(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107254
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】ワークコーナーのある生活を支える住宅
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20220713BHJP
【FI】
E04H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002091
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】十川 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】勝田 祐一郎
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA25
(57)【要約】
【課題】在宅勤務に好適な住宅を提供すること。
【解決手段】本発明に係る住宅10は、キッチン81、リビングダイニング61、第一寝室71、在宅勤務が可能な仕事場であるワークコーナー30、パントリー50、および、物を収納するための部屋である物入72、を設けた住宅であって、行き来可能に隣接したふたつのことなる空間を設け、当該空間として、キッチン81とリビングダイニング61、リビングダイニング61と第一寝室71、第一寝室71とワークコーナー30、ワークコーナー30とパントリー50、および、パントリー50とキッチン81、を設け、ワークコーナー30と物を収納するための部屋である物入72とが隣接し、ワークコーナー30とリビングダイニング61とが室内窓を挟んで隣接することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチン、
リビングダイニング、
寝室、
在宅勤務が可能な仕事場であるワークコーナー、
パントリー、および、
物を収納するための部屋、
を設けた住宅であって、
行き来可能に隣接したふたつのことなる空間を設け、当該空間として、
前記キッチンと前記リビングダイニング、
前記リビングダイニングと前記寝室、
前記寝室と前記ワークコーナー、
前記ワークコーナーと前記パントリー、および、
前記パントリーと前記キッチン、
を設け、
前記ワークコーナーと前記物を収納するための部屋とが隣接し、
前記ワークコーナーと前記リビングダイニングとが室内窓を挟んで隣接することを特徴とするワークコーナーのある生活を支える住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークコーナーのある生活を支える住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭内や社会的事情により仕事場への通勤に替えて自宅での在宅勤務/リモートワークが益々その普及の度合いを増している。情報通信技術の進化に伴い、従来よりも自宅で仕事をすることが格段に容易になった職種の数は多い。家庭や社会の要望から今後一段と拡がると予想される在宅勤務/リモートワークへの移行を円滑に実施するうえで、大切なことはそれを可能ならしめる住宅の提供である。さまざまな制約のもと住宅内で働くこととなった人のなかには、ひとりで生活をしたり、子どもと生活をしたり、家族と生活をしたりと、さまざまなありかたの生活を送っている。ここで、各人の仕事環境をさらによいものにしたり、あるいは仕事をする際の負担を減らしたり、はたまた家事をするのに適した間取りを描いたりすることは、住宅メーカーがその職域とするところであり、かなめの在宅勤務/リモートワーク、とりわけいま世界で新しい働きかたへの変革が起こるなか、その新しいスタイルに十全に対応しようとする住宅の提供が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-205979号公報
【特許文献2】特開2018-178443号公報
【特許文献3】特開2003-161046号公報
【特許文献4】特開2000-274090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、在宅勤務/リモートワークの広まりを受けて、住宅の建築当初より在宅勤務/リモートワークの実施を視野に入れたものが開発、販売されている。仕事がしやすいよう屋内設備や間取り、こと仕事場に手を加えている住宅である。このような住宅の仕事場としては、次のようなものが例示できる。すなわち、リビングダイニングキッチン空間に隣接する閉じた空間の仕事場、窓を設けていない仕事場、そして、仕切壁を取り払った開けた仕事場。これらの仕事場には、集中しやすかったり、没頭しやすかったり、開放感があったりといったメリットがあるが、デメリットもある。第一に、閉じた空間の仕事場は、空気の流れが滞り空気が淀んでしまうことがある。さらに、仕事場とリビングダイニングキッチン空間が行き来可能に隣接する場合に仕事とプライベートの切り替えが難しくなることがある。第二に、窓を設けていない仕事場は仕事に集中できる利点があるが、窓のある空間と比べれば圧迫感は否めず気持ちが沈んでしまうことがある。むしろ仕事場に一定の開放感があれば集中過多による大きな疲労を避けられ仕事が進むこともある。第三に、仕切壁を取り払った開けた仕事場では、閉塞感を覚えずゆとりをもって仕事ができる一方、人によってはうまく集中できないことがある。
