(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107026
(43)【公開日】2022-07-20
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/68 20060101AFI20220712BHJP
B60N 2/16 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
B60N2/68
B60N2/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081311
(22)【出願日】2022-05-18
(62)【分割の表示】P 2017203636の分割
【原出願日】2017-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪瀬 康夫
(72)【発明者】
【氏名】溝井 健介
(57)【要約】
【課題】さらなる車内の静音化に寄与する車両用シートを提供する。
【解決手段】車両用シート11は、板形状の部位43に開口46を有するシートフレーム22aと、板形状の部位43に取り付けられたアクチュエーター31とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板形状の部位(43)に開口(46)を有するシートフレーム(21)と、
前記板形状の部位(43)に取り付けられたアクチュエーター(31)と
を備えることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートにおいて、前記開口(46)は前記アクチュエーター(31)に向き合う位置に配置されることを特徴とする車両用シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用シートにおいて、前記シートフレーム(21)は、前記板形状の部位(43)の縁から曲げられて、湾曲の効果で前記縁の剛性を高める曲げ域(44a、44b)を有することを特徴とする車両用シート。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用シートにおいて、前記曲げ域(44a、44b)は、前記板形状の部位(43)の板面から遠ざかる上端で折り返されて、二重壁を作り出すことを特徴とする車両用シート。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用シートにおいて、前記曲げ域(44a、44b)は、前記板形状の部位(43)の板面に接する空間を挟み込む対に形成されることを特徴とする車両用シート。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用シートにおいて、前記曲げ域(44a、44b)は、前記空間を挟んで向き合う間隔に比べて、前記縁に沿って長手方向に長い寸法を有し、前記長手方向に沿って帯状に前記板形状の部位(43)を区画することを特徴とする車両用シート。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用シートにおいて、前記シートフレーム(21)は、前記長手方向に前記開口(46)からずれた位置で、前記板形状の部位(43)に第2の開口(47)を有することを特徴とする車両用シート。
【請求項8】
請求項7に記載の車両用シートにおいて、前記シートフレーム(21)はシートクッション(13)のサイドフレーム(22a)であって、前記開口(46)および前記第2の開口(47)は個々の前記曲げ域(44a、44b)から離れた位置に配置されることを特徴とする車両用シート。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用シートにおいて、内側から外側に向かって前記第2の開口(47)を通過するハーネス(49)と、前記サイドフレーム(22a)の外側で前記ハーネス(49)に連結されるカプラー(48)とを備え、前記カプラー(48)は前記開口(46)に向き合う位置に配置されることを特徴とする車両用シート。
【請求項10】
請求項1に記載の車両用シートにおいて、前記シートフレーム(21)は、左右1対のサイドフレーム(22a)を有するシートクッションフレーム(22)であって、一方のサイドフレーム(22a)の前記板形状の部位(43)に前記アクチュエーター(31)が取り付けられるとともに前記開口(46)が形成され、他方のサイドフレーム(22a)の前記板形状の部位(43)にさらに開口(55)が形成されることを特徴とする車両用シート。
