プレート130Aと加熱プレート110との間に隙間が形成された状態で、例えばボルト等の連結部材131Aによって第2のプレート部材112に連結されている。例えば、固定プレート130Aは、複数(ここでは、4つ)の連結部材131Aによって第2のプレート部材112に連結されている。
【0059】
連結部材131Aは、第2のプレート部材112のねじ孔112cのめねじに嵌合可能なおねじが形成された先端131Aaを有する。連結部材131Aの先端131Aaは、第2のプレート部材112のねじ孔112cに嵌合し且つ第1のプレート部材111の方向へ断熱部材115を貫通しない長さで延びている。本実施形態においては、連結部材131Aの先端131Aaは、ねじ孔112cにおいて第2のプレート部材112の下面110bから上面112aに到達する位置まで延び、ねじ孔112cから露出する断熱部材115の表面に接触している。
【0060】
このように、連結部材131Aの先端131Aaが第1のプレート部材111の方向へ断熱部材115を貫通しないように延びることにより、連結部材131Aと第1のプレート部材111との接触を回避することができる。その結果、加熱面である上面110aを有する第1のプレート部材111から連結部材131Aへの熱伝導を抑制することができる。
【0061】
また、連結部材131Aの先端131Aaを断熱部材115の表面に接触させることにより、複数の連結部材131Aの先端131Aaの位置を断熱部材115の表面と同一平面上に揃えることができる。このため、第1のプレート部材111から複数の連結部材131Aの先端131Aaまでの熱伝達経路の長さを均一化することができ、結果として、第1のプレート部材111の均熱性を向上させることができる。
【0062】
また、連結部材131Aは、固定プレート130Aと第2のプレート部材112との間に位置する部分の外周に、スペーサ部材140Aを有する。スペーサ部材140Aは、連結部材131Aの固定プレート130Aと第2のプレート部材112との間に位置する部分の外周を囲む筒状をなし、固定プレート130Aと第2のプレート部材112とに接している。スペーサ部材140Aの内周面と連結部材131Aの外周面との間には、隙間が設けられていてもよく、隙間が設けられていなくてもよい。連結部材131Aの外周が筒状のスペーサ部材140Aによって囲まれることにより、連結部材131Aの熱が連結部材131Aの周囲の空間へ放出されることを抑制することができる。
【0063】
スペーサ部材140Aの材料としては、例えば、ステンレス鋼等の金属を使用することができる。これにより、スペーサ部材140Aの耐久性を向上させることができ、固定プレート130Aと第2のプレート部材112との間隔を一定に維持することができる。
【0064】
第2のプレート部材112は、
図9及び
図10に示すように、第1のプレート部材111と第2のプレート部材112との間に断熱部材115が配置された状態で、例えばボルト等の接合部材114Aによって第1のプレート部材111に接合されている。例えば、第2のプレート部材112は、複数(ここでは、4つ)の接合部材114Aによって第1のプレート部材111に接合されている。
【0065】
ところで、加熱面である上面110aを有する第1のプレート部材111と第2のプレート部材112とは接合部材114Aを介して熱的に接続される。第1のプレート部材111から連結部材131Aへの熱伝導をより抑制するためには、連結部材131Aと接合部材114Aの位置関係が接合部材114Aから連結部材131Aまでの熱伝達経路をできるだけ長くする位置関係であることが重要である。
【0066】
そこで、本実施形態に係る加熱装置100Aでは、
図9に示すように、連結部材131Aが接合部材114Aと平面視で重ならない位置に位置している。これにより、接合部材114Aから連結部材131Aまでの熱伝達経路が長くなり、結果として、第1のプレート部材111から接合部材114Aを経由した連結部材131Aへの熱伝導をより抑制することができる。
【0067】
また、連結部材131Aは、
図9及び
図10に示すように、平面視及び側面視で接合部材114Aとの間で複数の凹部113のうちの一つの凹部113を挟む位置に位置している。連結部材131Aと接合部材114Aとの間に凹部113が位置することにより、接合部材114Aから連結部材131Aまでの熱伝達経路が凹部113を迂回する経路となる。これにより、第1のプレート部材111から接合部材114Aを経由した連結部材131Aへの熱伝導をより抑制することができる。なお、平面視及び側面視で連結部材131A及び接合部材114Aによって挟まれる凹部113の数は、一つに限られず、二つ以上であってもよい。
【0068】
