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  • 特開-表示装置 図1
  • 特開-表示装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107125
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220713BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/00 366G
G09F9/00 350Z
G02F1/1333
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001851
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克則
(72)【発明者】
【氏名】番場 広之
【テーマコード(参考)】
2H189
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA55
2H189AA64
2H189AA72
2H189HA10
2H189LA02
2H189LA30
5G435AA16
5G435BB12
5G435EE49
5G435GG31
5G435HH05
(57)【要約】
【課題】ディスプレイの固定に複数の粘着両面テープを用いつつ耐ESD特性を向上できる「表示装置」を提供する。
【解決手段】OGS1と液晶ディスプレイ2とを接着して一体化した上で、バックライトユニット5を収容するフレーム6に、OGS1の外縁部を4つの粘着両面テープ4で接着固定する。4つの粘着両面テープ4は、中央領域をおおよそ取り囲むように、隣接する粘着両面テープ4との間に僅かな隙間を空けて配置される。各粘着両面テープ4の端部の形状は、フレーム6とOGS1との二つの粘着両面テープ4の端面で囲まれて細く延びる空間である細路10が直線状とならずに屈曲したものとなるように設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
ディスプレイと、
前記ディスプレイの前面に、後面の外縁部が前記ディスプレイに覆われない形態で接着されたガラスと、
フレームと、
前記ガラスの後面の外縁部と前記フレームとを接着する複数の粘着両面テープと、
前記複数の粘着両面テープは、前記ガラスの第1の辺に沿って延びる第1の粘着両面テープと、前記ガラスの前記第1辺に隣接する第2の辺に沿って延びる第2の粘着両面テープとを含み、
前記第1の粘着両面テープの前記第2辺側の端部と前記第2の粘着両面テープの前記第1辺側の端部とは隙間を空けて隣接しており、
前記隙間は、前後方向に見て、3箇所以上の箇所で屈曲して細く延びる形状を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
表示装置であって、
ディスプレイと、
前記ディスプレイの前面に、後面の外縁部が前記ディスプレイに覆われない形態で接着されたガラスと、
フレームと、
前記ガラスの後面の外縁部と前記フレームとを接着する複数の粘着両面テープと、
前記複数の粘着両面テープは、前記ガラスの第1の辺に沿って延びる第1の粘着両面テープと、前記ガラスの前記第1辺に隣接する第2の辺に沿って延びる第2の粘着両面テープとを含み、
前記第1の粘着両面テープの前記第2辺側の端部と前記第2の粘着両面テープの前記第1辺側の端部とは隙間を空けて隣接しており、
前記隙間は、前後方向に見て、細く延びる形状であって、当該隙間の一端から他端に当該隙間に沿って進んだときに相互に反対方向に進むこととなる区間が表れる形状を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の表示装置であって、
前記隙間が占める領域は、前後方向に見て、前記外縁部の前記第1の辺に沿って延びる部分を当該第1の辺の方向に延長した範囲と、前記外縁部の前記第2の辺に沿って延びる部分を当該第2の辺の方向に延長した範囲とが重なる範囲内の領域であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の表示装置であって、
前記ガラスは、タッチパネルの機能を兼ね備えたOGS(One Glass Solution)であることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の表示装置であって、
前記ディスプレイは液晶ディスプレイであり、
