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特開2022-107196帯状電極シートの切断方法、及び、切断装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107196
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】帯状電極シートの切断方法、及び、切断装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20220713BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20220713BHJP
   B26D 1/40 20060101ALI20220713BHJP
   B26D 3/08 20060101ALI20220713BHJP
   B26D 7/20 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
B26D1/40 502D
B26D1/40 502F
B26D1/40 502G
B26D1/40 502J
B26D3/08 Z
B26D7/20
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001984
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿下 健一
【テーマコード(参考)】
3C021
5H050
【Fターム(参考)】
3C021GA07
5H050AA19
5H050BA17
5H050FA08
5H050GA04
5H050GA27
5H050GA29
5H050GA30
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】帯状電極シートの合材積層部と非合材積層部とを異なる切断方式で別々に切断するにも拘わらず、帯状電極シートを幅方向に適切に切断することができる帯状電極シートの切断方法、及び、切断装置を提供する。
【解決手段】切断刃21によって、合材積層部15をスコアカット方式で幅方向DWに切断する第1切断工程と、第1切断工程で切断した合材積層部15の切断部位と切断刃21との長手方向にかかる位置関係を維持した状態で、当該切断刃21によって、非合材積層部16をレザーカット方式で幅方向DWに切断して、帯状電極シート10を幅方向DWに切断する第2切断工程とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる帯状の集電箔の表面に電極合材層が積層された合材積層部と、
前記集電箔のうち、前記電極合材層が積層されることなく、前記合材積層部に対して前記長手方向に直交する幅方向に隣接する非合材積層部と、を備える
帯状電極シートを、前記幅方向に切断する方法において、
切断刃によって前記合材積層部をスコアカット方式で前記幅方向に切断する第1切断工程と、
前記第1切断工程で切断した前記合材積層部の切断部位と前記切断刃との前記長手方向にかかる位置関係を維持した状態で、当該切断刃によって前記非合材積層部をレザーカット方式で前記幅方向に切断して、前記帯状電極シートを前記幅方向に切断する第2切断工程と、を備える
帯状電極シートの切断方法。
【請求項2】
長手方向に延びる帯状の集電箔の表面に電極合材層が積層された合材積層部と、
前記集電箔のうち、前記電極合材層が積層されることなく、前記合材積層部に対して前記長手方向に直交する幅方向に隣接する非合材積層部と、を備える
帯状電極シートを、前記幅方向に切断する切断装置において、
周方向に回転して前記帯状電極シートを前記長手方向に沿った搬送方向に搬送する搬送ロールであって、当該搬送ロールの軸線方向に延びる切断刃を当該搬送ロールの外周面側に有し、前記帯状電極シートを、当該搬送ロールの前記外周面に巻き付けるようにして搬送する搬送ロールと、