【0005】
本発明は、パントリーの有効利用、家事または日常生活に配慮した間取り、家庭内の仕事室、周囲に複数の部屋を配置したキッチンに関する特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を先行技術文献とし、上記課題を解決するとともに、通風を確保し、利便性を追求し、育児の環境と仕事の環境を備え、仕事の合間に一息つく場を設け、速やかに仕事を開始できる工夫を凝らし、在宅勤務/リモートワークに好適な仕事場を有する住宅、題してワークコーナーのある生活を支える住宅の提供を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のワークコーナーのある生活を支える住宅は、キッチン、リビングダイニング、寝室、在宅勤務が可能な仕事場であるワークコーナー、パントリー、および、物を収納するための部屋、を設けた住宅であって、行き来可能に隣接したふたつのことなる空間を設け、当該空間として、前記キッチンと前記リビングダイニング、前記リビングダイニングと前記寝室、前記寝室と前記ワークコーナー、前記ワークコーナーと前記パントリー、および、前記パントリーと前記キッチン、を設け、前記ワークコーナーと前記物を収納するための部屋とが隣接し、前記ワークコーナーと前記リビングダイニングとが室内窓を挟んで隣接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、在宅勤務が可能な仕事場であるワークコーナーと、リビングダイニングとの間に室内窓を設けている。在宅勤務/リモートワークに対応した間取りの住宅は、仕事場が屋外に隣接するものと、屋外に隣接しないものに分けることができる。屋外に隣接しない仕事場については、屋外に隣接するものと比べて外気を取り込むことが難しい。しかし衛生面からみれば、仕事場の風通しがよいと空気の流れが起こり空気を入れ替えることができることから、通風の確保は、在宅勤務/リモートワークの環境を調えるうえで課題のひとつになる。本発明の住宅は、仕事場であるワークコーナーとリビングダイニングとの間に室内窓を設けることで、ワークコーナーが屋外に隣接していない場合でも、室内窓でリビングダイニングとつながることにより、通常屋外に隣接するリビングダイニングから外気を取り込むことができる。
【0008】
また、在宅勤務/リモートワークにおいては、在宅のメリットをいかして洗濯に掃除や料理といった家事と、在宅勤務/リモートワークにおける仕事をともにすることも可能である。両方を並行してやるとした場合、仕事に使う空間内での移動、家事に使う空間内での移動、および、仕事に使う空間と家事に使う空間との間の移動について、これらに影響を及ぼす間取りの様態が、利便性の面でひとつ重要なポイントになる。本発明では、パントリーを仕事で使用する空間とみなしたときに、仕事で使用する空間であるワークコーナーとパントリーが行き来可能に隣接し、プライベート仕事で使用する空間であるキッチン、リビングダイニング、および、寝室において、キッチンとリビングダイニングが行き来可能に隣接し、リビングダイニングと寝室が行き来可能に隣接している。さらには、寝室とワークコーナーが行き来可能に隣接し、パントリーとキッチンが行き来可能に隣接している。このように、本発明の住宅の間取りでは、仕事の空間とプライベートの空間がそれぞれまとまっており、さらには、仕事の空間とプライベートの空間が、少なくとも二箇所で行き来可能に接続されている。これは、例えば、仕事で使用する部屋とプライベートで使用する部屋とが互いちがいに配設された間取りと比べると、仕事空間内での移動とプライベート空間内での移動が容易であるぶん、利便性に優れる。仕事空間とプライベート空間は、複数の出入口でつながっている。寝室とワークコーナーが行き来可能に隣接し、パントリーとキッチンが行き来可能に隣接しているため、仕事空間とプライベート空間の行き来が容易である。
【0009】
そして、在宅勤務/リモートワークのメリットに挙がる点として、育児の時間がとりやすいということがある。子どものいるところ、とりわけ幼い子どものいるところでは、育児と在宅勤務/リモートワークにおける仕事をともに行うことが多いが、子どもの安全に配慮し、至近で仕事をすれば育児は捗っても仕事はそうでもなく、逆に離れてやれば仕事は捗るも育児が難しくなる。そのさじ加減が、育児に好適な労働形態とされる在宅勤務/リモートワークで悩ましいところになる。しかし、本発明の住宅においては、仕事場であるワークコーナーが、室内窓を挟んでリビングダイニングに隣接しているため、ワークコーナーで仕事をしているときに室内窓に目をやれば、リビングダイニングの様子をうかがうことができる。そして、リビングダイニングからも室内窓に目を向けると、ワークコーナーの中を見ることができる。ワークコーナーで仕事をする親にしてみると、リビングダイニングにいる子どもを窓越しに見守ることができ、また、仕切となるものがあることで、仕事に集中することができる。リビングダイニングにいる子どもにしてみると、窓の向こうに親がいるため安心できる利点がある。
