(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107134
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】太陽光発電及び水力発電によるスマートシティ
(51)【国際特許分類】
E04H 5/02 20060101AFI20220713BHJP
H02S 20/32 20140101ALI20220713BHJP
H02S 20/30 20140101ALI20220713BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20220713BHJP
E02B 9/00 20060101ALI20220713BHJP
F03B 13/08 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
E04H5/02 E
H02S20/32
H02S20/30 A
H02S20/10 B
E02B9/00 A
E02B9/00 Z
F03B13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001870
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】715008687
【氏名又は名称】廣田 祐次
(72)【発明者】
【氏名】廣田 祐次
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA13
3H074BB10
3H074CC28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】太陽光発電等の再生可能エネルギーは、現在のところ日本全体のエネルギー量の5%にも満たないレベルであり、地球温暖化対策でのCO2削減や化石燃料の枯渇問題を考慮すると、今後大幅に増やしていく必要があるが、現状のメガソーラー(主に地上固定型)は、キャンプ場やゴルフ場をつぶしたりして、ある程度の拡大はあったが、転用可能な土地も限界に近づき、また山を新たに開墾すると、自然災害が発生しやすくなるため、地域住民の反対もあって、今後の大幅な拡大は期待できなくなっている。
【解決手段】天軸型太陽光発電システムと揚水式水力発電システムをベースとした、蓄電池と都市ガス又はプロパンガスの発電機の構成による、地産地消のスマートシティを構築する。まず、日本で2030年までに温室効果ガスを半減し、本システムの輸出によって、世界で2035年までに、温室効果ガスを半減する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワイヤーによって複数の太陽光受光パネルを吊るし、該複数のワイヤーの巻取り及び巻き戻しを行うことで該複数の太陽光受光パネルの角度を変え、また支柱が水平回転し、太陽光の追尾を行う天軸型太陽光発電システムを住宅街やビル街の中の空きスペース、あるいは道路や河川の両脇に設置し、また住宅の数軒分をカバーするよう、あるいはビル一棟分をカバーするよう蓄電池とガス発電機とを該天軸型太陽光発電システムの近くの空きスペースに設置し、該天軸型太陽光発電システムと該蓄電池及び該ガス発電機とを連結し、基本電力ネットワークとし、該基本電力ネットワークを複数つなぐことで、中域電力ネットワークを構成し、該中域電力ネットワーク内にて電力を融通し合うスマートシティであって、揚水式水力発電機あるいは水力発電機を該中域電力ネットワークに組み入れ、該ガス発電機での発電量を最小にする太陽光発電及び水力発電によるスマートシティ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の自然環境や建物とのマッチングをする形で、ドラスチックに増やすことができる天軸型太陽光発電システム:特許番号6656522をベースとし、蓄電池と都市ガス又はプロパンガスのガス発電機、揚水式を含む水力発電により構成され、蓄電池に余剰電力を貯えながら運用し、そしてそれらの電力を共有しながら運用することで、必要最低限のガス発電を行う、電力の地産地消型のスマートシティの構築に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電等の再生可能エネルギーは、現在のところ日本全体のエネルギー量の5%程度のレベルであり、地球温暖化対策でのCO2削減や化石燃料の枯渇問題を考慮すると、今後大幅に増やしていく必要があるが、現状のメガソーラー(主に地上固定型)は、キャンプ場やゴルフ場をつぶしたりして、ある程度の拡大はあったが、転用可能な土地も限界に近づき、また山を新たに開墾すると、自然災害が発生しやすくなるため、地域住民の反対もあって、今後の大幅な拡大は期待できなくなっている。また、住宅の屋根に設置するのも初期投資やメンテナンスの問題もあり、急な拡大は期待できない状況にある。
