(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107193
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】センシングデータ管理システム、センシングデータ送信方法、センシング装置、情報通信端末およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20220713BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
A61B5/022 500Z
A61B5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001980
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 哲三
【テーマコード(参考)】
4C017
4C117
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017BB12
4C017BC30
4C117XA01
4C117XB06
4C117XD13
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE17
4C117XH16
4C117XQ03
4C117XQ07
(57)【要約】
【課題】センシング装置のコストアップおよび被測定者の費用負担を生じることなく、センシングデータをその被測定者の固有識別情報と対応付けて送信可能にする。
【解決手段】少なくともセンシング装置のアドレス情報をコード化した情報コードを、情報通信端末が読み取り、この情報コードにより表されるアドレス情報をもとに、被測定者の固有識別情報を少なくとも含む通知情報をセンシング装置へ送信する。センシング装置は、情報通信端末から送信された前記通知情報を受信すると、前記被測定者のセンシングデータを、前記通知情報に含まれる前記固有識別情報と共に、データ処理装置へ送信する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能なデータ処理装置と、前記被測定者により使用されかつ前記センシング装置との間で前記ネットワークを介して通信が可能な情報通信端末とを備えるセンシングデータ管理システムであって、
前記センシングデータ管理システムは、少なくとも前記センシング装置のアドレス情報をコード化した情報コードを、読取可能な状態で保持するコード保持部を備え、
前記情報通信端末は、
前記被測定者の固有識別情報を記憶する記憶部と、
前記コード保持部から前記情報コードを読み取る読取処理部と、
前記情報コードの読取動作に応動して、前記記憶部に記憶されている前記被測定者の前記固有識別情報を少なくとも含む通知情報を生成し、前記通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記センシング装置へ送信する通知情報送信処理部と
を備え、
前記センシング装置は、
前記情報通信端末から送信された前記通知情報を、前記ネットワークを介して受信し保存する通知情報受信処理部と、
前記被測定者のセンシングデータを、前記通知情報に含まれる前記固有識別情報と共に、前記データ処理装置へ送信するセンシングデータ送信処理部と
を備え、
前記データ処理装置は、
前記センシング装置から送信された前記センシングデータおよび前記固有識別情報を前記ネットワークを介して受信し、前記センシングデータを前記固有識別情報と対応付けた状態で保持するセンシングデータ受信処理部
を備えるセンシングデータ管理システム。
【請求項2】
前記コード保持部は、前記情報コードを前記情報通信端末が光学的に読取可能な状態で表示された印刷媒体である、請求項1に記載のセンシングデータ管理システム。
【請求項3】
前記コード保持部は、前記情報コードを前記情報通信端末が読取可能な無線信号として出力する無線タグである、請求項1に記載のセンシングデータ管理システム。
【請求項4】
被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介して情報通信が可能なデータ処理装置と、前記データ処理装置との間で前記ネットワークを介して情報通信が可能な情報通信端末と、少なくとも前記センシング装置のアドレス情報をコード化した情報コードを、読取可能な状態で保持するコード保持部とを備えるシステムで使用される、前記情報通信端末であって、
前記被測定者の固有識別情報を記憶する記憶部と、
前記コード保持部から前記情報コードを読み取る読取処理部と、
前記情報コードの読取動作に応動して、前記記憶部に記憶されている前記被測定者の前記固有識別情報を少なくとも含む通知情報を生成し、生成された前記通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記センシング装置へ送信する通知情報送信処理部と
を備える情報通信端末。
【請求項5】
前記情報コードの読取処理と連動して、前記センシング装置の設置場所に対応する位置情報を測定する位置情報測定処理部を、さらに備え、
前記通知情報送信処理部は、前記記憶部に記憶されている前記固有識別情報と前記位置情報とを含む前記通知情報を生成し、前記通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記センシング装置へ送信する
請求項4に記載の情報通信端末。
【請求項6】
被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能なデータ処理装置と、前記被測定者により使用されかつ前記センシング装置との間で前記ネットワークを介して通信が可能な情報通信端末とを備えるシステムにおいて使用される、前記センシング装置であって、
少なくとも前記センシング装置のアドレス情報をコード化した情報コードを、前記センシングデータの測定動作と関連して、前記情報通信端末により読取可能な状態で出力する情報コード出力処理部と、
前記情報コードをもとに前記情報通信端末から送信される、前記被測定者の固有識別情報を少なくとも含む通知情報を前記ネットワークを介して受信し保存する通知情報受信処理部と、
前記被測定者の前記センシングデータを、前記通知情報に含まれる前記固有識別情報と共に、前記データ処理装置へ送信するセンシングデータ送信処理部と
を備えるセンシング装置。
【請求項7】
前記情報コード出力処理部は、前記情報コードを前記情報通信端末が光学的に読取可能な状態で前記センシング装置の表示部に表示させる、請求項6に記載のセンシング装置。
【請求項8】
前記情報コード出力処理部は、前記情報コードの出力が開始されてから予め設定された第1の時間が経過した時点、または前記情報通信端末から送信された前記通知情報が受信された時点で、前記情報コードの出力を終了する、請求項6に記載のセンシング装置。
【請求項9】
前記通知情報受信処理部は、前記通知情報が保存された時点から予め設定された第2の時間以内に前記センシングデータの測定が行われない場合に、前記通知情報の保存を消去する、請求項6に記載のセンシング装置。
【請求項10】
前記通知情報受信処理部は、前記センシングデータの送信終了後、予め設定された第3の時間以内に前記センシングデータの再測定が行われない場合に、前記通知情報の保存を消去する、請求項6に記載のセンシング装置。
【請求項11】
被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能なデータ処理装置と、前記被測定者により使用されかつ前記センシング装置との間で前記ネットワークを介して通信が可能な情報通信端末とを備えるシステムが実行するセンシングデータ送信方法であって、
前記情報通信端末が、少なくとも前記センシング装置のアドレス情報をコード化した情報コードを読み取る過程と、
前記情報通信端末が、前記情報コードの読取動作に応動して、予め記憶されている前記被測定者の固有識別情報を少なくとも含む通知情報を生成し、前記通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記センシング装置へ送信する過程と、
前記センシング装置が、前記情報通信端末から送信された前記通知情報を、前記ネットワークを介して受信し保存する過程と、
前記センシング装置が、前記被測定者のセンシングデータを、前記通知情報に含まれる前記固有識別情報と共に、前記データ処理装置へ送信する過程と
を備えるセンシングデータ送信方法。
【請求項12】
請求項4または5に記載の情報通信端末が備える前記各処理部の処理を、前記情報通信端末が備えるプロセッサに実行させるプログラム。
【請求項13】
請求項6乃至10のいずれかに記載のセンシング装置が備える前記各処理部の処理を、前記センシング装置が備えるプロセッサに実行させるプログラム。
【請求項14】
被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能なデータ処理装置と、前記被測定者により使用されかつ前記センシング装置との間で前記ネットワークを介して通信が可能な情報通信端末とを備えるセンシングデータ管理システムであって、
前記センシングデータ管理システムは、少なくとも前記センシング装置の個体識別情報および前記データ処理装置のアドレス情報をコード化した情報コードを、読取可能な状態で保持するコード保持部を備え、
前記情報通信端末は、
前記被測定者の固有識別情報を記憶する記憶部と、
前記コード保持部から前記情報コードを読み取る読取処理部と、
前記情報コードの読取動作に応動して、前記情報コードに含まれる前記センシング装置の個体識別情報と、前記記憶部に記憶されている前記被測定者の前記固有識別情報とを少なくとも含む第1の通知情報を生成し、当該第1の通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記データ処理装置へ送信する第1の通知情報送信処理部と
を備え、