当該表示装置は、前記ディスプレイの後方の位置において、前記フレームに固定されたバックライトユニットを備えていることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等の表示装置におけるESD対策(静電気対策)の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置としては、図3aに示すように、カバーガラス101と、液晶ディスプレイ(液晶セル)102とを接着して一体化した上で、バックライトユニット103を収容するフレーム104に、カバーガラス101の外縁部を、絶縁性の粘着両面テープ105で接着固定した構造を有する液晶表示装置が知られている(たとえば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-71319号公報
【特許文献2】特開2019-86761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3aに示した構造を有する液晶表示装置において、粘着両面テープ105として、図3bに示すようにカバーガラス101の辺毎に設けた4つの粘着両面テープ105を用いた場合、図3cに示すように、粘着両面テープ105間に僅かながらも隙間が生じてしまうことが避けられない。
【0005】
そして、この隙間を介して、静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)によるアークが内部に影響し回路破壊や誤動作を引き起こすことがあった。
カバーガラス101の接着固定に、カバーガラス101の外縁を取り囲む1つの粘着両面テープ105を用いれば、このような問題は生じないが、この場合、大判の特殊な粘着両面テープ105が必要となりコストの増加を招く。
【0006】
そこで、本発明は、ディスプレイのフレームへの固定に複数の粘着両面テープを用いつつ、充分な耐ESD特性を実現する課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、表示装置に、ディスプレイと、前記ディスプレイの前面に、後面の外縁部が前記ディスプレイに覆われない形態で接着されたガラスと、フレームと、前記ガラスの後面の外縁部と前記フレームとを接着する複数の粘着両面テープと、前記複数の粘着両面テープは、前記ガラスの第1の辺に沿って延びる第1の粘着両面テープと、前記ガラスの前記第1辺に隣接する第2の辺に沿って延びる第2の粘着両面テープとを設けたものである。
【0008】
ここで、前記第1の粘着両面テープの前記第2辺側の端部と前記第2の粘着両面テープの前記第1辺側の端部とは隙間を空けて隣接しており、前記隙間は、前後方向に見て、3箇所以上の箇所で屈曲して細く延びる形状を備えている。
【0009】
または、前記第1の粘着両面テープの前記第2辺側の端部と前記第2の粘着両面テープの前記第1辺側の端部とは隙間を空けて隣接しており、前記隙間は、前後方向に見て、細く延びる形状であって、当該隙間の一端から他端に当該隙間に沿って進んだときに相互に反対方向に進むこととなる区間が表れる形状を備えている。
【0010】
ここで、以上の表示装置において、前記隙間が占める領域は、前後方向に見て、前記外縁部の前記第1の辺に沿って延びる部分を当該第1の辺の方向に延長した範囲と、前記外縁部の前記第2の辺に沿って延びる部分を当該第2の辺の方向に延長した範囲とが重なる範囲内となる領域とすることが好ましい。
【0011】
また、以上の表示装置において、前記ガラスは、タッチパネルの機能を兼ね備えたOGS(One Glass Solution)であってよい。
また、以上の表示装置において、前記ディスプレイは液晶ディスプレイであってよく、当該表示装置は、前記ディスプレイの後方の位置において、前記フレームに固定されたバックライトユニットを備えているものであってよい。
【0012】
以上のような表示装置によれば、粘着両面テープ間の隙間の外部に露出する外側の端部から、導電体が存在する表示装置の内部の空間に続く内側の端部までの沿面距離を、細路を直線状とした場合よりも充分に大きくすることができ、この結果、外部の静電気放電に対する耐ESD特性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、ディスプレイのフレームへの固定に複数の粘着両面テープを用いつつ、充分な耐ESD特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の他の構成例を示す図である。
図3】従来の液晶表示装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1aに、本実施形態に係る液晶表示装置の構造を表示面と垂直な断面により示す。
図示するように、液晶表示装置は、カバーガラスとタッチパネルの機能を兼ね備えたOGS(One Glass Solution)1と、液晶ディスプレイ(液晶セル)2と、光学粘着シート(OCA;Optical Clear Adhesive)3と、粘着両面テープ4と、バックライトユニット5と、バックライトユニット5を収容したフレーム6とを備えている。