【請求項11】
請求項10に記載の車両用シートにおいて、前記他方のサイドフレーム(22a)には、前記一方のサイドフレーム(22a)に設けられている開口の数よりも多い数の前記開口(55)が設けられることを特徴とする車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば自動四輪車といった車両に搭載される車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は車両の床面に対して昇降動作するシートクッションを開示する。シートクッションは、シートクッションのパッドを支持するシートクッションフレームを備える。シートクッションフレームはスライドレール上でベースフレームに支持される。シートクッションフレームはリンク機構でベースフレームに連結される。シートクッションフレームはリンク部材の揺動軸線回りでベースフレームに対して昇降動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リンク機構にはアクチュエーターが連結される。アクチュエーターは、順番に噛み合うギアを含む伝達機構を通じてシートクッションフレームの上下動を引き起こす電動モーターを備える。これまでのところ、車両用シートの設計にあたって、こういったアクチュエーターに起因する振動音は考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、さらなる車内の静音化に寄与する車両用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によれば、板形状の部位に開口を有するシートフレームと、前記板形状の部位に取り付けられたアクチュエーターとを備える車両用シートが提供される。
【0007】
第2側面によれば、第1側面の構成に加えて、前記開口は前記アクチュエーターに向き合う位置に配置される。
【0008】
第3側面によれば、第1または第2側面の構成に加えて、前記シートフレームは、前記板形状の部位の縁から曲げられて、湾曲の効果で前記縁の剛性を高める曲げ域を有する。
【0009】
第4側面によれば、第3側面の構成に加えて、前記曲げ域は、前記板形状の部位の板面から遠ざかる上端で折り返されて、二重壁を作り出す。
【0010】
第5側面によれば、第4側面の構成に加えて、前記曲げ域は、前記板形状の部位の板面に接する空間を挟み込む対に形成される。
【0011】
第6側面によれば、第5側面の構成に加えて、前記曲げ域は、前記空間を挟んで向き合う間隔に比べて、前記縁に沿って長手方向に長い寸法を有し、前記長手方向に沿って帯状に前記板形状の部位を区画する。
【0012】
第7側面によれば、第6側面の構成に加えて、前記シートフレームは、前記長手方向に前記開口からずれた位置で、前記板形状の部位に第2の開口を有する。
【0013】
第8側面によれば、第7側面の構成に加えて、前記シートフレームはシートクッションのサイドフレームであって、前記開口および前記第2の開口は個々の前記曲げ域から離れた位置に配置される。
【0014】
第9側面によれば、第8側面の構成に加えて、内側から外側に向かって前記第2の開口を通過するハーネスと、前記サイドフレームの外側で前記ハーネスに連結されるカプラーとを備え、前記カプラーは前記開口に向き合う位置に配置される。
【0015】
第10側面によれば、第1側面の構成に加えて、前記シートフレームは、左右1対のサイドフレームを有するシートクッションフレームであって、一方のサイドフレームの前記板形状の部位に前記アクチュエーターが取り付けられるとともに前記開口が形成され、他方のサイドフレームの前記板形状の部位にさらに開口が形成される。
【0016】
第11側面によれば、第10側面の構成に加えて、前記他方のサイドフレームには、前記一方のサイドフレームに設けられている開口の数よりも多い数の前記開口が設けられる。
【発明の効果】
【0017】
第1側面によれば、開口の働きでシートフレームの質量が調整されることから、アクチュエーターの動作振動に対してシートフレームの共振は抑制されることができる。その結果、シートフレームの振動音は低減される。
【0018】
第2側面によれば、板形状の部位ではアクチュエーターに近い位置で振動が発生しやすいことから、アクチュエーターに向き合う位置に開口が設置されれば、効果的に共振は抑制されることができる。
【0019】
第3側面によれば、板形状の部位の剛性は曲げ域の働きで高められるので、シートフレームの共振は抑制されることができる。