前記データ処理装置は、
前記情報通信端末から送信された前記第1の通知情報を、前記ネットワークを介して受信する処理部と、
前記第1の通知情報に含まれる前記センシング装置の前記個体識別情報に対し予め対応付けられた前記センシング装置の前記アドレス情報を取得し、前記第1の通知情報に含まれる前記被測定者の前記固有識別情報を少なくとも含む第2の通知情報を、前記センシング装置の前記アドレス情報をもとに当該センシング装置へ送信する処理部と
を備え、
前記センシング装置は、
前記データ処理装置から送信された前記第2の通知情報を、前記ネットワークを介して受信し保存する受信処理部と、
前記被測定者のセンシングデータを、前記第2の通知情報に含まれる前記被測定者の前記固有識別情報と共に、前記データ処理装置へ送信するセンシングデータ送信処理部と
を備えるセンシングデータ管理システム。
【請求項15】
被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能なデータ処理装置と、前記被測定者により使用されかつ前記センシング装置との間で前記ネットワークを介して通信が可能な情報通信端末とを備えるセンシングデータ管理システムであって、
前記センシングデータ管理システムは、少なくとも前記センシング装置の個体識別情報および前記データ処理装置のアドレス情報をコード化した情報コードを、読取可能な状態で保持するコード保持部を備え、
前記情報通信端末は、
前記被測定者の固有識別情報を記憶する記憶部と、
前記コード保持部から前記情報コードを読み取る読取処理部と、
前記情報コードの読取動作に応動して、前記情報コードに含まれる前記センシング装置の個体識別情報と、前記記憶部に記憶されている前記被測定者の前記固有識別情報とを少なくとも含む通知情報を生成し、当該通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記データ処理装置へ送信する通知情報送信処理部と
を備え、
前記センシング装置は、
前記被測定者のセンシングデータを、前記センシング装置の前記個体識別情報と共に前記データ処理装置へ送信するセンシングデータ送信処理部
を備え、
前記データ処理装置は、
前記情報通信端末から送信された前記通知情報を、前記ネットワークを介して受信する処理部と、
前記センシング装置から送信された前記センシングデータおよび前記センシング装置の前記個体識別情報を、前記ネットワークを介して受信するセンシングデータ受信処理部と、
前記通知情報および前記センシングデータが所定期間内に受信された場合に、前記通知情報に含まれる前記センシング装置の前記個体識別情報と、前記センシングデータと共に受信された前記センシング装置の前記個体識別情報とが一致するか否かを判定し、一致すると判定された場合に前記センシングデータと前記通知情報に含まれる前記被測定者の前記固有識別情報とを対応付けるセンシングデータ受信処理部と
を備えるセンシングデータ管理システム。
【請求項16】
被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能なデータ処理装置と、前記被測定者により使用されかつ前記センシング装置との間で前記ネットワークを介して通信が可能な情報通信端末とを備えるセンシングデータ管理システムであって、
前記センシング装置は、
少なくとも前記センシングデータおよび前記データ処理装置のアドレス情報をコード化した情報コードを生成し、当該情報コードを前記情報通信端末により読取可能な状態で出力する情報コード出力処理部
を備え、
前記情報通信端末は、
前記被測定者の固有識別情報を記憶する記憶部と、
前記情報コードを読み取る読取処理部と、
前記情報コードの読取動作に応動して、前記情報コードに含まれる前記センシングデータと、前記記憶部に記憶されている前記被測定者の前記固有識別情報とを対応付けた通知情報を生成し、前記通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記データ処理装置へ送信する通知情報送信処理部と
を備え、
前記データ処理装置は、
前記情報通信端末から送信された前記通知情報を前記ネットワークを介して受信し、前記通知情報に含まれる前記センシングデータと前記被測定者の前記固有識別情報とを互いに対応付けられた状態で保存するセンシングデータ受信処理部
を備えるセンシングデータ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センシング装置により取得されるセンシングデータをデータ処理装置において収集し管理するセンシングデータ管理システムと、この管理システムで使用されるセンシングデータ送信方法、センシング装置、情報通信端末およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院や診療所等に設置された血圧計等のセンシング装置に、移動通信ネットワークと通信を行うための通信モジュールを備え、測定された被測定者の血圧データ等のセンシングデータを上記通信モジュールによりネットワークを介してサーバ装置へ伝送し、サーバ装置が上記血圧データをもとに被測定者の健康状態等に関する種々管理を行うシステムが提案されている。
【0003】
一般に血圧計は、被測定者の固有識別情報を入力する手段を備えていない。このため、サーバ装置は、血圧計から受信した血圧データがどの被測定者のものか対応付けることができない。
【0004】
そこで従来では、例えば測定された血圧データを一旦被測定者のスマートフォン等の携帯端末に取り込み、携帯端末において上記血圧データを予め端末内に登録されている被測定者の固有識別情報と対応付けてサーバ装置へ送信する手法が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載された手法では、血圧計が通信モジュールを備えているにもかかわらず、これが用いられないばかりか、血圧計により測定された血圧データを携帯端末に転送するために、血圧計に例えば近距離無線通信モジュール等の新たな無線モジュールを設けなければならなくなる。そのため、血圧計のコスト高になる。
【0007】
この発明は、上記課題に着目してなされたもので、センシング装置のコストアップを生じることなく、センシングデータをその被測定者の固有識別情報と対応付ける技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためにこの発明の第1の態様は、被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能なデータ処理装置と、前記被測定者により使用されかつ前記センシング装置との間で前記ネットワークを介して通信が可能な情報通信端末とを備えるセンシングデータ管理システムに関するものである。
【0009】
前記システムは、少なくとも前記センシング装置のアドレス情報をコード化した情報コードを、読取可能な状態で保持するコード保持部を備える。
【0010】
前記情報通信端末は、前記被測定者の固有識別情報を記憶する記憶部と、コードの読取処理部と、通知情報送信処理部とを備える。コードの読取処理部は、前記コード保持部から前記情報コードを読み取る。通知情報送信処理部は、前記情報コードの読取動作に応動して、前記記憶部に記憶されている前記被測定者の前記固有識別情報を少なくとも含む通知情報を生成し、前記通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記センシング装置へ送信する。
【0011】
前記センシング装置は、通知情報受信処理部と、センシングデータ送信処理部とを備える。通知情報受信処理部は、前記情報通信端末から送信された前記通知情報を、前記ネットワークを介して受信し保存する。センシングデータ送信処理部は、前記被測定者のセンシングデータを、前記通知情報に含まれる前記固有識別情報と共に、前記データ処理装置へ送信する。
【0012】
前記データ処理装置は、センシングデータ受信処理部を備える。センシングデータ受信処理部は、前記センシング装置から送信された前記センシングデータおよび前記固有識別情報を前記ネットワークを介して受信し、前記センシングデータを前記固有識別情報と対応付けた状態で保持する。
【0013】
この発明の第1の態様によれば、例えば、センシング装置の管理者が、スマートフォン等のようにコード読取機能を有する情報通信端末を用いて上記情報コードを読取操作すると、情報通信端末において、予め記憶されている上記被測定者の固有識別情報を含む通知情報が、上記情報コードに含まれるセンシング装置のアドレス情報をもとにセンシング装置へ送信される。そして、センシング装置により、被測定者のセンシングデータが、上記通知情報に含まれる前記被測定者の固有識別情報と共にデータ処理装置へ送信される。
【0014】
従って、センシング装置はセンシングデータを情報通信端末へ転送する必要がないので、センシング装置に新たな通信モジュールを設ける必要がなく、これによりセンシング装置の製品コストを低く抑えることが可能となる。
【0015】
この発明の第2の態様は、前記コード保持部として、前記情報コードを前記情報通信端末が光学的に読取可能な状態で表示された印刷媒体を用いるようにしたものである。
【0016】
この発明の第3の態様は、前記コード保持部として、前記情報コードを前記情報通信端末が読取可能な無線信号として出力する無線タグを用いるようにしたものである。
【0017】
この発明の第2および第3の態様によれば、コード保持部をセンシング装置とは別に製作して任意の場所に配置することができ、また既設のセンシング装置に対しても随時追加することが可能となる。
【0018】