前記搬送ロールの回転に伴って前記帯状電極シートと共に前記周方向に移動する前記切断刃が、前記搬送ロールの第1周方向位置に達するときに、前記合材積層部のうち前記切断刃に対して前記搬送ロールの径方向の外側に位置する部位を、前記径方向の内側に位置する前記切断刃に押しつけて、スコアカット方式で前記合材積層部を前記幅方向に切断させる第1アンビルと、
前記合材積層部を切断した前記切断刃が、前記搬送ロールの回転に伴って前記合材積層部の切断部位と共に前記搬送ロールの第2周方向位置に達するときに、前記非合材積層部のうち前記切断刃に対して前記搬送ロールの径方向の外側に位置する部位を、前記径方向の内側に位置する前記切断刃に押しつけて、レザーカット方式で前記非合材積層部を前記幅方向に切断させる第2アンビルと、を備える
切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状電極シートの切断方法、及び、切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、帯状電極シートの切断方法、及び、切断装置が開示されている。なお、帯状電極シートは、長手方向に延びる帯状の集電箔の表面に電極合材層が積層された合材積層部と、集電箔のうち、電極合材層が積層されることなく、合材積層部に対して長手方向に直交する幅方向に隣接する非合材積層部とを備える。具体的には、特許文献1では、まず、帯状電極シートの搬送方向の上流側に設けられたレーザ切断装置を用いて、帯状電極シートのうち厚みの薄い非合材積層部をレーザ切断する。その後、搬送方向の下流側に設けられた機械切断装置(ロータリーカッター)を用いて、帯状電極シートのうち厚みの厚い合材積層部を機械切断する。このように、特許文献1では、合材積層部と非合材積層部とを異なる切断方式で別々に切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6690486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、帯状電極シートの合材積層部と非合材積層部とを異なる切断方式で別々に幅方向に切断して、帯状電極シートを幅方向に切断する場合には、合材積層部の切断位置と非合材積層部の切断位置とについて、長手方向にかかる位置を一致させる(等しくする)ことが容易でなかった。このため、合材積層部と、これに対して幅方向に隣接する非合材積層部とについて、長手方向にかかる切断位置のズレなく、両者を切断することができないことがあった。このため、帯状電極シートを幅方向に適切に切断することができないことがあった。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、帯状電極シートの合材積層部と非合材積層部とを異なる切断方式で別々に切断するにも拘わらず、帯状電極シートを幅方向に適切に切断することができる帯状電極シートの切断方法、及び、切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、長手方向に延びる帯状の集電箔の表面に電極合材層が積層された合材積層部と、前記集電箔のうち、前記電極合材層が積層されることなく、前記合材積層部に対して前記長手方向に直交する幅方向に隣接する非合材積層部と、を備える帯状電極シートを、前記幅方向に切断する方法において、切断刃によって前記合材積層部をスコアカット方式で前記幅方向に切断する第1切断工程と、前記第1切断工程で切断した前記合材積層部の切断部位と前記切断刃との前記長手方向にかかる位置関係を維持した状態で、当該切断刃によって、前記非合材積層部をレザーカット方式で前記幅方向に切断して、前記帯状電極シートを前記幅方向に切断する第2切断工程と、を備える帯状電極シートの切断方法である。
【0007】
上述の切断方法では、まず、第1切断工程において、切断刃によって、帯状電極シートのうち合材積層部をスコアカット方式(押し切り方式)で幅方向に切断する。なお、切断刃は、例えば、帯状電極シートの幅方向に延びる切断刃であって、帯状電極シートの幅寸法(幅方向の寸法)と同等以上の長さを有し、帯状電極シートの幅方向の全体にわたって帯状電極シートに対向して設けられた切断刃である。
【0008】
