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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107271
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】食品残渣の資源化プラント
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/20 20220101AFI20220713BHJP
   B02C 18/00 20060101ALI20220713BHJP
   B02C 21/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
B09B3/00 301B
B02C18/00 104A
B02C21/00 C ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002118
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】519124084
【氏名又は名称】エイ・エス・デイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】上野 廣彬
【テーマコード(参考)】
4D004
4D065
4D067
【Fターム(参考)】
4D004AA03
4D004AB01
4D004AB02
4D004AB06
4D004AC05
4D004BA03
4D004BA04
4D004CA03
4D004CA04
4D004CA13
4D004CA15
4D004CA22
4D004CA42
4D004CB05
4D004CB13
4D004CB15
4D004CB27
4D004CB31
4D004CB45
4D004DA09
4D065CA17
4D065CB01
4D065CC01
4D065DD06
4D065DD19
4D065DD26
4D065DD30
4D065EB15
4D065EB17
4D065EB20
4D065ED03
4D065ED18
4D065ED23
4D065ED31
4D065ED50
4D065EE08
4D065EE12
4D067DD02
4D067DD08
4D067DD11
4D067DD13
4D067GA17
4D067GA20
4D067GB03
(57)【要約】
【課題】食品残渣を効率よく資源化する。
【解決手段】分離装置12において食品残渣から固形物48が除外される。分離装置12から排出された流動化した食品残渣を乾燥装置14が受け入れる。乾燥装置14を構成する第一の乾燥釜16と第二の乾燥釜18により加熱乾燥させた食品残渣は塊状になって油分除去装置22に受け入れられる。油分除去装置22はその塊状の食品残渣を加熱加圧して油分を分離する。粉砕装置26は、油分除去装置22から排出された食品残渣を受け入れて微粉末状に粉砕する。こうして、食品残渣は肥料や家畜の飼料として資源化される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品残渣から固形物が除外されて、流動化した食品残渣を受け入れて、加熱乾燥させる乾燥装置と、乾燥装置から排出された食品残渣を加圧して油分を分離する油分除去装置と、油分除去装置から排出された食品残渣を受け入れて粉砕する粉砕装置とを備え、
上記乾燥装置は、上記食品残渣を受け入れて加熱撹拌して排出する第一の乾燥釜と、第一の乾燥釜から排出された食品残渣を受け入れてさらに加熱撹拌して排出する第二の乾燥釜と、第二の乾燥釜の運転中に、その内部の高温ガスを、運転中の第一の乾燥釜に送り込む送気装置を備え、
上記の油分除去装置は、上記の乾燥装置から排出された食品残渣の温度が常温に戻る前に加圧して油分を絞り出す圧縮装置を備えたことを特徴とする食品残渣の資源化プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミ等から発生する食品残渣の資源化プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭から出される生ゴミ等を分別処理して、肥料や家畜の飼料等の資源を取り出す技術が、数多く開発されている。特許文献1では、ポリ袋やプラスチックや金属ゴミ等の固形物と食品残渣とを自動的に分離する装置が紹介されている。特許文献2では食品残渣を乾燥させて資源化する装置が紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2019-72677号公報(中国実願2019215516533号公報)