この発明の第4の態様は、被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介して情報通信が可能なデータ処理装置と、前記データ処理装置との間で前記ネットワークを介して情報通信が可能な情報通信端末と、少なくとも前記センシング装置のアドレス情報をコード化した情報コードを、読取可能な状態で保持するコード保持部とを備えるシステムで使用される前記情報通信端末に関するもので、前記被測定者の固有識別情報を記憶する記憶部と、コードの読取処理部と、通知情報送信処理部とを備える。読取処理部は、前記コード保持部から前記情報コードを読み取る。通知情報送信処理部は、前記情報コードの読取動作に応動して、前記記憶部に記憶されている前記被測定者の前記固有識別情報を少なくとも含む通知情報を生成し、前記通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記センシング装置へ送信する。
【0019】
この発明の第4の態様によれば、被測定者が自身の情報通信端末を用いて情報コードを読取操作するだけで、情報通信端末からセンシングデータへ被測定者の固有識別情報が自動的に送られる。このため、被測定者は例えば自身の固有識別情報をセンシング装置に手入力する必要がなく、これにより固有識別情報の誤入力を未然に防止し、かつ被測定者の操作負担の軽減を図ることができる。
【0020】
この発明の第5の態様は、位置情報測定処理部をさらに備え、この位置情報測定処理部により、前記情報コードの読取処理と連動して前記センシング装置の設置場所に対応する位置情報を測定する。そして、前記通知情報送信処理部により、前記記憶部に記憶されている前記被測定者の前記固有識別情報と、前記位置情報とを含む前記通知情報を生成し、前記通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記センシング装置へ送信するようにしたものである。
【0021】
この発明の第5の態様によれば、センシング装置は、被測定者のセンシングデータをデータ処理装置へ送信する際に、通知情報に含まれる固有識別情報と併せて位置情報を送信することが可能となる。この結果、データ処理装置では、例えば、センシングデータと共に受信された上記位置情報をもとに地図情報から被測定者のセンシング場所を表す施設名や住所等を推定することが可能となる。
【0022】
この発明の第6の態様は、被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能なデータ処理装置と、前記被測定者により使用されかつ前記センシング装置との間で前記ネットワークを介して通信が可能な情報通信端末とを備えるシステムにおいて使用される前記センシング装置に関するものである。
【0023】
前記センシング装置は、情報コード出力処理部と、通知情報受信処理部と、センシングデータ送信処理部とを備える。情報コード出力処理部は、少なくとも前記センシング装置のアドレス情報をコード化した情報コードを、前記センシングデータの測定動作と関連して、前記情報通信端末により読取可能な状態で出力する。通知情報受信処理部は、前記情報コードをもとに前記情報通信端末から送信される、前記被測定者の固有識別情報を少なくとも含む通知情報を前記ネットワークを介して受信し保存する。センシングデータ送信処理部は、前記被測定者の前記センシングデータを、前記通知情報に含まれる前記被測定者の固有識別情報と共に、前記データ処理装置へ送信する。
【0024】
この発明の第6の態様によれば、センシング装置に情報コードを出力する情報コード出力処理部が設けられるため、情報コードの出力タイミングをセンシング装置により制御することが可能となる。
【0025】
また、センシングデータの測定動作と関連して情報コードが出力され、これに応じて情報通信端末から被測定者の固有識別情報が取得される。従って、センシングデータの測定が行われる毎にその都度対応する被測定者の固有識別情報を取得することができ、これにより各センシングデータに対し、その被測定者の固有識別情報を正確に対応付けることが可能となる。
【0026】
この発明の第7の態様は、前記情報コード出力処理部が、前記情報コードを前記情報通信端末が光学的に読取可能な状態で前記センシング装置の表示部に表示させるようにしたものである。
【0027】
この発明の第7の態様によれば、センシング装置においてその表示器に情報コードが表示されるので、被測定者が認識しやすく、情報通信端末の既存の光学的なコード読取機能を用いることで、情報コードを慣れた操作で簡単に読み取ることが可能となる。
【0028】
この発明の第8の態様は、前記情報コード出力処理部が、前記情報コードの出力が開始されてから予め設定された第1の時間が経過した時点、または前記情報通信端末から送信された前記通知情報が受信された時点で、前記情報コードの出力を終了するようにしたものである。
【0029】
この発明の第8の態様によれば、情報コードが表示されてから第1の時間内に通知情報が受信されない場合には、情報コードの表示が消去される。このため、例えば被測定者の固有識別情報を含む通知情報が情報通信端末から受信されない状態でセンシング動作が行われたとしても、そのセンシングデータが身元不明のままデータ処理装置へ送信される不具合を未然に防止することができる。
【0030】
この発明の第9の態様は、前記通知情報受信処理部が、前記通知情報が保存された時点から予め設定された第2の時間以内に前記センシングデータの測定が行われない場合に、前記通知情報の保存を消去するようにしたものである。
【0031】
この発明の第9の態様によれば、通知情報が受信された後、第2の時間内にセンシング動作が行われない場合に、通知情報の保存が消去される。このため、被測定者の固有識別情報が不必要にセンシング装置に保存され続け、これにより当該固有識別情報が他の被測定者のセンシングデータと対応付けられて送信される不具合を未然に防ぐことができる。
【0032】
この発明の第10の態様は、前記通知情報受信処理部が、前記センシングデータの送信終了後、予め設定された第3の時間以内に前記センシングデータの再測定が行われない場合に、前記通知情報の保存を消去するようにしたものである。
【0033】
この発明の第10の態様によれば、1人の被測定者が第3の時間内に再びセンシングデータの測定を行った場合には、情報コードの読取操作を再度行わずにセンシングデータの測定を行うことができ、これにより被測定者の操作負担を軽減することができる。
【0034】
この発明の第11の態様は、被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能なデータ処理装置と、前記被測定者により使用されかつ前記センシング装置との間で前記ネットワークを介して通信が可能な情報通信端末とを備えるセンシングデータ管理システムに関するもので、センシングデータ管理システムは、少なくとも前記センシング装置の個体識別情報および前記データ処理装置のアドレス情報をコード化した情報コードを、読取可能な状態で保持するコード保持部を備える。
【0035】
前記情報通信端末は、前記被測定者の固有識別情報を記憶する記憶部を備える。そして、前記コード保持部から前記情報コードを読み取ると、この情報コードの読取動作に応動して、前記情報コードに含まれる前記センシング装置の個体識別情報と、前記記憶部に記憶されている前記被測定者の前記固有識別情報とを少なくとも含む第1の通知情報を生成し、当該第1の通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記データ処理装置へ送信する。
【0036】
これに対し前記データ処理装置は、前記情報通信端末から送信された前記第1の通知情報を、前記ネットワークを介して受信すると、前記第1の通知情報に含まれる前記センシング装置の個体識別情報に対し予め対応付けられた前記センシング装置のアドレス情報を取得し、前記第1の通知情報に含まれる前記被測定者の固有識別情報を少なくとも含む第2の通知情報を生成して、当該第2の通知情報を前記センシング装置のアドレス情報をもとに当該センシング装置へ送信する。
【0037】
前記センシング装置は、前記データ処理装置から送信された前記第2の通知情報を受信し、前記被測定者のセンシングデータを、前記第2の通知情報に含まれる前記被測定者の前記固有識別情報と共に、前記データ処理装置へ送信する。
【0038】
この発明の第11の態様によれば、センシング装置のアドレス情報、例えば電話番号やメールアドレスはデータ処理装置により一括管理されるので、情報コードからセンシング装置のアドレス情報が漏洩する心配はなくなり、これによりセンシング装置に対する他者からの不正アクセスを未然に防止することが可能となる。
【0039】
この発明の第12の態様は、被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能なデータ処理装置と、前記被測定者により使用されかつ前記センシング装置との間で前記ネットワークを介して通信が可能な情報通信端末とを備えるセンシングデータ管理システムに関するもので、前記センシングデータ管理システムは、少なくとも前記センシング装置の個体識別情報および前記データ処理装置のアドレス情報をコード化した情報コードを読取可能な状態で保持するコード保持部を備える。
【0040】
前記情報通信端末は、前記被測定者の固有識別情報を記憶する記憶部を備える。そして、前記コード保持部から前記情報コードを読み取ると、前記情報コードに含まれる前記センシング装置の個体識別情報と、前記記憶部に記憶されている前記被測定者の前記固有識別情報とを少なくとも含む第1の通知情報を生成し、当該第1の通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記データ処理装置へ送信する。
【0041】
前記データ処理装置は、前記情報通信端末から送信された前記第1の通知情報を受信すると、前記第1の通知情報に含まれる前記センシング装置の個体識別情報に対し予め対応付けられた前記センシング装置のアドレス情報を取得し、前記第1の通知情報に含まれる前記被測定者の固有識別情報を少なくとも含む第2の通知情報を、前記センシング装置のアドレス情報をもとに当該センシング装置へ送信する。
【0042】