【0020】
第4側面によれば、曲げ域の剛性は確実に高められることができる。シートフレームの剛性は確保されることができる。
【0021】
第5側面によれば、板面に接して開口に隣接する空間が曲げ域で挟まれるので、板形状の部位に開口が形成されても、板形状の部位の剛性は確保されることができる。
【0022】
第6側面によれば、板形状の部位の広がりに比べて板形状の部位の縁に沿って曲げ域は長く延びることから、板形状の部位の剛性は確実に高められることができる。
【0023】
第7側面によれば、板形状の部位に開口が増加することで、さらに振動音は低減されることができる。
【0024】
第8側面によれば、板形状の部位は曲げ域から遠ざかるほど振動しやすい。振動しやすい領域に開口および第2の開口が配置されることから、共振の抑制効果は高められることができる。
【0025】
第9側面によれば、カプラーは開口に向き合う位置に配置されるので、サイドフレームの内側から開口を通じてカプラーの接続状態は確認されることができる。
【0026】
第10側面によれば、他方のサイドフレームではアクチュエーターの取り付けで板形状の部位の剛性が補強されないことから、板形状の部位の広がりが大きく、共振が発生しやすいものの、他方のサイドフレームには開口が形成されることから、サイドフレームの共振は抑制されることができる。その結果、シートフレームの振動音は低減される。
【0027】
第11側面によれば、他方のサイドフレームにはアクチュエーターが搭載されないので、一方のサイドフレームよりも他方のサイドフレームでは共振が発生しやすいものの、他方のサイドフレームには一方のサイドフレームよりも多い開口が形成されるので、他方のサイドフレームの共振は抑制されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】シートフレームの構造を概略的に示す斜視図である。
【
図3】シートクッションパッドおよびシートバックパッドの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図3の4矢視図に相当し、シートクッションフレームの拡大左側面図である。
【
図6】
図3の6矢視図に相当し、シートクッションフレームの拡大右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、前後、左右および上下は車両用シートに着座した乗員から見た方向をいう。
【0030】
図1は本発明の第1実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す。車両用シート11は、例えば車両の床面に設置されるスライドレール12と、前後方向に移動可能にスライドレール12に支持されて、乗員の臀部および大腿を受け止めるシートクッション13と、揺動軸SX回りで前後方向に揺動可能にシートクッション13に連結されて、乗員の背中を受け止めるシートバック14と、シートバック14の上端に支持されて、乗員の頭を受け止めるヘッドレスト15とを備える。シートクッション13、シートバック14およびヘッドレスト15は個別に内部のパッドを包み込む表皮材13a、14a、15aを有する。表皮材14a、15aは、吊り込み糸16の働きでパッドの窪みに倣ってパッドの外面に密着する。パッドの詳細は後述される。
【0031】
シートクッション13はサイドカバー17を備える。サイドカバー17には第1スイッチ18aおよび第2スイッチ18bが取り付けられる。第1スイッチ18aおよび第2スイッチ18bはベース13に区画される窪み19に収容される。第1スイッチ18aは、前後方向に長い摘まみで形成される。第1スイッチ18aが前方に操作されると、シートクッション13およびシートバック14は前方に移動する。第1スイッチ18aが後方に操作されると、シートクッション13およびシートバック14は後方に移動する。第1スイッチ18aが上方に操作されると、シートクッション13およびシートバック14は上方に移動する。第1スイッチ18aが下方に操作されると、シートクッション13およびシートバック14は下方に移動する。第2スイッチ18bは、上下方向に長い摘まみで形成される。第2スイッチ18bが前方に操作されると、シートバック14は揺動軸SX回りで前方に揺動する。第2スイッチ18bが後方に操作されると、シートバック14は揺動軸SX回りで後方に揺動する。
【0032】