その後、第2切断工程において、第1切断工程で切断した合材積層部の切断部位と切断刃とについて、帯状電極シートの長手方向にかかる位置関係を維持した状態で、当該切断刃によって、非合材積層部をレザーカット方式(溝切り方式)で幅方向に切断する。すなわち、帯状電極シートの長手方向にかかる切断刃の位置を、第1切断工程で合材積層部を切断した位置に維持した状態で、当該切断刃によって、非合材積層部をレザーカット方式で幅方向に切断する。これにより、帯状電極シートを幅方向に切断する。
【0009】
上述の切断方法では、帯状電極シートのうち、厚みの厚い合材積層部をスコアカット方式(押し切り方式)で切断し、厚みの薄い非合材積層部をレザーカット方式(溝切り方式)で切断するので、合材積層部と非合材積層部とを適切に切断することができる。
【0010】
さらに、第2切断工程では、第1切断工程で切断した合材積層部の切断部位と切断刃とについて、帯状電極シートの長手方向にかかる位置関係を維持した状態で、第1切断工程で用いた切断刃によって、非合材積層部を幅方向に切断する。このため、合材積層部の切断位置と非合材積層部の切断位置とについて、長手方向にかかる位置を一致させる(等しくする)ことができる。すなわち、合材積層部と、これに対して幅方向に隣接する非合材積層部とについて、長手方向にかかる切断位置のズレなく、両者を切断することができる。これにより、合材積層部と非合材積層部とを異なる切断方式で別々に切断するにも拘わらず、帯状電極シートを幅方向に適切に(真っ直ぐ)切断することができる。
【0011】
本発明の他の態様は、長手方向に延びる帯状の集電箔の表面に電極合材層が積層された合材積層部と、前記集電箔のうち、前記電極合材層が積層されることなく、前記合材積層部に対して前記長手方向に直交する幅方向に隣接する非合材積層部と、を備える帯状電極シートを、前記幅方向に切断する切断装置において、周方向に回転して前記帯状電極シートを前記長手方向に沿った搬送方向に搬送する搬送ロールであって、当該搬送ロールの軸線方向に延びる切断刃を当該搬送ロールの外周面側に有し、前記帯状電極シートを、当該搬送ロールの前記外周面に巻き付けるようにして搬送する搬送ロールと、前記搬送ロールの回転に伴って前記帯状電極シートと共に前記周方向に移動する前記切断刃が、前記搬送ロールの第1周方向位置に達するときに、前記合材積層部のうち前記切断刃に対して前記搬送ロールの径方向の外側に位置する部位を、前記径方向の内側に位置する前記切断刃に押しつけて、スコアカット方式で前記合材積層部を前記幅方向に切断させる第1アンビルと、前記合材積層部を切断した前記切断刃が、前記搬送ロールの回転に伴って前記合材積層部の切断部位と共に前記搬送ロールの第2周方向位置に達するときに、前記非合材積層部のうち前記切断刃に対して前記搬送ロールの径方向の外側に位置する部位を、前記径方向の内側に位置する前記切断刃に押しつけて、レザーカット方式で前記非合材積層部を前記幅方向に切断させる第2アンビルと、を備える切断装置である。
【0012】
上述の切断装置は、周方向に回転して帯状電極シートを長手方向に沿った搬送方向に搬送する搬送ロールを備える。この搬送ロールは、帯状電極シートを、当該搬送ロールの外周面に巻き付けるようにして搬送する。さらに、この搬送ロールは、当該搬送ロールの軸線方向(搬送ロールによって搬送される帯状電極シートの幅方向に一致する方向)に延びる切断刃を当該搬送ロールの外周面側に有する。この切断刃は、例えば、帯状電極シートの幅寸法(幅方向の寸法)と同等以上の長さを有し、帯状電極シートの幅方向の全体にわたって、搬送ロールによって搬送される帯状電極シートに対向するように設けられた切断刃である。この切断刃は、例えば、円筒状の外周面から径方向に凹んだ溝部に固定された態様で搬送ロールに設けられている。この切断刃は、搬送ロールの回転に伴って帯状電極シートと共に周方向に移動する。
【0013】
さらに、上述の切断装置は、第1アンビルを備える。この第1アンビルは、搬送ロールの回転に伴って帯状電極シートと共に周方向に移動する前記切断刃が、搬送ロールの第1周方向位置に達するときに、帯状電極シートの合材積層部のうち切断刃に対して搬送ロールの径方向の外側に位置する部位を径方向の内側に位置する切断刃に押しつけて、スコアカット方式(押し切り方式)で合材積層部を幅方向に切断させる。