【0010】
ところで、前述のとおり、その労働形態の性質から、在宅勤務/リモートワークにおいては、仕事の空間でその仕事をこなすとともに、プライベートの空間で洗濯に掃除や料理といった家事や育児を行うことが可能であるが、一方、仕事とプライベートにおいてやるべきことが増えるにつれ、仕事とプライベートの境界があいまいになり、休息をとるタイミングを誤ったり、意図したよりも長めの休息をとってしまうことがある。本発明の間取りでは、仕事場であるワークコーナーとパントリーが、仕事の空間の中で隣接している。ワークコーナーで仕事をするときにプライベート空間のリビングダイニングまで行かずとも、ワークコーナーに隣接するパントリーで、仕事の合間に一息つくことができる。仕事の空間の中に、仕事をする場と休息をとる場を設けている。在宅勤務/リモートワークにおける仕事をする際はパントリーで、家事や育児といったプライベートのことをする際はリビングダイニングで、一息つくことが可能である。
【0011】
なお、在宅勤務/リモートワーク最大の利点のひとつに通勤時間の短縮が挙げられる。起床してから仕事を始めるまでにかかる時間の長さが大幅に減るという利点がある。ただし、人によってはなおプライベートの空間から仕事の空間へ行く際に心理的な抵抗を抱くことがある。その心理的な抵抗は、在宅勤務/リモートワークを行う住宅の間取りや設備を工夫することにより如何ようにも変えられる可能性を秘めている。そして本発明の住宅の間取りでは、仕事の空間のワークコーナーとプライベートの空間の寝室とが、隣り合わせに配設されている。寝室とワークコーナーが隣り合わせになっていれば、寝室からワークコーナーへ行くときの心理的な抵抗は、これらが隣り合わせになっていない場合と比較すれば小さいものと想定される。寝室とワークコーナーが隣接していることから、建築家、美術家、小説家といった創作に関わるものにとっては、就寝中や起床後まもなく着想を得たりした際に、すぐにワークコーナーでアイデアを形にすることができる。
【0012】
さて、自宅で仕事をする際、職務上関係のあるものとは電話、SNS、オンライン会議を含む通信手段で連絡を取り合うことがある。このうちオンライン会議では自身の発言や表情が音声や動画で他の参加者へと配信されることが一般的である。このような会議においては、予め住宅内に専用の仕事場を設けてあると幸便である。本発明においては、物を収納するための部屋は、ワークコーナーに隣接して設けられる。また、前述のとおり、ワークコーナーとリビングダイニングが室内窓を挟んで隣接する。オンライン会議では、参加者の姿とともにその背景も映ることがあるが、もし仮にワークコーナー内で室内窓を背にしてオンライン会議の実施や参加をするとした場合、リビングダイニングの様子が室内窓越しに映ってしまう可能性がある。リビングダイニングはプライベートの空間にあたるため、仕事の際はその映像の配信を避けたいことがある。よって、室内窓を背にしたオンライン会議の実施や参加は都合がわるい場合がある。本発明では、ワークコーナーは物を収納するための部屋に隣接しているが、境界となる壁に物を掛けず周囲に物を置かなければ、それを背景にオンライン会議の実施や参加をすることで不都合が生じなくなり、自身の配信動画の背景部分に手を加える必要もなく準備の手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の好ましい一実施形態を添付図面を参照しつつ説明する。なお、添付図面の方角指定は説明のため便宜的に設けたにすぎず、当然、本発明の他の実施形態を限定しない。加えて、本実施形態は飽くまで本発明の一実施形態であり、本発明の他の実施形態を限定しない。
【0015】
本実施形態における住宅10は、集合住宅内の住戸である。間取りは在宅勤務/リモートワークに適切に対応できるよう構成した。その間取りを
図1に示す。
【0016】
図1のとおり、住宅10は南北方向よりも東西方向に長い略長方形の形状である。界壁23と外壁24に囲まれた住宅10の屋内空間は、玄関ドア12北の玄関13から始まって、さらにその北に玄関ホール14、玄関ホール14の西に第二寝室73、玄関ホール14の北にトイレ15と廊下16、廊下16の南に洗面所17、そのさらに南に浴室21を擁し、次いで洗面所17の東にキッチン81、そのさらに東にリビング62とダイニング63からなるリビングダイニング61、そのさらに東にバルコニー66、リビングダイニング61の南に第一寝室71、第一寝室71の西にワークコーナー30、そのさらに西にパントリー50を設けている。また、住宅10の屋内空間に含まれる玄関13の南、玄関ドア12を開けた先に玄関ポーチ11を配設している。