洋上に風力発電を大量に増やす案も浮上しているが、こちらは深刻な漁業権とのからみがあり、上記と同様にあまり期待できない。そのため、2050年度に温室効果ガス0を目指すのは極めて難しい状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6656522(天軸型太陽光発電システム)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2020年11月22日のオンライン形式のG20サミットにて、2050年までに、温室効果ガスを実質0にする方針(宣言)が日本政府(菅首相)より出されたため、それに沿った内容として、2030年までにまず温室効果ガスを半減する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
既存の民家の近くの空き地や民家と民家の狭いスペースに鉄筋コンクリート製の土台を立て、該土台の上に、屋根よりも高い位置で稼働する天軸型太陽光発電システムを設置し、また別の空き地や別の民家と民家とのスペースに蓄電池とガス発電機とを設置し、民家数軒分の電力を賄うようにする。この数軒の電力供給システムを基本電力ネットワークと呼称し、該基本ネットワークを複数合わせて中域電力ネットワークと呼称し、該中域電力ネットワークのエリア内又は該エリアの近くに揚水式を含む水力発電システムを設置し、該中域電力ネットワーク内で電力を供給し合い、ガス発電機による発電量を必要最低減に抑え込むようにする。
また、同様にビルの屋上やビル間の空き地等に天軸型太陽光発電システムと蓄電池、ガス発電機とを設置し、基本的にビルの一棟分を基本電力ネットワークとして構築し、複数のビル間にて、地産地消の中域電力ネットワークを構築する。
尚、天軸型太陽光発電システムと蓄電池の設置場所として、上記の他に民家やビルに近い道路沿いに設置して中域電力ネットワークを構成し、住宅街やビル街には設置しないようにもできる。
晴天の昼間に、天軸型太陽光発電システムにて発電し、基本電力ネットワーク内にて、電力を消費するとともに、余剰電力を蓄電池に貯えたり、揚水式水力発電用途の高台の池に複数の大型ポンプで水を汲み上げるようにし、昼夜問わず電力の不足分を水力発電で補い、それでも不足した場合にのみ基本電力ネットワーク内でのガス発電で賄うというのが基本的な考え方である。
豊富な水量の川があれば、晴天時の余剰電力を使い、ポンプで水を汲み上げ、ダムや池に水を貯えるいわゆる揚水型の水力発電を行い、なるべくガス発電を抑制するシステムする。例えば、夏場は高台の川が枯渇しても、天軸型太陽光発電システムからの余剰電力で、複数の大型ポンプを稼働させて高台の池に水を供給し、長雨などでの天軸型太陽光システムからの発電量が不足した場合、該揚水式水力発電の稼働での電力が期待できる。また、冬場では高台の水が雪解け水で豊富となり、天軸型太陽光発電システムが稼働しなくても、水力発電で賄うことができ、ガス発電は極力使わずに済ませることができる。
もし地域が海岸沿いであれば、海水による揚水式水力発電所の稼働が可能になる。
さらに、主に商業施設や工場等の大電力を必要とする産業用用途であるが、天軸型太陽光発電システムを、道路わき(電信柱代替)、河川敷、海岸、洋上、南面の山の中腹などに大量に設置し、また大容量の蓄電池や大規模な天然ガスの火力発電等を設置し、大規模電力ネットワークを構築する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、太陽光及び水力での発電量をドラスチックに増やすことができ、世界の地球温暖化防止に貢献し、化石燃料の大幅な削減が可能となる。すなわち、2030年には温室効果ガスの半減が可能になる。