【0014】
これにより、搬送ロールの回転によって搬送ロールの外周面に沿って搬送されている帯状電極シートと共に周方向に移動する切断刃が搬送ロールの第1周方向位置に達したときに、当該切断刃と第1アンビルとによって、搬送ロールの外周面に沿って搬送されている帯状電極シートのうち合材積層部を、スコアカット方式(押し切り方式)で幅方向に切断することができる。
【0015】
さらに、上述の切断装置は、第2アンビルを備える。この第2アンビルは、合材積層部を切断した切断刃が、搬送ロールの回転に伴って合材積層部の切断部位と共に搬送ロールの第2周方向位置(前記第1周方向位置よりも搬送方向の下流側の位置)に達するときに、非合材積層部のうち当該切断刃に対して搬送ロールの径方向の外側に位置する部位(第1周方向位置で切断された合材積層部の切断部位に対して、帯状電極シートの幅方向に隣接する部位である)を、径方向の内側に位置する切断刃に押しつけて、レザーカット方式(溝切り方式)で非合材積層部を幅方向に切断させる。これにより、帯状電極シートが幅方向に切断される。
【0016】
従って、上述の切断装置では、第1周方向位置で切断された合材積層部の切断部位と切断刃とについて、帯状電極シートの長手方向にかかる位置関係を維持した状態で、搬送ロールの第1周方向位置よりも搬送方向の下流側の第2周方向位置において、切断刃と第2アンビルとによって、非合材積層部をレザーカット方式(溝切り方式)で幅方向に切断することができる。すなわち、帯状電極シートの長手方向にかかる切断刃の位置を、合材積層部を切断した位置に維持した状態で、当該切断刃によって、非合材積層部をレザーカット方式で切断することができる。第1周方向位置で切断された合材積層部の切断部位と切断刃とは、帯状電極シートの長手方向にかかる互いの位置関係を変えることなく、第1周方向位置から第2周方向位置まで移動するからである。
【0017】
このため、合材積層部の切断位置と非合材積層部の切断位置とについて、長手方向にかかる位置を一致させる(等しくする)ことができる。すなわち、合材積層部と、これに対して幅方向に隣接する非合材積層部とについて、長手方向にかかる切断位置のズレなく、両者を切断することができる。これにより、合材積層部と非合材積層部とを異なる切断方式で別々に切断するにも拘わらず、帯状電極シートを幅方向に適切に(真っ直ぐ)切断することができる。
【0018】
なお、上述の切断装置では、帯状電極シートのうち、厚みの厚い合材積層部をスコアカット方式(押し切り方式)で切断し、厚みの薄い非合材積層部をレザーカット方式(溝切り方式)で切断するので、合材積層部と非合材積層部とを適切に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態にかかる切断装置の概略図である。
図2】帯状電極シートの平面図である。
図3図2のB-B断面図である。
図4図1のC部拡大図であって、第1切断工程を説明する図である。
図5】第1切断工程を説明する他の図である。
図6図1のD部拡大図である。
図7】第2切断工程を説明する図である。
図8】実施形態にかかる帯状電極シートの切断方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態では、図1に示す切断装置1を用いて、帯状電極シート10を幅方向DWに切断する。帯状電極シート10は、図2及び図3に示すように、合材積層部15と非合材積層部16とからなる。合材積層部15は、長手方向DL(図2において左右方向)に延びる帯状の集電箔11の表面(両面)に電極合材層12が積層された部位である。一方、非合材積層部16は、集電箔11のうち、電極合材層12が積層されることなく、合材積層部15に対して長手方向DLに直交する幅方向DW(図2において上下方向、図3において左右方向)に隣接する部位である。集電箔11は、例えば、アルミニウム箔や銅箔である。電極合材層12は、例えば、活物質粒子やバインダを含む層である。
【0021】