【0017】
まず、住宅10の出入口は、住宅10の略南西部に位置する。外から住宅10に入るには、玄関ポーチ11より、それに隣接する外開きの玄関ドア12を開き、その北に設けられた玄関13へ進む。住宅10の入居者や来客が靴を脱ぐ場が玄関13であり、玄関13の西側には仕切壁に沿って靴の収納棚が設けられている。続いて、玄関13に連続するのは玄関ホール14である。玄関ホール14は玄関13を挟んで、閉じた玄関ドア12と南北方向に対向する。
【0018】
次に、玄関ホール14の西には、第二寝室73を配設している。第二寝室73は住宅10の最西端に位置する。第二寝室73には、南側の壁面に沿って物入がふたつ設置されている。
【0019】
また、玄関13を北進すると玄関ホール14そしてその先の廊下16に至る。玄関ホール14と廊下16の間に戸、障子、ふすま、とびらといった建具はなく、玄関ホール14と廊下16が連続した空間を形成している。廊下16は、複数の空間をつなぐ機能を有する。玄関ホール14よりトイレ15、洗面所17、キッチン81、またはリビングダイニング61へ向かうには、いずれの場合にも廊下16を通らなくてはならない。
【0020】
そして、住宅10の北端にあるトイレ15は、第二寝室73の東、玄関ホール14の北、廊下16の西、外壁24北部の南に設けている。トイレ15とそれに隣接する廊下16との間には、開き戸を設けてある。トイレ15は、洗面所17やキッチン81、リビングダイニング61とは、廊下16を通じて往来可能である。
【0021】
ところで、洗面所17は廊下16に隣接している。その内部には、西側に洗濯機18と洗面台19を設けている。洗面所17は外壁24に隣接しておらず、北は廊下16、南は浴室21に隣接している。南に浴室21に隣接する洗面所17は、入浴の際の脱衣所としても使うことができる。なお、住宅10の内部空間の南端にある浴室21は、洗面所17を挟んで廊下16と南北方向に対向する。
【0022】
さて、玄関ホール14から廊下16の先へ行こうと開き戸を開けば、南にキッチン81が見える。キッチン81は、南北方向に延びる通路を有するが、当該通路を北方向へ延伸し、廊下16を東方向へ延伸すれば、ふたつは略直交する。なお、キッチン81の設備には、シンク82、コンロ83、冷蔵庫84が含まれる。シンク82とコンロ83はキッチン81の東側の壁面に、冷蔵庫84はキッチン81の西側の壁面に沿って配設される。また、キッチン81はリビングダイニング61に隣接する。ここで、キッチン81とリビングダイニング61の間は、仕切壁25によって仕切られている。コンロ83とリビングダイニング61の間の仕切壁25の一部と、シンク82とリビングダイニング61の間の仕切壁25の一部とでは、高さがことなる。コンロ83とリビングダイニング61の間には、床から天井まで仕切壁25の一部が設けられている。シンク82とリビングダイニング61の間には、床からシンク82と同程度の高さまでの仕切壁25の一部が腰壁として設けられている。
【0023】
続いて、住宅10の北東角部を占めるのは、リビングダイニング61である。リビングダイニング61へ行くには三通りの室内経路が存在する。例えば、玄関ホール14からは、それに連続する廊下16を東進する経路、キッチン81からは、北進し、突き当りを東進する経路、あるいはワークコーナー30からは、東進し、第一寝室71を北進する経路である。ここで、リビングダイニング61は、リビング62とダイニング63からなる。家族や知人との楽しい集まりの場にもなるリビング62は、北東角部のリビングダイニング61において東側の空間を占める。リビング62には、ソファー、テーブル、テレビといった設備があるが、これら設備の役割のひとつにリビング62をなごやかな雰囲気の場に昇華することがある。居心地がよく穏やかでやわらいだ気分にさせるものである。
【0024】
次いで、リビング62の東の屋外にはバルコニー66が設けられている。バルコニー66とリビング62の間には、その間を出入りするための出入口である窓67があり、窓67は、バルコニー66と住宅10の屋内空間との境の外壁24に設けられている。バルコニー66は、住宅10の外壁24東部の略全域に亘り南北方向にまっすぐに延設されている。一方、住宅10北東角部のリビングダイニング61で西側の空間を占めるダイニング63は、食事の場である。ダイニング63には食事をするためのテーブルとイスがある。ダイニング63は、リビング62と連続した空間であり、間に仕切壁を設けていない。ダイニング63は、西側の一部でキッチン81と、南側の一部でワークコーナー30と、さらには南側の一部で第一寝室71に隣接している。上述の如くリビングダイニング61とシンク82の境界には腰壁が配設されており、ダイニング63からキッチン81の一部を目視することができる。逆も同様である。ダイニング63と第一寝室71を行き来可能にする片引き戸が、リビングダイニング61と第一寝室71の間の仕切壁に設けられている。