また、連結部材131Aは、平面視及び側面視で接合部材114Aよりも第2のプレート部材112の中央に近い位置に位置している。これにより、加熱プレート110の中央に近い位置が連結部材131Aによって支持されることから、自重に因る加熱プレート110の中央の撓みを抑制することができる。さらに、接合部材114Aが連結部材131Aよりも第2のプレート部材112の中央から離れた位置に位置することから、加熱プレート110(第1のプレート部材111)の中央から接合部材114Aへの熱伝導を抑制することができる。
【0069】
ところで、第1のプレート部材111の接合部材114A近傍に位置する部分は、他の部分と比べて接合部材114Aに熱が奪われ易い。このため、第1のプレート部材111の接合部材114A近傍に位置する部分は、他の部分と比べて温度が低くなる可能性がある。第1のプレート部材111の接合部材114A近傍に位置する部分において温度が低くなると、第1のプレート部材111の均熱性が損なわれる可能性がある。
【0070】
そこで、本実施形態に係る加熱装置100Aでは、
図9に示すように、接合部材114Aが平面視で複数の凹部113のうち下面110b(
図10参照)の周縁に最も近い凹部113よりも内側に位置している。これにより、接合部材114Aの周囲が複数の凹部113によって囲まれることから、第1のプレート部材111の接合部材114A近傍に位置する部分は、複数の凹部113にそれぞれ挿入される複数のヒータ120によって加熱される。結果として、第1のプレート部材111の接合部材114A近傍に位置する部分の温度低下を抑制することができ、第1のプレート部材111の均熱性を保つことができる。
【0071】
また、接合部材114Aは、
図10に示すように、断熱部材115を貫通するとともに、貫通する部分の外周に、スペーサ部材170を有する。スペーサ部材170は、接合部材114Aの断熱部材115を貫通する部分を囲む筒状をなし且つ第1のプレート部材111と第2のプレート部材112とに接している。スペーサ部材170の内周面と接合部材114Aの外周面との間には、隙間が設けられていてもよく、隙間が設けられていなくてもよい。接合部材114Aの外周が筒状のスペーサ部材170によって囲まれることにより、接合部材114Aの熱が断熱部材115へ伝達されることを抑制することができる。
【0072】
スペーサ部材170は、例えば、断熱性が比較的に高いセラミックであることが好ましい。スペーサ部材170の材料としては、例えば、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスまたは炭化物セラミックス等を使用することができる。これにより、接合部材114Aから断熱部材115への熱伝達をより抑制することができる。
【0073】
<第2実施形態の変形例>
次に、第2実施形態の種々の変形例について、
図11~
図13を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、上述の第2実施形態と共通の構成については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0074】
図11は、第2実施形態の変形例1に係る加熱装置100Aの断面図である。
図11に示す加熱装置100Aは、主として、連結部材131Aの先端131Aaの構造が、
図8~
図10に示す加熱装置100Aとは相違する。
【0075】
図11に示す連結部材131Aの先端131Aaは、ねじ孔112cにおいて第2のプレート部材112の下面110bから上面112aに到達しない位置まで延びている。そして、連結部材131Aの先端131Aaは、当該先端131Aaの端面とねじ孔112cから露出する断熱部材115の表面との間に隙間112dを形成している。
【0076】
隙間112dには、例えば空気等の気体が存在する。隙間112dの空気は、断熱部材115よりも熱伝導率が低い。したがって、連結部材131Aの先端131Aaの端面と断熱部材115の表面との間に隙間112dを形成することにより、断熱部材115から連結部材131Aへの熱伝導を抑制することができる。その結果、加熱面である上面110aを有する第1のプレート部材111から断熱部材115を経由した連結部材131Aへの熱伝導を抑制することができる。
【0077】
図12は、第2実施形態の変形例2に係る加熱装置100Aの断面図である。
図12に示す加熱装置100Aは、主として、連結部材131Aの先端131Aaの構造、並びに断熱部材115の構造が、
図8~
図10に示す加熱装置100Aとは相違する。
【0078】
図12に示す連結部材131Aの先端131Aaは、ねじ孔112cにおいて第2のプレート部材112の下面110bから上面112aに到達しない位置まで延びている。そして、連結部材131Aの先端131Aaは、ねじ孔112cに充填される断熱部材115の一部に接触している。
【0079】
