(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107359
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】クラウドサービス品質保証(SLA)の定量測定計算方法及びビジネスモデル
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220713BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002252
(22)【出願日】2021-01-08
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】521014375
【氏名又は名称】▲呉▼ 戦平
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 戦平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】SaaS又はPaaS事業者と利用者以外の第三者としてインターネットを介してクラウド計量証明用サーバを起動して、計量証明対象となるSaaSとPaaSのSLA定量評価項目と使用量の実績結果を測定し証明することで、クラウドサービス業界の品質向上を促進することが可能な技術を提供する。
【解決手段】
クラウド計量証明用サーバが、SaaS又はPaaSの事業者と利用者以外の第三者によってインターネットを介して起動され、計量証明対象となるSaaS又はPaaSとの同期又は非同期通信を行い、SaaS又はPaaSからの受信日時を記録してアクセスログに蓄積し、サービス品質保証(SLA)定量評価項目に対する計算を行う、クラウドサービス品質保証の定量測定計算方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウド計量証明用サーバが、SaaS又はPaaSの事業者と利用者以外の第三者によってインターネットを介して起動され、計量証明対象となるSaaS又はPaaSとの同期又は非同期通信を行い、前記SaaS又はPaaSからの受信日時を記録してアクセスログに蓄積し、サービス品質保証(SLA)の定量評価項目に対する計算を行う、クラウドサービス品質保証の定量測定計算方法であって、
SLA可用性・信頼性定量評価項目の測定計算は、
非同期通信の場合に前記クラウド計量証明用サーバの可用性・信頼性計数登録APIが前記SaaS又はPaaSに呼び出されて受信日時を蓄積するステップと、
同期通信の場合に前記クラウド計量証明用サーバの可用性・信頼性計数プログラムが前記SaaS又はPaaSを呼び出して応答の受信日時を蓄積するステップと、
前記アクセスログに蓄積した受信日時により時系列経過時間を算出するステップと、
予め定められた計量時間基準間隔と比較し、故障有無を判別して故障間隔と復旧時間を算出するステップと、
可用性・信頼性定量評価項目の実績結果を取得するステップと、を有し、
SLA性能基準定量評価項目の測定計算は、
非同期通信により前記クラウド計量証明用サーバの性能基準計時登録APIが前記SaaS又はPaaSの性能測定対象処理の開始と終了に呼び出され受信日時を蓄積するステップと、
前記クラウド計量証明用サーバの性能基準計時確認APIより蓄積した開始と終了の受信日時に基づいて対象処理の経過時間を算出するステップと、
性能基準定量評価項目の実績結果を取得するステップと、を有することを特徴とする、
クラウドサービス品質保証の定量測定計算方法。
【請求項2】
クラウド計量証明用サーバが、使用量計数登録APIと使用量計数確認APIをインターネットに公開するステップと、
SaaS又はPaaSの利用者に利用されるたびに前記SaaS又はPaaSより前記使用量計数登録APIを呼び出し、その受信日時をアクセスログに蓄積するステップと、
前記使用量計数確認APIより前記SaaS又はPaaSからのアクセス回数を集計して使用量の実績結果を取得するステップと、を有することを特徴とする、
クラウドサービス使用量の測定計算方法。
【請求項3】
クラウド計量証明用サーバが、SLA可用性・信頼性計数確認APIとSLA性能基準計時確認APIと使用量計数確認APIとを用いてコンピュータディスプレイに計量結果を表示する、又は電子媒体ファイルに計量結果を出力することを特徴とする、