【0025】
それから、第一寝室71は、住宅10の南東角部に位置する。第一寝室71にはベッドが設備に含まれる。第一寝室71へ、住宅10の他の部屋から向かうには、二通りの経路がある。第一寝室71の北にあるダイニング63より片引き戸を開いて入る経路と、第一寝室71の西にあるワークコーナー30より垂れ壁36を抜けて入る経路である。また、窓67とは別の窓が、第一寝室71とバルコニー66の間を出入りするための出入口となっている。さらに、第一寝室71は、西側の一部で物入72に隣接している。物入72は、北側でワークコーナー30と、西側で外壁24と、南側で界壁23に隣接している。物入72とワークコーナー30の間は仕切壁となっている。
【0026】
そうして、ワークコーナー30は、在宅勤務/リモートワークに好適な場を供する。ワークコーナー30はダイニング63に隣接している。ワークコーナー30には、ワークカウンター31、棚34、イス35が備え付けられている。ワークカウンター31は造作の机である。ワークカウンター31は、ワークコーナー30とダイニング63の境の腰壁32に沿って設けられる。ワークカウンター31の上面は、室内窓33の下端の辺よりやや下方の高さにある。ワークカウンター31には、ワークコーナー30で使用する電子機器類のためのコンセントが近設されている。室内窓33は、ワークコーナー30とダイニング63をゆるやかにつないでいる。室内窓33によって、ワークコーナー30からリビングダイニング61に目をやることができる。室内窓33は縦方向と横方向に仕切材で仕切られている。縦方向と横方向に仕切られた室内窓33の各窓の一部は、開くことができる。棚34は、室内窓33の隣に設けられる。棚34には、仕事で使う書物や書類、小物類を置くことができる。イス35は、ワークカウンター31とともに用いられるものである。腰壁32は、ワークコーナー30とダイニング63の間に設けられる。腰壁32は、床から一定の高さまでの壁であり、それより上から天井までは室内窓33が設けられる。ワークコーナー30と第一寝室71の間には、垂れ壁36を設けている。ワークコーナー30とパントリー50の間は開き戸を介して出入り可能である。
【0027】
その次に、住宅10の略中心部には、パントリー50が配設されている。パントリー50の北にはキッチン81が、東にはワークコーナー30が、西には浴室21がある。パントリー50は、片引き戸52を通じて、隣接するキッチン81と行き来可能である。パントリー50は、開き戸を通じて、隣接するワークコーナー30と行き来可能である。パントリー50には、造り付けの棚51を設けてあり、コーヒーメーカーや菓子類を棚51に置くことができる。棚51はパントリー50の西側の壁面に沿って設けられている。パントリー50には、電源として棚51にコンセントが近設されている。また、パントリー50はシンクを備えている。そのシンクは、棚51の下部に埋め込み式で設けることができる。パントリー50の天井には、スピーカー付きシーリングライトを設け、音楽を聴きコーヒーを飲みながら休憩できるようにすることができる。
【0028】
以上、本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、次のような一実施形態もある。
【0029】
まず、本実施形態に係る前提として一般に、収納容量のある大規模なオフィスに対して住宅の収納容量は少ないほうである。在宅勤務/リモートワーク関連の物を保管する場は、住宅内部の他の生活用品との兼ね合いもあるなか限定されてしまうのが通常の住宅である。在宅勤務/リモートワーク用の仕事場を住宅内部に設ける際には、実際に仕事をする場の単なる確保のみならず、予め仕事に使用する備品や消耗品の収納場所を考慮しておくことが働きやすさにつながるポイントのひとつになる。
【0030】
図2において、物を収納するための部屋であるウォークインクローゼット38は、間に建具を設けてワークコーナー30と仕切られ、ウォークインクローゼット38と第一寝室71の境界には壁が設けられている。ウォークインクローゼット38がワークコーナー30に隣接していることから、在宅勤務/リモートワークで使用する電子機器や附属機器、書類、その他物品は、ワークコーナー30に適当な収納場所を設けることができない場合、このウォークインクローゼット38に収納することもでき、仕事の空間の幅が拡がり利便性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る住宅は、通風を確保し、利便性を追求し、育児の環境と仕事の環境を備え、仕事の合間に一息つく場を設け、速やかに仕事を開始できる工夫を凝らし、在宅勤務/リモートワークに好適な仕事場を有するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0032】
10 住宅
30 ワークコーナー
38 ウォークインクローゼット
50 パントリー
61 リビングダイニング
62 リビング
63 ダイニング
71 第一寝室
72 物入
81 キッチン