前記センシング装置は、前記データ処理装置から送信された前記第2の通知情報を前記ネットワークを介して受信し、前記被測定者のセンシングデータを、前記第2の通知情報に含まれる前記被測定者の前記固有識別情報と共に、前記データ処理装置へ送信する。
【0043】
この発明の第12の態様によれば、センシング装置において、通知情報を受信する処理と、被測定者のセンシングデータと固有識別情報とを対応付ける処理が不要になり、これによりセンシング装置の処理負荷を軽減することが可能となる。また、センシング装置にはアドレス情報を割り当てる必要がなくなり、これによりセンシング装置に対する他者による不正アクセスを未然に防止できる。
【0044】
この発明の第13の態様は、被測定者のセンシングデータを測定するセンシング装置と、前記センシング装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能なデータ処理装置と、前記被測定者により使用されかつ前記センシング装置との間で前記ネットワークを介して通信が可能な情報通信端末とを備えるセンシングデータ管理システムに関するものである。
【0045】
前記センシング装置は、少なくとも前記センシングデータおよび前記データ処理装置のアドレス情報をコード化した情報コードを生成し、当該情報コードを前記情報通信端末により読取可能な状態で出力する。
【0046】
前記情報通信端末は、前記被測定者の固有識別情報を記憶する記憶部を備える。そして、前記情報コードを読み取ると、当該情報コードに含まれる前記センシングデータと、前記記憶部に記憶されている前記被測定者の前記固有識別情報とを対応付けた通知情報を生成し、前記通知情報を前記情報コードに含まれる前記アドレス情報をもとに前記データ処理装置へ送信する。
【0047】
前記データ処理装置は、前記情報通信端末から送信された前記通知情報を前記ネットワークを介して受信し、前記通知情報に含まれる前記センシングデータと前記被測定者の固有識別情報とを互いに対応付けられた状態で保存する。
【0048】
この発明の第13の態様によれば、センシング装置により測定された被測定者のセンシングデータと被測定者の固有識別情報との対応付け処理が情報通信端末で行われる。また、センシングデータを情報通信端末に転送するために、センシング装置に上記センシングデータを含む情報コードを生成して表示する機能を備えるだけでよく、例えばBlue Tooth等の無線モジュールを新たに設ける必要がない。このため、センシング装置から通信モジュールを一切不要にすることができ、これによりセンシング装置のさらなる低価格化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0049】
すなわち、この発明によれば、センシング装置のコストアップを生じることなく、センシングデータをその被測定者の固有識別情報と対応付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、この発明の第1の実施形態に係るセンシングデータ管理システムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したシステムで使用されるセンシング装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示したシステムで使用されるセンシング装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、情報コードとして用いられるQRコード(登録商標)の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、情報コードとして用いられるバーコードの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図1に示したシステムにおいて情報通信端末として使用される携帯端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、
図1に示したシステムにおいて情報通信端末として使用される携帯端末のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、
図1に示したシステムにおいてデータ処理装置として使用されるセンシングデータ管理サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、
図1に示したシステムにおいてデータ処理装置として使用されるセンシングデータ管理サーバのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、
図3に示したセンシング装置が実行する動作の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、
図7に示した携帯端末が実行する動作の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、
図9に示したセンシングデータ管理サーバが実行する動作の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、この発明の他の実施形態に係るセンシング装置の外観を示す図である。
【
図14】
図14は、この発明のさらに別の実施形態に係るセンシング装置の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0052】
[第1の実施形態]
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の第1の実施形態に係るセンシングデータ管理システムの全体構成の一例を示す図である。
【0053】
図1において、例えば医療機関やフィットネスクラブ、集会所、商業施設等の不特定多数の利用者が訪れる施設には、センシング装置SDが固定的に設置されている。一方、例えばクラウド上またはWeb上には、データ処理装置として機能するセンシングデータ管理サーバSV1が設置されている。
【0054】
第1の実施形態に係るシステムは、上記センシング装置SDにより測定されたセンシングデータを、移動通信ネットワークNW2および広域ネットワークNW1を介して、上記センシングデータ管理サーバSV1に伝送することを可能にする。
【0055】
なお、移動通信ネットワークは、一つの通信事業者により運用される一つの移動通信ネットワークに限らず、複数の通信事業者がそれぞれ運用する複数の移動通信ネットワークが混在していてもよい。また、移動通信ネットワークの無線アクセス方式としては、例えばLong Time Evolution(LTE(登録商標))が想定されるが、それに限定されるものではなく、4Gまたは5Gを採用したものであってもよい。
【0056】
広域ネットワークNWは、インターネットと、このインターネットに対しアクセスするためのアクセスネットワークとを含む。アクセスネットワークとしては、例えば、通信事業者が提供する公衆データ回線やLAN(Local Area Network)、無線LAN、CATV(Cable Television)回線等が用いられるが、その限りでない。
【0057】
また第1の実施形態に係るシステムは、上記センシングデータ管理サーバSV1と、地図情報管理サーバSV2との間および利用者端末CT1~CTkとの間で、上記広域ネットワークNWを介してそれぞれデータ伝送を可能にしている。
【0058】
地図情報管理サーバSV2は、少なくとも上記センシング装置SDが設置される対象エリアを含む地域の地図情報をデータベースに記憶し管理する機能を有するもので、上記地図情報を無償で公開する。
【0059】
利用者端末CT1~CTkは、例えば被測定者本人またはその家族、医療機関、医薬品メーカ、保険会社等のセンシングデータの利用者が使用するもので、これらの利用者がセンシングデータ管理サーバSV1にアクセスして被測定者センシングデータを閲覧するために使用される。
【0060】
さらに、第1の実施形態に係るシステムは、例えば被測定者が所持する情報通信機器、例えばスマートフォン等の携帯端末UTを用いて、被測定者の固有識別情報(以後被測定者IDと称する)を移動通信ネットワークNW2を介してセンシング装置SDに通知することを可能にしている。
【0061】
(2)装置
(2-1)センシング装置SD
図2および
図3は、それぞれセンシング装置SDのハードウェア構成およびソフトウェア構成を示すブロック図である。
【0062】
センシング装置SDは、例えば血圧計からなり、制御ユニット1と、センシングユニット2と、通信モジュール3とを備えている。センシングユニット2は、制御ユニット1の制御の下で血圧データ等のセンシングデータの測定動作を行い、測定されたセンシングデータを制御ユニット1へ出力する。
【0063】
なお、センシングユニット2は、血圧データ以外に、心拍数や心電波形、血糖値、活動量、ストレス度等のその他のバイタルデータを単独または複合して測定するデバイスであってもよい。
【0064】
通信モジュール3は、上記移動通信ネットワークNW2との間で、例えばLTE規格に従い無線リンクを確立し、確立された無線リンクを使用してセンシングデータを送信するために使用される。また通信モジュール3は、携帯端末UTから送信されるメール、メッセージまたはSNSの送信データを受信するためにも使用される。
【0065】
なお、通信モジュール3は、センシング装置SDに内蔵されるものに限らず、付属の通信用アダプタとして外設されるものであってもよく、また独立して使用されるIoT機器やルータ、セットトップボックス(STB)が備える通信モジュールであってもよい。
【0066】
制御ユニット1は、例えば中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを使用した制御部11を備える。そして、この制御部11に対し、バス16を介して、プログラム記憶部12およびデータ記憶部13を有する記憶ユニットと、センサインタフェース(以後インタフェースをI/Fと記載する)14、通信I/F15および入出力I/F17を接続したものとなっている。
