(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107289
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】側溝設備
(51)【国際特許分類】
E03F 5/14 20060101AFI20220713BHJP
E03F 5/04 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
E03F5/14
E03F5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002147
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】000230836
【氏名又は名称】日本興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】松山 哲也
(72)【発明者】
【氏名】亀山 剛史
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CA02
2D063CA27
2D063DB08
(57)【要約】
【課題】油水分離機能を有する側溝設備であって、急激に水等が流入する場合であっても、その油水分離機能が損なわれることを抑制できる側溝設備を提供する。
【解決手段】側溝設備10は、断面がU字形状のU形側溝体で構成されている。側溝設備10は、通水部11と、通水部11よりも溝が深い油水分離部12と、を含んでいる。油水分離部12は、油水分離隔壁22により隔てられた二以上の部屋を有している。そして、通水部11から油水分離部12への流れを妨げ、通水のための流入オリフィス24を有する流入隔壁23が設けられている。この構成より、側溝に流入する水等が増えた場合でも、油水分離部12に流入する水等の流量が、所定の値よりも少なくなるように制限されるので、油水分離部12の油水分離の機能が低下することを抑制できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面がU字形状のU形側溝体で構成されている側溝設備であって、
前記側溝設備は、通水部と、該通水部よりも溝が深い油水分離部と、を含み、
前記油水分離部は、油水分離隔壁により隔てられた二以上の部屋を有し、
前記側溝設備には、前記通水部から前記油水分離部への流れを妨げ、通水のための流入オリフィスを有する流入隔壁が設けられている、
ことを特徴とする側溝設備。
【請求項2】
前記油水分離隔壁には、
上流側の部屋に油類を残存させながら、上流側の部屋から下流側の部屋に水等を通過させるための連通管が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の側溝設備。
【請求項3】
前記連通管の流入口の下端が、該連通管の上流側に位置する前記通水部の底面の高さと前記油水分離部の底面の高さのとの中間よりも下側に位置している、
ことを特徴とする請求項2に記載の側溝設備。
【請求項4】
前記連通管は油水分離隔壁にそれぞれ1つずつ設けられ、
隣接する油水分離隔壁に設けられている連通管は、水等の流れ方向の軸心を通る鉛直面に対して、それぞれ異なる側に配置されている、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の側溝設備。
【請求項5】
前記油水分離隔壁には、前記連通管とともに、通水孔が設けられ、
前記通水孔の下限は前記油水分離部の底面と同じ高さであり、
前記通水孔の上限は前記連通管の上流側に位置する前記通水部の底面よりも低い、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の側溝設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝設備に関する。さらに詳しくは、U形側溝体を連結して構成されている側溝設備に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の脇には、排水のための側溝設備が通常設けられている。この側溝設備の多くは、JISに規定するU形側溝などを連結して構成される。この側溝設備には、道路上において発生する粉じん等を蓄積するための枡型構造物が一定間隔ごとに設けられている。この道路上で発生した粉じん等は、降雨の際に側溝を経由して枡型構造物内に蓄積され、蓄積された粉じん等は、一定期間ごとに掃除される。
【0003】
このように水よりも比重が重い粉じん等は、枡型構造物内に蓄積できる。しかし道路では、自動車からのオイルなどが漏れる場合もある。この場合水よりも比重が軽い油類はこの枡型構造物では取り除くことができず、側溝を経由して河川などにそのまま流れ出る可能性があった。