図2に示されるように、車両用シート11は、パッドを支持するシートフレーム21を備える。シートフレーム21は、シートクッション13のパッドを支持するシートクッションフレーム22と、揺動軸SX回りに揺動可能にシートクッションフレーム22に連結されて、シートバック14のパッドを支持するシートバックフレーム23と、長手方向に前後移動自在にスライドレール12に案内されて、スライドレール12上でシートクッションフレーム22を支持するベースフレーム24とを備える。シートクッションフレーム22はリンク機構25でベースフレーム24に連結される。リンク機構25は、左右方向に延びる水平軸線FH回りで回転自在にベースフレーム24に結合される一端と、水平軸線FHに平行に左右方向に延びる水平軸線SH回りで回転自在にシートクッションフレーム22に結合される他端とを有するリンク部材26を備える。リンク部材26は水平軸線FH回りでベースフレーム24に対してシートクッションフレーム22の上下移動を案内する。
【0033】
シートクッションフレーム22は、個々のスライドレール12に並んで延びるサイドフレーム22aと、シートクッション13の前端でサイドフレーム22a同士を接続するパンフレーム22bと、シートクッション13の後端でサイドフレーム22a同士を連結する連結パイプ22cとを備える。パンフレーム22bと連結パイプ22cとの間には複数のSばね(図示されず)が配置される。個々のSばねはジグザグ形状で前後に延びる。ジグザグ形状は、前後方向に延びる線材と、左右方向に延びる線材とが交互に組み合わせられて形成される。
【0034】
ベースフレーム24には電動式前後移動装置27が取り付けられる。電動式前後移動装置27は、ベースフレーム24に支持される電動モーター28を備える。電動モーター28は電力の供給に応じて動力を生成する。電力は第1スイッチ18aの操作に基づき供給される。電動モーター28の動力はスライドレール12に沿ってベースフレーム24の前後移動を引き起こす。
【0035】
シートクッションフレーム22のサイドフレーム22aには電動式上下移動装置29が取り付けられる。電動式上下移動装置29は、サイドフレーム22aに支持されて、リンク機構25に連結されるアクチュエーター31を備える。アクチュエーター31は、電力の供給に応じて動力を生成する電動モーター32と、電動モーター32の動力に応じて、水平軸線SH回りにサイドフレーム22aに対してリンク部材26の回転を引き起こす伝達機構33とを含む。伝達機構33は、例えば電動モーター32の駆動軸に固定される駆動ギアと、水平軸線SH回りでリンク部材26に固定される被動ギアとを含み、順番に相互に噛み合うギア群で構成される。電力は第1スイッチ18aの操作に基づき供給される。電動モーター32の動力は水平軸線FH回りでサイドフレーム22aの上下移動を引き起こす。
【0036】
シートバックフレーム23は、揺動軸SXで個々のサイドフレーム22aの内側に連結される板金フレーム23aと、板金フレーム23aの上端を相互に接続するアッパーフレーム23bとを備える。アッパーフレーム23bには上下方向にスライド可能にヘッドレスト15のスライド棒を支持する管部材34が固定される。
【0037】
シートバックフレーム23の板金フレーム23aには電動式リクライニング装置35が取り付けられる。電動式リクライニング装置35は、揺動軸SX周りでシートクッションフレーム22のサイドフレーム22aに取り付けられるアクチュエーター36を備える。アクチュエーター36は、電力の供給に応じて動力を生成する電動モーター37と、電動モーター37の動力を揺動軸SX回りの駆動力に変換する伝達機構38とで形成される。電動モーター37は電力の供給に応じて動力を生成する。電力は第2スイッチ18bの操作に基づき供給される。電動モーター37の動力はシートクッションフレーム22に対して揺動軸SX回りでシートバックフレーム23の前後揺動を引き起こす。
【0038】
図3に示されるように、シートクッション13は、シートクッションフレーム22に支持されて、表皮材13aに包み込まれるシートクッションパッド41をさらに備える。シートバック14は、シートバックフレーム23に支持されて、表皮材14aに包み込まれるシートバックパッド42をさらに備える。シートクッションパッド41およびシートバックパッド42は例えば発泡ウレタンといった弾力性を有する素材から形成される。
【0039】
