(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107066
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】ハードキャンディ
(51)【国際特許分類】
A23G 3/34 20060101AFI20220713BHJP
A23G 3/38 20060101ALI20220713BHJP
A23G 3/42 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
A23G3/34 101
A23G3/38
A23G3/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019059161
(22)【出願日】2019-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 工
(72)【発明者】
【氏名】解良 亮介
(72)【発明者】
【氏名】山口 茜
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB06
4B014GB09
4B014GL11
(57)【要約】
【課題】作業性よく製造できるようにした、低糖質のハードキャンディを提供する。
【解決手段】以下(A)~(C)を満たすハードキャンディである。
(A)水溶性食物繊維を固形分あたり80質量%以上含む
(B)水分が6質量%未満である
(C)ガラス転移点が20℃以上である
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下(A)~(C)を満たすハードキャンディ。
(A)水溶性食物繊維を固形分あたり80質量%以上含む
(B)水分が6質量%未満である
(C)ガラス転移点が20℃以上である
【請求項2】
水溶性食物繊維全量中に分子量500~1500に入るものの相対量が30%以上である、請求項1記載のハードキャンディ。
【請求項3】
前記水溶性食物繊維が、イヌリン、ポリデキストロース、難消化性デキストリン及びフラクトオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2記載のハードキャンディ。
【請求項4】
前記水溶性食物繊維が、(1)イヌリン及び(2)ポリデキストロース、難消化性デキストリン及びフラクトオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2記載のハードキャンディ。
【請求項5】
硬度が3kg以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のハードキャンディ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードキャンディに関し、より詳細には、低糖質のハードキャンディに関する。
【背景技術】
【0002】
ハードキャンディは、典型的には、砂糖と水あめを主原料とし、口の中でゆっくり溶かして食されることで様々なフレーバーを味わえる代表的な菓子の一つである。
【0003】
従来、消費者の健康意識の高まりに応えるため、ハードキャンディの分野においても、砂糖の低減を訴求した製品が開発されている。このような製品として、砂糖に代えて糖アルコールを用いたハードキャンディが知られている(例えば、特許文献1)。また、糖類として結晶ケストースを含むハードキャンディが知られている(特許文献2)。また、糖類としてフルクトシル化していないα-ガラクトオリゴ糖を含むハードキャンディが知られている(特許文献3)。
【0004】
また、近年では、糖質制限によるダイエットや食餌療法が薦められている。2015年から施行された食品表示法により示されている食品表示基準では、炭水化物のうち、糖質と食物繊維を併記することが定められたこともあって、今後、製菓分野においても、糖質の低減が重要なテーマとなり得る。
【0005】
このような背景から、本出願人においても、糖質を低減したハードキャンディを開示している(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-228688号公報
【特許文献2】特開平10-57号公報
【特許文献3】特表2014-520562号公報
【特許文献4】特許第6059843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のように糖アルコールを用いる方法では、硬度、吸湿性、型内からの脱型性に問題が生じやすく、糖アルコールは緩下作用を有することから、摂取量に注意する必要もあった。また、特許文献2、3に記載の特定の糖を用いる方法では、ハードキャンディとしての適正な硬度を有するものの、口の中での変形や歯つき等の食感について良好とはいえなかった。
【0008】
一方、本出願人による特許文献4によれば、上記のような問題を生じることなく、糖質を大幅に低減した、食感に優れたハードキャンディを提供することができた。しかしながら、煮詰め時に結晶化や粘度の不均一化など品質や製造工程中に不具合が生じやすく、製造作業性にやや難があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決して、作業性よく製造できるようにした、低糖質のハードキャンディを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、以下(A)~(C)を満たすハードキャンディを提供するものである。