【0067】
センサI/F14は、制御部11の制御の下、センシングユニット2の動作に係る各種制御信号の送受信、およびセンシングユニット2から出力されるセンシングデータの受信を行う。通信I/F15は、制御部11の制御の下、通信モジュール3との間で情報データ等の授受を行う。入出力I/F17には、表示器18と、操作ボタンやプリンタ等の入出力デバイスが接続される。
【0068】
プログラム記憶部12は、例えば、記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、第1の実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0069】
データ記憶部13は、例えば、記憶媒体として、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリとを組み合わせたもので、第1の実施形態を実施するために必要な主たる記憶部として、情報コード記憶部131と、通知情報記憶部132と、センシングデータ記憶部133とを備えている。
【0070】
情報コード記憶部131には、例えばセンシング装置SDに対し移動通信ネットワークNW2の通信事業者から事前に割り当てられた通信アドレスをコード化した情報コードが記憶される。通信アドレスとしては、例えば移動通信ネットワークNW2の電話番号またはメールアドレスが用いられる。
【0071】
図4および
図5は、それぞれ上記情報コードとして使用されるQRコードCC1および一次元バーコードの一例を示す。なお、情報コードとしては、上記QRコードまたはバーコードのような光学的に読取可能なコード以外に、無線タグ等のようにコードを無線または赤外線により出力するコードが用いられてもよい。
【0072】
通知情報記憶部132は、被測定者の携帯端末UTから送信される通知情報を保存するために使用される。
【0073】
センシングデータ記憶部133は、センシングユニット2により測定されたセンシングデータを記憶するために使用される。
【0074】
制御部11は、第1の実施形態を実施するために必要な処理機能として、情報コード表示処理部111と、通知情報受信・管理処理部112と、センシングデータ取得処理部113と、センシングデータ送信処理部114とを備える。これらの処理部111~114は、何れもプログラム記憶部12に格納されたプログラムを制御部11のハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0075】
情報コード表示処理部111は、センシングユニット2においてセンシング動作の前兆となる被測定者の行動が検知された場合に、情報コード記憶部131から情報コードを読み出して、この情報コードを入出力I/F17から表示器18へ出力し表示させる。センシング動作の前兆となる被測定者の行動としては、例えばセンシング装置SDの前面に被測定者が着座するか、或いはカフに腕を挿入する動作が検出された場合が想定される。
【0076】
情報コード表示処理部111は、続いて上記情報コードの表示期間中に、携帯端末UTからの通知情報の受信を監視しながら、上記情報コードの表示時間が予め設定された第1の時間が経過したか否かを監視する。そして、通知情報が受信されるか、または通知情報が受信されずに上記第1の時間が経過すると、上記情報コードの表示を終了する処理を行う。
【0077】
通知情報受信・管理処理部112は、以下の処理機能を有する。
(1) 携帯端末UTから送信される通知情報を通信モジュール3を介して受信し、受信された上記通知情報を通知情報記憶部132に保存する処理。
(2) 上記通知情報の保存後に、予め設定された第2の時間以内にセンシング動作が開始されるか否かを監視し、センシング動作が開始されずに上記第2の時間が経過すると、上記通知情報記憶部132に保存されている通知情報を消去する処理。
(3) 上記センシング動作の実行終了後に、予め設定された第3の時間以内に再度センシング動作が行われるか否かを監視し、再度センシング動作が行われずに上記第3の時間が経過すると、上記通知情報記憶部132に保存されている通知情報を消去する処理。
【0078】
センシングデータ取得処理部113は、センシングユニット2により測定されたセンシングデータをセンサI/F14を介して受信し、受信されたセンシングデータをセンシングデータ記憶部133に記憶させる処理を行う。
【0079】
センシングデータ送信処理部114は、上記センシングデータ取得処理部113により新たなセンシングデータが取得される毎、所定の測定回数分のセンシングデータが上記センシングデータ記憶部133に蓄積される毎、或いは前回の送信から所定時間が経過する毎に、未送信のセンシングデータをセンシングデータ記憶部133から読み出す。そして、読み出された上記センシングデータを、通知情報記憶部132に記憶されている被測定者IDと、センシング装置SDに事前に記憶されているセンシング装置SDの固有識別情報であるデバイスIDと共に、通信モジュール3からセンシングデータ管理サーバSV1へ送信する処理を行う。
【0080】
(2-2)携帯端末UT
図6および
図7は、それぞれ携帯端末UTのハードウェア構成およびソフトウェア構成を示すブロック図である。
【0081】
携帯端末UTは、例えばGPS位置センサ、カメラおよびブラウザを備える汎用のスマートフォンからなる。なお、携帯端末UTとしては、同様の機能を備えるものであれば、他にタブレット型端末やウェアラブル型端末、ノート型のパーソナルコンピュータ等が用いられてもよい。
【0082】
携帯端末UTは、中央処理ユニット等のハードウェアプロセッサを使用した制御部10を備える。そして、この制御部10に対し、バス110を介して、プログラム記憶部20およびデータ記憶部30を有する記憶ユニットと、入出力I/F40と、センサI/F50と、通信I/F60とを接続したものとなっている。
【0083】
入出力I/F40には、入出力デバイス41が接続される。入出力デバイス41は、例えば液晶又は有機ELを使用する表示デバイスの表示画面上に、感圧式または静電容量式のタッチ型入力シートを使用する入力部を配置したもので、各種操作データの入力および表示データの表示を行うために使用される。
【0084】
センサI/F50は、アンテナ51を介してGPS信号を受信する機能と、カメラ52により撮像された画像または映像データを取り込む機能とを有する。カメラ52は、本実施形態ではQRコードまたは一次元バーコードからなる情報コードを光学的に読み取る際に使用される。
【0085】
通信I/F60は、制御部10の制御の下、移動通信ネットワークNW2により定義される無線アクセス方式および通信プロトコルを使用して、センシングデータ管理サーバSV1との間で情報データの送受信を行う。この例では、無線アクセス方式としてLTEが使用される。
【0086】
プログラム記憶部20は、例えば、記憶媒体としてHDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS等のミドルウェアに加えて、第1の実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0087】
データ記憶部30は、例えば、記憶媒体として、SSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリと組み合わせたもので、第1の実施形態を実施するために必要な主たる記憶部として、情報コード記憶部301と、個人ID記憶部302とを備えている。
【0088】
情報コード記憶部301は、カメラ52により読み取られた情報コードを一時的に保存するために使用される。個人ID記憶部302は、携帯端末の所有者の固有識別情報(以後個人IDと称する)を記憶するために使用される。この例では、センシングデータの被測定者が自身の携帯端末を使用して上記情報コードの読み取りを行うので、上記個人ID記憶部302に記憶された個人IDは被測定者の固有識別情報を表すものとなる。
【0089】
制御部10は、第1の実施形態に係る処理機能として、情報コード読取処理部101と、通知情報生成処理部102と、通知情報送信処理部103とを備えている。これらの処理部101~103は、何れもプログラム記憶部20に格納されたプログラムを制御部10のハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0090】
情報コード読取処理部101は、入出力デバイス41におけるコード読取操作に応じてカメラ52を起動させ、カメラ52により撮像された情報コードの画像データをセンサI/F50を介して読み込む。そして、読み込まれた上記画像データから情報コードを認識し、認識された情報コードを情報コード記憶部301に保存させる処理を行う。
【0091】
通知情報生成処理部102は、上記情報コード読取処理部101により情報コードの読取処理が行われた場合に、個人ID記憶部302から携帯端末UTの所有者、つまり被測定者の個人IDを読み込み、読み込まれた上記個人IDを含む通知情報を生成する処理を行う。なお、通知情報生成処理部102は、上記センサI/F50からGPS位置測定機能により測定される携帯端末UTの位置情報を取得し、取得された上記位置情報を上記通知情報に加えてもよい。
【0092】
通知情報送信処理部103は、上記情報コードに含まれるセンシング装置SDのアドレス情報に基づいて、生成された上記通知情報を上記通信I/F60からセンシング装置SDへ送信する処理を行う。
【0093】
(2-3)センシングデータ管理サーバSV1
図8および
図9は、それぞれセンシングデータ管理サーバSV1のハードウェア構成およびソフトウェア構成を示すブロック図である。
【0094】
センシングデータ管理サーバSV1は、例えばサーバコンピュータからなり、中央処理ユニット等のハードウェアプロセッサを使用した制御部70を備える。そして、この制御部70に対し、バス110を介して、プログラム記憶部80およびデータ記憶部90を有する記憶ユニットと、通信I/F100とを接続したものとなっている。