クラウドサービス計量証明の結果開示方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のクラウド計量証明用サーバにおける測定計算・結果開示方法によるビジネスモデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラウドサービス品質保証(SLA)の定量測定計算方法及びビジネスモデルに関する。
【背景技術】
【0002】
クラウドコンピューティング世界に、SaaS(Software as a Service)とPaaS(Platform as a Service)の利用形態がある。SaaSは主にエンドユーザー向けにアプリケーションソフトウェアをネットワーク経由で提供するクラウドサービスであり、一方でPaaSは主にデベロッパー向けにアプリケーションソフトウェアの実行環境やサーバーソフトウェアや開発ミドルウェアを提供するクラウドサービスを指す。これまでパッケージ製品として提供されていたソフトウェアの代わりにインターネット経由でクラウドサービスとして提供・利用する勢いが加速している。
【0003】
また、クラウドサービスの普及に伴って、サービス品質保証(SLA)の開示又は契約が求められるケースが多く、特に記載した評価項目の実績結果は、課金の根拠となっている。
【0004】
近年では、REST(REpresentational State Transferの略)と呼ばれる設計原則に従って、Webシステムを外部から利用するためのプログラムの呼び出し規約(API)の種類の一つであるRESTful APIは益々WebシステムのHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)での呼び出しインターフェース実質基準となる。更に汎用的なデータ交換フォーマットであるJSON(JavaScript Object Notation)とXML(Extensible Markup Language)を用いてクラウド世界にデータ連携が簡単に実現できている。
【0005】
また、RESTful APIを介してアクセスした履歴は、データベースのアクセスログにてマイクロ秒精度の受信日時を保存でき、厳密な時系列解析と経過時間の計算が行える。本発明に関連する先行技術文献としては下記非特許文献1と非特許文献2があげられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】経済産業省 「SaaS向けSLAガイドライン」 平成20年1月21日
【非特許文献2】社団法人 電子情報技術産業協会 「民間向けITシステムのSLAガイドライン-追補版:SaaS対応編」 平成20年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現状ではSaaS又はPaaSのSLA内容は、利用者によって暗黙的に適用されることが多い。SLA定量評価項目と使用量の実績結果は、クラウドサービス事業者より自己申告している状況があり、利用者の直面しているSaaS又はPaaSにおける定量的な測定計算方法は不透明である。
【0008】
またIaaS(Infrastructure as a Service)の稼働状況による発生するサービス障害もあり、利用者がSaaS又はPaaS使用時に発生する一時的に使用できない状態は、SaaSとPaaSの原因なのか、又はIaaS側なのか切り分けにくい場面もある。
【0009】
そこで、SaaS又はPaaS事業者と利用者以外の第三者として中立の立場でインターネットを介してクラウド計量証明用プログラムをセットアップするサーバ(以下、クラウド計量証明用サーバ又は計量証明用サーバ)を起動して、それを用いて計量証明対象となるSaaSとPaaS(以下、対象SaaSとPaaS)のSLA定量評価項目と使用量の実績結果を測定・計算して証明することでクラウドサービス業界の品質向上を促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、SaaS又はPaaS事業者と利用者をターゲットユーザーとし、クラウド計量証明用サーバを用いて中立な立場でSLA定量評価項目及び使用量の実績結果を測定・計算・証明するビジネスモデルを構築する。また、見込み利用者も対象SaaS又はPaaSのSLA達成実績結果を確認できるようになる。なお、