(A)水溶性食物繊維を固形分あたり80質量%以上含む
(B)水分が6質量%未満である
(C)ガラス転移点が20℃以上である
【0011】
上記ハードキャンディにおいては、水溶性食物繊維全量中に分子量500~1500に入るものの相対量が30%以上であることが好ましい。
【0012】
また、前記水溶性食物繊維が、イヌリン、ポリデキストロース、難消化性デキストリン及びフラクトオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0013】
また、前記水溶性食物繊維が、(1)イヌリン及び(2)ポリデキストロース、難消化性デキストリン及びフラクトオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0014】
また、ハードキャンディの硬度が3kg以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、水溶性食物繊維を用いることにより糖質が低減された、新しい価値のハードキャンディを提供することができる。そして、そのハードキャンディの水分は6質量%未満であり、目標水分値を下回ることにより煮詰め時に結晶化や粘度の不均一化など品質や製造工程中に不具合が生じやすくなるという、製造作業時の配慮負担が払拭されて、作業性よくハードキャンディを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のハードキャンディは、必須成分として、水溶性食物繊維を含む。水溶性食物繊維は、食物に含まれ、かつヒトの消化器官で消化・吸収されにくい難消化性炭水化物のうち、水溶性のものをいう。
【0017】
水溶性食物繊維としては、イヌリン、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、寒天、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、ビートファイバー、キサンタンガム、グァーガム、グァーガム酵素分解物、難消化性でんぷん、プルラン等の難消化性の多糖類や、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖等の難消化性オリゴ糖類等が挙げられる。水溶性食物繊維は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上のものを組み合わせて用いてもよい。本発明においては、特に、イヌリン、ポリデキストロース、難消化性デキストリン及びフラクトオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましく、また、イヌリンを少なくとも含み、更に他の水溶性食物繊維の1種又は2種以上を組み合わせて用いることがより好ましい。イヌリンと組み合わせる水溶性食物繊維としては、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、フラクトオリゴ糖等が挙げられる。ただし、本発明においては、上記した種類の水溶性食物繊維や組み合わせに限定されるわけではない。
【0018】
本発明のハードキャンディにおける水溶性食物繊維の含有量は、ハードキャンディを構成する固形分あたり80質量%以上であり、好ましくは85質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。また、本発明のハードキャンディは、固形分の全量を水溶性食物繊維で構成することもできる。
【0019】
また、イヌリンを他の水溶性食物繊維と組み合わせて用いる場合には、イヌリンの含有量が固形分あたり1~99質量%であり、他の水溶性食物繊維の含有量が固形分あたり1~99質量%であることが好ましく、イヌリンの含有量が固形分あたり50~99質量%であり、他の水溶性食物繊維の含有量が固形分あたり1~50質量%であることがより好ましい。この場合、他の水溶性食物繊維として、ポリデキストロース、難消化性デキストリン及びフラクトオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種である場合、その合計含有量が固形分あたり1~99質量%であることが好ましく、1~50質量%であることがより好ましい。
【0020】
水溶性食物繊維の含有量は、食品分析に通常用いられる方法のうち、水不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を区別して定量ができ、かつ低分子の水溶性食物繊維を含めた定量ができる方法を用いればよく、例えばCODEX分析法AOAC Method2001.03を用いることができる。
【0021】
本発明のハードキャンディにおける水溶性食物繊維の組成は、水溶性食物繊維全量中に分子量500~1500に入るものの相対量が30%以上となるようにすることが好ましく、35%以上となるようにすることがより好ましく、40%以上となるようにすることが更により好ましい。また、水溶性食物繊維全体の平均分子量が1000~4000の範囲内となるようにすることが好ましく、1000~3800の範囲内がより好ましく、1000~3600の範囲内が更により好ましい。