【0095】
通信I/F100は、制御部70の制御の下、広域ネットワークNWにより定義される通信プロトコルを使用して、センシング装置SD、携帯端末UT、地図情報管理サーバSV2および利用者端末CT1~CTkとの間で、それぞれ情報データの送受信を行う。
【0096】
プログラム記憶部80は、例えば、記憶媒体としてHDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS等のミドルウェアに加えて、第1の実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0097】
データ記憶部90は、例えば、記憶媒体として、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリと組み合わせたもので、第1の実施形態を実施するために必要な主たる記憶部として、センシングデータ記憶部94と、閲覧履歴記憶部92とを備えている。
【0098】
センシングデータ記憶部91は、センシング装置SDから送信されるセンシングデータを、当該センシングデータと共に送られるセンシング装置SDのデバイスIDおよび被測定者の個人IDと関連付けて記憶するために使用される。
【0099】
閲覧履歴記憶部92は、利用者端末CT1~CTkからの閲覧要求に応じてセンシングデータを要求元の利用者端末CT1~CTkに送信したときに制御部70により生成される閲覧履歴情報を記憶するために使用される。
【0100】
制御部70は、第1の実施形態に係る処理機能として、センシングデータ取得処理部71と、センシングデータ閲覧処理部72とを備えている。これらの処理部71,72は、何れもプログラム記憶部80に格納されたプログラムを制御部70のハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0101】
センシングデータ取得処理部71は、センシング装置SDからセンシングデータが送信される毎に、当該センシングデータを通信I/F100を介して受信し、受信されたセンシングデータを送信元のセンシング装置SDのデバイスIDおよび被測定者の個人IDと対応付けてセンシングデータ記憶部91に記憶させる処理を行う。
【0102】
センシングデータ閲覧処理部72は、利用者端末CT1~CTkから閲覧要求が送られた場合に、この閲覧要求により指定される個人IDに対応付けられるセンシングデータをセンシングデータ記憶部91から読み出す。そして、読み出された上記センシングデータを通信I/F100から要求元の利用者端末CT1~CTkに向け送信する処理を行う。
【0103】
(動作例)
次に、以上のように構成されたセンシングデータ管理システムの動作例を説明する。
なお、この例では、センシング装置SDのアドレス情報をコード化した情報コードが、センシング装置SDの情報コード記憶部131に事前に記憶されているものとして説明を行う。
【0104】
(1)被測定者の個人IDの入力
図10は、センシング装置SDの制御部11が実行する動作の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0105】
センシング装置SDの制御部11は、待機状態において、被測定者によるセンシング動作と関連する行動として、例えば被測定者によるセンシング操作の前兆となる行動を監視している。この状態で、被測定者がセンシング装置SDSの前面位置に着座するか、カフに腕を挿入する動作を行ったとする。この場合センシング装置SDは、上記前兆となる行動を、例えばセンシングユニット2が備える近接センサやカフに設けられたセンサにより検出する。
【0106】
センシング装置SDの制御部11は、上記前兆となる行動をステップS1により検知すると、情報コード表示処理部111の制御の下、ステップS2において、情報コード記憶部131から情報コードを読み出し、読み出された情報コードを入出力I/F17から表示器18へ出力し、表示させる。この結果、センシング装置SDの表示器18には、例えば
図4または
図5に示すようなQRコードまたは一次元バーコードが表示される。
【0107】
なお、このとき表示器18には、「情報コードを携帯端末で読み取って下さい」なるガイダンスメッセージを併せて表示するようにしてもよい。また、同様の音声メッセージを図示しないスピーカから出力するようにしてもよい。
【0108】
この状態で、被測定者が自身の携帯端末UTにおいてコード読取用のアプリケーションを起動させ、上記表示器18に表示された情報コードを読み取る操作を行ったとする。そうすると、携帯端末UTの制御部10は、情報コードの読取処理から通知情報の送信処理までの一連の処理を以下のように実行する。
【0109】
図11は、携帯端末UTの制御部10が実行する処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0110】
すなわち、携帯端末UTの制御部10は、先ずステップS20により上記コード読取用のアプリケーションの起動操作を検知すると、情報コード読取処理部101の制御の下、ステップS21によりカメラ52を起動し、カメラ52により撮像された情報コードの画像データをセンサI/F50から読み込む。そして、読み込まれた画像データから情報コードを認識する処理を行い、認識された情報コードを情報コード記憶部301に記憶させる。
【0111】
上記情報コードの読取処理が終了すると、携帯端末UTの制御部10は、次に通知情報生成処理部102の制御の下、ステップS22において、上記情報コード記憶部301から上記情報コードを読み込む。そして、個人ID記憶部302から被測定者の個人IDを読み出し、読み出された上記個人IDを含む通知情報を生成する。続いて制御部10は、通知情報送信処理部103の制御の下、ステップS23において、読み込まれた上記情報コードに含まれるセンシング装置SDのアドレス情報、例えば電話番号またはメールアドレスに基づいて、通信I/F60からセンシング装置SDに向け、例えばメール、メッセージまたはSNSのメッセージを用いて上記通知情報を送信する。
【0112】
これに対し、センシング装置SDの制御部11は、上記情報コードを表示した状態で、ステップS3において、当該情報コードの表示開始後から第1の時間が経過したか否かを監視しながら、ステップS4において上記通知情報の受信を監視する。この状態で、上記第1の時間内に携帯端末UTから送信された通知情報が受信されると、通知情報受信・管理処理部112の制御の下、ステップS5において当該通知情報を受信し、受信された上記通知情報を通知情報記憶部132に保存する。
【0113】
上記通知情報の保存が終了すると、通知情報受信・管理処理部112はその旨を情報コード表示処理部111に通知する。この通知を受けると情報コード表示処理部111は、ステップS6により表示器18における情報コードの表示を終了させる。なお、上記第1の時間内に通知情報が受信されなかった場合には、被測定者が情報コードの読取処理を行わなかったものと判断し、情報コード表示処理部111はステップS7において表示器18における情報コードの表示を終了させ、そのまま待機状態に戻る。
【0114】
従って、この場合センシング装置SDではセンシング動作が行うことができず、被測定者の個人IDが未入力のままセンシングデータのみがセンシングデータ管理サーバSV1へ送信される不具合は未然に防止される。なお、この場合センシング装置SDにおいて、例えば「最初からセンシングのための操作を行って下さい」のようなガイダンスメッセージを表示器18に表示させるか、または同様の音声メッセージをスピーカから出力させるようにするとよい。
【0115】
(2)センシング動作
上記通知情報が受信されて保存されると、センシング装置SDの制御部11は、センシングデータ取得処理部113の制御の下、ステップS8により上記通知情報の保存後から第2の時間が経過したか否かを監視しながら、ステップS9においてセンシング動作が開始されたか否かを監視する。
【0116】
この状態で、例えば被測定者がセンシング開始ボタンを押下すると、センシングユニット2においてカフが収縮し、これにより血圧値のセンシング動作が行われる。センシングデータ取得処理部113は、ステップS10において、上記センシングユニット2により測定されたセンシングデータをセンサI/F14から取得し、取得された上記センシングデータをセンシングデータ記憶部133に一旦記憶させる。
【0117】
続いてセンシング装置SDの制御部11は、センシングデータ送信処理部114の制御の下、ステップS11において、上記センシングデータ記憶部133からセンシングデータを読み込むと共に、通知情報記憶部132から被測定者の個人IDを読み込む。そして、上記センシングデータを、被測定者の個人IDおよびセンシング装置SDのデバイスIDと対応付けた状態で、通信I/F15から通信モジュール3へ出力し、通信モジュール3からセンシングデータ管理サーバSV1に向け送信させる。
【0118】
なお、上記センシング動作が行われないまま上記第2の時間が経過すると、通知情報受信・管理処理部112は、被測定者がセンシング動作を放棄したと判断し、ステップS14に移行して通知情報記憶部132に記憶されている通知情報を消去する。このため、センシング動作を放棄した被測定者の通知情報が、通知情報記憶部132にそのまま残留する不具合は防止される。
【0119】
また、センシングデータ取得処理部113は、上記センシングデータの送信後、ステップS13により第3の時間が経過したか否かを監視しながら、ステップS12において再度センシング動作が行われたか否かを監視する。この状態で、被測定者が再センシング操作を行うと、センシングユニット2において再度センシング動作が行われる。
【0120】