このように、ねじ孔112cに充填される断熱部材115の一部を連結部材131Aの先端131Aaに接触させることにより、連結部材131Aの先端131Aaに対応する位置において断熱部材115の厚さを局所的に増大させることができる。その結果、加熱面である上面110aを有する第1のプレート部材111から断熱部材115を経由した連結部材131Aへの熱伝導を抑制することができる。
【0080】
図13は、第2実施形態の変形例3に係る加熱装置100Aの断面図である。
図13に示す加熱装置100Aは、主として、連結部材131Aの先端131Aaの構造が、
図8~
図10に示す加熱装置100Aとは相違する。
【0081】
図13に示す連結部材131Aの先端131Aaは、ねじ孔112cから断熱部材115側へ突出して第1のプレート部材111の方向へ延び、断熱部材115の内部に埋め込まれている。
【0082】
このように、連結部材131Aの先端131Aaを断熱部材115の内部に埋め込むことにより、断熱部材115の位置ずれを抑制することができる。
【0083】
以上のように、第2実施形態に係る加熱装置(例えば、加熱装置100A)は、固定プレート(例えば、固定プレート130A)と、連結部材(例えば、連結部材131A)とをさらに有する。固定プレートは、第2のプレート部材(例えば、第2のプレート部材112)から離れた位置で、複数のヒータ(例えば、ヒータ120)を固定する。連結部材は、固定プレートと第2のプレート部材とを連結する。連結部材は、先端が第2のプレート部材が備えるねじ孔(例えば、ねじ孔112c)に係合され、且つ第1のプレート部材の方向へ断熱部材(例えば、断熱部材115)を貫通しない長さで延びている。これにより、加熱面を有する第1のプレート部材(例えば、第1のプレート部材111)から連結部材への熱伝導を抑制することができる。
【0084】
また、第2実施形態に係る連結部材の先端は、ねじ孔において裏面(例えば、下面110b)から被接合面(例えば、上面112a)に到達する位置まで延び、ねじ孔から露出する断熱部材の表面に接触する。これにより、第1のプレート部材から複数の連結部材の先端までの熱伝達経路の長さを均一化することができ、結果として、第1のプレート部材の均熱性を向上させることができる。
【0085】
また、第2実施形態に係る連結部材は、ねじ孔において裏面から被接合面に到達しない位置まで延び、ねじ孔から露出する断熱部材の表面と離れて位置してもよい。これにより、加熱面を有する第1のプレート部材から断熱部材を経由した連結部材への熱伝導を抑制することができる。
【0086】
また、第2実施形態に係る連結部材の先端は、ねじ孔において裏面から被接合面に到達しない位置まで延び、ねじ孔に充填される断熱部材の一部に接触してもよい。これにより、加熱面を有する第1のプレート部材から断熱部材を経由した連結部材への熱伝導を抑制することができる。
【0087】
また、第2実施形態に係る連結部材の先端は、ねじ孔から断熱部材側へ突出して第1のプレート部材の方向へ延び、断熱部材の内部に埋め込まれてもよい。これにより、断熱部材の位置ずれを抑制することができる。
【0088】
また、第2実施形態に係る加熱装置は、第2のプレート部材を第1のプレート部材に接合する接合部材(例えば、接合部材114A)をさらに有する。接合部材は、連結部材と平面視で重ならずに位置する。これにより、第1のプレート部材から接合部材を経由した連結部材への熱伝導をより抑制することができる。
【0089】
また、第2実施形態に係る加熱装置は、連結部材と接合部材との間に、複数の凹部のうち少なくとも一つの凹部を有する。これにより、第1のプレート部材から接合部材を経由した連結部材への熱伝導をより抑制することができる。
【0090】
また、第2実施形態に係る連結部材は、接合部材よりも第2のプレート部材の中央の近くに位置する。これにより、自重に因る加熱プレートの中央の撓みを抑制するとともに、加熱プレートの中央から接合部材への熱伝導を抑制することができる。
【0091】
また、第2実施形態に係る接合部材は、複数の凹部のうち裏面の周縁に最も近い凹部よりも内側に位置する。これにより、第1のプレート部材の接合部材近傍に位置する部分は、複数の凹部にそれぞれ挿入される複数のヒータによって加熱されることから、該部分の温度低下を抑制することができ、第1のプレート部材の均熱性を保つことができる。
【0092】
また、第2実施形態に係る接合部材は、第1のスペーサ部材(例えば、スペーサ部材170)を有する。第1のスペーサ部材は、環状体であり、断熱部材に囲まれているとともに第1のプレート部材と第2のプレート部材とに接している。これにより、接合部材の熱が断熱部材へ伝達されることを抑制することができる。
【0093】
また、第2実施形態に係る第1のスペーサ部材は、セラミックにより形成される。これにより、接合部材から断熱部材への熱伝達をより抑制することができる。