図4に示されるように、シートクッションフレーム22の左サイドフレーム22aは、板形状の部位43と、板形状の部位43の上下の縁から曲げられて、湾曲の効果で縁の剛性を高める曲げ域44a、44bとを有する。板形状の部位43では上下の縁は前後方向(長手方向)にスライドレール12に並行に延びる。板形状の部位43にアクチュエーター31は取り付けられる。曲げ域44a、44bは、板形状の部位43の板面に接する空間を挟み込む上下対に形成される。曲げ域44a、44bは、前後方向に長い帯状に板形状の部位43を区画する。曲げ域44aの前端および後端は曲げ域44bの前端および後端に剛体域45a、45bでそれぞれ接続される。こうして板形状の部位43の剛性は高められる。剛体域45a、45bは板形状の部位43から立ち上がる湾曲域で形成される。
【0040】
板形状の部位43には第1開口46および第1開口47が穿たれる。第1開口46および第1開口47は上下の曲げ域44a、44bから離れた位置に配置される。したがって、第1開口46および第1開口47の位置で板形状の部位43の剛性は弱まる。第1開口46はアクチュエーター31に向き合う位置に配置される。すなわち、側面視で第1開口46はアクチュエーター31に重なる。第1開口47は長手方向に第1開口46から前方にずれた位置に位置する。
【0041】
アクチュエーター31には雌カプラー48が取り付けられる。雌カプラー48は電動モーター32の上方に配置される。雌カプラー48には、サイドフレーム22aの外側でハーネス49に連結される雄カプラー51が嵌め込まれる。ハーネス49はサイドフレーム22aの内側から外側に向かって第1開口47を通過する。雌カプラー48は第1開口46に向き合う位置に配置される。リンク機構25は、水平軸線FHに平行に左右に延びる水平軸線GH回りで回転自在にベースフレーム24に結合される一端と、水平軸線GHに平行に左右方向に延びる水平軸線TH回りで回転自在にシートクッションフレーム22に結合される他端とを有するリンク部材26bを備える。リンク部材26は前述のリンク部材26と協働して水平軸線FH回りでベースフレーム24に対してシートクッションフレーム22の上下移動を案内する。
【0042】
図5に示されるように、板形状の部位43は重力方向に平行な垂直面に沿って広がる。曲げ域44a、44bは、板形状の部位43の板面から遠ざかる上端で折り返されて、二重壁を作り出す。
図4に示されるように、曲げ域44a、44bは、板形状の部位43の板面に接する空間を挟んで向き合う間隔に比べて、縁に沿って長手方向に長い寸法を有する。
【0043】
図6に示されるように、シートクッションフレーム22の右サイドフレーム22aは、板形状の部位52と、板形状の部位52の上下の縁から曲げられて、湾曲の効果で縁の剛性を高める曲げ域53a、53bとを有する。板形状の部位52では上下の縁は前後方向(長手方向)にスライドレール12に並行に延びる。曲げ域53a、53bは、板形状の部位52の板面に接する空間を挟み込む上下対に形成される。曲げ域53a、53bは、前後方向に長い帯状に板形状の部位52を区画する。曲げ域53aの前端および後端は曲げ域53bの前端および後端に剛体域54a、54bでそれぞれ接続される。こうして板形状の部位52の剛性は高められる。剛体域54a、54bは板形状の部位52から立ち上がる湾曲域で形成される。
【0044】
板形状の部位43には開口55が穿たれる。開口55は上下の曲げ域53a、53bから離れた位置に配置される。したがって、開口55の位置で板形状の部位52の剛性は弱まる。開口55は長手方向に間隔を空けて配置される。右サイドフレーム22aには、左サイドフレーム22aに設けられる開口よりも多い数の開口が設けられる。
【0045】
次に本実施形態の作用を説明する。左サイドフレーム22aにアクチュエーター31は取り付けられる。左サイドフレーム22aの板形状の部位43に第1開口46は形成される。第1開口46の働きで左サイドフレーム22aの質量が調整されることから、アクチュエーター31の動作振動に対して左サイドフレーム22aの共振は抑制される。その結果、左サイドフレーム22aの振動音は低減される。
【0046】
左サイドフレーム22aは、長手方向に第1開口46からずれた位置で、板形状の部位43に第2開口を有する。板形状の部位43に開口が増加することで、さらに振動音は低減される。しかも、左サイドフレーム22aの外側でハーネス49に連結される雌カプラー48は第1開口46に向き合う位置に配置されるので、左サイドフレーム22aの内側から第1開口46を通じて雌カプラー48および雄カプラー51の接続状態は確認されることができる。
【0047】