この場合センシングデータ取得処理部113は、ステップS10において、上記再センシング動作により測定されたセンシングデータをセンサI/F14から取得し、取得された上記センシングデータをセンシングデータ記憶部133に記憶させる。そして、上記再センシングにより得られたセンシングデータは、センシングデータ送信処理部114の制御の下、ステップS11において、通知情報記憶部132に記憶された被測定者の個人IDおよびセンシング装置SDのデバイスIDと共に、通信モジュール3からセンシングデータ管理サーバSV1に向け送信される。
【0121】
一般に、血圧測定では測定毎に測定値にばらつきが発生することが多く、この場合被測定者は再度測定を試みる場合がある。そこで、上記したように1回目のセンシング動作が終了してから、第3の時間内に再度センシング操作が行われた場合に続けて再度センシング動作を行えるようにすれば、被測定者は再センシングを行う場合に再度情報コードの読み取り操作を行わなくても済む。
【0122】
なお、上記再センシング操作が行われずに上記第3の時間が経過すると、通知情報受信・管理処理部112は、ステップS13からステップS14に移行し、通知情報記憶部132に記憶されている被測定者の通知情報を消去する。そして、センシング装置SDは待機状態に戻る。従って、センシング動作が終了後に被測定者の通知情報がそのまま通知情報記憶部132に残留する不具合は防止される。このため、仮に他者が続いてセンシング動作を行っても、そのセンシングデータが、直前にセンシング動作を行った被測定者の個人IDと対応付けられて送信される不具合は未然に防止される。
【0123】
なお、以上の説明では、センシングデータが取得される毎に当該センシングデータをセンシングデータ管理サーバSV1へ送信するようにした。しかし、一定数分のセンシングデータがセンシングデータ記憶部133に蓄積される毎、または一定期間が経過する毎に、センシングデータ記憶部133から未送信のセンシングデータを読み出して一括して送信するようにしてもよい。
【0124】
(3)センシングデータ管理サーバSV1のデータ管理
上記センシング装置SDからセンシングデータが送信されると、センシングデータ管理サーバSV1の制御部70は以下のような処理を実行する。
図12はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0125】
センシングデータ管理サーバSV1の制御部70は、ステップS30によりセンシング装置SDから送られる受信要求を監視している。この状態で、ステップS30によりセンシングデータ受信要求を検知すると、センシングデータ取得処理部71の制御の下、ステップS31において、上記センシング装置SDから送信されたセンシングデータを通信I/F100を介して受信し、受信された上記センシングデータを、当該センシングデータと共に受信された被測定者の個人IDおよび送信元のセンシング装置SDのデバイスIDと関連付けた状態でセンシングデータ記憶部91に記憶させる。
【0126】
この状態で、例えば被測定者またはその家族、もしくは掛かり付けの医師等が使用する利用者端末CT1~CTkから、被測定者の個人IDを指定した閲覧要求が送られたとする。この場合、センシングデータ管理サーバSV1の制御部70は、ステップS32により上記閲覧要求を受信すると、センシングデータ閲覧処理部72の制御の下、ステップS33においてセンシングデータ記憶部91から、上記閲覧要求により指定された個人IDに対応するセンシングデータを読み出し、読み出された上記センシングデータを通信I/F100から要求元の利用者端末CT1~CTkへ送信させる。そして、上記送信処理後、例えば上記センシングデータの送信先や送信日時、閲覧対象となった被測定者の個人IDを含む閲覧情報を生成し、生成された上記閲覧情報を閲覧履歴記憶部92に記憶させる。
【0127】
なお、センシングデータ管理サーバSV1は、センシングデータ記憶部91に記憶された複数のセンシングデータについて、例えば個人ID毎にその平均値や血圧値の変動傾向等を表す統計情報を生成し、生成された統計情報をセンシングデータ記憶部91に併せて記憶し、この統計情報を閲覧可能とするようにしてもよい。
【0128】
(作用・効果)
以上述べたように第1の実施形態によれば、以下のような作用効果が奏せられる。
(1) センシング装置SDにおいて、被測定者によるセンシング操作の前兆となる行動が検知されると、センシング装置SDのアドレス情報をコード化した情報コードが情報コード記憶部131から読み出されて表示器18に表示される。そして、この状態で被測定者が自身の携帯端末UTにより上記情報コードを読み取ると、携帯端末UTにより携帯端末UTの所有者の個人IDを被測定者の個人IDとして含む通知情報が生成され、生成された上記通知情報が上記情報コードに含まれるアドレス情報に従いセンシング装置SDへ送信される。これに対しセンシング装置SDでは、上記通知情報が受信されると、その後第2の時間以内にセンシング動作により取得された上記被測定者のセンシングデータが、上記通知情報に含まれる被測定者の個人IDと共にセンシングデータ管理サーバSV1へ送信される。
【0129】
従って、被測定者のセンシングデータをその個人IDと共にセンシング装置SDからセンシングデータ管理サーバSV1へ送信することが可能となる。このため、センシング装置SDに、携帯端末UTへセンシングデータを転送するための近距離無線データ通信用の新たな通信モジュールを設ける必要がなくなり、これによりセンシング装置SDの製品コストを低く抑えることができる。
【0130】
また被測定者は、携帯端末UTが備えるコード読取機能により情報コードを読取操作するだけでよいので、被測定者が自身の個人IDをセンシング装置にて操作で手入力する必要がなく、これにより被測定者の操作負担を軽減すると共に、個人IDの誤入力等を防止することができる。
【0131】
さらに、情報コードがセンシング装置SDの表示器18に表示されるので、情報コードをセンシング装置SDの筐体に印刷したり、或いは情報コードが印刷されたシール等を製作して貼付する必要がない。
【0132】
(2) センシング装置SDでは、情報コードが表示されてから第1の時間内に通知情報が受信されない場合に、情報コードの表示が消去された後、自動的に待機状態に復帰する。このため、被測定者の個人IDを含む通知情報が携帯端末UTから受信されない状態で、センシング動作が行われ、そのセンシングデータが身元不明のままセンシングデータ管理サーバSV1へ送信される不具合を未然に防止することができる。
【0133】
(3) センシング装置SDでは、通知情報が受信された後、第2の時間内にセンシング動作が行われない場合に、通知情報が通知情報記憶部132から消去される。このため、被測定者の固有識別情報が不必要にセンシング装置に残り、これにより当該固有識別情報が他の被測定者のセンシングデータと対応付けられて送信される不具合を未然に防ぐことができる。
【0134】
(4) センシング装置SDでは、被測定者の一つのセンシングデータの送信後、第3の時間内に再度センシング操作が行われた場合には、この再度のセンシングを許可し、それにより得られたセンシングデータをそのまま上記被測定者のセンシングデータとして個人IDと共に送信するようにしている。このため、1人の被測定者が第3の時間内に再びセンシング動作を行った場合には、情報コードの読取操作を再度行うことなくセンシング動作を続けることができ、これにより被測定者の操作負担を軽減することができる。
【0135】
[変形例]
前記第1の実施形態では、携帯端末UTからセンシング装置SDへ被測定者の個人IDのみを含む通知情報を送信する場合について説明した。しかし、通知情報には、携帯端末UTが備えるGPS位置測定機能により測定された位置情報を含めるようにしてもよい。この場合、センシング装置SDは、被測定者のセンシングデータをセンシングデータ管理サーバSV1へ送信する際に、通知情報に含まれる個人IDと共に位置情報を併せて送信する。このようにすると、センシングデータ管理サーバSV1では、例えば、上記センシングデータと共に受信された上記位置情報と、取得または記憶された地図情報とをもとに、被測定者のセンシング場所を表す施設名や住所等を推定することができる。
【0136】
このようにすると、センシングデータ管理サーバSV1では、被測定者のセンシングデータをセンシング場所毎に管理することが可能となり、これにより例えば地域別にその住民の血圧の傾向性等を表す統計データを生成し、提供することが可能となる。
【0137】
前記第1の実施形態では、情報コードをセンシング装置SDの表示器18に表示する場合を例にとって説明した。しかし、この発明はそれに限定されるものではなく、例えば
図13または
図14に示すように、情報コードCC1をセンシング装置SDの筐体表面に貼付または印刷するようにしてもよい。またその際、情報コードを貼付または印刷する位置は、筐体の前面または側面であってもよく、さらにはセンシング装置SDが設置されたテーブルの上面や、前方または側方の壁面であってもよい。
【0138】
また、情報コードは、QRコードCC1や一次元バーコードCC2のような光学的に読み取りが可能なコード以外に、無線タグのようにコード情報を無線信号により送信し、携帯端末UTが上記無線信号を受信することで読み取るタイプのものであってもよい。さらに、被測定者の固有識別情報としては、個人IDに加えて、被測定者の名前や連絡先情報等の個人属性情報を含めてもよい。
【0139】
さらに、前記第1の実施形態では、センシングデータ管理サーバSV1が1台のセンシング装置SDにより得られるセンシングデータを収集し管理する場合を例にとって説明した。しかし、センシングデータ管理サーバSV1は、例えば同一の施設または他の複数の施設にそれぞれ設置された複数台のセンシング装置により得られるセンシングデータをそれぞれ収集し、管理するようにしてもよい。この場合、同一の施設内に設置された複数台のセンシング装置、または同一の地域に含まれる複数の施設にそれぞれ設置された複数台のセンシング装置によりそれぞれ得られるセンシングデータを、施設毎または地域毎に統合し、これにより施設毎または地域毎に統合された上記センシングデータの統計情報を生成するようにしてもよい。