【特許文献2】特許906242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生ゴミから分離された食品残渣には大量の水分や塩分や油分が含まれている。肥料や家畜の飼料にするためには、これらの水分や塩分や油分を適量まで除去しなければならない。油分は分離抽出して燃料などに利用することができる。従って、これらを効率よく分離することができるプラントの実現が要求されている。本発明はこの点に着目してなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
【0006】
<構成1>
食品残渣から固形物が除外されて、流動化した食品残渣を受け入れて、加熱乾燥させる乾燥装置と、乾燥装置から排出された食品残渣を加圧して油分を分離する油分除去装置と、油分除去装置から排出された食品残渣を受け入れて粉砕する粉砕装置とを備え、
上記乾燥装置は、上記食品残渣を受け入れて加熱撹拌して排出する第一の乾燥釜と、第一の乾燥釜から排出された食品残渣を受け入れてさらに加熱撹拌して排出する第二の乾燥釜と、第二の乾燥釜の運転中に、その内部の高温ガスを、運転中の第一の乾燥釜に送り込む送気装置を備え、
上記の油分除去装置は、上記の乾燥装置から排出された食品残渣の温度が常温に戻る前に加圧して油分を絞り出す圧縮装置を備えたことを特徴とする食品残渣の資源化プラント。
【発明の効果】
【0007】
第二の乾燥釜の内部では、乾燥した食品残渣の粉塵が発生する。第二の乾燥釜から乾燥した食品残渣を排出するときに、その粉塵がプラントの環境を汚染する。第二の乾燥釜からその粉塵を含んだ高温ガスを第一の乾燥釜に送り込むので、粉塵による環境汚染を軽減できる。第一の乾燥釜に高温ガスを送り込むので、第一の乾燥釜の加熱用エネルギの節約にもなる。乾燥装置から排出された食品残渣の温度が常温に戻る前に食品残渣を圧縮するので、温度上昇して流動化した油分を容易に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】Fig1は本発明のプラントの概略図である。
図2】Fig2Aは分離装置の一部を切除した斜視図である。
図3】Fig2Bは分離装置の横断面図である。
図4】Fig3は分離装置の主要部の斜視図である。
図5】Fig4は第一の乾燥釜の正面図である。
図6】Fig5は第一の乾燥釜の内部構造を示す斜視図である。
図7】Fig6は油分除去装置の概略構成図である。
図8】Fig7は粉砕装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例0010】
(プラントの概略)
Fig1に示したプラントは、分離装置12と乾燥装置14と油分除去装置22と粉砕装置26とを、工程順に配置したものである。分離装置12はFig2A,BとFig3で、乾燥装置14はFig4とFig5で、油分除去装置22はFig6で、粉砕装置26はFig7で、その詳細をそれぞれ図面を参照しながら説明する。
【0011】
まず、Fig1のプラントの概略を説明する。分離装置12において食品残渣から固形物48が除外される。分離装置12から排出された流動化した食品残渣を乾燥装置14が受け入れる。乾燥装置14を構成する第一の乾燥釜16と第二の乾燥釜18により加熱乾燥させた食品残渣は塊状になって油分除去装置22に受け入れられる。
【0012】
油分除去装置22はその塊状の食品残渣を加熱加圧して油分を分離する。粉砕装置26は、油分除去装置22から排出された食品残渣を受け入れて微粉末状に粉砕する。こうして、食品残渣は肥料や家畜の飼料として資源化される。
【0013】
上記乾燥装置14は、第一の乾燥釜16と第二の乾燥釜18と送気装置20とを備える。第一の乾燥釜16は、上記食品残渣を受け入れて加熱撹拌して排出する。第二の乾燥釜18は、第一の乾燥釜16から排出された食品残渣を受け入れて、さらに加熱撹拌して排出する。送気装置20は、第二の乾燥釜18の運転中に、その乾燥釜18の内部の高温ガスを、運転中の第一の乾燥釜16内に送り込む。
【0014】
上記の油分除去装置22は、上記の乾燥装置14から排出された食品残渣の温度が常温に戻る前に受け入れて、加圧して油分を絞り出す圧縮装置を備える。なお、加圧中の温度を維持するために、乾燥装置14で発生した余熱が送気装置82を通じて油分除去装置22に送りこまれている。
【0015】
乾燥装置14から排出された食品残渣の温度が常温に戻る前に食品残渣を圧縮するので、温度上昇し流動化した油分を容易に分離して、抽出容器23に受け入れて資源化することができる。脱油処理中に乾燥装置14で発生した余熱を利用して、油分を流動化させれば、効率よく油分を分離することができる。
【0016】
(分離装置)
Fig2AとBには、特許文献2に記載された分離装置12を例示した。Fig2Aは、食品残渣の分離装置12の具体例を示し、フード44の一部分を切り開いた斜視図である。Fig2Bには、Fig2Aに示した装置の断面図を示した。この装置は、ゴミ袋などに収容された食品残渣を投入口46から受け入れて粉砕して、プラスチック容器やその他の固形物48と食品残渣42とを離する機能を持つ。