シートフレーム21のシートクッションフレーム22は左右1対のサイドフレーム22aを有する。左サイドフレーム22aの板形状の部位43にアクチュエーター31が取り付けられるとともに第1開口46および第2開口47が形成され、右サイドフレーム22aの板形状の部位52にさらに開口55が形成される。右サイドフレーム22aではアクチュエーター31が取り付けられず板形状の部位52の剛性が補強されないことから、板形状の部位52の広がりが大きく、共振が発生しやすいものの、右サイドフレーム22aには開口55が形成されることから、右サイドフレーム22aの共振は抑制される。その結果、シートフレーム21の振動音は低減される。
【0048】
左サイドフレーム22aでは第1開口46および第2開口47は個々の曲げ域44a、44bから離れた位置に配置される。右サイドフレーム22aでは開口55は個々の曲げ域53a、53bから離れた位置に配置される。板形状の部位43、52は曲げ域44a、44b、53a、53bから遠ざかるほど振動しやすい。振動しやすい領域に第1開口46、第2開口47および開口55が配置されることから、共振の抑制効果は高められる。
【0049】
第1開口46はアクチュエーター31に向き合う位置に配置される。板形状の部位43ではアクチュエーター31に近い位置で振動が発生しやすいことから、アクチュエーター31に向き合う位置に第1開口46が設置されれば、効果的に共振は抑制されることができる。
【0050】
左サイドフレーム22aは、板形状の部位43の縁から曲げられて、湾曲の効果で縁の剛性を高める曲げ域44a、44bを有する。板形状の部位43の剛性は曲げ域44a、44bの働きで高められるので、左サイドフレーム22aの共振は抑制される。右サイドフレーム22aは同様に板形状の部位52の縁の剛性を高める曲げ域53a、53bを有する。板形状の部位52の剛性は曲げ域53a、53bの働きで高められる。
【0051】
左サイドフレーム22aの曲げ域44a、44bは、板形状の部位43の板面から遠ざかる上端で折り返されて、二重壁を作り出す。曲げ域44a、44bの剛性は確実に高められる。左サイドフレーム22aの剛性は確保される。同様に、右サイドフレーム22aの曲げ域53a、53bは二重壁を作り出す。曲げ域53a、53bの剛性は確保される。
【0052】
左サイドフレーム22aの曲げ域44a、44bは、板形状の部位43の板面に接する空間を挟み込む対に形成される。こうして板面に接して第1開口46に隣接する空間が曲げ域44a、44bで挟まれるので、板形状の部位43に第1開口46が形成されても、板形状の部位43の剛性は確保される。右サイドフレーム22aの曲げ域53a、53bは、板形状の部位52の板面に接する空間を挟み込む対に形成される。こうして板形状の部位52に開口55が形成されても、板形状の部位52の剛性は確保される。
【0053】
左サイドフレーム22aでは曲げ域44a、44bは、板形状の部位43の板面に接する空間を挟んで向き合う間隔に比べて、板形状の部位43の縁に沿って長手方向に長い寸法を有し、長手方向に沿って帯状に板形状の部位43を区画する。板形状の部位43の広がりに比べて板形状の部位43の縁に沿って曲げ域44a、44bは長く延びることから、板形状の部位43の剛性は確実に高められる。同様に、右サイドフレーム22aでは曲げ域53a、53bは、板形状の部位52の板面に接する空間を挟んで向き合う間隔に比べて、板形状の部位52の縁に沿って長手方向に長い寸法を有し、長手方向に沿って帯状に板形状の部位52を区画する。板形状の部位52の広がりに比べて板形状の部位52の縁に沿って曲げ域53a、53bは長く延びることから、板形状の部位52の剛性は確実に高められる。
【0054】
右サイドフレーム22aには、左サイドフレーム22aに設けられている開口46、47の数よりも多い数の開口55が設けられる。右サイドフレーム22aにはアクチュエーター31が搭載されないので、左サイドフレーム22aよりも右サイドフレーム22aでは共振が発生しやすいものの、右サイドフレーム22aには左サイドフレーム22aよりも多い開口が形成されるので、右サイドフレーム22aの共振は抑制される。
【符号の説明】
【0055】
11…車両用シート、13…シートクッション、21…シートフレーム、22…シートクッションフレーム、22a…サイドフレーム、31…アクチュエーター、43…板形状の部位、44a…曲げ域、44b…曲げ域、46…開口(第1開口)、47…第2の開口(第2開口)、48…カプラー(雌カプラー)、49…ハーネス、55…開口。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板形状の部位(43)に開口(46)を有するシートフレーム(21)と、
前記板形状の部位(43)に取り付けられたアクチュエーター(31)と
を備えることを特徴とする車両用シート。