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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107206
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】太陽電池パネル設置構造
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20220713BHJP
   H02S 20/24 20140101ALI20220713BHJP
【FI】
H02S20/10 K
H02S20/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002005
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】509196556
【氏名又は名称】アイユーソーラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】友野 収
(57)【要約】
【課題】陸屋根などのような設置面に不陸がある場合や固定強度を向上したい場合に、所望の固定強度が得られるようにする。
【解決手段】水平な設置面11の上に太陽電池パネル12を傾けて設置する太陽電池パネル設置構造において、傾斜下側と傾斜上側で対をなして太陽電池パネル12を支持する本体金具31を備える。本体金具31には、重錘を載置可能であるとともに設置面11に対する接着固定も可能である面積を有する固定片32と、固定片32の一端から起立する起立片33と、起立片33の上端から固定片32と反対方向に延びて太陽電池パネル12を支える支持片34を形成する。また本体金具31の起立片33の下端部に固定される補助金具51を備える。補助金具51には、起立片33に固定される立設片52と、立設片52の下端から水平に延びて設置面11に接着固定される接地片53を形成し、立設片52と接地片53との間の角度を可変とする。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルを水平な設置面の上に傾けて設置する太陽電池パネル設置構造であって、
傾斜下側と傾斜上側で対をなして前記太陽電池パネルを前記設置面の上に支持する本体金具を備え、
前記本体金具が、重錘を載置可能であるとともに前記設置面に対する接着固定も可能である面積を有する固定片と、前記固定片の一端から起立する起立片と、前記起立片の上端から前記固定片と反対方向に延びて前記太陽電池パネルを支える支持片を有し、
前記本体金具が、平面視において前記固定片から前記支持片へと延びる方向に長い一定幅の長方形に形成されるとともに、
前記起立片に固定される補助金具を備え、
前記補助金具が、前記起立片に固定される立設片と、前記立設片の下端から水平に延びて前記設置面に接着固定される接地片を有し、
前記立設片と前記接地片との間の角度が可変である
太陽電池パネル設置構造。
【請求項2】
前記補助金具の前記接地片が、前記立設片を長手方向の中間に備える平面視長方形である
請求項1に記載の太陽電池パネル設置構造。
【請求項3】
前記補助金具が前記本体金具よりも薄い板材で形成された
請求項1または請求項2に記載の太陽電池パネル設置構造。
【請求項4】
前記補助金具が、金属板を折り曲げて形成された
請求項3に記載の太陽電池パネル設置構造。
【請求項5】
前記本体金具の前記固定片が、前記重錘として縁石を載置可能な長さであるともとに、
前記起立片と反対側の端部に、上方に起立する立ち上がり部を有する
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の太陽電池パネル設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば地面や陸屋根などのような平らな設置面に太陽電池パネルを設置するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
水平な設置面に太陽電池パネルを設置する構造として、下記特許文献1に開示された支持構造がある。
【0003】
この支持構造は、設置面に接する接地片と、接地片から上方へ起立して太陽電池パネルを固定するパネル固定部が上端部に形成された所定長さの起立片を有する支持金具を用いるものである。支持金具は、傾けて設置される太陽電池パネルの傾斜下側の支持金具と傾斜上側の支持金具が一対として用いられる。
【0004】
設置に際しては、太陽電池パネルを表裏反転してその裏面に支持金具のパネル固定部を固定したのち、太陽電池パネルに表を上に向けて設置面に置き、重錘の重量で押さえつけて固定する。重錘としては、上方に延びる空間を有するコンクリートブロックが用いられ、接地片にはコンクリートブロックの一部が載置される。設置片の先端にはコンクリートブロックの空間に差し込まれる規制片が立設されている。