【0022】
なお、本明細書において平均分子量とは重量平均分子量を意味しており、通常当業者に周知の手段によって測定することができる。例えば、規定された標準の分子量マーカーと対比させた液体クロマトグラム法等により測定することが可能である。ただし、水溶性食物繊維全量中における特定の分子量範囲に入るものの相対量を求めるには、例えば、以下のような測定に試料を供することが好ましい。
【0023】
(平均分子量の測定)
サンプルを水溶液に調整したのちにゲル濾過カラム(サイズ排除クロマトグラフィー)により分離し、示唆屈折率検出器(IR)及び質量分析計(MS)にて溶出された糖類を検出する。分子量マーカーあるいはMSで抽出したイオンを検出し、溶出時間と分子量との相関式すなわち校正曲線を得る。溶出時間から計算される分子量とその時間における糖類の検出量から、平均分子量を求めることができる。
【0024】
一般的に平均分子量(重量平均分子量:Mw)は以下の式にて算出される。
【0025】
Mw = Σ(Wi×Mi)/W = Σ(Hi×Mi)/Σ(Hi)
W: 高分子の総重量
Wi:i番目の高分子の重量
Mi:i番目の溶出時間における分子量
Ni:分子量Miの個数
Hi:i番目の溶出時間における高さ
【0026】
また、水溶性食物繊維全量中における特定の分子量範囲に入るものの相対量を求めるには、例えば、分子量500~1500に入るものの相対量を求める場合を例に挙げると、上記の校正曲線から分子量500もしくは分子量1500の試料の溶出時間に相当する検出位置を特定し、全試料についての検出曲線下面積のうち、分子量500もしくは分子量1500の試料の検出位置の範囲にわたる面積の割合を算出することにより、分子量500~1500に入るものの相対量を求めることができる。
【0027】
なお、これらの測定については、キャンディを製造するのに用いる原料を試料として測定してもよく、あるいは製造したキャンディそのものを試料として測定してもよく、それらのどちらを試料としてもその測定を実施することができる。
【0028】
具体的に、用いる水溶性食物繊維としては、その平均分子量が1000~4000の範囲内のものを用いることが好ましく、1000~3800の範囲内のものを用いることがより好ましい。
【0029】
例えば、イヌリンを用いる場合、その平均分子量が1000~4000の範囲内のものを用いることが好ましく、1000~3800の範囲内のものを用いることがより好ましい。
【0030】
また、フラクトオリゴ糖を用いる場合、その平均分子量が500~1500の範囲内のものを用いることが好ましく、500~1300の範囲内のものを用いることがより好ましい。
【0031】
また、ポリデキストロースを用いる場合、その平均分子量が1000~2000の範囲内のものを用いることが好ましく、1000~1800の範囲内のものを用いることがより好ましい。
【0032】
また、難消化性デキストリンを用いる場合、その平均分子量が1000~3000の範囲内のものを用いることが好ましく、1000~2800の範囲内のものを用いることがより好ましい。
【0033】
本発明のハードキャンディにおける水分は6質量%未満であり、好ましくは2質量%以上6質量%未満であり、更に好ましくは3質量%以上6質量%未満である。水分は、常法により、常圧加熱乾燥助剤法等によって測定することができる。
【0034】
本発明のハードキャンディにおけるガラス転移点は20℃以上であり、好ましくは22℃以上であり、更に好ましくは24℃以上である。このような物性を有することで、口の中での保形性、歯つきの抑制の点で、良好な食感となる。また、ガラス転移点の上限値は、60℃、好ましくは55℃、更に好ましくは50℃を目安とすることができる。
【0035】
「ガラス転移点」とは、非晶質固体材料にガラス転移が起きる温度であり、「Tg」と
も記される。ハードキャンディにおいては、加熱により、ガラス状態のハードキャンディが、ラバー状態になる温度とみなすことができる。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)、熱機械分析(TMA)などで測定できる。具体的には、試料を0℃から80℃まで10℃/分で推移させた際の比熱を測定する。比熱が変化する前の比熱変化曲線の延長と、比熱が変化している間の比熱変化曲線の接線の交点を補外ガラス転移開始温度といい、本発明では補外ガラス転移開始温度を「ガラス転移点」とする。
【0036】
ガラス転移点は、常法により測定することができる。具体的には、後述する実施例に示す方法にて測定することができる。
【0037】
本発明のハードキャンディの硬度は、3kg以上であることが好ましく、5kg以上であることがより好ましい。このような物性により、ハードキャンディとしての良好な物性、食感を得ることができる。
【0038】
硬度は、常法によりレオメーターを用いて測定することができる。具体的には、後述する実施例に示す方法にて測定することができる。
【0039】
本発明のハードキャンディは、任意に糖質を含んでいてもよいが、その範囲は、固形分あたり20質量%未満であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更により好ましい。また、これを含有しない形態も好ましい。ここで、糖質とは、炭水化物のうち、ヒトの消化酵素によって消化される成分、及び低分子の合成甘味料を含み、食物繊維以外の成分をいう。糖質を用いる場合には、砂糖、水あめを好ましく用いることができる。