図9はビジネスモデルイメージ図である。
【0011】
本実施形態に係る発明は、クラウド計量証明用サーバが、SaaS又はPaaSの事業者と利用者以外の第三者によってインターネットを介して起動され、計量証明対象となるSaaS又はPaaSとの同期又は非同期通信を行い、SaaS又はPaaSからの受信日時を記録してアクセスログに蓄積し、サービス品質保証(SLA)の定量評価項目に対する計算を行う、クラウドサービス品質保証の定量測定計算方法である。
【0012】
また、SLA可用性・信頼性定量評価項目の測定計算は、非同期通信の場合にクラウド計量証明用サーバの可用性・信頼性計数登録APIがSaaS又はPaaSに呼び出されて受信日時を蓄積するステップと、同期通信の場合にクラウド計量証明用サーバの可用性・信頼性計数プログラムがSaaS又はPaaSを呼び出して応答の受信日時を蓄積するステップと、アクセスログに蓄積した受信日時により時系列経過時間を算出するステップと、予め定められた計量時間基準間隔と比較し、故障有無を判別して故障間隔と復旧時間を算出するステップと、可用性・信頼性定量評価項目の実績結果を取得するステップと、を有する。
【0013】
また、SLA性能基準定量評価項目の測定計算は、非同期通信によりクラウド計量証明用サーバの性能基準計時登録APIがSaaS又はPaaSの性能測定対象処理の開始と終了に呼び出され受信日時を蓄積するステップと、クラウド計量証明用サーバの性能基準計時確認APIより蓄積した開始と終了の受信日時に基づいて対象処理の経過時間を算出するステップと、性能基準定量評価項目の実績結果を取得するステップとを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、クラウド計量証明用サーバは、第三者の立場で事業者か利用者に利害が偏ったSLA実績報告という弊害を防止できる。
【0015】
また、対象SaaS又はPaaSからの受信日時をデータベースに格納し、SLA定量評価項目と使用量を公正的に測定・計算でき、対象SaaS又はPaaSの事業者と利用者に証明することにより、対象SaaS又はPaaSが適切に実施されているかを確認できる。
【0016】
また、対象SaaS又はPaaSとの定期又は不定期的な送受信により、サービスの稼働状況を監視することになり、速やかに事業者へ通知することでサービス品質の向上と繋がる。
【0017】
また、対象SaaS又はPaaSを事前調査している見込み利用者にとって、当該計量証明用サーバによる開示したSLA定量評価項目の実績結果は、入札評価又は採用の参考になる。
【0018】
また、受動式と主動式の通信方法選択、また計量時間基準間隔の変更が可能であり、多彩な手段により対象SaaS又はPaaSのパフォーマンス影響へ最小限にしたうえ、SLA可用性・信頼性定量評価項目の計量評価精度を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のクラウド計量証明用サーバの構成説明図である。
【
図2】SLA定量評価項目の計量証明運用流れ説明図である。
【
図3】SaaS/PaaS使用量の計量証明運用流れ説明図である。
【
図4】SLA可用性・信頼性定量評価項目の受動式測定フロー図である。
【
図5】SLA可用性・信頼性定量評価項目の主動式測定フロー図である。
【
図6】SLA可用性・信頼性定量評価項目の計算見本説明図である。
【
図7】SLA性能基準定量評価項目の測定フロー図である。
【
図8】SLA性能基準定量評価項目の計算見本説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明においてSLA定量評価項目及び使用量の計量証明用サーバは、アプリケーションサーバとデータベースサーバの環境を構築し、関係する計数/計時測定登録及び結果確認プログラムを開発し、汎用的な登録・結果確認RESTful APIを用いてインターネットに公開し、クラウドサービスとして他のSaaS/PaaSから呼び出せるように設置する。
図1は計量証明用サーバの構成説明図である。
【0021】
まず、計量証明用サーバが対象SaaS又はPaaSから定期又は不定期的に受信日時を記録し、対象SaaS又はPaaSの実際稼働状況を取得する。