【0004】
特許文献1では、油水分離装置付側溝が開示されている。この文献に開示されている側溝は、雑排水から油を分離することができる構成を有している。すなわち、側溝に油水分離室が複数設けられるとともに、その油水分離室同士は溢水管により連通している。この溢水管の流入口が、流出口よりも下方に設けられているので、上流側において、比重の軽い油類は油水分離室の上側に残留し、比重の重い水がこの溢水管を通じて、下流側の油水分離室へ移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1の側溝では、最も上流側の油水分離室は、通常の深さを有する側溝からそのまま水等(以下、水と水以外の液体、および粉じん等を含む液体を「水等」いうことがある)が流れ込む構成となっている。このため、最も上流側に位置する油水分離室に急激に水等が流入する場合があり、この際に油水分離室で分離された油類が下流側の油水分離室へ流れ込みやすい。すなわち流量が増えると油水分離機能が損なわれやすいという問題がある。
また、特許文献1の側溝では、上流側の油水分離室から下流側の油水分離室への水等の移動は、油水分離室の底面に近接した溢水管のみが使用されるため、最も上流側の油水分離室に水よりも比重の重い粉じん等が、上流側の油水分離室のみに蓄積される。このため溢水管の入り口がふさがれたり、この部分の油水分離室の水等の蓄積容量が小さくなったりするという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、油水分離機能を有する側溝設備であって、急激に水等が流入する場合であっても、その油水分離機能が損なわれることを抑制できる側溝設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の側溝設備は、断面がU字形状のU形側溝体で構成されている側溝設備であって、前記側溝設備は、通水部と、該通水部よりも溝が深い油水分離部と、を含み、前記油水分離部は、油水分離隔壁により隔てられた二以上の部屋を有し、前記側溝設備には、前記通水部から前記油水分離部への流れを妨げ、通水のための流入オリフィスを有する流入隔壁が設けられていることを特徴とする。
第2発明の側溝設備は、第1発明において、前記油水分離隔壁には、上流側の部屋に油類を残存させながら、上流側の部屋から下流側の部屋に水等を通過させるための連通管が設けられていることを特徴とする。
第3発明の側溝設備は、第2発明において、前記連通管の流入口の下端が、該連通管の上流側に位置する前記通水部の底面の高さと前記油水分離部の底面の高さのとの中間よりも下側に位置していることを特徴とする。
第4発明の側溝設備は、第2発明または第3発明において、前記連通管は油水分離隔壁にそれぞれ1つずつ設けられ、隣接する油水分離隔壁に設けられている連通管は、水等の流れ方向の軸心を通る鉛直面に対して、それぞれ異なる側に配置されていることを特徴とする。
第5発明の側溝設備は、第2発明から第4発明のいずれかにおいて、前記油水分離隔壁には、前記連通管とともに、通水孔が設けられ、前記通水孔の下限は前記油水分離部の底面と同じ高さであり、前記通水孔の上限は前記連通管の上流側に位置する前記通水部の底面よりも低いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、通水部と油水分離部とを備えた側溝設備において、通水部から油水分離部への流れを妨げ、通水のための流入オリフィスを有する流入隔壁が設けられていることにより、側溝に流入する水等が増えた場合でも、油水分離部に流入する水等の流量が、所定の値よりも少なくなるように制限されるので、油水分離部の油水分離の機能が低下することを抑制できる。
第2発明によれば、流入隔壁が設けられるとともに、油水分離隔壁に、上流側の部屋に油類を残存させながら、上流側の部屋から下流側の部屋に水等を通過させるための連通管が設けられていることにより、流入隔壁により制限された流量の水等が油水分離部に流入し、さらに連通管により油水分離部の上流側の部屋から下流側の部屋への流量を制限するので油水分離が確実に行われる。
第3発明によれば、連通管の流入口の下端が所定の位置に位置されていることにより、油水分離機能を維持しながら、水よりも比重の重い粉じん等を油水分離部に蓄積することができる。
第4発明によれば、隣接する油水分離隔壁に設けられている連通管は、水等の流れ方向の軸心を通る鉛直面に対して、それぞれ異なる側に配置されていることにより、油水分離部の部屋に、水等が流入してから流出するまでの時間が長くなり、比重差による油水分離がさらに確実に行われる。