【0040】
また、任意に糖アルコールも含み得るが、その含有量は、固形分あたり10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。また、特に好ましくは、これを含有しない。
【0041】
糖質を含有しないハードキャンディについては、「糖質オフ」、「無糖」等と表示することが可能である。
【0042】
本発明のハードキャンディは、香料、保存料等、通常用いられる原料を適宜含んでいてもよい。
【0043】
本発明のハードキャンディは、好ましくは成型物である。形状は、キューブ状、球状等が挙げられ、1粒あたりの体積は0.5~15cm3程度、1粒あたりの重量は0.65~20gとすることが好ましい。
【0044】
本発明のハードキャンディは、常法により前述した原料の水溶液を、常圧下又は減圧下で前述した水分の範囲となるように煮詰め、所望により風味や色付けのための原料(フレーバー、甘味料、酸味料、着色料等)と混合した後、デポジット成型、スタンピング成型等の方法により成型することにより製造することができる。
【0045】
ハードキャンディの原料の水溶液の固形分濃度は、ハンドリングの観点からは、煮詰め前の状態では80質量%以下とすることが好ましい。一方、煮詰め効率の観点からは、煮詰め前の状態では50質量%以上とすることが好ましい。
【実施例0046】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0047】
(キャンディ試料の調製)
表1に示す配合で比較例及び実施例1~3のキャンディ試料を調製した。具体的には、原料とした各種の水溶性食物繊維を手鍋に入れ、水を加えて加熱して、固形分50質量%の水溶液を調製し、煮詰めた。その煮詰め途中には、手鍋ごと秤量して、予め想定している水分値になったときに煮詰めを止め、煮詰め液を冷却して成型した。成型では、硬度測定用に厚さ4mmで、長さ3cm以上、幅3cm以上の板状のサンプルを作成した。また、サンプルの一部破砕片をガラス転移点測定用のサンプルとした。
【0048】
(水分)
水分含量は常圧加熱乾燥助剤法を用いた常法により測定した。助剤として海砂を用いた。
【0049】
(ガラス転移点)
示差走査熱量測定(DSC)を用い、試料を0℃から80℃まで10℃/分で推移させた際の比熱を測定した。比熱が変化する前の比熱変化曲線の延長と、比熱が変化している間の比熱変化曲線の接線の交点(補外ガラス転移開始温度)をガラス転移点とした。
【0050】
(硬度)
装置としてStableMicroSystems社製レオメーター「TA-XTplus」を使用し、頂点の角度が45度で先端が鋭利な形状の逆円錐状アダプターを、測定品温20℃とした4mm厚さのサンプルの表面に上方から垂直方向に押し付けて、移動速度20mm/分で貫入させていったときのその貫入開始から貫入距離2mmまでにわたるアダプターにかかる最大荷重(kg)を測定した。測定値に基づいて、下記基準に従った評価点をつけた。測定は同一サンプルにつき3回行い、その評価点を平均化した。
【0051】
<5段階評価:硬度評価点>
5 5kg以上
4 3kg以上5kg未満
3 1kg以上3kg未満
2 1kg未満
1 破断しない(値が高くても)*
*2mm貫入してもサンプルが破断しないものは最大荷重が大きくても1点とした。
【0052】
(分子量分布)
キャンディ試料の調製に使用した水溶性食物繊維の各原料の平均分子量および水溶性食物繊維全量中における分子量500~1500に入るものの相対量を調べた。具体的には、上述した測定法により、検量線を用いて計算される分子量とその時間における糖類の検出量の積算値の総和から、平均分子量を算出した。また、検量線により分子量500および分子量1500の位置を計算し、水溶性食物繊維全体に対する分子量500~1500の割合を算出した。
【0053】
表1には、上記による評価結果について、各材料の配合とともにまとめて示す。
【0054】
【0055】
表1に示されるように、比較例では低分子の水溶性食物繊維率(水溶性食物繊維全量中に対する分子量500~1500のものの相対量)が16%と低いイヌリンを用いてハードキャンディを調整しようと試みた結果、煮詰めの最中に結晶化が生じハードキャンディを作成することができなかった。一方、実施例1では、低分子の水溶性食物繊維率が49%のイヌリンを材料として用いることで、水分5.5質量%のハードキャンディを得ることができた。また、同様に、実施例2では、低分子の水溶性食物繊維率が86%のイヌリンを材料に用いることで、水分5.5質量%のハードキャンディを得ることができた。また、実施例3では、低分子の水溶性食物繊維率が100%のフラクトオリゴ糖を材料に用いることで、水分5.5質量%のハードキャンディを得ることができた。それぞれ得られたキャンディのTgは46.5℃、43.2℃、49.9℃であった。
【0056】
以上から、水溶性食物繊維を配合することにより、糖質を大幅に低減したハードキャンディが得られることが明らかとなった。そして、配合する水溶性食物繊維の分子量分布を工夫することで、煮詰め時に結晶化や粘度の不均一化など品質や製造工程中に不具合が生じる水分の下限域を下方に拡げ得ることが明らかとなった。