【0005】
このような支持金具を用いた設置構造では、コンクリートブロックを載せるだけで固定できるので設置作業が簡易迅速に行える。そのうえ、コンクリートブロックの長手方向の中間点を接地片の上に載せた場合であっても、コンクリートブロックの底面の一部は設置面に対して確実に直接接触するので、重錘体の姿勢が安定して良好な設置状態が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3209229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、支持金具の起立片の長さは、傾斜下側の支持金具と傾斜上側の支持金具でそれぞれ一定に形成されているのに対して、太陽電池パネルの傾斜方向の長さには多少のばらつきがある。また起立片の上端のパネル固定部と太陽電池パネルとの固定位置にずれが生じることもある。これらのような場合には傾斜下側の支持金具と傾斜上側の支持金具の間の距離が予定されている特定の距離と異なることになる。
【0008】
この結果、太陽電池パネルの設置時に、支持金具の接地片が設置面に対して正しく水平に接しないことがある。
【0009】
また、設置面が特に陸屋根である場合には、陸屋根の施工時に、又はその後の劣化によって設置面に不陸が生じることがあり、この場合も、支持金具の接地片が設置面に対して正しく水平に接しないことになる。
【0010】
接地片の下に隙間があると、支持金具の固定強度が所望通りにならない。
【0011】
そこで、この発明は、支持金具の設置面に対する接地が正しく行えない場合でも所望の固定強度が得られるようにすることを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのための手段は、太陽電池パネルを水平な設置面の上に傾けて設置する太陽電池パネル設置構造であって、傾斜下側と傾斜上側で対をなして前記太陽電池パネルを前記設置面の上に支持する本体金具を備え、前記本体金具が、重錘を載置可能であるとともに前記設置面に対する接着固定も可能である面積を有する固定片と、前記固定片の一端から起立する起立片と、前記起立片の上端から前記固定片と反対方向に延びて前記太陽電池パネルを支える支持片を有し、前記本体金具が、平面視において前記固定片から前記支持片へと延びる方向に長い一定幅の長方形に形成されるとともに、前記起立片に固定される補助金具を備え、前記補助金具が、前記起立片に固定される立設片と、前記立設片の下端から水平に延びて前記設置面に接着固定される接地片を有し、前記立設片と前記接地片との間の角度が可変である、太陽電池パネル設置構造である。
【0013】
この構成では、傾斜下側の本体金具と傾斜上側の本体金具との間の距離が所定値と相違する場合や設置面に不陸がある場合などであって、主に本体金具の固定片が設置面に正しく接地しないときに、補助金具を用いる。補助金具の立設片は本体金具の起立片に一体となり、接地片は設置面に対して良好な接地状態が得られるように起立片に対して角度を変更する。接地片は起立片に近い位置で設置面に対して接着固定され、たとえ不陸があっても接着層がその凹凸を吸収し、設置面に対する固定状態を確保し、立設片を介して本体金具を支える。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、立設片に対して角度変更可能な接地片を有する補助金具を備えたので、設置のための良好な状態が得られない場合やより高い固定強度を得たい場合に補助金具を用いることで、所望の固定強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】要部を示す斜視図。
図2】太陽電池パネル設置構造の斜視図。
図3】本体金具と補助金具の斜視図。
図4】本体金具と補助金具の斜視図。
図5】本体金具の使用態様を示す一部断面側面図。
図6】本体金具の載置面に対する固定態様を示す側面図。
図7】補助金具の製造方法を示す平面図。
図8】補助金具の状態を示す側面図。
図9】補助金具を用いた載置面に対する固定態様を示す側面図。
図10】補助金具の作用を示す側面図。
図11】補助金具の作用を示す側面図。
図12】太陽電池パネル設置構造の斜視図。
図13】太陽電池パネル設置構造の斜視図。
図14】係止金具の斜視図とその使用状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0017】
この発明は、太陽電池パネルを陸屋根や地面などからなる水平な設置面の上に傾けて設置する太陽電池パネル設置構造(以下、「設置構造」という)であり、図1に示したように設置面11に固定されて太陽電池パネルを支持する本体金具31で構成される。本体金具31に加えて、必要に応じて補助金具51が備えられる。
【0018】
まず、本体金具31と、本体金具31を用いた設置構造について説明する。
【0019】