本実施形態の切断装置1は、帯状電極シート10を幅方向DWに切断して、複数の短冊状の電極シート18を作製する(図1参照)。電極シート18は、例えば、リチウムイオン二次電池の正極または負極として使用される。この切断装置1は、図1に示すように、搬送ロール20と、第1アンビル付きロール30と、第2アンビル付きロール40と、ニップロール50と、収容ケース70とを備える。搬送ロール20は、周方向に(図1において時計回りに)回転して、帯状電極シート10を長手方向DLに沿った搬送方向DMに搬送する。この搬送ロール20は、帯状電極シート10を、当該搬送ロール20の外周面20bに巻き付けるようにして搬送する。
【0022】
さらに、この搬送ロール20は、当該搬送ロール20の軸線方向(軸線AXが延びる方向、図1において紙面に直交する方向)に延びる切断刃21を、当該搬送ロール20の外周面20b側に有する。なお、搬送ロール20の軸線方向は、搬送ロール20の外周面20bに巻き付けられて搬送されている帯状電極シート10の幅方向DWに一致する。この切断刃21は、帯状電極シート10の幅寸法W(幅方向DWの寸法、図2参照)と同等以上の長さを有し、搬送ロール20の外周面20bに巻き付けられて搬送される帯状電極シート10に対し、その幅方向DWの全体にわたって対向するように設けられている。
【0023】
具体的には、切断刃21は、搬送ロール20の円筒状の外周面20bから径方向内側に凹んだ溝部23の底部23bに固定されると共に、刃先21bを径方向外側に向けた態様で、搬送ロール20に設けられている(図4図7参照)。この切断刃21は、断面三角形状をなして搬送ロール20の軸線方向(図4において紙面に直交する方向)に延びる形態を有している。この切断刃21は、搬送ロール20の回転に伴って帯状電極シート10と共に周方向に移動する。
【0024】
なお、搬送ロール20は、中空円筒形状のサクションロールであり、外周面20bを構成する円筒形状の壁部に多数の貫通孔20dが形成されている(図1参照)。この搬送ロール20には、搬送ロール20の内部空間の空気を吸引する吸引装置(図示なし)が接続されている。この吸引装置によって搬送ロール20内の空気が吸引されることによって、搬送ロール20の外周面20bに巻き付けられている帯状電極シート10が、搬送ロール20の貫通孔20dを通じて搬送ロール20の中心側に吸引される力を受ける。これにより、搬送ロール20の外周面20bに巻き付けられた帯状電極シート10は、搬送ロール20の外周面20bに吸着されながら、搬送ロール20の外周面20bに沿って搬送される。
【0025】
また、搬送ロール20には、外周面20bから径方向内側に凹んだ溝部23が、搬送ロール20の周方向に等間隔で4つ形成されている(図1参照)。各々の溝部23の底部23bには、前述の切断刃21が固定されている。従って、搬送ロール20には、4つの切断刃21が、搬送ロール20の周方向に等間隔で設けられている。換言すれば、搬送ロール20には、4つの切断刃21が、軸線AXの周りに90°ずつ位置をずらして配置されている。なお、切断刃21の先端(刃先21bの先端)は、溝部23内に(例えば、外周面20bと同等の径方向位置に)配置されている。
【0026】
第1アンビル付きロール30は、円柱状の第1ロール32と、第1ロール32に固定された第1アンビル31とを有する(図1及び図4参照)。第1アンビル31は、第1ロール32の外周面32bから径方向外側に突出する態様で、第1ロール32に設けられている。この第1アンビル付きロール30は、搬送ロール20と平行に設けられている。詳細には、第1アンビル付きロール30は、第1ロール32の外周面32bが、搬送ロール20の第1周方向位置P1において搬送ロール20の外周面20bと対向(対面)するように設けられている(図1参照)。
【0027】
なお、第1周方向位置P1は、搬送ロール20の外周面20bへの帯状電極シート10の巻き付け開始位置PS(搬送ロール20の外周面20bとニップロール50の外周面とが対向する位置)よりも搬送方向DMの下流側に位置している。詳細には、第1周方向位置P1は、搬送ロール20の軸線AXの周りに、巻き付け開始位置PSから搬送方向DMの下流側に第1角度θ1(本実施形態では45°)だけ移動した位置である(図1参照)。