【0022】
測定方法について二つの手段があり、一つは、インターネット上に公開する計量証明用サーバの計数/計時登録APIが対象SaaS又はPaaSから呼び出される受動式方法である。
【0023】
もう一つは、計量証明用サーバの計数プログラムがインターネットを介して対象SaaS又はPaaSを呼び出して応答を受信する主動式方法である。
【0024】
それから、計量証明用サーバは、対象SaaS又はPaaSからの受信日時を対象SaaS又はPaaSの稼働情報としてデータベースのアクセスログに蓄積し、それに基づいて可用性・信頼性、性能基準定量評価項目及び使用量の実績結果を算出して、汎用的なデータ交換フォーマットJSON又はXML形式で出力し、コンピュータディスプレイに表示、または電子媒体ファイルをアウトプットする。
【0025】
また、本発明のビジネスモデル運用は、SLA定量評価項目と使用量の計量証明を含む。
<SLA定量評価項目の計量証明運用流れ>
図2は、SLA定量評価項目の計量証明運用流れ説明図である。
図2の各処理について、以下の(1)から(9)により説明する。
【0026】
(1)SLA指標開示は、SaaS/PaaS事業者が計量対象SaaS/PaaSのサービス稼働率、平均復旧時間、オンライン応答時間、バッチ処理時間などの評価項目指標を利用者に提示し、利用者がそれに基づいて契約することを示す。
【0027】
(2)サービス保守は、SaaS/PaaS事業者が計量対象SaaS/PaaSの初期セットアップ、プログラムバージョンアップ、データ入れ替え、データバックアップ、障害復旧、日常モニターリングなどのメンテナンス作業を行うことを示す。
【0028】
(3)サービス利用は、計量対象SaaS/PaaS利用者が該当するサービスにおいて検索・入力・ダウンロード・アップロード・印刷する処理などを行うことを示す。
【0029】
(4)アクセス記録は、計量対象SaaS/PaaSと計量証明用サーバのSLA可用性・信頼性計数登録API/性能基準計時登録API又は可用性・信頼性計数プログラムとの間で、同期又は非同期通信を行い、計量証明用サーバが計量対象SaaS/PaaSからの受信日時を記録することを示す。
【0030】
(5)アクセスログ保存は、計量証明用サーバのSLA可用性・信頼性計数登録API/性能基準計時登録API又は可用性・信頼性計数プログラムが計量対象SaaS/PaaSからの受信日時を蓄積してアクセスログとしてデータベースに保存することを示す。
【0031】
(6)計量証明取得は、計量対象SaaS/PaaS事業者が計量証明用サーバのSLA可用性・信頼性計数確認API/性能基準計時確認APIを呼び出して該当するSLA定量評価項目の実績結果を計算・取得してコンピュータディスプレイ画面に表示する又は電子媒体ファイルに出力することを示す。
【0032】
(7)アクセスログ取得は、計量証明用サーバのSLA可用性・信頼性計数確認API/性能基準計時確認APIがデータベースに保存したアクセスログから時系列受信日時を取得することを示す。
【0033】
(8)SLA実績報告は、計量対象SaaS/PaaS事業者が上記(6)で取得した計量証明の実績結果を電子媒体ファイル又は紙印刷の形で利用者に報告することを示す。
【0034】
(9)SLA実績確認は、計量対象SaaS/PaaS利用者が自ら計量証明用サーバのSLA可用性・信頼性計数確認API/性能基準計時確認APIを呼び出して該当するSLA定量評価項目の実績結果を計算・取得してコンピュータディスプレイ画面に表示する又は電子媒体ファイルに出力することを示す。
<使用量の計量証明運用流れ>
図3は、使用量の計量証明運用流れ説明図を示す。
図3における各処理について、以下の(1)から(9)により説明する。
【0035】
(1)使用ライセンス発行は、SaaS/PaaS事業者が利用者に計量対象SaaS/PaaSの使用ライセンスを発行して該当するクラウドサービス利用契約が成り立つことを示す。
【0036】
(2)サービス保守は、SaaS/PaaS事業者が計量対象SaaS/PaaSの初期セットアップ、プログラムバージョンアップ、データ入れ替え、データバックアップ、障害復旧、日常モニターリングなどのメンテナンス作業を行うことを示す。
【0037】