【0094】
また、第2実施形態に係る連結部材は、第2のスペーサ部材(例えば、スペーサ部材140A)を有する。第2のスペーサ部材は、筒状体であり、固定プレートと第2のプレート部材とに接している。これにより、連結部材の熱が連結部材の周囲の空間へ放出されることを抑制することができる。
【0095】
また、第2実施形態に係る第2のスペーサ部材は、金属により形成される。これにより、スペーサ部材の耐久性を向上させることができ、固定プレートと第2のプレート部材との間隔を一定に維持することができる。
【0096】
<第3実施形態>
図14は、第3実施形態に係る加熱装置100Bの断面図である。なお、以下の説明においては、上述の第2実施形態と共通の構成については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0097】
図14に示す加熱装置100Bは、第1のプレート部材の構造が、
図8~
図10に示す加熱装置100Aとは相違する。具体的には、
図14に示す加熱装置100Bにおいて、第1のプレート部材111は、下面111aに、溝部111cを有する。溝部111cは、下面111aの周縁から中央へ向かって延びており、頂部の開口が断熱部材115によって閉塞されている。
【0098】
このように、第1のプレート部材111の下面111aに溝部111cを設けることにより、ヒートサイクルによる第1のプレート部材111の熱膨張及び熱収縮を溝部111cによって吸収することができる。
【0099】
なお、第1のプレート部材111に、溝部111cに代えて、横方向の孔又は縦方向の孔を設けてもよい。
【0100】
<第4実施形態>
図15は、第4実施形態に係る加熱装置100Cの断面図である。なお、以下の説明においては、上述の第3実施形態と共通の構成については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0101】
図15に示す加熱装置100Cは、測温素子を有する点が、
図14に示す加熱装置100Bとは相違する。具体的には、
図15に示す加熱装置100Cにおいて、第1のプレート部材111は、溝部111cに挿通された測温素子180を有する。測温素子180としては、例えば、熱電対を使用することができる。
【0102】
このように、第1のプレート部材111の溝部111cに測温素子180を挿通することにより、第1のプレート部材111の温度を測定することができる。
【0103】
<第5実施形態>
図16は、第5実施形態に係る加熱装置100Dの側面図である。
図17は、第5実施形態に係る加熱装置100Dの断面図である。なお、以下の説明においては、上述の第1実施形態の変形例2と共通の構成については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0104】
図16及び
図17に示す加熱装置100Dは、主として、固定プレートの構造等が、
図6及び
図7に示す第1実施形態の変形例2に係る加熱装置100とは相違する。具体的には、固定プレート130Bは、第3のプレート部材132、第4のプレート部材133及び断熱部材135を有する。
【0105】
第3のプレート部材132は、加熱プレート110と対向する対向面132aを有する金属製の板状部材である。第3のプレート部材132は、第3のプレート部材132と第4のプレート部材133との間に断熱部材135が配置された状態で、例えばボルト等の接合部材(不図示)によって第4のプレート部材133に接合されている。
【0106】
第4のプレート部材133は、第3のプレート部材132の対向面132aとは反対側の裏面に接合される金属製の板状部材である。第4のプレート部材133には、複数のヒータ120が固定される。すなわち、第4のプレート部材133は、複数の凹部113に対応する位置に複数の固定孔130aを有し、複数の固定孔130aには、複数のヒータ120がそれぞれ挿通されて固定されている。具体的には、各固定孔130aの内壁の一部には、めねじが形成されている。一方で、各ヒータ120の外周面には、筒状の取付部材121が取り付けられており、取付部材121の外周面の一部には、おねじ121aが形成されている。おねじ121aが、各ヒータ120が各固定孔130aに挿通されるときに、各固定孔130aのめねじに嵌合されることにより、複数のヒータ120が第4のプレート部材133に固定される。なお、第3のプレート部材132及び断熱部材135には、固定孔130aに対応してヒータ120を挿通可能な貫通孔がそれぞれ形成されている。
【0107】
断熱部材135は、第3のプレート部材132と第4のプレート部材133との間に介挿されている。断熱部材135は、例えば、断熱性を有する繊維からなるシート状部材であり、第3のプレート部材132側から第4のプレート部材133側への熱の伝達を制限する機能を有する。