図2は設置構造の斜視図である。この図に示すように、太陽電池パネル12は設置面11に対して四辺のうちの一辺を、この辺と反対側の他辺よりも低くして全体として斜めに設置される。この設置に、傾斜下側と傾斜上側で対をなす本体金具31が用いられる。
【0020】
本体金具31は図3図4の一部(図3の左側部分、図4の右側部分)に示したように、1枚の金属板をプレスして形成される。金属板は一定幅の帯状であり、例えばステンレス鋼が好適に用いられる。図3の本体金具31は傾斜下側の本体金具31aであり、図4の本体金具31は傾斜上側の本体金具31bである。
【0021】
本体金具31は、長手方向の一方から順に、固定片32、起立片33及び支持片34を有している。
【0022】
固定片32は、重錘13(図6の(b),(c)参照)を載置可能であるとともに設置面11に対する接着固定も可能とする面積を有する長方形である。重錘13としては、縁石やコンクリートブロックが考えられる。このため、固定片32の長手方向の長さは、これらの重錘13、好ましくはその全体を載せられる長さに設定される。具体的には、重錘13が縁石である場合には、固定片32の長手方向の長さは、例えば130mm程度にするとよい。固定片32の幅は、固定片32の長さを考慮して十分な接着面積をとれる幅であり、具体的には例えば50mm程度に設定するとよい。
【0023】
固定片32の先端、つまり起立片33と反対側の端部には、上方へ起立する立ち上がり部32aが形成されている。立ち上がり部32aは重錘13の角を引っかけて位置決めする機能を有し、立ち上がり高さは適宜設定される。
【0024】
起立片33は固定片32の一端から直角に起立する部分であり、固定片32と同じ幅である。起立片33の高さは、図3の傾斜下側の本体金具31aのほうが、図4の傾斜上側の本体金具31bよりも短く設定され、それぞれの高さは、太陽電池パネル12の傾斜方向の長さと傾斜角度に対応して設定される。
【0025】
なお、傾斜下側の本体金具31aにおける起立片33の高さは、固定片32の上に重錘13が載置されることを考慮して、支持した太陽電池パネル12が重錘13の陰にならないように考慮する(図6の(b),(c)参照)。
【0026】
起立片33の上部と下部には貫通穴33a,33bが形成されている。これら貫通穴33a,33bは締結具としてのボルトを通す部分である。上の貫通穴33aは起立片33の上端から下に所定の位置に、下の貫通穴33bは起立片33の下端から上へ所定の位置に形成される。貫通穴33a,33bは起立片33の幅方向の中間に1カ所あればよいが、必要であれば複数個設けることもできる。
【0027】
貫通穴33a,33bの大きさは、ボルトの径に対して嵌合対応するようなぴたりと合う大きさではなく、それよりも若干大きく、ボルトを挿通しても貫通穴同士の数ミリ程度の位置ずれを許容できる大きさである。以下に説明する貫通穴についても同様である。
【0028】
支持片34は、起立片33の上端から固定片32と反対方向に延びて太陽電池パネル12を支える部分である。前述したように太陽電池パネル12を傾けて設置するため、支持片34は起立片33に対して直角ではなく、換言すれば固定片32と平行ではなく、太陽電池パネル12の傾斜と同じ方向に傾斜している。図示例の支持片34は、太陽電池パネル12を載せて固定するものであるため、支持片34の傾斜角度は太陽電池パネル12の傾斜角度と同じである。
【0029】
図3の傾斜下側の本体金具31aは、支持片34が起立片33の上端から斜め上に向けて延びており、図4の傾斜上側の本体金具31bは、支持片34が起立片33の上端から斜め下に向けて延びている。
【0030】
支持片34の幅は起立片33と同じであり、支持片34の長さは太陽電池パネル12を支持するのに十分な長さに設定される。支持片34にも貫通穴34aが形成される。この貫通穴34aは太陽電池パネル12を固定するためのものであり、支持片34の幅方向の中間の適宜位置に形成されている。
【0031】
このように固定片32、起立片33及び支持片34を有する本体金具31は、平面視において固定片32から支持片34へと延びる方向に長い一定幅の長方形であり、側面視の折れ曲がり形状が保たれている。
【0032】
本体金具31は、例えば図5に示したように太陽電池パネル12の裏面に固定されてから、設置面11に固定される。
【0033】
太陽電池パネル12に対する支持片34の固定は、貫通穴34aを用いてボルト等で直接固定してもよいが、図5に示したように別体の押さえ金具35を用いて固定することができる。
【0034】
押さえ金具35は、支持片34と同じ幅の長方形板状であり、長手方向の両端に、下方へ折り曲げ形成された折り曲げ片35a,35bを有している。一方の折り曲げ片35aは、太陽電池パネル12のフレームの裏面側の片12aを挟むものであり、他方の折り曲げ片35bよりも短い。押さえ金具35の中央にはボルト36を挿通する貫通穴35cが形成され、支持片34の貫通穴34aに挿通するボルト36によって支持片34に対して締め付けられる。