【0028】
また、第1アンビル付きロール30は、搬送ロール20が周方向に1/4回転したときに、自身が周方向に1回転する。すなわち、第1アンビル付きロール30は、搬送ロール20が周方向に1回転したときに、自身が周方向に4回転する。そして、搬送ロール20の各々の切断刃21が搬送ロール20の第1周方向位置P1に達したときに、第1アンビル31が第1周方向位置P1に達した切断刃21(刃先21b)と径方向に対向するように、搬送ロール20と第1アンビル付きロール30とが設けられている(図1及び図4参照)。
【0029】
従って、搬送ロール20の回転に伴って、巻き付け開始位置PSから帯状電極シート10と共に周方向に移動する切断刃21が、搬送ロール20の第1周方向位置P1に達するとき、第1アンビル付きロール30の第1アンビル31によって、帯状電極シート10の合材積層部15のうち切断刃21に対して搬送ロール20の径方向の外側に位置する部位(切断刃対向部15cとする)を、径方向の内側に位置する切断刃21に押しつけて、スコアカット方式(押し切り方式)で合材積層部15を幅方向DWに切断することができる(図4参照)。
【0030】
このとき、帯状電極シート10の非合材積層部16が切断刃21に接触しないようにして、切断刃21によって非合材積層部16が切断されないようにしている。具体的には、第1アンビル31と切断刃21とが最接近する位置(両者の間隙が最小となる位置)において、両者の間隙が、非合材積層部16(集電箔11)の厚みよりも大きく、且つ、電極合材層12の厚みよりも小さくなるように、切断刃21と第1アンビル31とが設けられている(図4及び図5参照)。これにより、スコアカット方式(押し切り方式)によって合材積層部15を切断しつつも、スコアカット方式(押し切り方式)によって非合材積層部16が切断されないようにしている。なお、図4及び図5は、切断刃21が第1周方向位置P1に達したときの切断装置1の拡大断面図(搬送ロール20の軸線方向に直交する方向に切断した拡大断面図)であり、このうち図4は、合材積層部15の断面が現れる位置における断面図であり、図5は、非合材積層部16の断面が現れる位置における断面図である。
【0031】
第2アンビル付きロール40は、円柱状の第2ロール42と、第2ロール42に固定された第2アンビル41とを有する(図1及び図6参照)。第2アンビル41は、第2ロール42の外周面42bから径方向外側に突出する態様で、第2ロール42に設けられている。この第2アンビル付きロール40は、搬送ロール20と平行に設けられている。詳細には、第2アンビル付きロール40は、搬送ロール20の第2周方向位置P2において、第2ロール42の外周面42bが搬送ロール20の外周面20bと対向(対面)するように設けられている。
【0032】
なお、第2周方向位置P2は、搬送ロール20の外周面20bへの帯状電極シート10の巻き付け開始位置PSよりも搬送方向DMの下流側で、且つ、第1周方向位置P1よりも搬送方向DMの下流側に位置している。詳細には、第2周方向位置P2は、搬送ロール20の軸線AXの周りに、巻き付け開始位置PSから搬送方向DMの下流側に第2角度θ2(本実施形態では135°)だけ移動した位置である(図1参照)。すなわち、第2周方向位置P2は、搬送ロール20の軸線AXの周りに、第1周方向位置P1から搬送方向DMの下流側に90°移動した位置である(図1参照)。
【0033】
第2アンビル付きロール40は、搬送ロール20が周方向に1/4回転したときに、自身が周方向に1回転する。すなわち、第2アンビル付きロール40は、搬送ロール20が周方向に1回転したときに、自身が周方向に4回転する。そして、搬送ロール20の回転に伴って各々の切断刃21が搬送ロール20の第2周方向位置P2に達したときに、第2アンビル41が第2周方向位置P2に達した切断刃21(刃先21b)と径方向に対向するように、搬送ロール20と第2アンビル付きロール40とが設けられている(図1及び図6参照)。なお、第2アンビル41は、溝切り用アンビルであり、外側に開口する溝部41bであって、搬送ロール20の切断刃21の刃先21bが挿入可能とされた溝部41bを有する。