(3)サービス利用は、計量対象SaaS/PaaS利用者が該当するサービスにおいて検索・入力・ダウンロード・アップロード・印刷する処理などを行うことを示す。
【0038】
(4)アクセス記録は、利用者が計量対象SaaS/PaaSを利用するたびに計量対象SaaS/PaaSが計量証明用サーバの使用量計数登録APIを呼び出し、計量証明用サーバが計量対象SaaS/PaaSからの受信日時を記録することを示す。
【0039】
(5)アクセスログ保存は、計量証明用サーバの使用量計数登録APIが計量対象SaaS/PaaSからの受信日時を蓄積してアクセスログとしてデータベースに保存することを示す。
【0040】
(6)使用量取得は、計量対象SaaS/PaaS事業者が計量証明用サーバの使用量計数確認APIを呼び出して使用量の実績結果を計算・取得してコンピュータディスプレイ画面に表示する又は電子媒体ファイルに出力することを示す。
【0041】
(7)アクセスログ取得は、計量証明用サーバの使用量計数確認APIがデータベースに保存したアクセスログから受信日時を取得することを示す。
【0042】
(8)使用量報告は、計量対象SaaS/PaaS事業者が上記(6)で取得した使用量の実績結果を電子媒体ファイル又は紙印刷の形で利用者に報告することを示す。
【0043】
(9)使用量確認は、計量対象SaaS/PaaS利用者が自ら計量証明用サーバの使用量計数確認APIを呼び出して使用量の実績結果を算出・取得してコンピュータディスプレイ画面に表示する又は電子媒体ファイルに出力することを示す。
【0044】
SLA可用性・信頼性定量評価項目の計量処理は、非同期な受動式と同期な主動式があり、SLA性能基準定量評価項目と使用量の計量処理は、非同期な受動式となる。以下にそれぞれと述べる。
<SLA可用性・信頼性定量評価項目計量の受動式処理>
図4は、本発明の一実施の形態におけるSLA可用性・信頼性定量項目の受動式測定フローを示す図である。
【0045】
まず、対象SaaS/PaaSにて、本発明の計量証明用サーバへ送信し、応答を待たない非同期通信における非定期と定期のケースが両方ある。非定期ケースは、対象SaaS/PaaS利用者の操作又はランダムな処理によって本発明の計量証明用サーバのSLA可用性・信頼性計数登録APIを呼び出すケースである。定期ケースは、対象SaaS/PaaS内部に一定的な送信時間間隔(<定められた計量時間基準間隔)で自動的に発信し、本発明の同計数登録APIを呼び出すケースである。
【0046】
次に、本発明のSLA可用性・信頼性計数登録APIにて、対象SaaS/PaaSからのアクセスが届いたら、API内部の計数登録プログラムが対象SaaS/PaaSの活動性を確認でき、受信日時を記録して時系列でアクセスログデータベースに蓄積する。
【0047】
また、本発明のSLA可用性・信頼性計数確認APIにて、API内部の解析計算プログラムが蓄積されたアクセス受信日時の時系列経過時間を計算して予め定められた計量時間基準間隔と比較し、計量時間基準間隔以内であるか否かを判定する。計量時間基準間隔以内の場合は、可用サービス時間帯とし、超える場合は、故障時間帯とする。必要に応じて計量時間基準間隔の調整、サービス時間帯設定、計画停止時間と祝日休日の除外を行い、故障間隔や復旧時間の可用性・信頼性定量評価項目を計算する。実施例1は具体的な計算方法を示す。
<SLA可用性・信頼性定量評価項目計量の主動式処理>
図5は、本発明の一実施の形態におけるSLA可用性・信頼性定量項目の主動式測定フローを示す図である。
【0048】
まず、本発明の計量証明用サーバにて、対象SaaS/PaaSへ送信し、応答を受信する同期通信における非定期と定期のケースが両方ある。非定期ケースは、本発明の計量証明用サーバのSLA可用性・信頼性計数プログラムがランダム又は人工操作によって対象SaaS/PaaSの死活監視APIを呼び出すケースである。定期ケースは、本発明の同計数プログラムが一定的な送信時間間隔(<定められた計量時間基準間隔)で自動的に発信し、対象SaaS/PaaSの死活監視APIを呼び出すケースである。
【0049】
次に、対象SaaS/PaaSにて、本発明の計量証明用サーバからのアクセスが届いたら、死活監視APIが発信元に応答する。
【0050】