第5発明によれば、油水分離隔壁に、連通管とともに所定の形態の通水孔が設けられていることにより、水よりも比重の重い粉じん等が、油水分離部の上流側の部屋のみに堆積することを抑制できる。これにより連通管が詰まることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る側溝設備の正面からの断面図である(水位が比較的低い場合)。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る側溝設備の正面からの断面図である(水位が比較的高い場合)。
【
図4】
図1の側溝設備のIV-IV面における側面方向からの断面図である。
【
図5】
図1の側溝設備の上方からの一部断面図である。
【
図6】
図1の側溝設備の側面方向からの断面図である。
図6(A)はVI(A)-VI(A)面における断面図、
図6(B)はVI(B)-VI(B)面における断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る側溝設備の正面からの断面図である。
【
図8】
図7の側溝設備の側面方向からの断面図である。
図8(A)はVIII(A)-VIII(A)面における断面図、
図8(B)はVIII(B)-VIII(B)面における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための側溝設備を例示するものであって、本発明は側溝設備を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
【0012】
(第1実施形態)
図1および
図2は、本発明の第1実施形態に係る側溝設備10の正面からの断面図である。
図1は比較的側溝設備10内の水位Sが低く、
図2は比較的側溝設備10内の水位Sが高い場合を表している。なお
図1と
図2との相違点は水位Sの位置だけであるので、本実施形態の正面からの断面図の説明には、
図1が用いられる。本実施形態の側溝設備10は、例えば高速道路に沿って設けられる。この側溝設備10は、道路等の滞水を防ぐための排水目的で施工される。本実施形態に係る側溝設備10は、JISに記載されているU形側溝などの部材を組み合わせて構成されている。これらの部材は、JISに規定される形状に限定されない。溝の軸方向、すなわち水等が流れる方向に垂直な断面において、U字形状をしているU形側溝体を含んで構成されていれば問題ない。すなわちU形側溝体には、JISで規定されるU形側溝の他、JISで規定される以外の寸法を有するものを含む。
【0013】
本実施形態に係る側溝設備10は、通水部11と、油水分離部12とを含んで構成されている。
図1では、この側溝設備10に、道路等から流れ込んだ水等は、
図1の紙面において左から右へ流れる。通水部11は、道路等から流れ込んできた水等を所定の方向に流す機能を主に有し、油水分離部12は、水等に含まれる油類を、水等から分離し、そこに蓄える機能を主に有する。
【0014】
図1に示すように、通水部11は第1U形側溝体20を含んで構成されている。また、油水分離部12は、第2U形側溝体21を含んで構成されている。そして、第2U形側溝体21の溝は、第1U形側溝体20の溝よりも深さが深くなっている。これにより油水分離部12は、通水部11よりも溝が深くなっている。本実施形態に係る第1U形側溝体20および第2U形側溝体21の材質はコンクリートであるが、これに限定されない。例えば、樹脂製である場合もある。
【0015】
図3には、本実施形態に係る側溝設備10の平面図を示す。第1U形側溝体20および第2U形側溝体21は、上側に開口部を有し、この開口部をふさぐように蓋13が設けられている。蓋13には、側溝設備10の溝の内部を確認するための確認窓15、および油水分離部12に蓄積する粉じん等、油類を除去するための作業窓16が設けられている。
【0016】
図1に示すように、油水分離部12は、4つの油水分離隔壁22が設けられており、この油水分離隔壁22により油水分離部12は5つの部屋を有している。ただし、この油水分離隔壁22の数は、4つに限定されない。例えば油水分離隔壁22が1つであり、部屋が2つであることもある。しかし、油水分離部12の油水分離機能を確実に働かせ、油水分離部12の水等の流れ方向の長さをできる限り短くするためには、油水分離隔壁22が4つであることが好ましい。
【0017】
本実施形態に係る油水分離隔壁22の材質は、コンクリートであるが、これに限定されない。例えば樹脂製または鉄製であっても問題ない。本実施形態に係る油水分離隔壁22は、第2U形側溝体21に、水等の流れ方向に垂直な面内に設けられた溝に嵌めることにより固定されている。