【0035】
設置面11に対する本体金具31の固定の仕方は、図6に示したように3通りある。一つは、(a)に示したように接着固定する方法である。接着固定は、接着剤を塗布して行う方法と、両面接着シートを用いる方法がある。図中、14は接着剤又は両面接着シートからなる接着固定層である。
【0036】
両面接着シートは、図示を省略するが、例えばゴムシートや織布、不織布などからなるシート状の基材の両面に接着層が一体形成された構成であり、強力な接着力を有し、耐候性も良好なものが使用される。使用される両面接着シートは、固定片32の下面である接着面に対応する形状に裁断されて使用されるのが好ましい。
【0037】
接着剤と両面接着シートのいずれを用いるかは、設置面11の性状に応じて適宜決定される。
【0038】
二つ目の方法は、(b)に示したように重錘13を載置してその重みで固定する方法である。図示例では、重錘13として縁石を用いた例を示している。
【0039】
三つ目の方法は、前述した(a)と(b)の方法、つまり接着と重錘13を組み合わせた方法である。
【0040】
いずれの固定方法を採用するかは、設置面11のある地域の環境(風向、風力など)と設置面11の状態に応じて適宜設定される。
【0041】
つぎに、補助金具51について説明する。
【0042】
補助金具51は、図3図4の一部(図3の右側部分、図4の左側部分)に示したように、1枚の金属板をプレスにより折り曲げて形成される。なお、図3図4に示した補助金具51は、見る方向が異なるだけであり、構成は同一である。
【0043】
補助金具51は、本体金具31の起立片33に固定されるものであり、起立片33に固定される立設片52と、立設片52の下端から水平に延びて設置面11に接着固定される接地片53を有している。立設片52と接地片53との間の角度は直角であるが、図1に矢印で示したように可変である。
【0044】
立設片52は、本体金具31の起立片33と同じ幅に形成されている。立設片52の高さは適宜設定されるが、接地片53の下面を本体金具31の固定片32の下面と同じ高さに揃えたときに起立片33の下の貫通穴33bに通した締結具で立設片52を起立片33に固定できるようにする高さに設定される。
【0045】
立設片52の中央には、起立片33に挿通するボルトを貫通する貫通穴52aが形成されている。
【0046】
接地片53は、立設片52を長手方向の中間に備える平面視長方形である。つまり、接地片53の長手方向は立設片52の幅方向と同一であり、立設片52を本体金具31の起立片33に重ね合わせたときの外観は、接地片53が本体金具31の延びる方向と直交する方向に延びることになる。
【0047】
接地片53と立設片52のなす角度が可変である補助金具51を構成する金属板の厚さは、本体金具31よりも薄く設定される。具体的には、本体金具31の厚さを2mm~3mm程度に設定したとすると、補助金具51の厚さはその半分以下の、0.8mm~1mm程度にするとよい。補助金具51を構成する金属板としては、例えばアルミ合金製のものを用いることができる。
【0048】
このような構成の補助金具51は、立設片52の高さと、接地片53における立設片52の高さ方向の長さとを同一に設定すると、図7に示したように歩留まりよく製造できる。図7中、54は、補助金具51の材料となる金属板であり、実線の一点鎖線54aは裁断位置と穴あけ位置を示す線、実線の破線54bは折り曲げ位置を示す線である。
【0049】
つまり、補助金具51の立設片52の高さと接地片53における立設片52の高さ方向の長さとを同一に設定した場合には、本体金具31を製造する場合と同様に、歩留まりの良い製造ができ、材料の無駄を極力なくして製造コストを低減することができる。
【0050】
このような補助金具51を用いた設置構造は、固定の態様を省略して図示すると、図8に示したように補助金具51の立設片52が本体金具31の起立片33に重ね合わさり、接地片53が太陽電池パネル12の下方で水平に広がる状態となる。
【0051】
補助金具51の固定の仕方は次のとおりである。本体金具31を設置面11に接着固定する場合、図9の(a)に示したように、補助金具51の接地片53を設置面11に接着固定するとともに、立設片52を起立片33にボルト55で固定する。接着固定は、本体金具31の場合と同様に接着剤又は両面接着シートで行う。
【0052】
起立片33に対する立設片52の固定は、図9の(b)に示したように、接着剤又は両面接着シートによる接着で行ってもよい。
【0053】
立設片52を起立片33に接着固定する場合には、ボルト55で固定する場合とは異なり固定片32の上方に突出する部分が存在しないので、本体金具31は設置面11に対して縁石を併用しての固定も、縁石のみによる固定もできる。もちろん、固定片32の長さが立設片52を固定するボルト55の長さを考慮して長めに設定されれば、この場合も縁石を用いての固定が可能である。