【0016】
図1aの上方を前、下方を後として、液晶ディスプレイ2の前面は光学粘着シート3によってOGS1の後面の中央部に接着されている。
前後方向に見て、OGS1は、液晶ディスプレイ2よりも大きく、液晶ディスプレイ2と重ならない外縁部を備えている。
そして、液晶ディスプレイ2がバックライトの前方においてフレーム6に収容される配置となるように、OGS1が外縁部の後面においてフレーム6の前端のフランジに粘着両面テープ4によって接着固定されている。
【0017】
ここで、図1bに液晶表示装置の前方から見た配置を示すように粘着両面テープ4は4つ用いられており、OGS1の上辺近くを上辺に沿って左右に延びる粘着両面テープ4、OGS1の下辺近くを下辺に沿って左右に延びる粘着両面テープ4、OGS1の左辺近くを左辺に沿って上下に延びる粘着両面テープ4、OGS1の右辺近くを右辺に沿って上下に延びる粘着両面テープ4が、中央の領域をおおよそ取り囲むようにOGS1の外縁部に設けられている。
【0018】
次に、図1cにOGS1の左上角付近のようすを拡大して示し、図1dにOGS1の左下角付近のようすを拡大して示す。なお、OGS1の右上角付近のようすは図1cを左右反転したものとなり、OGS1の右下角付近のようすは図1dを左右反転したものとなる。
【0019】
図示するように、隣合う辺に沿って延びる二つの粘着両面テープ同志は接しておらず、両者間に十分の数ミリ程度の僅かな隙間を空けて配置されている。そして、この隙間により、フレーム6とOGS1との二つの粘着両面テープ4の端面で囲まれて細く延びる空間である細路10が形成される。
【0020】
また、各粘着両面テープ4の端部の形状は、細路10が直線状とならずに屈曲したものとなるように設定している。より具体的には、細路10に3箇所以上の屈曲が表れるように、または、細路10の一端から他端に進んだときに相互に反対方向に進むこととなる区間が表れるように、各粘着両面テープ4の端部の形状を設定する。
【0021】
このように、細路10が屈曲したものとなるように粘着両面テープ4の端部の形状を設定することにより、細路10の液晶表示装置の外部に露出する外側の端部から、導電体が存在する液晶表示装置の内部の空間に続く内側の端部までの沿面距離が、細路10を直線状とした場合よりも大きくなり、この結果、外部の静電気放電に対する耐ESD特性が向上する。
【0022】
また、細路10を屈曲させることにより沿面距離を拡大しているので、たとえば、細路10に長い直線区間が表れるように粘着両面テープ4の端部の形状を設定して沿面距離を拡大する場合のように、大判の粘着両面テープ4が必要となることもなく、コストの増加を抑制することができる。すなわち、たとえば、図2aに示すように細路10を長い直線区間が表れるように設ける場合には、左辺側の粘着両面テープ4を、たとえば、図中に200で示すサイズの大判の粘着両面シートを加工して作成する等の必要が生じるが、本実施形態によれば、そのような大判の粘着両面シートを用いずとも、各粘着両面テープ4を製作することができる。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上の実施形態において図1に示した細路10、粘着両面テープ4の端部の形状は一例であり、この形状としては、たとえば、細路10の一端から他端に進んだときに行き来を繰り返すこととなる図2b1に示すような形状や、細路10の一端から他端に進んだときに渦巻き状に進むこととなる図2b2に示すように形状などの、屈曲する細路10が形成される任意の形状を用いてよい。
【0024】
ただし、いずれの場合も、図2cに示すように、隣合う2辺の粘着両面テープ4の端部の形状は、外縁部の当該二辺の角の範囲300、すなわち、前後方向に見て、OGS1の液晶ディスプレイ2と重ならない部分である外縁部の第1の辺に沿って延びる部分を第1の辺の方向に延長した範囲と、第1の辺に隣接する第2の辺に沿って延びる部分を第2の辺の方向に延長した範囲とが重なる範囲300内に隙間、細路10が形成されるように設定することが、各粘着両面テープ4のコストを低減する上で好ましい。
【0025】
なお、本実施形態の耐ESD特性を向上する技術は、OGS1に代えてタッチパネルの機能を備えていないカバーガラスを備える場合や、液晶ディスプレイ2に代えて有機ELディスプレイなどの他のディスプレイを用いる場合にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1…OGS、2…液晶ディスプレイ、3…光学粘着シート、4…粘着両面テープ、5…バックライトユニット、6…フレーム、10…細路。
図1
図2
図3