次に、本発明の計量証明用サーバのSLA可用性・信頼性計数プログラムにて、内部の計数登録プログラムが対象SaaS/PaaSの死活監視APIからの応答を受信し、対象SaaS/PaaSの活動性を確認でき、受信日時を記録して時系列でアクセスログデータベースに蓄積する。
【0051】
また、本発明のSLA可用性・信頼性計数確認APIにて、API内部の解析計算プログラムが蓄積されたアクセス受信日時の時系列経過時間を計算して予め定められた計量時間基準間隔と比較し、計量時間基準間隔以内であるか否かを判定する。計量時間基準間隔以内の場合は、可用サービス時間帯とし、超える場合は、故障時間帯とする。必要に応じて計量時間基準間隔の調整、サービス時間帯設定、計画停止時間と祝日休日の除外を行って、故障間隔や復旧時間の可用性・信頼性定量評価項目を計算する。実施例1は具体的な計算方法を示す。
【実施例0052】
本発明の計量証明用サーバSLA可用性・信頼性計数確認APIが下記の方法でSLA可用性・信頼性の定量評価項目の月間実績結果を計算する。なお、
図6は故障間隔時間、復旧時間と稼働率の計算見本である。
【0053】
failureCount故障回数:受信日時の時系列経過時間が予め定められた計量時間基準間隔を超えた月間回数をカウントする。
maxTimeToRepair最大復旧時間(単位:分):受信日時の時系列経過時間が予め定められた計量時間基準間隔を超えたケースの月間最大値を取得する。
minTimeToRepair最短復旧時間(単位:分):受信日時の時系列経過時間が予め定められた計量時間基準間隔を超えたケースの月間最小値を取得する。
meanTimeToRepair平均復旧時間(単位:分):受信日時の時系列経過時間が予め定められた計量時間基準間隔を超えたケースの月間平均値を取得する。
totalTimeToRepair復旧時間合計(単位:分):受信日時の時系列経過時間が予め定められた計量時間基準間隔を超えたケースの月間合計値を取得する。
meanTimeBetweenFailures平均故障間隔時間(単位:分):受信日時の時系列経過時間が予め定められた計量時間基準間隔を超えない時間帯(可用サービス時間帯)の月間平均値を取得する。
totalTimeBetweenFailures故障間隔時間合計(単位:分):受信日時の時系列経過時間が予め定められた計量時間基準間隔を超えない時間帯(可用サービス時間帯)の月間合計値を取得する。
monthlyOperationRate月間稼働率(単位:%):故障間隔時間合計÷(故障間隔時間合計+復旧時間合計)
【0054】
以下にSLA可用性・信頼性計数確認APIからの戻り値見本(JSON形式)で2020年11月の可用性・信頼性項目実績値を示す。
{
"days": 30,
"failureCount": 23,
"maxTimeToRepair": 1440,
"meanTimeBetweenFailures": 756,
"meanTimeToRepair": 1122,
"minTimeToRepair": 106,
"month": 11,
"monthlyOperationRate": 40.24926712965278,
"totalTimeBetweenFailures": 17388,
"totalTimeToRepair": 25812,
"year": 2020
}
<SLA性能基準定量項目計量の処理>
図7は、本発明の一実施の形態におけるSLA性能基準定量項目の測定フローを示す図である。なお、受動式となる。
【0055】
まず、対象SaaS/PaaSにて、本発明の計量証明用サーバへの通信は、応答を待たない非同期かつ非定期通信である。対象SaaS/PaaS利用者の操作によって対象SaaS/PaaSの計量対象処理の開始と終了位置に本発明の計量証明用サーバのSLA性能基準計時登録APIを呼び出す。
【0056】
次に、本発明の計量証明用サーバのSLA性能基準計時登録APIにて、対象SaaS/PaaSからのアクセスが届いたら、API内部の計時登録プログラムが対象SaaS/PaaSの計量対象処理の識別コード(キー)と受信日時を記録し、時系列でアクセスログデータベースに蓄積する。
【0057】
また、本発明のSLA性能基準計時確認APIにて、API内部の解析計算プログラムが蓄積された対象SaaS/PaaSの計量対象処理開始と終了の受信日時による経過時間を計算して処理時間とし、そこから応答時間などの評価項目を計算・統計する方法である。実施例2は具体的な計算方法を示す。