【0054】
補助金具51を用いると、補助金具51の立設片52が本体金具31の起立片33に沿って一体となるにもかかわらず、接地片53は設置面11に対して面全体を接触させるように設置面11に応じて適宜、立設片52との間の角度を変更する。このため接地片53の良好な接着状態が得られる。補助金具51は本体金具31よりも薄い板材で形成され、しかも金属板を折り曲げて形成されているので、接地片53と立設片52との間の角度変更は柔軟になされる。そして接地片53は設置面11に対して接着固定されるので、設置面11に不陸(凹凸)があっても接着固定層14の接着剤などがその凹凸を吸収し、広い面での接着が行える。
【0055】
図10には、設置面11に凹凸はないが、対をなす本体金具31の間隔に起因して固定片32が設置面11に対して傾いて、立ち上がり部32a側の下に隙間Sができる場合を例示している。
【0056】
図11には、設置面11の凹凸が原因で固定片32が傾いた例を示している。
【0057】
いずれの場合も、前述したように補助金具51の接地片53が立設片52との間の角度を適宜変更して設置面11に接着固定されるので、本体金具31の固定状態を補強して、全体としての固定強度を確保できる。
【0058】
しかも、補助金具51の接地片53は太陽電池パネル12の下方で広がるので、接地片53は日陰に位置することになり、接着固定層14の接着成分の劣化を抑制できる。この点からも固定強度を確保できる。
【0059】
また、補助金具51の接地片53は立設片52を長手方向の中間に備える平面視長方形であって、本体金具31の長手方向とは直交する方向に長い形状であるので、固定力を起立片33の基部における幅方向に広い範囲で発揮させることができる。このため、本体金具31に傾きの荷重が作用しても効果的に固定状態を維持できる。そのうえ設置面11に凹凸があって、その凹凸が例えば防水シートの継ぎ目によるものなどである場合など、凹凸の出現態様にはある傾向があることがある。このような場合に、補助金具51の接地片53は固定力を発揮する部分の方向性を本体金具31のそれと相違させることになるので、この点からも強固な固定状態がより確実に得られる。
【0060】
さらに補助金具51は、傾斜下側の本体金具31aに対しても、傾斜上側の本体金具31bに対しても同一のものを使用できる形状であるので、施工や製品管理の簡単化をはかることができる。
【0061】
補助金具51を用いた固定を行うか否かは、前述した本体金具31の固定の場合と同様に設置面11のある地域の環境(風向、風力など)や設置面11の状態などに応じて適宜設定される。設置面11に不陸がなくても補助金具51を使用してもよい。
【0062】
補助金具51を使用する際には、図12に示したように設置構造に使用するすべての本体金具31に補助金具51を固定するほか、図13に示したように設置面11の状態や煽られやすい箇所か否かなどの状況に応じて部分的に補助金具51を用いることもできる。
【0063】
強風が吹く場所においては、図14に示したような係止金具61を用いることができる。係止金具61は、太陽電池パネル12の縁を上面から押さえ込むものであり、本体金具31の起立片33と同じ幅の金属板で構成され、本体62の上端に係止片63が形成されている。係止片63は本体62に対して直角に曲がっている。本体62は幅方向の中央に縦に長いに長穴62aを有している。
【0064】
この長穴62aは、本体金具31の起立片33における上部の貫通穴33aに挿通するボルト64が貫通する部分である。
【0065】
このような係止金具61は、図14に示したように傾斜下側の本体金具31aと傾斜上側の本体金具31bに対して共通で使用できる。
【0066】
使用に際しては、長穴62aにボルト64を通して、係止片63が太陽電池パネル12の縁を押さえた位置でボルト64を締結する。
【0067】
なお、係止金具61の係止片63は本体62に対して直角ではなく、本体金具31の支持片34のように傾斜させてもよい。
【0068】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であり、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0069】
たとえば、補助金具51は合成樹脂、例えばスタンパブルシートなどの成形で構成してもよい。
【0070】
また補助金具51の接地片53の平面視形状は、前述した横方向に長い長方形以外の適宜の形状にすることができる。
【符号の説明】
【0071】
11…設置面
12…太陽電池パネル
13…重錘
14…接着固定層
31…本体金具
32…固定片
32a…立ち上がり部
33…起立片
34…支持片
51…補助金具
52…立設片
53…接地片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14