従来のメガソーラでは、雪国や砂漠地帯で雪やごみが堆積するため運用は難しかったが、天軸型太陽光発電システムは、受光パネルの角度を急峻にすることで、雪は堆積せずに、また上空にあるのでゴミが堆積しにくい上に、太陽光受光パネルの上げ下ろしが簡便で、頻繁な掃除が可能なので、砂漠地帯や海岸沿いでも全く問題なく運用が可能となる。
また一般的に緯度の高い地域では、太陽光の入射角が大きくなり、固定式のメガソーラでは不利であるが、天軸型太陽光発電システムでは、(上側の太陽受光パネルが下側の受光パネルの日陰になりにくいため)太陽光受光パネルの間隔を詰めることができるため、すなわちそれだけ受光面積を広げることができるので、比較的不利にはなりにくい。
さらに天軸型太陽光発電システムでは大電力の発電が可能となるため、災害やテロ等で危険な原発を完全に止めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】天軸型太陽光発電システムをベースとし、蓄電池とガス発電機の構成のスマートシティの概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
既存の民家の近くの空き地や民家と民家の狭いスペースに鉄筋コンクリート製の土台を立て、該土台の上に、屋根よりも高い位置で稼働する天軸型太陽光発電システムを設置し、また別の空き地や別の民家と民家とのスペースに蓄電池とガス発電機とを設置し、民家数軒分の電力を賄うようにする。この数軒の電力供給システムを基本電力ネットワークと呼称し、該基本ネットワークを複数合わせて中域電力ネットワークと呼称し、該中域電力ネットワークのエリア内又は該エリアの近くに揚水式を含む水力発電システムを設置し、該中域電力ネットワーク内で電力を供給し合い、ガス発電を最低減に抑え込むようにする。
また、同様にビルの屋上やビル間の空き地等に天軸型太陽光発電システムと蓄電池、ガス発電機とを設置し、基本的にビルの一棟分を基本電力ネットワークとして構築し、複数のビル間にて、地産地消の中域電力ネットワークを構築する。
晴天の昼間に、天軸型太陽光発電システムにて発電し、基本電力ネットワーク内にて、電力を消費するとともに、余剰電力を蓄電池に貯えたり、揚水式水力発電用途の高台の池に複数の大型ポンプで水を汲み上げるようにし、昼夜問わず電力の不足分を水力発電で補い、それでも不足した場合にのみ基本電力ネットワーク内でのガス発電で賄うというのが基本的な考え方である。
豊富な水量の川があれば、晴天時の余剰電力を使い、ポンプで水を汲み上げ、ダムやプールに水を貯えるいわゆる揚水型の水力発電を行い、なるべくガス発電を発電システムする。例えば、夏場は高台の川が枯渇しても、天軸型太陽光発電システムからの余剰電力で、複数の大型ポンプを稼働させて高台の池に水を供給し、長雨などでの天軸型太陽光システムからの発電量が不足した場合、該揚水式水力発電の稼働での電力が期待できる。また、冬場では高台の水が雪解け水で豊富となり、天軸型太陽光発電システムが稼働しなくても、水力発電で賄うことができ、ガス発電は使わずに済ませることができる。
【0009】
図1において、複数の太陽光受光パネル3は、複数のワイヤー6と回転玉8を介してつり下げられている。また該複数のワイヤー6は、支柱軸1の頂上部に設置された滑車フレーム4に固定された複数の滑車2を経由して、複数のワイヤー巻取り機9につながっており、該ワイヤー巻取り機9が巻き取ると、回転玉8経由で固定された複数の該太陽光受光パネル3は一斉に上昇し、該ワイヤー巻取り機9にて、ワイヤー6を緩めると、複数の該太陽光受光パネル3は一斉に下降する。
支柱軸1が水平の回転し、また複数のワイヤー6に一対一で対応する複数のワイヤー巻取り機9の巻取り巻き戻しによって、複数の太陽光受光パネル3を窓のブラインドのイメージで、支柱軸1の回転方向と直角の方向に振ることができ、この機構を使い、また支柱軸1が水平方向に回転し、太陽光の追尾を行う。
尚、複数のワイヤー巻取り機9を一斉に巻き戻しを行い、ワイヤー6を緩めると、太陽光受光パネル3は一斉に下降し、台風などの強風時には退避をさせたり、順番に下降させていき、清掃を含めてメンテナンスを行うことができる。その際、ワイヤー6や電線7が太陽光受光パネル3に挟み込まれると、太陽光受光パネル3や電線7が傷つく可能性があるため、その防止策として、ワイヤー受け足5を設定する。