[実施例2]
本発明の計量証明用サーバSLA性能基準計時確認APIが下記の方法でSLA性能基準の定量評価項目の月間実績結果を計算する。なお、
図8は処理時間の計算見本である。
【0058】
count処理回数:対象処理の月間実行回数をカウントする。
firstTime最初日時:対象処理の月間最初実行開始日時を取得する。
lastTime最終日時:対象処理の月間最終実行終了日時を取得する。
avgSec平均処理時間(単位:秒):対象処理の月間平均処理時間を取得する。
maxSec最大処理時間(単位:秒):対象処理の月間最大処理時間を取得する。
minSec最短処理時間(単位:秒):対象処理の月間最短処理時間を取得する。
sumSec月間処理時間合計(単位:秒):対象処理の月間処理時間合計を取得する。
※処理時間(経過時間)=終了日時-開始日時
【0059】
以下にSLA性能基準計時確認APIからの戻り値見本(JSON形式)で対象処理[P_ABC1]の性能基準項目実績値を示す。
{
"avgSec": 60.679,
"count": 5,
"firstTime": "2020-11-19 13:32:13.887",
"lastTime": "2020-11-19 13:56:02.472",
"maxSec": 116.792,
"minSec": 29.122,
"sumSec": 301.393,
"userKey": "P_ABC1"
}
<使用量計量の処理>
まず、対象SaaS/PaaSにて、本発明の計量証明用サーバへの通信は、応答を待たない非同期かつ非定期通信である。対象SaaS/PaaS利用者の操作によって対象SaaS/PaaSが該当する位置(例えば、ユーザー認証)に本発明の計量証明用サーバの使用量計数登録APIを呼び出す。
【0060】
次に、本発明の計量証明用サーバの使用量計数登録APIにて、対象SaaS/PaaSからのアクセスが届いたら、API内部の計数登録プログラムが対象SaaS/PaaSの認証コードと用途コードと受信日時を記録し、時系列でアクセスログデータベースに蓄積する。
【0061】
また、本発明の使用量計数確認APIにて、API内部の解析計算プログラムが蓄積された受信日時に基づいて一定な期間単位(例:週/月/四半期/年)で認証コード及び用途コード毎の使用回数を集計する。実施例3は具体的な計算方法を示す。
[実施例3]
本発明の計量証明用サーバは対象SaaS/PaaSの使用ライセンスを管理して認証コードを発行し、使用量計数確認APIが更に用途コード毎でアクセスログに基づいて一定な期間単位(例:週/月/四半期/年)のアクセス数を集計する。
【0062】
以下に使用量の計数確認APIからの戻りJSON見本(JSON形式)で月間使用量を示す。
{
"code": "2002-10002- CPl8rnBSAchnLJ0qQ0r2wAeK3CdJ",
"entities": [
{
"sumItem": "2020-10",
"sumValue": 6549
},
{
"sumItem": "2020-11",
"sumValue": 7690
}
]
}
クラウドサービスの性能向上に伴って、業務用と個人用SaaS又はPaaSは、益々普及になり、クラウドサービス業界では、商品計量や環境計量のような公平的な計量評価の必要性がある。
近年ではIaaS環境の充実で本発明の計量証明用サーバ自体がSaaSの一つとして、安定及び高精度なサービスを提供することが可能になり、またビジネスモデルになるから、多くの業者が参入し、クラウドサービス計量評価事業の品質も一層高められる。
対象SaaS又はPaaSのプラグラム側に計量証明用サーバとの送受信機能を追加する必要があるが、送受信インターフェース仕様は標準なRESTful APIに従うので、非常に軽い作業で本発明の計量証明用サーバをアクセスできるようになる。
本発明の計量証明用サーバが受動式で通信する場合、非同期で行って応答を待つ必要がないので、対象SaaS又はPaaS自体のパフォーマンスへの影響はごくわずかとなる。
SaaS又はPaaS使用量の計量については、対象ライセンス管理の認証コードに加えて用途コードごとで一定な期間単位(例:週/月/四半期/年)の使用量集計を行われることで幅広く利用することができる。