【0034】
従って、搬送ロール20の回転に伴って、合材積層部15を切断した切断刃21が、合材積層部15の切断部位15bと共に搬送ロール20の第2周方向位置P2(第1周方向位置P1よりも搬送方向DMの下流側の位置)に達するとき、第2アンビル付きロール40の第2アンビル41によって、非合材積層部16のうち切断刃21に対して搬送ロール20の径方向の外側に位置する部位(第1周方向位置P1で切断された合材積層部15の切断部位15bに対して幅方向DWに隣接する部位である。この部位を切断刃対向部16cとする)を、径方向の内側に位置する切断刃21に押しつけて、レザーカット方式(溝切り方式)で非合材積層部16を幅方向DWに切断することができる(図6図7図8参照)。なお、図6及び図7は、切断刃21が第2周方向位置P2に達したときの切断装置1の拡大断面図(搬送ロール20の軸線方向に直交する方向に切断した拡大断面図)であり、このうち図6は、合材積層部15の断面が現れる位置における断面図であり、図7は、非合材積層部16の断面が現れる位置における断面図である。
【0035】
この切断時、第2アンビル41の先端部41cは、搬送ロール20の溝部23内に進入して搬送ロール20の外周面20bよりも径方向内側に配置され、切断刃21の刃先21bは、第2アンビル41の溝部41b内に挿入される(図7参照)。これにより、レザーカット方式(溝切り方式)で非合材積層部16を切断することができる。また、このとき、第1周方向位置P1において切断された合材積層部15の切断部位15bも、第2アンビル41によって切断刃21に押しつけられて、再び、切断部位15bに切断刃21が進入することになるが、第1周方向位置P1における切断位置と第2周方向位置P2における切断位置とは等しいため、合材積層部15の切断部位15bに変化は生じない(図6参照)。これにより、帯状電極シート10が幅方向DWに切断されて、短冊状の電極シート18が作製される。作製された短冊状の電極シート18は、搬送ロール20の下方に位置する収容ケース70内に収容される(図1参照)。
【0036】
このように、本実施形態の切断装置1では、第1周方向位置P1で切断された合材積層部15の切断部位15bと切断刃21とについて、帯状電極シート10の長手方向DLにかかる位置関係を維持した状態で、搬送ロール20の第1周方向位置P1よりも搬送方向DMの下流側の第2周方向位置P2において、切断刃21と第2アンビル41とによって、非合材積層部16をレザーカット方式(溝切り方式)で幅方向DWに切断することができる。すなわち、帯状電極シート10の長手方向DLにかかる切断刃21の位置を、合材積層部15を切断した位置に維持した状態で、当該切断刃21によって、非合材積層部16をレザーカット方式で切断することができる。第1周方向位置P1で切断された合材積層部15の切断部位15bと切断刃21とは、帯状電極シート10の長手方向DLにかかる互いの位置関係を変えることなく、第1周方向位置P1から第2周方向位置P2まで移動するからである。
【0037】
このため、合材積層部15の切断位置(切断部位15bの位置)と非合材積層部16の切断位置(切断部位16bの位置)とについて、長手方向DLにかかる位置を一致させる(等しくする)ことができる(図8参照)。すなわち、合材積層部15と、これに対して幅方向DWに隣接する非合材積層部16とについて、長手方向DLにかかる切断位置のズレなく、両者を切断することができる。これにより、合材積層部15と非合材積層部16とを異なる切断方式で別々に切断するにも拘わらず、帯状電極シート10を幅方向DWに適切に(真っ直ぐ)切断することができる。なお、図8は、搬送ロール20によって搬送方向DMに搬送されつつ切断刃21によって切断される帯状電極シート10を、平面展開した図である。
【0038】
本実施形態の切断装置1では、帯状電極シート10のうち、厚みの厚い合材積層部15をスコアカット方式(押し切り方式)で切断し、厚みの薄い非合材積層部16をレザーカット方式(溝切り方式)で切断するので、合材積層部15と非合材積層部16とを適切に切断することができる。