365日分の正確な追尾角度のプログラムを内蔵したエッジコンピューター11が付帯しており、設置場所の緯度等を入力し、またワイヤー巻取り機9にはエンコーダー内蔵されており、巻取り部10がスラディング機構をもち、均一に巻き取ることから、設置現場での校正値を入力することで、自動で正確な太陽光追尾が可能になる。
また、ホストコンピューター12とネットで繋がっており、局地的な台風や竜巻や降雪情報をホストコンピューター12から受け取り、太陽光受光パネル3の退避をし、またサービス用のリモコンの指示を受け取り、洗浄しやすい位置に各太陽光受光パネル3を移動させたりすることができる。
第二図において、天軸型太陽光発電システム13及び既存の民家17の屋根設置の太陽光パネル16の発電システムに加え、蓄電池15及びガス発電機14を一つのセットとして考え、これを基本電力ネットワークと呼び、数軒分の民家17あるいはビル一棟分の電力を賄う。
尚、天軸型太陽光発電システム13は、民家17と民家17の間の狭い場所にも設置が可能で、鉄筋コンクリート土台19や土台用杭20等によって、安定的に固定される。又、太陽光受光パネル3の清掃用として、水道蛇口18を設定する。
水道の水圧が弱い場合は、ポンプ等を使い水圧を高めて、運用する。
次に、民家17を100戸程度、あるいはビル10棟程度のグループ化を行い、これを中域電力ネットワークと呼び、該中域電力ネットワーク内で電力の過不足が生じないようにし、無駄なガス発電の抑制を行う。またどこかの基本電力ネットワークにて故障や事故、メンテナンスがあっても、他の基本電力ネットワークが補完して、停電をしないシステムを構築する。
第三図において、揚水型の水力発電機21の概要を示す。中域電力ネットワークのエリア内又はエリア内の近くに河川があれば、晴天時の昼間の余剰電力で稼働する複数の大型ポンプにて河川の水を、高台につくられた池に流し込み、揚水式の水力発電システムを構築し、長雨時や夜間に水力発電を行い、なるべく化石燃料の都市ガス又はプロパンガスによる発電を抑制する。
もし、該高台に河川があれば、揚水は行わず、水を貯める池をつくり、小型の水力発電を作り、なるべく化石燃料の都市ガス又はプロパンガスによる発電機による発電を抑制する。
また、河川がない地域でも、湖や海岸の近くのエリアでれば、湖水や海水による揚水型水力発電が可能になる。
さらに、天軸型太陽光発電システムを、南面の山の中腹、河川敷、道路わき、海岸沿い等に大規模に設置し、あるいは水力発電、風力発電、バイオマス発電、地熱発電等に加え、既存の大規模太陽光発電システム(メガソーラ)を主に産業用の用途とし、これを広域電力ネットワークと呼ぶ。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明により、太陽光での発電量をドラスチックに増やすことができ、また同様に水力での発電量をドラスチックに増やすことができ、世界の地球温暖化防止に貢献し、化石燃料の大幅な削減が可能となる。
従来のメガソーラでは、雪国や砂漠地帯で雪やごみが堆積し、運用は難しかったが、天軸型発電シス テムでは、雪は堆積せず、上空にあるのでゴミが堆積しにくい上に、頻繁な掃除が可能なので、全く問題なく運用が可能となる。また、大電力の発電が可能となるため、災害やテロ等で危険な原発を止めることが可能となる。
以上のように考え、2030年までに温室効果ガスを半減し、その後も徐々に減らしていくが、気候変動などの影響で、継続的にガス発電を使わざるを得ないと考えており、以下のような対応を考えていく。
奥深い山の中(南面)に天軸型太陽光発電システムでのメガソーラを作り、その大電力でCO2削減工場(CとOを分離)を作り、またCO2を地下深くに封じ込めて、「2050年には、みかけでの温室効果ガス0」を目指したいと考えている。
【符号の説明】
【0011】
1 支柱軸
2 滑車
3 太陽光受光パネル
4 滑車フレーム
5 ワイヤー受け足
6 ワイヤー
7 電線
8 回転玉
9 ワイヤー巻取り装置
10 巻取り部
11 エッジコンピューター
12 ホストコンピューター
13 天軸型太陽光発電システム
14 ガス発電機
15 蓄電池
16 屋根設置の太陽光パネル
17 民家
18 水道蛇口
19 鉄筋コンクリート土台
20 土台用杭
21 揚水式水力発電機