【0140】
その他、センシング装置、データ処理装置および情報通信端末の種類とその機能および処理手順と処理内容等については、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0141】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、情報コードに含まれるセンシング装置SDのアドレス情報をもとに、携帯端末UTからセンシング装置SDに対し直接アクセスするようにしている。このため、センシング装置SDのアドレス情報、例えば電話番号やメールアドレスが公開された状態となり、これにより第三者にセンシング装置SDのアドレス情報が漏洩し、不正アクセスの原因になる心配がある。
【0142】
そこで、第2の実施形態では、携帯端末UTから例えばセンシングデータ管理サーバSV1を介してセンシング装置SDにアクセスする手法を採用する。なお、この第2の実施形態においては、システムの基本構成が第1の実施形態と同一なので、
図1乃至
図9を用いて説明を行う。
【0143】
情報コードには、例えばセンシングデータ管理サーバSV1のURLと、センシング装置SDを個体識別するための情報(デバイスID)を含める。デバイスIDとしては、例えば、製品のシリアルナンバー、またはセンシング装置SDに搭載される通信モジュールのIMEI、IMSI或いはSIMのICCIDが用いられる。情報コードは、センシング装置SDが生成して表示してもよいし、印刷したシール等をセンシング装置SDの筐体等に貼付してもよい。
【0144】
携帯端末UTの制御部10は、情報コード読取処理部101の制御の下で上記情報コードを読み取ると、通知情報生成処理部102により、上記情報コードに含まれる上記デバイスIDと被測定者の個別IDとを含む第1の通知情報を生成する。そして、通知情報送信処理部103の制御の下、生成された上記第1の通知情報を上記情報コードに含まれるURLをもとに、センシングデータ管理サーバSV1へ送信する。
【0145】
センシングデータ管理サーバSV1は、携帯端末UTから送信された上記第1の通知情報を通信I/F100により受信すると、制御部70が、受信された上記第1の通知情報に含まれる上記デバイスIDに対応付けて事前に登録されたセンシング装置SDのアドレス情報を、データ記憶部90に設けられたデータベースから読み出す。そして、上記アドレス情報に基づいて、上記第1の通知情報に含まれる上記被測定者の個別IDを含む第2の通知情報を、通信I/F100から例えばメッセージまたはメールによりセンシング装置SDに向け送信する。
【0146】
センシング装置SDの制御部11は、通知情報受信・管理処理部112の制御の下、通信モジュール3を介して上記第2の通知情報を受信すると、センシングデータ送信処理部114の制御の下、センシングデータを上記第2の通知情報に含まれる被測定者の個別IDと共にセンシングデータ管理サーバSV1へ送信する。
【0147】
これに対しセンシングデータ管理サーバSV1の制御部70は、センシングデータ取得処理部71の制御の下、上記第2の通知情報を受信すると、当該第2の通知情報に含まれるセンシングデータと被測定者の個別IDとを互いに対応付けられた状態のままセンシングデータ記憶部91に記憶させる。
【0148】
以上のように第2の実施形態によれば、センシング装置SDのアドレス情報、例えば電話番号やメールアドレスは、センシングデータ管理サーバSV1により管理されるので、情報コードからセンシング装置SDのアドレス情報が漏洩する心配はなくなり、これによりセンシング装置SDに対する他者からの不正アクセスを未然に防止することが可能となる。
【0149】
[第3の実施形態]
この発明の第3の実施形態は、被測定者のセンシングデータと被測定者の個人IDとを、センシングデータ管理サーバSV1において対応付け処理するようにしたものである。なお、この第3の実施形態においても、システムの基本構成は第1の実施形態と同一なので、
図1乃至
図9を用いて説明を行う。
【0150】
情報コードには、センシング装置SDのデバイスIDとセンシングデータ管理サーバSV1のURLを含める。この例でも、デバイスIDとしては、例えば、製品のシリアルナンバー、またはセンシング装置SDに搭載される通信モジュールのIMEI、IMSI或いはSIMのICCIDが用いられる。情報コードは、センシング装置SDが生成して表示してもよいし、印刷したシール等をセンシング装置SDの筐体等に貼付してもよい。
【0151】
携帯端末UTの制御部10は、情報コード読取処理部101の制御の下で上記情報コードを読み取ると、通知情報生成処理部102により、当該情報コードに含まれるセンシング装置SDのデバイスIDと、被測定者の個別IDとを含む通知情報を生成する。そして、通知情報送信処理部103の制御の下、生成された上記通知情報を上記情報コードに含まれるURLをもとに、センシングデータ管理サーバSV1へ送信する。
【0152】
一方、センシング装置SDは、測定された被測定者のセンシングデータを、センシングデータ送信処理部114の制御の下、センシング装置SDのデバイスIDと共に上記センシングデータ管理サーバSV1へ送信する。
【0153】
センシングデータ管理サーバSV1の制御部70は、上記センシング装置SDおよび上記携帯端末UTからそれぞれ上記センシングデータおよび通知情報を通信I/F100を介して受信すると、先ずその各受信タイミングが、例えば一般的な1回の測定期間に相当する所定期間内に含まれるか否かを判定する。そして、上記所定期間内に含まれると判定されると、続いて上記センシングデータと共に受信された上記センシング装置SDのデバイスIDと、上記通知情報に含まれるセンシング装置SDのデバイスIDとを対比する。そして、各デバイスIDが一致すると、上記センシングデータと上記通知情報に含まれる被測定者の個別IDとを互いに対応付けてセンシングデータ記憶部91に記憶させる。
【0154】
以上のように第3の実施形態によれば、センシング装置SDにおいて、通知情報を受信する処理と、被測定者のセンシングデータと個別IDとを対応付ける処理が不要になり、これによりセンシング装置SDの処理負荷を軽減することが可能となる。また、センシング装置SDにはアドレス情報を割り当てる必要がなくなり、これによりセンシング装置SDに対する不正アクセスを未然に防止できる。
【0155】
[第4の実施形態]
この発明の第4の実施形態は、センシング装置SDにより測定された被測定者のセンシングデータと当該被測定者の個別IDとを、携帯端末UTが対応付け処理して、センシングデータ管理サーバSV1へ送信するようにしたものである。なお、この第4の実施形態においても、システムの基本構成は第1の実施形態と同一なので、
図1乃至
図9を用いて説明を行う。
【0156】
センシング装置SDの制御部11は、センシングデータが測定される毎に、情報コード表示処理部111の制御の下、上記センシングデータと、センシングデータ管理サーバSV1のURLとを含む情報コードを生成し、表示器18に表示させる。
【0157】
携帯端末UTの制御部10は、情報コード読取処理部101の制御の下で上記情報コードを読み取ると、通知情報生成処理部102の制御の下、上記情報コードに含まれる上記センシングデータを自端末に記憶されている個別IDと対応付けて通知情報を生成する。そして、通知情報送信処理部103の制御の下、上記通知情報を、上記情報コードに含まれるURLに基づいてセンシングデータ管理サーバSV1へ送信する。
【0158】
センシングデータ管理サーバSV1の制御部70は、上記通知情報を通信I/F100を介して受信すると、センシングデータ取得処理部71の制御の下、上記通知情報に含まれるセンシングデータと被測定者の個別IDとを対応付けた状態でそのままセンシングデータ記憶部91に記憶させる。
【0159】
このように第4の実施形態によれば、センシング装置SDにより測定された被測定者のセンシングデータと被測定者の個別IDとの対応付け処理が携帯端末UTで行われる。また、センシングデータを携帯端末UTに転送するために、センシング装置SDに上記センシングデータを含む情報コードを生成して表示する機能を備えるだけでよく、例えばBlue Tooth等の無線モジュールを設ける必要がない。このため、センシング装置SDから通信モジュールを一切不要にすることができ、これによりセンシング装置SDのさらなる低価格化を図ることが可能となる。
【0160】
[その他の実施形態]
以上、本発明に係る複数の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0161】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0162】
SD…センシング装置
SV1…センシングデータ管理サーバ
SV2…地図情報管理サーバ
CT1~CTk…利用者端末
NW1…広域ネットワーク
NW2…移動通信ネットワーク
1…センシング装置の制御ユニット
2…センシングユニット
3…通信モジュール
10,11,70…制御部
12,20,80…プログラム記憶部
13,30,90…データ記憶部
14,50…センサI/F
15,60,100…通信I/F
17,40…入出力I/F
18…表示器
31,51,61…アンテナ
41…入出力デバイス
52…カメラ
71…センシングデータ取得処理部
72…センシングデータ閲覧処理部
91…センシングデータ記憶部
92…閲覧履歴記憶部
101…情報コード読取処理部
102…通知情報生成処理部
103…通知情報送信処理部
111…情報コード表示処理部
112…通知情報受信・管理処理部
113…センシングデータ取得処理部
114…センシングデータ送信処理部
131…情報コード記憶部
132…通知情報記憶部
133…センシングデータ記憶部
301…情報コード記憶部
302…個人ID記憶部