【0018】
図1、
図4に示すように、本実施形態に係る側溝設備10では、第1U形側溝体20と第2U形側溝体21とを隔てるように流入隔壁23が設けられている。流入隔壁23は、通水部11から油水分離部12の流れを妨げるように設けられている。そしてこの流入隔壁23には、流入オリフィス24が設けられている。この流入オリフィス24は、流入隔壁23を貫通している孔であり、側溝設備10に流入した水等が、この流入オリフィス24を通過して油水分離部12へ流入する。
【0019】
通水部11と油水分離部12とを備えた側溝設備10において、通水部11から油水分離部12への流れを妨げ、通水のための流入オリフィス24を有する流入隔壁23が設けられていることにより、側溝に流入する水等が増えた場合でも、油水分離部12に流入する水等の流量が、所定の値よりも少なくなるように制限されるので、油水分離部12の油水分離の機能が低下することを抑制できる。
【0020】
本実施形態に係る流入隔壁23の材質は、コンクリートであるがこれに限定されない。例えば樹脂製または鉄製であっても問題ない。また本実施形態に係る流入オリフィス24の流入口の形状は、
図4に示すように円形状である。この円形状の直径は、油水分離部12の油水分離機能の能力により計算される。例えば、後述する油水分離部12の連通管25の大きさ、および通水孔26(
図8参照)が設けられる場合はこの通水孔26の大きさにより、流入オリフィス24の直径は決定される。
【0021】
流入オリフィス24が設けられる位置は、流入オリフィス24の最下部が第1U形側溝体20の底面、すなわち通水部11の底面と同じ高さであることが好ましい。ここで、本実施形態で「通水部11の底面」とは、第1U形側溝体20の下部に施工された底版コンクリートの上面を意味する(
図4参照)。第1U形側溝体20の底面と同じ高さであることにより、第1U形側溝体20を流れてきた水等に含まれる粉じん等が、第1U形側溝体20内で留まらず、油水分離部12に流入させることができるからである。また、本実施形態に係る流入オリフィス24の流入口の形状は、円形状であったが、これに限定されない。例えば四角形または底辺が下にある三角形とすることも可能である。
【0022】
本実施形態に係る油水分離隔壁22には、連通管25が設けられていることが好ましい。この連通管25により、油水分離部12にある部屋において、上流側の部屋に油類を残存させながら、上流側の部屋から下流側の部屋に水等が通過する。
【0023】
この原理について、以下に詳細に説明する。まず連通管25は、
図1、
図6に示すように、L字型の配管である。このL字型の配管の、一方の辺を水平に、他方の辺を鉛直にし、鉛直部分の端面を下方へ向けるように、連通管25が設けられている。この状態で、油水分離部12の最も上流側の部屋に水等が流入すると、この部屋の水位が上がる。水位が上がり、連通管25の水平部分の最下部に水等が到達すると、水等は、上流側の部屋から下流側の部屋へ流れ始める。水等が最初に最も上流側の部屋に流入した際には、水等の中の油類は、比重が軽いので水等の中で上側に位置し、そのまま水位が上がると連通管25を通じて油類の一部は下流側の部屋に流れるが、水位が上がったままの状態が継続されると、連通管25の流入口の周辺は、油類が少なくなった水等となるので、油類が上流側の部屋に残存し、下流側の部屋に、油類が少なくなった水等が流れ出る。
【0024】
流入隔壁23が設けられるとともに、油水分離隔壁22に、上流側の部屋に油類を残存させながら、上流側の部屋から下流側の部屋に水等を通過させるための連通管25が設けられていることにより、流入隔壁23により制限された流量の水等が油水分離部12に流入し、さらに連通管25により油水分離部12の上流側の部屋から下流側の部屋への流量を制限するので油水分離が確実に行われる。
【0025】
本実施形態に係る連通管25の形態は、L字型の配管であるが、これに限定されない。また本実施形態に係る連通管25は、配管部品のエルボとニップルの組合せであるが、これに限定されない。本実施形態に係る連通管25のL字型の端部は、その軸心に対して垂直な面を有しているが、これに限定されない。本実施形態に係る連通管25の水平部分の内部の最下部は、通水部11の底面と同じ高さであるが、これに限定されない。
【0026】
なお、本実施形態に係る連通管25の流入口の下端は、その連通管25の上流側に位置する通水部11の底面の高さと、油水分離部12を形成する第2U形側溝体21の底面の高さとの中間よりも下側に位置していることが好ましい。ここで、本実施形態で「油水分離部12の底面」とは、第2U形側溝体20の下部に施工された底版コンクリートの上面を意味する(
図6参照)。
【0027】