【0017】
この装置の内部には、回転軸50に支えられて回転する回転板52と、ゴミ袋等を切り裂くための爪54と、食品残渣を磨り潰して分離する多孔板56とが備えられている。多孔板56を通過した食品残渣42は、フード44の下に配置された搬送装置28によって、次の工程に向けて排出される。なお、分離された固形物は排出口47を通じて排出され、搬送装置30により別工程に運び出される。
【0018】
Fig3には回転板52と多孔板56との関係を示す斜視図を示した。両方の図面に示すように、回転板52が矢印Eの方向に回転すると、食品容器が叩かれて爪54(Fig2B)に突き当たって切り裂かれ、食品残渣42が飛び出す。その後食品残渣42も破砕されて、Fig3に示すように、回転板52により多孔板56に押しつけられ、磨り潰されて落下する。多孔板56はおろし金のような作用をする。Fig2Aに示した分離装置12のフード44の真下に設けられた搬送装置28は、落下してきた食品残渣を外部に排出する。
【0019】
(乾燥装置)
Fig4は乾燥釜14の外観側面図である。この装置の天井部分には、食品残渣42(Fig2B)を投入するための投入口62が設けられている。この乾燥釜14は壁面が蒸気によって加熱されており、内部で食品残渣42が攪拌され、乾燥した食品残渣42が排出口64から排出される。
【0020】
Fig5は、乾燥釜14の内部機構の斜視図である。これは、特許文献3に記載されたものである。回転軸67の周りには、何本もの腕66が取り付けられている。各腕66の先端には、いくつかの爪68をつけた羽根70が取り付けられている。回転軸67を回すと、これらの羽根70が回転して、食品残渣を攪拌しながら乾燥させる。食品残渣に含まれた水分が少なくなると食品残渣は塊状になって、羽根70に付着する。羽根70に設けられた爪68がその塊を小さく砕いてさらに乾燥を促進する。この作用は、特許文献2に記載されたとおりである。
【0021】
なお、この発明では、Fig1に示すように、第一の乾燥釜16と第二の乾燥釜18を使用するが、その構造はほぼ同じである。第一の乾燥釜16では、食品残渣の含水率を30%~40%程度まで下げる。そして、その食品残渣を第二の乾燥釜18に送り込む、第二の乾燥釜18では、食品残渣の含水率を5%~10%まで下げる。
【0022】
第二の乾燥釜18で食品残渣の乾燥が進むと、食品残渣の粉塵が舞い上がり。第二の乾燥釜18から乾燥した食品残渣を排出するときにこの粉塵が作業環境を悪化させる。そこで、第二の乾燥釜18の運転中に発生した粉塵を高温のガスとともに第一の乾燥釜16に送り込む。この粉塵は第一の乾燥釜16に投入された水分の多い食品残渣と混ざりあって、大気中に飛散することがない。しかも、高温のガスは第一の乾燥釜16の熱源になるため、全体として熱エネルギーを節約できる 。
【0023】
Fig1に示したように、送気装置20が第一の乾燥釜16と第二の乾燥釜18の間を配管で接続している。この送気装置20は、図1の一点鎖線の円内には送気装置の一例の断面図を示した。ファン21を使用した既知の換気扇と同様の構造のものである。高温のガスを送るので耐熱性の高い装置を使用するとよい。
【0024】
(油分除去装置)
Fig6は油分除去装置22の概略断面図である。この装置のシリンダ80中に食品残渣が投入される。ピストン78を矢印Pの方向に駆動して食品残渣77を圧縮する。これにより、絞り出されて分離した油分は矢印Wの方向に流れ落ちて、抽出容器23に収容される。
【0025】
乾燥装置から排出された食品残渣の温度が常温に戻る前に加圧して油分を絞り出すと、食品残渣77に含まれた油分の流動性が高く、水分とともに容易に分離される。この油分は燃料等に資源化される。
【0026】
(粉砕装置)
Fig7は粉砕装置の概略図である。粉砕装置は例えばこの図に示すように、乾燥した食品残渣の塊を受け入れて攪拌機88を回転させて粉砕する機構を備える。微粉末になった食品残渣は網90を通り抜けて落下し、資源容器76に収容される。
【符号の説明】
【0027】
12 分離装置
14 乾燥装置
16 第一の乾燥釜
18 第二の乾燥釜
20 送気装置
21 ファン
22 油分除去装置
23 抽出容器
26 粉砕装置
28 搬送装置
30 搬送装置
44 フード
46 投入口
47 排出口
48 固形物
50 回転軸
52 回転板
54 爪
56 多孔板
62 投入口
63 投入口
64 排出口
65 排出口
66 腕
67 回転軸
68 爪
70 羽根
74 投入口
76 資源容器
77 食品残渣
78 ピストン
80 シリンダー
82 送気装置
88 攪拌機
90 網



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8