【0108】
断熱部材135の材料は、例えば、断熱性を有するセラミックスであることが好ましい。断熱部材135の材料としては、例えば、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスまたは炭化物セラミックス等を使用することができる。
【0109】
このように、固定プレート130Bが断熱部材135を有することにより、固定プレート130Bに対する複数のヒータ120の固定部分(例えば、取付部材121が取り付けられている部分)の昇温を抑制することができる。
【0110】
<第6実施形態>
図18は、第6実施形態に係る加熱装置100Eの側面図である。
図19は、第6実施形態に係る加熱装置100Eの断面図である。なお、以下の説明においては、上述の第1実施形態の変形例2と共通の構成については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0111】
図18及び
図19に示す加熱装置100Eは、主として、断熱用プレートを有する点が、
図6及び
図7に示す第1実施形態の変形例2に係る加熱装置100とは相違する。具体的には、
図18及び
図19に示す加熱装置100Eは、加熱プレート110と固定プレート130との間に位置する断熱用プレート190を有する。
【0112】
断熱用プレート190は、第5のプレート部材191、第6のプレート部材192及び断熱部材195を有する。第5のプレート部材191、第6のプレート部材192及び断熱部材195には、固定プレート130に固定された複数のヒータ120を挿通可能な複数の貫通孔がそれぞれ形成されている。
【0113】
第5のプレート部材191は、加熱プレート110と対向する対向面191aを有する金属製の板状部材である。第5のプレート部材191は、第5のプレート部材191と第6のプレート部材192との間に断熱部材195が配置された状態で、例えばボルト等の接合部材(不図示)によって第6のプレート部材192に接合されている。また、第5のプレート部材191は、所定長を有する柱状の連結金具196を介して加熱プレート110に連結されることにより、加熱プレート110から離隔して配置されている。連結金具196の長さは、例えば
図6及び
図7に示したスペーサ部材140の厚さよりも長くすることができる。
【0114】
第6のプレート部材192は、第5のプレート部材191の対向面191aとは反対側の裏面に接合される金属製の板状部材である。第6のプレート部材192は、所定長を有する柱状の連結金具197を介して固定プレート130に連結されることにより、固定プレート130から離隔して配置されている。連結金具197の長さは、例えば
図6及び
図7に示したスペーサ部材140の厚さよりも長くすることができる。
【0115】
断熱部材195は、第5のプレート部材191と第6のプレート部材192との間に介挿されている。断熱部材195は、例えば、断熱性を有する繊維からなるシート状部材であり、第5のプレート部材191側から第6のプレート部材192側への熱の伝達を制限する機能を有する。
【0116】
断熱部材195の材料は、例えば、断熱性を有するセラミックスであることが好ましい。断熱部材195の材料としては、例えば、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスまたは炭化物セラミックス等を使用することができる。
【0117】
このように、加熱プレート110と固定プレート130との間に断熱用プレート190が位置することにより、固定プレート130の昇温を抑制することができる。
【0118】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0119】
100、100A~100E 加熱装置
110 加熱プレート
110a 上面
110b 下面
111 第1のプレート部材
111a 下面
111b 凹部
111c 溝部
112 第2のプレート部材
112a 上面
112b 貫通孔
112c ねじ孔
112d 隙間
113 凹部
114、114A 接合部材
115 断熱部材
115a 貫通孔
120 ヒータ
120a 先端
120b 基端
121 取付部材
121a おねじ
122、123 給電端子
130、130A、130B 固定プレート
130a 固定孔
131、131A 連結部材
131Aa 先端
132 第3のプレート部材
132a 対向面
133 第4のプレート部材
135 断熱部材
140、140A スペーサ部材
170 スペーサ部材
180 測温素子
190 断熱用プレート
191 第5のプレート部材
191a 対向面
192 第6のプレート部材
195 断熱部材