連通管25の流入口の下端が所定の位置に位置されていることにより、油水分離機能を維持しながら、水よりも比重の重い粉じん等を油水分離部12に蓄積することができる。
【0028】
図5には、本実施形態に係る側溝設備10の油水分離部12の部分を上方から見た断面図を、
図6には、側面方向(上流側)から見た断面図を示す。
図6(A)は
図1のVI(A)面における断面図、
図6(B)は
図1のVI(B)面における断面図である。本実施形態に係る連通管25は油水分離隔壁22にそれぞれ1つずつ設けられている。そして、これらの連通管25のうち、隣接する油水分離隔壁22に設けられているものは、水等の流れ方向の軸心を通る鉛直面Eに対して、それぞれ異なる側に配置されている。
図5、
図6において、一点鎖線で示したものが、水等の流れ方向の軸心を通る鉛直面Eである。そして
図5の最も左側に位置する油水分離隔壁22aには、連通管25は
図5において鉛直面Eの上側(
図6においては鉛直面Eの左側)に位置し、最も左側に位置する油水分離隔壁22aと隣接する油水分離隔壁22bには、連通管25は
図5において鉛直面Eの下側(
図6においては鉛直面Eの右側)に位置している。
【0029】
隣接する油水分離隔壁22に設けられている連通管25は、水等の流れ方向の軸心を通る鉛直面Eに対して、それぞれ異なる側に配置されていることにより、
図5の矢印で示すように水等が進み、各部屋における水等の滞留時間が長くなる。油水分離部12の部屋に、水等が流入してから流出するまでの時間が長くなるので、混ざり合っていた水と油類とが分離するための時間を稼ぐことができ、油水分離がさらに確実に行われる。すなわち上流側の部屋から流出してきた水等が、下流側の部屋で長時間残存させられるという状況が繰り返されるので、油類を確実に捕捉できる。
【0030】
本実施形態では、流入隔壁23は、通水部11と油水分離部12とのちょうど間に配置されていたが、流入隔壁23の位置はこれに限定されない。例えば、油水分離部12から、あらかじめ定められた距離だけ離れた位置に流入隔壁23を設けることも可能である。
【0031】
また本実施形態では、油水分離部12における油水分離機能は、連通管25があることにより達せられるが、油水分離機能を達成する構成は、連通管25を有する構成に限定されない。たとえば、所定の高さに油水分離隔壁22を通過するための孔を設けることにより油水分離機能を達成することも可能である。
【0032】
なお、本実施形態においては、通水部11に一つの油水分離部12が設けられる構成について説明したが、本発明に係る側溝設備10は、この構成に限定されない。道路の状況に応じて複数の油水分離部12が、あらかじめ定められた間隔を有して設けられる場合がある。
【0033】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る側溝設備10の正面からの断面図、
図8には、側面方向(上流側)から見た断面図を示す。
図8(A)は
図7のVIII(A)面における断面図、
図8(B)は
図7のVIII(B)面における断面図である。本実施形態に係る側溝設備10については、第1実施形態に係る側溝設備10との相違点のみを説明し、同じ部分については説明を省略する。
【0034】
本実施形態に係る油水分離隔壁22には、連通管25とともに通水孔26が設けられている。この通水孔26は、
図8に示すように角がトリミングされた、横長の四角形の形状をしている。そして、本実施形態では、この通水孔26の下限は、油水分離部12の底面と同じ高さであり、通水孔26の上限は、連通管25の上流側に位置する通水部11の底面よりも低くなっている。本実施形態においても第1実施形態と同様、「油水分離部12の底面」とは、第2U形側溝体20の下部に施工された底版コンクリートの上面を意味し(
図8参照)、「通水部11の底面」とは、第1U形側溝体20の下部に施工された底版コンクリートの上面を意味する。
【0035】
油水分離隔壁22に、連通管25とともに所定の形態の通水孔26が設けられていることにより、水よりも比重の重い粉じん等が、油水分離部12の上流側の部屋のみに堆積することを抑制できる。これにより連通管25が詰まることを防止できる。
【0036】
なお、本実施形態の通水孔26の形状は、四角形であったが特にこれに限定されない。例えば製作時の作業の容易性を考慮して、円形とすることも可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 側溝設備
11 通水部
12 油水分離部
20 第1U形側溝体
21 第2U形側溝体
22 油水分離隔壁
23 流入隔壁
24 流入オリフィス
25 連通管
26 通水孔
E 鉛直面