【0039】
次に、実施形態にかかる帯状電極シート10の切断方法について説明する。まず、第1切断工程において、切断装置1の切断刃21によって、帯状電極シート10のうち合材積層部15をスコアカット方式(押し切り方式)で幅方向DWに切断する。具体的には、前述のように、帯状電極シート10を搬送する搬送ロール20の回転に伴って、巻き付け開始位置PSから帯状電極シート10と共に周方向に移動する切断刃21が、搬送ロール20の第1周方向位置P1に達すると、第1アンビル付きロール30の第1アンビル31によって、帯状電極シート10の合材積層部15のうち切断刃21に対して搬送ロール20の径方向の外側に位置する部位(切断刃対向部15c)を、径方向の内側に位置する切断刃21に押しつけて、スコアカット方式(押し切り方式)で合材積層部15を幅方向DWに切断する(図1及び図4参照)。
【0040】
その後、第2切断工程において、第1切断工程で切断した合材積層部15の切断部位15bと切断刃21とについて、帯状電極シート10の長手方向DLにかかる位置関係を維持した状態で、当該切断刃21によって、非合材積層部16をレザーカット方式(溝切り方式)で幅方向DWに切断する。すなわち、帯状電極シート10の長手方向DLにかかる切断刃21の位置を、第1切断工程で合材積層部15を切断した位置に維持した状態で、当該切断刃21によって、非合材積層部16をレザーカット方式で切断する。
【0041】
具体的には、搬送ロール20の回転に伴って、合材積層部15を切断した切断刃21が、合材積層部15の切断部位15bと共に搬送ロール20の第2周方向位置P2に達すると、第2アンビル付きロール40の第2アンビル41によって、非合材積層部16のうち切断刃21に対して搬送ロール20の径方向の外側に位置する切断刃対向部16cを、径方向の内側に位置する切断刃21に押しつけて、レザーカット方式(溝切り方式)で非合材積層部16を幅方向DWに切断する(図1及び図7参照)。これにより、帯状電極シート10が幅方向DWに切断されて、短冊状の電極シート18が作製される。作製された短冊状の電極シート18は、搬送ロール20の下方に位置する収容ケース70内に収容される(図1参照)。
【0042】
本実施形態の切断方法では、帯状電極シート10のうち、厚みの厚い合材積層部15をスコアカット方式(押し切り方式)で切断し、厚みの薄い非合材積層部16をレザーカット方式(溝切り方式)で切断するので、合材積層部15と非合材積層部16とを適切に切断することができる。
【0043】
さらに、第2切断工程では、第1切断工程で切断した合材積層部15の切断部位15bと切断刃21とについて、帯状電極シート10の長手方向DLにかかる位置関係を維持した状態で、第1切断工程で用いた切断刃21によって、非合材積層部16を幅方向DWに切断する。このため、合材積層部15の切断位置と非合材積層部16の切断位置とについて、長手方向DLにかかる位置を一致させる(等しくする)ことができる。すなわち、合材積層部15と、これに対して幅方向DWに隣接する非合材積層部16とについて、長手方向DLにかかる切断位置のズレなく、両者を切断することができる。これにより、合材積層部15と非合材積層部16とを異なる切断方式で別々に切断するにも拘わらず、帯状電極シート10を幅方向DWに適切に(真っ直ぐ)切断することができる。
【0044】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は前記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1 切断装置
10 帯状電極シート
11 集電箔
12 電極合材層
15 合材積層部
15b 合材積層部の切断部位
16 非合材積層部
20 搬送ロール
20b 外周面
21 切断刃
30 第1アンビル付きロール
31 第1アンビル
40 第2アンビル付きロール
41 第2アンビル
DL 長手方向
DM 搬送方向
DW 幅方向
P1 第1周方向位置
P2 第2周方向位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8